かなみ「カズくん、いつまでフラフラするつもり?」カズマ「……」(125)

かなみ「ちゃんと働いてよ……このままじゃあ……」

カズマ「分かってるって。米も野菜もないんだろ?」

かなみ「違うよ……」

カズマ「今度、ちゃんと稼いでくるって」

かなみ「ほんとぉ?」

カズマ「マジだって」

かなみ「じゃあ、いいよ。ごはんにしよ?」

カズマ「おお!!腹減ってたんだよ!」

かなみ「はい、あーん」

カズマ「やめろよ!自分で食えるって!!」

かなみ「だーめ。カズくん、すぐ落とすし、手づかみで食べるし」

カズマ「別にそれぐらいいいだろ?」

かなみ「誰が掃除してると思ってるの?」

カズマ「……かなみだけど」

かなみ「じゃあ、あーん」

カズマ「それとこれとは……」

かなみ「いいから、食べるっ!」

カズマ「うぐ?!」

かなみ「美味しい?」

カズマ「あ、ああ……美味い」

かなみ「ずっと、食べたいぐらい?」

カズマ「ああ。そうだな。かなみの料理は飽きないな」

かなみ「じゃあ、ちゃんと働いてよ」

カズマ「関係ないだろ!?」

かなみ「あるよ!」

カズマ「はぁ?」

かなみ「ずっと食べたいんでしょ、あたしの手料理」

カズマ「まあ……」

かなみ「食べたくないの?」

カズマ「食べたいって!!」

かなみ「なら、働いて」

カズマ「ああ。そうか。食い物ないんだったな」

かなみ「そうじゃない!」

カズマ「な、なんだよ……」

かなみ「カズくん、全然分かってない!」

カズマ「何がだよ?!」

かなみ「いい?ずっと手料理を食べるってことは、ずっと一緒に住んでないとダメなんだよ?それは分かる?」

カズマ「なんとなく」

かなみ「ずっと一緒に住むってことは……」

カズマ「うん」

かなみ「その……」

カズマ「どうした?」

かなみ「だから……」

カズマ「あ?」

君島「おーい、カズマくーん!!」

かなみ「あ……」

カズマ「君島ぁ。上がってこいよ」

君島「はいよ。お、かなみちゃん、元気?」

かなみ「は、はい……元気です。飲み物、出しますね」

君島「ありがとー」

カズマ「仕事か?」

君島「おう。今回はいい額だぜ?―――にしても、お前いい生活してるよなぁ」

カズマ「どこがだよ。カツカツだっつーの」

君島「違うって。こんな美味い飯を出してくれる子と一つ屋根の下、いいじゃないの」

カズマ「はぁ?」

君島「カズマ。お前は世界でも有数の幸せ者であることを自覚したほうがいい」

カズマ「どういうことだ?」

君島「本当にわかんねーのか?ったく、ダメだぁ!このダメ人間」

カズマ「んだとぉ!?」

君島「可愛い可愛いかなみちゃんに、手料理作ってもらえて、出かけるときは「いってらっしゃい、カズくん♪」なんて言われて」

君島「帰ってきたら「おかえり、カズくん。ごはんにする?お風呂にする?それとも私?」って言ってもらえるんだろ?」

カズマ「それって普通じゃねえの?」

君島「はぁ?!ぜんっぜん、普通じゃねーよ!!なにいってやがる!!」

カズマ「なんだ、君島ぁ。お前、かなみと一緒に住みたいのか?」

君島「いいのか?」

カズマ「ダメだ」

君島「……」

かなみ「君島さん、おまたせ―――あれ?どうかしたんですか?」

君島「ありがとう、かなみちゃん。ところで、こんなボンクラより、俺に乗り換えない?」

かなみ「え?」

カズマ「君島、喧嘩ならタダで買ってやるよ」

君島「ちょっと待てって。冗談!!冗談だから!!」

かなみ「カズくん、何の話?」

カズマ「なんでもねーよ」

かなみ「またそうやってはぐらかすぅ」

君島「ははっ、こいつは脳みそまで筋肉だから、上手いいい訳もできないんだよなぁ」

かなみ「はぁ……」

カズマ「おら、君島ぁ。とっとと用件だけ告げろぉ」

君島「はいはい。じゃあ、移動しながら話すとするか。かなみちゃん、カズマを拝借するから」

かなみ「え……でも、今日は……牧場に行くって……」

カズマ「悪いな。かなみ」

君島「いくぞ」

かなみ「もう……」

牧場

かなみ「カズくん、あたしと一緒に居たいって言ってるのに、全然真面目に働いてくれないし」

かなみ「もしかして……カズくん、ずっとあたしに働かせる気なのかなぁ?」

かなみ「それなら家事ぐらいしてほしいけど……」

かなみ「ううん。掃除だけでもいい……」

かなみ「いや、むしろ家に居てくれるだけでも……というか、抱きしめてくれるだけでも……いや、頭を撫でてくれるだけでも……」

かなみ「はぁ……」

「かなみちゃん、野菜切りすぎ!!」

かなみ「え!?あ、ご、ごめんなさい」

「どうしたの?珍しいねえ」

かなみ「少し、考えごとを」

「旦那のことかい?」

かなみ「カズくんはそういうのじゃないですから!!」

「誰もカズマのことだなんて言ってないけどぉ?」

かなみ「か、からかわないでください……」

荒野

カズマ「まだかぁ?」

君島「カズマよぉ」

カズマ「なんだぁ?」

君島「お前さ、かなみちゃんのことどう思ってるわけ?」

カズマ「どうって、別に」

君島「あの子の気持ちにも応えてやれよ?」

カズマ「だから、こうして稼いでるじゃねえか」

君島「……」

カズマ「なんだよ?」

君島「かなみちゃん、可哀相に。俺なら、いつでもぎゅって抱きしめてやるのに」

カズマ「君島ぁ」

君島「嘘だよ。俺、人妻には興味ねーから」

カズマ「人妻?なんの話だ?」

君島「ダメ人間」

カズマ宅

カズマ「かなみぃ」

かなみ「カズくーん!!」タタタッ

カズマ「戻ったぜ」

かなみ「おかえり。ご飯にする?お風呂にする?それともわた―――」

カズマ「飯!」

かなみ「……」

カズマ「かなみ?どうしたんだ?」

かなみ「カズくん、お仕事どうだったの?」

カズマ「そうだったな。はい、今日の報酬だ」

かなみ「……これだけぇ?」

カズマ「簡単な仕事だったんだよ」

かなみ「ねえ、そろそろ真面目に……」

カズマ「今度はちゃんと稼いでくるから!!」

かなみ「はいはい。絶対だよ?」

カズマ「ふー、食った食った。あんがと、かなみ」

かなみ「カズくん」

カズマ「どうした?」

かなみ「カズくんは……あたしの料理食べていたいんだよね?それで一緒に居たいんだよね?」

カズマ「まあ……なぁ……」

かなみ「はぁー……」

カズマ「かなみ?」

かなみ「なら……あのね……あの……」

カズマ「もったいぶらずに言えよ」

かなみ「……結婚は?!」

カズマ「え?」

かなみ「結婚はどうするのっ!!?カズくんっ!!」

カズマ「け、けっこん?」

かなみ「……うん……だって……一緒にいたいなら……」

カズマ「別にしなくてもいいだろ?そんなこと」

かなみ「しなくても……いい……?」

カズマ「このままでもいいだろ」

かなみ「……」

カズマ「さて、と……」

かなみ「カズくん!!こっちきて!!」

カズマ「な、なんだよ!?」

かなみ「いいから!!」

カズマ「えー?」

かなみ「……」ゴソゴソ

カズマ「なにやって―――これ……金か」

かなみ「あたし、カズくんと結婚するためにお金貯めてるんだよ?」

カズマ「……」

かなみ「カズくんなら結婚してくれるって信じてたから……」

カズマ「……」

かなみ「……しないの?」

カズマ「かなみ、俺はまだそんなこと考えられねえよ」

かなみ「どうして?!」

カズマ「どうしてって……なんか想像できなねえつーっか」

かなみ「カズくん……」

カズマ「悪いな」

かなみ「……」

カズマ「さーて、寝るか」

かなみ「そうなんだ……」

カズマ「え?」

かなみ「あたし、カズくんのこと勘違いしてたかも」

カズマ「かなみ?おい……」

かなみ「あたしのこと……どうでもいいんだ」

カズマ「何言って……」

かなみ「もういいよ……カズくんなんて、知らない」

カズマ「お、おい!!かなみ!!」

翌朝

カズマ「かなみぃ。朝飯は?」

かなみ「ふんっ」

カズマ「かなみ?おい」

かなみ「自分で用意したら?」

カズマ「何怒ってんだよ?」

かなみ「怒ってない」

カズマ「……」

君島「おはようございまーす」

カズマ「よお、君島ぁ」

かなみ「おはようございます」

君島「カズマ、ちょっと付き合えよ」

カズマ「おう。かなみ、行って来る」

かなみ「勝手にしたら」

君島「え……?かなみちゃん、どうしたの?」

かなみ「なんでもありません」

君島「うそうそ、かなみちゃん、なんかすっごく怖いけど?」

かなみ「……」

カズマ「かなみ、いい加減に……」

君島「こら、カズマ!!こっちこい!!」

カズマ「な、なんだよ?」

君島「どうした?夫婦喧嘩かぁ?」

カズマ「そんなんじゃねーよ」

君島「何があった、言ってみろよ」

カズマ「様子が変になったのは、昨日の夜だな」

君島「ほうほう」

カズマ「で、かなみが結婚しないのかって聞いてきて」

君島「なんだとぉ?!」ドゴォ!!

カズマ「ごほ?!き、君島ぁ!!!なにしや―――」

君島「その幸せを1/10でいいから俺にわけろぉ!!」

カズマ「意味わかんねーんだよ!!」

君島「それで、なんて答えたんだよ!!ハッピーアルター使いさん!!」

カズマ「別にしなくてもいいだろって」

君島「お……おま……」

カズマ「だってよぉ。結婚ってあれだろ?小難しい書類とか沢山書かなきゃダメなんだろ?メンドくせーし」

君島「おま……おま……」

カズマ「それに今の生活と何もかわんねーと思うし、しなくても―――」

君島「屑野郎!!」ドゴォ!!!

カズマ「がはっ?!」

君島「カズマぁ!!てめーは最低だ!!ダメ人間だ!!屑と鈍間と甲斐性ないも加えてやるよ!!」

カズマ「いい加減にしろよ、こらぁ……!!」

君島「今日はいい。俺は一人で行く」

カズマ「あ、おい」

君島「今日一日、おめーはかなみちゃんと一緒にいろ!!それでよく考えろ!!このやろう!!」

カズマ「このやろうとはなんだよ!!君島ぁ!!」

カズマ「ったく……」

かなみ「さーてと、牧場行かなきゃ」

カズマ「……」

かなみ「……一緒に行く?」

カズマ「どうすっかなぁ……」

かなみ「君島さんを追いかけたら?」

カズマ「待てよ!かなみ!!」

かなみ「しらなーい」

カズマ「……」

かなみ「カズくんのこと嫌い」

カズマ「わかった!一緒に行く!!行くから!!」

かなみ「じゃあ、ついて来て」

カズマ「はいはい……」

かなみ「これぐらいじゃ、許さないからね」

カズマ「なんでそんなに怒ってたんだよぉ……」

荒野

劉鳳「目撃情報に間違いはないな?」

シェリス「うん。この付近で昨日、見かけたって」

劉鳳「……」

シェリス「いこっ」

劉鳳「ああ」


君島「ありゃあ、ホーリー……」

君島「もしかしてカズマを探してんのか」

君島「まずいな……カズマに知らせないと」

君島「いや、知らせたら―――」


カズマ『来たか!!喧嘩だぁ!!!』

かなみ『カズくん!!どこいくの?!―――もう離婚するっ!!』


君島「って、なるか……」

君島「どうしよう……」

牧場

カズマ「あー!!はたらいたぁー!!」

カズマ「そして、腹へったぁ」

かなみ「……」

カズマ「かなみ?!昼飯は?!」

かなみ「……これ」

カズマ「お!さっすが、かなみ!」

かなみ「……」

カズマ「うん。うまいうまい」

かなみ「カズくん。あたしと結婚してくれないの?」

カズマ「してもしなくても一緒だろ?」

かなみ「はぁ……どうして……あたし、カズくんを選んじゃったんだろう……」

カズマ「かなみも食えよ、ほら」

かなみ「もういい!お昼もがんばってね!!」

カズマ「かなみ?!―――なんだよ、まだ怒ってんのか……?」

カズマ「ふー、食った。さてと、午後も働きますかぁ」

君島「カズマくぅーん」

カズマ「君島?どうしたんだよ?俺は今、労働をして気持ちのいい汗を流しているところだ。てめーみたいなチンピラと話をする暇は―――」

君島「ホーリーが来た」

カズマ「……なに?」

君島「お前を探してるっぽい」

カズマ「おっもしれぇ。喧嘩かぁ!?喧嘩だぁ!!!」

君島「まて!!まてよ!!」

カズマ「んだよ、君島ぁ」

君島「俺はな、お前に注意しに来ただけじゃない。止めにも来たんだよ」

カズマ「はぁ?」

君島「俺との約束、覚えてるよなぁ?かなみちゃんと1日一緒にいるって」

カズマ「知るかよ。ホーリーの野郎たちは放っておけねえだろ」

君島「確かにそうだが。でも、今日はダメだ。お前はかなみちゃんといるべきだ」

カズマ「そんなことできるか。あいつらを野放しにしてたら、かなみだってあぶねえんだぞ」

君島「それでもだ!!殴りにいくのは明日でもいいだろう?!」

カズマ「そんな悠長なこといってられっかよ」

君島「お前がここで仕事から抜け出したら、もう飯も風呂も夜の時間も用意してくれないかもしれないんだぞ?!いいのか?!」

カズマ「それは困るけど」

君島「だろ?!殴りにいくのは明日、明日にするべきだ」

カズマ「あいつ等が襲ってきたらどうする?」

君島「そのときは遠慮なくしたらいいと思うけどさ」

カズマ「わかったよ。向こうが仕掛けてこない限りは俺は何もしねえ。ここで真面目に働く。これでいいか?」

君島「あー!いいねえ。カズマぁ。狂犬でも好きな相手のためだったら理性的に考えられるんだな。感心、感心」

カズマ「おちょくってるなら、そういえ……」

君島「暴力はやめよーね」

カズマ「ふんっ」

君島(これでカズマが暴走する可能性は減ったな)

君島(あとはホーリーが何もしないことを祈るしかねえなぁ)

カズマ(喧嘩売って来い、ホーリー!!すぐにぶっ飛ばしにいってやっからよぉ!!)

夕方

カズマ「……」キョロキョロ

かなみ「お疲れ様でした」

「今日は珍しく、亭主と帰れるね」

かなみ「そ、そういうのじゃないですから」

カズマ「帰るぞ」

かなみ「命令しないでよ。あたし、まだ怒ってるんだからね!!」

カズマ(ホーリーの野郎共、何もしてこねえ……くそ……!!)

かなみ「ねえ、カズくん。今日みたいにいつも真面目に働いてくれるなら、いいんだけど」

カズマ「……」

かなみ「あのね。あたしも無理やりカズくんに結婚とか押し付けたのは悪かったなぁって思ったの」

カズマ(どこだ……どっからで掛かって来い……)

かなみ「だから、あの……カズくんがこうしてずっとあたしの傍に居てくれるなら……結婚はしなくても……」

カズマ「え?なんだ?なんか言ったか?」

かなみ「もう!!カズくん!!」

荒野

劉鳳「絶影!!」

「ぐはぁ!?」

劉鳳「言え!!カズマという男はどこにいる!!」

「し、しらねえ……」

劉鳳「……ふんっ!!」

「がはぁ!?」

劉鳳「いいか?罪とは死ぬことで償えるものではない!苦痛を甘受し、己に許しを請うことこそが償いだ」

「ぐぐ……」

劉鳳「殺しはしない。だが、死を望むほどの苦しみは味わいたくあるまい?」

シェリス「ちょっと、劉鳳、それは……」

劉鳳「さあ、言え!!カズマの居場所を!!」

「わ、わかった……言う……から……」

劉鳳「よし……」

シェリス「劉鳳……」

カズマ宅

かなみ「はぁ……」

カズマ「飯にしてくれよ、かなみ」

かなみ「いや」

カズマ「なんでだよ?!」

かなみ「あたし、カズくんのこと、大嫌いだもん」

カズマ「おい。いい加減、機嫌直せよ」

かなみ「なおさない」

カズマ「こっちは腹へってんだからさぁ」

かなみ「しりませんっ」

カズマ「どうしたら許してくれるんだ?結婚か?」

かなみ「もういいよ。カズくん、何も分かってないし、あたしの話聞いてくれないし」

カズマ「かなみぃ……」

かなみ「カズくん、おかわり禁止だからね!」

カズマ「そりゃねえだろ?!」

シェリス「えーと……ここね」

劉鳳「ここか」

シェリス「絶影はダメ」

劉鳳「シェリス、何を……」

シェリス「もし全くの別人が住んでいたら、大変でしょ?」

劉鳳「……分かっている」

シェリス「わかってなかったでしょ」

劉鳳「とりあえず中の様子を探るか」

シェリス「うん」

劉鳳(カズマ……ここにいろ……俺が必ず……)

シェリス「あ、誰かいるよ」

劉鳳「……」

シェリス「あれは……」

劉鳳「間違いない、カズマ……!!」

シェリス「ちょっと待って、女の子もいる」

カズマ「……」

かなみ「はい、ごちそうさま?」

カズマ「おかわり、ダメなのかよ?」

かなみ「だーめ。食費も節約しないと」

カズマ「アレだけ貯めてるなら少しぐらい使っても―――」

かなみ「カズくん!!」

カズマ「な、なんだ?」

かなみ「どうして……そんな悲しいことを言うの……?」

カズマ「え……か、かなみ……」

かなみ「あれ……結婚資金なんだよ……?」

カズマ「だから……」

かなみ「どうして、あたしとカズくんの結婚資金なのに、使えばいいとか言えるの……?」

カズマ「かなみ……」


シェリス「け、結婚……?!あんな小さな子と!?うそでしょ?!無法地帯にも程があるって!!」

劉鳳「カズマ……」

かなみ「……」

カズマ「悪かった……」

かなみ「何が悪いか分かってるの?」

カズマ「……実はあんまり」

かなみ「……はぁ……」

カズマ「とりあえず、えっと……」

かなみ「分かった。明日、あのお金で米と野菜、これでもかってぐらい買ってくる」

カズマ「お、おい」

かなみ「それじゃあ、片づけするから」

カズマ「かなみ、待てって。何が悪いんだよ」

かなみ「自分で考えて」

カズマ「そんなこ―――」

カズマ「誰だ……そこにいやがるのは……」

シェリス「あ、バレた」

劉鳳「ふっ……ならばもう、様子を伺う必要もあるまい」

カズマ「てめえは劉鳳!!」

劉鳳「カズマ……」

カズマ「そうか……そうか。お前だったのか……」

かなみ「カズくん、何を―――だ、誰ですか?」

劉鳳「絶影!!」

かなみ「アルター……」

カズマ「てめえ!!ここを壊す気かよ!!」

劉鳳「罪人に容赦はしない」

カズマ「かなみ!!ここにいろ!!」

かなみ「カズくん!!危ないよ!!」

カズマ「劉鳳!!!ここでぶっ飛ばしてやるぜぇぇ!!!」

劉鳳「こい!!カズマァァァァ!!!!」

かなみ「カズくん!!!やめて!!」

カズマ「すぐに戻ってくっから」

かなみ「行かないで!!」

カズマ「ここまで来てくれてありがとよ」

劉鳳「好きで来たわけではない」

カズマ「続きができるなら、まあ、どうでもいいか。さあ、やろうぜぇ!!」

カズマ「はぁぁぁぁ!!!」

劉鳳「カズマ!!」

カズマ「なんだよ!!」

劉鳳「先ほどの会話を聞かせてもらった」

カズマ「はぁ?」

劉鳳「貴様、あの少女とどういう関係だ?」

カズマ「てめえには関係ねえだろ」

劉鳳「いや、ある」

カズマ「てめえ、かなみに手を出す気か……?」

劉鳳「違う。この無法地帯で持ち出す話でもないがな……。カズマ!!貴様は新たな罪を犯そうとしてる!!」

カズマ「なんだよ。言ってみろよ」

劉鳳「……児童ポルノ法だ」

カズマ「ポル……?なんだって?」

劉鳳「児童ポルノ法違反だ」

カズマ「なんだよ、それ」

シェリス「小さい子に買春させたりすること」

カズマ「なんだそりゃあ、全然しらねえ!!」

劉鳳「無知は罪だ。知らなかったでは済まされない」

カズマ「はぁ?!」

劉鳳「貴様!!年齢は!!」

かなみ「8歳ですけど」

劉鳳「8歳……8歳……だと?」

カズマ「それがどうした?」

劉鳳「見損なったぞ!!カズマァァァァ!!!!絶影!!!」

カズマ「やるかぁ?!―――衝撃のファースト・ブリットぉぉぉ!!!」

劉鳳「このロリコンがぁぁ!!!」

カズマ「ロリコンってなんだよぉぉ!!!」

劉鳳「くっ!!」

カズマ「つっ……!!」

シェリス「ねえねえ、あの人に変なこととかされてない?」

かなみ「変なこと……?いえ、別にないと思いますけど」

シェリス「劉鳳!!この子、知識がないみたい!!」

劉鳳「なんだと?……いや、なるほどな。小児性愛者としては当然だ」

カズマ「何がいいてぇんだよ?」

劉鳳「疎く無垢な子を選び、好き放題しているということだろう?」

カズマ「好き放題?別にしてねえよ」

劉鳳「では問おうか、カズマ。あの少女との共同生活を、詳しくな」

カズマ「はぁ?言う訳ねえだろうがよぉ!!こっちは殴り合いをしにきたんだぜ!?」

劉鳳「事情が変わった。少女との赤裸々な生活を教えろ!!」

カズマ「知りたかったら、てめえの拳で聞き出してみやがれってんだよぉ!!!」

劉鳳「この!!羨ましい奴っ!!!」

カズマ「おらぁぁぁ!!!」

シェリス「えーと……名前は?」

かなみ「由詑かなみですけど」

シェリス「あの人と一緒にお風呂に入ったりしたことある?」

かなみ「ええ……なんどか……」

シェリス「劉鳳!!混浴経験あるってー」

劉鳳「カズマァァァ!!!!それでも……男かぁぁ!!!プライドはないのかぁ!!!」

カズマ「プライドだぁ!?」

劉鳳「やはり手を出していたようだな!!これはもう第一級性犯罪者だ!!」

カズマ「なんとでも言いやがれ!!」

劉鳳「ロリコンがぁ開き直るなぁぁ!!!―――剛なる右拳・伏龍!!!」

カズマ「このぉ!?―――撃滅のセカンド・ブリットぉぉぉ!!!」

劉鳳「お風呂で何をしたぁぁ!!!」

カズマ「普通に背中を流しただけだ!!!」

劉鳳「羨望せざるをえない!!!―――カズマァァァ!!お前のようなのがいるから!!!少女の涙が耐えない!!そのことを自覚しているのかぁ!!」

カズマ「しるかよぉ!!俺はかなみを泣かせたりしねぇ!!」

シェリス「何か強要されたりしたことない?」

かなみ「強要……?いえ……」

シェリス「裸になれーとか言われなかった?」

かなみ「ないです。カズくんはそんなことしませんから」

シェリス「じゃあ、あの人の前で裸になったことはある?入浴以外で」

かなみ「無いです」

シェリス「トイレを覗かれたりとかは?」

かなみ「あ、ありません!!カズくんをなんだと思っているんですか?!」

シェリス「一緒に寝たことは?」

かなみ「それは……ありますけど」

シェリス「劉鳳ー、一緒に寝たことあるってー」

劉鳳「うおぉぉぉぉぉ!!!!カズマァァァ!!!!」

カズマ「劉鳳ぉぉぉぉ!!!」

劉鳳「貴様がいるから!!!俺が幸せになれない!!」

カズマ「てめえがいるから!!俺たちが苦労するんだよぉ!!!」

劉鳳「カズマ……あの少女は我々が保護する」

カズマ「なんだと……」

劉鳳「当然だ。この町にあのような可憐な少女は危険すぎる」

カズマ「俺がかなみを守る!!てめえらは邪魔だ!!」

劉鳳「守る?何を言ってる。貴様が一番の害悪だ!!」

カズマ「ふざけんなぁ!!かなみにとってはなぁ、てめえらのほうが害になる!!」

劉鳳「彼女はまだ善悪の区別がついていない。勝手な価値観を押し付けるな!!このロリコンめ!!」

カズマ「だまれよぉ……俺にはかなみが必要なんだよ……」

かなみ「カズくん……」

劉鳳「変態発言が出たか。カズマ!!貴様は生きていてはいけない!!この世界で最も不要な存在だ!!」

カズマ「そのロリコンってなんだよ?!あぁ!?」

劉鳳「貴様のように小さな女の子に欲情する異常者だ」

カズマ「……え?」

劉鳳「そう。お前はアルター犯罪者であると同時にロリコン犯罪者だった!!恥ずかしい奴だ!!」

カズマ「おいおい。劉鳳、それマジか?」

劉鳳「ようやく、自身の愚かしさに気がついたか」

カズマ「じゃあ、俺は確かに犯罪者だな」

劉鳳「なに?」

かなみ「カズくん……?」

カズマ「だってよ……かなみを誰にも渡したくねえし、一緒に住んでるだけで嬉しいし……」

シェリス「な……」

カズマ「あいつの手料理食ったとき、今日も生きててよかったって心の底から思えるからなぁ!!」

劉鳳「ついにその変態性を吐露したかぁ!!この犯罪者めぇぇぇ!!!」

カズマ「犯罪者上等!!こっちはかなみがいなくなったら困るんだよぉぉ!!!」

かなみ「カズくん……!!」

劉鳳「お前はあの少女を愛していると嘯くか?!性の捌け口としてしか見ていないのだろう?!」

カズマ「はぁ?!はけぐちってどういう意味だよぉ!!俺はなぁ!!!かなみが居てくれたらそれだけで十分なんだよぉぉ!!!」

劉鳳「詭弁をぉぉ!!!―――剛なる左拳・臥龍!!」

かなみ「カズくん、がんばれっ!」

カズマ「これが俺の想いだぁ!!劉鳳ぉ!!!―――抹殺のラスト・ブリットぉぉ!!!」

劉鳳「無駄だ!!ロリコンの拳など、届きはしない!!」

カズマ「うあぁぁぁ!!!!」

劉鳳「大人しく少女を俺にわたせぇ!!カズマァァァ!!!」

カズマ「ふざけんじゃねぇぇぇ……!!!!」

劉鳳「なに?!」

カズマ「もっとだ!もっと!もっとぉ!もっと、輝けぇぇぇ!!!!」

劉鳳「それは……?!」

シェリス「劉鳳!!逃げて!!」

劉鳳「この輝きは……カズマ……貴様は……ロリコンの限界を超えたのか……!!」

カズマ「劉鳳!!俺のかなみは絶対にわたさねぇぇぇ!!!―――シェルブリットぉぉぉぉ!!!!」

劉鳳「カズマァァァァ!!!!お前さえ居なければぁぁ!!!」

カズマ「劉鳳ぉぉぉ!!!!てめえさえ居なくなればぁぁぁ!!!!」

シェリス「劉鳳ー!!」

かなみ「カズくん!!」

カズマ「はぁ……はぁ……はぁ……」

劉鳳「はぁ……はぁ……カズマ……」

カズマ「なんだよ……まだ……やるかぁ……?」

劉鳳「おまえなら……きっと……あの、子をしあ……わせ……に―――」バタッ

シェリス「劉鳳!!大丈夫!?」

カズマ「おい、お前もやんのか?」

シェリス「劉鳳!」

劉鳳「撤退だ……」

シェリス「うん」

カズマ「なんだ、逃げるのよ。面白くねえ」

かなみ「カズくん!!カズくーん!!」タタタッ

カズマ「かなみ。悪かったな。俺がアルター使いだって黙ってて」

かなみ「そんなのどうでもいい」

カズマ「いいのか?」

かなみ「それよりも、さっきの言葉……本当だよね?ね?カズくんっ」

カズマ「な、なんのことだよ?」

かなみ「……一緒にいれたらいいとか……」

カズマ「覚えてねえな」

かなみ「居てくれるだけで十分とか……」

カズマ「興奮してて、忘れちまった」

かなみ「俺のかなみは……誰にも……渡さない……とか……」

カズマ「だから何言ったか覚えてねえって」

かなみ「こたえて……」

カズマ「……」

かなみ「カズくん……」

カズマ「ああ、そうだよ。全部、本心。かなみが居てくれないと、その……困るからなっ。色々と」

かなみ「カズくーん!!」ギュッ

カズマ「お、おい!!かなみ!!離れろよ!?」

かなみ「あたしもカズくんのこと大好き!!」

カズマ「しらねえよ!!」

カズマ宅

かなみ「カズくん、今更だけど……おかわりいる?」

カズマ「いいのか?」

かなみ「特別だよ?」

カズマ「ありがとよ、かなみ」

かなみ「うん……」

カズマ「で、やっぱり結婚ってしたほうがいいのか?」

かなみ「ううん……もういいよ」

カズマ「かなみ、まだ怒ってるのかよ」

かなみ「違う違う。もう怒ってない。むしろ……幸せだから」

カズマ「なんで?」

かなみ「カズくんと一緒にいれるだけで……幸せ……」

カズマ「……そうか」

かなみ「ずっと傍にいてね、カズくん?」

カズマ「はいはい」

翌日

君島(昨日、何かあったらしいけど、カズマのやつ怪我とかしてねえだろうな)

君島「カズ―――」

かなみ「カズくん、あーん」

カズマ「一人で食えるって」

かなみ「ダメ。あたしがしたいの」

カズマ「おいおい……勘弁してくれよ……」

かなみ「あーん」

カズマ「あ、あーん……」

かなみ「美味しい?」

カズマ「かなみの手料理がまずくなるわけないだろ?」

かなみ「ふふ……カズくん、はい、あーん」

カズマ「もういいって!!」

かなみ「だめ」

君島(はぁ……お幸せに……。俺も可愛い女の子と一緒に住みたいなぁ……かなみちゃんみたいな子、どっかにいないかなぁ……)

HOLD 研究室

劉鳳「……」ペラッ

水守「劉鳳は何を……?」

シェリス「自分の中にあるロリコン魂を燃やせば、アルター能力が上がるっていって、ずっと変な雑誌読んでるの」

水守「雑誌……?」

劉鳳(待っていろ、カズマ。必ず俺も貴様が踏み入れた領域に行ってみせる)

劉鳳(このComicLOの力で……)

水守「劉鳳……」

クーガー「ロリは文化ですよ、みのりさん」

水守「みもりです。それより、文化って……」

クーガー「ん~俺はこう思ってるんです。ロリとは速さの極みだと。大人になってしまうとどんなに魅力的でも、衰えている。なら産まれてから日が浅い内に自分が興味があることを即座に伝えたほうがいい。速さは力です」

      「成長してしまう前に、好きな女性には好きと言う、相手に自分を知ってもらうことから人間関係は成立するのですから。時には厳しい現実を突き付けられることもあるでしょう」

      「しかし!!そこを逃すと次の出会いは来世になってしまう!!とね」

水守「……」

シェリス「ひく……」

カズマ宅

かなみ「カズくん!ほら、牧場にいこっ」

カズマ「わかってるよ」

かなみ「別にもう真面目に働かなくてもいいけど、今日のご飯代ぐらいは稼がないと」

カズマ「そうだな」ナデナデ

かなみ「カズくん?!」

カズマ「なんだよ、頭を撫でただけだろ?」

かなみ「……もう一回して」

カズマ「別にいいけど」ナデナデ

かなみ「カズくぅん」

カズマ「ほら、行こうぜ」

かなみ「うん!カズくん!」

カズマ「あー、今日もいい天気だねぇ、全く」

かなみ「大好きだよ、カズくんっ」


END

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