男「急いで後輩を催眠教調しなくては……」 (48)

まぁ続き物ということで→後輩「催眠耳かき?」


12/20 朝


やけに冷えるなと思い窓の外を見ると、なんと雪が降っている。
まだ秋だ、まだ秋だとごまかしていたが、これはもう完全に冬だ。

眠たい目を擦りながらのそのそと布団からはい出て、制服に着替える。
どうしてこんな日にもスカートを着なければならないのだろう。

一度だけ、スカートの下にジャージをはいたことがあるが、

『なんだそのふざけた服装は』

と先輩に怒られてしまった。
彼に服装について言われたのは、後にも先にもそれきりだ。
黒いタイツもはいてみたりしたのだが、特に反応はなかった。
……あまり気にかけられていないのかなぁ。

「あっいけない、いつもの電車に遅れちゃう」

パジャマ代わりのだぼだぼスウェットを脱ぐ。
中から顔を出したのは、新品のピンクのショーツ。
昨日、先輩にプレゼントされたものだ。


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か、形はどうあれプレゼントだ。
私はふわふわと浮かれてしまい、風呂上がりに早速そのショーツをはいた。

……先輩にいじくりまわされたからか、昨日はやけに身体が熱っぽかった。
ショーツの感触が彼の手のそれのように感じてしまい、
寝る前にその、一人で、慰めてしまった。


いつもとは比べものにならないほど高ぶってしまっているという事実が、
更に私の身体と心をどろどろに蕩かしていった。

自分の手であれほど気持ちよかったのだ。これが彼の手ならば……


「……はっ! やばい、本当に遅れちゃう!」


変なことを考えている場合ではない。
急がなければ、先輩と一緒に登校することができなくなってしまう。
それだけは避けなければ。


……
…………
………………


12/19 夜(冒頭の前日)


俺はテーブルの上にタッパーを置き、その前にあぐらをかきながら考えていた。
タッパーの中には、びちゃびちゃに濡れた黒いショーツが入っている。

「……やっちまったなぁ」

ここで今日、俺がやっ(てしまっ)たことを軽く整理しておこう。

・後輩に身体が敏感になる催眠をかけ
・獣のように善がり狂い、小便を漏らすまでその身体をいじくり
・小便が染み込んだ、黒いショーツを没収しタッパーに入れ
・代わりにくまさんパンツをはかせ、更にピンクのショーツを買いつけた


……あちゃー。
好きな相手への情が爆発しました、じゃ済まないなこりゃ。
相手からすれば、俺はただの部活の先輩だというのに。

「催眠で記憶消しときゃよかったかなぁ」

そう思いもしたが、記憶支配の難易度はかなり高い。
短い時間ならばいいが、これほど長い時間の出来事では、
どの道、忘れさせることはできなかっただろう。

まぁ、その代わりに、駅で別れる前にいくつか催眠を仕込んでおいた。

『夜になると、身体が熱くて熱くてたまらない』

『気持ちいいことが大好きだから、自分で弄って、気持ちよくなってしまう』



部室でやってしまったことは、もう取り返しがつかない。
後輩が今後誰かに言わないとも限らない。
彼女が騒ぐ前に、『堕とす』。


まずは彼女の、快楽に対する新和性を上げていくことにする。
有り体に言えば、彼女に『自分は浅ましい淫乱なのだ』と知らしめる。

そうすれば、彼女は催眠を更に受けいれるようになるだろう。
彼女にとって、催眠は『気持ちよくしてくれるもの』なのだから……


……
…………
………………

12/20 朝


最寄り駅を出て、学校へ向かう。
彼女に選んでもらった、赤とオレンジ模様のマフラーのおかげで、
亀さんにならなくても大丈夫だ。


しばらくゆっくりと歩いていると、
後ろからぱたぱたと可愛らしい足音が聞こえてきた。

「あ、先輩。おはようございます!」

「おぉ、おはよう。今日も寒いな」

「雪まで降ってますしねぇ。完全に冬ですね」

「そうだな。でも、このマフラーのおかげで暖かいよ。ありがとうな」

「あ、そうですかぁ。よかったです。えへ」

……言葉を交わしながら、素早く彼女を観察する。

いつもより顔が赤いのと、
化粧で上手く隠してはいるが、目の下にうっすらとクマがあるのが見て取れる。

仕込んだ催眠は効いているのだろうか。
今後のためにも、探りを入れて確かめなければならない。
よく観察するために立ち止まり、顔を近づけて質問する。

「ん、寝不足か? ちょっとクマができてるぞ」

「えっ、わ、わかっちゃいますか。えーと、そのぉ……昨日はなかなか寝つけなくて」

そう言う彼女の目はせわしなく泳いでおり、腰はもじもじと動いている。

確実に催眠は効いている。
後輩は昨日、夜更けまで自慰に没頭していたのだろう。
そのために、『身体が敏感になる催眠』も解除しなかったのだ。


順調、ここまでは順調だ。
素早く、確実に。彼女の身体と心を絡めとっていこう。

「……あの、先輩。どうかしたんですか」

「うぉっと。いや、可愛い後輩に無理はしてほしくないなと思っていたんだ」

「ふぇっ、か、可愛いだなんて……もう、からかわないでください」

「からかっちゃいないが……あ、なんなら放課後に部室で休んでくか」

「ん~、でも、テスト期間だし勉強もしないと……」

真面目か。

「午後は丸ごと休みだし、それに少し休んだ方がいいぞ。その後で一緒に勉強しようか。一人じゃどうも集中できなく

て」

「あはは。そうですね。じゃあ放課後、部室でくつろぎましょうか」

「決まりだな。じゃあまた、放課後にな」

「はぁーい。それでは」


いつも通り昇降口で別れる。
少し強引過ぎたかもしれないが、ここは何としても催眠暗示を確実なものとしておきたい。

見た感じでは騒ぐようなそぶりはないが、念には念を入れて行動しなければ。


……
…………
………………

催眠は、一度暗示をかければ解くまで効果が永久に続く、というものではない。
時間が経つにつれ暗示は薄れ、しまいには解けてしまう。

だから、何度も重ねがけをすることが必要なのだ。
勉強や運動と同じだ。反復によって身体に刻み込む。

しかし、毎日が今日のように静かな場所、それも二人きりで多くの時間をとれるわけではない。
長々と催眠誘導をする時間はないのだ。
今日は、その辺の問題も解決しなければならない。


それと昨日、俺が自身の股間の耳かき棒を使わなかったのは、使うと冗談では済まなくなるからだ。
ここは日本、誰恥じることのない法治国家。
あのような心神喪失状態の女性を姦淫すれば、準強姦罪が成立する。
3年以上の懲役はほぼ確定だ。もし執行猶予がついたとしても、俺の人生は崩壊する。

姦淫してはいないが、それでも強制わいせつを主張されては、非常に困る。
つい熱くなってしまって物品を持ち帰ってしまった。これが知れれば一発アウトだ。
これは、俺の人生をかけた勝負なのだ。失敗は許されない。

手の中のペンライトを、強く握りしめた。

……
…………
………………

テストを終え、部室に急ぐ。部室の状態を確認しなければならない。
もし誰かがいたのなら計画を変更しなければならないし、そうでなくてもいろいろ準備もある。

「よし。誰もいないな」

後輩もまだ来ていないようだ。
暖房をつけ、軽く掃除をし、彼女がリラックスできる空間を整えていく。

「こんなもんでいいか。お、HRが終わったみたいだな」

窓から、部室棟の向かいにある校舎の、後輩の教室をのぞく。
ということは、そろそろ後輩もここにやってくるだろう。

……それにしても。なぜ彼女はパンツを取られた相手と、あのように接することができるのだろうか。
正直なところ、昨日の段階で家に警察のおじさんたちが来るところまでは覚悟していた。

ところが結局警察がくることはなく、それどころか、彼女は今日も屈託のない花のような笑顔を向けてくる。
逆に不気味だ。まさか通報せずに俺をゆすってくるつもりなのだろうか。

まぁ、それならそれで好都合だ。
そんな悠長なことをしている間に、その身体をメロメロにしてしまえばいい

とにかく時間との戦いであることを再認識し、畳に寝転がりながら気合いを入れる。
……おっと、来たようだな。

「すいません、HRの連絡が長引いちゃって」

「あぁ、別にいいよ。どうせまったりするためにいるんだし」

「いえ、今回は私が先に着いて、部屋を暖かくしておこうと思ったんですけど……
 えと、また先輩に寒い思いをさせてしまいましたね」

天使か。

「気にするな。どうせここに来るまでも寒い」

「それもそうですね」

彼女は荷物を机の上に置き、上着を脱いで椅子の背にかける。
靴も脱いで、足を空中でぱたぱたと前後させる謎のダンスをした後に、奥の畳座に上がってきた。

「ふぃ~。数学って難しいです」

「お、1年も数学だったのか」

「先輩はいいですよね~、頭が良くて」

そう言って、ごろんと俺の隣に仰向けに寝そべる。
小ぶりな胸が自己主張をしている。……やはり少々無防備すぎではないだろうか。


「もうちょっと自覚した方がいいぞ、お前。
 狙ってる奴もけっこういるみたいだし」

「え……、は、はっ! 狙われてるんですか私っ! 大変だぁ……あっ先輩は窓から離れて!」

ぽけっと口を開けて固まった後、いきなり大声を出して小芝居を始めた。
バッとひざ立ちになり、窓の外をうかがっている。

「その小芝居をやめろ。スナイパーにじゃない」

「あ、はい……すいません」

四つんばいで窓際から戻ってくる。
隣に戻ってきはしたが、先ほどのように寝そべることはせず、なぜか正座をしている。

「どうした、寝不足なんだろ。眠らなくてもいいから、少し寝転がって休憩したらどうだ」

「あ、は、はいっ! そうさせていただきますっ!」

おずおずとその場に寝転ぶ。なぜかガチガチに緊張しているようで、顔も赤い。

「なんでそんなガッチガチなんだ、お前」

「え、いえ、とてもリラックスしていますよぉ」

「……はぁ~、それじゃ疲れもとれんだろう。いったん座れ。楽な姿勢でな」

「はい……」

楽な姿勢とは言ったが、スカートではあぐらはかけないようだ。俗に言う女の子座りだな。
彼女の足は、とても魅力的だ。昨今の女子が良しとする(らしい)、
痩せた、骨と皮だけのようなものではない。もちろん、無駄な脂肪がついているわけでもない。
筋肉がつくる、健康的で緩やかなカーブ。素晴らしい。完璧だ。

一度、スカートからのぞくその足をジャージで隠すという暴挙があったため、
昨今の婦女子は~ と難しいことを言いながら、長々と説教しておいた。
それ以来、中にジャージをはいてきたことはない。
たまに黒タイツをはいてくるのだが、それはウェルカムだ。見ていてくらくらしてしまう。

おっと、足を見ていることがバレてはいけない。

「催眠は普通に医療行為に使われるほど、いろいろと便利でな。疲れをとることもできるんだ。
 俺も昨日は夜中まで起きてたけど、軽く自己催眠したから元気なんだよ」

「え、そうなんですか」

よし、食いついた。我ながらうまく話題を催眠にもっていけたな。

「やってあげようか」

「はい、ぜひお願いしますっ!」

目をキラキラさせながら、身を乗り出してくる。
催眠、暗示というものに対する抵抗はほとんどないようだ。これはいい。
特に今日はテストで脳も疲れただろうし、かかりやすくなっているだろう。

「おーけい。じゃあ昨日と同じように、まずは深呼吸からだな。
 疲れてるだろうし、目をつぶって、難しいことを考えないようにしよう」

「はぁ~い……」

「大きく吸って、身体の力を抜くことを意識しながら、ゆっくりとはく。やってみて」

彼女は深呼吸を始める。すぐに先ほどまでの強張った表情はなくなり、身体からも力が抜けてきた。
だいぶ『入る』という感覚に慣れてきたようだ。いい感じだな。

そのまま少し、呼吸を続けさせる。
その間に、後のために座布団を彼女の後ろに敷いておいた。

十分に身体から力は抜けているようだが、念を入れて強化をしておこう。

「右肩から、力を抜いていこうか。ほら、腕全体が重くなってきた」

「ふぃ……」

「あ、無理に返事はしないでいいよ。考えるのは力を抜くことだけでいいんだ。
 筋肉の繊維が一本一本ほどけていっちゃうのをイメージして……」

そのまま、両腕、腹、背中、首の脱力をさせていく。
彼女の身体がゆらゆらと左右に揺れる。姿勢を保つことも困難なのだろう。
肩に手をそえて、ほんの少しだけ支える。

「あなたは今、気持ちのいい海の中にいます……
 海の中はとても美しい。きれいな魚たちが楽しそうに泳いでいる……」

彼女のまぶたが、ピクッピクッと揺れている。眼球運動をしているのだ。
彼女には、熱帯魚の群れが泳ぐ姿が見えているのだろう。
これは冗談でもなんでもなく、実際に彼女はそれを見ているのだ。
白昼夢。浅い眠りである、レム睡眠の状態で見る夢のようなものに近い。


「あなたは波に揺られる……右へ……左へ……
 ゆらゆら揺られていると、身体からますます力が抜けてくる……どんどん抜ける……ゆら……ゆら……」 

言いながら、彼女の身体をゆったりと揺らす。首ががくがく動かないように、ゆったりと。
半開きになっていた彼女の口はますます開き、よだれがちょっとだけはみ出ていた。

「ほら、もう、あなたは座っていられない……寝転がってしまいましょう」

身体を支えながら、ゆっくりと座布団の上に寝かせる。
首がこてんと後ろに倒れそうになるのを、慌てて押さえた。

「あなたは海底に沈んでいく……どんどん沈む……まだまだ沈む……沈めば沈むほど気持ちいい……」

催眠は、緊張と弛緩を繰り返すことで強化される。
誘導と、覚醒。海の底に沈んだ彼女を、水面へ引き上げる。

「気持ちよくて幸せだけど、一度帰ってこようか。
 俺が5つ数えると、目が覚めるよ。
 1つ、身体がぐんぐんと上にのぼっていく。
 2つ、水面が近づいて、どんどん周りが明るくなってきた。
 3つ、身体に力が戻っていく。
 4つ、意識がはっきりとしてきた。
 5つ。目がはっきり覚める!」

ぱんっ!

手を鳴らすと、身体が一瞬だけびくんっと跳ねた。

「ふぇ……あれ、ここは……」

ゆっくりと開けられた目はまだ焦点をむすんでいない。

不思議そうな顔をして、目だけで周りを見回している。
彼女にとっては、先程まで海の底にいたのが、
一瞬で部室に戻っているわけだ。
俺のことが魔術師にでも見えてきたんじゃないだろうか。

「おかえり。気持ち良かったね。疲れはとれたかな」

「はい、とってもふわふわで、気持ち良かったです!」

意識もはっきりしているし、身体に力もしっかりと入るようだ。
しかし、これでも実はまだ、彼女はトランス状態にある。
意識はしっかりしていても、非常に催眠にかかりやすい状態なわけだ。

「うん、それはよかった。……でも、ふわふわしたのもいいけど、
スッと落ちていくのはもっと気持ち良かったよね」

「ん……はい……」

落ちる感覚を思い出したのか、彼女の首がぶるっと震える。

「ぐんぐん沈んで、身体の力もどんどん抜けちゃって。
力の入れ方も忘れちゃって、頭の中がどろどろに蕩けていく。
あの落ちていくときが一番気持ちいいよね」

「ぅあ、はい……はい……」

言葉だけで気持ちよくなってしまっているのだろう。
眉をハの字にして、物欲しそうな目を向けてくる。

「あ、あのぉ……せんぱいぃ……」

「大丈夫。好きなだけやってあげるよ」

「あはぁ……えへへ…………」

にへら、と心から嬉しそうな笑みを浮かべている。
すでに警戒心はかけらもなく、難しいことも考えられないだろう。
俺は、胸ポケットからペンライトを取り出す。ボタンを押すと青く光るものだ。


これから、今日の第一目標である、トランス状態への条件づけを行う。
条件づけでは、パブロフの犬は有名だろう。あれと似たようなものだ。
彼女がトランス状態に『落ちる』ときに、この青い光を見せ、それを繰り返す。
するとその内に、青い光を見ただけで『落ちる』ようになるのだ。
彼女自身も催眠状態へ落ちていくことが大好きのようだし、おそらくはうまくいくだろう。

再び、彼女に優しく語りかける。

「目はまだ開けたままでいてね。
 イメージして……あなたは水面でゆらゆらと揺られている……右へ、左へ……」

声に合わせて、ほんの少しだけ腰が揺れている。
元から想像力が豊かなのだろう。とてもやりやすくて助かる。

「ふぃ、ふぅ…………」

その目が少しずつ閉じてきたが、言い付けを守って、
あとちょっとのところでぷるぷるとこらえている。

「早く落ちていきたいけど、もうちょっと頑張ってね」

「ぁぃ…………」

俺はペンライトを、彼女の目の前に持っていく。

「これを見て。あなたは、このペンライトの青い光を見ると、
 スイッチが入ったようにスゥーッと落ちていくことができます。
 落ちていく瞬間は、すごい気持ちいい。あなたはそれが大好きだよね」

「ぁぃ……ぁぃ……」

「我慢、頑張ったね。じゃあ、今から青い光を出します。
 やっと落ちていくことができるね。嬉しいね。
 ……いくよ、はい」

ピカッ

ペンライトの先が、青く光る。
それを見た瞬間、彼女の目は完全に焦点を失った。

「あなたは深~く沈む……気持ちいい……気持ちいい……」

「ふぃぃぁぁぁ…………」

長い息をはきながら、彼女はびくびくと震えている。
身体中がほどけてばらばらになるような気持ちよさに、どっぷりと浸かっているのだろう。


……
…………
………………

それから、五回ほど引き上げて、光を見せながら落とすことを繰り返し、その後眠らせた。

眠らせる前にテストをしてみたが、どうやら条件づけはうまくいったようだ。
後輩は、青い光を見せただけでトランス状態に入るようになった。
これで、ほぼいつでもどこでも暗示をかけることができる。


壁にかかっている時計を見ると、催眠誘導を開始してから2時間が過ぎている。
そろそろ腹も減ってきたことだし、今日はそろそろ終わりにすることにした。

帰り支度を済ませ、眠り姫の肩を優しく揺さぶる。

「ふぁ……はふぅ」

「おはよう、よく寝てたな」

「はいぃ……疲れもとれま……っっっ!!!」

いきなり顔を強張らせ、俺から逃げるように横を向くと、
何かを確かめるように下腹部に手をやっている。

「何やってんだ」

「っなんでもありませぇん! あ、私お腹すいちゃいましたぁ! 駅前で何か食べましょう!」

ばばっと立ち上がり、彼女もすぐに帰り支度を済ませた。

「お、おう。じゃあいくか」

「はいっ!」



並んで駅まで向かう。


「……なんかお前歩き方変じゃね」

「っっ!! そんなことありません!!!」

「や、なんかぴょこぴょこしてるし」

「あーあー! 私ハンバーグが食べたいなー!!」

「あ、俺もそうしよ」

行きつけの定食屋で昼を済ませ、
駅で別れる前に昨日と同じようにいくつかの暗示をかけた。
暗示の内容は頭では忘れるようにしたが、身体には刻まれている。

『夜になると、身体が熱くて熱くてたまらない』

『自分で弄って、気持ちよくなってしまう』

『気持ちいいことが大好き』

『気持ちよくしてくれる、先輩のことも、好きで好きでたまらない。
彼の名を呼びながら弄ると、もっともっと、何倍何倍も気持ちよくなれる』



なかなかに順調だ。
今日も彼女は、夜に身体を持て余してオナニーをするだろう。
すでに彼女は、気持ちいいことが大好きになっている。
そして、その快感を与える俺のことも。

俺はこれからの催眠調教を思い浮かべながら、一日を終えた……


……
…………
………………

同日 夜

--熱い


もともと、オナニーを頻繁にする方ではなかった。
だいたい週に、一度。
それも、下着の上から軽く弄るだけだった。

二日続けてこんな、淫らな気分になることはなかったし、
下着ごしじゃ満足できなくて、直接弄ることもなかった。


--身体が熱い


今日は、ショーツをぐちゃぐちゃに濡らしたまま、先輩とお昼を一緒に食べてしまった。
ショーツの擦れる刺激と、彼の視線で、2回、軽く達してしまった。

こんなことを、続けては駄目だ。我慢しなくちゃ、駄目だ。
こんな淫乱な私では、先輩に嫌われてしまうかもしれない。


--熱いから、気持ちよくなって鎮めなきゃ


でも、どうしようもない。
こんな気持ちよさには、誰だって抗えない。

 くにゅ くにゅり にゅるん

「ふぃぃぃっ……!」

親指、人差し指、中指の腹で、すでに濡れそぼっているクリトリスを揉みほぐす。

 くにっ くにゅる くにゅる

「ふぅぅっ……! これっ……いぃっ……!」

 かりっ

「んはぁっ!!」

中指の爪でクリトリスを引っかいてしまった。
強すぎる刺激に、自分とは思いたくないほど淫らな声が上がる。

一度声が出てしまうと、もうおしまいだ。
食いしばることをやめた口は、背筋を駆け登ってくる悦楽に歪み、
どうしようもないほどにだらしなく緩んでしまう。

 こりゅっ こりゅっ しこっ

「ふぁぁぁん……!! あぁぁっ……せんぱいぃ……んひぃっ!!」


こういうときに思い浮かべるのはいつも、彼の顔だ。
初めて会った日から、何一つ変わることのない、
笑うことに慣れてないような、あの笑顔。

彼のたてた茶を飲んだとき。
私が茶をたてたとき。
部室に集まったとき。
ご飯を一緒に食べたとき。
朝、通学路で振り返ったとき。
私が耳かきを頼んだとき。
マフラーを、首に巻いてあげたとき。

しかし、ここ二日は、それだけではなかった。
彼の手が私の身体を這い回り、揉み、擦り、つまみ上げることを想像し、
そしてその想像で、自分ではどうしようもなく高まってしまうのだ。

「せんぱい、せんぱい、せんぱい、んぁぁっそこはっ……!!」

枕をきつく抱きしめて、3本の指でクリトリスを何度も往復する。

 しこっ しこっ
 しこしこしこしこ
 きゅぽきゅぽきゅぽきゅぽきゅぽきゅぽきゅぽきゅぽ
 きゅぽきゅぽきゅぽきゅぽきゅぽきゅぽきゅぽきゅぽ

「ふああああああああああっ!!!!!」

私はあられもない声をあげ、淫らに、達した。
身体はみっともなく痙攣を続け、腰はへこへこと前後運動をしている。
止めようと思っても、まるで自分の身体ではないかのように、自由が利かなかった。

……一度達すれば、少しは冷静になる。
そして、一度ならまだしも、二度も彼を汚してしまったという後悔が、私の頭をぐるぐると回るのだ。

「はぁ……はぁ……うぅ……ごめんなさい、ごめんなさい……」

彼への懺悔の詞をうわごとのように繰り返しながら、私は眠りについた……


……
…………
………………

12/21 朝


そろそろ来る頃だろうなと思いながら一人通学路を歩いていたが、
いつものポイントを過ぎても、なかなか『ぱたぱた』という足音が聞こえてこない。

もしかしたら寝不足で寝坊したのかもしれないな。
そう思いながら何気なしに振り返ると

1メートル後ろにいた。

「うおっ……!」

驚きのあまり、びたりと足を止めてしまった。

「あ、すいません! 驚かせてしまいましたか」

「お、おう。忍者かお前は」

「いや、声をかけようとは思ったんですけどね、なかなかタイミングが掴めなくて」

「いつも走ってきてどーんって感じじゃないか」

「あはは……」

「どうした、なんか変だぞ」

そっちの機嫌ひとつでこっちは豚箱行きなんだ。あまり心配をかけさせないでくれ。


「……ねえ、先輩」

「なんだ」

「私に何かしましたか」

「っ……! 何の話だ」

「ちょっとついてきてください」

手を強く握られ、そのまま引っ張られる。
振りほどくことはもちろんできるが、ここで彼女を野放しにする方が危ない。

どうやら部室に向かっているようだし、二人きりならば逆に好都合だ。
いざとなったらこの胸ポケットに入っているニューラライザー(ペンライト)を使えばいい。

当然だが部室には誰もいない。俺を中に入れ、彼女は後ろ手で鍵を閉めたようだ。カチリ、という音がした。
逃げ場なし。どうやら、ここ数日間で一番のピンチのようだ。

まずは相手の出方を見よう。こちらは後で書き換えることができるからな……
そうタカをくくりながら振り向くと

「せんぱぁい……ちゅ……んぷ、ぷぁ」

いきなり、抱きしめられてキスをされた。

「おい、何を、んん……んん……ん」

 ぐじゅるるる じゅる じゅうるうう

抵抗、できない。顔を両手でがっちりと抱かれ、逸らすこともできない。いや、逸らしたく、ない。
彼女の舌が俺の舌に吸い付き、なめしゃぶる。それはまるで蛇の交尾の様だった。
そのまま、歯の裏を舌先でつつかれ、口蓋を舐めあげられ、唾液をすすられ、舌を咥えこまれる。

「あぁ、せんぱぁい、ずずずずっ……えへぇ、美味しい」

頭の中にもやがかかったかのように思考が蕩けていく。
俺は、キスだけで、年下の後輩に完全に屈服させられていた。

「ふふ、何も考えなくていいんですよぉ……いっぱい、愛してあげますからね」

 ジイイイイ

彼女の左手が俺の股間にのび、ズボンのチャックを下ろしていく。
そしてその隙間から白い指先を差し入れ、もぞもぞと蠢かせる。

「う、おぉ」

「あはぁ……もうこんなになってる。出しますねぇ」

ペニスの根元を掴まれ、ぼろんと外に引きずり出される。

「すごい。とっても熱くて、素敵ですよ。
 くちゅくちゅ……んべぁ……ふふ、今からシコシコしちゃいますね」

口の中に溜めたよだれを左手にまぶし、そのままペニスを掴み、激しく上下させる。
ペニスを気にかけながらも、彼女は常に俺の顔を覗き込んでくる。俺の反応でどこが弱いかを探っているようだ。

 シコシコシコシコ

「あうぅぅぅ」

「あっ、ここがいいんですかぁ」

カリの部分が感じるということを見破られてしまったらしい。
手のひらで亀頭を包まれ、5本の指先がこりこりと、弱い薄皮の部分を愛撫する。
手首を捻り、亀頭付近を指の腹でにちゃにちゃと撫で擦る。

弱い部分を丁寧に優しく擦られ、にわかに射精感が高まってきた。

「うぅ、うっぅああ、もう、出るっ!」

その瞬間、彼女の左手がずるっとペニスを離れる。

「うぁ、な、なんで……」

「初めては、こ・こ・で、出しちゃいましょうねぇ」

彼女は俺の手をとって、自らの股間へと導いた。
制服のスカートの中はむっとするほど、濡れていた。

俺はもう抑えが利かなくなり、彼女を抱きかかえると奥の畳座に担ぎ込んだ。
最後に残った理性で、一応、敷いてある座布団の上に寝かす。

「あんっ……先輩は、こういうときでも、やさしいんですね」

パンツ職人の俺といえど、もうパンツを下ろすために費やす時間も惜しい。
ズボンを脱いだ俺は、彼女のパンツを脱がすのではなく横へずらし、その隙間から、突き入れた。

「ああぁぁ…んんん!!」

「うぁっ……きつっ……!」

幾重もの輪ゴムで絞められているようにきつく感じられる。
結合部に目をやると、俺のペニスがぎっちりと根元まで咥えこまれていた。

だが、それ以上に目を引くものがそこにはあった。

血だ。

純潔を散らしたというその証が、肉壷から一筋の線を描いて滴り落ちている。
それを見て、俺は一気に冷静さを取り戻した。

彼女の顔の方を見やると、目を伏せ、涙を流している。
どういう言葉をかけるべきか迷っていると、彼女の方から口を開いた。

「うぅう……ごめんなさい……ごめんなさい……」

その口から出たのは、謝罪だった。

「どうして、謝る」

「こんな、形に、なっちゃって……今更、ですけどっ……ずっと、あなたの、ことが、好きでした」

「……そうか」

まぁ好きになる催眠かけてるしなぁ…………んん? 待て、なんかおかしい気がする。

「泣かないでくれよ。それで、えぇーと。ごめんな、いつ頃から好きだって言ったかな」

「ふぇ、あの、ずっと、前からです」

「昨日からじゃ、ないのかな?」

「違いますっ!! もっと前から、ずうーっとです!!!」

え、あれ? 催眠関係なくね?

「なんで今日、いきなりこんなことをしたのかな」

「え……あの、ここ数日、先輩のことを考えると、とってもエッチな気持ちになっちゃって。
 あ、いつもは違うんですよ! ほわ~ってするだけですもん!」

「お、そ、そうか。ありがとう」

「あ……いえ、どういたし、まして」

「恥ずかしいなら言うなよ」

「ところでっ!!! 先輩は、私のことをどう思ってるんですか!!!!」

「いや、どうって……あの、こちらこそ、
 こんなことやあんなことをしといて今更ですけど、ずっと好きでした」

「あんなことってなんですかっ! やっぱり私に何かしたんですか!!」

うげ。

「ま、まぁそんなことよりさ。これ、動かしていいかな。もう限界」

そういって自分の股間を指差す。

「あっ、ど、どうぞ。お使いください」

あ、お構いなく。

「大丈夫か。痛くないか」

「痛いに決まってるでしょ! ……だからぁ、優しく、してくださいね」

上目遣いで、無理に微笑みを浮かべて、強がっている。
そうだ。この娘の、このような姿に、俺は惹かれたのだ。

「あ、今のでもう無理。抑えられんわ」

「え、あ、ちょ……あぁぁ、あっ、あっ、あっ」

覆いかぶさり、腰と腰をぶつける。ぶつかりあう肉、とびちる淫液。

「あ、あ、あ、あ、あ、あ」

初めてで気持ちよくなるのはエロ漫画だけだ。
傷口をぐりぐりされて誰が快感を得ようか。

それでも必死に耐えるその姿を見て、一度は去った射精感が、先ほどよりも強く、熱くこみ上げてきた。

「うっ、もう出るぞっ!」

「な、中はだめぇ! 中はやめてぇ!」

いやそれは当たり前だろ。抜くわ。

 ずるん どぴゅっぴゅっぴゅっぴゅ……

「えっ……ほんとに抜いたんですか……そこは中で出す感じじゃ……」

「ふぅ……お前まだ1年だろ、勉強しろ勉強」

「あははっ、テスト中にその1年に突っ込んでる人が言えることじゃないですね」

「はは、そうだな……あ、そうだ」

「なんですか唐突に」

「お前今日はパンツそのままで帰れよ」

「どえぇぇっ!? 何言ってるんですか!」

「嫌か?」

「嫌ですっ!!」

「じゃあもう耳かきしてやんねー」

「えっ……あぁ……うぅ……」






「……お前歩き方変じゃね」

「そんなことありません!!!」




……いらん気をまわして教調めいたことをしていたが、そんなことする必要はなかったらしい。
相手は16歳に達してるし合意の上なら問題ないからな。

とりあえず、夜になるとエロくなる暗示は取り除いておいた。
そんなド直球なエロをせんでも、催眠は催眠ならではの素晴らしい楽しみ方があるのだ。

エロ(直球)

一応終わりね。
正直犯されが一番書きやすい。催眠とかめんどくせぇわ。
以下2レスほどおまけ。

「というわけではい実験1。足の裏だけ超エロエロにしてみました」

「ちょっ……! なんですかこれっ! 立ってるだけで……ふぃぃぃっ……!!」

「ほーらここまで来れたら耳かきしてあげよう。あと10メートル~」

「ふぁ……耳かき……ふぃ、ふぅぅっ……!!」

「はいあと9メートル~」

「ふぁぁぁん……もうだめぇ……!」

「8メートル~」

「へぁぁあああ~……あっ……んっ……」

「オナニーすんな~。7メートル~」

「んひぃぃいいっ!! だめ、もうっイっちゃうっ!!!」

「まだ半分以上あるぞ~、6メートル~」







「あ、これハイハイしたら楽勝ですわ」

「うそやん……」


……
…………
………………

「はい実験2。人差し指と中指を足の感覚と繋げました」


「なぁ、たまには手を繋いで駅まで帰ろうぜ」

「えぇ……もう、しょうがないですね……はい、どうぞ」

「あー違う違う。指開いて」

「? はい」

「恋人繋ぎ~」

「あはは、やってみたかったんですか? ……あんっ……えっ!!??」

「なあ……両足の間には何があったっけかねぇ……」

「あぁ……ちょっ、やめて……」

「やだ」

 コスコスコスコスコスコスコスコスコスコスコスコスコスコスコスコス
 コスコスコスコスコスコスコスコスコスコスコスコスコスコスコスコス
 コスコスコスコスコスコスコスコスコスコスコスコスコスコスコスコス

「にゃぁ゛ーーーーーーーっ!!!!!」

「おいへたりこんでどうした、通行の邪魔だからちゃんと歩け」

「だ、だってぇ……」

 くちゅっ

「あんっ」

「おい思い込みってすげぇな、指の間から愛液出てきたぞ」

「うそっ!?」

「うそ。俺のつば」

「汚いからやめてくださいっ!!」

……
…………
………………

終わり。
実験を思いついたら、書くのはあなたの仕事。

あ、このSSに書いてることはわりとマジで出来ますが、行えば犯罪になることもあります。
なにより催眠対象との信頼関係が必要なので、まずそこまで持っていくのも難しいですが。

あれです。現実と虚構の区別がつかないお子様は見ちゃだめってやつです。

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