タロットを題材に鬱な話を書いていく(34)

クリスマスが近いので書き貯め無しの見切り発車。
大アルカナの22話を予定しているけど、正直、ネタが尽きるかもしれないので援護射撃頼む。
書き出しだけ書いて、続きは夜になったら書き始める。

愚者 The fool

愚者は気ままな旅人のアルカナ。示すは「自由」
彼は周りを気にしないが故に自由で純粋だが、故に軽率でわがままだ。
彼の行く先には何があるのか。

なぜ鬱にしたし?

>>3
独り身なのに心がほっこりする話を書く→鬱になる。
暗い話を書く→鬱になる
クリスマス前に恋人通しのイチャイチャを書く→すごく鬱になる

それじゃ、話の骨子は固まったので書き始める。

母「またあんたは遅くに帰ってきて!」

女「うるさいなー。こっちも友達づきあいがあるんだから、いい加減門限伸ばしてよ」

母「だからって、門限を破っていい理由にはならないでしょ?」

女「門限が早すぎるんだって。今どき、6時半門限とかいないよ?」

母「よそはよそ。うちはうち。うちの晩御飯は6時半って決まってるの」

女「レンジあるんだから、それであっためればいいじゃん」

母「そういう問題じゃないでしょ?」

女「あーあー、はいはい。子供は親に従っていればいいんでしょ」

母「またそういうことを言って!」

兄「まあまあ、ここはきつく言っても逆効果だよ。

  いけないことだってのは本人もわかってるし、ほっておけばいいんじゃないかな」

女(またこれだ)

女(おにいはいっつも素直だ。そして、いっつも正しいと思う)

女(ずっと母親の味方で、私は敵)

女(親に従わない子供を反抗期に入っただなんていうけれど、私はその言葉が嫌いだ)

女(反抗期っていう便利な言葉で、理解するまで子供をおしこめるんだ)

女(でも、親は強いから私は何も言えない)

女(私の味方なんて誰もいないんだ)

女(あーあ。はやく、こんな家から抜け出したいよ)

兄「だから、強く言ってなんとかなるもんじゃないって」

母「でも、言わなきゃ反省しないでしょ? この前だって門限を破ったんだから」

兄「本人がわかるようになるまで、待つしかないって」

女「……はぁ。あーあー、もううるさいなぁ。お母さんも兄さんも、そんなことで言い争わないでよ」

母「誰が原因だと思ってるの!」

女「私でしょ? はぁ、私勉強するから邪魔しないでね。それじゃあ、ごちそうさま」

母「待ってよ! 話はまだ終わってないよ!」

兄「どうどう。落ち着いて。ここは落ち着いて、明日話そうよ」

女(明日もまた同じことになるのか……ここのところずっとだよ

  一人で晩御飯を食べたほうがましなんじゃないかな)



母「母親をどうどうって宥めるのはどうなの?」

兄「あはは」

女友「じゃあねー、また明日ー」

女「うん! また明日ね!」

女「……。」

女「はぁ……。」

キキーッ!

女「え? なんでこっちに車が

ドン!

女「……あれ? 何ともない?」

「おい、車に誰かひかれたぞ……! あの子だ! ぜんぜん動かない」

「警察! 救急車! あ、そうだ電話だ!」

「だ、誰か! 介抱できる人はいないか!?」

女「だ、誰かひかれたの?」

なんとなく嫌な予感があった。

だから、通行人を押しのけようと肩に手をかけようとした。

女「ちょっと通してくださ・・・あれ?」

手がすりぬけた。

女「うそ? ……まさか」

通行人をすり抜けて通ることができた。

そこには、ピクリとも動かない私の体が合った。

その後、救急車が来た。

人の体はすり抜けたのに、救急車に乗ることはできた。

徒歩20分ぐらいの近くの病院に搬送された。

「意識が無いとはいえ打撲だけだなんて、不幸中の幸いだな。この様子だと中の方も大丈夫そうだ」

女(よかった)

女(いやよくない! 私、幽霊になっちゃってるよ!)ガビーン

女(どういうことなんだろう?)

女「……。」

女(こんな殺風景なところで考えても仕方ないか)

女(病院を出て、外で考えよう)

建物を出たあと、病院の前に座れそうなところがあったので座った。

女(もうすっかり夜ね)

女(……車のライトの光が流れて行って、綺麗だな)

女(そういえば、こんな時間に車のライトをじっと眺めることもできなかったんだ……)

女「車にぶつけられたっていうのに、車のライトに感動してるなんておかしいね」クスッ

女(あの先は、繁華街……)

女「ちょっとぐらいなら……、いいよね?」

そうして私は立ち上がって歩き出した。

なぜかワクワクが止まらなかった。



病院から離れてどんどん歩き出す。

病院から離れるにつれて、通り過ぎるライトの数も増える。

ついには、絶え間なく光が流れるようになった。

女(もうすぐかな?)ワクワク

目的地は、友達がいつも遊んでいるという場所。

女(ファーストフードに、喫茶店に、ゲームセンターに、カラオケに……)ワクワク

友達しか知らない世界が、もうすぐ目の前にあらわれる。


フラッ

女「あれ?」

急に世界がぼやけた。

女(ここは……家?)

??「それでね、それでね……」

母「口にものをつめながらしゃべらないの」

女(・・・お母さん? 皺が少ないけど、化粧濃いのかな?)

??「・・・ゴックン。 それでね、おにいがジャングルジムのうえにのぼったの!」

女(ってあれ? もしかして喋ってるのって……私?)

幼女「それでね、おにいが大きな声で言ったの!」

幼兄「どっかあああん」シャキーン

母「椅子の上に立ち上がっちゃダメでしょ!」

女(じゃあ、今見てるのって過去の世界?)

女(……なんだ夢か)

[プップーーーーーーッ !!!] ←車のクラクション

女「!!!」ハッ

女(……本当に夢だった)

女(こういうのなんていうんだっけ? 白昼夢?)

女「歩いてたら突然、夢を見るとか怖いわー」

女「……。」

女(いや、本当に怖い!)

女(そういえば、私は一人なんだ。ここで倒れても、誰も気づかないんだ……)ゾゾー

女(お母さん・・・おにぃ・・・・父・・・・)←父だけ呼び捨て

女「……。」

女(……怖い、けどあの人たちに言ってもしょうがないか)

女(そうだ。私は一人なんだ)

女(一人だからこそ、自分に責任がある)

女(自由だからこそ、一人で戦わなければいけないんだ)

女(がんばれ、私! くじけるな、私! まずは深呼吸だ)

女 スゥーーーーーッ ←息を吸い込む音

女「私は自由だぁーーーーーーッ」


男(なにやってんの?)フワッ



女「自由だぁーーーーッ」

女(いいね私! 青春してるよ!)

女(よしっ!)

そうして私はまた歩き出した。


女(そういえば、おにぃはバカだったなぁ・・・・・・)ニヨニヨ

女(お母さんは昔っから口うるさかったけど)ハァ……

ふと後ろを見た。

街灯の光が列に連なっていた。

女(きれいだなー……)

女(でも、ちょっと寂しいかもね)

そして、また歩き出した。

街灯は後ろに流れた。

ワイワイガヤガヤ……

女「着いた……! ここが、夜の街!」

真夜中と言うには速い時間。

学校帰りの「自由な」学生のゴールデンタイム。

女(バカ騒ぎする男女混合の人たち、ゲーセンに歩く男の子、バカップル……)

女(あ、あのバカップルの片割れ、隣のクラスの子だ)

女(ん~~!)

女「自由の街にきたぞおおおおおお!」



男「……。」

街に出たら、一番最初に行きたいところがあった。

女(着いた!ファストフード!)

女(学校の後にマッ○に寄ってグダグダと話こんじゃったなんて話を聞くたびに、羨ましいって思った)

女(そんなたいしたことないって友達は言ったけど)

女(そんなことがとても羨ましかったんだ)

女(そんな光景がいま目の前にある)

女(今は友達と一緒じゃないけど、雰囲気だけでも味わっておこうかな)

女「……。」トコトコ

女(飲食店で歩き回るなんて変な気分だな)


学生客「それでさー」 学生客「うんうん」

学生客「こいつ、まじありえんwww」 学生「うっせwwwほっとけ!」

バカップル女「毎日、あなたとこうしているだけで幸せだよ」 男「俺もだ」

女「……。」

女「いいなぁ」ボソッ

女(なんてことはないんだろうけど、それが羨ましい)

女(いつか、友達とこれたらな)


女「カップルは邪魔だけ……ど……?」

女(あれ?)

また視界が歪んだ。

母「おいしい?」

幼女「うん!」

女(また過去の夢……? 心なしか、前より私が大きくなってるような気がする)

母「グラタンを作ったの初めてだったから、うまくいってよかったよ」

女(あ、しわ増えてる。間違いなく過去だ)

幼女「お母さんのごはん大好き!」

母「そう? ありがと」

女(……聞いてる私が恥ずかしいよ。お母さんも嬉しそうな顔をしてる?)

幼女「おにぃは?」

母「友達と遊んでるんじゃない? 年頃だからね」

幼女「おにぃと一緒に食べたいな」

母「友達の付き合いもあるし仕方ないじゃない?」

幼女「おにぃがいないとおいしくない……」


母「……そっか。そうだね」

女「……。」

間違いなく過去だ→間違いなく、前より時間が進んでる

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