沙々「美国織莉子をギャフンと言わせたい委員会」 (67)




_人人人_
> 誰 得 <
 ̄Y^Y^YY ̄


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沙々「はい」

小巻「うん」

沙々「わたし、優木沙々。織莉子とキリカをアレしようとしたら負けました」

小巻「私、浅古小巻。美国がどうにも気に入らない」

小巻「美国」

沙々「織莉子を」

小巻「ギャフンと」

沙々「言わせたい」

小巻「委員会」

沙々「はい」

沙々「ピシガシ」

小巻「グッグッ」


沙々「ところで」

沙々「ところで」

小巻「何かしら」

沙々「あなたはなにゆえ織莉子を恨む」

小巻「恨むと言う程じゃあないけれど」

小巻「私の学校、派閥があるのよ」

小巻「良家と成金派閥があるのよ」

沙々「派閥争いセレブリティ」

小巻「成金組私。良家組美国」

小巻「両者対立。伝統の対立」

小巻「美国食えない。魔法少女であること隠しやがって」

小巻「食えない美国。詳細知りたきゃ続きはウェブで」

沙々「それであなたはお恨みなさる」

小巻「まぁまぁそうね。そんな感じね」


小巻「優木は」

小巻「優木は」

沙々「何でしょう」

小巻「美国との出会いは何ざんしょ」

沙々「見滝原、わたしテリトリー、超欲しい」

小巻「野望に満ちてる満ち溢れている」

沙々「織莉子金持ち気に入らない」

沙々「負け負けました。返り討ち」

沙々「悔しい恨めしやっつけたい」

沙々「もっと知りたきゃ続きはウェブで」

小巻「でもでも待ってでも待って」

小巻「金持ち気にくわない言うけれど、私も金持ちお金持ち」

沙々「でも好き」

小巻「ありがとう」

沙々「ピシガシ」

小巻「グッグッ」


沙々「織莉子に」

小巻「一泡吹かせたい」

沙々「ギャフンと言わせたい」

小巻「委員会第七回定例会議」

沙々「イエーイ」

小巻「…………」

沙々「…………」

沙々「毎回思うけどこのくだり絶対要りませんよね」

沙々「何回もわたし負けましたなんて言ってらんねえし」

小巻「そうね。中途半端に韻踏んだりして七回も進化を遂げたけど……もうやめましょう」

沙々「とか何とか言って結局七回もやっちゃったんですがね」

小巻「朝礼みたいなものよ」

沙々「朝礼で下手すりゃ死んでた過去振り返りたくない」


小巻「はい始ったわよ優木」

沙々「そうですね」

小巻「頑張ってやっていこうと思うんですけどね」

沙々「漫才みたいな言い方しないで下さい」

小巻「そうね」

沙々「どうしたんですか。そんなボケるキャラじゃないでしょうに」

小巻「映画観た後ってテンション上がるわよね」

沙々「わかりますけど」

小巻「面白かったわ」

沙々「ドキがムネムネスリル満点でした」

小巻「でもあなたがミステリー物が好きなんて意外だったわ」

沙々「そうですか?」


小巻「くだらないアニメ映画観る覚悟で来たのに」

沙々「バカにしてんのか」

小巻「冗談よ」

沙々「まぁ、ああいうのが好きというよりは……」

沙々「ああいうのから報復のアイデアが得られればなと思ったんですよ」

沙々「サスペンスミステリーは基本復讐劇ですから」

小巻「ふーん」

小巻「私はてっきり脚本家が淫行で捕まったから興味沸いたのかと」

沙々「確かにそうだけどあなたわたしを何だと思ってるんですか」

小巻「本当だったのね」

沙々「情報社会ですから」


小巻「本当はあの新作のホラーが気になってたのよ」

沙々「ホラー好きなんですか?」

小巻「アクションバカの監督が何をトチ狂ったのかホラーに挑戦だっつって気になってて」

沙々「着眼点がわたしと同じようなもんじゃないですか」

小巻「ブルーレイ出たらレンタルして観ましょうよ」

沙々「ホラーとか絶対に嫌です」

小巻「ヘタレめ」

沙々「一人で観てください」

小巻「一人じゃ嫌よ」

沙々「ヘタレめ」


沙々「さて、織莉子に報復するぞ会議ですけど」

小巻「その前に荷物取ってきなさい」

沙々「コインロッカーどこでしたっけ」

小巻「ああ行ってこう行くのよ」

沙々「はいはーい」

小巻「ロッカーを開けると中には血塗られた……」

沙々「やめなさいて」

沙々「あのシーン割と結構ビビったんですから」

小巻「ヘタレめ」


沙々「持ってきました」

小巻「うん」

沙々「では織莉子復讐会議」

小巻「私にとっちゃ報復も復讐もないんだけど」

沙々「前はどこでやりましたっけ」

小巻「あなたのお家よ」

小巻「忘れたの?」

沙々「まさか」

沙々「これはテストです」

小巻「ほう」

小巻「じゃあ聞くわよ」


小巻「その前」

沙々「遊園地」

小巻「その前」

沙々「水族館」

小巻「その前」

沙々「博物館」

小巻「その前」

沙々「動物園」

小巻「その前」

沙々「忘れた」

小巻「薄情者」


沙々「どこだったっけ?」

小巻「ウィンドウショッピング」

小巻「そこでペアルック買ったのよ」

沙々「ああそうでしたね」

小巻「今も着てるわ」

沙々「本当?スカート捲ってくださいよ」

小巻「ダメ」

沙々「何でですか」

小巻「駅前でスカートまくり上げるとかどんな変態」

沙々「やっぱり下着のペアルックはおかしかったんですよ」

小巻「見せ合うことなんてあんまりないものね」

沙々「その場のノリって罪深いですね」


小巻「今日の会場は?」

沙々「あなたのお家」

小巻「今日泊まるのよね?」

沙々「準備万端です」

小巻「早速行きましょう」

沙々「はい」



小巻「着いた」

沙々「やった」

小巻「いらっしゃいませ」

沙々「お邪魔します」


沙々「ご両親は?」

小巻「仕事でいないわ」

沙々「一人ですか」

小巻「しょっちゅうあることよ」

小巻「色々忙しいの」

沙々「そうなんですね」

沙々「ご挨拶したかった」

小巻「またの機会にしなさい」

小巻「お部屋にご案内」

沙々「わーい」


小巻「ウェルカムマイルーム」

沙々「流石お嬢様って感じ」

小巻「どういうお嬢様観持ってんのよあんた」

沙々「適当言いました」

沙々「おお、机が整理整頓されている」

小巻「あなたの部屋すごかったものね」

沙々「高級そうな小物」

小巻「もらい物よ」

沙々「ベッドにどーん」

小巻「こらこら」


沙々「くんかくんか」

小巻「埃が舞うでしょう」

沙々「あなたのにおいがしますね」

小巻「どんなにおいよ」

沙々「エロい」

小巻「どんなにおいよ」

沙々「ギッシギッシ」

小巻「揺らすな揺らすな」

沙々「フランス?イタリア?」

小巻「ニトリ」


小巻「さて、どうぞお座りになって」

沙々「はい」

小巻「待ってなさい」

小巻「飲み物用意してくるわ」

小巻「何がいい?」

沙々「ラインナップは」

小巻「緑茶、烏龍茶、紅茶、コーヒー、牛乳、オレンジジュース、ココア」

沙々「オレ……コーヒー」

小巻「子ども舌め」

沙々「今の一人称ですし。イメチェンですし。決してオレンジジュースと言いそうになった訳じゃないですよ。キャラがブレるのがわたしの持ち味ですから」

小巻「はいはい。オレンジジュースでいいのね」

沙々「お嬢と一緒がいいです」

小巻「じゃあコーヒーね」



沙々「…………」

沙々「ここはタンスを漁る流れですね」

沙々「どれどれ」

沙々「ほほう……意外に多種」

沙々「うわっ、これエロっ」

沙々「…………」

沙々「くんかくんか」

小巻「おいコラ」

沙々「ふんふふーん」

小巻「ヘタクソな鼻歌やめなさいよ」


小巻「私まだあなたに怒ったことないけれど」

小巻「これでも短気な方なの」

沙々「イメージ通り」

小巻「二重にキレるわよ」

沙々「ごめんなさい」

小巻「でもあなたに免じて」

沙々「女神様」

小巻「私も見せてもらったし」

沙々「おいコラ」

小巻「子どもっぽいの穿いてるわねプププ」

沙々「泣きますよ」

小巻「そうきたかごめんなさい。でも大人しく待ってやがりなさい」

沙々「はい」



小巻「お待たせ」

小巻「はい、コーヒー」

小巻「やっぱ紅茶何かよりもコーヒーよね」

小巻「決して美国が紅茶派だからコーヒー派になったわけじゃないのよ」

小巻「アメリカンコーヒーの由来は紅茶と言われているけどだから何って話なのよ」

沙々「聞いてませんけど」

沙々「…………」

小巻「はい、砂糖とミルク」

沙々「入れたら負けかなと思ってる」

小巻「無理しなくていいのよ」

沙々「はい」

沙々「ミルクはいいや」


沙々「そういうあなたはきっとブラックなんでしょうね」

小巻「え?何?」

沙々「もうミルク入れてやがる」

小巻「入れる入れないで人をはかるなんて人間が小さいわ」

沙々「えぇそうですね」

小巻「そして、はい、ケーキ」

沙々「わぉ」

沙々「ショートケーキですね」

小巻「ケーキと言えばコーヒー」

小巻「このケーキ、気に入ってくれるといいんだけど」

沙々「すみませんねぇ」


小巻「このお店のケーキ美味しいのよ」

沙々「常連ですか?」

小巻「よく買わされるのよ」

沙々「押し売りするんですかその店最低ですね」

小巻「おつかいよおつかい」

小巻「ご挨拶とか商談の手土産とかなんかそういうのに定評があるお店なのよ」

沙々「ケーキ屋の常連かぁ……憧れますねぇ」

小巻「ケーキ屋というか……」

沙々「ケーキなんてお祝い事とかでしか食べませんもん」

小巻「そうでもないんじゃないかしら」

小巻「一人暮らしの中学生も常連の一人よ」

沙々「一人暮らしの中学生?」


小巻「見滝原中学の制服着てたわねぇ」

沙々「呉キリカ?それがおつかいに来てるんだったらヤバイ」

小巻「私はその呉ってのは知らないから何とも言えないけど」

小巻「少なくとも金髪だから違うわ」

小巻「紹介するからあなたも行ってみなさい」

沙々「うーん」

小巻「むしろ見滝原土産に買って帰ったら?」

沙々「でも気が退けますなぁ」

沙々「それにあんまりお金使いたくない」

小巻「一言にケーキと言っても色々あるわ。高い物は高いけど高級店なわけじゃないんだから」

小巻「メープル味のマーマレードがオススメ」


沙々「まぁ考えておきます」

沙々「それはそうといただきます」

小巻「どうぞ」

沙々「ふむふむ」

沙々「美味しゅうございます」

沙々「舌触りが滑らかです」

小巻「お気に召したようで何よりだわ」

小巻「ショートケーキと言えば」

沙々「はい」

小巻「ショートケーキに乗ってるイチゴを食べるタイミングで性格がわかるとかなんとか」

沙々「聞いたことあります」


小巻「あなたはどう?」

沙々「そういうこと知っちゃったら意識しちゃってそれまでのタイミング変えちゃった」

小巻「変える前までは?」

沙々「忘れましたよ。頻繁に食べるもんじゃないですもん」

小巻「ふーん」

沙々「そういうあなたは?」

小巻「私も意識しちゃってね」

小巻「イチゴを無い物と考えて食べてってケーキから落ちたり食べるのに邪魔になったら」

沙々「哀れイチゴ」

小巻「そんなくだらないことで心理学者ぶりやがってって思うわ本当」

沙々「わかります」


沙々「あれですね」

沙々「目を閉じて自宅の窓を全部開ける想像をして途中で何かに会ったらそれが守護霊ですよみたいな話」

小巻「ああ、聞いたことあるわそれ」

沙々「あれ意識してわざと玄関開けたら浅古小巻が裸エプロンでおかえりなさいあなたって」

小巻「何想像してるのよ」

沙々「そういうのしない?」

小巻「わかるっちゃわかるわ……私もメイド服の優木とか」

沙々「メイド服はない」

小巻「なしか」

沙々「なしです。今やメイド服なんて『どや?萌えるやろ?』って言ってみたいでむかつくんですよ」

小巻「哀れメイド」



小巻「そっか……イチゴってメイドだったのね」

沙々「意味が分かりません」

小巻「で、結局イチゴってどのタイミングに食べるとどうなの?」

沙々「いえ、知りません」

小巻「そう。私も知らないのよね」

沙々「この話題振ったのあなたですよ」

沙々「そんな無責任な」

小巻「そうは言ってもねぇ」

沙々「まぁいいんですけどね」

沙々「……じゃあ、ですね。いいこと考えました」

小巻「ん?」


沙々「はい、あーん」

小巻「……何それ」

沙々「わたしのイチゴあげます」

沙々「だからあなたのイチゴ下さい」

小巻「……なるほど」

小巻「これでタイミングとかわけわからなくなるわけね」

小巻「心理学者発狂」

沙々「イチゴ下さいよイチゴ」

小巻「あ、そうだったわね」

小巻「あーん」

沙々「あーん」


沙々「うわっ、酸っぱいこのイチゴ」

小巻「クリームが甘いんだからイチゴまで甘くてどうするのって話よ」

小巻「口の中の甘ったるさをリセットするとかそういう役割があるとのことよ」

小巻「例えるならステーキについてるパセリ」

沙々「パセリは苦いです」

沙々「いやだとしても酸っぱくないですかこのイチゴ」

小巻「この酸っぱさがいいのよ」

沙々「そんなもんなんですかね」

小巻「そんなもんなのよ」

沙々「クロスあーんができてまぁまぁ満足です」

小巻「それはよかったわね」


沙々「ごちそうさま」

小巻「お粗末様」

沙々「コーヒーって美味しいものだったんですね」

沙々「どれも同じようなもんだと思ってました」

小巻「豆を挽いてドリップよ」

沙々「へー」

沙々「今度教えてください」

小巻「今教えてもいいけど」

沙々「いい加減例の会議しましょうよ」

小巻「そうね」

沙々「だから後で教えてください。どうせお泊まり時間たっぷり」

小巻「夜は長いわよ」

沙々「まだお日様高いですけどね」


小巻「でもその前に優木」

沙々「何でしょう」

小巻「こうして、よその街からあるいは街へ、わざわざ行ったり来てもらったり」

小巻「なんやかんやで七回目」

沙々「長電話で怒られるなんてリアルにあるとは思いませんでしたよ」

小巻「魔法少女同士で意気投合するものと思わなかったわ」

沙々「それはわたしも。よりによって見滝原の方と……狙ってたのに」

小巻「そうねやはり共通意識って大事ね」

沙々「ですね」

小巻「それで、思うのよ」

沙々「はい」

小巻「そろそろ丁寧語しなくてもいいんじゃないかなと」


沙々「?」

沙々「何でですかね」

小巻「距離を感じる」

沙々「でもですね」

沙々「これ癖みたいなものですよ」

沙々「それに一応先輩じゃないですか。色んな意味で」

小巻「一応って」

沙々「別に全部が全部丁寧語で話しませんしね」

小巻「腹黒のくせに」

沙々「否定はしない」

小巻「そこがかわいい」

沙々「ありがとう」


沙々「それを言うならわたしもですよ」

沙々「いつもわたしのこと優木優木って」

沙々「そろそろ名前で呼んでくれてもいいんじゃないかなと」

小巻「嫌なのかしら?」

沙々「苗字呼びは距離を感じます」

小巻「沙々」

沙々「はい」

小巻「恥ずいわ」

沙々「シャイめ。毒舌のくせに」

小巻「毒舌じゃないわ。陰口が嫌いなだけよ」

沙々「そこが好き」

小巻「ありがとう」


小巻「その前に優たん」

沙々「はい」

沙々「って優たんって何ですかたんって」

小巻「距離を縮めたわ」

沙々「雑な縮まり方ですな。だったらいっそ沙々にゃんとでも呼んでくださいよ」

沙々「で、何ですか?」

小巻「今晩何食べたい?」

沙々「もう夕飯の話?」

沙々「……そうですね」

沙々「お肉食べたいですお肉」

小巻「焼き肉?」

沙々「外食ですか?」


小巻「あら不満なの?」

沙々「どうせならあなたの手料理食べたい」

小巻「あなたの家行った時私は何食べた?」

沙々「デリバリーラーメン」

小巻「私ちょっと期待してたのよ」

沙々「ごめんなさいね。わたし料理に心得ないんで」

沙々「あなた料理できるって言ってたじゃないですか」

沙々「二回前のデート……じゃなくて委員会の時に」

小巻「あまり手の込んだ物は作れないけどまぁそれなりにはね」

小巻「お嬢様の嗜みよ」

沙々「成金め」

小巻「それ地雷」

沙々「ごめんなさい許してください何でもしますから」


小巻「ん?」

小巻「今何でもするって言ったわね」

沙々「ノリです」

小巻「一緒に料理作るわよ。叩き込んであげるから」

沙々「御教授ありがとうございます」

小巻「目が死んでるわよ」

沙々「面倒だなぁ……それで、メニューは?」

小巻「女子力査定の基本料理よ」

沙々「カレーですか」

小巻「いや肉じゃがで」

沙々「肉じゃがが基本ってもう古いんじゃないですかね」

小巻「そうなの?」


沙々「ビーフシチューが起源らしいですよ」

小巻「豆知識はいらない」

沙々「さやえんどうってグリーンピースの親戚なんですよ」

小巻「豆の知識もいらない」

小巻「あ、でもグリーフシー……じゃなかった。さやえんどうなんて買わなきゃないわよ」

沙々「さやえんどうとグリーフシードってどういう言い間違いですか」

小巻「グリーンピースと間違えたのよ」

小巻「でもグリーンピース入れてる肉じゃがもあるわよね。グリーンピースならあるんだけれど」

沙々「さやえんどうは必須です。ないなら買いましょう」

小巻「渋い主義してるのね」

小巻「まあいいわ。両親から友達とお泊まりってんでこれで、お・も・て・な・しなさいと一万円を」

沙々「成金め」

小巻「地雷だっつってんでしょうが」


小巻「お買い物に行くわよ」

沙々「了解しっましたー」

小巻「何を買おうかしら」

沙々「アイス買ってください」

小巻「自分で買いなさいよ」

沙々「ここでケチ!と言って謂れない侮辱をする程わたしは落ちぶれていない」

小巻「自分で言うのね」

沙々「しかし敢えて言う。ケチ!」

小巻「ブチ殺すぞ」

沙々「嘘ですよ」

小巻「えっと、さやえんどうと牛肉と白滝ね。肉じゃが以外に食べたい物は?」

沙々「え、豚肉じゃないんですか」

小巻「ウチは牛肉なの」


沙々「高級やわぁ。ウチは肉じゃがといえば豚肉です」

小巻「豚肉じゃがか……食べたことないわね」

小巻「じゃあ豚肉でやってみましょう」

沙々「先輩先輩」

小巻「はい優木さん」

沙々「わたし牛肉がいいです」

沙々「是非浅古家の味を食べさせてください」

小巻「言い方は何か良いわね」

沙々「牛肉を肉じゃがなんかに使うなんて贅沢です」

小巻「現金ね」

小巻「肉じゃがなんかって絹さやグリンピにこだわりあるくせにディスってんじゃないわよ」

沙々「グリーンピースをグリンピって言う人初めて見た」


小巻「オカズが肉じゃがだけは寂しいわね」

小巻「他に何か食べたい物は?」

沙々「お寿司」

小巻「あまり調子に乗るんじゃないわよ」

小巻「ねぇあなた本当に料理できないわけ?」

沙々「調理実習でサケのムニエルを作ったくらいです」

小巻「じゃあサケも買いましょう」

沙々「えー」

小巻「あなたの味が食べれるのね」

沙々「ぷれっしゃ~」

小巻「さて、後は買い物してる途中で適当に買いましょう。お菓子とか飲み物とかね」

沙々「アイス」

小巻「わかったわかった」


小巻「でもその前にちょっと休んでからにしましょう」

小巻「ちょっと眠くなっちゃった」

沙々「コーヒー飲んだのに?」

小巻「あなたとのお泊まりが楽しみで眠れなかったの」

沙々「小学生の遠足ですか」

小巻「嘘だけど」

沙々「嘘かよ今ちょっとムネキュンしたわ」

小巻「あなたと思う存分ピロートークするために宿題を徹夜で終わらせたのよ」

沙々「多分あなたが言ってるピロートーク、意味に齟齬が発生してると思うんですよ」

小巻「思う存分ワルプルギスの夜をした後にするお喋り」

沙々「お嬢様が急に下ネタをブチ込んで来たことに戸惑いを隠せない」


小巻「ふぁ……ああ、ごめんなさい。冗談はさておいて本当に眠いわ」

沙々「眠いなら寝てくださいよ。三十分くらいしたら起こしますから」

小巻「折角来てくれたのにごめんね」

沙々「いえいえ。お疲れなら仕方ありません」

沙々「何か面白そうな本を貸してくださいよ。わたしそれ読んでますから」

小巻「ねぇ優木」

沙々「はい」

小巻「一緒に仮眠しましょうよ」

沙々「わたしは別に眠くない」

小巻「じゃあ膝枕しなさいよ」

沙々「何でですか」


小巻「私の目は覚めて優木は眠いってのはつまらないじゃない」

沙々「眠けりゃ寝させてくださいよ」

小巻「私が寝るとしてあなたは暇よね」

沙々「それはまぁ確かにそうなりますね」

小巻「そういうことよ」

沙々「だから眠くないんですってば」

小巻「目を閉じてジッとしてれば勝手に寝るわよ」

沙々「そうは言っても」

小巻「別に寝なくても目を閉じてるだけでも眠気はとれるのよ」

沙々「ああさいですか」

小巻「私の横、空いてるわよ」

沙々「そこまで言うなら一緒に寝させてもらいますけど」


沙々「でもコーヒー飲んだ後に寝るのは気持ち悪いです」

小巻「別にいいじゃない」

沙々「起きたらきっと臭いですしネバネバしてるかも」

沙々「ああ、きっと臭いでしょう」

小巻「女子としてそれはマズイわね」

小巻「口濯ぎましょうか」

沙々「はい」

沙々「洗面台は」

小巻「こっちよ」

沙々「コップ貸してください間接キスするんで」

小巻「手でやりなさい」



沙々「くちゅくちゅ」

沙々「ぷえ」

小巻「何か可愛いわね」

沙々「ぶりっ子は得意なんで」

小巻「はー」

沙々「わっ、何すんですか。人の顔面に息吐きかけないでくださいよ」

小巻「私の口臭はどうかしら」

沙々「エロい」

小巻「どんなにおいよ」

沙々「臭くはないです」


小巻「さて、寝ましょう」

沙々「ケータイ目覚まし。三十分後でいいですかね」

小巻「多く見て一時間」

沙々「まぁいいでしょう。了解、ピポパ」

小巻「音出る?」

沙々「音量最大」

小巻「ケータイが目覚ましか……」

小巻「メルマガ来たら最悪ね」

沙々「ほう、メルマガ限定ですか。まるで友達からメールが来ることないかのような言い方」

小巻「来るの?」

沙々「いや来ませんよ」

小巻「哀れなり」

沙々「ちげぇし機内モードだし。まぁどっち道来ませんけど」


小巻「よっこいしょっと」

沙々「隣失礼します」

小巻「一緒のベッドで寝るなんてあなたの家に行ってぶりね」

沙々「そうですね。まぁ今夜もそうさせてもらいますけど」

小巻「嫌だと言ったら?」

沙々「洗脳してでも腕枕してもらいます」

小巻「怖い」

小巻「スカートが皺になるわね。捲ってあげる」

沙々「ちょ、やめ、自分で脱ぎますよ」

小巻「……ははーん」

小巻「さては期待してたのね。こんなエロいパンツ穿いてきて」

沙々「いやあんたとペアルック」


沙々「そういうあんたも脱げやコラ」

小巻「きゃあ」

沙々「くふふ、エロい下着して……誘ってるんですか?」

小巻「何すんのよ変態」

沙々「そっくりそのまま返すわボケェ」

小巻「あなた脚太いわね」

沙々「そういう心にずっしり来るのやめましょうよ」

沙々「一緒にお風呂入った時も言ってくれましたよね」

沙々「あれからエレベーターとエスカレーターは使わないようにしてたんですがどうです前と比べて」

小巻「あんま変わらないわね」

沙々「ちっ」

小巻「舌打ちやめなさい」



沙々「このこの」

小巻「こういうセリフって相手をポカポカ叩きながら言うものだと思うのよね」

小巻「くすぐったいから太股撫でないでちょうだい」

沙々「羨ましいんだよクソが程良い肉つきしやがって」

小巻「細いとは言ってくれないのね」

沙々「エロい」

小巻「さっきから人をエロいエロい言ってんじゃないわよ」

沙々「文句ありますか」

小巻「あるわよ」

小巻「撫で返してやるわ」

沙々「くっ、くすぐったい」



沙々「ひゃっ!?」

沙々「お、お尻触るなっ!」

小巻「エロい」

沙々「こ、この……っ!」

小巻「どうする?」

小巻「目には目を、歯には歯をという言葉がある」

小巻「あなたは私のセクハラにどう仕返しするのかしら?」

沙々「…………」

沙々「……ばか」

小巻「……このヘタレめ」


沙々「…………」

小巻「ん、どうかした?萎びちゃって」

沙々「……いやですね、何か、不思議な感覚だなって」

小巻「あらどうしたの?」

沙々「あなたとこうして下半身触り合ってるのが不思議に思って」

小巻「何よその言い方」

小巻「で、どうして?」

沙々「……この際ぶっちゃけますけどね」

沙々「わたし、本当はあなたも嫌いだったんです」

沙々「わたしからしてみれば白女に通うのに成金も良家もないし、みんなお高くとまったいけ好かない金持ちと思ってたから」

小巻「…………」

沙々「あなたに近づいたのは本当は……」

沙々「あなたを洗脳して、手駒として織莉子を倒そうと考えていたからなんですよ」


沙々「だけどあなた、わたしのことを可愛がってくれたじゃないですか」

小巻「そうね……あなた、甘え上手だものね」

沙々「ごますってただけですよ」

沙々「わたしは元々人を信じないタチの人間で、騙すつもりであなたに近づいたんですよ」

沙々「だけど、なかなか洗脳する気になれなくて。えぇ、七回も一緒に遊べばね」

沙々「……最低ですよね。わたし」

小巻「あなたが食えない子だってのは最初から気付いてたわよ」

小巻「私はただそういう人間への対処をただしていただけ」

小巻「私この方こそ目的さえ果たせばあなたなんてポイしようと思ってたもの」

沙々「……やっぱり、似たもの同士ですね。わたし達」

小巻「そうでもないわ」

沙々「くふふっ」


沙々「……でも、何ですね」

小巻「何かしら」

沙々「こうしてわたし達織莉子をギャフンと言わせる委員会」

小巻「うん」

沙々「結成して長いこと経ったわけですよ」

小巻「そうね」

沙々「そしてついにお互いに牽制する関係からこうして寄り添ってお昼寝する程の仲になりましたね」

小巻「ええ」

沙々「織莉子を倒す作戦の一つも考えずに」

沙々「遊んでばっかりでしたね」

小巻「今更の話ね」


沙々「そこで、わたし、思ったんですよ」

小巻「何を?」

沙々「敵と同じ事をすれば、何かわかるものがあると思うんです」

小巻「なるほど。相手の立場になって考える」

沙々「そうです」

沙々「それにはあなたの協力が必要なんですよ」

小巻「というと?」

沙々「えっと……」

小巻「…………」

沙々「…………」



沙々「わたしは……ヘタレじゃないんですよ

沙々「じゃれて冗談めいてないと、あなたに甘えられないわけじゃない」

沙々「わたしは弱くなんかないんです」

小巻「……私がイタチ、あなたはネコ。それは変わらないわ」

沙々「くふふ……言いましたね?」

沙々「じゃあ、絶対に逃げないでくださいよ?」

小巻「ええ逃げないわよ」

沙々「…………」

小巻「…………」

沙々「キスしてください」

小巻「望むところよ」



_人人人人人人人人人人人人人人_
>  二人は幸せなキスをして終了  <
 ̄Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^ ̄



_人人人_
> 誰 得 <
 ̄Y^Y^YY ̄

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