荒木比奈「二人きりのクリスマス」 (34)



ガチャ


幸子「ただいま戻りました」

輝子「…フヒ……も、もどりましたー…」ガサ

比奈「?」

比奈「あ、二人とも。お疲れさまでス」

幸子「はい。比奈さんも、お疲れさまです」

幸子「?それ、おなべですか」

比奈「でスでス」ゴト

輝子「……フヒ…ごーまいほーむただいまキノコ…」モゾモゾ

幸子「あ、輝子さん。机の下に入るならちゃんとマットを敷かないと。床に直接座ると体が冷えますよ」

比奈(仲良しでスねー。ふふ)

文香「…」パラ…



・シリーズ
・前回の同日談になってます、少し前の話です
(前回:モバP「フツウのクリスマス」
モバP「フツウのクリスマス」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1387976104/))


SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1388394313


幸子「なるほど。これからみなさんで囲むわけですね」

比奈「はい。よかったら幸子ちゃんもどうです?」

輝子「…」フヒ…

比奈「輝子ちゃんも」

輝子「…」フヒッ

比奈「ちゃんと机の下から出て来たらでスけどね」

輝子「あっぅ…それはその…ちょっとハードルが……フヒィ…」

比奈「ふひひ」

幸子「……」クス


幸子「ええと…お誘いは大変うれしいのですが」

幸子「このあとは輝子さんと夕食に行く予定で」

比奈「あ、そうだったんスか…なるほど、今日は二人でデートと」

幸子「ふぁ、い、いえべつにデートでは」

輝子「フヒ……キノコディナーだよ、せ、聖夜にディナー…」

輝子「これはもうトモダチなんてものじゃないぜ……デートといっても過言じゃな」フヒヒハハ

幸子(それはちょっと輝子さんの友達観がおかし――)

輝子「それもカワイイトモダチと……テンションあがる」ヒャハー

幸子「いやまあボクはカワイイですけど……なるほどボクがカワイイなら仕方ないですね!?」フフーン

比奈(盛大に話が逸れたっスね)クス


幸子「ということで…残念なんですが」

比奈「とんでもないっス。ふふ、二人が仲良しだから、なによりかなって」

幸子「ええ。ボクたち仲良しなんです」フフン

輝子「……」フヒッ

輝子「……」フヒヒヒッヒヒハハァ

ぽこぽこ

幸子「あう」ポコ

比奈(あ…キノコ飛び出した……共鳴かな?)

比奈「…またプロデューサーに怒られるっスよー」

輝子「あっソレハチョット」

比奈「ふふ」



文香「…」パラ

文香「…」ポコポコ

文香「…………?」ポコ



ぽこぽこころんころ


輝子「はひ……お、おけぇ…お、落ち着いた」

幸子「??なんの話です?」

輝子「な、なんでもないよ……ぜ、親友」ヒヒ

幸子「…はあ」

幸子「あ、キノコが足りないとかなんとか。収録中に言っていた話ですか」

比奈(その台詞はいろいろアウトな気がするっス)

輝子「あ、うん。それもある。うん。そ、それはそれで、ほ、補充できたよ…マイハウスで」ヒヒ…

比奈(あっそれはそれで合ってたんスね)クス…

比奈(……いやこれ笑いごとじゃないかも…?)アレ?

輝子「」ヒャハァ



文香「……」ホンニキノコガ…

文香「…………」…ソー


幸子「そうですか。よかった。では用も済んだことですし、そろそろ行きましょうか」

輝子「う、うん」モゾモゾ

輝子「あ、……そうだ。あ、あの……ひ、比奈さん」ガサ

比奈「?はい」

がさ

輝子「は、はっぴーせいんとキノコ……え、えい」ガサ

比奈「??これは…キノコっスね」ガサ

幸子「キノコですね」

輝子「き、キノコだね」コクコク



文香「…………」

文香「…………」モミモミ


比奈「……」ガサ

比奈「えっな、なんでス?なんで私とつぜん、プラスチックのお弁当パックに詰まったキノコをハッピーセイントされたんでス?」

幸子「落ち着いてください。いまのは若干言葉遣いが楽しいです」

比奈(大体の人はとくに前触れもなくキノコを渡されたら動揺するっス)

輝子「……フヒ…た、楽しいのは…きっと、キノコのお、おかげ……」トロン…

比奈(なんか盛られたっスかね私!)アワワ



文香「…………」…モミ

文香「…………」ヤワラカイ…


幸子「――?…ああ」ポン

幸子「それは、ひょっとするとさきほど買っていたキノコですか」

輝子「う、うん…そうそう」コクコク

比奈「あ、さっき買って来たやつなんでスね、これ」ガサ

輝子「今日はキノコが安かった」フヒ…フンス

比奈(主婦スか)

幸子「ふふ。輝子さんは茸が安いとみるとスーパーを素通りしてはいられませんからね」

幸子「事務所に届いた新聞の折込チラシもよくチェックしてますし」

輝子「わ、私の交友関係をあんまり話されると…て、照れる…」フヒィ…

比奈(主婦スか。いやこれは違うか…な、なんだこれ)



文香「…………」ナデナデ

文香「…………」……フフ


輝子「…と、い、いうことで……」ガサ

輝子「比奈さんに、わ、私から…プレゼント…おなべに入れると…おいしい」

比奈「おーそれもそうっスね。これは助かりまス。嬉しいでス。えへ」ガサ

輝子「よ、よかった…ふひひ」

輝子「…ふふ。き、キノコは、いくらあっても困らない……からね」フヒ

幸子「ふふ。輝子さんはいつも考えなしに買ってしまうので、たくさんあって困ることも少なくない気もしますが」

輝子「…」…ア…

輝子「そ、それはその…ごめ…」

幸子「まあキノコですからね。仕方ないですか」ポコポコ

輝子「……」

輝子「……」フヒ…

輝子「…そ、そうそう。仕方ない…………うん、ふひ、ひひ、ひひ」ニヘニヘ

幸子「はい」ニコ

比奈(……、なんだかやっぱり)

幸子「まあボクもカワイイですからね。仕方ありません」

輝子「う、うん。仕方ない。さっちんカワイイ」コクコク

比奈(……いいコンビっスね。いろんな意味で)クス



文香「…………」ナデ…

文香「…?…ぁ」ポコヒュッ

文香「…………」イッチャッタ…

文香「…」

文香「……」…パラ


幸子「では――えっと」

幸子「次に会うのは年明けになるかもしれませんね。よいお年を」

比奈「それもそうでスね。幸子ちゃんも。気をつけて」

輝子「来年も…キノコをよろしく…フヒ」

比奈「はいはい。キノコも輝子ちゃんもちゃんとよろしくするっスよ」ナデナデ

輝子「……あぅ…フヒ」エヘヘ

輝子「お、おう。よろしく…な。比奈さん…」

比奈「はい」

幸子「ボクもよろしくお願いします」ペコ

比奈「はい。こちらこそっス。ふふ」ペコペコ

輝子「…」フヒ…

輝子「……」ア、ソウダ

輝子「……」パタパタ



文香「…」パラ


文香「…」

文香「?」


輝子「……」フヒ

輝子「…は、…はい…これ」

文香「?」

輝子「…く、クリスマスキノコだよ、…です。えっと……ぷ、プレゼント……」

文香「…………」

輝子「……あっ」

輝子「あ、ぁ、いらない、なら、なら、しょの、」ガリッ

輝子「…………」


比奈(いま噛んだっスね)

幸子(噛みましたね。…な、なかなかカワイイじゃないですか……、)

幸子(…まあボクのトモダチですから、あのくらいカワイくて当然ですね!)フフン

比奈(そうでスね)クス


輝子「…」イタイ

文香「……平気ですか?」

輝子「……」コクコク…アウー


文香「…………」

文香「……あの…」

輝子「あっハイ」

ギュ

輝子「…」ア…

文香「…………」

文香「…ありがとう、ございます……では…頂きます」

輝子「…」

輝子「…う、うん。いただいて……どうぞ」ハイ


比奈「…」

比奈「…なんかほっこりするっスね。なんだろう」

幸子「ふふ、そうですね」


輝子「…」フヒ…

輝子「ち、ちなみに、ここを押すと、ら、らいとあっぷ」カチ キノコペカー

文香「おお…」

輝子「…」フヒヒ…


比奈「…」ニコニコ

幸子「…」フフ


輝子「……」フヒヒ

輝子「じ、じゃあ……また」

文香「……」コク

文香「……」ナデナデ

文香「これ…大切に…します」

輝子「う、うん。アリガト…」

文香「…」

文香「…あの」

輝子「?」



・・・・


幸子「それではまた」

輝子「よ、よいお年を…」

文香「…」コク

比奈「はいっス。またー」パタパタ


・・ぱたん



・・・・


カチャ


比奈「…よしと。あとはみんなが帰って来るのを待つだけかな…」モゾモゾ

比奈(…お買い物、みんなに任せちゃいましたけど……大丈夫だったかなー…雪が降らないといいけど…)

文香「…」パラ

比奈(いや?柚と仁奈ちゃんは雪が降った方が喜びまスかね……)

比奈(……いやいや、楓さんも喜びそうだなぁ…ふふ…)

文香「…?」


文香「…」

文香「…なんだか……楽しそう…ですね」

比奈「へ?」

文香「……いまの荒木さんは、とても…柔らかい表情をしています」

比奈「…」

比奈「あー」ムニ

比奈「そ、そうでスかね。はは…す、すいません……ちょっと、気がゆるんでるのかな…」

文香「……?…気が」

比奈「はい。事務所だし…それにほら、今日はクリスマスでスから」

文香「……、」

文香「クリスマスは…」

文香「…そうですね。そういう…日ですね。贈り物をして…されて、喜んで」

比奈「でスでス」


文香「…」

比奈「…」

比奈「ふふ」

文香「?」

比奈「えと…私の気のせいじゃなければっスけど」

比奈「文香ちゃんも。けっこうゆるんでるのかなーって」

文香「…」

文香「…………」

文香「……」ペタペタ

文香「……、それは…えっと」

比奈「いいことだと思うっス」ハイ

文香「…」イイコト…

文香「……ですか…。それなら、えっと…」

文香「…………よかった…です」

比奈「はいっス」

文香「…………」ソッカ…ワタシモ…

文香「……」ペタペタ…

比奈「……」クス



・・・・


比奈「文香ちゃんはどうしまス?もう少しすると、プロデューサーたち、帰って来るかなーって思いまスけど」

文香「……あ…その」

文香「…叔父が…夕食をと、言ってくれていて……なので…えっと」

比奈「おっと。先約があるとは失礼したっス。いやこんな可愛い子ならもっともっスかね」ウンウン

文香「……」カワイイ…

文香「……」ホワ…

比奈(ゆるんでるゆるんでる)フフ


文香「…」

文香「…あの…」

比奈「?」

文香「……」

文香「よかったら……また来年…誘って、下さい」

比奈「あ…、ふふ」

比奈「了解っス!――と…クリスマスにそれはそれでちょっとあれな気もしまスけど…」アハハ…

文香「?」

比奈「まぁアイドルだし…い、いいっスよね!うんうん」

文香「??」

比奈(文香ちゃんも可愛いっスね、本当に)フフ

文香「……」…タノシミダナー…

文香「……」モミモミ



・・・・


文香「…では」パタン

文香「……私もそろそろ…失礼します」

比奈「はい。お疲れさまでした」

文香「……」コク

文香「……」

文香「……あ、あの」

比奈「?はい」

文香「……」

文香「……」モゾ


文香「…これ……よかったら…」

比奈「……?……わ、すごくきれい…栞でスか」

文香「…」コク

文香「…お店で、この時期お客様に配る……用の、片手間で、事務所の方用にも……と」

文香「あの、すいません、なので…粗品のようなもので……」

比奈「ふわあ。なんかあれでスね、これがもうラッピングしてあるみたいで…ほあー綺麗だなぁ」キラキラ

文香「……」

文香「……」

文香「…」


文香「……喜んで頂けたみたいで…」

比奈「はい!ふふ、なにより文香ちゃんのお手製っスからね!これはいいものっスねぇ」ニヘニヘ

文香「??」

比奈「だってアイドルのお手製っスよ!へへー」エヘヘー

文香「…」

文香「…」クス


文香「…その」

文香「荒木さんには……たくさんお世話になっているので…」

文香「クリスマスも、ですが……そういうことでも…あります」

比奈「……」

比奈「…そ、そんなそんな…私なんて……」

文香「……そんな…そんななんて…そんなそんなです…」フルフル

比奈(あ、なんだかこんがらがって来たっス)

文香「…………、先ほど、星さんにも差し上げたので……荒木さんには、たくさん…よかったら……」モサモサ

比奈「わわ…。わ、私はうれしいでスけど、お客さんに配る分がなくなるんじゃ」

文香「あ、いえ…その、こうしたときは、いつも…作りすぎてしまうので。張り切りすぎ……で…」カァァ

比奈(貴重な照れ顔っス。なるほど意外とはしゃぐところもあると)グッ


比奈「…」エヘヘ

比奈「じゃあ…ありがたく。えと…ごめんなさい。来年は私も文香ちゃんになにかプレゼントするっスよ!」

文香「…はい。……楽しみに…しています」

比奈「はいっス!」パッ

文香「……」フフ

文香「…では……よいお年を」

比奈「はい。また来年。よろしくっス」ニコ

文香「…」コク


・・ぱたん



・・・・


比奈「……みんな帰っちゃった」ポフ

比奈「…ちょっと……暇ができちゃったっスねー。お姉さんはりきって、早く準備しすぎちゃったっスか…」

比奈「……」

比奈「……」コク…


比奈「……」

比奈「…ふふ」

比奈「…今年はいろいろ……楽しかったっスねー…」

比奈「アイドルも、事務所でのんびりするのも……ふふ、趣味の方に手が回らなくて……もっと頑張らなくちゃー…」

比奈「……」コク…コク


ガチャ


「?」ガサ


「おい。風邪引くぞ」

比奈「…??……え…なん…」

「……」

「……」ガサ

「まあ風邪を引くよりは……いいか」

「えっと、悪い。開けちゃうぞ」バリ

比奈「??」



・・・ぱさ


比奈「……ん…」モゾ

「寝てていいよ。三人ともまだ戻って来ないから」

比奈「……ス」コク

比奈「…ん、あったか…」

「高かったからな。俺の感覚でだけど」

比奈「……ふふ…なんスか、それ……」

「……」ナデナデ

比奈「あ……ふふ…」ムニャ


「輝子たちの相手をしててくれたんだってな。ありがとう」

比奈「……相手だ…にゃんて、そんにゃ……」ウト…

(にゃ?)

比奈「…」フフ

比奈「…お姉さん……でスから。私…」

「そうだな」ナデナデ

比奈「ん…はいっス……にへへ…」エヘ…


比奈「……」コク

比奈「……でも……んぅ」ギュ

「?」

比奈「……」エヘヘ

比奈「……ぷろでゅーさ…には、甘えて……いいっスか…?」

「…うん。いいよ」

「比奈はお姉さんだからな」

比奈「……だから、なんれスか…それ…ふふふ……」…コク

比奈「……えへへ」ニヘ…

比奈「じゃぁ…………、…くぅ……」スー…

「……」ナデナデ



「おやすみ。えっと……メリークリスマス」

比奈「……」ニヘ…コク



・・・・おしまい

おわりん
比奈さーん

お読み頂きありがとうございました。よいお年を
あと、先日応援コメで柚かわといって頂けたりしました。動揺しました。ありがたいです。今度また柚々しい話考えてみます

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