真姫「まこちゃんと初詣」 (37)

真姫「――のはずだったんだけど」

真姫「待ち合わせ時間から20分もすぎてるって言うのになんで来ないのよ!」

真姫「新年早々風邪引いたら確実にまこちゃんのせいね……」ブツブツ

まこ「真姫ちゃんごめーん、お待たせー」フリフリ

真姫「おっそーい! 真姫ちゃんを待たせるなんていい度胸ね」ワナワナ

まこ「おぞうにがおいしくてついおかわりしちゃって……」エヘヘ

真姫「私との待ち合わせよりおぞうにが優先なのね」ヤレヤレ

まこ「あ、そうだ、あけましておめでとう、真姫ちゃん」ニコッ

真姫「……あけましておめでとう」

まこちゃんは小説版に出てきた真姫ちゃんの中学時代のクラスメイト
尾崎まこちゃん

まこ「うっわー! 見て真姫ちゃん、すっごく混んでる!」

真姫「そりゃあお正月だし混んでるでしょ」

まこ「はぐれないように手つなごっか」ギュッ

真姫「なっ! なな、何するのよ!」カアアアアアアアアア

まこ「こんな人ごみの中手繋がないでいたらはぐれちゃうよ」ギューッ

まこ「真姫ちゃんの手冷たいね。心が温かいからかな?」

真姫「まこちゃんがこの寒い中待たせたからでしょ!」

まこ「あ、それもそっか。じゃあそんな手が冷たくなっちゃった真姫ちゃんにこのまこちゃんが何かおごってあげよう」

真姫「別に何もいらないわよ」フイッ

まこ「そんなこと言わずに。私だってちょっとは罪悪感感じてるんだからー」

真姫「じゃあなんでもいいわよ。まこちゃんが選んで」

まこ「そういうのが一番困るんだけどなぁ……。まぁ真姫ちゃんあんまり出店のもの買い食いとかしなさそうだし仕方ないか」

まこ「ここは定番でたこ焼きにしよう!」

真姫「たこ焼き? すごいものも売ってるのね」

まこ「すごいかな? 定番なんだけど」ウーン

真姫「焼いたタコが売ってるんでしょ?」

まこ「あ、そういうこと? たこが丸々焼かれてるわけじゃないからね」

真姫「じゃあたこ焼きって何よ」

まこ「見せた方が早いか。あ、これだけ混んでるのにあそこ空いてる! ラッキーだね! すみませーんたこ焼き1つくださーい!」グイッ

真姫「ちょ、ちょっとまこちゃん!」

女店主「はーい。お嬢ちゃん達初詣デートかい?」

真姫「で、デートなわけないでしょ!?」カアアアアアアアア

女店主「照れない照れない。本当は1パック9個入りなんだけど2人で分けるんだろ? 1個サービスしてあげる」フフ

まこ「わぁっ! お姉さんありがとう!」

女店主「仲良くやりなよ」フリフリ

まこ「はーい。ありがとうございまーす」フリフリ

まこ「えへへ、カップルだと思われちゃったね」

真姫「どうして私たちがカップルに見えるのよ!」

まこ「真姫ちゃんは私とカップルは嫌?」

真姫「え? べ、別に嫌ではないけど……」カアアアアアアアア

まこ「ふふ。さ、たこ焼き冷めちゃわないうちにあっちの方に行って食べよ」グイグイ

真姫「わ、わかったから引っ張らないで!」

まこ「じゃーん、これがたこ焼きでーす!」パカッ

真姫「? これのどこがタコなのよ? 確かに形はタコの頭に見えなくもないけど」

まこ「中にタコが入ってるんだよ。だからたこ焼き」

真姫「ずいぶん小さいタコもいるのね……」ジーッ

まこ「タコがまるごと入ってるわけじゃないからね?」

真姫「わ、わかってるわよ! この中に入るタコがいるわけないじゃない!」

まこ「あれ、楊枝が1本しか入ってない。2人で食べるって分かってるはずなのになんd」ハッ

まこ「お、お姉さんそこまで気を利かせてくれなくても」カアアアアアアアア

真姫「? どういうこと?」キョトン

まこ「えっと、つまり。真姫ちゃんあーん」スッ

真姫「は、はぁっ!? ちょ、自分で食べられるわよ!」

まこ「お姉さんが折角気を利かせてくれたのに厚意を無駄にするなんてできないよ。ね?」

真姫「……っ! あ、あーん」パクッ

真姫「あ、あふっ! あふいっ!」ハフハフ

まこ「あー、ごめん真姫ちゃん。すっかり失念してた」エヘヘ

真姫「口の中火傷するかと思ったじゃない!」

まこ「まぁこれも恒例行事ってことで」

真姫「恒例なの? たこ焼きって危険な食べ物なのね……」

まこ「次は真姫ちゃんがあーんして?」ハイッ

真姫「ま、まこちゃんが楊枝持ってるんだから自分で食べればいいじゃない!」

まこ「あの出店のお姉さんはそんなこと望んでないと思うな」ウンウン

まこ「折角サービスしてくれたのに真姫ちゃんは恩を仇で返すの?」

真姫「……いいわよ、してあげるわよ!」

真姫「ほら、口開けなさい」ヒョイッ

まこ「真姫ちゃん、このままじゃ熱いよね?」

真姫「じゃあ冷ませばいいじゃない」

まこ「真姫ちゃんがやってよー」

真姫「どうして私が? まこちゃんが食べるんだからまこちゃんがやるべきでしょ?」

まこ「あー! 真姫ちゃんたこ焼き冷ますの自信ないんでしょ?」

真姫「はぁっ? この完璧な真姫ちゃんがそのくらいのことできないわけないじゃない!」ムキーッ

まこ「証拠見せてくれないと信じられないなー」ニヤニヤ

真姫「いいわよ、このたこ焼きを程よい温度まで冷ましてあげるわ!」フーフー

真姫「……このくらいでいいでしょ? ほら、冷ましてあげたわよ。口開けなさい」スッ

まこ「真姫ちゃん、そうじゃないでしょ?」

真姫「そうじゃない、って……。あれをやれって言うの?」

まこ「私だってやったのに真姫ちゃんがやらないのはフェアじゃないと思うなー」ニヤニヤ

真姫「わ、わかったわよ……。ほ、ほら、あ、あーん」

まこ「あーん。もぐもぐ。おー、ほんとにちょうどいい温度になってる」

真姫「ま、まぁ? 真姫ちゃんにかかればこの程度造作もないけどね」フフン

まこ「じゃあ次は真姫ちゃんね、ふーふー、あーん」

真姫「あ、あーん」パクッ

真姫「今度はいい感じのあたたかさね」モグモグ

まこ「ところで真姫ちゃん、この人たちは知り合い? どこかで見たことあるような気もするんだよね……」ウーン

ことり「うふふ」ジーッ

花陽「ちょ、ちょっとことりちゃん」コソコソ

真姫「ヴェエエエエエエ!?」ビクゥ

まこ「あぁっ! どこかで見たと思ったら真姫ちゃんと同じμ'sの南ことりちゃんと小泉花陽ちゃんだ!」ポンッ

真姫「あ、あなたたち、ここで何してるのよ?」アセアセ

ことり「ことりたちのことは気にしないで続けて?」

真姫「気にするわよ!」

花陽「花陽、ことりちゃんと初詣に来てたんだけど、急にことりちゃんが『こっちから秘密のお花畑の匂いがする!』って言ってここに……」

まこ「ことりちゃん、いいセンサーをお持ちのようで」

ことり「新年早々良いものを見ちゃいました」ウフフ

真姫「別に私とまこちゃんはそういうんじゃないから!」カアアアアアアアア

ことり「まこちゃんって真姫ちゃんの中学校の時のクラスメイトの!? 想像通りかわいい!」

まこ「尾崎まこです。よろしくお願いします」ペコリ

花陽「こ、小泉花陽です! こちらこそよろしくお願いします!」ペコリ

真姫「というか意外と珍しい組み合わせね。ことりは穂乃果や海未ちゃんと、かよちんは凛と一緒に来ると思ってたわ」

ことり「意外かな? ことりとかよちゃんって仲良いんだよ?」

真姫「仲がいいのはわかるけど幼馴染同士で来ると思ってたってことよ」

花陽「凛ちゃんは穂乃果ちゃんと一緒に初詣に行くって言ってたし……」

ことり「海未ちゃんは絵里ちゃんと、ニコちゃんはここあちゃんとこころちゃん。希ちゃんはさっきそこで見かけたよ。巫女希ちゃん、いつ見ても可愛くて、いつかμ'sの衣装で巫女服作りたいな、って見るたびに思うんだ」エヘヘ

真姫「意外とμ'sはバラバラに来てるのね」

ことり「お正月くらいはみんな好きな子と一緒にいたいんだよ。ねー? かよちゃん」

花陽「す、すす、好きな子!?」カアアアアアアア

ことり「真姫ちゃんもまこちゃんと来てるみたいに、ね?」

真姫「だから私とまこちゃんは違うって言ってるでしょ!?」カアアアアアア

ことり「照れない照れない。かよちゃん、ここにいたら2人の邪魔になるし行こっか」

花陽「ここに来たのことりちゃんだよね!?」

花陽「あ、じゃあね、真姫ちゃん、まこちゃん」フリフリ

真姫「はいはい、またあとでね、花陽」フリフリ

まこ「じゃあねー、同い年同士あとでお話ししようねー」フリフリ

まこ「……真姫ちゃん、花陽ちゃんを見る目が普通じゃなかった」

真姫「はぁ?」

まこ「花陽ちゃんを見る目すっごく優しい目してたもん」ジトー

真姫「友達だしそんなものでしょ」ヤレヤレ

まこ「私を見る目と違ったもん! 花陽ちゃんと話すときツンデレ真姫ちゃんからツンが消えてたもん!」

真姫「あぁ、なんというか、かよちんは特別なのよ」

真姫「っていうか私は別にツンデレとかじゃないわよ!」

まこ「……! 真姫ちゃんなんて知らない!」フンッ

真姫「な、何怒ってるのよ?」

まこ「怒ってない!」スタスタ

真姫「あ、ちょっt」ドンッ

?「あいたたー」

真姫「ご、ごめんなさい!」

希「こちらこそちょっとよそ見しとったわ、堪忍な」

真姫「って、希」

希「誰かと思えば真姫ちゃんやん。お参り?」

真姫「そうだったんだけど……あぁ、もう話は後! 今ちょっと急いでるのよ!」

希「その焦りよう、好きな子に誤解でもされたん?」

真姫「す、好きな子!? まこちゃんはそんなんじゃな――」カアアアアアアアア

希「真姫ちゃん、お正月くらい素直にならんと。そんな真姫ちゃんに素直になれる魔法の飲み物プレゼントするわ」ハイッ

真姫「……この白いの何よ?」クンクン

希「せやから魔法の飲み物。別に変なもんやないから飲んでみ」

真姫「本当に変なものじゃないでしょうね?」

希「早くせんといけないんちゃうの?」

真姫「それはそうなんだけど……」

希「女なら一気にいかんと! ぐいって!」

真姫「わ、わかったわよ!」グイッ

希「真姫ちゃん良い飲みっぷり!」

真姫「あまっ! 何これ!」

希「甘酒やね。アルコール入ってるのと入ってないのあるんやけどそれは入ってる方ね」フフ

真姫「な、なんだかボーっとしてきたんだけど」

希「やっぱり真姫ちゃんはアルコールめっきり弱いタイプやね。甘酒でも酔っちゃう人っておるんよ」

希「さ、真姫ちゃん。今なら素直に自分の気持ち伝えられるやろ? 行き」ポン

真姫「そ、そうよ! まこちゃんのところ行かないと!」

希「頑張りー」フリフリ

希「さて、もう一匹、素直になれない子がおるようやね」

希「ニコっち、真姫ちゃんいったよ」

にこ「気付いてたニコ?」

希「ウチの第六感は冴えてるんよ。……ニコっちも飲む?」スッ

にこ「アイドルが飲酒なんてダメニコ」ポロポロ

ここあ「にこにー泣いてる?」

こころ「にこにーどうしたにこ?」

希「お姉ちゃんはね、ちょっとだけ辛いことがあったんよ」

ここあ「つらいにこ? にこにー」

こころ「にこにー大丈夫?」ナデナデ

にこ「……大丈夫ニコ。ありがとう、こころ、ここあ」ナデナデ

希「……余計なお世話だったみたいやね」

にこ「のぞみんも」

希「ん?」

にこ「希ちゃんも心配してくれてありがとニコ」

希「……」ポカーン

希「ふふっ、ええんよ、ウチニコっちのこと好きやし」

にこ「は、はぁっ?」カアアアアアアアアア

希「ほらほら、いつもの感じで」

にこ「…………うん」コクリ

にこ「えー? 希ちゃんニコにメロメロー? ニコぉ、アイドルなのに困っちゃうー」

ここあ「ここあもにこにー好き!」ギュッ

こころ「こころも好きー」ギュッ

にこ「……もう! ニコもみんな大好きニコっ!」

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