女騎士「ありがたく思え。絶滅タイムだ」 (1000)

≪過去スレ≫
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≪あらすじ≫
「童貞くん、君の肉親を私ぁどんどんおみまいしてくぞぉ。実家か? それとも共和国か? スポンジが腐らないうちにいくぞ私ぁ」

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1387555249

7538315です!!

デュランダル持つと敵が魔物系の時自動防御だけでなく超スピードも手に入るし
ヴォーパル鋼の体魔効果で攻撃も通じるからヘルシングなら通用しないでもない

ブラクラはなぁ···近代兵器が強すぎるんだよなあ

そういやヘルシングの吸血鬼の皆さんも容赦なく近代兵器使ってたわ
しかも人間には扱えないデカい奴
すっかり忘れてて生身で戦うこと前提にしちゃった

女騎士「ジョワユーズ・レクイエム!!」

敵兵「俺の側に近寄るなぁぁぁぁああ!!」

そろそろ本編観てえ

騎士ほ「彩弾を確認、赤……中尉、どう思いまして?」

ポニテ「先ごろより共和国の駐屯兵の動きが慌ただしい……賊にでも入られただけにしては不自然すぎます。
そんな中、アルヴライヒに属する我々が指定した信号パターン……」

騎士ほ「向かう価値はありましょう、出ます」

息子「もしかして、大将でしょうか。まだ、指定の日時じゃあないのに……」

騎士ほ「何も無ければ御の字、何かあるならそのまま回収いたしましょう」

ポニテ「……では、雪風が強まる前に向かいましょう」

騎士ほ「了解。落ち着いてついてきてくださいまし、若様」

息子「はいっ」

ポニテ「戻る途中で吹雪かれなければいいのですが……ん、んん?」

騎士ほ「どうかいたしましたか」

ポニテ「……」


妹「悪ぃ子はぁーwwwwwwいねがぁーwwwwwwwwwははははははっ、ははははははっ!!」


ポニテ「屋根を人間が走っています」

騎士ほ「何をばかな」

ポニテ「走っています!」

騎士ほ「人間でも屋根くらい走れますわ、そんな事より若様がお風邪を召しては大変です。早く火元を確かめましょう」

ポニテ「」

エルフ三男「助けてください、追われているんです!!」

老爺「おやおや……訳ありのようですなあ」

老婆「あなた、ちょっとくらいはいいんではなくて?」

姉「あうー」

エルフ三男「悪漢が僕たちを執拗に……お願いです、匿ってください!!」

老爺「そうじゃなぁ……お若いエルフさん、お入んなさい。外は寒いでしょう」

老婆「あたたかいものを淹れまあべし」


エルフ三男「くっ!!」


老爺「こればあさん、どうしたというんじゃぁぽ」


エルフ三男「扉を閉めろ!! 狙ってる!!」

姉「ふあい」

エルフ三男「(咄嗟にじじいばばあを盾にはできたが……このボロ家にずっと籠城してはおれんだろうな……
いよいよ表で本格的に銃を使い出した、まずいぞ……!!)」

姉「閣下、閣下ー。おむかえ、いつ来るのお。いつ?」

エルフ三男「もうすぐだ、もうすぐ来る……20分とかからんはずだ」

姉「そっかー……」

エルフ三男「これは……北西の散弾銃か。なかなかいいものを持っていやがる、老後の備えにしては過ぎたものだな」

姉「閣下、閣下ー」

エルフ三男「緊急事態だ、使わせていただく。こっちは……」

姉「閣下ってばあ、閣下ぁ」

エルフ三男「うるさいっ、クソアマ!! ちゃんと家まで帰してやるからおとなしくしてろっ!!」

姉「はあい」

エルフ三男「建屋の屋外から最後に彩光弾を撃ってから10分。早めに見つけてもらいたいところだが、迂闊に窓から顔は出せんな……
あの聖剣かついだバカが暴れまわってくれているおかげで、三国はいらぬ警戒を強いられているようだが……」

姉「さむぅいー、閣下ぁー」

エルフ三男「……何ですか」

姉「寒いねぇ、こごえちゃうねぇ」

エルフ三男「暖炉の前でまるまっていなさい、毒ガスでも注入されない限り表には出られませんで」

姉「閣下は寒くないのお?」

エルフ三男「寒い。もういやだ。帰りたい。僕は差別と寒さと不衛生が何よりも嫌いなのです」

姉「じゃあね、じゃあね、閣下はわたしがぬくぬくしてあげるの。ぎゅうーしよ、ぎゅうー」

エルフ三男「頼むから黙っててくれ、戻ったら抱いてやるから喋るな」

姉「はあい」

エルフ三男「……」


妹「ウラヤマシー、ウラヤマシーですわーこりゃあー!!」


エルフ三男「(……もう嗅ぎ付けてきやがったッ!! 階下からかッ!?)」


妹「童貞精液搬送機の分際でぇぇぇ、なかなか頑張るじゃああーりませんかぁぁー!!
いますわよねぇー、ここにいますわよねぇー!! くそ強い私にはっ倒されるべきチビガキはここにいますわよねぇー!!」

エルフ三男「もうお手上げ、勘弁してください……ほんと、もう……」

妹「おやぁ、おやおやおやおや、どうしたんですかぁ、どうしたっていうんですかぁ」

エルフ三男「先日も聖剣引っ提げた勇者様に散々追いかけ回されたんです、もう怖いのはうんざりなのですよ」

妹「拍子抜けぇ!! 何ですのそれぇ、そうじゃないでしょう、もっともっともっと騒いでくださいましぃ。
騒ぐだけ騒いだら、その詭弁を私が説教に硬軟織り交ぜてじっくり諭してさしあげますからぁ!!」

エルフ三男「弁解させていただけるのなら助かります……そもそも、貴女の目的は何なのですか」

妹「剣です。御存知のはずですわぁ、あの乳ウシと毎晩寝ていたあなたならぁ……」

エルフ三男「お渡ししたら、帰って頂けますか?」

妹「ぷりーず」

エルフ三男「帰って頂けますか?」

妹「ください」

エルフ三男「帰って頂けますか?」

妹「よこせ」

エルフ三男「帰って頂けますか? お帰り頂けないなら、乳ウシの頭は吹き飛びます」

姉「ちちうしー?」

妹「……」

エルフ三男「(やっとホルスタインに利用価値が出てきたぞ……この妹、聖剣と同時に持ち主の回収まで命じられていたらしい……!)」

エルフ三男「(あの勇者とのやりとりで確信した……! この女が携えていたのはまさしく真の聖遺物!
手放すのは惜しいが、ここで始末されるのは癪だ。コイツのバックにいる連合が何を腹に抱えているか知らんが、乳ウシが役に立つとは……!)」

妹「(ふっっっっざけんじゃあねーぞぉぉ……くそくそくそくそがぁぁぁ!!
小姉様の右腕!! 小姉様の頭脳!! 小姉様の竿役がここにいながらぁぁぁッ!!)」

エルフ三男「どうします? 僕もみすみす殺されたくありません、生きて帰りたいのです」

妹「(骨董品!! 何か手はないんですのぉぉ!! 勝利の聖剣のくせにボケーッとしてるんじゃありませんわ!!)」

ウルスラグナ「(やはり、ここで貴女のお姉様まで殺害してしまうリスキーな選択は避けるべきです……
条件を呑んで、マスターの方はのちのち日を改めて回収するほか……)」

妹「(こんな砂場に捨てられた生ゴミにタカるフナムシみたいな連中にぃ、超TUEEEEEE私が交換条件で手を打つんですのぉ…・・・!?)」

ウルスラグナ「(……)」

妹「……わ、わかりましたわ。バルムンク……そちらの聖剣で手を打ちましょう」

エルフ三男「(やけに早く折れたな……しかし、こちらも細工や仕掛けを施す余裕がないのも事実、僥倖と考えるほかあるまい)」

妹「(ああもう……もうもうもう!! 難しいコマかい事はめんどくさいですわぁ!! あの小姉様に聖剣が渡るなんて、あってはならない事ですし……
もう、もうあの雷帝閣下に怒鳴られるのもごめんですわぁ……聖剣だけでも回収した実績があれば、あとはきっと連合も分け前をくださる筈ですわ!!)」

ウルスラグナ「(そう、そうです……今の最優先事項はバルムンク。バルムンクだけを優先なさい、マスター……)」

エルフ三男「……」

姉「あーうー」

エルフ三男「(あれだけ仰々しく憲兵を引き連れてきたかと思えば……もう帰って行きやがった)」

姉「さむぅいぃ……」

エルフ三男「(あの勇者サマよりかは与しやすいバカだったのが救いか……また寿命が縮んだわ……
何にせよ、もう二度とあんなカスどもに関わるものか、聖剣のマスターなんぞ頭が腐りきったアリもハエもたからんバッファローの下痢便よ……)

姉「……おなかすいたー」

エルフ三男「(しかしバルムンク……あれを逃したのは本当に痛いッ……!! あれを手に入れられたなら、守銭奴の糞尼も黙らせられたものを!!)」

姉「……」

エルフ三男「やめだやめだ……生きて騎士様の寵愛に預かれる事を悦ぼう……おお、我が麗しの騎士様、愛しております」

姉「おお、わたしも閣下すき! あいしてる!」

エルフ三男「……」

雷帝「それで、おめおめと聖剣だけ受け取って戻ってきたと。ああ情けない、なっさけなぁぁぁい」

ウルスラグナ「……」

雷帝「……ま、生きていらしたのが分かって良かったですわぁ。ああ良かった良かった良かったぁぁ」

ウルスラグナ「彼女……アジ=ダハーカの実姉の事ですか?」

雷帝「ええ……『敬慕』の天威を有する聖剣バルムンクの現マスター、正教会のお気に入り……」

ウルスラグナ「本国や軍部には、バルムンクさえ確保できていれば文句は言われないでしょうに」

雷帝「そう納得できればどんなにラクか……もう、私には無理なのでしてよ。もう、私はバルムンク……彼女の虜なのですから」

ウルスラグナ「なるほど、貴女を彼女へ傾倒させる『敬慕』の天威であり……永く保持していた帝国を堕落へ導いた『腐敗』の呪い」

雷帝「これを『腐敗』と解釈されるのは非常に不愉快ですわねえ……いくら教皇領の貢物兼回し者とはいえ、言葉が過ぎましてよ」

ウルスラグナ「これは失礼」

雷帝「大体、私が彼女を慕う事に何の問題がありまして?」

ウルスラグナ「……」

雷帝「バルムンクの後継者……彼女の実の娘であるこの私が。わが愛しき母を慕ってどこがいけないのです?」

ウルスラグナ「重ねて、お詫び申し上げます」

雷帝「あのカスがネキリをしくじりやがった時には、本当に肝を冷やしました……共和国のエクレアが2ダースしかノドを通らなかった。
しかし、彼女は生きていた……バルムンクの加護が彼女を救ったのですわ。なんてすばらしい……さすがは……私のお母様」

ウルスラグナ「そのしくじった当の本人を、けじめという形で登用するとは……」

雷帝「そんな事言ったってぇ……私の調べで、聖剣を手にする事ができるのは勇者の血統にある人間。
こればかりは、ある程度頭が弱くて、その直下にはいくらくたばっても文句を垂れられない人材が揃っていた方が好都合ですもの」

ウルスラグナ「実にピンポイントな登用だったわけで」

雷帝「うふふ……ともあれ、バルムンクは私のものでございます。その証拠に……」


雷帝「ほらぁ、うふふ……ごらんなさい。剣はこんなにも軽々と鞘から抜く事ができる。
バルムンクもまた、私を愛してくれている……私の身体を流れるお母様の、勇者の血潮を愛してくれている!!」

ウルスラグナ「お美しゅうございます、雷帝閣下」

雷帝「……聖剣を抱くに相応しいのは、この雷帝以外に存在しません。でしょう、ウルスラグナ……クシャスラ=ワルヤ?
本国だろうが情報庁だろうが……誰にも文句は言わせません……全て等しく、聖剣の主に跪くべきなのです……」

第9部破 プリン編

                ┼ヽ  -|r‐、. レ |
                 d⌒) ./| _ノ  __ノ 

第9部窮 二つは野沢菜って言ったじゃねぇか!

                                       ー- 、 ー-、``/  
                                      _, '  ._, '  \  
                                    -------------------
                                     制作・著作 NHK

姪ちゃん無印(起動直後~調整改良済)
姪ちゃんver.2(ゼロシフト使用可能)
ダメージ姪ちゃん(半裸)
ネイキッド姪ちゃん(全裸)

名前出てる死亡者リスト(1~4部)

兵長
騎士い、へ、り
半殺しにされた後ほの字に市中ずられたオークのガキ
魔術師煮込んだオーク(↑の親)
魔王城のメイド
オーガ文官(騎士との親父)
竜騎手1~3&そのドラグーン
将軍乙
エルフ長兄&次兄

モブ死亡者リスト(1~4部)

帝国地方駐屯軍(捕虜も女騎士が[ピーーー]よう指示)
東方連合本隊(北西のドラグーンに完敗)
一般オーク(女騎士がry 、騎士いへりも居住区惨殺)
オーク部隊(皇宮陥落作戦時に女騎士指揮による攻撃で全滅)
サイレーン&魚人水上部隊(↑と同時に製鉄所確保→水銀のコンボで全滅)
北西竜騎兵部隊(共和国にてほの字のテロ攻撃で大打撃)

大勢死んでる
まぁ戦時中だったしな

pm5:00

エルフ三男「馬鹿者どもォ!! せっかくの降誕祭の日、遊んでいる場合か!! すぐに会場を用意しろ!!」

エルフ近衛兵「待ってください閣下、もう少しで……それロン!! ロンです騎士様!」

秘書「何ですかそれぇー!!」

女騎士「クソゲーやらせやがって、ふざっけんなテメェ!! 九蓮宝燈なんかそうポンポンアガれるわきゃねぇだろ!!」

エルフ騎兵「イカサマだ! しばけしばけ!!」

エルフ三男「生きて復活祭を迎えたかったら直ぐに手伝え!! そこの貴女、ぼくとキッチンに来なさい」

秘書「わ、私ですかあ」

エルフ三男「買い置きの出来合いなんかで聖夜など過ごせますか、ディナーを作ります」

秘書「ふえええ」



騎士ほ「まあ、帰国して早々アグレッシブな大将……」

エルフ三男「お手隙なら手伝って頂きたい。リストにある食材と機材を買ってきてくれませんか」

姉「なになにー、閣下なにするのー?」

エルフ三男「あんたは……向こうで面子に加わってお菓子でも食べてなさい」

姉「はあい……」

息子「……?」

娘「ねえお兄ちゃん……さっきお屋敷に運ばれてきたあれ、モミの木だよね」

息子「うん……もしかして、あれかな。12月だものね、あれかな」

娘「ほんとに降誕祭のパーティなのかな? おうちでやるの初めてだね、お兄ちゃん」

エルフ三男「……」



エルフ三男「50ある、ぼくの方の手伝いはいいから、表でお菓子とおもちゃをありったけ買ってきなさい」

秘書「は、はぇ!?」

エルフ三男「すべてラッピングしろ、モタモタするんじゃないぞ。8時までに用意するんだ、いいな」

秘書「」

pm7:00

秘書「カードに包装紙、金箔にリボンに……あああ、あと食材だあ」

ポニテ「組合から少し拝借しましょう、リンゴ300個の手配はできていますので……」

秘書「(何にそんなリンゴ使うのかしら)」

ポニテ「大将がパイを作ると仰っていました、それと余剰分は例年通りツリーに吊るして後々食べます」

秘書「そういえばパイ生地も用意しておけって言われましたねえ……」


騎士ほ「鵞鳥ロースト上がりまで180秒ですわっ、ソースのご用意できておりまして!?」

エルフ三男「生クリームを添えれば完成です、ハジに避けておいてください……それとプディング!! プディングの需要は高いはずです!」

騎士ほ「盛り付けは私の子に任せてありますわ、ところでシュトーレンの焼きあがりはいかがですの!?」

エルフ三男「拘っていては間に合いません、今年は外注に回しました!」


エルフ近衛兵「このワインやっべwwwww酢だ酢wwwwwww」

女騎士「はいドボーンwwwwwハズレー、バカ舌ぁーwwwwww」

エルフ騎兵「ヘンな役でアガるからだwwwwww来年は若様相手に一生ツモれないだろうなwwwwwww」

エルフ近衛兵「そういうのスゴイ気にするからやめてくださいよwwwwwwwwwwww」



ほ子「……」

魔子「おいしそうですねー、お料理が次々できていきますよお」

息子「……僕たち、こういうパーティ初めてなんだ」

娘「ずうっと共和国にいたけど、こうやって騒ぐの……はじめて」

ほ子「……それじゃあ、きょうは……おそくまであそびましょう」

息子「う、うん……」

魔子「リーチ!」

ほ子「リーチじゃないわ……!! あなた啼いてるじゃない……!」

ほ子「」

息子「ツモ!!」

ほ子「役ができてませんわ若様……!!」

pm8:00

ダキニ「童が夜更け前からジャラジャラジャラジャラ、何をしとるのだ」

ほ子「……」

ダキニ「……これ、黒髪。何をふさぎ込んでる」

娘「さっきの半荘で三万負けちゃって……」

ほ子「次は本格的にやりますわ……一荘でしっかりたっぷり……」

魔子「いっちばんルールくわしいけど、いっちばん引きが弱いんだよね……」

ダキニ「もっと可愛げのある遊びをせんか、まだ向こうの連中の呑み比べの方が健全よ……終い天神の真似事でもしとるのか?」

息子「降誕祭です、メシアがこの世にお産まれになられた事をお祝いする行事で……」

魔子「あとでプレゼントの交換もするのです! みんなでするのです!」

ダキニ「ふむ……羨ましいなあ、そのめさいあがどこの祭神だか知らんが、こんなにも祭祀に携わってくれる人間がいるとは。
おお、誰ぞ妾の酒の相手になってくれる者はおらんかぁ……できれば男ぉ、男と呑みたいぞ……いい男と一緒に新年をぉ」

娘「お酒なら、あのシュテンさん達と……」

ダキニ「ソコの抜けたオケのような連中と呑んでも楽しくもなんともない。向こうはどれだけカッ食らっても素面なのだぞ」

息子「じゃあ、お母様や近衛の人達は」

ダキニ「もっと逞しい体躯の男がいい。筋骨隆々で、雄の精に溢れた獣と呑み交わしたいものだ。
汝も竜神の加護にあるのだ、女児の格好もぼちぼち卒業してはどうだ? おのこならば褌も健やかで好いぞお」

娘「ふんどし」

ほ子「ふんどし!」

息子「ふんどし?」

ダキニ「顔つきは若干女々しいが……なかなかどうして、この妾を引きつけるものもあるらしい。褌祝は妾が仕切ってやろうか?」



娘「……めぎつねぇ」

魔子「(機嫌が悪い人が二人目ぇ……)」

pm10:00

エルフ近衛兵「ぺにぃ」

女騎士「うわぁぁぁリバースだぁぁぁぁ」

エルフ騎兵「やめろ、ここでリバースはやめろ!! 食べ物粗末にしたらマジで閣下に殺されるぞ!! 飲み込め!!」

エルフ近衛兵「あばばばばばば」

女騎士「しゃっwwwwwwしゃwwwwwしゃwwwwwwwwwwwwエルフの癖に酒が弱いのなあwwwwwwww」

ポニテ「騎士様が異様に強いのです、たぶん」

女騎士「……こらこらこらこら、呑兵衛の中にたった一人素面でいるんじゃあないぞお」

ポニテ「は……私でございますか」

女騎士「今のうちに食い溜めておきなさい、6年前にエルフが成金から搾り取ったカネが私たちの血となり肉となってゆくのです。
気に病む事はありません、おカネもこうして表に出て来られてきっと本望です、さあ食べなさい食べなさい」

ポニテ「い、いえ、私はアルコールの類は呑み慣れては……」

女騎士「ほの字よ! レディゴッってやってレディゴッて」

騎士ほ「はいはい……レディ……ゴッ!!」

女騎士「そら食えっ!! 私よりこのバケツババロアを早く食い終わったら、このアルヴライヒはぁぁ、お前のものだ!!」

ポニテ「はっ……ぐぇ、がっふ!! 甘ッ、あっまい!!」

女騎士「ぬはー!! ぬはー!! ぬはは!! 怖かろう!!」



エルフ三男「騎士様の家系の方の食事は、見ていて大変楽しいものですね……調理のし甲斐があるというものです」

秘書「しても、すごい手際が良かったですよね……本職の人かと思いましたよぉ」

エルフ三男「80年も料理長をやっていれば、これくらいはどうとでもなります。あなたがもう少してきぱきと動いてくれれば30分は短縮できた筈なのに」

秘書「あはは、80……80?」

エルフ三男「二世紀くらい前ですかね……外務省に就く前は、帝国の田舎で調理師をしていたもので」

秘書「」

pm11:00

息子「あっ、そのう……ご、ごちそうさまでした。美味しかったです、パイもシチューも……」

騎士ほ「お粗末様です……お口にあったようで何よりですわ」

娘「……」

騎士ほ「何か……?」

娘「なんでも……ないです」

息子「そうだ、僕らもお片付けを手伝います。あんなにたくさん人が集まるパーティだったんです、きっと大変でしょうから」

騎士ほ「ああ若様……お気持ちは嬉しいのですが、会場の撤収は閣下が近衛の方々に手配したと聞いております。故に、私達はこのまま……」

娘「このまま?」

騎士ほ「このままプレゼント交換をして……湯浴みが済んだら寝室へ……ですわ」

息子「しんしつ……?」

娘「(ベッドイン……?)」

騎士ほ「……私、今夜はお酒が入っておりますの。おふた方、今日は介抱してくださらないかしら」

娘「おふた方って……わ、私もですか」

騎士ほ「ええ、もちろん……フクク、フククク……」

pm11:30

エルフ三男「おお、寒い寒い……今夜も冷え込みそうだ」

エルフ三男「明け方は更に気温がぐっと下がる……防寒対策はきちんと備えねば。
この日の為にニコラウスの仮装を揃えたのだ、降誕祭当日までに出国できたのは運命といえよう」

エルフ三男「お嬢様には帝国の……純粋理性批判。若様には……これまた帝国の軍事思想論。きっとお喜びになる筈だ。
残りの二人のチビッ子には……さっき買って来させたオモチャだのお菓子だのがあるな、これでも詰めておこう、はははは」


エルフ三男「ぎいやああああああああああああああああああああああ」

エルフ三男「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお」

エルフ三男「気がまぎれない!! 頭がおかしくなりそうだ!! 何を思い浮かべてもだめだ!!」

エルフ三男「抱きたい……あの女、あのだらしない肉女を抱きたい、抱きたい抱きたい抱きたい……!!
しかし、否……否、否、断じて否!! そんな事を肯定していいはずがない……僕の500年は一体何のためにあったというのだ!!
騎士様ただ一人の為に全てを注ぐと誓ったはずなのに、なのに……!! 僕の深層に刻み込まれているイコンは騎士様のそれの筈だ!
しなやかな肢体、美の最終到達点とも言える筋肉美、脂肪美、賛美されるべき造形美……やめろ、やめろやめろやめろ!!
そんな堕落を体現するようなだらしのない肉だれを見せつけるな……ぶくぶく膨れたそんな身体でえ……
やめろ……僕を、この僕を呪う気だな……妙なまじないで僕を、僕の矜持を腐敗させる気だなあ……くそお……」




男「ちゅっちゅ!! 女ちゃんちゅっちゅ!!」

女「ちゅっちゅ!! 男くんちゅっちゅ!!」

エルフ三男「やあ久しぶり、降誕祭おめでとう! サカってるねえ!!」

男「は、はあ……」

女「ね、ねえ男くん……お知り合い?」

エルフ三男「あっ!! 新しいカノジョかい? この前は猿人の女の子連れてたじゃないか、モテ男くんめぇこのぉー」

男「」

女「」

エルフ三男「んじゃまあ、メシアの御前で性なる6時間を楽しんでくれたまえよ、Schoenen Abend noch!!」

男「ちょ、ちょっとあんた何言って……おい、おい!!」

女「」

am0:00

ジャラジャラジャラジャラ

騎士ほ「あたたかい……あたたかいですわ、若様……」

息子「シャワー、浴びたばかりですから……」

娘「……」

騎士ほ「お嬢様も、白い柔肌が火照って……まるで白桃のようですわ」

娘「や、やあ……」

ジャラジャラジャラジャラ

騎士ほ「湯冷めしないうちに、さあ……こうすれば湯冷めもしますまい」

息子「い、やぁ……」

娘「そこ……くすぐったいぃ……ひぃ!!」

ドンッ ドンッ

騎士ほ「フクク……フククク……」

息子「はぁう……」

娘「こ、怖い事……しないでください……」




女騎士「うるせーーーーぞ隣のバカども!! ギシギシアンアンウサギみてえに鳴きやがって、次で流れたら大負けなんだぞ!!」

エルフ近衛兵「ヘイヘイwwww早く切ってくださいよーwwwww」

エルフ騎兵「騎士様びびってるーwwwww」

秘書「あ……騎士様、それロン……タンヤオです……」

エルフ騎兵「wwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww」

女騎士「この壁が薄いのがいけねぇんだこの壁が!! 集中力が削がれる、いっそ蹴破ってやろうか!!」

am2:00

エルフ三男「(ははは……僕も結局は……睾丸に躍らされる一匹の雄でしかなかったのか……)」

エルフ三男「(だが……しかしだ……男にはな、据え膳を蹴飛ばし台無しにせねばならん時があるのだ……)」

エルフ三男「(女子に恥をかかさぬ為の方便に、据え膳食わぬはなんとやらとあるが……
まことバカバカしい! 己が貞操も守れぬ者が女子の羞恥を思いやるなど片腹痛いわ!! 
所詮は繁殖欲に脳を焼かれた蛮族の吹聴した悪しき慣習よ、先人というのは何と愚かなのだ……)」


『ああー、気持ちが良いーっ』

『ぬふぅ』『ぬふぅ』

『んほぉぉぉぉ』


エルフ三男「(そう言っても……性欲に忠実で愚かなのは『悪』ではない……国家の繁栄に忠ずる、称えられるべき行為……
我が国民を非難する事などはできん……できんが、もう少し表通りでカップルにちょっかい出してこようかなあ……)」

エルフ三男「(アホくせ……帰ろ……)」




姉「あー、閣下だー!! ほんものの閣下だあ! おかえりなさい!!」

エルフ三男「」

姉「あのね、閣下のおへやで待ってなさいっていわれたの。おとなしくしてたよ?」

エルフ三男「」

姉「だからね、『サンナンボー』と一緒にまってたよ。この子がサンナンボー、さっきのプレゼント交換で出てきたの、閣下のぬいぐるみなの!」

エルフ三男「(据え膳どころかカモがネギしょって誘ってるぜえ)」

姉「閣下、閣下ぁ」

エルフ三男「降誕祭とはですね、本来は家族や親しい友人同士でこのめでたい日を祝う行事であってですね」

姉「うん、わたしは閣下すき。閣下はわたしの事、すき?」

エルフ三男「……」

姉「さっきのごちそう、閣下が作ってくれたんでしょう。おいしかったよお、いっぱい好きになっちゃったよお、幸せだよお」

エルフ三男「……そいつは良かった」

姉「おなかぽんぽん、閣下はいつもおいしいもの食べさせてくれるよねぇ」

エルフ三男「キャミソールでお腹を出してると風邪をひきます、半裸でいるのはやめなさい」

姉「はぇ」

エルフ三男「……」



エルフ三男「もう限界だッ!! 抱くねッ!!」

姉「ひゃー」

エルフ三男「(このもち肌!! 細やかなブロンド!! 騎士様と同じ深い深い碧眼!! 経産婦とは思えぬこのみずみずしい肢体!!)」

姉「く、くしゅぐったいよ、閣下ぁ」

エルフ三男「あばばばばばばばばばば」



女騎士「合意と見てよろしいですねぇー?」



エルフ三男「」

姉「あ、れぇ? 次女ちゃん、そこにいたのお?」

女騎士「いやー、負けこむのにも飽きちゃってさあー。無駄にでけえクローゼットもあるし、いい暇つぶしになるかと思って張ってたのよ」

エルフ三男「」

女騎士「ククク……ようやくナイフとフォークを手に取ってくれたなぁ、三男坊。どういう心変わりだい」

エルフ三男「こ……れは……騎士様、これは……違……け、決して強姦だとかそういうんじゃ」

女騎士「強姦? 何言ってる、夫婦の夜の営みのどこがレイプだ。実際のレイプ被害者を前にしてそういう事言うんじゃないぞ」

エルフ三男「……」

女騎士「いやぁ……降誕祭は家族や親友と過ごす貴き行事……その通りだ、文句の言いようがない」

姉「わたし、こうやって好きな人と過ごすの初めて!!」

女騎士「……可愛い可愛い姪っ子の顔、早く見たいなぁーなんて思いまして。ねぇ、閣下?」

エルフ三男「う……うう……」

女騎士「しっかし、いいなぁー大姉様は。こんなイケメンと(性的な意味で)お肌の触れ合い通信ができるなんて」

エルフ三男「……」

女騎士「何を我慢する事があるよ……いいじゃないか、500年だぞお? 500年も自律してきたんだぞお、ここらで一発決めてやろうや……
この私が抱いてもいいって、大姉様本人もウェルカムって仰ってるんだ。何が不満なんだい」

エルフ三男「……」

女騎士「姪っ子ができりゃあ、夫婦になりゃあ、私と大将は家族さ。何の問題もない、降誕祭には何も背いちゃいない。だろぉ?」

エルフ三男「……」

女騎士「それじゃあこうしよう。私も一緒に横で添い寝してやろう、私と向き合いながら、大姉様を抱くがよい。大サービスだ」

エルフ三男「グッド!! それだッ!! それで行こうッ、いや行くべきだッ!! 行かざるを得まいッ!!」

女騎士「(クソ童貞をおちょくるのはたのしいなあ)」

am2:30

はひ ぁクリメ し//// ,,//ー、

っ ゃ│リぃぇ //// _r''´  :;:;:;l ̄/ ̄`ー、  _
は││っぃぇ (/// /  ;:;:;:;:∠∠_,     Y´  `ヽ
ぁ.││スぃぇ //// >_. ニ-´/⌒ヽ ヽヽ、 /´ ̄ ̄`ヽ}

│はスマぃ∫ |/  ヘ <_;:Y。y;:;ヽ゚_ソ;:;ゝゝ  i _-ー―-、}
│っ ぅ ぁ ∫ |/ / ', / ン´ `>┐r'/    ゝ-ー- ノ
│は !! ぁ   N /  ',/ /⌒ 7  ヒl | |    │l l│

っっ       \ /   .ハ |   |   _Y    r´ ̄ ̄`ヽ
―――――`⌒/    ハイ|    |  //     i ´ ̄ ̄ ̄`i
/////  /     ハ小    |、//     iー――-、ノ
///// ./_r-,-―'ハノ`丶┐Yレ_,-ー´ >-――←、

//// / ̄     -´ ̄ ̄ ̄ ̄/  ̄ ̄ ̄ヽ

妹「ごぉぉーきげんよぉぉぉーっ、魔物ども御一行のみンなさぁぁーーん!!」

敵兵「……」

ブラウニー「最……」

ピクシー「悪……」

妹「あらあらー、デスクにチンケなツリーなんか置いちゃって、こんな私でもメシアを信じてますアッピルでございますかぁー?
あー悲惨!! あーカワイソ!! あーキモイッ!! これだから底辺層はフビンで見てられませんわねぇー!!」

敵兵「……夜中に何の用ですか、貴女と遊んでる暇はないんですが」

妹「ごめんあそばせぇー、貧乏ヒマなし死人にクチなしといいましたわよねぇー、これは失敬失敬、申し訳ぇー!!」

ティタニア「みんなぁー、ちょおーっとだけ付き合って頂戴ねぇ……」

ピクシー「(何でこのクソッタレが釈放されたんですか……)」

ブラウニー「(証拠不十分も何も、実行犯はコイツしかいなかったじゃないですか……)」

妹「そうジメジメしないでぇ、チンケな顔つきが更に惨めになりましてよぉ、なりましてよぉ?
くされたあなた方にせっかく降誕祭に相応しい提案を雷帝閣下から賜ってきたというのにぃ」

ティタニア「……」

敵兵「提案……連合の側から?」

妹「ま、後日改めてクランの理事には通達しますけどぉ……平たく言えばぁ……
『アジ=ダハーカと仲直りしろ』ってぇのが雷帝閣下からのご意見でぇーす!! バーン!」

ピクシー「は……」

敵兵「何だって……!?」

妹「あるかもどうかもわからねー因縁に付き合うのも、こちらとしては非常にメンドーなんですわー。
あなた方下っ端の三下クズどもにはわからんでしょうが、けっこうな出資をこっちはしてるんですよぉ?
だのにあんたがたは何の成果も出さない、文句はタラタラの上に勇者はやらかす。どーしょもないっすわこりゃwwww」

敵兵「……」

妹「あ? 何ですの? やる気ですの? 聖剣のマスターの私とやる気ですの? お?」

敵兵「(このクソ女……いよいよもってこちらの味方とは言えなくなったな……!!)」

妹「(も、もう小姉様がどうとか言ってる場合じゃございませんわぁ……もお知ーらないっと!!
私ぁ、雷帝閣下や連合から報酬がもらえればもう別に構いやしませぇん!! 魔王軍にはせいぜい頑張ってもらわないと!)」

ティタニア「……氏族合意がどれだけかかるかわからないけど……やるしかないわぁ」

敵兵「そんな……!! あれと、あの女と和解しろって……!!」

妹「デュランダル……盗られちゃいましたわねぇー? それに加えて、アジ=ダハーカは既にガリアを制圧したかも、だなんて推察まで……」

ピクシー「……」

妹「クックク……あなた達、もう王手詰みでしてよぉ? もぉ勝ち目はございゃせんのよぉ?
だぁって考えてもごらんなさいな、教皇領の守銭奴にもいつそっぽ向かれるかわからないってぇのに……ねーえ!?」

ティタニア「正式回答は早急に送るわぁ……良い返事を、期待していてちょうだい」

妹「くかかかwwwwwwwwwwwwwかかかwwwwwwwwwまwww賢明なご判断をどうぞどうぞwwwwwwwwww」



敵兵「(……最悪の降誕祭だぁ)」

ブラウニー「あーチクショウ、やってられっかぁ!! もう呑む、いい加減呑む!!」

ピクシー「呑みましょう呑みましょう!! お酒のチカラでこの陰鬱とした空気を発散しましょう!!」

敵兵「降誕祭、おめでとーございまーす……うう、寒っ!!」

am3:00

エルフ近衛兵「……下着でそのまんまホームバー入りですか、お相手は?」

騎士ほ「フクク……ククク……若様のクールダウン中なので……一服ですわ……」

エルフ近衛兵「ああ、若様……若様?」

騎士ほ「ええ……若様とお嬢様……お二人とも、ほんとうに美しく育って……」

エルフ騎兵「そんな事よりよぉー、お前ちょっとコレ呑んでみろよ。この人スキットルでガブガブ行くんだぜ」

エルフ近衛兵「コレって……ぐぇ、ごほァ!! これ、これロックじゃ呑めねえだろ!? 何じゃこりゃ、ノドが……」

騎士ほ「ニガヨモギのリキュールでしてよ……共和国の薬草酒、平均度数は70前後」

エルフ騎兵「オレ達エルフって本当に酒豪なのか自信なくなってくるぜ」

騎士ほ「若様ったら、ずいぶんませてしまって……酔いに浮かされる私を美しいだとか、口説いて来ますのよ?
フックク、ナマイキ……なんてナマイキで愛らしいの……二人まとめてぇ、食べてしまいたいわぁ……ククク、フククク……」

エルフ近衛兵「(さすがにこの人といえど、結構酒が回ってきてるんだなぁ……)」

エルフ騎兵「(この人の場合は年中酔っぱらってるだろ)」

騎士ほ「お嬢様も……きれいなピンク色……フクク……かわいい……」

エルフ近衛兵「……うげぇ、まーた雪ぃ降ってきやがったぞ」

エルフ騎兵「ウソだろ……あーヤダヤダ、土地柄のせいかすぐこれだよ」

騎士ほ「雪のように……真っ白い二人……フクク……待っていて……すぐ続きをぉ……」

エルフ近衛兵「(第二ラウンド待ったなしか……がんばれ若様)」

第9.5部 クリスマス編〈漸〉

                                       ー- 、 ー-、``/  
                                      _, '  ._, '  \  
                                    -------------------
                                     制作・著作 NHK


 

>>女騎士「(クソ童貞をおちょくるのはたのしいなあ)」

ああ…女騎士ちゃん、敵兵と一緒にいる頃が本当に楽しかったんだろうなぁ
時代さえ違えばハルヒとキョンみたいな関係だったんだろうか

>>338
3スレ目のこれ思い出した(6年前に敵兵さんが麻薬畑放火した時ね)


騎士ほ「フクククク……これで……貴方はもう戻って来られない……お姉様に優しく抱かれる事もない……フックククク……」

敵兵「(絶対お断りだ!!)」

自分の望む展開にしむけようとするのはやめてね

>>417
そうか書き込むだけで本編を俺の望む展開にしむけることができんのか···
望む展開も糞もどう見ても穴が有りすぎだろ魔王軍

別に女騎士擁護してるわけじゃないよ
ただこのままじゃ女騎士陣営と魔王軍潰しあった挙げ句
両方連合と北西の食い物にされて全滅かなって思っただけ

>>419
>>417は「仕向けようとする書き込みをするのが俺は気に入らないよ」、と言っているのであって
「書き込むだけで仕向けることができる」←だからやめろ、とはいってないやろ

なを「実際仕向けるつもりがあったわけじゃない」とか
「仕向けることができないとわかってるなら突っ込むな」とかそういうのは考慮にいれてない話だけど

ハデス「相変わらずこの辺りは寒いわ乾燥してるわで困ってしまうなぁー、ハナも唇もカラカラよー」

敵兵「(怖い怖い怖い怖い)」

ブラウニー「(私ら短期間のうちに重役と顔合わせすぎでしょ)」

ピクシー「(全部あのティタニア様のせいです、本当にありがとうございました)」

オルトルス「なあなあハデスのおっちゃん、あんちゃんどうして死んでしまったのん?」

ハデス「さあなー、まだわからんなー。猟師に撃たれて鍋にでもされてしまったんじゃろかなー」

敵兵「(幻獣族怖すぎィ!! パッと見じゃ近寄れません!! 無理です!!)」

オルトルス「あんちゃん……ケルあんちゃん……」

ハデス「これこれボーイ君。これ以上はぶらぶら出歩きたくないでなー、さっさと部屋ぁ戻ってゆっくりしたいんよー」

敵兵「は、は……!」

ハデス「訃報の直後にムズカシー話並べられてもようわからんってーの。喪中じゃなー喪中。
こういうのはいっちゃん偉いゼウスの兄貴が顔出しに来るんがスジだろうに、なあ?」

敵兵「(ゼウスの……アニキ……)」

ハデス「しかし理事会のメンツもシミったれたツラしとったなあー。何かね、そんなにおたくら逼迫しとんのかね」

敵兵「は……先のネキ……災害支援活動とも相まって、手数が慢性的に足りない状況が続いておりますので」

ハデス「構わん構わん、言葉ぁ選ばんでもおおよそ把握しとるから。オレらぁ、そこまでオベロンやティタニアの姉貴と仲は悪くない。
虎の子のアジ=ダハーカといたちごっこしてるんだろぉ、知っとる知っとる。えっらい大変だったみたいでなあ」

敵兵「(大変なんてもんじゃなかったんですがそれは)」

ハデス「もっとも、気持ちはわからんでもないなあ。オレ達が今までシマにしてた土地、
帝国なり北部なりの人間が統治しとったんだけどなあ。十数年で入れ代わり立ち代わり、年がら年中戦争しとってん。
元々独立に協力してくれただとかで、国内で帝国側に肩入れしてるようなのは少なくない……けれどもなぁ」

敵兵「……」

ハデス「まっとうな頭してたらぁ、あのウルスラグナのマスターにカチ切れんヤツはおらんだろなぁ。
それに、アジ=ダハーカが血縁……きちんと帝国貴族だなんて事に裏付けがとれりゃあ……」

敵兵「(ですよねー……信じてくれてるかはともかく……)」

ハデス「……ボーイ君、キミがティタニアの姉貴らや拝火とつるんでアジ=ダハーカを狙っているというのは本当かね」

敵兵「つ、つるんでいると言いますか、私にできる事をしているだけと言いますか」

ハデス「もし、今言った裏付けができていて、オレ達の側に確信があったのなら……ボーイ君、オレ達を迎え入れてくれるかね?」

敵兵「はい……?」

ハデス「独立戦争後、三派に分かれて無政府状態にあった我々の土地を治めたのは、他ならぬ帝国の血縁。
オレ達幻獣の権威が半ば形骸化していたとて、それだけは事実……その帝国の血が今回の事態を引き起こしたのなら……」

敵兵「……」

ハデス「アジ=ダハーカを討つ理由が我々にないとは言い切れない。死んだウチのワン公、拝火のガキが下手こいたとはいえな、
寛容にもの考えりゃあ、遠因はその騎士の女にある……オレ本人も、感情で納得するには程遠いんだがなー」

敵兵「(あかん、あかんまともな人やった。人かどうかわからんけど)」

ハデス「こんな事ぉ申し出るのはオレくらいなもんじゃよー、ワン公の恨みだとかもないわけじゃあないがなー。
まあ、アホのポセイドン兄貴と違って思うところがあるって事じゃよー。オレの下から何かを奪おうとする愚か者には天罰をやろうと思ってなー」

敵兵「(ヤバい……泣きそうだよ……魔王軍のコエー人が俺にまともな対応をしてくれているッッ)」

ハデス「君の方からティタニア姉貴には伝えておいてくれな、おっちゃんを贔屓にしてやれって」

敵兵「そ、それはもう……それより、裏付けっていうのは一体……?」

ハデス「んー……んー?」

敵兵「(魔王軍がもたついて後手後手になっている理由のひとつは、この氏族制度そのもの……
帝国という体をとっておきながら個々を尊重する拝火の姿勢、だからこそ柔軟な活動が困難になっている……!)」

ハデス「んまあ、簡単に言えばじゃなー。尻尾掴んで命からがら逃げてきた娘っ子がおるでな、そっから推察と調査を重ねただけの事よ」

敵兵「娘っ子……?」

ハデス「アラクネーっちゅう……節足人種でもケンタウリでもない、オレ達側の魔族の娘っ子。
長い事、オレ達の土地から離れて働いてたんだけどなー。あろう事か、北西までクロかもしれないって事まで引っ張ってきて」

敵兵「そ、そんな事実までッ!?」

ハデス「臆病もんの癖に余計なもん持ってきよった。帝国の皇女殿下がカスメとられたあの時じゃて、
あの騒動……クーデター勢力に肩入れするエルフのドラグーンを呼び込んだのも、北西側の自作自演だとかな」

敵兵「(あの筋肉女……まだそんな事やってやがったのか……!!)」

ハデス「懇意にしてもらってた情報部の娘とは、そこで離れ離れになったらしい。あんのクモ娘、正規の手順も使わずに、
えっちらおっちらオレの所まで戻ってきよって……生真面目なんだかバカなんだかわからなんだ」

敵兵「アラクネー……」

ハデス「敵はアジ=ダハーカだけじゃあないぞぉ。下手すりゃ北西は円卓にケンカ売る事になるかもしれんでなぁ……」

フレイ「では、先の騒動でのワルキューレの被害は……言うなれば、接触の為の芝居だったという事ですか?」

女騎士「その通りでございます、ユングヴィ閣下……どこの馬の骨が、畏れ多くも北部神族の皆々様に泥をかけるような事をしましょうか!」

レギンレイヴ「何と言っても、魔王軍の一派から拘束を受けていた私めを救出してくれたのもエルフ達でございます!!
彼女達が北部神族の仇ですと!? とんでもない、彼女達は6年も前から反連合の礎となるべく行動してきたのですよ!!」

フレイ「……武装中立のエルフが、仮にも魔王軍常任氏族の我々に肩入れする気ですか?」

女騎士「肩入れなどとんでもない……パワーバランスの調整に少しばかり奔走しているだけにすぎません。
我々は、恒久的な国際平和の為に活動しているのです」

フレイ「先の戦乱の片棒を担いだと噂されるエルフが?」

女騎士「根も葉もないうわさに過ぎません……我々の活動を疎んじる、哀れな羊たちのいななきです。
皇女殿下を求めての蜂起につきましては、事前に目的を表明しているはずですが?」

フレイ「正統なる帝国皇室・帝国民族の存続の為の正義を貫く……?
よくやりますね、あれだけ大国がぴりぴりしている中で行動を起こし、自らアンタッチャブルとしての立場を築き上げた……」

女騎士「人聞きの悪い! それも単なる言いがかりに過ぎません、我々はただ……教皇領とも連携して、
東西の諍いを解消できればと思っているだけなのです。アンタッチャブルだなんてそんな……何事も話し合いで融和をしようと考えておりますのに」

フレイ「……」

女騎士「しかし信用できないのは勇者と魔王どもです! 奴らはただ聖剣や勇者の血筋のチカラを楽しんでいる!!
この大陸に戦乱をもたらす事で、自分達のチカラを試しているのです!!」

レギンレイヴ「」

女騎士「常任理事のオーディン閣下とて、疑いを持っていないわけでもないでしょう!?」

フレイ「巨人……グレンデル王殺しですか? あの件に関しては、我々はもう言及していない筈ですが……拝火が、まさか……」

女騎士「惑わされないでくださいまし……!! 連中は口が上手くコス狡い……勇者と魔王軍、奴らは人間の敵であり、魔族の敵です!!」

レギンレイヴ「な、なんだって!! それは本当ですか!?」

女騎士「さっすがヴァイキングのお山の大将どもだ、頭ちょろくて涙が出るね。田舎の田ゴ作がふんぞりかえってやがって」

騎士ほ「6年前より右翼政党……反連合政策への出資を行っていた事が幸運でしたわ」

秘書「……ちょっと前から、拝火による連合や東帝側への擦り寄りが共同体内の魔族の間で反発を産んでいたみたいです。
加えて、領地を一部共有する巨人族に起こった不幸……魔王軍側は、どうやら一枚岩じゃあないみたいですね」

騎士ほ「重役が我々との謁見を行うという時点で、あちら側はかなりガタがきていると考えてよいでしょう。
案外、本当にグレンデル王を殺したのは勇者のガキかもしれませんわね……フクク……」

女騎士「あークッソさみぃ、共和国なんか比にならんくらいさみぃ。これだから共同体の土地はイヤなんだよ……
昨日の夕飯はしょっぱいものばっかだし、大体さっき買ったあの飴はなんだ!? くせーしまじいしオカシイだろ!!」

騎士ほ「もう少しだけ我慢してくださいまし……北西諸島に渡れれば、多少はマシには……」

女騎士「ヤダよぉー、だって北西って年がら年中雨降ってたり霧が出てたりするんだろぉー?」

騎士ほ「……」

女騎士「その上!! メシが!! まずい!! こればっかりは譲れないよ私ゃ、おいしいごはんがないと生理周期乱れちゃうよ」

秘書「り、料理人はアルヴライヒから随伴させておりますのでご安心を……」

女騎士「北西のドラフェチってあれやろ? 最高の食材をうすらまずいゴミに仕立て上げてありがたそうにむしゃぶるゲスどもなんやろ?
まさか食通・ザ・食通の私がそんな未開のクソ蛮族の島に足を踏み入れる事になるなんて……おお、くさいくさい」

秘書「(その割には凄い色のお菓子いっぱい食べてるよね)」

女騎士「ああクソさみい……湯たんぽ妹、カモン!!」

娘「はあい、お母様。ぬくぬく」

女騎士「……とりあえずおやつだおやつ!! どっかうまいレストランはないのか!!」

秘書「(一日五食が基本なのに、なぜ私だけ太るのでしょう。解せぬ)」

エルフ三男「では、改めてこれからの行動指針をおさらいいたします。よろしいですか」

女騎士「分かりやすく短くしろよ童貞」

エルフ三男「」

女騎士「あんだけお膳立てしてやったのに勃たねえとかふざけんじゃねぇぞ童貞」

エルフ騎兵「えっ」

エルフ近衛兵「ウソだろ」

エルフ三男「やめてください!! 本っ当!! やめて!! おねがい!!」

女騎士「wwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww」

エルフ騎兵「インポチェリーかよ……」

エルフ近衛兵「500年で腐っちゃったんだ……」

女騎士「お前の童貞期限切れーwwwwwwwwwwwwwwwww」

エルフ三男「緊張しただけだから!! 病気じゃないから!! ほんとだから!!」

騎士ほ「大将閣下が責務を放棄してホテル自室にお戻りになられたので、不肖この私が指針の確認をいたします」

女騎士「おいーす」

騎士ほ「まず、北部神族……および共同体の協力を正式の取り付けた後、共同体海軍施設にて艦を受領。
海路から直接エルダー統治領域を目指します」

ポニテ「海路……北西の有する海軍戦力とぶつかる事は避けたいですね。いち分遣隊とでもはち合わせしたら、勝ち目はありません」

騎士ほ「もちろん、世界最強と謳われる北西海軍と真っ向からケンカする気はございません。
あくまで穏便に……商船を装って領海に侵入、着岸さえしてしまえばこちらのもの。何といっても、こちらには二本の聖剣があるのですから」

女騎士「おいーす」

ポニテ「商船型……それをここ共同体で受け取ると」

騎士ほ「正確には……外装を偽装した商船改造軽航空母艦と言いましょうか」

ポニテ「航空…母艦?」

騎士ほ「ドラグーンの実用化に伴い、北西で提唱された竜騎兵航続距離増強プランに基づいて建造された艦種です。
実動の記録はまだないけれど、現在でも各工廠で建造が進められています。次々と海軍の航空機動艦隊へ編入される事でしょう」

ポニテ「その母艦の一種だと?」

騎士ほ「いかにも。バルフォア級航空母艦、ドラグーン16騎を搭載可能な軽空母です。こちらを二隻受領し、商船団にまぎれて行動します」

女騎士「ディナダンとかいうババアからの餞別ってか?」

騎士ほ「恐らくは。我々に手を汚させたくて仕方がないようですわ」

女騎士「この私を利用してるってか? なめやがって。単に利害が一致してるだけだ。
一刻も早く魔王軍に土下座させて首をハネてやらにゃあならんのに……」

騎士ほ「(エルダーの古島……私とてこのポストに就いてから、渡島する事を許されていない禁断の島……
何だ? 何があるというのだ? エルダーという高等竜のほかに、まだ何か隠されているというのか?)」

モルドレッド「ヴォーパル鋼を用いた冶金技術によって、ドラゴンを自在に駆ることができるようになった……魔王軍もなかなか粋な事をする」

ラーンスロット「……」

モルドレッド「では、エルダーの神々相手にはどうかな? いいや、ちょっとした好奇心です」

ガウェイン「おいオメェー、何を言ってやがる……」

モルドレッド「そもそもエルダーとは何だ? 建国神話に登場する、唯一神ならざる神格? マビノギオンの旧神?」

ラーンスロット「やめろ、モルドレッド!! 女王の御前だ、慎め」

ユーウェイン「ちょ、ちょっとぉ。モル公ったらどうしちゃってってぇのぉ」

モルドレッド「なぜこの国は、王室ぐるみで竜にご執心なのか……ぼくはいつも不思議だった。
5つの頃までは、そりゃあぼくだって竜騎兵に憧れたし……エルダーにお仕えできれば、それ以上の事はないと思っていた」

ガレス「おッ、おいッ……バカヤロ、シャレじゃ済まされねえぞ!!」

パーシヴァル「えひゃひゃwwwwwモル公やっるぅーwwwww」

モルドレッド「猿人の20ぽっちとはいえ……陛下やラーンスロット卿の情事をまざまざと見せつけられては、スれもします」

ラーンスロット「モルドレッドッ!! いくら貴様とて……!」

モルドレッド「相手がメスなら何だって構わねえあんたが、いっちょまえに何言ってんだよお。くせえ口でぎゃあぎゃあ騒ぐな変態」

ラーンスロット「貴様……!!」

モルドレッド「聞こえておいででしょう、陛下ァ!! お察しのとおり、このクソ男のだらしの無さは噂だけではございません!!
でもお互いさまでございましょう!! 陛下も陛下で、所詮は数百年を無為にダラダラ過ごし続けるアバズレですものね!!」

トリスタン「アバ……ズレ?」

モルドレッド「ククク……どうしました、ラーンスロット卿。怖い顔をしないで……その顔、今は僕に向けるべきじゃあないでしょ」

ラーンスロット「……」

ディナダン「北部諸島沖より入電。二隻の不審船が領海に侵入、空軍と近衛軍が緊急出撃いたしましたわ……」

モルドレッド「……さあ、どうぞ行ってください。『ウサギの巣穴』とやら、どうか命を賭してお守りくださいな」

ラーンスロット「……」

ベティヴィエール「ね、ねえねえ、何なの? イミわかんないんだけど……」

ガレス「モル公てめえ、何様のつもりだあ? おいッ、なんとか言いやがれッ!!」

モルドレッド「ぼくとやる気か? この日が来るまで、ぼくの謀反に気づかず日々を怠惰に過ごしてきたお前達がか?」

パーシヴァル「ぐぬぬ、毎日お菓子食べてお茶して寝てお菓子食べてお茶するどこが怠惰なのだというのかね」

ガラハッド「お、親父ィ……こいつ放っとくのかよォ、おいィ……」

ラーンスロット「……飛行隊を編成する。ガラハッド、お前は先行して不審船の警戒に当たれ」

ガラハッド「ウソだろォ……ディナダンのババア、おめえもグルだってえのか!?」

ディナダン「やだわあ、おばあちゃん相手にそう凄まないで頂戴」

パラメデス「ご老体だとて油断したわ……!」

ガラハッド「クッソババァ……!! 許さねえぞッ、一足先に墓穴に叩き込んでやらあ!!」

ラーンスロット「やめろ、ガラハッド!! やめろッ!!」



ディナダン「はいぃ? 一足お先に? 何ですってえ? 墓穴でお待ちしております、ですって?」

ガラハッド「」

ディナダン「何も、円卓の騎士だからといって……武器が聖剣だけなわけがありますまい……」

モルドレッド「あーあ……陛下の御前をこんなに血で汚してしまって。親子そろってとんでもない不孝者です」

ユーウェイン「ひゃああああああああああああああああああ」

パーシヴァル「こ、こッ、殺しだ……警察ッ、おまわりさんッ、119番!!」

トリスタン「ばっ、バカかオメェー!!」

モルドレッド「さ、皆さんおわかりでしょ。クーデターです。僕らが勝てば革命ですが……
月並みでございますが、『陛下の命が惜しければいう通りにしろ』ってやつです」

モルドレッド「さ、これでいつもの静かな謁見の間に戻りました……貴女には色々聞きたい事がありまして」

女王「……」

モルドレッド「と、その前に。ぼくの事は御存知ですか、アリス=リデル9世」

女王「勿論ですよ、サー=モルドレッド……」

モルドレッド「それなら、ぼくの目的はお分かりですか」

女王「……」

モルドレッド「ねえ、お母様。だんまりは良くないな、不愉快だ。ぶち殺すぞ」

女王「私の事を……恨んでいるのですね……」

モルドレッド「ああ、そうか……キャリバーンか……あれのせいで、殺したくても殺せない……つくづく人間やめちゃってますね、あなた」

女王「……」

モルドレッド「母親だからこそ、他のどんな他人よりも憎ったらしいんだよ、わかるか? わかるか?」

女王「許してもらえるとは、思っていません……しかし、民を……無用な戦乱を広げるというのなら……」

モルドレッド「なら、何だって言うんです。こちらこそ、お母様に許してもらう気なんぞございません。
お母様が守り続けたエルダーの地……ウサギの巣穴をメッタクソにして差し上げたいだけなのです」

女王「……」

モルドレッド「どうしました。抜かないのですか? 聖人アリス陛下? 抜いて、狼藉者を斬ってくださいましよ。
それとも何ですか? ジョワユーズを前にしたら、もう抵抗する気も起きないというのですか?」

女王「ジョワユーズッ!?」

ディナダン「(やはり、過敏な反応を示した……やはり女王……アリス=リデルとエルダーはジョワユーズ……
『原罪の蛇』とやらとの間に、浅からぬ因縁を持っている……恐らく、それが閉ざされてきたエルダー統治領域の秘密に直結する……)

女王「ジョワユーズが……人の手に!? そんな、そんな報告は聞いておりません、ガリア=ベルギガ遠征は失敗に終わったと」

モルドレッド「報告してねぇ事を知ってるわけねぇーよなぁーーーーーお母様よぉぉぉーーー!? はははははは、ざまぁあぁぁー!!」

女騎士「……」

ポニテ「何だか、ものすごく穏やかな航海で終わってしまいましたね……」

女騎士「おもっきし海戦が始まるのかと思ったけどなぁ。あー、潮風はいやだねー。肌がかぶれっちまう」

騎士ほ「伝承によれば……エルダー、もといダーナ神族の住まう土地……『不可視の国土』を有しているとの事ですが」

ポニテ「霧の領海ティルナノグ……商船や軍艦が多数遭難している海域と聞きます」

女騎士「不可視も何もなぁ……おもくそ島がクッキリ見えてるしなぁ……」

騎士ほ「どうします、先制攻撃でもぶちかましますか」

女騎士「それ採用」

秘書「えっ」

女騎士「せっかく共同体だの北部神族だのからご声援を頂いてるんだからさあー。艦砲射撃で沿岸部サラ地にしてやろーぜ。
崖だの浅瀬だので侵入が難しそうってわけでもなさそうだしなあ……さーっと橋頭堡置いて、パッパと確保。おーばー」

騎士ほ「御意に」

秘書「あ、あの……お話し合いでケリを付けるって、フレイさんと」

女騎士「なにお前、言葉の通じないパッパラパア相手に丸腰でお話しできるの? スゴイ勇気だな、普通の人間じゃ無理だわ」

秘書「」

女騎士「さぁーーー景気良くぶっぱなそうかぁーーーーwwwwwwドラゴンどもをひき肉にしたったれーwwwwwwwwwwwwwww
聞こえてますかぁぁー旦那さまぁーwwwwwww同胞の悲鳴を聞かせてやりたいが為に2騎ぶんのスペースを空けてやったんですのよぉぉーwwwwww」

秘書「えっ、あの、あのリンドヴルムさんいらっしゃるんですか!?」

女騎士「あたぼぉぉよ!! 二度と私に刃向えねえようにだ!! 口答えしたら41㎝のマトにされちまうって脳にスリ込んでやらねぇとなぁー!!」

秘書「」

女騎士「ん……んー……」

騎士ほ「わかります……わかりますわ……」

エルフ三男「皆まで言わずともわかります…・…迎撃に現れたのも現地飛行隊のしょっぱい戦力程度……」

騎士ほ「本当にここがティルナノーグ……? エルダーの土地……なんですの?」

女騎士「転がってる死体ひとつ見ても、どうにもそれっぽくねぇーな……軍人じゃねぇだろこれ」

エルフ三男「先ほどの迎撃隊は、この沿岸区域から出撃して来たわけではないようでしたし……」

女騎士「何だろうな……古くせぇカッコした一般庶民だな。それにしちゃ枯れ枝みてえにガリガリってわけでもねえし」

騎士ほ「何ですの、この違和感……」

女騎士「肝心要のエルダーとやらを探すしかねえわけだが……ドラグーンで飛んでみるしかないな」

エルフ三男「当面は北西……ディナダン卿からの依頼をこなすべきでしょう。
エルダーとの交渉……もとい制圧。そして、虎の子である槍を押さえねば」

女騎士「槍ったってなぁ……一口に言われてもわけわかんねーべや。聖剣だとかとおんなじ類なん?」

騎士ほ「あのディナダン卿がわざわざ我々を向かわせるところを見ると、そう考えていいかと。
ただ、卿本人も槍……『ブリューナク』について、詳細を掴んでいるわけではないようでした」

エルフ三男「また伝承の武器か……」

騎士ほ「(聖剣を有する我々に、単なる牽制目的でドラグーン隊維持を賭けたおつかいをさせるとは考え辛い……
まだ何か他に真意があると考えていいだろう……ババアめ、余計な手間をかけさせやがって……!!)」

おじさん「だ、誰だいあんたたち……見かけないカッコだなあ」

女「××××××」

少女「ここはエリンの島だよ、お姉さんたちどこから来たの?」

女「×××××」

少女「え、なあに……がいこくご?」

女「××××××」

おじさん「あぁ、もしかして旅の方かな? さては転生者の噂でも嗅ぎ付けてきたんだろうが……
生憎と、ここ数か月は現れちゃあいないんだ。残念だったねえ」

女「××××」

おじさん「まあ、そう気を落とすもんじゃあないよ。これも何かの縁だ、宿でもとってうまいものでも食っていきな」

女「…………」






女騎士「何だここは!! もう帰りたいぞ!!」

エルフ三男「トイレが水洗じゃない!! 水道が通ってない!! 時代遅れでは片づけられませんよ!!」

ポニテ「(上流階級二人がダダをこねていますね……)」

女騎士「周りの農民どもは何喋ってっかわかんねぇしよぉー!! バカにしてやがんのか!」

騎士ほ「申し訳ありません……北西本国の言語ならともかく、ここまで特殊なコミュニティのものでは……」

女騎士「イミがわからねぇ!! 火でも点けて回ってやろうか!!」

騎士ほ「おやめくださいまし! 何人死のうが構いませんが、ブリューナクまで焼却するわけにはいきませんわ!!」

女騎士「メシまじぃイナカくせぇつまらねぇの三拍子だ!! 島ごと沈んじまえ!!」

ポニテ「上空から諸島全体を調査した結果……この親島、エリンという名称らしいのですが……」

エルフ三男「北西本国からは、驚くほど近い位置に存在している……やはり、マユツバの魔法とやらで隠蔽されていたのか」

女騎士「ザルな魔法もあったもんだわ。ぬるりと潜り込めたじゃあないか」

騎士ほ「きっと、聖剣のご加護によるものですわね……ふむ、聖滅のジョワユーズが働いたとするならば……」

女騎士「いよいよ、北西が国家ぐるみで隠してる何かがあるって事かね」

エルフ三男「円卓……ディナダン卿が求めているものか……」

女騎士「にしてもよぉー、何なんだここは。ここだけ三世紀四世紀余裕で文化レベル遅れてねぇかぁー?」

ポニテ「産業革命から取り残された地域……北西本国と隣接していながらこの有様とは、信じられません……」

女騎士「ブリューナクとやらを確保すりゃあ、何かがわかったりするんだろうが……帰りたい!! 早く帰りたい!!」

エルフ三男「神殿なりなんなり、それっぽいものはないのか!! 僕もこんなシミったれた場所から離れたいのだ!!」

女騎士「そうだぞ!! 卒業寸前でやらかしたせいでまだチェリーだってバカにされるんだこいつは!! 戻って続きをやらせてやれ!」

エルフ三男「あぺぺぺ」

女騎士「やめろ気持ち悪い!! 妙な事はやめろ!!」

秘書「な、何ですかっ、そのぬいぐるみは」

女騎士「プレゼント交換で当たった、この私モデルのぬいぐるみだっ! 玩具メーカーが悪乗りしてコイツとペアのぬいぐるみを売り出しやがったんだ!」

騎士ほ「さっさと帰りましょうお姉様!! 売り切れてしまっては事です、急がねば!!」

女騎士「よろしい、皆の気持ちが一つになったところで調査再開だ! きびきび働け!!」

モルドレッド「アルバスドラゴン……それが、現エリンの守護に携わっていると?」

女王「ええ……彼が、太古から……それこそ叡智の教義以前からジャバウォッキーを見守り続けている」

モルドレッド「また新しい単語だ。どれだけの事をぼくらに隠していたんだ? とんでもない女王がいたものだよ」

女王「……」

ディナダン「……ジャバウォッキー、とは?」

女王「すがたの定まらぬもの……理解の及ばぬ真なる魔……こことは異なる世界から訪れるもの……」

モルドレッド「量子力学でも齧ったんですか。王室の人間は浪漫があっていいですね」

女王「……これが夢であるなら、どんなに良い事か。あなたを捨てた事までもが夢になるなら」

モルドレッド「バイタが母親ヅラしてんじゃあねーぞ、余計な事言ってねえで続けろ。ジャバウォッキーってのは何なんだよ」

女王「普通の人間……だった人間の事。つまり、この私や……国教会の勇者の事」

ディナダン「……なに?」

モルドレッド「普通の人間……だった? 過去形なのか? 一体どういう事だ、何を言ってる?」

女王「言葉通りです。この私、アリス=リデルを始め、勇者と呼ばれる存在は……ジャバウォッキーと呼ばれる真なる魔、妄想の大母」

ディナダン「陛下や勇者が……異なる世界から来たものだと。そうおっしゃるのですか?」

モルドレッド「正気か? 本気で……言っているのか、そんな……そんな戯言を!!」

女王「ジャバウォッキーの血脈を、これ以上蔓延させない為に……私はガリアから離れ、この連合王国とエリンを作り上げました。
全ては、彼のような悲惨な末路を迎える若者を増やさない為に……そして、この世界に転生するジャバウォッキーが絶望に打ちひしがれない為に」

モルドレッド「彼……とは、誰の事だ」

女王「……」

ディナダン「初代勇者……ですか。代替わりを演じ、数世紀をその身一つで生き長らえる貴女なら、伝説の勇者と面識があってもおかしくはない」

女王「その、通りです。彼がロンギヌスを通し、叡智の教義という名の呪いを振りまくのをこの目で見た……恐らくは、唯一の生存する人間でしょうね」

女王「その『槍』は、当初はガリア=ベルギガという辺境の地にありました。彼岸と此岸を結ぶ地、現世と幽世の境界という聖地……」

ディナダン「先ほどエリンに存在すると仰った、ブリューナクがそれに該当するのでしょうか」

女王「そう、今はブリューナク……その名で『槍』は呼ばれていますね」

モルドレッド「今は、だなんて、まどろっこしい事をつらつらと。簡潔にものを話せないのか」

女王「ごめんなさい……現在のブリューナク、かつてはそれこそがロンギヌスと呼ばれていた、超高純度ヴォーパルなのです」

モルドレッド「……それで、その『槍』とやらは……どんな魔法をぼく達に見せてくれるというんです?」

女王「……先に言った通り、ジャバウォッキーの出生を促す効果を持ちます。もしくは、そのままの姿での降臨を」

モルドレッド「降臨ときた!! 人一人が何もない虚空から降臨!! はっは、お笑いだ、ふざけるな。ふざけるなよ……!!」

ディナダン「聖剣でありながら、聖人や聖遺物の破壊に特化した能力を持つという、存在そのものが矛盾しているジョワユーズ……
これに関しても、陛下は何か御存知なのでしょう。ガリア=ベルギガに安置されていたという、聖滅の剣を」

女王「今も尚、あれを手にする事のできる人が残っていた事が信じられません。
『槍』がロンギヌスだった時の憎悪と悪意、懺悔が込められたあの剣……原罪の蛇の加護の下にある聖遺物……」

モルドレッド「貴女がそれほどまでに気に掛ける剣とは。よほどご都合が悪いようで何より」

女王「……6年前より耳にするアジ=ダハーカという名。その名を冠する者が、ジョワユーズのマスターという事ですか」

モルドレッド「嫌に察しの良い事で」

女王「マスターに相応しい人間は聖剣と呼応し、惹かれ合う。災厄をもたらす蛇……なるほど、これ以上にない逸材というわけですね」

モルドレッド「その切先は今や魔王軍ではなく、貴女に向けられているという事だ。どんな気分だね、母上」

女王「……」

女騎士「クックク……やけに殊勝じゃあねえか、おとなしくしてな」

アルバス「……」

女騎士「しかしなぁ……よくこんな古くせえ神殿なんかがマジに残ってたもんだ。あんたが掃除してたん?」

アルバス「否……」

女騎士「おいおいおい、喋れんじゃねーかよおー。さすがは高等竜種様、下民どもとは違いますってか?」

息子「お、お母様、あぶないです」

娘「こんなくっさいドラゴンの前に手を出しては、噛まれてしまいます」

アルバス「……」

ポニテ「(なぜ騎士様はあんなにも神格にほど近い竜にあそこまでフランクなのでしょう)」

秘書「(そりゃ……初めてのお相手が神格にほど近い竜だからじゃないですか?)」

ポニテ「(こわくて近寄れません)」

秘書「(わたしもです)」

アルバス「汝……何を求め……エリンへ……降り立った……」

女騎士「何をって……おつかいだよ、おつかい。岸部を穴だらけにしたのは悪かったが謝らんぞ」

アルバス「使い……アリスの使いの者には……見えん……」

女騎士「アリス? アリスって何だよ」

アルバス「ジャバウォッキー……汝と……その子らからも……同じ匂いを感じるな……」

女騎士「じゃば? イミがわからん、ポエム語りはじめたらたたッ斬るからな、覚悟しとけ田舎モンがよぉー」

秘書「(意外と会話が弾んでますねえ)」

ポニテ「(さすがは騎士様です)」

アルバス「我は……アリス達との盟約のもと……この地に住まい……ジャバウォッキー達を守護している……」

女騎士「じゃばおっきってのが、ここの民族の名前か? どうでもいいな」

アルバス「聖滅を抱く……ジャバウォッキー……アリスの使いでないなら……汝は……何を……求めてきたのだ……」

女騎士「んーと、んーとな、ちょっと聞くぞ。エルダーってのはあんたの事を言うのか?」

アルバス「然り……アリス達は……便宜的に……ワイバーンと我らを区別する為……そう呼んでいる……」

女騎士「そのあんたらをブッ殺しに来たんだよ」

アルバス「」

ポニテ「(直球!!)」

秘書「(デッドボールですよあれ!!)」

女騎士「と、当初は思ってたんだが……答えようによっちゃあ考えてやらんでもない」

アルバス「……」

女騎士「円卓のババアの言う事をそこまで律儀に聞いてやる事もねぇしさぁー、私もお前らみたいなくっせぇドラゴン大っ嫌いだけど、
役に立つんだったら使ってやらん事も無い。刃向うなら、お前らがだいだい大好きなこのジョワ公のサビになってもらいます」

アルバス「円卓……アリスの配下が……我らに汝らを差し向けた……のか……?」

女騎士「……そう、そうだ!! 円卓の連中に言われたんだよ、エルダーのお前らをぶち殺せって。
そうしたら……なんだ、アリス様のご加護に預かれるって言われたんだよ。話を聞いてるとなんだぁ、アリスってのはとんでもねえ奴だなぁ!!」

秘書「(とんでもない事を言ってますねぇ騎士様は)」

アルバス「馬鹿……な……アリスが……? 我らを……エリンと……ジャバウォッキーを……!?」

女騎士「あーでもわからんなー。アリス様、もしかしたら円卓の連中にそそのかされてるのかもしれんなー。
あいつら表じゃずーっと連合や魔王軍相手に戦争ばっかやってるドクズどもだもん、欲の皮が突っ張って顔のパーツ見えないくらいよ」

アルバス「……」

女騎士「ウソだって言いたいのか? その気持ちは分かるけどよぉー、でもぜぇんぶホントの事なんだぜえ?
ジョワ公みたいなマジモンの聖剣を持った私を差し向けられる人間っつったら、それこそアンタの言うアリス様くらいしかいないだろ?」

アルバス「アリス……リデル……」

女騎士「あー、可哀想だなー……ここでエルダーは皆殺し、ブリューナクもわるい円卓のゴミどもに掻っ攫われてジエンドだぜ」

アルバス「……」

女騎士「……悔しいなー、信じてた連合王国だったのに……これ悔しいわぁ。でもな、その争いの火種を作ったのは連合と魔王軍なんだ。
わかるか? あいつら他人を誑かす事に関しちゃ超一流のエキスパートだ。ある事ない事でっち挙げて、きっと円卓もそいつらに騙されてるのさ」

秘書「(よくあそこまでデタラメで頭が回りますねえ……)」

騎士ほ「あの白い古竜の証言をまとめると斯く斯く云々……ここエリンは、ジャバウォッキーの為に誂えられた島という事らしいですわね」

女騎士「ジャバウォッキーねぇ……そんな妙な連中がポコポコやってくるのか」

ドルイド「……」

女騎士「……おい、何とか言えよ。お目付け役だろ」

ドルイド「×××××」

女騎士「何言ってんのかわかんねーよ黙れ」

ドルイド「……」



エルフ三男「ここだけで広まっているマレビト信仰というわけでもありませんね、勇者信仰のルーツと言っても過言ではない……
北西がこんな事実を隠蔽していると大陸に知れ渡れば、教皇領はどんな顔をするでしょうか」

騎士ほ「案外……あそことはグルだったりするかもしれませんわね……」

エルフ三男「……考えられなくはないですね」

騎士ほ「言うなれば、勇者になりうる人材を飼殺しておく為の牧場……それを、北西王室だけの権力で行っていた?
教皇領側からの働きかけがなければ、島一つまるごと隠蔽する事は難しいでしょう、それこそ聖剣でも持っていなければ……」

エルフ三男「ではやはり、五柱の勇者の聖剣は北西にあると考えて良いのでしょうか」

騎士ほ「というより、ほぼ確定ですわね……これ見よがしにレプリカの聖剣を用意しているところを見れば……」

エルフ三男「ふむ……ところで、騎士様は? どちらに」

秘書「えっ、あ、あの……ついさっき、お坊さんかなぁ……一緒にさっきの神殿まで行っちゃったみたいですけど」

騎士ほ「……まあ、上空には中尉達の見張りを付けていますし……危険はないでしょうね……」

ドルイド「×××××」

女騎士「ふぁぁ、ハンモックでも持ってくりゃあ良かった……眠っむ……」

娘「良いお天気ー」

息子「お散歩日和ですねー」

ドルイド「××××××」

女騎士「で、そのブリューナクがブッ刺さってるってのはどの辺りなんだよ。さっきの神殿なんだろ」

ドルイド「××××××××」

女騎士「……もういい、わかった喋んな」

娘「わ、わ、わ、わ、わあー、大っきぃー!!」

息子「すごい……綺麗だ……これが槍……ブリューナク!!」

女騎士「でっけ……スッゲ……チャチな宝石なんかじゃないよなこれ……」

息子「本当に槍みたいな形をしてるんだ……共和国の聖堂と同じくらい大きい!!」

ドルイド「×××××××××」

娘「つるつるのぴかぴか……つめたいのかなあ」

息子「だっ、ダメだよ!! 閣下が言ってたでしょ、僕たちはヴォーパル鋼には……」

娘「あ……そ、そっか」

女騎士「相場いくらくらいかなー、高ェのかなそもそもコレ……高ェよな、市場に流通してねえだろうし……」

ドルイド「××××××××」

女騎士「つるつるのすべすべだよなー、どうやって研磨したんだコレ……」

ピトッ

 『つり革や手すり等にお掴まり下さい』

                         『次は、新宿~、新宿~……お降りのお客様は、お忘れ物の無いように』

              『おじいちゃんが中にまだいるの!! 助けてあげて!!』

 『すごーい、魔法みたい!! 火の玉が飛んだわあ!!』

                             『うんっ、私も……私も大好きよ!』

『今……私、すごく幸せ……あなたに会えて……』

   『ここはエリンの島だよ』

                                        『まもののむれがあらわれた!』

『死にっ、死にたくない!! 嫌、たすけ、嫌なのぉぉ!!』

   『勉強したかですってぇ? あたしがそんな事するわけないじゃん、万年最底辺ですんで』

『この番組は、ご覧のスポンサーの提供でお送りいたしました』

                『ころして わたし  ころ』

                        『遅かったじゃない! 魔物が出たらどうするの、これからどんどん日が短くなるんだから!』

   『この番号は、現在使われておりません』

                        『お願い何でもいう事聞くから許してお願い』

 『カレシができただぁ? 抜け駆けしやがってぇ、こいつう』
                                          『ピーッという発信音の後にメッセージをどうぞ』

『決めたの、私……お国の為に頑張る!』
                               『だいまおうがあらわれた!』

       『熱ぃぃぃぃぃあぁぁぁあっ、ひいいゃああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁ、ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ』

                            『おへんじ ください まってます』

    『あの子と付き合ってるんだ。お似合いじゃない、良かったわね!』

                                         『えげゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁ、いぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ』

『攣り皮や手磨り塔に男捕まり管さい』

                      『本日は、JR本線をご利用いただき誠にありがとうございました。次は、終点』


       『嫌嫌嫌嫌嫌ころさないで嫌嫌嫌嫌死にたくない嫌嫌嫌嫌嫌許許ゆるゆううううううう終点大魔王マモノ学校男の子』

『おっ、おはよう! 今朝は早いのね』

                                           『ここは皇帝の街さ』

  『ヤキモチなんて妬くわけないじゃないの!』

                『またあんたって奴は! これでもくらいなさーい!』

      『ご臨終です』

                          『えげ』

  『だいまおうがあらわれない』

                               『裂けっ、裂けぢゃう、無理ぃ、無理無理無理無理ぃぃぃぃ』

              『あなたの赤ちゃんなのに』

  『産まれぇぇ、産まれぢゃうう、痛ぃ、痛痛痛』

                                  『警視庁捜査一課の者です』

           『死ぬしかないじゃない』

                                          『いっしょになろ^^』

   『死の^^』

                           『し、幸せにしなさいよねっ、ばかっ!』

     『私は……私は既に女である事を捨てたのだ!! この身がどうなろうと、我が矜持は尽きぬ!!』

                                  『渋谷公会堂にて』

 『隣で音立てんな聞こえてんだよやめろやめろうるせぇやめろ』

                                      『騎士の誇りというものだ』

                  『いやだ、死にたくない』

女騎士「がふっ、げええっ、げっ!!」

息子「お母様っ……かあさま!?」

女騎士「気持ち悪……ごっほ……何……だよ……」

娘「お、お、おかあさま……大変っ!!」

女騎士「何だ……頭に……流れ込んできた……げぇえっ!!」

息子「動かすな!! 医療班を連れて来てくれっ、早く!!」

女騎士「手、手が……あ、あ、あたしに触んな、手ぇ、手ぇ、伸ばしてくるんじゃあねえッ、ざけんなあ!!」

息子「母様、お母様っ!!」

第9部窮 野沢菜編

                ┼ヽ  -|r‐、. レ |
                 d⌒) ./| _ノ  __ノ 

第10部へ

                                       ー- 、 ー-、``/  
                                      _, '  ._, '  \  
                                    -------------------
                                     制作・著作 NHK


>秘書「……ちょっと前から、拝火による連合や東帝側への擦り寄りが共同体内の魔族の間で反発を産んでいたみたいです。
加えて、領地を一部共有する巨人族に起こった不幸……魔王軍側は、どうやら一枚岩じゃあないみたいですね」

騎士ほ「重役が我々との謁見を行うという時点で、あちら側はかなりガタがきていると考えてよいでしょう。


魔王軍内部分裂説を必死に否定&工作してた奴ら今どんな顔してんだろ
ババアも表立ってクーデター起こしたから全部女騎士陣営のせいにすることもできないし

※31日は番組内容を変更してお送りいたします。『笑ってはいけない国教騎士団24時』は後日あらためて放送予定です

就職負け組なだけやで(^ω^;)
予定が合ったら社会人枠受けようと思ってるだけやで(^ω^;)

フリーターに年末年始なんかないけど、5日あたり書くで(^ω^;)

妹「んちゃーwwwwwwwwwww」

司教「コンチャーwwwwwwwwwwwwwいつもフランクアナタのお傍の正教会でございまーすwwwwww」


ティタニア「考え直してはくれないのかしらぁ……ケツに火が点いたどころか、このままじゃあちこち飛び火してしまうわぁ」

ジークリューネ「何も、あなた方に反旗を翻すと言っているわけではございません。ただ……ちょっぴり協力を自粛したいと申しているのです」

トール「女どもがくたばった件についても、依然として不明瞭だしなぁー。何かね? そんなに我々北部神族が疎ましいかね」

将軍丙「なにもそんな事は……!」

ジークリューネ「教皇領……そこの坊主達とも、拝火を筆頭に最近は懇ろになっていると聞きますわ。
その博愛を少しはこちらに分けて頂きたいくらいでございます。羨ましい限りです」


司教「(空気わりいwwwwwwwwwwwwww)」

妹「(仲間割れとかダッサwwwwwwwwwざっこwwwwwwwwwwwww)」


トール「アジ=ダハーカとかいう女との追いかけっこもいいがなぁー、腐れ縁の親父殿の顔を立ててやってもいいんじゃあねーのか?

魔王「……」

ティタニア「あの女が大陸の毒の源である事は、再三にわたって警戒して来た筈。氏族内で足踏みをしている場合では……」

ジークリューネ「それで……今すぐに反連合感情を片づけろと?」

将軍丙「西帝領復興には止むを得ない事……それに、怨恨をこのまま引きずっていくおつもり!?」

ジークリューネ「私怨とあなた方は常々仰いますが……実に不愉快です。
さすが、自ら一神教に改宗して清廉潔白を謳う拝火神族の皆々様は清い御心の持ち主ですね」

トール「6年前ならいざ知らず、何だね今のこのざまは。あっちこっちに尻尾を振って、今や連合に教皇領の使い走りじゃねえか」

ジークリューネ「無論、ダダをこねるつもりではありませんが……我々も共同体も逼迫しております。
東方からの圧迫は未だ変わらず、先の災厄で受けた被害も少なくはない。それは当然、散々虐めつくされてきましたもので」


司教「(知るかばーかwwwwwwwwおめえらなんか悪魔も同然だカスwwwwww)」

妹「(争いは同じレベルの者同士でしか発生しないwwwwwwwwwwwwwwww)」

トール「慈善と共和じゃあハラは膨れねえんだよお。
極東の僻地なんか見てみろ、周りは修好条約だとかで連日カツアゲされてるなあ」

ジークリューネ「東西が割れている最中、連合と隣接としている我らがどっちつかずでいるわけにはいきません……
もっとも、東に着くのはごめんだというのが我々の総意。これ以上癒着を強めるのなら……」

魔王「……わかった。苦労を掛けたな」

トール「……」

魔王「認めるよ、主要リネージに要らぬ負担を強いていた事は」

ティタニア「ちょ……ちょっと……?」

ハデス「……さすがに、そこまでいやがる相手に同意を強いる事はできんしなぁー」

トール「珍しく物わかりがいいじゃねぇか。意見を汲んでくれて助かる」

魔王「今の我々の意向を強制するつもりはないし、あなた達の考えを黙殺するつもりもない。これだけは信じてほしい」

将軍丙「……」

魔王「こちらで預かっている人材もお返しする。それでいいかな? 
行ってもらうのは、引き続きの啓蒙活動だけで構わない」

ジークリューネ「保守を切り捨てると分かった途端、言動が素早くなりますのね」

魔王「切って捨てる気などない。来たるべき時を迎えれば、再び我らと同じ鞘に戻ってもらいたい」


司教「(私ら嫌われすぎィwwwwwwwwwwwwwwww)」

妹「(魔王軍これダメですわwwwwwwwwwwwww)」

妹「あー愉快ですわ愉快ですわ!! 流れが私の側にキテますわ!! 新年は私の時代ですわこれ!!」

ウルスラグナ「今日はスキップのキレも良いようで」

妹「いやぁ、もう連合の勝ちは確定したようなもんでしょーがwwwwwwww雷帝閣下ばんじゃいっばんじゃいばんじゃい!!」

ウルスラグナ「全ては西欧会議での結果次第ではありますが……バルムンクの確保に加え、魔王軍への対応を違わねば心証も更に良くなりましょう」

妹「すべてのカギは聖剣使いにかかっている……つまぁーり、この私の存在は大陸にとってヒッジョーに大きなものという事ですわねぇー!!」

ウルスラグナ「左様で」

妹「……ったくぅ、勇者のガキもマヌケですわねぇ。小姉様なんかにデュランダル盗られちゃうなんて」

ウルスラグナ「アジ=ダハーカには聖滅……ロンギヌスの加護があるとの事ですが」

妹「まさか正面切って殴り合ったわけでもないでしょ? 案外、あの勇者……小姉様と繋がっているとも考えられましてよお?」

ウルスラグナ「はあ」

妹「昨日はそのネタでテキトーに言いふらしてきましたけれどもぉ……こりゃこりゃビックリ、ガリアの勇者はなかなか人望があるんですのね、
魔王様のお気に入りって事で、思ったように浸透しませんの。デュランダルを明け渡したクソタレって事で、荒れてると言えば荒れてるんですがねぇ」

ウルスラグナ「また貴女はある事ない事を……」

妹「聖剣のマスターらしからぬ振る舞いが目立ちますからぁ……北部神族の言う通り、魔族のケガレに毒されているんですのねぇ」

ウルスラグナ「……」

妹「ここは聖剣の持ち主としてぇ……クズの小姉様の手先に成り下がった小物のクソ勇者に、この私が天誅をくだしてやるべきだと思うんですのぉ」

戦士「ん、あんたは……確か、帝国の……」

妹「ごっきげんようこんにちわぁー。お見舞いに来てやりましたわぁ、この私が!」

賢者「(ウザッ)」

戦士「(ウザい)」

僧侶「……」

妹「何でもしぶとく……いえいえ、幸運にも一命を取り留めたとか。輪切りにされたと聞いておりますのに、何よりですわぁ」

僧侶「び、病室……あちらですので」

妹「あらぁ、どうもぉ」



妹「……どうしましたあ? みなさん、こわいお顔しないでくださいまし」

戦士「……」

妹「私、何かしましたあ?」

賢者「……」

妹「何か私に言いたい事でもありましてぇ?」

僧侶「……」

妹「……おい、おいおいおいおい。鬱陶しいですわねえ、無罪の他人をブタ箱にぶちこんだカスどものくせに生意気ですわ」

戦士「別に、アンタに手を出す気はないですよ。ないですが……」

賢者「一応、勇者くんも若いとはいえ重役なの。それなりに警戒する必要があるんですよね」

妹「はあ? 私を疑ってますのお? ブッ殺しますわよ? 聖剣をみすみすくれてやった裏切り者に慈悲をくれてやろうと言ってるんですのよ?」

戦士「(このカス……!!)」

妹「あーあ……もう、もういいですわよもう。めんどくさい、あんたがたも勇者とおんなじ変態体質なんですってね?
キモチわる……ジンガイのくっさいくっさい吐息を肺に吸い込みながら会話してやってる私の身になってくださいましよ、ねーえ」

僧侶「……ふっ、二人とも……退がっ……!」



妹「コッロースwwwwwwwwwwwwコッロースwwwwwwwwwwwwwwうははははは、魔物は消毒ですわぁwwwwwwwwwww」

戦士「ちゅぴ」

賢者「はぼ」



妹「ははははは、雑魚雑魚雑魚! みーんな雑魚!! うはははは、聖剣に敵う訳ねぇーだろぉーがよぉー!!」

僧侶「(う、そ……こ、ここ、この人が……聖剣を持ってる……? なんで……嘘でしょ……!?)」

妹「おらぁ!! ははは、無様ですわぁ!! ツラ構えはそこまで悪くない野郎ですけれどもぉ、
か弱いか弱い美少女の私を相手に真っ向からのケンカで負けてたらぁ、白兵として生きてる価値ありませんわよぉー?」

戦士「」

妹「いやーつれえですわぁー、つれえですわぁー!! 秘められた力を持って生きるのはつれえですわぁー!!」

賢者「」

妹「ヘーイ魔術師さぁーん、お得意の手品を見せてくださいましよぉー!! 
そうやってお腹からウンコやらモツやらぶちまけるのが手品なんですかぁー? もしもしもしもしぃー?」

僧侶「ひ……ひやあああああああああぅ、ひゃああああああぅ」

妹「ははは、逃げやがりましたわ!! 勇者サマサマを見捨てて!! 逃げッ返りやがりましたわあ!! あはははは!!」

僧侶「たしゅっ、たしゅけてええええ!! いやああああっ、いやっ!!」

妹「んはぁぁぁぁ、は、は、は、排卵するぅぅぅぅぅ……ははは、ドンドンドンガチャガチャ!! 勇者すわぁぁーん、三女でぇーーす!!
あーけーてーwwwwwwwwwwwwドンドンドンwwwwwwwwwwwあーけーろーよーwwwwwwww」

妹「お見舞いでぇーす、勇者サマぁぁ、ごきげんよぉぉぉ!」

ウルスラグナ「失礼いたしますぅ……」

勇者「……」

妹「あらー、まだお休みでいらっしゃいますわねぇー!! 殺しの現行犯でパクられたのに、いいご身分ですこと!!」

勇者「……」



妹「(聖剣使いはぁ……聖人ってのはぁ、私一人で十分ですのよお。聖剣がそうホイホイ扱えてたまるものですか!
私が慣らした道を、雷帝閣下が歩んでいくのですわあ……小姉様も何もかも、バルムンクを持った閣下に敵うはずがない……!!)」

ウルスラグナ「(……)」

妹「(そぉ、そおですわ!! とりあえず、私は連合や雷帝閣下のおこぼれで優雅に暮らせればいいのです!!
その為には……私と同じポストになり得るような聖剣使いは……一人ずつ処理していくほかありませんわ……!!)」

ウルスラグナ「(……)」

妹「(う、ううう……手指の傷が疼きますわあ……グズグズグズグズ疼きますわあ……んはぁぁぁぁ……閣下ァ、閣下ァ、閣下ァ、
雷帝閣下ァァ……よくもやりやがってぇぇ……ひゃ、ひゃひゃ、百倍返しだぁぁ……指だけじゃない、腿から二の腕から叩き斬ってやるう……)」

ウルスラグナ「……」

妹「……死ぃねッ、くそ勇者サマッ!! 勇者は、大陸の勇者はこの私一人で十分なのですわぁぁぁ!!」

                          ..ゞヾ:''ソ"'"''""''ソ:'ソッ,
                        .ヾ''゙ .          "''ソμ,
                     ッヾ´     ノ           `..彡
                     、ゞ             ⌒)         ミ  ブワッ
        .................;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;ミ´           -<´          彡:;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;.................
   .......;;;;;;;;;;゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙      ヾ            、_)               ミ ――――――――――――――
  ;;;;;;゙゙゙゙゙            ミ         ノ                  ミ ――――――――――――――
  ゙゙゙゙゙;;;;;;;;............       ミ                               ミ       .............;;;;;;;;゙゙゙゙゙
      ゙゙゙゙゙゙゙゙゙;;;;;;;;;;;;;;;;;....彡...........................              ...............................ミ.......;;;;;;;;;;;;;;;;;゙゙゙゙゙゙゙゙゙
                 ゙/゙ゾ゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙ヾ ゙゙゙゙゙
              ノi|lli; i . .;, 、    .,,            ` ; 、  .; ´ ;,il||iγ
                 /゙||lii|li||,;,.il|i;, ; . ., ,li   ' ;   .` .;    il,.;;.:||i .i| :;il|l||;(゙
                `;;i|l|li||lll|||il;i:ii,..,.i||l´i,,.;,.. .il `,  ,i|;.,l;;:`ii||iil||il||il||l||i|lii゙ゝ
                 ゙゙´`´゙-;il||||il|||li||i||iiii;ilii;lili;||i;;;,,|i;,:,i|liil||ill|||ilill|||ii||lli゙/
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妹「おっ、お、お、オギャアアアアア」

ウルスラグナ「マスター……マスター!?」

妹「痛っ、痛っ、痛ったあああああッ、う、う、うおおおおおっ!! 何、何、何なんだよォォォ!!」

ウルスラグナ「お、お気を確かにお持ちください……」

妹「あぎぎぎぃぃぃ、ああああうぅぅぅぅっ……何、何しやがったぁぁぁぁ、クソ勇者ぁぁぁぁ、うおお痛ぇぇぇぇ!!」

ウルスラグナ「(この残光……受動術……罠……?)」

妹「ちっ、ちぎじょう……ぢぎしょうがぁ……誰だぁ、さっきの逃げた女かあ……? 誰だあ、タダじゃあおかねぇぞお!! 」




金長狸「かかった……地雷にかかった! あいつ、帝国のヤな女! 何で勇者さんを狙って……」

おかっぱ「ともあれ、成功だ……ネキリの指向発動……! ぶち当ててやったぜ」

金長狸「あ、あああ、大丈夫? 頭、起きてるう?」

おかっぱ「……根斬太刀が媒介でなくとも、聖剣使いにダメージは与えられる……早々と収穫が得られたな……!」

妹「おぎゃぎゃぎゃぎゃぎゃ」



金長狸「(剣を取り落としたっ……勇者さんとこのお仲間まとめて始末できるほどの名剣……、あれが恐らく聖剣のうちの一本!)

おかっぱ「この……裏切り者がよぉー……トチ狂ったか、どういうつもりかわからんが……!!」

妹「なっ、何っ、何なんだァァ、おいッ、おいナマクラ、返事しろお!! おいっ、わた、私を、私を助けろお!!」

金長狸「う、うう、動かないでえ! 撃ちます、撃っちゃいますよ! ほんとに撃ちますよお!」

おかっぱ「……」

妹「ネッ、ネキリにも耐えうるとかっ……言ってたじゃあねーかぁッ!! マスターの私がピンチなんだぞッ、おいぃぃ!!」

金長狸「……ね、ね、ね、ほんとに……立ってられる?」

おかっぱ「頭が重い……身体が熱い、だるい、しんどい……が、引っ込んでもいられまいよ……!」

妹「ウルス……ウルスなんちゃらぁぁ……せ、聖剣なんだろぉがッ……!!」


おかっぱ「……おい、売奴。タダで済むと思うなよ」

妹「は、はぁ……!? テメェ、何様のつもりだぁぁー!? このあたしを誰だと思ってやがるッ、いいから、いいから医者を呼べェェ―ッ!!」

おかっぱ「こいつ……」

妹「由緒正しき貴族のこのあたしによぉー、白目が真っ黒で瞳がキンキンなデカ女の知り合いなんかいねェーんだよッ、きめぇから消えやがれッ!!」

おかっぱ「」

金長狸「(そういえば鏡見せてなかったかー、そりゃフリーズしますわー)」

おかっぱ「わけのわからん世迷言は十八番のようだな……クズめ……!!」

妹「わけわかんねぇーのはテメェらの方なんだよぉー、魔物の分際でよぉー……!! 何しやがった、この野郎がぁぁぁ!!」

おかっぱ「私にすれば……貴様ら一族の方が、よっぽど悪魔に見えるがな……!!」

金長狸「(両方悪魔に見えますねぇー)」

おかっぱ「……金長、確保しろ。口さえ利ければもはや構わん」

金長狸「は、はあい……」

妹「くっ、くく、来るなッ、来るんじゃあねえッ……あ、あたしだって銃くらい持ってるんだッ、
勇者の奴が人質ってのは……い、依然として変わってねぇーんだぞッ!!」

おかっぱ「やってみろ、ゲスめ……!! お前を代わりの勇者に使ってやるから構わん……五体満足でいられるかはわからんがな」

妹「くひぃ……」

金長狸「……」

おかっぱ「ゴミムシやノミ程度の脳ミソくらいしかなくても……想像できるだろうが……ただでは殺さんぞ」

妹「……い、ひ、ひゃだなぁー……ち、ち、ちぎゃうんですよぉ、こりゃ、こりゃあねえ……わ、わたくひが」

おかっぱ「撃て」

金長狸「ひゃあ」パンッ

妹「ぎゃっ!!」


     ( \/ /_∧   <./|   /|       /\___
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金長狸「えっ、えええッ!?」

おかっぱ「なに……!」

金長狸「に、逃げたあ……マドから……こ、ここ城塞の4階ですよお……!!」

おかっぱ「鴉と木っ葉を向かわせろ……!! 足首から先を叩き斬れ、手段を選ばせるな……!!」

金長狸「は、はぃぃ!!」

おかっぱ「……しかし、窓から逃げるか? そこまで頭が膿んでいたというのか……? 聖剣を放って……」


クシャスラー「何て事を……判断力と教養は、人生という旅路で培われてゆくものなのです。どう他人を貶すのはおやめなさい」


金長狸「ひ……? ど、どど、どなた様……」

おかっぱ「……」

クシャスラー「はじめまして、極東から遥々ご苦労さまでございます。歓迎いたしますわ」

おかっぱ「……アンタが……天使か……? 見てたんだったら助けなよ、魔王軍と懇ろの関係なんだろ?」

クシャスラー「我らは特定の陣営への肩入れなどいたしません。
この大地に生きとし生ける全ての生命、その尊き信仰に等しく加護を与えるのが我らの使命」

おかっぱ「……」

クシャスラー「すべては天にまします我らが主の為に……これから共に祈りましょう、極東の人……
では、失礼いたしますね……彼女、放ってはおけませんので……」

金長狸「あ、ちょ、ちょっとお……ちょ、ちょちょちょちょっと!! あ、貴女も窓からダイブ……なんですね、逞しいですね」

おかっぱ「……」

妹「」


クシャスラー「あらー……もしもし、もしもし。おはようございまぁす」


おっちゃん「うおぉ……!! ネーちゃんどっから……!!」

にいちゃん「まずいぜ兄ィ……こんな所見られたら……」

クシャスラー「あら、あらあら……起っきしてくださいね、起っき起っき」

妹「」

クシャスラー「あら、あらあら。お取込み中……おふた方の方が起っき起っきしてますねぇ」

おっちゃん「お、おい……アンタ、何してんだよォ」

にいちゃん「もぉ動かねェよ、見りゃわかんだろ。死んでんだからしょっぴかれるイワレはねぇ。消えねえとおめえもブッ殺すぞ」

妹「」

クシャスラー「まあ……いけません。子種を砂漠に撒くような事は、褒められたことではありませんね……」

にいちゃん「てめぇ……ネクロフィリアの権利を侵害する気かァ!?」

おっちゃん「おっちゃんの嗜好をバカにしないでおくれ!! こんな美女が空から落ちて来るなんて思わなくてだね!」

クシャスラー「ふむ……一方的に責めるのもフェアじゃありませんね。仕方ありません、少し待ちましょう。早くしてくださいましね」

にいちゃん「おい兄ィ!! 速ェとこ頼むぜ、冷えちまったらもったいねぇからな!!」

おっちゃん「うーむ、帝国では遅漏で知られたオレがそんな敏速にできるものかなあ」

妹「」

妹「ごっ、あっ、え゛ぇッ……ごぇっ……!!」

ウルスラグナ「こんにちはぁ、おはようございますぅ……」

妹「えげゃぁぁ……痛……痛……寒……ひぃ……」

ウルスラグナ「この場合は、おかえりなさいの方が正しいでしょうか……」

妹「がらだじゅう……いたい……いたい……ちぐしょ…・・・・」

ウルスラグナ「しかし……失敗してしまいましたねえ、これからどういたしましょうか。
これでは連合にも戻れませんしねぇ……」

妹「あん……たがァ……賛成……したんじゃねぇかよォ……!! あたしのせいじゃあ……痛……」

ウルスラグナ「賛成といいますか……もっとも多くの信仰が報われるであろう選択をお奨めしているだけですよ」

妹「ざげ……んなぁ……なぁにがよぉ……勝利の……聖ェ剣……だよ……インチキ……インチキ、インチキ、インチキぃ……!!」

ウルスラグナ「とんでもございません。貴女が聖霊に満たされる事ができるよう、
そして教皇庁の皆々様の尽力が大陸の平安に繋がるよう……このウルスラグナ、勝利に向かって邁進している最中です」

妹「……は?」

ウルスラグナ「先に西帝で起こった昇華もまた、人々の意思統一へ向かう為の布石……すべては滞りなく進んでおりますの」

妹「西……帝……ネキリのアレ……何だってんですのぉ……?」

ウルスラグナ「このウルスラグナにかかれば、変貌の業など容易い事。
龍脈を操るネキリとやらに指向性を持たせる事など、造作もございません」

妹「……」

ウルスラグナ「数万数十万の犠牲は、きっと地上の原罪を少なからず抱えていってくれた事でしょう……
彼らに報いる為にも、我々は歩みをやめるわけにはいかないのです。がんばりましょ、マスター?」

妹「」

妹「あの……あの事故ッ……あ、あ、アンタがやったって言うんですのッ……!?」

ウルスラグナ「事故……? ネキリ起動を利用させていただいたのは確かです、お気づきかと思っておりましたが」

妹「あ、あ、あれっ……何やったか、何やらかしたか分かってるんですの!?」

ウルスラグナ「ですから、彼らの死はけして無駄なものではないと」

妹「イ、イカレてる!! どうかしてる、おかしいですわ!! 何考えてるんですの……!?」

ウルスラグナ「マスター……落ち着いて、お気を確かに。まだお体が本調子ではないのですね、おかわいそうに」

妹「ざけ、ざっけんな……ららら、雷帝……閣下に殺される……み、見捨て……捨てられるぅ……!!」

ウルスラグナ「しかしマスター。貴女は既に選ばれし勇者として、教皇庁から一目置かれている筈です。
大丈夫……このウルスラグナとマスターならば……きっと正教は勝利へと向かえますわ」

妹「(こいつ……わかってねぇッ……マジでおかしい……!! こ、ここ、こんなヤツと一緒にいたら……!!)」

敵兵「」

ブラウニー「」

ピクシー「」


おかっぱ「すまんな、逃がした……だが、虎の子の勇者だけは無傷の筈……」

金長狸「あううあうあうあー」


ピクシー「どちら様でしょう」

ブラウニー「わたし、こんなおっぱい女に心当たりないんですけど」

敵兵「……もしかして……しょ、正気に……」

おかっぱ「不調を押して罠を起動してやったんだ、大目に見ろ……」

ピクシー「……えっと、どういう事でしょうかね?」

ブラウニー「詳しい説明が欲しいですねェ……ねえ童貞さん」

敵兵「オレだって、専門じゃないですもの……鬼に呪いをかけかけられ、だなんて」

金長狸「ま、まあ……紆余曲折あったのです。エクスキャリバーがどうとか、だとか……
『人外の混沌』で毒された身体に、エクスキャリバーで『叡智の秩序』を与えて中和……」

おかっぱ「……数十時間前までは、胎の中が虫のサナギがごとくグチャドロだったとの事だ。
我が身のことながら、いささか気分が悪いな……」

金長狸「ディナダン卿さまさまですねー、北西には頭が上がりません……」

敵兵「そいつは良かった、本当に……しばらくはゆっくり休養を」

おかっぱ「忌々しい人外ども……大陸人のような無駄にでかい図体に仕立てやがって……ふざけろ……殺す……
私の手で八つ裂きにしてやる……殺すぅ……許さんぞ……」

ブラウニー「おっぱい! ふっきん! けつ!!」

ピクシー「あなた、ほんとにあのちっちゃい人ですかあ?」

敵兵「……」

おかっぱ「貴様らにわかるか!! ち、乳首が増え……増えてたんだぞ!! 目が覚めたら乳房が二対以上あったんだぞ!!」

敵兵「」

ピクシー「まじかよ」

ブラウニー「ああ、そのサラシってそういう……」

おかっぱ「終いには、目が奇妙な事になっていると言うが……これもすべてあの女のせいだ……ああ、もうやってられねぇ」

敵兵「もはや髪型からオカッパじゃないもんな……」

女騎士ちゃん「見敵必殺<サーチアンドデストロイ>!見敵必殺<サーチアンドデストロイ>だ!私の邪魔をするあらゆる勢力は叩いて潰せ!!
       全ての障害はただ進み、押し潰し、粉砕しろ!!」

ほ・三男「了解<ヤー>、我が主<マイマスター>」

局員「長官閣下、例の……守銭奴より電報が入っております」

雷帝「あーはいはいなんざんしょ」

局員「先の勇者襲撃に関する情報開示の請求です、白の城塞側からも同じものが」

雷帝「……」

局員「閣下……?」

雷帝「あのタンカス女が……脳にゴキブリの卵でも産みつけられてるのか……? 誰がそんなふざけたマネをしろと言ったのだ」

局員「やはり、帝国のアバズレが一枚噛んだ事件と考えられましょう」

雷帝「どこまで頭が悪い……いや、そんな次元の問題ではないな。理性のない動植物でさえ、
自然に適応した本能で子孫繁栄をこれまで世代をまたいで培ってきた……が、あのカスは何だ?
何が自分の身を危険に晒すかもわかっていないのか? 火中の栗を素手で拾うほど愚かなのか? なぜそこまで馬鹿なのだ」

局員「魔王軍にいらぬ刺激を与え、余計な反発をさせる材料ができただけ……」

雷帝「魔物どもなど所詮は取るに足らんチンカスに過ぎん。過ぎんが……これ以上調子に乗られるのも癪というものだ。
加えて、教皇領の身の程知らずもな。大体、ウルスラグナの不手際は教皇庁の坊主の不手際も同然だろ、何様のつもりかね」

局員「ただちに抗議の書面を作成いたします」

雷帝「宜しく頼む。ああ、まったく……せっかくの船旅が台無しじゃないか」

局員「……その、閣下。差し出がましい希望なのですが」

雷帝「ん……ああー、わかっていますよぉ。今夜は貴女の番でしたねえ、たっぷり愛してさしあげますから、待っててくださいましねぇ」

局員「はい……」



雷帝「(急に周囲の虫どもがサカり始めたな……それも雌雄問わずにざわざわと。
彼女の実娘たる私の美貌に凡百の庶民どもが惹かれるのは無理もないが、それにしては何かがおかしい……
実に滑稽な状況だが……もしかすると、これがバルムンクの天恵というやつなのかな? クックク……)」

騎士ほ「お姉様の容体は……!?」

ポニテ「は……先ごろ脈拍が安定しました、発熱も治まってきまして」

騎士ほ「お姉様……ああ、おいたわしや……」

エルフ三男「一体何が……? 彼女、てんかんの持病を持っていたという話も聞きません、この島特有の疾病か何かか……」

騎士ほ「後者だとすれば、早々に停泊させていた空母に撤収した事は果たして吉と出るか凶と出るか……
ここまできて伝染病で死ぬなど、この私でも御免こうむりたいところですわ……! お姉様と同じ死病で果てるという点では喜ばしいですが……」

エルフ三男「しかし、同じ症状を訴える人間は他に誰一人いない。現地民も、騎士様の容体に驚いていた……」

騎士ほ「あのアルバスとかいうエルダーも……?」

エルフ三男「ええ。ブリューナクに関しては最も深い知識を有しているとの事ですがね」

騎士ほ「そう……そう、あのブリューナク! あれは一体なんだと言うのか……!」

エルフ三男「僕も先ほど目にしたのですが……これまで見た事のないほどに純度の高いヴォーパルで形作られています。
恐らく、組成には鉄鋼など1%も含有されていないでしょう。そんな、異形とも形容できる鉱物といえます」

騎士ほ「そんな奇妙な鉱物……だとすれば……このエリン、火山島なのではなくて? そう考えれば、毒ガスが噴出している可能性だって」

エルフ三男「それも想定したのですが、現地民が居住している区域内に、有毒ガスをもたらす噴出孔は確認できていません、
北西の側でもそんな岩脈は確認していないでしょう? 海底火山ならば、あるいは活火山がぽつぽつ存在していましょうが……」

騎士ほ「ちっ……クソッタレが……ちんけな田舎のくせに……ガリアと同じ目に遭わせてやろうか……」

エルフ三男「まだ314連隊のダークエルフ達が調査にあたっています、実効支配に移るのは後回しにいたしましょう」

騎士ほ「……」

騎士ほ「その実効支配、名目上はディナダン卿のクーデターで生じたものとなる予定……そう言いましたわよね」

エルフ三男「ええ。今頃、手筈通りならばキャメロットで女王派を押さえているでしょうが」

騎士ほ「……察しの良いあなたなら、あのババアの真意は一体どこにあるとお思いです?」

エルフ三男「真意……円卓の事情に関しては、そちらの方がお詳しいのではないのですか」

騎士ほ「生憎、何かと疎まれていまして。片方に着けば、もう半分には敵視されるという有様なのです」

エルフ三男「そうですね、真意……」

騎士ほ「……」

エルフ三男「聞く限りによれば、古来より北西王室の背後に存在しているフィクサーであるエルダーという勢力の排除。
そこから推察すると、恐らくは儀典局側の手際に不満を抱いていると考えるのが普通では?」

騎士ほ「確かに、反女王派は儀典局……国教会側とイコールで結ぶ事はできます。そこから細分化しているとはいえね」

エルフ三男「そこに僕らを向かわせた理由……ドラグーン隊の維持で釣り上げた丁度いい手駒、それ以上の存在には……」

騎士ほ「……そう、そうですわよね。ジョワユーズという存在が、あのディナダン卿の下心を喚起させた……そう考えるのが妥当」

エルフ三男「何か思うところがおありなので?」

騎士ほ「正直言えば、少し引っかかっているのです。気に入りませんが、あのババア……
みずからの下心を開け広げにしてまわるほどに愚かな気質の持ち主でもない……どうしても、何かがあるような気がして」

エルフ三男「……警戒しすぎるに越したことはありませんが、こちらはエルダーを人質にする事も可能です。油断を促す気はありませんが」

騎士ほ「……本当、癇に障るババアですわ……!!」

女騎士「……ん……んん、んん」

息子「かっ、母様っ!」

娘「お母様っ、気が付いた!?」

「あー、良かったぁ! 目が覚めたんだね!」

女騎士「ねむい……きもちわるい……のどかわいた……ハチミツ……チョコ……」

息子「ぼ、僕、お水を汲んできます!」

娘「お母様、どこか痛くない? 大丈夫?」

「無理しないでね、あなた一人の身体じゃないんだよ」

女騎士「……」

娘「お母様……?」

女騎士「あー、うん……問題ない、起きてる起きてる……まだ本調子じゃないだけだから……」

娘「本当?」

女騎士「大丈夫、大丈夫だから……ちょっと部屋の外に出てなさいな」

娘「……はあい」

女騎士「……」


女騎士「誰だてめえ」

「ファッ!?」

女騎士「三流ポルノ女優みてぇなカッコしやがって……どっから入りやがった、変な事してねぇだろうな」

「ああ、どうしちゃったのお……本当に大丈夫なのお? 頭打った? 独り言?」

女騎士「独り言は他人に聞こえねえようにするのが基本だ、なめてんじゃねーぞ乳袋がよぉー。ケンカ売ってんのか」

「……ふぇ、あたしが……あたしがみえる? あたしのこえ、聞こえるの?」

女騎士「ハッ、嫌でもその自己主張が無駄に強くて脂っこぉいだらしねー体は目に入るっての」

「きゃあー! きゃあー、うれしい!! ウソでしょう? みえる!! みえるのね!? やった、やったぁ!!」

女騎士「おぎゃああああああああああああああああ」



息子「母様!!」

娘「どうしたのっ、お母様!!」

ポニテ「騎士様、いかがいたしましたか!!」

女騎士「賊だっ、賊が部屋に入ってきた!! この野郎ふてぶてしくも……」

息子「海賊か……外装に騙されて侵入してきたか、生皮剥いで潮水に生きたまま漬け込んでやる……!!」

娘「お母様を襲うだなんて……何考えて生きてンですかねェーッ、目ン玉抜いて脳ミソをナマコの住処にしてやる……!!」

ポニテ「して騎士様っ、賊はどこに!」

女騎士「バカタレッ、目の前にいるだろうが!! どこに目ェ付けてんだアンポンタンども!!」

息子「……?」

娘「そいつ……お部屋にいるの? お母様」

女騎士「そこでおっぱいボローンしてる絶世の美女がいるだろ!! 目鼻立ちは私に似て端正に整っている淑女が……」

ポニテ「……」

息子「母……様……」

娘「や、やっぱり……まだ起きちゃだめ、もう少しお休みになって……おねがい、お母様」

女騎士「」

女騎士「ちきしょうめが!! ラリパッパ扱いされっちまったぞ、こちとら体のどこもクスリでヨゴレてない健康体だっての!!」

「あたしもみんなにご挨拶したいんだけどねぇ……あなたのおともだち、いっぱいいるのね!」

女騎士「てめえ、どこのどいつだ。魔王軍の三下ミソッカスか? だったら好都合、この私の聖剣のサビに……」

「ふぇぇ、こわい声出さないでよお……仲良くしてよお……」

女騎士「ちっとは……いや、ツラだけはかなり……いや、相当……いや、私と同じくらい上等らしいが、魔物野郎には容赦しねぇぞオラ」

「まものとか、まおうぐんとか、難しい事よくわかんない……」

女騎士「……目的は何だ。金か?」

「あなたといっしょにいたいだけ!」

女騎士「話にならねえ……いいか、私以外には見えもしねえ触れもしねえってんじゃどうしようもねえ、加えてそんなわけのわからん事を……」

「だ、だってぇ……ずぅーっと、ずぅーっと一人だったあたしを起こしてくれたんだもの……あたし、あなたの事大好きだよ」

女騎士「起こし……依然として意味がわからん、私は鏡の前でしかそのツラ見た事ねえんだよ。もう一度聞くぞ、テメェは何者だ」

「……んーっと、んーっと……なんていえばいい?」

女騎士「は?」

「むかし、みんなにいっぱい色んな名前で呼ばれたの。イルルヤンカシュとか、ヨルムガンドルに、サマエル……」

女騎士「何でも構わねえよ……一番多く呼ばれた名前は何だ」

「んっと、んっと……いちばんはねー、ウロヴォロス! あたしの事、ウロヴォロスってみんな呼んでた!」

                      -――-  _

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                 /          ∧     ヽ  ヽ
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           .′   .斗=''"芯        . : :|     |  .}    、
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            |      | ,      ___. - ニ ',_ノ|    .′         丶  生き別れた兄がいたような気がしたが、別にそんなことはなかったぜ!!
    ./>''"⌒ヽ .l      |.‘.    └―='"´   |     ′   ′       ヽ
   [,,'"    ‘.∧    Ⅵ ヽ、          |    ′   '       /
   〈  ,,'"   .l.∧.    ‘.  ≧=- .. __ イ´  |   ′  /     ./
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   '.ヽ.L__ワ   ノ  ∧    ‘.≦心r=ニ  / r ァ   /≦∧/    /
    ー{    {-、 斗、.   ‘.二ニ!   ノ l/   イ二二ハ≦二>x、
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      ‘.` 二 イ  ‘.>''" \ ‘.       / ./、二二二ア二二二二二ハ.
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二⌒7二ノ-‐‐ヘ      〈二二{ {二二二二二二ハ .|二≧=-二二二ニ=≦ニ

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女騎士「貴様は私にとって大変迷惑な存在なのだ」 - SSまとめ速報
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