アリス「きんいろモザイク」陽子「短編集Part2!」 (55)

①忍「私がアリスに目薬さしたら二階から目薬みたいですね」アリス「ひどいっ!?」


綾「(やっぱり教室は廊下と違って温かいわね)」ガララ

陽子「おっ、やっと帰ってきた」

綾「ちょっ、陽子。何で私の席に座ってるのよっ!」

陽子「綾お嬢様のために暖めておきました」キリッ

綾「な、何言ってるのよバカァ!」ベシッ

陽子「だから痛ぇって! ノーモーションでいきなり叩いてくるの止めてくれませんかねぇ!?」

綾「ご、ごめんなさいっ。つい癖で……」

陽子「(あのパンチが……癖?)」

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1387447403

綾「と、とりあえず座りたいんだけど」

陽子「ああ悪い悪い、今どく」ガタッ

綾「……それで、何で陽子がここにいるの? 朝のHR始まるわよ?」スッ

陽子「それがさぁ、なーんか朝から目がショボショボするんだよ」

綾「寝不足じゃないの?(あっ、椅子にほのかな温もりが……)」

陽子「そうかなぁ……? んでさ、お母さんに目薬借りてきたんだ。ほらこれ」

綾「薬局とかで売ってる低刺激タイプの目薬……よね。これと私に何か関係があるの?

(陽子の体温が椅子を通して私に……って何を考えているの私!? これじゃまるで変態じゃない!)」

陽子「いやぁ私あんまりこういうのやったことないからさ、お恥ずかしながらなかなか目に入らなくって……。

カレンとかしのだと目に突き刺してきそうで危ないし、アリスはなんか私の目まで手届かなそうだからさ――」

綾「(いや、流石にそれは届くんじゃないかしら……?)」


陽子「――目薬さしてくれない?」


綾「……は?」

陽子「だから、この目薬私にさしてくれない?」

綾「……え? なんだって?」

陽子「いやいや聞こえてるだろどう見ても! 何でいきなり難聴になるんだよ!?」

綾「…………(え、ええええええええええ!? えっ、何っ? ナニゴト!? 私が陽子に目薬をさす?

ナ、ナニソレイミワカンナイ。……そ、そんなことしたら陽子と私が密着して……して…………ふぁああああああああああっっっっっ///)」

陽子「無視かい」

綾「(お、おおお落ち着くのよ私……心を平静にして考えるの……こんな時どうするか……1…2 3……7……

『素数』を数えて落ち着くの……『素数』は1と自分の数でしか割ることのできない孤独な数j――)」

綾「……って『1』は素数じゃなああああああああいっ!」

陽子「お、おう。……いきなりどうした?」

綾「何でもないわ」

陽子「え、でも今素数って聞こえ――」

綾「何でもないわ」

陽子「…………。……じゃ、じゃあそういう事で目薬よろしく。私座った方がいい?」

綾「え、ええ……。私の椅子使っていいわよ(陽子に目薬……陽子に目薬……)」ガタッ

陽子「ありがと。これだったらさっき座ったままでもよかったなー」スッ

綾「そ、そうね。じゃ、じゃじゃじゃじゃあ始めるわよっ」

陽子「ん」

綾「(……や、やっぱり近いっ。上を向きながら無防備な状態で陽子が私の目薬を待ってる……私を待ってる…………うぅ///)」

陽子「……まだ? 首痛いんだけど」

綾「ちょっと今集中してるから待っててっ!(近い近い近い地下一階ちかいちかいチカイチカイっっっっ!!!!)」プルプル

陽子「あっすんません。ところでさ……」

綾「なっ、何よ。それってこの状況で言わなきゃいけない話なの……っ!?(緊張して……手が震えて……なかなか狙いが定まらない……!)」

陽子「綾って体温高いよね。なんか椅子が温か――」

綾「ひゃあっ!」ポタッ

陽子「うわっ、冷たっ!」


アリス「きんいろモザイク短編集!」

カレン「はっじまりマースっ!」

・設定は2年生の冬

・メタなネタ多め。気にしたら負け

・Part1はあるけど忘れて→ 忍「きんいろモザイク」カレン「短編集デース!」

・もちろん1と繋がりもないから忘れて

・それとBD&DVD、原作買って

②アリス「私が結婚可能年齢に達していないと思っている人、速やかに挙手」


A組


陽子「そういえばさぁ、私達もう16だから原チャって乗れるんだよね?」

綾「原付のこと? ええ乗れるは乗れるけど免許は取らないとダメよ?」

陽子「そのくらい分かってるって。それでさ、ひとつ気になったんだけどイギリスにも原チャってあるの?」

カレン「Motorcycle? スクーターならいっぱいありますヨ?

世界で初めてサドル付スクーターを発売したのはイギリスのABC社デス。日本の発明品じゃありまセン、我が国のオリジナルデス」

綾「……オリジナル?」

陽子「何歳から乗れるの?」

カレン「えっと……たしか日本と同じで16歳からだったと思いマス。

フランスとかだと14歳から乗れたりしマスガ、イギリスはちょっと法律厳しいデスネ」

綾「お酒は?」


カレン「5歳くらいですかネ。友達には3歳から飲んでる子もいまシタ」


陽子「法律ゆっるゆるじゃねえか!」

カレン「いえ、公共の場で飲めるのは親と同伴であれば16歳。酒類の購入は地方にもよりますが

18歳以上が基本デス。ただそれをみんな守ってないだけデスネ」

陽子「ダメじゃんそれ」

綾「カレンはワインとか飲んだことあるの?」

カレン「一応あるにはあるんデスが……私にはまだ早かったみたいデス。一口飲んでスグ止めちゃいまシタ。

何と言えばいいのでショウ、アノ言葉では言い表せない感覚。あれが大人の味というやつなのでショウカ……?」

陽子「分かる! お正月の甘酒もいっぱい飲むと胸の辺りがポワポワするっていうか、なんか変な感じになるよな!」

綾「一応甘酒はアルコール飲料じゃないんだけどね……」

陽子「細かいことは気にしない気にしない」

カレン「そう言えばアリスはどうなんでしょうカ……? 私聞いたことないデス」

陽子「おっ、確かに気になるなあ! あのちみっこいアリスがワインとか飲んでるところ想像できないけど」

綾「というかまず絵面(えずら)からしてアウトな気がするわ……」

忍「呼ばれた気がしたので連れてきました」シュタッ

アリス「えっ!? なんで私A組にワープしてるのシノ!? 今C組にいたよね!? いたよねぇ!?」

陽子「どっから出てきた!?」

カレン「(やっぱりシノは絶対ニンジャの『まつえー』なのデス)」

綾「カレン、何を考えているのか大体分かるけど多分違うと思うわ」




アリス「……わ、私もお酒は飲んだことないよ。マムにも言われてたし」

陽子「何て?」

アリス「『お酒は大人の飲み物だから子供が飲むと体が大人になったと勘違いして成長しなくなるわよ』って。

だから私背が高くなるまで絶対お酒は飲まないんだぁ」

綾「そ、そう(その言いつけを守ってたらアリスは多分一生お酒飲めないんじゃないのかしら……?)」

忍「ところでなんでこんな話になったのですか?」

カレン「ヨーコがスクーターに乗りたいって言ってたんデスヨ」

陽子「や、別に乗りたいとまでは言って無いけどな」

忍「陽子ちゃんはスクーターよりもっと大きなバイクが似合いそうですね」

陽子「そうだなぁ、確かに50㏄とかは小っちゃくてなんかダサいって感じするけど――」

忍「ナナハンとかどうですか?」

陽子「でかいよ! 私そんなの乗れないよ!」

忍「大丈夫ですよ。陽子ちゃんいつも鍛えてますし」

陽子「脚だけな!?」

綾「……陽子がバイク……カッコイイ……後ろに乗りたい……」ボソボソ

カレン「アヤどうかしましたカ?」

綾「べっ、別にどうもしないわっ。ハーレーのバイクに乗って私を後ろに乗せて守りつつ

ショットガンを撃ちながら未来から来た液体金属の刺客を倒す陽子がいたらカッコイイなぁ……なんて思ってないんだからねっ!」

陽子「それだと私機械じゃね!?」

忍「ところでアリス、原付つながりで前から聞いてみたかったんですが、自転車乗ってる時地面に足とどきます?」

アリス「ひどいっ!?」

③忍「百合っていいですよねぇ(花の方)」綾「ファッ!?(ガチな方)」


ピピピピッ ピピピピッ ピピピピッ ……バンッ

陽子「……う、うぅ。朝かぁ……」

陽子「……眠い。寒い。もうちょっと寝たい……」

陽子「ふぁああっ……あと5分だけ…………Zzz」

ガラッ

綾「陽子、朝よ! 起きなさい! 学校遅刻するわっ!」

陽子「……あと5分だけだってばぁ…………って綾? なんで!? なんで私の部屋にいるの!?」

綾「いいから早く起きなさい! ほら、早く布団から出ないと私がひっぺがえすわよっ!」

陽子「ちょっ、冬にそれは大罪でしょ……。……わーったわーった! 今出るからちょっと待って、て…………Zzz」

綾「そいっ!」バサッ

陽子「うわあああ寒いっ! 寒いって綾っ! せめて一枚くらい掛布団残してよぉ! というかだから何で綾が私の部屋にいるんだよっ!?」

綾「……そう、そんなに寒いって言うなら別に布団以外でも温まる方法はあるわ」スッ

陽子「……へ?」

綾「全く、5分って言ったんだから5分だけよ? 朝は時間ないんだから……」ギュッ

陽子「……あ、あのぉ綾さん? な、何で私と一緒に布団に寝て私に抱きつかれておられるのでしょうか……?」

綾「決まってるでしょ? 当ててんのよ」

陽子「あんまし当たってないけどな。……ってだからどうしたんだよ綾! ここにいるのもそうだけどなんか変だぞ!?

悪いもんでも食べたのか!? いつものツンデレの代名詞、小路綾さんは何処に行っちゃったんだ!?」

綾「別にいつもと変わらないじゃない。寝ぼけているのかしら。目、覚めてる?」

陽子「え? ……あ、うん。もう大丈夫。……うわっ、結構時間ヤバかったな。

こりゃあと5分本当に寝てたら遅刻だったかも。起こしてくれてありがとな綾…………綾?」

綾「ん? 何?」ギュゥゥ

陽子「や、あの……もう起きたんでそろそろ離れていいですよ? 遅刻しますし……」

綾「5分」

陽子「……え?」

綾「5分間よ。陽子がそうしろって言ったんじゃない」ギュゥゥゥ

陽子「……いやいやだから、あと5分もここいたら遅刻するって。綾だって遅刻してクッシーちゃんに怒られたくないだろ?」

綾「別にいいわ、遅刻なんて。それより陽子といる方が好き///」

陽子「ちょっ、いきなり何言って/// ……ってだからどーしちゃったんだよ綾!

やっぱりなんかおかしいよ!? こんなのいつもの綾じゃない! ホントに昨日から何もないのか?」

綾「だからいつも通りって言ってるじゃない。それより陽子、今日は陽子のためにお弁当を作ったの。お昼に感想聞かせてね?

これからは毎日陽子の弁当頑張って作るから。『お義母さん』にもさっき言っておいたわ」

陽子「ほらぁ、やっぱ変だよ! 突然私のために毎日弁当作りだすなんて!

人格変わったみたいだぞ……。何か隠してるんだったら正直に言ってくれ。

こんな私でも力になれることがあるかもしれないからさ。お願いっ、何があったのか答えて! 些細な事でもいいから!」

綾「今日の陽子はしつこいわね。まあ、そういうところも好きなんだけどっ。

……些細な事でもいいって言うなら一つあったわ、今思い出した」

陽子「おう、何だ?」

綾「――――」




朝 A組


シノアリカレ『(綾ちゃん/アヤ/アヤヤ)が頭を打った(デス)!?』

陽子「見事に呼び方がバラバラだなおい……。んまあそういう事。綾のお母さんの話では昨日家の階段から転げ落ちたみたい」

アリス「大丈夫だったの?」

陽子「うん。血は出なかったみたいだし、綾が何ともないって言ったからお母さんも信じちゃったんだって」

忍「その結果が、これですか……」

綾「なぁに、しの?」ギュッ

忍「……え、えーっと綾ちゃん? 何でさっきからずっと陽子ちゃんに抱きつきっぱなしなのですか……?」

綾「失礼しちゃうわねしの。さっきからじゃなく、陽子の家からよ」

アリス「そういう事を聞いてるんじゃないと思うんだけど……」

陽子「アハ……ハ。こんな調子で家からずっと抱きつきっぱなしだから周りの視線が痛くて痛くて……」

綾「あら、私には祝福の眼差しにしか見えなかったわ」

アリス「な、何に対する祝福なのかなぁ?」

忍「多分頭を打って重症にならなかったお祝いですよ」

陽子「しのー、ちゃんと話についてこれてるかー?」

カレン「えーっと、つまり……」


カレン「二人は恋人同士ということデスね!」


陽子「ちげーよ!」  綾「そうよ!」

アリス「……恋人///」

忍「白い恋人? 私は美冬の方が好きですね。あのサクサクとしたミルフィーユの食感がいいんですよぉ」

陽子「しの、それはとぼけているのか? それともマジで言ってるのか……!?」

綾「ちょっと陽子! 今更照れる必要ないじゃない。全くここぞという時に陽子ったらシャイなんだから……。

でも、そういうところ私、嫌いじゃないわ///」

カレン「ほうほう、ヨーコはまだ恥ずかしがっているのデスか……。これは攻守逆転デスねぇ奥サン」

陽子「だーれが奥さんだ。っていうか何で皆綾の言った事信じるんだよ!?

さっきから言ってるけど、今の綾は綾であって綾じゃないんだぞ!」

カレン「だって面白いじゃないデスカ。アヤに振り回されるヨーコなんてソーソー見られまセン!」

忍「陽子ちゃん! お友達を信じないのは良くありませんよ! ……ってそうでした、陽子ちゃんと綾ちゃんはもう恋人同士なんでしたね。

失礼しました。そしてお幸せに。私は陽子ちゃんの幼馴染として、綾ちゃんの親友としていつまでも応援しますよっ」

陽子「ほらぁ! やっぱりしのも分かってんじゃん!」

綾「私達がアツアツなカップルだって事?」

陽子「そうだよ…………ってちげーよ!? そもそもが間違いだよ!?」

カレン「アハハハ! ヨーコがツッコミの嵐で大混乱デス! これは見物デスネ!」

陽子「誰のせいだ! 誰の!」

アリス「……シノと……恋人……イギリスなら同性婚も可……行ける……!」

陽子「アリスもこっちに戻ってこい!」




忍「それで、どうするんですかこの綾ちゃん(偽)は……? 見たところ私達に対しては昨日と同じ反応のようなのですが」

陽子「どうしようもないよ。とりあえず放課後病院に行くけど……今の綾の状態をどう説明したらいいんだか」

綾「だから陽子、病院なんて行く必要ないってさっきから言ってるでしょ? 問題なんて何もないのよ。

むしろ今の私の心は自分でも驚くほどすがすがしいわ。まるで何年も背負ってきた重荷が急に無くなったかのような、

そんな気分……。今なら、空だって飛べそう……天にだって昇れそう……」

忍「はわわっ、綾ちゃんが人格が戻った後に聞いたら悶絶確定なセリフを息を吐くかのように言っていますっ!

これは完全に黒歴史ですね、録画しておきましょう」●REC

陽子「しのが容赦ねぇ……」

アリス「でも病院に行っても行かなくても、その前に私達がアヤにできることはあるはずだよ!

皆で一緒に考えよう? 名付けてっ『アヤ(偽)を元に戻そう大作戦』っ!」

陽子「さっきまでどっか行っちゃってたの誰だったっけ……?」

カレン「元に戻すと言っても、具体的にナニをすればいいのでショウ?」

忍「うーん。やはり頭をぶつけてこうなったということですから、もう一度あやちゃんの頭をブッ叩くのが一番手っ取り早いでしょうかね?」

陽子「しのまでなんか人格変わってるように見えるのは私だけか……?」

アリス「シノ、そんなことしたらアヤが痛くてかわいそうだよぉ」

忍「叩いたらすぐ気絶するので大丈夫です、多分」

陽子「かわいそうで済むレベルじゃねえ!? っつか多分って、もうちょっと綾をいたわれよ!

ピンピンしてるように見えるけど一応これでも怪我人なんだぞ!?」

綾「陽子……そんなに私を心配して……ありがとっ」ニコッ

陽子「……///」

カレン「あっ、ヨーコが照れてマス」ニヤニヤ

陽子「うっ、うるさいカレン! カレンも何か考えろよっ!」

カレン「アヤを元に戻す方法デスか? だったら既に思いついてマス」

アリス「治療(物理)じゃなく?」

カレン「ハイ」

忍「殴らない方法……ですか?」

カレン「Yes yes」

忍「……そんな方法、本当にあるんですか?」

陽子「むしろなんでそれ以外思いつかないんだよ……」

カレン「簡単な事デス。このアヤ(偽)を元のアヤ(真)に治す方法はズバリ……」


カレン「ヨーコがアヤにKISSするのデスッ!」ビシッ


シノアリ『な、なんだってーっ!?』ピシャァァァッ

陽子「……いや、ホントになんでだよ。何で私と綾が、その……き、キスしたら元に戻るんだ?」

カレン「記憶を無くしたり人格が変わってしまった人は何か衝撃的な事が起こるとそのショックで元に戻るんデスヨ、前に漫画で読みマシタ」

陽子「漫画の話かよ」

カレン「ヨーコに関するアヤの記憶や人格を正常に戻すにはヨーコの直接的な『何か』が必要不可欠なのデス!

意外! それはヨーコからアヤへのキスッ! これで綾も元に戻る確率マジ1000%デス!」

陽子「何故1000%……?」

綾「カレンのその案いいわね、貰ったわ! やりましょう今すぐに!」ガタッ

陽子「なんで綾も乗り気なんだよ!?」

綾「当然でしょ? 皆まで言わせないでよっ。私達まだ恋人同士になってからきっ、キスしたことないんだからっ!

陽子だってしたいでしょ? ねぇしたいでしょ?」

陽子「いや別にしたくはないよ! つかまず恋人じゃないしっ!」

綾「そんな……陽子は私のこと、キライなの……? …………グスッ」

カレン「あー、センセーヨーコがアヤヤ泣かせましたデース」

陽子「えっ、ちょっ、べ、別に私悪いこと何も言ってないよな!? 間違ったこと言ってないよなぁ!?」

綾「うぅぅ……陽子の意地悪ぅ……」グスッ

カレン「うわー、これはマジでアウトデスネー。怪我人に更に精神的ダメージを加えるとは、実刑判決は免れまセン……」

陽子「何でだよ!? ……うっ、綾もそんな顔するなよ。別にただ事実を言っただけじゃないかぁ!

しのもアリスもなんか言ってくれよ……」

忍「親友でも許されないのに、恋人を泣かすなんて陽子ちゃんサイテーです! 今すぐ謝ってください! 録画しておきますから!」●REC

アリス「……シノが記憶喪失……しかたなくキス……ストーリーは……完、璧!」

陽子「うわっ、もうこの二人も駄目だぁ!」

綾「…………陽子ぉ」グスッ

カレン「ホラホラヨーコ、早くアヤを泣き止ませないと死刑デスヨ?」

陽子「重罪過ぎるだろ!? ……あー、綾?」

綾「……なぁに?」

陽子「そのぅ……さっきはごめんっ。私も悪気があって言った訳じゃないんだ。その……ちょっと動揺してて、さ」

綾「陽子は私のこと……嫌いじゃないの? ……好き?」

陽子「……あ、ああ。好きだよ…………友達としてだけど」ボソッ

綾「……じゃあキスしましょう、今スグ! それで私が元に戻るなら一石二鳥じゃない! さあ陽子! こっちを向いてっ!」ガタッ

陽子「立ち直り早っ!? って言うか綾のことは好きだけどだからキスするって事にはならないだろ!? なあ皆もそう思うよな? なぁ!?」

カレン「細かいこたぁいいんだよ、デス! どんな手を使おうが、最終的にアヤの人格が元に戻ればよかろうなのデェェェェェスッ!」

忍「ほら陽子ちゃんも! 一思いにやっちゃってください! ビデオカメラでバッチリ永久保存しますからっ! ほら早く!」●REC

アリス「はよ……はよ……」

陽子「なんで誰も私の味方してくれないんだよおおおおおおおおおおおっ!」

綾「んもう、そっちから来ないなら私から行くわよ……? ほら陽子、力を抜いて」スッ

陽子「え、ちょ、まっ、待てって綾っ。ほ、ほら他にも綾を元に戻す方法はいくらでもあるだろ?

それやってからでもいいじゃん。な? そうしようっ?」

綾「ダメよ。私は今、陽子とキスがしたいの。今じゃなきゃいけないのよ。……目、つぶって?」

陽子「ちっ、ちちち近いよあややややっ! 顔がっ、顔が近いってっ! 一回落ち着こう!

な? 落ち着こ……ってえっ、あっ、待って! まだ心の準備がっ! 待ってっ! 待ってええええええええええっ!?」


――チュッ




綾「ハラショ――――ッ!」ガバッ


綾「……ぇ?」

チュンチュン チュンチュン

綾「……へ?」

――アヤチャーン、ソロソロオキナイトチコクスルワヨー――

綾「……は?」

綾「……」

綾「…………」

綾「………………」


綾「夢オチぃいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいっ!?」

④忍「寒いですね……」


陽子「もう12月だしなぁ。……ってしの、スカートのチャック開いてるぞ」

忍「えっ!? ……うわっ、本当です! さっきから下半身に穴開けられたような感覚がしてましたが、まさかチャックが開いていたとは……」ジジジ

陽子「(穴開けられる感覚ってどんな感覚だよ)」

忍「うぅ、さっきトイレに行ったときに閉め忘れたんでしょうか。恥ずかしいです……」

陽子「ま、早めに分かってよかったじゃん。それで外出てたら危なかったぞ?」

忍「そうですね、ありがとうございます。……ところでさっきから気になっていたのですが、

陽子ちゃんのスカートもチャックが全開なんですけど、もしかしてそれって最近の流行りなんですか?」

陽子「んなわけあるか! っていうか気づいてたんだったら教えてくれよ! いつ気づいたんだ!?」ジジジ

忍「うーん、一時間目後の休み時間ですかね……? 陽子ちゃんがトイレから出てくるところを見た時です」

陽子「結構前じゃん! ホントなんで教えてくれないのさ! ウソだろぉ、さっきからすちゃんの手伝いで職員室まで行っちゃったよ……」

忍「陽子ちゃん、ドンマイっ☆」ニコッ

陽子「しのが教えてくれればこうはならなかったんだけどねえ!?」

忍「まあまあ過ぎ去ってしまったことはどうしようもありません。ここはポジティブにいきましょう。

……そう、逆に考えるんです。『(ファスナーを)開けちゃってもいいさ』と」

陽子「少しは恥じらえよ」

忍「ダメですか……? じゃあそうですねぇ、私も先ほどまでチャックが開いていたので陽子ちゃんと私は

『スカートのチャックが開いていても気が付かないドジっ子』という点でお揃いですね!」

アリス「(そんなお揃い嫌だ……)」

忍「……ん? ちょっと待ってください? 陽子ちゃんはともかく私が……ドジっ子?」

陽子「いやいやいや誰が見てもそうだろ!? っていうか私はともかくってどういう意味だ!」

綾「(お揃い……陽子とお揃い……)」ジジジ

カレン「アレ? 何の音デス?」

⑤陽子「綾が学校を休んで3日目」アリス「心配だよぉ」


陽子「あー、コーヒー牛乳うっめ……」ズコー

アリス「うわぁやっぱりイサミ綺麗……」ペラッ

忍「今月はちょっと暗色の服を着ていて大人な感じでカッコイイですねぇ」

ガラッ

カレン「大変大変大変大変タイヘンタイヘン、ヘンタイヨーコーっ!」

陽子「誰が変態だっ!?」

忍「――でも個人的にはお姉ちゃんにはもうちょっと華やかな色の服を着てほしいです」

陽子「……で? 何かあったのカレン?」ズコー

カレン「それが大変なんデスヨーコ! ア、アヤが! アヤがっ! “ひさ”――」

アリス「――うーん、私は“べつ”に“ブラック”でもいいと思うけどなぁ……」

陽子「」ブーッ

カレン「うわぁ! ヨーコが噴き出したデス!」

忍「大丈夫ですか陽子ちゃん!? もしやそのコーヒー牛乳に青酸カリが……!?」

アリス「なんでそんなに具体的なのシノ!?」

陽子「ゲホッ……ゴホッ……だ、大丈夫。ちょっとびっくりしただけだから……」

カレン「本当デスカ? 私がヨーコにHentaiと言って図星だったのでびっくりしたのなら謝りマス……」

陽子「だから違うって……」

陽子「……それにしても、二次創作上での綾の扱いはちょっと目も当てられないよなぁ。

すぐ病むし、部屋籠るし、腕切るし、病院行かないし、すぐ飛び降りるし。

ちょっと回復の兆しがあると思えばヤンデレ路線に突っ走るし。酷い物じゃ家族や家ごと人間じゃなくなる始末。

一体世間は綾のことを何だと思ってるんだ……? 綾だって私達と同じフツーの女の子なんだぞ……」ブツブツ

カレン「よ、ヨーコが突然訳の分からない事をつぶやきはじめたデス……。こ、これは何かのビョーk――」

陽子「違うぞ!? 違うからな!? 私はただ綾のことを思ってだな……」

アリス「(そういえばシノもアニメ化で鬼畜キャラが浸透して以来、ちょっとおかしな立ち回りになることがしばしば……)」チラッ

忍「……?」キョトン

アリス「(わ、私が守ってあげないと……っ!)」

陽子「まあこの件は私達がどうこう言ってもどうにもならない問題だし、ひとまず置いておくとして……。

カレン、さっき何言おうとしてたんだ?」

カレン「おっとそうデシタ! 大変なんですよヨーコ! アヤが! アヤがっ!」

アリス「ま、まさかアヤの身に何かあったの!?」

忍「もう学校を休んで3日目ですし、先生も何も言ってくれなくて不思議だったのですがもしやそれと何か関係が!?」


カレン「久しぶりに学校に来るらしいデス!」


陽子「普通のことじゃねーか! そこは溜めないで早く言ってくれよ縁起でもない……」

アリス「よかったぁ、アヤはなんともないんだね……?」

忍「それにしてもどうして2日間も音信不通で綾ちゃんは学校に来なかったのでしょうか?」

陽子「いや、音信不通ではなかったぞ。私には家の用事で何日か休むって連絡きてたし」

カレン「私にもメール届いてマシタ」

アリス「私はカレンから聞いたよぉ」

陽子「……しの、私一昨日の朝教えたよな……?」

忍「……は、ハテナンノコトデショウ?」

陽子「こりゃ右耳から聞いて右耳から抜けてったな……」

カレン「頭に通ってすらいないデス!」

アリス「アハハ……」

陽子「でも、結局なんで家の用事なんかで2日も休んでたんだろ、綾」

カレン「これは事件の予感がしマスネ……」

陽子「しねぇよ」

綾「法事よ法事」


陽子「綾!? ……いっ、いつの間に」

忍「わー、綾ちゃんです! お久しぶりですね!」

アリス「アヤおかえりー」

カレン「おかえりデース!……ってアレ? アヤ心なしか少しやつれて……」

陽子「ないだろどう見ても! 何でそんなにカレンは物騒な方に話を持って行くんだ!?」

綾「まぁ、少しハードスケジュールだったからカレンの言ってる通りちょっとやつれてるかもしれないわ」

陽子「どっか行ってたのか? さっき法事? って言ってたけど」

綾「ええ、ちょっと田舎の方に。親戚が七回忌で、それに出ていたの」

アリス「なんだぁ法事かぁ。アヤに何かあったのかと思って心配しちゃったよぉ」

綾「心配してくれてありがとうアリス。私はなんともないわ。親戚と言っても、小さい頃数回会っただけの人だったし」

カレン「アリス、『ほーじ』って何デス?」

忍「小さな木の棒で歯に挟まった食べ物をとるために使う日本特有の道具のことですよカレン」

陽子「それは楊枝だ」

アリス「法事って言うのは仏教の儀式のことだよ。その中でも一回忌とか七回忌って言うのは、

亡くなった人が死後の世界で地獄に堕ちないようにその親戚の人が何年かに一度お寺や家に集まって声を届けることを言うの。

裁判を行っている大王様にその声が届くとその人は救われるんだって」

カレン「ヘー、なんだか難しいデスネ。と言うことはアヤはブッキョーなんデスカ? 尼さんデスカ? 髪の毛ツルツルにするデスカ!?」

陽子「なんでちょっと期待してるんだ……」

綾「べ、べつに私は特別仏教を信じてるって訳じゃないけど。家のお墓はお寺にあるから……」

忍「あー成る程、それではるばるメッカまで行ってきたんですね。長旅お疲れ様です。暑かったですか?」

アリス「シノ!? メッカはイスラム教の聖地だよ!?」

カレン「なーんだ、アヤは尼さんじゃないデスカ。残念デス……」ショボーン

綾「(そんなに残念がることだったかしら……?)」

陽子「まっ、何がともあれ綾も無事復活したし、やっとこれでいつも通りだな!」

忍「はいっ。綾ちゃんがいないと陽子ちゃんはツッコミばかりで大変でしたよねっ」

アリス「(相変わらずシノの中でのヨーコはツッコミ100%なんだね……)」

カレン「それじゃー今日も張り切って行きまショー!」

陽子「おう! ところで一時間目カレン達は何だっけ? 家庭科?」

忍「はい。今日は教室で授業なんです」

綾「そういえば先週出されてた家庭科の宿題、二人はちゃんと終わってるの?」

カレン「……へ?」

忍「宿……題……?」

綾「ええ、食品成分表を写すだけだから簡単だけど終わるまで一時間くらいはかかるわよ? ……もしかして、二人ともやってないでしょ」

忍「……えっ、そっ、そんな、まっさかー」アセアセ

カレン「……マ、マッカーサー」アセアセ

アリス「二人とも、誤魔化しきれてないよ……」

陽子「こりゃクッシーちゃん大激怒だぞー」

カレン「だ、ダイジョーブデス! 私の秘められた黄金の右手でなんとかなるはずデス!」

忍「そうですよ! なんてったって私は忍者ですからね、できないことはありませんっ!」

陽子「都合のいい時だけ転職するな!」

アリス「私達のクラスはまだやってないけど、それってノートに写すの?」

綾「流石に全部写すって訳にはいかないから久世橋先生が専用のプリントを作ってくれたの。それに写すのよ」

カレン「プリント……? ……ま、マズイデス」アセアセ

忍「そ、そんなものありましたっけ……?」ガサゴソ

カレン「……い、家まで取りに帰るデス!」ダッ

陽子「あと5分でHR始まるぞおい!?」

カレン「ダイジョーブデス! 私の黄金の両足にかかればMy homeまで1分デース!」ガラッ

陽子「黄金の右手と両足ってカレンの身体どうなってるんだ!?」

ドンッ

カレン「Oh! ぶつかっちゃいまシタ。スミマセンちょっと急いでテ……」

久世橋「……? 何で急いでるのですか? もうすぐホームルーム始まりますよ?」

カレン「いやーそれが宿題のプリントを忘れてしまったので家まで取りに帰ろうカト……ってアレ? こ、この声ハ……」ガタガタ

久世橋「……もしかして九条さん。まさか、まさかとは思いますがそのプリントと言うのは今日提出の家庭科のものじゃないでしょうね……?」ゴゴゴゴ

カレン「は、ハテ、ナンノコトデショーカ? ワタシニハサッパリデスネー」ガタガタガタガタ

久世橋「…………」ジー

カレン「……ァ……ゥ……」パクパク

久世橋「…………」ジー

カレン「………………今だ、デスッ!」ダッ

久世橋「こらぁ! 待ちなさい九条さん!」ダッ

陽子「あーありゃもうダメだな……」

綾「あはは……」

アリス「シノは宿題どうするの……ってあれ!? さっきまでいたのにシノがいない……!?」

忍「ここにいますよアリス。ちょっとプリントを取りに家まで帰っていました」シュタッ

アリス「…………。……え? この、短時間で?」

忍「はい。何か私変なこと言いました?」

アリス「……い、いや。何でもない。何でもないよっ」


シノが本当に忍者なのかと思う、今日この頃です




久世橋「こらーっ! 九条さん廊下は走らない!」ダダダッ

カレン「って言ってる先生だって走ってるじゃないデスカーっ!」ダダダッ

久世橋「貴方が走るからですっ!」

ガシッ

カレン「うわっ! フードを後ろから掴むなんて反則デースっ!」

久世橋「ふふ、元陸上部をなめないでくださいよ」

カレン「…………あっ! あんなところにチョーカワイイ野良猫ガっ!」

久世橋「えっ! どこっ!? ……ってその手には乗りませんよ九条さん!」ガシッ

カレン「アウッ! くっ、今のなら絶対に引っかかると思ったのに……デス」

久世橋「貴方には後でゆっくりと忘れたプリントの件、お話聞かせていただきますからね。とりあえず、教室に戻りますよ……!」ズリズリ

カレン「ちょっ、まっ、そんなに引っ張らないでくださいクゼハシ先生! 服ガっ! 服が脱げマスっ!」ズルズル

久世橋「そんなこと言って私が手をゆるめた隙にまた逃げ出すんでしょう。だったら抱きついてでも連れて行きますよ……!」

カレン「えっ、うっ、嘘じゃないデス! ま、マジで! マジで脱げマス! 止めてくだサイ! 私の服脱がさないでくだサイっ!」

久世橋「ちょっといきなり何を言ってるんですか九条さんっ! ただ私は貴方を連れて帰ろうと……///」


ウワッ、クゼハシセンセーガセイトノフクヌガシテルー  アラアラ、アサカラオサカンナコトデ  キマシタワー

久世橋「えっ!? ち、違います! 皆さん違いますってっ! こ、これはそのっ! 教育の一環というものでっ///」


ヘー、クゼハシセンセーハホケンタイイクモオシエテルンダー  キョウイクネッシンナセンセーダケド、アサカラジッシュウトハネェ  アニメニキデハゼヒ「カレン×クッシー」ヲ!


久世橋「そっ、そういう意味ではなくてですねっ。ただ普通に生徒を追いかけていただけでっ! 不可抗力でっ!

ほ、ほら九条さんも何か言ってください! 貴方が逃げたからこうなったのでしょうっ!?」

カレン「……先生ぇ……激しすぎデス……モット、やさしく……お願いシマスぅ……」

久世橋「なんで貴方まで誤解されるような事を口走っているのですかぁああああああああああああっ!?」


アー、コレハモウイイワケデキナイネェ  クールビューティークゼハシアカリノショウタイハ、セイトヲヌガスヘンタイナリ  ツーホーシマシタ


久世橋「いやああああああああああああああああああっ!」


終わりっ!

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