憧「あ、ごめん!手が滑った!」(204)


バケツ「バッシャアアアアアアア」

穏乃「・・・冗談きついなあ、アコは・・・あはは・・・」ズブヌレー

憧「うぜーんだよ」ガンッ

穏乃「グぇ」ビクンッ

玄「あ~穏乃ちゃんびしょ濡れだね~」キャハハ

穏乃「・・・ッ」

玄「暖かくして乾かさなきゃ ねーアコちゃん?」

憧「・・・チッ 勝手にすれば?」バケツポイー

玄「ほら穏乃ちゃん、お姉ちゃんが使ってたストーブあるよ」

穏乃「大丈夫・・・ですよ」ビクッ

玄「遠慮しちゃだめだよ~」グイ

ジュゥゥゥウウ

穏乃「あぎゃあああああああああああああ」ジタバタ

玄「あはは、見て見て根性焼きでござるー」キャハハ

穏乃「離してっ・・・お願い・・・離し・・・」ジュゥゥウ

憧「飽きた 帰る」

憧「玄、戸締りよろしくねー」

バタン

玄「あーアコちゃん帰っちゃった」

穏乃「」ビクッビクッ

玄「穏乃ちゃーん私達も帰るよー起きてー」

穏乃「」

玄「ありゃーちょっとやりすぎちゃったかー」

玄「これはこの松実玄、旅館で鍛えた介抱術の見せ所ですなー」キリッ




玄「濡れた身体は拭いてジャージは脱がして乾かしといて、っと」

玄「代わりに私のブレザー羽織らせとけばいいかあ ちょっとぶかぶかだけど」

玄「火傷の患部には濡れタオル巻いて・・・膝枕してあげて・・・」


穏乃「・・・あっく、玄さん・・・なんで・・・」

玄「わー穏乃ちゃんお目覚め―」

穏乃(これ・・・玄さんのブレザー・・・)

玄「死んじゃったかと思って心配したよー」キャハハ

穏乃「・・・」

玄「それじゃあもう遅いし一緒に帰ろう、穏乃ちゃん」

穏乃「・・・」

玄「? 穏乃ちゃんどうしたのー?」

穏乃「いや、なんでも・・・(左腕の火傷が痛む…)」ズキズキ

帰り道

穏乃(これでもう1週間だ)

穏乃(宥さんが学校に来なくなって、アコの様子がおかしくなって・・・)

穏乃(赤土さんは何か常にソワソワしているようだったが、このことに気付いているのかはわからない)

穏乃「・・・」チラッ

玄「んー?私の顔に何かついてる?」

穏乃(玄さんは・・・何考えてるのかさっぱりだ)

穏乃(アコの前では一緒になって私をいじめるけど)

穏乃(それ以外では普通の玄さんだ)

ドンッ

穏乃「?!」

ズシャアアアア

穏乃「・・・痛っ」ズキズキ

玄「あはははは だめだよ穏乃ちゃん油断しちゃ~」キャハハ

穏乃(たまにおかしくなるけど・・・)





穏乃「玄さん」

玄「なにー?」

穏乃「なんで宥さん学校来ないんですか?」

玄「お姉ちゃん病気なんだよ 前も言ったよね」

穏乃(目が泳いでる・・・)

穏乃「病気って、何の病気・・・こんだけ長引いてるんだからお見舞いくらいは・・・」

玄「その必要はないよ」

穏乃「・・・」

翌日 部室

憧「・・・」イライラ

玄「今日も機嫌悪そうだねー」

憧「・・・チッ」

玄「お姉ちゃんが来なくなっちゃったから?」

玄「ちょっとは反省してるんだ?あんたみたいのでも」キャハハ

憧「うるせえキチガイ女」台パン

玄「ハハハハハ」キャハハ

憧「あーイライラする シズ呼んでこい」

玄「おまかせあれ~」バタン

おいおい
モモちゃんが阿知賀に転校する作者だったら許さんぞ

廊下

穏乃「・・・」テクテク

玄「あ、穏乃ちゃんみ~つけた」ヒョコッ

穏乃「!?」ビクッ

穏乃「あ、く、玄さんお疲れ様です・・・」

玄「アコちゃん呼んでるよー」

穏乃「・・・ 今日はもう帰ったって言っといてください」

玄「そんな事言わずにー」グイグイ

穏乃「ちょ、痛、離して―」

部室

憧「痛い?ねえ痛い?」ドスドス

穏乃「痛いよ!!痛い!!やめて!!!お腹っけらないでっ・・・!」

憧「チッ・・・」

憧「んじゃ顔にすっか」

ドスッ

穏乃「?!」

穏乃「ゲホッ・・・」

憧「床舐めろよ」グリグリ

穏乃「・・・」

憧「ほらほらどうした?早くしろよ」グリグリ

穏乃「・・・」

穏乃「・・・ペロッ」

>>12
違うので堪忍してつかぁーさい

玄「わ~穏乃ちゃん床なんか舐めちゃって汚いよ~」キャハハ

憧「・・・」グリグリ

穏乃「・・・もうやだよ」ポロポロ

憧「・・・」

穏乃「・・・もうこんなのやだよ」ボロボロ

玄「それはだめだよ穏乃ちゃん」

穏乃「えっ?」

玄「穏乃ちゃんにはもっと我慢してもらわないと」キリッ

憧「うぜーなお前は黙ってろ玄」

玄「あいあいさー」ビシッ

穏乃(なんなんだ・・・何なんだよ一体・・・)

ガチャッ

赤土「おっ今日は早いなお前たち」

赤土「?!」

穏乃(!?)

憧「・・・チッ」

玄「赤土さんこんにちわでありますー」ビシッ

穏乃(赤土さん・・・)

赤土「・・・」チラッ

穏乃(赤土さんっ・・・助けてっ・・・)

赤土「・・・玄が言ってたことはやっぱり本当だったんだな」

憧「・・・チッ」

穏乃(玄さんが言ってたこと・・・?)

赤土「今日の部活は無しだ、解散」

赤土「穏乃は私と話がある 憧、足どけろ」

憧「ウッザ・・・」ボソッ

赤土「あ?」

憧「なんでもねーよ」

玄「」キャハハ

赤土「ほら穏乃、大丈夫か」

穏乃「はい・・・」

赤土「よいしょっ、っと」カツギッ

赤土「憧、お前は今日から無期限で活動停止だ」

赤土「学校への報告は保留しておくが、おとなしくしてろよ」

憧「チッ」スタスタスタ

バタン

穏乃「・・・」

玄「戸締りはおまかせあれ~」

職員室

穏乃「宥さんが・・・いじめで不登校?!」

赤土「私も玄から聞いて知ったんだがな、手遅れだったよ」

赤土「主犯は言わなくても分かるだろ」

穏乃「・・・」

穏乃「・・・なんで、隠してたんですか」

赤土「お前に言ってもどうにもならないと思ったからだ」

穏乃「それじゃあなんで宥さんを助けてあげられなかったんですか!」

赤土「だから、手遅れだったんだ」

赤土「玄がいじめに気付き、私にSOSしてきた頃にはもう―」

赤土「宥はあれでお姉ちゃん体質強いから、最後まで妹には隠そうとしてたんだろうな」

穏乃「・・・」

赤土「いじめがいつ頃からあったのかはわからない」

赤土「ただ、宥の様子を見るにかなり陰湿で凄惨なものだったそうだ」

穏乃(もしかして玄さんの様子がおかしくなってしまったのも)

穏乃(大好きなお姉さんが、こんな・・・酷い目にあってしまったから・・・)

赤土「憧の奴は何も知らないの一点張りでな」

赤土「玄も宥が不登校になってからどこか言動がおかしくて、今日まで何も出来なかったよ」

赤土「あんたがターゲットになっていたことに気付けなくてすまない」

穏乃「・・・」

穏乃「でも・・・なんで・・・アコがそんなこと」

赤土「さあね」

赤土「でも、この1週間で色々調べて大体見当はついている」

穏乃「! 見当って・・・」

赤土「ああ、だがそれを今言う訳にはいかない」

穏乃「なっ何でですか!」

穏乃「アコはっあいつは私の親友です!」

穏乃「親友が道を間違え、畜生道を歩もうとしているならっ・・・」

穏乃「私も一緒にその業を背負い、正してやらにゃあいかんのです!!!」

赤土(・・・ふっ、若いっていいね)

赤土(10年前の私にも、このくらいの覇気があったら・・・)

赤土「お前の覚悟は認める ―だがやはり言うことはできない」

穏乃「そんなっ・・・」

赤土「繰り返すようだが、今お前にそれを言ったところでお前には何もできないんだよ」

穏乃「・・・」ギリッ・・・

赤土「安心しろ、ケリをつけるのは大人に任せておけばいいさ」ポン

穏乃(・・・)

夜 穏乃宅

穏乃(ケリをつけるのは大人に任せておけばいい、か・・・)

穏乃(宥さんのこと助けられなかったくせに・・・)ギリッ・・・

穏乃(こうなったらアコの奴とタイマンでっ!)

穏乃(・・・いや、今のアイツをぶん殴ったところで何も変わらないか・・・)

穏乃(携帯も着信拒否されてるし・・・)

穏乃(なんでこうなっちゃったんだろう)ハァ・・

穏乃(赤土さんは何か掴んでるみたいだけど・・・)

穏乃(・・・)

穏乃(腕の火傷、何故かまだ痛むなあ・・・)ズキズキ

穏乃(・・・このまま宥さんが戻ってこなくて、玄さんもおかしいままだったら・・・)

穏乃(全国大会・・・どうなっちゃうんだろう)

穏乃(せっかく晩成破ったのに・・・)

穏乃(・・・)イライイラ

穏乃「あーーーもう!!家でじっとしててもイライラするだけだ!!」ジタジタ

穏乃「お母さん!!ちょっと外いってきます!!」ダダダダ

穏乃母<キヲツケルノヨー

バタンッ

夜道

穏乃「・・・勢いで家を飛び出してきたはいいけど・・・」

穏乃「一体どこへいこうか」

穏乃「とりあえず宥さんの様子でも見に・・・」

穏乃「いや、玄さんがいたらあげてもらえるかどうか・・・」

穏乃「なんか玄さん、今の宥さんのこと見られたくないみたいだったし・・・」

穏乃「ハァ・・・」

穏乃「仕方ない、適当に散歩でもするかー」テクテク・・・






公園

<アハハーナニスルノークスグッタイヨー
<ウルサイッ!コエヲダサナイデッ!

穏乃「?」

穏乃「2人・・・? 何やってんだろう、あんなあんなとこで」



穏乃「おーいそこはフェンス越えたら崖ですよー危ないっすよー」

???「っ?!」

穏乃「?!」

穏乃「おまえ・・・アコか!?」

憧「!」

玄「あ!穏乃隊員!こんばんわであります!」ビシッ

穏乃「ちょ、お前っそんなとこで何してんだっ!」

穏乃「お前、まさか・・・」

穏乃「玄さんを突き落とそうと・・・!」

憧「・・・」



パンッ

乾いた音が夜空に響く



憧「痛っ・・・」ズキズキ

玄「わわわ!これは修羅場というやつだね」キャハハ

穏乃「何かあるんだと思ってた」

穏乃「なんかの間違いだって」

穏乃「見損なったよ」

憧「・・・」

玄「」キャハハ

穏乃「玄さん行こう」グイッ

玄「おおう、今日の穏乃隊員は強引ですなぁ~」ズルズル

憧「・・・」

憧「シズ、まっt穏乃「だまれ」

憧「!」

穏乃「お前なんか知らない」

穏乃「二度と私達の前に現れるな!!」

玄「」キャハハ

憧「・・・」






憧「・・・自業自得、か・・・」

憧「ま、さんざんあんなことやっといて何を今更だよね・・・」

憧「・・・ハハッ ハハハッ」ポロポロ・・・

???「まったくあの猿は余計な茶々入れてくれるよね」ガサガサ

憧「! ・・・見てたんだ」

???「当然だよ」

???「言ったでしょ、常に監視してる、って」

憧「・・・」

???「あーあ、玄を始末しそこねたかあ」

???「壊れてしまった人間は何をしでかすかわかんないからなあ・・・」

???「あんたとしても処分しておきたいでしょ?もっとがんばろうよ さっきみたいに躊躇してないでさあ」

憧「もういや」

憧「もうダメ、私こんな事出来ない」ポロポロ

???「え?ここまでやっといてもう引き返せるなんて思ってないよね?」

憧「とにかくもういや、限界」グスッヒック・・・

???「・・・ハァ」

???「んじゃ約束は反故ってことで、あのことは・・・」

憧「」ビクッ

憧「それも・・・いや、絶対・・・」

???「それはそっちの努力次第だよ、アコ」ニコッ

同時刻 大阪通天閣 5階展望台

郁乃「いや~わざわざ出向いてもらってすまへんな~」

赤土「・・・こちらこそ、まさかあっさり呼び出しに応じてもらえるとは思っていませんでしたよ」

郁乃「ん~いうてもそっちも確信あったようやし」

郁乃「ま、ここいらでネタバレもありかな~思てな」

赤土「ええ、姫松の監督代行が水面下で色々やってるって噂はこっちの耳にも入ってますから」

郁乃「火のないところに煙はなんちゃら、か~」

郁乃「ほんでどんな難癖つける気なん?ま、電話で大体把握したけどな~」

赤土「単刀直入に言います うちの憧と二度と関わらないでくれますか?赤阪代行―」

郁乃「それは無理な相談やな~」

赤土「何故?」

赤土「あなたが自校が優勝する上で邪魔になるであろう高校にちょっかいを出しているのはもはや周知の事実です」

赤土「今からでもそのことを高麻連の議題に上げることも」

郁乃「脅迫か~物騒やな~」

赤土「それはあなたがうちの憧にしていることです」

赤土「あなたが憧の何を掴んだのかは知りませんが、それをネタにいじめを行わせている ―違いますか?」

郁乃「おお~名推理やな~」

赤土「ならすぐに止めてください でないと」

郁乃「訴える、か?それはできひんよ赤土ちゃん」

赤土「?」

郁乃「たしかにうちはそっちのアコちゃんが知られたくないことを握っとる」

郁乃「でもな、それをネタに脅迫?してるんはなにもうちだけやないんよ~」

赤土「何を・・・言って・・・」

郁乃「灯台下暗しってやつやな~」

赤土「お前まさか、他の部員にもへんなことを?!」

郁乃「さてな~?でもあんたんとこにうちの味方がいるかも、ってのを考えんかったんは迂闊やないかな~?」

赤土「誰だっ・・・一体誰を囲い込んだっ!」

郁乃「言わんでももう見当ついとるんやないの~?」ニヤニヤ

赤土「・・・っ」 

郁乃「ま、つまりうちのこと訴えてもそっちの崩壊は止まらん」

郁乃「むしろ憧ちゃんの秘密が暴露してもーてよっぽどひどいことになるんとちゃうかな?」

赤土「くっ・・・お前ってやつは、どこまで卑劣な・・・」

赤土「大体何でこんなっ・・・部員同士でいがみ合わせるなんて惨い事をっ・・・」ボロッ・・・ボロッ・・・

赤土「憧の弱みを掴んだなら、それを高麻連に暴露すればいいだけの話じゃないか!!」ダアァン!

赤土「関係ない奴まで巻き込みやがって・・・」

郁乃「甘いなあ赤土ちゃん まるでマウンテンデューやで~」

郁乃「あるものを壊そう思ったら、正攻法じゃ結局どうにもならんのや」

郁乃「もっと内部、根っこの根本のところから腐らして、崩して、二度と立ち直る事の無いようにせなあかん」

赤土「お前ってやつは・・・」

憧ちゃんが何したってんだ円光ネタとかだったら死ね>>1

郁乃「まあ、お互い平行線のようやしこれ以上要件なかったら帰らせてもらうで~」スクッ

赤土「待てっ」

郁乃「?」

赤土「憧の・・・お前は憧の何を知ったんだ」

郁乃「聞かんほうがええんちゃうの?・・・まぁ、これぐらいはええか」

赤土「・・・」

郁乃「あの子長いことウリやってたらしいで~」

赤土「!」

郁乃「ま、女子高生の弱みっちゃありきたりなもんやけどな」

赤土「どこで・・・それを・・・」

>>64
マクガフィンだと思って堪忍してつかぁーさい

なんか円光ネタはタブーだったみたいですな
すまぬ

郁乃「さすがにそれはひ~みつ☆」

郁乃「でもほれ、なんとなんとDVDまであるねんで~」ヒョイッ

赤土「てめぇ・・・」

郁乃「ウリしてたってことまではまだしも、こないな動画まで一緒に流されちゃ~さすがにガラスのハートは割れちゃうやんな~」

赤土「・・・」ギリッ・・・

郁乃「ま、憧ちゃんだけが悪いとも思わんがな~」

郁乃「1人の子ばっかかまけてちゃんと部員管理してへんあんたも悪いんやで、監督さん」ボソッ

赤土「・・・!」ゾクッ・・・

郁乃「出場辞退の報告楽しみにしとるで~」




そっ閉じの人は冷めさせてしまってスマソ
支援あるようなんで貼ってくわ 引き続き読んでくれる人あがとうや~

車内

赤土「は~参った・・・」

赤土「まさか奴のパトロンがいるとはねえ・・・」

赤土(恐らくそいつに憧がちゃんといじめを行なっているかどうかを監視させてたんだろう)

赤土(で、そいつっていうのが・・・)





公園

憧「ねえ、なんで?」

灼「何が?」

憧「なんでもう、やめにしないの?」

憧「宥姉は学校に来なくなったし、私は無期限休部になった」

憧「もうそっちの目的はほとんど達成したでしょ!もう私を開放して!!」

灼「まだだよ」

憧「何がよ・・・」

灼「玄は頭が変になってもまだ来ているし、猿もピンピンしている」

灼「これじゃあだめなんだよ」

憧「あんた何いってんの・・・」

灼「ハルちゃんを助けて、私達の理想郷を作るには・・・」

灼「皆、皆いなくなってもらわなくちゃ・・・」

憧「何言ってるの!晴絵がなんか関係あるわけ?!」

灼「お前には関係ない!!」

憧「ひっ・・・」ビクッ

灼「ともかく玄は近日中に処分して あいつは目障りだ」

灼「それとも、自分の人世を処分して欲しい?」

憧「・・・」ガクッ・・・

再び車内

赤土「何故だ、何故だ灼・・・」

赤土「赤阪の言動から察するに、あいつは私とお前の関係を知っている」

赤土「恐らくお前もそのことをネタに脅迫されたんだろう」

赤土「だがお前は私に何も相談してくれなかった」

赤土「脅迫されたであろう日からも何回も身体を重ねたというのに―」

赤土「2人きりの時間はいくらでもあった」

赤土「いくら奴でもすべてを監視できるわけはないだろう」

赤土「私に助けを求めることは出来た、でもしなかった ―すなわち」

赤土「おまえは進んで赤阪に協力していたというのか―?」

赤土「いやまて、やめろ、変な考えはよそう」

赤土「そもそも赤阪は憧の弱みも握っている」

赤土「こちら側に少しでも変な動きがあったら、それをばら撒くぞなんて言われていたかもしれない」

赤土「・・・」

赤土「ハハッ・・・」

赤土「八方塞がりだな ―まさに10年前のようだ」

赤土「・・・いいよ、やってやろうじゃないの」エンジンドルルル

赤土「全てケリつけて、阿知賀のレジェンド復活させようじゃないの!!」


パラリラパラリラ~

松実邸前

玄「いやー悪いですなーわざわざ送ってもらって」

穏乃「・・・」

玄「およ?どうしたでありますか!穏乃隊員!」

穏乃「玄さん、明日暇?」

玄「何言ってるのー明日は学校だよー?」キャハハ

穏乃「・・・」

穏乃「駄目だよ、あんな所いっちゃ」

玄「へ?」


ダキッ

玄「おお・・・これまた大胆な・・・」

穏乃「だめだよ、もう、わっわたしの前からいなくなっちゃ・・・」ポロポロギュー

玄「え?え?」

穏乃「宥さんがっ学校来なくなって・・・アコもっ・・・あいつももう私の知ってるアコじゃなくなじゃったがらぁ・・・」ボロボロ

玄「・・・」

穏乃「くっ玄さんまで・・・これ・・・以上おがしぐっ・・・ならないで」ギュウー

穏乃「アコはっ・・・あいづは・・・玄さんを突き落とそうとしてたっ」ボロボロ

穏乃「わっ・・・わだしはっ・・・親友を人殺しにもしたくなし・・・殺されだくもない・・・」

玄「・・・」

穏乃「だっから・・・」

穏乃「あいづがおかしくなくなるまでっ・・・私のそばから離れないでっ・・・う、うわぁぁああああああ」ボロボロボロボロ

玄「・・・」

玄「私の方こそごめんねえ」ギュゥゥウ

穏乃「ふぇっ・・・?」

玄「私、お姉ちゃんがあんなになってから、おかしくなってた」

玄「ストレスをいろんな人にまき散らして」

玄「アコちゃんに穏乃ちゃんがとことんやられてしまえばって思ってた」

穏乃「・・・」

玄「そうすれば、お姉ちゃんが学校に戻ってきた時にまたいじめられることはない、って」

玄「醜いよね」

玄「いっぱいひどいことしちゃったねえ・・・ごめんねえ・・・」ギュゥウ

穏乃「・・・う・・・うわあああああああああん」






玄「すっかり泣きつかれちゃったね」

穏乃「えへへ、そうですね」

穏乃「もう日付越えちゃうかな?」

玄「―あ、そうだ!今日ウチ泊まっていく?」

穏乃「えっ!?・・・でも大丈夫ですか?宥さんとか・・・」

玄「お姉ちゃん今入院してるから」

穏乃「」

穏乃「そんなにひどい怪我を・・・」

玄「ううん、心の病院の方」

穏乃「・・・」

玄「毎日面会行ってるけど良くはなっているんだよー」

玄「一昨日ぐらいからまた喋るようになったし」

穏乃「・・・」

玄「そんな暗い顔しないでー」アセアセ

玄「今度一緒にお見舞いいこ、ね?」

玄「皆に会いたい、って言ってたし」

穏乃「は、はい ぜひ・・・」

玄「さ、入って入って~」ガシャッ

穏乃「おじゃましまーす・・・」コソコソ





穏乃(うう~旅館の大部屋の真ん中で2人だけで就寝・・・)

穏乃(落ち着かない・・・)

玄「穏乃ちゃん、起きてる?」

穏乃「へっ?!」

玄「えへへーよかったー」

玄「そっちの布団入ってもいい?」

穏乃「あ、どうぞどうぞ」

玄「じゃあお邪魔して・・・」ゴソゴソ


穏乃・玄「・・・」

玄「お姉ちゃんがいつも私の布団に入ってきてたんだ」

玄「寒いから暖めて、って・・・」

穏乃「・・・」

玄「お姉ちゃーん・・・うう・・・」グスッ

穏乃「・・・また元に戻りますよ、きっと・・・」ギュ

玄「えっ・・・?」

穏乃「赤土さんがアコのこと何か知ってるそうなんです」

玄「・・・」

穏乃「きっと、あいつのことシバいて、宥さんも連れ戻してきて」


それは、ほとんど願望に近い言葉だったけど


穏乃「またみんな仲直りして、麻雀部が元に戻って、―全国に行けますよ」

玄「」ギュゥウ


そうなればいいなって 
そう思って、私たちは眠りに落ちていった

大阪 某所

郁乃「あかん、あかん、あかん」

郁乃「バレてもーたわあああああああ」

郁乃「赤土ちゃんが気づく前に壊滅させたろ思ったのに」

郁乃「揺さぶりはかけといたし灼ちゃんもいるとはいえ・・・あのこ暴走気味やしなあ・・・」

郁乃「くう~まさか現場押さえられるとは・・・アコちゃんめ~」

郁乃「なにはともあれこれで煙のもとに火があることが証明されてしもた」

郁乃「・・・が、それと同時に赤土ちゃん達を縛り付けることもできた、ってわけや」

郁乃「さあお互い腹を見せ合ったしここからはガチ勝負やで赤土ちゃん」

郁乃「楽しみやな~うちの目論見をどう瓦解させてくれるか、ほんま見ものやで」クックック

翌朝 松実邸

穏乃「玄さーん!朝ですよー!ジョギング行きましょー!」布団バッサー

玄「うう~穏乃ちゃん強引・・・」ブルブル

玄父母<オヤオヤ・・・ウフフ・・・





ジョギングコース

玄「穏乃隊長~休みたいでありま~す・・・」ヘトヘト・・・

穏乃「まったく玄さんは体力ないなあ・・・ムネハアルノニ」

玄「面目ないであります~」ハハハ

穏乃「お、ちょうどベンチと自販機あるしちょっと休みましょうか」

タッタッタッ

ピッガシャッ プシッ シュワー

玄「ぷは~マウンテンデュー美味しいであります」ドヤッ

玄「隊長、どうしたでありますか?」

穏乃「・・・」

穏乃(一応部活に行かないこととか灼さんに伝えとこうかな)

穏乃(アコのことは聞いているだろうけど・・・)pipipi





少し遡り学校 麻雀部室

中央の全自動卓には字牌だけが並べられている

灼「宥は落ちた」東ポイー

灼「玄も処分しなければと思っていたが、幸い今日から学校に来なくなった」南ポイー

灼「アコの奴も無期限部停」西ポイー

灼「猿は・・・保留」北ヌキッ

灼「もう少し・・・もう少しだよハルちゃん」コウコツー

中と発をつまみあげ、それぞれを股間と乳首に押し当てる

灼「もう少しで・・・私達だけの麻雀部が・・・2人だけの本当の麻雀部が・・・」クチュ・・・クチュ・・・

灼「完成するよ・・・ああああっ」ブシャアアアア

灼「はあ・・・はあ・・・」汗ダラー

灼「そのためには不安要素が1つ・・・」ヒョイッ

白をつまみ上げる

灼「赤阪郁乃、私とハルちゃんの秘め事をネタに私を利用しようとした女」

**** 回想 ******

奈良 某喫茶

灼「・・・っ?!この写真、どうやって?!」

郁乃「し、大きい声出したらいかんよ~」

郁乃「まあ落ち着きい、なにもこれをばら撒く言うとるわけやないんで?」ニコッ

灼「あ、あたりまえだ!」

郁乃「まあ教師と生徒いうても人間やしな」

郁乃「情も移りゃあ欲情もするってな~あはは~」

灼「・・・」

郁乃「まあそう睨まんと うちは灼ちゃんの純じょ~うな乙女心に協力しよ思ってるんで?」

灼「・・・協力?」ピクッ

郁乃「せやせやー」

郁乃「灼ちゃんの赤土ちゃんに対する情熱はたっぷり調べさせてもろたで~」

灼「お前みたいな奴がハルちゃんをちゃん付けするな!!」ダヴァンッ!!

郁乃「」ビクッ

店内「ザワ・・・ザワ・・・」

郁乃「おお、堪忍堪忍や~」ドキドキ・・・

灼「」ハァ・・・ハァ・・

郁乃「まあそんで、うちは灼ちゃんが赤土ちゃ・・・赤土監督と2人だけの麻雀部」

郁乃「灼ちゃんの言葉を借りると”理想郷”を築き上げたいと強く思っているっちゅーことにたどり着いたやんな」

灼「/////」カァァアア

郁乃(うわキモッ)

郁乃「うちはその理想郷建造に協力しよう思ってんで~」ニカー

灼「でも・・・どうやって・・・」

郁乃「簡単やで~ 監視すればええんや」

灼「監視?」

郁乃「せやで~簡単やろ」

灼「でも・・・誰をどう監視すれば・・・」

郁乃「それはな・・・」ゴニョゴニョ

灼「・・・なっ!」

郁乃「あ、さすがの灼ちゃんも大事な仲間にそんなお痛は出来んか~?」ガッカリ

灼「いや・・・」ハイライトキエー

灼(こんな手が・・・あるとは・・・)

灼(ハルちゃん、みんな・・・ごめん・・・でも)

灼(私自分の気持に、嘘は付けない!)キリッ





再び麻雀部室

灼「あいつは・・・あの女の底が知れない」

灼「私とハルちゃんの理想郷が完成すると共に、姫松も決勝で勝ちやすくなる」

灼「win-winと言っていたけど・・・」

灼「・・・」

灼(そういえば今日のあいつへの監視定期連絡まだだったな)

灼(・・・まあいいか 憧も学校来てないようだし、メールも電話もさっぱりだし)

灼(それにしてもハルちゃん遅いな)

灼(いつも朝練には顔出してたのに)

ピリリリリリリr

灼「!?」ビクッ

灼「なんだ、携帯か・・・」パカッ

灼「・・・」

灼「あの猿、一体なんの用だ」

灼「もしもし」


ベンチ


穏乃「あ、もしもし灼さん?」

灼『そうだけど・・・』

穏乃「・・・言い難いけど、アコのこと聞いてる?」


灼『うん、ハルちゃんから』

穏乃「まあそれと関係ないっちゃ嘘になるけど、私達今日からちょっと部活休むから」

灼『・・・達?』

穏乃「そうそう、実はいま玄さんも一緒に居るんだー」

玄「灼ちゃんおはよー」

灼『・・・分かった ハルちゃんにも言っておく』

ピッ

穏乃「・・・なんか可哀想なことしちゃったかな」

玄「どうしたのー?」

穏乃「いやー今アコも部停で灼さん1人なわけじゃん?」

穏乃「寂しんじゃないかなーと思って」

玄「それは・・・そうだね」

穏乃「よし、明日灼さんも連れて皆で宥さんのお見舞い行こう!」

玄「えっ!そ、それはお姉ちゃん喜ぶと思うけど・・・」

穏乃「決まりね!じゃー今日は明日のためにいっぱい走ろー!!」ダダダダ

玄「ええ~わけわかんないよー」ヘトヘト

昼 車内

赤土「ふう~ようやく阿知賀ね」

赤土「色々あったけどひとまず下準備は整った」

赤土「まずは憧を・・・」pipipi

赤土「・・・」

赤土「着信拒否か・・・」

赤土「いいわ、家でも学校でも行って引きずり出してこようじゃないのっ」ブルルン


赤土(みてなさい赤阪郁乃)

赤土(あんたが卑劣な手を使ってくるというのなら)

赤土(こっちはどこまでも正攻法でいってやるんだから―!)

憧宅

憧「はあ、熱が下がらない・・・」

憧「灼からメールも電話もたくさん来てる・・・」

憧「このまま全部シカトして、誰にも関わらないで閉じこもっておけば」

憧「全部解決するのかなあ・・・」

憧「・・・」ポロポロ

憧「うう・・・シズ・・・ごめんねえ・・・会いたいよお・・・」ボロボロ

望<アコーハルエキテルヨー

憧「?! 晴絵・・・なんで?」





憧「・・・」

赤土「ごめんね突然部屋まで押しかけて」

憧「・・・」

赤土「憧、話は全て聞いたわ」

憧「―!何で、誰からっ!」

赤土「あんたを脅してる張本人からよ」

赤土「色々言いたいことはあるけど」

赤土「まずは ―歯を食いしばって」

放課後 学校

灼「結局ハルちゃんが来なかった・・・」ハァ・・・

灼「お昼ごはん食べる約束してたのに・・・」

灼(でもいいこともあった) 

灼(あの2人が当分麻雀部に来ないとは好都合)

灼(このままなあなあで退部してもらえば私の理想郷が早くも・・・!)

灼(・・・監視対象が連絡をよこさないのは気にかかるが)

灼(まあでも学校にも来てないようだし、このまま登校拒否になってくれたらありがたいか)

部室前

灼(・・・今日は閉めちゃっても構わないか)

灼(どうせ私1人だし、ハルちゃんも来ないし)

灼「・・・」ガチャ


灼「ああ・・・ハルちゃん、楽しみだよ」

灼「ハルちゃんと2人、この部室で・・・」ムフフ・・・



赤土「妄想は結構だが声には出さないほうがいいと思うぞ?」


灼「?!」

姫松高校 部室

ワイワイガヤガヤ

郁乃(・・・)

郁乃(今日は灼ちゃんからの定期連絡がない・・・)

郁乃(憧ちゃんの携帯かけてみても出えへんし)

郁乃「・・・本格的にまずいなぁ」

末原「何がです?代行」ヒョイッ

郁乃「おわっと!居たんか末原ちゃん~びっくりさせんで~」

末原「さっきからいますけど・・・ で、何がまずいんです?」

郁乃「ん~ん、こっちの話」

末原「?」

郁乃「予定にズレが生じてきたら、大抵の場合自分にとって悪いことが起こる予兆や~ってこと」

末原「はぁ?」ポカン

<コンコン ガチャッ

絹江「トイレ戻りましたー」

郁乃「お帰り~」

絹江「それと監督代行、なんかお客さん来てるみたいですよ」

郁乃「? どなた~?」

絹江「えー・・・と 確か」

絹江「熊倉トシいう人です」

郁乃「・・・」

少し遡り 阿知賀女子高校部室

パンッッ

赤土渾身のビンタが炸裂する

パンッ


灼「痛っ・・・ハルちゃんっ・・・やめっ・・・」

赤土「駄目だ!アコは、宥は、玄は穏乃はっ」パンパン

赤土「これの何倍痛かったと思ってるんだ!!」パンパンパン

憧「・・・」

灼「そんなっ・・・私はっ・・・ハルちゃんの為を思って」

赤土「ばか!何が私の為をだ!!」

赤土「結局は自分の勝手なエゴじゃないか!!」スパァン

赤土「ハァ・・ハァ・・・」

灼「」グッタリ・・・

赤土「・・・」

赤土「」ダキッ

灼「!」

赤土「ばかっ!!理想郷なんていらない、そんなもの無くてもいつも私がそばに居てやる」

灼「・・・!」

憧「晴絵・・・」

赤土「なんでそんなこともわかんないんだ!!!」

灼「・・・ハル、ちゃん・・・?」ハイライトチカー

灼「ハ、ハルちゃんが皆のものになってしまうのかと思ったんだ・・・」

赤土「違う!私はお前だけのものだ!!」

灼「私は・・・ハルちゃんだけを見てるのに」

灼「ハルちゃんは・・・いつも皆ばっかり見てるから・・・」

赤土「私はお前しか見ない!お前だけを見る!!」

灼「・・・」パァァア

憧(脳みそ蕩けそう・・・)

赤土「だからお前は、もっと、周りのことも見てやってくれ」

赤土「”私が任命した”部長、なんだから」

灼「ハ・・・」

灼「ハルちゃあああああああん」ガシー

灼「ごめんなさいごめんなさい」ボロボロ

灼「ハルちゃんに迷惑かけてごめんなさいぃ」グスッヒッグ

赤土「」パァン!!

灼「?!」ズキズキ

赤土「・・・やっぱりまだ私しか見えてないじゃないか」

灼「う・・・」

赤土「お前が謝るのは、部員の皆だろ・・・部長」

憧「・・・」チラッ

灼「・・・」

灼「・・・わたし、仮にも部長なのに・・・一番しっかりしないといけないのに」

灼「こんな、こんなことでアコのこと死ぬほど傷つけちゃった」ウルウル

灼「許してもらえるなんて思ってないけど・・・ほんとに・・・本当にごめんなさい」ポタポタ

憧「・・・」


ボコッ


灼「・・・」ズキズキ

憧「許してないからね」

灼「・・・」

憧「いつ許せる日が来るかわからないけど」

憧「このままみんな散り散りになっちゃうほうが嫌だし」

憧「・・・これから1日1発ね」

憧「そしたら、ずっと早く許せる・・・かも」プイッ

灼「わかった 待ってる」

赤土「・・・」

赤土「さ、これから穏乃や玄達にも土下座に・・・と言いたいところだけど」

赤土「そろそろこっちの切り札が向こうに着く頃だわ」

灼「切り札・・・?」

憧「・・・」

赤土「ええ、灼達についた小汚い虫を退治しにね」

赤土「灼、携帯貸してちょうだい」

再び姫松高校 応接室

郁乃「いやあ~これまたこないな大物がこんなヘンピな学校によういらs」

熊倉「前置きはいいわ 本題に入りましょう」

郁乃「本題?」

熊倉「ええ、端的に言うと”警告”ね」

郁乃(・・・)

郁乃「はてはて~なんか私そないな物騒なこと言われるようなことしましたかいな~?」

熊倉「ええ、身に覚えは一杯あるでしょ?」

郁乃「・・・」

熊倉「どうもはぐらかすことがお得意なようだから手っ取り早く済ませましょうか」

郁乃「・・・」

熊倉「この私が介入してなお直接的な追求がないのはあなたの立ち回りが上手いからよ」

熊倉「そこは褒めてあげるわ」

郁乃「・・・」

熊倉「でもやりすぎてしまったわねあなた」

熊倉「これ以上ちょっかいを続けるようなら、あなたも同じ道をたどってもらうわ」

熊倉「あなたが脅している娘達と同じ道をね」

郁乃「・・・」汗タラー

ピリリリリリr

熊倉・郁乃「・・・」

ピリリリリリリr ピリリリリリr

熊倉「どうぞ、お出になって あなたの携帯でしょ?」

郁乃「・・・ほな、失礼して~・・・」パカッ

郁乃「!?」

郁乃(灼ちゃんやないか!遅すぎるで!こっちは大ピンチやっていうのに~)

郁乃(でもしめたもんや)

郁乃(ここでうまいこと灼ちゃんを言いくるめて私と無関係ってことにすれば・・・)

郁乃「もしもし」



赤土『よお、割と早い決着だったな』


郁乃「冗談きついな~赤土ちゃん」

郁乃「それ灼ちゃんの携帯やで~?」

赤土『ああ、お前のことだから何を意味してるか分かるだろう・・・?』

郁乃「灼ちゃんが寝返ったいうんか~・・・」

赤土『ああ、ついでに憧ももうお前から開放された』

郁乃「・・・」チラッ

熊倉「・・・」ニヤッ

郁乃「・・・あかんなあ」ボソッ

赤土『? 声が小さいぞ?』

郁乃「こりゃあもうこっちの奥の手使うしかないようやな・・・」ボソボソ

赤土『例のDVDのことか?、そのことだがな』

郁乃「 ――ハァ、なんやそっちのタネも割れてるんか?」ハァ・・・

赤土『察しが早くて助かるよ』

郁乃「まあ、憧ちゃんも奪還されたっちゅうことは事情も吐かせたっちゅうことやろ?」

赤土『そういうことだ』

赤土『憧がしたのはあくまで未遂だそうじゃないか』

赤土『背伸びしたくて、声をかけて、いざ中に入ったら怖くなって逃げ出した―と』

郁乃「まあ多感な年頃の娘らしいやんな~」

赤土『黙れホラ吹き』

赤土『憧の奴はコッテリシバいてやった もう2度とさせない』

郁乃「あらあらとんだ鬼監督ですこと」

赤土『お前が盗撮したのは、声をかけてホテルに入っていく一部始終らしいな』

郁乃「ま、もう何も隠すことはあらへんやろ せやで」

郁乃「それでも充分な破壊力はあるやろ」

郁乃「せやから赤土ちゃん、今からでも遅ないからこの邪魔なババアを 赤土『それはできないな』

郁乃「・・・」

赤土『何も行為中のすっぽんぽんの映像ってわけじゃないんだ』

赤土『ウチの制服も着ていないその"憧似の誰か"がホテルに入っていく動画がなんだっていうんだ?』

郁乃「――っ!」

郁乃「そんなっ苦しい言い訳・・・」

赤土『苦しくて結構!』

郁乃「え」

赤土『私は部員を守るためなら何だってするぞ』

赤土『知りませんの一点張りで開き直ってやる』

郁乃「・・・」

赤土『それに、もはやそんなことができる余裕がお前にあるか・・・?』

郁乃「・・・・・・」チラッ

熊倉「・・・」ニコッ

郁乃「ぐうぅ・・・なら、赤土ちゃんと灼ちゃんの・・・」

赤土『―もう止めろ』

赤土『そんな、道端で教師と教え子がキスをしている隠し撮りをばらまいてどうする?』

赤土『行っておくが私は灼との関係はもう隠すつもりはないぞ』

郁乃「くっ・・・」

赤土『赤阪、おまえの持つ武器は全部こけおどし』

赤土『ただの煙なんだよ』

赤土『お前は火なんかじゃない、その芯までただの煙なんだ』

郁乃「・・・」

赤土『認めろ赤阪 ―お前の負けだ』





阿知賀女子 麻雀部

赤土「・・・ふ~」パチン

憧「・・・」

憧「決着、ついたの・・・?」

灼(ハルちゃんカッコ良かった・・・)

赤土「ああ、ひとまずは、な」

憧「・・・」

赤土「安心しろ、憧」

赤土「もうお前には握られてる弱みなんてない」

憧「晴絵っ・・・監督・・・!」ギュゥウ

憧「すみませんっ私・・・私の行動で麻雀部めちゃめちゃにしてしまって・・・」ウワァァン

赤土「いいんだよ、もう私には謝るな」ギュッ

憧「えっ・・・」

赤土「こうなったのは部員をしっかり見てやれなかった私の責任もあるしな」

赤土「何より、お前と宥の苦しみに気づいてやることが出来なかった」

赤土「悔やんでも悔やみきれない 監督失格だ」

憧「う、うわぁぁああんごめんなさいぃ」グスッグスッ

灼「ムー・・・」ジトー

赤土「だから私にはいいって」スッ

赤土「お前ら2人には、他に心の底から謝らなくちゃいけない奴が居るだろ?」

憧・灼「・・・」

赤土「不安になるのも分かるよ」

赤土「でもな、お前らがあいつらにしてきたことは、とても言葉だけじゃ償えないんだ」

憧・灼「うう・・・」

赤土「それでもケジメをつけようってんなら、腹くくって、殺される覚悟で謝りに行く事だ」

赤土「それがケリの付け方、ってもんだぜ?」キリッ


姫松高校 応接室


ピー・・・ピー・・・ピー・・・

携帯を片手に佇む郁乃


熊倉「どうやらケリはついたみたいね?」

郁乃「・・・はは、そのようですねぇ~」

熊倉「それじゃあ私はこの辺で退散するとしますかね」スクッ

郁乃「・・・ほな、気をつけて」

熊倉「―」ピタッ

熊倉「ところで赤阪代行さん」

郁乃「・・・まだなにか~?」

熊倉「―なんであなた、阿知賀にそこまで固執したの?」

郁乃「はてはて~それじゃまるで私が阿知賀に特別な思い入れがあるみたいな・・・」

熊倉「あるんじゃないの?」

熊倉「あなたの阿知賀を崩さんとする執念は他の高校のそれの比ではなかったわ」

熊倉「ま、詰めは甘かったようだけど・・・」

郁乃「・・・」

熊倉「―いや、つまらないことを聞いたわ 忘れてちょうだい」

熊倉「それじゃあ、御機嫌よう」スタスタ

郁乃「ほな、また」

郁乃(二度と面拝みたくないけどな・・・)

バタン

夕方 公園

穏乃「ふ~すっかり一日中走っちゃった!」キモチー

玄「た、たいひょ~ も、もう、へとへと・・・で ごじゃる~」ヘトヘト・・・

穏乃「もう玄さん隊員はほんと走りがなってないなー」

穏乃「まずはこう、フォームから改善しなきゃ!」グニグニ

玄「ひ、ひぇ~おたすけぇ~」

キャッキャウフフ




ベンチ

大きな夕日が2つのシルエットを描いている


穏乃・玄「・・・」

穏乃「夕日が沈むね、玄さん」

玄「そうだねえー綺麗だね」

穏乃「・・・玄さんも綺麗だね」

玄「・・・えっ?」

穏乃「なーんて//」エヘヘ

玄「・・・も、もう穏乃隊長はやっぱり大胆ですなあ///」

アハハハハハ



パラリラパラリラ~ キキィ~

穏乃・玄「?」

穏乃「あ、あれ晴絵さんの車じゃない?」

玄「そうみたい・・・だね」

穏乃「あっ出てきた」

玄「・・・」


****少し前***


赤土「クソ~穏乃のやつめ~玄連れ回してどこにいやがる」ギャアア!

憧「はは、シズらしいや」

灼「もうちょっと・・・安全運転・・・」ガタンゴトン

赤土「!! 見つけた!」キキィ~

憧・灼「!」




バタンッ

赤土「さあ2人とも、覚悟はいい?」

憧・灼「・・・」コクン



赤土「おお~い、よーやく見つけたぞそこの2人!」タッタッタ


穏乃「赤土さん・・・それに」

玄「アコちゃん・・・灼ちゃん・・・」

赤土「今からこの2人から話があるそうだ」

穏乃・玄「・・・」

憧・灼「・・・」

赤土「私も手助けするけど、できるだけこの子たちの口から言わせたいと思う」

赤土「特に・・・玄には到底納得出来ないことだと思うけど・・・」

玄「・・・」

赤土「どうか、聞いてやってほしい」

穏乃・玄「・・・」

穏乃「・・・」コクン

玄「・・・」

玄「・・・なん、ですか」





姫松高校 屋上

郁乃「ここからの夕日はいつ見ても最高やな~」

郁乃「今の最悪の気分を浄化してくれるで~・・・」

郁乃「 ――まーさか赤土ちゃんが熊倉のオバハンと繋がりあったとはなあ・・・」

郁乃「だからバレずに事進めたかったのに~!そこまでの人脈洗えてんかったからな~・・・」ジタジタ

郁乃「赤阪監督(予定)一生の不覚やでほんま~」ハァ~

郁乃「・・・」

郁乃(しっかしほんま妖怪やったなあのオバハン)

郁乃(全てお見通しとは参るわ~)

郁乃「・・・」

郁乃「・・・執念、ね」

郁乃「いや嫉妬やろな」

郁乃(10年前のインハイ、今も夢に見るで)

郁乃(あの怪物になーんも太刀打ち出来んかったうちの目の前で)

郁乃(赤土ちゃんあんた、跳満ぶつけてもうたもんな)

郁乃(・・・)

郁乃「そして今も・・・」

郁乃「うちは代行、あんたは監督 ――か」

郁乃「あはは~・・・人生思うようにいかんもんやなあ」

郁乃「――赤土ちゃん、」



郁乃「今回の借りは決勝でキッチリ返えさせてもらうからな」






再び公園


あれからいろんな話を聞いた

お互い途中で何度か泣き崩れたけど、
赤土さんの助けもあってなんとか最後までいくことができた


憧「玄・・・さん、シズ・・・」ヒックエッグ

憧「ほんとに・・・ごめんなさい・・・」ボロボロ

灼「私も・・・」ポタポタ

灼「皆のこと考えずに・・・自分のことばっかり」

灼「ほんとにごめん・・・」


正直頭が真っ白になっててその時のやり取りはよく覚えていない

アコ達を何発が殴って、そのあとずっと皆で泣いていた気がする

玄さんは・・・あまりのヘナチョコビンタに正直ちょっと笑いそうになった


夜 松実邸


穏乃「すみません玄さん、2日も続けて・・・」

玄「お安いご用だよー」ニヘラ

玄「こっちも抱き枕が欲しかったしー」ギュゥウ

穏乃(うう、胸が苦しい・・・)

穏乃「・・・明日また、久しぶりに麻雀部全員が揃いそうですね」

玄「そうだね・・・お姉ちゃん、喜ぶといいなあ」


明日みんなで宥さんのお見舞いに行く事になった

正直アコを会わせるのは不安だけど・・・

それでも、親友として、なんとか謝らせてあげたいと思う

穏乃・玄「・・・」


玄「正直ね、まだ心の中ではあの子達を許せてないんだ」

穏乃「・・・そんなの、当然ですよ」

玄「・・・でもね、また皆と麻雀打ちたいなって」ウルウル

玄「許せないのに、またあの場所で、皆と打ちたいなって・・・」ポロポロ


玄「うっ・・・ ふええええええん」ギュゥウ

穏乃「・・・玄さん、ずっと1人で麻雀部守ってきましたもんね」ナデナデ


玄「・・・また、皆で麻雀打てるかなあ」

穏乃「 ―― 」



穏乃「打てますよ 絶対」ギュゥウ

完璧とまではいかなかった

すべて元通りとまではいかなかった

でも、少しくらいはあの楽しかった日々に近付けたのかなって

そう思って、私たちは眠りについた


・・・腕の火傷はもう、痛まなかった








カンッ!

9時までに間に合わなかった・・・
というわけで終わりです
シズ玄とカッコイイレジェンドが書きたい欲求だけで書いた 
アコとあらたそはなんかごめん 読んでくれた人ありがとう~

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