怜「文化祭でセーラと漫才する事になった・・・」(126)


千里山女子高校 通学路

怜「・・・・・・ふう」スタスタ

怜(やっと部活に顔出せるわ・・・)

怜(インハイで倒れてから、検査やなんやで入院して結構時間かかってしもたな・・・けど、いい事もあった・・・)

怜(松実 宥さん・・・)ポー

怜(ドラローさんと一緒に何度かお見舞いに来てくれた・・・接点はそれだけやけど)

怜(寒がりな彼女の温かい笑顔・・・一発でやられてしもた・・・)

怜(人生初の恋・・・・こんなに心躍るものとはなぁ・・・)フフ

怜(頑張って、宥さんと・・・両想いになって・・・そんで付き合って・・・・///)カアァ

怜「・・・・よし!」

怜(やるぞー!!)メラメラ


麻雀部 部室

怜「・・・・・なんて?」

セーラ「いや、漫才」

怜「・・・・・」エート

浩子「九月の文化祭で、園城寺先輩と江口先輩が漫才をするんです」

怜「・・・・なんで?」

セーラ「俺らにとっては最後の文化祭やろ?何か思い出に残る事したいなぁ思て」

怜「それが・・漫才?」

セーラ「せや!」ドドン

怜「・・・嫌や」


セーラ「なんで!?」

怜「お笑い舐めてへんか?簡単に出来るもんちゃうで?あと1ヶ月も無いし」

セーラ「確かにそれはそやけど・・・」

怜「そんなん、素人がやったかて失敗するに決まってるやんか」

セーラ「けどもう決まってもうたからなぁ」

怜「は?」

セーラ「前に聞いてない?出し物の一つが急にあかんようになった、て」

怜「・・・ああ・・・そんなん言うてたなぁ」

セーラ「そうゆう事なら!ちゅうて俺が立候補した訳や!」

怜「勝手すぎるわ・・・」ウウ


セーラ「先生たちにも話通したし、やる事は確定なんや」

怜「・・・・・・・」

セーラ「頑張ろうな!怜!!」

怜「い、嫌や!そんなん!」

セーラ「ええやんか~!漫才やろうや」

怜「なんで私やねん!」

セーラ「本かなんかで見たけど、物静かな子ってオモロイ事考えてる、って」

怜「そんなん、太ってる人はみんなキャッチャーやってた、みたいなレベルの勘違いや!」

セーラ「お、いい例え」

怜「全然ええ事ない!!」

竜華「怜なら大丈夫や。自信持って」

怜「ちょっと・・・竜華・・・」


浩子「江口先輩と相性がいいんですわ」

怜「フナQ・・・」

泉「園城寺先輩しか務まりません」

怜「みんな・・・根拠をくれや!私は根拠に飢えとんねん!」

浩子「その・・・園城寺先輩も江口先輩も学校の人気者ですし、好意的に見てくれると思いますよ?」

怜「いや、けど・・・」

泉「誰も爆笑なんて求めてませんて。賑やかな雰囲気を楽しみたい訳ですから」

怜「うーん・・・」

セーラ「なぁ?もう決まってもうたし・・・・あ、そや!あのな」

怜「ん?」

セーラ「ちょっと、こっち来てみ」スタスタ

怜「?」スタスタ


裏庭

セーラ「怜との漫才記念に、苗木を植えたんや」ホラー

怜「・・・・・・園城寺 怜と江口 セーラの漫才を記念して・・・・マジか」

セーラ「愛宕監督からのプレゼントや」ヘヘーン

怜「苗木もつっこみたいねんけど、なんで生物部で飼ってた亀のお墓の傍に植えんねん・・・安らかに眠れへんで・・・」

セーラ「な?愛宕監督にも期待されてんねんて!」

怜「・・・・・・けど・・・やっぱり私には」

セーラ「色んな人からも期待してるって言われてんねんで?」

怜「・・・色んな人て?」

セーラ「えーと・・・」

浩子「姫松とか、阿知賀の人たちとか・・・」

怜「阿知賀?」ピク


浩子「ええ。阿知賀は全員で見に来るって言うてましたわ」

怜「・・・・・・私とセーラが漫才やる、ってはっきり伝えたん?」

浩子「はい」

怜「・・・・・・・」

セーラ「有難い事やなぁ、みんな俺らを見に来てくれんねんでー」アリガトー

怜(まずい・・・・・もし私が漫才をやりたくないと言って、漫才をやらずにすんだとしても・・・)

怜(宥さんが漫才を楽しみにしていたら・・・・悲しい気持ちにさせてまう・・・)

セーラ「持つべきものは友達やなぁ~」

怜(かといって漫才をやったとしても・・・さっぶい漫才をしてもうたら・・・)ゴク..

怜(園城寺さんあったかくない・・・なんて思われて・・・・私の恋は・・・・)アオザメー

怜(けど逆に、ちょっとでもオモロイ漫才が出来たら・・・・宥さんは・・・)

怜(園城寺さんてあったかい・・・好き・・・・私と付き合って・・・フルフル・・・・なんて事に・・・)オオオオ..


怜「よし!」グッ!

セーラ「?」

怜「・・・・・セーラ」

セーラ「うん?」

怜「やるわ」

セーラ「へ?」

怜「漫才、やるわ」

竜華・浩子・泉「おお・・」

セーラ「ほんま!?よっしゃ!ありがとう怜!!」

怜「うん」

セーラ「よーし!燃えてきたで~!」

怜(私にはこの道しかないんや!なら突き進むまでや!)


麻雀部 部室

セーラ「さて!どんなネタにしよ?」

怜「・・・あんま奇抜なのは避けた方がええやろな」

セーラ「タイムスリップしてきた未来人と原始人の漫才とかどや?」

怜「・・・あんま奇抜なのは避けた方がええやろな」

セーラ「・・・あかんみたいやな」

怜(やっぱりベタがええかなぁ・・・・突飛なアイデアなんて思いつかんし・・・)

セーラ「あ!二人羽織みたいにして、二人とも腕出すねん!」

怜「・・・それで?」

セーラ「千手観音の自問自答漫才てのはどうや!?」

怜「・・・・言いたい事はわかんねんけど・・・うーん・・・」

セーラ「あかんか・・・」


怜「ネタが難しくなるなぁ」

セーラ「そっかー・・・ならしゃあないなぁ」

怜(なんで私がネタ書く事になってんのかは不思議やけど・・・どうしよう・・・)ウーン

セーラ「ネタ・・・ネタ・・・むう・・・」カンガエチュウ

怜(浩子の言ってた通り、それほど期待はされないやろうから、オーソドックスにまとめればなんとかなるか・・・?)

セーラ「秋元 康とつんく♂のケンカ漫才とか・・・」

怜(本番まで時間も無いし、まずは完成させんと・・・うう・・・胃が痛なってきた)ウゥ


本番一週間前

怜・セーラ「ありがとうございました~!」ペコリ

竜華・浩子・泉「」パチパチパチパチ

怜「・・・・どやった?」

竜華「怜が可愛かったで?ツッコミの時のヘソチラがセクシーやった」ポー

浩子「元気でええと思います」

泉「漫才に・・・・なってたと思います」

怜(本番前最後のネタ見せやのに、誰もオモロイと言うてくれんとは・・・・)


セーラ「うーん、やっぱ俺って言いたなるなぁ・・・学ラン着たいし」

怜「ごめんな、でも二人とも同じ制服で、私、って喋りの方がスムーズやと思うねん」

セーラ「そうか・・・すまん、文句言うて。怜に任せる!」ニコッ

怜「・・・ありがとう」

怜(けど自信無いわ・・・・ダダスベリの可能性大やで・・・・どうしよう・・・)

浩子「あ・・・・でも最後まで普通に聞いてられましたから、そない心配せんで大丈夫かと」

怜「ほんま?」

浩子「ええ」

怜(・・・・あと1週間じゃあそない内容も変えられへんし・・・・・覚悟決めるか・・・・)


本番当日

舞台袖

怜「・・・・結構人集まっとるな」チラリ

セーラ「せやな」

怜(最前列に宮永 照、渋谷 尭深、弘世 菫・・・・東京からわざわざ来てくれたんか・・・・)

怜「あ・・・・」

怜(宥さんも最前列・・・阿知賀の子たちもおる・・・)

セーラ「これはやりがいあるで」メラメラ

怜「・・・・そやな」

怜(宥さんを寒くさせる訳にはいかんで)メラメラ


アナウンス『皆様、お待たせいたしました』

怜「きた・・・」ブルッ

セーラ「おお・・・」

アナウンス『次の出し物は、園城寺 怜、江口 セーラの二人による漫才です』

ワァァァァ..パチパチパチパチ

怜(大丈夫、大丈夫・・・・)

セーラ「よおし・・・・」フゥ

アナウンス『コンビ名は怜めきセーラー!はりきってどうぞ!』

パチパチパチパチ

怜「行くで!」

セーラ「おう!」


舞台上

ダダダッ

怜「はいどうも~!」タタタ

セーラ「どもども~!」タタタ

怜「怜で~す」

セーラ「セーラで~す」

怜「二人合わせて」

怜「怜めきセーラーで~す」
セーラ「セーラの泉で~す」

怜「・・・・え?」

セーラ「ん?」

怜「・・今なんて?」

セーラ「・・セーラの泉で~す」

怜「いきなり間違えてるやん」

セーラ「・・・いいや?」


怜「え?なんで不思議そうにこっち見てんの?セーラの泉て・・・ほなら泉と漫才せえや!」

セーラ「え?え?」

怜「こっちが間違ってるみたいな目すなや!ちょっと心配になるやろ!」

セーラ「・・・うん・・・ごめん」

怜「んんん・・・なんやねん。このやり場のない思いは!」

セーラ「まぁ、コンビ名はもうええやんか」

怜「納得いかんけど・・・」

セーラ「それより私な、よく考える事があんねん」

怜「?どんな事?」

セーラ「もし私が麻雀部じゃなかったら、ってな」

怜「ああ~、そうかぁ、特待生やもんなぁ、他の部には入れへんか」


セーラ「そうです!トク・タイセイです!」

怜「は?」

セーラ「アニョハセヨ~♪この~想いを~♪」

怜「歌わんでええ!なんで小柳ゆきやねん!」

セーラ「とまぁ、そういう訳や」

怜「どういう訳や・・・・で?麻雀部以外で何か入りたい部活があるんか?」

セーラ「野球部やな!」

怜「野球部・・・ソフトボール部やなくて?」

セーラ「そや!女子高やろうが関係ない!野球部や!」

怜「そうか。なら野球部に入ろう!入ったらまずは球拾いや」


セーラ「そう!それと同時に声出しや」

怜「うん、それも必要やね」

セーラ「Jリーグのチームを応援する感じで・・・・ファイトー!!オー!!」

怜「ん?・・おお、声出てるねぇ、ええよ~」

セーラ「マネージャーの白鳥 美紀ちゃんと仲良くなって・・・甘酸っぱい展開になったり・・」

怜「おっ!ええな~」

セーラ「そんで次は守備練習でノックを受けるんや」

怜「ノックはしんどいてよく言うなぁ」

セーラ「そやねん。せやからフリーキックの時のキーパーの気持ちになって打球に」

怜「なんでサッカーで例えんねん!」

セーラ「・・例えてた?」

怜「自覚症状ないんか!もうサッカー部入れや!!あんたは深層心理でサッカーが好きなんや!」

セーラ「ああ・・・言われてみるとそうかもしれん」


怜「サッカー部入り!」

セーラ「わかった!」

怜「最初はなんや?」

セーラ「よし!まずはランニングや!」

怜「おお!」

セーラ「体力つけなあかん!グラウンド二十周!」

怜「これはキツイで~」

セーラ「けど走るで・・・足腰が重要なピッチャーのように」

怜「なんで今度は野球で例えんねん!本心を聞かせてくれや!しんどなってきた!」

セーラ「うーん・・・あとはマネージャーの白鳥 美紀ちゃんと」

怜「また出てきた白鳥 美紀!あんたの中でその名前は鉄板なんか!?」

セーラ「可愛い容姿と聞いてます」

怜「知らんわ!!!」


セーラ「おー、声出てるな~、Jリーグのチームを応援する感じで・・どうぞ!」

怜「ファイトー!!って、やかましいわ!!」

セーラ「・・・・・・なんか汗が凄いけど、大丈夫?」

怜「あんたや!!事の発端!!」

セーラ「うーん・・・考えてみれば、部活もええねんけど・・・」

怜「はぁはぁ・・・なんや、急に?」

セーラ「不良、ちゅうのに憧れへん?」

怜「・・・確かにな、うちなんて全然不良おらへんしな」

セーラ「だからこそちょっと憧れんねん。体育館裏でタバコ吸ったりな」

怜「あかんよ~?未成年やし」

セーラ「でも不良っぽくて格好ええやん」


怜「それもあるけど、タバコなんて吸ってたら肺が真っ黒になるで?」

セーラ「それがええやんか」

怜「え?何で?」

セーラ「見えないオシャレやん」

怜「それ意味違うわ!見えないオシャレて、下着とかそういうのを言うねん!」

セーラ「漆黒の肺・・・格好ええなー」

怜「医者しか見えへん!」

セーラ「あれ?走ると苦しい・・・」

怜「医者しか見えないオシャレの代償や!」

セーラ「ほならどうすればええんや?」

怜「それ聞かれてもな・・・」


セーラ「不良以外でやりたい事・・・あ!バイトや!バイトはした事ないし、色々やりたいなぁ」

怜「おお、うちはバイト禁止やからな~」

セーラ「コンビニの店員なんかええな」

怜「確かに身近やし、興味あるね」

セーラ「ちょっと、私店員やるから見てて」

怜「え?お客さんやらせてくれへんの?」

セーラ「まぁ見ときって」

怜「なんか寂しいなぁ」

セーラ「いらっしゃいませー!」

怜「元気でええね」

セーラ「・・・・・・」

怜「・・・・・・」


セーラ「・・・・・ん?あのお客さん・・・ずっと立ち読みしてるな・・・」

セーラ「・・・・」(右手を上げて・・・振り下ろす)

怜「ん?今何したん?」

セーラ「防犯用カラーボール投げてん」

怜「立ち読みくらいで投げんなや!」

セーラ「せやけど、タダでテレビの番組表を知ろうとしてんねんもん」

怜「番組表なんてテレビで簡単に見れんねんから、立ち読みで一番罪軽いやろ!」

セーラ「けどなぁ・・」

怜「いや、そもそもそんなんでカラーボール投げたら他のお客さんに迷惑がかかるやろ!」

セーラ「その為に野球部でコントロールをつけるんや」

怜「アホ!投げてええかどうかの判断力を先に学べ!」

セーラ「そう?」


怜「ほんまに店員が務まるんか心配なってきたな・・・私がお客さんやってチェックしたる」

セーラ「えー?一人で大丈夫やって。なんなら泉にお客さんやってもらうわ」

怜「それセーラの泉や!うちらは怜めきセーラー!!」

セーラ「うーん・・・違いがわからん・・・」

怜「ええからやるで!」

セーラ「まぁ・・・ええけども・・・」

怜「なんで不服やねん・・・・・・幕の内弁当・・・レジに持ってくで」

セーラ「こちら温めますか?」

怜「はい」

セーラ「少々お待ちください」(レンジに入れてボタン操作)

怜「・・・ちょっと雑誌でも読んで待つかな・・・」スタスタ

セーラ「・・・・・」ジー

怜「・・・・あかん、この店員はなんかヤバイ・・・・・大人しく待っとこ」


セーラ「チーン!」

怜「お」

セーラ「幕の内弁当をお待ちの長スカートでちょい根暗のお客様~」

怜「なんやぁ!!」タタタ

セーラ「?なんで怒ってんの?」

怜「悪意があんねん!客までヒートアップさせてどないすんねん!!」

セーラ「お、上手いなぁ」

怜「上手ないわ!そない言われたら顔まで熱なるやろ!」

セーラ「文句ばっかりやな・・・しゃあない、次はマクドや!」

怜「・・・・また接客業かい?大丈夫か?」

セーラ「任せぇ!じゃあ私が店員やるから見ときや!」

怜「ちょ、私がお客さんやるわ!その方がわかりやすいし」

セーラ「ええ・・・」

怜「なんやねん・・・私嫌われてんねやろか・・・・ちょっとショック・・・」


セーラ「まぁええわ、頼むで」

怜「・・・・ガー」

セーラ「いらっしゃいませー!ご注文はいかがなさいますか?」

怜「そやな、ハンバーガーのセットで」

セーラ「ポテトのサイズはS・M・L、どれになさいますか?」

怜「Sで」

セーラ「お飲み物はどれになさいますか?」

怜「コーラを」

セーラ「サイズはどれになさいますか?」

怜「Sで」

セーラ「店内でお召し上がりですか?」

怜「はい・・・ええ感じやんか」

セーラ「せやろ?これはメチャメチャ私向きのバイトやな!」


怜「けどなぁ、実際は嫌なお客さんとかも来るで?」

セーラ「嫌なお客さん?どんなん?」

怜「ほな、やってみよか」

セーラ「おお」

怜「ガー」

セーラ「いらっしゃいませー!ご注文はいかがなさいますか?」

怜「ハンバーガー」

セーラ「ハンバーガーですね」

怜「あとスマイル下さい」

セーラ「えっ?」

怜「スマイル。0円なんやろ?」

セーラ「・・・・・・」

怜「・・・早く」トントン


セーラ「・・・」(後ろを向いてうずくまる)

怜「?」

セーラ「大丈夫・・・私は笑えてる・・・お母さんがこの世を去ってから・・・もう泣かないって決めたから・・」

怜「・・・・・」

セーラ「そんな私を支えてくれたお父さんも・・・・天国に召されたけど・・・・私は泣かない・・それがお父さんの望む私だから・・・」

怜「・・・・あー・・・」

セーラ「身寄りのない私を引き取ってくれた叔母さん・・・私は笑えてるよね?・・・元気に見えるよね?ちゃんと・・・・笑顔でいれてるよね?」

怜「・・・・・・」

セーラ「でも・・・お客さんが笑えって言うのは・・・・私が心から笑えてないから・・・お母さんとお父さんの死を受け入れきれてないからだよね・・・?」

怜「・・・・・・」

セーラ「自分では受け入れていたつもりでも・・・本心では整理がついてないのかな・・・・いつになったら心から笑える日が来るんだろう・・・」グスッ

怜「・・・あの・・・」

セーラ「自分の弱い心を隠して・・・・笑顔のメッキを張り付けて・・・それで生きているって言える?・・・お母さんお父さんは喜ぶの?」


怜「・・・すんませんでした」

セーラ「え?」

怜「・・・スマイルとか・・・・くだらない事言って・・・すんませんでした・・・」

セーラ「あ・・・」グスッ

怜「・・ちゃんと注文します」

セーラ「・・・・グス・・・はい」

怜「ハンバーガーで」

セーラ「はい・・・グス・・・・ポテトも一緒にいかがですか?」グス

怜「いや、いいです」

セーラ「ポテト買えやぁ!!!!」

怜「ぅわ!」ビク


セーラ「この状況ならポテト買うやろぉぉ!!!」

怜「・・・いらんねんもん・・・・」

セーラ「Sでええやん!なんか気まずさを感じろやぁ!!!」

怜「確かに気まずいけども・・・いらんもんはいらんし・・・」

セーラ「・・・・こいつ・・・」(キョロキョロ)

怜「カラーボール探すな!」

セーラ「一個だけやから」

怜「個数の問題ちゃう!無駄遣いすな!」

セーラ「むう・・・」


怜「・・・ふう、他にやりたいバイトある?」

セーラ「うーん・・・あ!」

怜「お?なんかあったん?」

セーラ「バイトとはちゃうねんけど、特撮ヒーローなんてええなぁ」

怜「また随分離れたなぁ」

セーラ「私の知り合いに源さんっておっちゃんがおんねんけど、そのおっちゃんが特撮好きでな、よく特撮の話してん!」

怜「へえー・・・源さん・・」

セーラ「1年のうち250日くらい歯医者に通ってるおっちゃんなんやけど」

怜「マジ!?どんな歯してるか見たいわぁ・・・」

セーラ「源さんと話してて思ったんやけど、リアリティのあるヒーローものをやりたいわ!」

怜「リアリティ?」

セーラ「そうそう!」

怜「あんたがそないやりたいなら・・ええか、やろう!」


セーラ「ほなら私がヒーロー役と悪役やるから」

怜「私がヒーロー役であんたが悪役の方がわかりやすいな!それでいこう!」

セーラ「・・・・・・まぁ・・・好きにしはったらええけど」

怜「・・・・私、なんでこいつとコンビ組んでるんやろ・・?」

セーラ「・・・仮面ライダー怜やからな」

怜「わかった。状況は?」

セーラ「だだっ広い河川敷で、悪役が待つところに颯爽と現れるヒーロー!一対一の決戦!」

怜「おおし!」


怜「・・・待たせたな!」ザッ

セーラ「仮面ライダー怜・・・今日こそ貴様の息の根を止めてやる!」

怜「そうはいかない!へんーし」

セーラ「パン!」

怜「ん?」

セーラ「勝ちや」

怜「え?」

セーラ「眉間を銃で撃ち抜いたから、私の勝ち。テレビ画面ではテロップで死因が流れてるから」

怜「・・・そんなん流したらあかんし、変身途中で撃ったらあかんやん」

セーラ「なんで?」

怜「様式美ってあるやん?変身してから勝負つけようや」

セーラ「リアリティを追求した結果や。ボーっと待ってるのんはナンセンスや」


怜「・・・・ほな変身してから来るわ」

セーラ「変身もええけど、その前に歯を磨きや!」

怜「え?」

セーラ「口臭いヒーローなんてあかんやろ?はよ!」

怜「いや、でも・・・」

セーラ「源さんみたいになるで!!」

怜「・・それは嫌やな・・・じゃあ・・・・ゴシゴシ・・・」

セーラ「ボン!」

怜「?」


セーラ「歯ブラシ爆弾や・・・頭部は木端微塵・・・」

怜「ええー・・・」

セーラ「今、死因がテロップで流れて、カメラは頭部の断面図アップや」

怜「グロい!!」

セーラ「そんで最後に仮面ライダー怜の生前の名言が表示されんねん」

怜「名言・・・?」

セーラ「・・・・・エアコンの設定温度を上げて、扇風機を付けると節電に役立つねん・・・」

怜「それ最後の名言!?」

セーラ「そや」

怜「庶民派にも程があるやろ!他になんか名言はないんか!?」

セーラ「あとは自慢話ばっかやったからな」

怜「一番嫌われるやつや・・・・・あかん!もっと上手い事せんと!」

セーラ「お?」


怜「最初から変身して、油断せんと河川敷まで移動や・・・」

セーラ「ふむ」

怜「周囲に注意を払って壁際を歩いて・・・」

セーラ「パン!」

怜「なんでや!」

セーラ「スナイパーに撃たれたんや」

怜「な、なんで居場所がわかんねん!」

セーラ「ツイッターや」

怜「ツイッター?」

セーラ「・・・難波の喫茶店で仮面ライダー怜を発見。砂糖入れ過ぎ、子供舌!・・とか」

怜「・・・・・」

セーラ「・・・今、森ノ宮なんだけど、仮面ライダー怜、カーブミラー見ないから曲がり角でおばちゃんとニアミス!ざまぁ!・・とか呟かれてるから、場所がわかるねん」

怜「・・・めっちゃ馬鹿にされてるやん・・・・なんでー?」


セーラ「自慢ばっかやから」

怜「もう~!仮面ライダー怜~!」

セーラ「すぐ楽したがるし、弟子に荷物持たせんねん」

怜「弟子おったんか!?」

セーラ「小太りが1人な」

怜「身軽な奴にせえよ!」

セーラ「ブーツとかベルトとか結構かさばんねんけど、持っとけ!言うて放るんや」

怜「・・・嫌いやわぁ・・・」

セーラ「昼間から酒飲んでタバコスパスパ吸って」

怜「あかん・・・・」

セーラ「師匠・・・大阪駅で敵が・・・・言うても、アホ!曽根崎警察に任せ!言うて」

怜「あかんあかん・・・」


セーラ「いいところは1つだけ。オシャレっちゅう事だけや」

怜「ほお、それはええな」

セーラ「漆黒の肺なんや」

怜「だからそれオシャレちゃう!!」

セーラ「・・・うーん」

怜「なんや?」

セーラ「・・いやな、色々話してきたけど、結局私は麻雀部しかあらへんなー、思て」

怜「え?なんでや?」

セーラ「なんちゅうても、私はトク・タイセイやから。アニョハセヨー♪」

怜「もうええわ」

怜・セーラ「どうも、ありがとうございました~!」ペコリ

パチパチパチパチ

怜・セーラ「・・・」タタタタタ


舞台袖

怜「ふう~・・・・」

セーラ「ああー・・・やりきったー・・・」

浩子「お疲れさんです」

泉「声出てましたよ」

竜華「怜~♪キュートやったで~」

怜(お客さんも好意的に見てくれたようやし・・・やや受けやったけど良しとするか)

怜(しかし身内が一言もオモロイと言ってくれへんとは・・・・悲しいもんがあるなぁ)

セーラ「ふう~」

怜「セリフ完璧やったな」

セーラ「おお!それぐらいは覚えとかんとな!」

怜「ふふ・・・」

女生徒A「あ、すいませ~ん、横通ります」

>>59
>セーラ「任せぇ!じゃあ私が店員やるから見ときや!」
>怜「ちょ、私がお客さんやるわ!その方がわかりやすいし」

ここだけが分からんかったわ……


セーラ「お・・・もう次の出し物の準備か」

怜「・・・・」

怜(余裕なかったから、宥さんの顔見れへんかったけど・・・・どんな顔してたんやろ・・?)

怜(ほんの少しでも笑てくれてたら・・・・)

?「あの・・・」

怜「?」

照「お疲れ様」

怜「あ・・・宮永 照・・・」

照「・・・・私は好きだった」

怜「そ、そう?ありがとう」

照「うん・・・」


怜「・・・・・」

?「園城寺さん」

怜「?」

菫「・・・・」

怜「え?・・・あ・・・・・弘世さんも・・・・」

菫「ああ。君たちの漫才・・・見させてもらったよ」

怜「あ、ありがとう」

菫「麻雀を打っている時以外の君を見るのは、なかなか興味深かったよ」

怜「そ、そう?」

菫「ああ」フフ


??「あの・・・」

怜「?」

宥「その・・・」

怜「あ!!」

怜(宥さん!!)ドキッ!

宥「・・・・園城寺さん・・・お疲れ様でした・・・」

怜「え、あああうああ・・ありがとう///」

怜「ど・・・・・・・・どやった?」

怜(あかん!心臓がバクバクする!)バクバクバク...


宥「・・・・」

怜(あったかくない・・・は・・・・やめてや・・・頼む!!)バクバクバク

宥「・・・私は・・・・・ん・・・楽しかったです」

怜「!!!!!」

宥「園城寺さんと江口さんが頑張ってて・・・」

怜「じゃ、じゃあ・・・寒かったりは・・?」

宥「・・・・・えと・・・大丈夫・・・でした」

怜「!!!!」

怜(やった!・・・・やった!!めっちゃ嬉しい!!)オオオオ!

宥「・・・・・」


菫「改めて、君たちにお礼を言いたい」

怜「?」

菫「君たちの漫才を見ている宥さんの一瞬の笑顔を見て、私は一目惚れしてしまってな」

怜「???」

菫「なりふり構わず告白をして・・・付き合う事になったんだ///」

怜「・・・・・・・・・・・・え」

宥「/////」

菫「君たちのおかげだよ・・・本当にありがとう・・・」

怜「・・・・・・・・・・・・」

宥「あの・・・・ありがとう・・・・////」

怜「・・・・・・ええ・・・・どういたしまししたましたて」

菫・宥「??」


怜「・・・・・・・・・・・・」

菫「それじゃあ、また漫才をする時には教えてくれ」スタスタ

宥「園城寺さん、またね」スタスタ

怜「・・・・・・・・・」ボー

照「??・・・どうしたの?」

セーラ「おーい!怜~!今、愛宕監督から電話があってな!怜めきセーラーの初舞台記念として、もう一本苗木をくれるって!」

怜「・・・・もう・・・・ええわ・・・・ほんまに・・・ええわ・・・」ボー...

菫「」スタスタ

宥「」スタスタ

菫「」ユウ ニ カオ ヲ チカヅケ..

宥「」ア...

チュッ...

怜「!!!!」


セーラ「ん?どないしたん?」

怜「うおおおおお!!」

セーラ「わああ!!」ビクッ

照「!」ビク

怜「か・・・・」

セーラ「か?」

照「か?」

怜「カラーボール!!誰かカラーボールを持てぇぇい!!」バタバタ!

浩子「な、何で暴れてんの!?」

泉「ちょ、園城寺先輩!!」

怜「カラーボールを!!カラーボールをここに!!!」ガァァァ!

セーラ「そんなん無いて!」

竜華「怜ぃぃぃーーーーーー!!!!」

【終わり】


>>94

>セーラ「任せぇ!じゃあ私が店員やるから見ときや!」
>怜「ちょ、私がお客さんやるわ!その方がわかりやすいし」

確かにわかりづらい・・・

セーラ「任せぇ!じゃあ私が店員とお客さんやるから見ときや!」

怜「ちょ、私がお客さんやるわ!その方がわかりやすいし」

の方がよかった・・・

これで終わりなのか…?


>>111
終わりです。

みなさん、支援どうもありがとう。

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