アルミン『僕らとサムエル氏の49日間』(60)

まずはサムエル氏について紹介したいと思う

彼の名前はサムス・エルマー。どこか遠い場所から来たらしい。
皆からはサムエルと呼ばれている。

サムエル氏は動じない…

 サシャ「あ、サムエル!パン貰いますね!」ヒョイ

 サムエル「…」

こんな事が3日も続いたが、サムエル氏は何も言わなかった。

最終的には、怖くなったサシャが泣きながら謝った。

ミリウスは「俺なら、これをネタに乳ぐらいは揉ませて貰うのに」と言っていた。

僕ならフェラまで粘りたい。

サムエル氏は気にしない…

 人と話すときに、『相手の目ではなく乳や尻を見る男』
 …というレッテルを貼られても気にしない。

そして、それを広めたのが、優等生、アルミン・アルレルト(僕)だと言う事まで分かっていても気にしない。

サムエル氏は気にしている…

 脱衣所でパンツを脱いだ後、彼は剥く動作を入れる。
 周りは男ばかり、皆が彼が包茎である事実を知っているのに…だ。

サムエル氏は気にしている…

 ミーナ「それじゃあ、明日までにトーマスに渡しておいてね」

 サムエル「…」ジーッ

女子と話す時、その女子の胸の大きさや尻の形を気にしている。
顔なんて二の次、三の次だと言わんばかりに凝視している。

 ミーナ「ちょっと///サムエル!!」

 サムエル「…」ジーッ

彼はムッツリだ。そして正直だ。バレる事を恐れない。

 ミーナ「あ、トーマス。例の件だけど…サムエルから受け取った?」

 トーマス「え?何の事?」

そして、そもそも最初から話など聞いてはいない。

サムエル氏は語らない…

 コニー「なぁ?サムエルはどっちの方角から来たんだ?」

 サムエル「…」スッ

 コニー「おぉ、あっちの方角か」

サムエル氏は自分の過去を語らない。

 サムエル「…鶏がいる」

そして勿論、人の話など聞いていない。

サムエル氏は答えない…

 座学教官「この問題が分かる人」

 サムエル「…」スッ

 座学教官「じゃあ、そこの君…えっと、サムエル」

 サムエル「…」

サムエル氏は答えない。分かる人と聞かれたから手を挙げたに過ぎないのだ。

優等生マルコ・ボットが、その時に見せたポカーンとした顔は、なんとも芸術的だった。

サムエル氏は気付いている

 ベルトルト「…」ジーッ

 アニ「…」

ベルトルトと自分が、ある意味で同類である…という事に

サムエル氏は気にしない

 ライナー「ようサムエル。相変わらず良い尻してるな」ナデナデ

 サムエル「…」

サムエル氏は、この行為がガチであろうが、
ライナーなりの冗談であろうが気にしない。

そして、そもそも話を聞いていないので、
ライナーが何故、他の誰じゃなく自分の尻を撫でるのか分かっていない。

サムエル氏は期待しない

 クリスタ「もう!私だってまだ成長途中なんだからね!」

期待したところで裏切られる事を知っている。
そして、そもそも小さいままでも良いと思っているのだ。

サムエル氏は期待している

 アニ(ん…もう少しで届く…)

 サムエル「…」ジーッ

高い場所にある物を取ろうとしている女子の、
ヘソチラに期待している。

サムエル氏は誤解している

 ミカサ「サムエル…ここは女子トイレ。どうして私に付いてきたの?」

 サムエル「…?」

ミカサの腹筋を見てから、ミカサが男だと誤解している。
そしてミカサに付いて行けば、いつか自分も女子トイレや女子風呂に
ごく自然に入れるのではないかと期待している。

サムエル氏は知っている。

 皆が寝静まった頃、ジャンのエロ本をコッソリ盗み見たところで、
 ミカサを想像して萎えさせるような、ミカサ似の女の裸しか写っていない事を…。

それでも、念の為に確認はする。
彼はムッツリだ。そして正直だ。バレる事を恐れない。
袋綴じは遠慮なく破くし、気に入らなければ他人(ジャン)のモノでも捨てる。

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サムエル氏は、サム・エルパッソになるかも知れなかった。

或いは、サミュエル・レオンハートになるかも知れなかった。

でも、彼はサムス・エルマーになってしまった。

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ユミル「よう、サムエル氏!」ニヤニヤ

サムエル「(サムエル氏?)あ、あぁユミルか…」

ユミル「あん?思ったより人の顔を見て話してるな?」

サムエル「当たり前だろ?」

ユミル「なっ!…私なんて女には見えないってか、そりゃそうか…」

サムエル「は?」

クリスタ「…」

サムエル(何だろう、あのクリスタが俺をめっちゃ睨んでる)

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マルコ「あ、サムエル…」

アニ「…っ!」

サムエル「あぁ、アニとマルコか…」

アニ「ごめん…なさい…」ガクガク

マルコ「ゴメンね、僕たちに力が無かったばかりに…」

サムエル「?」

マルコ「ほら、アニ…行こう」

アニ「うぅ…ベルトルトのヤツが、それじゃあアニと夫婦みたいじゃないかとか言うから…」

マルコ「数の力には勝てないんだ…」




サムエル(あのアニが震えていた…後悔してるようだった…一体何が…)


  --- あなたは、ZZンZZトになり損ねた。

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サムエル「お、馬鹿2人だ…相変わらず馬鹿な会話してそうだな…」


コニー「サムエル氏は気付いていない」

サシャ「サムエル氏は気付いていない」


サムエル(ん?俺??)


コニー「自分が」

サシャ「既に」





コニー&サシャ『死んでいる事に…』




サムエル(!!!???)

サムエル(えっ…アレ?!嘘!!??)




サムエル(えっ…)

コニー「続きの展開どうなるんだろうな?」

サシャ「楽しみですね!」

コニー「あれってアルミンが書いてるんだよな?」

サシャ「ん~?どうなんでしょうね?字体が違う気もしますが…」

コニー「面白いから良いか」

サシャ「ですね」



ベルトルト「…」

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サムエル氏は、勘違いしている。

自分は既に死んでいるのではないかと。

サムエル氏は嘆いている。

最近、皆が何を言っているのか分からなくなったと。

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エレン「お前…大丈夫か?」

サムエル「あぁ…」

エレン「…マジでサムエル氏みたいになってるぞ?」

サムエル(もともと俺はサムエルなんだが…)

サムエル「…当たり前だろう」

エレン「…」ポカーン

サムエル(何故、そんな不思議な表情で俺を見るんだエレン…)

サムエル(もしかして俺はサムエルじゃないのか…サムエルって誰だ…皆なにを言っているんだ…)

サムエル(やはり俺は死んだハズの人間なのか…それとも事故か何かの後遺症で無意識に支離滅裂な事を言ってしまっているのか)

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サムエル「…」ボーッ

ミリウス「よう、サムエル氏!元気か?」ニヤニヤ

サムエル「あぁ…」

ミリウス「…何か元気ないな?大丈夫か?」

サムエル「あぁ…」

ミリウス「あ、アルミンに座学のノート借りなきゃ!お前は良いのか?」

サムエル「あぁ…」

ミリウス「1+1=?」

サムエル「あぁ…」

ミリウス「…」

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サムエル氏には、不思議な魅力があった。

そして、彼女はサムエル氏に目を付けた。

一人が良かったのに、気付けば仲間が増えていた。

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マルコ「サムエル、もしかして物語の存在に気付いてないか?」

ベルトルト「うん、多分」

アニ「まぁ、気付いてても変じゃないね。皆がネタにしてるわけだし…」

アルミン「もともと僕のノートなのに…」

マルコ「辞めた方が良いのかな…良い気はしないよね?」

アニ「…確かに、最近ちょっと元気がないかも。顔色も悪い」

ミーナ「多分この事とは関係ないよ。それに、みんな続きを楽しみにしてるんだから…」

アルミン「そうだね。それに名前だって本名を使ってる訳じゃない。軽い冗談だと分かって貰えてるさ」

マルコ「問題はクリスタやコニーみたいに、偶に物語と現実の区別がつかなくなる純粋な子たちだね…」

アニ「…そこまで面倒は見きれないよ」

アルミン「でも、分かっててからかってるユミルやミリウス達には注意した方が良いかもね」

サムエル氏は分かっている…

 自分に残された延長戦は49日の間だけだという事を…

だから今日も目に焼き付ける。尻を…胸を…脚を…ヘソを…
そして、やはり話は聞いていない。

サムエル氏は知らない…

 愛の価値も、この世界の美しさも、今となっては昼と夜も
 ただただ、消えるまでの1分1秒を欲望のままに過ごしている…

残された時間は伸びない。その後についても知らない。

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サムエル「ノート?サムエル氏との49日間!?何だそれ?!」

ジャン「は?知らなかった…のか…??」

サムエル「知らん!何なんだ一体…」

ジャン「自分で見て来いよ…たぶん今はコニーが持ってるぞ」

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サムエル氏は気付いていなかった。

皆が楽しみに読んでいる、アルミンの座学のノートに書かれた物語の存在に。

サムエル氏は気付いていなかった。

自分とサムス・エルマーは別人であるという事に。

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サムエル「あ、アルミン…何だこの話は…?」

サムエル「俺…が主人公なのか?しかし身に覚えが…」

サムエル「いや、確かに多少は乳を見るし包茎ではあるが…」

サムエル「…しかし!」

コニー「サ、サムエル?」

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サムエル氏は知っている…

人は時に感情を抑えきれず暴力に身を任せてしまう事を…

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サムエル「くそっ!」ダンッ

アルミン「い、痛いよサムエル…」

サムエル「俺をバカにしやがって!チクショウ!チクショウ!!」

アルミン「く、首が絞まってる…や、やめてよ…」

サムエル「殺してやる!みんな!みんな!」ポロポロ

アルミン「ほ、本当に…し、死んじゃうよ…」

     パシュ


  ザクュウ!!


アルミン「ミ…ミカサ?…!!!?」



サムエル「…な、何だよこれ…腹にアンカーが…死んじまうじゃねぇ…か…」

ミカサ「心と時間の…特に心の余裕がなかった…」





 ―――― サムエル氏の本当の49日が始まった。




.

ミカサ「あまり目立つ墓は建てられない…これで勘弁してほしい…」

アルミン「サムエル…僕は…いや、彼女はそんなつもりじゃなかったんだ…」

エレン「連れて来たぞ…」


アニ「サム…エル?」


アニ「どうして…どうして…いやぁああああ!!!」

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サムエル氏は知っている…

本当はサムス・エルマーでなく、サミュエル・レオンハートになるハズだった事を…

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サムエル氏は知っている…

この本の作者がアニ・レオンハートであった事を…

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サムエル氏は知っている…

この本の主人公に自分が選ばれた真の理由を…

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サムエル氏は知っている…

真実の愛を

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サムエル氏は、いつも見ている

アニ・レオンハートの横顔を…


 サムエル「…」フッ


優しく微笑みながら


(完)

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クリスタ「って言う小説なんだけど、どうかな?」ニコッ

アルミン「いや、だから何で著者の名前に僕の名前を使うのさ」ガビーン

クリスタ「ほ、包茎ネタとか…私のイメージが///」

アルミン「僕のイメージは!?ってか省ける部分じゃないか!」

クリスタ「だって…アルミンのノートだし…」

アルミン「書いてるのに気付かず皆に貸してたよ…どうし…」クルッ


アニ「…」ゴゴゴゴゴ…


初めて安価に頼らず書ききった!
内容は色々と酷いけど(笑)

レスありがとうございました。

おまけ


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――― あれからアイツの事が気になっている。

  アルミン「だからクリスタはウンコなんてしないんだったら!」

  サムエル「ははは、何を馬鹿な…」


ミーナ「あら?アニ、どうし……また彼の事を見てた?」

アニ「な、別にそんなんじゃ…」

ミーナ「物語の中で恋人にされたぐらいで…アニったら単純…クスッ」

アニ「だ、か、ら、別に見てないし…違うからね」

ミーナ「でも、辞めといた方が良いよ…何せ彼は…」

アニ「?」

ミーナ「ちょっと耳貸して」チョイチョイ

アニ「はぁ…面倒くさい…」スッ…

ミーナ「ホーケ…イッ!」バキィ!

アニ「…ッ///いい加減に怒るよ!」ベシベシッ!

ミーナ「ちょ、いたっ…お、怒ってるじゃない…それに別に剥けてなくてモ゙ッ゙!」ドスッ!

アニ「忠告はした」

ミーナ「」

――― 照れて誤魔化したけれど、本当は分かっている。
 ――― 物語に描かれなかった延長戦は、もう…始まっている


(完)


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アルミン「」

アルミン「クリスタ…また君は…何が目的なんだ…どうして僕のノートに僕の字体を真似て…」


アルミン「クリスタに貸して、コニーから返して貰ったって事は何人かには見られてるかも…」

アルミン「…」


アルミン「でもまぁ…」


アルミン「…サムアニも悪くないかもね」


 バンッ!

アニ「…」ゴゴゴゴゴ


ドアの開く音、アニの表情…あぁ、今から僕の49日が始まるのかもしれない


現在、特に理由の無いサムエルブームに襲われてます…
勢いでオマケまで書いてしまった…
サムエルで安価もしたいとか思ってる。
でも無難にトーマスにするべきなのでは?とも思っている。

レスありがとうございました

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