モバP「りーん」 (66)



「りーん」


凛「…何、どうしたの?」

P「いや、そんな足だして寒くないのかなと思って」

凛「まぁ、少しは寒いけど…でも我慢できるし」

P「そっかー、女の子は強いなぁ」

凛「…どうしたの、急に」

P「いや…この間早苗さんに似たようなこと聞いたんだけどさ」

凛「そしたら?」

P「『寒いに決まってるでしょ!?もういい大人なんだからこんなの耐えられないわよ!』って言っててな」

凛「……」

P「いやぁ、"女の子"は強いなぁと思ってな」

凛「………」

P「うん?どうした凛」

凛「なんでもない…それ瑞樹さんとかにも聞いちゃだめだよ。っていうか他の子にも」

P「お?まぁわかった」



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「りーん」

凛「何…って、どうしたの、その格好」

P「ん?いやサンタ姿だ、みりゃわかるだろう」

凛「それはそうだけど…どうしてサンタの服を着てるのって」

P「年少組にプレゼントの希望を聞いて回ってるところでな、せめて雰囲気だけでもと思って」

凛「あぁ、それね…」

P「ちなみに、年少組は中学生一杯までだからな。凛も欲しかったか?」

凛「バカいわないでよ、もう…いつまでも子供扱いなんだから」

P「ははっ、悪かったよ。大丈夫、凛は大人っぽくなってるよ。年齢よりは、少なくとも上に見えるよ」

凛「…そう?」

P「あぁ、凛はもともと美人だったけど、ここ最近は特にな。キレイな大人になるんだろうな」

凛「…そう。なら、いいけど」

P「…凛とお酒が飲めるようになるのが楽しみだよ」

凛「…まぁそれももう遠い話じゃないからね。楽しみにしててよ、プロデューサー」

P「そうだな。それより凛、今事務所にいて大丈夫なのか?」

凛「ん、いいの。息抜きみたいなものだし、散歩ついでにみんなの顔見に来ただけだから」

P「そうか。まぁ、根つめすぎないようにな」

凛「うん、大丈夫だよプロデューサー」



「りーん!!」


凛「プロデューサー。何処行ってたの?」

P「すまんすまん。ちょっと買い物をだな。…よっこいしょと」

凛「…何買ったの?」

P「焼きそばとりんご飴。食べるか?」

凛「これはまたド定番な…じゃあ、りんご飴。もらうよ」

P「ほい、どうぞっと…いいんだよ、基本俺は食に関しては保守的なんだ」

凛「まぁそんな感じだよね。ご飯食べに行っても3つくらいのメニューローテーションだし」

P「ありゃ、バレてたか」

凛「そうだよ、これだけ長い時間一緒にいて、ご飯食べたのだって10回や20回じゃないでしょ」

P「それもそうか。…おっ、それよりそろそろだぞ」

凛「…みたいだね。ああいうカウントダウンみたいなのは得意じゃないけどね」

P「だからこうやって距離とって座ってるんだろ?俺もこっちのが性にはあってる」

凛「あと15秒だって。どうする?」

P「そうだな、キスでもするか?」

凛「…冗談でも、そういうこと言わないでよね」

P「…いや…すまん、ちょっとおかしなこと言った。忘れてくれ」

凛「…あぁもう、余計なこと言ってたら年変わっちゃったじゃん」

P「ホントだ。まぁ、俺たちらしいというか、なんというか」

凛「…それもそうだね」クスッ

P「しまらないというかな。さて、そろそろお参りにいくか?」

凛「そうだね…ねぇ、プロデューサー」


「今年も、これからもよろしくね」



「りーん」

凛「………何?」

P「いや、久々に事務所にいるなと思って」

凛「ちょっと用事があってね」

P「あぁ、そうなのか」

凛「うん。でもこれで用事も終わり。はい、これ」

P「…ん?これは、まさか」

凛「まさか、って…チョコだよ、チョコ。今日、バレンタインでしょ?」

P「いや、そりゃそうなんだが…貰っていいのか?」

凛「うん。それ、プロデューサー用だし」

P「そうか。うん、ありがとう。家に帰ってから大事に食べるよ」

凛「…あまり期待はしないでね」

P「もう超楽しみ。もう帰ってもいいかな」

凛「…バカ」スッ

P「おろ、凛はもう帰るのか?」

凛「うん、めぼしい人にはもう渡したし」

P「そうか。気をつけてな。…そういえば、今年は衣装着て可愛く渡しては、くれないのか?」

凛「……バカ。もう、帰る」



「…りーん!!!」


凛「…プロデューサー!」

P「ど…どうだった!?」ゼェゼェ

凛「うん、合格だって。ほら、あそこに私の番号」

P「ホントか!?」ギョロッ

凛「いや、目が怖いよ、プロデューサー…」

P「…!あった!あったぞ凛!」

凛「いや、だから私は知ってるって…」

P「やった!!!やったな!!!」ギュ

凛「わ、ちょ、プロデューサー!?」

P「あぁ、すまん!つい嬉しさが爆発してしまった…」パッ

凛「まったくもう、誰かに見られたらどうするのよ、もう…」

P「す、スマン。自覚に欠けた行動だった」

凛「…まぁ、別に嫌なわけでも、ないんだけどさ」ボソッ

P「凛……」

凛「えっ、何?」

P「いや、よかったな。これでお前も晴れて大学生だ」

凛「そうだね。…ふふっ、女子大生アイドルも、楽じゃないかな」

P「そうだな。でもこれからもいろんなことがあるだろうからな。楽しみだ」

凛「うん。これからも頑張るよ」

P「実家には連絡したのか?」

凛「したよ。お母さんも安心してたみたいだった」

P「そいつはよかった。じゃ、事務所に行くか?」

凛「そうだね。…ちょっと、遠回りして、いこっか?」



「…りーん」


凛「…プロデューサー、どうしたの、わざわざ大学まで」

P「いや、別件で近くまで用があってな。折角の入学式だから少し様子を見に来た」

凛「そっか」

P「しかし…凛はスーツをきるとさらに大人っぽくなるな」

凛「…そう?」

P「あぁ、なんというか…様になってるな。さすがだな」

凛「そんなことないよ、まだまだ服に着られてる感じがするよ」

P「いやいや、そんなことはないぞ。…こういうちょっとパリッとした感じの衣装もありだな」

凛「また仕事の話?それだったら事務所に戻ってから聞くよ」

P「あぁいや、悪い、そんなつもりじゃなかったんだが…というか、新歓とか出なくていいのか?」

凛「…別に自惚れるわけじゃないけど、そういうとこ行って変な話になっても困るし。…お酒飲まされても困るしね」

P「それもそうだな。あまり事務所として制限をするつもりもないが、そっちからそう言ってくれると助かるよ」

凛「…お酒は、来年の誕生日に、ね。楽しみにしてるよ」

P「そうだな。そんときはちょっといいとこにつれてってやるよ」

凛「へぇ…じゃあ期待してるね?」

P「おう、期待されとくな。それより、事務所に戻るんだったら送ってくけど…」

凛「…いや、今日くらいはまだいいよ。他の人と話もしてみたいし」

P「そうか、わかった。じゃあ俺は事務所にいるから、なんかあったら来るなり連絡するなりしてくれ」

凛「うん、そうする。じゃ、また後でね」


「りーん?」


P「凛?」

凛「…くぅ……すぅ…」

P「…寝てるのか…。それもそうか。大学生になってまだ一月じゃ、なれないよな」

凛「……ん…スゥ……」

P「よく寝てるな…まったく、風邪引くぞ」パサ

凛「…むぅ…うるさい、ぷろでぅさぁ…」

P「…こいつ、起きてんじゃないのか…?」

凛「…すぅ……すぅ…」

P「………」

凛「…………すぅ…んにゃ…」

P「………………」スッ

凛「…んぅ………」

P「……………………………ハッ」

凛「くぅ…スゥ…ンナ……」

P「………待て俺、今何しようとしてた」

凛「…すぅ……すぅ…」

P「…ハァ、こんなんじゃプロデューサー失格だ…仕事しよう」

凛「…んむ………すぅ…」


「りーん」


凛「………」

P「凛!」

凛「わっ、え、何?」

P「いや、何じゃなくて。どうした、ボーッとして」

凛「え、呼んでた?」

P「あぁ、三回呼んだぞ」

凛「そっか、ごめん」

P「いや、大した用じゃないからいいんだが…どうしたんだ?」

凛「…なんてことはないよ、ただ、雨が降ってるなぁって思って」

P「…まぁ梅雨だしな」

凛「…そうだね」

P「………」

凛「……・・・」

P「……飯、どうする?」

凛「…もうそんな時間なの?」

P「あぁ、もう一時すぎてる」

凛「そっか…じゃあ、何か食べに行こうか」

P「そうだな。…よし、じゃあ今日は俺が出してやるから、好きなものでいいぞ」

凛「…そうなの?経費じゃなくて?」

P「あぁ。…たまには、個人的な食事でもいいだろ?」

凛「そっか…ありがとね、プロデューサー」

P「いいってことよ」



「りーん」


凛「どうしたの、プロデューサー」

P「撮影の仕事が入ったんだが…」

凛「ホント?何処の雑誌かな」

P「いや、雑誌は雑誌なんだがな…」

凛「?何かあるの?」

P「うーん…アレだよ、週刊少年漫画の雑誌で、夏ってことで水着での撮影なんだ」

凛「…あぁ、そういうこと」

P「だからな、うーん…断りたくはないんだが…その…」

凛「…どうしたの?何か気になる?」

P「いや、その…水着で撮影って、水着で撮影だろ?」

凛「…何言ってるの?」

P「いや、だから…で、しかも少年漫画雑誌だろ?」

凛「そうだね、まぁ数は多くないし、どっちかだろうけど」

P「だから、その…なんだ、まぁうん。凛はどうする?」

凛「…?お仕事だったら、別にやるよ?水着だったら…少し恥ずかしいけど、別に嫌悪感はないし」

P「そ、そうか…?じゃあ、そういう風に先方に返信するけど…」

凛「……ずいぶん歯切れが悪いね」

P「…まぁ、な。少し思うところがあって」

凛「…それは、言えない?」

P「そうだな。…言ってしまったら、プロデューサーとしてどうかと思うんでな」

凛「…そっか」

P「あぁ…悪いな」

凛「…プロデューサー、今度、ちょっと付き合ってよ」

P「ん、どうした?何か用でも…」

凛「水着、買うからさ」

P「え?」

凛「水着、一緒に選んでよ。そしたら…海か、プールにでも行こうよ。ね?」



「りーん」


凛「…プロデューサー」

P「おう、プロデューサーだ。…少し、騒がしすぎたか?」

凛「ううん、そんなことない…ホント、わざわざありがとね」

P「なに、いいんだよ。もともとやりたがってたのはあいつらだし、俺は箔つけただけだ」

凛「…ふふっ」

P「…なんだよ」

凛「プロデューサー、去年と同じこと言ってるよ」

P「…なんてこった、こいつぁまいったな」

凛「しかも、今年はプロデューサーが言い出しっぺだって、未央に聞いたよ?」

P「…あいつ、黙ってろって言ったのに」

凛「ふふっ、悪い顔しながら教えてくれたよ。プロデューサーによろしく、だって」

P「…くそっ、あいつ後でとっちめてやる」

凛「…お手柔らかにね?」

P「まぁ、今は未央のことはいいんだ。それより…なんだ、ちょっとタイミング見失ったが、これ」

凛「…え?どうしたの急に」

P「プレゼントだ。…蒼いブレスレットだったら、似合うかと思って」

凛「…こんなの、もらっていいの?」

P「まぁ…一応お前がつけても恥ずかしくないようなものは、買ったつもりだからな…当然だ、もらってくれ」

凛「…嬉しい。ありがとうプロデューサー」

P「おう、喜んでくれて何よりだ。…誕生日おめでとう、凛」


「…うん、ありがとう。大切にするね」



「りーん」


凛「…プロデューサー?どうしたの、今日、午後からじゃなかったの?」

P「いや、そうなんだがな。俺としたことがすっかり忘れてた」

凛「?何か忘れ物でもしたの?」

P「あぁ。今日、動物番組の収録だろ?それで凛に渡すものがあってさ…」

凛「そうだったの?それならよかった」

P「ギリギリみたいだったな。それで、こいつなんだが…」

凛「この袋?いいけど、何が入ってるの?」

P「別にあけてもいいぞ」

凛「ふーん、じゃあ……って何これ…」

P「?ネコミミだけど…」

凛「いや、だけどって言われても…」

P「今日は子猫特集の撮影があるらしいからな。今日は凛もネコミミつけてしぶにゃんでいこう」キリッ

凛「…はぁ。どうしたの、急に」

P「いや…去年のアニバパーティのときのしぶにゃんが忘れられなくてな…あぁ可愛かった…」

凛「……そんな仕事にかこつけなくても、言ってくれればつけたのに」ボソッ

P「え?なんて?」

凛「いや、なんでもないよ。それより、時間がギリギリになっちゃう。暇なら送っていってよ」

P「あぁ、それで凛がネコミミつけてくれるなら喜んで送ってくさ」

凛「…はぁ、なんで、こう」



「りーん」


凛「…その声は、プロデューサー?」

P「あぁそうだ、そっちも今は湯に入ってるのか?」

凛「そうだよ。もう二回目」

P「なるほど、道理で静かだと思った」

凛「…またそういうこというと、卯月とかに文句言われるよ」

P「おぉこわいこわい。黙っといてくれ」

凛「…まぁ、静かなのもきらいじゃないから、人のことは言えないかもだけど…」

P「凛はクールだからそういうのもありだろうな」

凛「…そうかな。……それにしても、まさかまたこの温泉に来れるとは思わなかったよ」

P「だな。仕事は完全なしの、慰安旅行…それも去年仕事できたとこでな」

凛「ホントに。…予定合わせるの苦労したんじゃないの?」

P「んーにゃ、そんなことはない。ただ前後にずらしただけだからな。それでも一泊が限度だ」

凛「そうだね。嬉しいことではあるんだけど…」

P「ま、忙しいうちが華だ。俺もお前も、みんなも頑張ろう」

凛「…その通りだね」

P「ふぅ~…しかしいい湯だ」

凛「…ねぇ、プロデューサー」

P「ん~?なんだ~?」

凛「ここ、混浴あるの知ってた?」

P「あぁ、そうみたいだな~」

凛「…ちょっと、一緒にそっち、いかない?」

P「あぁ~、いいっすn…いや、ダメだろ」

凛「…ダメかな」

P「ダメだろ。バカ。何考えてんだ。バカ。脳みそ茹ってんだろ。もうあがれ」

凛「………いけず」ボソッ



「…凛」


凛「…プロデューサー?」

P「あぁ、そうだ。…奈緒から、話は聞いたのか?」

凛「うん、聞いたよ。プロデューサーは…もう聞いてたよね」

P「あぁ。アイドルとしての活動はもうやめて、女優として、って話…だろ?」

凛「…うん」

P「…遅かれ早かれ、この瞬間が来ることはわかってた」

凛「そうだね…それでも、トライアドプリムスで組んで3年…結構、長かったよね」

P「あぁ…あっという間だった気はするが…もう3年になるのか」

凛「奈緒は、泣きそうだったけど…加蓮は笑ってた。『友達の新しい門出なら、笑わなきゃ』…だって」

P「そうか…加蓮は、強くなったな」

凛「…奈緒は、事務所はどうするのかな」

P「わからない。うちの事務所にはアイドルしかいないが、新規開拓という手がないわけでもないからな」

凛「…そっか。奈緒次第、か」

P「おう。とりあえず、俺たちがしなきゃいけないのは、奈緒の追い出しライブを、最高のパフォーマンスにしてやることだけだ」

凛「…そうだね」


「……寂しくなるなぁ」



「凛」


凛「プロデューサー。奈緒は?」

P「あぁ、もう行ったよ。あとは寮にいる人たちにまかせる」

凛「そっか」

P「…いいライブだったな」

凛「…そうだね」

P「もう泣きすぎだろってくらい泣いてたからな。あれでよく最後の曲歌えたもんだ」

凛「あんまり言ったら、かわいそうだよ。…人のこと言えないクセに」

P「…ホント、よく見てるなぁ、お前は」

凛「別に見てないよ。少し目に入っただけ」

P「そうか…そういう凛さんは、まだ耐えてるのか?」

凛「別に…耐えてるつもりじゃないんだけどね。なんか、タイミング逃しちゃって」

P「…今、みんな…加蓮とかも、寮に行く支度とか、もろもろしてる。…10分くらいは、誰も事務所にはこないと思うぞ」ポン

凛「…そっか」ギュ

P「あぁ」ポンポン

凛「…いつかこうやって、終わっちゃうのかな」

P「………」

凛「奈緒が辞めて…いつかは、加蓮も、未央も、卯月も、みんな…」

P「…………」

凛「…いつまでもこうやって、魔法がかかったままみたいにさ、アイドルで…いれたら…」

P「………あぁ、そうだな」トントン

凛「…うぅ……グスッ……ヒッ……」



「りーん」


凛「ん、何?プロデューサー」

P「いや、この間の奈緒たちとのライブのDVDが出ることになってるんだが…それの映像があるんだ少し見るか?」

凛「…そうだね。見ようか」

P「ほい、じゃあ、っと」ポチー

凛「…………」

P「…………」

凛「…ねぇ、プロデューサー」

P「うん?」

凛「…私が、もしアイドルをやめるって言ったら、どうする?」

P「…そうだな」

凛「…ごめん、今の聞かなかったことに」

P「まぁ…そんときはあれだな、とりあえずいろいろ済ませてから大事な話があるから、どっかのレストランの予約を取るとするよ」

凛「…………」

P「…………」

凛「……そういうの、卑怯だと思うな」

P「最初に反則技つかったのはそっちだな」

凛「…………………」

P「奈緒すげぇ泣いてるなぁ…わ、ファンの歓声もすげぇな。アイツも幸せもんだなぁ」



「りーんー」


凛「プロデューサー?どうしたの」

P「いや、またこうやってお前と新年を迎えるのかと思ってな」

凛「…今年は事務所でだけどね。あと3分」

P「そういうなよ、コタツもあるし、至れるつくせりじゃないか」

凛「そうなんだけどね…みんな帰っちゃったし」

P「まぁな…その点、俺は5分前まで書類仕事でしたからねー、帰るに帰れない」

凛「…お疲れ様。年末まで大変だね」

P「まーそれも慣れちゃったからな。慣れってのも怖いもんだ」

凛「…そうだね」

P「そういえば、凛は帰らなくていいのか?あと2分」

凛「うん。今日は、卯月たちとパーティって言ってあるし」

P「…悪い大学生だな」

凛「…そうだね。でも、まぁ、今日だけ」

P「いいんじゃないか?大学生だったらいろいろ自己責任みたいなもんだろ」

凛「そっか、もう…大学生なんだよね、私」

P「あぁ、そうだろ。あと1分」

凛「…大学生だったら…自己責任かな」

P「……まぁ、そうなんじゃないか」

凛「じゃあ…こういうのは、アリかな」スッ

P「………いかんな、プロデューサー失格だな」

凛「…そうだね、アイドル失格かも…でも」

P「自己責任、だろ?」

凛「…そうだね」クスッ

P「ほら、もうすぐゼロだ」

凛「………んっ」チュッ

P「ん…あけまして、おめでとう、凛」


「うん。あけましておめでとう、プロデューサー。これからもずっと、よろしくね」



「…で、そのときまでキスのひとつもなかったの?」

「…そうだね、一応お互いに暗黙の了解みたいなのあったし。…かなり際どいやり取りは、してたけど」

「…あっきれた。あたしはもうてっきりキスは済ませたんだと…」

「アイドルって、いろいろ気を使わなきゃいけないんだよ。女優様の誰かと違って」

「くっ、んなこと言ったってなぁ…!」

「それもそうだよね。金曜日されちゃった日にはおしまいだし」

「それにしても、二人はまだ誰もいい人みつからないの?」

「いいでしょ、別に…私たちの筆頭候補からずーっとはなれなかったクセに」

「それは、ホラ…二人より、長いからさ」

「あたしもなぁ、言うだけは言ったけど…誰かさんで完全に頭一杯だったみたいだしなァ」

「…やっぱり、あのとき言ってたんだ」

「ん?そりゃ、まァけじめつけたかったてのもあるしな。おかげで、余計に泣く羽目にはなったけどな」

「やっぱり女泣かせだあの人…泣かされないように、気をつけなよ?」

「ん、大丈夫だよ」

「…この信頼具合じゃどうしようもないね…」

「あぁ、そうだな…」

「それより、なんでそこからまた一年以上なにもなかったの…?」

「そこは…ほら、アイドルとプロデューサー、だったから」

「…それか……」


「りーん」


凛「あれ、もう向こうの相手はいいの?」

P「あぁ、友紀が寝ちまったからな。今の大人組は、比較的聞き分けがよくて助かる」

凛「まぁ、昔みたいな酒豪は、あんまり居ないからね…」

P「凛たちが入ってきたころが、この花見でも一番酒がひどかったかな…」

凛「ん、もう2年前?川島さんとか、志乃さんとかが辞めたのって」

P「そうなるな…彼女たちはあれで、アイドル以外でもやってけてるからな。今もうまくやってるよ」

凛「ふーん…」

P「なんだ、不満そうだな」

凛「別に?」

P「そうか?まぁ、別に時々仕事場で見かけるってだけだから、連絡取り合ってるとかじゃないからな」

凛「…別に、聞いてないし」

P「そうだったな。悪い悪い」

凛「…まだそうやって、子供扱いするんだね」

P「俺より年下なのは確かだろ?それに、子供扱いしてるわけじゃないって」

凛「…それは、分かってるんだけど」

P「…ま、俺も流石に、子供に手は出せないからな」

凛「……あっそ」

P「難だよ、つれないな」

凛「…別に」プイッ

P「…春が終われば、夏だな」

凛「…そうだね」

P「まだ、楽しみにしててくれるか?」

凛「…もちろん」

P「じゃあ、期待に応えなきゃな」



「凛?」


凛「ん…あぁ、ごめん、少し、酔ったのかな」

P「みたいだな。初めてにしては結構飲んでたし、飲めてたな。これは素質あるんじゃないか?ほれ、水」

凛「ありがと。…なんか、あっていいような悪いような素質だね、それは」ゴクッ

P「ないよりはいいだろ。下戸な人ほど勿体無いものはない」

凛「それも、そうかもね。…でも、今日はありがとう。素敵な誕生日になったよ」

P「ん、そうか。それならよかった」

凛「お店も個室できれいなところだったし。プロデューサーもああいうところ、知ってるんだね?」

P「あぁ、取引先の方から勧めてもらってな。去年ぐらいにはここにしようと思ってた」

凛「…ふふっ、ずいぶん早いんだね」

P「…………」

凛「…?どうしたの?」

P「え?あぁ、いや、なんでもない。ただちょっと、頬が赤らんでて、色っぽいなぁーと」

凛「…バカ。どこ見てるの」

P「凛しか見えてないよ」

凛「…ハァ」



「りーん」


凛「どうしたの、プロデューサー?」

P「いや…すっかり秋になったなぁと思って」

凛「…そうだね。もうそろそろ、コートとかだしてもいいころかな」

P「ホントになぁ…季節が過ぎるのは早いよ」

凛「…今度のアニバーサリーは、どうなるんだろうね」

P「ん?そうだな…基本的にはちひろさんのさじ加減ではあるけど…まぁ、例年くらいじゃないか?」

凛「まぁ、そうだよね」

P「どうしたんだ?急に」

凛「別になんでもないよ。ただまた、そんな季節がきたなぁって」

P「…そうか。凛も感傷に浸りたくなる時期か」

凛「…ちょっと。なんかちょっと引っかかる言い方したよね、今」

P「気のせいだ気のせい。そんなことよりほら、そろそろ出ないと、ラジオ収録間に合わなくなるぞ」

凛「むぅ…そうだけどさ」

P「今回は…いや、今回も。しっかりつとめてこいよ」

凛「…そうだね。アイドルでデビューしてから、ずっとやってきた仕事だもんね」

P「あぁ。お前に初めて持ってこれた、電波に乗っけられる仕事でもある」

凛「そうだったね。…なんだか、懐かしいや」



「りーんー」


凛「…ずいぶんリラックスしてるね」

P「んー?まぁーなー、お前の部屋に来るのももう何十回めだよって感じだし」

凛「それは、そうだけどさ」カタッ

P「お茶と…クッキーか。ありがと」

凛「ん」

P「………」サクッ

凛「………」サクッ

P「………ふぅ」ゴクッ

凛「………」

P「…なぁ、凛。お前のお母さんのアレ…」

凛「言わないで」

P「お、おう…」サクッ

凛「もう…二年くらい前からあんな感じなんだよ…」

P「それは…なんか、申し訳ないというか、なんというか」

凛「まぁ…うちのお母さんも結婚、早かったからね。言わんとしてることは、わかるんだけど…」

P「早いに越したことはないだろうしなぁ」ゴクゴク

凛「誰かが早いとこ決めてくれれば、楽なんだけどね、私も」

P「………」

凛「………」サクッ

P「…いや、その前に凛が決めることがあるだろうよ」

凛「………それは…もうちょっと、まだかな」

P「そっか」サクッ



「で、その一年も進歩なし、と」

「進歩というか…そんな会話してたら最早既成事実というか…」

「まぁこのくらいの話だったらよくしてたしね。終わりどころを探ってたというか」

「でも、まだ結構先だよね?」

「うん。私、自分で思ってたよりも結構ワガママだったみたい」

「まァ、アイドルもー、っていうのはある意味ワガママかもしれないな」

「おー?一足先に脱アイドルした人は違いますねー、さすが朝ドラヒロイン」

「バッ、今その話はいいだろ!」

「まさか毎朝その顔をテレビでみることになるとは思わなかったね」

「ちょ、そんな言い方ないだろ!」

「その性格変わらないね」

「ねー」

「ぐぬぬぬ…そ、そんなこと言ったら二人も変わらないだろ!!」

「ま、そりゃそうなんだけどねー。あ、でももう変わってるとこ、あるじゃん」

「え?何がだよ」



「プロデューサー」


P「ん、何だ?」

凛「私も、アイドルをもう、やめようかなって思う」

P「……どうした、急に」

凛「うん。一応、私なりに悩んだ結果ではあるんだけど」

P「そうか」

凛「もう、事務所にも一杯新しいアイドルが入ってきてるし…」

P「そうだな」

凛「私自身の人気も、まぁソロで言えば多分、やれるところはすべてやったと思う」

P「あぁ」

凛「…この間、加蓮もアイドルを卒業したじゃない」

P「あぁ、スタイリストとしても、あいつはセンスがあるからな」

凛「私ばっかり、いつまでも魔法にかかってちゃダメかなって」

P「…そうか」

凛「…どうかな?」

P「…昨日な、卯月と未央が俺のところに来たんだ」

凛「…?二人が?何の話だったの」

P「『もし近いうちに凛ちゃんがアイドルやめるって言ったら、私たちも一緒にやめることにします』だってさ」

凛「…そうなの?」

P「あぁ。…あいつらも、お前と似たようなこと言ってた」

凛「…そっか。私たちらしい、かもね」

P「そうだな…。次の世代に引き継ぐときが、来たのかもな」



「凛」

凛「プロデューサー、何?」

P「いや、もうすぐライブだな」

凛「そうだね、準備してたらあっという間だったよ」

P「うちのベスト版発売記念、兼ニュージェネ卒業ライブ、だしな」

凛「…一緒にしなくても、よかったんじゃないの?」

P「そうじゃなきゃドーム抑えられないだろ?それでもチケットが2分で完売したときは、思わず笑ったが」

凛「…そうだったね」

P「みんな、お前たちの最後を目に焼き付けにくるんだ。最高だよな」

凛「そうだね。…なんか、死ぬみたいになってるんだけど」

P「そこはまぁ、ほら」

凛「全く、適当なんだから…」

P「そうだ、凛。来週の木曜、あけておいてあるよな?」

凛「うん、言われたとおりにあけてあるよ」

P「なら、いいんだ。折角の予約が無駄になっても困るからな」

凛「予約って…まさか」

P「もちろん。失礼な言い方になるのは承知で言うけど、どんだけ待ったと思ってるんだ」

凛「…その発言もどうかと思うけど」

P「まぁ…いいんだ、俺はもう、プロデューサー失格みたいなもんだし」

凛「私の失格は…明日まで待って貰えれば、十分かな?」








加蓮「凛の名字」

凛「あぁ、確かに」

奈緒「あぁ…ってええ!?ええ!!!??」









「凛」


凛「うん」

P「4年半、かな。アイドル活動、お疲れ様。…それから、今まで、本当にありがとう」

凛「…こっちこそ、ありがと。今更改まって言うのは、へんな感じだね」

P「それはまぁ、確かに。けどまぁ、これも節目だからな」

凛「そうだね。…こんなお洒落なレストラン。去年の誕生日も霞んじゃうかな?」

P「おっと、こりゃハードルが上がったな。今年からどうすりゃいいんだよ」

凛「ふふっ、そうだね…まぁ、傍にいてくれれば、いい、かな、なんて」

P「…くくっ、そこまで照れるなら言わなきゃいいのに」

凛「うるさいなぁ…いいでしょ、別に」

P「それより、だ。これからどうするかは決めたのか?」

凛「ん、それは…なんとなく、考えてはいるけど。まずは大学を卒業するつもりだよ」

P「そうか。それはいいことだと思う。最後までやりきることは大事だ」

凛「そのあとのことは、おぼろげかな。そんなに一生懸命は、まだ考えてないよ」

P「まぁ、凛なら就職に困ることはないだろうけどな…なんならモデルでも食ってけるだろうし」

凛「それは買いすぎじゃない?」

P「一世を風靡したアイドル様が何を言いますか。そのくらいなら余裕だろ」

凛「まぁ、そうかもしれないけど…プロデューサーからは、何かないの?」

P「ん?そうだなぁ…まぁ、一応就職ということにはなるかなぁ」

凛「?」


「主婦、とかどうでしょう」




「とまぁ、そんな感じで言われてね」

「いや、意外とアッサリというか…」

「もはや雑じゃない?」

「…まぁお互いになんとなくどうするのかは分かってたしね。ここで言われるかどうか程度だったと思うし」

「確かに今更感あふれてはいるからねぇ…Pさんも言いづらかったのかもね」

「そんなとこでしょ。別に私も形式ばったのが欲しかったわけじゃないし」

「夢も何もないというか…まァ、二人にとってはそこがスタートみたいなもんか」

「それはそれでちょっとあこがれるねー。お互い何も言わなくても通じすぎでしょっていう」

「そこはまぁ…私とPさんだし?」

「うわっ。初めて凛が露骨に惚気た」

「ちょっとイラッときたな。」

「…まぁ、そんなわけでね。今日二人に来月の結婚式の招待状を渡しにきたの」

「そんなこったろーとは思ってたけどな。わざわざ話があるってことだったし」

「しかし大学でてすぐに式か。はやいねー」

「本当は、在学中にでもあげたかったんだけどね。入籍だけにしておいた」

「結構アクティブだな…あたしはそれすら知らなかったわけだが」

「ごめん。一応内緒にしてたからさ。そんなわけで、二人ともよかったら来てくれると嬉しいな」

「もちろん、行くよ。楽しみにしてる」

「オウ、当時の事務所のメンバーはみんな来るんだろ?」

「多分ね。内輪…と言っても大所帯だけど、には声かけたから」

「…アイドル同窓会みたいになりそうだな」



「りーん」


凛「…どうしたの?」

P「いや、準備できたかなと、思っ、て…」

凛「…今度こそどうしたの、そんなぼーっとして」

P「いや…なんというか…すまん、見とれてた」

凛「…もう、バカ」

P「いやしかし…試着のときに見なくて良かった。今ちょっと泣きそうだわ」

凛「まだせめてもうちょっと我慢してよ…」

P「それもそうだな…しかしホント、うん。きれいだ。よく似合ってるよ」

凛「そう?なら…よかったよ。ありがとう」

P「凛には濃い目の色の衣装ばっかりだったけど…そうか、白もこんなに綺麗なんだな…」

凛「そんな褒めないでよ。なんか恥ずかしい」

P「それは何よりだ。そうそう、結局お前が事務所にいたころのみんな、殆ど来てるぞ」

凛「…ホント?それは…なんだか嬉しいな」

P「奈緒も加蓮も、卯月も未央も。二列目に堂々と陣取ってやがる」

凛「ふふっ。式のあとが大変そうだね?」

P「何いってんだ。式の後大変なのは、お前だぞ」

凛「?どういうこと?」

P「そりゃ、元アイドルが人前に立つんだ。やることは一つだろう?」ニヤリ

凛「…呆れた。結局それなんだ」

P「ま、お約束と思って。さ、そろそろ行こうか」

凛「うん、そうだね」

P「…これからは見守るだけじゃなく、一緒に、な」

凛「うん。…いつまでも、ずっとね」




「主婦、とかどうでしょう」


「…まぁ、考えた末にそれなの?って気はしなくないけどさ…」

「そういうなよ…こっちだって、今更なに言えばいいのかわかんねぇんだ…」

「…それもそうだよね」

「ん、でもなんだ。こういうのはやっぱりしっかり言うべきかね」

「…任せるよ。プロデューサーのしたいようにして。…私の答えは、決まってるから」

「そっか。…お前にそこまで言わせちゃ、どうも男として言わないわけにもいかないな」

「…それで?」








「ずっと、凛のことが好きだった。結婚してくれ」パカッ

「もう…遅いよ、バカ」

「ごめんな。…一緒にいてくれ、これからずっと」

「…もちろん。私も大好きだよ、プロデューサー」






                                         おしまい


しぶりんは日本で生まれました。961の発明品じゃありません。我が事務所のオリジナルです。
しばし遅れを取りましたが、今や巻き返しの時です。
トライアドプリムスがお好き?結構。ではますます気になりますよ。さあさどうぞ
しぶりんの新SRです、高額でしょう?んああ仰らないで。
特技が極大、でも極大なんて見かけだけでフェスは辛いし、よく爆死するわすぐ爆死するわ、ろくな事はない。
スタドリもたっぷりありますよ、どんな無課金の方でも大丈夫。
どうぞ(ガチャを)回してみて下さい、いい絵でしょう。余裕のフェイフェイだ、回す回数が違いますよ

一番得をしてるのは・・・

誰です?

ちひろだ

ああ、何を!ああっ、そんなことちゃ駄目ですよ!やめて!助けて!うぁあああああああああああああああ

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