リヴァイ 数奇な人生(23)

新年くらいまともなssを見てみたい!

頼む

乗っとり。短い>>1が満足するできではないかもしれんが投下
………

ある寒い日、スラムに赤ん坊が捨てられていた

スラムでは捨て子なんて珍しくもない

娼婦が仕事のじゃまになり捨てた赤ん坊を人さらいが拾う

男なら労働力に、女なら娼婦になりまた繰り返される

それだけのこと

ただ、今回は少し話が違う

とある人さらいは拾った赤ん坊を気まぐれに育てることにした

なぜならその赤ん坊はまるで老人のようで

“すぐに死ぬだろう”と思われたからだった

「んぎゃ!ほにゃ、んぎゃ!」

「…ミルクか。ヤギ乳もまた買いにいかないとな…ほらよ」

「んくっんくっ…」

「赤ん坊は存外丈夫なもんなんだな。なかなか死にやしねえ…ま、こいつが赤ん坊か怪しいもんだが」

「…そういいながら育てる俺も大概か」

「さ、仕事すっか。こんだけ寒いと早く拾わないと大事な商品が死んじまう」

「うーさぶさぶ、チビ、寝て待ってろよっと」

不思議と赤ん坊はなかなか死ななかった

むしろ、歳をおうごとに元気になる気がした

そして5年もすると歩けるようになった

記念としてリヴァイと名付ける

8年が過ぎたとき、人さらいは確信する

“老人の姿から若返っている”と…

人さらいはリヴァイにいきる知恵をつけるように努めだす

「いいか、この世界には壁がある」

「かべ」

「そうだ、3つの壁だ。一番外は巨人の世界だ」

「きょ人?」

「人を食う恐ろしい怪物のことだ。ただ、コイツらは壁の内側には来ねえし寄らなきゃ怖くもなんともねえ」

「うん」

「問題は内地への壁だ」

「かいぶつがいる?」

「ああ、格差の怪物だ」

「人をくう?」

「…食われるより恐ろしい。俺もお前も理不尽な目にあってる原因だ」

「………」

「いいか、お前は不思議な力で生きている。それを生かせ」

「どうやって?」

「偉くなるんだ。勉強、力なんでもいい。この糞みたいな場所から脱出しろ」

「できるかな」

「出来るさ、俺には無理だったけどな。お前は特別だ」

また寒い冬が来てリヴァイが19歳になったとき

人さらいは自分の命のおわりを悟る

二人の時間が寄り添い続けることはどだい無理な話だった

人さらいは一瞬リヴァイを羨んだ

しかし、すぐ彼の身を案じた

自分が死ねばまるで50代の容姿になったリヴァイは残される

リヴァイにまだ教えたいことは山ほどあった

「…もう………」

「…駄目か」

「…リ、ヴァイ……」

「なんだ」

「生きろ」

「……ああ」

「不変はな、い」

「不変?」

「時は…進…む」

「………」

「………」

人さらいは人さらいらしく寒く汚いベッドで息を引き取った

リヴァイはその日を忘れないように時計をひとつ盗む

そして誓う、自分はこんな汚い部屋では死なない

ここから脱出して清潔な部屋で生きて生きて生を終えることを

彼は人さらいの死を駐屯兵に伝えると

二度と部屋には戻らなかった

そしてまた月日が流れる

リヴァイは43歳になった

見た目は30代後半から40代、容姿と実年齢の交差点で兵士になる

理由は調査兵団のエルヴィンと名乗った男との出会いだった

エルヴィンは信用ならない男だと思った

しかし、“格差”の壁の向こうに行くリフトになると算段し話を聞く

それが数奇な人生をまた少し変えていくことになる

「なるほど、有名なゴロツキというのは伊達ではないようだな」

「………」

「警戒するな…と言うのが無理だな」

「用件は手短にしろ」

「スカウトに来たんだ」

「…調査兵団は人不足か」

「それもある。が、君の噂を聞いてね。興味がある」

「…噂はだいぶ広まっているのか」

「ああ、時を遡る男。噂は本当か?」

「さあな」

「もし本当なら是非とも兵に欲しい。身体ピークはこれからなのに思考は熟している人間など他にはいないだろう」

「噂は嘘だ、と言ったら?」

「構わない。その燻った不満は巨人にぶつけるだけの価値があると私は踏んだ」

「……別にテメェにぶつけても構わないんだがな」

「ははは、やってみるか?」

「……食えねえ奴だ」

「人を食うのは巨人で十分だ」

「まあな」

「力さえあれば上に行ける世界だ。来るだろう?」

「………ああ」

リヴァイは兵になり初めて自分の身体に感謝する

昨日より今日、今日より明日

毎日が過酷であればあるほど、ハッキリと身体が若返ることが実感できた

ずば抜けた才能が他の兵士と明確になるにはそう時間はかからなかった

遠征を重ねるうちに地位より気になることが増える

上官や同僚の生死は彼の数奇な人生をまた少し変えていく

遠征のたび沢山の兵が死んでいく

ひとりは言った「迎えが来たらいくしかない」

ひとりは言った「人類の役にたてたでしょうか」

リヴァイは進む時計を眺めて思い出す

不変はない、時は進む

全てが常に刻々と変化する

それすらもまた時が変えるのかもしれない

「とうとう団長か」

「責任重大だな」

「ほら」

「………いい酒だ」

「昇進祝いだ。有り難くのめ」

「……封を開けるのはしばし待とう」

「なんだ、禁酒か?」

「いや、近々もう一人昇進するからな。その時に開ける」

「そうか」

「また、若返ったか?」

「そうだな。今は30代くらいか?」

「そんなものだろうな。見た感じでは私より若い。調子はどうだ?」

「…悪くない。あと15年はいけるだろう」

「それは何よりだ」

「…ああ」

「不満か?」

「いや、これはこれで構わないと今なら思える」

「そんなものか」

「そんなもんだ…」




人とは違う星の下に生まれた彼は今日もまた若返り

巨人を倒す




おわり

ありがとうございましたー

もとネタはベンジャミン・バトン~数奇な人生~でした

このSSまとめへのコメント

このSSまとめにはまだコメントがありません

名前:
コメント:


未完結のSSにコメントをする時は、まだSSの更新がある可能性を考慮してコメントしてください

ScrollBottom