冬馬「よっしゃ、ドラマの仕事が来たぜ!」(200)

北斗「へえ、よかったじゃないか冬馬」

冬馬「しかも主演だぜ、主演!」

翔太「すごいね、冬馬君」

冬馬「さて、さっそく届いた台本読んで予習しねぇとな」

冬馬「…………!」

翔太「あれ、どうしたの?」

冬馬「い、い、いや……なんでもねえよ……?」

北斗「顔色悪いな……、大丈夫か?」

冬馬「だ、大丈夫だよ。ちょっと、トイレいってくるわ……」

翔太「いってらっしゃーい」




冬馬(キ、キスシーンがあるとか聞いてねぇよ……)

冬馬(しかも、一話目からかよ……!)

冬馬「しかも、相手すっげぇ美人の女優じゃねぇか……」

冬馬「…………フリ、だ。フリだよな、流石に本気でキスしたりしねぇよな」

冬馬「よしよし、だったら別に恐れる程のことじゃないな!」

冬馬「いや、待てよ。フリだとしても……顔は近づけるんだよな」

冬馬「…………マジかよ」

冬馬「どうしよう、マジでどうしよう……」

春香「どうしよう、本当にどうしよう……」

冬馬「ん」

春香「あ」

冬馬「なんだよ、天海か」

春香「な、なんだよはないんじゃないかな……」

冬馬「悪いな、今はお前にかまってられないんだ」

春香「冬馬君、顔色悪いよ?」

冬馬「わ、悪くねぇよ!?」

春香「…………」 ジーッ

冬馬「悪い、ジロジロ見ないでくれ……」

春香「なるほど、キスシーンがあってそれで緊張してるんだ」

冬馬「き、緊張ってワケじゃねぇよ……!」

冬馬「ほら、そういう経験ねぇから、失敗とかしちまったら、相手にも迷惑だろ?」

春香「冬馬君、それは緊張といっていいよ思うよ」

冬馬「う、うるせぇ!天海こそ、なんか悩んでたみてぇだけど」

春香「あー、うん。私は大丈夫だよ」

冬馬「なんだよ。俺の話も聞いてもらったしよ、言えよ」

春香「大丈夫だって!」

春香(お菓子作りすぎてちょっと太っちゃったなんていえない……)

春香「とにかく、冬馬君は経験がないから困ってるんだよね?」

春香「じゃあ、私に任せてよ!」

冬馬「は、はぁ?」

春香「撮影はじまるの、まだだよね?」

冬馬「ああ」

春香「じゃあ、それまでにキスになれればいいってことだよね?」

冬馬「お、おう……」

春香「私にいい考えがあるんだ。明日、ウチの事務所にきてくれない?」

冬馬(やべえ、すっげぇ嫌な予感する)

次の日

冬馬「……で、どうするんだよ」

春香「やっぱり、まずは段階的になれていく必要があると思うんだ」

春香「だから……、はいコレ」

冬馬「なんだよ、これ」

春香「プロデューサーさん愛用のダッチワイフだよ」

冬馬「はぁ!?」

春香「ちゃんと、プロデューサーさんが使ってる私達の写真も持ってきました!」

冬馬「…………」

春香「もう、冬馬君。そんなに引いたらプロデューサーさんに失礼だよ?」

冬馬「お前に引いてんだぞ、天海」

冬馬「で、どうすりゃいいんだ?」

春香「とりあえず、コレにキスするところからはじめよう?」

冬馬「お、おう……」

チュッ

春香「まあ、できるよね」

冬馬「まあな」

春香「じゃあ、次のステップ。写真をつけてやってみよっか!」

春香「だれがいい?」

冬馬「だ、だ、だ、…だれ、でもいいんじゃ、ねぇかな……」

春香「うーん、いきなりあずささんや貴音さんはハードル高そうだし……」

春香「亜美ちゃんと真美ちゃんでいこうか?」

冬馬「お、おい……流石にそれはちょっと」

春香「大丈夫!写真だから犯罪者じゃないよ?」

冬馬「そ、それはいいんだけどよ」

春香「何?」

冬馬「できたら、写真取り替えてくれねぇかな……」

春香「ああ、プロデューサーさんと間接キスになっちゃうもんね」

冬馬「何がかかってるかわかったもんじゃねぇしな」

春香「うーん、いきなりあずささんや貴音さんはハードル高そうだし……」

春香「亜美と真美でいこうか?」

冬馬「お、おい……流石にそれはちょっと」

春香「大丈夫!写真だから犯罪者じゃないよ?」

冬馬「そ、それはいいんだけどよ」

春香「何?」

冬馬「できたら、写真取り替えてくれねぇかな……」

春香「ああ、プロデューサーさんと間接キスになっちゃうもんね」

冬馬「何がかかってるかわかったもんじゃねぇしな」

ペタ

春香「じゃあ、亜美でいってみよっか」

冬馬「お、おぅ……」

春香「…………」

冬馬「…………」

春香「はやく」

冬馬「ちょっとまて、心の準備」

春香「早くしないと、撮影だとNGだよ」

冬馬「わ、わかってる!」

冬馬「………」

春香「うーん、やっぱり難しい?」

冬馬「わ、わりぃ……」

春香「うんうん、いきなりキスって言われても難しいよね」

春香「じゃあ、雰囲気とか、シチュエーションがあればどうかな?」

冬馬「まあ、それならやれるかもしれないけど」

春香「この事務所に、そういうのが好きな人がいます」

小鳥「はーい♪」

小鳥「呼ばれて飛び出て妄想垂れ流し!」

小鳥「皆の事務員さん、音無小鳥です♪」

冬馬「おい、天海」

春香「どうかした?」

冬馬「どうしよう、ちょっと胃がいたい」

春香「緊張しちゃったんだね、きっと」

冬馬「もう最後までやるから、胃薬くれねぇかな」

春香「うん。小鳥さん、お水一杯くださーい!」

春香「冬馬君がお薬飲んだところで、小鳥さん」

小鳥「ええ、任せて春香ちゃん」

冬馬「よ、よろしく……」

小鳥「やっぱり、アイドル同士。それもどちらも人気がある2人」

小鳥「つまり、禁断の愛なのよ、それは」

小鳥「というわけで、それっぽいセリフを言ってみて。私が亜美ちゃん役をやってあげる」

冬馬「お、おう」

冬馬「あ、……亜美。辛く、ねぇか……?」

冬馬(何やってんだ、俺は)

小鳥「ううん、亜美。大丈夫だよ、あまとう」

冬馬「あまとうじゃねぇよ!2人の時くらい冬馬っていえよ!」

春香(何だかんだノリノリだ……)

小鳥「じゃあ、……亜美とちゅーしてくれたら……イイよ♪」

冬馬「しかたねぇな……」

ピタッ

冬馬「…………」

小鳥「………はやく」

冬馬「お、おぅ……」

冬馬(この際、眼を瞑って……!)

チュッ

冬馬「……やった、やったぞ天海!」

春香「……冬馬君。すご~~~く言いづらいんだけど」

冬馬「なんだよ」

春香「オデコにキスしてたよ?」

冬馬「許してくれよ……」

春香「まあ、段階的ってことかな?次はほっぺにしようよ」

冬馬「次は誰にすんだよ」

春香「そりゃ、真美じゃない?」

小鳥「そうよね、この際14人全員でためしましょう?」

冬馬「アンタもかよ」

小鳥「慣れるためなんだし、数は多い方がいいじゃない?」

冬馬「なんか、悪いな」

春香「大丈夫だよ。アイドル同士、持ちつ持たれつだよ」

冬馬「……ああ」 

ベリッ

ペタッ

春香「じゃあ、やってみよう?」

冬馬「お、おう」

小鳥「じゃあ、抱き寄せてみましょうか」

冬馬「まじかよ、一気に難易度あがったな」

小鳥「そこまであがってないから、大丈夫♪」

冬馬「……どう抱き寄せればいいんだよ」

小鳥「こう、片腕を首を後ろに回して……」

冬馬「こ、こうか?」

春香「あ、良い感じだよ冬馬君!」

亜美「はるるん、ピヨちゃん、おはよー」

真美「あれ、あまとうがいる」

冬馬「うぉぅぁえええ!?」

亜美「あ、あ、あまとうが……」

真美「兄ちゃんのダッチワイフに真美の写真はって抱きしめてるーーー!!」

亜美「へ、へ……」

真美「変態だーーーーーー!!」

冬馬「ち、ちげぇ!おい、天海!説明してくれよ!」

冬馬「つーか、なんでお前らまでダッチワイフ分かるんだよ!」

春香「え、えっとね?」

春香「冬馬君がね、キスシーンやることになったんだけど」

春香「それが恥ずかしいから、こうやって耐性を付けてあげようかなって思ったの」

亜美「あまとうは相変わらず童貞だね」

真美「幻滅だYO」

冬馬「…………」

亜美「でも、自分でいうのもなんだけどー」

亜美「亜美たちじゃ、練習にならないっしょ?」

真美「お姫ちんとかでやらないと、経験にならないって」

冬馬「そ、そうか?」

小鳥「まあ、正直亜美ちゃんの写真の額にキスしてる姿はロリコンでしかないし……」

冬馬「やらせたのはそっちじゃねぇか!」

春香「じゃあ、冬馬君。どうしよう?」

冬馬「ど、どうって……」

亜美「お姫ちんでいこーYO!」

真美「真美たちが、お姫ちんの真似してあげるから」

冬馬「わ、悪ぃな」

ベリッ

ペタッ

小鳥「じゃあ、はじめましょうか!」

亜美「……冬馬殿は、いけずですね」

冬馬「な、なんだよ、急に」

亜美「この様に、2人きりになっても肩を抱き寄せてすらくれません……」

冬馬「……わ、悪いな。気がきかなくて」

亜美「いえ、……あなたがそうなのは、わかりきったことですから」

冬馬「面目ねぇ……」

真美(さすがあまとう、演技ですら童貞!)

小鳥(これは苦労しそうね~♪)

冬馬「で、でもな、四条……」

亜美「貴音、と呼んでください……」

亜美「これも、なんど言ったのでしょうね?」

冬馬「た、ったか、たか、貴音……」

亜美「ふふ……、どうやら。いけずなのは私のようですね」

冬馬「……」

春香(冬馬君、いまだよ!さあ、早く写真に、ちゅー!ちゅー!!)

冬馬(お、おう!)

冬馬「た、貴音……」

チュゥ

亜美「……っ。唇にしてくれないなんて」

亜美「やっぱり、いけずですね」

春香「冬馬君、やった、やったよ!!」

冬馬「げっちゅぅ!!!!!!」

春香「うんうん、いけそうだよ冬馬君!」

真美「あまとうもやれば出来るじゃん!」

亜美「亜美、ちょっと見直したかな?」

小鳥「じゃあ、次は唇にしてみましょう」

春香「貴音さんのは頬っぺたでしたもんね!」

冬馬「お、お、お、おう……!」

小鳥「なら、もう誰にするか決まりですね」

亜美・真美「あずさお姉ちゃん!」

冬馬「来たか、最強の刺客が」

ベリッ

ペタッ

春香「これで準備おっけー!」

冬馬「緊張するぜ……」

小鳥「大丈夫、相手は写真よ」

亜美「負けるな、あまとう!」

真美「がんばれ、あまとう!」

冬馬「あまとうって言うな!」

冬馬「……あ、あずさ」

亜美「うふふ……。冬馬君、今日はなんだか別人みたいね」

春香(なんだか、レベルアップしてますよね!)

小鳥(ええ、顔つきが違うわ!)

冬馬「……ほら、今日はちょっと特別な日だからな」

亜美「あらあら、本当に別人さんね~……」

冬馬「……あ、あ、あ、…あずさ!」

真美(おぉっ!?来るか!)

冬馬「……眼を、閉じてくれ」

亜美(さぁ、いけ!あまとう!)

チュッ

春香「いやったあああああああああ!!」

小鳥「ついに唇にキスできたわ!」

春香「でも、写真なんだよね……」

冬馬「それいうなよ……、これでも精一杯なんだよ!」

亜美「じゃあじゃあ、次は実践すればいいと思うよ?」

冬馬「じ、実践?」

小鳥「そうねえ……、ちょっといいかしら」

冬馬「な、なんだよ……」

グイッ

ギュッ

冬馬「いぃいいっ!?」

小鳥「ほら、目をそらないで。私の顔を見てみて?」

冬馬「…………」

冬馬「……悪い、ちょっと、離れて」

小鳥「ふふっ、はいはい」

春香(か、からかって遊んでいる!)

冬馬「やっぱムリだ、顔が近づくと……」

小鳥「じゃあ、キスはしないでも。顔を近づける練習しないといけないわね」

春香「うーん、道は険しいな」

冬馬「なんか、ほんと悪いな」

真美「気にしちゃだめだよ、あまとう」

小鳥「同じ業界に生きるもの同士、助け合いましょう?」

冬馬「……お、おぉ!」

春香「じゃあ、誰で練習──」

千早「……あら?あなたは」

冬馬「お前、如月……!」

亜美「千早お姉ちゃん、いいところに来たね!」

千早「え、えっ…?どうしたの?」

真美「あのね。あまとうのキスシーンの練習してるんだけどー」

小鳥「彼、顔を近づけられると恥ずかしいみたいなの」

千早「は、はあ……」

春香「千早ちゃん、手伝ってあげてくれない?」

千早「別にかまわないけれど……」

冬馬「お前らホントいいやつだな」

千早「これでいいのかしら」

ギュッ

冬馬「お、お前……」

千早「どうかしましたか?」

冬馬「いや、よくこんなコトできるなって」

千早「こんな事で動揺していたら、仕事になりませんよ?」

冬馬「たしかに」

千早「それに、特別にそういう感情があるわけでもありませんし」

冬馬「だ、だよな!」

春香(あれ、ちょっと傷ついてる)

亜美(かわいそー……)

小鳥「千早ちゃん、背伸びして。顔を思いっきり近づけてみて」

千早「……こうですか?」

スッ

ググッ

冬馬「うぉおっ!?」

千早「あの、そうやってうろたえられると、私まで……」

冬馬「お、お、お、お、おぅぅ、だ、だ、だよな!」

冬馬(やべぇ、息かかってるって、つーか、如月すげーいい匂いだ!)

千早「春香、もういいかしら?」

春香「うん、十分だよ!」

冬馬(よし、前かがみは免れたぜ)

小鳥「こうなったら」

小鳥「もっと色々なシチュエーションで女性に慣れさせてあげたほうがいいんじゃないかしら?」

春香「それですよ!」

亜美「ピヨちゃん、ノってきましたな?」

真美「そういう亜美隊員こそ、さらなる戦果を求めてるようですなぁ?」

冬馬「お、おい、そういうのは。な、なあ、如月?」

千早「まあ、乗りかかった船ですし……」

冬馬「お前らどんだけいい奴なんだよ!?」

小鳥「じゃあ、膝枕で」

亜美「だね!」

冬馬「うぉおぃ!?」

冬馬「いきなりハードル高いっての!」

冬馬「……やるのか?」

真美「あったりまえっしょ」

千早「じゃあ、はじめましょうか」

春香「千早ちゃん、呼び捨てでいってみたら?」

千早「そのほうが、〝らしい〟かもしれないわね」

千早「そういうわけなので、私の事も千早でお願いします」

冬馬「お、おう」

冬馬(なんだろう、すげー気が重い)

千早「……あら、起きたのね」

冬馬「お、おぅ」

千早「冬馬、ぐっすり寝ていたわね」

冬馬「千早の膝が寝心地よかったからな」

千早「褒めてもなにも出ないわよ……?」

冬馬(やべぇ、如月の膝すげぇ頭にフィットする)

冬馬(顔もよくみえるな……)

千早「どうかしたの?」

冬馬「い、いや……なんでもない」

春香(そろそろ、冬馬君限界?)

小鳥(そうね……、もうちょっと様子みてから……)

P「あれ、小鳥さん何してるんですか?」

春香「あ、プ、プロデューサーさんっ!?」

P「あれ……、お、おい!あれ千早と冬馬じゃないか!なにやってんだ……?」

真美「ピヨちゃん、説明してあげて?」

小鳥「……というわけでして」

P「なるほど、冬馬を女に慣れさせてやるんですね?」

春香「はい、女優さんとキスできるように!」

P(だったら、ピンサロかソープでもおごってやるんだけど)

P(冬馬はアイドルだし、まずいだろうなぁ)

P(それに、このままの方が面白そうだ!)

P「様子をみよう」

亜美「流石兄ちゃん」

真美「お主もワルよの~?」

P「いえいえ、お代官様ほどでは」

P「しかし、俺のダッチワイフ持ち出すなんてな」

春香「いいじゃないですか、人助けですよ、人助け!」

亜美「あ、千早お姉ちゃんがあまとうの顔を撫でてるYO!」

P「すごいな、役に入り込んでる」

小鳥「私の脚本通りです!」

真美「でも、あまとうがなんかヘンだよ?」

P「気持ちはすご~~~く分かる」

千早「……どうしたの?」

冬馬「い、いや……。その、みとれちまってな」

千早「……な、何を!」

冬馬「はははっ……」

千早(よかった、まだ硬いけど……、少し慣れてくされてるみたいだわ)

冬馬(うぉおおおおお!やべぇえ、すげえいいニオイがする!)

千早「……どうしたの?」

冬馬「い、いや……。その、みとれちまってな」

千早「……な、何を!」

冬馬「はははっ……」

千早(よかった、まだ硬いけど……、少し慣れてきてくれているみたいだわ)

冬馬(うぉおおおおお!やべぇえ、すげえいいニオイがする!)

冬馬「……でもまあ」

冬馬「いい眺めだ。きれいだぞ、千早」

千早「…………!」

冬馬「…あ、わりぃ」

千早「いえ、大丈夫です……」

春香(おっと、千早ちゃん素がでちゃったかぁ!)

P(やっぱ千早はかわいいな)

小鳥(ダッチワイフ、千早ちゃんの写真の率高いんですか?)

P(はい!)

亜美(兄ちゃん……)

冬馬「……そ、そろそろいいよ、な?」

千早「そ、そうですね」

冬馬「わ、わるいな……」

千早「いえ」

P「いやー、愉しんでるようだな」

冬馬「あんたいたのかよ……」

P「うん!」

冬馬「なにニヤニヤしてんだよ」

P「みてたからな」

冬馬「ああ、そうかよ」

P「で、冬馬。どうだ?」

冬馬「いや、まあ。だいぶ慣れてきたような気はするんだがよ」

P「最後の押し、だな」

P「小鳥さん、ガムテープください」

小鳥「はい♪」

冬馬「な、何する気だよ」

P「ガムテープ越しにキス」

冬馬「ム、ムリムリムリムリ!!」

P「おいおい、本番だと直接だぞ?」

冬馬「だけどよ……」

P「いいから、やるの。小鳥さん。いいですね」

小鳥「わ、私ですか!?」

P「ほら、アイドルにそういうことは……」

春香「いまさらですか」

冬馬「ん」

小鳥「んんっ」

P「じゃあ、どうぞ!」

小鳥(どうしましょう……、童貞からかった天罰かしら)

冬馬(うぉおおおお!やっべえ、どうしよう!)

亜美「ふたりともー、早くー」

真美「待ちくたびれちゃうよ……」

冬馬「ん」

小鳥「んっ!」

ピトッ

春香「やった、やったよ!」

小鳥「 」 プシュー

千早「やっぱり、彼女も抱きついたりが限度だったのね……」

冬馬「はぁ、はぁ……」

ぺたん

春香「大丈夫?冬馬君?」

冬馬「……あ、ああ」

冬馬「でもよ、だいぶ慣れたとおもうぜ」

春香「ふふっ、よかった」

P(この位置で見詰め合ってるなら…)

P「……えいっ」

どんっ

春香「えっ」

冬馬「うおっ」





春香「ププププププ、プロデューサーさん!!!!」

冬馬「   」

P「やっぱ、実践が一番かなーって」

千早「見事にふれあってたわね」

春香「千早ちゃん、いわないで!?」

P「童貞からかうと、こうなるんだって」

春香「うっ…・うぅぅ……」

P「まあまあ、仕事と思って」

春香「……プ、プロデューサーさん」

P「なんだよ」

春香「う、上書き……してくれません?」

P「まかせろ!」

亜美「兄ちゃん、あまとうが息してないよ」

真美「顔まっかにして気絶してる」

冬馬「────はっ!?」

P「きづいたか」

冬馬「……あんた、よくも!」

P「はっはっはっは!」

冬馬「笑い事じゃねぇからな!?シャレにならねーって!」

P「でも、これで大丈夫だと思うよ」

P「じゃないと、春香が不憫だ」

冬馬「くっ……、そうだな。手伝ってくれたあいつらのためにも、しっかりやらねぇと」

P「おう」

冬馬「ところで、ききたいんだけど」

P「うん?」

冬馬「……いや、やっぱいいわ」

冬馬「そろそろ帰らないとな」

P「あ、そうそう」

P「千早はフリーだぞー」

冬馬「…………だ、だ、だ、だ、だからなんだよ」

P「うんうん、わかるわかる、キスより膝枕のがなんかいいよな」

冬馬「う、う、うるせぇ!」

P「あはははははははは」

P「じゃあ、またな」

冬馬「おう」

冬馬「……その、アイツらに伝えといてくれよ」

冬馬「……その、あ、ありがとうってよ」

P「え?」

冬馬「な、なんでもねーよっ!!」

P「行ったか……。素直じゃないな」

春香「あれ、冬馬君帰っちゃったんですか?」

P「ああ、ついさっきな」

春香「どうでした?」

P「元気そうだったぞ?」

春香「プロデューサーさん、明日は私オフですし、泊まりにいってもいいですか?」

P「おいおい、あんまり来るとバレるぞ?」

春香「だ、だめですか?」

P「大丈夫、なんとかなるさ!」

春香「よかった……」

P「あ、そうそう。千早」

千早「はい?」

P「コレ」

千早「……これは?」

P「いやさ、961の連中とも交流もっておいて損はないと思ってな」

P「そんなわけでまずは、冬馬の連絡先」

千早「は、はあ」

P「黒井社長はああだけど、やっぱり、お前らは仲良くしておかないと」

P「仕事であったらギクシャクするだろ?」

千早「そうですね……」

冬馬(……まさか、ここまで765の連中に世話になっちまうとは)

コッエッノー~♪

冬馬「お、電話だ」

冬馬「はい」

千早『あの……』

冬馬「うぉおぅ!?……き、如月か」

千早『はい。すみません、いきなり……』

千早『プロデューサーから、番号を聞いて……。迷惑でしたか?』

冬馬「いやいや、かまわねえよ……」

千早『あの、私たち。事務所同士でいがみ合ってはいますが』

千早『……その、これからも仲良くしてくださいね』

冬馬「お、おう!俺こそ、よろしくな!」

千早『もちろん、私だけではなくて、春香たちとも』

冬馬「おう…………」

冬馬「あ、あのさ……、如月」

千早『はい?』

冬馬「その、あんまり、堅苦しいのもアレだし」

冬馬「その、えっと、あの、……膝枕してるときのカンジでいいぜ?」

千早『そう、ですか?』

冬馬「お、おう」

千早『ふふっ、わかったわ。冬馬』

冬馬(よっしゃあああああああ!!)

冬馬(つまり、俺も千早って呼んでいいんだな?)

冬馬「な、なあ、千早」

千早『何かしら?』

冬馬「あ、明日って空いてるか?」

千早『ええ、オフになってるわね……』

冬馬「それじゃあ、明日、その一緒にどっかいかねぇか?」

冬馬「べべべ、別に、デートってわけじゃ、ねぇぞ?」

千早『そうね……、バレないような格好をすれば大丈夫かしら?』

冬馬「お、おう!」

冬馬「じゃあ、明日な!」

千早『ええ、また明日……』

ピッ

冬馬「……」

冬馬「げっちゅっ!!」

一般人「っ!?」

冬馬「あ、すいません……」

次の日

冬馬(……一時間前についちまった)

冬馬(どうしよう……)




P(ほらほら、もういる)

春香(プロデューサーさん、よくココにいるってわかりましたね?)

小鳥(この公園が無難ですからねえ)

春香(あ、千早ちゃんきましたよ!)

P(おいおい、早すぎるだろ!)

冬馬「よ、よう……」

千早「……もう来ていたのね」

冬馬「なんか、思った以上に仕度が出来ちまって」

千早「私もそんな所よ……じゃあ、いきましょうか?」

冬馬「おう……お、あそこにたこ焼き屋があるな」

冬馬「よし、……ここは俺がおごってやるぜ!」




P(お、冬馬が立ち上がった!)

春香(すごいよ、冬馬君!)

小鳥(心なしか、セクシーに見えるわね!)

たこ焼き屋「へい、らっしゃい。お、カップルかい?」

冬馬「ちが……、ただの、友人だよ」

たこ焼き屋「へへへ、そうかい。幾つにする?」

冬馬「どうする?10個でいいか?」

千早「ええ」

たこ焼き屋「10個ね。……へい、お待ち!」

たこ焼き屋「お嬢ちゃん、かわいいから2個おまけね」

冬馬「お、あんた見る目あんじゃねぇか!」

たこ焼き屋「だろ?」





P(ちょっとあの人スカウトとしてやといません?)

春香(千早ちゃん、もっと帽子深く被らないとバレちゃうよ!)

小鳥(たこ焼き……熱い、そしてソース!)

冬馬「ちょっとまえにテレビでやってたんだけどよ」

冬馬「たこ焼きに爪楊枝二本ついてるのって、二本でさしたら安定するんだってよ」

千早「へぇ……そうなの」

冬馬「頂きまー───熱ッ!?」

千早「と、冬馬っ…!?」

千早「だ、大丈夫…、服にソースが……」




P(うぉおおおおお!!千早がマイハンカチで冬馬の服を拭いてる!)

春香(服を拭く、ですね!)

小鳥(それを千早ちゃんが聞いていたら吹くでしょうね……)

冬馬「へ、平気だよ……」

千早「でも、放っておくと落ちないし……」

冬馬「……気、気にすんな!服ならいくらでもあるし!」

千早「そ、そう……?」

千早「あ、ちょっと待ってて。私飲み物勝って来るわ」

千早「何がいいかしら?」

冬馬「じゃあ、クリームソーダで」

千早「クリームソーダね、わかったわ」

冬馬「………」




P(へ、へこんでる!)

春香(自分が買いに行かなくちゃいけないだろうって悔やんでるんだろうなぁ!)

小鳥(いいわねぇ、若いわねぇ……!)

千早「はい、どうぞ」

冬馬「わりぃな、金払うよ……」

千早「いいわよ、たこ焼きおごってもらったし」

冬馬「そうか……」

千早「冷めない内に、食べましょう?」

冬馬「だな」




P(うん、このタコ焼きうまいな)

春香(中がトロトロですね!)

小鳥(春香ちゃん、唇に青海苔ついてるわよ!)

冬馬「……うまかったな」

千早「そうね、とても美味しかったわ」

冬馬「……ちょっと、歩かねぇ?」

千早「でも、服はどうするの?」

冬馬「…………どうすりゃぁいいんだ?」

冬馬「……よし、バレないようになんとかすりゃいい」

冬馬「いや、きっとバレないだろ」

千早「冬馬、あなたはアイドルなんだから……」




P(袖口についただけ、とかならなぁ)

小鳥(腕を組んだりしてごまかせたのに!)

春香(真正面ですからねぇ)

冬馬「やっぱ、平日だからあんまり人いないな」

千早「そうね……、小さい子供はいっぱいいるみたいだけど」

千早「……………」

冬馬「ん、どうかしたか」

千早「いえっ、なんでもないわ」




P(千早……)

小鳥(あら、ツバメが飛んできたわ)

春香(この子も一緒に覗きたいんですかね?)

P「ちょっと、もっと近くで覗かないか?」

春香「そうですね!」

小鳥「むしろ、偶然を装って……」

小鳥「ちょっと、このツバメずっと私達の周り飛んでません?」

P「やっぱり、俺達との覗きたいんだよ」

P「……って、あれ!?見失った!?」

春香「まさか、ツバメに気を取られてる間に……!」

小鳥「くっ……」

冬馬「……そろそろ時間じゃねぇか?」

千早「そうね……」

冬馬(結局、まともに話できなかったな)

千早「ねえ、冬馬」

冬馬「お、おぅ?」

千早「ありがとう、楽しかったわ」

冬馬「……」

冬馬「ああ、俺も。楽しかったぜ」

冬馬(……やるしかねぇ!)

冬馬「なあ、千早……」

千早「ねえ、知っているかしら?」

冬馬「へっ?」

千早「今日はね、満月らしいの」

冬馬「へえ、そうなのか……」

千早「天気予報でも、夜は晴れるらしいわ」

千早「だから、きっと今夜は────」







おわり

なんか、ごめんなさい。
みてくれてありがとう、そしてごめんなさい。

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