P「いつの間にかアイドル全員と一緒に孤島に転送されてた」(395)

P「一言で状況を表すとこうなるな」

美希「そうなの」

千早「しかし海が綺麗ですね」

貴音「ええ、まことよき海産物が捕れるでしょう……じゅるり」

雪歩「この砂場、穴掘りに最適です」

やよい「でもちょっと暑いですー」

律子「しかし転送とはどういうことでしょう」

響「うーん。確かに悩むところさー」

伊織「だめl,携帯は圏外」

P「とりあえず食料と涼しいところの確保じゃないか」

真「そうですね。森があるんで、木の実とかもあるかもしれませんね」


P「いや、木の実は駄目だな」

亜美真美「えーっ、なんでよー!」

律子「有毒かどうかわからないからよ。とりあえず、涼しい場所の確保が最優先ですね」

P「そうだな。これほど大きい森ならどこかに水辺があってもおかしくはない」

貴音「海水を飲めばよろしいのでは……?」

P「それも駄目だ」


貴音「なぜでしょうか?」

律子「貴音は海水を飲んで過ごせる? 塩辛くてとてもじゃないけど飲み水としては活用できないわ」

貴音「そう考えれば……そうですね」

P「とりあえず状況をまとめるのは森の中でいいんじゃないか? 流石にここじゃ直射日光がひどすぎる」

律子「そうしますか。幸い大人が三人いるので、ねぇあずささん?」

あずさ「そうですね~。私は小さい子たちの面倒を見ますから、律子さんとプロデューサーさんは、高校生たちの子をお願いします」

P「了解しました」

美希「ねぇハニー、これからどうするの」

P「森の中へ全員で移動する」

春香「服がぼろぼろになりそう……」



P「文句は言えない。とりあえずボロボロに成らない程度に気をつけておけばいいさ」

律子「大事なのははぐれないことよ。広そうな森だから、迷ったらそこでおしまいかもしれないわ」

真「じゃあどうやって迷わないようにするんですか?」

あずさ「はぐれ対策は気をつければ大丈夫だし、迷わないように木に石でマークでも付けておけば大丈夫よ」

亜美真美「しっかし皆冷静だねー」

P「驚きすぎて頭が回ってるだけだ。それに今は大人はパニクるより冷静に行動しなきゃな。お前らみたいな子供もいるし」

あずさ「じゃあ出発しましょうか……」



春香「思ったより汚れ無いね」

千早「そうね。脚も滑らないし、春香も転ばないぐらいに道も平坦だわ」

貴音「どこからから機械音が……」

真「気のせいだよ」

美希「そうなの。流石にこんなところで機械音は聞こえないの」

P「ここらへんでいいか。流石に遠すぎるのも駄目だし」

律子「そうですね」

あずさ「じゃあ皆ここで休憩して~」

伊織「落ち葉が酷いわね。まぁふかふかのベッドとまではいかなくても、これで暖はとれるかもね」

やよい「ふー、ようやく涼しい場所だね」

亜美真美「流石にあの砂場じゃ生きていけないっしょ→」

やよい「そうだね」

真「とりあえず食料ですね」

響「魚があるとうれしいぞ……」

P「ウェットスーツもないしな、魚がそんな取れるとは思えん」

律子「でおとりあえず海から近いし、私と響と真で海には行ってきましょうか?」

P「はぐれないように、さっきのマークを頼りにな」

律子「はい。さ、行くわよ、ふたりとも」

響・真「はーい!」

P「あずささん、俺はちょっと考え事をするので、子供たちの面倒を見てやってくれませんか」

あずさ「お安いご用です」

雪歩「この落ち葉、掘れるかな……」

春香「流石にスコップもないし無理だよ雪歩」

P(昔じゃ考えられないくらい売れてるアイドルたちも、休息が必要だとのことで、久しぶりの日曜日は全員オフだった)

P(バーベキューでも行こうか、と思いながら、律子と話してたら、突然部屋が暗くなって気付いたら俺達はこの島に転送されていた)

P(小鳥さんはいない。もともと風邪でずっと休んでて事務所にはいなかったのだ)

P(そして今オレたちは落ち葉が酷い草原にいる。風が吹いているし周囲の森から落ち葉が飛んできたんだろう)

P(不可解なことがありすぎるが、とりあえずは生き残ることだな……)

律子「ただいま戻りました」

P「早かったな」

亜美「あっ、おかえり~まこちん、ひびきん」

美希「美希、お腹減ったの~」

伊織「もう3時だしね、仕方ないわ」

やよい「料理なら任せてください!」

貴音「どうしたのです。響、真。なぜそのような表情を?」

P「やっぱり浅瀬には魚がいなかったか?」

真「逆です」

P「逆?」

響「浅瀬に魚がいすぎて大量なのさー。でも流石に不思議すぎるぞ」

P「ふむ……」

千早「夜の分の魚まであるわね……」

春香「うん。食料には困りそうにないね」

雪歩「でででも、なんか恐いよ……」

真「大丈夫だよボクが守ってあげるから」

真美「ひゅーひゅーですなー」

美希「ミキはハニーに守ってもらうの」

P「おいおい……」

 需要ないんかな。

律子「ほら、とりあえず遅い昼食にするわよ。落ち葉持ってきて」

伊織「でも火はどうするのよ」

P「俺がライターを持ってる」

春香「プロデューサーさん煙草吸うんですか?」

P「いや、ちょっと所要があってな……」

 多分みなさんが想像する孤島ハーレムモノじゃないですよ……
律子「ほら、さっさとする」

 その後はなにもせず、女子はおしゃべりに興じ、俺達大人組はあずささんが偶然仕事で使う予定だったトランプを持ってたので春香と美希と千早を呼んで大富豪でもやっていた。

 この状況下において、楽観的すぎると思うけど、皆どこか安心感があったのだろう。

 食料・寝所。これだけあればこまることはなかった。なんと響達いわく近くに水辺もあるらしいから、困ることはなかった。

 事件は朝に起こる。


P「ん……朝か……」チュンチュン

P(昨日はあずささん達とトランプをやって……)

P(そこから寝たのか。しかしえらく寝心地のいい落ち葉だな。なんというか、その、ふかふかのベッド)

P「ベッド?」

 俺が寝ているのは紛うことなき白いベッドだった。

 枯葉ではない

 流石に異常事態なので部屋から飛び出す

P(部屋?)

 飛び出してから気づいたが、どうやら部屋らしい、家具はなかったので、気付かなかったのかもしれない

 飛び出した先は洋館だった。

 洋館の内装が俺の目の前に広がっている。

 部屋の前には廊下があり、すーっとそれが続いている。

 廊下が突き当たりに当たると、そこからかくんと左折し、豪奢な階段が続いていた。

 どうやら一階エントランスホールは吹き抜けになっているようで、手すりから身を乗り出す。
 
 肉の匂いだ。

春香「」

千早「」

美希「」

真「」

雪歩「」

あずさ「」

亜美真美「」

やよい「」

伊織「」

響「」

貴音「」

 二階部分に全アイドルの部屋が配置されてあるらしく、廊下が長い理由がわかった。

 両端の人は楽だろうな、と、笑えないジョークを思いつく

春香「プ、プロデューサーさん」

P「みんな、取り敢えず一階まで来るんだ」

 大声で怒鳴りつけると、アイドルたちは階段へと歩き出した俺もその列に加わる。

やよい「なんか、不思議な感じだね……」

伊織「感じじゃなくて不思議なのよ、無人島のはずなのに……」

響「理解出来ないぞ……」

 一階エントランスホールに集まったアイドルたちは、更に驚愕した、

 目の前には、肉の匂い漂う食堂。更にキッチンまであったのだ。

 20帖ほどの広い。余りにも広い食堂だった。

P「と、とりあえず食堂に行こう」

 食堂にきて、それぞれ席に座ったはいいが、気まずい。

 流石に怪しさ全開の料理に手を出す猛者はいない。

 暫く沈黙。

P「と、とりあえず点呼をしよう。皆、俺が名前を呼ぶから返事をしていってくれ」

P「春香」

春香「はい」

P「千早」

千早「はい」

 聞いてごめん。だって見ている人がいるか不安だったか……

P「美希」

美希「はいなの」

P「真」

真「はい」

P「雪歩」

雪歩「は、はい……」

P「貴音」

貴音「ここに」

P「響」

響「は、はいさーい……」

P「伊織」

伊織「いるわよ」

やよい「はい」
P「亜美、真美」

亜美真美「はーい」

P「あずささん」

あずさ「はい」

P「よし、全員いるな」

P「まぁ、なんだ。なんか色々あるけど、とりあえず皆、おはよう」

みんな「おはようございまーす」

P「いくら怪しい料理とはいえ、手を出さずに餓死するのもなんか変だ」

P「皆、食べてくれ」

貴音「では遠慮無く……」ガツガツ

皆「い、いただきまーす」

 このようにして気まずい朝食は始まった。
 
 だが徐々に貴音の食いっぷりのおかげなのか、皆の緊張も和らいできて、ポツポツと声が聞こえてきた。

P「あずささん、食べたら暫く休憩の後、この洋館をぐるりと回ってみましょう」

あずささん「はい」

P「よーし、皆、聞いてくれ」


P「みんな、これを食べ終わったら暫く休憩した後、洋館を回ることにしよう」

みんな「はーい」

 やがて朝食が終わると、みんなは隣にあった遊戯室へと駆け込んだ

 広さは食堂の半分ほどで、まぁ休憩するには差し支えない。

 俺はあずささんに子供たちの面倒を頼むとともに、椅子に座り込んで考え事を始めた。

P(まず、俺達は事務所に全員居たはずだ)

P(昔じゃ考えられなくライの売れ方をしているアイドルたちにも、たまには休養が必要だということで久しぶりの全員オフだったはずだ)

P(俺もプロデューサー業であっぷあっぷだったから、久しぶりに事務作業でもしながらアイドルたちとの会話に興じていた)

P(あいにく音無さんと律子は風邪で休んでいたので、俺はあずささんとバーベキューでもやらないかと相談していた)

P(俺が立ち上がって、車を出そうとしたら、いきなりこの島に転送されたわけだ)

P(そこからは昨日の流れと一緒だ。しかしどうにも腑に落ちない)

P(まずはじめに、俺達がなぜ転送されたのかという点)

P(物理的には先ず転送なんぞ無理なはずだから、オカルト的な何かと考える他ないが、そうなると推理が出来ない)

P(次に、俺達が何故、洋館に来ているのか)

P(昨日は草原で寝たのだから、洋館に来ているわけがない)

P(これもある種の転送なのか……?)

 

あずさ「プロデューサーさん、そろそろ行きませんか?」

P「ああ、こんな時間か。分かりました。行きましょう」

 俺は立ち上がると、アイドルたちに声をかける。

P「みんなー、そろそろ探索するぞ~」

亜美「わーい探検でい」

真美「亜美隊員。これは遺跡の予感がしますね」

亜美「そうですね真美隊員!」

 双子は平常運転だ。

 俺達は遊戯室から出て、まとまったまま、先ずは一階を探索することにした。

 だが一階は簡単な構造になっていた。

 大体、エントランスホールを進むと食堂があり、その隣にキッチンと遊戯室がある感じだった。

 だが、その周りには銅像が立っていた。

P「この顔……」

あずさ「ああ、これ、昔の有名だったアイドルグループ……」

P「はい、イブニング娘ですね……」

 イブニング娘は超有名グループだ。そんな銅像が立っているとは不気味だったが、そのとなりに何やら男の銅像もある。

 2つの銅像とも少し汚れていた。

 美希の声が聞こえてきた。

美希「あー、これ、BKA40なの」

春香「ホントだー。懐かしいね」

 この前解散したばかりのBKA40。解散の時には自殺者まで出る始末だったという。

 其の横には……いや、これは見覚えがある顔だ。

 天才的プロデューサー、春本康。今でもあの手腕は伝説となっている。

P「ん?」

 BKA40の銅像の台座のところに銅の粉がついていた。

P「なんでこれが……」

あずさ「わかりませんけど、これ、結構多いですね」

P「そうですね……」

 適度なところで切り上げ、俺達は二階へ上がった。

 二階は全アイドルの部屋があった。
 
 ここには銅像がない。

 二階は本当にただの部屋のようだ。

 アイドルたちは自分たちの部屋に入って、部屋の中を確認してた。

 俺も自分の部屋を確認しよう

P「家具はない……っと、これはなんだ?」

 部屋は八畳ほどの広さで、長方形の形をしていた。

 部屋に入って直ぐ左に、もう一つドアがあった。

 それを開けると

P「風呂場か。洗濯機もあるようだな。 お、ここには着替え用の服まで」

 ベッドに座り込むと、コンコン、と音が聞こえたので、ドアを開けた。

春香「プロデューサーさん。終わりました。下に着ましょう。もうお昼です。いい匂いもしてますよ」

P「そうだな」

 俺達二人は下に向かった。どうやら他のアイドルたちはもう来ていたらしい。

 魚料理だった。まぐろの刺身を始めとした、豪華絢爛といってもいいほどのだ。

 普通なら夕食なのだが、ここではこの料理が昼食レベルらしい。

 いあだきますを唱和したあと、貴音はガツガツ食べ始め、他のアイドルもそれなりに食べていた。

 あずささんは酒を見つけたが、夜までとっておこうとあずささんに言い聞かせ、俺達は昼食を終えた。

 いい匂いなど全くしなかった。

 春香は醤油の匂いをいい匂いといったのだろうか。

 俺達は遊戯室へと移動して、そこでビリヤードを楽しんだ

伊織「今何時なのかしら……」

 伊織は携帯を取り出すと、時間を確かめた。

やよい「何時だった?」

伊織「可笑しいわね、壊れてるのかしら、時計が動かないわ」

美希「変なの。ミキの携帯で確かめるね。デコちゃんよりも新しいのだから」

伊織「ムカッ」

美希「あれ、おかしいの、こっちも時計が動かないの」

 アイドルたちはそれぞれ自分の携帯を取り出して時計を確かめた。

 それぞれ、あれ? だとか おかしいな だとか言い合ってた。

 時間が止まっているわけではないし、俺は少し変だなと思い始めた。

 しかしあのやよいでさえ携帯携帯といいながらあのべろちょろから取り出したのには驚いた。

 最近売れているから、それなりに稼ぎはいいのだろうか。




 PHSだった。

貴音「そんなでじたるなものに頼ってはいけません」

響「じゃあ貴音は時間が分かるのか?」

貴音「はい、今は七時です。後もうそろそろで夕食です」

雪歩「ななな、なんで分かるんですかぁ?」

貴音「私の腹時計です」




 場が静まり返った。

 その時、ドアを伝った向こう側から、いいにおいが雪崩れ込んできた。

 皆がそれに気づき、貴音なんかは

貴音「ああ、今日はすてーきですか。いいですね。私はそのような料理が好きです」

 といっていた。
 
 皆苦笑しながらドアを開けたら、本当にステーキだった。しかもコーンスープもついてて、周りにはポテトなどの野菜もある。

 恐るべき四条ノウズ。

 

P「さて、色々なことがあったが、皆、今日はしっかり食べて寝よう」

 はーい、という声とともに、頂きますの声が食堂に響いた。
 
 あずささんと俺は乾杯と言いながら、缶ビールをぶつけあった。

 みんなもう恐怖感は失せていた。

 みんな食べ終わると、そのまま部屋に戻って、再び遊戯室に集まることになった。

 俺も部屋に戻ろう。すっかり酔っ払ってしまったあずささんは少し寝るそうだ。

 バスルームは広かった。

 俺はお湯を張らせてゆっくりと浴槽に浸かった。

 温かい。そういえば、この洋館は空調が効いてたのか。

 暫く思考を巡らすが、答見えてこなくて、さっさと汗を流してバスルームから出た。

 替え用のパンツとかもあるらしくて、俺h今日着ていた服をすべて洗濯機に突っ込んだ。

 スーツは動きにくそうだな、と思いつつ洗濯機のスイッチを入れた。

 動きやすいカジュアルな格好がいいなと思っていたが、果たして積まれていたのは俺の希望通りの服装だった。

ビューティフルドリーマー

 さて約束通り遊戯室に向かうと、いつものメンバーがいたりいなかったりだ。

 やよいと伊織は二人でババ抜きをしていた。果たして楽しいのか否か

 どうやら二人で風呂に入ったらしい。小柄な二人だから、バスルームには入れるだろう。

 小鳥さんが悶絶しそうなシチュエーションだ。

 俺はというと一人でボウリングを楽しんでいた。

 やがてアイドル全員が揃って、わいわいがやがややり始めた。

 俺はさっき思ったことを思い出し、わいわいがやがやしている最中に失礼だが美希に声を掛けた。

P「美希」

美希「なんなの、ハニー。ハニーもいっしょにビリヤードする?」

P「遠慮しておく。ボウリングのゲームあるしな」

 ただし古いが。

美希「釣れないの」

P「用はそっちじゃない」

美希「じゃあなに?」

P「美希、今携帯持ってるか?」

美希「持ってるよ」

P「じゃあ時間を確かめてくれ」

美希「壊れてると思うけど」

P「頼むよ」

美希「分かったの……あれ、動いてる」

P「そうか」

 俺は暫く考えたが、暫くして美希達と一緒に遊ぶことにした。

 やっぱり、ソッチのほうが楽しいにきまっている。

 ボウリングゲームで全勝した後、アイドル達は部屋に戻っていった。どうやらもう十一時らしい。

 俺も部屋に戻った。

 部屋に戻るとき、伊織が少なくとも家具ぐらいは欲しいとぶつぶつ文句を行っていた。

 みんなそれに賛同していたため、年頃の女の子だなぁ、と苦笑した。

 美希におやすみなさいのチューを要求されたが、あっさりと退けておいた。

 あんまりアイドルと深い関係を持つと怒られそうだ。

 誰かに。

 深夜
 俺は幸いにもふかふかベッドで安眠していた。

 眠れないなんてことはなく、むしろ睡眠薬でも飲まされたんじゃないかってぐらいの快眠ぶりだった。

 そんな時

 俺はふと目が覚めた。携帯を開いて時間を確認すると午前二時と表示されていた。

 無性に用を足したかったので用を足した後、ベッドに潜り込んだ。

 再び眠りに入ろうとした時

 ドンドン

 ドンドンドン

 ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド

 急にドアの方からドンドンと音が聞こえてくる。

 俺はなんだと思いながら掛け布団に潜ろうとしたが、鳴り止まない

 ドンドンドンドン

 ハドンドンドンニードンドンドンドン

 美希の声だ。

 俺の直感がそう告げた。

 一体何の用だろうか。まさか眠れないのなんて言い出すんじゃないだろうな

 ドンドンドンドンドンドン

 険しくなっていく音に、正直苛立ちを覚えた。

 少々説教してやろうとドアの前に立った時、急に音がやんだ

 何だったんだ、と思いながら、ベッドに戻った。

 音はもう聞こえず、俺はそのまま睡眠に入った。

 

 朝

 俺は起きて再び驚愕した。

 家具がある。しかも2つもだ。

 鏡台と、クローゼット。

 高名なマジシャンのマジックショーをアイドル達と見に行った時の驚きと同じぐらいの驚きだった。

 これは本当にオカルトなんじゃないかという疑問を抱えながら、俺は部屋の外へと出た。

 いい匂いが鼻孔を刺激する。それが直接脳内に伝わり、食事であることを知らされた。

 俺は階段を下りながらアイドル達の声を聞いていた。どうやら起き始めたらしい。

 食堂には貴音が居た。

 しかももう食べ始めていた。

P「おはよう貴音」

貴音「おはようございます貴方様。」

貴音「しかしこれは面妖な……」

 皿の上にはピザが乗せられていた。

 貴音はもう五皿は食べている。

 どうやら、ここはおかわり自由になったらしいなと思いながら、

 椅子に座ると、アイドル達も来た様だったので、いただきますの前に点呼を取ることにした。

 春香・真・雪歩・千早・貴音・響・伊織・やよい・亜美・真美

 計十人。ちゃんと全員いる。

 十人の引率が俺だけというのは心もとないが、まぁあずささんも風邪で休んでいるし仕方はない。

 

 いただきますを昭和しながら、ピザを食べ始めた。

 春香は太っちゃうよ~と言っていたが、太ったらまたお菓子抜きな、というと、すこし控えめに食べていた。

 言い過ぎたかな、と思いながらピザを食べていた。

 しかし美希が風邪というのは意外だった。まぁ最近はずっと仕事だったから体調を崩しても仕方あるまい。

 因みに美希はもうそりゃ国民的アイドルで、前田寄子並の伝説っぷりを作っていた。

 美希の方が美人だがな。

 しかし美希、あいつのことだからちゃんと寝てないんだろうなー。

おっと誤字、唱和です。

P「今日は自由に過ごしてくれ、俺はちょっと自分の部屋に戻る」

伊織「じゃあ私も一階戻るわ。いつまでもパジャマじゃ恥ずかしいもの」

 皆パジャマ姿だったため、一回部屋に戻ることで同意した。

 ごちそうさまでしたを口々にいうと、またぺちゃくちゃ言いながら部屋へ戻っていった。

 

 腹が痛いのでトイレ行ってきます。

 出来れば保守お願いします

それに比べて律子は館に……

気張っても何も出ませんでした。
続けます。

 ふと、階段を登る途中、入口の方の壁を見てみた。

 そこには、巨大な巨大な美少女の絵が張られていた。

P「おお」

伊織「どうしたのよ」

P「いや、あの絵」

伊織「……」

 黙ってしまった。

伊織「大きいわね」

P「ああ」

伊織「しかも見たことある絵だわ。」

P「ん? 確かに、見たことあるな。歴史の教科書で」

 何だったのかは思い出せない。

 結構大きな事件だったんだが。

伊織「思い出せないわ。学校では成績いい方なのだけど……」

P「そういうこともあるさ」

伊織「そうね。家に帰れたら調べることにするわ」

P「ああ」

 俺は伊織と別れると、部屋に戻って、スーツに着替えた。

 カジュアルな方は洗濯機に入れておいた。

 そのまま部屋から出ると、ふと金色の輝きを放つものを見つけた。

金色の…

 髪の毛だ。しかも結構長い。

 俺はそれをつまみあげ、金髪アイドル星井美希のことを思い出す。

 美希は事務所に居なかったのだ。ここにいるはずがない。

 では何でこんなところに落ちているのか、俺は苦笑してしまった。

 美希がここにいるわけない。俺は首を振ってその可能性を否定すると、遊戯室へと向かった。

 ふと、遊戯室へ向かう途中、あの絵を見上げた。

 その少女は手袋をしていた。しろっぽい赤だ。

 ピンクとも言えないような輝きを放つその絶妙な色使いから、相当腕利きの画家が書いたのだろうな。

 しかし誰かはわからない。俺はそのまま遊戯室へと向かった。

 遊戯室には亜美と真美が居た。

亜美「そろそろビリヤードとボウリングゲームじゃ飽きてきたっしょ~」

真美「そうだよね~。もっと色んなゲームソフトとかさ、欲しいよね~」

 なんて贅沢なんだ。

 と、思ったが、退屈してきたのは事実だ。本でも読みたい。

 そんなことを思っていると、アイドル達が集結した。

 アイドル達は自分が望んだことが本当になると思っているのか、やよいは弟と妹に持ち帰る肉が欲しいと言っていた。今度買ってやる。

 しばらくビリヤードのトーナメントをおこなっていると、再びあのいい匂いが伝わってきた。

 食事だ。
 
 遊戯に夢中になってしまった。どうやらもうそんな時間らしい。

 決勝戦を中断してみんなで食堂に向かった。

 そばだった。

 どこからいい匂いが発せられているのか、と天ぷらをかじりながら思った。

 昼食を終わらせると、ボウリングゲームのトーナメントが行われてた。
 
 栄えある俺が一位だ。どんなもんじゃい。

 笑いながら時計を確かめると7時だった。

 念の為に貴音に尋ねると、四条クロックも同じ意見らしい。

 食堂に出ようとして、ドアノブを握る。

 ドアを引いてみるも、ドアが動かない。

響「あれ」

真「どうしたんです?」

P「ドアが」

春香「ホントだ。動かないよ」

貴音「どういうことでしょう、私、もう限界です」

やよい「わーー、貴音さん。お、落ち着いて」

伊織「そうよ落ち着きなさい」

千早「でも可笑しいわね」

亜美「んっふっふ~」

真美「我ら亜美真美隊員に任せない!」

亜美真美「引いて駄目なら押してみろ!」

 あ、いいにおい。

 ガッシャン

 ドアが壊れる音とともに、食堂のいいにおいがもわっと、一気に伝わってきた。

 今日はどうやらラーメンらしい。

 お腹空いて限界ってことです

P「壊れちまったな」

伊織「でも、今なら念じればなんでも手に入るんでしょ?新しいドアぐらい余裕でしょ」

やよい「そ、そうかも」

亜美「流石お嬢様。言えばなんでも手に入ったか!」

伊織「別にそういう意味で言ったわけじゃないわ

真美「怪しいですな……」

 壊れたドアを置きながら、俺達は楽しい宴を始めた。

 ラーメンを貴音は啜りまくり、響は餃子を食べ、春香はまた太るーといっていた。

 千早は食べたら大きくなるかと悲惨なことをいい、雪歩はひたすら熱いラーメンをふうふうしており、

 真を貴音に負けない勢いでラーメンをすすっていた。

 俺は苦笑しながらその光景を眺めつつラーメンを食べている。

 宴が終わると、歯を磨いてくるだの言って、アイドル達が部屋に戻る。

 いつもの俺なら一人で考えていたところだが、まだ食べ終わってなかったので、ラーメンをすすっている。

 因みにやよいはラーメンを啜りながら伊織と話していた。亜美真美同じ。

 さて、俺はっと、言いながら、風呂にはいる。

 みんなも入っているだろうし、大丈夫だろう。
 
 温かいお湯が俺の心を癒してくれる。

また腹痛くなってきました。

トイレ行ってきます。

ふう。今度は出てくれました。
では続けます。

 風呂から出ると、俺はそのままカジュアルな服装に着替える。男にパジャマはないらしい。これは男女差別だ。

 そんなことをかんがえながら遊戯室へと向かうと、俺はそのままボウリングゲームを始めた。

 ドットで描かれたボールは想像以上にレトロで、なんだか癖になる。

 シングルプレイでトーナメントという世界で一番寂しいことをやっていると、アイドル達が降りてきた。

 

 

 夜が更けた。

 アイドル達が部屋に戻ると、俺も部屋に戻ってベッドに潜り込む。

 ドンドン。

 ドンドンドン

 ドドドドドドドド

 ドドッ

 朝
 朝起きると、日課は部屋の観察となっているが、増えたものはないようだった。

 内容はないよう。

 ならば自然と書くべきことがなくなってくる。

 俺はカジュアルな服装のまま、食堂へと向かった。

 いい匂いが漂っている。

 先ず気付いたのは食いまくる貴音だ。

 そして異常なまでの肉の量だった。

P「多ッ」

 あまりの量の多さに恐れおののいた。

 これは……

 そして貴音はそんなこと気にせず、次々に食べている。

貴音「真、いい食材であります」

 アイドル達が匂いにつられて降りてくる。

 皆椅子に座り、点呼を開始する。

 清々しいまでの朝。

 なんともテンプレートになってきた朝の光景だが、これ、本当に東京に帰れるのか。もう相当な時間が経っているはずだが。

 風邪で休みのアイドルも多いし、どうすんだろう。

 点呼を取ると、春香・真・雪歩・千早・貴音・響・伊織の七人がいた。まぁ他のアイドルは風邪で休んでいるし仕方ないだろう。

 肉を食べながら春香は贅肉を心配し、千早は気が狂ったように肉を食べ、響は少なめに食べている。

 雪歩と真と伊織は軽口を叩き合いながら、ほほえましい光景でパンを食べていた。

 貴音は言わずもがな。

 この肉は、やよいたちの家族と、そして事務所の皆に分けようと思っている。

P「おお神よ。そんなに食べるなよ。コレなかった皆日もわけるんだから」

貴音「承知いたしましたあなたさま。では後十枚で終わりにします」

 バケモノだこいつ。

 やがて宴は終わった。

 というか毎食宴になってないか。やよいがいたらうっうーと言いながら感動しそうだが。

伊織「はぁ。やよいにも食べさせてあげたかったわね」

P「お前が家に招待すればいいだろ。いつぞやの時みたいに」

伊織「そうするわ」

 食堂から出ようとした時、ふと遊戯室のドアを見た。



 直っていた。

P「さてっと」

 スーツに着替えてシャキーンと顔を直すと、そのまま部屋を出る。

春香「プロデューサー。剃り残しありますよ……」

 死にたい。

伊織「その腑抜けた顔を治しなさいよねっ」

P「はあ……。なんでそんな辛辣なこと言うかな……たまには俺、女の子女の子してるアイドルが欲しいよ」

春香「眼の前に居ますよっ」

 漫才じみたことをやりながら階段を下って、遊戯室に向かう。

 遊戯室のドアを開ける。真と貴音が見慣れないゲームをやっていた。

P「何をやっているんだ?」

真「テニス……ゲームですっ!」

 スパコーンという音とともに、なんだかえらく綺麗な映像が流れる。

 ああ、Wiiか。

P「なるほどね」

貴音「負けてしまいました……」

 いや、負けていいよお前は。胸が

千早「くっ」

 
 

 雪歩と響も来て、テニスゲームは大盛り上がりだった。
 
伊織「はぁ……あんた……私もあんたみたいな運動神経が……」

真「一緒に鍛える?」

 伊織が真をギロっと睨む。

伊織「断るわよ」

真「チッ」

真「ふー、水がほしいね。ある?」

 真が雪歩に聞く。

雪歩「なな、ないよ……」

真「そうか、水が欲しかったなー」

 もう願えばなんでも出てくるといったような感じだ。東京に帰ったら説教してやる。

 でも俺も願いたいものはあった。

P「そろそろ日本料理が食べたいな」

父親が一回休憩しろというので一回席を外します。

保守お願いします。

ただいま戻りました。どうやら個人的に用事があっただけのようです。

春香「なんだか親父臭いですね」

P「はっはっは。そうかな」

伊織「ほんとよ。大体日本料理なら魚料理で食べたでしょ」

貴音「いえ、あれは日本料理とはいいません」

伊織「じゃあ何なのよ」

貴音「魚料理です」

響「なんだか禅問答みたいだぞー!」

父親は腕を痛めて休業中の臨時ニートです。今日の夜から仕事らしいですけど……。
大学生のくせして実家に寄生している自分が言えたことではありません。
貴音「そういう響は、欲しいものはないのですか?」

響「自分かー? そうだなー。学力が欲しいかなー」

伊織「深刻な問題ね……」

 いい匂いがしてきた。そろそろ昼食か。

 貴音がよだれをたらしている。おい。食う前に拭けよな。

 昼食はペペロンチーノだった。なかなかに美味い。

 そしてそのまま昼食を終えて、更にゲームに興じた。

 内容がないよう。

 つまるところ、特筆することはない。

 夜

 風呂に浸かってさあ寝るか、となり、ベッドに潜り込む。

 するとすぐに微睡んで、気づけば寝ていた。

 しかし

 ドンドンドン

?「ヤメ」ドドドドドドドド

 ドカッ

 ドカカカ

 ドドドド

 ドドドドドドドオ

 ドッゴォ

 ドガドドガガガガ

 マコトチャドガガガガ

 ガガガガガガ

 ヒドガガガッ

 俺は怒りに燃えていた。

 午前一時にここまでうるさい音を出されてたまるか。

 俺はドアを開けて、一つ、怒鳴った。

P「うるさぁい!」

 そしてドアを閉じて、再びベッドに潜り込んだ。

 朝になれば、大丈夫だろう。

 朝。

 なんて清々しい朝だろう。今の俺ならヨーデルを歌うことすら容易である。

 ルンルン気分でひげを剃って、ルンルン気分で部屋を出る。

 これが躁状態ってやつかふひひ。

 気持ち悪いことを考えながら食堂へと向かう。いい匂いは充満しきっていた。

 これは待ちに待った日本料理だと俺のシックスセンスが告げる。

 貴音はすでに食べ始めていた。そう。寿司を。

 寿司ィ!?

P「高級料理だな……」

 しばし放心状態でうにを眺めていると、アイドル達も降りてきた。

 さて、点呼から始めよう

 アイドルは、春香・貴音・千早の三人だった。

春香「待望した料理じゃないですか?」

P「ああ。俺は今幸せだ」

千早「寿司程度で幸せだなんて……」

貴音「千早、食べ物に程度は失礼ですよ。私たちはこうして食べることにより幸せを享受しているのですから」

P「流石貴音わかっていらっしゃるな」

P「だがな。欲を言えば」

春香「欲を言えば?」

 俺は溜めた。溜めれば溜めるほど三人の視線が俺に集まる。

P「なぜ俺たちがここに来たのか。なぜ洋館が出来たのかが知りたいね。あと東京にも帰りたい」

春香「そうかもしれませんね」

千早「4人とも同じ意見ですよ」

貴音「ええ。その通りです」

 その時だった。








 


 洋館が崩壊した。

 いや崩壊したのではなかった。まるでそこからなかったかのように、洋館の存在が消えていた。

 4人とも目を点にするが、次に現れたのは近未来的タワーで、次に原生林が、次には海が。

 めまぐるしく変わっていく景色の中、俺の目の前から一人、また一人とアイドルが消えていく。

 アイドルは消えていく

 消えていく


 プロデューサーという声を残して

 プロデューサー
 プロデューサー
 プロデューサー
 プロデューサー
 プロデューサー
 プロデューサー
 プロデューサー
 プロデューサー
 プロデューサー
 プロデューサー
 プロデューサー
 プロデューサー

春香「プロデューサー起きてくださいよ~」

P「はっ・・・夢か!」

 十二人の声が俺の心のなかに満たされていく

 十二人とともに過ごした記憶が戻っていく。

 十二人が消えていく記憶も戻っていく。

 俺の中の全てが満ち足りていく。

 ここは。



 最初の草原だった。

 目の前には二人の人間。

 一人は紳士のような格好の男性。服の下からも筋肉が見えている。

 もう一人は少女。どこかお嬢様な感じがする。

 車椅子に座っている。

 この少女、絵に書いてある少女だ。

 赤く染まった手袋をしていた。
 

少女「漸くその言葉を言ってくださいましたね」

 少女が声を出す。見た目とはかけ離れた落ち着いた声だった。

少女「ここがどこだかお分かりで?」

 俺の口からうまく言葉が出ない。しばし待ってくれたようなので、深呼吸する。

P「最初の草原か」

少女「正解です。」

 少女はにやりと笑った。

少女「聡いあなたなら記憶を取り戻した今、私達がしたことがお分かりいただけるでしょうかね」

P「だいたいはな」

 俺はもう落ち着きを取り戻していた。それでも、ゆっくりと慎重に言っていた。

 男性は直立したまま、何も言おうとはしない。

少女「では、改めて説明するまでもないと思いますが、説明を」

 俺はつばを飲み込んだ。俺の推測が当たっていれば、こいつらはとんでもないことをしている。

 人間には出来ないことだ。

少女「私はずばり、時間を操ることが出来ます」

 風が草原に吹く。ざわざわ、とまるで三流ドラマのような演出が為される。

P「そんなところだろうとは思っていたよ」

 少女は再びにっこりと笑顔を作った。どこか屈託のある笑みだった。

少女「どこで気づきましたか?」

P「最初におかしいと思ったのはアイドル達の携帯の時計が止まっていたところだ」

少女「流石ですね」

P「あの時は俺も故障だと思ったよ。でもね。その前にも考えてみればおかしいことはあった」

少女「へぇ?」

 少女は再び笑ってみせる。強がった笑みであることを期待する。

P「この草原に着いた時、美希はお腹が減ったといった。それを聞いた伊織はこう答えた『もう3時だから仕方ない』とね」

少女「おかしいとは思えませんね」

P「違う。俺達が転送された時、俺はバーベキューをしようと思い立って、文字通り椅子から立ち上がった瞬間、ここに飛ばされたわけだ」

少女「そうでしたね」

 クスリと、少女は笑う。

 俺も可笑しい気分だ。

P「普通、午後三時にバーベキューをしようとは思わん」

 ざざざ、と草原がくだらん演出をまたする。
少女「それで?」

P「俺はその時、こう思った」

P「ここは、もしかしたら時空がねじれている世界かもしれない」

少女「ご名答。見込んだ通りですね」

 ぱちぱちと、2つの拍手が虚しく響く。

 男性も拍手をしていた。

P「携帯の話に戻すか」

少女「そうしましょう」

P「そして夕食を食べ終わった時、美希に携帯を開いてみてくれと頼んだ」

少女「あらそうですか」

P「時計は動いていたよ」

 あの時、時を刻んでいる時計をみた美希の顔を忘れることは出来ない。

 さっきまで忘れていたのだが。

P「遊戯室で聞いた話だから、遊戯室だけ時間が止まっているとは考えにくい」

 少女がニヤリと笑みを浮かべる。騙してやった、という笑みだろう。
 
 だが俺はその笑みを見逃さない。

P「と、推理して欲しいのだけれどな」

少女「む」

 少女が少したじろぐ。

P「本当は、遊戯室の時間が止まっていたんだ」

少女「そう考える根拠は?」

P「さっきも言っただろ。携帯が時を刻んでいない」

少女「確かにそうですね」

P「だけども、そうすると俺達が動けない」

少女「そのとおりです」

P「三日前、響と真が魚を捕まえに行った時、響がこう言ってたよ」

前スレurlはよう

P「『浅瀬にばかり魚がいた』って」

少女「そうですか」

P「最初の草原最初の草原言っていたが、俺達が最初にたどり着いたのは砂浜だ」

少女「ええ」

P「ちょっと苦しいが、もし、ここの空間に通じる道が海の近くにあるのであれば、魚が大量に砂浜側にいても不思議ではないな」

P「そして通常は沖合に戻るはずだが、ずっと浅瀬にいた。これは要するに、響と真が間接的に時を止めてたということだ。局地的にな」

少女「なるほど」

P「これにはもう一つの仮説が考えられるが、後にしておこう」

少女「そうしてください」

 再びにっこりと笑う少女。

 俺は、ゆっくりと息を吸い込み、夜のことを話し始める。

P「真夜中、何度か俺の部屋のドアが叩かれたことがあった」

少女「存じております」

 さるさんです

 俺はあの時のことを思い出す。
P「でもあそこまで印象に残るはずのことが記憶に残っていないわけがない」

少女「ええ。まぁ普通に考えればそうですね」

P「それどころか、俺は。いやアイドル全員が、消えていったアイドルのことを忘れていた」

少女「そうでございますね」

P「ある種記憶を操っていたと思う」

少女「ご名答です」

P「お前がやったのか」

少女「いいえ、そこの執事が」

P「あなたですか」

執事「はい」

P「では、アイドルを連れ去って言ったのもあなたですね」

執事「左様でございます」

 執事と呼ばれる男性は、恭しく頭を垂れる。

P「なるほど」

前スレはないですよ

P「あの時、アイドルがドンドンと俺のドアを叩いてたでしょう」

執事「はい」

P「どう思われましたか」

 沈黙が少し訪れる。

執事「起きなければいいが、と思っています」

P「違うでしょう」

執事「……」

 執事は俺のことを睨みつけるようにして見ている。やはり、この男、俺のことを厄介な奴だとしか認識してないらしい

亜美「精神と時の部屋を要求するー」

P「厄介なことをしてくれたな、程度に思っていたはずです」

執事「慧眼でいらっしゃいますね」
 
 若干使い方を間違えてるような気もしないではない。

P「あなたはその報復として、本来抱え込んで階段を降るはずが、引きずって階段を降りた」

P「「其の筋肉がなせる業です」

執事「正解でございます」

P「だからこそ、ドアを叩く音以外の音が聞こえたんだ」

P「アイドルに怪我はないでしょうね?」

執事「ないですよ」

P「それはよかった。でもあなたは怪我を負われたようですね」

執事「そうですね」

 若干紳士の口調がフランクになってきていないか。

P「真に力づくで当たったのは失敗でしたね」

執事「不覚です」

P「あの時雪歩が真のことを気遣う声が聞こえたということは、命からがらといったところですか」

紳士「はい」

P「で」

 俺は少女に向き直る。

P「君に質問だ」

少女「はい」

P「アイドルはどこにいるんだ?」

少女「最初の砂浜にいらしゃいます。ただし檻の中で眠っていらっしゃいますよ」

 

>>296
アケマススレに帰ろうぜ

P「死んでは居ないんだな?」

少女「無傷です」

P「アイドルを開放してくれないか」

少女「よろしいですよ──ただし」

 少女が人差し指を一本、空に向かってぴーんと伸ばす。

少女「私をアイドルデビューさせたら、ですが」

 一瞬何を言っているのか分からなかった。

P「はぁ?」

少女「おや、びっくりいたしましたか」

 もはやびっくりという次元ではない。驚愕を通り越した何かである。

P「お前は犯罪者、しかも親殺しの犯罪者だぞ」

少女「やはり後世の評価はそうなのですね」

P「ああ」

 少女が描かれた絵を思い出す。あの赤く染まった手袋は血で染まっていたのだ。

少女「ふむ。最初の一日は食料までわざわざ提供したのにですか」

P「やはり俺たちを少しでも長く生きるようにしといたのか」

少女「はい。料理だって結構腕をふるったんですがね」

少女「それでも駄目ですか」

P「断ったらアイドルともども命を奪うつもりか」

少女「おや、お気づきですか」

P「BKA40とイブニング娘、それぞれプロデューサーと一緒に葬られているな」

P「あの銅像の台座の中に骨でもあるんだろう」

少女「そのとおりですよ」

P「やっぱりあの銅像は死者の一覧か」

少女「そうですね」

P「今まで葬られてきた奴はもっといるだろう。ほかはどうした」

少女「保管してありますよ」

P「なるほどね」

P「お前は外に出たことはあるのか」

少女「いえ、親を殺してからは」

P「執事さんは」

執事「同じく」

 暫く考える。

P「いいよ。じゃあ俺がお前のプロデューサーになろう。但し、うちの事務所の人間には手を出すなよ。約束だ」

少女「承知しました」

 少女が目を瞑る。力を使っているのだろう。

 しばらくして、少女が再び瞼を開ける。

少女「転送いたしました」

少女「では」

 再び少女が目を瞑る。何をやろうとしているのか一瞬で把握できた。マズイ。

P「待ってくれ」

少女「はい?」

P「脚は向こうに行ってからにしてくれ。一回車椅子を押してみたい」

 少女は俺を信じきっていた。くったくのないにっこりとした笑みを見せると

少女「分かりました。どうぞ」

 俺は車椅子を押しはじめた。

 執事も内心笑いをこらえるのに必死だろう。俺もだよ。

 第三者から見れば至って微笑ましい光景だろうが、俺は真剣だ。

少女「ゲートです」

P「覚悟はいいな。向こうのアイドル生活は厳しいぞ」

少女「すでにできております」

P「そうか。じゃあ場所はそうだな、東京のできるだけ人気のない公園にしてくれ」

少女「無尽の公園に致しましょう。しかしなぜ?」

P「先ずは歌のテストだよ。誰かに見られるのってはずかしいだろ?」

少女「確かに」

 向こうの世界の光景が見えてきた。人が誰もいない。こんなところが東京にあるのか。

P「ここにしよう」

 俺は車椅子を押しながら。執事・少女とともに。東京の土を踏んだ。

少女「ここが東京の、外の空気」

執事「誠、よきものでありますな」

少女「ええ。で、歌のテストは?」

P「さて、と。プルルル」

 律子に電話をかける。多分もう気が付いてるだろう。

少女「ちょっと、歌のテスト……あれ……」

律子『はい秋月です』

少女「なんで……体が……」

P「律子か。今東京のどこかにいるんだよ。この公園の最寄り駅まで行くから車で迎えに来てくれ」

執事「お嬢様……我々の体が……」

律子『分かりました。でも私達って」

P「話は後で。車飛ばしてくれ」

律子『はい』

 電話を切る。ふと少女の方を向く。
少女「なんで……あれ……」

執事「だ、騙したな……」

P「騙したつもりはないぞ。そうだな。人生で嘘をついたことは一回しかないな」

P「ああ、それを騙したっていうのか」

少女「ぐ……」

P「その姿じゃ厄介な能力とやらも使えんだろう。向こうで時間の膜でもなんでも、自分の時間をとめておけば、そこまで酷い老化は防げただろうな」

 少女たちは、考えられない姿をしていた。

 腕や足からは骨が露出し、肉は腐れおち、眼球は飛び出るようになっており、言葉もまともに喋れない。

 おそらく脳の老化も始まったのだろう

 歌のテストもできるわけ無いだろう。

少女「が……」

執事「……」

 執事の方が幾分か年をとっていたので先に骨となり朽ちた。その骨さえも今崩れていっているが。

少女「が……」

 少女も持って数秒だ。

少女「な……んで」

P「残念。答える時間がもうない」
 
 眼球は完全に腐り、全ての肉体が腐れ落ちた。

 2つの白骨死体から、そのまま離れて、最寄り駅へと向かった。

 一週間後

 あれから一週間が経った。

 765プロは全員がその記憶を共有し──小鳥さん除く──、団結が更に深まった。

 小鳥さんにはなぜか飲みに行くのに付き合わされ、バーベキューの正式な日程は決まった。

 俺が何をしたのかは誰もしらないことだ。知らなくてもいい。

テレビ「続いて、東京都の××公園から発見された2つの白骨体ですが……」

 そういえば今日、俺の肖像画が届いた、注文したつもりはないので、段ボール箱の上に積んでいる。

テレビ「どうやら、数十年前のものと言われており、DNA鑑定の結果、あの歴史的──」

 手袋の色は、それはもう真っ赤っ赤だった。

                                       完

 

今まで支援ありがとうございました。
途中腹痛や親の呼び出し、ラストスパートでのサルさんとか色々とありましたが、七時間に及ぶSSを無事に終了できたことは誇っています。
まぁ、その時に支援して下さった方々、保守してくださったかたがた、また応援してくれた方々に感謝を捧げつつ、このSSを終了致します。
ラストの時間の話しについてよくわからないという方がいらっしゃいましたが、作者が一々言うのは野暮だと思いますので、どうぞ落ちるまで語り合って下さい。



次はもっと明るい孤島モノが書きたい──

あ、何。なんか終わったら書くんじゃないのこれ。

なんだよめちゃくちゃ恥ずかしいじゃん。

なんだよマジかよ。
まぁ次もやると思うのでその時はまたぐらいのテンションでよかったのかよ失敗したよ。

うはwwwwwwwwwワロタwwwwwwww


ワロタ……

じゃあそろそろ自分は黙ってます。
次もやるのでその時はまた~

長くなりましたがこのSSはこれで終わりです。
ここまで支援、保守をしてくれた方々本当にありがとうごさいま した!
パート化に至らずこのスレで完結できたのは皆さんのおかげです (正直ぎりぎりでした(汗)
今読み返すと、中盤での伏線引きやエロシーンにおける表現等、 これまでの自分の作品の中では一番の出来だったと感じていま す。
皆さんがこのSSを読み何を思い、何を考え、どのような感情に浸 れたのか、それは人それぞれだと思います。 少しでもこのSSを読んで「自分もがんばろう!」という気持ちに なってくれた方がいれば嬉しいです。
長編となりましたが、ここまでお付き合い頂き本当に本当にあり がとうございました。
またいつかスレを立てることがあれば、その時はまたよろしくお 願いします! ではこれにて。

トリックは即興ですとかなんとかが一番好きだわ

>>371

終わったーーーーーーーーーーーーーー!!
自分史上最長スレになってしまった。
以下反省。
・謎解き(?)パートの部分は、ア ド リ ブ です。
バクマンでやってた過去の描写をむりやり伏線にするって奴をやってみました。
面白かった?
・決まっていたのは、えるたその結婚と夢オチだけでした。
・夢パートが書いてて胃がいたくなるくらい救いがなさすぎたので
 現実ではゲロ甘にしました。砂吐いた人がいたら <>>1> の勝ちっ!
長々と語ってしまいました。
保守、支援、本当にありがとうございました!!

作者「おはつおめにかかります」
作者「このたびFate/zeroのSSを書かせていただこうと思いスレを立てた作者です」
セイバー「このスレタイだけではではStaynightかZeroか判断できませんね」
作者「はい。それを説明したかったのがご挨拶の本当の目的だったり…」
パァン
作者「はうっ!?」バタッ
切嗣「目標の殲滅に成功…」
セイバー「いったい何が!?まさかアサシンのサーヴァント!?」
作者「いや…魔術師の戦いに銃なんて…切嗣かな…」
作者「でも切嗣に殺されるなら本望かも(´∀`*)」
セイバー「何を言っているんですか…」
作者「だって好きなんだもん!!」
作者「う、それはそうと…次のレスからSSが始まります…どうかお楽しみいただければ幸いです…」パタリ
セイバー「マスター!!」スゥ(消滅)

男「まずこのssにて注意していただきたいことが」

1、>>1はss初心者。「いくらなんでもこれはないわ」とか「キモ過ぎる」
とか思った人はブラウザの戻るを押してください。
2、メタ発言があります。ご容赦ください。
3、更新が遅くなります。

男「まあこんぐらいか。あとは…まぁキャラの設定としては>>1の知り合いなどが使われている。
  ちなみに主人公の設定はほとんど作者だ。」

男「次から口調かわる」

男「じゃぁ温かい目で見てやってください。はじまりはじまりー」

レスありがとうございます。蛇足はないほうがいいという方もおられますが、一度きめたことなので投下させてください。
反対してくれた方、本当にごめんなさい。

【閲覧注意】蛇足

実はこのSSは僕の7年間の遠距離恋愛がベースになっています。
もちろん、秒速5センチメートルと絡ませるためや特定を防ぐために、無理やり時系列や場所、内容はいじっています。
でも各キャラの言い回しなどは当時のをそのまま使っています。そしてこのSSに登場するキャラにも全てモデルがいます。
ちなみに男はSSの内容を盛り上げるためにモテる設定でしたが、僕は一度も告白されたことがありませんし、
告白したのも小学生の時からずっと好きだった幼馴染のモデルになっている女の子に中学の時に告白をしたのが唯一です。
そしてこれからもずっと死ぬまで好きでい続けたい子もその子です。
ちなみにイケメンのモデルの奴も本当にあんなくそ野郎で幼兄のモデルになった人にボコられました。

じゃあ何でこんなことを蛇足で書くかというと、『あの映画』だけが遠距離恋愛の結果じゃないということを知って欲しかったからです。
すごく上からな発言になってしまっていますが、『距離』に負けなかった『二人』が少なからず実在するんだってこと、
そしてその『距離』に勝つためには、このSSでもキーワードになっていますが、『想いをちゃんと伝え合うこと』、
そして『大事な二人だけの約束を交わし、果たすこと』、これが『距離』に勝つために大切なことなんじゃないかということを
僕の実体験をもとにこのSSで皆さんに伝えたかったからなんです。

以上で蛇足は終了です。気分を害された方がいたら本当に申し訳ありません。でもこれから、遠距離恋愛に挑もうとしている方、
もしくはすでに途中の方、そして遠くに好きな人がいる方になんらかの考えるきっかけになればと思っています。
また、あの『秒速5センチメートル』という映画には僕自身とても考えさせられました。確かに僕もあの映画を見て凹みましたが、
「あんな結果にならないためにも」と、遠距離恋愛に絶対に負けないという気持ちが逆に強くなったきっかけにもなりました。
そのおかげで僕は7年という年月を乗り越えて彼女と一緒になれました。なので、皆さんにもそういう風にあの映画を捉えてもらえれば、
あの映画を見たことも決して無駄ではないと思えるのではないかと思います。

では長々と書いてしまいましたがこれで本当に本当に終わりです。ここまで読んで頂いて本当に本当にありがとうございました。

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