智葉「私のために毎朝味噌汁を作ってくれっ!」玄「嫌です」 (101)

インターハイ個人戦当日 試合開始前 会場のとある通路


純(……)スタスタ

純(いつの間にかこんな時間か…)

純(くそっ、朝飯ギリギリまで食ってたら俺だけ置いて行かれちまった…)

純(透華達はもう観戦室に着いてるだろうから、オレも急がないと試合が始まっちまう)スタスタ


ダヴァン(このカップラーメンなかなかおいしいデス)スタスタ ズルズル

純(……)スタスタ

ドン ビチャ

ダヴァン「おっと、失礼しまシタ」スタスタ

純「…」

純「あのー」

ダヴァン「…ハイ?」

純「いや、ラーメンの汁が服にかかったんだけど」

ダヴァン「ハ、ハイ…」

純「お前臨海の副将じゃねえか…なんで歩きながらラーメン食ってるんだよ」

ダヴァン「?日本のラーメンがおいしいからデス」ズルズル

純「そうじゃなくて、ていうか人と話してる時に食ってんじゃねーよ!」

ダヴァン「何を怒ってるんでスカ?」ズルズル

純「お前とぶつかった時にラーメンの汁がかかったって言ってるだろ!」

ダヴァン「そっちが急に角から出てくるから悪いんデス」ズルズル

純「オレからしたらお前が急に出てきたんだよ!それと食うのをやめろっ!」

ダヴァン「ワタシニホンゴワカリマセン」

純「うそつけ今オレと会話してただろ!外国人だからってそれで乗り切れると思うなよ!」



智葉「…」ジー ←壁に隠れて見てる

智葉(メグのやつ一体なにやってるんだ…)

智葉(なんかもめてるみたいだけど…)


ダヴァン「私聞いたことがありマス、あなたクレーターというやつデス」

純「それを言うならクレーマーだろ!ってオレはクレーマーじゃねえよ!」


智葉(…違うっ!そうじゃない!そうじゃないだろメグ!)

智葉(カッコいい系の女が二人で何をいちゃいちゃしているんだっ!!)

智葉(百合カップルというものは、片方がカッコいい系ならもう片方はかわいい系だろ!!)

智葉(メグには大人しくて気弱な、かわいいタイプの女の子が合うと思うな!私はそういうのが見たいな!)

智葉(…まあ一応録画はしておくけども)●REC


ダヴァン「なんでスカ?服を弁償したらいいんでスカ?」

純「ちげーよ!人の服汚したんだからなにか言うことがあるだろ!」

誠子「……あのーどうかしたんですか?」


智葉(あーあー、またボーイッシュなやつが来ちゃったよ)

誠子「なにかもめてるみたいですけど…」

ダヴァン「ラーメンで何味が好きかという話をしてまシタ」

純「そうそうオレはとんこつが一番で、次点で味噌…ってそんな話はしてねえ!!」

ダヴァン「私はシンプルに醤油デス」

純「知らねえよ!」

誠子「なんか楽しそうですね……はぁ、それにしても宮永先輩どこ行ったんだろ」

ダヴァン「チャンピオンならさっきあっちで見ましタヨ」

誠子「えっ!ほんとですか!」

ダヴァン「お菓子食べながら歩いてまシタ」

誠子「ありがとうございます!いってきます!」タッタッタ


ダヴァン「フフ、もうすぐ個人戦が始まるというのにチャンピオンは迷子にでもなってたんでしょウカ」

ダヴァン「きっと神様が、麻雀が強い人にはその分欠点を与えてるんでスネ」

ダヴァン「さてさて、私もそろそろ行くとしまスカ」

純「行かせねえよ」

ダヴァン「なんでスカ?」

純「いや、謝れよ」

ダヴァン「…」

純「ラーメンの汁かけてすみませんでしたって謝れよ」

ダヴァン「…す、すみませんでシタ」

純「謝る時はちゃんと人の目を見るもんだぜ」

ダヴァン「謝ったんだからもういいでショウ、これで失礼しマス」スタスタ

純「おい!ちょっと待てよ!」ガシッ

ダヴァン「!」ポロッ

ベチャ


智葉(あっ…ラーメン落とした…)

純「あ、あの」

ダヴァン「……ひっぐえ゙っぐ」ポロポロ

純「!?」ギョ

ダヴァン「そ、そんなに睨まれたら…怖くて目が見れないんでスヨ…」ポロポロ

純「お、おい。何も泣かなくても…」オロオロ

ダヴァン「だいたいリューモンブチはみんな怖いんデス…」ポロポロ

純(あっ、オレのこと覚えてたのか)

ダヴァン「対局中に突如豹変したり、子供みたいな姿なのに麻雀めちゃくちゃ強かったり」

ダヴァン「あきらかに布が足りてない服を着ていたり、髪が長くてホラー映画みたいにテレビから出てきそうだったり」

純(智紀のはただのイメージだろ…他はしょうがないけど)

ダヴァン「背が高くて言葉遣いがきつくて睨んできたり…」

純(背は同じくらいだろ…)

ダヴァン「日本怖いデス…」ポロポロ

純「わ、悪かったよ。睨んでるつもりはなかったんだ」


智葉(いいぞー、そのまま仲直りのキスだ)

ダヴァン「ううっ」ポロポロ

純「ごめんて、泣きやんでくれよ」オロオロ


智葉(…なにやってるんだ私は、メグが泣いてるっていうのに。メグ!いま行くz…)


玄「あのー井上さん、どうかしたんですか?」

純「おお、阿知賀の松実玄。いや、ちょっとこの人泣かせちゃって」

ダヴァン「ひっく…ひっく…」ポロポロ

玄「…どうぞ、このハンカチ使ってください」スッ

ダヴァン「…いいでスヨ、そんなきれいなハンカチ使えまセン」

玄「このハンカチにとって今以上のふさわしい使い道はないですよ、こんなにカッコいい人の涙を拭けるんですから」

ダヴァン「…ありがたく使わせてもらいマス」グスッ

玄「はい」ニコッ


智葉(っ!!)ドキッ

純「悪かった、ぶつかったのはお互いさまだっていうのに一方的に責めちまって」

ダヴァン「いえ、ラーメンを食べながら歩いてた私が悪いんデス。本当にすみませんでシタ」ペコッ

純「オレも急いでて前をちゃんと確認してなかったから、ごめんな」ペコリ

玄(仲直り出来たみたいで良かった)

ダヴァン「あの…服にラーメンの汁が…」

純「ああ、よく見たらほんの少しかかっただけだから大丈夫だよ(後でハギヨシに洗濯してもらおう)」

ダヴァン「そうでスカ」ホッ

玄「あのー、井上さん。急いでるって言ってましたけど時間大丈夫ですか?」

純「そうだった、じゃあオレ行くわ。ありがとうな松実玄、じゃーな臨海の副将」タッタッタ

ダヴァン「ハイ、また会いまショウ」フリフリ

玄「良かったですね」

ダヴァン「あなたのおかげデス、ありがとうございマス」


智葉(……)ジー

玄「いえいえ、私は何もしてませんよ」

ダヴァン「あなたのおかげできちんと謝ることが出来まシタ、阿知賀の松実玄さん」

玄「ふふっ、玄でいいですよ。ダヴァンさん」

ダヴァン「玄さん、団体戦はお互い優勝出来ませんでしたが決勝は良い試合でシタ」

玄「そうですね」

ダヴァン「おっと、落としてしまったラーメンを片づけないといけまセン」

玄「それなら私が片づけておきましたよ」ビシッ

ダヴァン「おお!いつの間にか床がキレイになってマス!あなたは忍者でスカ?」

玄「ふふ、冗談です。ほんとはちょうどそこにいた掃除のスタッフの方に頼みました」

ダヴァン「なるほど、じゃあその人が忍者でスカ…」


智葉(……)スタスタ

ダヴァン「あれっ?どうしたんですかサトハ、もうすぐ個人戦始りまスヨ」

智葉「松実玄っ!」

玄「えっ!?は、はい!」ビクッ

智葉「私のために毎朝味噌汁を作ってくれっ!!」

玄「…嫌です」

智葉「えっ」

ダヴァン「えっじゃないですよサトハ、他校の生徒の味噌汁を毎朝作るなんて嫌に決まってマス」

ダヴァン「急に出てきて何意味わからないこと言ってるんでスカ」

智葉「…」

玄「…そ、それじゃあ私失礼しますね」スタスタ

智葉「待ってくれ松実玄っ!」

玄「…」

智葉「既に付き合ってる人や、好きな人がいるのか?」

玄「…いえ、いません」

智葉「ならなんでそんな即答で断るんだ…」

玄「…」

智葉「もう少し考えてくれても」

玄「…ごめんなさい」

玄「私サラシ巻いてる人…好きじゃないんです…」

智葉(そう言うと、彼女は行ってしまった…)

智葉(なぜ私がサラシを巻いていることを知っているのか、なぜサラシを巻いてる人は好きじゃないのか)

智葉(そしてなぜ私はサラシを巻いているのか)

智葉(謎は深まるばかりだった…)



ダヴァン(何か考え事をしているようデス…それともいつもの百合妄想でしょウカ…)

ダヴァン「あのー、サトハは早く対局室に行ったほうがいいでスヨ」

智葉「…」

ダヴァン「サトハ?」

智葉「…私は一回ふられたくらいじゃ諦めない」

ダヴァン「よく分かりませんが諦めないことは大切デス」

智葉「ふっ、じゃあ行ってくるよ。応援よろしく」スタスタ

ダヴァン「全力で応援しマス!サトハならきっと個人戦優勝デス!」

個人戦1日目終了 臨海女子高校 宿泊ホテル


コンコン

ダヴァン「ドーゾ」ズルズル

ガチャ

智葉「…またラーメン食べてるのか」

ダヴァン「おお、サトハ。個人戦1日目お疲れ様デス」ズルズル

智葉「ああ」

ダヴァン「何か用でスカ?」

智葉「…今日の朝、松実玄からハンカチを借りていたな」

ダヴァン「なんで知ってるんでスカ?確かに借りてますケド…」

智葉「今から返しに行くぞ」

ダヴァン「ハイ?」

智葉「ちゃんと洗っているんだろうな」

ダヴァン「いつでも返せる状態ではありまスガ…」

智葉「なら行くぞ」

ダヴァン「次会った時に返しまスヨ、それに泊ってるホテルも分かりまセン」

智葉「泊っているホテルは調べた、ここから近い」

ダヴァン「もう遅いですし明日にデモ…」

智葉「阿知賀は誰も個人戦に出ていないんだ、いつ帰ってしまうか分からない」

ダヴァン「…もしかして玄さんに会いたいんでスカ?」

智葉「…ああ、そうだ」

ダヴァン「それは玄さんで百合妄想するためでスカ?」

智葉「……メグ、この世には数多くの百合カップリングがある」

智葉「怜竜、まいひめ、初霞、咲和、ふくすこ、咏えり…」

ダヴァン「…」

智葉「はるちは、ゆきまこ、やよいおり」

ダヴァン「面妖ナ」ズルズル

智葉「でも、松実玄の隣にいるのは私でありたい。つまりそういう事だ」

ダヴァン「…分かりまシタ、すぐ行きまショウ。あと、そのままのナリでいーんでスカ?」

智葉「お、そうだったな………。よし、じゃあ行こうか」

阿知賀女子学院 宿泊ホテル 松実姉妹の部屋


宥「ぬくぬく」

玄「おねーちゃんもう寝るの?」

宥「ううん、あったかいからベッドに入ってるだけ~」

コンコン

玄「誰か来たみたい。はーい」

ガチャ

ダヴァン「ドーモ!朝はありがとうございまシタ!」

玄「あっ、ダヴァンさん!…と」

智葉「松実玄っ!私の女になれっ!!」バーン

玄「い、嫌です」

智葉「くっ」

ダヴァン「もー、いきなり何言ってるんですかサトハ」アハハ

智葉「…こんばんは」

玄「えーっと、お二人ともどうしたんですか?」

ダヴァン「ハンカチを返しに来まシタ」

玄「あっ、わざわざありがとうございます。良かったら中へどうぞ」

ダヴァン「ハイ、ではお邪魔しマス」

智葉「お邪魔します」

玄「ふふっ、いらっしゃいませ」ペコリ

宥「玄ちゃ~ん、お客さん?」ムクリ

ダヴァン「ドーモ!」

宥「あ、臨海女子のダヴァンさんと辻垣内さん。団体戦の決勝以来ですね」

ダヴァン「部屋の中でもその格好なんでスネ、松実宥さん」

宥「私のことは宥って呼んでください、その方があったかいので」ニコッ

智葉「お姉さんっ!」テヲギュ

宥「ふぇ?」

智葉「今日は妹さんにお礼を言いに来ました!お姉さんにもお会いできて嬉しいです!」

宥「は、はい」

智葉「私達にはかまわず、どうぞそのまま横になっていてください。あと妹さんください」

宥「わ、分かりました。どうぞごゆっくり?」

智葉(ふぅ、お姉さんへの挨拶もうまく出来た)ヨシッ

玄「…」ジー

智葉(はっ!松実玄がこっちをじっと見ている…何か間違ったか…?)

玄(おねーちゃんのことを当然のようにお姉さんって呼んでる…)

智葉「ど、どうした?松実玄」

玄「あのー、松実玄って長いので私のことは玄って呼んでください」

智葉「…分かった、玄」

玄(団体戦で戦った時は怖い感じの人と思ったけど…実は面白い人なのかな…)

智葉「なら私のことも下の名前で、智葉って呼んでほしいな」チラッチラッ

玄「はい、分かりました」

智葉「では改めて……。玄!私の女になれっ!」

玄「それは嫌です、智葉さん」ニコッ

菫「ふぃ~寒い寒い」スタスタ

誠子「なんで夏なのに冬服の制服着て、マフラー巻いてるんですか?」スタスタ

菫「だってさ、ほら私寒がりじゃん?」アセ ダラダラ

誠子「いやめっちゃ熱そうですけど…素直に松実宥さんの真似だって言ってくださいよ」ハァ

菫「馬鹿野郎!恥ずかしいだろ///」

誠子「また今から松実姉妹の泊まってる部屋に行くんですよね、毎回私がついて行く意味ありますか?」

菫「ある。一人だと心細い」

誠子「…今日こそは告白出来そうですか?」

菫「まかせろ!今日はちゃんと告白のシミュレーションしてきたから大丈夫だ!」

誠子「へぇ~、どんな感じか教えてもらっていいですか?」

菫「宥、君のハートを射抜きに来たよ」キリッ

菫「まずこの一言で心を掴む!」

誠子(うわぁ…こりゃ今日もダメそうだな…)

菫「着いたな…」

誠子「落ちついていきましょうね、弘世先輩」

菫「ああ、分かってるよ」コンコン

<ハーイ ダレカキマシタネ チカインデワタシガデマス

ダヴァン「ハーイ、どなたでスカ?」ガチャ

菫「…」

誠子(えっ臨海のメガン・ダヴァン!なんでまたここに!?)

ダヴァン「あれ?白糸台じゃないでスカ」

菫「…宥はいるか?」

ダヴァン「宥さんなら中で寝てマス」

菫「っ!」

ダヴァン「何か用でスカ?」

菫「用?ああ、そうだな…用ならある…」

菫「てめーの心臓射抜きに来たんだよっ!!」メラメラ

誠子「せ、先輩っ!?」

宥「菫ちゃん、誠子ちゃん、いらっしゃ~い」フリフリ

菫「ゆ、宥!大丈夫か!あの外人に何かされなかったか?」バッ

宥「?何かってなに?」

菫「えっ…何ってそりゃ…」

菫「///」カァァ

誠子「カァァじゃねえよ」

宥「菫ちゃん今日はあったかそうな恰好してるね~」

菫「そうなんだよ、最近寒くて」ダラダラ

宥「わぁ~、私と一緒だね」ニコッ

菫(ああ、やっぱり宥の笑顔は最高だ///)ハナジタラー

智葉「ほう…」

菫「げっ、百合垣内!なぜここに!?」

智葉「誰が百合垣内だ…私のことは気にせずそのまま宥菫を続けろ」スッ

菫「変な言い方をするな!あとそのカメラをしまえっ!」

智葉「うるさい、私に指図するな」

菫「ちっ……おい辻垣内、東京が西と東に分かれてて良かったな」

智葉「なんだと?」

菫「分かれてなかったらお前は今ここにいないってことだよ」

智葉「……麻雀と本気で向き合ってる者は臨海に入り、留学生にビビった弱い奴は白糸台に入る。お前は白糸台に入って正解だよ」

菫「はあ?」

智葉「もしお前が臨海に入ってたら、レギュラーはおろかベンチにも入れないだろうからな」

智葉・菫「…」バチバチ

玄「智葉さん、ケンカはダメですよ」

智葉「ケンカダメ、絶対」

宥「菫ちゃんもメッ!だよ」

菫「ご、ごめんよ宥~」ウワーン

誠子「もうやだこの人」

ダヴァン「ケンカするほど仲がイイ、今度みんなで遊園地に行きまショウ!」

誠子「わお!ポジティブ!」ビックリ

ダヴァン「そうそう玄さん、ハンカチありがとうございまシタ」スッ

玄「あっ、いえいえ」

ダヴァン「あと、お礼に私の一番好きな味のカップラーメンを持ってきまシタ。良かったら食べてくだサイ」

玄「わぁぁ!ありがとうございます!」パァァ

智葉「私もお礼として長ドスを持ってきたんだ、良かったら使ってくれ」

誠子(長ドス!?)

玄「い、いりません」

智葉「玄、私は心配なんだ。東京は危ない街だからもし君に何かあったらと思うと…」

智葉「特に玄はかわいいから…護身用として受け取ってくれないか?」

玄「…そういうことなら」

誠子(そういうことなら!?受け取っちゃったよ!!)

智葉「でも私といる時は玄に指一本触れさせないから安心して」ゴォォ

誠子(辻垣内さんは眼鏡かけていかにも文化系部活の人って感じだけど、纏ってるオーラはなんかすごいんだよな…)

菫「…私も長ドス買おうかな」ウーン

誠子「似合いそうですけどやめてくださいね」

菫「そ、それにしても寒いな。なあ宥」タラタラ

宥「うん、そうだね菫ちゃん」

菫「私としては『STOP!温暖化』じゃなくて、『GO!温暖化』だよ。なんてな!」ハハッ

誠子(何言ってんだよ)

宥「…そんなに寒いなら菫ちゃんも一緒に寝る?」

菫「えぇ!?」

宥「おいで~」ポンポン

菫「は、はい。お邪魔します」ススッ

宥「ふふっ、あったかいね」ギュ

菫「ゆ、宥!抱きつかれると私汗の匂いとかするかもしれないからやめたほうが」

宥「そんなことないよ、菫ちゃん良い匂いだよ~」スリスリ

菫「///」ボンッ

誠子(見てるこっちが暑くなってくるな…)

智葉「あの弘世にこんな面があったとは…ふふっ、これだから百合はやめられない。そうは思わないか亦野?」

誠子「黙れ」

智葉「というわけで私達もベッドで少し寝ようか、玄」

玄「い、いいです。私まだ眠たくありません」

誠子(眠気の問題なのか…)

智葉「なら膝枕をさせてくれないか?今日仲間を助けてくれたお礼として」

玄「…で、でも」

智葉「私なんかのでは嫌かもしれないが…」

玄「そんなことはありませんが……。なら逆でもいいですか?」

智葉「逆?」

玄「智葉さんは今日の個人戦でお疲れだと思うので…私が膝枕をします!」

智葉「…玄は優しいね」

玄「と、というわけでどうぞ!」

智葉「ふふっ、ありがとう。失礼します」ポフッ

ダヴァン(あんなに嬉しそうなサトハ見たことありまセン)

誠子(辻垣内さんメガネ取ればいいのに…)

玄「ど、どうですか?」

智葉「今日の疲れがとれていくよ、明日も頑張れそうだ」

玄「それは良かったです……団体戦決勝の時も思いましたが、卓上ではすごく気を張っている様に見えたので…」

智葉「…あれは決勝だったからね、面子も強敵揃いだったし」

玄「そうですよね、強豪校の先鋒ってプレッシャーもすごいですよね…そして個人戦の方も…」

玄「でも今は……少なくとも私の前では本当の、ありのままの智葉さんでいてくれていいんですよ」ナデナデ

智葉「…」

玄「なんて、すいません年下なのに…」ナデナデ

智葉「…いや、ありがとう」

玄「ふふっ」ニコッ

誠子(おいおい、なんか良い感じだな…)

宥「菫ちゃんあったか~い」ギュウ

菫「ゆ、宥!あたってる!あたってるからっ!!///」

誠子(『宥、君のハートを射抜きに来たよ』はどうしたんですか先輩…)ハァ

智葉「…玄、なんで私がサラシ巻いてるのを知っていたんだ?」

玄「おもちの事ならこの松実玄におまかせあれっ!」ビシッ

智葉「お、おもち?」

玄「あっ、胸のことです」

智葉「そ、そうか」

玄「なので一目見ただけで分かりました。智葉さんのおもちが何か窮屈そうだなと…」

智葉「…なるほど、玄は胸が好きなんだな」

玄「はい、サラシを巻いているとおもちがかわいそうなのです」

智葉「それでサラシを巻いてる人は好きじゃないと…」

玄「…はい、朝は失礼なことを言ってすいませんでした。智葉さんにも何か事情があるはずなのに」

智葉「気にしないでくれ。それより話してくれてありがとう、玄のことが少し知れて嬉しいよ」

玄「い、いえ」

ダヴァン(えっ、胸のことおもちって言うんでスカ…知りませんでシタ…)

誠子(今の話、私が聞いても良かったのかな…)

コンコン ガチャ

穏乃「玄さん、宥さんお邪魔しまーす!」バーン

灼「穏乃、もう少し静かにした方がいいと思…」

憧「もう、しずは元気なんだから」フフッ

玄「あっ、みんな来たんだ」

穏乃「あー!白糸台と今日は臨海の人もいる!」ビシッ

ダヴァン「ドーモ」

憧「こらしず指さすなっての、次したら指舐めるからね」

灼「えっと、これはどういう状況?」

ダヴァン「今日玄さんに命を救って頂いたので、お礼に来まシタ」

玄「そ、そんな大したことはしてませんよ」

穏乃「あー!玄さんが辻垣内さんに膝枕してるー!なんでだろー!!」

憧「もうしず、少し落ちつきなさい」フフッ

誠子(一気に騒がしくなったな…)

ダヴァン「鷺森灼、副将戦ではお世話になりまシタ」

灼「あ、はい。こちらこそ…」

ダヴァン「相変わらず小さいでスネ、高い高いさせてくだサイ」タカイタカーイ

灼「ちょ、恥ずかしいからやめてほし…」

ガチャ

晴絵「灼、いるかー?」

ダヴァン「たかいたかーい、たかいたかーい」

灼「や、やめ…」

晴絵「!?灼っ!おい灼をはなせっ!!」

ダヴァン「えっ、ハ、ハイ」パッ

晴絵「大丈夫か灼っ!何か変なことされてないか!!」ガシッ

灼「大丈夫だから落ちついてほし…」

晴絵「本当か?ちょっと確認のため下さわるぞ」

灼「下さわるぞって何?ハルちゃんの方が大丈夫?」

晴絵「ごめんよぉ灼、好きな女一人守れないで何がレジェンドだよなぁ」ポロポロ

誠子(うわぁ…泣き出したよ…)

穏乃「あー!ねぇ憧見て!赤土さんが泣いてる!!」ビシッ

憧「こらしず、指さすなって言ったでしょ」ペロッ

智葉「メグ、理由はどうあれ女性を泣かせたんだ。謝って来い」

ダヴァン「ハ、ハイ。…あのーすみませんでシタ」ペコリ

晴絵「自分の不甲斐なさに泣いてるだけだから…気にしないで……」ポロポロ

ダヴァン「い、いやーそれにしてもさすが阿知賀の監督。小鍛治プロと同じかそれ以上のオーラを感じマス」

晴絵「えっ…ほ、本当に…?」グスッ

ダヴァン「ハイ!」

晴絵「……ふぅ、レジェンドレジェンドっと」ケロッ

誠子(マジかこの人)

宥「zzz」スヤスヤ ギュ

菫「も、もしかして寝ちゃったのか宥……そ、そっか寝ちゃったかぁ…」ゴクリ

誠子「ゴクリじゃねえよ」

晴絵「ああ、そうだ灼。灼に似合いそうな服を買って来たんだ…ほら」

灼「ああ!!なんか三つ首のうさぎのTシャツだ!!」パァァ

晴絵「ふふっ、どうだ灼」

灼「すっごいかわいい!!」キラキラ

一同「…」

晴絵「他にもいっぱい買ってきたからさ、私達の部屋に戻って灼のファッションショーやろうよ」

灼「た、楽しそう!憧と穏乃も来る?」

憧・穏乃「……さーて仕事、仕事」イソイソ

誠子(仕事って何だよ!リアクションに困るから行きたくないだけだろ!)

晴絵「仕事なら仕方ないな、じゃあ行こうか灼」

灼「うん!皆にはまた後で見せてあげるね!」

ガチャ バタン

智葉「やっぱり晴灼なんだよなぁ」

玄「ふふっ、ですね」ナデナデ

誠子「ですね!?」

穏乃「あー、なんかお腹すいたなぁ…」

憧「私のカップラーメンあげるから、部屋に戻って一緒に食べよ」

穏乃「やったー!行ってきまーす!」ビューン

憧「あっ、待ってよしず」

ガチャ バタン

智葉「私達もそろそろ帰ろうか、膝枕ありがとう玄」

玄「いえいえ」

智葉「玄はいつまでこっちにいるんだ?」

玄「個人戦が終わって、その翌日の朝に奈良に帰ります」

智葉「そっか…もし良かったら個人戦、私のこと応援してくれないか?」

玄「はい、もちろんです!」ニコッ

智葉「ありがとう、じゃあまたね」

ダヴァン「お邪魔しまシタ」

玄「お気をつけて~」フリフリ

ガチャ バタン

智葉「私決めたよ…」スタスタ

ダヴァン「何をでスカ?」スタスタ

智葉「個人戦優勝して…もう一度玄に告白する」

ダヴァン「…サトハならきっと大丈夫デス」

智葉「ありがとう、メグ」


松実姉妹の部屋

誠子「弘世先輩、私達もそろそろ…」

宥「zzz」スヤスヤ ギュ

菫「寝ている宥に手を出すなんてダメだ、耐えろ私の理性…」ブツブツ

誠子「逆に手を出せるなら出してみてくださいよ…また大星にへたれって言われますよ」ハァ

菫「言わせとけばいいさ」

誠子「まったく、大星には甘いんですから…」

菫「まあ、あいつは妹みたいな感じだからな」フフッ

宥「…」ギュウ

菫「あ、あれ?なんか絞めつけがきつくなったような気が…」

そしてインターハイ個人戦決勝 対局室 


智葉(ついに決勝まで来た…あとひとつ勝てば優勝だ…)

智葉(決勝卓の後の三人はまだ来ないのか…)

ガチャ

照「My Sister めちゃくちゃにアイシテル♪やさしいだけの キスならいいのかーい♪~」ルンルン

照「おっ、百合垣内智葉!残念だったな、今年も私が優勝だい!」

智葉「だから誰が百合垣内だよ…もういいから早く卓に着けよ」

照「分かってるよ、そうせかすn…」ピクッ

照「…智葉、今からはもう私に話しかけないでね」

智葉(なんだこいつ、急に本を読み始めやがった…)

ガチャ

咲「ちょっと迷っちゃった…」トコトコ

照「…」ペラッ

咲「あっ…お姉ちゃん…」

照「…」

咲「わ、私ね…お姉ちゃんに会うためにここまで来たよ…」

咲「団体戦の時は話せなかったから…個人戦で決勝まで来ればお姉ちゃんに会えるって思って…」

咲「仲直りして…またお姉ちゃんと昔みたいに」

照「ずいぶんとつまらない理由でここまで来たんだね」

咲「うぅ…」

照「でも仲直りする方法は簡単だよ」

咲「えっ」

照「この試合、負けてよ」

咲「!?」

智葉「はあ?ちょっと待て」

照「黙って」ギロリ

照「負けてくれたら仲直りしてあげるよ、さあ早く卓に着いて」

咲「お、お姉ちゃん…」

「「「おおおぉぉぉぉ!!晩成っ!!晩成っ!!」」」


智葉「な、なんだ!?まさか会場の応援がここまで聞こえてるのか!?」


「「「勝つのは晩成っ!負けるの白糸台!」」」

「「「勝つのは晩成っ!負けるの臨海!」」」

「「「勝つのは晩成っ!負けるの清澄!」」」

「「「勝つのは……」」」

パチンッ

やえ「私だ!」バーン


「「「うおおおぉぉぉ!!晩成っ!晩成っ!」」」

「「「きゃーーー!!!小走先輩かっこいいーー!!」」」


やえ「待たせたな」

智葉「うるさいから早くドアを閉めろ」

やえ「お見せしよう!王者のドア閉めをっ!」バタン

やえ「遅れてすまない」フフッ

智葉「おい、部屋間違えてないよな?」

やえ「間違えてない!私だって神代小蒔や荒川憩を倒してこの決勝に来たのよ!」

照「ぅゎゃぇっょぃ」

やえ「お三方。団体戦では奈良代表の阿知賀が世話になったようだが、この勝負は私が勝つ!」

やえ「覚悟はいいか?私は出来てる」

智葉「早く座れ」

やえ「はい」

咲「…」

智葉「…宮永咲、何があったのかは知らないが本当の自分を見せれば良い」

咲「…本当の私」

智葉「ああ、そうだ。まあ、私が勝つけどな」

咲(まざと負けたらお姉ちゃんと仲直り…出来るのかな…私どうすれば……)

照「…」

咲「…和ちゃん」ボソッ

インターハイ会場 観戦室


和「あのやろおおぉぉぉ!!」ガタッ

久「急にどうしたの和!?落ちつきなさい!」

和「咲さんに負けてくれって言いやがりましたっ!!」

まこ「なんて言ったのかここからじゃわからんじゃろ!」ガシッ

和「唇の動きで分かりましたよ!!離してくださいっ!!」

優希「行っちゃダメだじぇのどちゃん!咲ちゃんを信じるんだじぇ!」

和「咲さん!!迷わず全部ゴッ倒せばいいんですよぉぉ!!」


対局室

咲(今…和ちゃんの声が聞こえたような……)

咲「…あのー」

咲「靴、脱いでもいいですか?」

照(きたか…)

そして試合は進んでいき…


やえ「り、リーチ」

咲「ロン、12000」ゴォォ

照(……全然あがれない)

照(東一局、照魔鏡で咲を見ようとしたら鏡割られちゃったし…これが本気の咲か…)

智葉(…ネリーが言ってた通りの化け物だな、宮永咲)


オーラス 親・宮永咲

やえ:11000 照:17000 智葉:19000 咲:53000


咲(…)トン

やえ(私にもまだチャンスはある!)トン

照(これはちょっときついな…)トン

智葉(……この世に存在するすべての百合カップルよ、ありがとう)

智葉「ゆ、リーチ!」トン

やえ(なっ!ダブリーだと!!)

咲(……)トン

やえ(オーラスにダブリーとか勘弁してよ)トン

照(…はぁ)トン

智葉「…ツモ」

やえ「えっ」

智葉「ダブリー、一発ツモ。ホンイツチートイドラ2。6000・12000」


『決着っ!!個人戦優勝は臨海女子高校、辻垣内智葉だぁぁ!!』

終局 やえ:5000 照:11000 智葉:43000 咲:41000


智葉「七対子、私の一番好きな役だ。その名の通り、対子を7組そろえることで成立する…」

智葉「対子が7組…つまり百合カップルが7組ということ…」

智葉「このドラが乗ってるカプは私と玄かな」フフッ

やえ「おい、大丈夫かこの人」

照「智葉、優勝おめでとう」

智葉「ああ、ありがとう」

やえ「つ、次やる時は絶対私が勝ってやるんだからっ!」

智葉「いつでもかかって来い、次も私が勝つ」

やえ「ふん、覚えてなさいよ」スタスタ

咲「…」ポロ

照「咲…」

咲「あ、あれ…なんで私泣いて…」ポロポロ

照「悔しくて泣いてるんだ…それでいいんだよ咲…」

咲「えっ…」ポロポロ

照「咲はある時期から本気で麻雀を打たなくなったよね……勝ちを譲られてるその状態が、私は許せなかった…」

照「でも今日は私の言う事も無視して本気を出してくれた…強くなったね咲…」

咲「お、お姉ちゃん…」ポロポロ

照「本気で打って負ければ悔しいんだ…だから今は泣いてもいい」ギュ

咲「うわ~ん、お姉ちゃん!」ギュウ

咲「私の大切な人が教えてくれたんだ…本気で戦う事の大切さを…」ギュ

照「そっか…良い人と出会ったね、咲…」ギュ

ガチャ

和「きっさまああぁぁぁぁ!!」

咲「あっ、和ちゃん」

和「咲さんのお姉さん…この新免さんからもらった日本刀で、戦意喪失させてあげましょう」チャキ

照「そうか…あなたが咲の…」

和「はい、初めまして。そしてさようなら」

照「咲を支えてくれてありがとう」

和「はっ、いまさら何を」

照「いつも抱えてるペンギンのぬいぐるみ、かわいいね」

和「…」

照「私もぬいぐるみ、好きなんだ」ニコッ

和(……姉妹丼もアリですね)キンッ ←納刀

咲「お姉ちゃん」ギュ

照「ふふっ、咲」ギュ

和「よっ!良い姉妹だよこりゃ!」パチパチ

智葉(……どうやら丸く収まったみたいだな)ハナジタラリ

智葉(さて、次は私が本当の自分を見せる番か……)


そしてその夜 阿知賀女子宿泊ホテル 松実姉妹の部屋

コンコン

玄「はーい」ガチャ

智葉「こんばんは、玄」

玄「あっ、智葉さんこんばんは!個人戦優勝おめでとうございます!」

智葉「ありがとう」

玄「今日はお一人ですか?」

智葉「ああ…玄に話があるんだけど、ちょっと近くの公園までいいかな」

玄「…はい、わかりました」

近くの公園


智葉「こんな時間にすまないな」

玄「い、いえ…」


晴絵「ベンチに座ってるだけで、今のところ動きはないな」ヒソヒソ

灼「こんな隠れて見るのはよくないと思…」ヒソヒソ

宥「うぅ~。で、でも玄ちゃんが心配だし」ヒソヒソ

穏乃「お腹すいたなー、どっかにラーメン落ちてないかなー」グゥ

憧「ふふっ、後で一緒に食べに行こう」


「せ、先輩ダメっすよ///」

「大丈夫だよモモ」スッ


灼「あれ?あっちのベンチにいるのって…」

宥「加治木さんと東横さんだね」

憧「う、うわーキスしてるよ///」

桃子「…先輩からしてくれて嬉しいっす///」

ゆみ「モモ、無事に長野に帰ることができたら…その時はこの続きをしよう…」

桃子「は、はいっす!」


灼「す、すごいとこ見ちゃった…」

憧「……しず、実は私の唇ってラーメンの味がするんだよ///」

一同「えっ」

憧「だ、だから私とキスすればおいしいかもしれないよ。ねえ皆?」

晴絵「あ、ああ…そうだぞしず、憧の唇はラーメンの味がする」

宥「そ、そうだね。穏乃ちゃんさっきラーメン食べたいって言ってたし」

灼「そ、そうそう。だから憧とキスすればいいと思う」

穏乃「その手にはのりませんよ、そんなわけないじゃないですか」

憧「あっ、すいません」

穏乃「あと盗み見るような真似はよくありません、ホテルに戻りましょう」スタスタ

晴絵「なんだしずのやつ、急に真面目になって…」

憧「でも、周りに流されず自分の正しいと思う行動をとれるしずが私は好き///。ああん、待ってよーしずー」タッタッタ

晴絵「確かにしずには何かを見通す力があるからな、これは私達も帰ったほうがいいな」

灼「そうだね、ほら宥さんも」

宥「…う、うん」



玄「今日の智葉さんすごくかっこよかったです」

智葉「ありがとう、玄にそう言ってもらえると嬉しいよ」

玄「優勝ですからね、本当にすごいですよ」

智葉「玄に膝枕してもらったおかげだな」

玄「ふふっ、智葉さんが誰よりも頑張ったからですよ」

智葉「……私、優勝したら玄に言おうと思ってたことがあるんだ」

玄「は、はい」

智葉「…っとその前に」シュル

玄「あっ、サラシを…」

智葉「ああ、玄の前ではサラシを取ることにするよ…それと……」スッ バサッ

玄「あれ?…メガネと髪も……」

智葉「メガネは伊達メガネで、髪も本当は結んでいない」

玄「えっ…」

智葉「…これが本当の私だよ」

玄「…」

智葉「それで玄に言いたいことっていうのは…」

玄「…」ポロポロ

智葉「!?ど、どうしたんだ玄!」

玄「サラシだけじゃなくて…メガネと髪も……」ポロポロ

玄「どういう事情があればそのようなことをしないといけないのか…私なんかには想像もつきません…」

玄「それなのに…私の前では本当の智葉さんでいていいなんて…私はなんておこがましいことを…」ポロポロ

玄「本当に…すみません…」ポロポロ

智葉「…玄」ギュ

玄「智葉さん…」

智葉「泣かせてしまってごめんね…玄が謝ることなんてひとつも無いよ…」

智葉「玄がありのままの私でいていいって言ってくれた時、すごい嬉しかったんだ」

智葉「その時も言ったと思うけど…本当にありがとう」

玄「…」グスッ

智葉「……私、玄に言いたいことがあるんだけど聞いてくれるか?」

玄「…はい」

智葉(本当の…ありのままの私……)

『私のために毎朝味噌汁を作ってくれっ!』

智葉(違う…)

『私の女になれっ!』

智葉(違う…本当の私の言葉で…)


智葉「好きです、私と付き合ってください」

玄「はい、喜んで」ニコッ

智葉「…えっ」

玄「?」

智葉「そ、そんな即答で…いいの?」

玄「いいも何も…私も智葉さんのこと好きですよ」

智葉「…本当?」

玄「はい。智葉さんといるとドキドキして、もっと一緒にいたいっていう気持ちになるんです」

玄「これ以上の理由って必要なんでしょうか?」

智葉「で、でもサラシ巻いてるし」

玄「今は取ってくれてるじゃないですか」

智葉「あと、変装まがいなことしてた理由とか聞かないの?」

玄「気にならないって言ったら嘘になりますけど…どんな智葉さんでも素敵です、私にはそれで十分です」

玄「智葉さんこそ、私のどこが好きなんですか?」

智葉「あ…えっと…そ、その……笑顔がかわいいとことか///」

玄「そ、そうですか///」

智葉「…玄」ギュ

玄「わわっ」

智葉「私、玄の恋人になれてすごく嬉しいよ。個人戦の優勝よりも…」

玄「は、はい///」

智葉「玄…好きだ…」

玄「私も大好きです」


健夜「…」ズルズル

健夜(私は今…ちょっとお腹がすいたのでコンビニでカップラーメン買って、公園のベンチで一人食べているのですが……)


智葉「なら私は大大好きだ」ギュ

玄「それなら私は大大大好きです」ギュ


健夜(あいつら爆発しねーかな…)ズルズル

健夜(……)

健夜(これおいしいな…今度こーこちゃんに教えてあげよ)

智葉「…玄、私今日は玄と離れたくない」

玄「えっ///」

智葉「私の泊まってるホテルでもいいし、玄の泊まってるホテルでもいい。一緒にいたい…」

智葉「明日の朝には玄はもう奈良に帰ってしまうから…少しでも長く、玄といたいんだ…」

玄「…はい、私も智葉さんと一緒にいたいです!」

智葉「そ、そうか。良かった」ホッ

玄「でも聞いてみないと…ちょっとおねーちゃんに電話してみますね」

智葉「…いや、直接言いに行こう。玄との交際のこともきちんと報告したいし」

玄「そ、そうですね。ありがとうございます///」


智葉(そのあと玄のお姉さんと阿知賀の監督に事情を説明し、私は玄の方のホテルに泊まることになった)

智葉(そのままの姿で行ったので皆少し驚いてはいたが、すぐに受け入れてくれた…)

智葉(私は玄といろんな話をして、寝るときは玄のベッドで寝た。なぜかお姉さんも一緒に三人で)

智葉(途中玄が『おもち…』と寝言を言いながら胸を揉んできたが、寝顔がかわいかったので頭を撫でておいた…)

そして翌朝 阿知賀女子宿泊ホテルの前


晴絵「おーいもう出発するぞー、車に乗り込めー」

穏乃・憧・灼「はーい」

菫「い゙がな゙い゙でくれ゙ー!ゆゔー!!」ギュ ポロポロ

宥「泣かないで菫ちゃん」ヨシヨシ


玄「…そろそろ行きますね」

智葉「ああ…」

玄「智葉さん…袖はなしてもらわないと行けません…」

智葉「す、すまない」パッ

玄「いえ…」

智葉「…毎日電話するよ」

玄「はい、私も」

智葉「休みには絶対会いに行く」

玄「はいっ!」

晴絵「バスガデルデー」

玄「もう行かないと…智葉さん少しだけしゃがんでもらっていいですか?」

智葉「?わ、分かった…」

玄「大大大大好きです、智葉さん」スッ

智葉・玄 チュッ

智葉「!」

玄「…ふふっ、会いに来てくれるの楽しみにしてますね!では!」タッタッタ

智葉「あ、ああ!」フリフリ

オマタセシマシター ヨシ、シュッパツー ブロロロロッ


智葉(行ってしまったか…ま、まさかキスしてくれるとは…///)

菫「ゆうー」ポロポロ

智葉「お前もいつまで泣いてるんだよ…ご飯くらいなら奢ってやるから泣きやめよ…」

菫「グスっ……お前誰だ…」

ブロロロロッ


宥「あったか~い」ポワーン

玄「あれ?おねーちゃんそのマフラー…」

宥「うん、さっき菫ちゃんと交換したの~」

玄「ふふっ、良かったね」

穏乃「おおー…」

憧「しず、窓にひっついて何見てるの?」

穏乃「いや、あの車すごい運転してるなって思って」

憧「あー、ほんとだ」

晴絵「な、なかなかの運転テクニックだな」

灼「あの車って…」

智美「ワハハ、運転は楽しいなー」キキッー!

ゆみ「うわぁぁぁ!!おろしてくれーー!!私は歩いて帰るーー!!」

桃子「きゃあぁぁ!先輩ゆれるっすー!」ギュウ

智美「夏はまだまだこれからだし、皆でいろんな所に車で行こうな。まあ嫌だって言っても無理やり連れて行くけどなー」ワハハ

佳織「智美ちゃん、チョコあげる。はい、あ~ん♪」

智美「おお、ありがとう佳織」パクッ

ゆみ「蒲原ぁぁ!!前を見ろ前をっ!!いやだもう停めてくれーー!!事故って死ぬーー!!」

智美「ゆみちんは大袈裟だなー、むっきーなんか静かなもんだぞ」

睦月「」ブクブク

ゆみ「津山ーっ!しっかりしろー!お前もうちょっとで誕生日だろーー!!」ユサユサ

智美「むっきーの誕生日はまだ先じゃないかー?」ワハハ


果たして鶴賀学園一行は無事に長野に着くことは出来るのか…


ゆみ「かすった!!今壁にサイドミラーかすったって!!」


end

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