玄「おはぎ作ってきたよ~」(148)

穏乃「あー、お腹すいたな~」

憧「灼、買い出し行ってきて」

灼「こういうのは後輩が行くもんでしょ」

憧「今日灼が一番負けてるじゃん」

灼「えー」

穏乃「ラーメン食べたいなー」

玄「あ、あのー……おなか空いたんなら……」イソイソ

穏乃「えっ、なになに? 食べ物?」

憧「いじきたないよシズ」

玄「えへへ、これなんだけど……」

灼「おお、でかい重箱」

穏乃「もったいぶらないで早く見せてくださいよー玄さーん」

玄「実は、おはぎ作ってきたんだよ~」

憧「えっ……」

灼「それ、玄の手作りなの?」

玄「うんっ、頑張っていっぱい作っちゃった!」

穏乃「…………」

玄「ほら、どうぞ穏乃ちゃん」

穏乃「え、あー……うん」

憧「手作りのおはぎかあ……あはは」

灼「…………」

玄(あ、あれ?)


咲「おはぎ作ってきたよ」

和「全部私がいただきます」

照「引っ込んでろガチレズ淫乱ピンク」

玄「あ、ほら……これがあんこで、こっちが胡麻で、これがきな粉なんだよ」

穏乃「…………」

玄「どれでも好きなの取っていいよ、ほらっ」

憧「…………」

玄「あっ、もしかして皆おはぎ嫌いだったかな……」

灼「いや……そーゆうわけじゃ」

憧「ないんだけど……ねえ」

ガチャ
晴絵「おーっす、みんな揃ってるなー」

灼「あ、ハルちゃん」

晴絵「お菓子いっぱい買ってきたぞ。これを食べて今日も部活がんばろー」

憧「さっすが晴絵、気が効くう~」

穏乃「私ちょーどお腹すいてたんですよお~」

玄「あ、あの……」

宥「玄ちゃん、もう、やめとこ、ね」

玄「あう……」

穏乃「おい憧、カントリーマアムのバニラばっか食うなよー」

憧「いいじゃん、私バニラ派なんですけど」

穏乃「私はバニラとココアをバランスよく食べたい派なんだよお」

灼「源氏パイうめえ」

晴絵「ほら、宥も玄も遠慮せずに食べなよ。
   早く食べないと食いつくされちゃうぞ」

玄「あ、はい……」

宥「それじゃあいただきます」

晴絵「ん? 玄、なんだその重箱は」

玄「え? あっ……こ、これはなんでもないです」

晴絵「なんでもないことはないだろ、そんな立派な重箱。ちょっと見せてよ」

玄「いや、これは、その、ほんとに、何も……」

憧「……晴絵ー、なんでもないって言ってんだからやめときなよ」

灼「そ、そうだよハルちゃん……」

晴絵「えー、お前らも気になるだろ? ほら、早く見せてよ玄」

玄「はうう……」

晴絵「おおー、おはぎじゃないか!
   これもしかして、玄が作ったのか?」

玄「はい……そうです……」

晴絵「すごいなあ、こんなに綺麗に作れるなんて!
   玄にこんな特技があったなんて知らなかったよ~」

玄「…………」

晴絵「あっ、もしかして……これ、今日皆で食べるために持ってきたとか?」

玄「あ、そ、それは、その……」

晴絵「あー。じゃあ悪いことしちゃったなあ……
   お菓子買ってこなきゃよかった」

玄「いえ、いいんです、もう、ほんとに……」

晴絵「そうだ、じゃあこれ皆で持って帰ることにしようか。
   せっかく持ってきてくれたのに、食べないのはアレだしな」

憧「ええ……」

灼「ハルちゃん……」

晴絵「ちょっと職員室からタッパーもらってくる!」タタタッ

玄「…………」

憧「チッ……」

灼「はあ……」

穏乃「これだから赤土さんはー」

玄「…………ごめんなさい」

憧「別に玄が謝ることないんじゃない?」

灼「そうそう」

玄「……」

ガチャ
晴絵「タッパー貰ってきたぞー。じゃあ皆のぶん取り分けるか~」

玄「はい……」

晴絵「ひい、ふう、みい……1人5個ずつでピッタリだな」

灼(作りすぎだろ……)

晴絵「はい、これが灼のぶん、こっちが穏乃のぶん」

穏乃「あはは、ボリューミーですねえ……」ズシッ

憧「あっ、私おはぎ苦手だからいらないですぅー」

灼(コイツ……)

晴絵「なんだ、そうだったのか?
   じゃあ憧のぶんは皆にもう一個ずつプラスだなっ」

穏乃「わ、わあい……」

灼「6個も食べきれるかなあ……」

玄「…………」

晴絵「あとは私のぶんが6個で、残りは玄と宥のぶんだな。
   いやぁありがとう玄、こんなにいっぱいおはぎ作ってきてくれて」

玄「あ、いえ……よく作るので、余ったのを詰めただけで……」

穏乃(30個も余るかよ……)

憧(絶対みんなに食べさせるために作ってきたでしょ……)

灼(宥さんはなんで止めなかったんだよ……)

晴絵「憧は食べられなくって残念だな~」

憧「はいー、私も玄の手作りおはぎ食べたかったですぅ~」

玄「…………」

晴絵「おはぎは家に帰ってゆっくり味わわせてもらうことにして。
   さてと、ちょっと遅くなったけど部活動はじめるかっ」

穏乃「はーい……」

帰り道

穏乃「はあ……」

灼「…………」

憧「どーすんの、その大量のおはぎ」

穏乃「なんで半笑いなんだよ、ムカつくなあ」

灼「食べるのはチョット抵抗ある……」

憧「だよねえ、食べられないよねえ」

穏乃「なんでだろーなー、玄さんのことが嫌いってわけじゃないんだけど……」

憧「手作りはねえ……」

灼「うん……」

憧「しかもおはぎって……サンドイッチとかならまだいいけど」

穏乃「おはぎってアレだろ?
   よく知らないけど、手のひらでこねくり回して作るんでしょ?」

灼「そうそう」

憧「うえー」

穏乃「さすがに肉親以外では無理だよ、そういうの」

憧「玄ってそういうの気にしないタイプなのかな(笑)」

穏乃「お人好しそうだしね……」

灼「出されたものはなんでも食べそう」

憧「ああ、そんな感じっぽいねえ……
  てゆーかマジでそのおはぎどうすんの? 食べんの?」

穏乃「いやー、食べられないって……」

灼「私はお婆ちゃんにあげる」

穏乃「あ、ずる……」

憧「シズもお母さんにあげればいいじゃん」

穏乃「お母さん甘いもん嫌いなんだよなあ」

憧「あはは、そりゃ残念」

穏乃「はーあ、まったく……」

憧「どーする? 玄に味の感想とか聞かれたら」

灼「玄はもうこの話題に触れてこないと思う……」

憧「それもそーか、あはは」

松実家 仏間

玄「おかーさん……今日ね、学校におはぎ持ってったの……」

玄「小さい頃、おかーさんが作り方を教えてくれたよね……」

玄「私、おかーさんの作るおはぎ大好きだったから……」

玄「みんなにもきっと喜んでもらえるって思ったんだ……」

玄「おはぎを通じておかーさんの心がみんなに伝わればって……」

玄「でも、でもね……」

玄「みんな、きれい好き、なのかな……」

玄「他人が握ったおはぎって……食べたくない、みたいで……」

玄「夜中までかけて、いっぱい、作って……ひぐっ」

玄「でも、みんなに……笑顔で食べて、もらいたかった、よ……」

宥「玄ちゃん……」

玄「お、お姉ちゃん……」

宥「泣かないで、ね……私は玄ちゃんの作ったおはぎ、好きだよ。
  みんなが食べなくても、私がちゃんと食べてあげるから……」

玄「お姉ちゃぁん……」

翌朝

玄「ひい、ふう、みい……」

玄「ひとつも減ってないし……」

玄「お姉ちゃんおはぎ食べてないじゃん……」

玄「しかたない、自分で食べよう……」ムシャムシャ

玄「早く食べないと腐っちゃうからね……」モグモグ

玄「はあ……あと11個かあ……」

宥「おはよおー玄ちゃーん」

玄「あれっ、お姉ちゃんまだ着替えてなかったの?
  早くしないと遅刻しちゃうよお」

宥「え、もうそんな時間……?」

玄「もう8時前だよ、早く顔洗って、制服に着替えて」

宥「はわわわ……急がないと~」

玄「朝ごはんは食べてる暇ないか……そうだ、ご飯代わりにおはぎ食べない?」

宥「あ……朝ごはんはいらないかな」

玄「あ、そう……」

登校中

玄「おねーちゃん、もっと急いで」

宥「待ってよお~玄ちゃーん……」

玄「このままじゃ遅刻だよお……仕方ない、近道を使おう」

宥「近道~?」

玄「うん、このまえ灼ちゃんに教えてもらったんだ。
  ここの草むらを突き抜けていけば、すぐ学校の前に出るんだよ」

宥「へえー、そんなルートがあったんだー」

玄「ほらほら、いくよお姉ちゃん」ガサゴソ

宥「待ってぇ玄ちゃん、歩きなれない道は大変……」

玄「ほら、あそこにもう校舎見えるでしょ」

宥「あ、ほんとだ~」

玄「この道すっごい短縮ルートなん……、…………」

宥「どうしたの、玄ちゃん?」

玄「お姉、ちゃん……これ……」

宥「あ……おはぎ……」

玄「ど、どうして……?
  なんで、こんなところに……捨てられ……て……」

宥「く、玄ちゃん……」

玄「そんなに、嫌だったのかな……
  私の作ったおはぎ……捨てたくなるほど嫌だったのかなあ……」

宥「落ち着いて玄ちゃん……
  これが玄ちゃんのおはぎだって、決まったわけじゃ……」

玄「間違いなく私のだよっ!
  あんこ、ごま、きな粉おはぎがそれぞれ2つずつ……
  これって昨日赤土さんがみんなに分配したのと同じだよっ!」

宥「で、でもたまたま、その組み合わせのおはぎを買った人がいたり……」

玄「市販のおはぎはもっとこじんまりしてるよ……
  私はいつも大きめに作るから……」

宥「で、でもでも……」

玄「もういい、もういいよ……お姉ちゃん」

宥「玄ちゃん……」

玄「私が間違ってたんだよ……
  全部私が悪いの……私がおはぎなんて作ったから……」

宥「…………」

放課後 部室

晴絵「よっ、みんな揃ってるなー」

穏乃「こんちゃーっす」

憧「晴絵おそーい」

灼「顧問は一番先に来るべき」

晴絵「そうか? むしろ最後に来るべきだろう」

玄「…………」

晴絵「おっ玄、おはぎ美味かったぞ!
   特にきな粉が最高だったよ、また作ってきてくれ」

玄「あ、はい……ありがとうございます」

宥「…………」

晴絵「みんなも食べただろ? 美味しかったよな」

穏乃「あ、はい、美味しかったです玄さん」

灼「……私はまだ食べてないけど、お婆ちゃんは美味しかったって」

晴絵「だよなー、市販のものにも劣らない味だったよ」

玄「あはは……」

憧「晴絵もシズも、本当に食べたのかな~」ボソッ

玄「っ……!」

晴絵「え、どういう意味だ?」

穏乃「ちゃ、ちゃんと食べたに決まってるだろ!
   美味しすぎて、6個全部食べちゃったくらいだよ」

憧「ふーん、じゃあ、あんこはこしあんだった? それとも粒あん?」

穏乃「え、そ、それは……」

憧「ニヤニヤ」

晴絵「つぶあんだろ? 私つぶあん派だから美味しかったよ」

穏乃「そ、そうそうつぶあん! 私もつぶあん派なんだよー」

憧「ふーん……ま、どっちでもいいけど」

宥「ねえ、玄ちゃん……もしかして」

玄「も、もういいよお姉ちゃん……その話は……」

穏乃「憧、なんでいきなりそんなこと聞いてきたんだよ」

憧「いやあー、実はさ、今日遅刻しちゃってねえ。近道を通ったらさ……」

玄「っ!!」バンッ

晴絵「うおっ、どうしたんだ玄、いきなり立ち上がって」

玄「あ、いえ……な、なんでも、ありません……」

憧「ニヤニヤ」

穏乃「…………」

宥「玄ちゃん……」

玄「すみません、私、今日はもう帰ります……」

晴絵「なんだ、具合でも悪いのか?」

玄「はい、すみません……」

憧「また明日ね、玄」ニヤニヤ

灼「おだいじに」

玄「うん……じゃ、これで……」

ガチャ
先生「あー、ここ麻雀部だよね……鷺森さんいる?」

玄「え、あ、はい……そこに」

灼「鷺森は私ですけど、どうかしましたか?」

先生「実は、さっき病院から電話があって……お祖母さんが……」

灼「お、おばあちゃんがどうしたんですかっ!」

先生「さっき救急車で病院に運ばれたと電話があって……」

灼「きゅ、救急車って、なんで……」

先生「どうやら食中毒らしい。
   詳しいことは分からないが、おはぎに当たったという話だ」

灼「えっ…………」

玄「お、おはぎって……そんな……」ガクッ

灼「玄っ……!」キッ

玄「はぅっ……」

先生「とにかく、早く病院へ行ってあげて」

灼「は、はい……!」タタッ

玄「そんな……そんな、私のおはぎのせいで……こんなこと……」ガクガク

宥「玄ちゃん、しっかりして、玄ちゃん!」

晴絵「私は全然平気だったけどなあ」

憧「晴絵は無駄に丈夫そうだしね」

穏乃「食べなくてよかった~……」

会社が棚卸しで振り替え休日があったので
会社の若い連中、男女3:3で海にドライブに行った
私は途中で腹が減ると思ったので
人数分×3個のおはぎを、前の晩からこしらえた。
「気のきく人」と思われて好感度アップ間違い無しと確信して
寝不足ながらウキウキ気分で出発。
ひそかに思いを寄せるN男さんもお洒落な服で張り切っている。
10時ごろ、ブサイクな同僚♂(29才喪男)が
「ソフトクリームがたべたい」と言い出したので
私は「お、おはぎならありますけど・・」とやや控えめに
18個の色とりどりのおはぎ(あん・青海苔・きなこ)を紙袋からとり出した。
一瞬「しーん」となって、ブサイクな同僚♂が
「喪女さんが握ったの?うわwwおばあちゃんみたいwww」と言った。
他の女が「ちゃんと洗った手で作ったの?今の季節雑菌は危ないよ、ほら、ここやばくない?」と言った。
爆笑が起こった。18個のおはぎは誰の口にも入らなかった。
私はほぼ半泣き状態で、おはぎをしまった。
人づてに聞いた話だけど、N男さんも「ちょっとあれは食べらんないw」と
言っていたらしい。

>穏乃「食べなくてよかった~……」

>穏乃「食べなくてよかった~……」

>穏乃「食べなくてよかった~……」

病院

灼「よかった、おばーちゃん……大事ないみたいで」

祖母「念のため一日だけ入院することになったよ。
   まあすぐ元気になると思うから、心配しないでおくれ」

灼「うん……」

ガラッ
穏乃「失礼します~」

憧「お見舞いに来ました、お加減はどうですか?」

祖母「ああ、灼のお友達かい。わざわざありがとうねえ」

玄「…………」

憧「ところで、本当なんですかあ? 玄のおはぎを食べたらお腹痛くなったって」

祖母「ああ、実はそうなんだよ……急にお腹痛くなって、何度も戻して……」

玄「す……すみませんでしたっ!!」ガバッ

祖母「いやいや、玄ちゃんが謝ることじゃないよ……
   私がちゃんと冷蔵庫で保管しなかったのが悪かったんだ」

玄「でも、私が作ったおはぎのせいで、こんな……
  本当に申し訳ありませんでした……」

祖母「玄ちゃんは何も悪いことはしていないよ。
   本当に私の管理がまずかっただけなんだから、顔を上げて」

玄「はうぅ……」

祖母「だから灼も、玄ちゃんのことを憎まないであげて」

灼「おばーちゃんがそういうなら……」

憧「よかったねえ玄、許してもらえて」

玄「うん……」

穏乃「じゃあ、私たちはそろそろ帰ろっか」

灼「私も今日は帰るよ……お店のこともあるし」

祖母「そうかい、すまないねえ苦労かけて」

灼「いいよ、家族なんだし……」

宥「それじゃあ失礼します」

祖母「ああ、今日は来てくれてありがとうねえ」



灼「さてと……帰ったらまず残ってるおはぎ全部捨てないとね」

玄「っ……」

灼「ん? 何、その顔」

玄「いや……なんでもないよ」

灼「だって捨てなきゃしょうがないでしょ。傷んじゃってるんだもん」

玄「うん、そーだよね……」

灼「玄がせっかく作ってくれたおはぎだけど。
  おばーちゃんが食中毒になっちゃうほどダメになっちゃったから、
  食べてないぶんも全部ゴミ箱に捨てなきゃ仕方ないよね、玄」

玄「うん、仕方ないよ……捨てなきゃね、私のおはぎ……」

憧「でもなんかもったいないねえ。
  あ、でもまったく食べずに捨てるよりはマシかあ」ニヤニヤ

玄「そ、そだね……」

憧「ねえ、シズ?」

穏乃「えっ、な、なんでこっちに話題振るんだよぉー、おいー」

憧「いやぁ~、なんとなく~」ニヤニヤ

玄「…………」

宥「玄ちゃん……」

玄「ん……大丈夫だよ……」

宥(それから玄ちゃんは家に帰るまで一言も発しませんでした)

宥(そして家に着くなり……カバンも降ろさずに台所へ直行)

宥(冷蔵庫からおはぎの入った重箱を取り出して)

宥(重箱から取り出したおはぎを1つずつ、ゴミ箱に落としていったのです)

宥(その一連の動作は、あまりに機械的で、感情を感じられなくて)

宥(虚ろな表情でおはぎを捨て続ける玄ちゃんに対して)

宥(私は言葉をかけてあげることができませんでした……)

宥(そんな玄ちゃんが痛々しくて見ていられなくなり)

宥(私はそこから逃げ出すように自分の部屋に戻りました)

宥(それから10分ほど経ったでしょうか……)

宥(台所から玄ちゃんの泣き声が聞こえて……)

宥(すすり泣きではなく、赤ん坊のような絶叫に近い泣き方で)

宥(それは日が落ちて暗くなるまで続きました)

宥(私はどうすればいいのか分からなくて、ずっと布団にくるまっていました)

宥(その日から玄ちゃんは、一度もおはぎを作っていませんし、
  おはぎの話をすることすらなくなってしまったんです……)

憧「私みたのよね」

レジェ「何を?」

憧「通学路にハルエがおはぎ捨ててるの」

レジェ「!?」

だと思ってた

宥「今では私がおねーちゃん」

宥「妹にあげるのはもちろんおはぎ」

宥「なぜなら彼女もまた特別な存在だからです」

ある日の朝 登校中

玄「おねーちゃん、もっと急いで」

宥「待ってよお~玄ちゃーん……」

玄「このままじゃ遅刻だよお……仕方ない、近道を使おう」

宥「ああ、この前の近道~?」

玄「ほらほら、いくよお姉ちゃん」ガサゴソ

宥「待ってぇ玄ちゃん、歩きなれない道は大変……」

玄「やっぱりこの道すっごい短縮ルートなん……、…………」

宥「どうしたの、玄ちゃん?」

玄「…………」

宥「あ……おはぎ……」

宥(あの時に捨てられてたおはぎ……まだ残ってたんだ……
  虫にたかられたりして、だいぶボロボロになってるけど……)

宥「玄、ちゃん……」

玄「…………」

玄「大丈夫だよ、お姉ちゃん……」

宥「えっ……」

玄「私、大事なものを失くすことには、慣れてるから」ニコッ

宥「…………」

玄「ほら、早く行こ? 遅刻しちゃうよ~」



宥(このとき玄ちゃんの笑顔から涙が零れていたことに気づいてしまいました)

宥(玄ちゃんは本当に強い子なのでしょうか。それとも弱い心に蓋をしているだけなのでしょうか)

宥(そんなことも分からないお姉ちゃんを許してください)

宥(玄ちゃんは今まで私にたくさんのものをくれたけど)

宥(私は玄ちゃんに、何もしてあげられない……)



晴絵「私も玄みたいにおはぎを作ってきたんだ!
   ほら、遠慮しないで食べてくれ!」

憧「いらねえよ」

     お        わ       り

おしまいです
トヨネでも良かったね

で、クロチャーがおててでこねこねしたおはぎはどこで食えるんだ?

玄「(あああ勢いで作ってきちゃったけどこんなことになったらどうしよう~……)」

穏乃「ん!?玄さんそれなに!?」

玄「あ!待って!!」

かぱっ

穏乃「おお……これはすごい!!」

憧「おおーさすが玄」

灼「こんなに綺麗なおはぎ、お婆ちゃんでも作れないかも」

穏乃「食べて良いの!!?」

玄「う、うん好きなだけ!」

憧「やたー貰うね~」

穏乃「あぐあぐあぐ…」


玄「(ありがとう…皆…ずっと一緒だよ)」



ハッピーエンド

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