末原「すみません……すません……」ポロポロ 漫「先輩……」(169)

  姫松高校控室にて

末原「うぐうぐ……」ポタポタ

洋榎「そんな泣くことないやん、準決勝進出したんやし」

由子「そうなのよー」

絹恵「そうですよ!胸を張ってくださいよ!」

末原「う、う、う……」ボロボロ

洋榎「まぁ張る胸を無いんやけどな!」ドヤァ!

漫「あなたも人のこと言えないですやん……」

洋榎「漫に言われると腹立つなぁ……」

末原「……」

末原「わたしは自分の能力を過大評価しすぎてみたいやな……」

洋榎「なに言うとるんや恭子、むしろ過小評価しすぎやで!」

漫「そうですって、うちより何倍も末原先輩のほうが優れてますって!」

洋榎「当たり前やろ!」

絹恵「だからそんな自分のことを責めないでください!」

由子「そうなのよー」

末原「みんな……」

  ガチャン

赤阪「みんなおつかれ~」

洋榎「あかん、めんどいのきたで」

赤阪「あれ~末原ちゃんなんで泣いてるん?」

末原「……」

赤阪「ねぇなんでなん?なんでなん?」キャッキャッ

末原「う……」ウルッ

洋榎「恭子はいま落ち込んどるんや!そっとしといてや!」

赤阪「え~落ち込んでるん?別に気にすることないで~、末原ちゃんの実力じゃ宮永さんに勝てへんのはわかりきってたことやし」

絹恵「な……」

洋榎「なに言うてるんや!恭子を馬鹿にしとるんか!」

赤阪「だってそうやん、あんな10年に1人の怪物に凡人の末原ちゃんが勝てるわけないやん~」

漫「たしかに怪物やったけど……」

赤阪「愛宕のお姉ちゃんはおもろいこと言うなぁ~、ナイスボケやで!」

洋榎「くっ……!」

末原「いいんです主将、本当のことなんですから……」

洋榎「恭子……」

末原「監督代理……」

赤阪「なぁに?おトイレ?おトイレならここを出てまっすぐ行って右に……」

末原「今度の準決勝、わたしを大将から外してください……」

洋榎「な、なに言うとるんや恭子!大将は恭子の務めやろ!」

末原「で、でも!また今日みたいに弄ばれるのは嫌なんや……!」

漫「先輩……」

末原「あそこに座るのが怖いんや……宮永も怖いし日本中から後ろ指さされるのも嫌なんや……」ポロポロ

洋榎「恭子……」

末原「だからわたしを外してください……代わりに漫ちゃんを大将に据えてください……」

漫「え、絶対うち無理ですって」

赤阪「ねぇ、末原ちゃん、あの子より強くなりたい?」

末原「え……」

末原「か、勝てる方法があるんですか!」

赤阪「あるで~、とっておきの方法や」

末原「ど、どういうことですか」

赤阪「ぐふふ、それは内緒やで~」

洋榎「なんや胡散臭いなぁ……」

赤阪「なぁ末原ちゃん」

末原「なんでしょうか」

赤阪「たしかにあの宮永っちゅう子は怪物で末原ちゃんは凡人や、そやけどな」

末原「でも?」

赤阪「凡人もやりようによっては怪物を仕留める方法はあるんやで~、それを準決勝までに教えたるで~」

末原「お、お願いします!」

絹恵「ホンマにええんですか先輩……」

漫「なんか嫌な予感がするで……」

赤阪「ほな善は急げや、さっさと修行しに行くで~」フラフラ

末原「……」

洋榎「なぁ恭子、ホンマに行くんか?」

末原「わたしにはもうこうするしかないんです」

洋榎「でもあのオバハンの言うこと信用ならんで」

絹恵「なんかうち心配ですねん……」

末原「大丈夫です、絶対戻ってきますから」

洋榎「そうならええんやけど……」

末原「それから漫ちゃん」

漫「は、はい!」

末原「万が一、わたしが戻ってこなかった場合、大将戦は頼みますよ」

漫「む、無理ですって!勘弁してくださいよ!」

末原「わたしは漫ちゃんに期待してるんやで、それでは」

   ガチャン

漫「冗談きついで……」

  ブロロロロロロロロロ・・・・・・

末原「……」

赤阪「なんや末原ちゃん緊張しとるん?」

末原「そらどこに連れてかれるかもわからんですから……」

赤阪「大丈夫やって安心してや~、全然怖くないで~」

末原「そうですか……」

赤阪「うちは全然怖くないけど末原ちゃんはどうやろなぁ」ボソッ

末原「いまなんで言いました?」

赤阪「鼻歌やで~、夏が来る~夏が来る~♪」

末原「そうですか……」

赤阪「ん~♪」

末原(なんやえらい心配や……でも……)

ブロロロロロロロロ・・・・・・

末原(宮永咲に勝つにはこの人についていくしかないんや!ここは我慢や!)

そうして二人は夜の闇に消えていったのだった・・・・・・

  4日後  準決勝当日にて 朝

洋榎「とうとうこの日が来たみたいやな……」

絹恵「結局末原先輩もどって来なかったね……」

漫「……」ガクガクブルブル

洋榎「なに震えてるんや、生まれたての馬かいな」

漫「だ、だってこのままやとうちが、た、大将ですねんで……」ガクガクブルブル

洋榎「大丈夫やってなんとかなるなるやで」

由子「そうなのよー」

漫「そ、そんな無責任な……」

絹恵「試合まであと1時間……先輩なにしてるんやろ……」

洋榎「ああもうなにやっとるんや恭子は!」

由子「このままだとホンマに漫ちゃんが大将なのよー」

漫「ううう……」ガクガクブルブル

洋榎「あのオバハン、恭子をどこに連れていったんや!」

絹恵「たしか権現山って聞いたけど……」

漫「ああ権現山にいるんすか……(あかん、無知を晒してまうから適当にうなずいとこ)」

洋榎「なんや漫、しっとるんかそのなんとか山」

由子「どこなのよー」

漫「あ、いやすんません、知らんです……」

洋榎「なんや知ったかかいな」

漫「はい……」

絹恵「福岡の山らしいで」

洋榎「なんや福岡まで行ってるんか!何しにいっとるんやホンマ!」

由子「そんなことよりもうすぐ時間なのよー」

絹恵「そろそろ先鋒は入場してなきゃやね……」

漫「じゃ、じゃあ行ってきます!!」ガタン!

洋榎「なに言うとるんや!漫は大将やろ!」

漫「嫌です!うちには荷が重すぎますって!」

絹恵「そやけど上重さんを大将にするのは末原先輩の願いなんやで!先輩の期待を裏切る気なの?」

漫「そ、それでも!全国に恥晒して戦犯扱いされるのは嫌なんや!」

洋榎「ワガママ言うたらあかんで!」ガシィ!

漫「嫌や!離して!うちは先鋒で麻雀打つんや!うわあああああああああん!!!」

  ガチャン

赤阪「おまた~」

漫「だ、代理ぃ!」

赤阪「みんな朝からなにやってるん?熱々やなぁ、あとでもいくのんも混ぜてや~」

洋榎「な、なに馬鹿なこと言うとるんですか!そんないやらしいことちゃいます!」

赤阪「なんやまぐわってたんとちゃうんか~、残念やなぁ」

絹恵「遅かったやないですか!みんな心配してたんですよ!」

赤阪「すまんなぁ、末原ちゃんをなだめるのに時間掛かったんよ~」

由子「恭子はどこなのよー」

赤阪「末原ちゃんならもうすぐ来るで~」

 カツン・・・  カツン・・・  カツン・・・

洋榎「きょ、恭子……」

赤阪「新しい末原ちゃんの登場やで~」

 ギギギィ……

洋榎「な……!」

絹恵「せ、先輩!?」

由子「ホ、ホンマに恭子なのー……」

赤阪「どうや!すごいやろ!ワイルドやろぉ~?」

そこでみんなが見たものは・・・・・・

末原「……」ジロリ

グラサンに黒いスーツを着飾りセカンドバッグを小脇に抱えた末原恭子の姿だった・・・

末原「なにジロジロ見とるんやいてもうたるぞコラァ!!!」バンバン!!

漫「え、ただのチンピラですやん……」

末原「あ?なんかワシに文句あるんかおいタコこら」

漫「え、いや別になんでもないです、すいません……」

末原「すいませんで済んだら警察はいらんのやでこら、お前警察の世話なりたいんかおい」

漫「なりたくないです……」

末原「お前にみたいなタコは警察より前に病院行きにしたるわ!」

  バキッ!ボコッ!

漫「痛”!蹴らないでくださいお願いします!」

末原「じゃあ床に頭つけて謝らんかいコラァ!」

漫「ず、ずびばぜん……」ドゲザー

洋榎「……」

赤阪「どうや?面白いやろ?ワイルドやろぉ~」

洋榎「ワイルドすぎや……いったいなにしたらああなるんや……」

末原「ワシは朝が苦手やねん、あんまイライラさせんといてや」

漫「キャラが清澄の次鋒と被りまくりですやん……」

末原「上重くん、君はさっきからえらいワシに反抗的やね」ニコニコ

漫「い、いえ決してそんなことは!」

末原「ワシはこう見えて気が短いんや、口より先に手が出る性質やねん」

漫「た、たしかにそうでしたね……」

末原「そやしあんまふざけた真似はせんほうが身のためやで、夜の大阪湾は冷たいで」ニコニコ

漫「はい……」ガクガクブルブル

絹恵「あの代理……なんで末原さんを極道みたいしたんですか?」

赤阪「清澄の宮永さんなぁ、めっちゃ怖がりみたいやねん、そやからこの末原ちゃんでビビらせたろうかなぁと思って」

絹恵「ええそんな理由……」

末原「ああめっちゃはらへったなぁ」ジロリ

末原「おいタコ、ワシはまだ朝飯を食べてないんねん、なんか無いんか」

漫「タコって呼び方やめてくださいよ……」

末原「ん?」ニコニコ

漫「いえ……じゃああのこのスリーエフで買ったおにぎりなんかどうです」

末原「ああもう、これやから貧乏人は嫌なんや、こんなもん豚箱の飯以下やで」ポイ

漫「ああツナマヨが……」

末原「寿司食わんかい寿司!そんなんやからなにからなにまで貧相なんやで」

漫「でもこの時間帯はまだすし屋は開いてませんし……」

末原「だったら板前を叩き起さんかいコラァ!!」 テーブルバーン!

漫「ヒィ!!すんませんすんません!!」

末原「さっきからああえばこう言うやな!舌何枚あるんや!」

漫「す、すんま……」

絹恵「いい加減にしてください!!」

末原「あ?」

漫「あ、愛宕さん!?」

絹恵「なんなんですかあなたはさっきから!上重さん怖がってるじゃないですか!」

洋榎「絹、やめとき!な!」

絹恵「ええんやお姉ちゃん!こういうことはちゃんと言わんと!」

末原「……」スクッ

絹恵「ひ!」

末原「……」スタスタ

洋榎「な、なんや恭子!うちの可愛い妹に手ェ出したら承知せんぞ!」

末原「メロン……」

絹恵「え?」

末原「なんやここにでっかいメロンがあるやないか!」

そう言うと末原は絹恵の胸をわしづかみしたのだった・・・・・・!

絹恵「な////」

  モニュモニュ

末原「ワシはでっかいメロンが好きやねん、特にこういうめっちゃ熟れたのは」

  モニュモニュ

絹恵「や、やめてください///お願いですから……」

末原「なんや減るもんやないやろ」

  モニュモニュ

洋榎「……」

末原「もう寿司はいらんわ、朝はこれで十分やな」ニタニタ

  モミュモミュ

漫「……」

末原「良かったらワシの愛人にしてやってにええんやで」モミモミ

絹恵「お、お断りします!」

由子「やりたい放題なのよー……」

漫「あ、あの末原先輩……」

末原「なんや、お前も揉みたいんか?」

漫「いえあの、ここお触り禁止なんですよ……」

末原「あ?なんやタコこらおい」スクッ

漫「あ、いえあのその……」

末原「つまらん冗談言っとらんでさっさと会場行かんかコラァ!テメェ先鋒やろタコ!」

  バキ!ボキ!

漫「す、すんません!」

末原「絶対勝たんかい、もし負けたらどうなるかわかっとるやろな……」ジロリ

漫「はい!絶対勝ちます!」ピューン

末原「鉄砲玉としての役割をちゃんと全うせェよ」

  それから数十分後・・・・・・

末原「ええやん直接揉ませてや~」

絹恵「いやん末原さんスケベやわぁ///」

末原「当たり前や、人間はスケベやないと子孫を残せないんやで~」

  モミュモミュ

絹恵「いやぁん///」

洋榎「……」

末原「なぁもっと盲パイさせてェな、なぁなぁ」

絹恵「また今度二人きりのときまでのお預けやで~」

末原「ケチやなぁ~、じゃあまた今度いっぱい揉ませてもらうで!」

赤阪「なんやまるでミナミのクラブみたいやなぁ~」

洋榎「帰りたい……」

  ガチャン

漫「……」

洋榎「あ、漫!」

由子「おかえりなのよー」

漫「あ、あの……」チラッ

末原「……」

漫「あ、あ、あ、あの……」ポロポロ

洋榎「べ、別に気にすることあらへんって!相手が強すぎただけやって!」

由子「そうなのよー!わたしが仇とってあげるのよー!」

漫「で、でもうちのせいでマイナス70000点ですし……」

洋榎「だ、大丈夫やって!うちらが挽回したる!な!由子!」

由子「そうなのよー!元気出してなのよー!」

漫「先輩……」

末原「のう漫ちゃんよ」

漫「ヒィ!」ガクガクブルブル

末原「なにビビっとるんや、別にワシは怒ってないで」ニコニコ

漫「ホンマですか……」

末原「ホンマやって、そんな部下の失敗をねちねち言うようなうざったいアネキとちゃうわ」

漫「(部下……)そうですか……」ホッ

末原「そこでぼーっと突っ立っとるのもなんやろ、さっさと座りや」

漫「は、はい……」

末原「ワシの横に座り、なにがダメやったかを説明したる」

漫「わ、わかりました!(なんやめっちゃええ人やん!極道みたいになっても先輩は先輩のままなんやなぁ)」

末原に言われた通り、彼女の横に座ろうとしたその瞬間・・・

漫「ギニヤアアアアアアア!!!!!!」

漫のみぞおちに激痛が走った・・・

漫「カハッ!カハッ!」

末原「アホンダラぁ!ホンマに怒っとらんと思ったんかこのタコがっ!!」

漫「ううう……」ポロポロ

末原「あの無様は打ち方はなんや!!2回戦とおんなじことを繰り返しとるだけやないか!!」

  バキ!ボカ!

漫「痛”!うぐうぐ……」ボロボロ

末原「今回はあのタコスだけやのうて臨海女子のデコメガネにも面白いようやられやがってこらタコ」

漫「ず、ずびばぜん……」ポロポロ

末原「ヤられる前にあのデコメガネのタマとるような気概を見せんかい!!」

漫「うううう……」グジュグジュ

末原「姫松組の看板に泥塗った落とし前、さっさとつけんかいコラァ!!」

   バーン!!!

そう言うと末原は目の前のテーブルになにかを叩きつけた

漫「ヒィィィィ!!!」

それはドスだった

漫「こ、これでなにをしろと……」

末原「そらこれやろ」スゥーッ

末原は指を切るジェスチャーをした

漫「あ、あ、あ、あ……」ポロポロ

末原「小指を詰めるんやで、親指やったら一生牌がつかめなくなってまうしのう」

漫「嫌や……絶対嫌や……」

末原「わかったらさっさと落とし前をつけんかいタコおい」

漫「い、嫌ですっ!!」ブルンブルン

末原「なんやと!自分でやるのが嫌ならワシが詰めたるわ!おらさっさと手ェ出さんかい!!」

漫「嫌や嫌や!!絶対嫌や!!!うわああああああああん!!!」

洋榎「ええ加減にしろ恭子!ここは極道の集まりやないんやぞ!」

末原「なに怒ってるんや、ちょっとしたユーモアやないか」

洋榎「どう見たって本気に見えたんやけどな」

漫「ヒック……ヒック……」

末原「しかし落とし前はつけてもらわんとなぁ……」ジロリ

漫「ヒィ!」

洋榎「恭子!」

末原「わかっとるって!前みたいにデコに落書きや、これで今回は勘弁しといたる」

漫「ぞ、ぞうでずか……(ホッ……)」ズビビビッ

末原「ほぉらデコだしや、今日は蛸でええやろ」チャッ

漫「え、あの末原先輩?!」

末原「なんやタコちゃん、動いたらずれるやろ、ジッとせな」

漫「で、でも先輩が手に持ってるのペンやなくてドスやないですか!」

末原「そうやけどそれがどうしたんや」

漫「い、嫌やなぁ先輩~、ツッコミ待ちですかいな!それはペンやのうてドスやろ!!てか!」

末原「誰もボケてへんやろ、ワシは吉本新喜劇の芸人やないんやど」

漫「……」

末原「人のデコにドスで字ィ書くのはどういう気分やろなぁ、油性ペンと違うて洗っても落ちひんで~」

漫「あ……あ……あ……」ポロポロ

末原「さぁて、ちょっとすごく痛いやろうけど我慢するんやで」ニコニコ ガシィ!

漫「うわあああああああああああああん!!!嫌や嫌や!!!」ジタバタ

末原「ジッとせんかいコラァ!!」

漫「お母さん助けてえええええええええええ!!!!!!!」

洋榎「やめんかいきょう……!!」

赤阪「いい加減そのへんにしとき、末原ちゃん」

末原「なんで止めるんですか若頭!」

赤阪「女の子の顔は傷つけたらあかんのやで~、たとえそれが漫ちゃんだとしても~」

漫「ハァハァ……」

赤阪「それにここで漫ちゃんを傷つけたら数少ない姫松組の構成員がまた一人いなくなってしまうやん」

末原「た、たしかにそうですが……」

赤阪「ただでさえ最近は同じ縄張の千里山会が勢力を拡大してるしここで姫松組が小さくなるのも嫌なんよ」

末原「すいません、自分が間違ってました」

赤阪「わかればええんや、兄弟分は大事にするんやで」ニコニコ

末原「わかりやした!」

洋榎(いったいどういうことなんや……)

漫「ヒック……ヒック……」

由子「……次わたしの出番なのよー」ヒョイ

  それから3時間後・・・

洋榎「格が違うわ!」

絹恵「お姉ちゃんさすがや!」

末原「さすが洋榎やな、将来の幹部候補やで」

漫「あのアネキ、お茶です」

末原「ん」ゴクリ

絹恵「ハァ……次はうちか……」

洋榎「なに緊張しとるんや、絹なら大丈夫やって」

絹恵「でも……」

末原「絹ちゃんなら勝てるで、ワシが太鼓判押したる!」

絹恵「ホンマですか、わかりました、行ってきます」スクッ

末原「おう行ってき!絹ちゃんなら絶対絶対絶対勝てるで!」

漫(なにを根拠にこの人は言ってるんやろか……)

恒子『さぁ副将戦はぁぁぁじまりましたぁぁぁぁぁ!!!!!』

健夜『こーこちゃん落ち着いて!』

恒子『おやおや小鍛冶プロどうしたんですか?さすがにアラフォーだけに疲れてきたみたいですね!』

健夜『アラフォーじゃないよ!アラサーだよ!!ってなに言わしてんの!!』

洋榎「東京のアナウンサーは変わってるなぁ」

末原「年増には興味ナッシングや」

恒子『さぁてそんな恥じらう小鍛冶プロよりも副将戦、いったいどういう名勝負が生まれるでしょうか!!』

健夜『もう嫌……』

絹恵(絶対勝つで……)

   試合開始

ダヴァン「絶対勝つデス」チャッ

恒子『アメリカからの最強助っ人、メガン・ダヴァン!今日はいったいどういう闘牌を見せてくれるでしょうか!』

村田「えぇい!」チャッ!

恒子『北神奈川代表・東白楽の副将は村田修子!通称乙女・村田です!今日こそ実力を発揮できるんでしょうか!』

和「ほぅ」チャ

恒子『そして今大会最大のアイドル!清澄の原村和ァァァァァァァァァァァァ!!!!!』

健夜『こーこちゃん落ち着いて!』

絹恵(周りはすごいのばっかりや……うちは勝てるんやろか……)

末原<絶対に絹ちゃんは勝てるって!ワシが太鼓判押したる!>

絹恵(末原さんがそう言うんやし大丈夫やろきっと!)

ダヴァン「……」チャッ!

絹恵「あ!それロンです!」

ダヴァン「……」

恒子『おーっと先制したのは姫松の愛宕絹恵だぁぁぁぁぁ!!』

絹恵(幸先ええなぁ!)

ダヴァン「……」

テレビの向こう側

洋榎「ナイスや絹!」

由子「いきなり和了ったのよー」

末原「ええでええで」ニヤニヤ

漫「頑張ってや愛宕さん……」

洋榎「やっぱ絹はやればできる子やな!」

由子「そうなのよー」

漫「うちもあれぐらいやりたいわ……」

末原「……」ニヤニヤ

その後も絹恵の好調は続いた・・・

絹恵「それ!ロンや!」

ダヴァン「オーマイガー」

絹恵「ローン!チートイツドラドラや!」

ダヴァン「オーノー……」

絹恵「ロンロンロン!!ホンイツチャンタドラドラドラや!」

ダヴァン「あう……」

恒子『愛宕絹恵選手!今日は絶好調です!』

健夜『それに引き換え臨海女子のダヴァン選手が酷いですね……いつもとは別人です……』

和(偶然極まりないですね……)

村田(帰りたい……)

ダヴァン「……」ジャラジャラ

洋榎「なんやあの外人全然やないか」

由子「ポンコツなのよー」

末原「そのうち神のお告げとかで帰国とかするんやないか」ニヤニヤ

漫「……」

洋榎「どうしたんや漫?調子でも悪いんか?」

漫「いえそうじゃないんです……ただ……」

由子「ただ?」

漫「ア、アネキ!ちょっと良いでしょうか!」

末原「なんや、ワシは今絹ちゃんの闘牌を見てるんやで」ニヤニヤ

漫「ちゃいますやろ!アネキはいま愛宕さんやのうてあの外人を見とるんでしょ!」

末原「なんやと」

漫「いったいあの外人になにしたんですか!なんであんなに愛宕さんに振り込むんですか!」

末原「……」

漫「もしかして脅迫したんじゃ……」

洋榎「え!そうなんか恭子!」

末原「なに物騒なこと言うとるんやタコちゃん、ワシがそんな手荒なまねするハズないやないか」

漫「で、でもあの振り込みっぷりは異常ですよ!」

末原「脅迫やない、ビジネスや」

漫「ビ、ビジネス?!」

末原「そうや、ちょっとしたビジネスやな」

・・・

・・・・・・

回想

ダヴァン「今日は辻垣内さんとのデートデス、楽しみデス」

末原「おお待っとったで~」

ダヴァン「あ、あなたは誰デスか!辻垣内さんがどこデス!?」

末原「元西武の辻と垣内がどないしたんや?ひょっとして西武ファンか?」

ダヴァン「サガン鳥栖のファンデス……」

末原「そんなことはどうでもええんや、ちょっと一緒に街を回ろうや」

ダヴァン「い、嫌デス!ワ、ワタシ帰りマス!」

末原「ええんかホンマに?帰ったらあのこと公表するで?」

ダヴァン「あ、あのことってなんデスか!」

末原「あのことはあのことやろ~、お前が日本にいられなくなるようなことや」

ダヴァン「う……(辻垣内さんのお風呂覗いたのがバレてしまったみたいデスね……)」

ダヴァン「わかりマシた……」

末原「素直でええな(はったりもたまには役に立つんやな)」

   近くのホテルのロビーにて

ダヴァン「いったい何なんデスか?ワタシになんの用デスか?」

末原「たいした用ではないんや、ちょっと全国クラスのスーパースターとお茶したかっただけやねん」

ダヴァン「そうなんデスか……(ジャパニーズマフィア怖いヨ……)」

末原「そうやこれお土産や、受け取ってや」ガタッ

ダヴァン「なんデスかこの紙袋は……」ガサゴソ

ダヴァンは紙袋を覗く、すると

ダヴァン「オーマイガー……」

そこには大量の札束が入っていた・・・

ダヴァン「あの……コレ……」

末原「ええんやええんや、チップみたいなもんよ」

ダヴァン「チップってレベルじゃないヨ!なんデスかこれは!円が一杯だヨ!」

末原「全部で三千万ぐらいやろなぁ」

ダヴァン「ドゥゥゥ!!受け取れナイ!受け取れナイヨ!こんなビッグマネー!!」

末原「ええんやって受け取ってや、国の妹たちになんか買ってやりぃや」

ダヴァン「う……(貧しい生活をしてる妹たちにおもちゃを買ってあげたいヨ……)」

末原「ほなワシはこれで」スクッ

ダヴァン「で、でもやっぱダメだヨこんな大金!こんなの……」

末原「ええんやって、そのかわりに頼みがあるんよ」

ダヴァン「た、頼み?!」

末原「せやせや、それはな・・・・・・」

・・・

・・・・・・

 控室にて

末原「というわけや!どうや!別に脅迫したわけやないやろ」

洋榎「それって八百長やないか……」

由子「バレたら永久追放なのよー……」

末原「大丈夫やってあいつはこの大会が終わったあと逃げるようにアメリカに帰るハズや
   それでこのやお……やなくてビジネスもどこにも漏れないですむわけや」

漫「なんてことや……」

末原「今の時代、極道も頭を使わなあかんのやな、ワシみたいなインテリヤクザが台頭するんよ」

漫「思いっきり武闘派ヤクザですやん……」

末原「タコちゃん、なに言うたか?」ニコニコ

漫「いえ……」

  それから数十分後・・・

恒子『副将戦しゅうりょおおおおおおおおおおおおおおおう!!!』

絹恵「お疲れ様でした」ペコリ

恒子『ここにきて姫松高校が盛り返してきましたああああああ!!いったいこの先どうなるかわかりません!!』

ダヴァン(これもアイダホにいる妹たちのためだヨ……これでWiiを買うヨ……)

和「ふぅ……」トコトコ

村田「横浜に帰りたい……」トコトコ

恒子『さぁついに運命の大将戦!果たして決勝進出校はどことどこになるのでしょうかぁ!』

健夜『……』 パチパチ

  姫松高校控室にて

末原「さぁてついにワシの出番やな」

洋榎「恭子頑張ってや!」

由子「なんだかんだで応援してるのよー」

絹恵「絶対勝ってくださいね!」

末原「おう、絶対宮永咲に勝ってくるで」

漫「……」

末原「そやタコちゃんにお願いがあるんや」

漫「な、なんでしょうかアネキ!」

末原「絶対宮永咲に勝ってくるけど万が一負けてまうことがあるかもしれへんのや」

漫「はぁ」

末原「そういうときは清澄の控室にこれ投げ込んどいてや、ほな」ポイ

  ガチャン

漫「なんなんですかこれは……」ガサゴソ

漫「って手榴弾やないか!!」アワアワ

 カツン・・・ カツン・・・

末原「……」

辻垣内「逃げたんだな」

ダヴァン「ご、ごめんなさいデス……」

末原「……」ニヤニヤ

辻垣内「ごめんで済んだら警察はイラねェんだよ!!!」

ダヴァン「ドゥゥゥゥゥ!!!」

末原(まぁそうなるやろな……)ニヤニヤ

 カツン・・・ カツン・・・

末原(さぁ会場についたで!ドンパチかましたる!)

  大将戦

恒子『さぁついに大将戦のメンバーがそろいました!』

末原「うぉやっぱ会場は眩しいのう」

ネリー「絶対勝つヨ」

末原「あれがネリーなんちゃらか、けったいな外人やのう」ニコニコ

原「マージャンスピッツ、マージャン愛、絶対に優勝します!」

末原「あれが東白楽の原辰子やな、そして……」

咲「よろしくお願いします」ペッコリン

末原「ここであったが百年目や……宮永のタマとったる……」

 カツン・・・ カツン・・・

末原「よろしゅう頼むで」ニコニコ

咲(あれ?なんか姫松のお姉さんこのまえとちょっと雰囲気が違うな……)

ネリー「よろしくネ」

末原「あ?なんやこらおい」

ネリー「え?え?え?」

末原「日本人馬鹿にしとるんかコラ」

ネリー「馬鹿にしてないヨ」

末原「ファッキンジャップぐらいわかるよ馬鹿野郎!」

ネリー「What?」

末原「ふぅ……」チラッ

原「……」ガクガクブルブル

末原「どうしたんや原さん、いつもの元気が無いやないか」

原「そ、そう見えますか……」ガクガクブルブル

末原「なにかにおびえてるようやで」ニコニコ

恒子『さぁ大将戦の開始です!』

末原「……」カチャっ

咲「……」カチャっ

ネリー「……」カチャッ

原(ヤクザ怖いよ……)カチャッ

恒子『静かにハジマリましたねー、いったいこの先どうなるでしょうか』

健夜『下馬評では清澄の宮永さん、臨海女子のネリーさんが優勢でしょう
   しかし麻雀はなりが起こるかわかりません、残り二人も十分可能性はあるでしょう、特に……』チラッ

末原「……」ニタニタ

健夜『姫松の末原さんですか、なにか以前と雰囲気がまったく違いますしなにかやらかしそうですね……』

原「リーチ!!」スタッ!

恒子『おーっと予想に反して東白楽の原辰子がリーチを仕掛けた!』

原(ここは一発に賭けるよ!)

末原「……」カチャッ

咲「……」カチャッ

ネリー「……」カチャッ

原(ツモ切り……)カチャッ

それから七巡目

末原「……」カチャッ

原「(キタ!)それロ……」

末原「原さん……」

原「え、なに?」

末原「1億円」ニコニコ

原「!!!」

原「あ……」

末原「……」ニコニコ

原「くっ……」カチャ

恒子『おーっと原が末原の放銃をスルーだぁ!!』

健夜『いったいなにがあったんでしょうねぇ……』

原(あんなことが無ければ!あんなことが無ければ!)

末原「……」ニコニコ

そう、末原は試合前日に原の過去の女性関係をあぶり出し
そのことで脅しをかけていたのだった・・・!

末原『この日記帳と引き換えにワシらを勝たせろや、それができなきゃ1億円払えコラァ!!』

原『す、すいません!すいません!!』

   第3局  10巡目にて

咲「……」カチッ

ネリー「日本の麻雀は難しいネ」カチッ

原「清武さんのせいだ全部……」ブツブツ

末原「これでどうや!」カチャ!

咲「!!」

ネリー「?」

咲(来た!カン材が来たよ!よーし!)

咲「カン!」

恒子『おーっとカンです、出るか伝家の宝刀リンシャンカイホー』

咲「もいっこカン!」

恒子『おーっともいっこカンだぁぁぁぁぁぁ!!』

咲「もいっこ!カン!」

恒子『サンカンツだ!』

咲(よーしリンシャンツモだ!)

リンシャンハイを手にとる

咲「リンシャンカイ……」

和了ろうとしたその瞬間・・・・・・!

末原「なぁ宮永さん」

咲「あ……」

末原が懐からなにをチラリと見せた瞬間、宮永咲の表情が変わった・・・

咲「あ、あ、あう……」ガクガクブルブル

それは黒い棒状の形をしていたのだった・・・

咲「あ、あ、あ、あ……」ガクガクブルブル

恒子『どうしたんでしょうか清澄の宮永、ツモしませんね』

健夜『なにかにおびえてるようですね……』

咲「ううう……」シュッ

恒子『おーっとリンシャンツモならず!』

末原「それロンや」カタタタッ

恒子『おーっと末原!宮永咲に満貫を直撃だ!』

末原「なんや宮永もたいしたことないやないか、うちのタコちゃんのほうが骨があるで」

咲「ううう……(さっきの絶対に拳銃だよ……トカレフだよ……和ちゃん助けて……)」

その後も咲は末原を恐れて和了ることができなかった・・・

末原「それロンや!」

咲「ひぃ!」

末原「ローン!!タンヤオ一発!」

咲「うぐ……」

末原「ロンロン!ハネ満や!」

咲「あう……」

こうして末原は宮永咲を圧倒していったのだった・・・

末原(勝てる!勝てるんや!宮永咲に勝てるんや!)

そして大将戦が終わりを告げたのだった・・・・・・

  姫松高校控室にて

末原「勝ったでー!宮永に勝ったで!」

洋榎「……」

末原「どうや!ワシの作戦は正しかったやろ!これで将来は幹部昇格間違いなしや!」

由子「……」

末原「どないしたんやみんな、勝ったんやで、もっと喜ばんかい!」

絹恵「……」

末原「絹ちゃんおめでとうのキッスぐらいしてもええと思うんやけどなぁ」

漫「あのアネキ……」

末原「あ?なんやタコ、こっちは絹と話とんねん」

漫「あの……清澄に勝っても3位じゃ意味無いんですよ……」

末原「……」

末原「……」

漫「3位じゃ準決勝敗退なんですよ……」

末原「……」

絹恵「負けちゃったね……」ポロポロ

末原「しょうがないやろ……臨海女子のネリーが強すぎるんやから……」

由子「柄が悪くなっただけで肝心の麻雀力はさっぱり上がってなかったみたいなのよー……」

末原「くっ……!わかったよ!わかったよ!!」ドン!

漫「ヒィ!!!」

末原「指を詰めりゃいいんだろ!詰めりゃ!自分で落とし前つけりゃいいんだろう!!!」シュッ!

漫「やめてください控室が血の海になりますって!」

末原「離せタコ!ワシは自分で落とし前をつけるんじゃい!!」

  ガチャン

咲「……」

末原「あ……!」

絹恵「あなたは清澄の宮永さん!」

洋榎「な、なんの用や?」

咲「末原さんに伝言です……」

末原「あ、なんやコラ」

咲「今夜の11時半に上埜公園に来てください、絶対ですよ……では」トテトテ

洋榎「なんやいったい……」

末原「タイマンや!麻雀で負けたのが悔しくて一対一のタイマンで勝負しようってことや!」

漫「あ、あの宮永咲がですか?!」

末原「そうや!クククおもろいのう、喧嘩ならワシは負けへんで麻雀得意やで……」ニコニコ

漫(なんか嫌な予感がするで……)

末原「あ……!」

絹恵「あなたは清澄の宮永さん!」

洋榎「な、なんの用や?」

咲「末原さんに伝言です……」

末原「あ、なんやコラ」

咲「今夜の11時半に上埜公園に来てください、絶対ですよ……では」トテトテ

洋榎「なんやいったい……」

末原「タイマンや!麻雀で負けたのが悔しくて一対一のタイマンで勝負しようってことや!」

漫「あ、あの宮永咲がですか?!」

末原「そうや!クククおもろいのう、喧嘩ならワシは負けへんで、麻雀より得意やで……」ニコニコ

漫(なんか嫌な予感がするで……)

  上埜公園にて  11時40分

末原「あっちから誘っておいていつまで待たせる気や!!」

漫「あの、なんでうちまで……」

末原「こういうのは立会人が必要なんや
  止める人間がおらんとワシは相手の息がとまるまで殴り続けてまうからな」

漫「そうなんですか……」

が、それからしばらくしても一向に咲は姿を現さなかった

末原「いくらなんでも遅すぎるやろ!もう12時過ぎてるんやで!」

漫(熱闘甲子園見たかった……)

末原「ああもういつになったら来るんや!!この野郎!!」

  ゴミバコバーン!!

カランカランカラン・・・・・・

まこ「なにカッカしとるんじゃ、しょうもないのう」

末原「お、お前は……!」

漫「清澄の染谷まこ!」

まこ「こんなゴミをまき散らしよってからに、掃除のおじさんが可哀想じゃろ」

末原「おいお前!宮永咲はどこや、ここに来るよう言われたのにいつになっても来ないんや!」

まこ「そらあんたを呼んだのはワシじゃからのう、咲は今頃ホテルのベッドで夢の中やで」

末原「なんやと……」

優希「咲ちゃんの仇をとりにきたじぇ!」

漫「お前は清澄のタコス!」

まこ「こいつは立会人じゃ、止める相手がいないとワシは暴走してしまうからのう」

末原「なんや面白いこというやないか……」

まこ「そんじゃちゃっちゃと片づけることにするかのう」ポキパキ

まこ「……」スタスタ

末原「……」ジリジリ

優希「染谷先輩がんばー!」

漫「……」

まこ「……」スタスタ

漫(あかん……めっちゃ怖いわぁ、なんやこのメガネの殺気は……)

末原「……」ジリジリ

漫(末原先輩も相手に気圧されて後退しとるやん……もしかしてヘタレなんか……)

漫が一抹の不安を抱いたその瞬間予想外のことが起こったのだ・・・

まこ「ありゃ!」スッテンコロリン

漫「あ……」

優希「コケたじぇ……」

染谷まこが盛大に転んだのだ・・・!

末原「!!」ダダダダっ!!

それを見た瞬間、末原は染谷まこに襲いかかったのだ

優希「ああ染谷先輩!」

漫「なんという僥倖……!」

まこ「あ痛たたたたたた」

漫(多分穴ぼこに引っ掛かったんやな!奇跡や!これで先手を取れば末原先輩にも勝機が……!)

末原「キエエエエエエエエエエエエエイ!!!!」

誰もが末原の勝利を確信した・・・が!

まこ「ふん!」ニヤリ

末原「ばぁ?!」

末原が掴みかかる寸前、染谷まこがなにかを末原の顔に投げつけたのだ・・・!

末原「目が!目がぁぁ!!」

それは砂だった・・・!

まこ「引っかかったな!」

末原「目が!目がぁぁぁ……」

染谷まこがひるんでいる末原の喉をめがけて強烈な正拳突きを繰り出した

末原「ギニヤ!!」

そしてすかさず今度はみぞおちにひざ蹴りを喰らわす

末原「うがぁ!!」

そして前のめりに倒れ掛かった末原の顔に思いっきり蹴りをお見舞いしたのだった・・・

末原「か……」

そして末原は動かなくなった……

まこ「なんじゃ口ほどにもないのう」

漫「あ、あ、あ、あ、あああああ……」ガクガクブルブル

優希「染谷先輩かっこいいじぇ!」

漫(本物や!こいつはほんまもんの極道や!!)

末原「……」

優希「死んだー?」

まこ「大丈夫じゃろう、ただのびとるだけじゃ」

漫「あうあうあうあう……」ガクガク

まこ「おい」

漫「は、はひぃ!」

まこ「さっさと連れて帰らんかい!!目ざわりなんじゃい!!」

漫「す、すんませんすんません!」

まこ「もう二度と顔を出すんじぇねェぞ、今度あったときは一生歩けんようにしたるけぇ」

漫「わ、わかりました!失礼しました!!」

そして漫は失神した末原を背負って一目散に逃げた

トテトテトテ・・・

漫「……」

末原「……」

漫(ホテルまで歩いて40分ばかしか……疲れるのは嫌やな……)

末原「う……う……」

漫「す、末原先輩!大丈夫ですか!」

末原「う、う、う、う……」

漫「う?」

末原「うわあああああああああああああん!!!怖かった!怖かったよぉ!!」

漫「先輩……」

末原「うわああああああああああああああああああああん!!!!」

漫「やっぱヘタレやったんですね……」トコトコ

末原「ヒック……ヒック……」

漫「もうあいつはいませんから安心してください」

末原「ホンマ死ぬかと思ったで……」グスン

漫「あれは本物ですねん、迫力が違いますわ……」

末原「すまんな漫ちゃん……ホンマすまんな……」ボロボロ

漫「謝らんといてくださいよ、べ、別に気にしてませんから!」

末原「蹴ったりドスで傷つけようしたりしてすまんかったで……わたしどうかしてんや……」

漫「まぁそうでしょうね……いったいなんであんな極道を気どってはったんですか……」

末原「赤阪代理が任侠映画オタクやねん……古今東西の名作を四六時中見せられてたんやな……」

漫「洗脳みたいなもんやな……」トコトコ

末原「映画のヤクザみたいに強くなりたい思ったんや……だからああいう行動を起こしたんや……」

漫「まぁそういうのに憧れる人も多々いますしね……」

末原「でも実際は全然強くなんてなっとらんかった!ただのへなちょこや!うわああああああああああああん!!」

漫「……」

末原「ヒッグ……ヒッグ……」

漫「お、落ち着きましたか?」

末原「うん……」

漫「もうすぐホテルに着きますよ」トコトコ

末原「漫ちゃんわたしの体重くないんか?」

漫「全然重くないですよ!末原先輩はやせ形ですし」

末原「たしかに胸も無いしな」

漫「なに言うてるんですか……」

末原「……」

漫「……」

末原「顔が痛いで……」

漫「思いっきり蹴られてましたからね……」

末原「こうなるんやったら正々堂々ぶつかっていけばよかったで……ただ痛いだけや……」

漫「で、でも作戦はどうであれ宮永咲には勝てたんやからええないですか!」

末原「でもなぁ……」

漫「もし普通に宮永咲と麻雀を打って負けてたら末原先輩、すごく落ち込んでたハズですよ」

末原「二度負けるのはきついしな……」

漫「うちは落ち込んで元気の無い末原先輩を見たくないんですよ、先輩は常に堂々としていてほしいんです」

末原「漫ちゃん……」

漫「だからどうか元気を出してくださいよ……」

末原「……どうやらわたしは良い兄弟分を持ったようですね」グスン

漫「もうその言い方やめてくださいよ……」

末原「えい!」モニュモニュ

漫「ギニヤ!急に胸を揉むのやめてくださいよ!」

末原「もう一生離さないで!漫ちゃんは今日からわたしのや!」

漫「や、やめてくださいよ!は、恥ずかしい!ひ、ひぃぃぃ!!」

こうして二人は夜の闇へと消えていったのだった・・・

            末原「すみません……すません……」ポロポロ 漫「先輩……」    カン

以上ですお
読んでくれた人てんきゅー

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