やよい「ううー…、プロデューサーの顔が怖いです…」(159)

やよい「うっうー!おはようございますー!!」

ゴゴゴゴゴゴゴゴ……

P「……おはよう……」ニヤリ

やよい「ひ、ひい!」


千早「高槻さん……まだ慣れないのね……かわいそうに(そしてかわいい)」

真美「しょうがないよ。だって顔怖いもん」

亜美「顔だけじゃなく、体もでっかいしねー」

雪歩「あ、この間、こんなことが……」

雪歩「車で家に送ってもらったんですけど」


雪歩「あ、ありがとうございますぅ」

P「……遅くなったな……」

雪歩「は、はいい!」

P「……ちょっと御挨拶に……」

雪歩「い、いけません!!」

若い衆1「む、あれはお嬢……と誰だ……?」

若い衆2「ありゃ堅気じゃねえな」

若い衆3「何だと!お嬢を助けるんだ!!」


若い衆3「手前えええええええ!!お嬢から離れやがれ!!!!」

P「……む」

P「……萩原サン……私の後ろに……」

雪歩「……」ドキッ

若い衆3(腰を落とした……!!)

若い衆3「おりゃああああ」ドカッ

確かに、顔面を殴ったはずだった
しかし、若い衆3は、まるで大木を殴ったような感覚に襲われた

若い衆3「い、痛え!!!」


雪歩「や、やめてください~!!」

P「……オイ……どういう了見だ……!」

P「……ウチのアイドルに手を出すとはよ……」

若い衆3「は?い、いや……」

若い衆1「アイドル?」

若い衆2「ってーことは……」

雪歩「この人は、事務所のプロデューサーさんですぅ!」

雪歩「その後も大変だったんですぅ」


雪歩父「何?ウチのモンが、プロデューサーを殴っただとお!!」

雪歩父「この大馬鹿野郎が!!」

雪歩父「さっさとプロデューサーをお通ししろ!粗相すんじゃねーぞ!」

P「……恐縮です……」ゴゴゴゴゴゴゴ……

雪歩父「おお……!!成程成程……!!こりゃすげえな……!!」

雪歩「って、何故か気に入っちゃって……」

雪歩「しきりに、ウチを継がねえか?って……」

千早「そ、それって……」

雪歩「プ、プロデューサーは断ってました!しっかり!」

真美「な、なーんだ……」

亜美「ははは……」

千早(ほっ……)

千早(どうして私、今ほっとしたのかしら……?)

そうそう、昔
千早「……なぜ事務所にヤ○ザが……?」
ってのを書いたんで、これを読むと多少わかりやすいかも知れない

やよい「わ、私、お掃除しますー!!」

P「……手伝おう……」

真美「おおう!どこからともなくエプロンが!」

亜美「765プロ仕様だね!!」

千早「あ、三角巾も」

雪歩「雑巾とほうきとちり取りもいつの間にか!」

やよい「わ、わ、そんな……」

P「……どこからやろうか……?」

P「……」←今日もちょっとやよいと仲良くなれたかも、と思っている

真美「しっかし、やよいっちは慣れないなー」

社長「……それは多分、ご家庭の事情が関係してるんじゃないかな」

亜美「わ、社長!びっくりしたー!」

社長「彼女は、大分苦労しているからね……」

千早「……」

―仕事終わり―

社長「ふむ、遅くなったな。今日はやよい君を家まで送ってくれたまえ」

P「……お安い御用で……」

やよい「ううー……」

P「……サ、行こうか、高槻サン……」

―やよい宅前―

「ふざけんなコラァ!なめてんのかコラァ!」

P「……」

やよい「うう……また『お知り合い』の方々ですー……」

やよい「ぷ、プロデューサーにはご迷惑をおかけするわけには!」

P「……」ナデナデ

やよい「はわっ!」

やよい父「すいません、すいません。本当に今日はこれだけしか……」

取り立て屋1「ああーん?全額今日返すって言ったよなあ?」

取り立て屋2「誠意を見せてくれてもいいんじゃねえかなあ!?ええ?!」

やよい父「せ、誠意と言いますと……?」

取り立て屋1「そこは自分で考えないとなあ!!」

取り立て屋2「そういやあ、中学生の娘が居るそうじゃねえか!?」

やよい父「む、娘だけは何卒……」

取り立て屋2「じゃあどうするんだコラァ!!」

P「……兄サン方……」

取り立て屋2「ああん!!?何だテメ……え……?」

取り立て屋1「あ……あ……」

P「娘を……どうするって……?」ゴゴゴゴゴゴゴ……

取り立て屋1「いえ……どうもしません!!」

取り立て屋2「へへへ……どうも頭に血が上っちゃって……」

P「……とりあえず、今日は帰ンなよ……」

取り立て屋2「そ、そりゃ出来ねえ……」

取り立て屋1「いや、わかりやした。帰りやしょう」

取り立て屋2「そ、そんな……」

取り立て屋1「良いから来やがれ!!」

取り立て屋1「し、失礼しやしたー!!」

やよい父「あ、ありがとうございます!!」

P「……」スッ

やよい父「……これは?」

P「……知り合いの弁護士の連絡先と住所です……」

P「……5000円持って、相談に行って下さい……」

P「……娘サンのためにも……」

やよい「ぷ、プロデューサー!!」

P「……じゃあ、また明日……」

取り立て屋2「い、いいんですかい?」

取り立て屋1「今日で高槻から回収した金はいくらになった?」

取り立て屋2「えーっと、元本くらいは行ってますね」

取り立て屋1「よし……もう、アソコからは手を引くぞ……」

取り立て屋2「ええ?」

取り立て屋1「あの男見たろ!どう見ても本職だ!それもチンピラ崩れとは格が違う!」

取り立て屋1「高槻……相当ヤバい所に手を出しやがったな」

取り立て屋1「もし仕事がかち合うと、俺達東京湾に浮かぶことになるぜ……」

取り立て屋2「なるほど……娘にこだわってましたね……」

取り立て屋1「もう金輪際、アソコと関わるのは止めだ」

P「……」←怖い人たちがいっぱいで怖かったなーと思っている

―後日―

やよい「ううー……」

千早「高槻さん、どうしたの?」

やよい「な、なんでもないですー……」ぱさっ

千早「そ、そう?」

千早「……」チラッ

千早(~中学校、体育祭……)

社長「そうなんだよ」

千早「……」

社長「やよい君のお父さんから連絡があってね……」

社長「あの後、再就職が決まったけれど、単身赴任なさるらしくてね」

社長「その日は他の家族を親戚の所に預けて、お母さんが一緒に準備に行くらしい」

社長「ただ、やよい君は、もう中学生だし、行事もあるので残るそうだ」

社長「しかし、誰も父兄が行かないのは不憫……」

社長「そこで、お世話になったついでに、彼に出席を頼めないかってね」

社長「もう凄かったよ。彼になら娘を任せられるって」

千早「そ、そうですか……」

千早「……ところで、それはいつですか?」

千早「プロデューサー」

P「……む、千早サン……」

千早「社長から、伝言です」

千早「~月~日土曜日、~中学校の体育祭にて、
やよい君の勇姿をばっちりビデオ撮影したまえ!

  あ、それから、当日は如月君と行くこと」

千早「だそうです」

P「……え……?」

千早「じゃ、私、高槻さんに伝えますね!」

P「……」

P「……」←何が何だか分からないと思っている

―当日―

千早「あ、プロデューサー!こっちです、こっち」

P「……おはよう……」

千早「おはようございます」

千早「ふふっ、今日はご苦労様です」

千早「あ、それ、ビデオカメラですね」

千早「良い映像、期待してます!」

やよい「あ、プロデューサー……」

やよい「今日はごめんなさい、私のために……」

P「……」ナデナデ

やよい「ふわ……」

P「……頑張ンなさい、応援してるから……」

やよい「はいっ!!」

千早「それじゃあ、私たちは、場所取りに行きましょうか」

P「……ん……」


……ざわ……ざわ……ざわ……

父兄1「……!!ひいっ!!」

父兄2「ぎゃあ!!」


千早「あ、なんだか空いてますね」

P「……ん、良かった……」

P「……」←円形にぽっかりとスペースが空いててラッキーと思っている

千早「えーっと、プログラムプログラム……」

千早「高槻さんは……」

千早「徒競走が最初の出番ですね」


千早「あ……」

P「?」

千早「どうやら、父兄参加の競技があるみたいです」

P「……」

千早「あ、徒競走、始まりますよ。撮影お願いします」

P「……応……」

千早「高槻さーん!!頑張ってー!!」

千早「あ、プロデューサー、高槻さんが、ほら!」

千早「高槻さん、いつ走るのかしら?」

千早「えーっと、あ、最初に出番ですね」

千早「位置についてって、ドキドキしますね……」

千早「あ、高槻さん、走ってるー!プロデューサー、高槻さん走ってますよ!」

千早「速い速い!高槻さん速い!」

千早「プロデューサー、一着ですよ。高槻さん一着!」

P「……」←最近千早が春香に似てきたなーと思っている

P「……よく頑張った……」ウンウン

『次の種目、父兄生徒混合の綱引きの受付を開始します』


千早「……行ってきてください、プロデューサー」

P「……お安い御用で……」


悪ガキ1「高槻ー!お前んとこ貧乏だから、親なんてこねーだろー」

悪ガキ2「やーい貧乏人ー!!」

やよい「そ、そんなことないもん!」

ゴゴゴゴゴゴゴゴ……

やよい「あ!」

P「高……やよい……受け付けは?」

やよい「あ、こっちですー!」

P「……そちらは……お友達?」ギロッ

悪ガキ1「ひっ」ガクガク

悪ガキ2「」ジョボジョボ

P「……やよいを、よろしく……」ニヤリ



その日、悪ガキ2人は、生まれて初めて、「死」を意識する体験をした

P「……」←やよいのクラスメートには爽やかな印象を与えなくてはと思っている

―綱引き―

先生「いやー、皆さんすいません」

先生「クジの関係で、私たちのクラスは生徒2人分、つまり4人多いチームと対戦することに……」

先生「でも、精一杯、頑張っていきましょう」


P「……」ゴゴゴゴゴゴゴゴ……

父兄「この人、何か殺気が……」

やよい「うっうー!頑張りましょうね!!」

P「……応……」

審判「では、始め!」パンッ

相手「……!!」

相手(ピクリともしない……)


やよい「おーえす、おーえす!」

P「……ぬん……!!」

相手(ひ、引かれる!!)


審判「勝負有!!」

やよい「やったー、勝ちましたよ!!」

P「……」ウンウン


『次の種目、父兄混合、二人三脚の受付を行います』

P「……千早サン……」

千早「プロデューサーの身長だと、高槻さんとは釣りあいませんね……」

千早「では、私が行きます!」

P「……頼む……」

千早「でも、いいのかしら?私が出ちゃって」

千早「……」

千早「あっさり受付出来たわね……」

やよい「あ、千早さん!出てくれるんですかー?」

千早「ええ。頑張りましょうね」ニコッ

やよい「うっうー!やったあ!!」

千早(来てよかったわ……)

P「……」←自分が出ないほうがドキドキするなーと思っている

ざわ……ざわ……ざわ……

父兄「あれ?あの子と一緒にいるってことは……」

父兄「さっきの、綱引きの時の大男の……」

父兄「え?奥さん若くね?」

父兄「つーか、如月千早じゃね?」

父兄「ええええええ?!」

千早「高槻さん、さ、私にぎゅっと掴まって」

やよい「は、はいー!」

千早「行くわよ、せーの」

千早「いちに、いちに」

やよい「いちに、いちに」


P「……」ウンウン

父兄「なんだか涙ぐんでる……」

―お昼ご飯―

やよい「一着でしたー!!」

P「……頑張ったな、偉いぞ……」ナデナデ

やよい「ふわ……」

千早「……」じー

P「……あの?……」

千早「私にも、頑張ったって、言ってくれないんですか?」

P「……千早も、良く頑張った……」

千早「……」じー

P「……」ナデナデ

やよい「はわっ、そうそう!今日は、お弁当作ってきましたー!!」

千早「私と、高槻さんで、早起きして作ったんですよ」

やよい「食べてください!」

P「……痛み入ります……」

P「……それでは、いただきまして……」パクッ

P「……美味い……」

やよい「うっうー!よかったですー」

千早「ええ、良かったわね」



父兄「如月千早ちゃんのサインをもらいたいけど、怖くて近寄れない……」

P「……」←美味い、と思っている

―午後―

千早「うーん、高槻さんは大活躍なんだけれど……」

千早「総合的には、高槻さんの組は2位ですね……」


『それでは、最終種目父兄混合のリレーの受付を行います』


千早「え?最終種目?」

P「……」←父兄生徒混合種目が多過ぎると思っている

千早「プロデューサー……」

P「……任せなさい……」

やよい「あ、出てくれるんですか?」

P「……ああ……」

やよい「私、アンカーにバトンを渡す順番なんです!」

P「……そうか……」

P「……応援してる……し、私も頑張ろう……」

やよい「はいっ!!」

父兄「あの……」

P「……はい……」

父兄「アンカー、やっていただけませんか?」

P「……」

父兄「あなたなら、きっと誰もが納得すると思うんです」

P「……お安い、御用で……」

千早「高槻さん、頑張って……」

千早「あ、高槻さんの組、バトン落とした……」

千早「ああ、みるみる最下位に……」

千早「逆転の決め手に欠けるわね……」

千早「あ、次、高槻さん!」

千早「高槻さーん、頑張って―!!」

千早「あ、高槻さん、やっぱり早い!!」

千早「一人抜き、二人抜き……」

千早「二位まで上がったわ!!」

やよい「……ハア……ハア……」

やよい(あ!!)

P「……」

やよい(プロデューサーがアンカーなんだ!!)

やよい(よーし、らすとすぱーと!)

やよい「プロデューサー、お願いします!!」

P「……応……」

この時点でPの前を走っていたランナー、後に述懐す

始めは、スローだと思った

あ、大したことないな、と

でも、それが彼の巨躯故の印象に過ぎなかったと気づいた時には

既に彼は、僕のすぐ後ろまで迫っていた

強大な威圧感と共に!!

ランナー「ひいいいいい」

P「……」


さらに述懐す

それは、ターミネーターの走りに似ていた


P「……」

ランナー「ひいいいいいいいい!!」

審判「ゴールです」

ランナー「……へ……?」

ランナー「俺?勝ったの?」

P「……スンマセン……」

やよい「すごいですー!プロデューサー、とっても速かったですよ!!」

千早「そうです。凄いです、プロデューサー」

やよい「えっへへー、プロデューサー、しゃがんでください!」

P「……」

やよい「よく頑張りましたー」ナデナデ

P「……恐縮です……」

―終了後―


千早「プロデューサー、私の家で、夕飯、ご一緒しませんか?」

やよい「プロデューサー、お願いします!」

P「……」

P「……痛み入ります……」


終わり

番外編1

伊織「……なんですって……」

千早「あの、高槻さんの体育祭に出て……」

伊織「何ですってー!!!」

伊織「私も呼びなさいよ!!」

P「……仕事が……」

伊織「ふん、そんな仕事、やよいの体育祭に比べたら……」

律子「……私が取ってきた仕事が何だって?」

伊織「あ……律子……これは言葉の綾で……」

伊織「さよなら!!」

律子「こらー!!」


千早「あ、社長。これ、例のものです」

社長「あ、ありがとう」

P「……」←まだやよいのお父さんという歳じゃないのにスルーされて凹んでいる

番外編2 やよいの家に行ったとき


長介「すげえ……」

長介少年の目には、プロデューサーは、悪人を追い払うヒーローに見えた

彼は密かに誓う。あのような大人になろうと


本当に終わり

スカーフェイスと哭きの竜を読んでうずうずしたので書いてみた

が、書き終わって、どうしてこうなったとも思ったけれど、
書いてるときはすげー楽しかった

読んでくれた人、どうもありがとう

あ、あと千早、実況させちゃって便利に使っちゃってゴメン

ヤリザって誰なのかひとしきりググってしまった

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