魔物娘「魔王のおっちゃん死んでしまったのかぁ……」(57)

魔物娘「まぁ、でも私には関係ないしね!」

魔物娘「この辺りは人里から離れているし、問題なっしんぐ」

魔物娘「ああ…でも、残等狩りとかあるかなぁ…街に降りるのは控えとおかないと……」

魔物娘「でも、私一人で生活するぶんには山の恵みだけで十分なわけだし」

コンコン

勇者「すいません、勇者です」

魔物娘「……おお、神よ」

魔物娘「おっと……何神様に祈ってるんだ私。魔族なのに」

コンコン

勇者「誰もいないんですか?勇者ですよ」

魔物娘「よくよく考えたら勇者ですよ、なんて言う勇者がいるわけないし、手配書で本物知ってるし、多分これは偽物に違いないし」

勇者「誰もいないんですか?」

魔物娘「適当に対応して帰ってもらいましょうか。都合よく私は人型タイプなので大丈夫でしょうね」

魔物娘「はーいすいませーん!ちょっと家事をしていたものでー」

ガチャ

勇者「あ、すいません。私は勇者です。今魔王軍の残党狩りをしているのですけど」

バタンッ

魔物娘「あ……あれ?おかしいな……私は勇者です、なんて言う勇者いるはずないのにな……」

コンコン

勇者「どうかしましたかー?」

魔物娘「す、すいませーん!今、鍋を火にかけてるのを忘れていまして!」

勇者「そうですか」

魔物娘「……ふぅ、多分これで帰るでしょう。我ながらナイスな切り返しでした。食事の準備中なのに家に入ってくるのなんて強盗やヨネスケくらいのものですからね」

勇者「よろしかったらお家にあがってもよろしいでしょうか?」

魔物娘「………」

魔物娘「な、なんなんですか!勇者ってのには常識がないんですか!」

勇者「入りますよ?」

魔物娘「まって!まって下さい!今寝間着なんです!」

勇者「そうですか。では十分待ちます」

魔物娘「なっ…何で制限時間を設けてるんですか、これだから人の子は………」

バタバタバタ ガタゴトガタゴト

魔物娘「変装完了……さっきはドアの隙間からちょっと顔を出すだけだからよかったですが、流石に羽とか色々生えてたらバレますもんね」

ガチャ

魔物娘「は、はいーお待たせしましたー」

勇者「いえ、あと二十秒ほどあったので大丈夫ですよ」

魔物娘(ああ…背中が窮屈だぁ…羽出したい羽出したい……)

魔物娘「本日はどうされたんですか?このあたりに危険な魔物なんていませんけど」

勇者「いえ、ちょっと一晩宿を借りたいのですけど」

魔物娘「は?」

魔物娘(な、なんて常識知らずなんだこの人間は!?初対面の相手の家にいきなり泊まろうとするとかきちがいなんですかコイツ!?)

勇者「私勇者なんですけど」

魔物娘(だ、か、ら、何なんだよ!勇者なら何でもありなのかよ!)

魔物娘「い、いいですよぉ…何もおもてなしできるものはありませんがぁ……」

勇者「本当に何もないですね」

魔物娘「あははぁ…」

魔物娘(な、な、なんなんだよコイツ!失礼すぎんだろよ!)

勇者「………」ガチャバタンッ

魔物娘「お、おいっ!」

勇者「なんですか?」

魔物娘「あ、いえ、何でクローゼットを開けたのかなぁって思いまして」

勇者「あ、すいません癖で」

魔物娘「下着とかも入ってるので遠慮してほしいかなぁ…」

魔物娘(あ、あぶねぇ……私が魔族だってわかる物見られたら………)

勇者「ご飯は何でしょうか?」

魔物娘「あ…私の分しか用意してなくて…」

勇者「そうですか」

魔物娘「はい」

勇者「私勇者なんですけど」

魔物娘「ちょっと外に出てきますねぇ……」

魔物娘「ああああああああああ!何なんですかぁあああああ!?あいつは!」

魔物娘「……へいへい勇者様でしたね、はいはい」

魔物娘「旨い飯食べさせて満足させてさっさと帰ってもらいましょうか……」

熊「ぐるる………」

魔物娘「…ああ、ごめんなさいね熊さん。あなたに何も罪はない。でも私の為に おいしいご飯になってもらいますよ」

ズバッ

勇者「大丈夫ですか?」

魔物娘「……ああ、はい」

勇者「あなたが心配で探しに来たんですけど」

魔物娘「そうですか」

勇者「心配で探してました」

魔物娘「あ…ありがとうございました」

魔物娘(まぁ…よくよく考えたら、人間の娘が熊を狩ってきたらおかしいですからね……)

勇者「今日は熊鍋ですね」

魔物娘「そ、そうですね!腕によりをつけて作らせていただきますよ!」

勇者「楽しみです」

グツグツグツ

魔物娘(ああ…面倒くさい……熊ってどうしても臭みがのこるからなぁ……)

勇者「まだですか?」

魔物娘「すいませーん、まだかかります」

魔物娘(余った肉はどうしよう……保存食にするの面倒くさい……)

勇者「美味しかったです」

魔物娘「そうですか。それは良かったです」

勇者「もう寝ます」

魔物娘「お部屋の用意はできています。どうぞお休みになって下さい」

勇者「ありがとうございましす」

ガチャバタンッ

魔物娘「……ふぅ……疲れたぁ」

魔物娘「なんやかんやありましたが……なんとかなったぁ……」

魔物娘「私も寝ちゃおう」

魔物娘「というか、魔王のおっちゃん…あんなのに負けたのかぁ……」

魔物娘「やっぱり勇者なんだ」

コンコン

勇者「夜分すいません」

魔物娘「……な、なんですか?」

勇者「なんでこんな所に住んでるんですか?」

魔物娘(……昼間のうちに聞けよ)

勇者「おはようこざいます」

魔物娘「はい…おはようございます……」

魔物娘(…眠れなかった。いつ部屋にくるかと待ち構えているうちに朝)

勇者「寝不足のようですね?」

魔物娘「いえ、大丈夫です」

勇者「では、私はそろそろ出ます」

魔物娘「こんな早くにですか?」

魔物娘(よっしゃぁああああああああああああああ!!)

勇者「魔王軍の残党を狩らないといけないので」

魔物娘「この辺りに残党なんていませんよ」

魔物娘(私も野良の魔族なわけだし)

勇者「そうですか。では、遠くを探してみます」

魔物娘「お気をつけて」

魔物娘(死ね!死ね!野垂れ死ね!)

勇者「では」

魔物娘「はいー」

魔物娘「………」

魔物娘「…あっ、振り向いた」

魔物娘「………」

魔物娘「…見えなくなったな」

魔物娘「………勝った」

魔物娘「勝った、勝った!苦しい戦いに見事勝利した!やったぁあああああああ!」

パタパタ

魔物娘「羽!羽!窮屈で死ぬかと思った!別に飛べないけど!」

魔物娘「やっほーい!いえーい!」ピョンピョン

勇者「すいません」

魔物娘「………」パタパタ

魔物娘「…あ、えーっと、その」

勇者「お礼をするのを忘れていました」

魔物娘「えっと、えっと!これ飾りですから!今外しますね!」

ビキッ

魔物娘「痛い痛い痛い痛い!無理無理無理無理!なんかビキッって言ったもんビキッって!」

勇者「ゴールドでいいですか?」

魔物娘「…あは…あははははは」

勇者「どうしました?」

魔物娘「私ですね!あれなんですよ!ちょっと羽はえた゛人間゛なんですよ」

勇者「そうですか」

魔物娘「はい!」

勇者「ところで、お礼のほうを」

魔物娘「いりませんいりません!早く帰って!ハヤク!」

勇者「そうですか」

魔物娘「やっと帰った……馬鹿で助かった」

魔物娘「ははーんだ!私は魔族ですよ魔族!」

勇者「そうなんですか」

魔物娘「うわぁあああああああああああ!?」

勇者「魔族なんですか」

魔物娘「へへっ、あふふふ…あはははははははははは!そうですよ!魔族ですよ!」

勇者「わかりませんでした」

魔物娘「もういいですよ!かかってこいよ!おらぁ!」

勇者「………熊鍋美味しかったです」

ザクッ


魔物娘「いやぁ……強いですねぇ…流石勇者様ですねぇ」

勇者「悲しいです。何故人間と魔族は戦わないといけないのでしょうか?」

魔物娘「そんなの……私なんかに聞かれてもわかりませんよ」

勇者「あなたは私をもてなしてくれましたよね」

魔物娘「自分の身が可愛かったからですよ……ゲフッ…そんなものですよ……」

勇者「そうですか」

魔物娘「まぁ…人間同士、魔族同士でも同じでしょうがね……裏表が無い奴なんていませんから…」

勇者「そうですね」

ズボッ

魔物娘「あぐぅお……せめてゆっくり抜いて下さいよ……」

勇者「さようなら」

魔物娘「はいはい、さようなら」






魔物娘「………いや!止めれさしてよ!結構苦しいんですよ!お腹に風穴開いてるんですよ!」

魔物娘「はっ…くそっ…こうなったら意地でも生きて…ウバァ…やりますよ」ゼェゼェ

ズリ…ズリ…

魔物娘「…魔族の生命力なめんなコラ」

数日後

魔物娘「で………何で普通にまた来てるんですかね、お前は」

勇者「生きてて嬉しいです」

魔物娘「まだお腹に穴開いてるんすけどねぇ…見ますか?ねぇ?」

勇者「はしたないです」

魔物娘「はははは……あの後、まさに死に物狂いで肉を貪って何を逃れたんですが……あはははは」

勇者「一度剣を交えたあなたは友達です」

魔物娘「神様助けて……」


終わり

以上

単なるRPGのイベントでした
フラグで生死がわかれるような感じです

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