まどか「ただいまどか」(298)

まどか「………」ジィー

詢子「ほら、そんなに遠慮しないでさ。こっちにおいでよ」

ほむら「詢子さん…あの、本当にいいんですか?」

知久「もちろんだよ、それにここをほむらちゃんの家だと思っていいんだよ?」

ほむら「知久さん…」

タツヤ「ほむあ!ほむあ!」

ほむら「タッくん…うん、そうだね。ありがとう」

知久「ほら、ほむらちゃん」

ほむら「ただいま…!」

詢子「おかえり、ほむらちゃん」

ほむら「は、はい…!」

まどか「……おかえり…ほむらちゃん…」

ほむら「ふふっ」ニコッ

詢子「ほむらちゃん、ごめんな?こんなこと言い出しちゃってさ」

ほむら「いえ、とんでもないです」

詢子「普通余所の女の子を家に連れ込んだりしないよな……」

詢子「私のしてることがおかしいってことくらい、自分でもわかってるさ」

詢子「でも…さ…」

ほむら「大丈夫です。私は一人暮らしですし、両親は東京に…」

詢子「ああ…もちろん、それも理由の一つだし」

詢子「ほむらちゃんの両親にだって許可を貰ったよ」

詢子「それよりも、どうしてもほむらちゃんに家に来て欲しかったんだ」

ほむら「詢子さん…」

詢子「ほむらちゃんと初めて会ったのは何時だったっけ」

詢子「そう…パパとタツヤと3人、家族みんなで散歩してた時だったよな」

詢子「その時、タツヤがさ」

タツヤ「ほむあー!」

ほむら「ふふ」

知久「こら、ほむらちゃんの髪の毛引っ張ったらダメだって言ってるじゃないか」

タツヤ「うー」

ほむら「ううん、いいよ。触っても」

詢子「あはは、ごめんね。タツヤどうも気に入っちゃってるみたいでさ」

詢子「……そのリボン」

ほむら「…はい」

タツヤ「まろか!」

ほむら「……タッくん」

詢子「昔からさ、タツヤは『まどか』ってよく言うんだよ」

詢子「私もその『まどか』って言葉が凄く懐かしくってね」

知久「ははは、僕もだよ」

ほむら「………」

詢子「だよねぇ…アニメのキャラか何かと思ったけど違うみたいだし」

知久「本当に不思議だよね、特に知り合いに『まどか』って子はいないのに……」

詢子「うん、でもすごく懐かしい響きなんだよね」

詢子「…まどか……」

タツヤ「まろか!まろか!」

ほむら「っ……」

詢子「っと!ごめんごめん!いきなりしんみりさせちゃってさ」

詢子「せっかく、こうしてほむらちゃんが来てくれたんだ。こんなんじゃダメだよな?」

知久「うん、そうだね。夕食作ってるんだ」

知久「ほむらちゃん、一緒に食べよう!今晩はクリームシチューだ」

詢子「パパの作るクリームシチューはうまいぞ!家の子の好物でさ、誕生日なんか…って」

ほむら「あっ」

詢子「ははは、タツヤの誕生日にクリームシチュー出したことなかったっけ」

タツヤ「ままー?」

知久「……」

詢子「ほんとおかしいよな…私、さっきから何言ってんだか…」

知久「ほむらちゃん、とにかく僕はクリームシチューに自信があるんだ」

知久「食べてくれるかな?」

ほむら「はい、喜んで」

知久「ありがとう」

詢子「……っし!」パン

詢子「もうしんみりは無しだ!ほむらちゃんを歓迎しなきゃな!」

知久「ああ、乾杯しようか」

詢子「うん、そうしようそうしよう!」

知久「はい、ほむらちゃん」

ほむら「…ありがとうございます」

知久「かんぱーい!」

タツヤ「あんあーい!」

詢子「乾杯、ほむらちゃん」

ほむら「…乾杯」

詢子「最近学校はどう?」

ほむら「…楽しいですよ」

詢子「そっかそっか、仁美ちゃんはまたラブレター貰ってたりする?」

ほむら「え?はい、今月になってもう二通目です」

詢子「ははっ、やっぱりね。でも直に告白する勇気もない男は…」

詢子「……ん?」

ほむら「詢子さん?」

詢子「あれ?どうして私がほむらちゃんの友達のこと知ってんだ…?」

ほむら「!」

知久「仁美ちゃんは昔からよく遊びに来てたじゃないか」

詢子「家に?どうしてさ?だって家には仁美ちゃんの友達なんて…」

知久「…あれ?たしかに…でも仁美ちゃんは僕も知ってるよ」

ほむら「……」

詢子「…和子…うん、和子から話を聞いてたからだ!そうに決まってるよな!」

知久「……そうだね」

詢子「あははは…ほむらちゃん、本当にごめんな?」

詢子「いつもはこうじゃないんだ」

ほむら「…いえ、お構い無く」

ほむら「私は…気にしてませんから」

詢子「ありがとう、ほむらちゃんは本当に良い子だよ」

ほむら「いえ、そんな…」

知久「もし、僕たちに娘が生まれたらほむらちゃんのような子に育ってほしいね」

詢子「うん、娘が生まれたら…ね」

詢子「……」

知久「……」

ほむら「あっ…」

詢子「不思議だよなぁ…私たちは中々子宝に恵まれなくてさ」

知久「結婚してから10年近くたってようやくタツヤが生まれたのに」

詢子「タツヤが第一子なのに…この気持ちはなんだろうね」

知久「僕たちの中の大切な何かが無くなってしまったような…」

タツヤ「まろかー」

詢子「タツヤ…その「まどか」って言葉とほむらちゃんを見てると」

詢子「どうしても苦しくなるんだ…わけわかんないよな…」

詢子「ほむらちゃんをこうして家に迎えたのも、この気持ちを納めたかったからなのさ…」

詢子「いるはずのない娘の代わりになってほしいだなんて……」

詢子「ふふっ…バカだよなぁ…意味わかんないよなぁ…」

ほむら「詢子さん…」

詢子「ごめん…ごめんな…ほむらちゃん…」

知久「……ママ、今日は疲れてるんだよ」

詢子「くそぉ……」

知久「今日はもう寝よう?後は僕に任せてくれればいい」

詢子「でもさ、ほむらちゃんは……」

ほむら「……私は大丈夫です。気にしないでください」

詢子「ほむらちゃん…」

ほむら「私も両親と長いことあってなくて、寂しかったんです」

ほむら「だから詢子さんに声をかけられた時、本当に嬉しかったんですよ?」

ほむら「それに今こうしてここにいることができて、私は……」

ほむら「…幸せだと、思います」

詢子「……ありがとう…ありがとう」

知久「ほら、行こう?」

詢子「くっ……」

タツヤ「ままー」

知久「僕はママに付き添っておくから、タツヤはそこで待ってるんだよ」

タツヤ「あーい」

知久「ほむらちゃん、せっかく来てくれたのに本当にごめんね」

ほむら「いえ、そんな…」

知久「それじゃあ、少し待っててね」

詢子「……まどか…」

ほむら「………」

タツヤ「まろか!まろか!」

ほむら「まどか……」

ほむら(まどか…見てる?)

ほむら(私…あなたの代わりになったんだよ)

ほむら(でも…無理よ…私なんかじゃとてもあなたの代わりになんか……)

ほむら(詢子さんも…知久さんも…タッくんも)

ほむら(それに私も……)

ほむら(みんな…あなたがいなくなって……)

ほむら(…わかってる…仕方のないことだってわかってる…)

ほむら(でも…まどかぁ……)

円環の理

まどか「………」

まどか「……ぐすっ」

まどか「…これで良かった…良かったの」

まどか「ほむらちゃんが私の代わりにいてくれれば…ママもパパもタツヤも……」

まどか「……それに…私なんかより、ほむらちゃんの方がずっとずっと良い子だよ」

まどか「だから、私なんかいなくたって…」

まどか「うぅぅ……」

さやか「やっと見つけた」

まどか「ぐすっ……」

さやか「まったく、神様が泣いちゃってどうすんのさ」

まどか「……ごめんね…うぅ…」

さやか「…ごめん、冗談だよ」

まどか「………」

さやか「まどか、あんたまた様子を見に行ってたんだよね?」

まどか「…うん……」

さやか「……やっぱり、帰りたい?」

まどか「………」

さやか「まどか、あんたはさ…本当によく頑張ってると思うよ」

さやか「あたし達魔法少女を何人も…ううん、何百何千…数えきれないくらいたくさん」

さやか「その魔法少女をまどか一人で救ってくれてさ」

さやか「みんな、本当にまどかに感謝してるんだよ」

まどか「……」

さやか「もちろん、あたしだってまどかに感謝してるよ」

さやか「ありがとう、まどか」

まどか「さやかちゃん……」

さやか「まどかのおかげで沢山の魔法少女が救われたよ」

さやか「これは本当にみんな感謝してるよ、すっごくすっごくにさ」

まどか「…ありがとう」

さやか「でも、まどかは本当にそれで良いの?」

まどか「え…?」

さやか「全てをまどか一人で背負ってさ、正直辛くない?」

さやか「悲しくないの?またみんなと会いたいんじゃないの?」

まどか「……」

まどか「…大丈夫…だよ」

さやか「まどか…」

まどか「私自身が決めたことだし、こうなることもわかってた」

まどか「…これで良かったの」

まどか「魔法少女はみんな、絶望しないで最後まで笑顔でいられるんだもん」

まどか「みんな、本当に笑顔でいてくれるから…私も嬉しいもん」

まどか「だからこれで良いの…これが正解なの」

さやか「本当に?」

まどか「……本当だよ?」

さやか「まぁ、たしかにあたしら笑顔でいることができたよ」

さやか「これは紛れもなく、まどかのおかげだと思う」

さやか「でも、だからってまどかは一人で背負いすぎだと思うよ」

まどか「……ううん、それは違うよ、さやかちゃん」

まどか「一人で背負ってるつもりなんてないよ。これは私にしかできないことなんだし、さ…」

さやか「……」

まどか「それに…寂しくなんかないもん…」

まどか「ここには魔法少女のみんなが…さやかちゃんがいてくれるから、私…大丈夫だよ」

さやか「……でも、ここでまどかと友達って言えるのはあたしだけなんだよ?」

まどか「……」

さやか「あたしはさ、ここに来て友達がたくさん増えたよ」

さやか「でも、まどか…あんたは違うでしょ?」

まどか「ぅ……」

さやか「あたし以外の魔法少女は、何故かまどかを認識できないんだからさ…」

さやか「まどかは、あたし以外の魔法少女にとっては姿の見えない神様…ってなってるんだからさ」

さやか「どうしてあたしだけが、まどかのことを認識できるのかわからないよ」

さやか「あたしとまどかが友達だからだったのか、とかさ…理由はよくわかんない」

さやか「向こうの世界で、ほむらだけがまどかを覚えてるのと同じかもしれないし」

さやか「違うのかもしれない…それこそ、奇跡なのかもしれないよ」

さやか「でも、姿が見えなくっても、認識できなくても」

さやか「みんながまどかのしてくれたことに…まどかに本当に感謝してるんだよ!」

まどか「……えへへ…そっ…か…」ゴシゴシ

まどか「…みんなが認識してくれなくっても、それだけで私は幸せだよ!」ニコ

さやか「……」

まどか「それに、さやかちゃんは私のことを…」

さやか「まどか」

まどか「え?」

さやか「…嘘はやめときなって」

まどか「だから嘘じゃ…」

さやか「なら何で泣いてるのさ?」

まどか「え…」ポロポロ

さやか「まどか…あんたはさ、いくら概念に、神様になったからって」

さやか「まだ14歳の女の子なんだよ?」

まどか「……」

さやか「嘘をつくのが下手な、泣き虫の親友」

さやか「それはまどかが何になったって変わらない事実だよ」

さやか「それは今も昔と変わらない…だから、あたしにはわかるの」

さやか「まどかが嘘ついてるって」

まどか「さやかちゃん…」

さやか「まどか、辛いなら辛いって言って良いんだよ?」

さやか「ほむらに会いたいって、ママにもパパにもタッくんにも!」

さやか「みんなに会いたいってさ!」

まどか「……」

さやか「まどかがみんなに会いたいって言っても誰も責めないよ」

さやか「もし、責めるやつがいるなら、そんなのあたしが絶対に許さない!」

さやか「だからさ…安心して大丈夫だってば」

さやか「あたしに本音をぶつけてよ!」

まどか「……い…よ…」

さやか「まどか…」

まどか「……会いたいよ…みんなに会いたい……」

さやか「……うん」

まどか「でも…どうにもならないよ……」

まどか「だって私…もう概念だもん…人間じゃないもん……」

まどか「元に戻りたくても戻れないよ…無理に決まってるよ……」

まどか「それに…私がここで元に戻っちゃったら魔法少女のみんなはどうなるの?」

まどか「これは私にしかできないことだもん…だから、私が弱音をはいちゃダメなの」

さやか「まどか…」

まどか「だから…これでいいの……」

まどか「この世界で、さやかちゃんだけでも私の友達でいてくれて…」

まどか「むこうの世界でも、ほむらちゃんだけでも私のこと覚えていてくれるのなら…私……」

まどか「幸せ…だから…」ニコ

さやか「……ばか」

まどか「うぅ…うぅぅっ……」ゴシゴシ

まどか「ぐすっ…ほむらちゃん…ママぁ…」

さやか「……まどか」ギュッ

まどか「さやかちゃん……」

さやか「まどか…あんたは凄いよ、ほんとに」

まどか「そんなこと…ぐす…ないよ……」

さやか「全部しょいこんでさ…これまでも、今からもずっとずっとさ」

さやか「始まりも終わりもない…永遠に概念として一生このまま」

さやか「あたしだったら絶対に耐えられないと思う…」

さやか「ううん、誰にだって耐えられないよ…耐えられるわけない」

さやか「そんなことをまどかは一人で…」

まどか「…私にしか…私がやらなきゃ…」

さやか「たしかにさ…まどかのしてる事は一人じゃまどかにしかできないかもしれない」

さやか「でも…」

さやか「………まどか」

まどか「ぐす…すう…すう…」

さやか「…泣きながら眠る神様がどこにいんのよ、もう」

まどか「ママぁ…」

さやか「まどかは神様や概念である前にただの女の子なんだからさ」

さやか「自分にしかできないって、張り詰めても…しょうがないよ」

さやか「………よし」

まどホーム

ほむら「……」カチャカチャ

知久「あっ、ほむらちゃん…ごめんね、気を使わせてしまって」

ほむら「いえ、ご馳走になったので食器洗いくらいは」

知久「あはは、ありがとう、助かるよ」

ほむら「いえ」フキフキ

知久「………」ジッ

ほむら「?」

知久「…ほむらちゃん、少し僕の作り話に付き合ってくれないかな」

ほむら「…ええ、どうぞ」

知久「ありがとう、ほむらちゃん」

知久「…ふふ、こうして話そうとすると上手く話せないなぁ」

ほむら「知久さん…」

知久「そうだな…よし、こうしよう」

知久「昔々、あるところに仲の良い夫婦がいました」

知久「その夫婦との間に、一人の女の子が生まれました」

知久「夫婦はその子の名前を『まどか』にしました」

ほむら「…!」

知久「こうして親子3人の生活が始まりました」

知久「まどかはすくすくと育っていきました」

知久「ついこの前までハイハイをしていたのに、いつの間にか歩くようになりました」

知久「夫婦は初めてまどかが歩いた瞬間を写真におさめて宝物にしました」

知久「まどかが初めて言葉を話した日はとても嬉しかったです」

知久「『まま』とまどかは言いました。それを聞いたママはそれはもう本当に喜んで…」

知久「もちろん、僕も嬉しかったよ…できれば『ぱぱ』がよかったけどなぁ」

ほむら「……」

ゲロ以下の臭いがプンプンする>>1がいると聞いてやって来ました

知久「そんなまどかも小学生になりました」

知久「まどかの小さな体ではランドセルが大きく見えて、それが可愛く思えたよ」

知久「運動会では、まどかが一生懸命走ってる姿が可愛かったなぁ」

知久「かけっこでは一等賞にはなれなかったけど、僕は一生懸命走るまどかが一番に思えたよ」

知久「そしてまどかにも友達が増えてきて、よく内につれてくるようになったんだ」

知久「さやかちゃんと仁美ちゃん…本当に良い友達だよ」

知久「それからよく家族3人でお散歩にでかけたなぁ…」

知久「僕とママとまどか、3人で仲良く手を繋いで、帰ったらまどかの好物のクリームシチューを作るんだ」

知久「人参が苦手なまどかの為に工夫して作っている内に得意料理になっちゃったよ」

知久「そして僕たちに二人目の宝が生まれて」

知久「それまでは、まだまだ小さく思えたまどかがお姉さんになって」

知久「嬉しい反面、大人になっていくまどかを見て少し寂しくて」

知久「あの大きかったランドセルも小さくなって…そして中学生になって」

知久「制服を嬉しそうに着るまどかの姿も可愛くて…」

知久「たしかに勉強も運動も得意じゃなかったかもしれない」

知久「でも…それでもまどかは良い子に育った」

知久「本当に良い子に…」

知久「だから、僕もママも本当に幸せだと心からそう思えたよ」

知久「僕にとって、ママとタツヤとまどかの4人で過ごしたこの毎日は」

知久「かけがえのない宝物だったんだ…!」

さやか「>>1ってホント馬鹿」ズモモモ ジュワッ

マミ「きゃあ!」ズモモモ

マミ「あ、私も魔女に」ジュワッ

まどか「さやかちゃん!」ズモモモ

まどか「やだ、私も」ジュワッ

杏子「みんなSSが気持ち悪過ぎて魔女になっちまった!!」ズモモモ

杏子「つまんない人生だったなー……」ジュワッ

ほむら「>>1のSSを読むってそういうことよ」ズモモモ

ほむら「死にたくない!」ジュワッ

ほむら「知久さん…?」

知久「なのに…どうして…どうしていなくなってしまったんだ…」

ほむら「まさか…」

知久「まどかぁ…!」

ほむら「思い…だして…?」

知久「……まどかは現実にはいない…」

知久「僕とママの間にはタツヤしかいないはずなのに…」

知久「ただの僕の妄想のはずなのに…」

知久「どうして…どうして僕は…泣いてるんだ……」

ほむら「……」

知久「…はは、ごめんよ、ほむらちゃん」

知久「こんなおじさんの妄想を聞いたって仕方ないよね…」

ほむら「そんなことは…」

知久「……もうこんな時間だ、今日は泊まっていくといいよ」

知久「誰も使っていない部屋があるんだ」

ほむら「あっ…」

知久「あははは…おかしいよね…家を建てるとき、ちゃんとママと相談しあって建てたはずなのに」

知久「誰も使ってない部屋があるんだ…」

まどルーム

ガチャッ

ほむら「………」

シーン

ほむら「まどかの部屋…」

ほむら「……つい最近まで誰かが…ううん、まどかが使っていた部屋」

ほむら「………まどかぁ」

ほむら「詢子さんも知久さんも…それにタッくんだって…」

ほむら「みんな…みんな辛いのよ?」

ほむら「なのに…最初からなかったことにするだなんて…そんなの……」

ほむら「そんなのって……」

ほむら「……」ポフッ

ほむら「……たしかに、ここにはまどかがいた形跡はないかもしれない」

ほむら「ぬいぐるみも椅子も何もかも…」

ほむら「……でも、ここにまどかがいたって事実までは…消せない」

ほむら「消せるはずがないわよ…まどか…」

ほむら「まどかぁ…」

ほむら「あなたの存在は…かけがえのない宝だったのよ?」

ほむら「あなたが選んだ道とは言え…やっぱり…私は……」

ほむら「……まどか…」

翌朝

ほむら「まどか…ぐす…」

ほむら「すやすや…」

詢子「おっきろー!」

ほむら「きゃぁ?」

詢子「あはは。おはよう、ほむらちゃん」

ほむら「あ…お、おはようございます…」

詢子「昨日は本当にごめんな。こっちからさそっといて情けないとこ見せちゃってさ」

ほむら「…いえ、お構い無く」

詢子「…ふふっ、ほんとほむらちゃんは良い子だよなぁ」

詢子「この部屋をあげたいくらいだわ」

ほむら「…それは……」

詢子「ほら、タツヤはまだ小さいしさ。それにこの部屋は女の子向けっぽいじゃん?」

ほむら「……」

詢子「どうしてこの部屋だけ誰も使ってたのかわかんないよ」

詢子「でも、だからって物置なんかにはできないしさ」

詢子「ここには…大切なものが詰まってる気がするんだ」

詢子「…でも、ほむらちゃんが使ってくれるのなら話しは別だよ」

詢子「ここはさ…女の子の部屋なんだよ」

詢子「私たちの宝物の…まどかの…さ」

ほむら「……」

詢子「っと、いけない!またほむらちゃん困らせちゃったね」

詢子「あははっ、おばさんの妄言とでも思っといてよ」

詢子「それよりもさ、もう朝食の準備ができてるんだ。食べてってよ」

ほむら「…はい、ありがとうございます」

ほむら「………」

ほむら「まどか……」

一時間後

杏子「ほむらのやつ、今日は何時もより遅いじゃん」

仁美「寝坊でしょうか?でもほむらさんが寝坊とは思えませんわ」

杏子「だよねぇ。しかたねぇ、あたしがメールでも送っとくよ」

仁美「ふふっ」

杏子「ん?何さ?何か変なことでもあった?」

仁美「いえ、何となく不思議な光景だと思いまして」

杏子「不思議?どういうことだ、おい?」

仁美「…私と杏子さんがこうして一緒にいて、杏子さんがほむらさんにメールを送る」

仁美「特別おかしな光景じゃいはずなのに、不思議な感じがしますの」

杏子「ふーん?…まぁ、あたしも何も感じないと言ったら嘘になるけどさ」

仁美「あら、どうしてですの?」

杏子「何て言うかさ、こう…なに?とにかく違和感ってやつがあるんだよね」

仁美「ふふ、そうでしたか」

杏子「ああ…あたしと仁美、そしてほむらと一緒に登校」

杏子「当たり前のはず…なんだけどな」

仁美「…そうですわね」

杏子「……まあ、さやかは…その…」

仁美「………」

杏子「あっ…わりぃ!今のは気にすんなって」

仁美「…いえ」

ほむら「おはよう、杏子、仁美」

杏子「ああ、ほむらじゃん。おはよ」

仁美「おはようございます、ほむらさん」

ほむら「遅れてしまってごめんなさい」

杏子「あんたさ、寝坊してたとか言わないよねぇ?」

ほむら「寝坊じゃないわ、ただ…」

仁美「ただ?」

ほむら「今日は、その…親戚の家に泊まっていて」

杏子「親戚?へぇー、こっちに親戚いたのか」

ほむら「ええ」

仁美「そうでしたのね…あっ、そろそろ急がないと遅刻してしまいますわ」

ほむら「ごめんなさい、急ぎましょう」

杏子「あっ、待てって」

仁美「………」

ほむら「仁美?」

仁美「…はい?」

ほむら「どうしたの?顔色が悪いわ」

仁美「いえ…少しだけ考え事をしていて…」

杏子「何考えてんのさ?」

仁美「…昨夜から、少し変なんですの」

杏子「変?何がさ?」

仁美「……なんと言うか、こう…凄く違和感があって…」

ほむら「!」

仁美「今まで当たり前だったことが、突然当たり前じゃなかったような気が…しますの」

仁美「例えば…この光景…私と杏子さんとほむらさんと一緒に登校する今この時もですわ」

仁美「たしかに、さやかさんがいなくなってしまったことはあります」

仁美「それにさやかさんのことは、あなた方から詳しくお話しいただいて理解したつもりです」

ほむら「仁美…」

仁美「ですが…さやかさんの他にもう一人…」

仁美「大切な誰かをなくしてしまったような気がして…」

杏子「仁美、お前…」

仁美「あっ…ごめんなさい、変ですわよね?」

ほむら「………」

仁美「い、急ぎましょう?本当に遅刻してしまいますわ」

ほむら「仁美…」

仁美「ほら、ほむらさんも杏子さんも早く!」タタッ

ほむら「…ええ、わかったわ」

杏子「そんなに走ったら怪我するぞ?」

ほむら「………」

杏子「ん?何だよ、ほむらも違和感あるわけ?」

ほむら「…あなたはどう?」

杏子「あたしか?うーん…無いわけじゃかいけど、特別言うほどでもないかな」

ほむら「…と言うと?どう言うことかしら?」

杏子「いや、なんか制服やケータイにちょっと違和感があるだけさ」

ほむら「……」

杏子「それよりも、早く行かないと遅刻するぜ?仁美はもう向こうに行っちまったしさ」

ほむら「……ええ」

学校

マミ「違和感?」

ほむら「ええ、あなたには何か違和感がないの?」

マミ「そうねぇ…全くないと言ったら嘘にはなるけど…」

マミ「でも、その違和感の招待が全くわからないの」

マミ「ただ何となく、私の中にちっぽけな穴があるような…ないような…」

ほむら「…そう、わかったわ」

マミ「暁美さん、こんなこと突然聞いてどうしたの?」

ほむら「いえ、気にしないで」

マミ「そう、なら私は移動教室だから失礼するわ。また魔獣退治の時にね」

ほむら「ええ、またね」

ほむら(やっぱり…なんとなくわかったわ)

ほむら(仁美、杏子、マミ…この3人だと一番違和感を持ったのは仁美)

ほむら(その仁美は昨夜から…昨夜は私がまどかの家族に向かえられた時)

ほむら(そして知久さんと詢子さんはまどかのことを……)

ほむら(みんなが忘れてしまったとしても、家族や親友は…もしかしたら完全に忘れたわけじゃないと言うことかしら?)

ほむら(でも…どうして突然?今までは間違いなく私だけだったはずよ?)

ほむら(何かがおきてる?)

円環の理

まどか「すぅ…すぅ…」

さやか「まどか…完全にダウンしてる…」

さやか「やっぱり相当無理してたみたいだね…でも仕方ないわよ」

さやか「こんな大仕事、一人でできるのはまどかだけなんだからさ」

さやか「でも…」

まどか「…ぐす…すぅ…すぅ…」

さやか「まどかだって、普通の女の子なんだよ…」

さやか「まどか……」ナデナデ

まどか「…ままぁ……」

さやか「どうして、あたしだけがまどかを認識できるのかは分からない」

さやか「だけど…わかったよ、あたしがしなきゃいけないことがさ」

さやか「まどかを認識できるのがあたしだけなら、まどかを直接助けられるのもあたしだけ」

さやか「あたしが…まどかを助けなきゃ」

さやか「何時までも助けられてばっかりにはいかないよ」

さやか「それにあたしは、まどかの親友なんだからさ」

まどか「…ぐす…ほむらちゃん……」

さやか「あはは…まどかからしたらほむらの方が大切なのかもしれないけどね」

さやか「……まぁ、ほむらのやつ、相当まどかの為に頑張ってきたみたいだからね」

さやか「あたしが初めてここでまどかと会ったとき、最初はあたしを見てもの凄くはしゃいじゃってさ」

さやか「あんなに子供みたいにはしゃぐ神様がどこにいるの、ってね」

さやか「……実際に、子供…なんだけどね」

まどか「すやすや…」

さやか「この寝顔を見せて、神様だと信じろー。って言われても誰も信じないっての」

さやか「なのに…まどかは……」

さやか「…まどか、あの後あたしにめっちゃくちゃ、ほんとめちゃくちゃ!」

さやか「ほむらのこと話しちゃってさ、さやかちゃん嫉妬しちゃったんだからね?」

さやか「まぁ…それだけ、ほむらは頑張ったんだよね?」

さやか「まどかが今のまどかになれたのも、ほむらのおかげらしいし」

さやか「しょうじき、その話を聞かなかったらあたしは、ほむらのこと誤解したまんまだったんだろうね」

さやか「……ほむらは、まどかを覚えてるんだよね」

さやか「…まどかは…こっちの世界じゃ魔法少女を助ける姿の見えない神様」

さやか「むこうの世界じゃ最初から存在しなかった人間で、概念」

さやか「覚えてるのはほむらだけ…」

さやか「……全ての魔法少女の為にまどかは頑張ってるのに、本当にこれだけで良いわけ?」

さやか「よくないよ…そんなの!」

さやか「だから、その為にもあたしは頑張る!」

さやか「あたしの親友、鹿目まどかは、この魔法少女さやかちゃんが助けちゃいますからね!」

さやか「……と言っても、あたし一人じゃどうしようもないみたい」

さやか「悔しいなぁ…ほんとに悔しい…」

さやか「あたしは何もできないの…?」

まどか「すぅ…すぅ…」

さやか「まどか…まったく起きる気配がない…」

さやか「それほど疲れてたんだね…?」

さやか「そりゃそうだよね?だってたった一人で世界中を…」

さやか「……あれ?じゃあ、まどかが倒れてる今、世界はどうなってるの?」

さやか「おかしなことなってなきゃいいけど…」

さやか「………嫌な予感がする」

さやか「……こうなったら、みんなの力を借りるしかないね」

まどか「すぅ…すぅ…」

さやか「まどか、待っててね」

さやか「さやかちゃん、頑張るよ!」

放課後

仁美「っぅ…」

ほむら「仁美、大丈夫?」

仁美「は、はい…ですが…やっぱり変ですの…」

仁美「この虚無感はなんなのでしょうか…」

ほむら「仁美……」

杏子「今日はお稽古サボっちまいなよ、仁美」

仁美「いえ、そのわけには…ただ…心が寂しいだけです」

杏子「…?」

仁美「…まど…か…?」

ほむら「!」

杏子「え?まどか?」

仁美「い、いえ…なんでもありませんわ…」

仁美「でも…?」

幾多のキュゥマミSSを見たがいまだにこのネタを使ったキュゥマミSSはない
マミ「今日も紅茶が美味しいわ」
パターン1
マミ「あなた誰なの?違う! 私のキュウべえはあの子だけよ!」
QB「確かに “この僕” は、三時間ほど前まで君のそばにいたのとは別の個体だよそちらは暁美ほむらに撃ち殺された」
黒い魔法少女。暁美ほむら。あの女だけは、絶対に許さない。
まどか「わたしの願いでマミさんのそばにいた子を蘇生すれば、ほむらちゃんのこと許してあげられませんか?」
パターン2
QB「うううっ……マミ、どうして、死んじゃったんだよ、マミを蘇らせて欲しい」
まどか「私の願い事はマミさんの蘇生。叶えてよQB!」
パターン3
マミ「あなた誰なの?」 QB「前の個体は処分した」
QB「『前の僕』、は精神疾患を『患い』かけていたからね。『僕達』にとっては、『煩わしい』存在でもあったしね」
マミ「違う! 私のキュウべえはあの子だけよ!」
こんな感じの旧QB蘇生キュゥマミ魔法少女全員生存ワルプルギス撃破誰か書いてくれたらそれはとってもうれしいなって

マミ「暁美さん、佐倉さん、志筑さん」

杏子「おっ、マミ」

仁美「あっ…魔獣退治、頑張ってくださいね」

マミ「ふふ、ありがとう。頑張るわね」

仁美「力になれなくてごめんなさい…」

杏子「気にすんなって、仁美は今のままでいいんだよ」

仁美「…はい、では私はこれで」

ほむら「またね、仁美」

仁美「はい、ごきげんよう」

ほむら「……仁美」

内容:
マミ「少し様子がおかしかったわね…?」

杏子「ああ、何かまどかって言ってたよ」

マミ「まどか…って、暁美さんがよく話してる?」

杏子「たぶんね、だろ?」

ほむら「……否定はしないわ」

マミ「なるほどねぇ、まどか…か。何処かで聞き覚えがある気はするけど…」

杏子「ほんとほんと、まぁほむらがよく話してるからじゃないの?」

マミ「ふふ、そうかもね」

ほむら「………」

マミ「さて、今日も魔獣はりきって行きましょうか」

杏子「さっさと潰して宿題やらなきゃな」

マミ「わからないところがあったら教えてあげるわよ?」

杏子「へっ、自力でやってやるさ」

マミ「あら?ふふ、えらいえらい」ナデナデ

杏子「なっ?先輩面するんじゃねぇー!」

マミ「うふふ、ごめんなさい」

杏子「たく…ほら、ほむらも黙ってないで行くよ」

ほむら「……ええ」

ほむら(少しずつ…少しずつだけど確実に何かが変わってきている)

ほむら(まどかが創ってくれたこの世界が…)

ほむら(まどか…あなたは何をしているの?)

ほむら(本当に…本当にこれで良かったの?)

ほむら(私には…わからない…)

ほむら(これで良かったのかもしれない…だけど、本当にそう?)

ほむら(でも…これだけははっきり言える…私は…)

ほむら(会いたい…あなたに…)

ほむら「まどか…」

―――

まどか「……ん」

まどか「あれ…私…眠ってたの…?」

まどか「そ、そうだ!眠ってる場合じゃないよ!」

まどか「私が頑張らなきゃ…私がやらなきゃダメなの!」

まどか「だって私は……」

タツヤ「きゃっきゃっ」

まどか「!」

知久「ほーら、たかいたかーい」

タツヤ「たたいたたーい」

まどか「タツヤ…それにパパも…」

まどか「どうしてここに?」

タツヤ「ままー!」

まどか「あっ」

詢子「タツヤ、そろそろ帰ろっか」

まどか「ママ…」

タツヤ「あーい」

知久「そうだね、お腹も空いてきたよ」

詢子「今日の夕食は何なの?」

知久「今日はビーフシチューだよ」

タツヤ「しちゅー!」

詢子「おっ、パパの得意料理じゃん。楽しみだわ」

まどか「ビーフ…シチュー…」

まどか「………」

タツヤ「?」

まどか「あっ、タツヤ…」

タツヤ「まろか!」

まどか「えっ…!」

タツヤ「まろか!まろか!」

まどか「タツヤ…?も、もしかして私が見えるの…?」

タツヤ「まろかー!」

まどか「タツヤ…!」

詢子「タツヤ」

知久「こら!ダメじゃないかタツヤ」

まどか「あっ、パパ、ママ…!」

詢子「すみません、大丈夫でしたか?」

まどか「え?」

詢子「すみません、息子がいたずらしちゃって」

まどか「え…あの…」

タツヤ「まろかー」

まどか「タツヤ…」

知久「女の人の髪を引っ張るのはダメ!」

まどか「え、えっ…と…」

知久「ごめんね、いたくなかったかな?」

まどか「う、うん…」

知久「そっか、よかった。それじゃ僕たちはここで」

詢子「タツヤ、お姉ちゃんにバイバイは?」

タツヤ「ばいばーい」

詢子「はは、それじゃあ私たちはここで」

詢子「あなたもそろそろ帰らないとご両親が心配するよ?」

まどか「ママ…何を言って…?」

詢子「ふふ、さようなら」

まどか「ま、待ってよ!ママ?私だよ?まどかだよ?」

詢子「…まどか?」

まどか「そうだよ!私だよ?まどかだよっ!」

詢子「…いや、家にはまどかって子はいないけど……」

まどか「え……」

詢子「あはは…とにかく、気を付けて帰りなよ。それじゃ」

まどか「ま、待って?待ってよ!」

まどか「どうして…」

杏子「ほら、こっちこっち!」

マミ「ふふ、そんなに急がなくてもお店は逃げないわよ?」

まどか「あっ…杏子ちゃん…マミさん…」

杏子「…ん?どこかで会ったか?」

まどか「え?」

マミ「あら?佐倉さんの後輩かしら?」

杏子「いや、知らねぇよ」

マミ「え?私も知らないわよ?」

まどか「……」

杏子「まぁいいや、早く行こうぜ」

マミ「ええ、そうね」

まどか「そっか…私は……」

さやか「そこで恭介がさぁー」

仁美「ふふふ、さやかさんったら」

さやか「あははっ」

まどか「さやかちゃん…仁美ちゃん…」

さやか「え?あたし?…って仁美の友達?」

仁美「いえ…。あ、あの…私たちに何かようがございますの?」

まどか「えと…それは…」

まどか「……ううん、なんでもないです」

さやか「はぁ…?んー、まぁいいや、行こ行こ」

仁美「そうですわね」

まどか「私は…ひとりぼっち…」

ほむら「………」

まどか「…ほむらちゃん!」

ほむら「?」

まどか「ほむらちゃん…ほむらちゃんは私のこと、覚えててくれるよね?」

ほむら「え?」

まどか「だって、リボンも…あれ?リボンは…?」

ほむら「あの、あなた何かと勘違いをしてるわ」

まどか「ほむら…ちゃん…」

ほむら「私はあなたを知らないもの」

まどか「………」

ほむら「さようなら」

まどか「………」ジワ

まどか「…嫌だぁ……」

まどか「もう嫌だよ…こんなの……」

まどか「私…みんなに会いたいよ…」

まどか「ひとりなんて嫌だよ……」

まどか「寂しいよ…苦しいよ…」

まどか「さやかちゃん…仁美ちゃん…マミさん…杏子ちゃん…」

まどか「ママ…パパ…タツヤ…」

まどか「ほむらちゃん…」

まどか「会いたいよ…みんなに会いたい……」

まどか「会いたいよぉ…」

円環の理

まどか「ぐす…会いたいよ…」

さやか「………」ギュッ

まどか「んん…」

さやか「おまたせ、まどか」

まどか「あ、あれ…さやか…ちゃん…」

さやか「待たせちゃってごめんね?」

まどか「わ、わかるの…?ねぇ、さやかちゃん?私がわかるの?」

さやか「何言ってんのよ、あたしがまどかを忘れるわけないじゃん!」

まどか「さやか…ちゃん…」

さやか「…辛い夢を見てたんだね」

さやか「でも大丈夫よ、まどか。まどかのナイトメアはこのさやかちゃんが討ち取ったり!」

さやか「なーんてね」

さやか「あはは、マミさんがいたなら悪夢のことナイトメアって言いそうじゃない?」

さやか「でもさ、まどかの悪夢をやっつけるのは本当なんだからね?」

さやか「あたし達がみんなでまどかを助けるよ!」

まどか「さやかちゃん…これって…」

さやか「あたしが、あたし達が魔法少女だよ」

まどか「魔法少女のみんなが…ここに?」

さやか「たしかに、あたしにしかまどかは見れないのかもしれないよ」

さやか「でも言ったでしょ?みんな本当にまどかに感謝してるんだってさ」

さやか「そして、今日はその恩返しに来た!ってわけ」

まどか「みんな…」

さやか「あたし達ひとりひとりじゃまどかには叶わないよ」

さやか「あれだけの大仕事をできるのは、たしかに一人じゃまどかだけだろうね」

さやか「だけど、一人じゃ無理でもさ」

さやか「あたし達、魔法少女ひとりひとりが力を合わせれば、きっと!」

さやか「奇跡も魔法もあるんだよ」

まどか「さやかちゃん…」

さやか「それにさ、まどかは言ったじゃん」

さやか「魔法少女は夢と希望を叶えるんだって」

さやか「ほんの少しなら本当の奇跡があるかもしれないって」

さやか「そして、そのほんの少しの奇跡がたくさん集まれば…」

さやか「おっきな奇跡だって起こせるのかもしれない」

さやか「それに、まどかは約束したんでしょ?」

さやか「ほむらとさ」

まどか「!」

さやか「いつかまたもう一度逢えるから、それまではほんのちょっとだけお別れだって」

まどか「ほむらちゃん…」

さやか「だからさ、そろそろ行ってやってもいいんじゃないの?」

さやか「ほむらはずっと待ってるんだよ」

まどか「…でも、私がいなくなったら…」

さやか「大丈夫、あとはあたし達に任せなさい!」

さやか「まどかがあたし達魔法少女を助けてくれたんだから」

さやか「こんどはその恩返しだって言ったでしょ?」

さやか「だからさ、行ってきなよ」

まどか「さやかちゃん…」

さやか「ほら、何があっても振り返っちゃダメだよ」

さやか「まどかは前だけ見てればいいの」

さやか「帰ろう、みんなのところにさ」

まどか「…うん」

さやか「いってらっしゃい、まどか!」

まどか「…いってきます!」

見滝原

杏子「よし、今ので最後だね」

マミ「ええ、お疲れさま」

ほむら「……」

杏子「…ほむら、魔獣は倒したんだからそんな暗い顔すんなって」

ほむら「…ごめんなさい、大丈夫よ」

マミ「それじゃあ帰りましょうか」

杏子「ああ、まだ日は暮れてないしゲーセンでも寄って行かない?」

マミ「そうね、行きましょうか。暁美さんもどう?」

ほむら「いえ、遠慮しておくわ」

マミ「そう、なら今度は一緒に行きましょうね」

杏子「ゲームならあたしが伝授してやるよ」

ほむら「ふふ、それは心強いわね」

杏子「へへ、だから次は来なよ?」

ほむら「ええ。それじゃあ、また今度」

マミ「さよなら、暁美さん」

杏子「またなー」

ほむら「さようなら、またね」

ほむら「……」

ほむら「まどか…」

ほむら「……会いたい…」

ほむら「ほんの少しで構わない…」

ほむら「あなたと一緒に泣いて笑って…」

ほむら「そばにいたい…」

ほむら「まどか…」

タタッ

ほむら「?」

ギュッ

ほむら「え…?」

まどか「……」ギュゥ

ほむら「…まど…か…?」

まどか「……」

ほむら「まどか…?まどか!?まどかなの!?」

まどか「……」

ほむら「…まどか……?」

まどか「……」ポロポロ

ほむら「!」

まどか「ぅ…ぅぅっ…」

まどか「ほむ…ぐす…ら…ちゃ…」

まどか「ほむらちゃん…」

ほむら「まどか…!」

公園

ほむら「まどか…」

まどか「えへへ」

ほむら「本当に…本当に会いに来てくれたのね?」

まどか「…うん!」

ほむら「夢みたい…」

まどか「ほむらちゃん…」

ほむら「でも、どうして?あなたは概念になったはずじゃ?」

まどか「…さやかちゃん達、みんなが私の為に奇跡をおこしてくれたんだ」

ほむら「さやかが…?」

まどか「うん、さやかちゃんのおかげだよ」

ほむら「そう、さやかが…」

まどか「…ねえ、ほむらちゃん」

ほむら「なあに?」

まどか「やっぱり魔法少女は本当の奇跡だって起こせるんだね」

ほむら「……うん、そうね。本当に奇跡が起きたわ」


まどか「ほむらちゃん…」

ほむら「まどか…」

まどか「…えへへ、話したいことたくさんあるのに、何を話したらいいか分かんないや」

ほむら「……私もよ、まどか」

ほむら「まどかが概念になったあの時から、今までずっと」

ほむら「あなたに話したいことはたくさんあったわ」

ほむら「だけど…今はこの一言だけを言わせて?」

まどか「うん」

ほむら「おかえりなさい、まどか」

まどか「ほむらちゃん…うん!」

まどか「ただいまどか」

まどか「なんちゃって、えへへ」

ほむら「………」

まどか「ごめんね?はしゃいじゃって」

ほむら「…もう、そこは真面目に答えなきゃダメよ?」

まどか「えへへ、やっぱりそうだよね?」

ほむら「もう、まどかったら…ふふっ」

まどか「うぇひひ」

ほむら「うふふ…あはははっ」

まどか「ほむらちゃん」

ほむら「まどか」

まどか「ただいま、ほむらちゃん」

ほむら「おかえりなさい、まどか」

円環の理

さやか「よかった、まどか…ちゃんとほむらと会えたみたいだね」

さやか「やっぱり、あたし達魔法少女が力を合わせれば不可能だって可能になるんだよ!」

さやか「奇跡も魔法もあるんだよ!」

さやか「…さーて、ならあたし達も頑張らなきゃね」

さやか「まどかが一人でしていたことを、これからはあたし達みんなでするんだからさ」

さやか「魔法少女はあたし達魔法少女がガンガン助けちゃいますからねー!」

さやか「だからさ、魔法少女のことはあたし達にまかせて、あんたはそっちで頑張りなよ」

さやか「ありがとう、まどか」

仁美「………」トボトボ

仁美「私の中のこのぽっかりと空いた穴は何なのでしょうか…」

仁美「私には…さやかさんと同じくらい大切なお友達が…」

仁美「……まどか…さん…」

仁美「…私は…まどかさんを知っていますの?」

仁美「……鹿目まどかさん…私の大切なお友達…」

仁美「あら?あそこに座っているのは…ほむらさん?」

仁美「隣に誰かが座っていますわ、あの方は…!?」

まどか「ほむらちゃん」

ほむら「なに?まどか」

まどか「えいっ」プニッ

ほむら「っ?ま、まどか?」

まどか「えへへ、実はね?概念の時によくこうしてほっぺを触ってたんだよ」

ほむら「そ、そうだったの?」

まどか「うん…やっぱりわかんなかったよね…」

ほむら「まどか…」

まどか「…私ね、概念になってから、時間のある時はずっとほむらちゃんの側にいたんだよ?」

まどか「もちろん、ママやパパ、タツヤの側にもね」

ほむら「……」

まどか「でも…どれだけ私が側にいたって、ほむらちゃんにもママにもパパにも私の姿は映らないから……」

まどか「それが悲しくて…でも、私は概念だから…自分でそう願ったから」

まどか「だから仕方のないことだって我慢してたんだ」

まどか「でも…さやかちゃんにはバレてたみたい」

まどか「さやかちゃんの言う通り、本当は凄く寂しかったの」

まどか「きっとこれから先ずっと、誰にも認識されずにいくのかなって…」

まどか「それが嫌でしょうがなかったんだ」

まどか「…えへへ、おかしいよね?自分でそう願ったのにね」

まどか「私…」

ほむら「まどか」

まどか「ほむらちゃん?」

ほむら「えい」プニッ

まどか「ほ、ほむらちゃんっ?」

ほむら「ふふ、さっきのお返しよ?」

ほむら「それに、今はもう私のほっぺを障ることができるでしょ?」

まどか「……うんっ!」

ほむら「ふふっ」

まどか「じゃあ今度は私の番だね」

まどか「えいっ」プニッ

ほむら「私だって」プニッ

まどか「えへへ、ほむらちゃん」スリスリ

ほむら「まどか」スリスリ

まどか「ほむらちゃん柔らかい」スリスリ

ほむら「まどかも柔らかい」スリスリ

まどか「えへへっ」ニコッ

ほむら「ふふっ」ニコッ

ほむら「幸せって、このことを言うのかしら?」

まどか「うん」

ほむら「なら、私一人で幸せを独り占めしちゃダメよね」

まどか「ほむらちゃん?」

ほむら「まどか、あなたと会いたがっているのは私だけじゃないわ」

まどか「……わかってるけど…でも…みんな、私のこと覚えてなんか…」

ほむら「……」

まどか「ほむらちゃんだけが、私のこと覚えててくれたんだよ?」

まどか「でも、私はほむらちゃんだけでも思えていてくれれば、それだけで幸せだよ」

ほむら「…本当にそう?」

まどか「……だって、みんな…私のことは…」

ほむら「たしかにあなたが宇宙を改変して、この世界も変わったわ」

ほむら「でも、私は変わらなかった。まどかを覚えていたわ」

まどか「ほむらちゃんは最後まで私の側にいてくれたから…」

ほむら「たしかにそうかもしれないわ、でも」

まどか「?」

仁美「まどかさんっ!」

ほむら「奇跡はおこるのよ」

まどか「仁美…ちゃん…?」

仁美「まどかさんっ…私…私っ…」

まどか「私のこと…わかるの…?」

仁美「はいっ…!鹿目まどかさん…」

まどか「!」

仁美「私のかけがえのない大切なお友達ですわ!」

まどか「仁美ちゃん…!」

まどか「仁美…ちゃん…」グスッ

仁美「まどかさん…会いたかった…ずっと会いたかったんですの」

まどか「私もだよ…仁美ちゃん…」

まどか「えへへ…嬉しいなぁ…」

仁美「まどかさん…」

ほむら「ほら、言ったでしょう?」

まどか「うんっ…」

ほむら「いくらまどかが世界を変えたからと言っても」

ほむら「あなた達が作った思いでまで完全に変えることはできなかったみたいね」

仁美「まどかさん…あなたとの思いでは私にとってかけがえのないものなんです」

仁美「もう二度と忘れたりなんかしません」

まどか「仁美ちゃん…ありがとう」

仁美「いえ、私こそ…本当にありがとうございます、まどかさん」

まどか「そんな、私は…でも本当に嬉しいよ」

まどか「また仁美ちゃんと会えたんだもん」ニコッ

仁美「うふふ」ニコッ

ほむら「まどか、仁美…」

仁美「まどかさん、私の他にも会うべきお方がいるんじゃないのですか?」

ほむら「そうよ、まどか」

仁美「ですので、早く会いにいってください」

仁美「きっと、その方は私よりもずっと、まどかさんと会いたいと思っているはずです」

まどか「……うん、そうだね」

仁美「ふふ、早く行ってくださいな。私とはまたこれからも会えますし」

仁美「それに、もう帰宅しなきゃいけない時間ですわ。ね?ほむらさん?」

ほむら「ええ、行きましょう」

まどか「うん、仁美ちゃん…また明日ね!」

仁美「はい、ごきげんよう」

ほむら「…それじゃあ。まどか、大丈夫?」

まどか「う、うん…ちょっと緊張しちゃうけど、大丈夫だよ」

ほむら「やっぱり緊張するの?」

まどか「うん…照れくさいような…悪いことしちゃったような…」

まどか「いろんな気持ちがあって…」

ほむら「…そうよね」

まどか「でも大丈夫、ちゃんと行くからね」

ほむら「ええ、わかったわ」

まどか「行こうよ、ほむらちゃん」

ほむら「うん、帰るわよ」

タツヤ「きゃっきゃっ」

まどか「!」

知久「ほーら、たかいたかーい」

タツヤ「たたいたたーい」

まどか「タツヤ…それにパパも…」

まどか「うぅ…」タジッ

ほむら「大丈夫よ、まどか。自分を信じて?」

まどか「う、うん…!」

タツヤ「ままー!」

詢子「タツヤ、そろそろ帰ろっか」

タツヤ「あーい」

知久「今日はほむらちゃんに…おや?」

タツヤ「あー!」

まどか「タツヤ…」

タツヤ「ほむあ!」

ほむら「タッくん」

まどか「あっ……」

知久「ほむらちゃんじゃないか。ちょうど良かった、これからみんなと一緒に」

まどか「パパ…」

タツヤ「まろか!まろか!」

知久「帰る…ところ……」

まどか「パパぁ…」

知久「まど…か…?」

知久「まどか!」

まどか「パパっ…!」

知久「まどか…まどかっ…!」

まどか「ぐすっ…パパ…」

タツヤ「まろか!まろか!」

ほむら「まどか、知久さん…!」

詢子「……まど…か…?」

まどか「ママぁ…!」

詢子「まどか…まどか、なのか…?」

まどか「うんっ…!」

詢子「まどか…!」

まどか「ママもパパもタツヤも、私のことがわかるんだね?」

詢子「当たり前だろ…大事な娘の顔を忘れる親なんているもんか…!」

まどか「ママ…!」

詢子「このバカ娘が…今まで何処に行っていやがった…」

詢子「ほんとに…ほんとに会いたかったんだぞ…!」

まどか「ママ…ごめんね?」

詢子「ほんとに…てめぇは親不孝の娘だよなぁ…どれだけ家出してんのさ…」

まどか「うぅ…」

詢子「でも、どんなにバカでも親不孝でも…」

詢子「まどかは私たちの最高の娘さ…!」

知久「ああ、まどかは僕たちにとって本当にかけがえのない大切な大切な宝物だよ」

タツヤ「ねーちゃ!」

まどか「パパぁ…タツヤぁ…」

詢子「ったく…そんな顔すんなよなぁ…ほむらちゃんも見てるじゃねぇか…」ゴシゴシ

まどか「うん…えへへ…」グス

ほむら「…」ニコニコ

知久「さあ、帰ろう。僕たちの家に、まどかの家にね」

詢子「うん、私たち家族の家にさ」

まどか「うんっ!」

タツヤ「ねーちゃ!」

ほむら「……では、私はここで」

まどか「ほむらちゃん…」

ほむら「まどか、良かったね…本当に」

詢子「何言ってんのさ、ほむらちゃん」

ほむら「え?だって、まどかが帰ってきたのなら私はもう…」

詢子「それとこれとは話が別だよ」

ほむら「…?」

知久「いったじゃないか、ほむらちゃんの家だと思っても良いって」

ほむら「な、なら…私も…?」

詢子「ああ、もちろんさ!」

まどか「ほむらちゃん…!」

ほむら「まどか…!」

まどホーム前

まどか「………」ジィー

ほむら「………」ジィー

詢子「ほら、なに二人とも遠慮してんのさ?こっちにおいでよ」

まどか「えへへ…なんだか緊張しちゃって…久しぶりだからなのかな?」

ほむら「詢子さん…あの、本当にいいんですか?」

知久「もちろんだよ、ここは僕たちのみんなの家なんだよ?」

ほむら「知久さん…」

知久「そうだよね?まどか」

まどか「うんっ」

タツヤ「まろか!ほむあ!あいむほーむ!」

まどか「タツヤ…うぇひひ、何時の間に英語話せるようになったの?」

ほむら「ふふ、そうだね。ありがとう」

知久「ほら、まどか」

まどか「ただいま、みんな…!」

詢子「おかえり、まどか!」

知久「おかえりなさい!」

タツヤ「まろか!まろか!」

まどか「えへへ、次はほむらちゃんの番だよ」

ほむら「え、ええ…!」

知久「ほら、ほむらちゃんも」

ほむら「ただいま…!」

詢子「おかえり、ほむらちゃん!」

知久「おかえりなさい!」

ほむら「は、はい…!」

タツヤ「ほむあ!ほむあ!」

まどか「おかえり!ほむらちゃん!」

ほむら「ただいまどか!」

ほむら「ふふっ。ごめんなさい、はじゃいじゃって」

まどか「てぃひひ!真似しないでよ」

ほむら「ふふっ」

まどか「…あれ?みんな、並んでどうしたの?」

詢子「まどか」

知久「まどか」

タツヤ「ねーちゃ!」

まどか「みんな…?」

ほむら「おかえりなさい」ニコッ

まどか「……!」

まどか「うんっ!」

まどか「ただいまどか!」ニコッ

おわり

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