ドイツ育ちの日本人娘「ジャップは裏表がひどい。好きになれない」 (24)

「日本人って、思ってもいないことを、にっこりしながら言う。最低!」と、次女のMが言った。

 彼女は、今年の夏、日本のある病院で看護師の実習をした。
ヨーロッパの大学では、外国での実習を自分の学科の単位として組み込める制度がある。
ただ、喜び勇んで来たものの、Mはまもなく、自分が受け入れられないと感じて、ひどく落ち込んだ。

■「なぜ日本を好きでなければいけないの?」

 違和感は日に日に膨れ、Mの日本アレルギーは、あっという間に高じていった。
小さい頃から日本に親しみ、日本が大好きだった娘が、
今になって日本嫌いになるかと思うと、私は気が気ではなかった。

 それを知った私の周りの人間の反応は、おかしいほど一致していた。
それは、「Mちゃんが日本を嫌いになっては困る!」の一言であり、
続々と対症療法が提案された。
弟曰く、「よし、一度皆で旨い物を食おう」。
友人曰く、「息子を派遣するから、若い人たちで日本での楽しい思い出を作ってもらおう」などなど。

 ところが、それに対する娘の反応が、再び私を戸惑わせた。
「なぜ、私が日本を好きでなければいけないの?」

 「当たり前でしょ。日本に来た外国人が悲しい思いをして、挙句の果てに
日本を嫌いになるのは、見捨てておけない。
あなただって、ドイツにきた外国人がそんな思いをしていたら、どうにかしたいと思うでしょう」

 すると、彼女はしばらく考えて言った。「ドイツで困っている外国人を見れば、もちろん助ける。
でも、それはドイツを好きになってほしいからではないわ」。
私は、不覚にも口ごもった。

http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/39383

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