穏乃「オーダー変更?」(269)

準決勝前 控え室

晴絵「突然だけど皆!この準決勝はオーダーチェンジするよ!」

憧「はぁ?」

灼「突然何言い出すのハルちゃん」

晴絵「色々考えた上でね この準決勝だけは違う順番がいいと判断したんだ」

穏乃「そんなことしていいんですか!?」

晴絵「普通は無理! でもね、ちょっと知り合いのツテでOKしてもらったんだ」

憧「そんな要求簡単に通るわけ…」

晴絵「「変更通してくれたらプロになります」って言ったら強引にねじ込んでくれたわー」カッカッカ

灼「!?」

晴絵「うそうそ、普通にお願いしただけよー心配しないで」

灼「…もう…」

穏乃「え?私は出ちゃダメなの?どうして?」

ンゴ「あんた動物園に返すように保健所から通達があって」

晴絵「ということで、準決勝はこのオーダーでいきます!」バッ

先鋒:宥
次鋒:灼
中堅:穏乃
副将:玄
大将:憧

憧「いつもと全然違うじゃない!みんな違うポジション!」

穏乃「大丈夫なんですか?」

晴絵「大丈夫大丈夫!ちゃんと考えてるから!」

……

先鋒戦

宥「えっと… どうすれば…」

晴絵「いつも通りのアンタの打ち方でかまわない でもなるべく萬子を抱えていくんだ」

宥「えぇー そしたら読まれやすくなりますぅ…」

晴絵「どうせ2回戦で千里山にはアンタの打ち方はバレてる 新道寺もおそらくそれどころじゃないからいいさ」

晴絵「今回大事なのは、宮永照に連続和了させないこと!そのために…」

……

怜(阿知賀…オーダー変更とかどういうつもりや…?)

怜(まあええ 松実姉の方も打ち筋はよくわかっとる)

怜(赤い牌を抱えるつもりなら…)

怜(赤くない牌が来やすい前提で打ったらええ!)

怜(とりあえず萬子はまず来えへんやろから…索子を中心に…)


煌(チャンピオンの下家になりましたね…)

煌(2回戦を踏まえて…チャンピオンには多少無理して仕掛けることも必要です)

煌(鳴いてこちらを有利にするためにも、字牌はなるべくキープしたいところですね!)

煌(字牌が揃うと役満なんて変な高望みもしたくなってきちゃいますがー)

煌(後の皆さんの為に!無理して撃沈するよりトバないトバさないです!)

―その結果―

東二局

照(筒子ばっかり来る…ドラもドラドラ来るし)

照(安くていいのに…手が安くならない)

照(あっ ラス和了り牌来た… 仕方ないか)

照「…ツモ 3000・6000」

恒子「宮永選手の跳満ツモー!宮永選手にしては珍しく、最初から高い打点です!」


照(最初の和了りなのに跳満になっちゃった)

照(次はもう倍満以上にしないと…)

東三局

照(ツモった…)

照(普通なら和了るけど… 倍満にはまだ遠い…)

照(もっと手を伸ばす…)



宥「ツモ! 2000・4000です!」

照「!」

―回想―

晴絵「アンタが萬子を抱えれば、必然的に他家も染め手が増えて打点が高くなるだろう」

晴絵「それで宮永照には一回大きく和了らせていい 本当は和了られないのが一番だけどね」

宥「えぇ~」

晴絵「で、宮永照に和了られたら、次の局は萬子じゃなくて赤ドラを抱えなさい」

晴絵「今度は一転、高い手にさせるのを防ぐのよ」

宥「?」

晴絵「宮永照は必ず、次の局は今和了った以上の手を狙ってくるはずなんだ」

晴絵「でも、手が高くなればなるほど、いかに宮永照でも仕上げるのには時間がかかる」

晴絵「その隙を狙って、次の局を速攻で和了って取り返す!」

晴絵「宮永照の和了り点は最初少なく、徐々に点数を上げていくパターンがお決まりだ」

晴絵「そのリズムを崩して、いきなりハードルを上げてやれば…」

晴絵「少なくとも最初何局か連続和了される分の点数は取られなくて済む!」

晴絵「危険だけど、被害を最小限に抑えて反撃の隙を作る作戦よ」

―回想終―

怜(要注意やったのに… わりとあっさりチャンピオンの連続和了が止まった…?)

怜(…なるほどな そういう狙いかい)

怜(チャンピオンが和了るなら高めにさせておいて、次に速攻で取り返す…)

怜(普通は和了らせへんことを考えるのが先やろうし… 他人の手に乗るんはシャクやけど…)

怜(このやり方で白糸台が止まればうちらの勝ちもぐっと近づく…)

怜(…ええやろ、付き合ったるわ!)

煌(理解しましたよ!すばらな作戦です!)

怜(一人じゃこの作戦、無理かもしれへんが…)

怜煌(三対一なら… チャンピオンに対抗できる…!)

―場は進んで後半戦―

南三局

恒子「さあ、チャンピオンの親番が再びやってきたー!」

照「ロン 12000」ドォン

恒子「またしても最初から高い打点!今日のチャンピオンは一味違います!」

健夜(いえ… 高く打たされてるんだわ… 他の三校に…)

健夜(その分連続和了回数を抑えて被害をとどめる…肉を切らせて骨を絶つ作戦ね…)

健夜(危険な策だけど… 三校が同じ考えで通じ合っていれば、有効なのかも…)

照(…ハードルが高くなったって問題は無い)

照(速攻で流そうとするなら…)

照(それより早く、和了るだけ)


南三局一本場

照「ロン 18300」ドカァン


南三局二本場

照「ツモ 8200オール」ドゴォン


恒子「チャンピオンの猛攻ー!連荘で一気に突き放します!」

健夜(その作戦すらものともしない宮永さん…流石だわ)

怜「ぐっ…」

南三局三本場

怜(次のチャンピオンは親三倍以上… 正念場や)

怜(ここさえ、乗り切れば…)

チャッ

宥(…二筒… つめたい牌…)

宥(捨てたいけど… でも…すごく当たりそう…)

恒子「おーっと、ここで宮永選手の当たり牌が松実選手のもとに!これは振り込んでしまうかー!?」

―回想―

晴絵「アンタは玄と違って、赤い牌をひとつふたつ切ってもその後に影響が出るわけじゃない」

晴絵「いつもとは言わないが、勝負時には冷たい牌でも止められるようになってほしいんだけどな…」

晴絵「この準決勝からはそういう勇気が必要になる」

宥「さ、寒いのは… ダメです…」

晴絵「まあそう言うだろうと思って」

晴絵「だからこれ!宥の秘密兵器だ!」ジャーン

宥「これ…ポッカイロ?」

晴絵「冷たい牌を持つための、代わりのあったかいのだ!」

晴絵「いざとなったらそれを持って、その分一個冷たい牌を我慢する!どや!」

宥「そ…そんなので…大丈夫なんですか…?」

晴絵「女は度胸!なんでも試してみなさい!ダメだったらやめればいいだけよ」

宥「でも…一個だけじゃ…」

晴絵「この日の為に山ほど買っておいたから大丈夫!いくらでも持ってって!」ドサドサァ

晴絵「いやー真夏に売ってる所探すの大変だったよー」アハハ

宥「赤土先生…」

―回想終―

宥(赤土先生の期待に…応えなきゃ…!)

宥「…失礼します」

ゴソゴソ

煌(…? 何を…?)

宥(赤土先生のポッカイロ…)

ガサガサ

宥(あったかぁい…)

宥(…よし!)

宥(前へ進むために……ちょっとだけ、冷たいのを我慢!)


トンッ(四萬切り)

恒子「松実選手、宮永選手の当たり牌を止めたー!この試合初めて二筒をキープです!」

健夜「人は…予想を超えてくる…!」

煌(すばらです!)

怜(危機は脱したで…あとはこれで…)

照「…」タンッ

煌「ロン!5200です!」

恒子「花田選手、チャンピオンからロンです!連荘を止めたー!」

オーラス

怜(ハァ… ハァ…)

怜(きついわ…)

怜(体が震えてきとる… 流石に無理しすぎかな…)ガタガタ

煌(園城寺さん…大分顔色が悪そうです ちょっとすばらくないですね)

宥「あの…大丈夫?」

怜「心配…せんといて… 試合中やで…」ガクガク

宥「でも… 凄く寒そう…」

ゴソゴソ

宥「あの…これどうぞ…」

怜「なんやこれ…ポッカイロ?」

宥「…あったかいから…」

怜「…」

怜「…おかしな人やな」フフッ

怜(ふう… こんな真夏にポッカイロて…)

怜(…でも、ちょっと楽になったかな…)

怜(あったかい… 竜華の膝の上みたいや…)

怜(そうや…)

怜(帰ったらあったかい膝枕が…みんなが待ってる…!)

怜(私はまだ…頑張れる!)


怜(トリプル…3回目や!)グワッ



怜「ツモ!3000・6000!」


恒子「オーラスの和了りは千里山・園城寺選手!先鋒戦終了ですー!」

恒子「やはり強いー! チャンピオンが一人勝ちで強さを見せつけましたー!」

恒子「しかし2位との差は約7万点!これはチャンピオンにしてはちょっと物足りないでしょうかー?」

健夜「いえ、他の選手たちが頑張った結果でしょう 三校ともよく健闘してました」


照(…あんまり稼げなかった)

怜「…ポッカイロおおきにな それ無かったら今頃倒れてた気がするわ」

宥「…えへへ よかった…」

煌「すばらでしたよ…」


友香「7万点差で物足りないって言われてますでー」

美幸「世界の違いを感じるわもー」

次鋒戦

晴絵「灼、はいこれ!」ゴトッ

灼「…何このバッグ… ボウリング球?」

晴絵「ちゃんとアンタのマイボールよ アンタのおばあちゃんに頼んで送ってもらったの」

灼「なんでこんなものわざわざ…」

晴絵「アンタは、これを抱いて打ちなさい」

灼「…え?」

晴絵「それからあとは…」

恒子「各校次鋒の選手が揃いました!」

恒子「なんと阿知賀の鷺森選手はボウリング球を抱えての対局です!」

健夜(清澄の原村選手といい、こういうのが流行ってるのかしら?)

恒子「それにしても清澄の原村選手は3つ球を抱えてるように見えますが鷺森選手は完全にひとつだkうぐふっ」

健夜「それ以上いけない」


灼「よ、よろしくお願いします」

菫(動きにくそうだ… 何を考えている…?)

灼(恥ずかしいけど…ハルちゃんの指示…)

泉(原村和の真似のつもりかいな…?)


恒子「次鋒戦スタートです!」

東三局

菫「ロン!」ドスッ

泉「…は?」

灼(きた… 弘世さんのシャープシュート…)

灼(ハルちゃんの言ってた通り…)

恒子「弘世選手、二条選手からロン!白糸台のシャープシューター炸裂ですー!」

菫(次の狙いは…阿知賀!)ギロッ

灼(…来た!私が標的!)

―回想―

晴絵「…ってな感じで、弘世菫がこう手をガッとやって次に見た相手が、和了り(シャープシュート)の標的(ターゲット)だ」

晴絵「そこをよく注意して、自分に目線が来たら…」

―回想終―

灼(えっと…そしたら弘世さんから顔を隠す感じで…)

灼「よいしょ」グッ

泉「え…何…?」

菫(ボウリング球を顔まで持ち上げた…?)

恒子「おーっと鷺森選手、膝元のボウリング球を持ち上げた!これはどういうことですかすこやん!?」

健夜「し…知らないよ…」

灼(お…重いな…)プルプル

泉(何やってんねやあの人…)

美子「あの、鷺森さん?」

灼「き、気にしないで続けてください… 持ってるだけですから」プルプル

美子「はあ…」

菫(何の真似かわからんが…、いかせてもらうぞ阿知賀!)

菫(シャープシュート!)ドシュ


カキンッ


菫(! 矢が球に当たって弾かれた!)

グサッ

泉「…は?」

菫(弾かれた矢が千里山に…)

菫「あ、それロンだ」

泉「…はい」

泉(またウチか!なんやっちゅーねん!)

泉(今は完全に阿知賀を狙っとった流れやん! なんやこれ!)


菫(今の阿知賀のは…なんなんだ…?)

菫(ボウリング球で矢を防ぐって… いやその前に)

菫(私が狙っていることを見抜いた…?)

菫(こんな形で狙いを外してくるとはな)

灼(助かった…のかな?)

菫(ふう…落ち着け私)

菫(球に近い頭を狙ったからいかんのだ 無難に体狙いで撃てばいい)

菫(次はもっと力をこめて弓を引く!)ギリギリ

灼(!また来た!)

菫(腹の辺りを狙って…、シャープシュート!)ドシュ


ガキンッ


菫(バカな!また弾かれた!?)

ドスッ

泉「…はぁ?」

菫「…千里山…ロンだ」

泉「…はい」

恒子「またしても千里山から狙い撃ちー!さすがのシャープシューターです!」

菫「…」

泉「…」

泉(うちをトバそうとしとるんか?先鋒戦終わりで2位やのに…)

菫(今のは確かに腹に当たったはず…球には当たっていない)

菫(腹の上で矢が跳ねた…明らかに硬い手ごたえ)

菫(腹に何か仕込んでいるのか?)

菫(そういえば服の下がゴツゴツして変な感じだと思っていたが…)

菫「失礼、その上着の中に何を入れて…?」

灼「あ、えっと…」

菫「すまないが見せてくれないか」

灼「いいですけど…」

灼「じゃあ私も暑いし…上着だけ脱ぎます」ヌギヌギ

泉(な…なんやこれ…)

美子(ボウリングピンを…体に…?)

恒子「なんと鷺森選手、体中にボウリングピンを巻きつけて身を守っていたー!まさに鉄壁の防弾です!」

健夜「えっと、言ってることおかしいよね?麻雀だよねこれ?」

菫(これに当たって矢が跳ね返ったというのか…?バカな…)

菫「…重たくないのか…? 対局中は外したらどうだ」

灼「…すみません、監督の指示ですから…」

灼「お気遣いありがとうございます」

菫(口車には乗らないか… 外してほしかったんだが)

菫(まあいい ピンとピンの隙間を狙うくらい余裕でできるさ)

菫(あらためまして…!)

菫(今度こそ阿知賀にシュートする…!)ギリギリ

菫(狙いは… 胸元のピンとピンの隙間…)

菫(あれ?今ピンの隙間から見えた絵…下のTシャツに描いてあるあれは…)

菫(…タ、)

菫(タヌキさんだー!かわいいー!)

菫(タヌキさん…もっとよく見たいけど…)

菫(ピンに隠れて…よく見えない…)

菫(体を反らして… もうちょっと見える位置に…)グググ

菫(も…もう少し…)グググブルブル


ドシュ


菫(あっ 手が滑った)

ザクッ

泉「…はぁぁ!?」

菫「…ロンだ」

泉「…はい」

菫「…」

泉「…」

泉「…全然こっち見てへんかったのによく当てられますね?」

菫「ま、まあな…」

晴絵「よっしよし、ここまでシャープシュートを完封してるわ!」

菫(…もう阿知賀を狙うのはやめとこう…)

灼(弘世さんが千里山を狙ってるおかげで点は取られてないけど…)

灼(このままじゃ離されるだけ… こっちからも攻めなきゃ!)

チャッ

灼(よし来た!ここはボウリング打法で!)

グワッ

恒子「おおーっと鷺森選手、ボウリングの投球体勢に入ったー!」

泉「え、ちょ、危な」

灼「ボウリング打法!!」

泉「ひいいいい!」ガタガタッ

灼「あ、今は本物の球を持ってるんだった」ピタッ

恒子「おおっと、投球を止めたー!?」

灼「危ない危ない 本物でこんなことしたら大変だよね」

菫「はっはっは 全くだな」

泉「ハァ… ハァ… …なんやっちゅーねん…」

美子「あ、あの、千里山さん…」

泉「…はい?」

美子「今思いっきり卓上の牌を倒しましたから… チョンボです…」

美子「罰符お願いしますね」


泉「はぁぁぁぁ!!!???」

恒子「次鋒戦、終了ー!」

恒子「千里山が一人沈みで最下位に転落!」

恒子「2位阿知賀と3位新道寺は原点以上に戻してきましたが、依然白糸台との差は大きいー!」

健夜「二条選手は何度も狙い打たれちゃいましたね 弘世選手は飛ばすつもりだったんでしょうか」

泉(なんや全っ然納得いかん!流れ弾ばっかり食らって負けた気分や…!)

中堅戦

穏乃「よーし、いってきます!」

玄「ファイトだよ!穏乃ちゃん!」

憧「シズにはどんな指示をしたの?」

晴絵「フフフ… 渋谷尭深のハーベストタイムを破る方法…」

憧「ハーベ…何を…?」

東一局

恒子「中堅戦スタート!」

尭深(一巡目… 種蒔きの始まり…)ウフフ

コトッ

穏乃「ポン!」

尭深「!?」

恒子「阿知賀女子・高鴨選手、渋谷選手の一打目をポンです!」

穏乃「ツモ!東のみ300・500です!」

恒子「そして先制ツモ!わずか5巡目の超速攻です!」


東二局

穏乃「ポン!」

尭深(! また…)

恒子「またも一打目をポン!今度は中だ!特急券!」



穏乃「ロン!中ドラ1です!2600!」

恒子「高鴨選手2連続の和了ー!出だし好調です!」

―回想―

晴絵「アンタの使命は、渋谷尭深の第一打をとにかく毎回鳴くこと 下家になったならチーでもいいわ」

穏乃「な、鳴いてばっかりじゃ和了りにくくなっちゃいますよ!」

晴絵「大体第一打は役牌が多いから和了りはできるわよ もしダメなときは江口セーラを警戒して無理はしなさんな」

穏乃「うー、それにしたって毎回都合よく鳴けるわけじゃ…」

晴絵「だからできるときを逃がさないのが大事!オーラスまでに5~6回が目標ね」

穏乃「はあ…」

晴絵「大丈夫!シズならできるよ」

―回想終―

穏乃(って言われたから鳴き続けてるけど…)

穏乃(なんか凄くポンしやすい!配牌に鳴ける牌が揃ってくる!)

穏乃(なんだろこの感じ!?渋谷さんの捨て牌が木の上のブドウみたいに見えるよ!)

穏乃(ブドウ取りなら大得意分野だ!ぜーんぶいただきー!)

穏乃(ウェヒヒヒ!絶好調ー!)

晴絵「…てなわけで、渋谷尭深が蒔いた種を全部刈り取っちゃえばいいんじゃね?って」

憧「和だったら全力でそんなオカモチって言いそうな理屈…」

憧「でも、それなら私でも良かったんじゃ?鳴いて速攻かける戦法ならシズより自信あるよ?」

晴絵「あー」

晴絵「でも、シズの方が木登りうまいじゃん?」

憧「へ?」

晴絵「木の実取るのがうまい方が、刈り取れる確率高いと思ってさ」

灼(ハルちゃんはときどきよくわからない)

セーラ(阿知賀のなんやあれは… とにかく速攻ってことか…?)

セーラ(せやけど鳴いて役牌中心の和了りなら、打点は高くなりにくい…)

セーラ(一巡目から鳴いてばっかりとかアホのやるこっちゃ)

セーラ(俺は小さく何度も和了るより (ry !)

セーラ「ロン!12000!」

恒子「千里山・江口選手、こちらも好調ー!高い和了りで最下位からの追い上げを図ります!」

前半戦オーラス

尭深(あ…)

尭深(蒔いた牌が… 全然、揃ってない…)

尭深(育てた実が… みんな取られちゃった……)


恒子「渋谷選手はオーラスで役満をよく和了るというデータがありますが、今回は全然遠いー!残念ー!」

恒子「まあ役満なんてそんなに都合よくはできませんよねー!」

健夜(違う… 高鴨選手が役満の配牌を阻止したんだわ)

健夜(どうしてそうできたのかは… よく調べてみないとわからないけど…)

晴絵「よっしゃ!大成功!」


セーラ「ツモ!2000・4000や!」

恒子「前半戦終了ですー!」

照「尭深の打ち方が見切られてる…」

菫「あれに気付ける人がいたとは… 阿知賀女子、侮れないな」

照「…でも問題ない」

菫「ああ」

菫「ハーベストタイムだけが尭深の強さだと思ったら大間違いだ」

菫「見せてやれ…お前の力を… 尭…深…?」


尭深(……許さない)ゴゴゴゴゴ


菫「尭深…?」

恒子「まもなく後半戦開始ですが…おっと、渋谷選手が何かを始めました!」

ガタッ ゴトゴトッ

恒子「なんと!自分の椅子の周りを鉄柵で囲んでいます!」

恒子「そして卓の周囲一帯に有刺鉄線と黄色いテープでバリケードを作成!これは迂闊に近づけない!」

恒子「さらに頭には草のついた迷彩ヘルメットを装備!これはどういうことでしょうか!?」


菫「尭深の奴…そこまでしなくても…」

菫「というかあんなものどこで手に入れたんだ…」

誠子「私が貸しました 軍用ですが民間利用でも問題ないです サー」

菫「そ、そうか」

後半戦東一局

穏乃(後半戦もこの調子で~)

穏乃「ポン!」

恒子「高鴨選手、またも第一打目をポンです!」

穏乃(よっしいい調子!じゃあ一個捨てて…)コトッ


ガシャン!


尭深「ロン 8000です」

恒子「おーっと、しかしその捨て牌が渋谷選手の当たり牌!先制の満貫です!」

穏乃(え…)

穏乃(…なんだ今の感じ… トラバサミに足を挟まれたような…)

尭深(勝手に木に登っちゃ… だめです…)ゴゴゴゴゴ

晴絵「あっちゃー 罠張られてたわね…」

憧「わざわざそこまでして、一巡目の牌を鳴かれるのを嫌がるなんて…」

晴絵「自分が育ててる作物への執念ってとこかしらねー 愛があってうらやましいじゃない」

玄「愛情かあー」

灼「そういう問題?」


穏乃(どうしよう…あれだけ目立ってやったら当然対策されるか)

穏乃(でも、やめるわけにはいかない!)

穏乃(私は吉野山で、野生の鹿用の罠とだって戦ってきた!)

穏乃(かわしてみせる!)


仁美(農作物の野生動物被害…)

仁美(行政がしっかりせんから農家が自分で対策しないといかん… これも政治が悪い…)

東二局

穏乃「ポン!」

尭深(! …また…)

穏乃(鳴いたときの捨て牌さえ気をつければいいんだ!)コトッ

尭深(…!… 罠を外してきた…)

尭深(罠にかからないなら… 直接迎撃…!)

穏乃(よっし聴牌!ここももらった!)

タンッ

尭深「ロン!12000!」

穏乃「! …はい」

恒子「渋谷選手、高鴨選手の捨て牌を見事に狙い撃ちー! そして背中のエアガンを構え… え…?」

ジャキッ

ガシャコン

ズガガガガ!!!!!!!!!!

穏乃「えっ、うわっ、うわわわわ!」ビシビシビシビシ

セーラ「え、エアガン撃ちよった…」

尭深(木に近づかないで…)ゴゴゴゴゴ

恒子「高鴨選手にエアガンをぶっ放したー!なにあれすげー!」

健夜「…い…いいのかなあ…」


菫「あ…あれもお前が?」

誠子「民間療法的な対策としてはわりとポピュラーです 慣れられる恐れや弾の始末がまた大変ですが」

誠子「おもちゃですから殺傷能力はありません 首より下を狙っていますし問題ないです」

菫「お…おう」

この勢いなら新免さんが抜刀ツモしても許されるよね

穏乃(まさか直接攻撃までしてくるなんて… でも…)

穏乃(あきらめるわけがない!)

仁美(銃刀法に危機管理の甘さ… なんもかも政治が悪い…)


―そんな感じで尭深と穏乃が(ブドウを)競り合ってオーラス―

尭深(ハァ…ハァ…)

尭深(ブドウ泥棒、何度かは防いできたけど… これじゃ役満の収穫には足りない…)グスン

穏乃(前半戦に比べたら稼げてない…けど…)

穏乃(このオーラスでもう一つ和了れば十分! ここの配牌が勝負だ!)

穏乃(って… あ…あれ…?)

穏乃(私の牌も…全然…揃ってない…)

灼「渋谷尭深のオーラスでの配牌を崩す作戦なのはわかったけど…」

憧「シズの配牌もひどすぎ…」

宥「前半戦のオーラスも配牌よくなかったよ…」

玄「どういうこと…?」

晴絵「あー…」


晴絵「熟す前の渋い実ばっかり取って喰いまくってたんだから…」

晴絵「そりゃ、おなかこわしたんじゃね?」

晴絵「やっぱ収穫期まで待たなきゃまずかったんだろうなー」

晴絵「まずかったか!そんなに甘くなかったか!ブドウだけに!てへぺろ☆」

憧「ハルエェ…」

セーラ「ツモ! なんやオーラスは全然手ごたえないわー 力尽きたんか?」

恒子「中堅戦、終了ですー!」

恒子「最下位の千里山が一気に2位浮上ー!依然として1位は白糸台です!」

穏乃「… ごーーん …」

副将戦

玄「いってきます!」

灼「がんばって!」

穏乃「玄さん、ファイト!」

晴絵(宮永照みたいなバケモノ相手じゃなければ… 玄はいつも通りのドラ爆だけで十分戦えるはず…でもここは)

晴絵「玄、対局室に入ったら最初に一発、思いっきり挨拶しなさい 元気よくね」

玄「…? わかりました、おまかせあれ!」

対局室

タタタッ

シュタッ

玄「只今参りました!阿知賀女子二年・松実玄です!よろしくおねがいします!!」ズビシッ

哩「あ、ああ…(敬礼…?)」

浩子「…よろしゅー(元気ええなあ)」

誠子(! …あの敬礼は…)

誠子(あの敬礼…)

誠子(私が居た部隊でもごく一部にしか許されない、上官専用の特殊敬礼だ…)

誠子(しかもあの完成度… 一朝一夕じゃできない 相当に慣れている)

誠子(偶然…? いや、素人さんにあのキレが出せるはずは…)

誠子(…まさかとは思うが、彼女もどこかの軍に…?)

浩子「しかしここでドラゴンロードさんと当たるとは思わへんかったわ」ボソッ

誠子「!」

誠子(ドラゴン…?コードネームか何かか…やはり…)

玄「?」

誠子「君…」

玄「はい?」

誠子「差し支えなければ教えてほしい… どこの部隊にいたんだい?」

玄(舞台…? 松実館の宴会場でやってる余興のことかな…?)

玄「えっと… 家族でやってる小さなものですけど」

誠子(家族で…!? 私設傭兵か…?)

誠子(ということはあの姉も…そんな風にはとても見えなかったが…)

誠子「…その、家族でやってる部隊ってどんな…?」

玄「んー、最近は舞台あまりやってなかったですけど…」


松実父「どうもー!(松実館の)館長でーす!」

宥「姉の宥です…」

玄「クロちゃんでございます!」

三人「三人合わせて…、」

三人「松実大サーカスでーす!」

父「そーれ、どーんどーんどーん!」

宥「お、お父さん… ふんどし一丁にならないで…」

父「どどーんどーん!」

玄「あはははは!」バサッバサッ(紙吹雪係)


玄「っていう感じの」

誠子(父は艦長…海軍関係か…)

誠子(そして爆発の中をふんどし一丁…かなりの豪胆…)

誠子「ちなみに君、戦闘経験は…?」

玄(銭湯…?松実館の温泉のことかな…?)

玄(きっとそうだよね!入浴だけのご利用も大歓迎ですよ!)

玄「はい!小さな頃から家のお手伝いでやっています!」ニコッ

玄「昔は私が(お風呂掃除)隊長だったりしたんですよー!」エッヘン

誠子(幼少期から戦闘…しかも隊長クラス…)

誠子(外見からは全く想像できん…)

玄(この人さっきから、うちの旅館に興味持ってくれているのかな…?)

玄(ふぅ~む、なるほどなるほど~)

玄(それなら営業スマイルで、お客さん獲得です!)

玄「よかったらいつでもお待ちしています!お一人様5000円から、各種取り揃えていますので!」ニコッ

誠子(暗殺請け負い…だと… しかもなんて格安…)

誠子(要警戒人物…!最初のうちは様子を見るか…)


恒子「副将戦、スタートですー!」

玄「ツモ!タンヤオドラ6です!」ドラァ

誠子(むう…やはり只者じゃない…)

浩子(…なんや白糸台は妙に阿知賀を意識しとるが… 警戒しすぎちゃうか…?)

浩子(ドラローさんは隙も多い… 取られても狙い撃ちして取り返す作戦でいけばいいはずや…)

哩(部長の私がここでしっかりせな…)

数局後

誠子(ドラ爆弾でドラゴンロードか… 大体把握した…)

誠子(大した火力だが、いつまでも好きにさせてはおかない…!)

誠子「作戦(オペレーション)…『爆弾処理』!」クワッ

―誠子さんの脳内―

誠子司令官「作戦発動!『爆弾処理』!」

ちび誠子ズ「サー!イエッサー!」

ちび誠子A「状況報告!爆弾は臨界状態(テンパイ)に入っています!」

ちび誠子B「爆弾がおもちにくっついて離れません!除去不能です!」

誠子司令官「先攻爆破(先に和了)は可能か!?」

ちび誠子C「間に合いません!導火線(当たり牌)を踏まないことが最善対処です!」

誠子司令官「よし、導火線特定!」

ちび誠子D「爆弾の導火線を特定しました!確率1/2です!」

誠子司令官「ご苦労、本部へ報告!」

浩子(白糸台の亦野誠子…データ通りやな)

浩子(対局途中、急に目を閉じて長考することがある…)

浩子(その後の行動には要注意…!)


菫「始まったな… 誠子の脳内軍隊(シライト・カンパニー)が」

淡「ねえスミレー、それいつも言ってるけどさー、セーコは目を閉じてるだけだよー?」

菫「う、うん… でも本人が言ってるんだからそうなのさ…」

菫「それに誠子がああなったら凄いのは淡も知ってるだろ」

淡「そうだけどー」

誠子(導火線特定…五筒か七索が当たり牌)

誠子(漫画やアニメなら「どちらかを切れば助かる!」などと言い出す場面だが)

誠子(これは麻雀… 無理に切らず両方持っていればいい)



恒子「流局ですー!」

玄(はぅぅ…和了れなかった…)

誠子「オペレーション『地雷探知』…!」

ちび誠子E「報告します!阿知賀の待ちは二萬と八索のシャンポン、千里山は北の単騎、新道寺は三六九筒の3メンチャンです!」

誠子司令官「ご苦労」

玄(うう~、全然和了り牌が来ないよ…)

浩子(止められてる…?待ちを変えてみよか…)

ちび誠子E「報告します!千里山待ちチェンジです!」

誠子司令官「ご苦労」

哩(くっ… せっかくのチャンスじゃけんに…)



恒子「流局ー!」

浩子「テンパイ」玄「テンパイです」哩「テンパイ」誠子「ノーテン」

恒子「亦野選手、三校の当たり牌を全て抱えて逃げ切ったー!」

誠子「オペレーション『隠密潜入』…!」

誠子司令官「潜入先はグリーンマイル!総員気を引き締めてかかれ!」

ちび誠子ズ「サー!イエッサー!」

誠子「…」

誠子「…」

誠子「…」

誠子「…ロン!」クワッ

哩「!」

恒子「白水選手、ダマ跳満に放銃ー!これは痛い!」

健夜「白水選手をずっと狙っていましたね…」

哩(なんと…!? 聴牌の気配ば一切無かったのに…!)

浩子(それどころか今の局、まるで三人で打っとるようやったな…)

玄(ふわぁ~全然気付かなかった… 東横さんみたいだったよ…)

恒子「後半戦に来て白糸台・亦野選手が巻き返しー!流石に王者の強さを見せつけています!」

玄「ツモ!ドラ7です!」

恒子「しかし阿知賀の松実選手も応戦!ドラを抱えた高打点連発で対抗しています!」

誠子(むう…やはり火力の高さは無視できない)

誠子(解析班…!早く…!)


誠子司令官「解析班!ドラゴンの弱点解析はまだか!」

ちび誠子F「申し訳ありません、難航しています!」

誠子司令官「早くしろ!対局が終わってしまうぞ!」

ちび誠子G「報告します!やっと発見しました!」

誠子司令官「おお!待っていたぞ!」

ちび誠子G「古来の文献に「ギャルのパンティーおくれーっ!」と叫んでドラゴンを無効化したという伝説が!」

誠子司令官「よくやった!それでパンティーって何だ!?」

ちび誠子G「…?」

ちび誠子H「…?」

ちび誠子I「…?」

誠子司令官「…ん?」

ちび誠子J「…存在が… 確認できません…」

誠子司令官「…何?」

ちび誠子J「おそらくこの世界には… 存在しないものです…」

誠子司令官「なん… だと…」

ちび誠子K「オーラスに入りました!もう時間がありません!」

誠子司令官「…手詰まり…か…」


恒子「副将戦、終了ですー!」

恒子「依然トップをキープする白糸台ですが、2位浮上した阿知賀との差がジワジワと詰まってきたー!」

恒子「勝負は大将戦へと移ります!」


誠子(前半様子を見すぎたか… 私もまだまだ)

玄(2回戦より和了れたけど… 1位には届かなかった…)

浩子(一歩足りず… やはりデータはあってもドラ爆は決まるとでかいわ)

哩(不甲斐ない結果ばい… 悔しかね…)

大将戦

晴絵「じゃあ憧は、これに着替えて!」

玄「これって…?」

穏乃「み、巫女装束…?」

憧「ちょっとハルエ!なんでそんな服!?麻雀と関係ないでしょうが!」

晴絵「いいから着た着た! あんたただって神社のうちの子でしょー?」

憧「そうだけどさ… こ、ここで着替えるの…?」モジモジ

穏乃「なにモタモタしてんだよー、私が着せてやろうかー?」ガバッ

憧「し、シズ!いいよ一人でやるから!」

憧「一人でできるから!トイレで着替えてくる!」タッタッタッ

穏乃「なんだよー…」

トイレ

タッタッタッ…バタン

憧「まったくバカシズ…いきなり脱がそうとするなって…」

憧「制服の下にシズのジャージ着てるのバレるかと思ったじゃない… 危ない危ない」

憧「…しかしハルエもどういうつもりだろ」

憧「神社の娘だからって、私に霊の素養なんかないっての…」


憧「…あ…」

憧「この巫女装束… よく見たら」

憧「うちの倉庫にあったやつだ…」

―4年前の回想―

穏乃「うわー憧の家の倉庫、広いねー!」

憧「お姉ちゃん、この箱何ー?」

穏乃「あ、巫女さんの衣装だよ!」

望「あら、また古いもの出してきたわねー」

望「阿知賀麻雀部が全国出場した時の服じゃない 懐かしいわー」

望「ホラこの写真」

穏乃「うわー!赤土さんと巫女装束の望さんが写ってるー」

望「開会式終わりで撮ったやつね 部員皆で写ってる記念写真よ」

憧「お姉ちゃん、巫女装束で麻雀打ったの!?」

望「開会式だけよ!晴絵がどうしてもって言うから…」

望「私一人巫女装束なんて浮きまくりだし絶対怒られるし、試合で着るなんて断固拒否したわ」

憧「じゃあなんでそんなの着ようって?」

望「晴絵が気に入っちゃってね…」

望「「ウチには巫女様がついてんだから絶対負けないわ!」」

望「「望が後ろで支えてくれるから、私は思いっきり打てるんだ!」」

望「だってさ」

穏乃「赤土さんにそんなこと言う一面が…」

憧「へぇー意外ー」

望「でも…、結局支えきれなかった」

憧「…お姉ちゃん…」

望「それが心残りで… この服もずっと捨てられないのかな…」

望「この思いもいつか、御供養してあげないとね…」

穏乃「望さん…」

望「憧… あんたもいつか、支えてあげたい人ができたら…」

望「これを着て傍に居てあげなさい」

望「そのために使うなら、いつでも持っていっていいわよ!」

憧「わ、私はいいよ!そんなの!巫女服なんて恥ずかしいし!」

―回想終―

憧(私の支えたい人…)

憧(そりゃもちろん……シズ…)

憧(…)

憧(そうだ…)

憧(今までシズより後に打ったことはなかったけど…)

憧(中堅戦でヘコんでたシズを、今度は私が後ろで支えてあげるんだ!)

憧「よっし!やってやろうじゃない!この服で!」

ズババッ

憧「着替え完了!」

憧(それにしても…なんでハルエがこの服持って…)

憧(…お姉ちゃんがハルエに持たせたのかな…?それともハルエが自分で…?)

憧(全国の舞台で… 十年前の思いをこの服にこめて…とか…?)

憧(…そう、すっかり忘れてたけど、今は全国大会準決勝)

憧(ハルエたちが越えられなかった壁を破れるかどうかもかかってるんだ…)

憧(最後の…大将の私に!)

憧「…負けられない!」ギュッ

穏乃「あ、帰って来た!」

玄「憧ちゃんかわいい~」

憧「…どうも」

晴絵「憧…」

晴絵「…がんばってきなさい」ポンポン

憧(… 急にしんみりした感じ…? やっぱり思い入れが…)

憧(……)グッ

憧「…いってくる!」タッタッタッ


晴絵(ちょwww胸元からシズのジャージ見えてるwww下に着てるのかよwwwダメwww笑っちゃwww我慢www)シンミリ顔

恒子「各校大将の選手が対局室に揃いました!まもなくスタートですー!」

恒子「なんと阿知賀女子・新子選手は巫女装束での登場です!かわいいねー!」

健夜「…私の頃はみんな同じ制服着てないと怒られたもんだったけど…」

恒子「あー、まあ20年前と今じゃあだいぶ違うでしょうねー」

健夜「10年前だよ!」


竜華(オーダー変更したからって容赦せんよ…決勝進出は千里山がもらうで…!)

淡(誰でもいいよ~私の大宇宙に遊びにおいで~)

姫子(逆転しちゃる…部長に涙ば流させるわけにはいかん…!)

セーラ「…納得いかん」

浩子「どないしました、先輩?」

セーラ「何で阿知賀のジャージやあの服はよくて、俺はスカートにならなあかんねん!贔屓やないか!」

浩子「先輩のは監督命令ですんで(進言したんは私ですけど)」

泉「いまさらですわ」

怜「諦めや」

セーラ「…ぐぬぬ」

―奈良―

綾「いよいよ大将戦だよ!」

`○ω○´「あこちゃんだァー!」

ひな「あこちゃー巫女さんの服着てるー!」

`○ω○´「みこちゃんだァー!」


初瀬「あの服って…」

望「あー、ウチに置いてあったやつだねえ」

望「十年前全国に行ったとき、私が着てたやつだわ」

望「阿知賀の監督が私の同級生でねー、この間うちに来て強引に持って行ったのよ」

初瀬「赤土晴絵さん…阿知賀のレジェンド…ですよね」

望「…で、カクカクシカジカってわけよ」

初瀬「やっぱり当時の思いを託して…みたいな感じですか?そういうのって素敵…!」

望「いやー、そんなのもあったらうれしいけど」

望「たぶん、半分以上は楽しんでるだけね」

望「「望が試合で着てくれなかったからリベンジよ!」とか言ってたわ」

初瀬「あ、あはは…」

望(アイツがそんな態度のときって、大体照れ隠しなんだけどね…)

―神様たちの居る天界―

新子神「おおう…すばら…すばらっ…!」

九面神(弱)「どうしたんですか 新子の」

新子神「おー、霧島の。見てくれよぉ 麻雀大会だよ」

九面神(弱)「小蒔ちゃんですか?昨日負けちゃったからしばらく出番無いんじゃ?」

新子神「お前さんのトコじゃねえよ!ウチの娘だよ!」

新子神「ウチの娘がよぉ… 初めてちゃんと巫女装束着てくれたんだよ… かわいいなぁ…」

九面神(弱)「十年くらい前も言ってませんでしたそれ?」

新子神「今度は下の娘だよ!あんときの娘の妹だ!」

新子神「下の娘はこっちの仕事に全然縁が無かったからさぁ… ちょーうれしいよー」

九面神(弱)「誰か混ざってますよ」

新子神「よーしパパ憧ちゃんに降りてって大活躍しちゃうぞー」

九面神(弱)「ちょ、ちょ待って!落ち着いて!」

九面神(弱)「降神の素質も修行経験もない娘に無理矢理降りてったら死んでしまうでしょうが!」

九面神(弱)「全然縁が無かったんでしょその娘!?」

九面神(弱)「応援は勝手にすればいいですけど、別のやり方考えてくださいよ」

新子神「しょうがねえなー じゃあこれならどうだよ」

新子神「そこの憧ちゃんの隣に宇宙があるじゃろ?」

九面神(弱)「ポケモンみたいに言わんでください」

新子神「あの宇宙をちょろちょろっと動かすくらいならここからでもできるわな」

九面神(弱)「意味わかんないですけどもう好きにしてください」

大将戦前半戦

淡(よーし、ここで必殺… 大宇宙ツモ!)

新子神「おりゃっ」

うちゅうの ほうそくが みだれる!

淡「えいっ!」タンッ

ハズレ

淡(あ、あれ…?全然ハズレ…)

淡(捨てよう)タンッ

姫子「ロン!5200ばい!」

淡(しかも他人の当たり牌ー!?うそー!?)

竜華(場の支配力なら負けへんで!全ての牌は私の膝の上や!)

淡(四角い宇宙は私のもの!あなたの支配は通さないもん!)

新子神「とうっ」

うちゅうの ほうそくが みだれる!

竜華「ツモ!2000・4000や!」

淡(な…場の支配で競り負けた…)

淡(なんなの…全然うまくいかない…)

恒子「前半戦終了ー!」

恒子「白糸台・大星選手がまさかの不調で2位転落!」

恒子「一方、阿知賀女子・新子選手が得意の速攻で点を重ね、ついにトップに立ちました!」

憧(うーん… 白糸台が自滅していった感じで勝ってる気がしないけど…)

憧(トップに出たからには守りきる!勝ち方にこだわってなんかいられない!)


恒子「さあ、まもなく後半戦です!」

新子神「よーし、後半も…」

九面神(強)「おーっと、そこまでにしてもらいましょうかー」

新子神「!?」

九面神(強)「人間の麻雀に手を貸すのは別にかまいませんけどー」

九面神(強)「自分の巫女に降りずに他人にちょっかい出すだけっていうのは、ちょっといただけないですねー」

新子神「な、なんだよー お前らだって降りた時は相当アレなこと(九連とか絶一門とか)やってるだろうよ」

九面神(強)「小蒔ちゃんや霞ちゃんは巫女修行をして、自分の意思で私達を降ろしてますー」

九面神(強)「自分の体を使うリスクも背負ってますし、何がなされているのかもわかってますよー」

九面神(強)「でも、本人が気付いてないところで手を貸すのはひどいってもんじゃないですかー?」

九面神(強)「自分の意思でも力でもない、何があったかもわからないじゃ、」

九面神(強)「そちらの娘さんだってきっと嬉しくないと思いますよー?」

新子神「うう… わかったよ…すまん」

―神様対話中にも対局は進み―

淡「ツモ!1600・3200!」

淡(やっと調子出てきた!)

竜華「ロン!7700や!」

竜華(逃がさへんで… 決勝進出するのは私達や!)

憧(この二人… やっぱり強い…!)

憧(私じゃ…勝てないのかな…)


恒子「白糸台が再び1位を奪回ー!3位千里山も大きく巻き返し、2位阿知賀との差はわずか!」

恒子「4位新道寺も上位に大きく直撃すれば十分逆転可能な圏内です!」

恒子「混戦模様の後半戦は南入へと進みます!」

九面神(強)「さ、もうこっちに来て、大人しく何もしないで観戦しましょ」グイッ

新子神「あ、ちょっ、待って!最後に一言だけ!」

新子神「あこちゃー! 愛してるよー!!」


(愛してるよー よー よー…)

…ハッ?

憧(今なにか聞こえた…?誰の声…?)キョロキョロ

憧(愛してるよ… か…)

憧(そうだ… 追い詰められて忘れてた)

憧(私の愛してる人…私がここまで来れた理由…)

憧(……シズ……)

憧(……、よし!)


憧「あの、脱いでもいいですか?」

恒子「おおっと新子選手、巫女装束を脱ぎだしたー!下に着ていたジャージ姿になりました!」

健夜「暑かったのかな…?」

竜華(あのジャージ2回戦で見たことある…穏乃ちゃんの服やんな…?)

穏乃「な…なんで私のジャージ着てんだよ… 恥ずかしい…」


憧(…は…初めてシズジャージ姿で人前に出たわ… ゾクゾクするわね…)

憧(これでもっとシズを近くに感じる… ずっとそばにいる…)

憧(シズ…私を見てて…!)

恒子「試合再開ー!」

恒子「ここにきて3位千里山、4位新道寺が絶好の配牌!十分に逆転がありえます!」

恒子「対して逃げ切りたい阿知賀の配牌は微妙なところ!さあどうなるかー!?」

憧(シズだったら… ここでも絶対諦めない!)

憧(あと4局、当たりを避けつつ追加点を狙う…!)

憧(オリて逃げ切りたいとこだけど… それは許してくれそうにない)

憧(それより先に速攻で和了り抜けちゃうのが… 私のやり方だ!)

憧(妥協しない…目指すは1位!)

憧「ポン!」

竜華(くっ…ツモ番が流される…)


憧「ツモ!300・500!」

姫子(安手流し… きついわ…)


恒子「新子選手が粘る!2位を渡しません!」

恒子「勝負はとうとうオーラスです!」

浩子「あの阿知賀の粘り… 2回戦のときによう似てますわ」

セーラ「?」

浩子「絶対諦めへんかったあの大将に…」

憧(これが… 最後の一局…)

憧(シズのために… 私は負けない…!)


憧「私はシズを… 愛してるーー!!!!」


ドォン


憧「ツモ!3000・6000です!」


恒子「大将戦、決着ー!」

恒子「最後の和了りで再び阿知賀女子が1位浮上!3位千里山は一歩及びませんでした!」

恒子「そして2位通過とはいえ、王者白糸台が1位を逃す大波乱です!」

健夜「オーダーチェンジした采配が見事的中した形ですね。すばらしいです」

健夜「監督は相当の凄腕でしょう いやスゴイこれはスゴイほんとスゴイ」


灼「! 小鍛冶プロがハルちゃんを褒めてるよ!」

玄「さっすが赤土先生!」

穏乃「やっぱり赤土先生は阿知賀のレジェンドやでー!」

レージェンド! レージェンド! レージェンド!


……


晴絵「……っていう感じでウチが勝つストーリーを考えたのでオーダー変更を通すのに協力してください」

トシ「却下」


カン

おまけ

その夜

穏乃「…ねえ憧ー」

憧「…なによ」

穏乃「大将戦でさ、なんで私のジャージ着てたの…?」

憧「!」

憧「ああああああれシシシズのだったのー ホ、ホテルにあったから備品かと思ったわ」

穏乃「…ふーん…?」

穏乃「じゃあ千里山の竜華さんから聞いたんだけど、大将戦の最後に叫んだことって何ー?」

憧「!!」

憧「何よ!なんでもないわよ!竜華さんに何聞いたか知らないけど変なこと言わないで!」

穏乃「竜華さん教えてくれなかったんだもん!自分で聞きなさいって!」

憧「なんでもない!なんでもないんだから!」

穏乃「なんだよーなんて言ったんだよー!教えてよ憧ー!!」


もいっこカン

おわりです 読んでくれた人ありがとう
途中1回バイバイさるさん食らって背筋が凍った
そんなに怒ってるとは思いませんでした たかみーごめんね

>>129
昔そんなSS書いたのでよかったら
菫「お見せしよう」灼「魔法少女の打ち筋を」
ってタイトルggってください

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