雪子「メガネがずり落ちてアゴに引っかかってるだけになってるじゃないの。それじゃ見えないでしょ」

卓「・・・・」ｽﾁｬ、ﾊｱハァ

小鞠「すごい蛇行しながら座ったね」　

雪子「どうしたのほんとに？体調悪いの？」

夏海「どれどれ、夏海ちゃん計で計ってあげよう」ｽｯ・・・　卓「・・・」ﾊｧﾊｧ

夏海「って兄ちゃんフラフラしてるだけじゃなくてなんか残像作りながら左右に揺れてるから実体に触れられないし！それやめてよ」

卓「・・・・」ﾊｧハァ、ｶｸｶｸｶｸ　夏海「縦にｶｸｶｸするのもだめ！」苦しそうなのに・・・　

雪子「ほら、これで体温計ってみなさい」ｽｯ　卓「・・・・」ｾﾞェ、ﾊｧ

・・・・ピピピピピ

卓「・・・・」ｽｯ・・・　雪子「どれどれ・・・わ、３８度もあるじゃないの！」

夏海「なにそれ！？死んじゃうの！？やだよ姉ちゃんがドナーになるから心臓移植して助かろうよ！！」

小鞠「わたしはどーでもいいんかい・・・！」

雪子「バカだね、ただの風邪で死んだりせんよ。でもまぁ、学校はお休みだね」

雪子「ところで症状はどうなの？鼻水は出てないみたいだけど、咳は？」

卓「・・・・」ﾍｯｸｼｭｯ！　雪子「なるほど、無言のクシャミだけで咳はなし、と。頭痛は？」

卓「・・・・」ﾌﾞﾝﾌﾞﾝｯ　雪子「無言のヘッドバンギング、つまり別に痛くは無い、ね」

雪子「ん、わかった。じゃあ抗生剤が今これしかないから、朝、昼、晩と一回二錠の三回飲みなさい」ｽｯ

夏海「なんかかーちゃん医者みたいだね・・・」

雪子「強いて言うなら薬剤師かねぇ。もちろん無免だけど昔はよく合法ハーブなんかも処方してあげてたもんだよ」

夏海「へー、なんかすごーい！」　小鞠「いや、それ法に触れてるんじゃ・・・」ﾗﾘってる人いたなそういや・・・

卓「・・・・」ﾌﾟﾙﾌﾟﾙﾌﾟﾙ・・・　

夏海「兄ちゃん大丈夫？振動が箸に伝わってプログレッシブナイフの原理で分解されちゃってるよ？ウチが食べさせてあげようか？」

雪子「そんなことしてたらあんたが学校に遅れちゃうでしょ」

夏海「じゃあウチも学校休んで兄ちゃんの看病したい！」

雪子「だめ！ちゃんと学校行って勉強しなさい！あんたはただでさえ馬鹿なんだから・・・うちの幸せ草農園継げないよそんなんじゃ！」

小鞠（大麻じゃないよね・・・？幸せ草って・・・）

夏海「兄ちゃんが継いでくれるよ農園は！ウチはお嫁さ・・・じゃなくて事務やればいいし・・・」

雪子「兄ちゃんは海外に出て流通事情の視察および新規取引先の開拓をした後戻ってくるんだからそれまで繋がなきゃいけないでしょ」

雪子「小鞠は一条さんとこのお嬢さんに嫁がせて一条組とのパイプをより太くしなきゃいけないし・・・あんたしかいないんだから」

小鞠（聞こえない聞こえない聞こえないなにも聞こえない聞こえない私は何も聞いてない聞いてない）ｸﾚｲｼﾞｰｻｲｺ人身御供・・・

夏海「でも・・・でも兄ちゃんが今風邪で死んじゃったらその計画もパーだしやっぱウチが看病して・・・」

雪子「だから風邪なんかで死なないって言ってるでしょ。末期ガンみたいに言うんじゃないの」

夏海「でも・・・でも・・・ウチ、兄ちゃんが・・・お兄ちゃんがぁ・・・」ｸﾞｽ・・・

雪子「・・・はぁ・・・もう・・・しょーがないね・・・わかった。看病していいよ。ただし今日だけだよ」

夏海「やったぁ！かーちゃん大好き！」　雪子「まったくあんたは・・・」現金な

雪子「じゃあお母さんそろそろ仕事行くけど、学校休んだからって遊んでダラダラしちゃだめだからね」

夏海「はーい」

雪子「小鞠、あんたも食べ終わったんだからいつまでも自我崩壊してないで学校いくよ」歯は行ってから磨きなさい

小鞠「あ・・あ・・」ｽﾞﾙｽﾞﾙ・・・

ガラガラ・・・ピシャン

夏海「行っちゃったね、かーちゃんたち」　卓「・・・・」ﾊｯｸｼｭﾝ！ﾌﾟﾙﾌﾟﾙ

夏海「ほらほら無理しない。ウチが食べさせてあげる。あーんして」　卓「・・・・」ｱｰﾝ

夏海（ふふふ・・・❤なんか恋人同士になったみたいだなー・・・）

卓「・・・・」ﾓｸﾞﾓｸﾞ　夏海「あ、見て兄ちゃん。占いやってるよ」

今日一番運勢がいいのはみずがめ座のあなた！ほとんど思い通りにことが運ぶはず！
ラッキーカラーは近親相姦！

夏海（うひゃー、ウチだ・・・思い通りにことが運んで近親相姦・・・もしかして・・・）ﾄﾞｷﾄﾞｷ

そして今日一番運勢が悪いのは、ごめんなさ～い、おひつじ座のあなた
死の淵をさまよって最悪死んじゃうかも～。でも大丈夫、今日が峠ですよ～
ラッキーカラーは妹！多少はマシになると思います～。それでは！

夏海（あれ、兄ちゃんておひつじ座だったよね・・・？大変だ、やっぱりただの風邪じゃなかったんだ・・・！）

夏海（いやでも・・・ラッキーカラーが妹ってことはウチがいれば万事OK・・・？）運勢１位でもあるし

夏海「兄ちゃん！ウチがいればおおむね大丈夫だから安心してよ！」ｼｭｯ　卓「・・・・」ﾊﾞｷｨ

夏海「あっ、あごめん、ちょっと力みすぎてスプーンがコメカミに当たっちゃった！」

夏海（いつもの兄ちゃんなら軽くかわしてるのに・・・やっぱ弱ってるんだなー・・・）

卓「・・・」ﾌﾟﾙﾌﾟﾙ　夏海「ご、ごめ、スープこぼれちゃったね、今拭くもの持ってくる！」ﾀﾀﾀ

夏海「よいしょ・・・」ﾌｷﾌｷ　卓「・・・・」ﾍｯｸｼｭ！

夏海「はい、着替えも持ってきたから着替えてよ。べとべとは気持ちわるいっしょ？」

卓「・・・・」ｽｯ・・・　夏海「・・・・」ｼﾞｰ・・・

夏海（ハッ！？ウチは何を着替えなんてガン見して・・・！いやでもいつかはそうなるあれで・・いやいや・・それはまだ・・・）

卓「・・・・」　夏海（結局目つむったけど片目開けて一部始終見ちゃったよ・・・）ﾄﾞｷﾄﾞｷ

夏海「じゃ、じゃあごはんの続き！あーんして」　卓「・・・・・」

夏海「なんであーんしないの？このつけもので最後なのに」ｸﾞｲｸﾞｲ　卓「・・・・」ｼｭｯ

ギュン！！！！！

夏海「！！」（ちゃぶ台返し・・・！？しかも３６０度返して一回転したから全部元通り・・・）上に乗ってたものも

夏海「いきなりなに・・・？もしかしてつけもの嫌いなの・・・？」　卓「・・・・」

夏海「でもいつも兄ちゃん食べて・・・・」

夏海（いや待てよ・・・そーいえばつけもの出てきたとき食べても量が減らない瞬間があるような・・・）

夏海（もしかして兄ちゃんが自分の分を紛れ込ませてたのかも・・・）

夏海「そっかー兄ちゃんつけものダメなんだー。じゃあウチが食べるね」ﾎﾟﾘﾎﾟﾘ

夏海「んぐんぐ・・・相変わらずまぁまぁの味・・・ん？」　卓「・・・・」ﾊｧﾊｧ

夏海（なに・・・？テレビに釘付けになってる・・・しかもメガネも曇って・・・）

テレビ「高宮なすのです」　卓「・・・・」ﾊｧハァ

夏海（アニメの女の子に興奮してんの・・・？ウチというものがありながら・・・・！）

夏海「兄ちゃん！ごはん食べ終わったんならもう部屋いって寝なよ！ちゃぶ台返しで無駄な体力も使ってるんだからさー！」

夏海「それ二人三脚、いっちに、いっちに」　卓「・・・・」ｽﾞﾙｽﾞﾙ・・・　

スタスタ・・・

卓の部屋

夏海「よっこいせ、っと・・・ベッド到着～」　卓「・・・」ﾎﾟﾌ　

夏海「兄ちゃん、なんか欲しいものとかあったら言ってね・・・ってもう寝てる？」

卓「・・・」ｽｰ・・ｽｰ・・

夏海（もしかして二人三脚の時から寝てたのかも・・体感で一人百脚くらいの負担あったし・・・）

卓「・・・・」ｽｩ・・ｽｩ・・・　

夏海（よく寝てる・・・そーだ、今のうちに兄ちゃんの部屋あさっちゃお）

夏海（まずは本棚・・ってもう萌えフィギュアむき出しだから見る必要ないか・・・）

夏海（それにしてもデフォルトで全部スカート外してるのはどーかと思うよ兄ちゃん・・・あと本棚じゃなくて萌えフィギュア棚になってるし・・・）

夏海（ほんとは全部捨てたいけど逆切れされそうだから我慢我慢・・・・）

夏海（次は机・・・やっぱり変な雑誌とか入ってたりすんのかなー・・・）ｶﾞﾗﾘ

夏海（萌えナイフ、萌えチェーンソー、萌えデスノート・・・なんか萌え武器いっぱいあるなー・・・）返り血浴びてるのもある・・・

夏海（机の上は綺麗に勉強道具そろってるのに・・・いったい兄ちゃんはなにを考えてるんだろう・・・）

夏海（ん？なんだろこの箱・・・なにやらあやしい・・・開けてみよう）ﾊﾟｶ

夏海（四葉のクローバーにセミの抜け殻にラジオのアンテナ部分・・・これって確かウチが小さい頃兄ちゃんにあげたものだ）

夏海（事故車仕様のチョロＱに全自動卵割り機・・・懐かしいなー・・・こんなものまで取っておいてくれたんだ・・・）

夏海（う～・・・地味に嬉しい・・・この箱の下からコミックLOさえ出てこなければ完璧だったけどまぁいいや）

夏海（兄ちゃんのためにお昼ご飯作ってあげよ～っと）

昼

卓「・・・・」ﾊﾟﾁｯ　

夏海「あ、起きた？今ちょうど起こそーと思ってたんだけどさ、お昼ご飯できたから食べなよ。おかゆだよ」

おかゆ「お゛」ｺﾎﾟｫﾌｫｶﾇﾎﾟｳ　卓「・・・・」

夏海「見た目はあれだけど味は確かだと思うから食べてみてよ」ｽｯ　卓「・・・」・・・ﾊﾟｸｯ

卓「！？」ｺﾞｷｭﾙﾙﾙﾙﾙﾙ！？？！？！

夏海「あ、そだ今りんごも剥いてるから待ってて。萌えナイフ勝手に借りたけどよかったよね」

卓「・・・・」ｾﾞｪｾﾞｪ　

夏海「ん、なに自分で剥きたいの？」ｽｯ

卓「・・・・」ｽｯ・・・　

夏海（メガネ外してる・・・なんで？）

トン・・・　　ブシャァ！

夏海「りんごが破裂・・・！？なに、兄ちゃんそれ直死の魔眼！？りんごの死の点突いたの！？」

トン・・・　

おかゆ「お゛ごぁ！？」ブシャァ！

夏海「あああああああ！おかゆが！」　

卓「・・・・」ﾊﾟﾀｯ・・・

夏海「って、倒れちゃった・・・意識が朦朧としてたからおかゆまで剥こうとして失敗しちゃったのかな・・・？」

夏海「しょーがない、レトルトのなんかもう一回作ってこよう」ｽﾀｽﾀｽﾀ

ガチャ　バタン・・・

卓「・・・・」ｽｯ・・・

ダダダダ！！　ガチャ！！　ダダダダダダ！！！

ガチャ！バタン！！！

・・・ブッリャァアアアァァァブリリャァァアアアアアアァァァァアア！！！

卓の部屋

夏海「兄ちゃんなんとなく顔色よくなってきたね。なんか体の中の悪いものが一気に排出されたって感じに見えるなー」

卓「・・・・」ﾋﾟｸｯ　

夏海「でもさー、もしまだ微妙ならウチに風邪うつしてもいいよ。人にうつせば治るってよくいうっしょ？」

卓「・・・・」ｽｯ

夏海「え、なにそれすごい、手遊びでチョウチョとか作るのはわかるけど、それたぬきだよね？」関節ﾊﾞｷﾊﾞｷだ

卓「・・・・」ﾍﾞｷｨ

夏海「いや、具にうつしてたぬきインフルエンザ発生させるとか怖い手話しないでよ・・・」

卓「・・・・」ﾍ゜ｸﾁｮｯ

夏海「あはは、変なクシャミ。やっぱまだ病気だー」ｽｯ　卓「・・・・」

夏海「へへへ・・・マウントポジショ～ン」ｷﾞｼｯ・・・　

卓「・・・・」ｽｯ

夏海「あっ、は、ちょ、兄ちゃ、くすぐるのやめっ、てははっはあはっ」　卓「・・・」ｺﾁｮｺﾁｮ

夏海「ははっは、あはっ、も、やーめてってば～」ｸﾞｯ　卓「・・・・」ｷﾞｼ・・・

夏海「・・・・」　卓「・・・・」

夏海（うわぁ、なにこの状況・・まるでウチが兄ちゃんの腕押さえつけて襲ってるみたい・・・）

夏海（でも兄ちゃん抵抗しない・・・風邪だからかな？それとも・・・・）

卓「・・・・・」

夏海（もう・・・言っちゃおっかな・・・・今・・・）

夏海「兄ちゃん・・・あのさ、ウチさ・・・」

夏海「あの、その・・・昔から・・・・・兄ちゃんのこと・・・・好き」

夏海「兄ちゃんとしてじゃなくて・・・・そういうのじゃなくて、ほんとの好き・・・」

夏海「だから・・・兄ちゃん・・・・お兄ちゃんもウチのこと女の子として好きになってほしい・・・」

卓「・・・・」

夏海「・・・・ダメ？」

卓「・・・・」

夏海（なんにも言わない・・・・）

夏海「じゃあ・・・今からキスする。ダメならよけて」

夏海（・・・・っ）

卓「・・・・」ｽｯ　夏海（え？）

ちゅっ

夏海「・・・・！！」ﾊﾞｯ

夏海（うそ・・・兄ちゃんから・・・じゃあ・・・じゃあ・・・それって・・・）

卓「・・・・」ﾅﾃﾞﾅﾃﾞ　夏海「兄ちゃ・・・お兄ちゃ・・・お兄ちゃーん！！大好き！！」

卓「・・・・」ﾅﾃﾞﾅﾃﾞ　夏海「うわあぁああんうれしいよー！ファービーくらいなでなでして！！」

卓「・・・・」ﾅﾃﾞﾅﾃﾞ　夏海「うぇええへぇえんﾌｧｰﾌﾞﾙスコファー！！！」

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翌日

雪子「それにしてもよかったねー、一日で治って」

夏海「ウチが看病してあげたからねー」

小鞠「ほんとに看病してたの？台所によくわからないどろどろの残骸があったけどあれお兄ちゃんに食べさせてないよね？」

夏海「ちょっと食べてたけど？」

小鞠「ええー・・・大丈夫かな・・・後遺症とか出なきゃいいけど」

夏海「後遺症でたらまたウチが看病するからいいもーん」

夏海「ね、兄ちゃん❤」　卓「・・・・・」
今回まで