鍛冶師「人里離れた所でひっそりと暮らしてる」(147)

天の日 晴

ここ最近天候が悪かったが、これでようやく畑仕事ができる。

最近は依頼が少なく、収入が心許無いがのんびりとやれるのはいい事だ。

だが、空に陰りがあるし今日のうちにある程度収穫しておかないと、また雨の中で収穫しなくてはならなくなる。

かゆい
うま

八雲立つスレかとおもったら違った

冥の日 曇

すっかり忘れていたが、そろそろ鉱山に住み着いているコボルト達が鉱石を持ってくる時期だった。

つるはしだのなんだのと物々交換しているが在庫が少ない。

今日明日は徹夜になるやもしれん。

火の日 晴

三日間、作るに作り続けた。

逆に作り過ぎた。あって困るもんでもないが、正直幅を取るから困る。

久々に罠に動物がかかった。

今日は兎肉のスープだ。

風の日 晴

今日の取引はまずまずだった。

新しい採掘場が見つかったらしく、更に大量のつるはし等の注文が入った。

かなりの材料が蓄えられるかと思うといてもたってもいられない。嬉々として金槌を振るう。

珍しい金属もあったし何を作るか……それとも大事に取っておこうか。いかん、興奮してきた。

和風かと思ったら 何かのファンタジーだった

沌の日 雨

追加の注文も作り終え、コボルト達との物々交換も無事終わった。

にしても雨の所為で冷える。奥に仕舞った冬服を引っ張り出し、少し着込んでおく。

大量の材料を仕入れた事だし、今日は倉庫の整理をした。

しっかりと整理したら元々あると推定していた材料が、1.2倍に膨れ上がった。

在庫管理が杜撰過ぎたようだ。今後は帳簿でもつけようものか。

天の日 雨時々曇

あいも変わらず天候不順が続く。依頼も無く畑仕事も無く、雨音をBGMに読書に耽る。

そんな雨の中、わざわざ貴族様が依頼を持ってきた。

金ならいくらでも払うから最高の刀を作って欲しいと言い出した。金持ちの道楽か。

仕方が無いので追い返した。良質の砂鉄なんぞこの大陸で探すとなったらどれだけ時間がかかるか。

それでも食い下がらないから塩の塊を投げつけジパングに行けと言ってやった。

にしてもあんな塊になっているとは。ちゃんと対策をしておくべきだったか。

冥の日 曇

そろそろ食料の買い足しが必要になってきた。

この調子なら明日は晴れるだろう。

明日は山を降りるとするか。

現地販売の準備、それと刃物研ぎの準備をして早めに就寝する事とする。

良さげなスレ

地の日 晴

下山するにはもってこいの天気となった。

のはいいが、麓あたりで山賊と鉢合わせした。

そこらへんを魔物が闊歩している時代だというのに逞しいものだ。

有無を言わず襲い掛かってきたので返り討ちにしてやった。

臨時収入だ。肉でも買うか。

水の日 晴

町で卸す商品の売れ行きも刃物研ぎの仕事もあまりだった。

臨時収入と合わせても通常の収入程度にしかならない……なんてこった。

食料品を買い込み、家に戻る途中で旅人が山で迷っていた。

何でも自分に依頼をしに来たらしいが場所が分からなくなったそうだ。

仕方が無いのでその場で内容を聞く事にした。ふざけた依頼だったら町に送り返そう。

と思ったら材料を持ち込んでの製造依頼だった。久しぶりにまともな依頼だったからその場で材料を受け取った。

報酬もいいし明日はまた町まで届けに行く事にした。

火の日 曇

気合を入れただけあって、依頼のクレイモアは中々良い出来となった。

早朝、町に下りようと下山している途中、旅人が先日と同じあたりで迷っていた。

何をやっているのやらと思ったら、自分が依頼を受けてくれると思っていなかったらしく、

町まで運ぶと言われても、いてもたってもいられなかったのだと言う。

アホな依頼が多いから断っているだけで、まともな依頼は全て引き受けているのだがなあ。

大方、馬鹿貴族どもが勝手な事を流布しているのだろう。が、食っていくには問題無い程度に依頼はくるからどうでもいいが。

風の日 雨

今日は朝から雨が降り続く。

これは長雨になるかもしれない。

しばらくは暇になりそうだし、武具図鑑でも読み漁るとするか。

沌の日 大雨

雨脚が半端ない。

一度、この家も流された経緯からしっかり対策しているが、それでも今回はどうなるか分からん。

というよりも今回もダメかも分からんね。

流された時の為に必要な道具はまとめて、見つけ易いように細工を施した。

天の日 晴

明け方とんでもない音がした。どっかで土砂崩れが起こったようだ。

思いの他早くに晴れてくれたものの、やはりというべきか被害は甚大だった。

材料類に関する被害ほ無かったものの畑は全滅だ。

ここしばらく順調だったゆえに惜しい。

最もまた一からとは言え、だいぶ知識も経験も積んできているし、復興もそう難しくは無いだろう。

今日は一日畑仕事。水気たっぷりの野菜が食べたい。

冥の日 晴時々曇

鍛治関連で唯一の被害。薪が全滅。

という訳で今日は周囲の散策にでかけた。が、当然ながら薪に使えそうな木々は得られなかった。

薪を貯蔵している倉庫の改良が必要そうだ。

途中、山の主様を見かけた。ここに住み始めた当初、主様は巨大な猪だったが今は角が立派な牡鹿のようだ。

何時見てもこの威圧感というか神々しいというか、そんなオーラの前ではただただひれ伏すばかり。

そこへ魔物の集団が現れた。主様を狙っているのかと剣を抜く。よりも早く主様の角が魔物を薙ぎ払った。

主様ぱねぇ。流石、山の安定を司る存在だ。

天の日 曇

真面目な依頼だが、恐ろしくキチガイな依頼が入ってしまった。そしてそれを受けた自分もキチガイだ。

大量の石を持って兵士や傭兵、そして神官らしき男がやってきた。

その石を使ってできるだけ大きな剣を作って欲しいと言われた。見たことの無い石だしどうしたものかと悩む。

石の出所を聞けばなんと隕鉄だという。よくもこれだけの量を集めた物だ。頭がおかしい。

だが壮大な話だ。隕鉄は天からの恵みとして信仰があったりする事を考えると、この量で作った大剣はさぞ偶像崇拝にもってこいだろう。

ああ、だから神官っぽいのもいたのか。

だが問題はこれが全部材料になりえないだろうという点だ。

試演

冥の日 晴

今日は朝から資料探し。

こいつでクリスでも作れって事だったら簡単だったろうに。

一通り手持ちの資料の中から隕鉄に関する情報かき集めて読み耽る。

期間を長めにもらって正解だ。というかこれを一人で造るのか。こういう時、国の鍛治ギルドや町の工房を羨ましく思う。

リンが多く含有している隕鉄は、鍛造そのものが出来ないようなものだとされる。

まずはこれを調べないとだ。

地の日 晴

莫大な報酬だったとは言え、あんな仕事二度と引き受けるものか。

一週間以上の時間を費やしなんとか作れたのは長めのブロードソード。いやバスタードソードといったところか。

遥か古代から隕鉄が使われている事もあってか、クリスは邪を払うものとしてタリスマンとしての役割も持っている。

こいつならどんな邪も払えるだろう。というか切り払えるだろう。

もっとも教会かどっかに奉納されるのだろうから、振るわれる事は無いのだろうが。

ふと思い出したかのように畑を見ると荒れ放題だった。

しばらくは農作業だ。

意外と面白い

水の日 快晴

絶好の土弄り日和。いやちょっと暑かったか。

クワを振るっているとコボルト達がやってきた。

どうしたのかと聞くと、新しい採掘場に鉱石の精霊が現れて奮闘中だという。

精霊と言っても全身が特定の鉱石で出来ているゴーレムの様なもの。何より恐ろしく硬く力強い厄介な奴だ。

自分の出番か、とハルバートを担ごうとしたらミスリル銀のゴーレムだと言うから、茶を淹れてやりながら頑張れと伝えた。

銅と鉄まで戦えるが、それ以上の相手となる一撃で圧死するから絶対に戦いたくない。

というかミスリル銀のゴーレムとか随分と大物だな。

SS速報かと思った

火の日 曇時々晴

畑の整地、水引完了。意外と早く終わったからまた山の中に入っていった。

あれから雨も降ってないお陰で乾いた薪が拾えた。いやはや助かるものだ。

土砂崩れで荒れたとは言え、多くの新芽が芽吹いている。

今日も主様は忙しそうだ。

水の日 晴

町に下りて野菜の苗や種を買い漁る。

ついでに刃物研ぎをしてみたら、今回は盛況だった。タイミングがずれていたのか。

帰り道に高価そうな鎧を着た男と出会った。勇者様だという。

魔王討伐の為にも剣を作って欲しいとの事だ。

材料も持ち込みでミスリル銀だった。しかし要望はフルサイズの両手剣だと言う。

流石にこれでは足らない。ふと、コボルト達の事を思い出し、紹介状がてら一筆手紙を書いて渡す。

討伐に成功したら精霊から取れるミスリル銀を分けてもらう、という内容だ。

初めは危険だし冗談がてら倒して貰ってきたら造る、と言ったら極々普通に了解された。

勇者をやるだけあって強いのかもしれない。

しえ

火の日 晴

一晩泊まった勇者様は早朝、コボルト達の所へ向かっていった。

送ろうかとも思ったが、地図を見てルートを把握していたので余計な心配のようだ。

だが夜になっても帰ってこない。

大丈夫なのだろうか? まさか精霊に? それとも行く途中か戻る途中に道を外れて遭難?

不安ばかり募るが既に日は沈み、細い弓なりの月明かりでは心許無い。

明日、早朝に勇者様を探しに行こう。

風の日 晴

早朝、一先ずコボルトの群れに向かった。

もしかしたら援軍が来た事で、一度体勢を建て直し総攻撃の準備をしているのかもしれない。という淡い期待があった。

コボルト達の集落に辿り着き見た物とは!

しっちゃかめっちゃかな宴会後と酔い潰れて寝ているコボルト達と勇者様だった。

心配して損をした。仕方が無いので起こすのも悪いし、全員に毛布をかけて帰った。

勇者様は日暮れになって戻ってきた。しかも結構大量のミスリル銀を抱えて。

コボルト達はかなり苦戦していたようだ。

沌の日 晴

今日、明日を使って剣を造る事にした。

勇者様は暇だから山の中へと入っていく。聞けば元々山育ちらしい。

色々と心配するだけ無駄だったようだ。

最高の剣にするべく、一心不乱に金槌を振るう。気付けば日が暮れつつある。

勇者様はというと日が沈むか沈まないかという頃に、現地で作った魚篭に魚を入れて帰ってきた。

ここから沢まで結構距離があったはずだしどうやって道をと聞けば、立派な角を持つ鹿の後をついていったと言う。

思わず狩られなくて良かった、と呟いたら山の主殿かどうかぐらい分かる、と言われてしまった。そりゃそうだ。

他に討伐するものも無く、今晩は勇者様とゆっくりと談笑しながら食事についた。

あまり多くの土地を回った事の無い自分にとっては、滅多に無い良い機会であった。

とりわけ金属製品を特産とする工業都市の話は非常に興味深かった。暇を見て技術を学びに行くのもいいかもしれない。

支援

天の日 晴

日暮れあたりになって、ようやく剣が完成した。

ミスリル銀を打つと心臓が打ち震えるような高揚感を覚える。が、加工が大変で一振り造るだけでも時間がかかる。

自分が持ちうる力を全て出し切った、そんな満足感と気だるさが体中から溢れ出る。これと同じ出来をと言われても、当分はできないだろう。

勇者様は勇者様で鞘から引き抜いて刀身を見つめ……次に行動するまで数分の間動く事が無かった。

そして涙目でこれは最早芸術品だ。この世に二本とない名剣だ。本当に、ありがとう、と深々と頭を下げられてしまった。

本音を言えば多少は争い事があった方が金にはなる。が、自分達人類の命運を背負う勇者様のお力になれた事、満足していただけた事はとても誇りに思う。

と言ったら、君は裏がないな、と人懐っこそうな笑顔を向けた。

何とも人望が厚そうな人だ。自分とは真逆のタイプなのだろう。しかし自分自身、彼と話すと気持ちが良い。これが出来た人間の為せる事か。

冥の日 晴

勇者様は重ね重ね礼を言いつつ、日の出と共に旅立っていった。

願わくば彼の旅路に無事に終わらん事を。

しばらくは依頼が無い限り金槌を振るうのはよそう。休息は必要だ。

という訳で倉庫の改良の為、材料を集めに山に入っていく。最近気付いたが、ここも山中だ。

とは言っても、文字通り家の周りは自分の庭になっている所為で、この先の山を山の中だと思ってしまう。山の主様に罰を与えられそうな考えだ。

土砂崩れのお陰で近場で良い石がごろごろと採れる。

なんか幸先いいな。わくわくしてきた。新しい小屋でも造るか。今のところ使い道ないけど。

支援

支援

水爆作るのかと思ったら違った

地の日 曇

なんかコボルト達が土産を持ってやってきた。よっぽど勇者様の援軍が嬉しかったようだ。

丁度来たのが生産職を担う奴らで、倉庫の改装を手伝い始めた。

なんで技術持ってる奴はどうしてこうも物作りが大好きなのか。自分もだが。

以外に早く倉庫の大改造が終わってしまった。倉庫のLvが5ぐらいあがった感じだろうか。

しばらくは鍛治以外の物作りしていると話したら、目聡く積まれた木材について聞かれた。

意味も無く小屋を造るつもりだと答えたら、他の連中も呼んでとっとと作っちまおうぜ、とか言い出した。

こいつら自分達の仕事はいいのか、と思ったら、更に新しい採掘場が見つかり、今は内部調査の為、非戦闘員の立ち入りを禁止しているらしい。

つまんね

水の日 晴

小屋……というか小さい家ができた。本当に小さい家。

何だろう、一人用の小さい安い宿みたいな。作っている時は特に考えていなかったが、これ本当にどうしよう。

物作り会は夜に自分と六匹のコボルトで鍋をつついてお開きになった。

倉庫改造と小屋の案を一週間くらいかけてやろうと思っていたがどうしようか……。

明日は山を歩くか。

試演

コボルトかわいいな
犬頭の奴しか想像できないが

火の日 晴時々曇

軽く土いじりをして山に散歩。

土砂崩れの爪痕は今尚残るが、だいぶ青々として活気を取り戻しつつある。いい事だ。

上へ上へと進み、崩れた地点よりも上へと登ると良い山菜が群生している箇所に出る。

必要な分だけ採り上流の湖へ。二時間ほど粘ったが釣れたのは一匹だった。

戻ってくる頃には日が暮れていた。たまにはこんなスローライフもいいものだ。

風の日 雨

今日は小屋の活用について考えるとする。

ぶっちゃけ要らない。

よく依頼主が泊まったりする事もあるが、一人ならこっちの家で十分。向こうのが狭いし。

利点といったら綺麗な事と、共同のスペースで生活したくない人ぐらいか。そんな奴、わざわざ山まで来て依頼はしないだろう。

とは言え物置に使うには勿体無いし、今後はちょっとした家具を作って寝泊りできるようにするか。

いっその事、あっちはのんびり暮らすをテーマに娯楽とか置いてみるか? いや要らないな。

支援

支援

沌の日 晴

晴れた事だしちょっと町まで下山する。

顔馴染みに小屋の活用について、参考まで考えを聞いてみる事にした。

が、基本的に客用にすればという意見が占めた。それはそれでいいのだが何か面白みに欠ける。

そしてやっぱり出てきた案がだらだらする場所だった。本棚でも作って本を揃えようものか?

などと思っていたら、特殊構造の鎧をのんびり作りつつ、置き場にしてしまえばいい、とも言われた。

理由を聞いたら初めは剥き出しの内部構造に、少しずつ出来上がっていくのって楽しくないか、との事だ。

それは認めるが、流石に山の中で鎧を求める者もいないだろう。

だが特殊構造か……ちょっとしたからくりでも作って置いておこうか? いややっぱり使い道無いって。

天の日 晴

今日はベッドを作ってみた。一先ず小屋でも泊まれるようにした。ベッドしかないけど。

よくよく考えたら風呂は一つだし、寝る場所を別にしただけにしかならないな。

何の意味があるんだろう。女性客? いやでも風呂は共同だし。

というかこんな山奥まで依頼しに来る女性はいないだろう。

むしろ今まで女性客がいない。あれ? この小屋本当にどうしよう?

でしでし

こんな鍛冶屋にアダマンタイトの大鎌を造ってもらいたいな

冥の日 雨

早朝、鉱夫コボルト達がやってきた。

魔王軍のゴーレム種が暴走しているという。魔王軍は基本、統率がとれているというのに。

それも魔法生物のゴーレムだ。命令には忠実のはず。と思ったら、鉱山に迷い込んだゴーレムが山に滞留する魔力に当てられたようだ。

最深部なんてどれほどの力が流れているから分かりはしない。山に住む人は勿論、コボルト達だって近づきはしない。

原因はいいとして。どうやら彼らは自分に援軍を求めてきたようだ。ゴーレムぐらいなら何とかなるか。

とハルバードを担いでコボルト陣営に赴く。中型のゴーレムだ。その数20。20?! 多っ! 到着時は本当にこんな感じだった。

薙ぎ払っては崩し薙ぎ払っては崩しの繰り返し。朝にコボルト軍と合流し戦闘開始、ゴーレム軍が鎮圧されたのは夕方であった。

雨の所為で冷える。風邪をひきそうだ。

援軍の報酬としてゴーレムより得た石材を大量にくれた。当分石材には困らなさそうだ。

地の日 晴

案の定風邪をひいた。くそっ。

喉が痛い。熱が酷い。まともに動けん。

保存食をちまちま食べつつ、薬を飲んで暖かくしてひたすら寝る。

水の日 曇

だいぶ楽になったが微熱と痛みと鼻水は続く。

少し本に手が伸びかけたが、読み耽って悪化するのが目に見えたので我慢。

多少動けるようになったので軽く食事を作る。

薬草スープぐいっと飲み干す。黒胡椒を入れすぎた。辛い。旨い。黒胡椒最強説。

淡々と支援

なにこれ

火の日 晴

体が軽い。ひゃっほう。

思わずテンションが上がり、ハルバートで素振りを始める。うん、やはり体を動かすのは気持ちが良い。

色々あったがそろそろ金槌を振りたくなってきた。しかし依頼が無いし、無駄に造るのもあれだ。

と思ったら、町で卸す商品の補填をしていない事に気付く。しばらくはのんびり造るかな。

というかゴーレム討伐で得た石材の山をどうしよう。というか何に使おう。倉庫を更に改良するか?

風の日 快晴

暑い。ていうか熱い。でも厚くはない。

そんな天気だったが嫌いじゃない暑さだ。

しかし工房に篭るには死ねる。という訳で近場の池にダイブしてきた。

気持ち良い。そろそろ夏本番か。虫対策をしなくてはならないな。

今年は美味い西瓜が出来るといいな。

途中、河原ではしゃぐコボルト達を見た。山の内部はまだ調査中で外で涼むしかないようだ。

沌の日 晴

今日も町で卸す用の商品作り。昼飯中に来客あり。

黒い鎧を纏い、ピリピリと肌に刺さるような魔力を放つ者だ。どう見ても魔王陣営です本当にありがとうございました。

勇者様に強力な剣を作ったとして殺しに来たのかと判断し、矢継ぎ早にロングソードを四本投げつける。

第一印象違わず、四本全てをひらりひらりとかわす。これはもうダメかも分からんね、と思いつつも全力で迎撃にあたる。

立て掛けてあったハルバードを引き寄せる力のままにフルスイング。が相手は一歩踏み込みピック部を回避して盾で受け止める。

詰んだ、と思っていたら相手は敵意は無い事を告げながら兜を脱いだ。長髪ブロンドの美人だった。

大変腕の良い鍛冶師だとは聞いていたが、まさかここまで戦える者だとは、と感嘆していた。魔王陣営なのにそれでいいのか。

しかし敵意が無いのに襲い掛かってしまったのはこちらの非。相手が人類の敵とは言え、頭を垂れて謝罪をすると向こうも改まって誤解を与えた事を謝罪してきた。

そこら辺の人間よりよっぽど礼節のある者だ。すげえ。

そこで美少女がはっとしてまた一礼をして名乗った。魔王軍最上位の魔王であると。

沌の日 一日の内容を2ページで書く日が来るとは

美少女が魔王そんなバナナ、と信じられなかった。顔に出ていたのか本当なのだよ、と苦笑いをされてしまった。

何でも魔王城には常に最強クラスの剣を備えて勇者達の指揮を高めるものなのだが、先代の時に戦闘中に砕け散ってしまったそうだ。

その為今回、この美少女魔王は人間の中に非常に腕が立つ、という噂のある自分の所に製造依頼をしに来たという。

疑問に思う事がある。わざわざ敵に塩を送る意味は? 史上では幾度と無く魔王は現れ、勇者に討たれている。それでもそんなものを備えるなんて。

というと、魔王側には魔王側の事情があるらしい。というより根本的に人間の認識を遥かに超えたものがあった。

魔王とは適度に人間を襲い、勇者に討たれるのが役目。そして勇者達を盛り上げるのも役目の一つなのだ、とこれでも魔王業は大変なのだぞ、と溜息混じりに言われた。

死ぬ事が役目なのか? と問えばその過程も大事であるがその通りだ、と言う。理解できない。

これによって魔界で動く経済があるのだと言う。本題はそこじゃない、殺される為の人生ではないか。辛くは無いのだろうか。

彼女は寂しそうに笑ってみせた。幼少より魔王になるべくそう教わってきた。ラストバトルという儚く、それでいて何よりも輝かしい一瞬に打ち震える幸せを得るのだ、と。

私にはそれ以外の幸せは何たるか、むしろそれ以外でどう幸せを感じられるか。それが分からないんだと語った。

ほう

しえん

沌の日 魔王の話は重たいし書かずにはいられない

なんとも不憫な人生だと思うが、本人がそれで良しとする以上、こちらからこれ以上何かする事もできる事も無い。

どうも後味が悪いというか……目の前にいる者はこれから死にに逝くようなものだというのは気分が悪い。

だが、仕方が無いことなのだろう、と引き下がり本題の依頼について聞くと、オリハルコンで剣を作って欲しいという事だ。

差し出されたオリハルコンを見て固まる。伝説級の金属だ。生きている内に見る事になろうとは思いもしない。

それをまさか自分が打つだなんて。汗が吹き出た。こんな大仕事、というか一世一代級がまだまだ未熟な自分にくるなんて。

その様子を見て魔王は、無理なら断ってくれていいのだぞ、と気にかけてくれる。

失敗は許されない。正直断りたい。だが、オリハルコンを打つ機会などこの先にあるだろうか?

鍛冶師としての興奮に負けて依頼を引き受ける事になった。また資料集め……今回は今ある資料だけでは難しいだろうから余計に時間がかかる。

三週間ほどの時間が欲しいと伝えたら、魔王はこちらの引き受ける意思に喜んでくれた。

今日一日は仕事を休むとしているらしく、今日はここに泊まらせてほしいとまで言ってきた。まさか小屋が役立つ時が来るとは。

支援

天の日 晴

昨晩は魔王と談笑しながら夕食に着いた。世界広しと言えど、魔王と夕食を楽しく共にした人間はいるまい。

依頼についても少し詰めた話をすると、資料集めなら魔王の方でやりくりしてやろうとの事だ。太っ腹な依頼主だ。

確かに一人で集めるには時間も質も量もかなり限られる。魔界の資料や単純に広域で探してもらえるなら越した事は無い。

早朝、魔王は城に戻ると発っていった。朝食を取るには早すぎるので、せめてと弁当を渡したら顔を綻ばした。

こうした食事も弁当などというものも私は初めてだ。思えば、こうして軽く話し合える者もいなかったな。

お前がいてくれて、そして噂の鍛冶師がお前であってくれてありがとう。

魔王はそう言って、黒い翼を生やして飛び立った。嬉しい事を言われたが、それと同時に複雑にも思う。

だからこそ、彼女の為にも頼られた役割だけはきっちりと果たそう。

一週間後に資料を届けられるまでに、出来る限りの準備を行う事にした。

冥の日 曇

片っ端から薪を掻き集める。ついでにコボルト達に会い、オリハルコンに関する情報も聞き出す。

が、流石に彼らの中でもオリハルコンに関する知識は乏しいらしく、鍛造技術も明確でないらしい。

依頼主が頼りという依頼というのも珍しい。

柄の案を練る。最高級の金属の剣だ。見劣りするような柄は許されない。

何よりこれがこれから先、後世にまで引き継がれるのか。

そういえば、常々歴代勇者の剣が消えてなくなるのは魔王達の所業だったという事か。

地の日 晴

朝、コボルト達が集まってきた。明日より新採掘場での作業が始まるらしく、暇なのは今日が最後とオリハルコンを見に来たらしい。

流石に付き合いのあるお前達とは言え、依頼の材料を見世物にする訳にはいかない、と告げると大量の薪や石炭を見せた。

材料等を貢献する変わりにという事の様だ。確かに有り難いし必要な物である。

こういうあたり、道理を理解しているというかきっちりしているというか、しっかり考えて行動するから困る。

午後からは資料を漁るに漁った。勿論オリハルコンについては多少は記載されているが、いざ扱う時に役立つ知識は塵ほども無い。

仕方が無いと伝説の武具の図鑑も引っ張り出す。

伝説の武器はどういった種があるか。どういった物が無難か。

まさか雲を掴むような存在の武器を真剣に学ぶ時が来るとは。

普通に書いてたほうが面白いのに、死ねるとか本当に~とかが凄く残念

水の日 曇

いくつかの案を出す。

高貴さを引き立たせつつ、スタンダードな両刃の剣。熟練者仕様として棟側が特殊な形状の剣。

限界のラインまで細く長くした神速の剣。ぶ厚く片刃だけの耐久性と威圧感の高い剣。

魔王が来たらどれがいいかを聞いてみよう。それまでにどれでもいいように柄を揃えておこう。

と思ったが、わざわざ資料を届けるだけの為に魔王が来るだろうか? しまった、大誤算だ。

火の日 晴時々曇

柄を丹念に作っていく。剣の種類に合わせて柄の装飾の度合いも変えていく。

思えば装飾の多い剣と言うのもあまり経験が無い。儀礼的な武具の図鑑を片っ端から読み漁り、知識だけは集めていく。

午後には柄も一通り出来上がる。

こちらの準備は出来た。後は資料を待つばかり。

なのだが、工房の中をうろうろしたり、無闇に炉に火を入れてしまう。

間もなくオリハルコンを打つという興奮と緊張と不安で、挙動不審になってしまっている。

今もベッドの上でこれを書いているが、この後眠れる自信が無い。

風の日 曇

明日だ。明日やってくる。

そう思うと事の重大さに不安になり涙したり、緊張のあまり一人おろおろとしたり。

果てには一瞬だけ吹っ切れて笑い飛ばしたり、責任の重さに静かに病んでいたりする。最早情緒不安定である。

そんな時に兵士のコボルトが顔を出して、自分の奇行に青ざめる。

しどろもどろに事情を話すと、気持ちを落ち着かせようとミスリル銀で何か簡単な物を作ってくれと言われる。

ミスリル銀で簡単な物ってなんだよと思いつつも、震える手でインゴットを受け取る。

何を思ったのか、出来上がったのはミスリル銀のつるはしだった。うん、見事なまでにミスリル銀の無駄使い。

コボルトも馬鹿だ馬鹿がいる、と輝かしいつるはしを見つめながら呟いた。だがお陰で、気持ちが落ち着いた。

精神力を高める為、夜中に滝に打たれにいく。少し満月を過ぎた頃で明るい。

ミスリス銀のつるはしってかなり便利じゃね?
錆びないし危険が迫れば教えてくれるし

沌の日 晴

何時来るのかとそわそわする。思わず木材で椅子を作り、外で座って待ってしまうぐらいそわそわしている。

すると空からふわりと魔王が降り立った。今回は兜を付けてこなかったようだ。

やはり黒鎧に金髪は栄える。何より顔も整っており美しい。

今回マイナス点があるとしたら、大量の本を背負っている事ぐらいか。凄い違和感だ。

魔王は開口一番、先日の弁当が美味しかった事とその礼を述べてきた。

本当に良い子だが、どういった環境で生活し、それを窮屈と思っていないのかが窺え、複雑な気持ちになる。

どうやらまた一日、休みを得て来たらしい。

それらしい資料を集めたから、精査をかけねばなるまい、とその手伝いをすると言い出した。本当に魔王なのだろうか?

とは言え、彼女と過ごせるのだから嬉しい。絶世の美人と言っても過言でない女性だ。

時には談笑しつつ作業を進める。最近羽振りが良くて助かる。多少見栄を張った食事が提供できるのだから。

天の日 曇時々晴

ある程度、資料も集め終ったところで今日は読み耽って理解を深める。

魔王は再び早朝に発っていった。また弁当を作って渡したら軽く断られたが、折角作ったのにと言えば簡単に受け取ってくれた。

断ると言っても顔は綻んでいたし、形だけであって内心は喜んでいたのだろう。きっとそうだ。そう思う事にしよう。

剣についてはぶ厚い威圧感のあるものがいいと言われた。ある意味聖剣なのに物々しいタイプを選択した。なんて魔王ださすが魔王。

この物好きめ、と言ってやると魔王は不敵に笑いつつ、幼少の頃より変わり者と呼ばれた者の感性を舐めるでない、と言い返された。

不敵に笑う魔王可愛い。今気付いたが何気に幸せ者の部類に入るのではないだろうか。

最もそれも依頼の間だけだし、彼女は彼女で死に逝く身である事を思うと、やはり複雑な気持ちにならざるを得ない。

支援

冥の日 雨

何度も読み返し頭に叩き込む。一分のミスも許さない為にも、幾度と無くシュミレーションをする。

オリハルコンを手にする。いよいよ明日から手にかける。

魔王からは何時でもいいから、剣を造る時は呼んでほしい、と魔石を渡されている。

これを割ると魔王が持っている対の魔石が割れるとかなんとか。

鍛冶師の仕事というのを見てみたいのだという。だがいきなり呼んでもアレだし、ある程度形になりはじめてから呼ぶ事にしよう。

明日からは当分、日記を書く事も出来ないだろう。

風の日 夜は晴れていた

日記を前にして何日かかったかを計算する。

冥の日を次の日、地の日から次週の風の日だから11日かかったのか。

凄い時間がかかった。しばらくは寝て過ごしたいが、最近畑仕事がなおざりになっている。休めないな。

依頼品完成の連絡用に魔石を砕いた。明日、魔王がやってくるだろう。

なんだかんだで魔王と共に過ごす時間は楽しかった。それもこれで終わりだと思うと何ともいえない気持ちになる。

風の日 夜は晴れていた

日記を前にして何日かかったかを計算する。

冥の日を次の日、地の日から次週の風の日だから11日かかったのか。

凄い時間がかかった。しばらくは寝て過ごしたいが、最近畑仕事がなおざりになっている。休めないな。

依頼品完成の連絡用に魔石を砕いた。明日、魔王がやってくるだろう。

なんだかんだで魔王と共に過ごす時間は楽しかった。それもこれで終わりだと思うと何ともいえない気持ちになる。

しえん

沌の日 晴

昼頃になって魔王はやってきた。出来た大物の刀剣を見るや否やおお、と感嘆の声を漏らした。

どうやらお気に召したようだ。

魔王はそれを丁寧に丁寧に包んで抱えた。今日は休みがとれなかったのだよ、と寂しそうに笑った。

かなり色をつけられた報酬を渡してくると、魔王は飛び立っていった。

しばらくは日々を寂しく思うのだろう。

畑は雑草が生い茂っていたが、野菜もすくすくと育っていた。今日は草むしりの日。

えん

天の日 曇

畑の整理も一息ついた感じだ。

新鮮な野菜が食べたくなったので山を降りて買出しに。

念の為にと刃物研ぎの道具は持ってきたがいまいち精が出ない。

何なのだろうこの気持ちは。もしかしたらこれは失恋の思いなのかだろうか。

今まで武道と金属を打つ事だけに生きてきた事もあって、これがそうなのかは定かではないが。

だが、彼女に恋慕を寄せていた事を理解していたとして、自分如きにどうにかできたとは到底思わないが。

冥の日 晴後夕立

夏本番を向かえ、畑の周りを整備した。

ら、待ってましたとばかりに今年一発目の夕立が襲い掛かってきた。

間に合って良かったと胸を撫で下ろす。

夕立のお陰で今日の夜は涼しい。

顔に鼻血塗ってインディアンごっこすんの楽しすぐるww

こういう爽やかなの読むの久しぶりだったのに>>85のせいで気分台無しだ

大人しく支援

地の日 晴

小屋の方の布団を干した。持ち上げた時に良い香りがした。

これが魔王の香りかと少し興奮した。興味が無いと言えば嘘だが、それ以上に鍛治に関する事の方が頭の中で優先される。

だがこうして反応できる辺り、まだ自分は人間で男なのだろ認識できる。良いのか悪いのか。

人間である事男である事を捨てたとして、それで鍛冶師としての腕前が上がる訳でもないし、あって下がる訳でもないから良い事か。一応だが。

木陰で昼寝をしていると黒い姿の来客があった。魔王だ。

思わず息を飲んだ。幻覚だろうかと思ったが本物だった。

どうやら粗方仕事も片付いたらしく、勇者様が辿り着くまでは暇もできるらしい。そして行くあてと言ったらここぐらいしかないのだと。

流石に泊まるほどの時間は無いらしいが、一日いたりはできるらしい。

素直に嬉しい話で今日はただただ談笑し、夕食を共にした後帰って行った。

水の日 晴

身に渇をいれて引き締める為にも、この山の奥であり隣接する霊峰に向かう。

遥か昔はそこにも人はいたらしいが今は里の跡しか残っておらず、大きな祠も点在している場所だ。

何時来ても身が清められる思いである。言うほど何度も来れる場所でもないが。

僅かな山菜を摘んで煮込み、それを夕食にした。

一日で往復できない距離である為、今日はこの里の跡で野宿する。

なんか切ない

剣を造る時にちゃんと魔王を呼んだのか?
ただ描写が省かれてるだけか

>>1
お前農作業の経験ないだろ。あんまりふざけてんじゃねえぞ

火の日 曇

目覚めると主様が近くで草を食んでいた。何とも幻想的な。

邪魔するのも申し訳ないので、そっとその場を後にする。

途中にある沢で川魚を一匹頂いて朝食とした。塩焼き旨い。

家に着く頃には日がだいぶ傾いていた。

庭の椅子が木陰にあり、魔王が座ってうとうとと転寝をしていた。何これ可愛い。

聞けば来てみたはいいもののメモ書きで今日帰ってくるとの事だったから待っていたらしい。悪い事をした。

日暮れまでしか居られないとの事だったので、早めに夕食を作り共にした。

今の日本で農作業があると言える人間って何%だろうな

風の日 晴

久々に旅人の客だ。製造、というよりも売って欲しいとの事だった。

在庫置き場に案内すると、しばらくあれこれ物色した後、二振りの刀剣を手にした。

試し切りはいいのだろうかと確認すると、貴方が作った物の切れ味をわざわざ確かめるほど無粋でない、と言われた。

評判が一人歩きしている気がする。恐ろしい話だ、と思っていたら知り合いに自分が作った剣を使っている者がいて、実際に振るった事があるそうだ。

しかし、常に最高の水準で仕上がるわけでもないのだが、と言うと、旅人はからからと笑ってみせた。

職人からすれば杜撰な扱いをされていたあの刀剣で、あれだけの切れ味が維持されている。

それだけでわざわざ試す必要は無いものだ、と軽快に言われた。嬉しい事だがそれはそれでハードルが上げられている気がする。

沌の日 雨

昨日の旅人の話だと麓の町をちょっとした軍隊が通るらしい。

武器卸すにはもってこいだ。いや買ってもらえないかもしれないが。

久々に金槌を握りひたすら槍を造る。

明日晴れるといいな。下山の準備をし、早めに寝る事にした。

天の日 大雨

今日は不貞寝。

冥の日 晴

麓に行く全ルートがぬかるんでいる。流石に大量の槍を担いで行ったら容易く滑落するだろう。

何の為に軍隊が来たかは知らないが、多分そろそろいなくなるだろう。

というか目的次第だが、晴れたのだから出発するだろう。

取らぬ狸の皮算用とは正にこの事、と溜息をついていると魔王がやってきた。

何時も食わせてばかりでは、と土産を持ってきた。

魔界のとある国の銘菓で入手困難なバームクーヘンだと言う。

たかがバームクーヘンで入手困難、と思って一切れ食べてみた。

うめぇ! 思わず声を上げて驚いた。魔王はにやにやしながら見ている。

なるほど、ここまで定番の流れなのか。

支援

地の日 晴後夕立

ふと思い出して近くの洞に。果実酒を漬けていたのを忘れていた。

酒の味はよく分からないがとりあえずまあ旨いのだろうと思う。

少し容器に汲んで持ち帰る。

軽く酒を飲んだし、今日はもう読書をして過ごそう。と、武具の図解を読み出す。

昼頃だった筈が気付けば夜になっていた。やはりアルコールには弱い。

水の日 曇

珍しく早朝より魔王が訪れた。また手土産を持ってきたようだ。

どうやら酒らしい。何と言うかタイミングがまた……。

今日も鍛治は止める事にし、昼食を豪勢にして二人で飲む事にした。

昼間っから酒とはいい身分だ、と言ったら何たって王だからな、と言い返された。

忘れていたが本当にそういう立場の者なんだよなぁ。と言っても聞く限りじゃ、人間側の王位とは違うようだが。

それにしても彼女は酒に強い。結構なペースで飲んでいく。そして昨日の果実酒を目聡く見つけ、それも半分ほどさらりと飲む。魚かお前は。

気付けばとっぷりと暮れていた。やはり眠ってしまったようだ。魔王の姿は勿論無く、自分には毛布が掛けられていた。

次の機会では穴埋めをしないと申し訳がないな。

火の日 晴

久々に町に商品卸しと刃物研ぎに行く。

食料を買い込み家に帰ろうとしたら行商人の一団と出会った。この辺りを通るなんて珍しいな。

と思ったら自分が造る武器が目当てだという。なんなら在庫を全部売ろうかと言うと、商品達は大はしゃぎをした。

今ある在庫を箇条書きにし、それをあの山から運べるかと問うと、今手持ちのだけ全部買います、と改まった。

大商人にはなれなさそう一団だな。

支援

風の日 晴

全部売り切れるというのも滅多にない事。

という事で今日は在庫の補填をすべく、金槌振るって剣だの何だのと造る。

しかし今日はやたらと旅人の来客が多い。それも依頼ではなく購入で。

何かあったのかと事情を聞くと、すぐ近くで行商人達が高額で剣を出しているそうだ。まじぼったくり。

この地方より遠くにいる人の多くが、名前こそ知れどこの場所まで知らないらしく、行商人が売る剣を見て近くに本人がいるのでは、とこぞって探していたらしい。

で、麓の町でここまでの道を知り押しかけてきたと。

確かに金にはなるがあまり売れすぎても補填が間に合わないし、材料の供給にも限界がある。

何より無理にこの山を登ろうとして遭難する者も多い。その為、旅人達にはあまり言い回らないよう頼むと快く了承してくれた。

自分が住む場所で死者が出るというのも気持ちが良い話ではないからなぁ。

支援

沌の日 曇時々雨 ※書いたのは翌々日冥の日

また早朝から魔王が来た。なにやらどこか暗い。

正直聞くべきか悩んだが、恐らく魔王としてのしがらみに関する事なのだろう。

今日はよくお前とのような気楽な付き合いが、お前が私の部下であってくれればというような事ばかり言う。

こういう時何と言ってやればいいか分からないが、彼女は今の俺とのこの付き合いは良しとしているわけだし、

自分はここにいるし、何時でも魔王を歓迎すると伝えた。

今思えば失言だった。これから死ぬ彼女に何時でも、なんて酷な話ではないだろうか。

魔王は寂しげな笑みを見せた後、にっこりと笑ってありがとうと言った。

昼には魔王は帰っていった。そして夕方、遠くで爆破魔法を連続で打ち上げる音が聞こえる。

その意は祝砲。膝を突きうつ伏せに倒れ、日が昇るまで動く気にはなれなかった。

天の日 雨 ※書いたのは翌日冥の日

朝日が輝かしい。嫌味の様だ。

ゆっくりと起き上がり、近くの椅子に腰を掛けるが全身が軋むように痛い。

何も考えられないというのはこういう事なのだろうか。

そのまま動けずにいるとコボルト達が鉱石を持ってやってきた。交換する日だったか。すっかり忘れていた。

コボルトは自分の有様を見て真っ青になり自分の介抱をし始めた。正直、もう放っておいて欲しい。

冥の日 曇

付きっ切りで自分を看るコボルト達が早朝、大騒ぎを始めた。

気に留める事もなく、何を見る事も無く、そのまま真っ直ぐ天井に顔を向けていたら青ざめた魔王の顔が目の前に現れた。

一瞬何が起きているか分からず、別の意味で何も考えられなくなった。

その間、魔王はあたふたと何があった、大丈夫なのかとしきりにこちらに安否を問いかけてきた。

何かを言わなくては、と思うものの喉が渇いて声が出せなかった。

せめて何かを伝えたいと必死になって取れた行動と言えば、魔王の手を取り引き寄せ抱きしめる事だった。

コボルト達から口々に死ね、という言葉が聞こえた。後で詫びに行かなくては。

それからしばらく落ち着いた所で、お互いに状況を話し合う。

まずは自分の事から話すと魔王は照れながら、それほど大事に思われていたのか、ありがとうと言ってくれた。

コボルト達はあの旦那がか、やはり旦那もちゃんと性別があったのか、と口々に言い最後には死ねと言った。うん、詫びに行こう。

コボルト可愛いwww

コボルトwww

冥の日 2ページ目

魔王はと言うと、二日前に城に帰った時には魔王城が陥落していたという事らしい。

どうやら勇者様達が早馬を用いて、一気に魔王城に攻め込んだのだ。

今まで勇者様達は徒歩だからと試算していた日数を大幅に短縮してきた。もしかしたら作戦として考えていたのかもしれない。

兎にも角にも魔王は命を落とす事も無く、魔王城陥落という形で人間側は勝利を宣言したのだという。

で、肝心の魔王の立場だがかなり困った事になったらしい。何せ前代未聞である為、魔界では長い時間審議を行ったらしい。

とりあえず、魔界としては魔王は倒されたって形で進むとして、死ななかった現魔王をどうしよう? という状態らしい。

何やら好きにしていいよ、な流れになってしまったので、とりあえずここに来たのだと言う。

魔王城を失い、寝る場所もないらしいのでしばらくは一緒に暮らす事になった。

昼と夜では魔王は休んでいてくれ、と言いテキパキと料理を作っていった。

不器用ながらも一生懸命さが伝わる料理だったがとても美味しく、涙が零れてしまった。恥ずかしい限りである。

地の日 晴

ここ数日とは心機一転。ひたすら金槌を振るい鉄を打つ。

コボルト達への詫びも含め、既に受け取ってしまった材料分の交換物資を大急ぎで造る。

魔王は小気味の良い音だと言ってくれたが、それを気にする余裕はありはしない。

一本、二本とつるはし等の道具が凄まじい勢いで増えていくのを見て、流石の魔王もその異常性に顔を引き攣らせた。

早朝から夜遅くまでかかって、交換分と侘び分が出来上がる。

明日はこれをコボルト達の所に……どうやって運ぶんだこの量。

と呆然としていると、魔王が付き添い魔法を使って手助けしようと言ってくれた。

一人では何往復する事になったのやら。

支援

水の日 曇

ある者は心配して損をしたと罵倒した。ある者はちゃんと男だったかと安心した。

ある者は死ねっと悪態を付いた。ある者はあまりにも早すぎる祝福を祝った。

そしてコボルト達は盛大な祝いをしていた。流石に自分の復活祝いという事のようだったが。

事ある事に自分と魔王との事で祝いの言葉が投げかけられる。

それを魔王は困った顔をしつつも、嬉しそうに笑ってくれた。

自分は初めて全うな人としての幸せに触れた気がする。

支援

ええぞええぞ

火の日 晴

一晩明けて一旦落ち着き。今後をどうするかを考える。

大きい依頼が続けば問題無いが、現実はそうも行かないだろう。

つまり二人で安定して食っていくには、更に何かをしないといけなくなる。

いっそ山を降りて何処かの工房かギルドに所属すべきかと考える。すると魔王は何故、一人でこんな所で暮らしているのかを聞いてきた。

昔は工房で働いていたが、大した努力も技術も無い奴が偉そうな事をほざいたから殴り倒して、一人で腕を磨くようになったと過去を話した。

魔王にお前は指導者には向かないな。集団に混じるべきではないと諭された。そんな気は元からあったさ。

しえん

魔王が鍛える剣…

…ふう

風の日 曇

昨日の話の所為か魔王は何か仕事は無いか、と催促してくるようになった。

そもそも戦う以外に何が出来るのだろうかと言ったら、色んな事ができるぞと胸を張った。

政治とか何とかとか、言い出して数十秒で知らない単語がぼろぼろ出てくる。

聞き方を変えてこの辺りでなら何が出来そうかと問うと、水脈を地図に起こすだの水路を作るだのなんだのかんだのと言い出した。

何やら幼少頃から多くの事を学ばされてきたらしい。土木は得意だぞ、と満面の笑みで言ってきた。

人間側にとってはとんでもない逸材かもしれない。

明日の朝まで残っていることを願い

支援

紫煙

沌の日 晴

人間界においてどれだけ有効か、を見る為にもしばらく旅に出る事に決めた。

ついでに工業都市で学ぼう。

長旅になる為、早めにコボルト達と麓に伝えないといけないな。

おまけにある程度、物は揃えておかないといけない。

しばらくは忙しそうだ。

面白くなってきやがったぜ

天の日 曇

ひたすら製造する。なんか数日前も同じだった気がする。

魔王は魔王で家事などを手伝ってくれている。助かる事だが家事を手伝う魔王というのも不思議な話だ。

明日も延々と造る事になるので日記もそこそこに就寝。

しえん

後少しなのに猿ぐぎぎ

10:00までありますように
ねよ

はよ

なんか最近のさるは
時間設定がめちゃくちゃ長い気がする
4分刻みでもダメかー

冥の日 晴

疲れた。

が、目標としていた数は造り終えた。後は明日にでもコボルト達と麓に行けばいいだろう。

そうしたらいよいよ旅支度を整えられる。

地の日 快晴

今晩は残っている食料で旅に持っていけない物をしこたま使った、結構、いや滅茶苦茶豪勢なものとなった。

挨拶も済ませたし、コボルト達には倉庫のつるはしは適当に持ち出してくれ、と伝えたし大丈夫だろう。

この長旅で魔王には告白、いやプロポーズをしよう。

彼女も共に付いてきてくれる、というより共に生活をするつもりで仕事などを考えている。

うぬぼれとかで無く、彼女もまた自分に思いを寄せてくれているのだろう。

だからこそ、自分は彼女に明確にこの思いを伝えるべきだ。もう彼女が居ない世界など味わいたくは無い。

地の日 2頁目

そしてこの日記帳は仕舞ってしまおう。見られたら恥ずかしすぎる。

これからは新調して、彼女が傍に居る事を考えた上で書き綴ろう。

一つの節目としては良いだろう。彼女ももう、討たれる事に幸せを見ていないのだろうし。

だからこそ、自分も一歩踏み出していかなければならないのか。

これからは自分が彼女を幸せにしていくのだから。







最後の最後でこの見開きのページを魔王に見られた。

恥ずかし過ぎて死にそうだが、顔を真っ赤にしつつも魔王が喜んでくれたから良し、いやプロポーズは格好良く決まらなくなった。死にたい。


     鍛冶師「人里離れたところでひっそりと暮らしてる」 完

乙!
雰囲気が好きだわ

えんだあああああああああああああああああああああああ

ちょっと篭ってくる

乙い乙い

乙でした
良い終わり方だったよ

乙、面白かった!

>>92
農業者って言ったって幼稚なものです。
でたらめなことを書けないSSなんてあるのでしょうか。

おつ

意外にもおもしろい

最後まで面白いSSでした。つい読み老けてしまいましたね

お疲れ様でした!

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