咏「もっと甘えて良いんだぜ?」(448)

ID:laoo2lUhOの代行

代行サンクス!!

咏「えぇっとー…」

えり「♪」ギュー

咏「えりちゃん?」

えり「はーぁい♪」スリスリ

咏(…わかんねー…)

えり「なんですかー?」ゴロゴロ

咏「そのー…」

えり「三尋木プロー?」

咏「な、なに?」

えり「ふふ……だーいすき♪」ニコッ

咏「……」キュンッ

えり「♪」ギュー

咏(…えーっと、なんでこうなったんだっけ…?)

――――――

―――――

咏「えーりちゃん!」ギュ

えり「わっ……み、三尋木プロ」

咏「今帰り?一緒に帰ろ?」

えり「ええ、いいですよ」

咏「よっしゃー」ギュー

えり「…三尋木プロ?そんなにくっつかれると歩きにくいんですが…」

咏「知らんしー」ギュゥー

えり「ですが外では…」

咏「別によくねー?」

えり「…………わかりましたよ」

咏「へへっ♪」

咏(えりちゃんに告白してOK貰ってから一ヶ月)

咏(変わったことっつーと、こうしてえりちゃんに堂々とくっつけることとか)

えり「…帰りましょうか」

咏「うんっ」

咏(前より一緒にいる時間が少し増えた。くらい)

咏(…っつーか…)

えり「…………」テクテク

咏「…………」テクテク

咏(……えりちゃんは、変わらない。付き合う前と)

咏(クールで、堅くて、真面目。…でもさ…わかんねーけど…)

咏(コイビトってさ、イチャイチャでラブラブしてて)

咏(甘えたり、甘えられたり…いや、えりちゃんが甘えてるトコなんて想像つかないけど)

咏(なんか…自分だけ変わっちゃった、みたいな。ホントに、よくわかんねーけど)

えり「…どうしました?」

咏「え、な、何が?」

えり「いや、なんだか元気がないような……」

咏「…んーん、別に知らんし~?」

えり「そうですか…?」

咏「そーそ。いっつも元気だぜ?」

えり「…なら、良いんですけど」

咏(えりちゃんは変わらない。こういうとこだけ、鋭いところも)

咏(……変なとこで、ニブいのも)

咏「なーなーえりちゃーん」

えり「はい?」

咏「今日ウチ来ない?」

えり「また、晩ごはん作らせる気ですか?」

咏「うは、バレたか」

えり「別に構いませんよ。でも、明日は早いので……」

咏「泊まっていきなよ」

えり「………は」

咏「泊まりなら問題なくね?知らんけど」

咏(そんでさ、たしかめさせてよ)

咏(…とか。言えないけどねぃ)

えり「………」

咏(……ああ。無理かね、こりゃあ。呆然としちゃってさ)

えり「…………」ウツムキ

咏「…あ、あのさ、無理なら……」

えり「……お邪魔、します」

咏「え?」

えり「三尋木プロが大丈夫であれば、泊まっても良いでしょうか」

咏「……もっちろん。誘った側が断るわけねーっしょ。知らんけど」

えり「それもそうですね」

咏「晩ごはんは豪勢に行こうぜ~」

えり「何を作らせる気です?」

咏「知らんし~」

えり「では、私は一度帰って準備してから向かいますから」

咏「いんや、必要なもんは買ってこうぜ」

えり「え?」

咏「そんで、家に置いてっちゃっていいから。そしたらさ、いつでもえりちゃんは家に泊まれるじゃん?」

えり「…………」

咏「早く行こ?いい加減店閉まっちゃうからねぃ」

えり「……はい……」

咏(…うっは、めちゃめちゃ嬉しい。OKしてくれるのかよ…!)

咏(初めての、お泊まり。とか…!うわ、うわわ、やべーッ!)

咏(晩ごはん作りに来てくれたことはあったけど、お泊まり!

咏(一緒の家で、ご飯して、お風呂入って、お喋りして…!その後は……)

咏(…べ、別にさ、やましい気持ちは…ゼロではないけど…もうコイビトになって一ヶ月だぜ?)

咏(キス、くらいしても…良いよねぃ?)

三尋木家

咏「たっだいまーっと」

えり「お邪魔します」

咏「どーぞどーぞ」

えり「前に晩ごはん作りに来て以来ですね…10日くらい?」

咏「めちゃめちゃ美味かったぜー」

えり「ありがとうございます」

咏「今日も期待してるかんな~?」

えり「ご期待に答えられれば良いですが…」

咏「えりちゃんのご飯はなんでも美味いに決まってる!」

えり「…もう。ハードル上げすぎですよ」

咏「知らんし~」

咏「~♪」

えり「えっと…お砂糖お砂糖…」パタパタ

咏(前も思ったけどさ、いいな~こーゆーの!)

咏(仕事で疲れてたのも、えりちゃんが一生懸命ご飯作ってくれるのを見てると、癒されるわ~)ホクホク

咏(しかもそれが!コイビトのための料理!ってね!コイビトってね!!)パタパタ

えり「………」ジュー

咏(…………)

咏「……ね、ねぃ、えりちゃん」

えり「はい?」ジュージュー

咏「なんか、手伝えることとか…あるかい?」

えり「大丈夫ですよ。三尋木プロは座っていてください」

咏「でも…」

えり「お疲れでしょう?私は大丈夫ですから」

咏「…そっか」

咏(…えりちゃんは、いつもどおり。クールで、堅くて、真面目)

咏(思い上がりすぎてた…かねぃ……一人で舞い上がってさ)

咏(えりちゃんはどうなのさ。嫌ではないみたいだけど)

咏(えりちゃんは、楽しいの?)

えり「…よし。できました」

咏「待ってましたぁ~っ!」

えり「そんなにお腹空いていたんですか?」

咏「もーめっちゃめちゃ減った!はーやーくー」

えり「はいはい」クス

咏「うひょーうまそー!」

えり「お口にあえば、良いですけど…」

咏「いっただっきまー!」

咏(めちゃくちゃ幸せだ。だってえりちゃんのご飯だから。目の前にいるのがえりちゃんだから)

咏「うまーっ!さっすがえりちゃん」

えり「ありがとうございます」ニコ

咏(えりちゃんの笑顔を見るのも好きだ)

えり「…ん、塩加減足りなかったかな…」

咏(えりちゃんは、どうなのさ。人をこんだけ幸せにしておいて、自分はどうなのさ)

咏「ちょーどいいぜ~塩加減も愛情も絶妙!」モグモグ

えり「そうですか?」

咏「あったり前~!」

えり「…良かった」ホッ

咏(…こっちのことばっかりで、自分のしてほしいことなんも言わないでやんの)

………

咏「ごちっ!」

えり「お粗末様でした」

ピピピッ

咏「お、ちょーど風呂わいた。えりちゃん、先に入ってきなよ」

えり「お風呂…私が先に?」

咏「えりちゃんはお客様なんだから遠慮なし~」

えり「でも、三尋木プロ…」

咏「ごちゃごちゃ言うなら一緒に入ろっか~?」ニヤ

えり「!」

咏「どーよ、一緒にお風呂。んん?」

えり「…………じゃあ、お先に…」

咏「そそ、遠慮しない遠慮しない。かったいんだから~」

えり「では、失礼して…」

咏「おー」フリフリ

咏「………」

咏(…ちょーっち期待したんだけどねぃ~)

咏(そーうまくはいかないよな~知らんけど)

咏(…………)

咏(……お、おお!?)

咏(今えりちゃんウチの風呂だよな!?霰もない姿でウチの…)

咏(うわー、うわ、うわー…なんだ、ドキドキしてきた!)

咏(てかさ、てかさ、このあと…風呂あがりのえりちゃんとか、見れるんじゃね!?)

咏(…あわよくば…あわよくば……)

咏(…あわ…よく…ば………)

咏(…………)

咏(何考えてんだー!?)ガーン

咏(てかさ、お泊まりってアレじゃね、バイオレンス感アリアリじゃね!?)

咏(うっひょ、やっべー!マジやっべー!!)

咏(…だから何考えてんだぁー!?)ジタジタ

………………

咏(………疲れた。一人で何やってんだか)

えり「三尋木プローあがりましたよー」

咏「あ、ああ!わかっ………」

えり「良いお湯でした」ホカホカ

咏「…うは。えりちゃんのパジャマ、初めて見た」ジー

えり「あ、ああ……えと……」

咏「………」ジー

えり「…変、ですか?」

咏「いや、かわいい」

えり「…へ」

咏「いっつもカッチリした服しか着ないじゃん?なんか新鮮だわー可愛い!」

えり「…………」ウツムキ

咏(あれ?)

えり「…三尋木プロも、お風呂入ってきては?」

咏「お、おう!入ってくる!」パタパタ

咏(…地雷踏んだかねぃ…?わっかんねー)


えり「…………」


――――――

お風呂あがり

咏(やっべ、長風呂しすぎたかねぃ?)

咏(…さっきまでえりちゃんの入ってたお風呂って考えるとさぁ~…)

咏(…いやいや、やめやめ)ブンブン

咏「えりちゃーん、おまたせー」ガチャ

えり「!」ピク

咏「さーてと、なんか半端な時間だよねぃ~どうする?」

えり「…………」

咏「あ、ノド乾いてね?なんか飲むかい?」スッ

えり「あ……」

キュ

咏「…ほ?」

咏(立ち上がろうとしたら袖掴まれた?)

咏「ど、どしたん?えりちゃん」

えり「あの…飲み物は、大丈夫なので…」

咏「そ、そう?」

えり「大丈夫だから…そばにいて?」

咏「そ、そ…………えっ」

えり「……隣に、いて?」ジッ

咏「」ドキュン

咏(な、え、な、な…なにって?)

咏(えりちゃんが?え?え?わかんねー)ボーゼン

えり「…だめですか?」

咏「」

咏「だ、だめなわけないぜ!?知らんけど!知らんけど!!」

咏「よっ…」ストンッ

えり「…ありがとうございます」ニコ

咏「…え、えっとさ、どうしたん。えりちゃん」

えり「?」キョト

咏「な、なんか、いつもと違うような…」

えり「………」ジー

咏「…な、なに?」

えり「三尋木プロ…」

咏「うん?」

えり「一つだけお願いして、いいですか?」

咏「い、いいよ?全然、なんでもどんとこい!」

えり「…ぎゅーってしても、いいですか?」

咏「どんとこ………」

咏「…………」

咏「………ごめん、もう一回言って」

えり「ぎゅーってしても、いいですか?」

咏「」キュンッ

咏「い、いいよ…」ドキドキ

えり「……」ギュ

咏(あんなの誰も断れねーよ…)ドキドキドキ

咏(ぎゅーって言うから、抱きついてくるかと思ったけど…腕なんだな…)

えり「………」ギュー

咏「…え、えりちゃん?」

えり「……ふふ……♪」ニコッ

咏「」

咏(かわえええええ!!何!?何これ!?)

咏(つーか!腕に!なんか!柔らかい何か!何これ!?)

えり「三尋木プロ?」

咏「なにっ!?」

えり「…もっとぎゅーってしていい?」

咏「」

咏(大歓迎、喜んで!!)コクコク

えり「…♪」ギュー

咏(…おもちの感触が…)ドキドキ

えり「三尋木ぷろー…♪」スリスリ

咏「」

咏(うひゃーかわえーかわえー!)キュンキュン

咏(嬉しそうにさーニコニコしててさー頬擦りなんてしちゃってさー)

咏(普段のえりちゃんからは想像もつかないよねぃ~♪)

咏(………)

咏(……………)

咏(……いや、誰よ。この人)

~そして冒頭へ~

咏(だってさ、あのえりちゃんだぜ?)

咏(クールで、堅くて、生真面目なえりちゃんだぜ?)

咏(そのえりちゃんがさ、えりちゃんが……)


咏(だーいすきって……)

えり「ふふ…言っちゃった♪」ギュー

咏(だーいすきって…………)

咏(大好きだよこのやろぉぉぉ!!)

咏(あああ腕に抱きつかれてなけりゃこっちから抱きしめるのに!!)

咏(ぎゅーってしてナデナデしてスリスリしてぇぇぇぇ!!)

咏(!)ハッ

咏(…いやいや、何おんなじこと繰り返してんだか)

咏「えりちゃん。どうしたん、急に」

えり「?」

咏「い、いやその…いつもと違うなーっつーか…」

えり「あ……」

咏「い、いやその、嫌って訳じゃねーけどさ、むしろ嬉しいんだけどさ…」

えり「…本当に?」

咏「ホントホント!!」コクコク

えり「…よかったぁ…」ボソッ

咏「えりちゃん…?」

えり「あの、三尋木プロ?」

咏「う、うん!なに?」

えり「“咏さん”って呼んでもいいですか?」

咏「…!?」

えり「……」ギュ

咏「う、う、う……」パクパク

えり「…だめ、ですか?」シュン

咏「いい!凄い良い!!咏さん!」

えり「!」パァッ

えり「ふふ…咏さーん…♪」スリスリ

咏(なんかもう…なんでもいっかぁ~♪)

………………

咏「…ね、ねぃえりちゃん?」

えり「?」

咏「明日…早いんじゃなかったっけ?」

えり「あ……」

咏「そろそろ寝よ?」

えり「………」シュン

咏(かわいい)

えり「…………」ジッ

咏(うっ)ドキッ

えり「…………」シュン

咏「い、い、一緒に布団入る?」

えり「!」

お布団

えり「…狭くないですか?」

咏「う、うん…あったかいからむしろ…良い」

えり「私も、心地良いです…」

咏(一緒の…布団。一緒の……)ドキドキ

咏(これ…いいんだよな?その……いいんだよな!?)

咏(いくぞ…言っちゃうよ!?)

咏「えりt」

えり「咏さん」

咏「ほい!?」

えり「…おやすみなさい」ニコッ

咏「お、お、おう!おやすみ!」

咏(……ん?)

咏(…………んん?)

咏「…え、えりちゃーん?」コソッ

えり「……すぅ……」zzZ

咏(早っ!?)

咏(ってか、えー!え、えぇー!?)

咏(あれだけ期待させて、…えぇー!?)

えり「…んん……すぅ……」zzZ

咏(…………)

咏(…なんだったんだろうなぁ…)ハァ

咏「……ふぁ~あ」

咏(……寝よ。明日また、聞いてみよう)

………………
翌朝

えり「……ん……」

えり「…………」

えり(あ…そうだ、昨日の夜は三尋木プロの家に泊まって……)

咏「ふわ~……ぁ」

えり「」

咏「ん~……あ、おはよ~えりちゃーん…」

えり「………あ、……え……?」

咏「あーよくねたー」ノビー

えり「……な……なんで……」

咏「ほ?」

えり「どうして私、三尋木プロと同じ布団で……?」

咏「…え?」

ちょっくら風呂入ってきまする

ただいま
ついでに晩飯も済ませてきますた

咏「夕べえりちゃんがOKしてくれたんだぜ?」

えり「わ、私が!?夕べは……あれ……?」

咏「えりちゃん?」

えり「ええと……お風呂入って……それから……」ブツブツ

咏「どうしたん?」

えり「…たしか…、………」ハッ

えり「……まさか」ボソッ…

咏「?」

咏「あ、そうだ。ねー昨日のさー」

えり「三尋木プロ」

咏「お?」

えり「私、そろそろ支度して仕事に行かないと」

咏「あ、ああ…りょーかい」

えり「では」スッ

咏「…………」

えり「…あ」

咏「?」

えり「朝ごはん、作りましょうか?」

咏「…おっ、いいねぃ」

えり「じゃあ、パンと卵焼きで良いですかね」

咏「卵焼きはだし巻きでー」

えり「はいはい」

咏「よっしゃ~」

咏「…………」

咏(……あれ?もしかして今はぐらかされた?)

……………

えり「では、行ってきます」

咏「いてら~」フリフリ

パタン

咏「…………」

咏「……う~ん?」

咏(絶対なんかオカシイよなぁ?)

咏(起きて目ぇあったらスゲー驚いてたし…そのあともブツブツ言ってたし…)

咏(聞こうと思ったら遮られたし……でも、ホントにワケわかんねーみたいな顔……)

咏(……もしかして…マジで覚えてなかったり?)

咏(…いやいや、まっさかーそんな、ねぃ?)

咏(………)

咏「…わっかんねー…」

仕事終わり

えり「……はぁ」

ピリリッ

えり「?……メール……あ」

えり(…三尋木プロから…)

『えりちゃん忘れ物したっしょ~?とりあえず仕事終わり次第ウチに来るべし』

えり(…忘れ物?)

えり(…そんなのしたっけ…?)

えり「…………」

えり(取りに行くだけ…一瞬会うだけなら…そのくらいなら…大丈夫)グッ

ピッピッ

『今から向かいます』

三尋木家

ピンポーン

咏「へいへーい」ガチャ

えり「こんばんは、三尋木プロ」

咏「おっす、えりちゃーん」

えり「ええと、すみません私…忘れ物なんて…」

咏「んーんー、とりあえず上がって上がって」

えり「いえ、ここで、その…」

咏「いーからいーから~」グイグイ

えり「ちょ、ちょっと…!」

えり(さっそく予定崩れる…いつものことか…)タメイキ

咏(よし、予定通り!)

えり「それで、三尋木プロ…」

咏「ん~?」

えり「私、忘れ物に心当たりがなくて…何を忘れて行きましたか?」

咏「忘れ物っつーか…」

えり「はぁ」

咏「…晩ごはん?」

えり「…は」

咏「昨日えりちゃんの寝間着とかのついでに材料スゲー買ったじゃん?」

えり「そういえば…」

咏「正直材料だけあってもねぃ~料理作れんし」

えり「…それで、結局…?」

咏「晩ごはん作ってくの忘れてんよ~」ヒラヒラ

えり「……はぁ……」タメイキ

咏「晩ごはんは~んーとねぃ~」

えり「三尋木プロ…」

咏「ん?」

えり「急に連絡が入ったと思えば…ソレですか…!」

咏「うん」

えり「………」アタマカカエ

えり(こっちは、正直気まずいのに…人の気も知らないで…!)

咏「…だってさ…」

えり「はい?」

咏「…えりちゃんに会いたかったんだよねぃ」

咏「えりちゃんに会って、えりちゃんのご飯食べたかったんだよ」

えり「………」

えり「…………」ウツムキ

咏(…………)

えり「…晩ごはん…」

咏「!」

えり「何が、良いですか…?」

咏「いいの?」

えり「…………」コクッ

咏「よっしゃあ!大好きだぜえりちゃーん!」ギュ

えり「!」

咏「…へへ。今日はくっついてなかったからねぃ~」ギュー

えり「み、………っ」

咏「あれ?えりちゃんもしかして照れてる?」

えり「!」

咏「めっずらし~えりちゃんが照れてる~」ギュー

えり「そんな、ことは…」

咏「照れんなよー」ギュー

えり「で、ですから…」

咏「かわいいねぃ、えりちゃんは」

えり「……は」

咏「かーわいーい」ニヤニヤ

えり「…………」

咏「んー」ギュー

えり「……~~っ」

咏「…えりちゃん?」

えり「………」

咏「おーい、えりちゃ…」

キュ…

咏「お?」

咏(…抱きしめてたら腕回してくれた…)

えり「……♪」ギュー

咏(……わお)

咏「えり…ちゃん?」

えり「はーぁいっ」

えり「咏さん♪」ニコッ

咏(呼び方……!)

えり「咏さん咏さん」

咏「…なぁに?」

えり「あったかいですね」ニコッ

えり「落ち着く…」ギュー

咏「」キュンッ

咏(おぅふ、間違いねぇ…夕べのえりちゃんだ…)ドキドキ

咏(………)ドキドキ

咏(…さーて)

咏「詳しく聞かせてもらおうかぁ?」

えり「………!」

えり「…何を?」

咏「すっとぼけんじゃないぜ~?なぁんか隠してるっしょ」

えり「………」

咏「さぁさ、言っちまいな?」

えり「……し」

咏「お?」

えり「知らんしー……」

えり「……です」プイ

咏「」

咏(やばい、なんだ今のカウンターパンチ)キュンキュン

咏「…いーや、知らん。誤魔化されないね!」

えり「………」

咏「言わないと、アレだよ?えーっと…」

えり「…?」

咏「えっと、えーっと……ち、ちゅーするよ!?」

えり「っ!」

咏「ほ、ほら、どうなのさ!」

咏(うわー勢いでなーに言ってんだ…でも)

咏「ほら、しちゃうよ~ちゅー」ジリジリ…

えり「…ぁ…あ…っ…」

咏「正直に言ったら許したげるぜ?」

えり「わ……わかりました……」

咏「よぅし」

咏(…なんだこの複雑な気分…)

えり「正直に言いますから……」

咏「おぅ、はけはけ」

えり「えっと、その前に。…お腹、空いてません?」

咏「……そういやそーだねぃ」

えり「ご飯食べてからにしましょう?」ニコッ

咏「ん!」

えり「何が食べたいですか?」

咏「んーと、シチューの素買わなかったっけ?シチュー食べたい」

えり「はーい♪」パタパタ

咏「…ご機嫌だねぃ」

………………

えり「♪」コトコト

咏(うーむ……わっかんねー…)

えり「咏さん?」

咏「お、おう!?」

えり「そろそろできますから、お手伝いして貰っても良いですか?」

咏「なになに?」

えり「お皿出して、並べててください」

咏「おっけぃ!」

咏(えりちゃん……だよな?間違いなく…)カチャカチャ

咏(…ま、考えても仕方ない。後でジックリ聞くかねぃ…)カタン

咏(今は…とりあえず)

えり「さ、どうぞ♪」

咏「うひょーっ!うまそーっ!」

咏(楽しんだモン勝ちじゃね~?知らんけど!)

咏「いっただっきまー!」

えり「………」ドキドキ

咏「うん、美味い!美味いよえりちゃん、天才!」

えり「…よかった」ニコッ

……………

咏「食べ終わったし?」

えり「……」

咏「さぁて、聞かせてもらおっか~?」

えり「…わかりました…」

咏「まず、」

えり「あ、あの!…は、話す前に、その…」モジモジ

咏「?」

えり「…お隣…いいですか…?」

咏「隣?」

えり「…咏さんの隣に…座っても…」カァァ

咏「………」キューン

咏「…へいカモン」ポフポフ

えり「!」

えり「…♪」イソイソ

咏「で、本題なんだけど…えりちゃんだよね?」

えり「ええ。正真正銘、針生えりです」

咏「ん~…?」

えり「まぁ、単刀直入に言ってしまうなら…」

えり「別人格とでも思っていただければ」

咏「…………」

咏(…予想は、してたけど…ねぃ)

咏「……マジで?」

えり「後日でよろしければ、医師の診断書を見ますか?」

咏「…いんや、いい。信じる」

咏(しっかし……)

えり「!」スッ

咏(別人格って言うには、えりちゃんはえりちゃんって感じだし…)

えり「…………」ニギ…

咏(えりちゃんって言うには、あまりに駆け離れている)

えり「………♪」キュ

咏「…何してるん?」

えり「咏さんに手のマッサージを」キュッキュッ

咏「…………」

えり「指のここの部分をつまんでグリグリすると良いんですよ?」グリグリ

咏「~~~…!」

咏(これが…これがコイビト同士のイチャイチャ…!)シアワセカミシメ

えり「まぁ、別人格というのは言い過ぎですが…」グリグリ…

えり「もう少し細かく言いますと……あ、次は人差し指やりますね」

咏「う、うん…」

えり「私って…ええと。普段の私、今の私じゃない私…“表”とでも言いましょうか」キュッキュッ

えり「表の私はストレスを溜め込むタイプ、というのはなんとなく知っているでしょう?」グリグリ…

咏「そ、そうだねぃ」

えり「そのストレスって、大抵は何かをやりたいのに抑え込んでるから生まれてるんです。私の場合は、ですが…」

えり「次、中指しますよー」キュッ

咏「……」

えり「それで生まれたのが、今の私…そうですね…“裏”の針生えりでしょうか」グリグリ

えり「表がどうしてもやりたいのに、どうしてもできない。そんなジレンマの解消のためだけに出てくるのが私…裏です」

咏「………」

えり「次は小指…薬指はダメなんです。…何か質問はありますか?」キュッキュッ

咏「えーっと…何から聞けば良いのやら」

えり「無理もないです」グリグリ

咏(つーかマッサージで若干集中して聞けねぇっつの…)

咏「え、えーっと、じゃあ今のえりちゃんは…自分の好きなことやってるってこと」

えり「ええ。…あ、ご心配なく。モラルや常識は守れますから」グリグリ

咏「あ、ああ…」

えり「…と、言いますか。“針生えり”が常識はずれなことをしたがるって想像、できます?」

咏「…無理だねぃ」

えり「でしょう?基本的には理不尽なことや…自分にとって不慣れなこと、そのくらいです」

咏「…じゃ、じゃあ、さ……」ドキドキ

えり「はい?…あ、次は左手やりますね」スッ

咏「お、おう…。昨日とか、さっきも…その、裏えりちゃんのやってたことって…」

えり「表…いや。針生えりがやりたいこと、です。今しているマッサージを含めて」キュッキュッ

咏「………!」ドキドキ

咏「じゃ、じゃあ、言ってることも……」

えり「私が、どうしても言いたいこと……」

えり『ふふ……だーいすき♪』ニコッ

咏(きたあああああああ!!!)キラキラキラ

えり「はい、次は人差し指……」

咏「あ、あとさ…」

えり「ええ」

咏「ストレスって言ってたけど…ストレス発散とか、えりちゃんは無いの?」

えり「ありますよ?」

咏「でも、今裏がいるっつーことは発散できてなくね?」

えり「…針生えりのストレス発散は…仕事ですから」

咏「仕事……?でも仕事なら…」

えり「…咏さんとの仕事は…ストレスが溜まる、とは言いませんが…」

えり「かなりのジレンマがおきますから」

咏「…なるほど。素直に言ってくれりゃいいのに」

えり「…恋愛に不慣れなんですよ」

咏「不慣れ?」

えり「ええ。経験は人並み以下、限りなく0に近いかと」

咏「えりちゃんモテそうなのにねぃ」

えり「…まぁ、昔色々ありまして」

咏「ふーん?そういえばさ、裏えりちゃんが出てきたのって、初めてじゃないよねぃ?」

えり「ええ。ここ最近は全くなかったですが…」

咏「大体どのくらい?」

えり「ストレスの種類で言えば、4個目くらいですね。回数もあまり」

咏「初めて出てきたのはいつ?」

えり「高校…でしょうか」

咏「……結構早いねぃ」

えり「……昔のことです」

咏「もしかして、さっきの恋愛がどーちゃらの、昔の色々?」

えり「……よくわかりましたね」

咏「い、いや、なんとなくだけど」

えり「さ、他に質問は?」

咏「…あ、大事なこと聞くの忘れた」

えり「どうぞ」

咏「裏えりちゃんの発動条件と、表に戻る条件」

えり「ああ、簡単です。まず、戻るにはですが…」

咏「ま、なんとなく察しはついてるけどねぃ」

えり「ええ。寝れば戻ります」

咏「単純だねぃ」

えり「そして裏になる方法ですが、今回の場合…」

咏「………」ゴクリ

えり「“恥ずかしい”って感情が限界を突破したら、ですね」

咏「…恥ずかしい?」

えり「ええ」

咏「恥ずかしがってたん?」

えり「…あ、有り体に言えば」

咏「全然そんな風に見えなかったんだけど」

えり「…………表情に、出ないんですよ」

咏「出ない?」

えり「…いえ、出なくなった…が正しいでしょうか」

咏「…それも、昔の色々?」

えり「…ええ」

咏「…ん?昨日ってさ、えりちゃんはいつ裏になったん?」

えり「たしか…咏さんがお風呂に入っているとき、だったかと」

咏「何にそんなに恥ずかしがってたのかわかんねーんだけど」

えり「…………」ウツムキ

咏「だってさ、こっちは風呂入ってたわけだし。えりちゃんに何も…」

えり「…お風呂入る前に…何て言っていたか覚えていますか?」

咏「入る前?えーっとたしか、えりちゃんが出てきてー…」

咏『いや、かわいい』

えり『…へ』

咏『いっつもカッチリした服しか着ないじゃん?なんか新鮮だわー可愛い!』

咏「…おお」

えり「…思い出しました?」

咏「それで照れちゃったと」

えり「…………」ウツムキ

咏「そういえばさっきも、かわいいって言ったら裏になったねぃ~」ニヤニヤ

えり「…そりゃ、恥ずかしいですよ…」

咏「なーるほど。恥ずかしいと俯くんだねぃ~?」

えり「あ……」カァ

咏「…裏えりちゃんは表えりちゃんより表情が豊かだねぃ」

えり「そ、そうかもしれません」

咏「ちょっと赤くなったよ、顔」

えり「えっ!?」ペタ

咏「あっはは、かーわいー」

えり「咏さんのいじわる…」

咏「」キューン

咏「…そだよ~咏さんはいじわるだぜ~?」ナデナデ

えり「うぅ……」

咏「お、抵抗しないんだ?」

えり「…わ、私は…裏ですから…」

咏「嬉しいんだ?」

えり「……あぅ……」カァァ

咏「ほら、また赤くなったー♪」

えり「あ、あんまりいじめないでください!」

咏「知らんしー♪」

えり「もう…質問なければ、終わりにしましょう?」

咏「あ、そだそだ。もう一個」

えり「どうぞ」

咏「裏の記憶は、表には引き継がれないの?」

えり「基本的にはそうです」

咏「基本的には?」

えり「ええ」

咏「……そんだけ?」

えり「ええ、それだけ」

咏「表えりちゃんは裏えりちゃんのこと…」

えり「知っていますよ、もちろん」

咏「そ、そか…」

えり「…以上ですか?」

咏「ん。だいたいわかった。多分」

えり「では……」

咏「うん」

えり「……ぁ……」

咏「ん?」

えり「…………」チラッ

咏「?」

えり「…………」メソラシ

咏「えりちゃん?」

えり「…あの…」

咏「うん」

えり「わ、我が侭…言っちゃうと…」

えり「……帰りたく、ないなぁ…って…」

咏「!」

えり「…迷惑、ですか?」

咏「ぜ、ぜんぜん!」ブンブン

えり「じ、じゃあ…!」

咏「また泊まってってよ!」

えり「ありがとうございます…」ギュ

咏「お…」ドキ

えり「♪」ギュー

咏「…え、えりちゃん、さ。腕に抱きつくの、好きだよねぃ」

えり「…いつも、咏さんがするから…その。羨ましくて…」

えり「ぎゅーってされるのも好きだけど…するのも、好きになりました」ニコッ

咏(かわいい)

咏「え、えりちゃん?」

えり「はい?」

咏「…こっちからもしたいんだけど…ぎゅーって」

えり「!」

咏「ちょっと離してくんないかねぃ?」

えり「あ、は、はいっ!」ワタワタ

咏「んー」ギュー

えり「ぅ……」

咏「へへ…正面からぎゅーってするのも良いもんだぜ?」カオウズメ

咏(昨日までは戸惑ってたけど…この人も“えりちゃん”なら話は早い)

咏(…えりちゃんとくっついていられるなら、なんでも良いよねぃ~♪)

えり「…ぅぅ…」

咏「えりちゃん?正面からぎゅーってされるのは嫌かい?」

えり「い、いえ!そうじゃなくて…その」

咏「?」

えり「今日は…まだシャワー浴びてなかったなぁ…って…」

咏「知らんし。気にすることないぜー」

えり「い、いえ!気になります!」

咏(…えりたそ~)

えり「で、ですから…咏さん、先にお風呂に…」

咏「だーかーら、えりちゃんが先に入れっつーの!」

えり「でも、私は昨日…」

咏「じゃー一緒に入るかい?」

えり「え……」

咏「ほれ。一緒のお風呂。どうよ」

えり「…………」

えり「…じゃあ、ごめんなさい。先にお湯、貰いますね」

咏「そそ。昨日も言ったじゃんか、遠慮なんかいらんし~」

咏「………」

咏(裏えりちゃんは、表えりちゃんの本当にやりたいことをやる存在…か)

咏(なにかを拒否したら、本当に嫌がっているってこと)

咏(さっきの、ちゅーのときもだったけど…)

咏(えりちゃんは、一緒にお風呂、一緒にキスが…本気でイヤなのか!?)ガーン

咏(あんなにくっついて…だーいすきって…)ニヤニヤ

咏(…なのに…風呂やキスは嫌?)

咏(…………)

咏(ま、いっか)

咏(えりちゃんのやりたいことをやりゃいいさ)

咏(それで幸せなら、こっちも幸………)

咏(……ん?)

咏(なーんか引っかかる。なんだっけ…モヤモヤする)

咏(…ん~?忘れたっつーことは…わりとどうでも良いことなのかねぃ?)

咏(じゃ、いっか~えりちゃん待ち~…)

………………

咏「お互い、風呂も済ませて、あと寝るだけって感じになったけど~」

えり「そうですね…」

咏「ちなみに明日の予定は?」
えり「朝から実況…って咏さんも一緒に実況ですよ」

咏「うは、マジで?」

えり「はい。一緒のお仕事ですよ」

咏「じゃー一緒に会場まで行けるねぃ♪」

えり「そうですね…」

咏「…ちなみに何時集合?」

えり「たしか…10時前くらいだったかと」

咏「10時か…じゃー朝はそんなに急がなくて良いねぃ~」

えり「どうしてですか?」

咏「いやぁ~…ね?」ドンッ

えり「…お…お酒…」

咏「大人二人いたらそうなるっしょ~」

えり「は、はぁ…」

咏「どーよどーよ、ちょっとくらいさ!集合もそんなに早くないし~」

えり「…お酒…」

咏「ほらほら、呑も呑も!」カチャカチャ

えり「……じゃあ、少しだけ……」

すいません限界っす 寝ます
6時頃来ますんで
おやすみなさい

咏「ほれ、かんぱーい!」

えり「乾杯」

チンッ

咏「んぐっ…んぐっ…」グビグビ

えり「……コクッ……」チミッ

咏「ぷはーっ!」

えり「い、一気……」

咏「ん?」

えり「ペース早すぎませんか?」

咏「ダイジョブダイジョブ。全っ然酔わないから」

えり「え」

咏「ザルまではいかないけどねぃ。どんだけ呑んでもちょーっとフワフワするくらい」トクトク…

えり「…へぇ…」

咏「えりちゃんは……呑んだの?それ」

えり「呑みましたよ?」

咏「一口くらい?」

えり「…まぁ」

咏「もっと呑め~ぃ」フリフリ

えり「お酒って苦手で…。すぐに酔っちゃうので」

咏(酔っ払ってるえりちゃん超見たい)

えり「だから少しずつ…」

咏「まぁまぁまぁ~」トクトク

えり「ちょ、ちょっと、こぼれ……っ」

咏「呑め呑め~」

えり「あわわっ」ゴクンッ

咏「そそ。それくらいは飲まなきゃねぃ」ニヤリ

えり「あ…、」

咏「どうよどうよ、おいし?」

えり「え、えと…」

咏「チミッチミ呑んでたら味なんてわからんっしょ~?」

えり「えと……」

咏「意外と良い酒なんだぜ~これ!勿体無い勿体無い!」グビッ

えり「…………」

咏「…おぅーい、えりちゃーん?」

えり「?」クビカシゲ

咏「いや、? じゃなくて。仕草かわいいけど」

えり「…………」ポケー…

咏「えりちゃん?」

えり「………」ギュ

咏「おぉ?」

えり「………♪」スリスリ

咏「…また腕かい?」

えり「ん…」コクリ

咏「抱きついては来ないの?」

えり「…これ、好きです」ギュー

咏「…酔ってんの…か?」

えり「知らんし~…ですー」スリスリ

咏(だから…それヤバいって…かわいいっつの…)

咏(裏えりちゃんが酔っ払っても、あんまり変わらない感じかねぃ?)

えり「ふふ…うーたさん♪」

咏「なーに?」

えり「呼んだだけー♪」ニコニコ

咏(おぅ)キュン

咏(そうそう…これが、コイビト同士ってやつだよねぃ…!)カンドウ

えり「んー…」ハナレ

咏「? どしたん?急に離れちゃって」

えり「…私ばっかり甘えてます」

咏「良いんだよ?」

えり「咏さんは何かしたくないですか?」

咏「何か?」

えり「ん」コクリ

咏「…えりちゃんに?」

えり「…ん」コクリ

咏「………」

えり「………」ジー

咏(…つまり…“なんでもしていいよ”っつーこと…?)ドキドキ

咏(……それは……なんつーか……)

咏「~~~!」グビグビ

咏(かなり……その、なんだ。かなり、…ねぇ?)

えり「………」ジッ

咏「……目ぇ、瞑って?」

えり「…はい」メトジ

咏「…………」

咏(…どうする気だよ…目、瞑らせて…)

えり「…咏さん?」

咏「ちょ、ちょっと…待って…」

咏「…………」ドキドキ

ソッ…

えり「っ」ビクッ

咏「…しっかり瞑っててねぃ?薄目開けたら駄目だかんな?」

咏「だから、目隠ししたからな?手で、だけど…なんも、見えない…よな?」

えり「…ん」コクリ

咏「………」ドキドキ

咏(…やばいな、最初っから一気はダメだったか)

咏(…ちょっと、酔ってるかも)

咏「…………」ジリジリ…

咏(……もう、少しで……)

えり「………」

咏(えりちゃんの………)

咏(うわ…息、かかるかも…)ドキドキ

咏(こんなに近くで顔見たの…初めてかも…)

咏(えりちゃんの……唇……)

えり「………」

咏「―――ッ!!」

パッ

咏「もういいよ!!」

えり「?」

咏「目ぇ開けていいから!」

えり「は、はい……」パチ

咏(うわー、うわあーもー!!)

えり「あの…何かしましたか?」

咏「し、したよ、した!」

えり「…?」クビカシゲ

咏(なに、しようとしてんだよ…さっき考えたばっかじゃんか…)

えり「………」

咏(えりちゃんは…キス、嫌なんだよ…なのにさぁ…)

咏(酔ったイキオイとか…酔ってる人の言葉にほだされるとか…)

えり「…………」ウトウト

咏(…これ、最低じゃね!?)ガーン

咏(良かった!思いとどまって良かったぁぁアブねえぇ!!)

えり「………」コックリ

咏「え!?」

咏(い、今ココロ読まれた!?)

えり「………」コックリ…

えり「!」ハッ

えり「………」ウトウト

咏(あ…眠いだけか…)

咏(ビビったぁ…頷かれたかと思った…)

咏「えりちゃん、もう寝よっか」

えり「!……あ、はい……」ウトウト

咏「じゃあ、」スッ

キュ…

咏「お?」

えり「あの…」ソデツマミ

えり「…また、おんなじお布団で……」

咏「………」

えり「……だめですか?」ジ…

咏(上目遣いは反則)

仕事行ってきます
仕事の合間にもチマチマ書きにくる
17時くらいにはペース戻せると思う

布団

咏「………」ゴソゴソ

えり「………」ポフッ

咏「…ふぅ…」

えり「…咏さん?」

咏「…んー?」

えり「…だーいすき」ニコッ

咏「………」キュン

咏「私も、好きだよ」ナデナデ

えり「ふふ……おやすみなさい」

咏「おやすみ」

咏「…………」

咏(…罪悪感がヤバい)ズーン

咏(嫌われてることは多分100%ないみたいだけど…)

咏(…なんで嫌なんだろ。わかんねー…)

咏(好きなら…したくなるもんなんじゃないかねぃ……知らん、けど)

>>162
× 咏(えりちゃんは、一緒にお風呂、一緒にキスが…本気でイヤなのか!?)ガーン

○ 咏(えりちゃんは、キスとか一緒に風呂入るのが…本気でイヤなのか!?)ガーン

翌朝

咏「……んぁー……」

咏「……ふぁ~ぁ」ノビー

咏「…あれ…えりちゃん?」

咏「……仕事行ったのかな……」

咏「……お?」

咏(メモ用紙…)

『ごめんなさい 針生』

咏「…………」

グシャグシャ ポイッ

咏「…知らんし」

咏(なぁにが『ごめんなさい』だ。黙って帰ったことのがよっぽどだよねぃ)

咏(……何に対して謝ってんだかわかんねーし。謝られるようなことなかったし)

咏(…………)

咏「……今日も問い詰めるかねぃ」

咏(ついでに、晩ごはんも頼んじゃおーっと)

咏(今日は何を頼もうかねぃ~♪)


――――

えり「……クチュンッ」クシャミッ

えり(…マズイ、風邪かな……)

――――

仕事終わり

えり「……はぁ……」

えり(…今日は…)チラッ

えり(よし、携帯に連絡なし)

えり(…もう、しばらくは会えないだろうな…)

えり(……私、何してるんだろ……)

ピリリリッ

えり「!」ビクッ

えり「で、電話!?」ピッ

えり「も、もしもし針生ですが…」

咏『やっほーえりちゃん』

えり「う、咏さん!?」

えり(し、しまった…焦って誰だか確認せずに通話ボタンを…)

仕事終了これから帰宅
17時半くらいにペース戻せるといいな

えり「ど、どうしたんですか?私、また何か忘れて…」

咏『あー違う違う』

えり「では…?」

咏『えりちゃんの“かわいい”声が聞きたくなってねぃ~♪』

えり「………は」

咏『あー今多分ボーゼンとしてるでしょ?』

えり「い、いや、その…」

咏『照れてんだ~かーわい~』

えり「…からかってます?」

咏『本音に決まってんじゃん。わっかんねーかなぁ、えりちゃーんちょーかわいいぜー』

えり「な……な………」パクパク

咏(よぅしもうちょい!)

咏「えりちゃーん」

えり『っ…よ、用がないなら、もう切りますよ?私今仕事終わったばっかりで…』

咏「愛してるぜ」

えり『』

咏「ちょっとでも長く一緒にいて、ちょっとでも長く話していたいじゃん」

咏「…コイビトだろ?」

えり『…………』

咏(…………)

えり『…あ、あの……』

咏「ところでえりちゃん」

えり『は、はい!』

咏「…今日の晩ごはんは、スパゲティがいいな」

えり『…………』

えり『いいんですか?』

咏「頼んでるのはこっちだっての」

えり『…♪』

咏(お)

えり『…材料買ってから、向かいますね』

咏「おう」

えり『…他に何かありますか?』

咏「晩ごはんにさ。えりちゃんの愛情、入れてくれる?」

えり『………はい♪』

咏(大・成・功)

三尋木家

ピンポーン

咏「ほーい」ガチャ

えり「こんばんは」

咏「おっかえりぃ~」

えり「あ……」

咏「ん?」

えり「え、えーっと……」

えり「…ただいま、あなた」ニコッ

咏「」

えり「…なんて」カァァ

咏「お、おかえりぃぃぃ!!」ギュゥー

えり「きゃっ…」

咏(やべー破壊力やべぇぇー!)

えり「ところで咏さん?」

咏「ん?」

えり「わざわざ“私”を呼び出すなんて、何を企んでいるんですか?」

咏「企みとか知らんし。さっきも言ったじゃんか。少しでも一緒にいたいんだよ」

えり「!」パァ

えり「…♪」ギュー

咏(かわええのうかわええのう)ナデリナデリ

えり「えへへ…だーいすき♪」

咏(このやろ…あとで抱き締めてやる、覚悟しとけぃ…)

えり「あ、お腹空いてますよね?晩ごはん作っちゃいますから♪」

咏「期待してるねぃー」

えり「愛情込めて、作ります」ニコッ

咏「ひゃっは~!」

えり「あ……えっと……」ゴソゴソ

咏「お?」

えり「咏さんの家って、エプロンないでしょう?だから…買ってみました」

咏「おぉーっ」

えり「ん、と……」イソイソ

咏「………」

えり「…こ、こんな感じ…ふふ、ちょっと恥ずかしい…かも」

咏(たまんねー新婚みてー!たまんねー!)キュンキュン

………………
食後

咏「いやーえりちゃんの料理やっぱウマイわー」ポンポン

えり「お粗末様でした」

咏「毎日作ってくれん?」

えり「いいですよ」

咏「そうだよねぃ~……え、マジで!?」

えり「できる限りは」ニコッ

咏「お、おぉっ…」

咏(…一緒に住んだら………いや、今言うのは卑怯だよな…)

咏「…えりちゃん、明日の予定は?」

えり「明日、ですか?」

えり「明日は…あ、オフの日です」

咏「ふむ。…よぅし、今日も泊まってけぃ!!」ズビシ

えり「!」

咏「そうと決まれば風呂入ってこぉい!えりちゃんの寝間着、洗っといたぜ」

えり「あの、咏さn」

咏「もう風呂入ったから。えりちゃん入った入った!」

えり「………」

えり「はい!」ニコッ

咏(…実は、オフって知ってて全部先に準備したんだけどねぃ~)ニヤリ

咏「んぐっ…んぐっ…プハーッ!」

咏(調子乗って高い酒開けちゃったよ…えりちゃんまだ風呂だけど)

咏「~♪」トクトク

咏(やばいなぁ…幸せすぎる。えりちゃんの本音を、あーんな聞けちゃうとか!)グイッ

咏(ちょっと前まで、スゲー不安だったのにねぃ…えりちゃんも、素直に言ってくれりゃいいのに!)プハーッ

咏(…そう簡単にはいかねーか。不慣れ、とか言ってたし)

咏(それ言ったらこっちだって慣れちゃいないけどさ~…)トクトク…

咏(慣れちゃいないけど…えりちゃんともっと一緒にいたいなぁ~…)

咏(一緒にいて…ラブラブしてー……らぶらぶ……)グイー

咏「ぷはっ……」

コトッ…

咏(…ちゅーぐらい良くね?)

咏(えりちゃんのことだから、照れてるだけっしょ?知らんけど~)

咏(最近圧倒され気味だけどさ~…ちーとばかし積極的にいっちゃうかねぃ?)ニヤニヤ

咏「んぐっ…んぐっ…プハーッ!」

咏「…けふっ」

……………

えり「良いお湯でしたー」ホクホク

咏「おーぅおかえりぃー」フリフリ

えり「ただいまです。…あれ、咏さん?」

咏「ほいな~」

えり「…お酒?」

咏「おう!えりちゃんも呑む~?」

えり「い、いえ……咏さん、ずいぶん呑んだみたいですね…」

咏「あーそーかもねぃ」

えり「珍しく酔ってるみたいな…」

咏「そんなことよりえりちゃ~ん」

ちょっと晩ごはん食べてきま

えり「はい?」

咏「いつもみたいにくっついてくれないの?」

えり「!」

咏「ほれほれ、この胸にどーんと」テヒロゲ

えり「…良いんですか?」

咏「かも~ん」

えり「…じゃあ…」

えり「………♪」ギュー

咏「おーよしよし」ナデナデ

えり「昨日は、お風呂入る前だったから…今日は…」

えり「……♪」ギュー

咏「ん~…」スリスリ

咏「えりちゃ~ん…」スリスリ

えり「はーい?」

咏「…こっち、見て」

えり「?」

咏「ん~…」

えり「…咏、さん?」

咏「むちゅちゅ~」ジリジリ

えり「!」ビクッ

えり「っ……!」ポフッ

咏「えーえりちゃーん、顔うずめんなよー」

えり「……」フルフル

咏「いーじゃんかー、ほらほら」グイッ

えり「あっ…」

咏「照れんなよー」ジリジリ

えり「だ、ダメ…」ニゲ…

咏「えーりーちゃーぁーん~」グイグイ

えり「ダメで……きゃあっ!?」

ドサッ

咏「ほら、逃げらんないぜ~?」

咏(っつーか、この体勢…イキオイとはいえ、エロいな)ニヤ

えり「…あ……ぁ……」

咏「いーでしょ?」

えり「だ、だめ……」

咏「まだ言うか、こいつぅ」スッ

えり「ぁ…っ」ビクッ

咏「ね、えり…、……?」

えり「…だめ……だめ……っ」ギュゥ

咏(震えてる…?)

えり「お願い、…だめ、お願い……!」ジワ

咏「…えりちゃん…?」

えり「……うぅ……」フルフル

えり「おねがい……許してぇ……!」

咏「え、えりちゃん…?」

えり「…………」ウルウル

咏「…………」

ギュ

えり「ぁ……」

咏「ごめん。何もしないから…怖がらないでよ」ナデナデ

えり「………うた、さん………」

咏「うん。ごめんね、もうしないから」

えり「…………」

えり「……ごめんなさい」

咏「ううん、えりちゃんは悪くないよ」

えり「…違うんです」

咏「違う?」

えり「………まだ私、咏さんに言ってないことが…あって…」

咏「…!」

えり「……私の……」

えり「……昔の色々に、ついて……」

咏「…昨日言ってたやつ?」



えり『…恋愛に不慣れなんですよ』

咏『不慣れ?』

えり『ええ。経験は人並み以下、限りなく0に近いかと』

咏『えりちゃんモテそうなのにねぃ』

えり『…まぁ、昔色々ありまして』

えり「…退いてもらって良いですか?」

咏「あ、ああ、ごめん!」

えり「いえ…私も、取り乱してしまって…」

咏「いや……」

えり「……」

咏「…何か飲むかい?」

えり「…お願いできますか?」

咏「んーじゃ、ホットミルクでも作るかねぃ」

えり「………」ニコッ

咏「ん」ニコッ

咏(…無理して笑顔なんて作っちゃって…涙目、なってるぜ?)

咏(…肩も、まだ震えてて……)

咏(…なぁにやってんだろ…えりちゃんにあんな顔させてさ…)

咏「できたよ、ちょっと甘くした」

えり「…ありがとうございます……ん…」コクッ

えり「…おいしい…」

咏「ちょっと落ち着いた?」

えり「……はい」

咏「…………」

えり「…私、その…」

咏「…うん」

えり「……昔、…襲われたことが、あって…」

咏「!」

えり「押し倒されて…おさえ、こまれ……っ」

咏「えりちゃん」

えり「…大丈夫です、…だい…じょ……」

えり「……っ」ブルッ

咏「……」ナデナデ

えり「…ごめんなさい…ごめん、なさい…っ」ギュゥ

咏「大丈夫だよ、大丈夫だから…」

えり「……っ…うぅ…」フルフル…

咏「無理に話さなくても…」

えり「い、いえ…聞いてほしい、から……」

咏「………」

えり「…高校生のとき、告白してくれた方がいて…でも私、そのころ恋愛に興味がなくて…」

えり「一度お断りしても、…何度も……段々、その…ストーカー…といいますか…」

えり「それで…学校の、放課後…」

えり「……っ」

咏「………」ナデナデ

咏「…怖かったんだね…」

えり「……っ…」コクッ

えり「それ以来…なんだか、その…」

えり「い、一応…全部未遂では…あるんですが…」

咏「…………」

咏「…ちょっと待って?」

えり「は、はい…?」

咏「“それ以来”?“全部”?」

えり「え、ええ……途中で、助けていただいたり…あとは…」

咏「…ごめんね、ちょっとツラいこと聞くかも」

えり「…どうぞ…」

咏「…どれくらいの人に、何回くらい、襲われた?」

えり「……ええと……」

えり「高校ではその最初の人と……それから、…2人がかりで、体育館倉庫に…とか…」

えり「中学は近所でしたから徒歩だったんですけど、高校からは電車通学になりまして」

えり「…満員電車…とか……その…スカートの、………っ」

えり「…さすがにもう電車に乗るのは、と思って免許をとって…それ以来は車で…」

えり「あと、仕事で上司の……」

えり「…………っ」ジワ

えり「………も、もう……いいですか……?」プルプル ウルウル

咏「…ごめん、ありがと」クラッ

咏「とりあえず、最初の男だれ?」

えり「?」

咏「調べて殴ってくる」

えり「あの…私、女子校で……」

咏「…え?」

えり「男性では……」

咏「………」

咏「うん、何でもない。気にすんな」

えり「は、はい…」

咏「………」

えり「……多分……」

咏「え?」

えり「…多分、それがきっかけ…なんです…」

咏「…何が?」

えり「“私”が」

咏「……!」

咏『初めて出てきたのはいつ?』

えり『高校…でしょうか』

咏『……結構早いねぃ』

えり『……昔のことです』

咏「…裏…えりちゃん…」

えり「……」コクリ

えり「女子校だったから、クラスメイト同士のスキンシップ…とか。あるでしょう?」

咏「あー、ある…んだ?知らんけど」

えり「ええ。それが、ちょっと過激なものだったりして…」

咏「例えば?」

えり「た、たとえば………ボディタッチがエスカレートして、その……素肌……に…」

咏(それスキンシップじゃねぇ。ただのセクハラだ)

えり「私もその、色々あって…冗談として受け止められないレベルにまでなったときに…」

えり「…私が」

咏「…なるほど」

えり「表には何がなんだか判らなかったでしょうね」

えり「意識が戻ったら、同級生が反省文50枚土下座しながら渡してきましたから」

咏「…おお…」

えり「それ以来、過激なスキンシップは無くなりましたけど…」

えり「まぁ、そんなに回数裏の私にはなりませんでしたけどね…」

咏「そっか…」

えり「あ、でも。こういうことばかりじゃないんですよ?」

咏「?」

えり「誰かに…その、身体を…まさぐられて……怖くて、嫌と言えない自分、だけじゃなくて」

えり「仕事で、絶対に間違ってると思っても話が進んでいってしまっているとき、とかに呼ばれたりもしました」

咏「…大変だねぃ」

えり「言いたいこと、言えちゃいますから。そのときはちょっとスッキリしました」ニコ

えり「だから……初めてなんです」

咏「なにが?」

えり「今までは、嫌なことを嫌と言えない…駄目なことを駄目と言えない…」

えり「裏の私は裏らしく、負の部分ばかりをやってきました」

えり「…でも、今は…」スッ

咏「あ……」

えり「好きな人に、目を見て…はっきりと“好き”って言える」

えり「すごく、幸せなんです」ニコッ

咏「!」ドキッ

えり「…さて。私の話はおしまいです」

咏「ん…」

えり「………」

咏「………」ウツムキ

えり「私……咏さんと…したくないってわけじゃ…ないんです」

咏「…!」

えり「…でも…私…未遂とはいえ、…唇、だけは…」

咏「あ……」

えり「…守り、きれませんでした。…この年になっても、好きな人とは……」

えり「一度も…したこと、ない…のに…」

えり「…だから、咏さんには…触れて欲しくないんです」

咏「な、なんで?」

えり「私の唇は……汚れているから」

えり「あなたに、そんな―――」

グイッ

…チュ…ッ…

えり「――――!?」


咏「……ん」

えり「う、……うた、さ……どうして……!?」

咏「知らんし」

えり「わっ…私は!わた、…し…は……!」

咏「わっかんねーよ。そんなの」

咏「えりちゃんはえりちゃんだ。汚れてなんかいない、綺麗だよ」

咏「…もし、汚れてるって思うなら…」

咏「…私が、消毒ついでに、上書きしてやる」ギュ

えり「……うた……さ…ん……」

咏「だから、自分が汚れてるなんて思うんじゃねーよ…」

えり「…私……わたし……」

咏「えりちゃんは、綺麗だよ」

えり「でも………!」

咏「まだ言うか…もっかい消毒、するかい?」


えり「!」

咏「えりちゃんが納得するまで、何回でもしてやるよ」

えり「………」

えり「…わたしを……」

咏「…うん」

えり「…わたしを…きれいに…してください…」

えり「嫌な思い出…全部、上書きしてください…」

咏「…任せとけ」

チュ…

………………
翌朝

えり「……ん……」

えり「……………」

えり「………!?」ガバッ

えり「また…三尋木プロの……家……!」

咏「なにさ、文句あるかい?」

えり「!!」バッ

咏「おっはよーえりちゃん♪」

えり「み、三尋木プロ…」

咏「ほれ、一日の始まりは挨拶から。っしょ?」

えり「…おはよう、ございます…」

咏「おぅ、おはよ」ニコッ

えり「………」

咏「………」ニコッ

えり「……あの、私…また泊まったりなんかして…」

咏「いーのいーの、全然いーんだよ」

えり「…わ、私そろそろ仕事の……」

咏「オフ、だよねぃ?」

えり「…!」

咏「えりちゃんは今日はオフの日だぜ。忘れたん?」

えり「………そ、そう…でした、ね」

咏「………」

えり「…で、では私はお暇させていただ……」

咏「だめ」

えり「は……?」

咏「帰さない」

えり「な、何を言っているんですか…三尋木プロ」

咏「すっとぼけんのもいい加減にしな?」

えり「…と、とにかく、私はこれで…」スッ…

ジャラッ…

えり「…!?」

咏「もう既に、逃げらんないようにしてあったりするんだよねぃ~」

えり「こ、これは一体!?」

咏「手錠だよ手錠。まんま」

えり「だから、どうして私が手錠に……」

咏「…“アッチ”のえりちゃんには、言っておいたよ」ニヤ

えり「………!サァァ」

>>344
× えり「………!サァァ」

○ えり「………!」サァァ

ねむい

咏「ちゃぁんと許可取った上で、逃げらんないよーに」

えり「………っ」

咏「一昨日ははぐらかされたし、昨日は逃げられた」

咏「…今日はどうする?」ニッ

えり「っ……卑怯ですよ」

咏「知らんし」

えり「……どうする気ですか」

咏「別に?えりちゃんとお喋りしたいだけだぜ~?」

えり「じゃあ、これを外してください」

咏「それは駄目」

えり「何故!」

咏「知らんし~」

えり「………」イラッ

えり「………お喋り、とは」

咏「お、お喋りしてくれる?」

えり「…ほとんど脅迫じみていますがね」

咏「人聞き悪いねぃ」

えり「やってることは脅迫です」

咏「だから合意の上で…」

えり「なんの話ですか」

咏「だから」

えり「アッチの…とか、合意とか…意味が、わかりません…」

咏「……ふーん?」

ごめんなさい 寝ます
6時過ぎに来る予定
おやすみなさい

えり「私は、合意した憶えはないし…」

咏「…ホントに?」

えり「…何故ですか」

咏「ねぃえりちゃん。昨日の電話、覚えてっかい?」

えり「電話…ああ、それなら…」

咏「じゃあさ…一番最初のクダリ、思い出してみ」

えり「一番最初……?」


ピリリリッ

えり『も、もしもし針生ですが…』

咏『やっほーえりちゃん』

えり『う、咏さん!?』

えり「何かおかしいですか?」

咏「…………」

えり「驚いてしまったのは、考え事をしていた時に電話がかかってきたからで…」

咏「ねーえりちゃーん」

えり「…なんでしょう」

咏「………」

えり「……三尋木プロ?」

咏「ソレだよ」

えり「え?」

咏「“三尋木プロ”」

えり「………あ………っ…」

咏「電話で驚いて、つい言っちゃった感じ?珍しいミスしたねぃ、えりちゃ~ん?」ニヤ


咏『やっほーえりちゃん』

えり『う、咏さん!?』


咏「“咏さん”って呼んでるのは、裏えりちゃんのハズでしょ?」

えり「………ッ」

咏「…記憶、残ってるんじゃないの~?」

咏「ねい、表えりちゃん♪」

えり「…………」

咏「どーせ逃げらんないぜ?素直に言っちまいな」

えり「……まさか…あれだけのミスで、勘づかれるなんて…」

咏「お?」

えり「……仰るとおり、です」

咏「…へぇ♪」

えり「ただ……少し違うのは…」

咏「え、違うの?」

えり「記憶は、断片的にしか残ってないこと。実際に何があったり何を話したかは、ほとんど…」


咏『裏の記憶は、表には引き継がれないの?』

えり『基本的にはそうです』

咏『基本的には?

えり『ええ』

咏「…なーるほど。嘘はついてないわけだ?」

えり「…やっぱり、知っていたんですね…」

咏「ごめん、結構色々聞いちゃった」

えり「では……」

咏「高校時代とか、仕事先とか、免許取った理由とか」

えり「そこまで……」

咏「…ごめん」

えり「謝らないでください。…いずれ、話すことにはなっていたでしょうから」

咏「………」

えり「今回の切り替わりの条件とか…聞きました?」

咏「ああ…“恥ずかしい”っつー感情が限界突破すると、だって」

えり「なるほど…今回はソレでしたか…」

咏「?」

えり「三尋木プロ」

咏「ん?」

えり「…もう、あの子を呼ばないで欲しいのですが…」

咏「え……」

えり「昨日は故意的にやったでしょう?」

咏「あ、ああ……。なんで?」

えり「…………」

咏「えりちゃん?」

えり「…わかっている、つもり…なんですけど…」

えり「……いや、やっぱり…わからない」

咏「何が?」

えり「…自分が、何をしたいのか」

えり「あの子は、私の本当にやりたいことをやるために出てきます」

えり「…わかりますか?やりたいことだけやって、あとの記憶はハッキリしない…」

えり「私は、……何をしていたのか、……わからない……!」

えり「怖いんですよ……っ」

咏「…えり、ちゃん…」

えり「私が本当にやりたいことって何!?私は何をしているの!?」

えり「私はっ……あなたに、何をしたんですか……?」

えり「あなたに、酷いことしてませんか?」

咏「…ううん」

えり「朝起きたら、一緒の布団に入っていて……でも、記憶はなくて…」

えり「憶えているのは、…ううん、身体が憶えてるんです」

えり「“咏さん”と言う言葉と…あなたの、暖かさ…!」

えり「私は……わたし、……ッ」ジワ…

えり「もし、あなたに何かあったら、私は…あなたに、顔向けできない…」

咏「…………」

ギュ

えり「……っ……離して、ください……」

咏「やだ」ギュー

えり「離して……」

咏「知らんし」

えり「三尋木プ、……っ」

チュ

えり「…ん……んんっ…」

チュルッ

えり「!?…ふ、ぁぁ…!」ビクッ

咏「……チュ、…ん、レロッ……」

えり「ん、ンー……っ…!」イヤイヤ

咏「…ん……ふぅ」ツゥ

えり「ッ…はぁっ…はぁ…は…」

えり「なんで…なんでぇ…!」ウル

咏「ねぃ、えりちゃん」

えり「…どうして、こんなことするの…っ…?」

咏「身体は憶えてた?」

えり「そんなわけなっ――」

えり「――憶えて、…ない…」

咏「…でしょ?」ニッ

仕事行ってきます
今日は昼過ぎには仕事終わるから昨日よりは早くペース戻せる
また仕事の合間にちょいちょい来ます

えり「………」

咏「じゃあ、これは?」ギュ

えり「…憶えて…ます…」

咏「わかった?」

えり「………」

咏「ちゅー以上のことなんてしてないし、“酷いこと”なんてのもなかったんだよ」

えり「…でも」

咏「クドい。酷いことなんてなかった」

えり「………」

咏「おっけー?」

えり「……はい……」

咏「…ちゃんと、幸せだったよ」ギュー

新・保守時間目安表 (休日用)
00:00-02:00 10分以内
02:00-04:00 20分以内
04:00-09:00 40分以内
09:00-16:00 15分以内
16:00-19:00 10分以内
19:00-00:00 5分以内

新・保守時間の目安 (平日用)
00:00-02:00 15分以内
02:00-04:00 25分以内
04:00-09:00 45分以内
09:00-16:00 25分以内
16:00-19:00 15分以内
19:00-00:00 5分以内

咏「えりちゃんと一緒にいられて、幸せなんだよ」

えり「!」

咏「でも…でもさ、えりちゃんは…変わんないし。告白して、コイビト同士になって」

咏「それでもえりちゃんはクールで、堅くて、生真面目で。…ホントに好きなのかー?って」

えり「それは!」

咏「うん…裏えりちゃんと会って、話して…わかったから」

咏「酷いことなんてない。むしろ…凄く幸せだから」

えり「………」

咏「でも、裏にはなりたくないって?」

えり「……それは……そう、です」

えり「裏とは言っても、私は私。…酷いことをしていなくても」記憶が、ないのは……」

えり「…不安です」

咏「じゃあ、裏にならなきゃいい」

えり「え…」

咏「なんなきゃ良いじゃん。裏えりちゃんっつーのは、表えりちゃんの一部なんでしょ?」

えり「そ、そうですが…」

咏「表えりちゃんが裏えりちゃんみたいなことすりゃいいんだよ」

えり「え……?」

咏「裏えりちゃんは“えりちゃん”の、本当はやりたいけど出来ないことをするんだよねぃ」

えり「ええ…」

咏「それって、えりちゃんがやりたいことやっちゃえばさ。ジレンマもストレスもなしってことっしょ?」

えり「……そう、簡単には……」

咏「わかんねーじゃん」

えり「…裏は、何をしていましたか?」

咏「えりちゃんのやりたいこと」

えり「………」

咏「ほら、遠慮なんかすんなよ~」

咏「もっと甘えて良いんだぜ?」

えり「…………」

えり「……あの……」

咏「うん」

えり「……良いん…ですか…?」

咏「もちろん」

えり「…………」

咏「………」

えり「…えっ…と……」

えり「………っ///」

咏「……へへっ♪」ギュ

えり「な、なんですかっ」

咏「べーつにぃ~」

咏「えりちゃんのいろんな顔が見られるようになったな~って思ってねぃ」

咏「ほら、前は顔に出なかったじゃん?」

えり「…………」

咏「えりちゃん?」

えり「…私の昔の話は、きいたんですよね?」

咏「う、うん……もしかして?」

えり「ええ。…私、昔は気持ちがすぐ表情に出てしまって…なのに、普段は無愛想だから…」

えり「…面白がられたんでしょうか。余計に相手を調子に乗させてしまうことが何度かあって」

咏「………」

咏(いや、多分そうじゃなくてさ…えりちゃんの照れ顔、普通にソソるかんな?知らんけど)

えり「それ以来、表情を出さないようにしていたんです。それで、そのまま…」

咏「…なるほど」

えり「でも、裏の私には関係ありませんから。…しばらく裏が続くと、緩んでしまうみたいで…」

咏「そっちのが良いぜ?」

えり「そう…ですか?」

咏「かわいいから」

えり「っ!……///」

咏「ほらかわいい」

えり「…か、からかわないでください!」

咏「お、このくらいじゃもう裏にはならないねぃ」

えり「……こっちは必死なんですからね?」

咏「知らんし。…えりちゃんが素直じゃないだけだし~」

えり「…う…」

咏「素直に言っちゃえば良いんだよ。拒否とかするわけないし」

えり「…仕方ないじゃないですか……不安、だったんですから」

咏「?」

えり「…恋愛って、は…初めて、だったから…どうしたらいいか、わからなくて」

えり「咏さんが好きになってくれた私でいないと、と思って…いつも、気を…」

咏「…馬鹿だねぃえりちゃんは」

えり「なっ!?」

咏「どんなえりちゃんでも、えりちゃんはえりちゃんなの!」

咏「その上で、えりちゃんが好きなんだよ。何度も言ってるっしょ~?」

えり「…咏さん…」

咏「ホントに、不器用だねぃ」

えり「…仕方ないでしょう…わかんないんですから…」

咏「もうわかった?」

えり「…少し」

咏「ちょーっとずつで良いから、いろんなえりちゃん見せてみな?」

咏「ぜってー嫌いになんか、なんないから。かけてもいい」

えり「………」

咏「そんでさ。恋愛にも、少しずつ慣れていこうよ。…二人でさ」

えり「……躓いても、引っ張って行ってくれますか?」

咏「それ助け起こすのが先じゃね?知らんけど」

えり「……ふふ……」

咏「……へへ」ニコッ

えり「……その……咏さん?」

咏「おぅ」

えり「……お願いしても、いいですか……?」

咏「もちろん。えりちゃんのやりたいこと、言ってみ?」

えり「……………///」

えり「……っ…」メソラシ

咏「ん?」

えり「………」ジ…

咏「………」ニコッ

えり「…ぎゅーってしても…いいですか……?」

咏「…大歓迎」


おわり

思った以上に時間がかかってしまった…
ありがとうございました
咏えりかわいい

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