スライム「人間にうまれたかった」 武道家「なるほど!」 (41)

武道家「それなら簡単だ!」

スライム「簡単だって…ていうかあなた誰ですか?」

武道家「ただの旅の武道家だ、実は道に迷ってしまってな」

スライム「え、はぁ…それで人間になる方法って?」

武道家「それでは行くぞ!うおおおー!」

スライム「ちょ、何するのやめて…倒す気!?嫌だぁ!」

ズドーン

スライム「ぐっ……あれ?痛……く…ない?」

武道家「ただ気を送っただけだ」

スライム「あ、あぁっ!肉が!身体がちゃんとある!人間の身体!」

武道家「よかったな…というか君、女の子だったのか」

スライム「やったー!これで町にいける!」

武道家「待て、まず肌を見ろ!」

スライム「え…あああっ!青い!これじゃ町なんて行けないよ!」

武道家「肌くらいなら別になんとでもなる…ってなあ、今町と言ったよな」

スライム「はい…あ、道に迷ってたんですよね」

武道家「案内してくれないか?」

スライム「えーと…すみません、私この先の道は知らないんです、狩人とか出てくるので」

武道家「…」

スライム「すすすすみません何のお礼もできなくて」

武道家「いい、ならばこの森を破壊する」

スライム「え?」

ズドーン

武道家「よし、木は全て切り倒した!いくぞスライム!」

スライム「えー…」

武道家「町に着いたぞ!」

スライム「このマントを被ればいいのですか」

武道家「ああ、とりあえずは隠せるしな…私は宿を取ってくる」

スライム「ひ、一人にしないで下さい!」

武道家「まあいいが」

スライム「ここが宿屋なんですかー、ベッドがふかふかです」

武道家「町は初めてなのか?」

スライム「はい!町に行くのが夢でした!あーベッドが跳ね…あ、あれ?身体が…」ドロォ

武道家「どうやら時間切れのようだな」

スライム「時間切れ!?聞いてないよ!」

武道家「いや、そう言われても気でどうにかしてただけだから…」

スライム「そんなぁ!あんまりですよ!」

武道家「…あ、そうだ、ちょっと待ってろ」

スライム「?」

10分後

武道家「待たせたな、これを飲め」

スライム「これは…ミルクですか?」

武道家「まあそうだが、とにかく飲め」

スライム「はぁ」ゴクゴク

スライム「あ、色が変わった」

武道家「これなら限りなく人に近い色になるはずだ」

スライム「ほんと?やったー?ってよくないよ!時間制限付きなんて!」

武道家「期限付きでも人間になれるだけありがたいと思えないのか?」

スライム「私はスライムに生まれた事を後悔したの!だからスライムやめたいの!」

武道家「それは私の管轄外だな、諦めろ」

スライム「…」

武道家「何にせよせっかく町に来たんだ、色々見て回ろう」

スライム「はぁーい」

武器屋「お嬢ちゃん町じゃ見ない顔だね」

スライム「え、えーと」

武道家「私の妹でね、一緒に旅をしている」

武道家「この爪をくれ」

スライム「はーいつバレるかとドキドキした」

武道家「だから言ってるだろ、バレる心配はないと」

スライム「そ、そうですね」

魔法使い「あれ?武道家?」

武道家「魔法使いか、久しぶりだな」

魔法使い「酒場以来ね…そちらの娘は?」

武道家「旅の途中で出会ったんだ」

魔法使い「ふーん」

スライム「……」

魔法使い「……まあどうでもいいわ、私はもう町を出るから…またどこかで」

武道家「ああ」

スライム「……ビックリした!」

武道家「魔法使いにバレてないんだ、もう安心だな」

スライム「今の魔法使いとはどういう関係なんですか?」

武道家「昔勇者一行のパーティに参加してたんだ」

スライム「勇者…」

武道家「途中で一緒に別れたけどな」

スライム「そ、そうなんですか」

スライム「カジノって面白いですね!」

武道家「あまりのめり込むと痛い目にあうぞ」

スライム「こうして町を見て楽しめたのも武道家さんのおかげです!ありがとうございます」

武道家「そりゃよかった、私は明日町を出るががんばれよ」

スライム「えっ?」

武道家「ん?」

スライム「私も一緒に行くんですよ?」

武道家「…」

スライム「武道家がいなきゃこんな期限付きの身体をどうやって維持するんですか?」

武道家「…そうだったな」

スライム「私も一緒します!」

武道家「……まあ、いいが」

スライム「それではれっつらごー!」

武道家「この先は魔物のレベルも上がるらしいから気をつけろよ」

スライム「問題なし!」

武道家「なしってお前スライムだろう」

スライム「好きでスライムになりたかったわけじゃないよ!」

武道家「すまん」

スライム「…あれ?武道家さん、あそこ馬車が沢山止まってますけど」

武道家「ん?ああ…何だか嫌な予感がするが」

商人A「こんな岩どうにもならんよ!」

武道家「洞窟前に岩が落ちたらしい」

スライム「岩…それっていつから?」

武道家「聞く話によれば三日前から…」

魔法使い「……あ」

武道家「あ」

スライム「魔法使いさんもいたんですか」

魔法使い「ええ、来てみればこれよ…」

武道家「魔法使えばいいじゃないか」

魔法使い「あたしの魔法は強すぎて洞窟自体壊しかねないのよ」

スライム「えー…」

武道家「この岩、三日も前からあるんだよな?」

魔法使い「商人が言うにはね」

武道家「なら何故引き返さなかったんだ」

魔法使い「…さあ、商人だからでしょ?」

スライム「あの、大丈夫ですか?」

商人B「道はここしかないしねぇ…どうしたもんかねぇ…」

スライム「…ん?この臭い…なんか…」

武道家「とりあえず岩を壊…したら洞窟が崩れてしまうな…どうしたもんか」

スライム「武道家さん!後ろ!」

武道家「くっ…何だ?」

アンデッド「チッ…」

魔法使い「こいつら、商人じゃない!アンデッド?!」

アンデッド「バレたか…ヒヒッ」

魔法使い「アンデッドにこんな知能はないはずなのに、何で…」

武道家「面倒なのが出て来たな…」

スライム「武道家さん、魔法使いさん、ここはまかせて!」

魔法使い「アンタ戦うつもり?武器も持ってないじゃないの」

武道家「待て、お前じゃ「いいから!」

アンデッド「自ら死ににきたか小娘…!」

スライム「はぁー!」

アンデッド「グガ…ガ……」

魔法使い「うそ、ゲル化してア、アンデッドを窒息死させた…」

スライム「やりました」

武道家「そうか…」

魔法使い「…あ、あの」

スライム「はい?」

魔法使い「あんたスライムだったの…?」

スライム「ひっ!」

魔法使い「あーその、ビックリしちゃって」

スライム「こ、これは武道家さんが」

武道家「こいつスライムに生まれたくなかったそうなんだ、人間になりたいらしい」

魔法使い「へぇー」

武道家「私がこうして気で持たせていた」

スライム「あ、ああああ…」

魔法使い「ふーん…あんたスライムなの、ほんとに…魔物なのに珍しいのね」

スライム「…もしかして倒す…んですか?」

魔法使い「…魔物たからね、信用はできないわ」

武道家「待て魔法使…」

魔法使い「邪魔しないで、話の途中よ」

魔法使い「あなたはどうしてスライムとして生まれた事に後悔したの?」

スライム「それは…」

魔法使い「まあ理由なんて知った所で意味はないわね、あなたはどうしたって魔物だから」

スライム「…」

魔法使い「でもまあ、人間になりたいんだっけ?本当なら私が叶えてあげてもいいわ」

スライム「え?」

武道家「そんな事ができるのか?」

魔法使い「そ、武道家みたいに気で固めるんじゃなくちゃんと人間として生きられる魔法があるわ」

スライム「人間として…?」

魔法使い「それを試す前にもういちど聞くけど、本当にスライムに生まれた事を後悔してない?」

スライム「えっ…」

武道家「魔法使い、お前」

魔法使い「あなたがいらないといったスライムの身体で私たちを救ったのに」

魔法使い「簡単に捨てられるのね」

スライム「違います、私は…」

魔法使い「人間になりたいと言いながらあなたは人間であるのを辞めた、あなたはあの魔物と同じよ」

スライム「…」

魔法使い「元いた森へ帰りなさい、あなたは人間にはなれない」

スライム「…無理です」

魔法使い「どうして?」

スライム「森は武道家さんが破壊したから…」

魔法使い「はっ??」

武道家「あ、いや…」

魔法使い「…じゃあいいわ、この場で蒸発させてあげる」

武道家「おい!そこまでする必要は」

魔法使い「スライムとしても人間としても中途半端な魔物はいずれ死ぬわ、だからあたしがトドメを刺してあげるの」

スライム「…」

魔法使い「答えは出た?」

スライム「私は…スライムのままでいいです」

魔法使い「そう」

スライム「では…私はもう…」

魔法使い「待ちなさい、誰が行っていいっていったの」

スライム「え、だって森に帰れって…」

魔法使い「森は武道家が破壊したんでしょ?なら帰れないわよね」

スライム「…」

魔法使い「はやく岩壊してよ、私たちじゃ洞窟ごと破壊しかねないって言ったじゃない」

武道家「…悪いが頼む、というかお前レベルカンストしてたんだな」

スライム「はぁい…」

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