奉太郎「神山市で殺人事件……?」(119)

二日目

>>1
代理ありがとうございます。
二日連続ですが、投下させてもらいます

一日目これか?

奉太郎「神山市で殺人事件?」

昨日の投下分はこちらで見れるようです。


最初の部分は比較的少ないので、最初から投下します。

現在の進行度

☆→→A ?


→→B ?


→→C→badend No1

>>3
そうです。
ありがとうございます

奉太郎「神山市で殺人事件?」

里志「そ、ここら辺では知らない人は居ないと思っていたけど……」

里志「省エネ主義の奉太郎は知らなくて当然だったかもね」

確かに、ニュース等はほぼ見ていない。

だが、朝の新聞くらいには眼を通している。

単純に見逃していたのか……

摩耶花「それにしても限度って物があるでしょ」

摩耶花「毎日テレビでもやってるって言うのに」

摩耶花「ましてや殺人事件よ? 身の回りの情報を集めるくらいにはエネルギー使いなさいよ」

伊原が呆れた様な顔をしてこちらを見る。

奉太郎「しかしだな……いきなりそんな話をされても現実味が無いと言うか」

奉太郎「第一、もう犯人の目星は警察も付いているんじゃ無いのか?」

える「それが犯人に繋がる証拠はゼロなんです!」

と、扉を開け勢いよく入ってきたのは古典部部長のお嬢様。

える「警察も犯人の影すら掴めていないようです……」

里志「そうそう、僕のデータベースから引き出した情報によるとね」

里志「被害者の数は5人、全員が刃物によって殺されたみたいだね」

里志「そして被害者は全員女性、件数は5件……つまりどの事件も別の犯行って事だよ」

里志「更に付け加えるとね、被害者は全員高校生なんだ。 神山市内のね」

摩耶花「それって、テレビではやってない情報も入ってるけど……一体どこから仕入れたのよ?」

なんと、まさか一般に公開されてない情報まで持っているとは……

犯人はこいつなんじゃないか?と失礼な事を思いながら口を開く。

奉太郎「お前は一体どこからそんな情報を……」

里志「データーベースを侮ってもらっちゃ困るよ」

自分が容疑者になっているとも知らずに、満足気な顔をこちらに向ける。

そして、何か嫌な視線を感じる。

える「折木さん!」

奉太郎(まずい……千反田が……)

える「私、どうしてそんな酷い事をする人が居るのか……どうして被害者の方が女性ばかりなのか……どうして高校生なのか……」

える「気になります!」

全くどうしたものか……

いくら千反田の頼みだからと言って、今回は少し荷が重過ぎる

第一に、これは刑事等がすることであって俺が考える事ではない

仮に俺が考えたとしても、何も変わりはしない……恐らく

一体どうしたものか……

A 考える

B 考えない

C 私、気になりませんと言って部屋を飛び出す

>>?

奉太郎(……)

奉太郎(私、気になりません? なんだこれは……)

奉太郎(でも少し興味があるな……)

奉太郎(いやいや、落ち着け)

奉太郎(ありえないだろうこれは……)

奉太郎(例えば、これを言ったとしてどれほどのエネルギーを使うのやら)

奉太郎(こんな答えがあったものか!)

A 考える
B 考えない

>>15

A 考える

奉太郎「仕方ない……考えてみるか」

こうなってしまったら、考えるしかない。

この状態の千反田から逃れるのは、結果的に無駄なエネルギーを消費してしまう。

える「お願いします!」

人の気も知らず、眼をキラキラと輝かせている。

全く……

しばし間を置き、口を開く。

奉太郎「と言っても、俺はまだ何もしらん。 事件の内容や経過を教えてくれ」

里志の方に視線を向けると、待っていましたといわんばかりに答え始めた。

里志「僕の出番だね」

里志「まず、最初の事件が起きたのは今から一週間前」

里志「今日は月曜日だから、先週の月曜日だね」

摩耶花「ちょ、ちょっと待って!」

摩耶花「被害者は5人なんでしょ? ってことは一週間で5人も殺されたってこと……?」

一週間で5人も……随分と暇な奴がいたものだ。

里志「そうだね、更に言うと」

里志「事件は月曜から金曜まで、5日連続で起きているんだ」

奉太郎「5日も連続で……?」

考えられん、5日も連続で動いたらぶっ倒れてしまうだろう。

もしそれが俺だとしたら……だが。

里志「土日は犯人も休みたかったのか、満足したのかは分からないけど事件は起きなかったみたいだけどね」

奉太郎「土日は起きなかった……」

俺は小さく息を吐くと、続けた。

奉太郎「里志、事件が起きた時間は?」

と聞くと、唐突に横から声がかかる。

える「私が答えます! 事件が起きた時間……犯行時刻は午後13時前後です」

える「多少の前後はありますが、全ての事件は午後13時頃に行われているんです!」

里志に聞いた筈だが……どうやら千反田も会話に入りたいらしい。

里志「そうなんだよ、そして」

里志「死体……被害者の服には1つのメモが挟んであった」

奉太郎「ま、待て」

奉太郎「それは明確な証拠って奴じゃないのか?」

そうだ、メモを残しているなら筆跡やら何やらで何か犯人に繋がる物が出てくる筈だ。

だが、里志はチッチッと指を振ると口を開いた。

里志「残念ながら、手書きのメモでは無かったんだよ。犯人もそこまで馬鹿じゃない」

里志「指紋も勿論残っていなかった」

それを聞いた千反田が、少々驚いたように里志に問いかける。

える「それは初耳ですね……そのメモにはなんて書いてあったんですか?」

里志「そのメモにはね、こう書いてあったんだ」


【生贄は6人目にして達せられる】

摩耶花「それってつまり……後一人を殺すって事……?」

普通に解釈すれば、そうだろう。

むしろ、それ以外に読み取り方があるのかは謎だが。

里志「そう読み取れるね、何故こんなメモを残したのか分からないけど」

里志「それと、ね」

里志「今日は犯行が行われなかったんだよ」

断言してきたな……何か理由があるのかもしれない。

奉太郎「何故、そう言える?」

里志「ニュースだよ、先週の水曜日辺りから報道されたんだけどね」

里志「事件が発覚してからはすぐにニュースが配信されているんだ」

確かにごもっとも、ニュースでやっていないということは……まだ事件は起きていないのだろう。

だけど……待てよ。

まだ他にも可能性は……ある。

しかしこれは後回しにしよう。

奉太郎「なるほどな……」

える「酷い事件です……折木さん、どう思いますか?」

奉太郎「うーむ……」

奉太郎「まず言える事が1つ」

奉太郎「加害者は学生ではない」

と言うと、里志が眉をひそめ聞いてきた。

里志「どうしてそう思うんだい?」

奉太郎「犯行時刻だ」

奉太郎「13時前後と言ったら授業中だぞ。 そんな時間に5日も連続で学校を休む、又は抜け出している奴が居たら怪しいだろ」

里志の表情には変化が無かった。 そして数秒間を置き、ニヤリと笑う。

里志「確かに、でもね奉太郎」

里志「その推理には穴があるんだ」

俗に言う、これがドヤ顔というものなのか、確かにこれはイラッとくる。

奉太郎「なんだ、穴っていうのは」

里志「忘れたの? 被害者も全員学生なんだよ」

奉太郎「ああ、そうだな」

俺の言葉を聞き、すかさず伊原が突っ込みを入れてきた。

摩耶花「そうだなって……折木、真面目に考えてる……?」

奉太郎「失礼な、大真面目だぞ」

える「なんとなく……ですが、分かった気がします!」

奉太郎(おお、これは意外な所から声があがったな)

える「折木さんが言ってるのはつまり……学力テストですね?」

そう、さすがの記憶力と言った所か。

里志「そうか……! 区毎に先週は午前授業の日があったんだ!」

里志「それも、一日だけ……」

里志「なるほど、納得だよ」

奉太郎「そういう事だ、加害者が学生の場合、犯行を行えるのが1日だけ」

奉太郎「しかし学生じゃない場合、学力テストによって午前中に学校が終わった所を狙えた訳だ」

奉太郎「そして、今日犯行が行われなかったのは……」

奉太郎「何かしら犯人にとって不測の事態が起き、犯行が行えなかった」

奉太郎「または……死体がまだ見つかっていない、とも考えられる」

里志「なるほどね……」

と、ここで伊原が口を挟む。

摩耶花「ちょ、ちょっと折木、もうやめない……?」

どうやら少し怖くなってきたらしい。

怯えた伊原を見るのも、中々趣があるな。等と聞かれたら間違いなく殴られる様な事を考える。

しかし……確かに、少々深く入りすぎたかもしれない。

と思い話をやめようかと思ったが、横から声が掛かった。

える「それで……どうなったんですか!?」

千反田もいつもとは違い、表情は若干だが曇っていた。

一息、溜息をつくと話を再開する。

奉太郎「他にもパターンはある」

奉太郎「例えば……」

奉太郎「まず、今日行われるというのが間違いだったかもしれない」

里志「と、言うと?」

奉太郎「既に起こっていた、ということだ」


奉太郎「先週の土曜日、この日に犯行が起きていた」

奉太郎「そしてまだ、死体は見つかっていないんだ」

里志「なるほどね……でも何故、6人目だけ死体がまだ見つかっていないんだい?」

奉太郎「恐らく、メモが関係している」

奉太郎「6人目にして達せられる、というのは6人目には何かしらある筈だ。 達成されているんだからな」

奉太郎「今回は6人目は絶対に見つからない様に、殺害する必要があった……とも考えられる」

ここら辺は、既に勘の領域に入っているが……

だが、これが俺の導き出せる最大の内容でもあった。

える「さすがです、折木さん!」

まだそうと決まった訳でもないのに、随分とせっかちな奴だな……

える「それとなんですが……何故こんなことをするのでしょうか?」

何故……?

俺は少しだけ考え、すぐに考えるのをやめた。

奉太郎「それは分からん……殺人鬼の気持ち等、分かりたくも無い」

える「すっ、すいません! そんなつもりじゃ無かったんです!」

える「すいません……」

千反田は俺の手を握り、若干涙目になりながら訴えてきた。

奉太郎(そんなに謝られると、逆に申し訳なくなってくるな)

奉太郎「ただ、犯人は快楽的な思考を持って殺人をしているようだ」

摩耶花「快楽的って……そんな……」

奉太郎「わざわざメモまで残しているんだ、そう考えるのが妥当と言うだけの話」

奉太郎「それに、6人殺したからといって何かが起きるわけでもないだろう?」

里志「うん、確かにその通りだね。 精神が病んでいるって事も考えられるけど」

里志の発言に、「そうだな」と答え、次いで千反田が悲しげな顔をし、言った。

える「酷い、お話ですね……」

すいません、お腹痛いのでちょっとだけ席外します。
5分ほどで戻ります、ごめんなさい

戻りました、保守ありがとうございます。




一瞬、室内を包んだのは沈黙。

この推理を出したのは、正解だったのか不正解だったのか……

若干重苦しい空気が広がる。

キーンコーンカーンコーン

そんな空気を壊すように、最終下校時間を告げるチャイムが鳴り響いた。

里志「おっと、もう下校時間になったみたいだね」

摩耶花「ふ、ふくちゃん」

摩耶花「今日、一緒に帰らない? ちょっと怖くて……」

奉太郎(こいつでも怖がる事とかあるんだなぁ)

里志「うん、僕は構わないよ」

さすがは里志、無駄なエネルギーをよく使う奴だ。

奉太郎「大丈夫じゃないか?」

奉太郎「犯人は女性しか狙わないらしいぞ」

自分でもびっくりするくらいに、自然と口から冗談が出ていた。

伊原は少し呆気にとられ、次に眼を細めると今にも飛び掛ってきそうな勢いで怒鳴る。

摩耶花「……おーれーきー!」

摩耶花「6人目の生贄になりたいなら、いつでも言いに来なさいよ?」

そういう伊原から発せられる威圧感は、圧倒的な物があった。

奉太郎「す、すまん ただの冗談だ」

伊原は「ふんっ」と顔を背け、それ以降は口を開こうとしなくなった。

奉太郎(柄にも無く冗談は言うものではないな……)

ほんの少しだが、空気は軽くなった気がする。

あの重苦しい空気は正直居心地が悪かったので、たまには冗談を言うのも悪くないかもしれない。

里志は苦笑いしながら俺と千反田の方を見ると、手を挙げ、言った。

里志「じゃあ僕たちはお先に失礼するよ」

奉太郎「気をつけてな~」

手をぶらぶらと振りながら、友人に別れの挨拶を送る。

える「折木さん、私たちはどうしましょうか?」

奉太郎(どうするって……)

確かに、千反田を一人で帰すのは……まずいのかもしれない。

だがこれは俺の省エネ主義に反する事で……

ううむ、どうしたものか。


A 一緒に帰る

B 別々に帰る

>>55

これは自分が加速しなければ・・!
ksk

A

A 一緒に帰る

奉太郎「……そうだな、念のため一緒に帰るか」

さすがの省エネ主義といっても、状況が状況だ。

この状況で一人で帰ってもらった、といったら後で伊原になんと言われるか分かった物じゃない。

奉太郎「家まで送って行こう」

える「折木さん、ありがとうございます! お言葉に甘えさせて頂きますね」

える「折木さんと一緒に下校……なんだか新鮮ですね!」

奉太郎「……ん」

奉太郎(顔が近い……)

~帰り道~ 里志/摩耶花


里志「にしてもさ」

里志「奉太郎も、随分と鈍感な奴だよね」

摩耶花「ほんとよ!」

摩耶花「ちーちゃんがあれだけアピールしているって言うのに……」

摩耶花「あー! 煩わしい!!」

相変わらず、摩耶花は奉太郎には敵意剥き出しの様だ。

ちょっとはなだめる僕の事も考えてほしい物だよ、全く!

里志「まあまあ、落ち着いて摩耶花」

里志「奉太郎の態度を見る限り、相思相愛って感じじゃない?」

摩耶花「確かに……でもなんで折木みたいな奴にちーちゃんが……」

里志「そうかい? 僕はお似合いだと思うけどね」

里志「奉太郎も、ああ見えていい所もあるんだよ」

奉太郎のいい所……だらしない、すぐに湯当たりする、めんどくさがり。

あれ? これって全部悪いことじゃないか!

いい所、いい所、あ! 寝癖がすごいとかどうだろう?

摩耶花「そんなもんかしらねぇ……」

里志「そんなもんさ、誰にでもいい所はあるってよく言うだろ?」

摩耶花「でもやっぱり納得いかない! くっつくなら早くくっつけばいいのよ!」

里志「あはは、それは僕たちにも言える事だね」

あえて地雷を踏む、そうやって僕は生きていくのさ!

摩耶花「それは、ふくちゃんがいつも誤魔化すからでしょ!」

里志「うんうん、元気が出たみたいでよかったよ」

摩耶花「またそうやって……」

摩耶花「でも、今度の日曜日は逃げたら許さないわよ!」

誰も午後13時にはツッコまないのか

>>62
脳内補完お願いします(囁き声)



里志「わ、分かってるって」

ま、まずい事を思い出させちゃったみたいだ。

地雷を踏むのにも慎重にしないとなぁ……

摩耶花「映画、楽しみにしてるんだからね……」

里志「悪かったって、今度は必ず行くよ」

摩耶花「うん……あ、そろそろ家が近いから-----

摩耶花の後ろの草陰が、少し動いた気がした。

次の瞬間それは……物陰から飛び出してきた。

あれは……!

里志「摩耶花っ! 危ない!」

~帰り道~ 奉太郎/える


える「折木さん、今日はありがとうございます」

千反田が改まって頭を下げる。

奉太郎「いや、別に……流石に一人で帰すわけにはいかんだろう」

える「ふふ、ありがとうございます!」

何をそんな嬉しそうに……やはりこいつはよくわからん。

等と考えていたら、千反田が口を開いた。

える「と、突然なのですが……」

奉太郎「ん? どうした」

える「……折木さんには、想い人などはいないのですか?」

奉太郎(本当に突然だな……)

奉太郎(しかも実に答え辛い)

奉太郎「うーん……」

奉太郎「残念ながら、今まで彼女ができたことすらないからな……」

奉太郎「人を好きになるって事も、よく分からん」

奉太郎「省エネ主義に反するしな」

うむ、答えは間違っていない。

我ながら見事な回答だ。

える「そう……ですか……」

える「折木さん、らしいですね!」

奉太郎「でも」

奉太郎「もし彼女が出来たとしたら、省エネ主義も考え直す必要があるかもなぁ」

える「? というのは?」

奉太郎「自分に好意を寄せてくれる人間を、省エネしているので無理です。とは断れないだろ」

奉太郎「そんな冷たい人間では無い」

ナイス模範解答、意外とできるじゃないか、俺。

える「そう……ですか!」

える「これは例えば、ですけど」

える「どの様な方でしたら、いいんですか?」

奉太郎「例えば……か」

次に出てきた言葉は、自分でも驚いた。

本当に自然に、その名前が出てしまっていた。

例えるなら、名前を呼ばれて、返事を返すような……そんな感じだ。

奉太郎「……千反田……とか?」

える「……え?」

千反田が大きい眼を更に見開いて、眼を丸くしてこっちを見てくる。

瞬間、俺は自分が何を言ったか理解し妙に恥ずかしくなった。

まあそれもそうだろう……言った相手が、本人なのだから。

奉太郎「あ、いや、すまんなんでもない」

慌てて濁すも、時既に遅し。

える「お、おおお折木さん、そ、それって……」

奉太郎「な、なんでもない! 忘れてくれ……」

いかん、話を摩り替えなければ。

奉太郎「それより! 千反田は好きな人とかいるのか?」

無理矢理、話を千反田に持っていく。

こうでもしないと無駄なエネルギーを使いそうでたまったもんじゃない。

と言う事にしておこう。

える「わ、私の好きな人ですか……」

奉太郎「言ってみただけだ、居ないなら居ないでいい」

える「私にだって好きな人はいます!!」

奉太郎(これは意外だな……てっきり恋愛には無縁の奴かと思っていた)

奉太郎(ああ、それは俺の方だけか)

奉太郎「そうなのか、名前は?」

等と本日二度目の冗談を吐く。

意外と楽しいかもな、これ。

える「い、言えませんよ!」

千反田は顔を真っ赤にして、手を顔の前でぱたぱたと振りながら答えた。

奉太郎「冗談だ、そこまで失礼な奴ではないぞ。 俺は」

える「折木さん酷いです……本人の前で言える訳ないじゃないですか……」

そうそう、本人の前で。

奉太郎「……え?」

自分でも、どこから声が出たのか分からない程に、変な声だったと思う。

それほど俺は驚いたのだ。

える「へ? どうかしました?」

俺の聞き間違いか? それとも千反田は自分がなんて言ったか分かっていないのか?

奉太郎「いや……本人の目の前でって……え?」

える「……」

少し、首を傾げ、考え込む様な顔をした。

そして数秒後。

える「な、なんでもないです!!」

更に顔を赤くし、千反田は顔を覆ってしまった。

える「気にしないで……ください」

いつもの気になります! はどこへ行ったのか……零れる様に千反田は言った。

奉太郎「そ、そうか」

気まずい空気は苦手だし、効率も悪い。

どうにか話題を変えないと……

奉太郎「にしても、この神山で殺人事件とは」

奉太郎「物騒になったものだ」

える「そう……ですね……」

千反田も察したのか、話を合わせてくれる

える「女性ばかり、しかも学生ばかり狙われるなんて……」

える「やっぱり、ちょっと怖いですよね」

確かに、怖くない訳がない。

ましてや千反田は学生だし、女だ。

俺も勿論、多少は怖かったりするのだが、千反田のそれとは比べるのも億劫になる。

奉太郎「まあ、昼に犯行が行われているみたいだし大丈夫だろう」

このくらいしか、千反田を元気付ける言葉が思い浮かばなかった。

える「そうですね! 後ろ向きではいけません!」

える「あ、お家が見えてきましたね」

奉太郎(まだ大分距離があるというのに……ここからでもはっきりと見えるな)

える「あれ? 前から何か来ますね」

奉太郎「あれは……救急車か?」

える「何か……あったんですかね?」




奉太郎(まさかな……)

奉太郎(あっちは伊原の家の方角か? なんか嫌な予感がするな……)

奉太郎(さて、どうしたものか……)




A 救急車を追いかけてみる
B 無視する、私、気になりません!

>>90

加速致します

A

A 救急車を追い掛けてみる

このままあれを無視しても、嫌な予感は収まりそうにない。

俺は幸い、今日は自転車で来ていた。

やはり、運はあるのかもしれない。

奉太郎「千反田、すまないが先に帰っていてくれないか」

える「折木さん、行くつもりですか? 私も行きます!」

奉太郎「ダメだ、救急車って事は何かあったんだろう。 しかもあっちは伊原の家の方角だ」

だが千反田は食い下がらない。

える「ダメです! 私も心配なんです!」

奉太郎「お前が心配なんだ!」

柄にも無く、大きな声で言ってしまった。

千反田はビクッと体を震わせると、俯きながら言った。

える「す、すいません! そうですよね……」

える「分かりました。 私は家に帰っているので、気をつけてくださいね。 折木さん」

奉太郎「すまん……後で必ず電話する、先に帰っていてくれ」

良かった、千反田は納得した様子だった……しぶしぶだが。

千反田と軽い挨拶を交わすと、自転車に乗り、救急車の向かった方角へ行く。

向かったと言っても、どこまでいくのかは分かった物ではない。

えるとほうたるは携帯持ってないよな

>>93
言葉足らずです。家に帰ったら、ということですね。
もし携帯を持っていたら、千反田と別れる前に電話していたと思います。


しかし、内心焦っていたのだろう。

意外にもすぐに、そこに着いた。

具体的に言うと、伊原の家から100m程の所だろうか、人だかりが出来ていたのでそこへ向かう。

嫌な予感は、未だに拭えない。

ここら辺にしては、結構な数の人が集まっていた。

それは、悪い予感をさらに強くするものでもあった。

人だかりの中央には、血。

そして、里志と摩耶花が居た。

瞬時に何が起きたのか理解できるほど、俺の頭は優れていない。

だが状況から察するに、二人の身に何かが起きたのは確かだった。

近づくと、状態は軽く見ただけだが判断できた。

そこまで重傷……意識を失ったりはしていない様だ。

奉太郎「里志! 伊原!」

二人とも俺に気付いたようだ。

摩耶花「折木……! あんたどうして!?」

奉太郎「帰り道の途中で救急車がこっちに来るのをみたんだ、怪我は……大丈夫か?」

摩耶花「わ、私は大丈夫だけど……ふくちゃんが……」

伊原の表情から、必死に涙を堪えているのを理解する。

奉太郎「里志が!?」

まさか、本当にこんな身近に、犯罪があるなんて事は思いもしなかった。

少し気をつけよう、くらいの認識であった。

少なくとも、千反田と別れる前までは。

里志「いてて……おおげさだなぁ、摩耶花は」

と苦笑いしながら、里志が喋る。

里志「刺されたって言っても、掠った程度だよ」

奉太郎「そ、そうか……」

だがそれでも、かなりの出血があるのは明らかだった。

里志「それより奉太郎、千反田さんは?」

一緒に来てなかったのか? とでも言うように、里志は言う。

奉太郎「ああ、あいつなら家の近くまで送って行って、俺は途中でこっちに向かったんだ」

すると里志は顔を歪ませ、声を荒げる。

里志「ということは、千反田さんが家に入るのを奉太郎は見ていないんだね!?」

何を突然、と思った。

だが次の言葉を聞いて、胸の中を嫌なざわめきが駆け巡る。

里志「あいつ……千反田さんを狙っているんだ!」

千反田を……?何故?

里志「最初は摩耶花を刺そうとしていた……だけど僕が飛び出して……」

里志「その後、あいつは言っていた……! お前は違うな、千反田はどこだ。 って……!」

里志の言っている事が、うまく解釈できなかった。

奉太郎「なんで、なんで千反田なんだ!?」

里志「それを聞いたら、あいつは笑っていた……その後、摩耶花が叫び声をあげて、逃げていったんだけどね……」

何故だ? 何故千反田を……?

あいつとは恐らく連続殺人犯だ、恐らくではない、ここまできたらほぼ確定だろう。

そして6人目の生贄……達せられる。

あいつは何か目的を持っていた……?

俺には到底理解できない目的……?

そこまで考え、俺は乗ってきた自転車に再び跨っていた。

急いで、向かわなければ。

来るときよりも速度を上げ、先ほど別れた場所まで自転車を漕ぐ。

戻るときは、何倍もの時間を感じられた。

もしかすると……ここら辺で名のある奴を狙っていた……?

だとすると何故、里志と間違えた……?

校門を出るときに、既に狙っていた……?

いくら考えても、今回は答えをだせそうになかった。

やがて、先ほどまで居た所に戻ってきた。

俺の視界に入ったのは、一人の少女。

既にこの時点で、おかしいことに気づいていたんだ。

だって、さっき別れた時からもう三十分は経っているんだ。

制服を着て、黒の長い髪。

そいつは地面に倒れていて。

血の池に身体を沈めていた。

これ追っては行けなかったパターンか。
選択肢難しいなおい。

後の事はほとんど覚えていない。

どうやら俺が救急車を呼び、千反田を助けてくれと言ったらしいが、記憶には無かった。

気が付いた時にはベッドの上で。

今まで見たことの無い暗い顔をした里志から千反田が



死んだ事を告げられた。
あっさりと

、人は死ぬものだ。

葬式には


いってやれなかった。

どんな顔をすればいいのか


が、俺には分からなかった。

だけど俺


は退院し、今日から学
校にもまた通い始めた。

しか

し、千反
田が居ない古典部は、何色で

もなかった。

今はこうして、千反田

の墓の前にいる。

奉太郎「千反田、すまんな……」

奉太郎「だけど……心配するな」

奉太郎「今度はそっちで、いっぱい……沢山、お前の気になる事を」

奉太郎「一緒に考えてやるよ」

奉太郎「もうちょっとの辛抱だけど、すぐに行く」

奉太郎「もう少しだけ、待っててくれ」

奉太郎「じゃあ、また後で」



badend No3 .....

continue?

→yes

no

now loading...

以上で終わりです。

続けて投下と行きたいのですが、朝早くから仕事があるので申し訳ありません……

代理さん、支援してくれた方、安価協力してくれた方ありがとうございます。

次はまた明日の夜、もしかすると日曜日になるかもしれません。
長い時間付き合って頂きありがとうございました。

>>101
正直に言いますと、難易度はかなり低いと思います。
ルートを全て潰せばいいだけですので……
ちゃんとHappyEndも用意してありますが、一発で到達しようとしたらかなり厳しいかと思います。

明確な選択肢によって、「こうなる」というのもありません。
一般的に見たら最後の選択肢はAで間違えでは無いと思います。

ですが、かと言ってBを選んでも……

あまり話すとネタバレにも繋がってしまいますので、ここら辺で失礼させて頂きます。

乙ありがとうございました。

これはお願いなのですが、バッドエンドになっても、いろいろな選択肢を選んで頂き、物語を楽しんで頂ければ幸いです。

それではおやすみなさい。

このSSまとめへのコメント

このSSまとめにはまだコメントがありません

名前:
コメント:


未完結のSSにコメントをする時は、まだSSの更新がある可能性を考慮してコメントしてください

ScrollBottom