バカにクリスマスが訪れる【ガン×ソードss】 (25)

――――惑星、エンドレスイリュージョン。

そこは、野蛮な夢が広がる、はぐれ者たちのパラダイス。

旅を終えた男は、巡り巡って少女と再会を果たし、しばし共に時を過ごした。

時間が流れれば季節も変わる。

彼らに訪れるのは、聖なる夜...


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ヴァン「クリスマスだって?」

ウェンディ「そうよ。あなたどうせ、まだみんなに顔見せてないでしょ?」

ヴァン「あ~...そうだったな」

ウェンディ「だから、顔見せついでにクリスマスパーティでもやろうかなって思って」

ヴァン「おいおい、何を勝手に」

ウェンディ「反論は聞いてないわ。連絡はもう私がとっておいたから」

ヴァン「...お前、そんなに手際よかったか?」

ウェンディ「数年あれば女なんて変わるものよ」

ガチャリ

ウェンディ「あっ、誰か来たみたい」

ジョシュア「久しぶりです、ウェンディさん!ヴァンさん!僕です、ジョシュアです!レイ兄さんの弟でヴァンさんの大親友のジョシュ」

ドス ガゴッ 

ジョシュア「アうっ!」

ウェンディ「ちょっと、ヴァン!いきなりボディーブローからの踵落としは酷過ぎるわ!」

ヴァン「いやぁ、つい」

ジョシュア「あいたたた...懐かしいなぁ、この感覚」

ヴァン「なんでお前がここにいるんだ」

ジョシュア「そりゃあもう、大好きなウェンディさんとヴァンさんにまた会えるなんて聞いたら、僕が来ないわけがないじゃないですか!」

ヴァン「兄貴の方はどうした?」

ジョシュア「兄さんとヴォルケインは去年発見したので、僕たちの故郷に連れてかえりました」

ヴァン「早いな。何年かかるかわからないって言ってなかったか?」

ジョシュア「僕たち、兄弟ですから」


ジョシュア「それにしても、みなさん遅いですねえ」

ヴァン「お前が早すぎんだよ」

ジョシュア「そんな褒めないでくださいよぉ~」

ヴァン「褒めてねえよ」

ウェンディ「まあまあ、さっき連絡したばかりなんだし、もう少しかかると思いますよ」

ジョシュア「それじゃあ、しりとりしましょうよ!僕、兄さんとしりとりをたくさんやっていたから得意なんです!」

ヴァン「やだよ、メンドくせえ」

ジョシュア「じゃあ、ウェンディさんから!『しりとり』の『り』からで!」

ウェンディ「えっ!?えっと...『りゅうし』」

ヴァン「聞けよ」

ジョシュア「『し』ですね!?し、し、し...『ジョシュア・ラングレン』!...あっ」

ヴァン「ブッブー。お前の負け」

ガチャリ

カルメン「はぁーい、お久しぶり」

ジョシュア「あっ、カルメンさん!」

ウェンディ「お久しぶりです」

カルメン「あら、二人共大きくなったわねえ」

ウェンディ「そ、そうですか...?」エヘヘ

カルメン「これなら、もう子供なんて言えな...」

ウェンディ「?」ペッタン

カルメン「...いわけでもなさそうね」ボイン

ウェンディ「うぅ...」

ジョシュア「大丈夫ですよ。胸なんて些細な問題ですから」

カルメン「...ちなみにヴァン。あたしの名前は?」

ヴァン「カルメンだろ?」

カルメン「イエス!ザッツライ♪」

ヴァン「...なんであんなに上機嫌なんだ?」

ウェンディ「自分の胸に聞いてみたら?」


――――――――――――――――――

ラッキー「男は...毎日がテストだ。男は、夢に、欲望に、運に、全てに自分を試される...そこから逃げない男だけが、ラッキーを手にすることが出来る...俺は...どうだ?今日は...どうだ...?」

カチリ

バァン

部下「ら、ラッキー様!!」

ラッキー「...空砲だ。ああ、そうさ。俺のラッキーはあいつに奪われた!この数年間、こんなチンケな賭けにも全敗するほど不様にアンラッキーに変えられた!どうすれば俺のラッキーを取り戻せるか...?決まっている!あのヴァンをギッタギタにしてラッキーを奪い返す!」

ザコタ「そのために俺と手を組んだ...そうだろ?」

ラッキー「そうだ!俺たちで奴を血祭りにあげ、このクリスマスをサンタのジジイのように赤く染め挙げてやる!」

ザコタ「行くぜぇ―――!!」

『ア・ミーゴ!!』

ガシャアアン

ラッキー・ザコタ「たわらばっ!?」

『ちょっと、おじいちゃん!』

『ユキコ、心配するな。悪党とはいえ、殺してはおらん。ちょっと動けなくさせただけだよ』

―――――――――――――


ガチャリ

カルロス「お久しぶりです、カルロスです」

ネロ「おい、カルロス!一番最初に入るのはリーダーの俺の筈だ!」

ホセ「なに?リーダーは俺だろうが!」

ネロ「なんだと!?やるかこのジジイ!」

パリヨ「やめんか、二人共。すまないな、みんな」

ヴァン「あ~あ、どっかで見たようなのがぞろぞろきやがって...」

ネロ「そう照れるな!ホレ、再会祝いの酒だ」

ヴァン「いや、いいです」

ネロ「いいから飲め、ホラ!」

ヴァン「もがっ!?...あぁ」ドサッ

ユキコ「駄目でしょおじいちゃん!」

ウェンディ「...そういえばヴァンって、お酒に弱かったっけ...」

カルメン「ほんと、ちっとも変わらないわねこの男は」

*************************

ガドヴェド「なあ、ヴァンよ。サンタを知っておるか?」

ヴァン「なんだそれ?」

ガドヴェド「やはり知らぬか。サンタとはな、子供に夢を配る赤装束の老人だ。子供が紙に書いた欲しいものを靴下に詰め込んでいってくれるのだ」

ヴァン「ふーん...なら、試しに書いてみるか」

ガドヴェド「貰えるのは子供だけだぞ」

ヴァン「俺は童貞だ」

ガドヴェド「ま、まあ、それなら貰えるかもしれんな」

ヴァン「欲しいもの...やっぱこれだな」

ガドヴェド「どれどれ」

『エレナ』

ガドヴェド「...人は駄目だぞ」

ヴァン「じゃあ、これだ」

『早くダンを乗り回せるようになれますように』

ガドヴェド「行事が違う!」

ヴァン「ケチなヤロウだな、サンタってのも。あっ、だったらコレならどうだ?」


クリスマスの夜

ヴァン「ぐー...」zzz

コソコソ

ガドヴェド(よし、これなら今すぐ起きることもなかろうて。それにしても...)

『エレナと結婚する時のタキシード』

ガドヴェド(...高い出費だったが、私とエレナが密かに選んだコレなら、コイツも喜ぶだろう)

ガドヴェド(靴下にはどうしても入らんからな。この机の上にでも...)

ヴァン「うぅ...小便小便...」

ガドヴェド「!?」

ヴァン「あれっ?なにやってんだガドヴェド。そんな真赤な服着て」

ガドヴェド「こ、こんばんわ。サンタクロースだよ(裏声)」

ヴァン「いや、ガドヴェドだろ。顔とかまんまじゃねえか」

ガドヴェド「やだなぁ。ガドヴェドさんなら、君の後ろにいるじゃないか(裏声)」

ヴァン「は!?」クルッ

ガドヴェド「ふん!」ガンッ

ヴァン「ごふっ!」

ドサッ

ガドヴェド「...堕ちたか」

ガドヴェド(許せ、ヴァンよ...)





ヴァン「ふぁ~、よく寝た。...なんで頭が痛てえんだろ」

ヴァン「まあいいか...ん?これは...」

エレナ「~♪」

ガチャリ

エレナ「おはよう、ヴァン。あら、その恰好...」

ヴァン「おっはよう、エレナ!俺が新郎のヴァンです!」

エレナ「似合ってるわよ、ヴァン」

ヴァン「おう、なんたってサンタさんがくれた、お前との結婚式用のタキシードだからな」

エレナ「だったら、結婚式で着ないとダメじゃない」フフッ

ヴァン「いやあ、すぐにでもお前にコレを見せたくて」

エレナ「そういうところはまだ子供ね」

ヴァン「俺は童貞だ」

エレナ「はいはい」

―――――――――――――――――

ザコタ「大丈夫か!?」

ラッキー「な、なんとかな...ヨロイもまだ動かせる。アンラッキー中のラッキーってところか」

ザコタ「ちくしょう、あのヨロイもあいつの仲間だな!だが、トドメを刺していかなかったのは失敗だったなぁ!さっきの奴らもヴァンもろともブッ倒して」

『ヴァ―――ン!!』

ドゴォォォン

ラッキー・ザコタ「おやくそくっ!!」キラーン

『あれっ、今何かにぶつかったような...まあ、いいか。待っててね、ヴァン!』

**************************


エレナ「...ねえ、ヴァン。いまあなたは幸せ?」

ヴァン「なんだ、いきなり」

エレナ「私を愛してくれるのは嬉しい。でも、私はもういなくて、あなたはまだ生きている」

ヴァン「......」

エレナ「だから、ずっと私を引きずることは...」

ヴァン「悪いな、エレナ。お前の言いたいことはわかるんだが...そいつには応えられそうにない」


ヴァン「確かに、俺はあいつらを気に入っている。でも、俺はお前しか愛さない」

エレナ「......」

ヴァン「苦楽を共にするのが夫婦ってもんだろ?お前を置いて、俺だけがまた、幸せで、幸せで、幸せの絶頂になる気はさらさらないさ」

エレナ「...ほんとバカよね、あなた」

ヴァン「そんな俺をお前は愛してくれた」

エレナ「ふふっ」

ヴァン「はははっ」



エレナ「...じゃあ、そろそろ戻らなくちゃね。クリスマスはまだ終わってないんだから」

ヴァン「そうだな。夢を見るのはここまでだ」

エレナ「いってらっしゃい、ヴァン」

ヴァン「ああ、いってきます」

****************************

ヴァン「う~ん...」

ジョシュア「あっ、やっと目が覚めましたね。ヴァンさんが寝てる間にもう準備終わっちゃいましたよ」

ウェンディ「ほら、しっかりしてヴァン」

ヴァン「あ~...頭がクラクラしてやがる」

ジョシュア「後はプリシラさんだけなんですけど...」

ガチャリ

プリシラ「メリークリスマス!ヴァン、みんな!」

ヴァン「おう...って、なんだお前その恰好は?」

プリシラ「サンタの恰好だよ。ヨアンナが、男の人はこういう恰好をすると悦ぶって言ってたから」

ジョシュア「うわ~、似合ってますよプリシラさん!とっても可愛らしいです!」

ウェンディ「...私だって、もう少し胸があれば...」

カルメン「大丈夫。貧乳サンタっていうのも、中々マニアックで深いものよ」ポン

ウェンディ「カルールさん...」ジーン

カルメン「カルメンね」

プリシラ「それで、ヴァン...その、どうかな?」

ヴァン「あー...いいんじゃねえの?」

プリシラ「///」

ヴァン「...けど、無理してそういう恰好はするなよ。今は寒いんだからな」

ウェンディ(うわー...デリカシーがないのか、気遣いなのか...)

プリシラ「ヴァン...やっぱり優しい...」ポー

ウェンディ(って、本人は満更でもなさそうだし...)

カイジ「レディース&ジェントルメン、エーンドおじいちゃん。今宵は、聖なる夜に集まってくれて心よりサンキューを送るよ」

ヴァン「誰だあいつ」

ウェンディ「そいえばヴァンは知らなかったっけ。海をこよなく愛している男、カイジさんよ」

カイジ「まあ、色々と言いたいことはあるかも知れないけど...挨拶に時間をかけるのは、カイジ的にはナンセンス。そういうわけで、早速いかせてもらうよ。せーの」

一同「メリークリスマス!」

――――――――――――――

カルメン「はぁ~い、みんなちゅうもぉ~く!」

ホセ「おっ、なんだなんだ?」

カルメン「少しお腹も膨れてきたと思うけど、ここでとっておきの登場です!」

ウェンディ「私とユキコさんとカルメンさんで作った巨大ケーキです」

「おお~!」

プリシラ「うわぁ~、凄い大きさ。私の半分くらいある!」

ジョシュア「ケーキに乗っている人形もすごく凝ってますね」

ネロ「ほぉう。エルドラファイブの人形まで作ったのか。やるではないか!」ガハハ

カルメン(こういう日のために苦手だった料理を勉強してきてよかった~。ユキコやウェンディと一緒っていうのはあれだけど、これでヴァンも少しは見直してくれるかしら?)

ウェンディ「はい、ヴァン。好きな分とっていってね」

ヴァン「俺からか?それじゃあ、遠慮なく」ドポドポ

一同「あぁ~っ!!」

ヴァン「ん?あっ...やべっ、つい無意識に調味料を...」

カルメン「あ、あたしたちの苦労の結晶が~!」

カルロス「やってしまったな、ヴァン...」

ヴァン「そ、その...すみません」

ウェンディ「...WAKE UP、カメオ...」ニコッ

カメオ「ピューイ!」

ヴァン「おい、待て!そんなデカイ亀を近づけるな!や、やめ...ア―――――ッ!!!」


―――かつて、男は全てを奪われた。

幸せも、居場所も、大切な人も、なにもかもを失った。

だが、そんな男にも新たに多くの繋がりができた。

男は、妻以外を愛さない。しかし、それでも男はその繋がりを忘れることはないだろう。

愛とは違う形でも、男の居場所であることには変わりないのだから。

一応これで終わりです。
次回はファサリナさんとミハエル兄さんの性なる夜編になります(未定)

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