ひなた「心配かけて、ごめんねぇ」 ブリッツェン「ブモ、ブモブモッ!」 (99)

ミリマスとモバマスのクロス(?)ssです。方言などは適当なのでミスしてたら脳内補完をおねがいします

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1387522832

ひなた「うぅ…困ったなぁ……。駅から出てこっちの方で合ってるはずなのに…」

ひなた「やっぱ、あたしにゃまだ都会は早いっちゅうことなんかな……ぐすっ」

ひなた「うぅ……。あん時、下手に強がらねぇ方がよかったよぅ……」



~~~~~



P「なあ、ひなた。明日本当に一人で行けるのか?前に、ビルがいっぱいで迷子になったら遭難しそうとか…」

ひなた「まかせてよぉ。あたしもこっちにいる内に慣れてきたし、プロデューサーに頼りっぱなしなのもいかんもんね」

P「けど……」

ひなた「携帯電話もあっし、気にしすぎだべ。プロデューサーも他に仕事あるんだろ?無理に付き添わないで、のんびり来たらいいさぁ」

P「そうか…。じゃあ、簡単に地図だけ書いて後で渡すよ。気をつけてな」

ひなた「うん!」



~~~~~

ひなた(まだ時間に余裕はあっし、携帯でプロデューサーを呼んでも…)

ひなた「うぅん。お仕事の途中かもしんねぇし、迷惑はかけないようにせねば。…しかし参ったなぁ。うーん……」

ひなた(こうなったら、誰かに道を聞くしかねぇかなぁ。交番があれば良かったんだが…)



エッ?イマドコヨ!?…オウ。ンジャ、オレモソコイクワ

ハー?ソレマジネエッショー!…エ、ホント?



ひなた(…都会の人達は話しかけづれぇし……。話しかけて、機嫌を損ねんのも嫌だなぁ…)

ひなた「でもこうしてる内にまた時間が……。本当にどうし…」



(ドン!)



ひなた「わっ!?」

通行人A「うおっ、すいません!ケガとかしてない…よな?」

ひなた「あ、あぁ……」

A「そりゃ良かった…。悪いが、急いでるんでな!」タッ





ひなた「いたた……。やっぱり都会の人ってせっかちだべなぁ。これじゃ、道も聞けんかも…」

ひなた(…したらあたし、どうすりゃいいんだ?)

ひなた「うーん……うーん…」



ソウソウ!ガチデイルンダッテ!オレラモイコウゼ!

シャシンダケデモトリイカナーイ?…ウン、スグソコデトナカイガ…



ひなた(そういや、さっきから色んな人達が、どっかに集まってんねぇ。何があるんだろうか……)

ひなた「…よし。考えたって仕方ねぇし、とりあえず行ってみっか!」

ひなた(何があんのか、ちょっと気になるしねぇ)

ウワ…マジデイルジャン…

エッ?ミシテミシテ!



ひなた(結構集まってんなぁ。一体何が……)





ブリッツェン「……ブモ…」





ひなた「…トナカイぃ!?なんでこったらとこにいんのさぁ!?」

A「っが…!いきなり近くで大声出すんじゃ……ん?」

ひなた「あっ。さっきの……」

A「なんだ?お前もアレ見に来たのか?」

ひなた「い、いや、たまたま来ただけだよぅ」

A「ふーん……」

B「どーしたの冬馬君?知り合い?」

A「知り合いっつうか…。さっき、こっちにくる途中でぶつかっただけの間柄だ」

B「へぇー…」ジロジロ

ひなた「……?な、なんだよぅ…」

B「…ねぇ君さ、もしかしてあのトナカイに心当たりあったりしない?知り合いのペットにあんなのがいるとか…」

ひなた「心当たりって言われてもねぇ…」



ひなた(いるとしたら、多分響さんしかありえねぇけど…)ジー・・・



ブリッツェン「……………………ブモ?」



ひなた「……いや。知らないよぉ」

B「そっか。それは残念」

A「おいおい…。あんなの飼ってるなんて、余程の金持ちか物好きのどっちかだろ。もしくは、動物園から逃げてきたか…」

B「でもさー。あの事務所って動物好きの子も、お金持ちの子もいたじゃん。だから、もしかしてって思ってさ」

A「はぁ?なんで765の奴らが出てくんだよ?」

B「え?その子、春頃にあそこに入った新人の子でしょ?確か名前が、木下…」

ひなた「ひ、ひなたっちゅう名前です……」



A、B「「…………」」



ひなた(…うぅ。もしかして、言わねえ方がよかったかな……?)

A「んだとぉ!?何でこんな所にいやがる!?」

B「いや、単に僕らと同じなんじゃ…」

A「なるほど。プライベートってわけか……」

ひなた「あ、いや、仕事(に行く)途中、なんだけども……」

A「……何ぃ?だったら、こんな所で油売ってるヒマねぇだろ!お前の所のプロデューサーは何やってやがんだ!?」

ひなた「うぅぅ…!た、頼むから、あんま騒がねぇでくれよぅ……」



プライベート?ダレカキテンノー?

アレ?アノコ、モシカシテ・・・

エッ?アソコ、ジュピターイナイ!?

ひなた(周りの人達にも気づかれてきてる…。早くここを抜けねぇと……)

A「騒ぐもなにも……。それより、仕事途中ってなんだ?まさか、どっかでカメラ回ってんじゃねえだろうな!?」

ひなた「ひっ!?そ、そったらこたねえけどさ…」

B「と、冬馬君!周りに聞こえてるよ…」



エ?イマカメラッテイッタ?ウソーッ!

ブモ……?

エー?ドコドコー?

A「今それどころじゃねえだろ!おい木下。結局、お前は何でここにいるんだ!?」

ひなた「え、えっと……」

A「……煮え切らねえ奴だな…!早く答えろよ!」

ひなた「うぅ~…。だ、誰か、助けてよぅ…!」

B「と、冬馬君。一旦落ち着きなって!」

A「でもよ……痛っ!?」

B「冬馬君?どうかした?」

A「……おい、誰だ?今、後ろからオレを押したや……」





ブリッツェン「…………」





A「つ…………」

B「ほ、ほら!冬馬君が騒ぐからトナカイが怒―った!?」

ブリッツエン「ブモッ!ブモブモッ!」

B「ぼ、僕はなにもしてないってば!やめて、来ないでよーっ!!」

A「と、トナカイが暴れてるぞ!皆逃げろー!」



キャー!

ニ、ニゲロー!

オイ、ダレカケイサツヨベヨ…!



A(そうだ!アイツは……!)




ひなた「あ、あわわわわ……」ガクガク



A「……っ!腰が抜けてんのか?クソっ!」

ブリッツェン「………………」

ひなた「な、なんだよぅ……?」ブルブル

ブリッツェン「………………」ジロジロ



A(……こうなったら、タイミングを見て横から割り込むしか…)



ブリッツェン「………………」

ひなた「お、お前…。あ、あたしに、乱暴する気……ひゃっ!?」



A「くっ!遅かったか…!…………ん?」

ブリッツェン「…………」ペロペロペロペロ

ひなた「あはははは…!や、やめてよぉ!くすぐったいってばぁ!」





A「……何だ、あれ」

B「さあ……?」

ブリッツェン「ブモッ。ブモ、ブモ…」クンクン

ひなた「何であたしの匂い嗅いで……ん?」

ブリッツェン「…………」

ひなた「…あたしの腕なんて、触ってもなんもないよぉ?」

ブリッツェン「ブモ……」





A「懐いてる……のか?」

B「さあ……」

ひなた「…ね、お前さ」

ブリッツェン「ブモ?」

ひなた「ひょっとしてお前、あたしが困ってんの見て、助けてくれたのかい?」

ブリッツェン「ブモッ!」

ひなた「そっか……。心配かけて、ごめんねぇ」

ブリッツェン「ブモ、ブモブモッ!」





A「何なんだアイツらは…」

B(写真撮って北斗君に送ってあげよ…)カシャッ

ひなた「はっ!こんなことしてる場合じゃねえや!時間もなくなっし、早く道探さねぇと……」ガサガサ

ブリッツェン「……?」

ひなた「ええと、あの看板が見えるっちゅうことは、ここが……あっ!何すんだよぉ!」

ブリッツェン「(地図を咥えながら)ブモッ!」

ひなた「…あのね、トナカイさん。あたし、用があっから今お前には構えねんだぁ。だからそれ、返してくんないかい?」

ブリッツェン「ブモッ!ブモブモッ!」グイグイ

ひなた「返してってばぁ!折角プロデューサーが書いてくれた…」

ブリッツェン「…………」

ひなた「返し……ん?」





ブリッツェン「………ブモッ」クイッ

ひなた「……へ?」

ブリッツェン「ブモッ。ブモブモッ」トコトコ・・・

ひなた「ど、どこ行くんだい?」

ブリッツェン「……ブモッ。ブモッ、ブモッ」クイクイッ

ひなた「(さっきとおんなし仕草だ…)…お前、地図が読めんのかい?」

ブリッツェン「ブモッ♪」

ひなた「うーん……。確かに、そっちの方で合っとるみたいだけども…」

ブリッツェン「…………」

ひなた「よし!任せたよ!ここまできたら、腹くくるしかないっしょや!」

ブリッツェン「……ブモッ!」





A「……」ポカーン

B『え?そーそー。しかもその子が765のひなたって子でさぁ…』

ひなた「あっ!あの建物が見えてきたっちゅうことは…ギリギリだけど、間に合いそうだねぇ!」

ブリッツェン「…………ブモッ」

ひなた「へへ。お前、変な奴だねぇ。何であんな場所で縮こまってたんだい?もしかして、お前もスタジオに行きたかったとか?」

ブリッツェン「ブモ……」

ひなた「ま、いっか。もうすぐスタジオに着くし、後で考えりゃいいよね。お前のことは、関係者さんに預けとくから心配しないでな?」

ブリッツェン「ブモッ」

ひなた「よっし、もうすぐそこだべ!あんがとな、トナカイさ…」





警官「……君。ちょっとお話しさせてもらってもいいかい?」

ブリッツェン「ブモ……」

ひなた「トナカイさん…」

ブリッツェン「ブモ…」



警官『はい…。確保しました。…はい、こっちに回してください……』



ひなた「あたし達、どうなっちまうのかなぁ……」

ブリッツェン「ブモ……!」

今回分は終了です。クリスマスに間に合うかどうか微妙ですが、頑張ります。では!

1です。今ある分の書き溜め分だけ投下していきます

警官B「オーケー。そのまま押さえつけて…」

ブリッツェン「ブモ!?ブモッ!ブモーッ!」ジタバタ

C、D「「よしよし!おとなしくしてようなー?」」



ひなた「あっ…や、やめてよぉ!この子、あたしが困ってんのを助けてくれただけだからさぁ!」

A「しかし、民間人に危害を加えたという情報もあるんだが…」

ひなた「でも、その人達ぜぇったい怪我なんてしてないよぉ!あたしだって見てたもの!」

A「それが本当でも、こういう動物は保護しておかないとダメなんだ。分かってくれるよね?」

ひなた「ぅ……」

B「よし、できた!車くるまでそのまま押さえてなー」

C、D「了解!」

ブリッツェン「(マスクのようなものを着けられている)ンー…ンー……ンモ…」



ひなた「(トナカイさん…)で、でも、もうちっとだけ待っておくれよぅ。きっと、飼い主さんがこの子を探してるはずだから……」

A「そうは言ってもね…。ところで君、保護者と今連絡取れるかい?」

ひなた「あ、えっと……保護者っつうのか、分かんねえですけど…」

A「……?」





P「おーい、ひなたー!!…ったく、遅刻したと思ったら、すぐ近くで何やってるんだ!もうスタッフも集まっ、て……?」





A「…あの人が、君の保護者でいいのかな?」

ひなた「そ、そうです……。多分…」

(Pに一通りの事情を説明しました)



P「そうか…。そんなことが…」

ひなた「プ、プロデューサー……。あの子、助けてあげてよぅ…」

P「助けてって言われてもだな…」

A「(アイドル事務所の関係者か?)……あの。そちら側の事情もお察ししますが、私共としても動かないわけには…」

P「いえ、そこは仕方ないですよ。…しかし、トナカイか……」

A「……何か?」

P「あー、その……す、すいませーん!!」



B「はい?」

C「呼んでます?」

D「なんでしょう?」

ブリッツェン「………………」



P「そのトナカイ、搬送する前に見せてもらってもいいですか?」

P『はい、そうです。……ええ、ですからそちらのアイドルの…はい、はい』



A「……なあ。君のプロデューサーの知り合いに、アレを飼ってる人でもいるのかい?」

ひなた「いや、あたしは知らない……です」

P「ひなた!あのトナカイ、鼻水っつーか、水っ洟垂れてなかったか?」

ひなた「へ?た、多分……うぅん。絶対に垂れてたと思うよ」

A「それは私も記憶にありますね。風邪気味(?)のトナカイなんて見たのは初めてですから」

P「そうですか!……『あー、もしもし?今、確認取れました!はい、はい…』」

ひなた(誰と電話してるんだろうか…?)



P「あのー!今飼い主が来るそうなんで、離してもらってもいいですかー!?」



B「了解でーす!…うし、今度は外すぞ。また押さえといてくれ」

C、D「「了解っす」」

ひなた「プロデューサー?誰と話してたんだい?」

P「あー…。特に言うべきでもなかったし、言ってなかったんだけどな?」

ひなた「うん?」

P「今な、スタジオにCG事務所の子が来ているんだよ」

ひなた「CG……。ああ、静香さんとなかよしの島村さんのいるとこだねぇ?」

P「ああ。でな、多分その子があのトナカイの飼い主なんじゃないかと…」

ひなた「はぁ…?どんな子なんだろうねぇ……」

P「何と言うか、ある意味トナカイにピッタリな名前で…」



(バタン!)



P、ひなた「「!?」」

コラー!ソンナカッコウデソトニデルンジャナーイ!!



イヴ「ブリッツェ~ン!!一体、何があったんですかぁ~~!!?」



ブリッツェン「ブモッ!ブモーーッッ!!」



P「イヴ・サンタクロースって言うんだが……」



イヴ「あぁ~ん!こんな沢山の人達に迷惑かけて~!もう、ブリッツェンの……ハクシュン!」

モバP「だから言ったじゃないか~!タオルくらい羽織れって言っただろぉ!?」

イヴ「あ、あれ~?今年の冬は去年よりずっと寒い気がします~……」

モバP「バカ言ってるんじゃない!ほら、早くかけろ!」バサッ

イヴ「うぶぶ……ありがとうございまずぅ~…」





ひなた「何か、凄い人達だねぇ……」

P「ああ。色んな意味でな…」

イヴ「ど、どうも、この度は私のパートナーがご迷惑をおかけしまして…」

モバP「ウチのブリッツェンが本当に申し訳ないことをしました!これ、つまらないものですが…!」

P「い、いやいや!うちのひなたも道案内してもらったそうですし、お互い様ということで…」

ひなた「そ、そうだよぅ。悪いっちゅうなら、あたし達もおんなしだべ」

モバP「いえ、折角ですし、このままお受け取りください。そちらの仕事の関係者にも、こちらから謝罪致しますので…」

P「いや、ブリッツェンがいなければどのみちひなたは遅れていたでしょうし、そういうのは……」

モバP「それでも、こちらに過失があったのは事実ですから」

P「しかし……」



ひなた(……はぁ~。大人って、面倒くせぇもんだねぇ。他人事じゃないけども…)

イヴ(…ひなた~…。ちょっといいですか…?)ヒソヒソ

ひなた「……なに?」

イヴ(今の内に、二人になれる場所に行きたいのですが~)ヒソヒソ

ひなた「…………」



P「だから……」

モバP「ですから……」



ひなた「…うん。何か、話があんだね?」

イヴ「……」コクン

ひなた「はぁ…。ぶりっつぇんが、そったらこと言うてたんかい?」

イヴ「そうなんです~。良い子だー。とか、可愛いー。とか、い~っぱい褒めてましたよ~?」

ひなた「ど、どういたしまして……。それで、話ってなんだい?」

イヴ「実は、ひなたの真っ直ぐそうな所と、ブリッツェンが気に入っているということを見込んでお願いがあるんですけど……いいですか~?」

ひなた「さぁ。聞かねぇことにはなんとも…」

イヴ「ひなた。クリスマスイヴの夜なんですけど…」

ひなた「うん」





イヴ「本物の、サンタの仕事を手伝ってみませんか~?」

ひなた(本物の……サンタ?)

イヴ「うぅ~…。やっぱりダメですかぁ~?」

ひなた(その日はクリスマス特番の収録があるよねぇ…。でも……)



ひなた「んむむ……」



イヴ(うぇ~ん…。やっぱり、信じてくれないんですかね……)シュン

ひなた「なあ。もうちっとだけ、詳しく聞かせてくんねぇかい?」

イヴ「……!!」

ひなた「?どうかしたかい?」

イヴ「ひなた~!ありがとうございますぅ~!」ギュッ!

ひなた「あぅぅ…。イ、イヴさん。苦しいよぅ……」

今回分、というより、書き溜め分はこれで終了です。遅筆なのでクリスマスに間に合うかどうかかなり不安ですが、遅れても最後まで投下するつもりです

次回は当日の夜から話を進めていこうと思います





茄子さんとの絡みにしておけばもっと余裕持てたかもな……今更遅いけど…

1です。余裕で遅刻ですが、出来てる分だけ投下していきます。正月までには終わるように頑張ります

(『いえいえ~。そのスケジュールなら被らないと思います~』)



ひなた「はぁ……はぁ…」タッタッタ…



(『はい。夜12時…の、5分前くらいですかねぇ~』)



ひなた「急がねぇと……!」タタタ…



(『なるべく暖かい格好で…。あ、それでも、動きにくいのはダメですよ~?』)



ひなた「イ、イヴさ~~ん…!はぁ、はぁ……」



(『はい~。それじゃ、私がひなたを迎えに行きますね~☆』)



ひなた「はぁ……。ご、ごめんねイヴさん!…待ったかい……?」





イヴ「い~え。私も今来たばかりですから~♪…ね、ブリッツェン?」

ブリッツェン「ブモッ」

ひなた「ふぅ…。そ、そりゃ良かった……」

イヴ「…お疲れのようですけど、どうしたんですか~?」

ひなた「ああ。皆に見つからねぇように出てくんのに、思ったより時間かかってさぁ。環ちゃんと育ちゃ…事務所の仲間が、『サンタを見るまで起きてる!』っつって離してくんなくって…」

イヴ「仲が良い事務所なんですね~。…でも、遅くまで起きてるような悪い子にプレゼントは渡せませ~ん♪」

ひなた(えぇ…?イヴさん、意外と薄情なんかなぁ……)

イヴ「可哀想ですが、これもクリスマスの掟…!その子達も、この苦い経験を糧に……「ブモッ」……どうしたんですか、ブリッツェン。…え?ひなたが何か?」

ブリッツェン「ブモッ」クイッ

イヴ「……?」



ひなた「そっか…。環ちゃん達、先週から楽しみにしとったのになぁ……。あたしが『サンタさんは絶対来るよ』って言っちまったから、余計に…」シュン



イヴ「…………」

イヴ「……い、今のは冗談で~す♪サンタさんを信じてる良い子達には、遅くまで起きててもちゃんと渡しますよ~?」

ひなた「え……本当かい!?」

イヴ「そ、そうですよぅ!サンタさんは優しいんです!」

ひなた「そっか…。ありがと、イヴさん!」

イヴ「そ、それより早く出発しましょう!…ブリッツェン、準備はいいですか~?」

ブリッツェン「ブモッ、ブモッ!」

イヴ「うん、オッケーですね!ひなた、貴方も大丈夫ですか~?」

ひなた「え?」

イヴ「大丈夫なら、私の手を取ってソリに乗ってくださ~い」サッ

ひなた「あ……。うん……」

イヴ「どうしました?手を取ってくださ~い」

ひなた「……」

イヴ「……ひなた?どうしたんです?」

ひなた(…絵本から出てきたみてぇにおっきなソリ。色々な物が沢山詰まって、はちきれそうな白い袋。それに、ソリを牽くトナカイさん……)



ひなた(自分がアイドルになったことより驚くことなんてないと思ってたし、今も、目の前に見えてんのが現実のものなのか、分かんねえくらい不思議な光景だけど…)



ひなた「……ね、イヴさん?」

イヴ「はい?」

ひなた「あたし、イヴさんのお手伝いすんのね、」

イヴ「……はい」

ひなた「なまら……。あ、これ、あたしの故郷で「凄い」って意味なんだけど…」

イヴ「……はい」



ひなた「なんまら、楽しみだよぉ!今夜はよろしくね!」ギュッ!

イヴ「……はい!!」

ひなた「…んしょ。イヴさん、もう手離しても大丈夫だよ」

イヴ「分かりました~。揺れないとは思いますけど、落ちないように私の手かソリの端にしっかり掴まっていてくださいね?」

ひなた「うん!」

イヴ「よ~し!行きますよ、ブリッツェン!出発進行で~す♪」

ブリッツェン「ブモッ!」



ひなた(つ、ついにこの時が来たんだなぁ…!空を飛ぶなんて、一体どんな景色が……)



(ズ…)



ブリッツェン「ブモ-……」

(ズ、ズ、ズ……)





ひなた「……ん?」





ブリッツェン「ブモ-…!」



(ズ…、ググ……)





ひなた「……んん?イヴさん、これ…」

イヴ「シッ。今は静かにしていてくださ~い」

ひなた「…うん」


(グググ……)





ひなた「…………!?」

イヴ「頑張ってください、ブリッツェン……!」



ブリッツェン「ブモ-ッ!」



ひなた(頑張れったって……。こっからどうやって空を飛ぶん…)





(……フワッ)





ひなた「…………えっ?」

イヴ「まだですよ~。そのままゆっくり~」

ブリッツェン「ブモッ」

(フゥ……ッ)





ひなた「ええ…!?い、今ソリが、空に浮い…」

イヴ「…オッケーです!行きましょう!」

ブリッツェン「ブモ--ッ!!」





(フゥーッ……)





ひなた「ええええぇ!?浮い、んにゃ、飛んで……!」

イヴ「はい♪上手くいきましたね~☆」

ひなた「う、上手くとかじゃなくって…。…………うわぁぁ…!!」

イヴ「?どうしました~?」

(シャン、シャン、シャン、シャン…)



ひなた「うわぁぁ…!!イヴさん、あたし達、そ、空飛んでるよぉ…!」

イヴ「当たり前じゃないですか~♪私達はサンタさんなんですよお~?」

ひなた「そうだけど、だけども……」

イヴ「それよりひなた~、見てくださ~い。お月様が、あんなに綺麗ですよ~☆」

ひなた「ふわぁぁ……!街中も、イルミネーションでキラキラしててなまら綺麗だぁ~…!」

イヴ「雪は降ってないですけど~…」

ひなた「関係ないよぉ!……はぁぁ~!あたし、もう何も言えないわぁ…」

イヴ「ふふっ。喜んでくれて良かったで~す♪」





ひなた「…あ、そうだ。あたし達、今何処に向かってるんだい?」

イヴ「ブリッツェンの鼻の向くまま、プレゼントを欲しがってる子達の家へ向かってますよ~」

ひなた「プレゼントとかどうやって渡すのさ?」

イヴ「そうでした!今の内に説明しておきますね~」

イヴ「えっと……。渡すプレゼントは、子供毎に決まってるんです。何を渡せばいいかは私とブリッツェンが覚えているので、ひなたは心配しなくていいですよ?」

ひなた「へぇ。事前に希望を聞いてたりとかしたんかい?」

イヴ「何言ってるんですかぁ。子供達が普段から欲しがってる物が分からないと、サンタさんは務まらないんですよ~?」

ひなた「そっか……。本物のサンタって、凄いんだねぇ」

イヴ「ありがとうございます♪……渡す時は枕元に置いていくか、大きなものは家の近くの、目立つところに置いていきます。ベランダとか、庭とか、ドアの前とか…」

ひなた(…あの袋、一体何が入ってんのかなぁ……)

イヴ「それでですね。ここからが肝心なんですが…」

ひなた「うん…」

イヴ「家の人に会った時…。まあ、九割がたは子供なんですけど」

ひなた(一割の方に当たったらどうすんだろう?)

イヴ「オシッコとか、なんとなく眠れないとかで起きている子はいいんです。事情を説明してプレゼントを渡せばいいですからね」

ひなた「…でも最近の子ってしっかりしとるし、怪しまれたりせんの?」

イヴ「まあ聞いてください。サンタさんを信じてる子はいいんです。私の格好を見れば、殆どは納得してくれますから~」

ひなた「そりゃ、ね」

イヴ「問題はサンタを信じてない子なんです。通報しようとするのはいいんですけど、ヒドイ子はサンタさんを捕まえようとする子までいるんですよ~……」

ひなた「そうなんだ…。だったら、そんな子のとこにゃ行かなくていいんでないかい?」

イヴ「兄弟姉妹のいる家で、上の子だけが信じていないのはよくある話ですからね~。うぅん、下の子だけが信じてるって言った方が良いのでしょうか…」

ひなた「ふぅーん…。で、そんな子と会ったらどうするんだい?逃げんのか?」

イヴ「ふっふっふ…。そこでひなたの出番で~す♪」

イヴ「ひなたには『クランプス』の役目をやってもらいます~。…はいコレ、着けてください!」

ひなた「カチューシャ?…何か、鬼のツノみたいな出っ張りがあるけども……」

イヴ「ひなたは可愛いですから、最低限はクランプスらしい見た目にしとかないとダメですよ~。…それで、話の続きですが…」

ひなた(…………)ゴクッ

イヴ「ひなたは私が子供達の家にお邪魔する時、一緒に来てくださ~い。それで、さっき言ったような子に会ったらお説教してあげてください♪」

ひなた「お説教って…。どんな風にやりゃあ……」

イヴ「それはひなたに任せます~。とにかく、悪いことをしているのを咎めて、良い子でいるように注意してくださいね!」

ひなた「う、うん。難しそうだけど、頑張っからねぇ」

イヴ「はい♪…あと、家の中にお邪魔する時、私が窓を開けてる間に袋の中からプレゼントを取って来てくださいね。ブリッツェンがソリを窓に寄せて止まってくれるので、慌てずに来てください♪」

ひなた「窓…?開ける……?」

ブリッツェン「ブモ、ブモ!」



イヴ「あら…。早速一軒目が近付いているみたいですよ~?」

ひなた「イ、イヴさん。もうちょい詳しく説明してくんねぇかなぁ?」

イヴ「だ~いじょ~ぶ!ブリッツェンと一緒に都会を闊歩したひなたなら、何があっても平気ですよぉ♪」

ひなた「うぅ……。あ、あれはもののはずみっちゅうか…」



ブリッツェン「ブモブモ!」



イヴ「さ、もうすぐ行きますよ~。ひなたも準備してくださいね~」

ひなた「……うん!」

今回はこれで終わりです。なるべく早く完成できるように頑張ります





1日遅れだけど、イヴたん&ゆきたんイェイ~

チンタラチンタラ書き貯めてたらこんなに遅くなってしまいました
時期外れで見る人もいるかわかりませんが、一応出来た分だけ投下していきます

イヴ「ブリッツェン。ストップで~す」

ブリッツェン「ブモ……」ピタッ

ひなた「(空中で止まってる……!)イ、イヴさん、どうしたんだい?」

イヴ「どうしたって……。プレゼントを渡すんじゃないですか~」

ひなた「や、渡すっつってもこっからどうやって…」

ひなた(窓は近くにあっけど、鍵も閉まってるだろうし…。どう窓を開け……)



イヴ「お邪魔しま~す♪」ガラッ



ひなた「うぇぇ!?ふ、普通に開け…?……んにゃ、そうじゃないね」

ひなた(やっと分かったわ。この人と行動するときゃ、常識に囚われちゃいけねぇんだな)

ひなた「はぁ……。もう、驚くのも億劫になってきたなぁ…」

イヴ(ひなた、来てくださ~い)



ひなた「(手招きしてるね…)…うん、もう気にすんのはやめるべ。イヴさん、あたしも今行……」グイッ

ブリッツェン「ブモッ」

ひなた「えっ、トナカイさん?なんか用?」

ブリッツェン「ブモッ」クイッ

ひなた「…ああ、あたしがプレゼント持ってくんだったね。えっと……この、お菓子の袋でいいんだね?」

ブリッツェン「ブモッ」



イヴ(早く来てくださ~い)クイックイッ



ひなた「い、今行くよー!」

イヴ(暗いので気を付けてくださいね~)

ひなた(うん。…あれ?ここ、やよいちゃんの家でねぇか。こんな所にあったんだねぇ)

イヴ(えっ?ひなたのお友達の家ですか~?)

ひなた(そうだよぉ。ほら、あそこで寝てる子…)



やよい「すー……、すー…」




イヴ(あら~。気持ちよさそうに寝ていますね~)

ひなた(…ねえ、イヴさん?)

イヴ(はい?)

ひなた(プレゼントこれだけで良かったんかい?赤ちゃんも含めっと、この部屋だけで5、6人はおるよ?)

イヴ(……それについては後で説明するので、今はお菓子のあの子の枕元に置いてきてくださ~い)



浩太郎「くー………」



ひなた(え?他の子にあげないのぉ?)

イヴ(……サンタさんも、なんでもプレゼント出来るわけじゃないんです~…。……ぐすっ)

ひなた(はぁ?…とりあえず、置いてくるねぇ)

イヴ(お願いします…)

(シャン、シャン、シャン、シャン……)





ひなた「なぁイヴさん。さっき言ってたの、どういう意味さ?」

イヴ「これを見れば分かると思います~…。……これは、私があの部屋に入ってすぐに見つけたものです……」ガサッ

ひなた「手紙?4通しかないけど、部屋で寝てた子達と数が違わねぇか?」

イヴ「多分、他の2人はまだ小さいのでサンタさんが分からないんでしょうね。…それより、読んでみてください」

ひなた(……何が書いてあんだろ?)ピラッ



『サンタさんへ。明日も今日みたいにおかしをいっぱい食べたいです。 たかつきこう太郎』

『お姉ちゃんをテレビでもっといっぱい見たいです。アイドルのお仕事をお姉ちゃんにプレゼントしてあげてください かすみ』

『父さん母さんとやよい姉ちゃんが健康なまま仕事できますように 長介』

『サンタさんへ 毎年プレゼントありがとうございます。サンタさんがえらんでくれたプレゼントなら、私たちは何でもうれしいです 高槻やよい』



ひなた「……うぅっ…。これ、これ……!」

イヴ「うぇ~ん……。サ、サンタさんは……ぐすっ。か、形のないものは、プレゼントできないんですよぅ~…!」

ひなた(しょ、初っ端からこんなのなんて無いよぅ……!)

ひなた「…で、でもやよいちゃんは『何でも嬉しい』って書いてくれとるし……」

イヴ「文脈をよく読んでください…。それは、サンタさん役の親に宛てた手紙なんです……」

ひなた「!!…あたし、『サンタを信じてない子』にプレゼントしないってのが、こんなに辛いなんて思わなかったよ……!」

イヴ「……ひなた、いいですか?」

ひなた「うん?」

イヴ「もしもこれから、何らかの事情であぶれたプレゼントが出たら…」

ひなた「……うん」

イヴ「ほ、本当はこんな……あ、余り物を回すようなのはいけないんですがぁ~…!……や、やよいちゃん達に、それを、プレゼント……くぅ~っ!」ポロポロ

ひなた「イヴさん…!もう、もう分かったから何も言わないで……!」グスッ

イヴ「…なんて言ってる間に、二軒目ですね~。私は窓を開けておくので、ひなたは袋の中にある本を取ってくださ~い」

ひなた「うん。…ってイヴさん?本だけなら色々あっけど、どれを取れば……」

イヴ「えっと…何冊かまとめて置いてある、お料理の本を取ってくださ~い」ガチャッ

ひなた「んと……あった!今行くねぇ!」

イヴ「シッ。子供が起きちゃいますよ~…」

ひなた「あ……。いけねぇ」







育「うぅん……。ん………」



イヴ(…ほっ。起きなくて良かったで~す)

ひなた(よいしょ、よいしょ……ふぅ)

イヴ(あ、重かったですか?…それにしても)



育「ひ、一人でできるもん……。んにゅ……」



イヴ(この年でお料理の本なんて……好きなのでしょうか?)

ひなた(うーん…。育ちゃんのことだから、前みたいに料理の仕事が来た時の準備なんでないかな?)

イヴ(あら、この子も765プロにいる子なんですか?しっかりしてるんですねぇ)

ひなた(そうだよ。お仕事に対する姿勢は大人にも負けない、凄い子なんだよぉ)

イヴ(そうですかぁ~。……ひなたといい、この子といい、765プロはしっかりした子が多いんですねぇ)

ひなた(……どうせあたしはちびですよぅ…。くすん…)

イヴ(ホ、ホメてるんですよぉ~…。あははは……)

イヴ「よ~し、最初はビックリしちゃいましたけど、このペースでドンドン行きましょう~!」

ひなた「…………」

イヴ「…ど、どうしたんですか~?そこは、『おー!』って応じるところじゃ…」

ひなた「んと……あたし、プレゼント手渡してるだけで手伝いになってんのかなって…。この感じだと、あんまし悪い子にも会わなそうだしさぁ」

イヴ「大丈夫ですよ~。ひなたがこうして一緒にいてくれるだけで、サンタさんのお仕事がすっごく楽しくできるんですから~!」

ひなた「……そうかい?」

イヴ「そうですよぉ~。今までは、ブリッツェンと二人だけで……。……さ、次に行きましょう~☆」

ひなた「うん!」





ブリッツェン「ブモ……」ホロリ

イヴ(さぁ~て、この子は最新型のゲームパッドとコントローラ……あら?電子音が聞こえるような…)チラッ





PC「……ピー……ブブ…」



杏奈「…………すー」





イヴ「部屋の電気は消しているのにパソコンはつけっぱなしですか~。……ひなた。私は待機してるので、お説教をしてあげてくださ~い!」

ひなた「う、うん!やってみる…!」

イヴ「さあ、クランプスとしての初仕事ですよ~」ガラッ

ひなた「杏奈ちゃん、起きて。杏奈ちゃん」

杏奈「……んー…」

ひなた「お、起きてくれよぅ~…!」ユサユサ

杏奈「ん……。さっきから、誰…?」

ひなた「(部屋は暗いし、顔は見えんよね)…あたしね、サンタさんと一緒にお仕事する『くらんぷす』っちゅうもんだけど……杏奈ちゃん!」

杏奈「!?は、はい…っ」

ひなた「杏奈ちゃん。サンタさん、あんたにプレゼント持ってきたけどね、今の杏奈ちゃんにゃ渡せねぇって」

杏奈「……え?…それ、どういう……あっ!」

杏奈(寝落ちしてた……!)カチカチッ

ひなた「やっと気付いたんだねぇ。早寝しても、後始末しねえで寝ちゃう悪い子にはプレゼントあげらんねぇよ」

杏奈「そんな…!…ク、クリスマスはいつも早く寝てるけど、その……今年はTV収録の仕事があって、何か寝られなくて…」

ひなた「もういいよ。これから、ちゃんとゲームやパソコンは消してから寝るようにするかい?」

杏奈「し、します!寝落ちは週に1度までに…」



ひなた「…………」



杏奈「ぜ、絶対しません!……だから、その……プレゼント、ください…」

ひなた「……分かった。今呼んでくっからねぇ」

イヴ「はい、どうぞ。これからはいい子にしていてくださいね♪」

杏奈「…新型のパッドとコントローラー……!……サンタさん、ありがとう!」

イヴ「どういたしまして~♪これからはゲームの後始末に気をつけるんですよ~」

杏奈「……ね、サンタさん。さっきの『くらんぷす』って人、もしかして…」

イヴ「すいません~。次の家に行くのでさようならです~」

杏奈「…えっ?ちょっと待っ……」

イヴ「杏奈ちゃ~ん。また来年のクリスマスに会いましょうね~♪」バタン!



杏奈「サンタさん……。…窓開けて入ってきてたんだ……」

杏奈「……外見ても誰もいないし……何だったんだろう?それにあの『くらんぷす』って言ってた人……」

杏奈(一応、貰ったプレゼントは本物みたいだけど……)サワサワ



杏奈(…………………………)



杏奈「……まあいいや。寝よ…」

ひなた「ド、ドキドキしたよぉ~!あたし、年の離れてねぇ子にお説教すんのなんて初めてだぁ…」

イヴ「そうなんですか~?初めてとは思えないくらい上手くできてましたよ~?」

ブリッツェン「ブモッ」

イヴ「ふふっ♪ブリッツェンも感心していたみたいですね~」

ひなた「うぅ~…」



ひなた(思ったよりずっと恥ずかしかった…。…んでも一度やるっつったことだし、最後まで頑張んなきゃいけねぇが……)



ひなた「はぁ……。ゆるくねぇなぁ…」

イヴ「?とにかく、このペースでドンドン配っていきますよ~!」

ブリッツェン「ブモ-ッ!!」

イヴ「ひなた~。ステッキと、その近くにある服を取ってくださ~い」

ひなた「は~い!」





瑞希「ふふ……。新しい手品で新年も……盛り上げるぞ…。…頑張れ、私。……ぐー」







『楽しいものが欲しいぞ!! たまき』



イヴ「そんな環ちゃんには「太鼓の○人 Wii U ば~じょん!」をあげちゃいます!ハードやタタコンも一緒ですよ~」

ひなた(……良かったね、環ちゃん)





環「くふふ…。や~っとサンタさん捕まえたぞ~……。むにゃ……」







イヴ「鹿撃ち帽をお願いします~。えと…そこにある、ハンチング帽に似たやつですよ~」

ひなた「…地味な色だねぇ。どんな子が欲しがんだろ?」





百合子「むふふ……。ぷろりゅうさぁしゃん……次は探偵ものの衣装なんて…どうれすかぁ……んふふ…」

イヴ「割らないように気を付けてくださいね~。複製品とはいえ、結構高かったので~…」

ひなた(クリスマスプレゼントに茶器って……渋い!)



エミリー「しかけにんさま……いつか…私の家でおもてなし……すぅ」







イヴ「どうですひなた?非売品の、デフォルメされた私とブリッツェンのシールシートです♪可愛いでしょ~?」

ひなた(妙に手作り感があっけど……まさか自作!?)



桃子「……カワイイ…シールじゃなきゃ……やだ……くー……」







真美「亜美~、眠いし寒いよ~。もう諦めようよ~…」

亜美「まだまだ夜はこれからっしょ~。サンタを捕まえるまで、今日は寝かさないかんね!」

真美「どーせパパかママだよ。……ふわぁ」

亜美「真美は夢がないなぁ~。信じるモノはすぐ割れるって言うじゃん!」

真美「取り扱い注意だね……」



イヴ「…あの子達には、キツ~くお説教してくださいね~…!」

ひなた「あぅぅ…。あたしの仲間が迷惑かけて申し訳ねぇ……」

そして……



イヴ「残るプレゼントも少なくなってきましたね~。ここが終わったら、一度補充しに行きましょう~」

ひなた「補充って……あとどのくらいあるのさぁ?」

イヴ「まだ半分もないですよ~。でももう少しで折り返し…………あっ、着きましたね」

ブリッツェン「ブモッ」

イヴ「…む~!?隣の部屋はまだ電気が点いてますが………ひなた、シュッと行きますよ。シュッと」

ひなた「うん。まだ起きてる人に気付かれないうちに済ませるんだね?」

イヴ「そういうことです♪というわけで、慎重に行きますよ~。窓の枠が狭いので注意してくださ~い…」カチャ



ひなた(今度のプレゼントは、サッカーのスパイクかぁ。…これ、靴入れてるダンボールも含めると結構おっきいなぁ)ヨロヨロ…



イヴ(何してるんですかひなた~!早く~~!)

ひなた(あ、あんま急かさないで。これ意外と持ちづらい……あっ)ガッ

イヴ(窓につっかえってますよ~!ダンボールを縦に持ってください、縦に!)

ひなた(つっても、ソリに踏ん張りながら持ち替えるのは……わっ!?)ツルッ

イヴ(あぁっ!)



(ドタッ!)

ひなた(ったぁ~…!……で、でもイヴさん。プレゼントは何とか無事に…)

イヴさん(今はいいです~!そ、それより今の音で…)

ひなた(そうだ!寝てる子が…!)



男の子「……んん……、ん…」



イヴ、ひなた((………………))ドキドキ



男の子「ん…。……ぐー…」



ひなた(き、気付かれねえでよかったぁ……!)

イヴ(さ、今の内にスパイクを枕元に…)



(コンコンッ)



イヴ、ひなた(!!?)

「ねえ……今の音なに?何か出たの?」



イヴ(うぅ…、こっちの方を……)

ひなた(忘れてた…!)



「……話し声?ちょっと、他に誰か部屋にいるの!?開けなさい!」



イヴ、ひなた((ひ~~っ!!))

イブ(は、早く逃げますよ~~!)

ひなた(ま、待って。暗いから、慎重に行かねば…)



「……返事しないのね。分かったわ。じゃあ今から入るから…」ガチャ



イヴ(急いでくださ~い!!)

ひなた(あ、後はこの窓さえ抜けりゃ……あたっ!?)ガッ

イヴ(ひ、ひなた~!)



ひなた「あたたぁ……。今度はあたしの腕が枠に引っかかちま……」



志保「あ、貴方達……何してるの!?」



ひなた「った……」



イヴ(あぁ……脱出失敗です…)

志保「……なるほど、そういうことだったんですね」

イヴ「うぅぅ~…。信じてぐれてありがとうございまずぅ~」

志保「な、泣かないで下さい。…知り合いが一緒にいたんですから、信じないわけにはいきませんよ」

ひなた「うぐ。志保ちゃん、申し訳ねぇ…」

志保「ボランティアの手伝いをやってたようなものでしょ?別に謝らなくていいわよ。……何で窓が開いてたのかは、敢えて聞かないけどね…」

イヴ「それはですね~。……煙突が無かったので、仕方なく…」



志保、ひなた((……そういう問題じゃない(ねぇ)!))

志保「とにかく、弟へのプレゼントありがとうございました。さっきのことは誰にも言わないので、もう気にしないでください」

イヴ「そ、そうですか?重ね重ねすいません~」

ひなた「志保ちゃん、ありがとねぇ」

志保「そ、それより……あの…。その、代わりと言ってはなんですけど……1つ、教えてください」

ひなた「ん?」

イヴ「なんですか~?」





志保「わ……私へのプレゼントって、ありますかっ!?」




イヴ「貴方へのプレゼント…ですか?」

志保「は、はいっ。私宛てのプレゼント、です!」

イヴ「そうですか~…」



ひなた(……んん?志保ちゃんって、こういうこと言う子だったかなぁ?)



志保「な、無いなら無いでいいんです!でも、もしあるなら…そうとだけ、教えてください」

ひなた「あれ?プレゼントが何かって話じゃないのぉ?」

イヴ「いえいえ、プレゼントがあるか無いか……より正確に言うと、『来る』か『来ない』かということを知りたいんですよね?」

志保「そうです!」

イヴ「……では、私がわかる範囲でお伝えしますね~」

志保「お、お願いします…!」



ひなた(ん~と……ダメだ。何言ってんのか、全然分かんないや…)

イヴ「北沢志保さん。貴方へのプレゼントについてですが…」

志保「…………」ゴクッ





イヴ「私から貴方に渡すものは、ありません。今の私がプレゼントを渡すのは、歌やお話の中の『サンタさん』を信じてくれる子供達だけですから」





志保「やっぱり…そう………ですか。…教えてくださって、ありがとうございました」

イヴ「…………」

ひなた「えぇ?『やっぱり』ってどういう……「ですが!」



志保「!」

ひなた「!?」

イヴ「……ですが、それは志保さんにとっての『サンタさん』からプレゼントが来ないこととは違いますよ。どういう意味か、分かりますか~?」

志保「私にとって、ですか…?」

イヴ「はい♪」

志保「……えーと、私にとってのサンタさんってことは…………あっ!」

ひなた「え!?なんでいきなし大声…「ごめんひなた、黙って!」…うん」

志保「イ、イヴさん………もしかして貴方、私の…その……」

イヴ「はい♪志保さんがプレゼントを貰いたい『サンタさん』がどんな人かということ、全部分かってますよぉ☆」

志保「……~っ!」

ひなた「?」

イヴ「あら~?どうして顔を赤くするんですか~?」

志保「そ、それは……察してください…///」

イヴ「え~~?」

志保「そ、それより、そんなに話してないのに何で分かって……」

イヴ「それは~……子供の望むものを、理解できてこその『サンタさん』ですから~」

志保「ええ~…?……そういう言い方は、ズルイですよ…」

イヴ「そうかもしれませんね~♪」

志保「……もうっ」





ひなた「……あの、悪いんだけどさぁ。二人は結局、何の話してるんだい?あたしにはどうも分かんねえんだけども…」

イヴ「そうですねぇ。折角同席してるんですし、ひなたにも教えてあげましょうか~。ねっ、志保さん?」

志保「ふぇっ!?」

イヴ「え?」

ひなた「…?どうしたの、志保ちゃん?」

志保「いや、あの…。で、出来れば教えてあげないで欲しいんですけど……」

イヴ「……」

ひなた「…………」





イヴ、ひなた「「どうして?」」





志保「うぅ……!そんな…」

ひなた「ほんとにどうしたのさぁ、志保ちゃん。あたしには教えらんねぇことなのかい?」

志保「や、その……」

ひなた「別にあたし、志保ちゃんが嫌って言うなら聞かないけどさぁ……。…でも、あたしだけのけものっちゅうのは寂しいよ…」

志保「……くっ!」

イヴ(あらあら……ひなたに申し訳なさそうな表情ですね~。これなら…)



イヴ「……ひなた~。ちょっと耳を貸してくださ~い」

ひなた「うん!」



志保「…あっ!ちょっ、イヴさ……」



イヴ「…………ゴニョゴニョ」

ひなた「ふんふん……」



志保「あぁ……」

イヴ「……というわけなんですよ~」

ひなた「なるほどねぇ~!だからさっき、『志保ちゃんにとっての~』って何度も言ってたんだね?」

イヴ「そうですよ~。志保さんは、お父さんからのプレゼントをず~っと待ってるんですぅ♪」

志保「や、やめて二人とも……。お願い、その話、忘れて…!」

ひなた「どうして?あたしだって故郷のばあちゃんに会いたいって思ったりすっし、恥ずかしがることなんて何もないっしょ?」

志保「そ、そうだけど!そうだけど、そうじゃな……ぐぅ~…!」



イヴ(ん~…。こういう雰囲気っていいですね~。私も小さい頃はこんな友達が欲しかったです~…)



ブリッツェン「ブモッ!ブモッ、ブモッ!」



イヴ「あ、いけないいけない!ひなた。まだ配る相手がいますし、そろそろお暇しましょう~」

ひなた「あ、うん。またね、志保ちゃ……」



志保「うぅ……。あんなに言わないでって言ったのに…!」



ひなた「…………」

ひなた(……イヴさん。最後にちょっとくらい、何か言ってあげた方がいいんでないかい?)

イヴ「(分かってますよ~♪)……ところで志保さん。帰る前に1ついいですか~?」

志保「……はい?」



イヴ「貴方はさっきまで『サンタさん』を信じていなかったみたいですけど……『サンタさん』からプレゼントを貰う秘訣、何だか分かります?」



志保「プレゼントを貰う秘訣……。…あの、そんなことにコツみたいのがあるんですか?」

イヴ「ありますとも~!『条件』と言い換えてもいいですよ~?」

志保「ん~…。それなら……」



ひなた(また謎かけ?もうお別れだっちゅうのに…)

志保「んと……1年間良い子にしている、とか?」

イヴ「ハズレで~す。それも大事ですけど、もっと重要なことがあるんですよぅ!」

志保「はぁ…。何ですか?」

イヴ「それはですね……『サンタさん』がいるということを、信じ続けることです!『サンタさん』はちょ~っと特別なので、自分を信じてくれる子の所にしか来ないんですよ~。だから、良い子にしていても『サンタさん』を信じない子にプレゼントは来ないんですよ~!」

志保「……それって、無理のある言い方ですよ。信じ続けたって、来ないものは……「ダメです!!」



志保「!」

ひなた「!?」

イヴ「貴方が本当にプレゼントを欲しいのなら、どれだけ望みが薄くても信じなくっちゃダメです!歌やお話の中でしか会えなくても、周りからはウソだって言われても、それでも信じ続けられる子だけが『サンタさん』からプレゼントを貰えるんですからぁ!」



ひなた(イヴさん!?こんな声出すの始めて聞いたけど、志保ちゃんの方は…)チラッ



志保「……本気で言ってるんですか?そんな、精神論みたいな無茶苦茶なことを…」

イヴ「本気ですよ~!それに、無茶苦茶でもないと思います~!」

志保「……っ!」

ひなた「ちょ、ちょっと!二人とも落ち着……」

志保「じゃあ何よ!?私が今から来年のクリスマスまでに『良い子』になっていれば、お父さんからプレゼントが来るって言うの!?知った風なこと言わないでよ!」

イヴ「!」

ひなた「だから志保ちゃん、ちょっと落ち…「大丈夫、落ち着いてるわ」…むぅ」

志保「貴方……自分の言ったことがどういうことか分かってる?今、聞いた私がどう思ってるか分かるかしら?」

イヴ「いえ…」

志保「そうよね。分かってたらあんなこと言わないわ。『信じろ信じろ』なんて、無責任な……!」

ひなた(……志保ちゃん…)

イヴ「…………」

志保「私だって分かってるわよ!信じ続けるっていうのがどれだけ大事か、どれだけ難しいか!たったそれだけのことがどんなに必要なのか、実感しないことは無かったわ!私だって、私だって……!」

イヴ「…………」

ひなた「…………」



志保「……私だって、出来るならそうしたいわよ。子供みたいに、いつまでも自分を疑わないで、夢を信じ続けて……。でも……!」



イヴ「…………」

ひなた(……志保ちゃん…イヴさん…)

志保「……別に、貴方の言うことを全部否定するわけじゃありません。でも貴方が言うみたいに、盲目的に待ってるだけで貰えるプレゼントなんて私はごめんです」

イヴ「いえ~。盲目的でなくてもいいですよ~?ちゃんと待ってくれているなら、少しくらいは疑っていても『サンタさん』は来てくれるはずですから~」

志保「……そう、なんですか」

イヴ「はい♪」

志保「………………」

イヴ「…………」

ひなた「………………」



ひなた(うぅ…気まずいよぅ……!だ、誰かこの空気をどうにかしてくんないかなぁ…)

志保「…………」

イヴ「…………」

ひなた「………………」ソワソワ

志保「…………あの…」

イヴ「?」

ひなた「!!」

志保「その…さっきはすいませんでした。『サンタさん』の話なのにお父さんとごっちゃにしたり…」

イヴ「細かいことは気にしなくっていいですよぉ!志保さんの本音が聞けて、私は嬉しかったですよ~?」

志保「『嬉しい』ですか…?……優しいんですね、イヴさんって」

イヴ「へ?どうしてですか~?」

志保「だって、私が勝手に怒っただけなのにイヴさんは落ち着いて話を聞いてくれて……。あの、本っ当にすいませんでした…!」

イヴ「いいですってば~。こういうのは良いも悪いもないですよぉ~」

志保「あ、ありがとうございます…」



ひなた(……とりあえず、喧嘩にはならなくって良かったねぇ)

ブリッツェン「ブモッ」

イヴ「…さぁ、そろそろ行きましょうか~。ひなたやブリッツェンも寂しがっていますしね~」

ひなた「!そ、そんなこと……」

志保「あるでしょ?」

ひなた「ぐぅ…!し、志保ちゃん、あんまいじわるしないでよぅ……」

志保「ふふっ。…ひなた。貴方が行く前に少し、話しておきたいんだけど…」

ひなた「なぁに?」



イヴ(あら~?…ブリッツェ~ン。もう少し待っててくださいね~)

ブリッツェン(ブモッ)

志保「わ、私は別に…お父さんがいないから寂しいとか、そういうのとは少し違うというか……正直、自分でも整理は出来てないけど…」

ひなた「……そんで?」

志保「だからその……と、とにかく、勘違いだけはしないでね!さっき話したことで私に気を遣ったりとか、そんなことしたら許さないから!」

ひなた「うん。分かった」

志保「あと、事務所の皆にはこの話は内緒にしておいて。…一応、私の家族の問題だし」

ひなた「うん。あたしと志保ちゃんの、二人の秘密にしようねぇ」

志保「そういうこと。……それと、夜は寒いから、体を冷やさないように気をつけなさいよ。ひなたは大事な仲間だし……」

ひなた「うん。気ぃつける。心配してくれてありがとねぇ」

志保「うん…それだけ。お手伝い、ちゃんとやりなさいよ」

ひなた「うん!頑張るよぉ!」



イヴ(ブリッツェ~ン、見てますか~?あれが女の子達の友情……いえ、青春というやつですよぉ~!)

ブリッツェン「ブモ?」

イヴ「申し訳ないですけど、そろそろお別れの時間です~。ブリッツェ~ン!いいですかぁ~!?」

ブリッツェン「ブモッ!」

イヴ「よし♪……さ、ひなた。乗って!」

ひなた「んしょ…。志保ちゃん、またね!」

志保「あ……イ、イヴさん!最後に一つだけ!」

イヴ「はい~?」

志保「その、さっきはああ言いましたけど……私、やっぱりもう少しだけ信じてみます。…本物の『サンタさん』にも、会えましたし……」

イヴ「ありがとうございます~。貴方みたいに自分の考えを持てる良い子には、信じていればきっと『サンタさん』が来てくれると思いますよ♪」

志保「はい。今度はちゃんと待っているので、次のクリスマスに来てくださいね。……絶対ですよ?」

イヴ「はい!私の方も、また会える日を楽しみに待ってますからね☆」

志保「じゃあ……それまでさようなら、イヴさん!」

イヴ「ええ。また、次のクリスマスに☆」



ひなた(あの二人……仲良くなれたみたいで良かったね、トナカイさん!)

ブリッツェン「ブモッ!」


(シャン、シャン、シャン、シャン…)



イヴ「ふぅ~。ちょっとビックリしましたけど、分かってくれて良かったですぅ~」

ひなた「………………」

イヴ「ん~?どうしました~?」

ひなた「…な、イヴさん。『信じる』って、そんなに大事なことなのかい?」

イヴ「そりゃそうですよぉ!一度信じたものを信じ抜いて、1年間を精一杯頑張る。そういう『良い子』達に報いるために、私達サンタクロースがいるんですから~♪」

ひなた「ふぅん……。『サンタさん』って思ったよか厳しそうだけど、やっぱり優しいんだねぇ」

イヴ「優しさと厳しさは矛盾しませんよ~。……あ、見えてきました~!ひなた、あれが私達の住まわせてもらっている寮ですよ~」

ひなた「プレゼントを補充するんだね?」

イヴ「そうです~。ブリッツェ~ン、近くまで行ったら一度降ろしてくださいね~」

ブリッツェン「ブモッ」

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