あかり「筋斗雲さーん!」(158)

-通学路-

あかり「う~遅刻遅刻!」タッタッタ

あかり「あかりお寝坊しちゃったよぉ…」タッタッタ

あかり「朝のHRが8時40分で、ここから学校まで徒歩だといつも20分かかって、今8時33分だから…」

あかり「うぅ…このペースじゃ間に合わないよ~!」タッタッタッ

ツルッ

あかり「あたっ」ドテッ

あかり「痛ったたた…うぅ、今日はもうあかり遅刻確定だよぉ…」グス

あかり「はぁ、あかりも空を自由に飛べたらいいのにな~」

あかり「タ○コプターもいいけど、もっとばびゅーん!って速くて便利な乗り物とか!」

あかり「お~い!きんとうんよ~い!!」

バシュウウウウウウ…

あかり「…なんて出てくる訳ないよね、あはは…」

パオンシュバッ!!

あかり「」

あかり「…ほほほほ本当に出たぁ~!?」

あかり「…」

あかり(なんとなく、乗れって言われてる気がする…)

あかり「えーっと…きん斗雲さん?乗せてもらっていいですか?」

きん斗雲「」ムクッ

あかり(あ、今先っぽがちょっと動いた!これって相槌を打ってるって事だよね?)

あかり「それじゃ失礼するね…」

あかり「よいしょっと…うわぁ、ふかふかしてて気持ちいい~♪」

ピキピキピキ…

あかり「え?勝手に空に上がっていくよぉ、どうしよう!?」

あかり「と、とりあえず学校まで至急お願い!」

バシュウウウウ…

あかり「わぁ、速い!すっごく速いよきん斗雲さん!」

あかり「それに街があんなに小さく見える!」

あかり「あれは…校舎だ!まだ1分も経ってないのにもう目の前だよぉ」

―――――――――
-ベランダ-

あかり「ふぅ…とうちゃく!」シュタッ

あかり「おかげで遅刻しないで済んだよ、ありがとうきん斗雲さん」

あかり「またね、バイバ~イ」

ブワァァァァ…

あかり「本当はお空をもっと満喫したかったけど、今は学校のほうが大事だもんね」

あかり「さて、教室入ろうっと」

あかり「おはよー♪」ガラッ

ちなつ「あかりちゃんおはよう…ってベランダから?」

ちなつ「いつの間に学校に来てたんだ」

櫻子「あはは、あかりちゃんステルス能力に磨きがかかってきたんじゃないのー?」

あかり「んもぉ!だから今来たんだってば!」プンスカ

あかり「あかり、今日は空を飛んできたんだよぉ」

櫻子「」

ちなつ(あかりちゃん…とうとう頭まで天使に…)

向日葵「それより赤座さん、どうして靴を履いたままなんですの?」

あかり「…ふぇぇ!上履きに履き替えてこなきゃ!」ダダッ

櫻子「急がないと先生来ちゃうよー?」

そして何事もなく時間が過ぎていき…

-夕方、ごらく部-

結衣「あ、もうこんな時間だ」

京子「よし、今日の活動はここまでにするか!」

あかり「もう帰るの?だったらあかりが皆を家まで送ってってあげるよぉ」

結衣「家まで送るって…」

ちなつ「あかりちゃんいつから車通学の大学生になったつもりなの?」

京子「それともまさかまだ雲に乗ってきたって言うんじゃないよな?」

あかり「もぉ!まだ誰も信じてくれないのなら今呼んであげるよ」

あかり「きん斗雲さーん!」

バシュウウウウウウ…パオンシュバッ!!

結衣「」

京子「」

ちなつ「」

ちなつ(今朝あかりちゃんがベランダから来たのってまさかこれに乗って…?)

京子「す…すごいなぁ~あかり!乗ってみていいか?」

あかり「いいよー、丁度4人分位スペースあるから乗って乗って」

京子「へへっ!どれどれ、よいしょ…おろ?」スルッ

ドテッ

京子「いっててて…おい、すり抜けたぞ!こりゃどうなってんだ?」

あかり「えぇっ?おっかしいな…」ヒョイ

あかり「ほら、ちゃんと乗れるよ?」

京子「むむむ…雲の癖に私を拒むとは生意気な!」

結衣「…これは昔、おばあちゃんから聞いた話なんだけど」

ちなつ「なんですか結衣先輩?」

結衣「きん斗雲と言って人を乗せて空を飛ぶ雲が出てくる話が中国の小説から始まって、漫画にも出てるのは知ってるよね?」

結衣「実は七森町にも似たような古い言い伝えがあって、かつて空を飛ぶ雲が存在したらしい」

あかり「へぇ~」

結衣「小さい頃の話だから殆ど覚えてないんだけど、1つだけ覚えてるのは…」

結衣「心が完全に綺麗な人じゃないと乗れないらしい」

結衣「あかりは心が澄んでるからこの雲に受け入れられたんだな」

あかり「え、えへへ…///」

京子「わ、私の心は汚れてるっていうのか…」ゲンナリ

ちなつ「まぁ京子先輩の普段の行いを見れば納得はいきますね」

京子「あぅ…」

ちなつ「私も乗ってみます。ほら、そこどいてください」

ちなつ「よいしょっと…」

ズボッ

ちなつ「そ、そんなぁ~…」

あかり(ちなつちゃんは…)

京子(まぁ…)

結衣(自明の理かな…)

ズボッ

結衣「あはは…私も乗れないみたいだな」

ちなつ「私はともかく結衣先輩を否定するなんてこの雲、掃除機で吸い取ってやりますぅ~!」ウガー

結衣「ちなつちゃん落ち着いて!」

あかり「それにしてもさっき結衣ちゃんが言ってた言い伝えって気になるなぁ」

ちなつ「学校に誰か詳しい人いないのかな?」

京子「とりま西垣ちゃんに聞いてみるのはどうよ!?」

結衣「西垣先生は専門外な気がするけど…一応そうするか。確かまだ生徒会室にいる筈だったよな」

-生徒会室-

綾乃「…なななななっ」

千歳「美味しそうな雲やね~♪」

櫻子「あかりちゃんが空を飛んでたのって…」

向日葵「本当だったんですのね…」

西垣「ふぅーむ…」

あかり「西垣先生、この雲について何か分かりましたか?」

西垣「間違いない、これは百合雲(ゆりぐも)だな!」

京子「百合雲って…このきん斗雲のこと?」

西垣「そうとも言う」キリッ

ちなつ(そうとも言うんだ…)

西垣「七森町の伝承によると、数百年前、土着神なもりんが蓄えていた雲をちぎって…」

西垣「村の民に少しずつ分け与えていた」

西垣「当時は百合雲はよく見かけるもので、乗り手も珍しくなかったそうだ」

西垣「だが、やがて文明の発達と戦乱と共に人の心に少なからず悪の心が芽生えて…」

西垣「いつしか乗り手がいなくなり、百合雲自体も姿を消した」

西垣「というのが顛末だが…」

西垣「ここに実物と乗り手が現れた以上、伝承が真実だったと言わざるをえないな」

西垣「まぁこれはなもりん様からの贈り物という事だ。大切に使うんだぞ、赤座」

あかり「神様からの…贈り物…?」

京子「あかりぃ…私はお前という友を持ったことを誇りに思うぞぉ~!」ウルウル

ちなつ「うんうん、私達が乗れないのは悔しいけど…」

結衣「ナモクエでいう選ばれし勇者並に輝いてるぞ、あかり」

あかり「え、えへへ…なもりん様、ありがとうございますっ!」

櫻子「むぅー…あかりちゃんばっかりずるい!私も乗りたい!」

向日葵「櫻子には適性が無いんじゃありませんの?」

櫻子「私だって乗れるもん!次期福会長候補だから……」

スポッ

櫻子「あだっ」ドテッ

向日葵「ほら、言わんこっちゃない」

櫻子「んじゃーお前乗って見せろよ!」

向日葵「わ、私だって櫻子よりは品行を慎んでますし、次期副会長を目指している身ですから……」

ズボッ

向日葵「そんな…」ドテン

櫻子「やーい、尻餅ついておっぱい揺らしてやんのw」

向日葵「」イラッ

スルッ

綾乃「わ、私が乗れないなんて有り得ナイジェリアよ~;」

――――

スポッ

千歳「無理やったわ~」

ゴシュ

結衣「顔面からいった!?あかり、ティッシュ!」

――――――――

向日葵「結局、乗れるのは赤座さんだけ…」

櫻子「ちぇっ、つまんないのー」

結衣「それに乗れば自宅から学校までひとっ飛びか…」

京子「あかりー、私達を置いて1人だけ雲通学するつもりかー?」ジトー

あかり「そっそんな事しないよ!」

あかり「はぁ…それに1人だけで乗ってもつまらないよぉ…」

西垣「はっはっは!まだ乗り手が赤座だけとは決まってないぞ」

西垣「なぁ松本?」

りせ「…」

綾乃「会長!」

西垣「松本、お前も乗ってみたいか?」

りせ「…」コクコク

西垣「そうかそうか、なら遠慮する事はない。当たって砕けろだ!」

りせ「…」

スタスタ

一同「ゴクリ…」

りせ「…」スッ

ポフッ…

りせ「……!」

一同「乗れた……!」

綾乃「おめでとうございます会長!」

西垣「良かったな松本、やはり私の目に狂いはなかったか…うんうん」

りせ「……」ボソッ

西垣「ふむ、それはいいな」

西垣「赤座、悪いが松本と並んでみてくれないか?」

あかり「あっ、はい!」アッカリアッカリ

あかり「えひひ、会長さん隣失礼しますね?」チョコン

りせ「……///」

パァァ――!

櫻子「うおっまぶしっ」

結衣「2人がシンクロして天使オーラが光として具現化してる…!?」

ちなつ「うぅ、ダメっ…直視したらチーナ浄化されそう~!」

りせ「…」グイグイ

あかり「はい?」

りせ「……///」ボソボソボソボソ

あかり「え、えっと…(何て言ってるんだろう?あかりには会長さんの声が聞こえないよぉ…)」

西垣「そうか、考えてみればこれも千載一遇のチャンス…いや、運命とでもいうのかな」

西垣「松本はこう言っている。今夜、あかりちゃんと2人きりで空を飛びたい」

西垣「あかりちゃんと夜空に燦然と輝く幾千の星を眺めたい…だそうだ」

あかり「それはつまり…?」

りせ「……!」ビシッ

西垣「朴念仁なあかりちゃんには単刀直入に言う、今夜私とデートして欲しい…と言っている」

あかり「えぇ~!?」

ちなつ(夜空を飛んで2人きりでデートかぁ…結衣先輩と楽しみたかったなぁ…)

綾乃(歳納京子と空中デート…)

向日葵(櫻子と…)

櫻子(向日葵と…)

京子(ちなつちゃんと…)

結衣(京子と…)

千歳(えぇなぁ~…このカップリングもマイジャスティスやで~)タラー

一同「「「「「「「…」」」」」」」ジーッ

あかり(あぅ…みんなの視線が怖いよぉ…)チラッ

りせ「……」ウルウル

あかり(うぅ…会長さん今にも泣きそうな目をしてるよぉ…)

あかり(周りの視線もあかり達に一点集中してるし、これって既に断るに断れない雰囲気だよね…?)

あかり(というかここで断ったら、あかり完全に悪い子だよぉ!
    そうなったらきん斗雲さんも乗せてくれなくなるかもだし…)

あかり(デートとかそういうのあかりにはまだよく分からないけど、会長さんの思いに応えてあげなきゃ…よし!)

あかり「会長さん…!」ギュッ

りせ「……?」

あかり「あかりでよろしければ、よろしくお願いします!」キリッ

りせ「……!」パァァ

一同「「「「「「「おぉーっ!!」」」」」」」

西垣「はっはっは、なかなかお似合いだぞ2人とも!」

西垣「おっと、赤座にはこいつを渡しておこう。受け取れ」ヒョイ

あかり「これは…補聴器ですか?」

西垣「可聴周波数帯域の増幅装置だ、そいつを耳に装着すれば私でなくても松本の声が聞ける」

あかり「ありがとうございます、早速試してみようかな…」セコセコ

あかり「……」ドキドキ

りせ『……聞こえる?』

あかり「!」

あかり「は、はい!会長さんの声がよく聞こえます!」

りせ『そう、それは良かったわ』

りせ『あかりちゃん』

りせ『実を言うと私はあかりちゃんの事が前から気になっていたの』

りせ『ファンタジーみたいな話だけど、こんな形であかりちゃんを引きあわせてくれた神様に感謝したいわ』

りせ『19:00にあかりちゃんの家に迎えに行くから…それでいい?』

あかり「いいですよぉ、夜遅くなるといけないからあまり長くはいられないですけど…」

西垣「水を差すようで悪いんだがそいつはバッテリーが余り長くもたないんだ、できる限り使用は控えてくれ」

りせ『あかりちゃんの手を握った時…それを伝えたい事を話す合図にするから…それ以外は外しておいて?』

あかり「そうですか…もっとお喋りしたかったなぁ~…」キュポッ

キーンコーンカーン

西垣「ほらほら、下校時刻だぞ。生徒は散った散った」

ちなつ「あかりちゃん帰ろ~?」

あかり「あ、うん!それじゃ会長さん、また後でっ!」

りせ「……」バイバイ

西垣「松本、少しいいか?」

りせ「……?」トテトテ

西垣「実はな、あの雲は…」ゴニョゴニョ

りせ「……!」プンスカ

西垣「そう気を悪くしないでくれ、つまりまぁ…後はお前の頑張り次第という事だ。健闘を祈るぞ」

りせ「………!」ガッツポーズ

-夜、赤座家-

あかり「確かここら辺に…」ゴソゴソ

あかり「あった!」

あかり「うん、これなら会長さんに合うよね!あかりにはもう着れないけど…」

あかり「それにしても…またパンツが無くなってるよぉ…」グスン

ピンポーン

あかり「はーい!」

トントントントン…ガチャッ

りせ「……」

あかり「こんばんは、会長さん」ペコッ

りせ「……」ペコリ

あかり「今夜は生憎の曇り空になっちゃいましたけど、それでも行くんですよね?」

りせ「……」コクコク

あかり「じゃあ早速行きましょう!っと…そうだ、会長さんこれを」

りせ「……?」

あかり「まだ10月とはいえ、お空はきっと寒いから…厚着で暖かくしてった方がいいかなぁって」

あかり「あかりのお古のコートですけど、よかったら着てみてくださいっ」

りせ「………………」ゴソゴソゴソ

りせ「………?」クルッ

あかり「わぁ、お似合いですね!」

あかり「よかったぁー、会長さんのサイズに合ってて」

あかり「あかりにはもう小さくて着れないから…」

りせ「……」ムスッ

あかり「ああっ!あのあの、ごごごごめんなさい!そ、その嫌味で言ったつもりじゃないんですっ!」アタフタ

りせ「………」プフッ

りせ「…」クスクス

すいません、ワイの瞼が限界なんでそろそろ寝ます…
10時頃に再開したいと思うので、それまで保守頼みます
ここまでの進捗状況は60%で、予告をしておくとあかねさんが帰宅する所から始まります

すまぬ…寝坊した

>>61から再開します

すまぬ…寝坊した
>>61から再開します

ネットの調子悪いから投下遅れるかもですし

す…筋斗雲

あかり「…あーっ!もしかして今の反応見る為にわざと怒ったふりしたんですかっ!?」

あかり「もぅ!笑うなんてひどいよぉ!」プンプン

りせ「…」クスクス

あかり「…会長さんも可愛いですよね」

りせ「……!」ピタッ

あかり「お世辞じゃないですよ?小柄な所も含めて、綺麗な黒髪とか、静かでどこか儚げな所とか…」

あかり「見かけによらず大人っぽい雰囲気を醸し出してる所とか!」

あかり「でも、今はそのコートを着てるおかげでなんだか妹が出来た気分です」

りせ「……///」ドギマギ

あかり「恥ずかしかったですか?ならさっきのでおあいこですね、へへ」

ガチャッ


あかね「ただいまー」

あかり「お姉ちゃんお帰りー」

あかね「あら、あかりこんな時間にお出掛け?」

あかり「うん、ちょっとね~」

あかね「こんな時期にコートなんて必要かしら?それに…そちらの子は?」

あかり「あっ、3年生で生徒会長をやってる松本りせ先輩だよ!これから会長さんとお出掛けするんだ~」

りせ「……」ペコリ

あかね「そう、私はあかりの姉の赤座あかねです。宜しくねりせちゃん…」

あかね「!!」

あかね(私のお団子の百合センサーが強く反応している…!?)

あかね(ガチゆり率88%…あかりに対する好感度ランクA+…)

あかね(この子は間違いなく私の妹を狙っている…!
    こんな夜遅くにあかりを連れ出すなんて何かよからぬ事を考えてるに違いないわ…
なんとかしてこの子を阻止しなければ…)ゴゴゴゴゴ…

りせ「……」ビクッ

あかり「どうしたのお姉ちゃん?怖い顔しちゃやだよ…会長さんも怖がってるよ」

あかね「あらごめんなさい、それより2人でお出掛けするんでしょ?」

あかね「お姉ちゃんもついていっていいかしら?」

あかり&りせ「!」

でも心の綺麗さだけじゃない設定みたいだから乗れるんじゃね

あかり「…えっと…その…お姉ちゃん」

あかね「なぁに?」

あかり「今から何が起こっても驚かない?」

あかね「驚かないわよ、お姉ちゃんはあかりの事を一番理解してるつもりよ」

あかり「そっか、じゃあお姉ちゃんにも見せてあげるね……きん斗雲さーん!」

バシュウウウウウウ…パオンシュバッ!!

あかね「…これは百合雲!?」

あかね「聞いたことがあるわ」

あかね「なもりん神が天界よりこの地に分け与えたし物で、心清らかな者のみ乗ることが許される雲…」

あかね「あかりは百合雲の乗り手だったのね…」

あかり「うん、でも百合雲…きん斗雲さんとは今朝出会ったばかりなんだよぉ」

あかり「あのね、お姉ちゃんにもこの雲に乗って欲しいんだっ!本当は2人でデートのつもりだったけど…」

あかね「デート…」ビキビキ

あかね(うろたえちゃ駄目っ…ドイツ軍人はうろたえないわッ!そうよ…私もこの雲に乗ればいいだけじゃない!)

あかね(同じ血を分けたあかりが乗れるなら私だって乗れる筈っ…!)ソー

スカッ…

あかね(そう…)

あかね(そんな訳にはいかないわよね…)

あかね「…」

あかり「お姉ちゃん…」

あかね「……うっ…うっうっ…ごめんね…ごめんねあかりぃ…」ポロポロ

りせ「……!」オロオロ

あかり「お、お姉ちゃん泣かないでっ!何で謝るの!?」

あかね「お姉ちゃんはね…この雲に拒まれて当然なの…
    それは私が悪い子だから、あかりに内緒でひどいことしてきたから…!」

あかり「ひどい…こと?」

あかね「あかり、パンツがよく無くなるでしょ…?」

あかね「犯人はお姉ちゃんなの…」

あかり「え…?」

あかね「パンツだけじゃないわ…お古の体操着やスクール水着…
    その他諸々が自然と消えるのも私のせいなの!自分の部屋であかりの匂いを堪能する為に…
    姉妹モノのエロ同人とあかりグッズにまみれた自分の部屋で!!」

あかり「どうして…そんなことするの…?」

あかね「あかりが好きだから…あかりが愛しかったからよ…!あかりさえいれば恋人も結婚相手もいらない位に…!
    私は臆病だから…実の妹に対して好意も伝えられなくて、欲求不満の捌け口としてあんな事してたの…!
    私…お姉ちゃん失格よね…こんな変態で臆病でクズな私なんか今すぐこの世から

あかり「もうやめて!!」

あかり「…!」ビクッ

あかね「パンツだけじゃないわ…お古の体操着やスクール水着…
    その他諸々が自然と消えるのも私のせいなの!自分の部屋であかりの匂いを堪能する為に…
    姉妹モノのエロ同人とあかりグッズにまみれた自分の部屋で!!」

あかり「どうして…そんなことするの…?」

あかね「あかりが好きだから…あかりが愛しかったからよ…!あかりさえいれば恋人も結婚相手もいらない位に…!
    私は臆病だから…実の妹に対して好意も伝えられなくて、欲求不満の捌け口としてあんな事してたの…!
    私…お姉ちゃん失格よね…こんな変態で臆病でクズな私なんか今すぐこの世から

あかり「もうやめて!!」

あかね「…!」ビクッ

あかり「もうやめてよぉ…確かにお姉ちゃんのした事は許せないし、お姉ちゃんの望む好意に応えることはできないけど…」

あかり「それでも…それでも、あかりの知っている優しいお姉ちゃんに変わりないもん!」

あかね「あかりぃ…」

あかり「世界でたった1人のお姉ちゃんだもん…そんな簡単に嫌いになれる訳ないよ…」

あかね「あかりぃ…あかりぃ…!」ポロポロ

あかり「お姉ちゃん…大好きだよ…」ナデナデ

りせ「……」グスッ

――――――――
――――
――

あかね「松本りせちゃん…だったわよね?」

りせ「……」ペコッ

あかね「あかりはね、昔はやんちゃで今は大人しくて目立たない子だけれど…」

あかり「目立たない子!?」ガーン

あかね「私よりもずっと気丈で周囲の気を配れる心優しい子なの。それは今も昔も変わらない」

あかね「百合雲に受け入れられた貴女もきっと心優しい子なのね…ならもう、私から言う事は何もないわ」

あかね「りせちゃん、不束な妹だけれど大事にしてあげてね?」

りせ「……///」オロオロ…プシュー

あかり「お、お姉ちゃんっ!会長さんが顔真っ赤だよぉ!」アタフタ

あかね「あらあら、あかりだって満更でもなさそうじゃない?」

あかり「あぅ…///」

あかね「それより2人とも空を旅するんでしょ?早くしないと夜が過ぎちゃうわよ?」


あかり「そうだった!そろそろいきましょうか会長さん?」

りせ「
……」コクコク

――――――――

ピキピキピキピキ…

あかね「あかりがいつ帰ってきてもいいようにお風呂沸かしておくからね。あまり遅くならないうちに帰るのよー?」

あかり「うん、いつも寝る時間までには帰るよぉ!いってきまーす!」

バシュウウウウ…

あかね「さて…と」

あかね「私の中のしがらみも断ち切れたことだし」

あかね「部屋の同人誌の処分しなくちゃ♪」

-七森町上空-

ピキピキピキ…

あかり「わぁ…夜の景色ってこんなに綺麗なんだぁ!」

あかり「あ、あかりの家があんなに小さく見える!」

あかり「あれが京子ちゃんの家で、あれがちなつちゃんの家で、あれが結衣ちゃんのマンションで…」クルッ

りせ「
><」

あかり(硬直してる!?)

あかり「会長さん高い所苦手なんですか?大丈夫ですよ、ほら…ゆっくり目を開けてみて」

りせ「……」パチッ

りせ「……!!」

ダキッ

あかり「わわっ、そんなに抱きつかなくても絶対落ちないですからぁ!…ね?」

りせ「……」ホッ

あかり(ふぅ、会長さん温かかったな…思わずあかりの胸まで熱くなる所だったよぉ…)

-富山市上空-

あかり「やっぱり地元よりも富山は都会だから夜景も凄いなぁ~」

りせ「……」スッ

あかり「左…?わぁ、環水公園だ!天門橋が青色にライトアップされてて綺麗ー」

りせ「……」キラキラ

あかり「会長さんも雲さんの上に慣れてきたんですねっ、今とっても嬉しそうな顔してます!」

りせ「……!」ハッ

りせ「…」プイッ

あかり(あれぇ~ソッポ向かれちゃったよぉ!?あかり何かいけないこと言ったかなぁ…?)

あかり(それとも、会長さんも京子ちゃんのいうツンデレさんなのかな…?)

あかり「富山もいいけどもっと夜景の綺麗な所ってないかなぁ」

あかり「会長さん、オススメのスポットってありますか?」

りせ「……」ビシッ

あかり「あっちは立山連峰…南の方角ですね?」

あかり「きん斗雲さん、会長さんが指差す方向にお願い!」

ブワシュゥゥゥゥ…

あかり(南というより南東かな?一体どこに向かうんだろ?)

なに、これ富山の話なの?
富山県民だけど知らなかったわ

-横浜市上空-

あかり「みなとみらい、ランドマークタワー、クイーンズスクエア、大観覧車」

あかり「中華街、赤レンガ倉庫、山下公園、ベイブリッジ!」

あかり「すっごーい!たった10分でこんな遠くまでこれたよぉ!」

りせ「……」ツンツン

あかり「あ、下に降りてみますか?いいですねっ!」

――――――――

あかり「ふぅ…夜風が身に沁みて気持ちいい♪」

あかり「って綺麗な夜景をバックに言ってみたかったよぉ」

あかり「でも、そんなおじさん臭い台詞はあかりには似合わないよね…」

りせ「……」サワサワ

あかり(潮風に揺られてながら髪を掻きあげてる会長さんも可愛いなぁ…)

りせ「……」クルッ

りせ「…………」スッ

あかり「会長さん、目を瞑ってどうしたんですか?」

りせ「…………」

あかり(あれ?会長さんの口の動き…なんかデジャヴが…)

あかり(そう、確かあの時ちなつちゃんもあんな感じを顔をしながらあかりに…)

あかり(んん!?ということはキスを求められてる!?)

りせ「…………」

あかり(会長さんの顔が迫ってきた…向こうは本気だよぉ…)

あかり(もう後には引けないよぉ…えっと、まずはこうやって背中を抱きしめて…)

ギュッ…

あかり(うぅ…身長差のせいであかりから行かないとダメな体勢に…)

りせ「…………」スクッ

あかり(あ、背伸びしてくれた!もうこれは行くしかないよね…!)

あかり「……」ソー…

りせ「……」ソー…

ポツッ…ポツッ…パラパラパラパラ…

ザァァァァァァァ…

あかり「わぁぁぁ、急に雨が降ってきたよぉ!」

あかり「会長さん、こっちこっち!」

りせ「……」タッタッタ

ザァァァァァァァ…

あかり「近くに屋根があったら助かったけど、この雨いつになったら止むんだろう…」

あかり「そういえば今朝、全国的に雨って言ってたっけ…」

あかり「うぅ、きん斗雲さんで帰ったとしても10分も雨に当たるとズブ濡れで風邪引いちゃうよぉ」

りせ「……」スッ…

りせ「……!」ビシィ

あかり「天上天下唯我独尊!?」

あかり「じゃなかった…空の上…そっか、雨雲の上まで行けばいいんですね!」

りせ「……」コクコク

あかり「それなら雨にうたれるのは数十秒で済みますし…そうしましょう!」

あかり「きん斗雲さん!雨雲の上を突き抜けて!」

ブワシュゥゥゥ…

――――――――

りせ「……!」ググッ

あかり「会長さんもう少しです!雨が冷たいですけど、もう少し…もう少し上まで行けば…」

サラサラ…

あかり「ほら、雨が雪に変わった!」

あかり「10月に雪を見るなんて初めてですよねぇ」

あかり「北海道でもまだごく一部しか降ってないだろうなぁ~」

あかり「もっと上にいってみましょうよ!雲を上を突き抜ければ…」

スポッ…

あかり「ね、雲一つない綺麗な星空でしょ?」

りせ「……」

あかり「アンドロメダ座にペガサス座に…真上にあるのがノーザンクロスで…」

あかり「あの一番大きい星がデネブで…」

りせ「……」ブルブル

あかり「そういえば高度が高いから寒いですね…」ブルブル

あかり「少し身を寄せ合って暖かくしませんか?」

りせ「……///」ダキッ

あかり「やっぱり会長さんは温かいですねっ」ニコッ

りせ「……」スッ

あかり「何か気になる星座ありましたか?…あ!」

あかり「満月だぁ」

あかり「そっか、今日は30日だから満月の日だったっけ…?」

あかり「今日は全国的に雨だから、日本中で満月を拝んでいるのは私達だけって事になりますねっ!」ニコッ

りせ「……」ニッコリ

あかり「それに雲一つ無い上に星もよく見えるから…より一層月が綺麗ですね」

りせ「!!」ドキッ

…ギュッ

あかり(あ…左手を握ってきた!話したい事があるんだね)

あかり(えーと確かアレは……あった!)キュポッ

りせ『もう一度』

あかり「もう一度?」

りせ『さっきの台詞…もう一度お願い』

あかり「えっと…月が綺麗ですね?」

りせ『そう…それ』

あかり「…あっ!」

りせ『あかりちゃんに国語の問題を出すわ』

りせ『文豪・夏目漱石はある英文を「月が綺麗ですね」と訳しました』

りせ『その元となった英文は?』

あかり「…アイラブユー」

りせ『正解。じゃあ次はすごく簡単な英語の問題…I love youを和訳せよ』

私はあなたを愛しています…

もっとくだけた言い方にしてみて

愛してる…

私もあかりちゃんも愛しているわ

あ、あかりも会長さんのこと…

りせちゃんでいい

り、りせちゃん…愛してるよ…

あかりちゃん…さっきの続きしましょう?

うん…





…チュッ

-西垣邸地下ラボ-

西垣「…密かに松本に取り付けた発信機が丁度雨雲の上を指し示している」

西垣「今頃は2人は幸せなキスでも交わしてるんだろうか」ゴクゴク

西垣「…苦っ」

西垣「ふぅ、伝承に基いて仕様を再現してみたが…いやぁ、我ながら会心の出来だな」

西垣「松本の声ではこのマシンは呼びかけに応じにくいからな、赤座に託したのが正解だったよ」

西垣「そういえばあの伝承には続きがあったな」

西垣「百合雲に乗って夜空を旅した少女2人は永遠の愛で結ばれる…か」

西垣「まったくリア充どもめ…」

西垣「爆発しろ(いい意味で)」グッ

おわり

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