P「律子は説教デレ」(82)

春香「おはようございまーす」

バンッ!!

春香「ぅひっ!?」

律子「いい加減にしてくださいプロデューサー!」

春香(あちゃ~、プロデューサーさんてば律子さんに説教されてる)

律子「何度同じ失敗を繰り返せば気が済むんですか。先週の木曜も同じでしたよね!?」

P「ごめんなさい……」

春香(今出て行ったらマズいよね?)

律子「なぜ今朝はおはようのキスがなかったんですか?」


春香(ワッツ!?)

春香(ワッツアップニッポン!)

律子「あらためて確認しますが」

律子「いくら物覚えの悪いプロデューサーでもこれだけは記憶していると信じたいのですが」

春香(律子さんごめん、今キスとか聞こえちゃった)

律子「我々のキスについてです」

春香(言ってる!!)

律子「付き合い始め、我々はこの契約書において相互に同意したはずです」

律子「プロデューサーの節穴さながらの目でも見えるよう、B1に拡大しました」

春香(デカッ!!)

律子「おはようのキス、行ってきますのキス、ただいまのキス、おやすみのキス」

律子「これら四大基本キスを怠ることは重大な不貞に当たる、と」

P「はい……」

春香(そ、そうなの……?)

律子「これにあなたは同意しました。ここに押してあるキス判、間違いないですよね?」

P「私のものです……」

春香(すごい殊勝……)

律子「それぞれのキス、特におはようのキスの重要性については何度も述べたはずです」

律子「愛し合うパートナー同士ならば当然の義務、そうですよね?」

P「はい……」

律子「だというのにあなたって人は……」

P「………」

律子「義務である理由、暗誦してください」

P「え……」

P「あんしょ……え?」

律子「ほら早く」

春香(なんだろうか、この状況は)

律子「まさかできないとでも?」

P「え、っと……」

P「あ、愛し合うパートナーであれば、睦みあうこと、スキンシップは必然」

律子「はい」

P「特にキスは互いの愛情を確認しあうための重要な行為であり」

律子「続けて」

P「キスのない恋人同士はすなわち、枯れ果てた大地と同じだからである」

律子「………」

P「………」

律子「……」コツコツ

律子「……」コツコツコツコツ

律子「終わりですか?」

P「え……」

春香(指で机コツコツ怖い……)

律子「それだけですか、と聞いたんです」

P「あっ、あ、あーっと」

律子「ハァ……私はどれだけあなたにガッカリさせられないといけないんですか?」

律子「自分が愚昧、または匹夫であるという自覚はありますか?」

P「……すみません」

律子「いえ、いいですよもう」

P「………」

春香(あ、終わる?)

律子「………」

ゴソゴソ

律子「ふう……」

律子「」ピッ


ウィーーン


春香(え? え、え!? なんか上からスクリーン降りてきた!?)

律子「この資料を見てください」

春香(パ○ポだーー!! パワーポイント○だーーー!!!!)

P「律子、事務所にももう皆が来ちゃうし!」

春香(プロジェクターなんていつの間に導入……いやスクリーンも!!)

律子「スケジュール的にそれはないでしょう、これだけ朝早ければ問題ありません」

春香(早起きしちゃったのは誰!? そう、この私!!)

律子「見ていただきたいのはスクリーンの図Pです」

P「………」

春香(図Pがなんと皮肉めいて聞こえることよ……)

律子「図Pの棒グラフは、ここ一ヶ月のおはようのキスのらぶらぶ度を」

律子「そして折れ線グラフの方は、アイドルプロデュース活動における私の仕事力――」

律子「つまり『りっちゃんパフォーマンス』の推移を定量的に示しています」

P「はい……」

春香(はいじゃないのでは? はいじゃないのでは?)

律子「大脳皮質のヒダがデロデロになっているプロデューサーにもわかるように説明しますと」

律子「例えばこの10月8日、この日はとても満足のいくおはようのキスができたようですね」

P「そうみたいですね……」

律子「すると同日、同様に『りっちゃんパフォーマンス』もとても高い値をマークしています」

律子「これが何を意味しているか」

P「………」

律子「反対に先週の木曜日、なんとおはようのキスはありませんでした」

P「………」

律子「信じがたいことですが、おはようのキスがありませんでしたので」

律子「当然ながらおはようのキスのらぶらぶ度もゼロ」

律子「同日の『りっちゃんパフォーマンス』も地を這うような悲惨なことになっています」

春香(恐ろしいまでの公私混同……)

P「こ、公私混同じゃないか」

春香(言った!! なにこのシンクロニシティ! 行けーっプロデューサーさん!!)

律子「はぁ……公私混同、と」

P「………」

律子「公私混同ですかぁ……なるほどねぇ……」

P「………」


律子「公私混同ですかぁ……」


P「聞き間違いでは?」

春香(慇懃に日和ったーーー!!!)

春香(もう力の不等号の向きが決まってるんだこのカップル!)

春香(というかカップルって初めて知ったし驚いているうえ泣きたい!!)

春香(誰か助けて!)

律子「……と、このようにおはようのらぶらぶキスと『りっちゃんパフォーマンス』は」

律子「密接な因果関係にあるということがよくわかりましたね」

律子「ニューロンがことごとく死滅しているかのプロデューサーにも理解できたかと」

P「は、反省してます……」

律子「………」

P「………」

律子「……」ジーッ

律子「……」チラッ

律子「終わりですか?」

P「え……」

春香(自分の指のネイルを見てからの……!)

P「あ、は、反省してる! これからはちゃんとおはようのキスもするから……!」

律子「プロデューサー」

P「っ!」

律子「本当にあなたはダメな人ですね、ここまで頭が回らないなんて」

律子「説教する私が疲れてきました」

P「そんな……」

律子「まだ気づかないんですか? おはようのキスだけなら私はここまで怒りません」

律子「というより、今日のおはようのキスはとても重大な意味を持っていたはずなのに」

P「あ……」

春香(付き合って○ヶ月的な……)

律子「ゆうべは全然いちゃいちゃできなかったじゃないですかっっ!!」

春香(おーーーーーーい!!!)

春香(やっほーーーー!!! 765プロの正統派アイドル、天海春香だよーーー!!!)

律子「お互いに仕事で忙しい身の上で、いちゃいちゃ出来る時間は限られているんです!」

律子「厳しい時間を終えたあと、あなたとふれあえるのがどれだけ嬉しいかっ」

律子「見てよこの髪!!」

P「え……?」

律子「昨日あなたに洗ってもらえなかったからツヤがゼロ! 皆無!! ボッサボサ!!」

春香(いぇーーーーーーい!!!!)

P「いや全然そんなことは」

律子「あります! あるんです!! ぐすっ、やだもう泣きそう……すんっ」

律子「図のRとR´を見でぐだざいっ!」

春香(みんなーーーー盛り上がってるーーーー!!??)

律子「これがあなたに洗ってもらった『りっちゃんヘア』!!」

律子「そしてこっちが洗ってもらっていない『りっちゃんヘア』! その差は歴然!!」

P「そうか……?」

律子「そうなんです! こんなの全然パイナップルじゃない!!」

P「いやパイナップルは目指さなくても……」

律子「忙しいのはわかっていますし、いちゃいちゃできない日があるのもわかってます!」

律子「でもっ、ですが図H!!」

律子「こっちがいちゃいちゃできたあとの私の日記におけるハートマークの数っ!」

春香(みんなーーー覚えて帰ってねーーー!!)

春香(これが理路整然としているようで、その実、まるで中身のないプレゼンだよーーー!!)

律子「さらに図Hの下!!」

律子「これが五大基本ハグの一つ、『ちょっと、抱きつかれたら料理できないでしょ……?』」

律子「――の工程を経ていないさもしい夕食です!!」

律子「なんなんですかあなたはっ? 鬼なんですか?」

律子「このうえおはようのキスもないだなんてっ」

律子「ヒトゲノムの塩基配列に『悪』『鬼』『羅』『刹』の四文字でも記されてるんですか!?」

律子「……すんっ」

P「………」

律子「もう、私……何言ってんだろ、ごめ、なさいっ」

律子「泣かないって……決めてたはずなのに……」

P「律子……」

春香「律子さん……(苦笑)」

律子「あなたが悪いわけじゃないのに……」

律子「私が、とんでもない寂しがり屋な、だけ、なのにっ……」

P「そんなに自分を卑下するなって……」

律子「やめてくださいっ、かばわないでください!」

P「っ」

律子「あなたが優しいから……私はとんでもなく甘えちゃうんです」

律子「優しくされると嬉しいけど」

律子「優しくされなかったとき、不安で、さびしくてっ……」

律子「どうしようもなくて……ぐすっ、すんっ……」

律子「もう……だめです私……」


ギュッ


律子「―――!!」

P「律子……ごめんな」

律子「や、やだ、プロデューサー、誰か来たらっ」

P「ハハ、なあに、さっきまでプレゼンをしていたじゃないか」

律子「それは、そうですけど……」

律子「それに、プロデューサーが悪いわけじゃ」

P「いや、俺が悪い」

P「すまなかった」

P「昨日だって、頑張れば早く帰れたはずなんだ。今朝も仕事ばっかりの頭で……」

律子「だからそれは」

P「律子」

律子「っ」

P「俺……律子に説教されるの、嫌いじゃないよ」

律子「―――」

律子「な、なんですかそれ……」

P「いや、むしろ好きかもしれないな」

律子「だからぁっ」

P「だから、」

P「俺のことで説教したくなったらいつでも説教してやってくれ」

律子「え……」

P「甘えたくなったなら、いつでも甘えてくれ。仕事の合間だっていいさ」

律子「……」

P「ためこまないで、俺を責めてくれ、依存してくれ」

律子「っ」

P「どんな律子でも……俺は受け止めるからさ」

律子「~~~……」

律子「……プロっ」

律子「プロデューサー……」

P「ん?」


律子「ぷろでゅーさーの、ばかぁっっ……」

律子「ばかばか……さびしっ、さびしかったんですからね?」

P「ああ……」

律子「あなたのいないあの部屋で、あなたのいない夜をすごしてっ」

律子「晩ご飯も一人で食べて、いつもみたいに抱っこされながらじゃなくてっ」

P「ごめんな……」

律子「洗い物しながら後ろを振り返っても、あなたはいないし!」

律子「お風呂だって一人だし、洗いっこも、湯船に入るのもキスしながらじゃないしっ」

P「髪の乾かしあいっこも」

律子「デザートを食べさせあうのだって! 昨日はプリンの日だったのに!」

P「そうだな……」

律子「あなたが差し出してくれるスプーンじゃなきゃ、デザートなんて食べた気しませんっ」

春香どうすんだよ・・・

P「俺が帰ってきたのは律子が寝てからだったから」

律子「途中までは頑張って起きてたんですっ、でも」

P「起こさないようにベッドに入って、隣で寝てやることしかできなかった」

律子「そうですっ、いつもはハグしながら、ナデナデもしてもらえるのに」

P「おやすみのキスもだ」

律子「何回もちゅーをしながら、あなたの胸の中で眠るのが、私の幸せなのに……」

律子「おかげで悪い夢を見ました……」

P「それは、どんな?」

律子「あなたが……」

律子「あなたが、どこか遠くへ行ってしまうんじゃないかって……」

P「………」

P「俺はどこにも行かないよ」

P「ずっと律子のそばにいる」

P「約束する」

律子「プロ、デューサー……」

P「律子……」

律子「………」

P「愛してる」


チュッ

春香「いぇーーーーーーーーーーーい!!!!」

二人「」

律子「んっ……んぅっ、プロ、でゅ、しゃっ……んむっ」

P「………」

律子「ぷはっ……あぁっ……」

律子「ん……」

P「………」

律子「………」

P「だ……ダメだったか?」

律子「……っは」

律子「は? 100点ですけどっ!?」

P「ふふ、そっか」

律子「あなたに耳元で愛してると囁かれて、クラリとこない女性がいますか?」

P「いや、律子くらいのものだって」

律子「フザけないでください……なんなんですかもう……めろめろですっ」

律子「さびしくさせたかと思ったら、こんな、優しくして」

律子「これからの結婚生活でも、同じことを繰り返すつもりなんですかあなたは」

P「気をつけるよ。努力する」

律子「罰としてこれからはダーリンって呼びますから!」

P「仕返しには何がいいか。りっちゃんとか?」

律子「バカっ……ほんとばか……」

P「………」

律子「だいすき……」

春香「…………」

春香「…………」

春香「だいすき、か……」

春香「………」

春香「きっついねえ……」

春香「へへ……室内だってのに、風が身に染みやがる……」

春香「B1の紙もはためいてらぁ」

春香「………」

春香「あれ……なんだろこの感じ……」

春香「私、興奮してる……?」


 この日以降、春香がNTR属性に目覚めるのはまた別のお話


                                 

                                         おわり

はwwwwwwwwwるwwwwwwwwwかwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww

アイマスSS初めてだったので、俺のアイマスSSバージンは皆さんに散らされたことになります
このレイプ魔どもめ!支援ごっつありがとうな!

NTRに目覚めた春香さんの話は書くかもしれないし書かないかもしれません

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