八幡「由比ヶ浜との半同棲生活が始まって半年か」 (153)

由比ヶ浜「ヒッキー、起きて!そろそろ起きないと講義間に合わないよ?」ユサユサ

八幡「んっ……もうそんな時間か」

由比ヶ浜「おはよ、ヒッキー」

八幡「……おはよう、由比ヶ浜」

由比ヶ浜「朝ごはん、もう出来てるから顔洗ってきたら?」

八幡「……また黒いスクランブルエッグと黒焦の食パンじゃないだろうな?」

由比ヶ浜「ち、違うし! 今日のはちゃんと上手くできたもん! いいから、早く顔洗ってきて!」

八幡「へいへい……」

八幡(……大学生活が始まって早半年)

八幡(そして、由比ヶ浜との半同棲生活が始まって半年か)

八幡(切っ掛けは……なんだろうか)

八幡(強いて言うなら、由比ヶ浜が俺と同じ大学に受かったからか。私立大の上位校にまさかあいつが受かるなんて夢にも思わなかった)

八幡(まあ、雪ノ下に付きっきりで……あと、たまに俺も付き合って一緒に勉強をしていたからな。あいつがどれだけ努力したかは知っている)

八幡(んで、大学生活が始まる少し前に何故か小町から一人暮らしを勧められた。いつだったか、俺が大学に通っても実家暮らしをすると聞いて喜んでいたのに)

八幡(親もそれに便乗し、いつの間にか家を半場追い出される形で一人暮らしが決まった)

八幡(大学から歩ける距離にある、少し古びたアパートの一室を借り、新たな学生生活の準備をしていた矢先……)

由比ヶ浜「あっ、ヒッキー。顔洗ってきたんだね。それじゃ、食べよっか」

八幡(隣にこいつが越してきた)

八幡(最初は、互いに一人暮らしは慣れてないだろうから色々と協力しよう、という話だった)

八幡(一人分の料理を作るより、二人分を作った方が楽だから、とか。洗い物も一緒にした方が水道代が浮く、とか)

八幡(一緒に食事をして、一緒に買い物して、一緒に掃除して、気付けば……)

八幡「……なあ」

由比ヶ浜「えっ? も、もしかしてまた失敗した!?」

八幡「いや、料理の言葉じゃねえよ。つうか普通に旨い。上達したな」

由比ヶ浜「ほ、ほんと!? よ、よかったあ……」

八幡「なあ、由比ヶ浜」

由比ヶ浜「えへへ、なあに?」

八幡「そろそろ自分の部屋に戻ったらどうだ?」

由比ヶ浜「えっ?」

八幡「えっ? って、なんで驚くんだよ。普通に考えろよ、おかしいだろ。なんで自分の部屋隣にあんのに俺の部屋で寝泊まりしてんだよ」

由比ヶ浜「だ、だって、こっちの方が便利だし……服とか、全部こっちに持って来ちゃったし……」

八幡(最近、やけにかわいらしい収納ケースが増えたと思ったが……まさか服を全部持ちこんでいたのかよ。通りで部屋に戻らない訳だ)

八幡「何の為の部屋だよ……」

由比ヶ浜「ちゃ、ちゃんと掃除はしてるよ!」

八幡「知ってるよ。つうか俺も手伝っただろ」

由比ヶ浜「うん、ありがとうね。ヒッキー」

八幡「……お、おう」

由比ヶ浜「えへへ」

八幡「……おい、勝手に会話終わらすな」

由比ヶ浜「えっ?」

八幡「だから、そろそろ自分の部屋に……」

由比ヶ浜「あの、さ、ヒッキー」

八幡「んだよ」

由比ヶ浜「め、迷惑、だった?」

八幡「は?」

由比ヶ浜「その……あたしが、いて……」

八幡「……別に、迷惑じゃない」

由比ヶ浜「ほ、ほんと?」

八幡「……ああ」

由比ヶ浜「そ、そっかあ、よかった……」

八幡(……この生活を始めて、自分が少し変わった気がする)

八幡「……別に、居ても構わないが、その、たまには自分の部屋に戻れ」

八幡(具体的に言えば、由比ヶ浜に甘くなった気がする)

由比ヶ浜「うん、考えとく」

八幡「お前なあ……」

由比ヶ浜「あっ、ヒッキー! そろそろ出ないと不味くない!?」

八幡「げっ、もうこんな時間かよ。由比ヶ浜、戸締まりは任せたぞ」

由比ヶ浜「うん。あたしは昼からだから、部屋の掃除しとくね」

八幡「ああ、頼む」

由比ヶ浜「あっ、そうだヒッキー。確かヒッキーの今日の授業終わるのって」

八幡「分かってるよ。帰りにスーパー寄って帰るつもりだ。特売には間に合う」

由比ヶ浜「えへへ、さすがヒッキー」

八幡「主夫希望者舐めんな。んじゃ、行ってくる」

由比ヶ浜「うん、行ってらっしゃい。ヒッキー」

バタン

―――
――

ガチャ

八幡「ただいま……って、まだ由比ヶ浜は学校か」

八幡「部屋の掃除は……終わってるな。洗濯物も干してある。あとで取り込んで畳むか」

八幡「とりあえず、買ってきた食材冷蔵庫に入れて、洗濯物畳んで、晩飯の用意して……その頃には由比ヶ浜も帰ってくるか」

八幡「あれ? 俺、本気で主夫目指せるんじゃね?」

八幡(まあ、今のところ由比ヶ浜が居るから成り立っる生活だがな。これを一人でやるとなると、少し手を抜く箇所ができるだろう)

八幡「……由比ヶ浜が居るから成り立っている、か」

八幡(あいつがいなくなったから、どうなるんだろうな)

八幡「……」

八幡「はあ、アホな事、考えてないでさっさと家事終わらすか」

八幡「ふう……とりあえず、終わったか」

八幡(思った以上に早く終わったな。家事に慣れてきたからか)

八幡「……あいつが帰るまで、時間はある、よな」

八幡「……」

八幡(今のうちに、溜まっているものを処理するか)

八幡(……由比ヶ浜と半同棲生活をしていて、これだけは本当に厄介だ)

八幡(最初はまだ、一緒に飯作ったりする程度だからよかった。だが、最近では寝る時まで一緒だ)

八幡(俺一人の時間が極端に減ったせいで、処理する暇すらない)

八幡(こんな生活を送っていて信じられないような話だが、俺とあいつは、別に付き合っている訳ではない)

八幡(世の男女なら、付き合っていてもおかしくない。それどころか、夫婦のような関係ですらある)

八幡(だが、俺たちは違う。普通の男女なら、互いに想いを告白し、デートをするような……それらの過程を全て飛ばして今の生活を送っている)

八幡(だから勿論、肉体関係を結んだ事もない)

八幡(……あいつの想いに、気付いていない訳ではない。それは、高校の時から、ずっと)

八幡(あの時と違って、今の俺は彼女の想いを信頼できる。彼女と一緒に暮らし、彼女にこんなにも近くで過ごした今、そう、断言できる)

八幡(……だが、一方でまだ、この関係が壊れるのではないかと警告する、高校の時から変わらない自分がいる)

八幡(一緒に酒を飲んで紅潮した彼女の顔を見た時)

八幡(風呂上がりの水滴が付いた身体、髪を解き普段とは違う髪形の彼女を見た時)

八幡(一緒に眠り、寝ぼけて俺の布団に入り込んで抱き付いていた時)

八幡(何度も、過ちを犯しかけた……)

八幡(彼女が、そんな形の関係を望んでいる訳がないのに……)

八幡(だからこうしてガス抜きをし、俺は必死に自分を押し殺して……)

由比ヶ浜「あ、あの、ヒッキー……」

八幡(……いかんな。由比ヶ浜の幻聴が聞こえたぞ。溜め込みすぎだろ。俺)

由比ヶ浜「えっ、えっと……ヒッキー、聞こえる?」

八幡「……えっ?」

由比ヶ浜「えっと、その……今朝ヒッキーに言われて久しぶりに自分の部屋戻って……その、ヒッキーの苦しそうな声聞こえたから、ベランダから……ほら、うちのアパート、古いから部屋通しの区切り、簡単に越えれるから……」

八幡「」

八幡「」

由比ヶ浜「そ、その、、ひ、ヒッキーも、男の子だもんね! だ、誰だってしてるよ! うん!」

八幡「」

由比ヶ浜「あ、あたしは全然気にしてないよ!? あたしだってヒッキーのいない時にするし! しかもあたしなんてヒッキーのパンツでしたりするし!」

八幡「えっ」

由比ヶ浜「えっ? あっ……」

八幡「……」

由比ヶ浜「……」

八幡「その……と、とりあえず、パンツ履いていい?」

由比ヶ浜「う、うん」

八幡「……」

由比ヶ浜「……」

八幡・由比ヶ浜「「あ、あの……」」

八幡「な、なんだ?」

由比ヶ浜「ひ、ヒッキーこそ……なに?」

八幡「……お前から言ってくれ」

由比ヶ浜「う、うん……分かった。あの、さ、ヒッキーは、その、さっきみたいな事、よくするの?」

八幡「なっ!? なんで言わなきゃなんねえんだよ!」

由比ヶ浜「だ、だって……」

八幡「ぐっ……た、たまにだ」

由比ヶ浜「そう、なんだ……」

由比ヶ浜「その……」

八幡「んだよ……まだあんのかよ」

由比ヶ浜「だ、誰を、想像して、シテるの?」

八幡「んな事、言えるか!」

由比ヶ浜「で、でもあたしだけ言っといてヒッキーだけ言わないなんてズルい!」

八幡「はあ!? どういう理屈だ、それ! あれはお前が勝手に自爆したんだろうが!」

由比ヶ浜「そ、それは……でもヒッキーだけ言わないのズルい!」

八幡「ズルくねえ!」

由比ヶ浜「ズルい!」

八幡「ズルくねえ!!」

由比ヶ浜「ズルい!!」

八幡「ああ、もう! 言ってやるよ! お前だよ!」

由比ヶ浜「!?」

八幡「これで俺もお前もおあいこだ。この話は終わりだ!」

由比ヶ浜「う、うん……ヒッキーが、あたしで……えへへ」

由比ヶ浜「……あれ?」

八幡「……んだよ」

由比ヶ浜「ヒッキー、あたしに話したい事、あったんじゃないの?」

八幡「もういい……これ以上言ってたらきりがねえ」

八幡(俺のパンツを使った云々に付いて聞く予定だったが……本当にきりがねえからな)

由比ヶ浜「そ、そっか……」

八幡「つうか……お前、なんで嬉しそうなわけ?」

由比ヶ浜「えっ?」

八幡「その、普段は嫌、だろ。自分がそういう想像されてる、って」

由比ヶ浜「えっと……ヒッキー以外の人なら嫌だけど……」

八幡「……誰でも嫌だろ」

由比ヶ浜「そんな事ないよ。大好きな人に想ってもらって、嫌なわけ、ないよ」

八幡「大好きな人ねえ……」

由比ヶ浜「うん」

八幡「……」

由比ヶ浜「……」

八幡「えっ」

由比ヶ浜「あっ」

由比ヶ浜「あっ、あわわっ!」

八幡「ば、ばっかお前、普通こんなタイミングで言うか!?」

由比ヶ浜「ば、バカじゃないし! だいたいヒッキーが聞いてきたからじゃん!」

八幡「バカだよ! だからってお前、よりによって今のタイミングで言うかよ!」

由比ヶ浜「だ、だからバカじゃないし!」

八幡「いいや、バカだ! ほんとに……人が散々言うか悩んでいた事をこんな下らない原因であっさり言いやがって……」

由比ヶ浜「もう!バカバカ言いすぎ……って、えっ? 言うか、悩んでたって」

八幡「……分かるだろ」

由比ヶ浜「ううん、分かんない」

八幡「嘘つけ」

由比ヶ浜「分かんないよ。だって、あたしはバカなんでしょ?」

八幡「ぐっ……」

由比ヶ浜「だから、ヒッキー……ちゃんと、分かるように言って?」

八幡「……分かったよ」

八幡「……由比ヶ浜結衣」

由比ヶ浜「なあに?」

八幡「俺も……お前が、その…す、好きだ」

由比ヶ浜「……っ!」

八幡「……これで、分かっただろ。これでも伝わらなかったお前は救いようのないバカだ」

由比ヶ浜「ちゃんと、伝わったよ……」ギュ

八幡「お、おい……」

由比ヶ浜「あたしもヒッキーが……比企谷八幡くんが、好きです」

八幡「……そ、そうか」

由比ヶ浜「ちゃんと、あたしのも伝わった?」

八幡「ああ……伝わった」ムギュ

由比ヶ浜「えへへ、やっと、やっと、伝わったね……ぐすっ」

八幡「な、なんで泣くんだよ……」

由比ヶ浜「だって、嬉しいんだもん……大好きな人と、想いが通じあったんだよ?」

八幡「そ、そう、か……その、悪かったな」

由比ヶ浜「……? どうして謝るの?」

八幡「本当は……お前の想いには気付いてた。ずっと、前から」

八幡「だけど、応えれなかった。自分に向けられる好意を、信用できなかった。確信が、持てなかった」

八幡「お前と、一緒に過ごして、やっと、信用できるようになった。だけど……踏み出せなかった」

由比ヶ浜「それでも、あたしは今こうして、ヒッキーに抱き締められてるから、いいよ」

八幡「きっかけは、まあ、あれだがな……」

由比ヶ浜「あはは、そだね……」

八幡「……」

由比ヶ浜「……」

八幡「そ、そろそろ離れないか?」

由比ヶ浜「も、もうちょっと」ギュ

八幡「だが……」

由比ヶ浜「だめ……?」

八幡「……仕方がないな」ギュ

由比ヶ浜「……ヒッキー。顔、真っ赤」

八幡「うっせ、お前もだろ」

由比ヶ浜「えへへ……」

八幡「…ふっ」

八幡「なあ、由比ヶ浜、そろそろ……」

由比ヶ浜「……結衣」

八幡「なに?」

由比ヶ浜「せっ、せっかく、その、こ、恋人同士になれたんだから……名前で呼んで」

八幡「……急に言われても」

由比ヶ浜「前にだって、呼んでくれた事、あったじゃん」

八幡「高二のお前の誕生日の時か? よく覚えてたな、んな事」

由比ヶ浜「だって、ヒッキーが始めて名前で呼んでくれた日だもん。それに、ヒッキーも覚えてるじゃん」

八幡「始めて、お前を名前を呼んだ日だからな……ゆ、結衣」

由比ヶ浜「えへへ」ギュ

八幡「お、おい、苦しい……」

由比ヶ浜「ご、ごめん……でも、嬉しくて」

八幡「名前くらいではしゃぎすぎだ……」

由比ヶ浜「むっ……名前くらいでって呼ばれたら嬉しいんだよ! は、……八幡」

八幡「!?」

由比ヶ浜「……ね?」

八幡「……た、確かにな。まさか戸塚以上の破壊力とは思わなかった」

八幡「なあ、そろそろ離れないか……?」

由比ヶ浜「え~なんで?」

八幡(さっき発散できなかったせいで、これ以上お前に抱き締められてると理性が飛ぶからなんて言える訳ないだろ)

八幡「そろそろ晩飯に……」

由比ヶ浜「あ、あれ? ね、ねえ、は、八幡」

八幡「な、なんだよ……」

由比ヶ浜「その、ここ……」ツンツン

八幡「お、おい!」

由比ヶ浜「……」

由比ヶ浜「その、……いいよ?」

八幡「いいって……えっ」

由比ヶ浜「……っ」

八幡(顔がさっき以上に赤い……心臓が音立てるのが分かる……)

八幡「あっ、その……」

由比ヶ浜「だ、だって、さっきの……途中、だったもんね」

八幡「そ、そう、だが……」

由比ヶ浜「あ、あたしは! あたしはヒッ、八幡と、一緒になりたい!」ギュ


八幡「いい、のか……?」

由比ヶ浜「うん……あっ、でも」

八幡「なんだ?」

由比ヶ浜「先に、キスしてから……ね?」

そう結衣が言い終えたと同時に俺は彼女の唇を奪っていた。
互いに唇を貪りあい、キスだけではもの足りず舌を絡ませ、唾液を味わった。

どれらい、彼女の唇を味わっただろうか。呼吸が苦しくなり、やっと唇を離した頃には手が彼女の豊満な双丘に向かい、かつてない感触を楽しんでいた。

胸の大きな女性はあまり胸では感じない。等という話を聞いた事がある。
だが、どうやらそれは個人差があるようだ。少なくとも、その豊満な胸を揉み、吸い、摘まむ度に声を押し殺して身体を震わす目の前の彼女には当てはまらないだろう。

行為に経験のない俺は、過去に見たネットや雑誌、動画を参考にしながら、彼女の胸を一通り遊びつつ、今度は片手を秘部に向かわした。

ぐちょぐちょに濡れた布越しに、一撫で

「んんっ、ああっ!」

すると、結衣は今まで以上に大きく身体を震わした。その反動で彼女の胸が上下に揺らいだ。
その様子に興奮を隠せないまま、さらに秘部を手探りで弄りまわした。

結衣が一般的な女性に比べて感じやすいのか。はたまた、なんでもそつなくこなしてきた俺は、性行為もそつなくこなす事ができたのか。

理由はどちらにせよ、目の前の彼女が自分の一つ一つの行動で感じる様は自慰とは比べ物にならないほどの快感を与えた。

「ねえ、ヒッキー……きてぇ」

先程まで呼んでいた名前呼びはどこへやら。呼び名がいつの間にか慣れ親しんだ渾名になっていた。

だが、この呼び名に俺は更に高揚した。

八幡、という名は親や、戸塚、材木座が呼ぶ。

ヒッキー、という渾名。これは、彼女しか呼ばない。

比企谷八幡を、唯一特別な呼び方をする、たった一人の女性

その彼女が喘ぎ、自分を求めている。これに興奮しない男なんているのか?

否。断じて否

興奮しない訳がない。

興奮を抑えきれないまま、俺は一物を結衣に押し込んだ。

「くぅっ……」

血が流れる。破瓜の傷みに結衣は食い縛るように息を漏らした。

あまりの様子に、大丈夫か? と、声をかけるが彼女は

「へいき、だよ」

と笑顔を作った。

平気は筈がない。なのにそんな時でも俺を想ってくれる。
そんな結衣を愛しく想い、俺はふたたび彼女の唇を奪った。

―――
――

翌日

八幡「……起きてるか?」

結衣「……うん」

八幡「今日って確か、講義朝からだったよな」

結衣「もう、間に合わないね」

八幡「遅刻だな」

結衣「そだね」

八幡「……したんだな、俺達」

結衣「……うん」

八幡「……痛むか?」

結衣「……少し。あと、なんか、変な感じ。まだ、その、入ってるみたい」

八幡「……そ、そうか」

結衣「えへへ、ヒッキー」ギュ

八幡「……せめて服着てからにしろよ。あと、呼び方戻ってるぞ」

結衣「あっ、ごめん」

八幡「別にいいけど……呼びやすい方で呼べよ」

結衣「えっと、じゃあヒッキー」

八幡「そっちの方が、やっぱ違和感ないな」

結衣「そうだね」

八幡「あの、さ」

結衣「なあに?」

八幡「俺たち、一応、恋人、になったんだよな」

結衣「い、一応ってなにさ!? 立派な恋人だよ!」

八幡「いや、そうじゃなくてだな……」

結衣「……?」

八幡「俺は、今まで友達も、ましてや恋人なんていなかったから、どうやって行けばいいのかよく分からない」

結衣「……うん」

八幡「だから、友達も、恋人も、そんなよく分からない曖昧な関係は信用できない」

結衣「えっ……」

結衣「そ、それって、あたしと、恋人になれない、ってこと?」

八幡「バカ、最後まで聞け。恋人も、友達も、信用できないそんな俺でも、唯一無償で信用できる関係がある」

結衣「……?」

八幡「……家族だよ」

結衣「!?」

八幡「その……俺は、お前をそんな曖昧な関係に置いておきたくはない、だから、その……」

結衣「えっと、それって、もしかして……」

八幡「……分かるだろ?」

結衣「……ううん、あたしバカだから分かんない。だから、分かるように言って?」


八幡「……ったく仕方がないな」

八幡「俺と家族になって下さい」

結衣「うん! よろこんで」

終わり

八巻表紙のがはまが可愛い過ぎて書いた

支援保守ありがとうございました

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