海未「穂乃果とお泊り」 (53)


--1年目--


海未「穂乃果、おはようございます」

穂乃果「おはよー海未ちゃん、わざわざ朝早くから挨拶に来てくれるなんて……そんなに穂乃果に会いたかった?」

海未「サークルの活動は朝早いんですよ」

穂乃果「ふーん……サークルねぇ、サークル……」

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海未「穂乃果」

穂乃果「何?」

海未「サークルって何かわかってませんよね?」

穂乃果「」ギクッ

海未「やっぱり」

穂乃果「わ、わかってるよ海未ちゃん! バカにしてもらっちゃ困るよ!」エッヘン

海未「では、サークルとは?」

穂乃果「えーと、それはそのー……」

穂乃果「輪っか?」

海未「行ってきます穂乃果」

穂乃果「待って海未ちゃん! 穂乃果を時代の荒波に置き去りにしないでぇ!」

海未「何ですか時代の荒波って……」ヤレヤレ

海未「いいですか? サークルというのはですね」

穂乃果「うんうん」ササッ

海未「……メモまで出して熱心ですね」

穂乃果「注文用紙の裏なんだけどね」

海未「ダメじゃないですか! メモなんて取らなくてもいいですから!」

穂乃果「はーい」

海未「サークルというのは言ってしまえば部活動とほとんど変わりません」

穂乃果「……えっ」

穂乃果(もっとすごいのを期待してたのに……)

海未「何ですかその『もっとすごいものを期待してたのに』という顔は」ジトッ

穂乃果「そ、そんなこと……」

海未「じゃあ行ってきますね」

穂乃果「うん、行ってらっしゃい!」

穂乃果「暇だなぁ……」

穂乃果「2時間も誰も来てないよー」

穂乃果「そうだ、ダンスしてみようかな」

穂乃果「ふんふふーん♪」タッタッ

穂乃果「ふんふー……」ゴスッ

穂乃果「痛い!」

穂乃果「やっぱりここ狭いよぉ……足だけにしよう」

穂乃果「ふんふんふーん♪」

穂乃果(だいぶ覚えてるなぁ)

穂乃果「みんなは学校行ってるのかぁ……」

穂乃果「……いいなぁ」

穂乃果「よし、仕事仕事!」

海未(今日の授業、ほとんど雑談に近かった……)バシュン

海未(あ……矢がだいぶずれてる。集中しなくては)

海未(そういえば穂乃果は何をしてるんでしょうか)バシュン

海未(大学に行かなくてもよかったんでしょうか)バシュン

海未(やはり高校と違って色々困ってるんじゃないでしょうか)バシュン

海未「はぁ……」バシュン



海未「あれ、的の中心が矢で埋まってる……」

穂乃果「ふー……」

海未「穂乃果」

穂乃果「海未ちゃん! おかえりー」

海未「ただいま、今何してたんですか?」

穂乃果「どうすれば立ったまま寝られるか研究してたんだよ、立ってて疲れたから」

海未(怠慢な……)

海未「椅子を出してくればいいじゃないですか」

穂乃果「椅子に座るとね、ショーケースに私の体が隠れて……」

海未「?」

穂乃果「外から見ると生首みたいになるから……」

海未「あぁ……」

穂乃果「そうそう、今日は夕方に集中してお客さんが来たからびっくりしたんだよ」

海未「大変そうですね」

穂乃果「まあまあだよ」

穂乃果「あ、そうだ海未ちゃん」

海未「何ですか?」

穂乃果「明日は学校ある?」

海未「いいえ、ありませんよ?」

穂乃果「明後日は?」

海未「午前中だけですね」

穂乃果「……よし」

海未「聞こえてますよ。何がいいんですか」

穂乃果「え? 聞こえちゃった? なら仕方ないなぁ」

海未(……初めからこれが狙いか)

穂乃果「雪穂が修学旅行で家を空けるんだよ」

海未「それで?」

穂乃果「海未ちゃんはすこーしお暇ができてるみたいだから」

海未「いえ、別に暇というわけでは……」

穂乃果「両親もどこかへ行ってしまい、穂乃果はひとりぼっちなの!」

穂乃果「だから家に泊まってってくれないかなー、なんて」

海未(なるほど……)

海未「……わかりました」

穂乃果「ホント!?」

海未「はい、最近はうちの親も家を空けがちですし、私も1人は寂しいですから」

穂乃果「やった! 海未ちゃんとお泊り!」ワーイ

海未「そ、そんなにはしゃがないでくださいよ」

海未(もしかして穂乃果は……)

穂乃果「いらっしゃいませこんばんはー」

海未「お、お邪魔します」

穂乃果「そういえばお泊りなんて久しぶりじゃない?」

海未「確かにそうですね」

穂乃果「いやー久しぶりに友達とゆっくりお話しできるよ」

海未「!」

海未(……もしかして穂乃果はμ'sのみんなと疎遠になってしまったことを寂しがって……)

穂乃果「あ、お風呂沸いてるよー」

穂乃果「……じゃなかった! 希ちゃんに教えてもらってたんだった」

海未「?」

穂乃果「海未ちゃん!」

海未「は、はい」

穂乃果「ご飯にする? お風呂にする? それとも……」

海未(まさかこの展開は……!)



穂乃果「そ・う・じ?」



海未「」

穂乃果「ごめんね海未ちゃん……」

海未「まあ穂乃果らしいと言えばらしいです」

海未(考えすぎ? 穂乃果は別に気にしていないかもしれない……なんてそんなわけないか)

海未(何だか元気がないように見えるのは気のせいではないはず)

穂乃果「えへへー、海未ちゃんが来るから部屋はきちんと掃除しようと思ったんだけど……」

海未「それで逆に散らかっちゃったんですね」

穂乃果「寝るとこないのは困るもんね」

海未「これはいらないんですか?」

穂乃果「それは……いる!」

海未「このバネは何に使うのかわかりませんがまぁいいでしょう」

穂乃果「えー? このながーいバネがあれば糸電話した時にすごいんだよ!」

海未「?」

穂乃果「あとで教えてあげる!」

海未「わかりました」

穂乃果「ありがとう海未ちゃん! おかげで部屋がきれいになったよ」

海未「いいですよ」

海未(この部屋、あんまり使われてない……棚の置物も高校3年生の卒業の時に遊びに来た以来まったく変わっている様子はないし……)

穂乃果「じゃあご飯にしよっか」

海未「はい」

海未「!」

海未(……これは)

穂乃果「海未ちゃん? どうしたの?」

海未「い、いえ。何でもありません」



海未(μ'sのCDだけがあんなに綺麗に……)

海未(ほこりをかぶってないところを見ると、穂乃果やっぱり……)


海未「穂乃果、料理上手になりましたね」

穂乃果「えへへー、そう? 褒めてもおまんじゅうしか出ないよ?」フフフ

海未「遠慮しておきます」

海未(穂乃果は高校の時もっと食べていたはず……)

海未「……」

穂乃果「どうしたの海未ちゃん、難しい顔して」

海未「え? そんな顔してましたか?」

穂乃果「してたよー」

穂乃果「じゃあお風呂入ろう!」

海未「何で私の手を引っ張るんですか」

穂乃果「一緒に入るからだよ?」

海未「!?」

穂乃果「あ、嫌だった?」

海未「滅相もない」

穂乃果「あー、雪穂は最近一緒にいる時間が減っちゃったからね」

海未「そうなんですか」

海未(やっぱり穂乃果は寂しがってる……)

穂乃果「海未ちゃんちょっとおっきくなった?」

海未「胸ですか!?」

穂乃果「ううん、身長だよ?」

海未「くっ……」

海未(それにしても……穂乃果細くなってる)

海未「穂乃果」

穂乃果「なーに?」

海未「ちゃんとご飯食べてますか?」

穂乃果「うん、食べてるよ」

海未「そう……ですか」

海未「寝ましょうか」

穂乃果「そうだね」

海未「電気消しますよ」

穂乃果「はーい」

海未「このベッドに寝るのも久しぶりですね」

穂乃果「海未ちゃん、ぎゅーっ」

海未「ほ、穂乃果? 急にどうしたんですか?」

穂乃果「気にしない気にしない」

海未「気になりますって……」

穂乃果「……うん」

海未「いや、別に離れなくても」

穂乃果「何だか久しぶりでうれしかったんだ、えへへ」

海未(!)

海未「うれしかった?」

穂乃果「うん、うれしいよ」

海未「じゃあ何で……」


海未「何で泣いてるんですか」

穂乃果「!」

穂乃果「こ、これはうれしすぎて、つい……」

海未「悩みがあるなら私に打ち明けてくれませんか?」

穂乃果「悩みなんて……」

海未「わからないとでも思ってるんですか? 私は伊達に何年も穂乃果の幼馴染やってませんよ」

穂乃果「……そうだよね、幼馴染だもんね」

海未「そうです」

穂乃果「じゃあ、ちょっとだけ、いい?」

海未「はい」

穂乃果「私もね、ちょっとは大学とか行ってみたかったんだ」

穂乃果「最初は海未ちゃんと同じ大学に行けるってはしゃいでた。うれしかったんだ」

海未(やっぱり)

穂乃果「でもね、お母さんが倒れちゃって……穂乃果のするべきことは大学に行くことじゃないって思った」

海未「それで受験せずに家を継いだんですよね」

穂乃果「そう。お母さんはちゃんと元気になって、一時的なものだってわかってたけど……」

海未「怖かった?」

穂乃果「うん、怖かった。だから元々受験なんてする気がなかった、家を継ぎたい、って言ったの」

海未「気付いてましたよ」

穂乃果「えへへ、さすがは海未ちゃん。ばっちり隠せたと思ってたんだけど」

海未「だから私は止めなかったんです」

海未(止めたら穂乃果が困るだろうと思って)

穂乃果「そうだったんだ……ありがとう海未ちゃん」

穂乃果「それでね……それで」

穂乃果「…………ううん、それだけ」

海未「はぁ……いい加減にしてください。隠し事はなしですよ」

穂乃果「ダメだよ、これ以上言ったら海未ちゃんは絶対穂乃果のことわがままだって嫌いになるよ」

海未「今更そんなこと言われても困ります。現にわがままをずっと聞いてここまで来てるんですから」

穂乃果「いいの? 本当に?」

海未「はい、もちろんです」

穂乃果「……じゃあ言うね」

  「どうしてみんな遠くへ行っちゃうのかな」

  「ことりちゃんも絵里ちゃんも、しばらくすれば真姫ちゃんや凛ちゃん、花陽ちゃんやにこちゃんだって……」

  「ここにいるって言ってくれた希ちゃんでさえどこかに行っちゃうかもしれないんだよ?」

  「穂乃果はそれが怖いの、すごく怖い」

  「そしたらね、こう考えるようになったの」

  「お店を継がずに大学に行ってたらもっと時間が増えてみんなに会いに行けたのかもしれない、って」

  「穂乃果はそんな風に考えた自分が嫌だった」

  「自分のことすっごく嫌いになった」

  「本当に、穂乃果は嫌な子になってた」

  「でもね……その思いが日に日に増えていっちゃって、後悔ばっかりになっちゃった」

  「どうしたらいいのかな。みんなを繋ぎとめておくにはどうしたらいいのかな、って」

  「ねぇ海未ちゃん、どうしたら……どうしたらいいの?」

  「このままみんな、μ'sだったこと、スクールアイドルだったこと忘れちゃうんじゃないかな?」

  「そんなの……穂乃果は嫌だよ」

「ごめんね、海未ちゃん……こんなこと聞かせて」

「はぁ……こんなにたくさん言いたいことがあったんですね」

「ごめん」

「ちょっと目をつぶっていてください」

「え? あ、うん」

「……」

「……海未ちゃん」

「バカっ! 何でもっと早く言わなかったんですか!」

「わっ、えっ、海未ちゃん? 何で穂乃果のこと抱きしめてるの?」

「親友だからです!」

「う、海未ちゃん……」

「私の小さな胸でよければいつでも貸します、だから……だから無理しないでください」

「海未ちゃん……ごめんね……ごめん、ね」

「あなたは何でも1人で抱え込みすぎなんです。たまには私を当てにしてくれてもいいじゃないですか」

「……っ、……ごめん」

「穂乃果が引き止められないなら私も手伝いますから、それに……」

「それに……?」

「私たちみんな、どこへ行ってもちゃんと帰ってきますから」

「……っ!」

「今日のことはみんなには内緒にしておいてあげます。思い切り泣いてください」

「ひっく……うみちゃ……ん、ぐすっ」

「私たちは幼馴染で親友で、同じ仲間なんだから、ね?」

穂乃果「あはは、海未ちゃんのパジャマぐしゃぐしゃだ」

海未「構いませんよ、それに穂乃果の目も真っ赤じゃないですか」

穂乃果「それは言わないでよぉ」

海未「じゃあ言いません」

穂乃果「何だか楽になった! ありがとう海未ちゃん」

海未「それはよかったです」

穂乃果「海未ちゃん」

海未「何ですか?」

穂乃果「海未ちゃんあったかいね」

海未「穂乃果もあったかいですよ」

穂乃果「えへへ……このんままぎゅっとしててくれる?」

海未「はい」

--2年目--


海未「確かに困ったら頼ってくれとは言いましたけど……」

海未「何で学校に行く前に私が穂むらの掃除をしてるんですか!」

穂乃果「いやー、海未ちゃんが近くにいるといつもより気分が落ち着くんだー」

海未「それはうれしいんですが……あ、そろそろ行く時間ですね」

穂乃果「本当だ、よーし今日も頑張るぞ!」

海未「じゃあ行ってきますね」

穂乃果「うん! 行ってらっしゃい!」

海未「今日もちゃんと帰ってきますからね、きちんと掃除しておくんですよ?」

穂乃果「はーい!」

海未「もうすぐみんなで集まる日がありますから、風邪をひかないように気を付けてくださいね?」

穂乃果「もちろんだよ! あ、海未ちゃんちょっと待って!」

海未「え? 何ですか?」

穂乃果「これ耳にあてて!」

海未「糸電話?」

穂乃果「バネ電話だよバネ電話」

海未「そういえばそんなのありましたね……はい、あてましたよ」

穂乃果「あー……ゴホン、いくよー?」

海未「?」

穂乃果「「海未ちゃんだーいすき!」」

海未「うわっ!? エ、エコー?」

穂乃果「「へへーすごいでしょー」」

海未「そんなことができるんですか……」

穂乃果「前にテレビでやってんだ」

海未「よく覚えてましたね」

穂乃果「あ、海身ちゃん! 早く行かないと遅刻しちゃうよ!」

海未「ちょっと、それは穂乃果がこれをやらせたから……」

穂乃果「はいはい、気を付けてね!」

海未「……もう」

穂乃果「穂乃果は海未ちゃんの帰りを待ってるよ!」

海未「わかってますよ」

穂乃果「何だかこのやり取り、夫婦みたいだね」

海未「ふ、夫婦!?」

穂乃果「海未ちゃん顔真っ赤ー」

海未「からかわないでください!」

--------------------------------

「準備できましたか?」

「うん! できたよ!」

「それでは行きましょうか」

「オッケー! 最初はどこだっけ?」

「にこと真姫のところです」

「……ねぇ海未ちゃん、どうしてこんな大きな車の免許取ったの?」

「これだけ大きければμ'sのみんなを乗せていけるでしょう?」

「海未ちゃん……」

「それに移動が楽ですからね。ほら、ちゃんとシートベルト締めてください」

「うん!」

「穂乃果、前に言ってたあれは……」

「そうそう、みんなの前ではいつも通りにしようね」

「やっぱり恥ずかしいですもんね」

「うん……それにあの日のことは2人だけの秘密だし」

「わかってますよ……もうすぐ着きますね」

「海未ちゃん」

「何ですか?」

「大好き!」

「ふふ、知ってますよ。私も穂乃果が大好きです」




          おわり


毎回楽しませてもらってるよ
次回も楽しみにしてる

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ラブラブほのうみとシリアスほのうみを書きたかったんだ
ルームシェアじゃないけど一番同棲してるっぽかったのはなんでだろ


大きな車の免許ってパスとか?

>>47
いつも読んでくれてうれしい

>>50
ミニバンとかかな
にこは真姫の膝の上(適当)

今夜もスレ立てると思うのでその時はここに次スレリンク貼ります

次スレ 海未「穂乃果とテレパシー」
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