アスカ「シンジ。あんた今日から私以外での勃起禁止」(167)

シンジ「お、女の子が勃起とか言」

アスカ「どーでもいいでしょそんな事。それより、分かった?」

シンジ「いや……あれって生理現象だから、勝手に禁止とか決められてもさ」

アスカ「朝のとかだけは許してあげる。けど他はダメよ」

アスカ「この私と付き合うんだから、他の女に一切目をやらないくらいとーぜんよね」

シンジ(付きあおうってアスカから言ってきたのに……)

アスカ「なによその不満そうな顔」

シンジ「不満ってわけじゃないけど、そんな約束しても完全に守るのは無理かなって」

アスカ「まさか浮気する気!?」

シンジ「そーいうんじゃないってば!」

アスカ「心底私だけ好きなら何の問題もないでしょ」

シンジ「そう……なのかな」

アスカ「じゃ、念のためテストするから」

シンジ「テストって?」

アスカ「じゃーん、これ」

シンジ「ディスク……」

アスカ「そ。相田から調達してきたエッチなビデオ」

シンジ「だから、女の子がそういう事やめなって」

アスカ「はいはい。いいからノートPC開きなさい」

ウィーン

シンジ「……」

アスカ「……」

シンジ「……ねえ。止めようよアスカ」

アスカ「なによ逃げんの? 私のこと好きなら証拠見せて」

シンジ「そんな事言ったって」

アッ、アッ、アッ、アッ
ジュプ! ジュプ! ジュプ!
ヤ、イッ、アァァ~~!!

シンジ「……ゴク」

ぎゅムッ

シンジ「はぁう!?」

アスカ「お………っきくなってる」

シンジ「そ、だって無茶だよ! 当たり前だろ!?」

ぎゅむぅぅぅゥゥ

シンジ「いだだだだだだっ」

アスカ「サイテー!! なによスケベ、あんた女なら何でもいいんじゃないの!?」

シンジ「ちが、違うって! こういうのはだから、生理現象で」

バチン!!

シンジ「ぶへっ」

アスカ「バカ……変態」



シンジ「……はぁ」

シンジ(行っちゃった。可愛いけど、ムチャクチャだよなアスカ)

シンジ(あれで反応しなかったらそっちの方が問題じゃないか)

シンジ(大体……自分はどうなんだよ……)

♪~

シンジ「あ、カヲル君。碇です。うん」

シンジ「実はさ、頼みがあるんだけど―――」



カヲル『つまり、惣流さんを誘惑すればいいんだね?』

シンジ「……うん。すっごくヘンなお願いだとは思うんだけどいいかな? 一回でいいんだ」

カヲル『他ならぬシンジ君の頼みなら、僕が断る理由はないさ』

シンジ「ありがとう」

シンジ「アスカ、ご飯できたよ」



シンジ「どうぞ」

アスカ「ふんっ」

ミサト「あら。アスカどうしたの」

シンジ「ねえ、そろそろ機嫌直してよ」

アスカ「……」モグモグ

シンジ「アスカぁ」

ミサト「どうかしたの、あんた達」

アスカ「ミサトは関係ないわよ」

ミサト「ありゃ」

シンジ「まぁ、ミサトさんには関係ないです」

ミサト「ガーン」

トントン

シンジ「はい」

アスカ「シンジ……入るわよ」

シンジ「う、うん」

アスカ「反省した?」

シンジ「えっと」

アスカ「反省したかって聞いてんの」

シンジ「努力して精進します」

アスカ「……私以外に欲情なんてしちゃ許さないから」ギュゥ

シンジ「アスカ……」

アスカ「……」ギュゥゥ

シンジ「うん」

アスカ「じゃ、仲直りのキスね。んー」

3日後

カヲル『やあ。こんばんはシンジ君』

シンジ「こんばんは。どうしたの?」

カヲル『先日頼まれた惣流さんの件についてさ』

シンジ「あ!」

シンジ(あの後のアスカが可愛くてすっかり忘れてた……!)

シンジ「カヲル君、ゴメン。あれはもう」

カヲル「とりあえず、今度の休日に二人で買い物に行く約束を取りつけておいたよ」

シンジ「!!?」

シンジ「え、そ、だって」

カヲル『話の流れを誘導して、シンジ君を媒介に使わせてもらったよ』

シンジ「僕を?」

カヲル『そう、シンジ君についての秘密の大切な相談がある言って釣りだしたんだ』

シンジ「あ…………ああ、そうなんだ。何を相談するの?」

カヲル『それはこれから考えてみるとするよ』

シンジ「……」

カヲル『シンジ君。本当にこのまま続けていいのかい?』

シンジ「……」

シンジ(今やめてもらえば何も―――)

シンジ(でも……それも疑って、怖くてやめちゃったみたいな気分になりそうだし……)

シンジ(一回だけなら……)

カヲル「シンジ君?」

シンジ「続けてみて」

カヲル「分かったよ、君が望むとおりにしよう」

休日

アスカ「ただいまぁ」

シンジ「あ。アスカ、おかえり」

アスカ「ん? 何してんのよテレビもつけないで」

シンジ「いや特になにも……ほら、アスカがそろそろ帰ってくるかなって思って」

アスカ「ば~か」

シンジ「冷たいもの入れとくから、うがいしてきなよ」

アスカ「そね」

シンジ(良かった。いつもと変わりないや)

アスカ「ンク、ンク……ぷはぁ」

シンジ「外暑かった?」

アスカ「あっつかったわよ。日焼け対策入念にしといて正解だったわ」

シンジ「ふーん」

アスカ「シンジ」ゴソゴソ

シンジ「何?」

アスカ「はい、これあげる」

シンジ「あげるって―――本? あ、これって!?」

アスカ「ふふん。欲しいのに売ってなーいって騒いでたでしょ? 今日古本屋はしごして見つけたやったのよ」

シンジ「ありがとうっアスカ!」

アスカ「うんうん、もっと感謝しなさい」

シンジ「でも大丈夫なの? 結構高い本なのに……」

アスカ「あんたバカ? 好意で用意されたプレゼントは、余計な心配しないで素直に受け取るものよ」

シンジ「そ、そっか。うん。ホントにありがとう」ギュゥ

アスカ「あ……」

シンジ「アスカ……」

アスカ「………………ストップ」

シンジ「どうしたの?」

アスカ「ん、外暑くてかなり汗かいちゃったから。キスとかは我慢」

シンジ「気にしないのに」

アスカ「女の子は気にするのよ、バカシンジ」

アスカ「ハァ」

ミサト「なーによアスカ。今日はため息ばっかついちゃって」

アスカ「は? そうだっけ?」

ミサト「気づいてないわけ?」

アスカ「色々回ったからちょっと疲れてんの」

ミサト「ふーん」

ペンペン「クェエ」

ミサト「シンちゃん、実はまたアスカとケンカでもした?」

シンジ「してませんよ。全然」

ミサト「ふーん」

アスカ「……ハァ」

カヲル『―――失敗したよ』

シンジ「!!」

カヲル『いや、シンジ君にとってその方が良かったのなら、失敗とは言えないのかな?』

カヲル『とにかく、今日一日かけて僕なりに本気で彼女の心を惑わせようと試みたんだけどね』

シンジ「そっか、ゴメン……ありがとう」

カヲル『いいんだよ。最初に言っただろ? 君の頼みなら……シンジ君』

シンジ「カヲル君……」

カヲル『実は僕からプレゼントまであげたんだ。それでも今日だけではキスまでで限界だった』

シンジ「!!!??」

シンジ「じょ、じょ、冗談だよ……ね? 冗談だよねカヲル君」

カヲル『落ち着いてシンジ君。本当にキスだけだから』

シンジ「いや、そうじゃなくてっ」

カヲル『?』

シンジ「…………プレゼントって、何を買ったの?」

カヲル『雑貨屋で買ったただのペーパースタンドさ」

カヲル『惣流さんにバレないように領収書ももらってある。あとで議長に頼んで経費で落とすためにね』

シンジ「議長??」

カヲル『こっちの話だよ。それよりシンジ君、マズかったのかい?」

シンジ「……」

カヲル『僕が惣流さんに―――』

シンジ「……ううん。カヲル君は言われた通りにしてくれただけだから」




コンコン

シンジ「アスカ。ちょっといい?」

アスカ「なによ。あんたから来るって珍しいわね」

シンジ「今なにしてたところ?」

アスカ「べっつにぃ。ボーっとしてた」

シンジ「……そのペーパースタンド」

アスカ「え?」

シンジ「そのペーパースタンド見ながらボーっとしてたの?」

アスカ「ああこれ? そういうわけじゃないけど、今日見つけて買ったばっかなの」

シンジ「……」

アスカ「シンジ?」

シンジ「アスカ、今日誰と買い物に行ってたの?」

アスカ「誰と、って。誰でもいいじゃない」

シンジ「お願いだから答えて」

アスカ「……渚とよ」

シンジ「!」

アスカ「言っとくけど! 私はあくまでシンジの事で話があるっていうから出掛けたんだから」

シンジ「僕の? 本当に?」

アスカ「私を疑ってんの?」

シンジ「だって……」

アスカ「バーカ。あんたは他の女に勃起なんかしないように、自分のこと気をつけてなさいよ」ギュッ

シンジ「アスカ。僕、アスカのこと好きなんだ」

アスカ「じゃ、浮気なんて絶対しないこと。いいわね?」

ちゅっ

学校

カヲル「ほら、これが例の領収書」

シンジ「……ねえ。僕のことで相談って、どんな話題にしたの?」

カヲル「シンジ君の様子が近頃おかしいと言ったのさ。心当たりはないかと」

カヲル「僕らの場合、精神状態は生命の危機に直結するからね。深く心配するのは不自然じゃない」

シンジ「うん」

カヲル「惣流さんからすれば、彼女と付き合いだしたことで行動に変化が出ていると思い当たる」

カヲル「惣流さんとの付き合いは秘密にしているんだろう?」

シンジ「アスカがそうしようって。委員長には言ってるみたいだけど……だから僕も、カヲル君にくらい言ってもいいと思ったんだ」

カヲル「鈴原君や相田君は?」

シンジ「あの二人に言うなら、二人ともに言わないといけない気がして」

カヲル「複雑なんだね、リリンは」

シンジ「そうかな?……それで、アスカはなんて?」

カヲル「心当たりは無いと言ってたよ。付き合いの件はやはり黙っておきたいみたいだね」

シンジ「……」

カヲル「シンジ君?」

シンジ「……アスカとのキスって、本当に冗談じゃないの?」

カヲル「僕が信じられないのかい?」

シンジ「ううん……ゴメン。カヲル君が嘘つくわけないと思う。けど、アスカも信じたいんだ……」

シンジ「僕が頼んだことなのに……僕がバカだから……」

カヲル「なら、再び惣流さんを誘惑してみてもいいかも知れないね」

シンジ「えっ」

カヲル「勿論それで彼女が僕を拒むならお終いにできる。けど、もしそうでなかったら―――」

シンジ「カヲルく……」

カヲル「例えばそうだね、次は写真でも撮っておくかな」

シンジ「……」

カヲル「さあ。これからどうするか、すべてはシンジ君次第だ」

シンジ「……」

シンジ「………………やめとくよ。やっぱり、人を試すなんて良くなかったんだ」

カヲル「そう」

シンジ「うん。カヲル君、ありがとう! 今度絶対、なにかお礼するからね」

カヲル「お礼されるほどのことはしてないけど、せっかくだから楽しみにしてるよ」



一週間後

カヲル(メールだ。惣流さんからか)

アスカ:どういうつもりよ


カヲル「……」


カヲル:なにがかな?

アスカ:分かってて誤魔化すな


カヲル(シンジ君……)


カヲル:話ついでにカラオケでも行こう


カヲル「……」


アスカ:行くなら今からがいい

シンジ「アスカ、どっか出るの?」

アスカ「そ。安売りフェア今日までなの忘れちゃってたから、すぐ行かないと」

シンジ「僕も一緒に行こうか」

アスカ「あんたは洋服見たってつまんないでしょ」

シンジ「まぁ……あんまり興味はないけど」

アスカ「ほら見なさい。いいからのんびりしてなさいよ」

シンジ「うん。休みで時間あるから、夕食に少し凝った美味しいもの作っとく」

アスカ「じゃ、行ってきます」

店員「それでは、ごゆっくり」

バタン

アスカ「……」

カヲル「それで。惣流さん、僕になんの用だい?」

アスカ「渚。あんた、誤魔化さないでってまた言わせたいわけ?」

カヲル「あの日のことだね」

アスカ「……私のことが気になるだの、目が綺麗だの、他にも歯の浮くようなこと散々述べてたくせに」

カヲル「イヤだったなら謝るよ」

アスカ「そういう事じゃないわよ! あげく、人がちょっと油断した瞬間に、あ、あんな」

カヲル「キスのことなら、無理にしたつもりはないけど」

アスカ「……」

カヲル「イヤだったのかい?」

アスカ「……」

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