未央「事務所の暇な子たちで王様ゲームをする?」卯月「うんっ!」(114)

凛「卯月が、バラエティの特訓にもなるって言うからさ」

杏「そういうのいいから寝かせてよぉ……」

楓「王様ゲーム……ちょっと久しぶりですね……」

かな子「わ、私は初めてなんで、緊張しますっ」

莉嘉「アタシも初めてだよーっ! 楽しみだね、お姉ちゃん!」

美嘉「中学生もいるんだから、いちおうキツイのは無しでいく感じ?」

蘭子「堕天使達のサバトはいっそう血が沸き立つというもの……」

きらり「うっきゃーーーーー! すっごくテンションはっぴはぴーーーーーーーーー!!」

みく「にゃっふっふー、みんなでこういうゲームをするのって初めてだよにゃー、楽しみだにゃー!」



未央「おいコラ」

卯月「ん? どうしたの未央ちゃん??」

未央「なにが“事務所の暇な子たち”だよっ! 私以外みんなCDデビューしてる子ばかりじゃん!」

卯月「そうだけど……でもみんな、夜のお仕事まで時間が空いてるんだよ」

未央「だったら遊ばずにレッスンでもしてりゃいいじゃん! や、私もだけどさあ!」

卯月「未央ちゃん、私たちは遊びで王様ゲームをするつもりはないよ……?」スゥ

未央「え?」

凛「そうだよ、未央。これは一種のレッスンなんだ」

未央「なに言ってるの? 照明にあたりすぎて脳がおかしくなったの?」

卯月「未央ちゃん、765プロの皆さんのことは知ってるよね?」

未央「当然じゃん。私の憧れだもん」

卯月「じゃあ、765プロの皆さんの出演してる番組を見たことは?」

未央「もちろんあるよ!」

卯月「じゃあ話が早いね」

卯月「765プロの皆さんの出演している番組は、どれも見ているものを笑顔にしてくれる素敵なもの」

未央「そうだね」

凛「けれど、それは企画が面白いのではなく、あの人たちが面白いから。
  おそらく、ババ抜きやドッヂボールといった誰でもできるゲームでも、あの人たちにかかれば格別のエンターテイメントになる」

未央「……たしかにそうかもね」

卯月「私は、あの方々のようになりたい。……天海春香ちゃんみたいに、みんなを笑顔にできるアイドルになりたい!」ギュッ

未央「いや、まぁ、……ん?」

かな子「卯月ちゃん……」グスッ

蘭子「其の熱き意思、天にも伝わることだろう……」フルフル

楓「そのためのレッスンということでしたら、私も微力ながらも参加させてください」

未央「ん???」

凛「と、いうことで――――」

卯月「――――王様、ゲーーーーーーーーッム!!!!」

「「「「「 イエーーーーイ!!!! 」」」」」


未央「!?!」ビクッ


卯月「未央ちゃん、早くクジ(わりばし)を引いて?」

未央「みんな今の一瞬でもう引いたの!? え、杏も!?」

きらり「杏ちゃんの分はきらりが引いてあげたにい!」

杏「……」グッタリ

未央(最早逃れる術は無い、ということなのね……)

卯月「未央ちゃん?」

未央「はいはい分かったわよ、引きましたー」ヒュッ

卯月「うん、それじゃあ記念すべき一回目、いきますよー」



卯月「王様だーれだッ!」

杏「……ぁ、私だ」

卯月「杏ちゃんだ! やる気が無くても一発目で引いちゃう、やっぱり杏ちゃんは“持ってる”ね!」ゴゴゴゴゴ

未央「卯月が怖いよお」

みく「けれど、杏からは無粋な命令しか出てこない気がするにゃ」

美嘉「でもユルいところからスタートするのってアリっしょ」

凛「たしかに。で、王様? 記念すべき最初のご命令はどんな内容で?」

杏「んー……、じゃあ、1番の人は私に肩揉みして」

みく「本当にユルいw」

きらり「にょわー、きらりが1番だにい!」

みく「」

美嘉「」

未央「」

杏「ごめんさっきのは嘘で本当は2番の人が王様に肩揉みを」

卯月「キャンセルは無しだよ、杏ちゃん」

きらり「まっしゅまーろー、肩♪ つついたら、ふーにふに♪」ゴリグギャベキッ

杏「おい待て肩はマシュマロに例えられるほど柔らかくなる部位ではないにゃああああああ――――!! ――――――ッッ?!!!」

きらり「あっれー、杏ちゃん、あまりに気持ち良くて寝ちゃったのかな? んもー☆」

未央「」

卯月「ハイ終ーーーーー了ーーーーーー!」

未央「」

未央(アカン)

未央(たとえ下らない命令に対しても突飛なアクションが起きる)

未央(そんな空気が出来上がっている!)

未央(となれば、被害者にならないようにするためには自分が王様にならないといけない!)

未央(適当に流すつもりで参加していたら、殺られる!)

きらり「杏ちゃんが寝ちゃったから、しばらくはきらりが杏ちゃんの分を取ってあげるにい」

凛「うん。それがいいんじゃないかな」

卯月「それじゃあいきますよー、王様だーれだッ!」

未央「ッ!!」

凛「あ、私が王様だ」

未央「ちくしょおおお!!」ドンッ!

卯月「未央ちゃんも床パンをするくらいに真剣になってくれたようで私は嬉しいよ!」

凛「命令をするんだよね。どうしようかな」

卯月「涙目になるくらいに本気なんだね、未央ちゃん」ジーン

未央「……卯月って、デビューしてから本当に変わったよね……」

凛「じゃあ命令するよ。未央は卯月を殴って」

未央「おあ!?」

未央「え? ちょっと凛、このゲームのルールは知ってるよね!? なんで名指しで命令を飛ばしたの!? っつーか殴れるか!! なんでアイドルがバイオレンス展開を二度続けなくちゃいけないのよ!!」

凛「私、未央が卯月のことを羨ましく思ってること、知ってるんだ」

未央「人の話を――、え……?」

凛「同期で、ずっと一緒に切磋琢磨してきた。けれど、卯月は先にチャンスを掴んだ」

未央「……や、え?」

美嘉「未央……」

蘭子(未央さん……)

未央「ちょ、やめてよっ」

凛「正直、モヤモヤした気持ちはあると思う。だったらその感情をこの機会に、ブフッ、発散させればいいんじゃないかな!」

未央「今一瞬笑ったのを見逃さなかったよ!?」

卯月「未央ちゃん、私なら、いいよ?」

未央「いやよくないよ!? 凛のやつはコレきっと単純に私が卯月を殴るところを見たいだけだよ!
   っつーか普通にルール違反してるし!」

凛「未央、嫉妬は恥ずかしい気持ちじゃない。それはアンタが本気でアイドルにブフッw、なろうとしてるってことのw証だよwwwwwバフフッwwwww」

未央「こいつ最低だ!!」

卯月「未央ちゃんの優しい気持ち、嬉しいよ。でも、私に対して思うところがあるのは本当だよね?」

未央「ちょ、卯月……!」

卯月「いいの。それにきっと、未央ちゃんが殴ってくれた方がオイシイって思うから」

未央「ん!?」

卯月「あ、説明不足だったね。オイシイというのは、島村卯月というアイドルが、親友に妬まれ殴られてもトップアイドルになる夢を見失わない、という物語を背負えばこれまで以上にメディアの注目を浴びるんじゃないかということだよ」

未央「アンタも最低か!!」ベシーン!



未央「あ。」

卯月「ハイ終ーーーーー了ーーーーーー!」

みく「これで卯月と未央の確執は明確なものになってしまったわけだにゃ……」

莉嘉「未央お姉ちゃん、羨ましいのは分かるけれど、仲良くしないとダメだよ?」

未央「アンタらみんな床に正座しよう!」

卯月「ねぇ未央ちゃん」チョンチョン

未央「あ、卯月っ、ぶっちゃってごめんね!」

卯月「大丈夫、むしろ叩いてくれた方がトークの引き出しが増えて嬉しかったよ」

未央「ちょっ、えっと、このことは公共の電波で発信しないでよね……?」

卯月「うーん、でも、深謀に長けた事務員さんがどんな行動に出るかは、私には分からないかな?」

未央「は? ――ちょっとちひろさんいつからビデオカメラ回してたんですか止めて!!!」

凛「未央、次にいくから、いい加減グチグチ言うのはやめて」

未央「いや絶対止めないとマズイって! 見てよちひろさんのあの凄絶な笑顔! 確実にロクでもないことを企んでるよ!」

卯月「それじゃあ次にいきますよー、王様だーれだッ!」

未央「ちょっとおお!!」

楓「ぁ、私……」

未央「うぅ、当たり前のようにゲームが進んでいく……」

卯月「ここで楓さん! 良い流れだね!」

みく「だにゃ。どうにもさっきまではバイオレンスな意味で騒いでいたから、
   ここらで少しアダルトな意味でドキドキできる展開が欲しいにゃ」

凛「そういった意味で、ここで楓さんに王様が回ったのはベストかもしれないね」

楓「アダルト……ちょっと難しいかも……」

未央「や、楓さん“少しアダルト”でいいんですよ!? そんな難しく考えなくても、王様ゲームの定番的なものでいきましょうよ!」

蘭子(アダルト……///)

莉嘉(ちょ、ちょっと緊張してきちゃった……///)

楓「定番、ですか。でしたら、フフッ、分かりました」

楓「4番が10番の人差し指と中指をしゃぶってください」

未央「ん!?」

楓「聞こえなかった……? ごめんなさい。4番が11番の人差し指と中指をしゃぶってください」

未央「んん!??」

卯月「それじゃあ4番と10番の人は申告してくださーい」

未央「なに普通に進めようとしてるのよストップストップ! ちひろさん一回カメラ止めてください!!」

楓「?」

未央「楓さん、早いです! まだ三回目なのに“しゃぶってください”という発言が出るのはトバし過ぎてます!」

美嘉「というか中学生も混ざってるのにそれはちょっと……」

楓「えっと、でも王様ゲームの定番といったらこれじゃあないですか?」

未央「ポッキーゲームよりも指舐めを優先させるんですか!?」

かな子「お、大人ですね///」

みく「っていうか、指舐めくらい中学生でも普通にお遊びでやるものだと思うけどにゃ?」

未央「そうかなぁ!?」

美嘉「そ、そういう貞操意識の低下は良くないって思うんだけど!///」

きらり「美嘉ちゃんはキャラ的にそういうことを言っちゃいけないと思うにい」

凛「三分間舐め続けろ、というわけでもないんでしょ? だったらサッとやっちゃおうよ」

卯月「だねぇ。4番と11番の人って誰?」

みく「4番はみくにゃ」

卯月「堂々としてるね」

みく「キャットガールが舐めることに消極的な方がお笑い草にゃ」ペロッ

未央「そういうものかなぁ?」

楓「それじゃあ、10番は?」


蘭子「……ゎ、我なり……///」プルプル


未央「」

美嘉「」

かな子「」

楓「かわいい」

みく「蘭子にゃっ、これは可愛がりがいがありそうにゃぁあ」ニャフフッ

未央「こ、これはっ、アウトなんじゃ!?」

蘭子「い、い、淫靡なる瞳よ、汝の罪をみみ見つめ返すがよい!!」ガタガタッ

凛「ねぇ卯月、蘭子は今なんて言いたかったのかな」

卯月「『前川さん、私もう我慢できません、はやく舐めてえ』って感じかな」

未央「絶対違うよね!? 汝の罪って単語からそんなポジティブな意思は汲み取れないよね!?」

蘭子「わわ我が堅固なる聖域にふふふ触れし者は煉獄にて身を焼かるる運命と知rれ!!」ガタガタガタッ

みく「蘭子ー、王様の命令は絶対にゃー、だから観念してさっさと終わらせるにゃー」スススッ

蘭子「ししししし退けよ、魔猫、わわわわ我が肉体は、あ、う、うぅ///」ガタン

みく「なに言ってるか全然分かんにゃいにゃ。それじゃ、覚悟はいいかにゃー」スゥッ…

蘭子「ぁ、……あ、ぁの///」

みく「にゃっ?」

蘭子「ゎ、わたし、こういうことって、初めてなんです……、だから、や、ゃ、優しく、してくださぃ///」カァアアアアアア

みく「」

未央「」

かな子「」

楓「」

莉佳「お姉ちゃん、どうしてアタシを目隠しするの?」

美嘉「ど、どうしても!///」

みく「これは、本気を出さざるをえないにゃあ」チュッ

蘭子「ひう!」ビクッ

みく「ん、ちゅぅ、んむ……」クプププ

かな子(蘭子ちゃんの真っ白な指が///)

美嘉(みくに付け根まで咥え込まれてる///)

みく「ふっ、チュル、ん、んん、」チュ、ニュチュ、ジュプ

蘭子「ひぃ、ぃ、いいぃぃ///」ピクッ

凛(これは恥ずかしい…)

きらり(うぅぅぅ///)

島村(なるほど、音が立ったとしても、咥えたモノを頬にあてないことで顔を下品に見せず、適度にムードのある雰囲気を作れるということなのね。勉強になるなぁ)

未央(卯月がすごい勢いでメモ帳にペンを走らせている……)

みく「んにゅ、ちゅ、んるんん」チュプ、ジュル、ジュプ

蘭子「ふ、ぁ、やあぁ、――ぃぃ、んぁあ///」ビクッビクッ

莉嘉「お姉ちゃーん、手汗がすごいよー? どうしたのー?」

美嘉「しゅ、終ーーーーーー了ーーーーーーーーー!!!!」

楓「えー」

美嘉「えー、じゃありません! 12歳の子がいるところで何をやらせてるんだよアンタは! はいはい終わり終わり!!」

莉嘉「お、お姉ちゃん、どうかしたの?」

美嘉「何もなかった! 莉嘉はなにも見ていないし聞いていなかった! うん!!」

未央(本当にギャルらしくない貞操観念だなぁ)

楓「仕方ありませんね、では次に移りましょうか」

美嘉「おっしゃー! みんなクジを引いた引いたー!」

凛「家族でハリウッド映画を見ていたときにベッドシーンで妙なテンションになるお父さんみたいだね」

みく「蘭子、この続きはもっと静かなところで、ね?」

蘭子「……///」コクン

かな子(なんだか怪しい会話を聞いてしまいました…)

美嘉「はーいみんな引いたッ? 引いたねー!? ハイッ、王様だーれだああーッ!!」

楓「あ、また私です」ハイ

美嘉「はぁっ!?!」

楓「では今度は、3番が7番の耳を舐めてください」

美嘉「はぁあああああっ!?!?!」

未央(美嘉がツッコミをしてくれてると楽だなぁ)

莉嘉(楓さんにも自分の意思をまっすぐに伝えれるお姉ちゃんかっこいい///)

蘭子(耳だとどんな感じなんだろう…///)ドキドキ

きらり「きらりじゃないにぃ」

莉佳「アタシも違うよー」

美嘉「ほっ……。あ、アタシも違うから」

蘭子「赤き魔光は我を照らさず……」

島村「あっ、二回連続で蘭子ちゃんなんだ、すごいねー!」

未央「いやいやいや! 今のは明らかに“私は選ばれませんでした…”的な言葉だったでしょ!? 面白いセリフを言う蘭子を弄れば場が面白くなる、みたいな考え方は捨てよう!?」

美嘉「……? ん? じゃあ結局誰なの?」

かな子「あの……3は私なんですけれど……」オズオズ

みく「ふむん? しかしかな子なら平和的に終わりそうだにゃ」

美嘉「もうやる方向で話が進んじゃってる……」

凛「さて、あとは7番は誰か、だね?」

凛「もしかして……、杏の?」

きらり「あ、本当だ、杏ちゃんに取って上げたクジが7番だねっ」

杏「……」

みく「これはどうするにゃ? 杏はまだ意識が戻ってないから、無効試合?」

きらり「……んー」

楓「いえ、舐められるのは杏ちゃんとして、ゲームを続行しましょう」

みく「うーん? 舐められる側の番号を指定しなおした方が面白くなると思うんだけどにゃ?」

楓「倒れている女の子の耳を別の女の子が一心不乱に味わうって、面白いシチュエーションだと私は思います」

みく「ふむ……、確かにそれも、ネコ的な可愛さに溢れた光景かもしれないにゃ」

未央(どっちかっていうとそれって猟奇的な光景に見えるんじゃ……)

卯月(楓さんだけは敵に回さないようにしよう)

かな子「そ、それじゃあ、頑張ります」フンスッ

凛(かな子も、以前に比べて随分と度胸がついたよね)

かな子「杏ちゃん、いただきます!」ススッ

未央(その掛け声は違う)

かな子「んっ、……ふ」チュ、ル、ンチュ

杏「……」

卯月「……」

かな子「…っ、…ん」チュウ、チュ

杏「……」

みく「……」

かな子「ふっ、、ん、んむ…」レ、ンム、チュ

杏「……」

蘭子「……」

かな子「……ふ、うう、うぅぅっ」グスッ

本田(なんだこの空間……)

杏「んンっ……」ピクンッ

かな子「あっ!?」

凛「杏が反応した!」

楓「かな子ちゃん、あともう一息よっ」

かな子「はい!!」ンチュウウウウ、レロロロ、チュル、ンンレ

杏「んっ、――ッ、~っ!」ピクッ、ピクンッ

みく(あ、コイツかわいい……)

きらり(杏ちゃん……)ムスー

莉嘉「お姉ちゃん、また目隠しー?」

美嘉「いいからッ!!」

かな子「れろれろれろれろれろ」レロレロレロレロレロレロ

杏「ンクッ! ……ふえ、なに……うわああああああああああああああああああ!!!??」

凛「起きた! 杏が起きた!」

卯月「やったね、かな子ちゃん!」

楓「ぱちぱち」ハクシュ

杏「え、なにこの状況!? おいかな子やめろ口を離せ!!」

楓「おめでとう」

みく「おめでとうだにゃ!」

かな子「ありがふぉう、みんなぁ!」レロレロレロレロレロレロレロレロレロレロレロレロ

杏「やめろかな子! 私なんか食べても美味しくないぞお! ちょ、誰か助k!」

美嘉「はいはいそろそろ次にいくよみんなぁーーーー!!!!」

かな子「杏ちゃんもぉ! ほんふぉうに、ありふぁおう!」レロレロレロレロレロレロレロレロレロレロレロレロレロレロレロレロレロレ

杏「んやああああ、ちょっ誰かあぁああ助けてぁあああああああ!!!」

未央「ストップ! もういいから、かな子ストップ!! ちひろさんカメラ一回止めてええ!!」

杏「ぜぇ、ぜぇ、ぜぇ」

かな子「杏ちゃんごめんね! 私なんだか嬉しくなっちゃって、つい」

杏「つい、で人食はマジで勘弁してよね……」

かな子「じんしょ、そんなことはしないよお!」プンスカ

莉嘉「ところでなんで杏ちゃんはナチュラルにきらりんに抱き付かれてるの?」

杏「知らない。なんかもう、なにも考えたくない……」

きらり「……むー」ギュッ

杏「ぐえっ」

かな子(きらりちゃんには悪いことをしちゃったな)アハハ…

凛「みんな、そろそろ準備はいいかな」

卯月「それじゃあ次にいきますよー、王様だーれだッ!」

かな子「あぁ! 王様は私です!」

美嘉「かな子、波に乗ってるじゃん」

みく「ここまできたらもうどんな命令だってオーケーだよにゃっ」

未央「いや、これ以上命令のハードルを上げたら事故じゃ済まないって思うんだけど……」

卯月(ううん、むしろここからが本番だよ、未央ちゃんっ。事故になりそうな命令を事故にせず笑って終わらせるためのスキル、それが私たちが得なくちゃいけないものなんだから!)

蘭子(とてもつもなく熱いオーラを卯月さんから感じますぅ)ビクビク

かな子「そうだなぁ、うーん、そ、それじゃあッ」

凛(さぁ、どう来るか)ギュッ

かな子「8番の人が9番の人の好きなところを言ってください!」

卯月「」

凛「」

みく「お、おぉぅ……」

かな子「え、あ! 私なにか変なことを言っちゃいましたか?!」

未央「いや……、いや、良いよ! そうだよ! アイドルから発する罰ゲームってこういうのだよ! さすがかな子!」

楓「いいですね。命令内容を聞いただけで心が温かくなった気がします」

未央「さっきまでエロ命令を飛ばしてた人がなんか言ってる!」

凛「なんだろう、かな子からたくさんの光が放射されてて、真っ直ぐ見れないんだけれど」

未央「凛はそのまま浄化されてしまえ!」

蘭子「して、8と9の数字を背負いしオラクルを受けた者は?」

美嘉「9番はアタシだよー、いやこれ、少しだけ恥ずかしいかもねー」

莉嘉「8番はアタシだよー、どうしよう、ちょっと恥ずかしいかもー」

美嘉・莉嘉「「え?」」

杏「姉妹二人同時に引くとか、さすがだなお前ら……」

凛「すごい。まるでヤラセ有りのバラエティ番組みたい」

楓「けれどそれを偶然に起こしてしまうのが、二人の“持っているもの”なんだと思う」

卯月(美味しいなぁ羨ましいなぁ……!)ゴゴゴゴゴ

蘭子(卯月さんが怖い……)ビクビク

莉嘉「でもお姉ちゃんが相手なのは簡単で良かったと思うよー」

未央「ほうほう」

莉嘉「まずお姉ちゃんってかっこいいでしょ?」

未央「そうだね。カリスマギャルしてるしね」

莉嘉「そう! それに着なくなった服をくれたりもして、優しいんだよー!」

未央「へぇ、そうなんだ」

美嘉「け、結構恥ずかしいな///」

楓「ふふっ」ホッコリ

きらり「にょわー☆」ホッコリ

莉嘉「それにそれにー、カワイイところもたっくさんあるんだよー! この前、お母さんに料理を習ってたんだけどさー、お姉ちゃんたらこっそり作ったオムレツにケチャップでハートマークなんか描いちゃったりしててー」

美嘉「ちょっ、そのことはみんなには言っちゃダメだって言ったじゃん///」

莉嘉「あっそうだった! ……てへぺろー///」

美嘉「ったくもう///」

みく「にゃはははっ」ホッコリ

かな子「えへへ。莉嘉ちゃんが美嘉ちゃんを好きだって気持ちはこれでもう、十分に伝わったかな?」ホッコリ

杏「もうお腹いっぱいって感じだよね。っつーかこのゲーム、これで終わりにしてもいいんじゃない?」

卯月「え、終わり? 話のオチは??」

未央「卯月はちょっと黙っていようね」

みく「ふむ。そろそろお仕事の時間だし、キリもいい。これで締めちゃうかにゃ?」

きらり「まだ時間があるといえばあるけれど、んー?」

かな子「私はもう満足ですけれど……」

卯月「え、王様ゲームをやっておいてオチが無く終わるんですか? そんな」

未央「平和的に終わらせてもいいじゃん……、なんでそんなにオチを求めるのよ」

凛「……卯月がオチにこだわるのには、悲しい理由があるんだよ」スッ

未央「え?」

卯月「……」ギュッ

凛「みんな、卯月のデビューCDは聞いてるよね」

杏「まぁ、いちおうはね」

蘭子「至極当然。真良き楽曲であった」

未央「蘭子ちゃん、喋り方が中二というよりも武士っぽくなってるよ」

凛「じゃあ、分かってるよね。あのCDの、トークパートの、オチの足りなさが」

みく「ちょっと、凛……」

莉嘉「たしかにー、卯月ちゃんのトークは他のみんなに比べて笑えるところが少なかったよね」

美嘉「莉嘉!」

卯月「美嘉ちゃん、いいの。自分でもそうだって思っているから」

楓「しかし、あのトークは、笑いどころが少なかったとしても、だからこそ卯月ちゃんの誠実で真剣な想いを強く感じることができたと思うわ。後悔するようなものじゃない」

かな子「そうですよ! 私、聞いててすごく胸が熱くなってきましたもん!」

きらり「あの卯月のトーク、すっごく可愛かったよー!」

未央(あれ? この話に私が入ってていいのかな?)

凛「私も、楓さんたちと同じことを卯月に伝えたよ。でも」

凛「卯月が、――いや、私たちが目標としているのは765プロ」

凛「だったら、今の卯月のトークレベルくらいで満足をしちゃいけないんじゃないかな」

凛「足りないものを得るために、努力をしなくちゃいけないんじゃないかな」

未央「凛……」

凛「私じゃない。これが、卯月の意思なんだよ」

凛「だからこそ、今私たちは王様ゲームでスキルを磨いて、ブフッwいるんだよッ」

未央「笑ったよね!? 今ちょっと笑ったよね!??」

凛「や、そのwww やっぱり、その流れで『王様ゲームをしよう!』って言ってきた卯月は面白いなって思ってさwwwバブフwww」

未央「最低だコイツーーー!?!」

卯月「?」キョトン

凛「でもさ、卯月の思いは、本当だよ」

凛「そんな卯月が、まだちょっと納得できていないって言うんだ」

凛「収録の時間までもう残り少ないのは分かってる。でもみんな、最後に一回、付き合ってくれないかな」ペコリ

未央「……ったく」フンッ

楓「ふふっ、そこまで言われたなら、しっかりとオチを付けて締めないといけませんね」クスッ

莉嘉「さっきはアタシ、普通にお姉ちゃんにいつも言ってることを言っただけだもんねー」

美嘉「まったくもう、ラス一だからねー?」

みく「よーっし、こうなったら最後に一発ドギツイ命令をぶっ放すにゃあ!」

かな子「それは流石に……、でも、最後の一回、私も付き合いますよ!」

蘭子「人は夢を描く、そう名付けられた物語……――往こう、アルカディア!」

きらり「うっきゃーーーーーーテンションが上がってきたにいいーーーーーーー☆」

杏「しょうがないなぁ。最後だぞ?」

卯月「みんな……」

凛「ありがとう」ニコリ

凛「それじゃあ、最後! スパッとキメちゃおう!」

「「「「「 イエーーーーイ!!!!!! 」」」」」

卯月「それじゃあいきますよお!」



卯月「王様だーーーれだッッ!!!!」」







卯月「私でしたぁあああああああああ!!!」

「「「「「 Woooooooooooooo!!!!!! 」」」」」

凛「来てる! 卯月の流れが来てるよ!」

卯月「ありがとう! みんな、ありがとう!」

未央「あれ、どうしてだろう、卯月から放たれる命令はけっこう怖いはずなのに存外にわくわくしてる自分がいる」

みく「ここは思いっきりいっちゃおう! 今のみんなのテンションならいけるって!」

きらり「みくちゃん、キャラを忘れてるにい」

蘭子「我焦がれ誘うは焦熱への儀式、租に捧げるは炎帝の抱擁!!」

かな子「どんと来いです!」

卯月「よしっ、それじゃあ、――命令します」スウゥ

「「「「「 ……ッ!! 」」」」」ゴクリ






卯月「1番が王様にキスをされる!!!」


「「「「「 キャアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!! 」」」」」

未央「来たっ! ラストっぽい凄いの来た! え、でもこれってアイドル的にいいの!?」

楓「これは上手だと思う。だって卯月ちゃんは“どこにキスするか”を指定していないんだから」

杏「なるほど、それなら相手によって口付ける場所を変えることができる、つまり相手によって盛り上げ方を変えられるってことか」

莉嘉「で、でもぉ、ほっぺにチューされるのでも十分緊張しちゃうよお!」

美嘉「だからこそ最後にふさわしい、ってことだよね。しかし、キスをする側に自分を置くあたり、卯月の向上心はハンパないねぇ」

卯月「ふ、ふふふ。さて、1番の人はいったい誰ですかー?///」ドキドキ

未央(卯月は、本当に頑張り屋なんだよなぁ)

未央「……ん? 1番は誰なの? ちなみに私は違うよ」

きらり「きらりも違うにい、ざーんねん☆」

未央「もしかして杏?」

杏「疑わないでよ、ほら、私は10番」

みく「みくも1番じゃないのにゃ」

蘭子「我に架せられし数字は――6」

美嘉「アタシも違うけれど……」

莉嘉「アタシもー」

かな子「私は5番でした」

楓「私も違う……」

未央「……と、いうことは?」







凛「………………ゎ、ゎたし……///」ウツムキ



未央「凛だぁああああああああああああああああ!!!!」

「「「「「 Yeaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaah!!!!!! 」」」」」


未央「っていうかなにそのオトメな表情! さっきまでのゲスな顔と全然違うじゃん!?」

凛「や、だって、卯月にキスされるなんて、普通に、その///」ウツムキ

未央「こいつ、攻めてると強いけれど守勢に回ると弱いタイプだ! ちょっ、ちひろさん一回カメラ止めて――、なんでこっちに寄って来るんですか!! 止めろつってんでしょ!!」

美嘉「…………いや、しかし……」

みく「正直、顔を真っ赤にして卯月にキスされる凛は、すごく見てみたいにゃ」ジュルリ

凛「……///」カオマッカ

未央(たしかに、凛、ムカつくくらい可愛いな……!)

卯月「ねぇ、凛ちゃん」スッ

凛「n、なにっ!?」ビクッ

卯月「今日は本当にありがとう。凛ちゃんが手伝ってくれなかったら、みんなで王様ゲームなんてできなかったよ」

未央(そういや、私が卯月にこのゲームに誘われた時に、凛にもかなり説得されたっけ)

未央(……なるほどなぁ)

凛「べ、別にそれくらい、友達として普通だし///」

卯月「そんなことないよ。私のこんな突飛なアイデアにみんなを誘ってくれたのは、すっごく大変なことだよ」

卯月「それに、場がシラケちゃわないように、凛ちゃんはわざと盛り上げ役に徹してくれたよね」

卯月「申し訳ないなって思った。でもそれ以上に、嬉しかった!」

美嘉「ねぇ未央、もしアンタが、自分が楽しむために行ったゲスい行動に想い人が勘違いで感謝をしてきたらどう思う?」

未央「死にたいって思うかな」

未央(……でも)

卯月「凛ちゃん、ありがとう!」ニコッ

凛「礼を言われるようなことはしてないよ……、でも、卯月が喜んでくれたんだったら、その、嬉しいかな」ニコリ

未央(この二人なら、無敵だよなぁ)タハハッ

卯月「それじゃあ凛ちゃん、目を閉じて?」

凛「う、うんッ!///」

莉嘉「来た!!」

かな子(えっ、目を閉じて、ということは、唇に!?)

楓(てっきり卯月ちゃんなら頬にすると思ったけれど)

きらり「にゅ、にょわー///」

凛「と、閉じたけれど?///」

卯月「うん」スッ

未央(卯月、本気で?!)

卯月「これからもよろしくね、凛ちゃんっ」チュッ



凛「……ぁ……、うんっ///」







未央「まぶたに、キスを……」

楓「まぶたへのキスは“憧れ”を意味する……、卯月ちゃんらしい、のかもしれないわね」

未央(憧れ、ねぇ)

未央(ま、765プロのアイドルみたくなろうっていう卯月の意思から始まったゲームのラストには、おあつらえ向きかなっ)タハハッ

未央「……さーてっ、それでは以上をもちまして!」



未央「王様ゲーム、終ーーーーー了ーーーーーー!!!」



「「「「「 お疲れっしたぁああああああ!!!!!! 」」」」」



卯月「みんな、スキルアップになったかな?」

みく「どうだかにゃー、でも楽しかったのは事実だにゃ!」

莉嘉「アタシ、こんなゲームって初めてで超楽しかったよー! みんな、卯月お姉ちゃん、ありがとう!」

かな子「バラエティ番組的な身の振り方を学べた意味でもいい時間だったと思います。卯月ちゃん、ありがとう、お疲れ様!」

美嘉「みんなー! おっつかれーい!!」

きらり「おっつおっつばっちしー!!」

蘭子「闇に飲まれよッ!!」

未央(最初はどうなることかと思ったけれど、終わってみればなかなか良い時間だったじゃん)

未央(このハチャメチャに個性だらけのメンバーと過ごす時間は、なかなかに大変だけれど)

未央(こいつらとなら、いつか765プロのアイドルたちみたいになれるんじゃないかって、思ってしまえる)

未央(そんな、とんでもなく楽しい――)

未央「――私の、仲間!」バッ

杏「あーもー今から仕事とかめんどくさい帰りたいー」トコトコ

楓「そんな悠長なことを言ってられる時間はありませんよっ、今日は生放送なんですから。さぁ行きましょう」バタバタッ

卯月「この勢いを持って、全員揃っての番組収録、頑張っていこう!!」グッ!

「「「「「 おおーーーーーーー!!!!! 」」」」」

凛「あ、未央、後片付けは任せたよ、それじゃね」バタバタバタ

バタンッ

未央「」





未央「」




未央「……え、なんですかちひろさん」

未央「あー、締めの言葉が欲しいと。はぁ」

未央「えっと」

未央「カメラの向こうの皆さん! 事務所で巻き起こったアイドル達の突然の王様ゲーム、楽しんでくれましたか?!」

未央「こんな私たちですけれど、これからもアイドルとしてより一層の精進を重ね、そして団結を深めていきたいと思いますので、どうぞ応援よろしくお願いします!」

未央「それじゃあまたいつの日か! バイバーイ!!」



未央「ってやってられっかぁあああ!!!!!!」バシーン!!




未央(そんなゲームがあった日から、何日も経った後、事務所に一つのオファーが来た)

未央(なんでも、あの王様ゲームの様子を撮影したビデオを見た人が興味を持ってくれたらしい)

未央(ちひろさん、いったい誰にあんなものを見せたっていうのよ……)

美希「みんなー! 準備はオッケーかなー!」

未央「」

千早「それでは、今週も始めましょう」

未央「」

春香「いくよー! せーのっ、生っすかー……!」



「「「「「 サンデーーーーーーー!!!!! 」」」」」



未央「さんでー」

千早「今日はスタジオに素敵なゲストが来てくれています」

美希「紹介しちゃうねッ☆ 右から、島村卯月ちゃん、渋谷凛ちゃん、そして本田未央ちゃんなのー!」

卯月「島村卯月です! よ、よ、よろしくお願いしまむら!!」

凛「卯月、緊張しすぎ。渋谷凛です。よろしくお願いしますっ」

未央「ほんだみおです。よろしくおねがいします」

春香「はいっよろしくねっ。凛ちゃんと卯月ちゃんの歌声を聞いてる人はきっと多いよねぇ、期待のニューカマーだよっ」

美希「ん? ところで未央はどういう子なのかな?」

凛「あぁ、この子は、ツッコミが上手なんです」

未央「お!? ちょ、ちょっと凛!」

千早「なるほど、トークには自信あり、という触れ込みだものね。そういうタイプなのね」フゥ

未央「誰が言ったんですかそんなこと!? いきなりハードルを上げるのやめてくださいよ!」

春香「それじゃあ今日の最初のコーナーは、この三人が持ち込んでくれた企画だよー」



春香「それは、アイドル対抗☆王様ゲーム!!」



未央「ちひろさああああああああん!!!」

千早「!?」ビクッ!

未央「…………ふ、……ふふっ」

春香「ん?」

未央「ふふふふははははははははは」

春香「んんー??」

凛「ツッコミが生き甲斐の子ですから、こういう企画だとスイッチが入るんです」

美希「なるほどなのっ」

春香「へぇ、それは楽しみだね」ニッコリ

未央「いよおおおおおおおっし! もう私は腹をくくりましたからねええ!!」

千早「……プロデューサーは何を狙ってこの人たちを招いたのかしら」ハァ

未央「天海さんっ、如月さんっ、星井さん!」

未央「こうなったらもうヤケです!」

未央「ニュージェネレーションの力! 思い! そのありったけを今日はアナタたちにぶつけますから、覚悟してください!」

千早「……よく分からないけれど、その真剣な思いから逃げることはできないようね」スッ

美希「あはっ、これは今日は盛り上がりそうなの!」ニコッ

春香「ふふっ、……受けて立つよっ」ゴゴゴゴゴゴ

未央「負けません! 面白いのは、――私たちです!!」

卯月「未央ちゃん……」

未央「大丈夫、今こそ憧れを手にしよう!」

凛「ふふっ、この企画に未央を連れてきたのは正解だった、ってことかな」

卯月「かもね、よしっ、がんばろう!」





凛「ところで未央、アンタさっきはあたかも自分も含めてニュージェネレーションだ、みたいなことを言ったけれど、それって違うよね?」

卯月「あ、それ私も思った。凛ちゃんと私はニュージェネレーションとして活動しているけれど、未央ちゃんは違うよね?」

未央「ハイちょっと一回カメラ止めてーーーーーーー!!!!!」



おわり

これにておしまいです。読んで下さったみなさん、ありがとうございました。
本田未央に光をー。

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