『スマイルプリキュア レインボー!』 Part 2 (938)

〜 ごあいさつ 〜

こちらは、『スマイルプリキュア!』の第2期を想定した自作のストーリーを SS形式で展開していくスレとなっています。
投稿の作法や文体などに至らない点がありましたら、随時ご指摘いただけますと幸いです。

作品の主なルールは下記の通りです。


・地の文無し(基本的にセリフと擬音のみ)

・内容はあくまで『プリキュア』シリーズっぽく作成します
 キャラ崩壊や、シリーズを著しく逸脱する内容 (エロとか残酷描写とか) はありません

・設定は基本的に原作『スマイルプリキュア!』を踏襲します
 ※意図的に崩す場合は注釈を入れます

・本作では原作終了後、中学3年生となったみゆき達を描いていきます
 新しい設定・キャラ・敵を盛り込んだ完全オリジナルストーリーとなります

・毎週日曜 AM 8:30 更新予定
 (本家『プリキュア』と同じ時間)


本シリーズの過去スレはこちら

・Part 1(第1話 〜 第11話)
 『スマイルプリキュア!』第2期を SS で作るスレ - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1360385907/)

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1366529393

第12話 作成中!

4/28(日) 更新予定です。

当日に立てなよ……

>>3
これは失礼しました。
次からは気を付けます。。


『スマイルプリキュア レインボー!』

このあとすぐ!


ですが、現在最終チェック中なので、もう少しだけお待ちください。。

『スマイルプリキュア レインボー!』

再開します!

〜 七色ヶ丘市 道路 〜


バッタリ


5人「…………」

ビリーズ「…………」

ビリーズ「げぇっ、プリキュア!?」

なお「あぁーっ! あんた! ……あー、……えっと……、ビリ……ビリ……、ビリリン!」

ビリーズ「誰だよ! オレはビリーズだ! 4文字しかないのになんで憶えらんねえんだよ、バカか! バーカ!」

なお「くぅっ……、会っていきなりバカ呼ばわり……絶対許さない! 行くよ、みんな!」

みゆき「え? ……う、うん……」

あかね「……子どものケンカかいな」

ビリーズ(……周りには人間がいねえから、心も吸えねえ……。アキラメーナ出してもしょうがねーんじゃねえのか……!?)

ビリーズ(……かといって、自分で戦うのは絶対イヤだ……! そんなめんどくさい事、誰がやるか……!)

ビリーズ(……どうする……どうするオレ……!?)


シアンナ(回想)『ただ、ちょっと特殊な描き方をしていてね、近くの人間に催眠術をかける能力を持っているわ』


ビリーズ(……待てよ。シアンナの作った "ギャラリー・D" みたいに、描き方変えたらアキラメーナに特殊能力を持たせる事もできるか……?)

ビリーズ(……とりあえずやってみるか! ダメだったら全力で逃げよう!)

(中略)


5人「輝け! スマイルプリキュア!!」


ビリーズ「実体を持ってキャンバスから現れよ、アキラメーナ!」

アキラメーナ(蛇口型)「アキラメーナァッ!」

サニー「まずは小手調べや! うちから行くで! サニー・パァーンチッ!」

ビリーズ「アキラメーナ! 受け止めろ!」

アキラメーナ(蛇口型)「アキラ――」


ドガァッ! ズガァァァンッ!


サニー「……ありゃ? 軽くパンチしただけやのに、吹っ飛んでもーた」

アキラメーナ(蛇口型)「ア……アガガ……」グググ…

ビューティ「……ずいぶん効いているようですね」


ビリーズ「弱っ! 一発で動けねーの!? 弱いな、おい!」


ビリーズ(そうか……! 特殊能力を持たせると、そっちに力取られてメチャメチャ弱くなっちまうのか……!)

ビリーズ(心も吸えねえ……ロクに戦えねえ……。シアンナもセルリアもプリキュア相手に使いたがらないわけだぜ……!)

ハッピー「……どうしよう。やっつけちゃっても、いいのかな?」

ピース「なんだか、ちょっとかわいそうだね……」

マーチ「一気にやっちゃおうよ。ほっといたって、悪さするだけだよ」


ビリーズ「ちくしょう……、言ってろ! いいか! こいつにはなぁ、恐ろしい特殊能力が――」

ハッピー「プリキュア! ハッピー・シャワーァァッ!!」ドバァァァッ!

ビリーズ「おい、バカやめろ! まだ早ぇよ! 特殊能力があるんだってばよ! 使わせろ!」


ドォォォォォォォォンッ!!


アキラメーナ(蛇口型)「アガァァァァァ……」シュワァァァァ…

ビリーズ「あぁーっ! モロに食らった! ヤッベ、消えちまう!」

ビリーズ「おい、アキラメーナ! このまま消えるなよ!? せめて特殊能力使え! ガンバれ!」

アキラメーナ(蛇口型)「ア……ガァァァッ!」ブシュッ! ブシュッ! ブシュッ! ブシュッ! ブシュッ!


ビューティ「!? 蛇口から何か黒い液体が――きゃっ!?」ベシャッ

マーチ「わっ!?」ベシャッ

サニー「うわっ!?」ベシャッ

ハッピー「わわっ!?」ベシャッ

ピース「ひゃぁっ!?」ベシャッ


ビリーズ「お、おお……、お前……! 最後の力を振り絞って……!」

アキラメーナ(蛇口型)「アガァ……」シュワァァァァ…

ビリーズ「よくやった! 感動したぜ! お前がナンバーワンだ!」


ハッピー「うっ……くぅ……! 何コレ……取れない……っ!」


ビリーズ「で、プリキュア! まんまと食らったな! そいつはアキラメーナの出した特殊な闇の絵の具だ! 簡単には取れねえぜ!」

ビリーズ「……さて、とりあえず一発食らわせられたし、オレはもう帰る! その絵の具の恐ろしさはすぐに出る! ビビって腰抜かすんじゃねぇぞ! じゃあな!」シュバッ


サニー「あ! ま、待ちぃ! くっ……追おうにも、絵の具のせいで前が全然見えへん……!」

ピース「体中ベタベタして気持ちワルいよぉ……!」

〜 3分後 〜

あかね?「……ふう。ようやく前が見えるようになってきた……。みんな、大丈夫!?」

みゆき?「ええ、幸い、ケガはないようですね」

なお?「わたしもだいじょうぶだよ」

れいか?「はぁ……、でも気持ち悪かったぁ……。あのベタベタした感じはとりあえずなくなったみたい」

やよい?「しっかし、何やったんやろなぁ、今の。ただの目つぶしやったんかな」


ポップ「何をしたかったのかわからんでござるが……、とりあえず無事でよかったでござる。皆の衆、れいか殿」

れいか?「え? れいか殿? ポップ、何言ってるの? わたし、やよいだよ?」

ポップ「……へ……?」


みゆき?「…………!」

みゆき?「み、皆さん……これは……! まだ理解が追いついていませんが……とんでもないことが起こっているかもしれません……!」

やよい?「奇遇やな、みゆき……。うちもそう思っとったとこや……!」

あかね?「……いや、みゆきちゃん、"かも" じゃないよ……! おかしい……絶対におかしい……!」

なお?「だ、だよね? やっぱりおかしいよね? だって――」

なお?「どうしてわたしがそこにいるのぉっ!!?」


やよい?「なんでうちがそこにおるんやぁ!!?」


れいか?「なんでわたしがそこにいるのぉっ!!?」


あかね?「どうしてあたしがそこにいるの!!?」


みゆき?「なぜ私がそこにいるんですか!!?」




スマイルプリキュア レインボー!

第12話「なにこれー!? みゆきがなおで、あかねがやよい!?」



〜 ふしぎ図書館 〜

ポップ「……えー、では、状況を整理するでござる」


ポップ「アキラメーナの出した闇の絵の具を浴びたプリキュアの皆の衆は、なんと、それぞれ違う者の姿にさせられてしまった、と。そういうことでござるな?」

みゆき?「ええ……、その通りです、ポップさん」

ポップ「その物言い……。今、みゆき殿の姿をしているのは、れいか殿でござるな」


キャンディ「ええー? みゆきがれいかクル? じゃあ、みゆきはどこクルぅ?」

なお?「あ、はーい! キャンディ、わたしがみゆきだよ!」

キャンディ「みゆき? なおじゃないクル? なにがなんだかわかんないクルぅ……」


ポップ「……うむ。このままでは混乱するばかりでござる。まず、誰が誰の姿をしているのか、はっきりさせるでござる」

ポップ「みゆき殿」

なお?「はーい!」


ポップ「あかね殿」

やよい?「ほーい」


ポップ「やよい殿」

れいか?「はい!」


ポップ「なお殿」

あかね?「はい」


ポップ「れいか殿」

みゆき?「はい」


ポップ「これで、誰が誰だかわかったでござるな。つまり、こうでござる。紙に書き出してみるでござる」カキカキ

〜 画用紙 〜

皆の衆の姿はこう変わったでござる!


みゆき殿 → なお殿

あかね殿 → やよい殿

やよい殿 → れいか殿

なお殿 → あかね殿

れいか殿 → みゆき殿

オニニン「……また何ともおかしなことになったオニ」

ウルルン「いや、しかし、あのビリリンとかいうヤツが得意げだったのもうなずけるウル……。ニオイまで今の姿と同じになっちまってるウル」

キャンディ「前にキャンディがみゆきになっちゃったことがあったクル。その時にちょっと似てるクル!」

マジョリン「ああ、あたしがマジョリーナだった時に作った "イレカワ〜ル" マジョ? あれはケッサクだったマジョ!」


みゆき(なおの姿)「もう! 笑い事じゃないよぉっ!」

れいか(みゆきの姿)「……ウルルンさん。ニオイまで変わっている、と言いましたか?」

ウルルン「ああ、そうだウル、みゆ……じゃない、れいか」

れいか(みゆきの姿)「……と、言う事は……」

なお(あかねの姿)「何、れいか? 気になることがあるの?」

れいか(みゆきの姿)「……ええ」


れいか(みゆきの姿)「……今の姿では、プリキュアへの変身はどうなるのでしょうか?」

あかね(やよいの姿)「んー、そういえばそやな。どうなるんやろ? ウルルン、こっち来ぃ。ちょっと変身してみよか」

ウルルン「おうウル」

ウルルン「デコル・チェーンジ!」

パチンッ!

レディ!

あかね(やよいの姿)「プリキュア! スマイルチャージ!!」


シーーーーン…


あかね(やよいの姿)「…………」


やよい(れいかの姿)「あ、ダメなんだ。やっぱり、わたしのカッコだから、サニーにはなれないのかなぁ?」

オニニン「ならあかね、今度はおれ様と試してみるオニ」

あかね(やよいの姿)「ん、わかったわ。やってみる」

オニニン「デコル・チェーンジ!」

パチンッ!

レディ!

あかね(やよいの姿)「プリキュア! スマイルチャージ!!」

ゴー!

ゴーゴー! レッツゴー、ピース!!


ピース(あかね)「ぴかぴかぴかりん♪ じゃん・けん・ポンやっ!(グー) キュアピース!!」


みゆき(なおの姿)「おぉーっ! 変身できたぁ!」

ポップ「なるほど……、今の姿に対応したプリキュアにしか変身できないのでござるな……。なんと不思議な……。これも、闇の絵の具の魔力でござろうか……」


ピース(あかね)「…………」

なお(あかねの姿)「ん? どうしたの、ピース……じゃない、あかね。頭抱えて、うずくまって」

ピース(あかね)「…… "ぴかぴかぴかりん♪" って、勝手に口が動いたわ……。これ、言わなあかんの? 恥ずかしすぎるぅ……!」

やよい(れいかの姿)「えー! なんでぇ!? カワイイのにぃ……」

れいか(みゆきの姿)「プリキュアへの変身については理解できました。ですが、まだまだ問題は山積みです……」


やよい(れいかの姿)「……なんだか、キリっとしてるみゆきちゃん、ヘンな感じ……」

みゆき(なおの姿)「えぇ!? ひどいよ、れい……じゃない、やよいちゃん! それじゃ、いつもわたしがボーっとしてるみたいじゃない! はっぷっぷー!」

ピース(あかね)「にしし、当たっとるやないか」


なお(あかねの姿)「れいかの言う通りだよ。どうやったら元に戻れるのかもわかんないし、そもそも、戻れるのかどうか……」

れいか(みゆきの姿)「それに何より、まず直面する大きな問題があります」

みゆき(なおの姿)「大きな問題?」

れいか(みゆきの姿)「……各自、もうすぐ家に帰らなければならない、ということです……」

4人「…………!」


なお(あかねの姿)「それはつまり……、今、自分がなっている人の家に、ってことだよね……?」

れいか(みゆきの姿)「……ええ……」

みゆき(なおの姿)「そうだよね……。このまま自分のホントの家に帰ったら――」


みゆき(なおの姿)(予想)『ただいまーっ! おかーさーん、お腹すいたー!』

育代(みゆき母)(予想)『あら、緑川さん、いらっしゃい。みゆきはまだ帰ってないわよ』

みゆき(なおの姿)(予想)『違うよ、お母さん! わたし! みゆきだよ!』

育代(みゆき母)(予想)『……? み、緑川さん、大丈夫? おうちに連絡しましょうか?』


みゆき(なおの姿)「――みたいなことに……」

ピース(あかね)「……まあ、そうなるやろな。おかしくなったと思われるだけやで」

れいか(みゆきの姿)「……ですが、こうしていても仕方がありません。ひとまず、それぞれ今の自分の姿のパートナーといっしょに、家に帰りましょう」


みゆき(なおの姿)「じゃあ、わたしはマジョリンといっしょになおちゃんちに」

ピース(あかね)「うちはオニニンといっしょにやよいんちに」

やよい(れいかの姿)「わたしはポップといっしょにれいかちゃんの家に」

なお(あかねの姿)「あたしはウルルンといっしょにあかねの家に」

れいか(みゆきの姿)「私はキャンディといっしょにみゆきさんの家に、ということになりますね」


れいか(みゆきの姿)「もしこのような事になっていることがそれぞれのご家族に知れれば、不必要な心配をさせてしまいかねません。皆さん、できるだけ、その人と同じ行動をするよう心がけましょう」

4人「……うん」


ポップ「……タイヘンなことになってしまったでござるなぁ……」

キャンディ「……クルぅ……」

〜 ギャラリー・D 〜

シアンナ「――なるほど。それで、プリキュア達を別の姿に変えることに成功した、というわけね」

ビリーズ「おう! いやー、我ながらうまくいったもんだ! あいつらの慌てる顔が目に浮かぶぜ!」

セルリア「……でも……それ……意味……あるの……?」

ビリーズ「意味ぃ? んなこたどーでもいいだろ。あいつらにはやられっぱなしなんだぜ? "困らせた" ってだけでスカッとするぜ、なっはっは!」

セルリア「……みみっちい……」

ビリーズ「んだよ、いちいちケチつけやがって! じゃあ、お前ならどーすんだよ!?」

セルリア「……もっと……仕事に……役に立つような……ことをする……」

ビリーズ「ほぉー、役に立つ事? そりゃなんだ? 言ってみろ、ほれほれ!」

セルリア「…………腹立つ……!(ギリッ)」


シアンナ「二人とも、そこまでにしなさい。みっともない」

シアンナ「でも、偶然とはいえ、案外効果はあるかもしれないわね」

ビリーズ「……へ?」

シアンナ「もしこれでプリキュア達の生活リズムが乱れれば、戦いにも支障が出るかもしれない。次に出くわした時優位に事を運べるかもしれないわ」

ビリーズ「…………」


ビリーズ「……お、おお、それそれ、それだよ! それを狙ってたんだよ! さすがシアンナ、オレの作戦を全部言ってくれたぜ! わかってるぅー!」

シアンナ・セルリア「…………」


シアンナ「考えてなかったでしょう、そんなこと。また適当な事言って……」

セルリア「……絶対……考えて……なかった……」

ビリーズ「そ、そんなことねーよ! オレだってやる時はやるっつーの!」

セルリア「……嘘だ……」

シアンナ「嘘ね」

ビリーズ「くぅっ……、二人してバカにしやがって……!」

ビリーズ「見てろ! アイツらが元に戻る前に、今度こそケチョンケチョンにしてやる!」

シアンナ「あら、今日は随分と仕事熱心ね。これから行くの?」

ビリーズ「はぁ? んなわけねーだろ。今日はもう遅いから寝る。明日やってやらぁ! んじゃな、お休みー」


スタスタスタ…


セルリア「……遅いって……まだ18時……」

シアンナ「全く……、どうしようもない怠けぶりね……」

セルリア「……私が……行こうか……?」

シアンナ「……いいわ、放っておきなさい。一応 "明日やる" とは言ってることだし。少しは自分でやらせないとますます怠けるだけよ」

セルリア「……迷惑ばかり……かけて……。……使えない……奴……」

〜 緑川家 〜

みゆき(なおの姿)「おじゃましま……じゃなくって、た、ただいまー……」


トタトタトタ


ゆうた(なお弟・次男)「なおねーちゃん、おかえりー!」

こうた(なお弟・三男)「おかえりー!」

みゆき(なおの姿)「あー、ゆうたくんにこうたくん! ただいまー!」

ゆうた「"くん" ?」

こうた「"くん" ?」

みゆき(なおの姿)「あ、そうだ、"くん" つけちゃダメなんだ……。な、なんでもないよ! ゆうた、こうた!」

ゆうた「ねえねえ、なおねーちゃん、あそぼー!」

こうた「あそぼー!」

みゆき(なおの姿)「え? あ、な、なおねーちゃん、ちょっと疲れちゃったかなー……。また今度にしない?」

ゆうた「えーっ、やだー! あそぼーよー!」

こうた「あそぼーあそぼー!」


みゆき(なおの姿)(困ったなぁ……。今日はこんなになっちゃってヘロヘロなのにぃ……。どうしよう……)

とも子(なお母)「こら、ゆうた、こうた! 遊ぶのは後にしな!」

ゆうた・こうた「えーっ!?」


みゆき(なおの姿)(おおっ、やったぁ! 相手してあげなくてすみそう! なおちゃんのお母さん、ありがとう!)


とも子「遊ぶより、お風呂が先でしょ! なおに入れてもらいな! なお! 悪いけど、二人をお風呂に入れてやって!」

みゆき(なおの姿)「……え?」


みゆき(なおの姿)(け、結局相手するのぉ!? そ、そんなぁ……!)


とも子「あ、それと、お風呂上がったらお夕飯の準備、手伝ってね、なお」

みゆき(なおの姿)(ひえーっ! ハ、ハードすぎる……! なおちゃん、いつもこんなことしてるのー!?)

〜 黄瀬家 〜

あかね(やよいの姿)「ただいまー」

千春(やよい母)「あら、やよい、お帰りなさい」

あかね(やよいの姿)「あ、やよいのお母ちゃん! おじゃましますー」

千春「……え? "おじゃまします"?」


あかね(やよいの姿)(あ……あかん。つい、いつもの感覚で……。ご、ごまかさんと……!)


あかね(やよいの姿)「ちゃ、ちゃうねん! 今のは、夕ご飯の支度ジャマしてもーた、っちゅーことなんやで!」

千春「な、なに? どうしたの、やよい。関西弁みたいな話し方して……」


あかね(やよいの姿)(ひーっ! せやった! 関西弁もあかんのやったーっ!)


あかね(やよいの姿)「な、なんでもあら……ないよ、母ちゃん」

千春「か、母ちゃん? ……ホントにどうしたの、やよい。何かヘンよ?」


あかね(やよいの姿)("母ちゃん" もあかんのかい! もうどうしたらええのかわからんわー!)


あかね(やよいの姿)「ご、ごめんなさい! 部屋に戻るね!」

千春「あ、ちょ、ちょっと、やよい!」


ダダダダッ バタン

〜 黄瀬家 やよい自室 〜

あかね(やよいの姿)「……あかん。いきなりポカやってもーた……。バレてもーたかな……」

オニニン「とりあえず、その言葉づかいをどうにかするオニ。あと、やよいは母親のことを "ママ" って呼ぶオニ」

あかね(やよいの姿)「お、おお、せやった。アドバイス、サンキューな、オニニン。とりあえず、これ以上ボロ出さんようガンバるわ!」

オニニン「あかね! 言葉づかい!」

あかね(やよいの姿)「う……。バ、バレないように、ガンバるよ! ……どや?」

オニニン「"どや" 以外は大丈夫オニ」

あかね(やよいの姿)「……結構しんどいわ、これ……」

〜 青木家 〜

やよい(れいかの姿)「た、ただいまー……」


シーーーン…


やよい(れいかの姿)「……返事がないね。誰もいないのかな?」

ポップ「れいか殿の家は広いでござるから、誰が帰ってきても気づかない事が多いでござる」

やよい(れいかの姿)「へぇー、そうなんだ。広いお家っていうのもタイヘンだね」


やよい(れいかの姿)「……ところで、れいかちゃんのお部屋ってどこだっけ? 前に遊びに来た事あるけど、忘れちゃった」

ポップ「まあ、これだけ広ければ仕方ないでござるな。案内するでござる」

やよい(れいかの姿)「ありがとう、ポップ!」

やよい(れいかの姿)「……!」ピタッ

ポップ「……ん? どうかしたでござるか、やよい殿?」


やよい(れいかの姿)「……ポップ、お部屋より前に、案内してほしいところがあるの……」

ポップ「……? どこでござるか?」

やよい(れいかの姿)「……ええと、あの、その…………お、おトイレ……なんだけど……」モジモジ

ポップ「……!」


やよい(れいかの姿)「ポ、ポップ? どうしたの? で、できれば、早めに教えてもらえるとうれしいんだけど……」

ポップ「……そういえば、わからないでござる……!」

やよい(れいかの姿)「……え? ウソ、だよね……?」

ポップ「拙者達妖精はトイレを使わないでござるから……、場所がわからないでござる……!」

やよい(れいかの姿)「そ、そんなぁ! ど、ど、どうしよう!?」

ポップ「と、とにかく探すでござる!」

やよい(れいかの姿)「ひぇぇー! いきなり大ピンチだよぉー!」

〜 お好み焼き屋 "あかね" (日野家) 〜

なお(あかねの姿)「ただいまー」


大悟(あかね父)「おう、おかえり」

正子(あかね母)「あかね、おかえり」


なお(あかねの姿)(あ、おじさんもおばさんも仕事してる。今あたしがあかねの姿、っていうことは、手伝わないといけないのかな)

なお(あかねの姿)「お父ちゃん、お母ちゃん、お店、手伝おうか?」

正子「ああ、今日はお客さんも少ないしええよ。たまにはゆっくり休みや」

大悟「……今日は仕込みも念入りにしたいしな。店じまいの後の修行も無しや。部屋でぼーっとしとき」

正子(小声)「ふふっ、父ちゃん、あんなこと言うとるけど、ほんまはあかねの体のこと心配しとんねんで。毎日バレーに修行やと参ってまう、ってな」

なお(あかねの姿)「あ、そうなんです――そうなんだ」

大悟「母さん! 余計なこと言わんでええねん!」

正子「はいはい。……せやからあかね。今日はゆっくりしぃや」

なお(あかねの姿)「……うん、ありがとう!」


なお(あかねの姿)(……優しいなあ、あかねのおじさんとおばさん。あたし、当たり引いたかも)

〜 星空家 〜

ガチャッ


育代(みゆき母)「あら、みゆき。お帰りなさい」

れいか(みゆきの姿)「ただいま戻りました、お母様」

育代「……えっ? どうしたの、みゆき、何だかかしこまって。また何かのマネかしら?」


れいか(みゆきの姿)(はっ、いけない……。ついいつものように挨拶を……)

れいか(みゆきの姿)(そうだわ。みゆきさんのように挨拶をしなければ……みゆきさんのように……みゆきさんのように……)


れいか(みゆきの姿)「な、なんでもないよぉー、おかぁさーん。それより、おなかへっちゃったぁー。今日のご飯なぁーに?」

育代「あ、やっぱりいつものおふざけだったのね。どうしたのかと思ったわ。今日は、みゆきの大好きなハンバーグよ」

れいか(みゆきの姿)「えぇー、ほんとぉー! わぁーい、やったぁー!」

育代「うふふ、そんなに喜んでもらえると作り甲斐があるわ。これから作るから待っててね」

れいか(みゆきの姿)「はぁーい! うれしいなったらうれしいなぁー!」


れいか(みゆきの姿)(みゆきさんの話し方、こんな感じ、だったかしら……。少し大げさすぎるかも……。人を真似る、というのは思いの外難しいわ……)

〜 深夜 それぞれの家の寝室 〜

みゆき(なおの姿)(ふぇーっ……、あの後、さんざん家事お手伝いしてもうヘロヘロ……。やっと寝れるよぉ……。それにしても――)


あかね(やよいの姿)(これ、いつまで続くんやろ……。今日は何とかしのげたけども――)


やよい(れいかの姿)(ずーっと、このまんまだったら……。……なんて、まさか、そんなことないよね)


なお(あかねの姿)(そうだよ。意外と寝て起きたら元に戻ってたりして)


れいか(みゆきの姿)(とにかく、明日も学校があることだし、早く寝ましょう……)


5人「……すー……すー……」

〜 翌朝 〜

チュン チュン


5人「…………」


みゆき(なおの姿)(……戻って……なかった……)


あかね(やよいの姿)(……戻って……へんかった……)


やよい(れいかの姿)(……戻って……なかった……)


なお(あかねの姿)(……戻って……なかった……)


れいか(みゆきの姿)(……戻って……ませんでした……)

〜 放課後 ふしぎ図書館 〜

あかね(やよいの姿)「……一晩たったら直るかと思とったけど、そんなことなかったわ……」

なお(あかねの姿)「いつになったら直るのかな、コレ……。ずっとこのまま、って事はないと思うけど……」

れいか(みゆきの姿)「そうですね……。それももちろん気になりますが、それより――」


みゆき(なおの姿)「…………」ドヨーン…
やよい(れいかの姿)「…………」ドヨーン…


れいか(みゆきの姿)「みゆきさん、やよいさん。元気を出してください……」

なお(あかねの姿)「そうだよ! 苦しい時こそスマイル! でしょ?」

あかね(やよいの姿)「そうは言うけどな……。全校女子憧れのサッカー部キャプテン、生徒どころか先生からも信頼される生徒会長、七色ヶ丘中学校スーパースター二人の代わりはさすがにキツいわ……」

マジョリン「みゆき、体育の時間のサッカーで普段のなおじゃ考えられないようなミスをして、周りに呆れられてたマジョ」

みゆき(なおの姿)「(グサッ)」

マジョリン「その上、サッカー部の練習でも失敗ばかり。プレーはミスするわ、指導はできないわ……。結局、お腹痛いことにして早退。おっかけの女の子達もがっかりしてたマジョ」

みゆき(なおの姿)「(グサッグサッ)」


ポップ「やよい殿も、授業で当てられる度に答えを間違っていたでござるからな……。先生方も "優秀な青木さんが?" と驚いておられた」

やよい(れいかの姿)「(グサッ)」

ポップ「生徒会の会議でもオロオロするばかりでまとめられず、結局副会長殿に任せっきりだったでござるな」

やよい(れいかの姿)「(グサッグサッ)」


あかね(やよいの姿)「二人ともそのへんにしといてやってや……。あんまり傷口に塩塗りこむもんやあらへん……」


みゆき・やよい「……うっ、うぅ……うわぁーーーん! だって、だってぇ……!」


あかね(やよいの姿)「あぁー、ほら泣いてもた……。二人とも、アメちゃんあげるから、元気出し」

みゆき(なおの姿)「うん……、ありがと、あかねちゃん……」パク

やよい(れいかの姿)「……ふぉいひー(おいしい)」コロコロ

れいか(みゆきの姿)「みゆきさん、やよいさん、お二人の環境の激しい変化には同情します。ですが……、元に戻れない以上、また遅くならないうちにそれぞれの家に帰らなくては……」

みゆき(なおの姿)「そ、そーだったぁー……! なおちゃん、代わってぇ! みんなの面倒見るのタイヘンすぎるよぉー!」

なお(あかねの姿)「そ、そんなこと言われても……!」


れいか(みゆきの姿)「そういえば、やよいさん。今日は確か、おじい様との書道のお稽古があったはず……」

やよい(れいかの姿)「ええっ!? ム、ムリだよ! わたし、書道なんてできないよぉ!」

れいか(みゆきの姿)「ですがおじい様は厳しい方ですので……、約束を破ればとても怒られてしまうでしょう……」

やよい(れいかの姿)「そ、そんなぁ……!」


あかね(やよいの姿)「ま、みんながんばろや。きっとすぐに元に戻れるて」

みゆき・やよい「……うん……」

〜 緑川家 〜

ガラッ


みゆき(なおの姿)「ただい――」

はる(なお妹・次女)「あ、な、なおねーちゃん、お帰り! タイヘンなの!」

みゆき(なおの姿)「はるちゃ……じゃない、はる。タイヘンって、何かあったの?」

はる「こっち来て! 早く早く!」

みゆき(なおの姿)「あぁっ、腕引っ張らないでよぉっ!」

こうた「うわぁぁーん! あぁーん!」

みゆき(なおの姿)「わっ、こうた、泣いてる……。どうしたの!?」

ひな(なお妹・三女)「あ、なおねーちゃん……! こうたね、誰も遊んでくれないって泣いてるの……。おままごととかで遊んであげようとしたんだけど、"つまんないからやだ" って……」

はる「いつもはけいたにーちゃんとゆうたがヒーローごっことかで遊んでくれるんだけど、二人ともお友達と遊んでていなくて……。わたしはそういうのわかんないし……。どうしよう、なおねーちゃん……!」

みゆき(なおの姿)「そうなんだ……」

こうた「うわぁぁーん! うわぁぁぁーーーん!」


みゆき(なおの姿)(ヒーローごっこかぁ、やよいちゃんだったら得意なんだけど……、わたしもよくわかんないし……)

みゆき(なおの姿)(……でも、こうたくんかわいそう……。なんとか笑顔にしてあげたい……。わたしにできること、何かないかな……、小さい子を笑顔にしてあげられること……)


みゆき(なおの姿)(……! そうだ! いいこと思いついた!)


みゆき(なおの姿)「はる、ひな、ウチにある絵本、全部持ってきて!」

ひな「絵本……? どうするの、なおねーちゃん?」

はる「ひな、なおねーちゃんが言ってるんだから、きっとなんとかしてくれるよ。絵本、いっぱい集めよう!」

ひな「う、うん!」

ドサドサドサッ

はる「なおねーちゃん、絵本、持ってきたよ。どうするの?」

みゆき(なおの姿)「ありがと、はる、ひな! まあ見てて!」


みゆき(なおの姿)「こうた! ほら、見てごらん! 楽しいメルヘンワールドの始まり始まりぃー!」

こうた「ひっく……ひっく……めるへん……?」


みゆき(なおの姿)「昔々あるところに、赤ずきんという女の子がいました。赤ずきんは大好きなおばあさんの家に行きますが、おばあさんはすでに悪いオオカミさんに食べられてしまった後でした」

みゆき(なおの姿)「オオカミさんは言います。"ウルッフッフッフ! 赤ずきん、お前も食べてやるぅー!"。ああっ、赤ずきんちゃん、大ピンチ!」

こうた「……それ、しってる……。りょうしさんがたすけてくれるんでしょ……」

みゆき(なおの姿)「ところがどっこい!」


みゆき(なおの姿)(ここでこっちの本を重ねて……!)サッ

みゆき(なおの姿)「なんと、やってきたのは桃太郎でしたー!」

こうた・はる・ひな「えっ!?」


みゆき(なおの姿)「桃太郎、勇ましくオオカミさんに向かいます! "ややっ、このような女子を襲うとは悪いやつ! この桃太郎が成敗してくれる!"。でも、オオカミさんはとっても強い! 桃太郎もタジタジ!」

みゆき(なおの姿)「ですが、そこに空から一つの影が飛んできました! 誰だろう? 誰だろう!?」

こうた「…………!」ワクワク


みゆき(なおの姿)「助けに来てくれたのは、ピーターパンでしたー! "大丈夫かい、赤ずきんちゃん、桃太郎くん! ぼくが来たからにはもう安心だよ!"。これにはオオカミさんもビックリ!」

みゆき(なおの姿)「さあ、ピーターパンと桃太郎! 力を合わせてオオカミさんに立ち向かいます! 無事に赤ずきんちゃんを守れるのでしょうか!?」


こうた「……なおねーちゃん! つづき! つづき、どうなるの!?」ワクワク

みゆき(なおの姿)「慌てないで、こうた! 続きはね――」


ひな「こうた、すっかりごきげんになっちゃった……」

はる「……なおねーちゃん、すごい……。どうしちゃったんだろう……」

〜 1時間後 緑川家 寝室 〜

みゆき(なおの姿)「……はっぷっぷー……。疲れた……」グデーン

マジョリン「でも、さっきのみゆき、すごかったマジョ! 絵本をあんな読み方するなんて思わなかったマジョ!」

みゆき(なおの姿)「絵本は大好きだから、ああしたら面白いかな、って思って。こうたくん、喜んでくれてよかったぁ……」

みゆき(なおの姿)「……でも、なおちゃんってすごいなぁ……」

マジョリン「マジョ? なおがどうかしたマジョ?」

みゆき(なおの姿)「なおちゃん、サッカー部のキャプテンなのに、おうちのみんなのお世話もちゃんとしてるんだよね……。わたしなんかじゃ全然ムリだよ……」

マジョリン「……そうだねぇ。あたしもここでなおを身近に見てきて、つくづく感心するマジョ。すごくタイヘンなのに、いつも家族みんなの面倒はしっかり見るマジョ。……本当に、すごいマジョ」

みゆき(なおの姿)「うん……。きっと、なおちゃんがみんなを大切に思ってるからできるんだね」

〜 黄瀬家 〜

千春「やよいー! "週刊スマイル" の梅沢さんから電話よー!」

あかね(やよいの姿)「え、うち……じゃない、わたしに? はーい!」


やよい担当編集・梅沢(電話)『やあ、黄瀬さん! この間打ち合わせで保留にしてた "ミラクルピース" の主人公の部活についてだけど、もう決まった?』

あかね(やよいの姿)「え!? ぶ、部活、ですか……?」

梅沢編集(電話)『そうそう、主人公が所属する部活の設定。その場では決まらなかったけど、決まったかなって思って』


あかね(やよいの姿)(あ、あかん……。これ、やよいの描いとる漫画の話やな……。テキトーに答えたらあかんのやないやろか……!)


あかね(やよいの姿)「ス、スミマセン、実はまだ……」

梅沢編集(電話)『え、そうなの? でも、そろそろ決めないと制作に取り掛かれないでしょ。いい機会だからここで決めちゃおう! 何かないかい?』

あかね(やよいの姿)「! え、え、ええーっと……!」


あかね(やよいの姿)(な、なんやコレ……、うちが決めなあかんの……!? うち、漫画のことなんてわからへんで……。どないしたら――)


梅沢編集(電話)『ああ、そうそう。ミラクルピースは友情で戦うヒーローだから、チームワークが育てられる部活にしたいね』

あかね(やよいの姿)「……!」

あかね(やよいの姿)「……それだったら、バレーボールがいいんじゃないかと思います」

梅沢編集(電話)『おっ、バレーボールかい? またどうして?』

あかね(やよいの姿)「バレーボールは、狭いコート内に 6人しかいません。そのどこにでも、いつでもボールが飛んできます。だから、みんながガンバることがめっちゃ大事なんです」

梅沢編集(電話)『ふむふむ』

あかね(やよいの姿)「それに、攻撃にしたってそうです。ほんのちょっとトスのタイミングがズレるだけで、アタックも全然うまくいきません。チームの信頼関係がないとダメなんです」

あかね(やよいの姿)「そんなバレーボールだったら、チームワークを育てるにはピッタリなんじゃないでしょうか」

梅沢編集(電話)『なるほど……』

梅沢編集(電話)『……それいいね! 確かに黄瀬さんの言う通りだ。バレーボールでいこう!』

梅沢編集(電話)『それに、黄瀬さんからいつにも増して熱い気持ちと力強さが伝わってきたよ! それならきっといい作品が描けるね!』

あかね(やよいの姿)「……あ、は、はい! ありがとうございます!」

梅沢編集(電話)『次の作品も期待してるよ! 頑張ってね!』


ガチャン


あかね(やよいの姿)(……ふう。つい勢いで答えてもーたけど、よかったんやろか……)

〜 黄瀬家 やよい自室 〜

あかね(やよいの姿)「……あぁー、キンチョーしたわ! やよい、いっつもこんな気持ちで話し合うとるんかなぁ……」

オニニン「……あかね。やよいがタイヘンなのは、編集さんと話すことだけじゃないオニ。机の上から 2番目の引き出しを見てみるオニ」

あかね(やよいの姿)「引き出し? なんやろ」


ガラッ


あかね(やよいの姿)「なんやこれ……。原稿が山盛りやん」

オニニン「それ全部、ボツになった原稿オニ」

あかね(やよいの姿)「え!? ボツ……っちゅーことは、この漫画、失敗しとるの? ……こんなによう描けとるのに……!」

オニニン「やよいはいっつも、緊張しながら編集さんに漫画を見てもらって、それだけの失敗をしてるオニ」

オニニン「それでも絶対にあきらめないで漫画を描き続けてるオニ。毎日毎日」

あかね(やよいの姿)「…………」

オニニン「おれ様は、そんなやよいがとってもすごいと思うオニ。だからつい、応援したくなるんだオニ」


あかね(やよいの姿)「……うち、やよいに根性があるっちゅーのはわかっとった……つもりやった。けど、こんなタイヘンな思いしとったんやな……。全然知らへんかったわ……」

あかね(やよいの姿)「オニニンの言う通りや。ほんまスゴいわ、やよい……」

〜 青木家 祖父の間 〜

曾太郎(れいか祖父)「時間通りだな、れいかよ。それでは稽古を始めるとしよう」

やよい(れいかの姿)「は、はい、おじい様」


やよい(れいかの姿)(け、結局書道のお稽古することになっちゃったよぉ……。どうしよう、ヘタな字書いたら、怒られるのかなぁ……)


曾太郎「ではまず、わしが手本を見せる。それに従って書いてみるがよい」


スラスラッ


曾太郎「……うむ。これならよかろう。さあ、れいかよ、これを元に書いてみよ」

やよい(れいかの姿)「わ、わかりまし――」


やよい(れいかの姿)(……! な、なにこれ……。う、うまい、のかなぁ……? ぐにゃぐにゃしてて、何書いてあるのかわからない……。こんなの書けないよぉ……!)

曾太郎「……む? どうした、れいかよ。気が緩んでおるぞ。しっかりせんか」

やよい(れいかの姿)「は、はい! ご、ごめんなさい!」


やよい(れいかの姿)(ど、どうしよう……、れいかちゃんのおじいちゃん、怒ってる……! ちゃんと書かないと……!)

やよい(れいかの姿)(で、でも、何書いてあるのかわからないし……、聞いたら聞いたで怒られそうだし……!)


やよい(れいかの姿)(どうしよう……どうしよう……どうしよう……どうしよう……どうしよう……!)クラクラ


やよい(れいかの姿)「……(プッツン)」

やよい(れいかの姿)(……もう、いいや。どうせこんな字書けないもん。どうせ怒られるなら、好きなものを描こう。わたしの一番、好きなものを)

やよい(れいかの姿)「(グッ)」スラスラッ


曾太郎「むっ!? これは……!」


曾太郎(書を書くれいかから、今までにない気迫を感じる……! これまでに見せたことのないほどの……!)

曾太郎(なんという真剣さ……。まさに文字通り、研ぎ澄まされた刃のようだ……! れいか、いつの間にこれほどまでに……)


曾太郎(……い、いや、だがしかし、これは……!?)

曾太郎「れ、れいかよ。それは、何を描いておるのだ?」

やよい(れいかの姿)「……え? あっ!」


やよい(れいかの姿)(パニックになって、つい漫画のキャラクター描いちゃった……! お、怒られるぅ……!)


曾太郎「何を描いているのだと聞いておる」

やよい(れいかの姿)「は、はいっ! えっと、"ミラクルピース" です……」

曾太郎「み、みら……?」

やよい(れいかの姿)「…………!」ダラダラ


やよい(れいかの姿)(も、もう限界……! おじいちゃんの視線に耐えられない……!)

やよい(れいかの姿)「ご、ごめんなさぁー―― (ガッ)」


ドタッ!


やよい(れいかの姿)「〜〜〜〜〜〜〜っ!」


曾太郎(……た、立ち上がろうとして、裾を踏んで顔から転んだ……!? あのれいかが……?)


曾太郎「れ、れいかよ、大丈――」


やよい(れいかの姿)「ご、ごめんなさぁーい!」ダッ


タタタタタタッ…


曾太郎「ま、待つのだれいか!」


曾太郎(……行ってしまった。一体どうしたというのだ……。まるで、いつものれいかとは別人。狐にでもつままれたようだ……)

曾太郎(……だが、しかし)チラリ

曾太郎(……この絵、"みらくるぴぃす" と言ったか)


曾太郎(これは、なかなかどうして……)

〜 青木家 れいか自室 〜

やよい(れいかの姿)「…………」

ポップ「……元気を出すでござる、やよい殿」

やよい(れいかの姿)「でもまた失敗しちゃった……。れいかちゃん、すごすぎるよ……、なんでもできちゃうんだもん……。やっぱり、わたしなんかとは元が違うんだよ……」

ポップ「……そうでもないでござるよ」

やよい(れいかの姿)「……えっ?」

ポップ「いっしょに暮らしている拙者にはわかるでござる。普段、れいか殿が陰でどれほど努力をしているか」

ポップ「学校の勉強の予習はもちろんのこと、生徒会で課題があれば、その解決のために夜通し頭を悩ませたり。おじい様殿に書を習えば、それを忘れぬよう、ひたすら復習したり」

ポップ「れいか殿はその努力にかける気持ちがすごいだけであって、それ以外はいたって普通の女の子でござるよ」

やよい(れいかの姿)「そう……なんだ」

ポップ「それを可能にしているのは、きっとれいか殿の目指す "道" のためなのでござろうな」

やよい(れいかの姿)「……れいかちゃんの目指す "道" って何なのかな? ポップは知ってるの?」

ポップ「……拙者にも、おそらくれいか殿本人にもはっきりしたことはまだわからないのでござろうが、おそらく…… "みんなを喜ばせるため" なのではないか、と思うでござるよ」

やよい(れいかの姿)「……"みんなを喜ばせるため" にガンバる……かぁ……」

〜 お好み焼き屋 "あかね" (日野家) 〜

なお(あかねの姿)「ただいまー」


ガヤガヤガヤ


なお(あかねの姿)(わっ、すごいお客さん……!)


大悟「お、あかね! ええとこに来たわ! 見ての通り大繁盛や! 今日はしっかり手伝い頼むで!」

なお(あかねの姿)「あ、うん、わかった!」


なお(あかねの姿)(……とは言ったものの、お好み焼き屋の手伝いなんて、うまくできるかな……)

なお(あかねの姿)(……まあ、いいか! 何とかなるよね! いざ、直球勝負!)

ジュージュー


なお(あかねの姿)「よっと」ヒョイッ


ペタンッ


なお(あかねの姿)(うん! 結構イケる! 料理の腕は家の手伝いで鍛えられてるからね。あかねほどじゃないけど、うまく焼けた!)


なお(あかねの姿)「お母ちゃん、一枚焼けたよ! これ持ってって――」

大悟「……ちょお待てや。あかね、何やそれ。そんなんお客さんに出す気やないやろな?」

なお(あかねの姿)「……えっ? そんなんって……これ、結構うまく焼けて――」

大悟「ほんまにそうか? もうそれええから、中割ってみ。生焼けなんと違うか?」


パカッ


なお(あかねの姿)「……ホントだ……。まんべんなく火が通ってない……」

大悟「ほれ見ぃ、ゆーた通りやろ」

なお(あかねの姿)「……うん……」

なお(あかねの姿)「……でも、お父ちゃん、なんでわかったの? これがうまく出来てない、って」

大悟「そんなもん、お前の作り方見とったらわかるわ。真剣さが全然足りてへんかった。遊びで作ってるような感じやったからや。いつものお前はそんなんちゃうやろ」

なお(あかねの姿)「……あたしは……」


なお(あかねの姿)(確かに、普段から練習してるわけでもないのに、何とかなると思っちゃってた……。その気楽さがお好み焼きに出ちゃったんだ……!)


大悟「……調子悪いのか知らんが、そんなん出されてもお客さんはメイワクや。商売、なめたらあかんで。今日もわいが一人でどうにかするから、お前は引っ込んどき」

なお(あかねの姿)「……わかった……」トボトボ

〜 日野家 あかね自室 〜

なお(あかねの姿)「……はぁ……」

ウルルン「なんだウル、なお。お前までみゆきややよいみたいに落ち込んじまって」

なお(あかねの姿)「落ち込みもするよ……。人のためにご飯を作って、それでお金をもらってる人の真剣さ、あたし軽く考えてた……。とっても厳しいんだ……!」


なお(あかねの姿)「あかねはスゴいなぁ……。いっつもこんなタイヘンなことして、あんなに明るく笑ってられるんだから」

ウルルン「何言ってるウル。あかねだって、しょっちゅう落ち込んだりしてるウル。"バレーの練習がうまくいかへんかったー" だの、"お好み焼き焼くん失敗したー" だの」

なお(あかねの姿)「えっ……そうなの?」

ウルルン「そうウル」


ウルルン「あいつのホントにすげえところは、それでもめげないところウル」

ウルルン「周りのみんなに元気になってほしいから、笑顔になってほしいから全力でガンバる。だからいつも太陽みたいに明るく笑えるんだウル」


なお(あかねの姿)「……そっか。あかねのスゴさ、改めてちょっと分かった気がするよ」

赤ん坊「あぁーーん! あぁぁーーーん!」


なお(あかねの姿)「えっ!? 赤ちゃんの泣き声!? お店の方からだ」

ウルルン「なんかあったウル?」

なお(あかねの姿)「わかんない……。けど、放っておけないよ! 行ってくる!」

〜 お好み焼き屋 "あかね" 〜

赤ん坊の母親の女性客「こ、困ったわ……、急にどうしたのかしら……!」


タタタタタ


なお(あかねの姿)「お母ちゃん、どうかした? 赤ちゃんの泣き声が聞こえたけど」

正子「ああ、あかね! 子連れで来てたお客さんの赤ちゃんが突然泣き出してもーて……。お母さんも泣き止ませられへんみたいなんや」


男性客A「なあ、奥さん。あんまり言いたかないが、その子、何とかならない? 落ち着いて食べられないよ」

赤ん坊の母親の女性客「すみません、すぐに泣きやませますので……! お願い、泣きやんで……!」


なお(あかねの姿)「…………」

なお(あかねの姿)「あの、もしよかったらあやさせてもらえないでしょうか」

赤ん坊の母親の女性客「え……? あなた、このお店の子よね。そんなことできるの?」

なお(あかねの姿)「いつも赤ちゃんの相手をしてますから、できるかもしれません」

赤ん坊の母親の女性客「そ、そうなの? じゃ、じゃあ、お願いしようかしら……」

なお(あかねの姿)「はい! やってみます!」

なお(あかねの姿)「ほぉーら、おねーちゃんがいなくなっちゃうよー! いないいない……ばぁー!」

赤ん坊「あぅ……あぁ?」

なお(あかねの姿)「あれ、すぐ泣きやんでくれたね。そしたら、ちょっと抱っこさせてね。ほらっ、高いたかーい!」

赤ん坊「……あはっ! あははっ!」

なお(あかねの姿)「うん、もう笑顔になっちゃった! キミ、強い子だね!」


客達「……お、おぉー!」パチパチパチ!

正子「あかね! あんたすごいやないの! 赤ちゃんカンペキにあやしてもーたで!」

赤ん坊の母親の女性客「ありがとう、ホントに助かったわ!」

なお(あかねの姿)「い、いやぁ、それほどでも……」


なお(あかねの姿)(お好み焼きは焼けなかったけど……、ちょっとはお店の役に立てたかな?)

〜 星空家 玄関前〜

キャンディ「れいか、どうしたクル? 入らないクル?」

れいか(みゆきの姿)「ちょっと待って、キャンディ。その前に集中を。……みゆきさんのように……みゆきさんのように……みゆきさんのように…………よし!」


ガチャッ


れいか(みゆきの姿)「たっだいまー! おかぁーさーん、お腹空いちゃっ――」


育代「……はぁ……はぁ…っ…!」グデッ

れいか(みゆきの姿)「……! お母さん!? 大丈夫ですか!? お母さん!」

〜 星空家 寝室 〜

ピピピッ


れいか(みゆきの姿)「体温計は 38℃……。風邪のようですね」

育代「……ありがとう、みゆき……。お昼過ぎたくらいから急に具合が悪くなっちゃって……。ゴメンね、夕飯の支度もしないといけないのに……」

れいか(みゆきの姿)「いえ、お体は大事になさって、ゆっくり休んでください。お夕飯のしたくは、その間に私がしておきますから」

育代「みゆきが、やってくれるの……?」

れいか(みゆきの姿)「はい! 任せてください」

育代「……うれしいけど、やめておいてくれるかしら。ムリはしないで……」

れいか(みゆきの姿)「……お母さん……?」

育代「みゆき、家事あんまり得意じゃないでしょ? もし失敗してみゆきに何かあったら、って思うと、お母さん心配で……」

育代「みゆきはいっつも他の誰かのために、できないことでも一生懸命やろうとしてくれるわね……。その優しい気持ちだけで、お母さんは嬉しいわ……。だから、あまりムリはしないでね……」


れいか(みゆきの姿)「お母さん……! ……わかりました、決してムリはしません。だから、今は安心してゆっくり休んでください」

育代「ええ、わかったわ……。ありがとう……みゆき……」

〜 星空家 台所 〜

トントントン グツグツグツ


キャンディ「れいか、みゆきはお料理できないクル。やっちゃってもいいクル? ヘンに思われるかもしれないクル」

れいか(みゆきの姿)「構わないわ。みゆきさんのお母様のあの様子、見過ごせないもの。お口に優しいものを作って、早く元気になってもらいたいと思うの」

キャンディ「クル……! さすがれいかクル! みゆきだったら、お料理作ろうとしてもきっともう何か失敗しちゃってるクル」


れいか(みゆきの姿)「……それでも、きっとみゆきさんも、同じ状況になったらお料理を作ろうとするのよね」

キャンディ「クルぅ? どうしたクル、れいか? しみじみしてるクル」


れいか(みゆきの姿)「できることをやるのは簡単だわ。でも、みゆきさんは、できないことでも何とか頑張ってやろうとする。ただまっすぐに、前向きに」

れいか(みゆきの姿)「失敗を恐れず……いえ、怖くても、誰かのためなら一生懸命頑張れる。それは、とても素晴らしい事だと思うわ」

れいか(みゆきの姿)「だから、お母様からもあんなに愛されて……。私、みゆきさんのそういうところを尊敬しているの」

キャンディ「……れいか」

れいか(みゆきの姿)「キャンディ。もしかしたら今回の事件、とても良い体験になったかもしれないわね。他の人の環境に身を置くことで、その人のいいところ、素敵なところがよくわかるから」

れいか(みゆきの姿)「他の皆さんも、みんなの良さを改めて感じ始めてるんじゃないかしら」

キャンディ「クル、きっとそうクル!」

ズラッ


れいか(みゆきの姿)「ふう、お夕飯完成ね」

キャンディ「れいか、すごいクル! さすがクル――」


ピクン


キャンディ「! れいか、イヤな感じクル! たぶんデスペアランドクル!」

れいか(みゆきの姿)「えっ!? こんな時に……! キャンディ、私はみなさんに連絡を取ります! 出かける準備をしておいてください!」

キャンディ「わかったクルぅ!」

〜 七色ヶ丘市 河川敷 〜

ビリーズ「ふあぁぁぁ……。夕暮れ時になると、どうしても眠くなるんだよなぁ……。ったく、ホントはもっと寝ててーのに、シアンナが "行け" ってうるせーから……ぶつぶつ」

ビリーズ「……まあ、でも」


アキラメーナ(橋型)「アキラメーナァ!」


仕事帰りのサラリーマン「……う、あぁ……」

七色ヶ丘中学校・男子学生「……うう……」


ポチョン ポチョン


ビリーズ「濁った絵の具も取れたし、良しとすっか。……さて、もうちょっと動き回って絵の具稼ぐかな」


みゆき(なおの姿)「ちょっと待ったぁ!」


ザッ


ビリーズ「……来やがったな、プリキュア!」

ビリーズ「お前ら、まだ元に戻ってねーんだろ!? そんなんでうまく戦えんのかぁ!? 逃げるんなら今のうちだぜ!」


なお(あかねの姿)「だからって、放ってなんておけないよ!」

あかね(やよいの姿)「せやで! このまんまでも、あんたなんかちょちょいのちょいや!」

ビリーズ「言ったなこの! やれるもんならやってみやがれ!」

やよい(れいかの姿)「そうするよ! また失敗しても知らないんだから!」

れいか(みゆきの姿)「皆さん、変身しましょう!」


4人「うんっ!」

妖精達「デコル・チェーンジ!」

パチンッ!

レディ!

5人「プリキュア! スマイルチャージ!!」

ゴー! ゴーゴー! レッツゴー!!


ハッピー(れいか)「キラキラ輝く、未来の光! キュアハッピー!!」

サニー(なお)「太陽サンサン、熱血パワー! キュアサニー!!」

ピース(あかね)「ぴかぴかぴかりん♪ じゃん・けん・ポンやっ!(パー) キュアピース!!」

マーチ(みゆき)「勇気リンリン、直球勝負! キュアマーチ!!」

ビューティ(やよい)「しんしんと降り積もる、清き心。キュアビューティ!!」


5人「5つの光が導く未来!」

5人「輝け! スマイルプリキュア!!」


ピース(あかね)「……ぴかりんじゃんけん 2回目……。恥ずかしすぎて、もうお嫁に行かれへん……」

ビューティ(やよい)「ええ!? そんなに!?」

ビリーズ「さて、普段と違うカッコでどんだけやれるか、見せてもらおうじゃねーか!」


マーチ(みゆき)「言われなくったって! 行くよっ!」ダッ


ギュンッ ドドドドドッ


マーチ(みゆき)「えっ!? な、何これ、走るの速すぎぃ!? と、止まれないぃぃ! 川に入っちゃうぅぅぅ!」


ザバババババッ


マーチ(みゆき)「あ、あれ? わ、すごい! 水の上走ってるよ!」

マジョリン(デコル)「マーチの脚力なら、片方の足が沈む前にもう片方の足を出して、水の上を走る事ができるマジョ!」

マーチ(みゆき)「あははっ! すごいすごい! 楽しぃーー!」


ザボ ザボ ザボ


マーチ(みゆき)「……あれ? マジョリン、ちょっとずつ沈んできてるよ?」

マジョリン(デコル)「いくらマーチでも、そんなに長くはムリマジョ」

マーチ(みゆき)「えぇー!? 早く言って――ガボガボガボ」


4人「…………」


ビリーズ「だっはははは! 川に沈んでやんの! バカじゃねーの!」

ピース(あかね)「……こ、こうなったらうちがやったんで!」

サニー(なお)「え!? みゆきちゃん、助けなくていいの!?」

ピース(あかね)「そうはゆーても……!」


アキラメーナ(橋型)「アキラメーナァ!」ドスゥゥゥン!


ビューティ(やよい)「ひゃぁっ!?」

ピース(あかね)「このままやと、あの橋の脚でペッチャンコや! うちらだけで何とかせな!」

サニー(なお)「た、確かに……! 助けてる余裕はなさそうだね……」

ピース(あかね)(……せやけど、ピースって何ができたやろか? 今一つ思い出せんわ……)

ピース(あかね)(……えーい、とりあえず、これや!)


ピース(あかね)「プリキュア!」バッ

ビューティ(やよい)「あ! あかねちゃん、それは――」


ピシャァン!


ピース(あかね)「あばびゃばばば!?」ビリビリッ


ビューティ(やよい)「――ツラいからやめた方がいいよ、って言おうとしたのにぃ……」

ピース(あかね)「……な、なんやコレ……。ピース・サンダーって、こんなにツラかったん……!?」ビクビク

ビューティ(やよい)「うん……。だからいつまでたっても "ひゃあっ" ってビックリしちゃうの」


ビリーズ「ぷぷーっ! 自分の技にも耐えらんねーのかよ! だっせーなぁ!」

ピース(あかね)「……やっ……やかましわ……!」

ビリーズ「そーれ、アキラメーナ、今だ! 踏んづけちまえ!」

アキラメーナ(橋型)「アキラメーナァ!」グアッ

ピース(あかね)「……! あかん……!」


サニー(なお)「あかね! 今助けに――」ダッ


ノロッ


サニー(なお)「遅っ!」

ウルルン(デコル)「遅いわけじゃねえウル! 普段のお前が速すぎんだウル!」

サニー(なお)「あっ……いつもの調子で走り出したからバランスが……! (ドテッ) ふぐっ」

アキラメーナ(橋型)「アキラメーナァ!」ドシィィィィン!

ピース(あかね)「うわぁぁぁぁっ!?」


ビリーズ「いよっしゃぁ! まず一人ぃっ!」

サニー(なお)「……! あ……あかねぇぇぇぇっ!!」


ザッ


ハッピー(れいか)「大丈夫よ、なお、落ち着いて。あかねさんは私が抱えて助けました」

サニー(なお)「あ、ホントだ。よ、よかった……」

ピース(あかね)「お、おおきに、れいか……!」

ハッピー(れいか)「いえ、礼には及びません。……ですが、このままでは……!」


アキラメーナ(橋型)「アガッ! アガッ! アガッ! アガッ!」ドスンッ! ドスンッ! ドスンッ! ドスンッ!

ビューティ(やよい)「わっ、たっ、ひゃっ、きゃっ!?」


ハッピー(れいか)「ハッピーとビューティにはクセがないから、私とやよいさんは何とか動けますが……。二人だけであのすごいパワーのアキラメーナと戦うのは困難です……!」

ハッピー(れいか)「ど、どないしたらええんや……!」


ビリーズ「はっはっはぁ! 予想以上に効果バツグンみたいだなぁ!? 満足に戦えねえ上に、このアキラメーナは強え! 諦めて逃げちまった方がいいんじゃねーのー?」

サニー(なお)「くっ……!」

ドドドドド…


ピース(あかね)「……ん? あれ何や? 川の方から、何か走ってくんで?」

ハッピー(れいか)「……あ、あれは……!」

ビューティ(やよい)「マーチ! みゆきちゃん!?」


ドドドドド!


マーチ(みゆき)「だぁぁぁぁぁっ!! マーチ・ロケットぉっ!」バッ


ゴチィィィィン!


アキラメーナ(橋型)「アガァッ!?」グラッ

ビリーズ「あぁ!? なんだ、アイツ! 走ってそのまま頭から突っ込みやがった!?」


マーチ(みゆき)「〜〜〜〜〜〜っ……! 痛ぁっ……!」

ビリーズ「バカか、お前! 頭からぶつかったらそりゃ痛えに決まってるだろーが!」

マーチ(みゆき)「で、でも……、どうせ止まれないならこうするしかないじゃない……! マーチだったらこうするよ……!」


マーチ(みゆき)「だってマーチは……なおちゃんは……いつだって体を張って、わたし達を助けてくれるから! 今のマーチは……わたしなんだもん! わたしだってそうしなきゃ!」


4人「…………!」

ハッピー(れいか)「……皆さん、みゆきさんの言う通りです。普段通りに動けないのなら、思い出してください。いつも、私達が皆さんにどのように助けられているかを」

ハッピー(れいか)「思い出してください。それぞれのいいところ、優しさを」


ピース(あかね)「いいところ……!」

サニー(なお)「優しさ……!」


ビリーズ「何ごちゃごちゃ言ってやがんだ! アキラメーナ! キュアマーチを踏み潰せ!」

アキラメーナ(橋型)「アキラメーナァ!」グアッ

マーチ(みゆき)「あ、わわっ!?」


ドスゥゥゥゥン!


マーチ(みゆき)「……っ……、……あれ? 何ともない?」

サニー(なお)「ぐぐぐぐっ……!」

マーチ(みゆき)「! なおちゃん!」

ビリーズ「キュアサニー! アキラメーナの脚を受け止めやがった!?」


サニー(なお)「あかねのいいところは……みんなの笑顔のためなら絶対めげない……熱血パワーだぁぁぁぁっ!」バッ


グアッ


ビリーズ「げっ! そのまま脚を押し返した!?」

アキラメーナ(橋型)「ア、アガァッ!?」グラッ

ビリーズ「おい、アキラメーナ! 倒れるんじゃねえぞ、踏ん張れよ!」


ビューティ(やよい)「プリキュア! ビューティ・ブリザァァードッ!!」


バキバキバキバキ


ビリーズ「あ! アキラメーナの足元の地面が凍って……!」


ツルッ


アキラメーナ(橋型)「ア、アガァァァッ!?」ドドォォォォン!

ビリーズ「あぁー! 滑ってこけちまったぁ!?」


ビューティ(やよい)「れいかちゃんのいいところは、いつだってわたし達のことを考えてくれる優しさだよ! だからわたしも、みんなの力になれるようガンバって考える!」


ピース(あかね)「! 今やっ!」

ピース(あかね)「プリキュア! (ピシャァン!) うぐっ……! ピース・サンダーァァッ!!」


バリバリバリバリ!


アキラメーナ(橋型)「ア、アガガガガガッ!?」ビリビリ

ビリーズ「あぁ!? 何でだよ! キュアピース、その技撃てないんじゃなかったのかよ!?」


ピース(あかね)「な、なめたらあかんで……! やよいのいいところは……どんな時でもあきらめない……ド根性や……! うちかてこれくらい……やったるわ……!」


アキラメーナ(橋型)「ア、アガァッ……!」グググ

ビリーズ「はっ、だけどよぉ! 一発じゃ全然倒せねえなぁ! オレのアキラメーナは強くなってるんだぜ!?」


ハッピー(れいか)「それでも構わず前に向かって突き進む。それが私が思う、みゆきさんのいいところです」


ザッ


ビリーズ「げっ! いつの間にか全員揃ってやがる! お、おい、まさか……!」

ハッピー(れいか)「そのまさかです。皆さん、一斉に攻撃しましょう。そうすれば必ず倒せるはずです。……あかねさん、大丈夫ですか?」

ピース(あかね)「……へへっ、今のうちはキュアピースやで? このくらい……へっちゃらや!」

ハッピー(れいか)「……わかりました。では、参りましょう!」


4人「うんっ!」

マーチ(みゆき)「プリキュア! マーチ・シュートォォッ!!」

ピース(あかね)「プリキュア! (ピシャァン!) っ……! ピース・サンダーァァッ!!」

ビューティ(やよい)「プリキュア! ビューティ・ブリザァァードッ!!」

サニー(なお)「プリキュア! サニー・ファイヤーァァッ!!」

ハッピー(れいか)「プリキュア! ハッピー・シャワーァァッ!!」


ドドドドドォォォォォォォォンッ!!


アキラメーナ(橋型)「アガァァァァァ……」シュワァァァァ…


ビリーズ「ま、ま、またやられたぁぁぁっ! ちっくしょぉぉぉ! もうちょっとだったのにぃぃ!」

ビリーズ「く、くそっ、今日のところはこのへんでカンベンしてやらぁ!」シュバッ

やよい(れいかの姿)「良かったぁ……、今回も何とかなったね」

あかね(やよいの姿)「一時はどうなることかと思たけどな」

れいか(みゆきの姿)「ええ、アキラメーナ、やはり強くなっていますね……。みんなで力を合わせられなければ、どうなっていたか……」

ポップ「うむ……。これは、急いだ方が良さそうでござるな……」

なお(あかねの姿)「? ポップ、"急ぐ" って何を?」

ポップ「もう少ししたら話すでござるよ」

パァッ…!


みゆき(なおの姿)「あれ? なんだか、みんな体が光ってない?」

あかね(やよいの姿)「ほ、ほんまや! なんやこれ!?」


パァァァンッ


やよい「……あ……」

なお「これ、もしかして……」

れいか「ええ、そのようですね……!」


5人「元に戻ったぁーーっ!」


なお「ビリなんとかやっつけたおかげかな?」

あかね「単に時間の問題やったのかもしれへんけどな」

やよい「どっちにしても、元に戻れてよかったぁ……! ずっとあのままだったらどうしようかと思ったよぉ……」

みゆき「……タイヘンだったけど、わたしはなおちゃんのことがわかってちょっとハッピー、かな。えへへ」

あかね「……せやな。みんな、普段は見られないみんなのええところ、見られたんちゃうか」

やよい「そうだね。前よりもっとみんなと仲良くなれそうな気がするよ!」

なお「……もう二度と姿が変わるのはゴメンだけどね。あはは」

れいか「では、皆さん、帰りましょう! それぞれの帰るべき場所へ!」


4人「おぉーっ!」

〜 数日後 星空家 〜

みゆき「たっだいまー! おかぁーさーん、お腹空い――」

育代の主婦友達A「あら、みゆきちゃん! おジャマしてるわ」

育代の主婦友達B「今日はみゆきちゃんが夕ご飯作ってくれるんですって? 楽しみだわぁ!」


みゆき「……え? お、お母さん? これって……」


育代「この間、お母さんが風邪で倒れた日、すっごくおいしい料理作ってくれたでしょ? 私、感動しちゃって……。せっかくだから、お母さんのお友達の皆さんにも作ってあげてほしいの!」

みゆき「……へ? 何? 料理? わたしが? 何で?」


みゆき(あ……。お母さんが風邪で倒れた日、って、れいかちゃんがわたしになってた日だ……! っていうことは、れいかちゃん……何かしたんだ……!)

〜 日野家 〜

赤ん坊A「おぎゃぁーっ! おぎゃぁーっ!」

赤ん坊B「わぁぁーん! うわぁーーん!」


あかね「……母ちゃん、何これ。ウチの店、いつから保育園になったん?」

正子「この間、あんたが赤ちゃんを見事にあやしてみせたやろ? あれが近所のママさん達の間で評判になったみたいやわ。"子どもを預けられるお好み焼き屋" って」

あかね「……は? 何それ? 何なん?」

正子「そーゆーわけやから、またあの子ら、あやしたってや。頼んだで!」

あかね「な、何ゆーとんの? うちはお好み焼きは焼けても、赤んぼの世話は焼けへんで? なんつって」


あかね(……ゆーとる場合ちゃうわ。なおぉー……、うちがおらん間に何てことしてくれたんや……!)

〜 七色出版("週刊スマイル" 出版社) 待合室 〜

梅沢編集「え? 主人公の部活、吹奏楽部にするの? バレーボールじゃなかったっけ?」

やよい「……え? あ、あの、何でですか? わたし、部活は吹奏楽部にしようって決めてたんですけど……」

梅沢編集「おかしいな……。この間電話した時、あんなに熱くバレーボールについて語ってくれたじゃない。だから、資料も色々集めてきたんだよ。ほら」


ドサッ


やよい「……!」

梅沢編集「役に立てば、と思って色々集めてきたんだけどな……」


やよい(バレーボールって……。もしかして、あかねちゃん、この間わたしになってる時に決めちゃったのぉ……!?)

〜 緑川家 〜

なお「――こうして、赤ずきんちゃんとおばあちゃんは猟師さんに助けられて、二人仲良く暮らしましたとさ。めでたしめでたし。……どう、こうた? 面白かった?」

こうた「……つまんなーい。なおねーちゃん、ももたろーはいつでてくるの?」

なお「え? 桃太郎? こ、こうた、これ、『赤ずきん』だよ? 桃太郎は出てこないよ?」

こうた「こないだでてきたぁ! なおねーちゃん、そのおはなししてくれたぁ! またききたいー!」

なお「……何? どういうこと?」


はる「なおねーちゃん、この間、赤ずきんを桃太郎とピーターパンが助けてくれる話してくれたじゃない」

はる「その後、オオカミさんのお腹の中から亀が出てきて、みんな連れられて竜宮城に行ったら、そこで乙姫様と人魚姫がケンカしてて、って話。……憶えてないの?」

なお「な、何それ……。どういう話?」


なお(み、みゆきちゃーん……! どんな話したの!? 内容が全く想像できないよ!)

〜 青木家 祖父の間 〜

れいか「……あの、おじい様……。この道具は……? ま、漫画用の道具、でしょうか?」

曾太郎「うむ、この間お前が描いた、この絵が気になってな」ペラッ


れいか(お、おじい様が持っている紙に描いてあるのは……。確かやよいさんの漫画のキャラクター "ミラクルピース" ……!)


曾太郎「わしはこういった絵のことは良くわからんが、この絵には力強さがある。この絵の目に魂を感じるのだ」

曾太郎「もしかしたら、お前の "道" はこういった絵を描くことなのかもしれん……。そう思い、わしなりに調べて道具を揃えてみたのだ。さあ、遠慮なく使うがよい」

れいか「…………」


れいか(や、やよいさん……。絵が上手なのは大変結構ですが……、おじい様が勘違いしてしまいました……!)

育代「さ、みゆき。この間みたいにお料理作って?」

みゆき(……れいかちゃん……)


正子「ほら、あかね! 早くその子達何とかしぃや!」

赤ん坊達「おぎゃぁーっ! おぎゃぁぁーっ!」

あかね(……なお……)


梅沢編集「……黄瀬さん、やっぱり主人公の部活、バレーボールにしない? 僕、色々ストーリー思いついちゃったんだよね」

やよい(……あかねちゃん……)


こうた「なおねーちゃーん! この間の話じゃないとやーだー!」

なお(……みゆきちゃん……)


曾太郎「どうした、れいかよ。この道具を使って、お前だけの "道" を歩むがいい」

れいか(……やよいさん……)

みゆき(……どうしてくれるのー!?)


あかね(……どうしてくれるんやぁー!?)


やよい(……どうしてくれるのー!?)


なお(……どうしてくれるのー!?)


れいか(……どうしてくれるんですかー!?)





つづく

次回予告

みゆき「ついに、メルヘンランドから 6人目の妖精さんが来ました! これでプリキュアも 6人に……と、思ったんだけど、その妖精さんのパートナーが中々見つからないの……」

みゆき「そうこうしてるうちに、デスペアランドの人はまた来ちゃうし、れいかちゃんは風邪を引いちゃうしで、大ピンチ!」

みゆき「と、その時、ついに妖精さんがパートナーを見つけました! ……え? 6人目のプリキュアって、あなたがそうなの!?」


みゆき「次回、『スマイルプリキュア レインボー!』 "誕生、藍の戦士! 6人目のプリキュアはあなたです!"」


みゆき「みんな笑顔でウルトラハッピー!」

今回はここまでです!
お読みいただいた方、ありがとうございました。

よかったら次回もまたよろしくお願いします!


第1話 〜 第11話 『スマイルプリキュア レインボー!』 Part 2 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1366529393/)

第12話 >>6 から

こんなスレあったんだ
各話にメッセージ性と、キャラの繋がり具合の変化と、キャラが新しい物の見方に気付くの3点があるなら読みたいけど
無かったらプリキュアらしくないからいいや
本放送だけ見とく

>>107君!前スレから見よう!
個人的な感想になるけどすごく『スマプリらしい』空気を感じるスレ
危惧してる内容については全部がっつり盛り込んであるから安心してええ、と思う
あと内容以外にも投稿時間とか愛を感じる

れいかちゃん風邪か……青木家は爺ちゃんとお母様以外にあまりスポット当たらなかったから父と兄の出番もあれば嬉しいなぁ

第11話上げた辺りから私事やら仕事やら執筆やらでマックスハート(いっぱいいっぱい) だったため、
ご意見ご感想に対するお返事が遅れました!
すんませんっした!

せっかく色々レスいただいているので、お返事させていただきます。

>>前スレ 953 の方
いつもご感想ありがとうございます!
いただいたアイデアも興味深く読ませていただきました。

前にいただいた "妖精の組み合わせに違和感がある" というご意見がずっと引っかかってたんですが、
今回いただいたアイデアのおかげで納得がいきました。
"ウルみゆ" 派の方だったんですねえ。
ウルルン(ウルフルン) はあかねちゃんじゃなくてみゆきちゃんとくっついてほしかった、というところなんですかね?


実は、いただいたようなアイデアを考えていた時期が自分にもありました。
プリキュアがピンチになった時、バッドエンド時代の姿の三幹部がスポット参戦で助けに来る、という内容でした。
その筋の中には、プリキュア達の代わりに三幹部が体を張ってアイテムを取り返しに行く、という展開も考えていました。

また、ボツ案の一つとして、ウルルンをみゆきちゃん家に住ませて、ラブコメっぽいことをしてもいいかな、
というのもありました。こちらだったらニーズにも応えられたかもしれませんね。

ただ、先に書いた通り、あまり妖精達にフォーカスを当てるとテーマにもとる、ということや、
単純にプリキュア5人 + 妖精5人でわちゃわちゃさせたい、という考えから現在の形になりました。

でも、変身できなくなって、代わりに奮闘する、という展開だけなら盛り込めるかもですね。ちょっと考えてみます。
幸い、後半は尺があまりそうなので、どこかに入れる余地はある、かも、ないかも。。


あと一つだけ。
いただいたアイデアの中で "おお!" と思ったのは、"キスでパワーアップ" という展開ですね。
おとぎ話でも『白雪姫』やら『眠れる森の美女』やらがありますし、キスでうんぬんという展開はメルヘンっぽくていいかな、と思いました。
(軽く調べたら『白雪姫』の方はディズニーアニメ版のみの改定のようですが)

自分は『5GOGO! 劇場版』の例のシーンでも「うひょー!」と喜んでしまうタイプなので、アリかといえばアリです。
プリキュアとしてはちょっと刺激が強いかな、とも思いますが。。
別の作品だったら使える設定かもしれないですね、"キスでパワーアップ"。


乱文でスミマセンが、いただいたアイデアに対する感想はこんな感じです。
今回はご期待に応えることはできなさそうですが、よろしければ引き続きお読みください!
今後ともよろしくお願いします。

>>107 さん
> 各話にメッセージ性と、キャラの繋がり具合の変化と、キャラが新しい物の見方に気付くの3点
この辺りは一応気を使っています。文章力が拙くてうまく表現できていなかったらアウツですが。。
もしよろしければご一読ください。お眼鏡にかない、楽しんでいただけたなら幸いです。


>>108 さん
フォローありがとうございます。
こういったレスはホントにうれしいです。。
表現したいことは何とかお伝えできているようで、安心しました。

『プリキュア』シリーズとしてズレとらんかどうか心配なところはありますが、
今のところは大丈夫そうですね。よかったよかった。

引き続きよろしくお願いします!
せいいっぱい、がんばるわ!

>>第12話にご感想いただいた皆様

ああー、やっぱりギャグ回は受けがいい! ガンバった甲斐があった。。
『スマイル』といえばギャグですもんね。わかってるんですけどもね。


ただ悩みがあって、ギャグってメチャクチャ難しいんですよね。。まずネタが出ない。。
ギャグ話をシリーズ化して書ける方は本当に尊敬します。
こんな話、あと何回書けるか。。
"ギャグ100回分ネタください" って感じです。。


ですが、シリアスばっかりだと息が詰まってしまうのも事実。
ちゃんと息抜きできるようギャグ作れるようにならんと。
がんばろっと。。

あと、第13話の更新日時についてお知らせです。

都合により 5/5 8:30 〜 のアップが不可能になってしまったため、
5/4 のどこかでアップすることになるかと思います。
よろしくお願いします。

すみません。。
都合が悪くなり、5/4 中のアップができませんでした。。

これからまたしばらく動けなくなるので、
第13話のアップは 5/5 の夕方ごろ? に改めさせてもらいたいと思います。

よろしくお願いしますー。

遅くなりましたが、『スマイルプリキュア レインボー!』 再開します!

このあとすぐ!

〜 放課後 ふしぎ図書館 秘密基地 〜

あかね「えーっと……ひのふのみの……、これで全員揃ったな」

ポップ「皆の衆、それぞれ忙しいところ、急に呼びたててしまってすまんでござる」

みゆき「ううん! 全然だいじょーぶだよ! また何か大事なお話があるんだよね?」

ポップ「うむ、そのために皆の衆には集まってもらったのでござる!」


なお「あれ? でも、ポップ一人なの? れいかは?」

ポップ「れいか殿は生徒会が大変忙しいらしく、今日は来られないとのことでござった」

ポップ「でも、これからする話はとても大切な事でござるから、仕方なく拙者だけこちらに来たのでござる」

マジョリン「それで、ポップ。"大事な話" というのはなんなんだマジョ?」

ポップ「拙者、ある事のために常々メルヘンランドとは度々連絡を取り合っていたでござるが、ついに吉報が来たのでござる!」

やよい「吉報……? 何かいいことがあったの?」

ポップ「順を追って説明するでござるよ、やよい殿」

ポップ「……皆の衆。ここのところ、デスペアランドの者達の力が強まっていると、肌で感じているのではござらんか?」


あかね「そういや、うちが一人でシアンナに襲われた時のアキラメーナ、エラい強かったなぁ……」

なお「あたしとれいかが工事現場で閉じ込められた時のヤツも強かった……」

みゆき「この間、わたし達の見た目が変わっちゃった時も、みんなで力を合わせなかったら危なかったよね……」

やよい「そういえば、あの "アキラメーナ" っていうの、作るたんびに強くなるんだったっけ」

ポップ「うむ……。次現れた時には、さらに強力になっている可能性もあるでござる」


ポップ「そこで、だんだん強くなっていく彼らに対抗するため、拙者は考えたのでござる。"以前より進めていた事を早く達成しなければ" と」

やよい「進めていた事? それって……」

ポップ「拙者が進めていたこと。それは……」


ポップ「新しいプリキュアを見つけることでござる!」


あかね「……新しい……」

みゆき「……プリキュア……!」

ポップ「皆の衆、このプリキュアの絵本について以前した話を憶えているでござるか?」ペラッ

みゆき「あ、そのページ……。確か、"夢の絵の具" っていうスゴい道具を使った、新しいプリキュアのためのページなんだよね?」

あかね「そういやそやった! そのページをあれば、うちら以外にも後二人プリキュアになれるんやったな!」

なお「"そういえば" って……あかね、もしかして忘れてたの?」

あかね「な、なにゆーとんねん! そんなわけないやろ! バッチリ憶えとったわ!」

なお「目泳がせて言っても説得力ないよ」

あかね「う……」


ポップ「……こほん。そうでござる。"夢の絵の具" の力で新しいプリキュアを誕生させられるはずだったでござるが、そのためにはもう一つ必要なものがあるでござる」

ポップ「それは、メルヘンランドの妖精の力でござる」


ポップ「プリキュアの誕生には、ピクチャーランドの "夢の絵の具"、メルヘンランドのデコルエネルギー、そして、皆の衆、リアルランドの人の心」

ポップ「これら三つの力が合わさることが必要なのでござる」


やよい「っていうことは、メルヘンランドの妖精さんのパートナーがいないと、新しいプリキュアも増えないんだぁ……」

あかね「せやな。うちらはウルルン達の力を借りて変身できとんのやからな」

ポップ「その通りでござる」

ポップ「前置きが長くなったでござるが、その事でつい先日、メルヘンランドから手紙が届いたのでござる」

ポップ「"プリキュアのパートナーになれる力を持った者が見つかった" と!」


4人「!!」


ポップ「実はプリキュアの絵本にページが増えたあの日から、メルヘンランドの妖精の中にプリキュアのパートナーになれる者がいないか探してもらっていたのでござる」

やよい「その妖精さんが見つかったんだね!」

あかね「そっかぁ……! それは確かにええことやな!」

みゆき「へぇー……! どんな妖精さんなんだろ!? 楽しみだなぁ……!」

ポップ「ふふ、皆の衆、もしかしたら驚くかもしれないでござるな」

なお「驚く? あたし達の知ってる妖精なの?」

ポップ「うむ、皆の衆とは一度会ったことがある者でござる。……さて、その者にはメルヘンランドからこのふしぎ図書館に来るよう伝えておいたから、もうそろそろ着くはずでござるが――」


ピカァァァァッ!


あかね「な、なんや!? 外の方でなんか光りよったで!?」

ポップ「きっと来たでござる! 皆の衆、外に出るでござるよ!」

〜 ふしぎ図書館 〜

???「ポップに言われたところ、ここで合ってるペロ? メルヘンランドの外に出たことないから、少し不安ペロ……」キョロキョロ


バタンッ!


???「ペロ!? 建物から何か出たペロ!」


ドヤドヤドヤ


やよい「妖精さん、どこにいるのかなぁ?」

あかね「ん? あ、あそこ! なんかおるで!?」

なお「あ、ホントだ! 妖精っぽい子がいる……けど、あの子、どこかで見覚えが……」

みゆき「……あっ、ああぁーっ! あなたは!? 前にわたし達がメルヘンランドに行った時に会った、長靴ネコの妖精さん!?」


ポップ「"ペロー"! よく来てくれたでござる!」

ペローと呼ばれた長靴ネコ妖精「あ、ポップ! 良かったペロ。やっぱりここで合ってたペロ! プリキュアの皆さんも、お久しぶりペロ!」

みゆき「それじゃあ、あなたが……!」


ペロー「そうペロ! これから皆さんに協力することになった、長靴ネコの "ペロー" ペロ! よろしくですペロ!」




スマイルプリキュア レインボー!

第13話「誕生、藍の戦士! 6人目のプリキュアはあなたです!」



〜 ふしぎ図書館 秘密基地 〜

キャンディ「ペロークル! 久しぶりクルぅ!」

ペロー「クイーン様、お久しぶりペロ! ウルルンにオニニン、マジョリンも、元気だったペロ!?」

マジョリン「なんだい、ペロー! あんたがプリキュアのパートナーになったマジョ!?」

オニニン「メルヘンランドにいた頃は特別強い力はなかったような気がするオニ」

ウルルン「そうだウル。どうやってプリキュアのパートナーとしての力をつけたウル?」

ペロー「……とってもガンバったんだペロ」

ペロー「プリキュアの皆さんには、メルヘンランドを救ってもらって、本当に感謝していたんだペロ。"いつか恩返しがしたい" 、ずっとそう思ってたペロ」

ペロー「そんな時、ポップからプリキュアのパートナーとなる妖精を探していると聞いて、"力になれるならぜひなりたい" と思ったんだペロ!」

ペロー「だからぼくは、来る日も来る日も修行にはげんだペロ!」


ペロー「ある日は滝に打たれ」

ペロー「ある日は『アリス』の白兎と一緒にウサギ跳び」

ペロー「ある日は『浦島太郎』のカメを背中に乗せて腕立て伏せ」


ペロー「その苦しい修行の日々と皆さんへの感謝の気持ちが、ぼくをプリキュアのパートナーになるまでに成長させたんだペロ!」キリッ


あかね「……プリキュアのためのパワーってそうやってつけるもんなん?」

ポップ「何はともあれ、このペローが今後新しいプリキュアのパートナーとして、拙者達と共にデスペアランドと戦ってくれる事になったでござる! 皆の衆、よろしく頼むでござる!」

ペロー「よろしくペロ!」

みゆき「こちらこそ、よろしくね! ペロー!」


やよい「……あれ? でも、新しいプリキュアって二人いるんだよね? そしたら、妖精さんも二人いないとダメなんじゃないのかな?」

ポップ「……その通りなのでござるが……、プリキュアのパートナーになれるほどの力を持つ者はほとんどいないのでござる……。今回は、ペローを見つけるだけで精一杯でござった」

あかね「せやったら、とりあえず今回増える新しいプリキュアは一人だけ、っちゅうことなんかな?」

ポップ「残念ながら、そういうことになるでござる。もう一人のパートナーについては、今後、また素質のある者が見つかるのを待つしかないでござるな……」

なお「……うーん……」

あかね「なんや、なお、むずかしい顔して? 考え事なんて似合わへんで?」

なお「ほっといてよ! ……じゃなくて、ねえ、ポップ。ちょっと気になってる事があるんだけど?」

ポップ「なんでござるか、なお殿?」

なお「ペローが来てくれたのはいいんだけど……さ」


なお「肝心のプリキュアになる人って誰なの?」


みゆき・あかね・やよい「あ」

あかね「そりゃそうやな。ペローはプリキュアになる手伝いができるだけで、プリキュアになれるわけやあらへんもんな」

やよい「誰かプリキュアになってくれる人を探さないといけないんだ……」

なお「ポップ、そっちについては心当たりないの?」

ポップ「うむ、プリキュアになれる方の心当たりは……」

みゆき「心当たりは……!?」


ポップ「…………」

4人「…………(ゴクリ)」


ポップ「……全くないでござる」

4人「(ズコッ)」


あかね「せやったら意味ないやーん! ペローだけおってもしゃーないやろ!」

ポップ「しかし、ペローもプリキュアのパートナーになれるほどの力の持ち主。もしかしたら、プリキュアになれる可能性を秘めた方の近くに行けば、何か感じるかもしれないでござる!」

あかね「そしたら、ペローはうちらの世界に行って、プリキュアになれる人を探さんとあかんなぁ」

やよい「でも、そんな人すぐに見つかるかなぁ……? タイヘンそう……」

なお「あれこれ悩んだってしょうがないよ、行動あるのみ! みんなで探せばきっと見つかるって!」

みゆき「そうだね、みんなでペローを連れて、自分の近くの人達を当たってみよう! もしかしたら、誰かプリキュアになれる人がいるかも!」

ペロー「皆さん、タイヘンだと思うけどよろしくお願いするペロ!」

みゆき「もっちろん! みんな、新しいプリキュア探し、ガンバろーっ!」


あかね・やよい・なお「おーっ!」

〜 その晩 青木家 れいか自室 〜

ポップ「――と、いうわけでござる、れいか殿」

れいか「そうでしたか……。ここのところ……しばらく手紙のやり取りをしていたのは……ペローさんのような妖精さんを探すためだったのですね……」

ポップ「うむ。なので、明日からはペローと、このキャンディに作ってもらった新しいスマイルパクトを持って、新たなプリキュアになってくれる方を探すでござる!」

れいか「……わかりました……。私も……精一杯お手伝いします……」

ペロー「ぼくのパートナーが見つかるまで、しばらくこちらにいさせてもらいますペロ! よろしくペロ!」

れいか「ええ……、こちらこそ、よろしくお願いしますね……」


ポップ「……それはそうと、れいか殿、顔色が良くないようでござるが、大丈夫でござるか? 生徒会のお仕事が大変なのでは……」

れいか「……そうですね、少し、疲れてしまいました……。でも、ペローさんのパートナーの方を探すのはお手伝いします……」

ペロー「……うれしいけど、あんまりムリしないでくださいペロ……」

れいか「ありがとうございます、ペローさん……」

〜 デスペアランド 王宮 玉座の間 〜

シアンナ「国王陛下。こちらが近日採取した、濁った "心の絵の具" の入ったボトルとなります。お納めください」

デスペア国王「うむ」


チャポ チャポ


デスペア国王「……やはり量が少ないな」

シアンナ「……申し訳ありません、国王陛下。以前もご報告させていただいたプリキュアという邪魔者共が想定より手ごわく……。思うように "心の絵の具" を集められていないのが現状です」

デスペア国王「言い訳はいい。私がお前達に求めるものは結果のみ。すなわち、多量の濁った "心の絵の具" の採取と、"夢の絵の具" の入手。この二つの目的を達成するためのみに行動せよ。よいな」

シアンナ「……はっ……」

大臣「お話中失礼いたします。国王陛下、シアンナ様達よりいただいた濁った絵の具から、新たな "闇の絵の具" を精製いたしました。お使いください」

デスペア国王「うむ」

シアンナ「……? 国王陛下自らが闇の絵の具をお使いになるのですか? 一体何に――」


ドックン


シアンナ「……!? 今鳴り響いた音は一体……。鼓動……?」

大臣「おお……! 国王陛下、これはついに……!」

デスペア国王「……そのようだな。……ふ、ふふふ……!」


デスペア国王「シアンナよ。私が "闇の絵の具" を何に使うのか、と聞いたな。その答えが、今の鼓動だ」

デスペア国王「私は今、"闇の絵の具" を使って、ある "怪物" を育てている」

シアンナ「"怪物" ……ですか?」

デスペア国王「そうだ。"闇の絵の具" は、その "怪物" の糧となる。お前達の採取する濁った "心の絵の具" はそのために使われているのだ」

デスペア国王「しばらく前からその "怪物" の育成は始めていたのだが、ようやくそれが実を結び始めたようだ。この鼓動は、"怪物" が息づき始めたことの証なのだからな」


デスペア国王「その "怪物" と "夢の絵の具"。二つが揃えば、私の目的は成就するのだ……!」


デスペア国王「励め、シアンナ。今よりも更に。なんとしても邪魔者・プリキュアを排除し、目的を達成するのだ」

シアンナ「かしこまりました、国王陛下。必ずやご期待に応えてみせます」

〜 翌朝 七色ヶ丘中学校 3-1教室 〜

みゆき「みんな、おはよー!」


やよい「おはよう、みゆきちゃん!」

あかね「おはよーさん!」

なお「おはよう!」

れいか「おはよう、ございます……」


みゆき「れいかちゃん、ペローって今れいかちゃんのカバンの中にいるんだっけ?」

れいか「あ、はい……。新しいスマイルパクトと一緒に、デコルになって入ってもらっています……」

みゆき「そしたら、わたしに預けてもらってもいいかなぁ? 実は、プリキュアになってくれる子に心当たりがあるんだぁ!」

あかね「おっ、そうなん? 誰?」

みゆき「えへへー、ナイショ! うまくいったら教えてあげる!」

れいか「……わかりました……。それでは、ペローさんのデコルとスマイルパクトをお預けします……。よろしく……お願いします……」

みゆき「うん!」

なお「……ところでれいか、さっきから具合悪そうだけど、大丈夫?」

ポップ(デコル)「(小声) 生徒会が忙しいらしく、昨日からずっと元気ないでござるよ……」

れいか「……大丈夫よ、なお……。ちょっと体が重いくらいだから……。今日も大事な生徒会の会議があるし、頑張らないと……」

なお「……そう? ならいいけど……。でも、れいか、ツラかったらあたし達に言いなよ?」

れいか「ええ……。ありがとう、なお……」

〜 昼休み 七色ヶ丘中学校 中庭 ベンチ 〜

みゆき「うーん、いい天気ー! こんな日に外で食べるお弁当はおいしいね、木下さん!」

気弱そうな 1年女子・木下「そうですね……。味は、いつもと変わらないですけど……」

みゆき「そう? 気持ちのいい日はごはんもおいしくならない?」

木下「うちは両親が忙しいから、お弁当も冷凍食品ですし……。味はいつも同じです……」

みゆき「そっかぁ……」

みゆき「じゃあ、これあげる! わたしのお母さん特製のタコさんウィンナー! おいしいよ!」

木下「え……? でも、わたしからセンパイにあげられるようなものは何も……」

みゆき「いいよいいよぉ! だって、わたしが木下さんにあげたいのはハッピーだもん! これ食べて、ちょっとでも木下さんがハッピーになってもらえたらうれしいな!」

木下「あ……、ありがとう……ございます。いただきます……」


パクッ


木下「……おいしいです」

みゆき「ホント!? 良かったぁ!」

コソッ


みゆき「(小声) ……ねぇ、ペロー? この子、どうかなぁ? プリキュアになれそう?」

ペロー(デコル)「(小声) ……うーん……」ジィーッ…


木下「(モグモグ)」


ペロー(デコル)「(小声) ……特に何も感じないペロ」

みゆき「(小声) え、ダメ? ホントに?」

キャンディ(デコル)「(小声) みゆきぃ……。この子はプリキュアになるには、ちょっと元気が足りないと思うクル……」

ペロー(デコル)「(小声) ぼくもそう思うペロ」

みゆき「(小声) キャンディまで……。そっかぁ……。もしかしたら、って思ったけど、元気がないとダメなのかな……」


木下「……星空センパイ? カバンに話しかけて、どうかしたんですか……?」

みゆき「え!? あ、あぁー、いや、その……な、なんでもないよ! なんでも! あはは……!」

木下「……?」

〜 放課後 七色ヶ丘中学校 3-1教室 〜

みゆき「――と、いうわけで、ダメでした……」

なお「みゆきちゃんの当てって、木下さんだったんだね」

あかね「せやけど、キャンディとペローの言う通り、ちょーっとあの子には荷ぃ重い気するなぁ」

やよい「そんなことないと思うけど……。わたしだってプリキュアになれるくらいだし」

れいか「残念でしたね、みゆきさん……。次の方を当たってみましょう……」

あかね「よっしゃ、ほんなら次はうちがやったんで! ペローとパクト貸してや! バレー部のみんなを見てもらうわ」

みゆき「うん。わかった!」

やよい「もしダメだったら、漫研のみんなも見てみてよ!」

なお「それでもダメならサッカー部だね。ウチは部員多いから、あれだけいたら誰かプリキュアになれる子いるかも!」

れいか「では……、ひとまず皆さんのところを順番に回って、見てもらいましょう……。ペローさん、もし他の方のところで見つからなかったら、最後に生徒会まで来てください」

ペロー「わかったペロ!」

〜 七色ヶ丘中学校 バレーボールコート 〜


タッ タッ タッ


バレー部 キャプテン・名倉 ゆか「ランニング、あと3周だよ! 七中バレー部! ファイッ、オーッ!」

あかね「ファイッ、オーッ!」

2年バレー部員・宮下 なみ「ファイッ、オーッ!」

あかね「(小声) はっ、はっ、どや、ペロー? この子らん中にプリキュアになれそうな子、おる?」

ペロー(デコル)「(小声) ……うーん……」ジィーッ…


バレー部 キャプテン・ゆか「はっ、はっ、はっ」

2年バレー部員・なみ「はっ、はっ、はっ」


ペロー(デコル)「(小声) ……ダメペロ。何も感じないペロ」

あかね「(小声) はっ、はっ、なんや! こっちもハズレかいな!」


バレー部 キャプテン・ゆか「こら、あかねぇー! なにブツブツ言ってるの!? ちゃんと練習しないと、あかねだけランニングもう 10周増やすよ!?」

あかね「ご、ごめん、ゆかぁー! ちゃんとやるから、それはカンベンしたって!」


あかね「(小声) ……しゃーない。うちはこのまま練習しとるから、後で一人でやよいんとこ行ってくれるか? 学校の人に見つからんよう、気ぃつけてな」

ペロー(デコル)「(小声) わかったペロ! あかねさん、ありがとうペロ!」

〜 七色ヶ丘中学校 漫画研究部 部室 〜


カリカリカリ


やよい「(小声) ペロー、どうかな?」

ペロー(デコル)「(小声) ……うーん……」ジィーッ…


漫研部員・美川 すず「(カリカリ)」

漫研部員・稲上 りょうこ「(カリカリ)」


ペロー(デコル)「(小声) ……やっぱりダメペロ……。よく分からないペロ……」

やよい「(小声) そっかぁ……。プリキュアになれるとしたら、美川さんか稲上さんかなぁ、と思ってたんだけど……。男の子じゃムリだろうし……」


漫研部員・河村 ゆうや「あの、部長。ちょっと教えてもらいたいところがあるんですけど、大丈夫ですか?」

やよい「えっ!? あ、う、うん、いいよ! ちょ、ちょっとだけ待ってね」

漫研部員・河村 ゆうや「あ、はい!」


やよい「(小声) ゴメン、ペロー……。わたし、このまま部活やらないといけないから、なおちゃんのところに行ってくれる?」

ペロー(デコル)「(小声) わかったペロ。がんばってくださいペロ、やよいさん!」

〜 七色ヶ丘中学校 サッカーグラウンド 〜

サッカー部員・フォワード・村田 ともか「えいっ!」ドカッ

サッカー部員・キーパー「はっ!」バシッ

サッカー部員・フォワード・村田 ともか「あっ! シュート、止められちゃった……!」

なお「村田さん、軸足のつま先の向きでシュート方向わかっちゃうクセ、直ってないよ! 次は注意しながらやってみて!」

サッカー部員・フォワード・村田 ともか「は、はい! スミマセン!」

なお「(小声) どうかな、ペロー。あたしは、あの村田さんなんかいいかと思うんだけど。根性もやる気もスゴイし、プリキュアに向いてるんじゃないかな?」

ペロー(デコル)「(小声) ……うーん……」ジィーッ…


サッカー部員・フォワード・村田 ともか「たっ!」ドカッ


ペロー(デコル)「(小声) ……ピンと来ないペロ……」

なお「(小声) うーん、そうかぁ……。と、なると、あたし達の身近で残ってるのは、れいかの生徒会だけか。中々見つからないね……」

ペロー(デコル)「(小声) はいペロ……。とりあえず、れいかさんのところに行ってみるペロ」

なお「(小声) わかった。ゴメンね、力になれなくて」

ペロー(デコル)「(小声) なおさんが謝る事ないペロ! ありがとうペロ!」

〜 七色ヶ丘中学校 生徒会室 〜

れいか「それでは……、各部の予算はこのように……決めたいと思います……。大丈夫でしょうか……?」

生徒会会計・寺田 るな「はい、大丈夫だと思います」

生徒会副会長・板野 まさお「問題ありません」

れいか「では寺田さん、予算について……しっかり記録を……とっておいてください……」

生徒会会計・寺田「わかりました」


ペロー「(コソコソ)」


ペロー(来たはいいけど、ピリピリしてて、ちょっと入りづらいペロ……。でも……)


生徒会会計・寺田「(カキカキ)」


ペロー(あの子も違うみたいペロ……)


ペロー(これで、プリキュアの皆さんに紹介してもらった人達はみんなダメだったペロ)

ペロー(ぼくのパートナーは一体どこにいるペロ? どうやって探せばいいペロ……)

れいか「他に……議題は……ありますか……?」

生徒会副会長・板野「議題はありませんが……会長、大丈夫ですか? 息も荒くて、具合が良くなさそうですが……」

れいか「はぁ……はぁ……、大……丈夫……で――」フラッ


バタッ


生徒会役員達「!!」

ペロー(!!)


生徒会書記・倉田 なおき「か、会長!? 急に倒れて……、大丈夫ですか!?」

生徒会会計・寺田「……! 会長、すごい熱……! 元気ないと思ってたら、風邪引いてたんだ……!」

生徒会書記・倉田「会長、ここのところ、ずっと一人で残って作業してたから、疲れがたまってたのかな……!」

生徒会会計・寺田「しっかりしてください、会長! ……どうしよう、倉田くん!」

生徒会書記・倉田「ど、どうしようって言われても……!」


生徒会副会長・板野「みんな落ち着いて。まず保健室に運ぶんだ。それから会長のおうちの方に連絡をして、お迎えに来てもらおう」

生徒会書記・倉田「い、板野くん……、わ、わかった!」

生徒会会計・寺田「会長、立てますか? とりあえず、わたしと一緒に保健室まで行きましょう」

れいか「はぁ……はぁ……、すみません……皆さん……」

〜 七色ヶ丘中学校 生徒会室前廊下 〜

ペロー「あ、あわわわ……!」


ペロー(た、大変なことになったペロ……! れいかさんが倒れてしまったペロ……!)

ペロー(ひとまず、プリキュア探しは後回しペロ! 皆さんにこのことをお知らせするペロ!)

〜 ふしぎ図書館 秘密基地 〜

あかね「なんや、それじゃ、みんな結局あかんかったんやな」

なお「うん、ペローにサッカー部員見てもらったんだけど、プリキュアになれそうな子はいない、って」

やよい「6人目のプリキュアって、どんな人なのかなぁ」

みゆき「うーーーん……、わかんない……。ペロー、学校にいる間何も言わなかったから、もしかしたら学校にはいないのかもしれないね」

あかね「せやったら、今度は町中全部から探さなあかん、っちゅーこと? そりゃもっと大変やなぁ……」


バタンッ


やよい「? 誰か入ってきたよ?」

ペロー「はぁっ……はぁっ……!」

なお「なんだ、ペローじゃない。どうかしたの、そんなに息切らして」

ペロー「み、皆さん! 大変ですペロ! れいかさんが……れいかさんが、倒れてしまったペロ!」


4人「……ええっ!!?」

〜 青木家 前 〜

みゆき「れいかちゃん、大丈夫かなぁ……。そういえば、具合悪そうだったね……」

やよい「ペロー、れいかちゃんは今家にいるの?」

ペロー「れいかさんの周りの人が "おうちの人に迎えに来てもらう" って言ってたから、たぶんそうだと思うペロ」

なお「とにかく、入ってみよう。呼び鈴、鳴らすよ」


ピンポーン


ガラッ


淳之介(れいか兄)「はい――ああ、なおちゃん。それにお友達の皆さんも」

なお「淳兄ちゃん! あの、学校でれいかが倒れた、って聞いてきたんですけど、れいかは大丈夫なんですか!?」

淳之介「落ち着いて、なおちゃん。大丈夫、僕が学校から連れ帰ってきたから、れいかは今自分の部屋で休んでるよ。心配してくれてありがとう」

なお「そうですか……、よかった……」

みゆき「はぁ……、一安心だね、なおちゃん」


淳之介「そうだ。せっかく来てくれたんだから、れいかのお見舞いしてあげてくれるかな? れいかも喜ぶと思うから」

あかね「え、ええんですか!?」

やよい「お願いします!」

淳之介「それじゃあ、上がって。部屋まで案内するよ」

4人「ありがとうございます!」

〜 青木家 れいか自室 前 〜

淳之介「ここがれいかの部屋だけど……、入るのはちょっと待ってくれるかな」

なお「あ、はい。わかりました」


淳之介「れいか、はるか、お友達の皆がお見舞いに来てくれたよ。入っても大丈夫かい?」

はるか「お友達? もしかして、なおちゃん達? ――れいかちゃん、どう?」

れいか「――――」

はるか「……そ。淳くん、れいかちゃんも大丈夫だって」

淳之介「わかった」


淳之介「大丈夫みたいだから、入ってあげて。僕がいると看病しづらいだろうから、僕は席を外すよ。後、よろしくね」

みゆき「はい! ありがとうございました!」


あかね「……ん? 今、れいかのお兄さん、"はるか" って言うとった?」

やよい「そうだね。それって、もしかして……」

はるか「ちょっと待ってね、今障子開けるから」


スラッ


はるか「あ、やっぱりみんなだ。久しぶり」

4人「はるかさん!」

はるか「ちょっとみんな。れいかちゃん熱出してるから、静かに、ね。しーっ」

4人「! す、すみません……」

〜 青木家 れいか自室 〜

れいか「皆さん、お見舞いに来てくださって……ありがとうございます……」

あかね「それはええけど……、体、大丈夫なん?」

はるか「熱が 39℃ あるの。しばらくは安静にしてないとダメだね」

やよい「さ、39℃……!? 倒れちゃうわけだよ……!」

なお「もう……。"大丈夫" だなんて言って、やっぱりムリしてた。れいか、自分がツラい時はツラいって言わないんだから……」

れいか「……ごめんなさい、なお、心配かけて……。皆さんも……」

みゆき「ううん、気にしないで。ゆっくり休んで、早く元気になってね」

れいか「……はい、ありがとうございます……!」

あかね「それにしても、はるかさんがれいかの看病してたんですね。呼ばれて来たんですか?」

はるか「ああ、みんなにはまだ言ってなかったかもしれないんだけど、私、日本に帰ってきてからは時々れいかちゃんの家庭教師をしてるの」

はるか「今日もそのつもりで来たんだけど、着いたられいかちゃんが熱出して寝てるじゃない?」

はるか「今日はおば様も用事でいないみたいだし……、淳くんは男の子だからちょっと、っていうことで、私が看病してたってわけ」

やよい「そうだったんですね……」

みゆき「でも、はるかさんが看病してくれるなら安心だね、れいかちゃん!」

れいか「ええ……、とても助かっています……!」


はるか「……そう言ってくれるのはうれしいけど、今れいかちゃんが安心してられるのは、私だけのおかげじゃないよ、きっと」

なお「え? はるかさん、それってどういう……」

はるか「れいかちゃん、さっきまでは結構ツラそうにしてたんだけど、みんなが来てくれてから急に落ち着いてきたんだ」

はるか「多分、いつも一緒にいるみんなが来てくれたから、安心できたんだと思う。れいかちゃんにとって一番の薬は、みんなの笑顔だったんじゃないかな」

みゆき「わたし達の笑顔が……」

はるか「れいかちゃん、本当に良かったね、いいお友達がたくさんいて。みんながいてくれたら、病気なんてすぐ飛んでっちゃうよ。だから安心して、今はしっかり休んでね」ニコッ

れいか「はるかお姉さん……! ……はいっ……!」

〜 れいかのカバンの中 〜


パァァァッ…


ペロー(デコル)(……! スマイルパクトがほんの少し光ったペロ……。何かに反応したペロ……!?)


ペロー(デコル)(これってもしかして……)

〜 青木家 れいか自室 〜

はるか「さて、と。せっかくみんな来てくれたんだから、今のうちに買い物にでも行ってくるよ。れいかちゃん、何か食べたいもの、ある?」

れいか「……食べたいもの……ですか……?」

はるか「何でもいいよ。弱ってる時は食べたいものを食べるのが一番だからね」

れいか「……それでしたら……羊かんをお願い……できますか……?」

はるか「ん、わかった、羊かんだね? 大丈夫、任せて」


はるか「それじゃ、ひとっ走り行って買ってくるよ。みんなの分も買ってくるから、れいかちゃんのこと、よろしくね」

なお「はい、わかりました。お願いします、はるかさん」

はるか「うん。それじゃ、行ってきます」


スラッ ピシャッ


あかね「……"れいかが元気になったのはうちらのおかげ" やなんてゆーとったけど……、はるかさん、ずっとれいかの看病しててくれたんよな」

やよい「やっぱり優しい人だよね、はるかさんって」

れいか「……ええ……。本当に……」

れいか「私がお兄様に連れられて帰った時……、熱のせいで頭でぼんやりして……、私、不安でした……」

れいか「そんな時、はるかお姉さんが来てくれて……、まるで自分のことみたいに丁寧に私の世話をしてくれて……、……うれしかった……!」

れいか「やっぱり、私にとってはるかさんは……憧れの人なんです……!」


なお「……そっか。良かったね、れいか。はるかさんがいてくれて」

れいか「……ええ……!」

ヒョコッ


ペロー「皆さん! ちょっと聞いてほしいことがあるペロ!」

キャンディ「ペロー、しずかにしないとダメクル。れいか、今病気なんだクル」

ペロー「あ、すみません、クイーン様……。でも、とっても大事なことなんだペロ」

みゆき「? どうしたの、ペロー? 大事な事って何?」

ペロー「それは――」


ピクン


キャンディ「クル……! みんな、イヤな感じがするクル……!」

あかね「イヤな感じ? って、まさか……!」

ポップ「きっとそうでござる! キャンディ、デスペアランドでござろう?」

キャンディ「多分そうクル! あっちの方から感じるクル!」

やよい「もーっ! 何もこんな時に来なくったって……!」

れいか「……キャンディ……。今……あっちの方、って言ったの……?」

キャンディ「そうクル!」

れいか「……!」


みゆき「ど、どうしたの、れいかちゃん? 顔が青いよ?」

れいか「キャンディの指した方向には……商店街が……!」


4人「!!」


あかね「せやったら、もしかして……!」

れいか「……買い物に行ったはるかお姉さんが……危ない……! 行かないと……!」

ポップ「ムチャでござる、れいか殿! そのような体では、まともに戦えないでござる!」

れいか「でも……でも……! このままでは、はるかお姉さんが――」


ガシッ


なお「れいか、落ち着いて」

れいか「……なお……」

なお「れいか。はるかさんも、デスペアランドも、あたし達が絶対何とかするから。今は自分のことを大事に考えて、ゆっくり休んでて」

みゆき「お願い、れいかちゃん。もしそれで、れいかちゃんに何かあったら、わたし……!」

れいか「……なお……みゆきさん……」


あかね「うちらのこと、信じたってや。バッチリやったるから」

やよい「そうだよ! わたし達は、みんなの笑顔を守るスーパーヒーローなんだから! 任せてよ!」(ピース)

れいか「……あかねさん……やよいさん……」


れいか「……わかりました……。……皆さん……、はるかお姉さんのこと……よろしくお願いします……!」

みゆき「もちろん! 行こう、みんな!」

あかね・やよい・なお「うんっ!」

〜 七色ヶ丘市 商店街 〜

はるか(ちょっと奮発しちゃった。老舗和菓子屋 "名花" の羊かん、れいかちゃん、みんな、喜んでくれるかな……)


ズンッ ズンッ


アキラメーナ(薬屋の人形型)「アキラメーナァ……!」


はるか「……え……!? な、何これ……。確か、薬屋の人形の "カエルのケロちゃん" ……!? でも、大きすぎる……!」

はるか「……そういえば、前にもこんな事が……あったような……」


買い物客A「……うっ……うぅ……」

買い物客B「あぁ……」


はるか「他の人たちも、どうしたの……!? あんな怪物がいるのに、うずくまって動かない……!」


シアンナ「そこにいる人間達は心を吸われているから動けないのよ。以前のあなたと同じようにね」

はるか「!! あなた……確か、ショッピングモールで会った……!」

シアンナ「久しぶりね。また会うとは思わなかったわ」

はるか「……一体、あなたは何者なの!? 何をしているの!?」

シアンナ「答える必要はないわ。アキラメーナ、心を吸いなさい」パチンッ


アキラメーナ(薬屋の人形型)「アキラメーナァ!」


ズワァァァァァッ…


はるか「……あっ……うっ……。……また、力が……抜けて……」


バタッ


シアンナ「またあなたに邪魔をされてはかなわないわ。しばらく眠っていなさい」


ザッ


やよい「! みんな、あそこ!」

なお「はるかさんっ! ……間に合わなかった……!」

シアンナ「来たわね、プリキュア」

あかね「またあんたかいな! はるかさんやみんなをこんなにしよって……許さへんで!」

シアンナ「ふふ、許すも許さないも好きにしたらいいわ。プリキュア、私の作ったアキラメーナはさらに力を増している。今までのようにいくとは思わないことね」

アキラメーナ(薬屋の人形型)「アキラメーナァ!」

なお「すごい自信……! アキラメーナ、前よりもっと強くなってるの……!?」


みゆき「……でも、どんなにスゴくったって、わたし達のやることは変わらないよ! みんな、変身しよう!」

あかね・やよい・なお「うん!」

妖精達「デコル・チェーンジ!」

パチンッ!

レディ!

4人「プリキュア! スマイルチャージ!!」

ゴー! ゴーゴー! レッツゴー!!


ハッピー「キラキラ輝く、未来の光! キュアハッピー!!」

サニー「太陽サンサン、熱血パワー! キュアサニー!!」

ピース「ぴかぴかぴかりん♪ じゃん・けん・ポン!(チョキ) キュアピース!!」

マーチ「勇気リンリン、直球勝負! キュアマーチ!!」

シアンナ「……4人だけ? キュアビューティはどうしたの?」

サニー「ビューティは用事があって来られへんのや! 心配せんでも、うちら 4人だけで十分やで!」

シアンナ「よく分からないけれど、チャンスのようね。アキラメーナ、行きなさい」


アキラメーナ(薬屋の人形型)「アキラメーナァ!」ドシンッ ドシンッ


マーチ「みんな、気をつけて! あの人形のアキラメーナ、突っ込んでくるよ!」

サニー「だいじょーぶやって! あんなマヌケな人形のパンチ、うちが受け止め――」

シアンナ「――られるかしら?」ニヤッ

アキラメーナ(薬屋の人形型)「アキラメーナァ!」ブンッ


ガシッ!


サニー「……え? 何やコレ、全然止まらへん……!」

アキラメーナ(薬屋の人形型)「アキラメーナァ!」ブンッ


ドガァァァンッ!


サニー「……ぅぁっ……!」

ピース「サニー!」

シアンナ「余所見をしている暇はないわよ、キュアピース」

ピース「えっ――」

アキラメーナ(薬屋の人形型)「アキラメーナァ!」ドガッ

ピース「きゃぁぁっ!?」


ドガァァァンッ!

ハッピー「……サニー……ピース……!」

キャンディ(デコル)「あっという間にやられちゃったクル……!」

マーチ「本当に強い……! 今までとは比べ物にならない……!」

シアンナ「言ったでしょう。"今までのようにはいかない" と」


アキラメーナ(薬屋の人形型)「アキラメーナァ!」ブンッ

ハッピー「わわっ!?」バッ

マーチ「ハッピー! とにかく逃げ回って! こんなパンチ、一回でも当たったらマズいよ!」

ハッピー「う、うん! わかった!」

シアンナ「いつまでそうしていられるかしら。じっくり見させてもらうわ」

〜 青木家 れいか自室 〜

ドスゥゥゥン… ドスゥゥゥン…


ポップ「地響きがここまで聞こえるでござる……。皆の衆、苦戦しているのでござろうか……?」

れいか「…………」ムクリ

ポップ「! れいか殿! 寝ていなければダメでござる! 皆の衆とも約束したでござろう!?」

れいか「……でも……アキラメーナは……どんどん強くなるのでしょう……? ではやはり…… 5人揃わなければ……!」

ポップ「しかし……!」

れいか「……もう、決めました……。皆さんには……心配をおかけすると思いますが……私は行きます……! 皆さんと……はるかお姉さんを……助けるために……!」

れいか「だから……お願いです、ポップさん……。私に……力を貸してください……!」

ポップ「れいか殿……」

ポップ「……れいか殿は、見かけによらず、ガンコなところがあるでござるなぁ」

ポップ「デコル・チェーンジ!」


ポンッ


ポップ(デコル)「行くのであれば、変身してから行くでござる。その方が大分ラクでござろう?」

れいか「……! ポップさんっ……!」

ポップ(デコル)「……れいか殿の願いはできるだけ叶えてあげたいでござる。そのために、拙者もありったけの力を貸すでござるよ。それが、"パートナー" というものであると、拙者は思うでござる」

れいか「……ありがとうございます……!」


ペロー「…………」

ペロー「……れいかさん、待ってくださいペロ!」

れいか「……ペローさん……?」

ペロー「行くなら、ぼくも連れていってほしいペロ! 試してみたいことがあるんだペロ!」

れいか「試したい事……?」

〜 七色ヶ丘市 商店街 〜

アキラメーナ(薬屋の人形型)「アキラメーナァ!」ブンッ

ハッピー「はぁっ……はぁっ……わっ!?」バッ

マーチ「はぁっ……はぁっ……さすがに……疲れてきた……! ハッピー、大丈夫!?」

ハッピー「な、なんとか……! でも、ちょっとツラくなって……きたかも……!」

マーチ「避けてばかりで攻撃もできない……! どうしたらいいの……!?」


シアンナ「そろそろ体力も限界のようね。アキラメーナ、一気にトドメを」

アキラメーナ(薬屋の人形型)「アキラメーナァ!」ブンッ


マーチ「……!? 脚が……重い……!? 避けきれない……っ!」

ハッピー「マーチ!」

バッ


ビューティ「ビューティ……キック……ッ!」ドカッ

アキラメーナ(薬屋の人形型)「アガッ!?」グラッ


ズドォォォォン!


シアンナ「キュアビューティ! パンチを蹴って、軌道を逸らした……!? もう少しのところを……」


マーチ「ビューティ……!? 何で来たの! 寝てなきゃダメだって言ったのに!」

ビューティ「ごめんなさい……マーチ……。でも……っ! 苦しんでいる皆さんを見捨てる事は、私にはできませんでした……!」

マーチ「ビューティ……。……こっちこそ怒鳴ってゴメン。助けてくれてありがとう」


ビューティ「それに……、私が来たのは……皆さんを助けるためだけでは……ないの。もしかしたら……大きな希望が産まれるかも……しれない……」

マーチ「大きな……希望?」

シアンナ「結局来たのね、キュアビューティ。でも……」


ビューティ「はぁっ……はぁっ……!」ガクッ

ハッピー「ビューティ……! やっぱり病気が……!」


シアンナ「不調のようね。それでは来たところで意味が無い。わざわざやられに来てくれたのかしら」


サニー「……そんなこと……あらへんで……!」ググッ

ピース「……そうだよ……! ムリしてでも助けてくれたビューティは……わたし達に勇気をくれたよ……!」ググッ


シアンナ「……まだ立ち上がれるのね。大したものだわ」

シアンナ「でも、一人は不調。二人はダメージを負っている。二人は疲れて動けない。それで何ができるの?」


ハッピー「わたし達は……どんなピンチも…… 5人で乗り越えてきたの……! だから……!」

ハッピー「5人揃えば、絶対に負けない……っ!」

シアンナ「……アキラメーナ」パチンッ

アキラメーナ(薬屋の人形型)「アキラメーナァ!」ブンッ


ドガァァッ!


ハッピー「うあぁぁっ!?」

4人「ハッピー!!」


シアンナ「キュアハッピー。今の言葉、もう一度言えるかしら。その有様で」

ハッピー「う……くっ……!」


シアンナ「現実を見なさい。今のあなた達ではどうしようもないわ。何をしても無駄よ」

シアンナ「大人しく、諦めることね」


4人「……!」

はるか(…………)

はるか(……動けない……。頭が……働かない……。自分の体じゃないみたい……)

はるか(私……、なんでここに……いるんだっけ……。わからない……何も……)


ガサッ


はるか(……? 手に……何かある……。袋……?)


はるか(……あ……そうだ……。私……、れいかちゃんの……みんなのために……羊かんを買ったんだった……)

はるか(ここの羊かん……おいしいんだよね……。……みんな……きっと喜んでくれるだろうな……)

はるか(……そうだよ……。私、帰らなきゃ……れいかちゃんちに……。……病気で……つらい思いをしてるれいかちゃんを……喜ばせてあげなきゃ……!)


はるか(……れいかちゃんを……みんなを……笑顔にしてあげなきゃ……!!)

パァッ…


はるか(……何? 目の前に……光が……見える……。藍色の……光……?)


ペロー「スマイルパクトが光ってるペロ。……やっぱり、ぼくのパートナーはあなただったペロ。藍沢 はるかさん」


はるか(……え……? ネコが……しゃべってる……? 夢……なのかな……?)


ペロー「はるかさん。あなたには力があるペロ。みんなを笑顔にするための力が。ぼくと力を合わせれば、その力を使うことができるようになるペロ」


はるか(……みんなを……笑顔に……する力……)


ペロー「もし、はるかさんがみんなを笑顔にしたいのなら、この光をつかむペロ。そして、願いを込めて叫ぶペロ」


ペロー「"プリキュア・スマイルチャージ" って」


はるか(…………)

はるか(……ほしい……)


はるか(……みんなを笑顔にする力……。もしそんな力が私にあるなら……ほしい……!)


はるか(……れいかちゃんを……みんなを……笑顔にするために……!!)




ガシッ


はるか「プリキュア……スマイルチャージ……!!」



バァァァァァァッ!!


シアンナ「っ!? な、何、この光は!? 目を開けていられない……っ!」

アキラメーナ(薬屋の人形型)「ア、アガァッ……!?」ブンッ ブンッ


ハッピー「……なに……?」

サニー「な、なんやこれ……!? すごい光や……!」

ピース「藍色の……光……!?」

マーチ「……あれ? あの光の中心のところにいたのって……確か……!」

ビューティ「……ペローさんの……言う通りでした……! 6人目のプリキュアは……あなただったんですね……!」

ゴー!

ゴーゴー! レッツゴー、ノーブル!!


キュアノーブル「さらさら流れる気高きせせらぎ! キュアノーブル!!」

5人「キュア……ノーブル……!」


シアンナ「キュア……ノーブル……!? 6人目の……プリキュア……!?」


ノーブル「キュア……ノーブル……? え……?」


ノーブル「…………うわっ、な、何これ!? なんかヘンなカッコになってる!!? え、何!? 何で!!?」

サニー「あ、やっぱはるかさんみたいな人でも驚くんやな。みんな、最初はあんな感じやったもんな」

ペロー(デコル)「落ち着くペロ、ノーブル! 今のあなたは伝説の戦士 "プリキュア"、キュアノーブルだペロ!」

ノーブル「あ、さっきのネコの声? でも、な、何? で、伝説の戦士? "プリキュア"? 何それ、何なの??」

ペロー(デコル)「プリキュアになったら、すごいパワーが身につくペロ! そのパワーで、あの悪いやつをやっつけるペロ!」

ノーブル「あの悪いやつって……」


アキラメーナ(薬屋の人形型)「アキラメーナァ……!」


ノーブル「……あの怪物のこと?」

ペロー(デコル)「そうペロ!」

ノーブル「……さ、さすがにムリじゃないかな……。あんなに大きいの……!」

シアンナ「まさか、ここに来てプリキュアが増えるなんて……! それにあのプリキュアは、以前、私の邪魔をしたあの少女……。やはりただ者ではなかった……!」

シアンナ「でも……」


ノーブル「ダ、ダメ……、頭がついていかない……! 何が起こってるの……!?」


シアンナ「急激な変化に戸惑っているようね。それならば、力を発揮される前に倒す……! アキラメーナ!」パチンッ

アキラメーナ(薬屋の人形型)「アキラメーナァ!」ブンッ


ノーブル「わっ! な、殴りかかってきた!?」

ペロー(デコル)「ノーブル! プリキュアのパワーでどうにかするペロ!」

ノーブル「だから何なの、それ!? そんなパワー知らないよ!」

ペロー(デコル)「……わぁっ! パ、パンチがもう目の前に――」


ノーブル(……あれ? でも、このパンチ、見える。大きいだけだ。それなら、いつも通りに――)スッ


スルッ


ドガァァァァン!


シアンナ「……!? 外した……? あの距離で……!?」

アキラメーナ(薬屋の人形型)「?? ?? アガ??」


ノーブル「――いなせた」


マーチ「あ、あれって……!」

ビューティ「はるかお姉さんの合気道の技です……! 腕を横からほんの少し押すことで、パンチを逸らしたのです……!」

シアンナ「一体何が……!? ……アキラメーナ、もう一度よ!」パチンッ

アキラメーナ(薬屋の人形型)「アキラメーナァ!」ブンッ


ノーブル「それなら……」


スカッ ガシッ


シアンナ「また避けた……!? いえ、それだけじゃない……。アキラメーナの腕をつかんで……」

ノーブル「んっ!!」


ギュルッ


ドガァァァァン!!


アキラメーナ(薬屋の人形型)「アガァッ!?」


シアンナ「!? アキラメーナが転ばされた……!? 何なの、あれは! 一体何をしているの!? どうして、ああも簡単にあしらわれる!?」


ピース「あれも合気道の技だね!」

サニー「前におっかない兄ちゃんに使ってた技やな!」


ノーブル「……すごい……。いつもと全然体のキレが違う……! これなら……いける!」

ペロー(デコル)「ノーブル、チャンスペロ! 今のうちにやっつけるペロ!」

ノーブル「わかった。任せて!」


ノーブル「……でも、"やっつける" って、どうしたらいいの?」

ペロー(デコル)「あ、それは――」

ビューティ「はる……キュアノーブル……! スマイルパクトに……気合を込めて下さい……! あなただけの浄化の力が出るはずです……!」

ノーブル「え? あなたは誰? 私と同じような格好してるけど……」

ビューティ「説明は後でします……! やってみてください……!」

ノーブル「気合……、浄化の力……、よくわからないけど……やってみる!」

ノーブル「すぅーー……、はぁーー……、すぅーー……、はぁーー……」

ビューティ「あれは……合気道の呼吸法……!」

ハッピー「スマイルパクトに光が溜まってく! あれならいけそうっ!」

ノーブル「(カッ)」


ノーブル「プリキュア! ノーブル・ストリィィームッ!!」


ドォォォォォォォォンッ!!


アキラメーナ(薬屋の人形型)「アガァァッ!?」


サニー「これ……水や! すごい勢いの水が出たで!」

キャンディ(デコル)「ノーブルの浄化の力は "水" クルぅ!」




※作者注
 設定上、ビューティは水と氷の力を持ってるらしいですが、本作『レインボー!』では氷のみとし、
 代わりに新プリキュア・キュアノーブルが水の力を持っていることにさせていただきます。
 原作でもビューティの水要素はほとんど(全く?) なかったような気がするので。。


アキラメーナ(薬屋の人形型)「アガ……ァッ……!」グググッ

ノーブル「……あれ? やっつけられてない? すごいパワーだったのに……!?」

ハッピー「でも、今がチャンスだよ! みんなっ!」

4人「うん!」


ハッピー「プリキュア! ハッピー・シャワーァァッ!!」

サニー「プリキュア! サニー・ファイヤーァァッ!!」

ピース「プリキュア! (ピシャァン!) ひゃぁっ! ピース・サンダーァァッ!!」

マーチ「プリキュア! マーチ・シュートォォッ!!」

ビューティ「プリキュア……! ビューティ・ブリザード……!!」


ドドドドドォォォォォォォォンッ!!


アキラメーナ(薬屋の人形型)「アガァァァァァ……」シュワァァァァ…

ノーブル「……すごい……! 今度こそやっつけた……!」


シアンナ「くっ……、またしても……! 6人目のプリキュア……、キュアノーブル……!」


シアンナ「……しかし、私達の力も確実に強くなっている。プリキュア、次こそは……!」シュバッ

パァッ


はるか「あ、元に戻った」


れいか「(フラッ)」バタッ


なお「れいか!」

みゆき「れいかちゃん!」


はるか「え? れいかちゃん? っていうか、みんな? 何でここにいるの……?」

はるか「……あ、もしかして、さっき私と一緒に戦った人たちって……!」


れいか「そうです……はるかお姉さん……。私達 5人はみんな、伝説の戦士 "プリキュア" なんです……。今まで黙っていて……すみませんでした……」


はるか「……! そうだったんだ……。みんな、やけに仲がいいと思ったら……。こんな秘密を共有してたからだったんだね」

はるか「……って! そんなこと言ってる場合じゃない! れいかちゃん! じゃあ、そんな体であんな怪物と戦ってたってことなの!? ダメじゃない! 自分の体を大事にしなきゃ!」

れいか「……すみません……」

はるか「ほら、急いでおうち帰ろ! おぶってあげるから」

れいか「……はい……。ありがとう……ございます……」

れいか「はるかお姉さん……。心配おかけして……すみませんでした……。……でも、私、嬉しいんです……」

はるか「嬉しい?」

れいか「はい……! 私の憧れのはるかお姉さんがプリキュア……私達の仲間だったんですから……!」

あかね「せや! はるかさんが一緒に戦ってくれるなら、百人力やで!」

やよい「すっごく頼もしいよね!」

なお「うん! 6人目がはるかさんで良かったよ!」

みゆき「はるかさん。わたし達と一緒にプリキュアやってもらえませんか!?」


はるか「…………」

はるか(私が、"伝説の戦士・プリキュア"、かぁ……。まさかこんなことになるなんて……)

はるか(みんなは今まで、あんな怪物と何度も戦ってきたのかな。私が力になれるなら、もちろん協力したい。でも……)


はるか(……また、やらなきゃいけないことが、一つ増えちゃったな……)

れいか「……はるかお姉さん……?」

はるか「……大丈夫、任せて! 私もプリキュアになったからには、バッチリみんなの助けになるから!」

れいか「……本当ですか……! ありがとうございますっ……!」

はるか「その代わり、まだ全然わからないことだらけだから、今度ちゃんと色々教えてね!」

みゆき「はい! もちろんです!」


はるか「まだまだ新米だけど……、みんな、よろしくね!」





つづく

次回予告

みゆき「ついに仲間になってくれた新しいプリキュア、"キュアノーブル" こと、はるかさん!」

みゆき「とっても強くて優しくて、頼りになる人だけど、いろんなものに興味津々の妖精さん・ペローには振り回されっぱなしみたい」

みゆき「はるかさんとペロー、うまくやっていけるのかなぁ……」


みゆき「次回、『スマイルプリキュア レインボー!』 "はるか困る! ペローのドタバタ大冒険!"


みゆき「みんな笑顔でウルトラハッピー!」

今回はここまでです!
お読みいただいた方、ありがとうございました。


ようやく本作オリジナルの新戦士のお披露目となりましたが、
よく考えたら、高校生以上で覚醒したプリキュアって前例がないですかね。。?
(今回覚醒したはるかは高校二年生の設定です)
唯一の高校生プリキュア・ムーンライトも覚醒は中二だったような。。

……まあ、非公式なので、その辺りはなあなあでお願いします。


よかったら次回もまたよろしくお願いします!


第1話 〜 第11話 『スマイルプリキュア!』第2期を SS で作るスレ - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1360385907/)

第12話 >>6 から
第13話 >>117 から

キュアノーブルの戦闘スタイルは歴代で言うところの
キュアホワイトみたいな感じなんですかねぇ…

もしかしてSSやハトの後日談書いた人?

こんばんは。お久しぶりです。只今、書き込み読みました。簡単に言えばそうです。私はスマプリの中でこの組み合わせが一番好きなんです。この二人を「プリキュア5」のココとノゾミのように深く物語に絡ませなかったのはもったいないことだと今でも思っていますし、原作を忠実にしているのならば第一話もアニメの第一話と同じような登場人物を出して、ストーリを進行するべきではなかったのでしょうか?
それから、以前書いた「この子とこの妖精の組み合わせがイメージし辛い」と書きましたが、具体的にいうとアカネとウルルンのことなんです。私達アニメを観ていた人達だったらこの組み合わせは理解できるかもしれませんが、新規の人の場合はどうでしょうか?アカネのシンボルである太陽と狼の組み合わせは映像化された場合一瞬にして受け入れられるでしょうか?自分もサニーのコスチュームを想像してみましたが、やはりイメージがわきません。もし、サニーの『太陽』を全面的にプッシュするのであれば太陽のイメージに合う妖精とのほうがいいとおもいます。
 後、最後に質問ですが「キスがプリキュア的には刺激が強すぎる」の意味が良く分からないのですが・・・私はそんなに刺激的には感じませんでしたし、ディズニー映画観ていてもいやらしく思ったことはありませんでした。何でプリキュアだと刺激的にとらえられるのかが理解出来ません。
 乱雑な長文になりましたが、今日はこの辺で失礼させて頂きます。前回と今回の作品の感想はまた次回にさせて頂きます。それでは、お体に気をつけて次回作も楽しみにしています。おやすみなさい。

>>203「原作を忠実にしているのならば第一話もアニメの第一話と同じような登場人物を出して、ストーリを進行するべきではなかったのでしょうか?」この「レインボー!」の第一話にウルルンを出すべきってこと?
「プリキュア5」の続編の「5GoGo!」の第一話も、新キャラのシロップと悪者のスコルプの出番が多めで、「プリキュア5」の一話で出てきたココの出番は少なかった気がするぞ。

「後、最後に質問ですが「キスがプリキュア的には刺激が強すぎる」の意味が良く分からないのですが…」それは保護者とか親御さんがキスは刺激が強いと思ってるからでは……。
「フレッシュ」の美希がスクール水着で登場しただけで、そういうとこから苦情来るんでしょ?本当かどうかは知らないけどさ(そのあとのプリキュアシリーズから水着シーン消滅したから本当なんだと思うけど)。
そんな人たちが「キスしてパワーアップ」な場面を見て黙ってるとは思えないし、アニメの「スマプリ」もそういう保護者の事を意識して作られたと思う。
だから「プリキュア」でキスはちょっとまずいし、原作を意識するならこの「レインボー!」でもキスはできないってことじゃないかな?
「5GoGo!」の劇場版ではキスしてたけど、それ以降やってないしね(っていうか恋愛要素そのものがハートキャッチ以降減った気が……)

只今、書き込み読ませて頂きました。自分は「プリキュア5gogo」まだ未視聴だから何とも言えないけれど・・・そんなに目くじら立てる必要は無いと思うな。むしろ、女の子作品からそういう恋に対する憧れ要素を取ってはいけないと思う。最近の女の子向けアニメ作品ってそういうのが消えかかっているような気がする。これは自分論だが、昨今の少子化問題などはコレが原因の一つなのかもしれないと思っている。「○○だからこれはしない」という考えはいずれ通用しなくなるだろう。
後、自分が言いたかったことは「もう少しドラマ性のあるストーリー展開要素があればいいな」ということです。コレに関しては次回具体的に語らせてもらいたいのでお時間を下さい。

具体的に第一話の後半パートを例を挙げると以下のような流れです。

前スレ 44行目(そのまま)

〜七色ヶ丘市 公園(上空)〜
    124行目(そのまま)
    45行目(そのまま)
    46行目
キャンディ「へぇっ、へぇっ、何とか、それだけ、出せたクルぅ・・・(バタッ)」
みゆき「キャンディ?!」
青髪・長身の女性画家「見つけたわよ」
みゆき「(パクトをギュッと握り締め)キャンディ、ありがとう」
 ザッ!
女性画家「?」
みゆき「町の人達やキャンディをこんな目にして・・・良くわかんないけど、絶対許さないんだから!」
女性画家「何をするつもり?」
みゆき「プリキュア!スマイルチャージ!!」
 シーン・・・
みゆき「・・・」
女性画家・アキラメーナ(樹木型)「・・・」
みゆき「あ、あははは・・・キュアデコルがないや。これじゃあ変身できない、よね・・・あ、あははは・・・」
女性画家「アキラメーナ・・・やってしまいなさい」
アキラメーナ「アキラメーナァ!」┣¨┣¨┣¨┣¨ドッ!
みゆき「うひゃあぁぁぁぁぁっ!」ダダダダダッ
女性画家「何なの、あの子・・・ものすごい疲れるわ・・・一体、何なの・・・?」

アキラメーナ「アキラメーナァ・・・!」
みゆき「キャンディキャンディ起きてよ、キャンディ!!気絶するならキュア・・・キュアデコルも出してからにしてぇっー!」
アキラメーナ「アガァ!」ブンッブンッ
 ドンッ!ドォォン!
みゆき「わっ!ひゃっ!あっ!」
 ガッ ドタッ
みゆき「あいたた・・・」
女性画家の声「全く、手間ばかり取らせて・・・」
みゆき「あ・・・」
女性画家「追いかけっこはもうお終いよ。アキラメーナ、トドメよ」
アキラメーナ「アキラメーナァッ!」ブンッ
みゆき「(目をつむり)・・・!!」
????「ちょっと待ったぁぁぁっ!!」(130行目 抜粋)
みゆき・女性画家・アキラメーナ「???」
 カァァァァァッ!ドバァァァァァッ!!
アキラメーナ「アガァッ!」ドォォォン!
女性画家「ア、アキラメーナが吹き飛ばされた!?これは・・・桃色の光!?何が起こったの!?」

〜桃色の光の中〜

みゆき「・・・あれ?わたし、無事なの・・・?」
 ガンッ
みゆき「いたっ!?な、何?・・・!(拾い)これ、絵本だ。『赤ずきん』・・・?」
????「何とか間に合ったウル」
みゆき「え?」
????「危ないところだったな、クイーン。それにキュアハッピー」
みゆき「あ、あなたは・・・!」

  次回へ続く


と、まあこんな感じだったら読者をより物語の世界に引き込めたかな、と思っています。

>>1「キスがプリキュア的には刺激が強すぎる」

>>203「(キスが)なんでプリキュアだと刺激的にとらえられえるのか理解できない」

>>204「(キスしたら)親や保護者から苦情が来るからでは」

>>205「女の子作品からそういう恋に対する憧れ要素を取ってはいけないと思う」←「そういう恋に対する憧れ要素」がキスの事なのかな?

>>205で言ってる「女の子作品からそういう恋に対する憧れ要素を取ってはいけないと思う」って意見そのものは個人的には正しいと思う。
だけどフレッシュ以降のプリキュアが、「恋愛要素は出すけどキスはしない」みたいな感じに現実としてなってるんだから仕方がないよ。
「プリキュアも変身アイテム等を売る商売」という要素があるのだから、玩具を買う子供の保護者が出した意見は無視できない。
「プリキュアだからキスはしない」っていうのが通用しなくなるのは、保護者の意識が変わった時なんだからいつになるか分からないし。

制作側だって親から大量に苦情が来ない範囲で、「スマイル」のあかねとブライアンや「スイート」の奏太とアコのように、
「恋に対する憧れ要素」として恋愛要素を入れようと頑張ってるんだから、>205が編集者っていう一社会人ならばそういう現場の事もわかってあげてほしいな。

>>206-208これ「203へ」じゃなくて「レインボーさんへ」の方がよかったんじゃない?
第1話で変身できないっていうのは今までになかったはずだし、テンポ的にきついんじゃないかな……
プロローグでかなり時間を取った「スイート」でも1話の最後にはキュアメロディとキュアリズムに変身したし、5の続編の「5GoGo!」は最後に5人全員が変身したはず。

仮に1話が>>208で終わったとすると、2話が「????」からの解説・変身・敵を撃破でおそらく前半が終わるので、
2話で出るはずのキュアサニーの出番が削られる。これは「ドキドキ」の六花みたいに3話に回せばいいんだけど。
ただ、ウルルンでみゆきが変身したとすると、サニーの分の新キャラの妖精を持ってこないといけないので「5人中1人だけパートナーが新キャラ」という状態になる。
>>1が5人全員を平等に扱いたいならそういう事はしたくないでしょ。

長文レスは読む気しないから分からんが>>1が書きたいように書くのが一番だと思うな

>>210 簡単にまとめると
編集者さんがウルルンがみゆきのキスでパワーアップという案を出す
         ↓
>>1が、「(案に対して)おお!と思った。でも(キスが)プリキュアとしては刺激が強いかな、とも思います」と返す。
         ↓
編集者さん「(キスが)何でプリキュアだと刺激的にとらえられるのかが理解出来ません」と反論
         ↓
外野の>>204「(プリキュアでキスしたら)親や保護者から苦情が来るからでは」
         ↓
編集者さん「キスに目くじらを立てる必要はないと思うし、女の子作品からそういう恋に対する憧れ要素を取ってはいけないと思う」
         ↓
外野の>>209「現実にプリキュアでは「キスしない」みたいな感じになってるし、それは商売としての都合があるから仕方がない」

簡単に言えば

>>1の「キスがプリキュアとしてはちょっと刺激が強い」という考えに反対する編集者さんVS外野(キスがNGな理由を説明)

あと、編集者さんが「第一話はこうしたら読者を引き込めたのでは?」って>>206-208の案を出してる。

『スマイルプリキュア レインボー!』 のお時間ですが、
執筆が思うように進まず、14話の完成が間に合いませんでした。。

楽しみにしてくださってる方には大変申し訳ないのですが、
今週は一回お休みということにさせてもらえればと思います。

…スミマセンでしたー! ら、来週こそは必ず。。


あ、ただ、念のため補足ですが、
"編集者"さん(で、いいですか?) や皆様のレスのせいとかでは全然ありません。
単に自分が未熟で筆が詰まっただけです。精進します。。


それでは、よければ来週またお願いします!


第1話 〜 第11話 『スマイルプリキュア!』第2期を SS で作るスレ - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1360385907/)

第12話 >>6 から
第13話 >>117 から

二週間ぶりのご無沙汰でした!

なんか色々ご意見いただいていたのでお返事返したかったんですが、
14話完成するまで落ち着かなくて、放置気味になってしまいまいした、、スミマセン!

もう 14話は完成してますので、この後アップします!
その後お返事やらさせていただきますね。


よろしくお願いしますー!

『スマイルプリキュア レインボー!』

このあとすぐ!

〜 ふしぎ図書館 秘密基地 〜

ポップ「――以上で、プリキュアに関する説明はおしまいでござる。何かわからないことはあるでござるか、はるか殿?」

はるか「ありがとう、……えっと、ポップ君だっけ。大体わかったよ」


はるか「"プリキュア" は "メルヘンランド" っていうおとぎ話の国に伝わる伝説の戦士で、私もそれになった」

はるか「そのメルヘンランドと親しかった "ピクチャーランド" っていう絵を司る国があって、そこを滅ぼした "デスペアランド" っていう悪い国が、私達の世界も狙ってる」

はるか「だから、私はプリキュアとしてみんなと力を合わせて、デスペアランドと戦っていかないといけない」


はるか「こんな感じだよね?」

ポップ「うむ、その通りでござる。その証拠に、この本を見てみるでござる。はるか殿のプリキュア・キュアノーブルが描かれているでござろう?」ペラッ

やよい「ホントだぁ! プリキュアの絵本の藍色のページがキュアノーブルになってる!」

キャンディ「新しいプリキュアが増えると、プリキュアの絵本の絵も増えるクル!」

はるか「キュア、ノーブル……。これが私……。平和を守る、伝説の戦士……」


はるか「……わかった。私、やるよ! プリキュアになったからには精一杯戦って、みんなの平和を守ってみせる!」

あかね「燃えてますなぁ、はるかさん! 頼もしいですわ!」

はるか「任せて! 中学生のみんなが頑張ってるんだもん。みんなを危ない目に合わせないためにも、高校生の私はもっと頑張らなきゃ!」

はるか「それで、キミがプリキュアに変身するために力を貸してくれるパートナーのペロー君、だよね」

ペロー「はいペロ! 長靴ネコの妖精のペローっていいますペロ。はるかさん、よろしくお願いしますペロ!」

はるか「うん、こちらこそよろしく!」


なお「はるかさん、ペローとも仲良くやっていけそう。よかったね、れいか。頼もしい仲間が増えて」

れいか「ええ、本当に……! はるかお姉さんならきっと素晴らしいプリキュアになってくれるはずです!」


みゆき「よぉーし、それじゃあ、新しいプリキュアも増えたことだし! これからも、みんなで力を合わせてガンバろーっ!」

全員「おぉーっ!」

〜 解散後 七色ヶ丘市 商店街 〜

ヒョコッ


ペロー「はるかさん、ここは何ペロ? 何だかにぎやかで、楽しそうペロ!」

はるか「ペロー君、カバンの中からあんまり顔出しすぎないでね。ペロー君みたいな生き物はこっちの世界にはいないんだから、見つかったら大騒ぎになっちゃうよ」

ペロー「ご、ごめんなさいペロ」


はるか「ここはね、商店街って言って、色んなお店がたくさん集まってる通りなんだよ」

ペロー「へええ……!」キラキラ

はるか「あ、そっか。ペロー君、私達の世界に来たばっかりなんだっけ? 色々珍しかったりするのかな?」

ペロー「はいペロ! 初めて見るものばっかりですペロ! はるかさん、どこか寄って行かないペロ!?」

はるか「うーん……、買い物してもいいんだけど、遅くなっちゃったし……。今日はもう帰ろう?」

ペロー「そうペロ……。残念ペロ……」

はるか「ゴメンね、ペロー君。また今度来ようね」

ペロー「……はいペロ」

はるか(……それにしても、"プリキュア"、ねぇ……。世の中、何が起こるかわかんないなぁ……)


おもちゃ屋・"シークレット・トイズ" のウィンドウモニター『あなたもこれでステキに変身! "魔法少女マジカル・ムーン" の "ブライトリング"、発売中!』


はるか(よく考えると、このアニメみたいなことを大マジメにやってるんだよね……)

はるか(子どものころはよくごっこ遊びとかしたけど、この年でっていうのは……、冷静に考えるとちょっと恥ずかしいかも……)


はるか(……って、何考えてるの、私。これはアニメじゃなくって、ホントのこと。遊びじゃないんだから、しっかりしないと……!)

はるか(よし、頑張ろう! 私はみんなより年上だけど、プリキュアに関しては後輩なんだし、足を引っ張らないようにしなきゃ!)

〜 藍沢家 はるか自室 〜

はるか「さ、着いたよ、ペロー君。もう元に戻っても大丈夫だよ。でも、お父さんやお母さんに見つかるとタイヘンだから、あんまり騒がないようにね」


シーーーーン…


はるか「……? ペロー君? もういいんだよ、カバンから出てきても。窮屈だったでしょ?」


シーーーーン…


はるか「……ペロー君? いるんだよね? ねえ、ってば」ゴソゴソ

〜 青木家 〜


trrrrr...

ガチャッ


淳之介(れいか兄)「はい、青木で――ああ、はるか。どうかした――」

はるか(電話)『淳くん!? れいかちゃん! れいかちゃんいる!?』

淳之介「な、何だい、そんなに慌てて……。何かあったのかい?」

はるか(電話)『と、とにかくれいかちゃんに代わって! 急いで! 大変なの!』

淳之介「……よくわからないけど、とりあえず落ち着いて。今、れいかを呼びに――」


スタスタスタ


れいか「? 私がどうかしましたか、お兄様?」

淳之介「れいか。丁度良かった。今、はるかから電話がかかってきてるんだけど、急いでれいかを出してほしい、って言ってるんだ。代わってくれるかな」

れいか「はるかお姉さんが? わかりました」


れいか「はるかお姉さんですか? 代わりました、れいかです。一体何が――」

はるか(電話)『あ、れ、れいかちゃん! あ、あのね、ちょ、ちょっと大変なことになっちゃって……!』

れいか「……大変なこと? 何かあったのですか?」

はるか(電話)『……いなくなっちゃったの……!』

れいか「え?」


はるか(電話)『ペロー君がいなくなっちゃったの!』




スマイルプリキュア レインボー!

第14話「はるか困る! ペローのドタバタ大冒険!」



〜 ふしぎ図書館 秘密基地 〜

れいか「――と、いうわけで、はるかお姉さんが家に帰ったら、カバンの中からペローさんがいなくなっていたそうです」

あかね「なーるほど。さっき解散したばっかやのに、急にまた集められたと思ったら、そういうことかいな」

はるか「……私一人じゃどうしていいのかわからなくって……。みんなにも探すのを手伝ってもらおうと思ったんだ……。ゴメンね、時間も遅くなってるのに……」

やよい「そ、そんな、気にしないで下さい!」

みゆき「そうですよ! わたし達、もう同じプリキュアの仲間なんですから! 一緒にガンバって探しましょ!」

はるか「やよいちゃん、みゆきちゃん……、ありがとう……」


はるか「……でも、"プリキュアとして頑張る" って言ったばっかりなのに、もうパートナーを見失うなんて……。面目ない……」シュン

れいか「はるかお姉さん、そう気を落とさずに……」

なお「それで、はるかさん、ペローがどこでいなくなったか、心当たりはないんですか?」

はるか「みんなと別れた後の帰り道で、商店街に入った辺りまでは話してたんだけど……」

れいか「では、ペローさんがいなくなったのは、商店街からはるかお姉さんの家までの道のどこか、ということになりますね」

はるか「多分……」


ウルルン「……あー、商店街か、なるほどウル。ペローがいなくなった原因、なんとなく分かった気がするウル」

はるか「え? ホント、ウルルン君?」

ウルルン「はるか、ペローのヤツ、商店街の色んな店に興味しんしんだったりしなかったウル?」

はるか「あ、そういえばそうだったよ……! "初めて見るものばっかりだ" ってはしゃいでた」

ウルルン「なるほど、やっぱりウル」

オニニン「ああ、そうか! おれ様も、ペローがいなくなった原因、わかったオニ!」


あかね「何や、二人とも。なんか知っとる感じやなぁ」

やよい「気づいた事があるなら教えてくれる?」

オニニン「おうオニ」

ウルルン「アイツ、自分が興味あるものがあると、すぐそっちに飛んでいっちまうクセがあるウル」

オニニン「例えば、おにごっこなんかしてても、キレイなちょうちょが飛んでると、遊ぶのそっちのけで追いかけていってしまうオニ」

ウルルン「そんなアイツが色んなものがあふれてるこっちの世界に来たら、ガマンできなくなってもしょうがないウル」


れいか「と、いうことはつまり、ペローさんは商店街の何かに興味をひかれ、たまらずカバンから飛び出していってしまったかもしれない、と?」

ウルルン「多分そんなところウル」

みゆき「じゃあ、ペローは商店街のどこかにいる、ってことだよね!? そうとわかれば、すぐに探しに行こうっ!」

なお「ちょ、ちょっと待ってよ、みゆきちゃん! 商店街って言っても広いよ? アテもなしに探しても、見つかるかどうか……」

みゆき「あ、そっか……。どうしよう……」

れいか「弱りましたね……」

マジョリン「……いっひっひ、どうやら、ここはあたしの出番のようだマジョ!」

なお「な、何、マジョリン? やけに自信たっぷりみたいだけど」

マジョリン「あたしにかかれば、探しものなんて朝メシ前だマジョ!」

はるか「ホント、マジョリンちゃん!?」

マジョリン「ちゃ、"ちゃん" って……。ホントはあたしの方が年上……いや、そんなことはいいマジョ。これを見るマジョ!」ゴソゴソ


ゴトッ


みゆき「水晶玉……?」

マジョリン「ただの水晶玉じゃないマジョ! これは、あたしの魔法に反応して、探し物を探す時にヒントをくれる大発明マジョ! その名も――」


マジョリン「"サガシモノサガ〜ス" マジョ!」テーレッテレー


あかね「……まんまやん」

ウルルン「あーあー、出た出たウル、マジョリンの "大発明"。みんな、あんまり期待しない方がいいウル」

オニニン「そうオニ。どうせロクなもんじゃないオニ」

マジョリン「お、お前達、何てこと言うマジョ! まだ使ってもいないのに、何でそんなことわかるマジョ!?」

ウルルン「お前はバッドエンド王国にいた頃からロクなもん作ってなかったウル!」

オニニン「そうオニ! 叩いた人が小さくなる小槌の "チイサクナ〜ル" とか、撮られた人が透明になるカメラの "ミエナクナ〜ル" とか、光を当てられた人が巨大ロボットになる "ロボニナ〜ル" とか、しょーもないものばっかりだったオニ!」

マジョリン「効果はカンペキだったマジョ! そこまで言うことないマジョ!」プンスカ


はるか「……"バッドエンド王国" って、ウルルン君達が敵だった頃の話だよね? みんな、あの子達とどんな戦いしてたの……? 今の話から全く想像つかないんだけど……」

れいか「……ま、まぁ、色々ありまして……」

はるか「……でも、効果は確か、っていうならお願いしたいな。マジョリンちゃん、ペロー君探し、頼めるかな」

マジョリン「おお、はるかは話がわかるマジョ! じゃあ、早速やってみるマジョ! お前達! "サガシモノサガ〜ス" の力を見て、腰抜かすんじゃないマジョ!」

ウルルン「わかったわかった。やるなら早くやれウル」

オニニン「みんな、離れてた方がいいオニ。急に爆発とかするかもしれないから危ないオニ」

やよい「そ、そうした方がいい、かな……?」

みゆき「マジョリーナの発明品にはあんまりいい思い出ないもんね……」


ガタッ ガタガタッ


マジョリン「…………はるか以外みんな離れちゃったマジョ……。ヒドいマジョ……」

はるか「……よく分からないけど、私は信じてるよ、マジョリンちゃん。よろしくね」

マジョリン「は、はるか……。わかったマジョ! はるかのためにガンバるマジョ!」


マジョリン「サガシモノサガ〜スよ、ペローの居場所を教えたまえマジョー……」

マジョリン「むむむむむ…………、カァーーーーーーーーッ!」


ピカァーーッ!


やよい「わっ!? す、水晶球が光った!?」

あかね「うぃっ!? ほ、ほんまに爆発するん!?」

ボヤァーーーッ…


はるか「! 何か出た! みんな、水晶玉に何か映ってるよ!?」

なお「え!? 本当ですか!?」


ダダダダッ


みゆき「ホントだ! 何か映ってる!」

マジョリン「これがヒントマジョ! ペローはこれに関係するところにいるマジョ!」


あかね「うん、確かになんか映っとるな。せやけど……、これ何? 建物?」

れいか「……に、しては何だか現実離れしている建物ですね。頂上に大きなアンテナがついていますし。建物の脇についているこれは……砲台でしょうか?」

はるか「なんか、ミサイル? みたいなのもついてるね……。こんな建物、七色ヶ丘にあったかな……?」


やよい「……これは……もしかして……」ジーッ

なお「やよいちゃん? この建物に見覚えあるの?」

やよい「うん……。この造型、これは……!」

やよい「……わかったぁーーっ! これ、"DXロボッターベース 定価 \4,800(税抜)" だよ!」キラキラ

あかね「…………何て?」

やよい「だから、"DXロボッターベース 定価 \4,800(税抜)"!」


やよい「頂上についてるアンテナは "ロボッターエネルギーバリア 発生装置"! 基地を守るバリアを作るの!」

やよい「脇の砲台は "ロボッターエネルギービーム砲"! 攻めて来た悪いロボットを撃ち落とすよ!」

やよい「"大爆発ミサイル" もついてる! スゴすぎて使っちゃいけないんだけど、それでもあえて使わなきゃいけないシーンが燃えるんだよねーっ!」

やよい「そして、基地全体を包むこのキラめく "超合金"!」

やよい「間違いないよ! これは "DXロボッターベース 定価 \4,800(税抜)" だよ!」


はるか「(ポカーン)……何を言ってるのか一つもわからない……」

はるか「っていうか、"ロボッター" って何? 聞いた事ないんだけど」

れいか「『鉄人戦士ロボッター』。やよいさんの好きなロボットアニメです、はるかお姉さん」

はるか「あ、アニメの話か。なるほどね……。それがヒントってことは……」


はるか「やよいちゃん。この水晶玉に映ってるの、本物じゃないんだよね?」

やよい「え? あ、はい。表面の素材の感じからして、多分おもちゃだと思います。"超合金" は独特のテカリがあるんで、すぐわかるんです!」

なお「そんなんでわかるんだ……。さすがやよいちゃん、マニアック……」


はるか「そっか。じゃあ、探しもののヒントを出すこの水晶玉がおもちゃを映した、ってことは、ペロー君がいるのは……!」


全員「! おもちゃ屋さん!」

はるか「それも、商店街にあるおもちゃ屋、"シークレット・トイズ" だね、きっと!」


サガシモノサガ〜ス『ピンポーン』


マジョリン「おお、当たりみたいマジョ!」

あかね「……ん? ちょお待って。なんや、今の "ピンポーン" って」

マジョリン「この "サガシモノサガ〜ス" には、ヒントに対する答えが正解かどうか確かめる機能がついてるマジョ! どうだい、スゴいマジョ?」

あかね「せやったら、最初っから答え教えてくれるようにしたらよかったんとちゃう?」

マジョリン「……え……?」


マジョリン「…………」

全員「…………」

マジョリン「……ホントだマジョ……。なんでそうしなかったマジョ……?」

ウルルン「知るかウル!」

オニニン「言ったとおりだったオニ。やっぱりしょーもない発明品だったオニ」

マジョリン「ヒ、ヒントがわかるだけでもスゴいマジョ!? お前達、さっきから言いすぎマジョ!」


なお「まあまあ。とりあえず行ってみようよ、そのおもちゃ屋」

れいか「そうね。マジョリンさんの発明品が正しければ、ペローさんはそこにいるはずです! 行きましょう、はるかお姉さん!」

はるか「うん!」

〜 七色ヶ丘商店街 おもちゃ屋 "シークレット・トイズ" 〜

ペロー「えーっと、ここのボタンを押すと……」

試遊用DXロボッターベース(ボイス)『(ビカビカーッ!) ロボッターエネルギーバリア、展開!』

ペロー「おぉーっ!」キラキラ


ペロー「じゃ、じゃあ、こっちを押すと……!」ドキドキ

試遊用DXロボッターベース(ボイス)『やむを得ん! 大爆発ミサイル、発射!』ピヨーン

ペロー「おおおぉーっ!」キラキラ


おもちゃ屋店員「……て、店長。あそこのぬいぐるみ、動いてませんか……?」

おもちゃ屋店長「君、今日日のおもちゃはバカにできないぞ? しゃべったり動いたりくらいなら簡単にするからな」

おもちゃ屋店員「そ、そういうレベルではないような気がしますが……」

おもちゃ屋店長「それより仕事仕事! 早めに商品チェック、済ませてしまってくれよ」

おもちゃ屋店員「は、はい……」

ペロー「はぁー、楽しいペロ……! はるかさんも誘ったらよかったペロ! そしたら、もっと楽しかったペロ!」


タタタタタッ


はるか「ペロー君!」

ペロー「あ、はるかさん! それに、みなさんも!」

はるか「良かった、見つかって……! あの時、私がこの店のウィンドウを見てる時に抜け出したんだね……」


みゆき「ホントにいたね、ペロー!」

キャンディ「マジョリン、スゴいクル! バッチリ見つかったクル!」

マジョリン「ふふん、そうマジョ? 結果がよければオーケーなんだマジョ。そっちの二人もホメてくれてもいいんだマジョ?」チラッ

ウルルン「けっ、トクイになってんじゃねーウル」

オニニン「たまたまうまくいっただけオニ」

マジョリン「……なんで素直にほめられないマジョ!?」プンスカ


おもちゃ屋店員「……て、店長? あの子達の持ってるぬいぐるみ、会話してるように見えますが……」

おもちゃ屋店長「だから、最近のおもちゃはすごいんだって! ほら、それより手を動かして!」

おもちゃ屋店員「は、はぁ……」

はるか「ペロー君、ダメじゃない、黙っていなくなったりして。心配したんだよ?」

ペロー「ペロ……!? はるかさん、心配させてしまったペロ……?」

ポップ「そうでござるよ、ペロー。はるか殿は、お主がいないことに気付いて、大慌てで探そうとしてたでござる」

ペロー「そ、そうだったペロ……」


ペロー「……はるかさん、ごめんなさいペロ。心配させるつもりはなかったペロ。ただ、このお店があんまり楽しそうだったから、つい……」

やよい「うんうん、わかるよ、その気持ち! おもちゃ屋ってウキウキしちゃうよね!」

キャンディ「キャンディもわかるクル! ……はるか、ペローはちょっとはしゃいじゃっただけクル。だから、あんまりペローのこと怒らないであげてほしいクル……」

はるか「……うん、大丈夫だよ、キャンディちゃん。こうして無事に戻ってきたんだから、それでいいよ。ただ、今度からは黙っていなくなったりしないでね?」

ペロー「わかったペロ……。ホントにごめんなさいペロ……」

はるか「もういいって! じゃあ、一緒に帰ろう?」

ペロー「はいペロ!」

ペロー(……はるかさんは許してくれたけど、メイワクかけてしまって申し訳ないペロ……。ちゃんと謝りたいペロ……。何か、いい謝り方はないペロ?)


ペロー(……ペロ? あれは……)


おもちゃ屋の店内モニター『あなたもこれでステキに変身! "魔法少女マジカル・ムーン" の "ブライトリング"、発売中!』


ペロー(……! いいこと考えたペロ! これならきっと……!)

〜 早朝 藍沢家 はるか自室 〜

はるか「……すー……すー……」


ゴソゴソゴソ


はるか「……すー……ん、んん……、ペロー君……? ゴソゴソ何してるの……?」

ペロー「ペ、ペロ!? 起こしてしまったペロ……? な、何でもないペロ!」

はるか「……そう……。……ふわぁ……、私、もう少し寝る……。あんまり……部屋荒らしたら……ダメだよ……」

ペロー「わ、わかったペロ」


はるか「…………すー……すー……」


ペロー(ふう……、バレちゃうところだったペロ。はるかさんをビックリさせたいから、ナイショにしないとペロ)

ペロー(……でも、はるかさんの家にあるものだけだと、ちょっと足りないペロ……。外に探しに行きたいけど、"黙っていなくならないで" って言われたし……。どうするペロ……?)


ペロー(……あ、そうだ! 黙って行かなければいいんだペロ!)

カキカキカキ


ペロー(これでよし、ペロ!)

ペロー(それじゃ、はるかさん、行ってきますペロ! 部屋の窓から外の世界にレッツゴーペロ!)


ガラッ ピョーン


はるか「……すー……すー……」

〜 朝 藍沢家 はるか自室 〜

はるか「……んっんー、いい天気……! 今日はお休みだし、約束どおり、どこか遊びに行こうか、ペロー君?」


シーーーーン…


はるか「あれ? ペロー君? ……まだ寝てるのかな」

はるか「……あ、机の上に紙が置いてある。ゆうべまではなかったと思うけど……、何かな?」ガサッ


ペロー(手紙)『はるかさん、ちょっとお出かけしてきますペロ! 黙って出て行くわけじゃないので、心配しなくてもだいじょうぶですペロ!』


はるか「…………」ポカーン


はるか「……そ……」

はるか「そういう問題じゃないでしょぉ……!?」

〜 ふしぎ図書館 秘密基地 〜

はるか「…………」シュン


れいか「――と、いうわけで、はるかお姉さんが朝起きたらペローさんがいなくなっていたそうです」

あかね「……またかいな……」

はるか「……ホントに面目ない……。私がしっかり言っておかなかったからまた一人で勝手に出てっちゃって……。申し訳ないんだけど、また探すの手伝ってもらえないかな……?」

みゆき「もちろんですよ! ねぇみんな!」

やよい「うん! 今日はお休みだし、みんなでかくれんぼしてるみたいでなんだか楽しそう!」

なお「や、やよいちゃん……。はるかさん真剣だから、もうちょっと緊張感持った方が……」


ウルルン「それにしても、ったく、アイツはしょーがないウル。はるか、もうほっといたらいいんじゃねーウル? そのうち戻ってくるウル」

はるか「でも、ペロー君がいないと私はプリキュアに変身できないんだよね? もし、その間にデスペアランドが襲ってきたら困っちゃうよ」

ポップ「む……、それはそうでござるなぁ……」

はるか「そういうことだから、マジョリンちゃん。昨日のアレ、また頼めるかな……?」

マジョリン「お安い御用だマジョ!」


ゴトッ


マジョリン「サガシモノサガ〜スよ、ペローの居場所を教えたまえマジョー……」

マジョリン「むむむむむ…………、カァーーーーーーーーッ!」


ピカァーーッ!


なお「それ、毎回やるの?」

ボヤァーーーッ…


マジョリン「むむ!? 何か出たマジョ! みんな見るマジョ!」

みゆき「これが今ペローがいるところのヒントだね!」

キャンディ「クル……? でも、これ何クル? どこかで見たことあるようなないようなー……。わかんないクルぅ……」


あかね「あ、これ、"王冠" やな」

キャンディ「クル? 王様がかぶるカンムリクル?」

あかね「ああ、ちゃうちゃう。"王冠" っちゅーのは、ビンのフタのことや。カタチが似とるからそう呼ぶんやで」

あかね「しかもこれ、ビールの王冠っぽいなぁ。ほれ、見てみ? "アケボノ" って書いてあるやろ。ビールのメーカーやな」

はるか「詳しい……。さすがおうちが飲食店なだけあるね!」

あかね「へへへ、おーきに」

れいか「ですが、これだけではペローさんがどこにいるのかまではわかりませんね……。ビールのキャップ、ということですから……酒屋さんなどでしょうか?」


サガシモノサガ〜ス『ブッブー』


マジョリン「残念、ハズレみたいマジョ。答えが違うときはハズレの音が鳴るマジョ」

ウルルン「この機能いんのかウル……」

オニニン「ウガーッ! もうさっさと答え教えるオニ! そしたらすぐ見つかるオニ!」ガタガタ

マジョリン「ああ、バカ! サガシモノサガ〜ス、ゆするんじゃないマジョ! 壊れちゃうマジョ!」


はるか「でも、確かにこれだけじゃ探しようがないね……。せめて、他にもヒントがあれば……」


ピカァーーッ!


やよい「わっ!? また水晶玉が光ったよ!?」

ポップ「さっきの王冠の絵が消えて……、新しい絵が出てきたでござる!」

なお「いくつかヒント出してくれるんだ。すごいね、コレ!」

マジョリン「ふふふん、そうマジョ? もっとホメるマジョ!」

なお「それで、次のヒントは――」


ボヤァーーーッ…


なお「……!? うひぃっ!? む、む、虫ぃ!!?」ガタッ

みゆき「……なおちゃん、すごい速さで離れちゃった……」

はるか「これ、トンボだね。……そういえば、なおちゃん虫ニガテなんだっけ。まだ直ってないんだ」

なお「な、直そうと思って直るもんじゃないですよーっ!」


やよい「うーん……でも、ヒントがトンボ? ますますわかんなくなっちゃったね……?」

れいか「そうですね……。王冠とトンボ……、どのような関係があるのでしょうか?」

はるか「……あれ、待って。このトンボ、"アキアカネ" だね」

みゆき「えっ? 見ただけで種類までわかるんですか?」

はるか「うん。ほら、このしっぽ――ホントはお腹なんだけど、ここが赤いでしょ? だから多分そうだと思う」

みゆき「へぇー……! はるかさん、物知りなんですね」

あかね「なんや、"アカネ" って、うちと同じ名前やなぁ。なんや親近感わくわぁ」


はるか「……あかねちゃん、今なんて言った?」

あかね「え? このトンボ、うちと同じ "アカネ" って名前や、って……」

はるか「……そういえば、あかねちゃんのお店の名前も "お好み焼き屋・あかね" だったよね?」

あかね「そ、そうですね。せやけど、それがどないしたんで――」


はるか「わかった! それだよ!」

あかね「うぇっ!? ど、どれですか!?」

はるか「第一のヒント・王冠と、第二のヒント・アキアカネ。この二つのヒントが意味するものは……」


はるか「この王冠が付いたビールを仕入れている、"お好み焼き屋・あかね" ! きっとペロー君はそこにいるはず!」

あかね「そ、そうなんです? ちょっとムリヤリやないですか?」


れいか「さすがはるかお姉さん! 間違いありません!」

あかね「間違いないん!? ほんまに!?」


サガシモノサガ〜ス『ピンポーン』

あかね「当たりなんかい!」

あかね「……こんなヒントありかいな。わかりづらすぎやろ……。もっとマシなヒント出してくれたらええのに……」

ウルルン「きっとマジョリンのひねくれた性格がこの水晶玉にも受け継がれてるウル」

マジョリン「いちいちうるさいマジョ! わかったんだからいいマジョ!?」

みゆき「そうだよ! 行ってみよう、あかねちゃんち!」

はるか「うん!」

〜 お好み焼き屋 "あかね" 〜

ガラッ


あかね「父ちゃん! ちょっと聞きたい事あんねんけど!」

大悟(あかね父)「おや、みなさんおそろいで。っちゅーか、何やねんあかね。入ってくるなり大声出して」

あかね「あんな、この店に、こんくらいの大きさの服来たネコ、来ぃへんかった?」

大悟「ああ、おったおった! 店の裏でなんやゴソゴソやっとったで! なんや、けったいなネコやったなぁ」

やよい「やった! 大当たり!」

大悟「ん? 当たり? なんのこっちゃ?」

みゆき「あ、な、何でもないんですー。こっちの話で……えへへ」

はるか「そ、それで、そのネコ、今どうしてますか?」

大悟「ああ、追い払ったで。店のゴミやら荒らされたらたまらんからなぁ。現に、捨てよ、思うてた王冠、いくつか持ってかれてもーたみたいやし」

あかね「えーっ! じゃあ、もうおらへんのかいな!? 父ちゃん、そのコ、どっち行ったかわからへん?」

大悟「そんなん知らんがな! ……何や? そのネコに用でもあったんかいな」

れいか「え、ええ、まあ……」

なお「でも、いないんじゃしょうがないね……。一旦出直して、仕切りなおした方がいいかも」

はるか「そうしよっか……。スミマセン、お邪魔しました!」


ガラッ ピシャンッ


大悟「……? 何なんや、一体……」

〜 ふしぎ図書館 秘密基地 〜

みゆき「振り出しに戻っちゃったね……」

あかね「せやなぁ。また探しなおしか……」

なお「落ち込んでてもしょうがないよ! ガンガン行こう! マジョリン、またお願い!」

マジョリン「わかったマジョ!」


マジョリン「むむむむむ…………、カァーーーーーーーーッ!」


ピカァーーッ!


やよい「今度はどう!?」

ボヤァーーーッ…


ポップ「何か出たでござる!」

れいか「これは……ベルト、でしょうか?」

みゆき「ピンク色でかわいぃーっ!」

はるか「……でも、やっぱりこれだけじゃ何のことやら……」

あかね「…………もう一回! もう一回!」

みゆき「……あかねちゃん……? 何それ?」

あかね「さっき、"他にもヒント欲しい" 言うたら2個目のヒント出たやろ!? せやから、今回も2個目のヒント出してもらうんや!」

みゆき「おおっ、なるほどーっ! よぉーし! もう一回! もう一回!」

やよい「もう一回! もう一回!」

なお「もう一回! もう一回!」

キャンディ「もう一回クル! もう一回クル!」


はるか「……えーっと……、やらないとダメ、かな、これ?」

れいか「ペローさんを見つけるためです! さあ、はるかお姉さんもご一緒に! もう一回! もう一回!」

はるか「……えぇーい、恥ずかしいけどしょうがない!」


全員「もう一回! もう一回!」


サガシモノサガ〜ス『――――』


ピカァーーッ!


ウルルン「おっ、やったウル! 何か出たウル!」

ボヤァーーーッ…


やよい「わぁっ、ネコだぁ! かわい…………く、ないね、あんまり」

なお「傷だらけだし……、ずいぶん気合入った面構えのネコだね……」

あかね「ノラネコのボスって感じやなぁ」


れいか「……! 野良猫、といえば……!」

みゆき「何か知ってるの、れいかちゃん!?」

れいか「ええ。私は毎朝お兄様とジョギングをしているのですが、そのコースの途中に野良猫達が集まる空き地があるのです。何度か見かけたことがあります」

はるか「なるほど、聞いた事あるよ。野良猫って地域ごとに集まって会議するんだってね」

やよい「ネコ会議……。何を話してるのかな?」

はるか「そ、それはネコ達じゃないとわからないけど……」

あかね「ほんなられいか! それ、場所言ってみ!」

れいか「はい! ヒントの答えは、ズバリ……3丁目の空き地ですね!?」


サガシモノサガ〜ス『ピンポーン』


みゆき「やったぁー! 大正解!」

なお「……あれ? でも、そしたら最初のヒントのベルトはなんだったのかな?」

はるか「とにかく行ってみよう! ヒントについても、行ってみたらきっとわかるよ」

れいか「そうですね!」


はるか(……ペロー君、もうそろそろ見つけたいな。次で会えるといいけど……)

〜 七色ヶ丘市 3丁目の空き地 〜

はるか「……こ、これは……!」


野良猫A「(グデーン)」

野良猫B「(グデーン)」

野良猫C「(グデーン)」


れいか「す、すごい数のネコ達が倒れていますね……! 一体何が……!?」


傷だらけのボスネコ「(グデーン)」


なお「あ、あそこに倒れてるネコ! さっき水晶玉に映ってたネコだ! じゃあ、やっぱりペローはここにいたのかな」


白いメス野良猫「ニャァーン」

あかね「おっ、一匹だけ無事なコがおんで! 話が聞ければええんやけど……。ウルルン、何とかならへん?」

ウルルン「ネコ語なんてわかんねーウル。イヌだったら何とかなるけどウル」

あかね「何や、ダメなん? イヌもネコも似たようなもんやん、ケチくさいなぁ」

ウルルン「ケチとかそういう問題じゃねーウル!」

キャンディ「ふっふっふ……。ここは、キャンディにお任せクル!」

みゆき「え、キャンディ、ネコの言葉わかるの!?」

ポップ「キャンディはあらゆる生き物の言葉がわかるでござるよ。幼くとも、メルヘンランド次期クイーンというのはダテではないでござる」

やよい「あ、そういえば、前に虫の言葉を聞いてたことあったね。今思うと、あれもクイーン様としての力だったのかなぁ」


キャンディ「ちょっとあのコにお話聞いてくるクル! 待っててクル!」

みゆき「頼りになるぅー! よろしくね、キャンディ!」

キャンディ『(ネコ語) もしもし。キャンディは、キャンディっていうクル。ここで何があったクル? 教えて欲しいクル』

白いメス野良猫『(ネコ語) あら、ふしぎな方ですね……。わたくしは "ジェニファー" と申します。もしかして、"あのお方" のお知り合いでしょうか?』

キャンディ『(ネコ語) あのお方……? もしかして、それって服を着たネコのことじゃないクル?』

ジェニファー『(ネコ語) そうでございます! あの方は、つい先ほど、恐ろしい野良猫一味 "マッドキャッツ" に絡まれていたわたくしを救ってくださったのです……』

〜 回想 3丁目の空き地 〜

傷だらけのボスネコ(マッドキャッツ・ボス)『(ネコ語) ジェニファー! 今日こそ、オレ様の嫁になってもらうぞ!』

ジェニファー『(ネコ語) イヤでございます! わたくし、乱暴な方はキライです!』

マッドキャッツ・ボス『(ネコ語) それなら力づくでも連れて行くのみよ!』


ザッ


ペロー『(ネコ語) 待つペロ!』

マッドキャッツ・ボス『(ネコ語) あぁん!? なんだおめーは! ヘンなカッコしやがって、どこのもんだ!?』

ペロー『(ネコ語) 通りすがりの者だペロ。けれど……、女性に乱暴するなんて、見過ごせないペロ!』

マッドキャッツ・ボス『(ネコ語) カッコつけやがって! やっちまえ!』

マッドキャッツ・構成員達『(ネコ語) ヒャッハー! イタイ目見せてやるぜーっ!』

ペロー『(ネコ語) かかって来るペロ!』

マッドキャッツ・構成員A『(グデーン)』

マッドキャッツ・構成員B『(グデーン)』

マッドキャッツ・構成員C『(グデーン)』


ペロー『(ネコ語) はぁっ、はぁっ……思い知ったペロ』

マッドキャッツ・ボス『(ネコ語) な、なんてヤツだ……。オレ様達 "マッドキャッツ" をたった一匹で、全滅させるとは……ガク』


ペロー『(ネコ語) お嬢さん、おケガはありませんかペロ?』

ジェニファー『(ネコ語) は、はい……! 助けていただき、ありがとうございました! 何かお礼をさせてもらえませんか……?』

ペロー『(ネコ語) そ、そんな、お礼なんていいペロ! 当然のことをしただけペロ。それでは、ぼくはやることがあるので失礼するペロ』

ジェニファー『(ネコ語) あ、お待ちください! せめて、こちらを受け取ってください』


スッ


ジェニファー『(ネコ語) こちらは、わたくしが飼われていたころからしていた首輪です。どうかお持ちくださいませ』

ペロー『(ネコ語) わぁ……! ピンク色でかわいいペロ……。ホントにもらってしまっていいペロ?』

ジェニファー『(ネコ語) もちろんでございます!』

ペロー『(ネコ語) これがあれば……! ありがとう、大事にするペロ! それでは、お元気でペロ!』

ジェニファー『(ネコ語) こちらこそ、ありがとうございましたー! このご恩は忘れませーん!』

〜 七色ヶ丘市 3丁目の空き地 〜

キャンディ「そうしてペローは、どこかへと去っていったみたいクル」

やよい「すごーい! まさしくヒーロー! ペロー、やるぅ!」

みゆき「お姫様も助けて、ハッピーエンドだね!」

なお「意外と肉体派なんだね、ペローって……」

れいか「なるほど。最初のヒントのピンクのベルトは、そのジェニファーさんの首輪だったんですね」


はるか「……でも、もうペロー君はここにはいないんだよね。また行き違いになっちゃった……」


はるか「…………」

はるか「……マジョリンちゃん、またペロー君探し、頼めるかな」

マジョリン「え、ここでやるマジョ? ふしぎ図書館に帰ってからやった方が良くないマジョ? 誰かに見られるかも……」

はるか「ペロー君がいなくなってから随分経つし、もうそろそろ見つけておきたいんだ。お願い」

マジョリン「わ、わかったマジョ」


れいか(……? はるかお姉さん、何だか少し様子がヘンです……、焦ってる……?)


マジョリン「むむむむむ…………、カァーーーーーーーーッ!」


ピカァーーッ!

ボヤァーーーッ…


みゆき「何か出たよ! これって……花? ちっちゃくてかわいい!」

はるか「ヒメジョオンって花だね。野草の一つで、結構どこにでもある花だよ。……このヒントから探すのは難しいかも」

あかね「ほんなら、また "もう一回" します?」

なお「こ、ここでやるのはちょっと……」


やよい「あ、ちょっと待って! この花、見たことあるよ」

はるか「ホント、やよいちゃん? どこかわかる?」

やよい「確か、公園の近くのお花畑です! たまに絵の練習に写生に行くから、多分あってると思います!」


サガシモノサガ〜ス『ピンポーン』


あかね「おっ、ほんまや! やよい、ロボッター基地に続いてお手柄やなぁ!」

やよい「えへへっ」ピース

はるか「ありがとう、やよいちゃん! じゃあ、早速行ってみるよ!」ダッ

みゆき「あっ、はるかさん、待ってくださーい!」


れいか(急に走り出して……、やっぱり焦ってる……? 一体どうしたんでしょうか……)

〜 ギャラリー・D 〜

シアンナ「…………」ペラッ

ビリーズ「ん? シアンナ、なんだそりゃ? 本か? 何読んでんだ?」

シアンナ「この間、新しい 6人目のプリキュアが現れた、という話はしたわね」

ビリーズ「おお、聞いたなぁ、そんな話」


ビリーズ「……しっかし、ったく! プリキュアって一体何人いるんだよ! どんどん増えやがって! 実はどっかに何十人もいたりしねーだろうなぁ!?」

セルリア「……そんなに……いるわけ……ない……。……馬鹿……」

ビリーズ「っせーな! 例えば、の話だよ、例えば! そんなにいてたまるか、っつーの!」

ビリーズ「んで? その 6人目とその本と、何の関係があんだよ?」

シアンナ「実は、その 6人目のプリキュアは、私の作った力の強いアキラメーナをいとも簡単にあしらって見せたのよ。簡単に転がされて……、まるで魔法のようだった」

シアンナ「だから調べたの、彼女があの時何をしたのかを。そして、その答えが……この本よ」スッ


『実践! 合気道入門!』


ビリーズ「……なんだこりゃ? アイキドー、でいいのか?」

シアンナ「リアルランドには、人間が人間と戦うための技である "ブドー" というものがあるらしいの。この "アイキドー" はその一つのようね。単純な力では制することのできない技術らしいわ」

シアンナ「あの新しいプリキュア・キュアノーブルが使っていた技はおそらくこれね。あの時の状況と、この本に書いてある技が全く同じだから」

シアンナ「だから、次はキュアノーブルに遅れをとらないよう、この本を読んで研究している、というわけよ」


ビリーズ「はぁーん、そりゃまたご苦労なこって。"アイキドー" だかなんだか知らねーが、そんなもんすげーパワーでドカンとやっちまえばいいじゃねーか」

セルリア「…………何……聞いてたの……こいつ……。……本当に……馬鹿……」

シアンナ「……これじゃあ、キュアノーブルに絶対に勝てないわね。いい機会だから、身をもって教えてあげる。ビリーズ、ちょっとそこに立ちなさい」

ビリーズ「あん? なんだよ、オレに何かすんのか?」

シアンナ「いいから」

ビリーズ「へいへい」

ビリーズ「……んで、どうすりゃいいんだ?」

シアンナ「右腕をまっすぐ前に伸ばしなさい」

ビリーズ「ん……、こうか?」

シアンナ「その手首を掴んで……、回す!」グイッ

ビリーズ「おっ? なんだ? 景色が回っ――」


ガンッ!


シアンナ「……どう、ビリーズ? 自分の意思とは無関係に転ばされたでしょう? これがキュアノーブルの技の正体よ」

シアンナ「キュアノーブルは動いている相手にこれよりもっと複雑な技を瞬時にかけられる。相当修練していると思っていいわ。次戦う時は気をつけることね」

ビリーズ「――――」

シアンナ「……ビリーズ、聞いているの?」

セルリア「……シアンナ……、……こいつ……気絶……してる……」

ビリーズ「――――」

シアンナ「……転んだ時に頭でもぶつけたかしら……。まあ、いいわ、放っておきましょう」

セルリア「……大体……わかった……。じゃあ……今度は……私が……出る……」

シアンナ「わかったわ。けれど、対策は出来ている?」

セルリア「……要は……腕をつかまれなければ……いいんでしょ……?」

シアンナ「……何か考えがありそうね。任せるわ、セルリア」

セルリア「……うん……。……行ってきます……」シュバッ


ビリーズ「――――」

〜 七色ヶ丘市 公園付近の花畑 〜

ペロー「お花さん、ゴメンペロ。ちょっと摘ませてもらうペロ」プチッ

ペロー「ふーんふふーん♪ これとこれをくっつけて…………できたペロー!」

ペロー「ふふふっ、これがあればきっと――」


タタタタタッ


はるか「いた! ペロー君っ!」

ペロー「はるかさん! みなさん!」

みゆき「やっと見つけたよぉー……! またあちこち探し回っちゃった……」

ペロー「え? またぼくのこと探してたペロ? "心配しなくていい" って手紙、はるかさんに残してきたのに、読んでくれなかったペロ?」

はるか「…………」


ペロー「あ、でも、はるかさんが来てくれて丁度よかったペロ! 実は、これを――」ゴソゴソ

はるか「……ペロー君!!」

ペロー「ペロ……!?」ビクッ

れいか「……は、はるかお姉さん?」

はるか「ペロー君。どうしてまた勝手に出て行ったりしたの?」

ペロー「ちょ、ちょっとやりたいことがあったペロ……。手紙、残してきたからだいじょうぶかと思って……」

はるか「"黙って行かないで" っていうのは、"どこか行くなら、私に相談してから行って" って意味だよ。手紙書いても、これじゃあ黙っていなくなるのと変わらないじゃない」

ペロー「……ペロ……」


れいか「あ、あの、はるかお姉さん。ペローさんも見つかったことですし、ここは一つ穏便に……」

はるか「……もう、そうも言ってられなくなっちゃったよ。みんなにもメイワクかけちゃってるし、ペロー君には一回、しっかり言っておかないと」

はるか「いい、ペロー君。私達は、二人で力を合わせてプリキュアになって、みんなの平和を守らないといけないんだよね?」

はるか「私達は、同じ使命に向かって、どんな時でも協力し合わなきゃいけない。それがパートナーなんじゃないの?」

はるか「それなのに、ペロー君はすぐ勝手にどこかに行っちゃって……!」


はるか「……ペロー君は、プリキュアのパートナーとしての自覚が足りないんじゃないの……?」


ペロー「…………!!」


ペロー「……ぼくは……」

みゆき「……はるかさん、ちょっと言い過ぎなんじゃあ……」

あかね「そうですわ。ペローかて、こっちに来たばっかりで慣れてないんやから、しょうがないんと違います?」


はるか「……わかってる。けど、もし今後、ペロー君がいない時にデスペアランドが来たりしたら、私は何もできなくなっちゃう。だから、ペロー君にも責任をもって行動してもらわないと」

みゆき「それは、そうかもしれないですけど……」

ペロー「…………」

ピクン


キャンディ「クル……! みんな、イヤな感じがするクル……! デスペアランドクル!」

全員「……!」


はるか「来た……! 探すの、間に合ってよかった。……ペロー君、いけるよね?」

ペロー「……はいペロ……」

はるか「私も一緒に戦うよ! みんな、行こう!」


5人「はい!」

〜 七色ヶ丘市 商店街 〜

ガヤガヤガヤ


セルリア「……ここは……人が多い……。……ここで……始めよう……」


セルリア「……闇の絵の具よ……闇の絵筆よ……。キャンバスに……絶望を描き出せ……」


シュババババッ


セルリア「……現れよ……アキラメーナ……」


ズズズズズズ…


アキラメーナ(電柱型)「アキラメーナァッ!」


セルリア「……アキラメーナ……、心……吸って……」

アキラメーナ(電柱型)「アキラメーナァッ!」


ズワァァァァァッ…


八百屋の店主「うっ……!? な、なんでぇ、急に……力が……抜けて……」バタッ

魚屋の店主「た、立ってられな……」バタッ


ポチョン ポチョン


セルリア「……心の絵の具……少し……輝きが強い……? ……人間達に……活気……ありすぎた……かも……」

ザッ


あかね「待たんかい!」

なお「これ以上、好きにはさせないよ!」


セルリア「……来たな……プリキュア……!」


みゆき「みんな、変身しよう!」

あかね・やよい・なお・れいか「うんっ!」

妖精達「デコル・チェーンジ!」

パチンッ!

レディ!

5人「プリキュア! スマイルチャージ!!」

ゴー! ゴーゴー! レッツゴー!!


ハッピー「キラキラ輝く、未来の光! キュアハッピー!!」

サニー「太陽サンサン、熱血パワー! キュアサニー!!」

ピース「ぴかぴかぴかりん♪ じゃん・けん・ポン!(チョキ) キュアピース!!」

マーチ「勇気リンリン、直球勝負! キュアマーチ!!」

ビューティ「しんしんと降り積もる、清き心。キュアビューティ!!」

はるか「私達も行くよ、ペロー君!」

ペロー「わかったペロ……!」


ペロー「デコル・チェンジ……!」

パチンッ!

レディ!

はるか「プリキュア! スマイルチャージ!!」

ゴー!

ゴーゴー! レッツゴー、ノーブル!!


キュアノーブル「さらさら流れる気高きせせらぎ! キュアノーブル!!」

セルリア「……本当に……6人に……なってる……」

サニー「そや! 言うとくけどな、この新しい仲間のノーブルはめっちゃ強いで! 覚悟しいや!」

セルリア「……知ってる……"ブドー" とかいうの……使うんでしょ……」


セルリア「……でも……」


アキラメーナ(電柱型)「アキラメーナァッ!」ビュンッ ビュンッ


バチィッ! バチィッ!


ハッピー「わっ! な、何これ、電線!?」

ビューティ「左右に伸びた電線をムチのように振り回していますね……! 危険です、みなさん、気をつけて!」

ピース「……ん? あぁーっ!」

マーチ「な、何!? どうしたのピース!?」

ピース「あのアキラメーナ、腕が無いよ!?」


セルリア「……そう……。……新しい……そのプリキュアの……技は……腕を掴んで……使うもの……」

セルリア「……なら……腕が無ければ……技は使えない……! ……くくく……!」


サニー「うっ、ほ、ほんまや……! これじゃあノーブルの技使えへんやん……!」


ノーブル「……ふっ……」

セルリア「…………? ……何が……おかしい……?」

ノーブル「……大丈夫、任せて」


ザッ


ハッピー「ノーブル……?」


ノーブル「私の技が腕を取るものだけだと思ったら大間違いだよ。武道の奥深さ、見せてあげる」キッ

ピース「……ノーブル、頼もしいぃー……!」

セルリア「…………やれるものなら……やってみろ……!」


アキラメーナ(電柱型)「アキラメーナァッ!」ビュンッ


ノーブル(この電線さえつかめれば……!)バッ

ノーブル(……!? ……あれ……!?)


バチィッ!


ノーブル「うあぁぁぁっ!?」

サニー「あかん、電線がモロに当たってもーた……!」

ビューティ「ノーブル! 大丈夫ですか!?」

ノーブル「う、うん、何とか……」


ノーブル「……でも、おかしい。どうして……? この間より、全然……動きが……鈍い……!」

セルリア「……口ほどにも……無い……。……アキラメーナ……」

アキラメーナ(電柱型)「アキラメーナァッ!」ビュビュビュビュンッ


ノーブル「……!」

ノーブル(……ダメ、避けられない……! 動きが……鈍い……っ!?)


ババババチィッ!


ノーブル「うあぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」

ビューティ「ノーブルっ!」


パァァァァッ…


はるか「うぁっ!?」ドタッ

ペロー「ペロっ!?」トタッ


ハッピー「えっ!? は、はるかさん!?」

マーチ「変身が……解けちゃった……!?」


はるか「……え……!? 元に……戻ってる……!? どうして……!?」

ペロー「…………」

セルリア「……なんだ……。……新しい……プリキュア……気をつけるほどでも……なかった……。……今のうちに……仕留める……」

アキラメーナ(電柱型)「アキラメーナァ!」ズゥン


ビューティ「そうはさせませんっ! みなさん、はるかさんを守りましょう!」

サニー「もちろんや! みんなで一気に仕掛けんで!」

ハッピー・ピース・マーチ「うんっ!」


バッ


5人「だぁぁぁぁぁぁっ!」


セルリア「……ジャマ……!」

アキラメーナ(電柱型)「アキラメーナァッ!」ビュビュビュビュンッ


ババババチィッ!


5人「うあぁぁぁぁぁぁっ!?」


ピース「うぅ……、やっぱり、強い……!」

マーチ「けど、ここでへこたれるわけにはいかないよ! ノーブルが戦えないなら、あたし達だけでなんとかしないと!」


セルリア「……できる……? ……強くなった……私のアキラメーナは……止められない……!」

ペロー「……はるかさん、ごめんなさいペロ。さっきパワーが出なかったのも、変身が解けちゃったのも……、多分、ぼくのせいペロ……」

はるか「ペロー君のせい……? どうして……?」

ペロー「さっき、はるかさんに言われた言葉が……気になってるペロ……。"プリキュアのパートナーとしての自覚が足りない" って……」

はるか「あ……」


ペロー「はるかさんの言う通りペロ……。はるかさんに言われた通り、パートナーならいつも一緒にいなきゃいけないのに、ふらふらしちゃって……メイワクばっかりかけて……!」

ペロー「……きっと、ぼくはプリキュアのパートナーには向いてないんだペロ……! 本当に……ごめんなさいペロ……!」

はるか「ペロー君……」

ガサッ


はるか「……あれ? こんなところに小さい紙袋が落ちてる。なんだろう」

ペロー「え!? あ、それは……! さっき変身解けた時に落としちゃったペロ……!?」

はるか「じゃあ、これ、ペロー君のものなの?」

ペロー「……はいペロ」


ペロー「……そうだ。その袋、開けてみてくださいペロ。中のもの、はるかさんにあげますペロ」

はるか「私に……?」ガサガサ


はるか「……! これって……!」

はるか「ピンク色のベルトの周りに花が、真ん中には王冠が貼り付けてある……。もしかしてこれ……腕輪?」

ペロー「そうですペロ。それ……はるかさんへのプレゼントなんですペロ」

はるか「プレゼント……!? ……私への……?」

ペロー「……最初、おもちゃ屋に黙って行っちゃった時、はるかさんにメイワクをかけちゃったこと、謝りたかったペロ」

ペロー「どうやって謝ろうか考えてる時に、おもちゃ屋でキレイな腕輪が目に入って……、こういうものをプレゼントしたら、はるかさんにも謝れるんじゃないかって思ったペロ……」

ペロー「だから、あんまりキレイじゃないけど……ガンバって作ったペロ」


はるか「……そういえば……」


はるか(この腕輪、マジョリンちゃんの発明のヒントにあったものばっかりで出来てる……)


はるか(王冠は、ペロー君があかねちゃんの店に行ってた時の)

はるか(ベルト……ネコの首輪は、ペロー君が空き地に行った時の)

はるか(ヒメジョオンの花は、ペロー君が空き地に行った時の)


はるか(それじゃあ、もしかして……)


はるか「……ペロー君、今日いなくなってたのって、もしかしてこれを作るために……?」

ペロー「はいペロ……。色んなものをくっつけるために使う道具は、昨日の夜にはるかさんの部屋のものを借りさせてもらいましたペロ……」

ペロー「……ぼく、はるかさんのパートナーになれて、ホントにうれしかったペロ。頼りがいがあって、優しくて……。だから、もっともっと仲良くなりたかったペロ……!」

ペロー「でも、ぼくは……パートナーにメイワクをかけるぼくは、プリキュアのパートナー失格なんだペロ……! もう、はるかさんのそばにはいられないペロ……!」

ペロー「お役に立てなくて……ホントに……ホントに……ごめんなさいペロ……!!」


はるか「…………」

はるか(……私、何やってたんだろう……)

はるか(……違う、違うよ、ペロー君……)

はるか(……ホントに……ホントにダメなのは……っ!)


はるか「……ペロー君っ!」ギュッ

ペロー「……! はるか……さん……?」


はるか「違うよ、ペロー君……! ホントにダメなのは、私の方だった……!」

はるか「私……、急にプリキュアになって戸惑うばっかりで……、ただ、精一杯やらなきゃ、ってことしか頭になかった……」

はるか「ペロー君を探してたのも、"プリキュアになれないから" っていうだけで、パートナーのペロー君のことなんて、ちっとも考えてなかった……!」

はるか「ペロー君は、ずっと、一生懸命、私のことを考えててくれてたのに……っ!」


はるか「ペロー君は、パートナー失格なんかじゃないよ。だって、ペロー君には相手を思いやる優しい気持ちがあるんだから」

はるか「……ホントに失格なのは、私の方……。ペロー君のこと思いやれなかったから、力も出ないし、変身も解けちゃった……。全部、私のせいだよ……!」

はるか「使命感や責任感も大事だけど……パートナー同士に本当に必要なのは、お互いを思いやる気持ちだったんだ……!」

はるか「私のせいでつらい想いさせて……ゴメンね……、ゴメンね、ペロー君……!」


ペロー「はるかさん……!」

ペロー「……じゃあ、ぼく、まだはるかさんのパートナーでいていいペロ?」

はるか「……もちろん……! 私ももっと頑張って、ペロー君のパートナーにふさわしくなるから……!」


はるか「だから……、一緒に頑張っていこう……?」


ペロー「……! はいペロっ!」

パァァァァァッ…


はるか「! スマイルパクトが……」

ペロー「光ってるペロ……!」


はるか「…………」
ペロー「…………」


はるか「……やろう、ペロー君! もう一度! ふたりで、力を合わせて!!」

ペロー「わかったペロ!!」

ペロー「デコル・チェーンジ!」

パチンッ!

レディ!

はるか「プリキュア! スマイルチャージ!!」

ゴー!

ゴーゴー! レッツゴー、ノーブル!!


キュアノーブル「さらさら流れる気高きせせらぎ! キュアノーブル!!」


ノーブル「行くよ、ペロー君!」

ペロー(デコル)「はいペロ!」

5人「うあぁぁぁぁぁっ!?」ドタァッ


セルリア「……くくくっ……! ……私の力……強くなった……! ……お前達だけじゃ……もう勝てない……。……諦めろ……!」

アキラメーナ(電柱型)「アキラメーナァ……!」


ハッピー「……うぅっ……!」


セルリア「……アキラメーナ……、……トドメ……!」

アキラメーナ(電柱型)「アキラメーナァッ!」ビュビュビュビュンッ

ビューティ「……っ!」


ノーブル「それ以上はやらせないっ!」バッ


ノーブル「ノーブル・キィーックッ!」ドガァッ!

アキラメーナ(電柱型)「アガァッ!?」グラッ


スタッ


ノーブル「みんな! ゴメン、お待たせ!」

5人「ノーブルっ!」


ビューティ「ノーブル……! パワーが戻って……!」

セルリア「…………!? ……お前は……戦えなく……なったはず……!?」

ノーブル「……戦えなくなったのは、私が何もわかってなかったせい。プリキュアの、本当の強さを」

セルリア「……何を……!?」

ノーブル「私、わかった。プリキュアは、与えられた力だけで戦うんじゃない。心で、優しさで戦うんだって」

ノーブル「それが無かったから、さっきまでの私は弱かった。……でも、今は違う!」

ノーブル「大切なパートナーと、心をつなぐ事が出来た! この心こそが強さなんだ!」


ノーブル「憶えておいて。今の私こそが、本当の、6人目のプリキュア……キュアノーブル!!」

セルリア「……キュア……ノーブル……!」


ビューティ「大切なパートナー……。良かった、はるかさん、ペローさんと仲直りできたんですね……!」

ノーブル「うん。……ちょっと時間かかっちゃったけどね」

ペロー(デコル)「もうだいじょうぶペロ! ぼく達がみんなと力を合わせれば、絶対に負けないペロ!」

サニー「やったやないですか、ノーブル! 今日がほんまのノーブル誕生日ですわ!」


ハッピー「……本当の、ノーブル……」

ハッピー「……そうだ、みんな……! ちょっと遅いけど……、"あれ" やろうよ……!」グググ…

サニー「"あれ" ……? ……ああ、"あれ" かぁ……! へへっ、ええな……それ……!」グググ…

ピース「うん……やろう……! せっかく……6人になったんだし……!」グググ…

マーチ「そうだね……! ……だったら……こんなところで、へばってなんか……いられないっ……!」グググ…


セルリア「……立ち……上がった……!? ……ボロボロの……はずなのに……!」


ノーブル「……"あれ" ? "あれ" って何?」

ビューティ「ノーブル、耳を貸してください。……ゴニョゴニョ……」

ノーブル「…………ええー……、それ、ホントに言うの? ちょっと恥ずかしいんだけど……」

ビューティ「やりましょう? だって私達、もう仲間なんですから!」

ノーブル「……仲間……」

ペロー(デコル)「はるかさん、やるペロ! きっとやる気出るペロ!」

ノーブル「ペロー君まで……」


ノーブル「……よし、わかった! やろう!」

ハッピー「そうこなくっちゃ!」


セルリア「……何だ……!? ……一体……何を……するつもり……!?」


ハッピー「それじゃあ行くよ! せーのっ!」




6人「"6つ" の光が導く未来!」


6人「輝け! スマイルプリキュア!!」



セルリア「…………。……何を……するかと思えば……。……そんな事をして……何になる……!」


ビューティ「……わかりませんか? 今、私達が何をしたのか」

ビューティ「それがわからない限り……、あなたに勝ち目はありません!」


セルリア「……何を……!?(ギリッ)」


ハッピー「行くよ、みんなっ!」

5人「うんっ!」

セルリア「……うっとうしい……! ……アキラメーナ……やれ……!」

アキラメーナ(電柱型)「アキラメーナァッ!」ビュンッ

マーチ「よっと!」


スカッ


マーチ「そんなの! あたしが本気で走れば当たんないよ! ほらほら、こっちこっち!」

アキラメーナ(電柱型)「アガガァッ!」ビュビュビュビュンッ

マーチ「よっ! ほっ! はっ!」スカッ スカッ スカッ


セルリア「……逃げ回って……ばかり……! ……やる気……あるのか……!?」

マーチ「無いよ! あたしはムリに攻撃する必要なかったんだ! 後で誰かが何とかしてくれる、って思えるから、こうやって囮になれるんだよ!」

セルリア「……囮……!?」

サニー「せや! マーチが気ぃ引いてくれとるから……うちが安心して切り込めるんや!」バッ

セルリア「……キュアサニー……! ……いつの間に……アキラメーナの……懐に……!」

サニー「サニー・パァーンチッ!」ドカァッ!

アキラメーナ(電柱型)「アガッ!?」グラッ

ハッピー「こうやって、サニーのパワーで一瞬動きが止まるから!」ガシッ

ピース「わたし達が電線をつかめるの!」ガシッ

アキラメーナ(電柱型)「ア、アガガッ!?」ジタバタ


ビューティ「そして、ハッピーとピースが左右の電線を掴み、攻撃を封じてくれるからこそ!」

ノーブル「私達の全力の攻撃を当てられる! ……行こう、ビューティ!」

ビューティ「はいっ! ノーブル!」


バッ


ビューティ・ノーブル「ダブル・プリキュアキィーックッ!」


ドガァァッ!


アキラメーナ(電柱型)「ア……ガァッ……!?」グラッ


ビューティ「動きが止まりました! ノーブル、お願いします!」

ノーブル「大丈夫、任せて! ……ハッピー、電線借りるよ!」

ハッピー「はい、どうぞ!」

ノーブル「……腕は無くても、引っ張れるところが少しでもあれば……! ……ふっ!」グィッ


フワッ


アキラメーナ(電柱型)「ア!? アガガッ!?」ジタバタ

セルリア「…………!? ……アキラメーナが……浮いた……!?」

ノーブル「だぁぁぁぁぁっ!!」ブンッ


ドスゥゥゥゥン!


ノーブル「一本! ……なんちゃって」


サニー「ほえー……! 今のあれやろ? 柔道の一本背負い! 得意なの、合気道だけやないんやなぁ!」

ビューティ「ええ! ノーブルは、お母様の合気道だけでなく、お兄様の柔道も学んでいましたから!」


セルリア「……"ジュードー"……!? ……"アイキドー" 以外にも……技が……!?」


ノーブル「完全にダウン取ったよ! みんな、一気に決めよう!」

5人「はいっ!」

ハッピー「プリキュア! ハッピー・シャワーァァッ!!」

サニー「プリキュア! サニー・ファイヤーァァッ!!」

ピース「プリキュア! (ピシャァン!) ひゃぁっ! ピース・サンダーァァッ!!」

マーチ「プリキュア! マーチ・シュートォォッ!!」

ビューティ「プリキュア! ビューティ・ブリザァァードッ!!」

ノーブル「プリキュア! ノーブル・ストリィィームッ!!」


ドドドドドドォォォォォォォォンッ!!


アキラメーナ(電柱型)「アガァァァァァ……」シュワァァァァ…

セルリア「…………負けた……!? ……優勢……だったのに……途中から……急に動きが……良くなった……!? ……なぜ……!?」


ビューティ「……まだわかりませんか? 先ほどの決め台詞のおかげです」

セルリア「…………!? ……あんな……くだらない……事で……!?」

ノーブル「今なら、私にもわかるよ……。あの掛け声で、私達みんなの気持ちが一つになった。だから、コンビネーションもバッチリ決まる」


ノーブル「プリキュアが心で戦う戦士なら、気持ちが一つになった時……何よりも強くなれる!」


ノーブル「……だよね、ビューティ?」

ビューティ「ええ、その通りです、ノーブル」


セルリア「……心で……戦う……? …………わからない……!」シュバッ

〜 七色ヶ丘市 道路 〜

やよい「それにしても、はるかさん! その腕輪、かわいいですね!」

はるか「うん、私もそう思う……。ペロー君からもらった、大切な、宝物だよ……!」

なお「ペローは今日色んなところを回ってたのは、それを作るためだったんですね いいとこあるじゃない!」

ペロー「えへへペロ……」

みゆき「……あ、そっかぁ……。『長靴をはいた猫』だ……!」

あかね「ん? どしたん、みゆき? 猫がどしたって?」


みゆき「ペローって、『長靴をはいた猫』の妖精さんなんだよね」

みゆき「『長靴をはいた猫』って、猫がご主人様を王様にするために色んなところでガンバる話なんだけど、だからペローもはるかさんのために一生懸命にガンバってたんじゃないかな」

あかね「へぇーっ、そうなんか! んで、そのお話、最後はどうなるん?」

みゆき「もちろん、ご主人様が王様になって、ハッピーエンドだよ!」

れいか「……はるかさんとペローさんも、そのお話のようにハッピーエンドになれるでしょうか?」

みゆき「きっとなれるよ! だって、ほら! ふたりとも、とってもいいスマイルなんだから!」

あかね「……せやな!」

はるか「……今日はバタバタしちゃったけど、私、ペロー君とならうまくやっていけると思う。これからもよろしくね!」ニコッ


ペロー「こちらこそよろしくペロ! はるかさん!」ニコッ





つづく

次回予告

みゆき「大切な夢、漫画家に向かって、今日もガンバるやよいちゃん!」

みゆき「でも、デスペアランドの人達が、今までになかった新しい力で私達みんなを苦しめてきたの!」

みゆき「負けないで、やよいちゃん! 大切な気持ちを……あきらめないで!」


みゆき「次回、『スマイルプリキュア レインボー!』 "輝け! やよいの大切な夢!"」


みゆき「みんな笑顔でウルトラハッピー!」

今回はここまでです!
お読みいただいた方、ありがとうございました。


いやあ、先週は不覚にも落としてしまいました。。スミマセヌ。。
できる限り週一ペースで続けていきますので、よかったら次回以降もまたよろしくお願いします!


第1話 〜 第11話 『スマイルプリキュア!』第2期を SS で作るスレ - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1360385907/)

第12話 >>6 から
第13話 >>117 から
第14話 >>223 から

ここからはお返事タイムです!
いただいたレスにお返事返していきます。

ホントはもっと早くに返したかったんですが、14話が出来上がるまで落ち着かず、遅くなりました。。


>>197さん
> キュアノーブルの戦闘スタイルは歴代で言うところの
> キュアホワイトみたいな感じなんですかねぇ…

そうですね。ノーブルは投げキャラということでやっていく予定です。
投げ技使うのって基本ホワイトだけですが、
サンシャインもロゼッタも合気道やってるんだからもっと投げたらいいのになぁ。。


>>ボーズさん・乙くださった皆様

応援ありがとうございます! ホントに励みになります!
せいいっぱいがんばりますので、今後ともよろしくお願いします!


>>202さん
> もしかしてSSやハトの後日談書いた人?

ああ、そういうのあるんですね。存じませんでした。
その方とは違う者ですが、よかったらこちらもよろしくお願いしますー。

>>"編集者" さん

お返事が多岐にわたるので、要点ごとに分割してお返事します。



・ご意見をいただく事に関して

あまり気になさらず、ガンガン出していただいて大丈夫です!
内容に関する感想は毎回参考にさせていただいてます。

ストーリー展開との折り合いはつけられないかもしれませんが、別の形で参考にさせてもらうことは出来ると思うので、
これからもご意見いただけるとありがたいです!



・"ウルみゆ" について

さて、焦点となるこちらの要素なんですが……、この際なのでハッキリ申し上げておきます。

『レインボー!』では "ウルみゆ" やりません! ホントスミマセンが、ご承知ください!


理由ですが、"恋愛要素が NG" なんじゃなくて、"原作に無い要素" だからなんですね。
"ウルみゆ" はあくまで、二次創作要素だと認識しています。

一応、この作品は原作準拠で作っているので、原作で無かった "ウルみゆ" は盛り込まない、ということにさせてもらえれば、と思います。
ご期待にそえずスミマセンが、そういうことでよろしくお願いします。

・プリキュアにおける恋愛要素について

自分としては "あってもいいけど無くてもいい" という感じです。

作品のテーマはシリーズ毎に違いますが、
それを描くのに大体 "友情" か "家族愛" があれば事足りる、というのが自分のイメージです。
原作『スマイルプリキュア!』でも、恋愛要素はほぼゼロでしたし。


"女の子の憧れとして恋愛要素は必要" というご意見を否定する気はありませんが、
『レインボー!』は原作に準拠するスタンスなので、多分恋愛回はやらないです。
あかねちゃんとブライアンでちょこっとあるかどうか、ってところですかね。



・"キスが刺激的" について

これは自分の主観なので、あんまり気にしないで下さい。

ただ、自分、『レインボー!』を書くに当たって『プリキュア』全シリーズ全話・全劇場版(AS含む) 視聴しましたが、
全体的に過度な恋愛描写はなかった印象です。
描いたとしても、せいぜいくっつくかくっつかないかくらいの "あまずっぺー" 展開程度で。

なので、『5GoGo!』の劇場版のキスシーンが少し刺激的に感じた、という程度の話です。



長い上にとりとめなくなってしまいましたが、
"編集者" さんへのお返事は以上です。

ご不満もろもろあるかもしれませんが、よろしければ引き続きご愛読お願いします!

あと最後に、このスレでのプリキュア談義は好きにしてもらって結構です。
むしろ自分も混ぜてほしいくらいの勢いなので。
『レインボー!』本編が乱れない程度であればオールオッケーです!

そんな感じでよろしくお願いしますー。


『スマイルプリキュア レインボー!』
第1話 〜 第11話 『スマイルプリキュア!』第2期を SS で作るスレ - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1360385907/)

第12話 >>6 から
第13話 >>117 から
第14話 >>223 から


毎回楽しませてもらってる
はるかってオリキャラだっけ?
スマプリに名前出てた?

 色々ありましたが、(遅ればせながら)11話の感想を述べさせて頂きます。今回は「今までよりギャグ的展開で終了して面白かったな」と思いましたが・・・次回予告を読んで「何でまたメルヘンランドの妖精なの?」と、(個人的に)ガッカリしました。

 ここからは私の独り言です。

例えば、プリキュアの皆が元に戻ったシーンで以下のような展開があっても面白いんじゃないか?(?と??のセリフに自分の考えた展開が入っております)


〜七色が丘市 河川敷(上空)〜

?「あれが、メルヘンランドに伝わる伝説の5人の戦士・・・」
??「けどよ、兄貴・・・何かおかしくないか?(懐から本を取り出し・・・パラパラ)この二人はまあ良いとしてこの三人・・・」
?「おそらく、まだ真の力に目覚めていないだけでしょう」
??「・・・(グルル)・・・」
?「ま、気長に様子を見ることに致しましょう」シュバッ

ビューティ「ん?」
マーチ「ビューティ、どうしたの?」
ビューティ「今、誰かの気配が・・・」
マーチ「そう?気のせいなんじゃない?」
ビューティ「でも、確かに・・・」

以上です。それから、何だか自分『編集者』と呼ばれているみたいなので今度からこの名を使わせて頂きます。
 最後にずっと言い忘れたことがありまして・・・私があのアイデアを出したのにはもう一つ理由がありまして・・・?第4話の回想シーンで
妖精たちがパートナーを話し合いで決めた(三幹部妖精は『以前、迷惑をかけた相手とパートナーになる』)ということに何か引っかかりを感じたこと。?第3話の217行目でみゆきに「隠れてて」と言われたウルルンが素直に従った(仕方ないのだが)ことに違和感を感じたこと。前まで拳を交えて戦っていた者としてこのような事を女性から言われたら男性のプライドとしてはどうかな?と考えてしまいました。又、例を出しますが、こんな描写を付けたらどうでしょうか?

例 217行目(抜粋)

みゆき「じゃあ行くよ、キャンディ!ウルルンはその辺に隠れてて!」
ウルルン「え?・・・お、おう!気を付けるウル!(何かモヤモヤするウルな)」

乙でした
ノーブル回はこれで一旦終わり?今までのシリーズの追加戦士(パッション・サンシャイン・ビート等)は結構な数の話数をもらってたから、
「3、4回はノーブルの話が続くかな」って思ってたけど、>>1が考えたオリキャラだから控えた感じ?

>321 それ11話(なお回)の感想じゃなくて、12話(入れ替わり)の感想じゃない?

編集者はウルみゆssが見たくてそれ以外はスマの雰囲気が出てる>>1のssが見たいわけだ
皆が納得するのはそれが一番だろ

今回はウルみゆのアイデアがメインって訳じゃないし、>>1も意見は出して大丈夫って書いてるからいいんじゃない?
ただ、「『レインボー!』では "ウルみゆ" やりません!」とも書いてあるけど!

>>321 「何でまたメルヘンランドの妖精なの?」まぁ、ミルキィローズも変身方法が1人だけ違ったから、
「藍」と「紫」が5人とは全然違う変身をしてもありとは思うんだけど……

プリキュアらしく女の子が喜ぶような可愛い妖精をパートナーにする→だったらメルヘンランド出身の妖精でいい
じゃあメルヘンランドにいないような可愛くないゲテモノをパートナーする→可愛くないのはプリキュアらしくない
ってことになっちゃうんだよね。

『スマイルプリキュア レインボー!』

このあとすぐ!

〜 黄瀬家 やよい自室 〜

やよい「(カリカリ)」

オニニン「(ペタペタ)」


オニニン「やよい! こっちのページ、ベタ塗り終わったオニ!」

やよい「ありがとう、オニニン! ……わぁ、すごくキレイに塗れてるね!」

オニニン「ふふん。おれ様もちょっとずつウマくなってるオニ!」

やよい「オニニンが漫画手伝ってくれて、ホントに助かるよ! 一人じゃ結構タイヘンだから……。ホントにありがとう!」ニコッ

オニニン「気にすることないオニ! やよいのガンバってるところを見ると、つい手伝いたくなるだけオニ」

やよい「うん……。今度の作品は……ちょっと自信あるの。オニニンの応援にも応えられるように、力いっぱいガンバるよ!」

オニニン「その意気オニ、やよい!」

コンコン


千春(やよい母)「やよいー、いるー? 入るわよー?」


やよい「わっ、ママだ! オ、オニニン、デコルになって隠れて!」

オニニン「オニ!」ポンッ


ガチャッ


やよい「ど、どうしたの、ママ? 何かあった?」

千春「ええ。"週刊スマイル" の梅沢さんから電話よ」

やよい「梅沢さんから……? なんだろ……」

〜 黄瀬家 リビング 〜

やよい「梅沢さん、お電話変わりました。黄瀬です」

やよい担当編集・梅沢(電話)『き、黄瀬さん! た、タイヘンなことになったよ!』

やよい「え……、タイヘンなこと……? なんですか?」

梅沢編集(電話)『い、いい? 落ち着いて、落ち着いて聞いてね』

やよい「は、はい……!」ゴクリ

梅沢編集(電話)『実は――』


梅沢編集(電話)『――――――――』

やよい「…………!!」

やよい「ホ、ホントですかっ、それ!?」

梅沢編集(電話)『うん! ようやくここまで来たね! 僕ももうドキドキしっ放しだよ! だから、次の作品はぜひ全力で臨んでほしいんだ』

やよい「も、も、もちろんですっ! ガンバりますっ!」

梅沢編集(電話)『楽しみにしてるよ! それじゃ!』

やよい「は、はいっ! 失礼しますっ!」


ガチャッ


やよい(……どうしよう……、ドキドキが止まらないよ……!)

千春「やよい? ずいぶん驚いてたみたいだったけど、何かあったの?」

やよい「……うん。あのね、ママ。わたし、わたしね……!」


やよい「……漫画家デビュー、できるかもしれないの……!!」




スマイルプリキュア レインボー!

第15話「輝け! やよいの大切な夢!」



〜 ふしぎ図書館 〜

5人「漫画家デビュー!!?」

やよい「あ、でもまだ決まったわけじゃなくって、雑誌に載るかどうかの最終選考に残ったってだけで……」


みゆき「それでもすごいよ、やよいちゃん! だって、それで認められたらもう、プロの漫画家さんってことなんだよね!?」

あかね「そやなそやな! えらいこっちゃやないか! そうと決まったら宴会の準備せなな!」

なお「あかね、まだ気が早いって。でもやよいちゃん、いつの間にそんなスゴいことになってたの?」

やよい「作品はずっと担当の編集さんに見てもらってたんだけど……、たまたま雑誌の枠が一つ空くことになったから、編集さんがそこに載せる漫画を決める会議でわたしの作品を出してくれたんだって」

れいか「そこで、やよいさんの作品が認められた、と。素晴らしいことですね……!」

やよい「……うんっ!」

はるか「……すごいね、やよいちゃん。漫画描いてる、とは聞いてたけど、まさか、もう少しでプロになれるくらい上手だったなんて思わなかったよ!」

やよい「えへへ……何だかテレちゃいます……」

オニニン「おれ様もその話を聞いた時はビックリしたオニ……。ガンバってやよいのアシスタントしてきた甲斐があったオニ」

ウルルン「アシ……? なんだそりゃウル?」

やよい「漫画を描くためのお手伝いのことだよ。漫画ってすごくたくさん色んなことを描いたり、塗ったりしないといけないから、とってもタイヘンなの。オニニンはそのお手伝いをずっとしててくれてたんだよ!」

マジョリン「ほえー……、あのおバカでぶきっちょなオニニンがねぇ……。……ホントにできてるマジョ?」

オニニン「もちろんだオニ! やよいのために、おれ様もガンバって練習したんだオニ!」

マジョリン「ありゃ、バカにしても怒らないマジョ。何だか拍子抜けだマジョ……」

オニニン「今日はとっても嬉しい日だオニ! そんな日にいちいち怒ったりしないオニ!」ニコニコ

ウルルン「ちぇっ、つまんねえウル。……でも、よかったなウル、やよい!」

やよい「ありがとう、ウルルン!」

やよい「それでね、実はみんなに言いたいことがあって、今日はここに来たの」

あかね「? 何や、改まって」


やよい「あのね、最終選考には、わたしが今描いてる作品を提出することになったんだ。前に出した作品の作り直しなんだけど、うまくいけば、その作品が雑誌に載るかもしれないんだって」

やよい「わたし、その作品を納得いくまで精一杯描きたいの。だからわたし、みんなとしばらく遊べなくなると思う……」

なお「遊んでる時間も惜しいほどガンバりたいってことなんだね」

やよい「うん。そうなの……」

みゆき「……そっか。やよいちゃんいないと、寂しくなっちゃうね……」

れいか「ですが、これもやよいさんの "道" のため。私達は暖かく見守りましょう」

みゆき「……うん、そうだね!」

やよい「それじゃ、わたし、漫画の続き描かないといけないから、もう行くね!」

はるか「……あ、待って、やよいちゃん!」

やよい「あ、はい? なんですか、はるかさん?」

はるか「遊ぶのはダメでも、差し入れ持って行くくらいなら大丈夫かな? もしよかったら、とびっきりのおいしいスイーツ、ごちそうするから!」

あかね「あ、それええですなぁ! したら、うちもお好み焼き出前したる! 腹が減っては戦はできん、ゆーからな!」

やよい「……! もちろんです! ありがとうございます!」


みゆき「やよいちゃん、ガンバってね! やよいちゃんの漫画家デビュー、楽しみにしてるよ!」

やよい「みゆきちゃん……、みんな……! ……ありがとう! それじゃ、またね!」


パァッ…


なお「……行っちゃったね」

れいか「ええ。でも、やよいさん、とてもいい顔をしていました。あれならきっと良い結果が出るのではないでしょうか」

キャンディ「だといいクル。キャンディも、やよいの夢がかなったらとってもうれしいクル!」

みゆき「そうだね、キャンディ。わたしもだよ!」

あかね「……よっしゃ! したら、うちらもお祝いの準備、せえへんか? やよいのデビュー祝い!」

なお「あーかーねー……、だから、まだ気が早いってば。まだなれるって決まったわけじゃないんだからさ」

あかね「せやけど、お祝いするなら今から準備しといた方がええんとちゃう? 決まってから準備しても間に合わへんやろ?」

なお「それはそうだけど……」


あかね「それに、あー……えっと、なんちゅーかその……、"やよいがデビューできますように" ってお祝いの準備すれば、うまくいくような気がせえへん? よう言えへんのやけど……」

れいか「……なるほど、一種の "願かけ" というわけですね」

キャンディ「がんかけ、って何クル?」

はるか「物事がうまくいくことを祈って何かをすることだよ。この場合、私達が頑張ってお祝いの準備をするから、やよいちゃんもうまくいきますように、ってお祈りすることになるのかな」

あかね「あー、そうそう、そんな感じです!」

みゆき「それいいね! やろうやろう!」

なお「……わかった。そうと決まれば、早速準備しよう! あたし、飾りつけの材料とか買ってくるよ!」

れいか「あ、なお、それなら私も行くわ。一緒に選びましょう」

はるか「じゃあ、私は差し入れのスイーツを見繕いに行ってくるね! この間みんなで行ったショッピングモールがいいかな」


ワイワイ ガヤガヤ


あかね「にしし、こりゃやよいだけやなく、うちらも忙しくなりそうやで!」

みゆき「うん、そうだね!」


みゆき(……やよいちゃん。みんな、やよいちゃんのこと応援してるよ。うまくいくといいね……!)

〜 翌日 七色ヶ丘中学校 漫画研究部 部室 〜

やよい「(カリカリ)」


漫研部員・河村 ゆうや「部長、ぼく達、そろそろ帰ります!」

漫研部員・稲上 りょうこ「おつかれさまでした!」


やよい「(カリカリ)」


漫研部員・稲上「……あ、あの、部長……?」

漫研部員・河村「聞こえてないんでしょうか……」


漫研部員・成島 ゆういち「周りの声も聞こえないほど集中しているようだね、黄瀬さん」

漫研部員・美川 すず「うん。すごく気合入ってるみたい。そっとしておいてあげよう?」

漫研部員・稲上「そうですね、わかりました」


やよい「(カリカリ)」


漫研部員・美川(もう少しでデビューだなんて、うらやましいな、黄瀬さん。ガンバってね!)

〜 さらに翌日 黄瀬家 やよい自室 〜

やよい「(カリカリ)」


コンコン


千春「やよい、ちょっといい? 入るわよ?」

やよい「……ママ? はい、どうぞ」


ガチャッ


千春「やよい、さっきお友達の皆さんが来てね。はい、これ。やよいへの差し入れですって」


ドサッ


やよい「わ……! すごい量のお菓子……。それに、お好み焼きも! ……みんな、ホントに差し入れしてくれたんだ……!」

やよい「……あれ? でも、ママ、みんなは? 家に入ってもらってないの?」

千春「……私も入ってもらうようすすめたんだけどね。"今入るとやよいちゃんのジャマになるから" って言って、差し入れだけ渡して帰って行ったわ」

やよい「そうなんだ……」

千春「代わりに、これを受け取ったの。渡しておくわね」

やよい「これって……メッセージカード……?」


ピラッ


みゆき(メッセージ)『やよいちゃんなら絶対できる! ウルトラハッピー目指してガンバって!』

あかね(メッセージ)『お好み焼きに応援パワーぎゅうぎゅう込めたで! ド根性や、やよい!』

なお(メッセージ)『弟達も、みんなやよいちゃんの漫画読むの、楽しみにしてるよ! ファイト!』

れいか(メッセージ)『例えどんなに険しい "道" でも、やよいさんなら歩みきれると信じています。頑張ってください』

はるか(メッセージ)『して欲しいことがあったら何でも言ってね! 力になるから!』


やよい「……みんな……!」

やよい「……ママ、わたし、精一杯ガンバる。応援してくれるみんなの気持ちに応えたいの」

千春「ええ。ガンバって、やよい。もちろん、ママも応援してるわ。それに……きっと、パパも」

やよい「……うんっ!」

〜 3日後 七色出版("週刊スマイル" 出版社) 待合室 〜

やよい「梅沢さん、最終選考用の作品、持ってきました!」

梅沢編集「待ってたよ! それじゃあ、見せてもらうね」

やよい「はい!」


梅沢編集「…………」ペラッ


やよい「…………」

梅沢編集「…………いい。すごくいいよ、黄瀬さん!」

やよい「! ホ、ホントですか!?」

梅沢編集「うん! 前に指摘した画力も格段に向上してるし、全体的に選考に出した時よりもぐっと良くなってる! これならいける!」

やよい「あ、ありがとうございますっ!」

梅沢編集「それじゃあ、この作品は預かるよ。明後日に最終選考の会議があるから、その時提出させてもらうね。結果が出次第、電話でおうちに連絡するよ」

やよい「はい! よろしくお願いします!」


やよい(……わたし、目いっぱいガンバれた。わたしが今できること、全部できた。だからきっとうまくいく!)

やよい(わたしの夢……。"漫画家になる" っていう、わたしの夢……! 絶対かなえるんだ……!)

〜 二日後 黄瀬家 リビング 〜

やよい「…………」

千春「…………」


やよい「…………」

千春「…………」


千春「……遅いわね、連絡。もうそろそろ来てもいい頃なのよね?」

やよい「……うん……」

千春「……こうやって、ただじっと待っててもしょうがないわね。待ってて、今お茶でも――」


trrrrr...


やよい「!!」
千春「!!」


ガチャッ


やよい「はいっ、黄瀬ですっ!」

〜 ふしぎ図書館 〜

あかね「……いやー、それにしても、お祝いの飾りつけ、ずいぶん豪華になったなぁ……!」

なお「あの横断幕とか、スゴイね……。大きいし、刺繍まで入ってるし……。れいかが作ったんだっけ?」


横断幕『やよいちゃん! 漫画家デビュー、おめでとう!!』


れいか「ええ。張りきりすぎてしまって、つい夜更かしまでしてしまったわ……。……ふぁ……」

はるか「ふふっ、れいかちゃんが人前であくびなんて、珍しいね。ホントに頑張ったんだ」

れいか「あ、いけない……。つい、はしたないことを……。恥ずかしいです……」

あかね「そんだけガンバったんや。きっとうまくいっとるで!」

はるか「うん、そうだといいね!」

なお「うまくいってたら、最初に連絡もらったみゆきちゃんがやよいちゃんを連れてくることになってるんだよね?」

あかね「せや! もうそろそろくるはずやから、みんな、クラッカーしっかり持ってな! 妖精のみんなも頼むで!」

ウルルン「おう、任せろウル!」

マジョリン「こんなちっこいのじゃ地味すぎるマジョ! ここは、あたしの作った "ハナビダ〜ス" で盛大にやるマジョ!」

ペロー「な、何考えてるペロ、マジョリン! そんなの使ったら火事になっちゃうペロ! やめるペロ!」


ポップ「全く、みんなソワソワして……。仕方ないでござるなぁ……」フリフリ

れいか「ふふ、そういうポップさんも、しっぽが揺れてますよ?」

ポップ「む……! そ、そ、そんなことないでござるよ……! 拙者は冷静でござる」

あかね「はいはい、そういうことにしとこか」ニヤニヤ

パァッ…


全員「!!」


なお「本棚が光った! 誰か来るよ!」

れいか「きっとやよいさんですね!」

あかね「せやな! 行くで、みんな!」


全員「漫画家デビュー、おめでとぉーっ!!」


パンッ! パパンッ! パンッ!

みゆき「…………」


あかね「……って、ありゃ? みゆき一人やん……。あぁー、しもたわー、クラッカー鳴らすタイミング間違えてもーた……」

なお「だいじょうぶだって、あかね。クラッカー、まだこんなにたくさんあるんだから! 仕切りなおししよう?」

みゆき「…………ううん、なおちゃん。もう、いいの。クラッカー、鳴らさなくても……いいの……」

れいか「……みゆきさん? 浮かない顔ですが、何かあったのでしょうか……?」


みゆき「…………」

みゆき「……ダメ、だったんだって。やよいちゃんから電話があって、……やよいちゃんの漫画……選ばれなかったんだって」


全員「……え……?」

パァッ…


やよい「…………」

オニニン「…………」


みゆき「やよいちゃん……! 来ても、大丈夫なの……?」

あかね「せやで……。その……ショックなんと……違うん……?」

やよい「…………どうしても、みんなに一言言いたくって……」


やよい「……せっかく応援してくれたのに、ダメだったの……。ゴメンね、みんな……!」

〜 数十分前 黄瀬家 リビング 〜

やよい(回想)『…………落選……ですか……?』

梅沢編集(回想)(電話)『……うん……。残念だけど……』

やよい(回想)『……何か、よくなかったんでしょうか……、わたしの漫画……』

梅沢編集(回想)(電話)『僕は問題ないと思ったんだけど、編集長に "まだ荒いところがある" って言われて……』

やよい(回想)『……そう……ですか……』


梅沢編集(回想)(電話)『……黄瀬さん。ムリかもしれないけど、そう気を落とさないでほしいんだ。今回の漫画、僕はとてもいいと思ったし、どんどん成長してるっていうのもわかってる』

梅沢編集(回想)(電話)『だから、めげずにこれからも漫画を描き続けてほしい。君なら、いつかきっとデビューできるよ』

やよい(回想)『……はい……』

〜 現在 ふしぎ図書館 〜

れいか「……では、惜しくも落選してしまいましたが、編集者の方は応援してくださってるんですね」

やよい「……うん……」

なお「な、ならさ、次はきっと大丈夫だよ! 編集者さんの言うとおり、あきらめないでガンバろうよ!」

あかね「せ、せやで! それに、失敗したって謝ることなんかあらへんって。うちらはいつだって、やよいの応援しとるで」

やよい「……ありがとう、みんな……。……でも……」

みゆき「でも……?」


やよい「……自信、あったんだ、今回の作品……。でも……ダメだった……」

やよい「わたし、初めて漫画送ってから、いっぱい、いっぱい漫画描いてきたの。毎日、毎日」

やよい「今度の作品はね、今までガンバってきた分を、全部出せたと思ったの。……ううん。みんなが応援してくれたから、それよりもっと良くできたと思ったんだ」


やよい「でも、ダメだった……。今のわたしの全部出しても、まだ届かなかった……。あんなにガンバったのに……!」

やよい「わたし、わかんなくなってきちゃった……。わたしが、ホントにいい漫画を描けるのかどうか……」


やよい「……わたし、ムリかもしれない……。……漫画家になんて……なれないのかもしれない……!」


みゆき「……やよいちゃん……」

あかね「…………」

なお「…………」

れいか「…………」


はるか「…………」

はるか「……ねえ、やよいちゃん。こういうの、好き?」ペラッ

やよい「……え、なんですか……?」


チラシ『ショッピングモール "Rainbow" に『超竜戦隊 ディノレンジャー』がやって来る! みんなで応援しよう!』


なお「ヒーローショーのチラシ、ですか?」

はるか「うん。この間、差し入れを買いに行った時に配ってたから、ついでにもらってきたんだ。まだやってるみたいだよ」

はるか「やよいちゃん、この間ペロー君探してくれた時、アニメのことすごく楽しそうに話してたじゃない? こういうのも好きかな、って思って」

オニニン「確かに、これ、やよいの大好きなヒーローオニ。よく、テレビ見ながらマネしてるオニ」

やよい「うん、わたし、こういうの好きですけど……、ごめんなさい、今はちょっと見に行く気にはなりそうも――」


はるか「……やよいちゃん、気持ち、切り替えていこ?」

やよい「……え……?」

はるか「ここでこうしてたって結果は変わらないし、イヤなことを考えちゃってツラいだけだよ、きっと。気分転換すれば、少しは気がラクになるかなと思う。どうかな?」

やよい「…………」

みゆき「……ねえ、やよいちゃん、行ってみようよ。わたしも一緒に行くから! はるかさんの言う通り、パーッと騒いじゃおうよ!」

みゆき「やよいちゃん、今とってもツラいと思う。でも、だからこそスマイルを取り戻そうよ! そしたらきっと、元気が湧いてきてうまくいくようになるよ!」

やよい「……みゆきちゃん」


あかね「うちも行くわ、やよい。人数多い方が盛り上がるやろ」

なお「あたしも行くよ。みんないっしょに楽しもう?」

れいか「……どうですか、やよいさん? ムリに、とは言いませんが……」

やよい「…………」

やよい「……うん、わかった……。……ホントは、まだ乗り気にはなれないけど……、せっかくみんなが誘ってくれてるから……」


みゆき「……! よかったぁ! じゃあさっそくみんなで行こうっ! 盛り上がろうね!」

あかね「おぉーっ!」


はるか「…………」

はるか(やよいちゃんが元気になればいいな、って思ってショーの話したけど、他のみんなも精一杯明るくしようと頑張ってくれてる。みんながやよいちゃんのこと、本当に心配してる)


はるか(……いいチームだね、スマイルプリキュア)

〜 デスペアランド 王宮 玉座の間 〜

ドックン


大臣「おお、また鼓動が……。例の "怪物" も順調に育っているようですな」

デスペア国王「……いや、そうでもない。予定より成長が遅いくらいだ」


デスペア国王「"怪物"を育てるのに必要な "闇の絵の具" が完全に不足している。……リアルランドに送った奴らさえ良い働きをしていれば、このようなことにはならぬものを……」

大臣「……ご安心ください、国王陛下。その件につきましては、すでに手を打ってあります」

デスペア国王「ほう? 何かしたのか?」

大臣「はい。リアルランドにいるシアンナ様達には、私からある "秘策" をお授けしました。今頃はお三方のお手元に届いているはずです」

デスペア国王「"秘策" だと?」

大臣「その通りでございます、国王陛下」

大臣「"闇の絵の具" の精製に必要な、リアルランドの人間達の濁った "心の絵の具" 。その採取を阻んでいるのは、伝説の戦士・プリキュア」

大臣「我が "秘策" は、そのプリキュア達を打倒するためのものでございます」

デスペア国王「その効果の程、期待してよいのだな?」

大臣「はい。あれさえあれば、プリキュアなど恐れるに足りません。あれさえあれば…………くふっ……ふふっ、くふふふっ……!」

デスペア国王「……自信があるのは結構だが……、大臣よ。私の前でその品の無い含み笑いはするな、と、以前命じたはずだな……!」ギロリ

大臣「……! ……これは失礼いたしました、国王陛下。どうかお許しを」

デスペア国王「……まあ良い。吉報を待っているぞ」

大臣「ははっ」

〜 ギャラリー・D 〜

ガチャッ


セルリア「……シアンナ……これ……、……外に……届いてた……」

シアンナ「これは……、小包と手紙? 本国からのものね」

ビリーズ「おっ? なんだなんだ、差し入れか? ウマい物だといいんだけどよぉ!」

シアンナ「そんなわけないでしょう、黙ってなさい。まず手紙を読んでみるわ」ガサッ


シアンナ「……! これは……!」

セルリア「……なんて……書いてあるの……?」

シアンナ「大臣からの支援のようね。プリキュア達を倒すための "秘策" だそうよ。手紙に詳細が書かれているわ。読み上げるから、二人ともよく聞きなさい」


シアンナ「――――――――」

ビリーズ・セルリア「…………!」

ビリーズ「……マジかそれ。スゴくね?」

セルリア「……それがあれば……プリキュアも……倒せる……!」

シアンナ「この小包の中に "それ" が入っているようだけど……」パカッ


シアンナ「……見ての通り、数は多くないわ。慎重に使いましょう」

セルリア「……わかった……」

ビリーズ「……あれ? おい、シアンナ。その手紙、二枚重なってね? お前、一枚目しか読んでねーよな?」


ガサッ


シアンナ「……本当ね、気付かなかったわ。目ざとさだけはさすがね」

ビリーズ「もっとホメてくれてもいいんだぜ!?」

セルリア「……別に……ほめてない……。……それで……二枚目には……何が……?」

シアンナ「ちょっと待って、読んでみるわ。…… "追伸" ……」


シアンナ「"重々承知かと思いますが、"期限" が迫っております。お急ぎください"。…………だそうよ」


セルリア「…………」

ビリーズ「…………あー、そういやそうか。もう結構経ってるよなぁ、何だかんだでよ」

シアンナ「そうね。"期限" までに、できるだけ国王陛下のお役に立つのが私達の使命。二人とも、これまで以上に精を出すように。わかったわね」

セルリア「……わかった……」

ビリーズ「へいへーい」

ビリーズ(……にしても、あの小包の中に入ってる "あれ"、そんなすげーのか……。ちょっと使ってみてーな)

ビリーズ(……よし、こっそりもらっとくか! 一個くらい、バレねえバレねえ!)ソーッ


シアンナ「……さて、それじゃあ、その "秘策" を有効に使うための話し合いを――――セルリア、ビリーズはどこ?」

セルリア「……知らない……。……さっきまで……そこに……いたけど……」

シアンナ「全く、一体どこに…………まさか」


パカッ


シアンナ「……小包の中の "絵の具" が……一つ無い……!」

セルリア「……あいつが……持ってった……?」

シアンナ「慎重に使おう、と言ったばかりなのに……! …………あの……馬鹿……っ!」プルプル

セルリア「……シアンナ……怒ってる……! ……お……落ち着いて……」

〜 七色ヶ丘市 ショッピングセンター "Rainbow" 内 ヒーローショー特設ステージ前 〜

ガヤガヤガヤ


あかね「すごい人やなぁ! みんなこのショー見にきたん?」

なお「この町でこういうショーやるの珍しいからね! 弟達も連れてきたらよかったなぁ……」


やよい「…………」

オニニン(……やよい、いつもだったら真っ先にはしゃぐのに……。やっぱりまだ浮かない顔してるオニ……)


ポンッ


やよい「みゆきちゃん……」

みゆき「やよいちゃん、せっかく来たんだから、楽しもうよ! いつもみたいに、目キラキラさせてさ! ねっ?」

やよい「みゆきちゃん……」

みゆき「あ、ほら! 始まるみたいだよ!」

ジャァァァァァン!


ディノレンジャー6人『超竜戦隊! ディノレンジャー!!』

子ども達「わぁぁぁっ!!」


あかね「おっ、何や? 6人おるなぁ。よー知らんけど、こーゆーのって 5人なんちゃうの?」

やよい「…………最初は 5人だったんだけど、この間、新しい仲間が増えたんだ」

なお「へぇ……、さすがやよいちゃん、よく知ってるね!」

みゆき「それで 6人かぁ! なんだかわたし達みたいだね!」

はるか「そうだね! 私も新人だし、新しい戦士の活躍、参考にさせてもらおうかな!」

敵役・デーモンスター『ふっふっふ……! 現れたな、ディノレンジャー! 今日こそ、ここにいるヤツらを悲しみに染め、その悲しみのエネルギーで我らが偉大なる神・デーモンキング様を復活させてやる!』

ディノレッド『悪魔の怪物、デーモンスターめ、そうはさせるものか! 行くぞ、みんな!』

ディノレンジャー5人『おうっ!』


れいか「何だか、本当に私達のようですね」

なお「敵も、前のあんた達とおんなじ様な事言ってるよ、マジョリン」

マジョリン「な、なおー……、バッドエンド王国の頃のことは言わないでほしいマジョ……」

なお「ゴメンゴメン、冗談だよ!」

敵のザコ兵士達『デーっ! デーっ!』ダダダダッ

ディノブラック『レッド! ザコは俺達に任せて、デーモンスターを倒してくれ!』

ディノレッド『わかったぜ! みんな、頼む!』


ウルルン「うぉぉーっ! そこだ、やれウルぅー!」

ペロー「ガンバるペロー! 悪いヤツらをやっつけるペロー!」

ポップ「むむむ……! これは手に汗握る激しい戦いでござる……!」


あかね「盛り上がりすぎやで、あんたら……。はしゃぎすぎて、周りの人にバレへんようにな」

なお「目の色変わってる……、ポップまで……。みんな男の子だねー」

オニニン「……やよい。やよいは、応援しないオニ?」

やよい「…………」

オニニン「……はあ……」


オニニン(……やっぱり、まだすぐには元気になれなさそうオニ……)

オニニン(どうしたら、やよいをいつもみたいに明るく、元気にさせてあげられるオニ……?)


はるか「…………」

はるか「……やよいちゃん。まだショー、楽しめなさそう?」

やよい「……はい……」

はるか「そっか……。漫画のこと、よっぽどショックだったんだね……」

やよい「…………」

はるか「……ねえ、やよいちゃん。もし良かったら教えてほしいんだけど」

やよい「……なんですか……?」


はるか「やよいちゃんって、どうして漫画家になりたいのかな?」

やよい「…………え?」

はるか「あんなに一生懸命になれるんだもん。きっと、何かあると思うんだ。やよいちゃんが "漫画家になりたい" と思うわけが」

はるか「……私もね、いろんなことがうまくいかなくって、落ち込んじゃう時があるんだ」

はるか「そんな時はね、思い出すの。自分が、どうしてそのことを頑張ってるのか、その理由を」

はるか「それがわかってれば、失敗したってまた強い気持ちで立ち上がっていこう、って思える」


はるか「だから、考えてみて。やよいちゃんが "漫画家になりたい" と思う、本当の理由。やよいちゃんだけの大切な気持ち」

はるか「それがあれば、どんなにツラくったって乗り越えていけるよ、きっと」


やよい「……わたしの……大切な気持ち……」

やよい(わたし、今までただ漫画か描きたくて描いてきた。ただ、絵を描くのが好きだったから……)

やよい(……でも、わたしは本当は、漫画を描いてどうしたいんだろう……。どうして、漫画家になりたかったんだろう……)


やよい(……わたしが、漫画を描く理由……。これまで、ガンバってきた理由……)

やよい(……わたしが、本当にほしいもの……)


やよい(……それって……なんなのかな……)

みゆき「や、やよいちゃん!」

やよい「み、みゆきちゃん? ど、どうしたの?」

みゆき「ほら、いいところだよ! 一緒に応援しよう!?」


ディノレッド『今だ! 必殺、ディノブレード!!』ズバッ!

デーモンスター『ぐわぁぁぁぁっ!? お、おのれ、ディノレンジャー……! 次こそは必ずお前達を倒してみせる!』ダダダダッ…

ディノピンク『やったわ! デーモンスターが逃げてった! 私達の大勝利!』

ディノレッド『応援してくれたみんなのおかげだ! 本当にありがとう! オレ達は、これからも地球の平和を守るために戦うぜ!』


男の子A「やったぁ! パパ、やったよー! ディノレンジャーかったよー!」

男の子A の父「ああ、良かったな! お前が一生懸命応援したおかげだよ」

男の子A「うんっ!」ニコッ


やよい「…………」

〜 七色ヶ丘市 ショッピングセンター "Rainbow" 前 〜

みゆき「ショー、面白かったね! わたしずーっとドキドキしっぱなしだったよー!」

あかね「せやなぁ。なんだかんだで結構盛り上がったし」

なお「あかね、"結構" どころじゃなかったでしょ……。みゆきちゃんと一緒に "あぶなーい!" だの、"やったー!" だの大騒ぎして、ノリノリだったよね」

あかね「あ、あはは……、うちらかて、プリキュアになって似たような事やっとるやん? なんか人ごとに見えなくて……」

れいか「その気持ち、わかります。私も自分のことのように応援してしまいました」


ワイワイワイ

やよい「……はるかさん」

はるか「ん? なに、やよいちゃん?」

やよい「わたし、さっきはるかさんに聞かれた時から、ずっと考えてたんです。"漫画家になりたい" って思う、わたしの気持ちってなんだろう、って」

はるか「……そうなんだ。何かわかった?」

やよい「いえ……、今はまだ、何も……」

はるか「……そっか。すぐには難しいかもしれないね」

やよい「でも、その気持ちって、きっとすごく大事なことなんだと思います。だから、もっと良く考えてみようと思います」

やよい「……今はまだ、元気出ないですけど……、はるかさんの言うとおり、その気持ちがわかれば、きっとガンバっていけると思うから……」


はるか「……うん、その意気だよ、やよいちゃん! もし何かわからないことがあったら、またいつでも相談に乗るよ! 今はツラいかもしれないけど……頑張って!」

やよい「はい。ありがとうございます」

フラフラ


ビリーズ「……や、や、やっと、見つけたぜ、プリキュアぁ……!」


みゆき「あ、あなたは!」

れいか「デスペアランドのビリーズ!」

はるか「! あの男も……デスペアランド……!」


ビリーズ「ったくよぉ……、来てほしくねえ時には呼ばなくても来るくせに、いてほしい時にはいねえのな、お前ら……!」

ビリーズ「探したぜ……、町内くまなく三時間……! おかげで脚が棒になっちまった……!」

れいか「……私達を探して……? なぜです? あなた方にとって、私達はいない方が都合がいいのではないですか?」

ビリーズ「オレらがお前らに用事、っつったら決まってんだろ。お前らを……コテンパンに倒すためだよ! さあ、プリキュアになりやがれ。待っててやるぜ」


なお「何……? わざわざ勝負を挑んでくるなんて……、今までと違う……!?」

あかね「せやけど、放ってもおけんやろ! いつも通りこっちがコテンパンにしたるわ! みんな、行くで!」

みゆき「うんっ!」


はるか「……やよいちゃん、大丈夫? やれる?」

やよい「……はい、大丈夫です!」

はるか「OK! じゃあ、行こう!」

妖精達「デコル・チェーンジ!」

パチンッ!

レディ!

6人「プリキュア! スマイルチャージ!!」

ゴー! ゴーゴー! レッツゴー!!


ハッピー「キラキラ輝く、未来の光! キュアハッピー!!」

サニー「太陽サンサン、熱血パワー! キュアサニー!!」

ピース「ぴかぴかぴかりん♪ じゃん・けん・ポン!(グー) キュアピース!!」

マーチ「勇気リンリン、直球勝負! キュアマーチ!!」

ビューティ「しんしんと降り積もる、清き心。キュアビューティ!!」

ノーブル「さらさら流れる気高きせせらぎ! キュアノーブル!!」


6人「6つの光が導く未来!」

6人「輝け! スマイルプリキュア!!」

マーチ「変身したよ! そっちもアキラメーナ出しな! それとも、直接あたし達と戦うつもり!?」

ビリーズ「やらねーよ。今日もお前らの相手すんのはアキラメーナだ。……ただし、ちょっと特別製のな!」

ノーブル「……特別製……?」

ビリーズ「おうよ! 今日は……(ゴソゴソ) コイツを使うぜ!」バッ

ハッピー「絵の具……? あれ、でもいつもと色が違う? 黒くないね」

ビリーズ「そう、こいつはいつもの "闇の絵の具" じゃねえ。特別に作られた、高いパワーの "心の絵の具" だ」

ビリーズ「お前達、リアルランドの人間達の "努力する心" が凝縮されてできた絵の具、"努力の緑・キャクタスグリーン" よ!」


サニー「へ……? それじゃあ、その絵の具、ええもんちゃうの? そんなんでどう悪さするん?」

ビリーズ「まあ、そう焦んなって。見てろ、本番はこれからだ!」

ビリーズ「この絵の具 "キャクタスグリーン" を、"闇の絵の具" と混ぜ合わせる!」


ビャァァッ バチバチバチッ


ビューティ「輝いている "心の絵の具" が……、"闇の絵の具" と混ざり合って黒くなっていきます!」

ビリーズ「"心の絵の具" と "闇の絵の具" を混ぜ合わせると、"心の絵の具" が持つプラスのエネルギーが、全く正反対のマイナスのエネルギーに変わる!」

ビリーズ「つまり、"努力する心" の正反対、"怠け心" のエネルギーを持った絵の具になるんだ!」


バチィッ!


マーチ「わっ!? 光った!?」

ビリーズ「……完成だぜ。これが、お前達プリキュアを倒すための新兵器!」


ビリーズ「闇の絵の具・"怠けの緑" だ!」


ハッピー「……今までのと違うの? 色付いただけじゃなくって?」

ビリーズ「だぁーから、焦んなって! 今すぐ、その体で味合わせてやるよ! 新しい "闇の絵の具" の恐ろしさをよ!」

ビリーズ「闇の絵の具よ! 闇の絵筆よ! キャンバスに絶望を描き出せ!」


シュババババッ


ビリーズ「実体を持ってキャンバスから現れよ、アキラメーナ!」


ズズズズズズ…


アキラメーナ(ショーのパンフ型)「アキラメーナァッ!」


ビリーズ「さあ! お望みどおり、コイツの恐ろしさ、見せてやるぜ! アキラメーナ、やっちまえ!」

アキラメーナ(ショーのパンフ型)「アキラメーナァッ!」ペラッ


バァァァァァァッ!


ノーブル「何!? あのアキラメーナがページを開いたら、中から黒い光が……!」

ビューティ「……こ、これは……!」

ハッピー「わ、わっ!? か、体が……アキラメーナに向かって吸い込まれるぅ!?」


6人「わぁぁぁぁぁー……」スゥッ


ビリーズ「……よぉーし、全員入ったな? んじゃあ、オレも中入るとするか。アキラメーナ、後は任せたぜ」スゥッ

アキラメーナ(ショーのパンフ型)「アガ」

〜 ?????? 〜

サニー「……あいったたた……、みんなー、無事かー?」

マーチ「吸い込まれた時にあちこちぶつけたけど……、何とか」

ピース「……それにしても……、ここ、どこだろう……?」

ビューティ「全く何にもありませんね」


ビリーズ「ようこそ、プリキュア! 絶望の世界へ!」

ノーブル「絶望の世界……? ここは一体何なの!?」

ビリーズ「ここはな、新しい "闇の絵の具" を使って生み出したアキラメーナの中にできた空間、"デスペア空間" だ!」

ハッピー「デスペア……空間……!?」

ビリーズ「聞いて驚け! ここはなぁ、アキラメーナを作る時に使った "闇の絵の具" のエネルギーを自在に操ることができる!」

ビリーズ「今回使ったのは "怠けの緑"。だから、この中では "怠け心" を使ってお前たちを攻撃できんだよ! それで、お前達をデロデロに怠けさせてやっつけよう、って作戦だ!」

ビリーズ「言っとくが、その怠けパワーはスゴイぜ? お前達のやる気もあっという間になくなってお終いだ! 覚悟しとけ!」

ノーブル「私達を、ムリヤリ怠けさせることができる、ってこと……!?」

ビリーズ「そーゆーこと。スゲーだろ? ビビれ、ビビれ! だっはっはっはっは!」


ノーブル以外の5人「(シーーーーーーン…)」


ビリーズ「はっはっは……っは…………あれ?」

ビリーズ「おい、身構えてんの、新しいヤツだけじゃねーか……。他のヤツらは何でビビんねーんだよ……」


ハッピー「なんか、前にもおんなじようなことあったよね?」

ビューティ「そうですね。ジョーカーの "怠け玉"、でしたでしょうか」

マーチ「要するにアレと一緒でしょ?」


ノーブル「……? みんな、何か知ってるの? "ジョーカー"? "怠け玉"?」


ポップ(デコル)「"ジョーカー" というのは、プリキュアの皆の衆が以前戦っていた敵 "バッドエンド王国" の最高幹部だった男でござる」

ポップ(デコル)「その性格は卑劣で残忍……。人が苦しむ様を見て喜ぶような輩でござった……」

ウルルン(デコル)「おれ達が仲間だった時も、バカ丁寧な態度を取りながら、ハラん中では常に見下してやがったウル……。……イヤなヤツだったウル……!」

ビューティ「そのジョーカーが私達に仕掛けてきた攻撃の一つが、"怠け玉" です。その中の空間に入ってしまうと、誰でもみんなすぐ怠けてしまうのです」

ノーブル「なるほどね、大体わかった。……でも、みんなはそのジョーカーにも勝ってるんだよね? と、いうことは――」

サニー「そや! うちらには怠け攻撃なんて効かへんで! 一回打ち破っとるんやからなぁ!」

ビリーズ「……はぁーん、なるほど、そーゆーことか。だから全然ビビんねーわけだ。…………けどよ」


ビリーズ「"怠けたーい"。"楽したーい"。……そんな気持ちが心から完全に消えると思うか?」


ピース「……!(ドキッ) ……わ、わたし達なら、きっと大丈夫だもん……!」


ビリーズ「……はっ、まあいいや。効くか効かねーかは、試してみりゃわかるってなもんよ。とりあえず食らえや!」

ノーブル「来るよ! みんな、気をつけて!」

ビリーズ「そらよっ!」パチンッ!


バァァァァッ!


ハッピー「わっ!? な、何!?」

ビューティ「黒い光が……全身を包んで……!?」

サニー「な、なんやこれ……!? なんも見えへん……!?」

ピース「……っ!?」

ピース「……あれ? 何ともない……」

ビリーズ「……あれ? おっかしーな……。なんでキュアピースだけ平気なんだ? 他の連中みたいになるはずなんだけどよ」

ピース「……え?」


ハッピー「うわぁ、ピーター・パンだぁ! ……え!? わたしウェンディ!? どーしよどーしよ!? ……ネバーランド!? 行きます行きますぅ!」

サニー「……ブライアン……、うちも……会いたかったで……!」

マーチ「おいしーい……。こんなに沢山の高級料理……しあわせー……!」モグモグ

ビューティ「……こんなところにお布団が……。そういえば、やよいさんのお祝いの準備で……ふわぁ……寝不足気味でした……。……すー……すー……」

ノーブル「……ふふっ……、……あはっ、あはははっ……。あっははははははっ……!」


ピース「……!? み、みんな……!? 何も無いのに……、どうしたの!?」

ビリーズ「ふふん、さっきの黒い光を浴びるとだなぁ……、自分が今、最も欲しがってる幻にとりつかれるんだよ! その幻の中で、ラクして楽しーい思いができる、ってわけだ」

ビリーズ「それにしても、ぷぷっ……、あのザマで "怠けたりなんてしない" なんてよく言えたもんだ! 口ほどにもねえとは、このことだなぁ! だっはっはっは!」


ビリーズ「……の、はずなんだけどなぁ。なんでお前平気なんだよ?」

ピース「……そ、そう言われても……」

ビリーズ「……あ、わかった! そうか! お前、今なんもしたくねーんだろ!? 欲しいもんとか、やりたいもんとか、何もねーんだ! だから幻が出ねーんじゃねーの!?」

ピース「……!? ……そ、そんなこと、ないもん……。わ、わたしにだって、やりたいこと、あるもん……! わたしには……、とっても大切な……夢があって――」

ビリーズ「夢ぇ? じゃあ、なんでその夢に関係する幻とか見ねーんだよ。おかしいじゃねーか」

ピース「そ、それは……」

ビリーズ「……お前、もしかして、その夢とかいうの、別にそんなに大事じゃねーんじゃねーの?」


ピース「!!?」


ビリーズ「お、図星か? 顔が青くなったぜ?」

ビリーズ「夢ってあれだろ? 何か色々、やたらガンバったりしなきゃいけねーんだろ? お前、ホントはそれがイヤになって、もう何もやりたくねーんじゃねーの? だから幻も見ねーんだ、きっと」

ピース「…………」

ガクッ


ピース「……え……? 力が……抜ける……?」

ビリーズ「ああ、一応幻見なくても効いてんだな。この空間には怠けパワーが充満してっからよ、少しずつ気力を奪ってくんだよ。うずくまっちまって、とうとう立ってもいられなくなったみたいだな?」

ピース「……そ……んな……」

ビリーズ「丁度いいじゃねーか! ここにいりゃあ、何も考えなくって済むぜ? 好きなだけ、ゴロゴロできるし、誰も何も言わねえ。正直うらやましいくらいだぜ」

ビリーズ「まあ、ゆっくりしてけや。その間、オレは仕事してっからよ」


ポチョン ポチョン


ピース「……! それって、"心の絵の具" ……!?」

ビリーズ「おお、その通り。今、外の世界じゃアキラメーナが絵の具吸いまくってんだよ。これが、新しい "闇の絵の具" のスゴいところなんだぜ!」

ビリーズ「お前らプリキュアをこのデスペア空間に閉じ込めておけば、ジャマ者は誰もいねえ。絵の具も吸い放題、ってわけよ!」

ビリース「お前らもやっつけられるし、絵の具もたまる。一石二鳥、ってわけだ! だっはっはっはっは!」


ピース「…………」

ピース(……どうしよう……。このままじゃ、町がメチャクチャになっちゃう……。他のみんなは動けないし……、わたしが……何とかしないと……)

ピース(……でも……)


ビリーズ(回想)『……お前、もしかして、その夢とかいうの、別にそんなに大事じゃねーんじゃねーの?』


ピース(…………)

ピース(……こんな気持ちじゃ……わたし……戦えない……)

ピース(……わたしの夢……。大切だと思ってた、わたしの夢……、漫画家になる夢……)

ピース(でも、欲しいものが何でも出るこの場所で……、わたしの前には何も出ない……)

ピース(わたしはホントに……夢なんて……大切じゃないと思ってるの……? 失敗したから、もうやりたくないって思ってるの……?)

ピース(……あきらめたいって、思ってるの……?)


ピース(わたしにとって、漫画家になる夢って……そんなものだったの……?)

はるか(回想)『だから、考えてみて。やよいちゃんが "漫画家になりたい" と思う、本当の理由。やよいちゃんだけの大切な気持ち』


ピース(…………)

ピース(……わたし、なんで "漫画家になりたい" って思ったんだろう……)

ピース(……漫画が好きだから……? それはもちろんそうだよ……、わたしは、絵を描くのが大好き……。だから、漫画を描いてる……)

ピース(でも、それだったら、漫画家になれなくてもいいよね……。自分一人だけで漫画を描くことだって、できるよね……)

ピース("漫画家になりたい" って、そう思うようになったのは、理由があるはずなんだけど……)

ピース(ただガンバりたい、って思ってガンバってきただけだったから、どうしてそう思うようになったのか、わからない……)


ピース("漫画家になりたい" って思う、わたしだけの大切な気持ち。……それって、なんなんだろう……)

ピース(わからない……、わからないよ……!)

男の子A(回想)『やったぁ! パパ、やったよー! ディノレンジャーかったよー!』

男の子A の父(回想)『ああ、良かったな! お前が一生懸命応援したおかげだよ』

男の子A(回想)『うんっ!』ニコッ


ピース(…………!)

ピース(……あの時、あの男の子、ショーを見てとっても楽しそうだった……)


ピース(もし……、もし……、あの笑顔が…………わたしの漫画を読んでくれた時のものだったら……?)

〜 ピースの想像 〜

男の子『今週のミラクルピース、おもしろかったなー!』

女の子『うんっ、すっごくおもしろかった! ミラクルキーーック! って、すごくかっこよかったよね!』バシッ

男の子『いてっ! 言いながらけるなよー! ミラクルピースごっこするなら、おれがミラクルピースやるー!』

女の子『なに言ってんの! ミラクルピースは女の子だよ! だからわたしがやるのー!』

男の子『ちぇー! じゃあおれ敵かよー!』

女の子『そのとおりよ! わるいやつは、この正義のヒロイン、ミラクルピースがゆるさないわ!』

男の子『しょうがねーなー……。ふははは、ちょこざいな! かかってくるがいい!』


男の子『あははははっ!』

女の子『あははははっ!』

ピース(…………)


ピース(……なんだろう、この気持ち……。胸が……熱いよ……)

ピース(わたしの漫画を読んで、楽しんでもらえたら……、笑ってもらえたら……。そう思うだけで、とっても胸が熱くなる……、力が湧いてくる……!)

ピース(……そっか。きっとこれなんだ)


ピース(これが、わたしだけの……大切な気持ち……。わたしの……夢!!)

カッ バァァァァッ!


ビリーズ「!!? なっ、なんだぁ!? キュ、キュアピースが、急に黄色く光りだした……!? クソっ、まぶしい……!」


ピース「…………」スクッ


ビリーズ「キュアピース……!? デスペア空間で……何で立ってやがる……!?」

ビリーズ「っつーか、その光……いつだったかの……キュアハッピーと同じ……、いや、それ以上……!? なんだ……!? 何してんだよ、お前……!?」

ピース「……わたし、わかったの。わたしが、本当は何をしたいか。わたしの "夢" ってなんなのか」


ピース「わたしは、ただ漫画が描きたいだけじゃない。たくさんの人に、わたしの漫画を読んで、楽しんでもらいたい。笑顔になってもらいたい。それが、わたしの夢」


ピース「今はまだ、それは実現できないかもしれないけど……、でも、もしそうなるかも、って考えたら、力が湧いてくる。ガンバろう、って思える」


ピース「わたしの漫画を読んで楽しんでくれる人の笑顔は……、怠けてたら、立ち止まってたら、絶対に見られないから……!」


ピース「だからわたしは何回だって立ち上がるの! わたしの漫画で、みんなを笑顔にしたいから!」


ピース「その夢を目指す、わたしだけの大切な気持ちのために!!」


バァァァァァァァッ!!


ビリーズ「うっく……っ! キュアピースの光が……もっと強く……!?」

ビシィッ!


ビリーズ「…………は? デ、デスペア空間に……ヒビが入った……? な、なんでだよ……、なんで空間にヒビなんか入るんだよ!?」


ビシッ! ビシビシィッ!


ビリーズ「ヒ、ヒビが……どんどん広がって……! デスペア空間が……割れる……!?」


バリィィィィィィン!!

〜 七色ヶ丘市 ショッピングセンター "Rainbow" 付近の道路 〜

アキラメーナ(ショーのパンフ型)「ア、アガ……!? アガァァァァァァァッ!!?」


バァァァァァァッ!!


バババババッ


ノーブル「痛っ!?」ドテッ

ビューティ「うっ……!?」ドテッ

マーチ「あいたっ!?」ドテッ

サニー「あうっ!?」ドテッ

ハッピー「はぷっ!?」ドテッ


マーチ「……あれ? あたし達、何を……」

ノーブル「アキラメーナに吸い込まれたと思ったら、"デスペア空間" ってところに行って……。そこから先が思い出せない……」

ビューティ「ですが、ここは外のようですね。アキラメーナから放り出されたのでしょうか?」

サニー「さっぱりわからん……。何がどうなっとんのやろ??」

ハッピー「サ、サニー……とりあえずどいて……ぐるじい……」

サニー「あ。ゴメンゴメン、ハッピー。下敷きにしてもーてたわ」

バッ


ビリーズ「うげっ」ドテッ


ビューティ「ビリーズ!」

マーチ「なんであいつまで外に!? 中で一体何が……」


バッ


ピース「みんな、大丈夫!?」ストッ

ハッピー「ピース!」

サニー「だ、大丈夫やけど……ピースこそ大丈夫か……? めっちゃ光っとるけど……!」

ピース「うん、わたしは大丈夫」ニコッ

ノーブル「……ピース? 何だか雰囲気が少し……変わった?」

ビリーズ「……ちっくしょう! デスペア空間は破られちまったけどよ、まだ終わったわけじゃねーんだぜ!? やれ、アキラメーナ!」

アキラメーナ(ショーのパンフ型)「アキラメーナァッ!」ズシン ズシン


マーチ「来るよ! みんな、気をつけて――」


バッ


ピース「やぁぁぁぁぁっ!」

ビューティ「ピース!? むやみに飛び出しては――」


ドガァァァァァッ!


アキラメーナ(ショーのパンフ型)「ア……ガァァァァァッ!!?」ドゴォォォォン!


5人「…………」ポカーン


サニー「……パンチ一発で吹っ飛ばしてもーた」

ハッピー「ピース、すごい……! どうしちゃったの……!?」


ビリーズ「なっ、なっ、なっ、何が起きてんだよぉ、さっきからよぉ!!?」


ピース「……今だっ!」

ピース「プリキュア! (ドォォォン!) ピース・サンダーァァッ!!」


ズドォォォォォォォォンッ!!


アキラメーナ(ショーのパンフ型)「アガァァァァァ……」シュワァァァァ…


ビリーズ「……一発? ウソだろ……、オレの強くなったアキラメーナが……一発でやられた……!? 何なんだよ、あの力はよぉ……!?」

ビリーズ「……そういえば……」


ピース(回想)『夢を目指す、わたしだけの大切な気持ちのために!!』


ビリーズ「……夢がどうこうとか言い出してから、急に強くなりやがった……」


ビリーズ「……なんなんだよ……。夢……? そんなもんが力になったっつーのか……? ガンバんなきゃなんねーのに……、ツラいはずなのに……?」

ビリーズ「……意味わかんねぇ……。今が楽しくなきゃ……意味ねーじゃねーか……! ……クソっ……!」シュバッ

やよい「ふぅ……」


あかね「やよいぃーっ!」

やよい「わっ、な、何!?」

あかね「何、やないやろ! すごかったやん! 全部一人でやってもーた!」

なお「ホントだよ! さっき見たショーのヒーローみたいだったよ!」

やよい「え……、そ、そうかな……えへへ」

れいか「ですが、先ほどの力は一体……。明らかに普段のピースとは段違いでしたね……」


ポンッ


オニニン「きょ、今日はいつもより、つ、疲れたオニ……」ポテッ

やよい「オニニン! だ、大丈夫?」


ポップ「む……? そういえば、以前にもこのようなことがあったような気がするでござる」

みゆき「あ……、思い出した! わたしが、1年の木下さんをバカにされた時、カッとなってすごいパワーが出たことがあったよ!」

キャンディ「そういえば、あの時もキャンディ、力をいっぱい使っちゃって、動けなくなったクル」

やよい「じゃあ、オニニンも、わたしが力を使いすぎたせいで……」

オニニン「……やよい、気にしなくっていいオニ。落ち込んでる時に力になれなかったから……、役に立てたんならこれくらいへっちゃらオニ……」

やよい「オニニン、ありがとう……!」

あかね「……せやけど、さっきのパワー、ほんまなんやったんやろな? やよい、あのナントカ空間の中でなんかしたん?」

やよい「……夢を、見つけたの……」

なお「夢……? って、漫画家になる、っていう?」

やよい「そうなんだけど……、その夢を目指そうと思った気持ち、っていうのかな。それに気付いて……」

はるか「……! じゃあ、やよいちゃん、見つけられたんだね、自分の大切な気持ち……!」

やよい「はいっ!」


みゆき「え? え? やよいちゃんとはるかさん、何かあったの?」

やよい「……はるかさんね、デビューできなくて落ち込んでたわたしを、ずっと励ましてくれてたんだ」

やよい「その時にアドバイスしてくれたの。"漫画家になりたいって思う本当の理由はなんなのか、考えてみて"、って」

れいか「いつの間にそんな話をされていたんですか?」

はるか「ショーを見ながら、ちょっと、ね」

やよい「そのアドバイスのおかげで、わたし、自分のことをもっとよく考えることができたの。もっとよく知ることができたの」

やよい「わたしが漫画家になりたかったのは、みんなに楽しんでもらいたいから、笑顔になってもらいたいから。それが、わたしの夢の元になった、大切な気持ちなんだって、気付けたの。そしたら、何だか体が光って、力が湧いてきたんだ!」

やよい「……はるかさんや、励ましてくれたみんなのおかげだよ! ありがとう!」


はるか「……そっか。さっきのピース、何だか雰囲気がちがうな、って思ったのは、その気持ちに気付けたからなんだね。やよいちゃん、少し大人っぽくなったような気がするよ」

やよい「あ、えへへ……そ、そうですか?」

パァッ…


あかね「……って、やよい!? 変身もしとらんのに、またなんか体が光っとんで!?」

やよい「……え? わ、わぁっ、ほ、ホントだ!? な、何これ!? た、助けてみゆきちゃん!」

みゆき「えっ!? な、なんでわたし!? わ、わかんないよぉ!」


パァッ…


れいか「ポ、ポップさん!? ポップさんも、頭が光ってますよ!? どうしたのでしょう……!?」

ポップ「むっ……!? こ、これは……、まさか……!」ゴソゴソ


ポップ「やはり……! 光っているのは拙者ではなく、"レインボーパレット" でござる! 失くさないよう、たてがみに大事にしまっていたのでござる」

キャンディ「あ! ……それ、なんだっけクル?」

ポップ「ピクチャーランド国王・テンペラ様よりお預かりした、ピクチャーランドに伝わる伝説の道具の一つでござる……って、キャンディ、お主が忘れたらダメでござろう」

キャンディ「えへへ……。ごめんなさいクル……」


やよい「わわわっ、ポップがそれ出したら、光がどんどん強く……!」パァァァッ


ポンッ


はるか「やよいちゃんの体から何か出た!」

れいか「小さな黄色い光の玉……、ですね」

ヒューーーーン ポチョンッ


なお「光の玉が、その "レインボーパレット" に吸い込まれた……?」

あかね「七つある溝のうちの一つが黄色くなったな」

みゆき「すっごいキラキラ光ってる……! キレイ……」

キャンディ「クル……!?」

みゆき「ん? どうしたの、キャンディ?」

キャンディ「その黄色い光……、すごい力を感じるクル……。今まで感じたことないほど、すごい力クル……!」

ポップ「なんと……!? ……では、もしや、これは……!」ペチョ

あかね「ポップ、なにしとん? パレットの光に指突っ込んで」


ヌルヌル


ポップ「これは、やはり絵の具……。と、いうことは……これはおそらく……!」

やよい「えっ? えっ? 何? それが、どうかしたの?」

ポップ「やよい殿から出たこの絵の具……、これはきっと……」


ポップ「拙者達の敵・デスペアランドが狙う最大の目的でもあり」

ポップ「皆の衆の世界・リアルランドを救うために必要な力をもたらしてくれる、ピクチャーランド最大の秘宝……!」


ポップ「"夢の絵の具" でござる!!」


全員「…………」


全員「えぇぇぇぇぇーーーっ!!?」





つづく

次回予告

みゆき「わたし達の前に現れた伝説のアイテム、"夢の絵の具"! わたし達の世界を守るために必要な、大切なもの!」

みゆき「ポップの提案で、"夢の絵の具" が入った "レインボーパレット" をクイーン様であるキャンディに預けることになったの! でも、キャンディ、すっごく不安そう……」

みゆき「ガンバって、キャンディ! 応援してるから、わたし達の大切な希望の光、守ってね!」


みゆき「次回、『スマイルプリキュア レインボー!』 "守れキャンディ! みんなの夢!"」


みゆき「みんな笑顔でウルトラハッピー!」

今回はここまでです!
お読みいただいた方、ありがとうございました。


この作品をアップする時はプリキュアシリーズのボーカルメドレーを BGM に作業しているんですが、
ちょうど今回のピースの啖呵のシーンの時に "HEART GOES ON(『ハートキャッチ』挿入歌)" が流れて、手前味噌ながらテンション上がってしまいました。。
曲の歌詞と今回の内容が似たような感じなので。
音楽のパワーってすごいドド。。

この気持ちを少しでも、読んでくださってる皆様にも味わってもらえたらうれしいですねえ。。


よかったら次回もまたよろしくお願いします!


第1話 〜 第11話 『スマイルプリキュア!』第2期を SS で作るスレ - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1360385907/)

第12話 >>6 から
第13話 >>117 から
第14話 >>223 から
第15話 >>332 から

それではお返事タイムとさせていただきます!


>>ボーズさん・乙くださった皆様
ありがとうございます!
楽しんでもらえたのなら何よりです!



>>320さん
> はるかってオリキャラだっけ?
> スマプリに名前出てた?

"藍沢 はるか" は完全にオリジナルキャラです。
新しいストーリーの都合に合わせるためのオリジナル設定キャラになります。

ただ、他のところだと原作に出ていたキャラを使ったりしてます。
原作の雰囲気を残しつつドラマを展開していきたいなあ、と思ってますので。
(バレー部キャプテンの "名倉 ゆか" とか、漫研の "美川" とか)



>>324さん
> ノーブル回はこれで一旦終わり?今までのシリーズの追加戦士(パッション・サンシャイン・ビート等)は結構な数の話数をもらってたから、
> 「3、4回はノーブルの話が続くかな」って思ってたけど、>>1が考えたオリキャラだから控えた感じ?

まったくもってそのとおりです!
オリキャラの出番は少し抑え目でいくスタンスです。(もちろんそれなりの見せ場は用意してありますが。。)

やっぱり二次創作とはいえ『スマイルプリキュア!』なので、原作の 5人を中心に描いていきたいですね。

>>編集者さん・330さん

> 次回予告を読んで「何でまたメルヘンランドの妖精なの?」と、(個人的に)ガッカリしました。

> >>321 「何でまたメルヘンランドの妖精なの?」まぁ、ミルキィローズも変身方法が1人だけ違ったから、
> 「藍」と「紫」が5人とは全然違う変身をしてもありとは思うんだけど……

"藍" は "妖精" より "プリキュア" をメインにして描きたかったので、他と違う変身システムにはしなかったんですが。。
落胆させてしまったのならスミマセン。
とりあえず、今回はこれでいかせてもらえれば、と思います。

"紫" については、、まあ、そのうち、おいおい。。


> プリキュアらしく女の子が喜ぶような可愛い妖精をパートナーにする→だったらメルヘンランド出身の妖精でいい
> じゃあメルヘンランドにいないような可愛くないゲテモノをパートナーする→可愛くないのはプリキュアらしくない
> ってことになっちゃうんだよね。

こちらはそのとおりですね。"らしさ" は重視していきたいです。

>>328さん・329さん
……え、なんですかね。"ウルみゆ" 書く流れですかね、これ? ;^ ^)

でも、自分 "ウルみゆ" ってイメージつかないんですよねー。。原作にそういう要素なかったし。。

そもそも、この発想自体がどこから出たんでしょうね。。原作、そういうシーンってほぼないですよね?
この二人がスキとかキライとか、最初に言い出したのは誰なんだ。。


うーん、やっぱり、自分にとって『スマプリ』はそういう作品じゃないですねえー。。"ウルみゆ"ss は多分自分には書けないです。。
みゆきちゃんの恋愛にしても、豊島くん(文化祭でギター弾いてた彼) とのあまずっぺー話とかだったら書けそうですが、、ダメですよね、それじゃ ;^ ^)

"ウルみゆ" は他の方にお任せします。どなたか代わりにガンバってください!



>>編集者さん

> ?第4話の回想シーンで妖精たちがパートナーを話し合いで決めた(三幹部妖精は『以前、迷惑をかけた相手とパートナーになる』)ということに何か引っかかりを感じたこと

これは、、もう今の設定でいく、ということにしておいてください。。
一応、自分が原作の流れを鑑みて出した組み合わせなので。

……自分としては、そんなにズレとらんと思うんですけどねえ。。
人によって感じ方は異なるかもしれないですね。


> 前まで拳を交えて戦っていた者としてこのような事を女性から言われたら男性のプライドとしてはどうかな?と考えてしまいました。

なるほど、、そういう考えはありませんでした。
そういえば、『5』でもココ・ナッツが前に立つシーンはありましたね。

『プリキュア』シリーズはあくまで少女戦士の物語だと思ってて、
男性が前に出て戦うイメージがなかったからこういう描写になったんだと思います。

もし今後こういうシーンがあるようだったらちょっと気をつけて書いてみますね。

乙でした >サニー「……ブライアン……、うちも……会いたかったで……!」 あかねファンの一部の大友が泣くだろうなww

「『プリキュア』シリーズはあくまで少女戦士の物語だと思ってて、
男性が前に出て戦うイメージがなかったからこういう描写になったんだと思います。」
男性で前に出て戦ったのはコッペ様(イケメン)くらい?あと「ドキドキ!プリキュア」のトランプ王国の戦士が、今週の話で剣と鎧を装備して頑張ってた

>>425
「そんな立場の人が長期間異世界にいたらどうなってしまうのでしょうか?」メルヘンランドって結構設定が適当っぽいから大丈夫じゃないかな?
「シンデレラ」のかぼちゃの馬車をなおが勝手に使ってるし、「ヘンゼルとグレーテル」のお菓子の家を他の絵本の妖精達が食べてるし。
考えてみるとメルヘンランドってカオスだ……


デスペア空間でただ
大声で笑うだけだった
ノーブルさんが意味深すぎて気になる

今日はお先にお返事タイムです!


>>ボーズさん
毎回お楽しみいただいて、ありがとうございます!

> 高い場所(例えば山とか展望台とか)自分の住んでる街を見下ろすのも何か良いヒントになるかと。
アイデア、ありがとうございます!
こちら、実は自分もどこかでやろうかと考えていました。
まさにおっしゃってるような形で、どこかでお見せできるかと思います。


>>編集者さん
いつもご意見ありがとうございます!

> 「ウルみゆ」に関して少し誤解されているようですが・・
いやあ、こちらは誤解していたようでスミマセンでした。

"ウルみゆ展開をお望みなのか" と思ったこともそうですが、
> ぬいぐるみみたいなマスコットキャラにチュッとする描写もNGだということに驚く
こちら、ウルフルンにチューするんだと思ってました。。

恋愛展開に関しては、物語に必要であればやりますし、そうでなければやらない、というくらいのスタンスでやっていきます。

ですが、確かに、このあたりに関して、女性の方の意見を聞いてみたいところですね。
このスレに女性読者の方がいるのか、というところはありますが。。

>ペローに関していろいろ
たしかに、"主役の妖精が出てくるのはどうか" というご意見に関してはうなずくところがありました。
が、今回ははるかに合うキャラクター・原作で出ていたキャラクターということで長靴ネコの採用とさせてもらったので、
その辺りはなあなあでお願いします。。

>ピクチャーランドの妖精について
なるほど、例が具体的だと思ったらそういうことだったんですね。
ピクチャーランドのキャラクターについては、、まあ、そのうち、、おいおい。。

>>乙くださったみなさま
ありがとうございます!
乙だけでも励みになりますー。


>>427さん
> あかねファンの一部の大友が泣くだろうなww
そうかもですね。。w
あかねちゃんの恋愛模様に関してはそこまでガッツリやる予定はないですが、
ちょっとやるかもしれないので、ガッカリする方いましたら今のうちにお詫びしておきます。

自分、スマイルの中で 36話(ブライアン回) が一番好きなんですよー。何回見ても面白い。。


>プリキュアの男性戦士について
コッペ様、幹部くらいなら倒せるんじゃないか、ってくらい強かったですけど、
やっぱり『プリキュア』としてはプリキュアに頑張ってほしいところではありますねえ。
本作『レインボー!』でも、その辺りのスタンスは一貫していきたいです。


>メルヘンランドについて
本編見ながら、「政治とかどうなってんだろーなー。。」とか思ってましたが、
その辺り突っ込んでもしょうがないのでなあなあで。。w


>>428さん
ノーブルの見ていた幻に関しては、、まあ、そのうち、、おいおい。。

『スマイルプリキュア レインボー!』

このあとすぐ!

〜 ふしぎ図書館 〜

パァァァァァッ


6人「おぉーーー……」


みゆき「この、"レインボーパレット" っていうものの中に入ってる黄色い絵の具が……」

れいか「私達の世界を守る可能性をも秘めた伝説の秘宝……」

はるか「……"夢の絵の具"……」

なお「それにしても、ずーっと光りっぱなしだね、これ」

あかね「"伝説の秘宝" ちゅーだけあるなぁ……。見ててまぶしいくらいや」


ポップ「これが "夢の絵の具" であるかどうかは拙者の推察でしかないでござるが、これほどの輝き……、間違いないでござろう」

ポップ「そして、これが "夢の絵の具" であるのなら、もう一つの秘宝 "レインボーパレット" の役割は、"夢の絵の具" の受け皿であった、ということになるでござるな」

やよい「……でも、どうしてこれがわたしから出てきたのかな? "夢の絵の具" って、プリキュアを作るために使っちゃったんだよね?」

ポップ「うむ。問題はそこでござる」


ポップ「以前説明したでござるが、"プリキュア" とは、"夢の絵の具" の強力なエネルギーを使って産み出された希望の戦士」

ポップ「やよい殿の言う通り、その際、"夢の絵の具" は失われてしまったはずでござった」

ポップ「しかし、その失われたはずの "夢の絵の具" が、再びやよい殿から現れた……。これはどういうことなのか……、拙者なりに考えてみたでござる」

ポップ「拙者が思うに、プリキュアの皆の衆の心はすでに、"夢の絵の具" になっているのではないでござろうか」

みゆき「わたし達の心が……"夢の絵の具"? どういうこと?」


ポップ「"心の絵の具" は、皆の衆・リアルランドの人々であれば、誰もが持っている心のエネルギーでござる。もちろんそれは、皆の衆にもあるはずでござる」

ポップ「しかし、皆の衆はプリキュアでござる。"夢の絵の具" の力を得て、伝説の戦士になった」

ポップ「その際に "夢の絵の具" の力が皆の衆の心に流れ込み、皆の衆の "心の絵の具" を "夢の絵の具" へと変えたのではないか、と思うでござる」

あかね「うーん、そうなんかなぁ……。前から特別変わったような気はしてへんかったけども……」

ポップ「この予想の元になる、一つの事実があるでござる」

れいか「それは一体……?」

ポップ「拙者は後から来たゆえ、はっきりと断定はできないでござるが……」


ポップ「皆の衆は、一度もデスペアランドの魔物・アキラメーナに心を吸われたことがないのではござらんか?」

5人「!!」

みゆき「そういえば、デスペアランドの人達、アキラメーナが出てもわたし達が動けててびっくりしてたなぁ」

なお「ホントだったら心を吸われて、動けなくなっちゃうのにね」

やよい「……っていうことは」

ポップ「そう。皆の衆の心にある "夢の絵の具" の力が、人の心を奪おうとする悪しき力を防いでいたのではないでござろうか」

れいか「……言われてみれば、思いあたるところがありますね」


ポップ「それを証明する一番の証拠ははるか殿、お主でござる」

はるか「え……、私?」

ポップ「はるか殿は憶えていないかもしれないでござるが、二度ほど心を吸われ、動けなくなったことがあったでござる」

れいか「帰国後、ショッピングモールに遊びに行った時に一度、私の看病のために商店街に買い物に行ってくださった時に一度、ですね」

はるか「ああ、そういえば、気が遠くなってぼーっとしてた気がする」


ポップ「しかし、プリキュアとなった今では、アキラメーナの前に立っても心が吸われることもなく、平気でござろう?」

ポップ「それこそ、プリキュアになることではるか殿の心が "夢の絵の具" となったことの証明なのではござらぬか」

はるか「なるほどね、確かに……」


ポップ「さて、そのことを踏まえて話を戻すでござる。なぜ、やよい殿から "夢の絵の具" が出てきたのか」

ポップ「やよい殿、この間の戦いで強い力を発揮した時のことを、もう一度話してほしいでござる」

やよい「うん、わかった」

やよい「……わたし、夢だった漫画家デビューができなくなって、すごく落ち込んでた」

やよい「自分にはムリだ、って思って、夢をあきらめそうになってた」

やよい「でもわたし、改めて考え直してみたの。どうしてデビューしたかったんだろう、漫画家になりたかったんだろう、って」

やよい「夢の元になった、わたしのホントの気持ちがなんなのか、って」


やよい「それで、この前気付いたの。"わたしは、誰かに自分の漫画を見て楽しんでほしいから漫画を描くんだ" って」

やよい「その気持ちに気が付いた時、胸が熱くなって……、またガンバろう、って気になれた」

やよい「そうしたら、体が光ってすごい力が出せるようになったの」

ポップ「その後、その光がやよい殿の体から飛び出し、この "レインボーパレット" に吸い込まれたのでござったな」

やよい「うん」


ポップ「今のやよい殿の話にあった、"夢に対する強い気持ち"。これが "夢の絵の具" が現れるためのキーワードなのではないかと思うでござる」

ポップ「皆の衆の心にある "夢の絵の具" は、気持ちが高まれば高まるほど、その強さを増していくのではないのでござろうか」

ポップ「そしてきっと、その高まりが最も強くなった時、体の外に形を成して現れるのでござる。コップに注いだ水があふれるように」

ポップ「つまり……」


ポップ「"夢の絵の具" とは、皆の衆の、プリキュアの "夢"、"未来へ向かおうとする強い気持ちの結晶" なのではないか。拙者はそう思うでござる」

あかね「……っちゅーことは……」

なお「あたし達が、この世界の平和を守るため……」

れいか「七色の "夢の絵の具" 全てを手に入れるためには……」

みゆき「わたし達全員が、やよいちゃんみたいにすごく強い気持ちを持たないといけない、ってこと……?」

ポップ「……おそらくは」

ポップ「本当は、そのためにはあと一人、最後の "紫" のプリキュアを見つける必要があるのでござるが……」

ポップ「メルヘンランドの妖精では、プリキュアのパートナーとなれる力を持つような者はペローが最後でござった。今は手がかりが全くないでござる……」


ポップ「だから、皆の衆にはひとまず、自分の "夢の絵の具" を出すことに専念してほしいでござる! 今は、それが平和への近道のはずでござる!」


はるか「…………」


はるか(……夢、か……)

あかね「……せやけど、そうは言うてもなぁ……」

なお「あたし達の "未来に向かう強い気持ち" か。すぐにポーンと出るもんじゃないよね……」

れいか「そうね……。やよいさんがうらやましいです……。自分の進むべき "道" がはっきりわかっているのですから」

やよい「うん、それはわたしもすごく嬉しいことだな、って思う」

やよい「将来やりたいことがあって、そのために今、一生懸命ガンバれて。……ツラいこともあるけど、毎日楽しいな、って思うもん」

あかね「……れいかの言う通り、ほんま、やよいがうらやましいわ。うちかて今やりたいことやっとるけど、それで将来どうするか、っちゅーと、まだピンと来いへんもんなぁ……」

みゆき「……そういえば、始業式の日の進級パーティでもおんなじような話したね。みんな、憶えてるかな?」

あかね「ああ、うちの店でお好み焼きパーティした時やな。そん時も "将来の夢" についての話したなぁ」

なお「あの時もやよいちゃん以外は誰も具体的な話を出せなかったんだよね……」

れいか「ええ。そして、それは今でも変わらないまま……」

ポップ「……まだ、皆の衆は自分の未来を想像できていないのでござるな……」

みゆき「うん……」


みゆき「わたしは、何になりたいんだろう……。これから何をしていきたいんだろう……」

みゆき「あの時からずーっと考えてるけど、まだよくわからないままなんだ……」


なお「あたしも同じだよ……」

れいか「私もです……」


あかね「うちは、お好み焼き屋、っちゅーことになるんかなぁ……。せやけど、なってどうするか、ってまで言われると……」

ポップ「まだわからない、と」

あかね「……せやな」

れいか「……ですが、この事は私達それぞれが真剣に考えるべきだと思います」


れいか「私達はもう中学3年生になりました。来年には高校生になっています。何もしなくても、時間はどんどん過ぎていきます」

れいか「それならば、やりたいことをしっかりと自覚し、自分の考えで確かな一歩を踏み出していければ、より良い未来にたどり着けるのではないかと思います」

れいか「ですから、"夢の絵の具" のことが無くても、ちゃんと考えた方がよいのではないでしょうか」

れいか「私達のやりたいこと。私達の未来のこと。私達の、夢を」


あかね「さすが生徒会長。言うこと違うわ」

なお「あたし達の未来について考える、かぁ……」

なお「あ。そういえば、はるかさんって何か夢とかあるんですか?」

はるか「え!? わ、私?」

れいか「そうですね。はるかお姉さんはもう高校生ですし、私達よりずっと経験豊富です。きっと参考になると思うので、もしよければ教えてもらえませんでしょうか?」

はるか「あ……、わ、私は、その……」


あかね「何ゆーとんの? はるかさん、陸上でオリンピックの候補にも選ばれとるんやろ? せやったら決まっとるやん! 世界一の金メダルや! ですよね?」

はるか「え?」

やよい「あ、でも、れいかちゃんにお勉強教えるほど頭もいいんですよね? 英語もペラペラだし! 世界を又にかけるビジネスウーマンとかだったりして! カッコいい!」

はるか「あ……」

みゆき「オシャレも得意だし、キレイだから、モデルさんとかかも!」

はるか「…………」


はるか「ま、まぁ、そんなところかな。どれにしようかな、って、悩んでるんだよね……、はは……」

あかね「ゼータクですなぁ! うちもそんなこと言ってみたいですわ!」

ウルルン「……お前ら、人のことより、自分達のことはどうなんだウル」

あかね「……へ?」


みゆき・あかね・なお・れいか「…………はぁ……」ドヨーン…


あかね「……せっかくはしゃいどったのに、現実に戻さんといてや……」

ポップ「……うーむ、前途多難でござるなぁ……」

はるか「ま、まぁ、そのうちみんなにピッタリのステキな夢が見つかるよ、きっと」

みゆき「だといいですね……」

なお「……えぇーい! わからないものを考えてたってしょうがないよ! とりあえず、このやよいちゃんの "夢の絵の具" だけでも大事にすることを考えようっ!」

あかね「ほんま考えるのニガテやな、なお……」

なお「あかねに言われたくないよ!」


れいか「ですが、なおの言う通りですね。この "夢の絵の具" はデスペアランドの方々に狙われているのですよね?」

ポップ「滅んでしまったピクチャーランド国王・テンペラ様のお言葉によると、そのようでござる」

はるか「じゃあ、絶対に渡すわけにはいかないね。何に使われるかわかったもんじゃないし」

みゆき「それに……、この "夢の絵の具" は、やよいちゃんの大切な気持ちだもんね! 絶対に守らなきゃ!」

やよい「みゆきちゃん……!」

ポップ「あ、そうでござった。皆の衆、この "レインボーパレット" の管理について、拙者に一つ提案があるのでござるが、聞いてもらえるでござろうか」

みゆき「提案? なになに?」

ポップ「皆の衆がよければ、でござるが……」


ポップ「この "レインボーパレット" の管理は、キャンディ。おぬしに任せたいのでござる」

キャンディ「…………え?」


キャンディ「えぇぇぇぇーーーーっ!!?」




スマイルプリキュア レインボー!

第16話「守れキャンディ! みんなの夢!」



キャンディ「キャ、キャ、キャンディが、これを持つクル!?」

ポップ「うむ」

キャンディ「で、でも……、これ、大切なものクル? キャンディが持ってたら……、なくしちゃうかもしれないクル……」

ポップ「……だからでござるよ、キャンディ」

キャンディ「……クル?」

ポップ「お主の言う通り、このレインボーパレットはこの世界の平和を守る大切なもの。決してなくしてはいけないものでござる」

ポップ「だからこそ、キャンディ、お主に持っていてほしいのでござる」

キャンディ「……どうして、クル?」

ポップ「キャンディ。お主は将来、メルヘンランドを背負うロイヤルクイーンとなる使命があるでござる」

ポップ「それは、メルヘンランドと、そこに住む皆の者の平和を守る、という、とっても、とっても大切な使命でござる」

ポップ「しかし、そのためには、キャンディにはもっともっと立派になってもらわなければならないでござる」

ポップ「だから拙者は、キャンディに "レインボーパレット" を持ってもらうことで、大切なものを守るという責任感を持ってほしいのでござる」

キャンディ「せきにん……クル?」

ポップ「お主はこれまでもクイーンになるため色々な勉強や修行などをしてきているでござろう? その一つだと思って、ガンバるでござる」

キャンディ「ク、クル……。でも……」


キャンディ「みんなはそれでいいクル? キャンディが大切なものを持っても大丈夫クル?」

ポップ「そうでござるな、皆の衆にも聞いた方がいいでござろう。そういうわけでキャンディに "レインボーパレット" を預けたいのでござるが、どうでござろうか?」


あかね「やって。どやろ?」

れいか「そうですね……」

キャンディ「…………」

みゆき「わたしはいいよ! キャンディに任せる!」

キャンディ「クル……!? みゆき……!?」

みゆき「わたしも、キャンディには立派なクイーン様になってもらいたいもん! それに、キャンディなら大丈夫だよ。ね、みんな?」

キャンディ「いいクル……? もしなくしちゃったりしたら――」

あかね「そうならんよう気ぃつけんとあかん、っちゅう修行やろ? 大丈夫やって! キャンディならできるて!」

れいか「そうよ、キャンディ。あなたは自分が思うよりしっかりしていることは、私達みんなが知っているわ。自信を持って」

はるか「私は知り合ったばっかりだから何とも言えないけど……、みんなが信じるキャンディちゃんを信じるよ」

キャンディ「みゆき……、あかね、れいか、はるか……」


やよい「キャンディ、わたしの大切な気持ち、キャンディに預けるよ。ガンバってね!」

キャンディ「……やよい……」

なお「……キャンディ、みんなはああ言ってるし、もちろんあたしも賛成だけど……まだ不安?」

キャンディ「クル……」

なお「……そっか」


なお「……うん、いいこと思いついた。そしたら、今度キャンディにいいものプレゼントしてあげるよ!」

キャンディ「クル? プレゼントクル? なにクル??」

なお「ふふふー、その時までヒミツ。期待して待っててね、キャンディ!」

キャンディ「クルぅ……?」


ポップ「ではキャンディ。皆の衆もああ言ってくれていることだし、これはお主に預けるでござる。しっかり守るでござるよ! これもクイーンとしての修行、ガンバるでござる!」

キャンディ「……わかったクル……」

〜 深夜 星空家 みゆき自室 〜

みゆき「……うぅーん……。……えへへー……、空飛ぶの気持ちいいー……。ネバーランドまだかなー……むにゃむにゃ……」


キャンディ「…………」パカッ


キラキラキラ


キャンディ("夢の絵の具" 、とってもキレイクル……。みゆき達の世界を守ってくれるもので、……やよいの大切な気持ち……。とっても、大事なものクル……)

キャンディ(みんなは信じてくれたけど……、キャンディ、ちゃんと守れるクル? もうおかあさんみたいな力もないし……)


キャンディ(……不安クル……)

〜 翌日 ふしぎ図書館 〜

パァッ…


なお「あ、みんなもう集まってるね!」

みゆき「なおちゃん! なんか "みんなに集まってほしい" ってことだったけど、何かあったの?」

なお「ふふふ。実は、昨日の夜からこれを作ってたんだ! 見てよ!」ゴソゴソ


トサッ


やよい「机の上に置いたコレ……、もしかしてポシェット?」

なお「そ! あたしのお手製」

はるか「え……、これ自分で作ったの!? しかも一晩で!? すごいね、なおちゃん!」

あかね「ほんまやな! 普通に店で売っててもわからへんで!」

れいか「なおは昔っから手芸や裁縫が得意だものね」

なお「えへへっ、そこまでホメてもらえるとガンバったかいがあるよ!」

なお「キャンディ。このポシェット、あげるね。昨日言ったプレゼントだよ」

キャンディ「クル……? キャンディにくれるクル?」

なお「うん。そのために作ったんだもん」

なお「"レインボーパレット"、そのまま持ってたら危ないから、いつも持ち歩けるようなポシェットがあったりしたらいいんじゃないかな、って思ったんだ」

なお「あ、それでね、ポシェット作ってる時、"模様どうしようかな" って考えてたんだけど、その時にいいこと思いついたんだ!」

あかね「っちゅーか、模様のことまで考えてたん? 結構凝り性やなぁ」

なお「こういうの、考え始めると止まらなくってさー」


れいか「あら? でももう真ん中にワンポイントの模様があるみたいだけど。小さい羽のマーク」

なお「ああ、それはあたしがつけたの。キャンディが変身するデコルって羽の形してるでしょ? だから、そのマークはキャンディのしるしなんだ」

キャンディ「クル? これがキャンディクル?」

なお「そ。でね、ここからがあたしのアイデアなんだけど……」


なお「その周りに、みんなそれぞれ自分のマークをつけていくの!」

みゆき「自分のマーク?」

なお「うん。自分をイメージした手作りのマークを、このキャンディのマークの周りに縫い付けていくの」

なお「……キャンディ、昨日すごく不安そうだったでしょ? "レインボーパレットなくしちゃったらどうしよう" って」

なお「あたし、そんなキャンディを励ましたいと思ったんだ。キャンディが元気ないと、なんだか……悲しくってさ」

なお「だから、キャンディが不安にならないように、キャンディのマークの周りにあたし達のマークをつけていったらいいかな、って思ったんだ」

なお「そうしたらキャンディも、"いつも誰かが見守ってるから、不安にならなくても大丈夫" って思えるかなって」

キャンディ「……なお……!」


みゆき「……なおちゃん、すごくいいよ、それ!」

あかね「ほんまやな! めっちゃええアイデアやん!」

やよい「うんっ! わたしも大賛成!」

れいか「ぜひやりましょう!」

はるか「私もやるよ! キャンディちゃんが喜んでくれるなら」


キャンディ「みんな……!」

なお「よし! じゃあ、みんな、自分のマークを作ろう!」

なお「まずは自分をイメージしたマークを絵に描いて。できたらその形に合わせて、あたしが用意した布を切っていくの。そこまでできれば、縫い付けるのはあたしがやるから」


ペロー「なおさん、なおさん、ぼく達もマーク作っていいペロ? ぼくもクイーン様を応援したいペロ!」

なお「もちろん! みんなでやろう!」

オニニン「よぉーっし、おれ様もガンバるオニ!」

マジョリン「あたしもやるマジョ! 発明家としての腕が鳴るマジョ!」


みゆき「それじゃあ、みんなでキャンディを元気付けてあげようっ!」

キャンディ以外の全員「おぉーっ!」

〜 数10分後 〜

なお「みんな、大体できてきた? できたら縫い付けるからあたしに貸してくれるかな」

はるか「じゃあ、まずは私から。はい、これ。よろしくね、なおちゃん」

やよい「わ、すっごくキレイ……。王冠みたいですけど、これなんですか?」

はるか「"ウォータークラウン" っていう模様だよ。水面に滴が落ちた瞬間の模様なんだ」

はるか「私のプリキュアの力って水でしょ? だから水に関係したマークにしようかな、って思ったんだけど、ただの滴じゃ面白くないなー、って思って」

あかね「めっちゃ良くできてますやん……。はるかさん、ほんま何でもできますなぁ……」


れいか「では、次は私のものを」

みゆき「あ、これって、雪の結晶?」

れいか「ええ。その中でも "六花(りっか)" と呼ばれる形です。はるかお姉さんと同じく、キュアビューティの氷の力をイメージしました」

やよい「これもキレイ……。さすがれいかちゃん……」

オニニン「はい! じゃあ次はおれ様オニ!」

マジョリン「何言ってるマジョ! あたしの番マジョ!」

ペロー「ぼくが先ペロ!」

なお「はいはい、焦らないでいいから、順番にちょうだい」


なお「この鬼のシルエットのマークはオニニン? すごく上手だね!」

あかね「ほんまや……。意外やな」

オニニン「いっつもやよいの手伝いでスクリーントーン切ってるから、うまくなったんだオニ!」

みゆき「スクリーントーン? ってなに?」

やよい「漫画に貼る、模様のついたシールのことだよ。絵の形に切らないといけないから貼るのが難しいの」


なお「このフードの形のマークはマジョリンの顔かな? これもいいね!」

マジョリン「ふふん、このマジョリンさまの腕をもってすれば、朝飯前だマジョ!」


なお「ネコの形のマークはペローかな?」

ペロー「そうペロ!」

はるか「そういえば、前にもらった腕輪もキレイだったもんね。器用なんだね、ペローくん」

ペロー「えへへ、ペロ……」

ポップ「拙者のはこれでござる」

なお「刀の形のマークだね。ポップ、侍とか好きだもんね。ポップらしいよ」

ポップ「この刃で、いつもキャンディを守っていく、そういう気持ちを込めたでござるよ」

キャンディ「おにいちゃん……!」


なお「あたしのはこれ。風のマーク」

れいか「やっぱり上手ね、なお。キュアマーチをイメージしたのね」

なお「うん。みんな考えることはいっしょだね」

なお「さて、あとまだもらってないのは……」


みゆき・あかね・やよい・ウルルン「…………」


なお「そこの 4人かな。まだできてない?」


あかね「できてる、っちゃあできてるんやけども……。……ウルルン、あんた先に渡し」

ウルルン「い、いや……、おれは後でいいウル……。み、みゆきが先に渡すウル」

みゆき「えっ!? わ、わたしはやよいちゃんの方がいいと思うなぁー」

やよい「わ、わたし!? ……え、えっと、じゃあ……これ……」


なお「あ、これがやよいちゃんのマー……ク? …………ごめん、これなに?」

やよい「……カミナリ……」

れいか「これは……、大分よれてしまっていますね……。黄色いヘビかと思いました……」

やよい「絵を描くまではうまくいってたのにぃー! 布がうまく切れなかったのー!」

なお「なるほど……、残念だったね……」

なお「じゃあ次は……」


あかね「ほれ、ウルルン。早よ出しや。男やろ」

ウルルン「関係ねーウル! そ、それより、みゆきの方がよくできてる気がするウル。みゆきが出せばいいウル」

みゆき「そ、そんなことないよ!? やっぱりここはあかねちゃんから――」


なお「もうキリがないからみんないっぺんに出して」


みゆき・あかね・ウルルン「……はい」

なお「あ、これ、たこ焼き? ってことは大阪生まれのあかねかな? なんだ、良くできてるじゃない!」

あかね「……太陽や……」

なお「え?」

あかね「太陽サンサンのキュアサニーやから、太陽や、それ……。ゴメンな、見えなくて……」

なお「あ、そ、そう……。そういえば、見えなくもない、かな……」


なお「こっちのこれは……いちご?」

ウルルン「……おれの顔ウル」

なお「ああ、このヘタっぽいとこが髪の毛……。ゴメンね、わかんなかった……」

ウルルン「謝られると余計みじめになるからやめるウル……」

なお「じゃあ、最後のコレはみゆきちゃんの…………何?」

みゆき「光の……きらきらした感じを、表現してみました……」

なお「あ、そうなんだ……。ちょっとゆがんだ四角にしか見えなかったから布のあまった切れ端かと……」

みゆき「うぅー……、やっぱわたしってぶきっちょだぁ……。こんなのポシェットにつけられないよね……。作り直します……」


キャンディ「……キャンディはこれがいいクル」

みゆき「……キャンディ? いいの? 自分で言うのもなんだけど……、こんな……なんだかよくわかんないようなので」

キャンディ「いいクル。なお、みんなのマーク、つけてほしいクル」

なお「……うん、わかった。ちょっと待っててね!」

〜 10分後 〜

なお「――できた!」

全員「おおーっ!」


やよい「すごいすごい! みんなのマークつけると、ポシェットがすっごく華やかになったね!」

れいか「そうですね。まるで、キャンディを中心に私達が笑いあっているよう……。なお、本当に素敵なアイデアね」

なお「うん……。正直、あたしもこんないいものになるとは思ってなかったよ」


なお「はい、キャンディ、お待たせ。かけてみて」

キャンディ「わかったクル」


ヒョイ


キャンディ「どうクル?」

あかね「めっちゃええやん! その中に "レインボーパレット" 入れといたら、きっとなくさへんで!」

みゆき「うん、とっても似合ってるよ! よかったね、キャンディ!」


キャンディ「…………」


みゆき「……あれ? キャンディ? どうしたの? うつむいちゃって」

なお「……あんまり、気に入らなかったかな……」


キャンディ「……違うクル。……とっても、うれしいクル……!」

キャンディ「キャンディ、昨日おにいちゃんから "レインボーパレット" を渡されて、とっても不安だったクル……」

キャンディ「この中に入ってる "夢の絵の具" は、みんなを守ってくれる大切なもので、やよいの、大切な気持ちで……」

キャンディ「キャンディにはあんまりすごい力はないから……、そんな大切なものを守れるかどうか、不安だったクル……」


キャンディ「……でも、キャンディのこと、みんなが応援してくれたクル。ガンバって、って、はげましてくれたクル」

キャンディ「みんなの気持ちが……、キャンディはとってもうれしかったクル……! みんな、ありがとうクル!」

みゆき「キャンディ……」


キャンディ「……だから、キャンディ、やってみるクル。みんなの大切なもの、ガンバって守るクル」


キャンディ「だってキャンディは……、メルヘンランドのロイヤルクイーンなんだクル!」


ポップ「……よく言ったでござる、キャンディ。ガンバるでござるよ!」

キャンディ「クルぅ! 任せるクル!」

〜 ギャラリー・D 〜

シアンナ「いい、セルリア。この間、ビリーズから聞いた情報を整理するわ」

セルリア「……うん……」


扉「(ガンッ! ガンッ!)」


シアンナ「ビリーズが勝手に持ち出した "心の絵の具" を使って作り出した、新たな闇の絵の具 "怠けの緑"」

シアンナ「それを使ってプリキュアを攻撃したら、キュアピースには効かなかったばかりか、更なる新しい力をもって "怠けの緑" の力を吹き飛ばした」

シアンナ「……この、"新しい力" というのが気になるの。私は、大臣が送ってきた "心の絵の具" から強力な力を感じたわ。それに闇の絵の具を加えた力をも打ち破るとなると……」

セルリア「……今までと……違う……危険な……力……」

シアンナ「そうね。私達にとって脅威となり得る力をプリキュアが得た可能性があるわね」


扉「(ガンッ! ガンッ!)」

シアンナ「……一度、私がプリキュアに仕掛けてみるわ。その新しい力の正体を探っておきたいの」

シアンナ「"心の絵の具" も置いていくわね。今回はあくまで偵察に留めておきたいから、無闇に使わないでおくわ」

セルリア「……わかった……。……行って……らっしゃい……」

シアンナ「ええ。留守は頼んだわ」


扉「(ガンッ! ガンッ!)」


シアンナ「ああ、それと、さっきから扉を叩いてる馬鹿は絶対に中に入れないように」

シアンナ「せっかくの秘策を無断で使った上に負けて帰ってくるような奴は、これを機に徹底的に頭を冷やさせなさい」

セルリア「……言われなくても……入れない……。……私……アイツ……キライ……」

シアンナ「そう、安心したわ。それじゃあ、よろしくね」シュバッ

〜 ギャラリー・D 前〜

ガンッ! ガンッ!


ビリーズ「っんだよ、チクショー! いい加減入れてくれたっていいじゃねーかよ! "D" の力のせいでワープでも入れやしねえし……、何日野宿させる気だよ!?」

ビリーズ「あったかくなってきたと思ったら虫が湧きだしてよぉ……。ブンブンうるさくて寝らんねーんだよ……。ああ……、やわらかいベッドが恋しいぜ……」


ギャラリー・D「アガ」


フワッ バサッ


ビリーズ「うぷっ。……ん、なんだコレ。ビニールシート?」

ギャラリー・D「アガ」

ビリーズ「あん? "虫がいる中で野宿はツラいだろうから、せめてこれを使ってください" って?」

ギャラリー・D「アガ」

ビリーズ「……なんだお前……、いいヤツじゃねーか……! 中の女どもとはエラい違いだぜ……。オレの味方はお前だけだ……!」

ビリーズ「…………ん? いや、違うだろ。ホントにいいヤツだったら中に入れてくれよ! な? ちょっとだけでいいんだよ。バレないように、ちょーっとだけドア開けてくんね?」

ギャラリー・D「アガ」

ビリーズ「……"ご主人様の命令には逆らえないのでダメです。ゴメンナサイ" だぁ?」


ビリーズ「んだよ、ケチ! もういい、頼まねえ! ハラ立ったからもう一眠りしてくる!」

ビリーズ「あ、このビニールシートは返さねえぞ! これ、もうオレんだからな!」


スタスタスタ…


ギャラリー・D「……アガァ……」ハァ…

〜 七色ヶ丘市 星空家 帰路 〜

キャンディ「クル♪ クルぅ♪」

みゆき「うれしそうだね、キャンディ」

キャンディ「クルぅ! みんながポシェットくれて、とってもうれしいクル!」

みゆき「そっか。……よかった、キャンディが元気になってくれて」

キャンディ「……みんなもそうだけど……、みゆきの、おかげクル」

みゆき「え、わたし? わたしは大したことしてないよ? ほら、マークだって、わたしのだけヘンな形だし……。たはは……」

キャンディ「そんなことないクル」


キャンディ「前に、みゆきがおかあさんにプレゼントを作ったとき、"プレゼントは、いいものかどうかじゃなくて、気持ちが大事なんだ" って教えてくれたクル」

キャンディ「だからキャンディは、ヘンな形でも、みゆきの気持ちがいっぱいつまったこのマークがよかったクル」


キャンディ「……それに、みゆき、一番最初にキャンディに "レインボーパレット" を任せてくれたクル」

キャンディ「キャンディには、もうみゆきをプリキュアにするくらいしかできないのに……、それでもキャンディを信じてくれたのが、とってもうれしかったクル!」


みゆき「……キャンディ……」

みゆき「……ねえ、キャンディ。帰る前に、ちょっと寄り道していこうか?」

キャンディ「クル? どこにいくクル?」

みゆき「えへへ。それは着いてからのお楽しみ」

〜 七色ヶ丘市 道路 曲がり角 〜

みゆき「着いたよ。わたしが来たかったのは……ここ」

キャンディ「あ……! ここって……」


みゆき「うん。わたしとキャンディが……初めて会った場所だよ」

みゆき「あの時、わたしとキャンディが出会ったあの時から、わたし達、ずーっと一緒にガンバってきたよね」

みゆき「わたし達がピンチになる度に、キャンディはふしぎな力で助けてくれたじゃない」

みゆき「さっき、キャンディは "すごい力はない" って言ってたけど、そんなことないと思うよ」

キャンディ「クル……? でも、前にみんなを助けた時の力は、もうキャンディにはないクル……。あれはおかあさんがくれた力クル……」

みゆき「……ううん、違うよ」


みゆき「わたしが思うキャンディの "すごい力" っていうのは、キャンディの気持ちのことだよ」

キャンディ「気持ち……クル……?」


みゆき「前に助けてくれた時だって、キャンディは力があったから助けてくれたわけじゃない。力がなくったって、一生懸命わたし達のことを助けようとしてくれた」

みゆき「わたし達が助けられてきたキャンディの "すごい力" は、そのキャンディの優しい気持ちだと思うの」

みゆき「そんなキャンディだから、わたし達の大切なものを守れると思った。"レインボーパレット" をキャンディに守ってもらいたいって思ったんだ」

みゆき「ここから色んなことが始まって、これからもきっと色んなことが起きていく。わたし達は、未来に向かって進んでく」


みゆき「前に向かって進むためには、とっても強い気持ちが必要になると思うんだ。やよいちゃんみたいに」

みゆき「だからわたし達は、それぞれの強い気持ちを見つけていかなきゃ」


みゆき「ポップも言ってたよね。その "レインボーパレット" には、未来に向かおうとするわたし達の強い気持ちが入るんだ、って」

みゆき「キャンディには、わたし達のその大切な気持ちを、夢を、守ってもらいたいの」

みゆき「きっとできるよ! だってキャンディは、わたし達を大切に思ってくれる気持ちがあるんだもん!」

みゆき「だから、お願いね、キャンディ」ニコッ


キャンディ「みゆき……!」

キャンディ「……クル……!?」ピクン

みゆき「キャンディ、どうかした? ……あ、もしかして……!」

キャンディ「クル……、きっとデスペアランドクル……! みゆき、どうするクル? みんなもう帰っちゃったクル……!」

みゆき「……行こう! 放っておけないよ! わたし達だけでも止めなきゃ!」

キャンディ「わかったクル!」

〜 七色ヶ丘市 公園 〜

アキラメーナ(ロープ型)「アキラメーナァッ!」


ズワァァァァァッ…


通行人の男性「う……あぁ……」

通行人の女性「……ち、……力が……」


タッタッタッ


みゆき「やっぱりいたっ!」

シアンナ「……来たわね、プリキュア」


みゆき「これ以上、みんなをひどい目になんてあわせないんだから! 行くよ、キャンディっ!」

キャンディ「クルぅ!」

キャンディ「デコル・チェーンジ! クル!」

パチンッ!

レディ!

みゆき「プリキュア! スマイルチャージ!!」

ゴー!

ゴーゴー! レッツゴー、ハッピー!!


ハッピー「キラキラ輝く、未来の光! キュアハッピー!!」

シアンナ「……キュアハッピー、あなた一人なのかしら? 他のプリキュアは?」

ハッピー「今はいないけど……、後できっと来てくれるよ! それまではわたしだけでもガンバるんだから!」


シアンナ(……キュアピースの "新しい力" を見たかったのだけれど……。当てが外れたわね)

シアンナ(まあ、いいわ。それならそれで普段通りに仕事をするまで)

シアンナ「アキラメーナ、プリキュアを倒しなさい」

アキラメーナ(ロープ型)「アキラメーナァッ!」グアッ


ビタァン! ビタァン!


ハッピー「わっ、危ないっ!? ヘビみたいに跳ね回ってる!?」

キャンディ(デコル)「あんなの当たったらぺっちゃんこになっちゃうクルぅ!」


ビタァン! ビタァン!


ハッピー「わっ!?(バッ) ひゃっ!?(バッ)」

シアンナ「どうしたの、キュアハッピー。逃げるだけで精一杯なのかしら」

ハッピー「うううー……、このままじゃどうにもならないよぉ……! 何とかしなきゃ!」

ハッピー「プリキュア! ハッピー・シャワーァァッ!!」ドバァァァァッ!

アキラメーナ(ロープ型)「アキラメーナァッ!」グネグネ


スカッ


ハッピー「あぁ、やっぱりダメだぁー、避けられちゃったぁ! ただ撃つだけじゃ当たってくれないぃー! どうしよう……!」

キャンディ(デコル)「先に動きを止めないとダメクル!」

ハッピー「……って言っても……」


アキラメーナ(ロープ型)「アキラメーナァッ!」


ビタァン! ビタァン!


ハッピー「あんなすごい勢いで暴れまわってるの、止められるかな……!?」

アキラメーナ(ロープ型)「アキラメーナァッ!」


ビタァン! ビタァン!


ハッピー「うひゃっ!?(バッ) わぁっ!?(バッ) ……ちょ、ちょっとムリかも……! このままみんなが来るのを待つしかないかなぁ……」

シアンナ「…………」


シアンナ(……ちょこまかと。キュアハッピー一人なら取るに足らないようだけど、このまま時間を稼がれて、他のプリキュアが来てもやっかいだわ。今のうちにキュアハッピーだけでも仕留めておきたい……)


シアンナ「アキラメーナ!」

アキラメーナ(ロープ型)「アキラメーナァッ!」グアッ


ギュルルルルルッ


ハッピー「えっ!? 何!? アキラメーナが、わたしの周りをグルグル回って……!?」

シアンナ「体で締め付けなさい!」

アキラメーナ(ロープ型)「アキラメーナァッ!」


ギュシィィィッ


ハッピー「……う……ぁ……っ!?」

キャンディ(デコル)「ハッピーっ!」

ハッピー「う……うご……けない……っ!」

シアンナ「力の差がある割には手こずらせてくれたわね。けれど、遊びはもうお終い」

ハッピー「うっ……ぐぅぅぅぅ……っ!」ググググ…

シアンナ「無駄よ。あなた一人の力ではその拘束からは逃げられないわ。大人しく諦めなさい」

ハッピー「……! ……あきら……める……!?」


ハッピー(あきらめるなんて……、ダメだよ、そんなの……! だって、今キャンディはレインボーパレットを持ってるんだもん……)

ハッピー(わたしがやられちゃったら、レインボーパレットまで壊れちゃう……。……その中にある……やよいちゃんの……夢も……!)

ハッピー(でも、わたし一人じゃもう抜け出せない……! ……どうしよう……、どうすれば……!?)


ハッピー(! そうだ……!)

ハッピー「(ダラリ)」

シアンナ「力を抜いた……? とうとう諦めたのかしら」

ハッピー「……ううん、わたしはあきらめない……。大切なものを……、絶対に守ってみせる……!」


パァッ…!


みゆき「…………」

シアンナ「!? プリキュアではなくなった……!? なぜ……!?」

みゆき「……キャンディ、今のうちに逃げて。縛られてるのはわたしだから、キャンディだけなら逃げられるよ」

キャンディ(デコル)「みゆき!? 何言ってるクル!? いやクル! みゆきだけおいて行けないクル!」

みゆき「……お願い、キャンディ、聞いて」


みゆき「キャンディの持ってるレインボーパレットの中には、やよいちゃんの気持ちが入ってるの」

みゆき「やよいちゃんがとってもツラい思いをして……、悩んで……、やっと見つけた、未来に向かう大切な気持ち」

みゆき「それだけは……絶対になくしちゃいけないものなの……!」

みゆき「だからお願い、キャンディ……。やよいちゃんの夢を……守って……!」


キャンディ(デコル)「……ク、クル……!」

ポップ(回想)『キャンディ。立派なクイーンになるため、ガンバるでござる!』


やよい(回想)『キャンディ、わたしの大切な気持ち、キャンディに預けるよ。ガンバってね!』


キャンディ(デコル)「…………」


ポンッ


キャンディ「…………」

シアンナ「……あれは……キュアハッピーのパートナーの妖精? 飛び出した?」

みゆき「……ありがとう、キャンディ。よろしくね」ニコッ

キャンディ「……っ!」ダッ


トテトテトテトテ…

シアンナ「逃げていく……。あの子だけ逃がしてどうするつもりなの?」

みゆき「えへへ……、ないしょ」

シアンナ「……? わからないわ……。この状況でわざわざ力を手放して……、怖くはないの?」

みゆき「……コワいよ……。わたし……体……震えちゃってる……」


みゆき「でも……、コワくてもガンバらなきゃいけないから……! 大切なものを守らなきゃいけないから……!」

みゆき「だからわたしは……絶対にあきらめないの!」


シアンナ「…………」


シアンナ(……何を考えているのか全くわからない……。何かたくらんでいる……? 少し様子を見た方がいいのかしら……)

トテトテトテトテ


キャンディ「はっ、はっ、はっ、はっ……!」


キャンディ(キャンディは……守るクル……! 守らなきゃいけないクル……! キャンディは、ロイヤルクイーンだから……!)

キャンディ(レインボーパレットとやよいの夢……、ぜったい守らなきゃダメクル……!)

キャンディ(早く……早くみんなのところへ――)


ガッ


キャンディ「クル!?」


トテッ コロコロ

ポスッ


キャンディ「ク、クル……。転んじゃったクル……」

キャンディ「あ! ポ、ポシェット、放しちゃったクル……! 拾わなきゃクル……!」


トテトテ ガシッ


キャンディ「よかったクル……。こわれてないクル……」


キャンディ「…………」

キャンディ「…………ポシェットのこのマーク、はるかのクル……」

キャンディ「……こっちのはれいか……、こっちのはなお……」

キャンディ「ウルルンのマーク……、オニニンのマーク……、マジョリンのマーク……、ペローのマーク……」

キャンディ「やよいのマーク……、あかねのマーク……、おにいちゃんのマーク……」


キャンディ「まんなかにあるのがキャンディのマークで……、そのとなりにあるのが……」

キャンディ「…………」


みゆき(回想)『キャンディ』ニコッ

ポタッ ポタッ


キャンディ「…………ぐすっ……、ひっく……、み……みゆきぃ……」


キャンディ「みゆきぃぃぃぃぃぃっ!!」ダッ


トテトテトテトテ

シアンナ「……このままこうしていても仕方がないわね。仕留めさせてもらうわ。覚悟しなさい、キュアハッピー」

みゆき「…………っ!」グッ


キャンディ「ダメクルぅぅぅぅぅっ!!」

シアンナ「……!?」

キャンディ「はぁっ……はぁっ……はぁっ……!」


みゆき「キャンディ!? なんで戻ってきちゃったの!? "大切なものを守って" って言ったのに……!」

キャンディ「……だからクル……!」

みゆき「……えっ……?」

キャンディ「キャンディは……、キャンディは……!


キャンディ「キャンディは、 "大切なもの" を守るために戻ってきたクル!」

キャンディ「……さっき、みゆき、言ってくれたクル。キャンディはみんなを助けてくれた、って」


キャンディ「それは、キャンディがロイヤルクイーンだからでも……、みんながプリキュアだからでもないクル……!」


キャンディ「キャンディがみんなを助けたいのは……助けたいのは……!」


キャンディ「みんなが……、みゆきが……! キャンディの大切な友達だからクルぅ!!」


みゆき「!! ……キャンディ……!」

シアンナ「……それで、どうする気なのかしら。今からではもうプリキュアにはなれない。締め上げられているこの子を、あなた一人で助け出せるとでも?」

アキラメーナ(ロープ型)「アキラメーナァ……!」ギシィィィ…

みゆき「うっ……くぅ……!」

キャンディ「みゆきぃっ!」

シアンナ「あなたでは無理よ、諦めなさい。さあ、アキラメーナ、トドメを」

アキラメーナ(ロープ型)「アキラメーナァッ!」


キャンディ「……!」

キャンディ「……ダメクル……!」

キャンディ「みゆきをいじめるなんて……、みゆきを苦しめるなんて……!」


キャンディ「そんなのぜったい、ダメクルぅぅぅぅぅっ!!」


バァァァァァッ!


シアンナ「!? 妖精が、光りだした……!?」

みゆき「……キャン……ディ……!?」

ポンッ


みゆき「! キャンディの頭の上に、レインボーパレットが出た……!?」


パカッ

キラキラキラキラ


みゆき「……黄色い光が……、やよいちゃんの "夢の絵の具" が……、キャンディに流れ込んでいく……!」


シアンナ「!!?」


シアンナ(…………今、この子何て言ったの……?)

シアンナ("夢の絵の具" ……、"夢の絵の具" と言った……!!?)


キャンディ「うぅぅぅぅぅぅぅっ!!」


ブヷァァァァァァッ!


みゆき「キャンディの体の黄色い光が……もっと強く……!」


シアンナ(あの妖精に流れている光の源……。あのパレットの中に入っている絵の具……。まさか……、まさかあれが……!)


シアンナ(私達が探し求めていた………… "夢の絵の具" !!?)

キャンディ「クルぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅっ!!」


ドバァァァァァッ! バリバリバリバリッ!!


アキラメーナ(ロープ型)「アガァァァァァッ!!?」バリバリバリッ!!

シアンナ「!? 妖精が電撃を放った!? それも……なんて力……!」


アキラメーナ(ロープ型)「ア……ガァ……」フラッ フラッ


ズルッ


みゆき「あ……、ゆ、ゆるんだ……。助かったぁ……」

キャンディ「はぁ……はぁ……、みゆき、だいじょうぶ……クル……?」

みゆき「う、うん。キャンディの出したカミナリいっしょに浴びちゃったけど、わたしには何ともないみたい」


みゆき「……さっきはどなっちゃってゴメンね……。助けてくれてありがとう……、キャンディ!」

キャンディ「クルぅ……!」

シアンナ(何ていう力……。ビリーズが言っていたのは、この力のことだったのね……)

シアンナ(納得がいったわ。新しい闇の絵の具を吹き飛ばすほどの力……、その力の正体は他でもない、"夢の絵の具" だった……!!)


アキラメーナ(ロープ型)「アガァ……」フラフラ

シアンナ(私のアキラメーナが完全に活動不能になっている……。……でも……!)


キャンディ「ちょ、ちょっと……つかれちゃった……クル……」ポテッ

みゆき「キャ、キャンディ!? た、倒れちゃった……! だいじょうぶ!? しっかりして!」


シアンナ("夢の絵の具" を持っているのはあの妖精……。妖精が倒れてしまえば、プリキュアにもなれない……!)

シアンナ(今なら……、この手で奪い取れる!)ダッ


みゆき「!? こ、こっちに来る!?」

バッ


ノーブル「みゆきちゃんには近づけさせないっ! ノーブル・パンチっ!」ドカァッ!

シアンナ「うっ!? ……キュアノーブル……! いいところで邪魔を……っ!」

ビューティ「ノーブルだけではありませんっ!」


ババババッ


サニー「だいじょぶか、みゆき!? ゴメン、遅くなってもーた!」

みゆき「みんなぁっ!」


マーチ「あれ!? キャンディ倒れてない!? 大丈夫なの……!?」

みゆき「話は後でするよ! みんな、とりあえずあのアキラメーナをやっつけて!」

ピース「うんっ、わかった!」

サニー「プリキュア! サニー・ファイヤーァァッ!!」

ピース「プリキュア! (ピシャァン!) ひゃぁっ! ピース・サンダーァァッ!!」

マーチ「プリキュア! マーチ・シュートォォッ!!」

ビューティ「プリキュア! ビューティ・ブリザァァードッ!!」

ノーブル「プリキュア! ノーブル・ストリィィームッ!!」


ドドドドドォォォォォォォォンッ!!


アキラメーナ(ロープ型)「アガァァァァァ……」シュワァァァァ…


みゆき「やったぁっ!」


シアンナ「くっ……、アキラメーナがやられた……!」

シアンナ「……でも……!」ニヤッ

シアンナ「プリキュア、礼を言っておくわ。あなた達のおかげで、私達がずっと探していたものが見つかった……! 伝説の秘宝、"夢の絵の具"!」

6人「!!」


シアンナ「アキラメーナもやられてしまったし、多勢に無勢。今日のところはひとまず引き下がるわ」

シアンナ「でも、覚悟しておくことね。私達は必ずその "夢の絵の具" を奪ってみせる! それまで、大事に持っておきなさい!」シュバッ


ノーブル「……そっか、"夢の絵の具" のこと、知られちゃったんだね」

みゆき「……そう、みたいです……。わたし一人じゃアキラメーナに歯が立たなくって、それで色々あって……。ごめんなさい!」

サニー「謝ることあらへんって。みゆきとキャンディが無事だっただけでめっけもんや。なっ?」

みゆき「……うん、ありがとう、サニー」


ビューティ「しかし、キャンディは大丈夫なのですか……? 一体何が……」

みゆき「あ、うん。それはね――」

やよい「え!? じゃあ、キャンディがわたしの "夢の絵の具" の力を使ったってことなの?」

みゆき「うん。ピースみたいなカミナリが出てたし、多分そうなんだと思う」


ポップ「……これはもしかしたら、キャンディが持つロイヤルクイーンの力のおかげかもしれないでござるなぁ」

あかね「っちゅーと……、どういうこと?」

ポップ「先代のロイヤルクイーン様は、"心の絵の具" で描かれた絵に命を吹き込むことで、拙者達メルヘンランドの妖精を産み出すことができたのでござる」

れいか「そういえば以前、そのようなお話をされていましたね」

ポップ「"心の絵の具" の力を解放する力をロイヤルクイーン様が持っていたのだとすれば、次のロイヤルクイーンとなるキャンディも、"夢の絵の具" の力を解放することができるのかもしれないでござる」

はるか「なるほどね……」

なお「ところでマジョリン、キャンディの様子はどう? 大丈夫そう?」

マジョリン「……特に問題はなさそうマジョ。多分、疲れて寝てるだけマジョ」

キャンディ「……すー……すー……」

みゆき「……そっか。よかったぁ……」

はるか「アキラメーナをほとんどやっつけちゃうくらいの力を出したんだから、そりゃあ疲れちゃうか。本当にすごいんだね、キャンディちゃんって」


みゆき「……はるかさん。わたし、キャンディのすごいところって、それだけじゃないと思います」

はるか「えっ?」

みゆき「キャンディ、言ってました。"みんなを助けたいのは、自分がロイヤルクイーンだからでも、みんながプリキュアだからでもなく、大切な友達だからなんだ" って」

みゆき「そのキャンディの気持ちが、あのすごい力を出したんだと思います」


みゆき「だから、キャンディがホントにすごいのは、わたし達を大切に思ってくれる、その気持ちの強さなんじゃないでしょうか」


あかね「……せやな!」

キャンディ「う……うぅーん……」

みゆき「キャンディ? 起きたの?」


キャンディ「……キャンディ……、……みんなを……守るクル……。みんなの……未来を……守るクルぅ……」

キャンディ「……むにゃむにゃ……」


あかね「……寝言、みたいやな」

なお「夢の中でまで、あたし達のためにガンバってるのかな」

れいか「改めて、キャンディを頼もしく感じますね……」

みゆき「うん……!」

みゆき「キャンディ、これからもよろしくね。みんなの未来、いっしょに守っていこうね!」


キャンディ「……クルぅ……!」ニコッ





つづく

次回予告

みゆき「いよいよ、あかねちゃんの中学最後のバレーボール大会が始まりました! バレー部のみんなと一緒に、あかねちゃんも一生懸命練習してる!」

みゆき「でも、その大事な試合の日に限ってデスペアランドの人が出てきちゃった!」

みゆき「あかねちゃん、心配しないで! あかねちゃんの大事な試合、わたし達が絶対に守るから!」


みゆき「次回、『スマイルプリキュア レインボー!』 "熱血! あかねのバレーボール人生!!"」


みゆき「みんな笑顔でウルトラハッピー!」

今回はここまでです!
お読みいただいた方、ありがとうございました。

よかったら次回もまたよろしくお願いします!


第1話 〜 第11話 『スマイルプリキュア!』第2期を SS で作るスレ - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1360385907/)

第12話 >>6 から
第13話 >>117 から
第14話 >>223 から
第15話 >>332 から
第16話 >>433 から

先週までのレスへのお返事タイム >>430 から

『スマイルプリキュア レインボー!』

このあとすぐ!

※念のためのご注意

今回はバレーボールの試合についての描写がありますが、
ルールの細かい部分ははしょってあったりします。

なので、実際のルールと比べるとヘンなところがあったりするかもしれませんが、
そのあたりはご容赦ください。

〜 七色ヶ丘中学校 バレー部部室 〜

ザワザワザワ


バレー部 キャプテン・名倉 ゆか「みんな、集まったね。それじゃあ、今度開催されるバレーボールの地区予選についての話を始めるよ」

あかね「…………」


バレー部 キャプテン・ゆか「それじゃあまずは、今大会のスターティングメンバーを発表するから、よく聞いてね」

バレー部 キャプテン・ゆか「3年、まお!」

3年バレー部員 吉田 まお「はい!」


バレー部 キャプテン・ゆか「3年、きょうこ!」

3年バレー部員 長岡 きょうこ「はい!」


バレー部 キャプテン・ゆか「3年、あかね!」

あかね「よっしゃ!」


バレー部 キャプテン・ゆか「2年、なみ!」

2年バレー部員 宮下 なみ「……! わ、わたし、ですか……!?」

バレー部 キャプテン・ゆか「返事は!?」

2年バレー部員 なみ「は、はいっ!」

バレー部 キャプテン・ゆか「……なみは練習、すごくガンバってたからね。他の 3年のみんなには悪いけど、なみをレギュラーにさせてもらったんだ。期待してるよ!」

2年バレー部員 なみ「はいっ!」

2年バレー部員 高木 ちひろ「やったね、なみ! 念願だったレギュラーになれたね!」

2年バレー部員 なみ「うんっ!」

2年バレー部員 ちひろ「あたし達 2年や 1年のみんなの分もガンバってね!」


バレー部 キャプテン・ゆか「……何言ってるの? あなたもレギュラーだよ、ちひろ」

2年バレー部員 ちひろ「えっ……!? あたしも、ですか……!?」

バレー部 キャプテン・ゆか「なみとのコンビプレーがバツグンだったからね。大会でも息のあったプレーを見せてね!」

2年バレー部員 ちひろ「……はいっ!」


バレー部 キャプテン・ゆか「以上、5人にわたしを加えた 6人でスターティングメンバーになるよ。これが、今わたしが考えられる七中バレー部最高のメンバー」

バレー部 キャプテン・ゆか「レギュラーになれなかった子も、レギュラーをしっかりサポートしてね! 全員が一丸にならないと大会では勝てない!」

バレー部 キャプテン・ゆか「地区予選トーナメントを勝って、勝って、勝ち進んで、目指すは……全国大会出場! それを全員で成し遂げるの! 一人残らず、わたし達全員で!」


バレー部 キャプテン・ゆか「気合入れていくよ! 七中バレー部、ファイッ、オーっ!!」

バレー部員達「ファイッ、オーっ!!」

あかね(……いよいよや。来る日も来る日も練習してきた、その成果が試される時が来たんや)


あかね(エースアタッカーになかなかなれんで、一人で練習した日もたくさんあった)

あかね(この前から始めたお好み焼きの修行と練習を両方やって、……正直、ツラい日もあった)

あかね(……それも全部この時のためや)


あかね(うちら 3年にとっては、これが最後の大会になる……。これが終わったら、引退せんとあかん……)

あかね(悔いを残したらダメや……、全力でやるんや……!)




スマイルプリキュア レインボー!

第17話「熱血! あかねのバレーボール人生!!」



〜 ふしぎ図書館 〜

みゆき「あかねちゃん、もうそろそろバレーボールの大会だよね? 調子はどう?」

あかね「えっ? そやなぁ……」


あかね「……バッチリやで! 大会に向けて、バレー部みんなの気持ちも息も、ピッタリ合ってきとる。今の七中バレー部は最高のチームや!」

あかね「目指すは地区予選優勝! ほんでもって、全国大会に行くんや! うちはやったんでーっ!」メラメラ

やよい「あかねちゃんが燃えてる……!」


はるか「あかねちゃん、バレー部のエースアタッカーなんだっけ」

れいか「そうですね。2年生の頃からずっと頑張ってきて、やっとその座を掴み取ったんです」

はるか「そっかぁ……、あかねちゃん、努力家なんだね。バレーはアタッカーが決めないといけないから大変そうだけど、この気合なら大丈夫そうだね!」

あかね「あ……、もちろんです! 本番も、バシーッと決めたりまっせ!」


なお「あたし達も当日には応援しに行くから! カッコイイところ見せてね!」

みゆき「うん! ガンバってね、あかねちゃん!」

あかね「う、うん! 応援、よろしく頼むで!」

〜 解散後 七色ヶ丘市 河川敷 〜

キャンディ「あかね、すっごくやる気いっぱいだったクル! あれならきっとうまくいくクル!」

みゆき「うん、そうだね、キャンディ! キャンディも、試合の日は一緒にたっくさん応援しようね!」

キャンディ「クルぅ!」


キャンディ「……クル? みゆき、あれ、あかねじゃないクル?」

みゆき「え? ……あ、ホントだ。もう帰っちゃったと思ったのに……、何してるんだろ?」

キャンディ「みゆき、行ってみるクル!」

みゆき「うん!」

〜 七色ヶ丘市 河川敷 高架下 〜

バシッ! バシッ! バシッ!


あかね「はぁっ、はぁっ、はぁっ……!」

ウルルン「おい、あかね。ちょっとやりすぎじゃねえかウル? さっきみんなと別れてから、ずっとここで壁に向かって、アタックの練習しっぱなしウル……!」

あかね「……ふっ!」バシッ!


バンッ!


ウルルン「どうしたウル、あかね!? さっきはあんなに自信満々だったじゃねえかウル!? なのに、なんで……」

あかね「……はぁっ……はぁっ……。……消えへんのや」

ウルルン「? 何がウル?」

あかね「……不安や。うちの中から、不安が消えてくれんのや……」

あかね「今度のバレーの大会、うちにとっては中学最後の試合になる。もちろん、そのために今まで一生懸命やってきた。自信だってある」

あかね「せやけど……、せやけどな……、なんぼ練習したって、なんも結果残せんと終わる可能性だってあるやろ……」

あかね「うちはそれが不安でしゃあない……。自分の 3年間がムダになってまうかもしれへんことが、コワくてしゃあないんや……!」

あかね「せやから、さっきみたいにちょっとでも元気な風に振舞ったり、こうして体を……動かしとかんと!」バシッ!


バンッ!


あかね「……不安に、飲み込まれそうになってまうんや……」

ウルルン「……さっきのはカラ元気だった、ってことかウル……」


あかね「……なあ、ウルルン。うち、どないしたらええんやろ。この不安、どないしたらええんやろか……」

ウルルン「……それは……」

ピクン


ウルルン「ウル……?」

あかね「どないしたん、ウルルン? 耳ぴんっぴんやで?」

ウルルン「……あかね。不安をどうにかするための答え、向こうからやってきたかもしれねえウル」

あかね「……え? それってどういう――」


みゆき「あかねちゃーーーんっ!」ザザザザザッ

あかね「! みゆき……!? 土手駆け下りてきよる……」


あかね「……ん? この光景、どっかで見たような……」


グキッ


みゆき「え゙っ!?」


ゴロゴロゴロゴロ ドテッ


みゆき「あいったたたた……。つまずいちゃった……」

あかね「みゆき! 大丈夫かいな!?」タタタッ

みゆき「あ、う、うん。なんとかー……。ありがと、あかねちゃん」

あかね「せやけど、なんでこんなところに?」

みゆき「たまたま通りがかったらあかねちゃんがいたから、気になってきてみたんだけど……。あかねちゃんこそ、ここで何してたの?」

あかね「え……。あ、それは……やな……」

みゆき「……言いづらいこと?」

あかね「ん……、まあ、な」

みゆき「……そう。それなら、ムリに言わなくってもいいよ」

あかね「…………」


ウルルン(……まったく、しょうがねえヤツウル)

ウルルン「……おい、あかね。さっきの話、みゆきにしてみたらどうウル」

あかね「……!? ウルルン、余計なこと言わんでええねん……!」

ウルルン「余計、か。……おれはそうは思わねえウル」


ウルルン「さっき、どうしたらいいかっておれに聞いたウル? あれは、お前が自分一人じゃどうにもならないってわかってるからじゃないのかウル?」

あかね「……!」

ウルルン「おれにはお前達人間のことがよくわからねえから、お前の助けになってやれそうもねえウル。けど、みゆきは違うウル? お前と、ずーっと一緒にやってきたみゆきなら」

ウルルン「きっとみゆきならちゃんと話を聞いてくれるウル。……バッドエンド王国の時のおれ達の話を、真っ正面から聞いてくれた時みたいに」

ウルルン「だから、"心配かけたくない" とか、"みっともないとこ見せたくない" とか、そんなこと思ってねえで、どーんと甘えたらいいウル」

ウルルン「お前達は、それができる関係なんじゃねえのかウル?」

あかね「……ウルルン……」

みゆき「……えーっと……、何の話??」

あかね「……みゆき。ちょっと聞いてもらいたいことあんねん。時間、もろてもええか?」

みゆき「もちろんだよ! 何でも話して! わたしでよければいくらでも付き合うよっ!」

あかね「……おおきに」

あかね「――っちゅーわけやねん。みんなの前で "バッチリ" 言うといて、みっともない話やけどな……」

あかね「せやけど……、ああでも言っとらんと、不安になってもーて……。はは、我ながら情けないわ」

みゆき「…………」


みゆき「……ねえ、あかねちゃん。今やってた練習、わたしも手伝うよ」

あかね「練習、って……、アタックの?」

みゆき「うん」

みゆき「ごめん、あかねちゃん。期待してもらってなんなんだけど、わたしには、あかねちゃんを言葉で励ますことができそうにないんだ……」

みゆき「だって、わたしには、あかねちゃんみたいにバレーに一生懸命になったことがないから……。あかねちゃんの気持ち、わかってあげられない……」

みゆき「だからせめて、練習につきあって、あかねちゃんの不安が少しでも軽くしてあげたいの! それくらいしか、できないから……」

あかね「……みゆき」


あかね「…………」

あかね「……それじゃ、お願いしよかな! テキトーでええから、そのボール、上に向かってポーンって投げてくれへん? トス代わりや」

みゆき「……! うん、わかった! まっかせて! それじゃあ、行くよ! はいっ!」ポーン

あかね「よっしゃっ!」バシィッ!


バンッ!


みゆき「わ……! すっごい音したよ……! 近くで見るとこんなにスゴいんだぁ……!」

あかね「そりゃそやで! 何てったって、七中バレー部、エースアタッカーやからな! ほれっ、ぼーっとしとらんと、ドンドン頼むで!」

みゆき「あ、う、うんっ! それっ!」ポーン

あかね「ほいっ!」バシィッ!

みゆき「えいっ!」ポーン

あかね「そりゃっ!」バシィッ!

あかね(……そや。どっかでおんなじようなことした覚えがあると思たら、みゆきが転校してきたばっかの頃、うちがエースアタッカー目指しとった頃も、こうして特訓に付き合うてもろたな)


あかね(ふしぎや。こうしとるだけで、さっきまでの不安がウソみたいになくなってもーた)

あかね(不安をやっつけるなんて、何も難しいことやなかったんや。誰かがそばにいてくれる。それだけでよかったんや……!)


みゆき「ナイスアタック! あかねちゃん!」

あかね「へへっ、まだや! ドンドン行くでぇ!」

キャンディ「……ウルルン、ありがとうクル。ウルルンのおかげで、あかねが元気になったクル!」

ウルルン「……別に、お礼言われるようなことはしちゃいねえウル」

ウルルン「ただ、あかねが……、あいつらが笑ってねえと、なんかつまんねーな、って、そう思っただけウル」

キャンディ「そうクル! やっぱり、みんなスマイルが一番クル!」

〜 数十分後 〜

みゆき「はぁっ、はぁっ、つ、つかれたー……」

あかね「はぁっ、はぁっ、な、なんでボール放り投げてるだけで疲れとんねん……。もちょっと運動した方がええんちゃう?」

みゆき「あ、あははは、そうかもね」

あかね「まったく……、伝説の戦士やのに、だらしないなぁ」

みゆき「め、面目ない……」


みゆき・あかね「あはははははっ!」

あかね「……みゆき」

みゆき「ん? なに、あかねちゃん?」

あかね「おおきにな。みゆきが来てくれて、ほんまよかったわ。不安、どっか行ってもーた」

みゆき「! ほんとに!?」

あかね「うん! 今度はカラ元気やあらへんで! これなら、試合でもええ結果が出せそうや!」

みゆき「……よかった……!」

あかね「それに……これもあるしな」ゴソゴソ

みゆき「あ、それって……、前にわたし達が作ったあかねちゃんのマスコット……! まだ持っててくれたんだ……!」

あかね「当たり前やろ。うちの宝物やで」

あかね「……そや。このマスコット自体もそうやけど……、一針一針に込められたみんなの気持ち、それ自体が、うちの最高の宝物なんや」

あかね「さっきまでのうちは不安で頭いっぱいになっとって……、こんなに大切なこと忘れてもーてた。うちには、いつだってみんなの応援がついてるんや、ってこと」

あかね「さっきみゆきが来てくれて、不安やっつけてもろて、ようやくそのこと思い出せたんや」

あかね「ほんま……、おおきにな、みゆき! みんなの気持ち、みゆきの気持ち、ムダにせえへんで! 見ててや!」


みゆき「……あかねちゃん……。うんっ!」

〜 地区予選 試合当日 七色ヶ丘市 中学女子バレーボール大会 試合会場 七中控え室 〜

バレー部 キャプテン・ゆか「もうそろそろ第一試合が始まるよ。最初の相手は "赤川南"。ここ数年目立った成績もないから、それほどの強敵じゃないよ。普段の力を発揮できれば十分勝てるはず」

バレー部 キャプテン・ゆか「でも、油断はしないで! どんな相手も強豪だと思って、全力で望んでいこう!」

バレー部員達「はいっ!」


バレー部 キャプテン・ゆか「……みんないい顔してるね。これなら大丈夫そう」

あかね「せやな」

バレー部 キャプテン・ゆか「……あかね。大丈夫? 緊張してない? ……わたし達、これが最後の大会だから……」

あかね「…………」


バシッ


バレー部 キャプテン・ゆか「けほっ!? あ、あかね、何すんの!? 急に背中叩いて!」

あかね「緊張しとるの、ゆかやんか! あかんで? キャプテンがそんなムズカしーい顔しとったら!」

バレー部 キャプテン・ゆか「……! わ、わたし、そんな顔してた?」

あかね「しとったしとった。ガッチガチになっとったで?」

バレー部 キャプテン・ゆか「気付かなかった……。知らないうちに気負っちゃってたのかな」


バレー部 キャプテン・ゆか「……でも、おかげで少しラクになったかも。ありがと、あかね」

あかね「ええてええて! うちらチームメイトやもんな!」


あかね「……なーんてな。うちも偉そうなこと言えへんのやけどな。ついこないだまで、ゆかみたいに不安でしゃーない思いしとったわ」

あかね「せやけど、そん時友達が励ましてくれてな。そしたら不安がいっぺんで飛んでったんや! それと同じことしただけやで」

あかね「……ガンバろ、ゆか。ガンバって、できるだけ勝って行くんや。……最後やからこそ、少しでも長くいっしょにバレーやってたいやんか」

バレー部 キャプテン・ゆか「! ……そうだね」


あかね「さ、行くで、キャプテン! いっちょ、パーッとハデにやったろうや!」

バレー部 キャプテン・ゆか「うん!」

〜 七色ヶ丘市 中学女子バレーボール大会 試合会場 観客席 〜

はるか「もうそろそろ七中の出番だね。なんだかこっちが緊張してきちゃうな」

なお「そうですね。あたしもサッカーの試合前は緊張しちゃうから、気持ちわかります」


なお「……でも、そっちの二人は緊張しすぎだと思うな」

みゆき「な、何、なおちゃん!? な、何か言った!?」

やよい「だ、だ、だって……! あか、あかねちゃん、うまくできるかどうか、し、心配で……!」

れいか「大丈夫ですよ。あかねさん達ならきっと勝ち抜いていけるはずです」

みゆき「そ、そ、そうだよね! だ、大丈夫だよね! 絶対!」

はるか「……なんだか二人の方が大丈夫じゃなさそうな気がするよ」


キャンディ「あ、出てきたクル! あかねクルぅ!」

みゆき「ほ、ホントだ!」

〜 七色ヶ丘市 中学女子バレーボール大会 試合会場 コート 〜

みゆき「あっ、あっ、あかねちゃーん! が、がんば、がんばってーっ!」


あかね(なんでみゆきがガチガチなん? カミカミやんか……。しゃーないなぁ……)


あかね(……せやけど、気合入ったわ。やったんで!)

〜 七色ヶ丘市 中学女子バレーボール大会 試合会場 観客席 〜

れいか「そういえば、はるかお姉さんはバレーの経験もあるんでしたでしょうか」

はるか「ああ、うん。前にちょっと、助っ人でやってたことがあったからね」

やよい「あ、それじゃあ、わからないことがあったら教えてもらえますか? バレーのルールって難しくって……」

はるか「大丈夫、任せて! バッチリ解説するよ」

〜 七色ヶ丘市 中学女子バレーボール大会 試合会場 コート 〜

2年バレー部員 なみ「えいっ!」バシッ

バレー部 キャプテン・ゆか「ナイスレシーブ、なみ! あかね、トス行くよ! それっ!」ポスッ

あかね「ええトスや、ゆか! ほっ!」バッ


赤川南 選手A「アタック来るよ! ブロック!」

赤川南 選手B「でも……、ジャンプが高い!」


あかね「止められるもんなら止めてみぃ! 日野ちゃん……スペシャルアタックやぁっ!」バシィッ!


バンッ!


あかね「よっしゃぁっ! アタックバッチリ決まったで!」

赤川南 選手A「……! ブロックが、触れもしなかった……!」

〜 七色ヶ丘市 中学女子バレーボール大会 試合会場 観客席 〜

はるか「あかねちゃん達の試合初めて見るけど、いいチームだね」

はるか「レシーバーのあの子がしっかり受け止めて、キャプテンの子がトスを上げ、あかねちゃんがアタックを決める。守って攻める流れがきちんとできてるよ。これなら、当分心配いらないんじゃないかな」

みゆき「そっかぁ……! なんだか、あかねちゃんがホメられるとうれしいね!」

やよい「うんっ!」

なお「あたし達も負けずに、しっかり応援しよう!」

ピピーッ!


審判「試合終了! 2セット先取で七色ヶ丘中学校の勝ち!」

あかね「やったでーっ! 一回戦突破や!」


やよい「あ、あかねちゃん達勝った! ……んだよね?」

みゆき「う、うーん……。バレーってどうなると勝ちになるんだっけ……?」

なお「みゆきちゃん……、体育の授業でバレーやったでしょ……。ルール、憶えてないの?」

みゆき「あ、えへへ……、ちょっと難しくて……。……反省します」

はるか「気にしないで。大丈夫、教えてあげるから」

はるか「相手のコートにボールを入れると自分のチームに 1点入って、逆に相手のコートにボールを入れられなければ相手の点になるの」

はるか「そうやって試合を続けて、25点先に取ると 1セット獲得できるの。それで、2セット先に取った方の勝ち」

はるか「今の試合は 25 - 5・ 25 - 3 で 2回とも七中が先に 25点取ったから、2セット先取で七中の勝ちってわけ」

はるか「点差見てもらえばわかると思うけど、圧勝だよ。ほんとにすごいね、あかねちゃん達のチーム!」


やよい「あかねちゃん達すごいんだぁ……! っていうことは……!」

みゆき「うんうん! このまま行けば……!」

みゆき・やよい「優勝だぁーーっ! あはははっ!」


なお「二人とも、喜ぶの早いって。まだ一回戦だよ?」

れいか「心配しすぎで緊張するよりはいいんじゃないかしら」

なお「……それもそうだね!」

みゆき(ナレーション)「その後、あかねちゃん達のチームはどんどん勝ち進んでいきました!」

みゆき(ナレーション)「はるかさんの言ったとおり、あかねちゃん達のチームワークはバツグンで、今日やった3試合全部大勝利! 決勝トーナメントに出場できることになりました!」


なお「すごいよ、あかね! 絶好調じゃない!」

あかね「にしし、まーなー。みんないいカンジに動けてるし、このまま突っ走るで!」

やよい「うんうん! あかねちゃん達ならきっとこの大会で優勝できるよ!」

あかね「ちっちっち、甘いで、やよい。うちらの目標は地区予選優勝なんてちっさいもんやあらへん」

れいか「と、言いますと?」

あかね「うちらの目標、それは……」


あかね「全国大会優勝やーっ!」

全員「おぉーっ!」

はるか「大きく出たね、あかねちゃん!」

あかね「強がりとか、ムチャ言っとるわけやないですよ。今日、試合やってわかったんです。うちらやったら夢やない、って!」

はるか「うん、確かにスゴかった! それは私が保証するよ。ガンバって、あかねちゃん!」

あかね「おおきに! 精一杯やってみますわ!」


ワイワイ


みゆき(……よかった。あかねちゃん、もうすっかり不安じゃなくなっちゃったみたい。わたし達が元気付けてあげられたんだったら、うれしいな)

みゆき(ガンバれ、あかねちゃん!)

〜 その夜 お好み焼き屋 "あかね" 〜

ガラッ


あかね「ただいまー!」

男性客A「おお、あかねちゃん、おかえり! 聞いたよ、バレーボール、決勝トーナメントまで進んだんだって?」

あかね「え!? 何で知っとるんですか!?」

男性客B「おかみさんから聞いたんだよ。ねえ、おかみさん?」

正子(あかね母)「はい。あかねにはナイショにしとったんやけど、母ちゃん試合見に行っとったんやで! お店は父ちゃんに任せてな。あんたの活躍、バッチリ見とったで!」

あかね「か、母ちゃん来とったん!? な、なんや恥ずかしなぁ……」

正子「なんも恥ずかしことあらへんやろ。娘の晴れ舞台やで? 親が応援したるのは当たり前やないの」

あかね「母ちゃん……」

男性客A「いやしかし、優勝がかかってるとなると、私らも応援に行かなきゃならんなぁ!」

町内会長「そうですなぁ。どうでしょう、みなさん! ここは一つ、"あかね" 常連客であかねちゃん応援団の結成といきませんか!?」

男性客A「賛成!」

男性客B「異議なし!」

町内会長「そういうわけだから、当日は私達みんなで応援に行くよ! ガンバってね、あかねちゃん!」

あかね「皆さん……、おおきに!」

大悟(あかね父)「いやー、何だか悪いですなぁ、ウチのあかねのためにそこまでしてもろて」

男性客B「いえいえ、そんな! 僕達みんな、あかねちゃんのお好み焼きのファンですからね。いつもおいしいお好み焼き食べさせてもらってる、ほんのお礼ですよ」

大悟「……そうでっか。ほんま、ありがとうございます」


あかね「…………」


スタスタスタ


あかね「父ちゃん、聞いてほしいことあんねんけど」

大悟「な、なんや、改まって。今仕事中やで? 後でじゃあかんのかいな」

あかね「うん。今やからこそ、聞いてほしいんや」

あかね「父ちゃんこの間、"この店継ぐならバレーボール辞めや" ゆーたやろ? "お好み焼き屋は何かのついででできるほど甘かない" って。あの時、うちめっちゃ悩んだんや。お好み焼き取るか、バレー取るか」


町内会長「……そんなことあったんですか?」

正子「ええ、まあ……、家庭の事情ってやつで色々ありましてねえ……」


あかね「せやけど、うちはどっちかだけ選ぶなんてでけへんかった。うちにとって、両方大事なもんやったから。せやから、父ちゃんにも言うた通り、両方ガンバってやらせてもらうことにしたんや」

あかね「父ちゃんからしたらどうかわからんけども、うちは両方ともめいっぱいガンバってきたつもりや」

あかね「せやから、その、な。あの……」

大悟「…………」


あかね「……父ちゃん、うちのバレー見てくれへんか。お好み焼きとおんなじくらいうちがガンバってきたこと、"両方ともガンバる" っていううちの言葉が、ウソやなかったってこと、父ちゃんに見てほしいんや」

正子「あかね……」

あかね「……まあ、父ちゃんうちがバレーやるの反対しとったから、あんまり見たないかもしれへんけど、よかったら――」

大悟「……誰も行かへんとは言うてへんやろ」

あかね「……え?」

大悟「……あんな、お前、勘違いしとるようやから言うとくわ。わいは別にお前がバレーやるの反対しとったわけやないんやで?」

あかね「え、そうなん? せやけど、あん時は "辞めろ" って……」

大悟「あれはな、お前がどんだけお好み焼きに真剣になれるか知りとーて、わざと言うたんや」


大悟「お前かてまだちっさいちっさい子どもや。これから先、バレー以外にも色々やりたいこと出てくるやろ」

大悟「そん時、あっちにフラフラ、こっちにフラフラして、お好み焼きをええかげんにやられたらたまったもんやないからな」

大悟「何かやりたいことができた時、お好み焼きに対する気持ちがどう変わるか、それが見とうて試させてもらったんや。今回はそれがたまたまバレーやったってだけの話や」

あかね「……そやったんか……」

正子「あかね、あん時あかねが出した "両方ガンバる" って答え、あれで大正解だったんよ」

正子「あの話の後な、父ちゃん、"あいつ、いい根性見せるようになった" っちゅーてずいぶん喜んどったよ」

大悟「か、母さん! お客さんの前でそんなこと言うなや!」

正子「ええやないの。ほんまのことなんやから」


あかね「…………」

大悟「……まあ、そういうことやから、当日は店閉めて応援に行ったるわ。みんな言うとる通り、その……娘の、晴れ舞台、やからな」

あかね「父ちゃん……!」


ポロッ


大悟「!? あ、あかね? な、なんやお前、何泣いとんねん……!」

あかね「……嬉しゅーて……」


あかね「……うち、父ちゃんにバレー反対されてるんやと思とった……。"お好み焼きもバレーもガンバりたい" ゆーた後も、ちょっとだけ……父ちゃんに悪いことしとる、って気持ち、あったんや……」

あかね「せやけど、違た……。別に反対しとらんかったどころか、応援してくれるって言うてくれた……! それが、嬉しいんや……!」

大悟「……あかね……」

大悟「……まったく、しゃーないやつやで。泣くなら店の外でやりや。お好み焼きしょっぱくなってまうやろ」

あかね「なっ、なんやの、もう! ぐすっ、人が感動しとる時にそんなことゆーて!」

大悟「どんな時も笑い取りにいくんが大阪人やで! ……せやから、お前も笑いや。ほれ、周り見てみい。みんな笑っとんで」


正子「(ニコッ)」

男性客A「(ニコッ)」

男性客B「(ニコッ)」

町内会長「(ニコッ)」


あかね「……みんな……」

大悟「胸張りや。お前のお好み焼きが作った笑顔やで」


大悟「バレーで勝ったら、みんなもっと笑顔になるはずや。大阪人ならガンバってドッカンドッカンいわしたれ! やったれや、あかね!」

あかね「父ちゃん……、みんな……! ……うんっ! おおきに!」ニコッ

〜 日野家 あかね自室 〜

ポンッ


ウルルン「よっと。……ふう、やっぱデコルモードはキュウクツウル」

あかね「ゴメンゴメン、立ち話ずーっとしとったから、カバンに入れっぱなしやったな」

ウルルン「……でも、おかげでいいところが見られたウル」

ウルルン「バッドエンド王国だった時は全然わかんなかったけどよ、……いいもんだなウル。はげましたり、はげまされたり、それで笑ったり……。そういうのってよ」

あかね「……せやな。うちも今、ほんまにそう思うわ」


ウルルン「あかね、負けんじゃねえウル。プリキュアのみんなや店の連中、みんなの気持ちに応えるウル」

あかね「当たり前や! とことんやったるで! ほんで、みんなにそんなうちを見て、元気になってもらうんや!」

〜 翌日 七色ヶ丘市 公園前 〜

ガヤガヤガヤ


バレー部 キャプテン・ゆか「ほら、みんな! 静かにして! 大丈夫、みんないる!?」

あかね「こっちはだいじょぶやー!」

2年バレー部員 なみ「こっちも大丈夫です!」

バレー部 キャプテン・ゆか「よーし! それじゃあ出発するよ! みんな、バスに乗って!」

バレー部員達「はいっ!」

〜 翌日 七色ヶ丘市 公園内 〜

ノソノソ


ビリーズ「……ったく、何の騒ぎだよ、うっせーなぁ……。こちとら虫と暑さで寝不足だっつーのによ……!」

ビリーズ「っつーか、今日で野宿何日目だ……? あいつら全然家に入れてくれやがらねえし……、もういい加減許してもいいじゃねえかよ……! あーっ、クソっ! 思い出したらハラ立ってきたぜ!」

ビリーズ「…………ん、あれは……!」


あかね「ほれほれ、早よ乗りや!」

2年バレー部員 なみ「押さないでくださいよぉ、日野センパイ!」


ビリーズ「キュアサニーじゃねえか! ……ちょうどいいぜ、アイツでウサ晴らしさせてもらうとすっか!」


ビリーズ「闇の絵の具よ! 闇の――」


ブロロロロロ…


ビリーズ「――あ。バス出ちまった……」

ビリーズ「……キュアサニー、あん中だよな……。ってことは、あれ追っかけないといけねーのか? ……めんどくせー……」

ビリーズ「……でも、いったん決めたからにはキュアサニーをどうにかしねえと気が済まねえ……。クソっ、しょうがねえ!」


ビリーズ「そこのバス、待ちやがれぇーーっ!」タタタタタタッ…

〜 七色ヶ丘市 中学女子バレーボール大会 試合会場 観客席 〜

なお「いよいよですね」

はるか「うん。この決勝トーナメントは勝ち残った 4校で行われるみたい。それで、優勝校が全国大会進出の出場権を得られるんだって」

みゆき「と、言うことは!」

れいか「ええ、あと 2回勝てば、あかねさん達のチームは優勝し、全国大会に出場できるようです」

やよい「あかねちゃん達ならできるよね!?」

なお「うん、そう信じよう!」

みゆき「……ん? あれって……」


横断幕『あかねちゃん、ファイト! 〜 お好み焼き屋 "あかね" 常連客一同 〜』


やよい「あかねちゃんちのお店のお客さん達かな!」

れいか「おじさま、おばさま、弟さんのげんきさんもいらっしゃいますね。皆さんで応援に来られたんでしょうか」

なお「負けてらんないね! あたし達も張り切って応援しよう!」


全員「おーっ!」

ピピーッ!


審判「試合終了! 2セット先取で、七色ヶ丘中の勝ち!」

あかね「よっしゃぁっ! 決勝進出や!」


やよい「やったやったやったぁ! みゆきちゃん、あと 1回だよ!」

みゆき「うんうん! あと 1回で優勝、優勝だよ!」

なお「……こ、ここまで来ると、あたしも緊張してきちゃったな」

れいか「そうね……。私も、自分のことみたいに緊張しちゃってるみたい……」


みゆき「あれ、あかねちゃん達移動してる。もう、すぐ試合始めちゃうのかな」

はるか「うん、そうみたいだね。このまま決勝戦やっちゃうっぽいよ」

やよい「あ、じゃああれが相手チームの人たちで――えっ!? な、何、あの人……!?」

なお「? どうしたの、やよいちゃ……、わっ、ずいぶん大きい子がいるね……! あかね達どころか、相手のチームメイトの人達と比べても一人だけずいぶん大きいよ……!」

はるか「……! これは……ちょっとマズいかも……」

〜 七色ヶ丘市 中学女子バレーボール大会 試合会場 コート 〜

バレー部 キャプテン・ゆか「……出てきたね。今大会の優勝候補、"黒田中学"」

バレー部 キャプテン・ゆか「あのチームの特徴は、圧倒的な攻撃力。中でも注意しなきゃいけないのが、あの――」

あかね「言わんでもわかるわ。めっちゃでっかいのおるな」

バレー部 キャプテン・ゆか「うん。黒田中学のキャプテンでエースアタッカー、"山形 りえ"。身長は 170cm を超えるって話だよ」

あかね「……これはしんどそうやな」

バレー部 キャプテン・ゆか「……うん」

〜 七色ヶ丘市 中学女子バレーボール大会 試合会場 観客席 〜

れいか「はるかお姉さん。あの長身の方を見た途端顔色が変わりましたが、あの方が何か?」

はるか「……バレーで背が大きいって、それだけですごく有利なことなんだよ。ネット際で球を打ち込んだり、防いだりするスポーツだから」

なお「じゃあ、すごく強い相手、ってことですか?」

はるか「多分ね」


みゆき「でも、背が高くったって、あかねちゃん達だって上手だから、きっと大丈夫ですよ!」

はるか「……だといいけどね」

〜 七色ヶ丘市 中学女子バレーボール大会 試合会場 コート 〜

審判「それでは、試合開始します! 両チーム、礼!」

七中バレー部・黒田中バレー部「よろしくお願いします!」


黒田中キャプテン・山形「いい、みんな。今日の相手の七中だけど、ここまでいい勢いで勝ちあがってきてるよ。油断しないように」

黒田中キャプテン・山形「特に、得点源となるキャプテン・名倉と、アタッカー・日野のコンビ。この二人には気をつけて」

黒田中バレー部員「はいっ!」

黒田中バレー部員・小森 あき「けどキャプテン、前の七中の試合見てましたが、あの日野さんっていうアタッカー、すごくいい球打つみたいです。何か具体的な作戦を立てた方がいいかも……」

黒田中キャプテン・山形「……そうだね、わかった。私が日野につくよ。あっという間に黙らせてみせるから、みんなはいつも通り私にボールを集めて。いいね」

黒田中バレー部員・小森「わ、わかりました!」

2年バレー部員 なみ「えいっ!」バシッ

バレー部 キャプテン・ゆか「あかねっ!」ポスッ

あかね「オッケーや!」バッ


はるか「……相手のサーブをレシーブしてからの、トス、アタック。今までと同じ、いい流れになってる。けど……」


黒田中キャプテン・山形「(ニヤッ)」バッ

あかね「!?」

あかね(なんちゅう高いブロックや……! せやけど……、アタック止まらへん……っ!)バシッ!


バンッ!


あかね(……! カンペキにブロックされてもーた……!)

審判「(ピッ!) 黒田中、1ポイント!」

バレー部 キャプテン・ゆか「もう一回、あかねっ!」ポスッ

あかね「高すぎてアタックが通らんのやったら……、これでどや!?」ポォーン


なお「上に軽く打ち上げて、相手のブロックを超えた!」

はるか「確かにそれならブロックの上をいける。……けど……!」


黒田中バレー部員・小森「はっ!」ポスッ

あかね「! レシーブされた……!?」

黒田中キャプテン・山形「そんなヒョロヒョロボール、拾うのなんてわけないよ。さあ、トス上げて!」

黒田中バレー部員「はいっ!」ポスッ

黒田中キャプテン・山形「はっ!」バッ


バレー部 キャプテン・ゆか「アタック来るよ! ブロック!」

あかね「っちゅーても……! ……高すぎんで……!」バッ

黒田中キャプテン・山形「アタックっ!」バシィッ!


バンッ!


審判「(ピッ!) 黒田中、2ポイント!」

あかね(……ジャンプしたのに、ブロックがかすりもせえへんかった……!)


黒田中キャプテン・山形(ふふ、手も足も出ないって感じだね。このまま一気に決めるよ!)

黒田中キャプテン・山形「アタックっ!」バシィッ!

審判「(ピッ!) 黒田中、3ポイント!」


黒田中キャプテン・山形「ブロックっ!」バンッ!

審判「(ピッ!) 黒田中、4ポイント!」


あかね(……あかん……、何もでけへん……っ!)


黒田中キャプテン・山形「たぁっ!」バシィッ!

審判「(ピッ!) 黒田中、5ポイント!」

〜 七色ヶ丘市 中学女子バレーボール大会 試合会場 観客席 〜

シーーーーン…


みゆき・やよい・なお・れいか「…………」

はるか「…………」


なお「……はるかさんの言う通り、厳しいね……! あの大きい子一人に何もできない……!」

やよい「……こ、こんなの、どうすればいいの……!? なんだかズルいよ……!」

はるか「……ズルくないんだよ、やよいちゃん。バレーにとって、……ううん、バレーだけじゃない。スポーツで体が強いって、それだけで有利なんだ……。どんなに努力しても得られない、才能なんだよ」

はるか「情熱はあるのに、体がついていかないで諦めていった選手はたくさんいるよ……」

れいか「……厳しい、世界ですね……」

みゆき「……じゃあ、背が大きくないあかねちゃん達は、ガンバってもしょうがないんですか……? ……あきらめないと、いけないんですか……?」

はるか「…………」

みゆき「はるかさん……っ! 何か言ってください! あかねちゃん達は、あんなに……あんなにガンバってきたのに……、才能がないとダメだなんて……、そんなの、ひどすぎるよ……!」

なお「……みゆきちゃん……」

はるか「……あかねちゃん達次第だよ」

みゆき「……えっ?」

はるか「確かに、スポーツは才能があった方がいい。でも、それだけで決まるわけじゃない。絶対に」

はるか「あかねちゃん達がどれだけ練習してきたか。才能の差をどれだけ埋められるか。それ次第じゃ、まだ……結果はわからないよ」

はるか「みゆきちゃんがみんなの頑張りを知ってるなら、信じて見守ろう? 絶対に何とかしてくれる、って」

みゆき「……はるかさん……。……はいっ!」

〜 七色ヶ丘市 中学女子バレーボール大会 試合会場 コート 〜

バレー部 キャプテン・ゆか「タイム、お願いします!」

審判「七色ヶ丘中、タイムアウト!」


黒田中キャプテン・山形(作戦会議? でも、何をしたってムダだよ。私のブロックもアタックもどうにもできないようじゃ、勝ち目はない!)

〜 七色ヶ丘市 中学女子バレーボール大会 試合会場 七中ベンチ 〜

2年バレー部員 なみ「…………」

2年バレー部員 ちひろ「…………」

3年バレー部員 まお「…………」

3年バレー部員 きょうこ「…………」


あかね「なんやなんや! みんな、黙ーってもーて! 声出してこ!」

バレー部 キャプテン・ゆか「そうだよ、まだ始まったばかりじゃない! 落ち込むには早いよ!」

2年バレー部員 なみ「……でも……、あの相手のキャプテンの人のアタック……、全然拾えませんでした……」

3年バレー部員 まお「あかねのアタックも全部ブロックされちゃうし……。正直、どうしたらいいのか……」


あかね「…………」

あかね「……なあ、みんな。うちらって、今まで何時間バレーボールの練習してきたんやろな」

3年バレー部員 きょうこ「……え……?」

あかね「毎日毎日、走ったり、ボール叩いたり……、実際にどんくらい時間使ったかなんて、うちもう憶えてへんわ」

あかね「……せやけど、体は忘れてへん。ツラかったたっくさんの練習のこと、全部ちゃんと憶えとる」

あかね「うちら、それ全部出せてるやろか? まだ出し切ってへんのとちゃう? 出し切ってへんうちは、まだあきらめるには早いんとちゃうか?」


2年バレー部員 なみ「…………」

2年バレー部員 ちひろ「…………」


あかね「相手より背が小っさいくらいがなんや! 才能では負けてても、うちらのガンバりは絶対誰にも負けてへん! そやろ!?」

あかね「思い出してみ、今までの練習のこと! "あんだけガンバったんやから負けるはずない!" そう思えて来ぃへんか!?」


3年バレー部員 まお「……うん……」

3年バレー部員 きょうこ「……わたし達、ツラくてもガンバってきたよね……」

あかね「せやろ!? そやったら、それを証明したろやないの!」

あかね「"うちらはこんだけガンバったんや!" って、相手にも、友達にも、家族にも、今ここにいるみんなに見せつけるんや!!」


2年バレー部員 なみ「……日野センパイ……!」

バレー部 キャプテン・ゆか(……あかねの言葉で、みんなの顔に力が戻ってく……! あかねが、落ち込んでたムードを変えてくれた……!)

バレー部 キャプテン・ゆか(やっぱり、あかねは七中バレー部に必要な存在だよ。アタッカーとしてもそうだけど、チームの元気の素として)


バレー部 キャプテン・ゆか(……ありがとう、あかね。あかねがいてくれて、良かった!)

3年バレー部員 きょうこ「……でも、具体的にどうしたらいいかな? それがわからないと……」

あかね「え? ……あ、ああ、それは、キャプテンの仕事やな。頼むで、キャプテン」

バレー部 キャプテン・ゆか「え? ……あかね、あんだけ言っておいて、何にも考えてなかったの?」

あかね「そ、そんなことあらへんよ? せやけど、みんなのこと、一番見てきたのはゆかやろ? せやから一番いいところゆずったろ、思っただけやで」

バレー部 キャプテン・ゆか「……考えてなかったでしょ。まったく、調子いいんだから」

あかね「あはは、まあええやないの。さ、一発ビシっとやってや、キャプテン!」

バレー部 キャプテン・ゆか「……わかった。みんな、耳貸して」

〜 七色ヶ丘市 中学女子バレーボール大会 試合会場 コート 〜

審判「試合再開! 黒田サーブ!」ピーッ!


黒田中 選手A「はっ!」バシッ

2年バレー部員 なみ「キャプテン!」バシッ

バレー部 キャプテン・ゆか「いいレシーブだよ、なみ! さ、トス行くよっ!」ポスッ

あかね「よっしゃ!」バッ

黒田中キャプテン・山形(日野のアタックは通じないってまだわからないの!?)バッ


バレー部 キャプテン・ゆか「ブロック来た!」

あかね「任せや! 日野ちゃん、スペシャルアターック! ……と見せかけて!」サッ

黒田中キャプテン・山形「えっ!?」

3年バレー部員 きょうこ「アターック!」バシッ!

黒田中キャプテン・山形(日野じゃない!? 別の選手がアタック!? ……でも、そのくらいのアタックならレシーブで拾える!)


黒田中バレー部員・小森「え!? きゃっ!?」ドカッ!

審判「(ピッ!) 七色ヶ丘中、1ポイント!」

黒田中キャプテン・山形(……!? レシーブ、失敗した!?)

あかね「……! うぅーっ、よっしゃあ! 初得点やぁ! やったな、きょうこ!」

3年バレー部員 きょうこ「うんっ! ゆかに言われた通りだよ!」


バレー部 キャプテン・ゆか(回想)『きょうこだって、あかねに負けないくらいアタックの練習してきたよね。それなら絶対にいい球が打てるよ! トス上げるから、あかねの代わりに打ち込んで!』


あかね「せやな! こっから反撃開始や! ガンガンいくでぇっ!」

七中バレー部「おぉーっ!」

黒田中 選手A「だ、大丈夫、小森さん?」

黒田中バレー部員・小森「あ、う、うん、何とか――」

黒田中キャプテン・山形「小森! どうして拾えなかったの!? あれくらいのアタックならレシーブできるでしょ!?」

黒田中バレー部員・小森「(ビクッ) す、すみません、キャプテン……! 日野選手が打つとばっかり思ってて……」

黒田中キャプテン・山形「試合前に "油断しないで" って言ったよね!? ……とにかく、次からはちゃんと打つ相手をよく見て、しっかりレシーブを取って。いいね」

黒田中バレー部員・小森「は、はい……、すみませんでした……」

〜 七色ヶ丘市 中学女子バレーボール大会 試合会場 観客席 〜

やよい「やったやったぁ! あかねちゃん達のチーム、初めて点入れたよ!」

みゆき「うんっ! すごい、すごいよ、みんな!」

なお「あかね達のチームワークのおかげだね!」


はるか「…………」

れいか「はるかお姉さん? どうかしたんですか、相手チームのコートをじっと見て?」

はるか「……この試合、あかねちゃん達勝てるかも……!」

れいか「え……!? どうしてですか?」

はるか「見てればわかるよ。二つのチームの違いを見てれば、ね」

れいか「チームの……違い……?」

〜 七色ヶ丘市 中学女子バレーボール大会 試合会場 コート 〜

2年バレー部員 なみ「ちひろ! サーブ、しっかりね!」

2年バレー部員 ちひろ「うんっ! ……えいっ!」バシッ


黒田中 選手B「はっ!」バシッ

黒田中キャプテン・山形「レシーブからトス、そのまま上げて! 私が決める!」

黒田中 選手C「はいっ!」ポスッ


バレー部 キャプテン・ゆか「アタック、来るよ!」

黒田中キャプテン・山形(ムダだよ! ブロックできない私のアタックは止められない!)

黒田中キャプテン・山形(点差はまだ十分にある! 相手のアタックがレシーブできなくっても、私が決め続けていれば勝てる!)

黒田中キャプテン・山形「アタッ……、えっ!?」


あかね「…………」

3年バレー部員 きょうこ「…………」


黒田中キャプテン・山形(誰もブロックに跳ばない!? 全員でレシーブ体制を取ってる!)

黒田中キャプテン・山形「くっ……、アタックっ!」バシィッ!


2年バレー部員 なみ「……っ! たぁっ!」バスッ!


黒田中キャプテン・山形(!? レシーブされた!? 私の……アタックが……!?)


2年バレー部員 なみ「やったぁ!」


バレー部 キャプテン・ゆか(回想)『なみは誰よりもレシーブの練習をガンバったよね。なみなら、あのキャプテンのアタックも止められるはず! お願いね!』


2年バレー部員 なみ(キャプテンの言う通りだった……! わたしだってやれるんだ!)

バレー部 キャプテン・ゆか「チャンス! トス行くよ、アタック準備!」

3年バレー部員 きょうこ「任せて!」

黒田中キャプテン・山形(アタック、来る! 日野は……!?)


あかね「…………」


黒田中キャプテン・山形(コートの端にいる。あれじゃあトスは届かない! ならここは……)

黒田中キャプテン・山形「みんな! さっきアタックした選手をマーク! 全員でブロックするよ!」バッ

黒田中 選手D・E「はいっ!」バッ

黒田中キャプテン・山形(どう!? この 3人でのブロックなら、アタックは絶対通さない!)


バレー部 キャプテン・ゆか「(ニコッ) ……あかねっ!」バッ

黒田中キャプテン・山形(えっ!? 上に上げるんじゃなくて、コートの端から端まで、まっすぐにトス!?)

あかね「カンペキや、ゆか! ほれ、アターックっ!」バシィッ!

黒田中バレー部員・小森「うあっ!?」ドカッ!

審判「(ピッ!) 七色ヶ丘中、2ポイント!」


バレー部 キャプテン・ゆか(回想)『きょうこに警戒が集まったら、どこにいてもあかねにトスを上げるよ! だから、わたしを信じて跳んで!』


バレー部 キャプテン・ゆか「やったね、あかね! 作戦バッチリ! 最高のアタックだったよ!」

あかね「ゆかのおかげやで! そっちこそ最高のトスやったわ!」

黒田中バレー部員・小森「す、すみません、キャプテン! また止められませんでした……」

黒田中キャプテン・山形「いいよ。小森が日野のアタックを止められるとは思ってないから」

黒田中バレー部員・小森「……!」

黒田中キャプテン・山形「やっぱり、日野は私じゃないと止められない。私は日野をマークするから、小森やみんなは日野以外のアタックを止めることに専念して。いいね!」

黒田中バレー部員達「はいっ!」

黒田中バレー部員・小森「……はい……」

〜 七色ヶ丘市 中学女子バレーボール大会 試合会場 観客席 〜

れいか「……はるかお姉さんの言っていたこと、わかってきたような気がします」

れいか「二つのチームの違い、それは、チームワークですね」

はるか「うん」


はるか「相手のチームのキャプテン、確かに才能も実力もすごいんだけど、全部一人でやろうとしちゃってる。チームメイトを信じきってない感じがするよ」

はるか「それに比べて七中は、全員がお互いの長所を活かしあって、一つの大きな力になってる。この差は大きいよ」

はるか「そして、七中の中心にいるのは、ピンチでも諦めなかったキャプテンと、あかねちゃん。この二人がいたから、みんながまとまれた」

はるか「本当にいいチームだね! これなら……きっと勝てる!」

みゆき「はいっ!」

キャンディ「クル……!?」ピクッ

キャンディ「みゆき! イヤなカンジがするクル! デスペアランドが近くにいるクル!」

みゆき「えっ!? ……もー、こんな時に……! 早く行かなきゃ!」

やよい「待って、みゆきちゃん!」

みゆき「な、何、やよいちゃん? どうしたの?」

やよい「……あかねちゃんは、どうするの?」

みゆき「あ……!」

〜 七色ヶ丘市 中学女子バレーボール大会 試合会場 コート 〜

あかね「そりゃぁぁっ!」バシッ!


バンッ!


審判「(ピッ!) 七色ヶ丘中、5ポイント!」


あかね(ええで! みんながアタックしてくれるおかげで、うちのアタックも決まりやすくなってきたわ! どや、みんな! あかねちゃん、復活やで!?)チラリ


みゆき「――――!」

やよい「――――!?」


あかね(ん? なんや、せっかくのうちの大活躍、見とらんやんか。何言うとるのかわからんけど、みんなで慌ててどないした――(ハッ))

あかね(――もしかして……、デスペアランド!? なんでやねん、よりによってこんな時に!)


あかね(……うちもいかなあかんのやろか? ……あかんやろな……。せやけど……!)

あかね「くっ!」バッ

3年バレー部員 きょうこ「アタックっ!」バシィッ!

審判「(ピッ!) 七色ヶ丘中、6ポイント!」

黒田中キャプテン・山形「くっ……! 日野はまたオトリ……!? 完全に振り回されてる……!」


あかね(……今うちが抜けたら、試合が……! せっかく何とかなりそな試合が……ダメになってまう……! 負けてまう……!)

あかね(他の試合ならともかく、ここで負けたら……、中学最後のバレーの試合が……、うちの 3年間が……、終わってまうんや……!)


あかね(……どないしよ……。うちは……どないしたらええんや!?)

みゆき「あかねちゃぁーーーんっ!!」

あかね(! みゆき!?)

みゆき「だいじょうぶだよ!! わたし達に任せてぇっ!!」

みゆき・やよい・なお・れいか・はるか「(ピース)」

あかね(…………)


あかね(……みんな……、自分達だけでやるっちゅーこと? ……うちのために……!)

あかね(……っ!)グッ


あかね「(ピース)」ニコッ


みゆき「……!」ニコッ


タタタタタタッ…


あかね(……みんな、うちのために……。ほんま、おおきにな)

あかね(そのお礼、っちゅーわけやないけども……っ!)バッ


あかね「だぁぁぁぁっ!」バシッ!


バンッ!


審判「(ピッ!) 七色ヶ丘中、7ポイント!」


あかね(うち、精一杯やって、この試合……絶対勝つわ! せやから、頼んだで、みんな!)

〜 七色ヶ丘市 中学女子バレーボール大会 試合会場前 〜

アキラメーナ(ロードローラー型)「アキラメーナァッ!」


ズワァァァァァッ…


試合の観客A「う……っ……」バタッ

試合の観客B「……あぁ……」バタッ


ビリーズ「はぁっ、はぁっ、や、やっと着いたぜ……。ちくしょう、車にも追いつけねえなんて……、寝不足で力出ねえのか……?」

ビリーズ「けど、ここにキュアサニーがいるんだよな! ここまで来たんだ! その建物ごとぶっ潰してやるぜ!」


みゆき「そんなこと、絶対にさせないっ!」バッ

ビリーズ「あぁ!? なんでキュアサニーを追っかけてきたのに残りのお前らが出てくんだよ!?」

なお「サニーを狙ってるの!? 目的は何!?」

ビリーズ「うっせーな! ただの腹いせだよ! ここんとこうまく寝らんなくてイライラしてんだよ!」

れいか「そんな理由で……! あかねさんの大事な試合を邪魔させはしませんっ!」

はるか「みんな、行くよ!」

4人「はいっ!」

妖精達「デコル・チェーンジ!」

パチンッ!

レディ!

5人「プリキュア! スマイルチャージ!!」

ゴー! ゴーゴー! レッツゴー!!


ハッピー「キラキラ輝く、未来の光! キュアハッピー!!」

ピース「ぴかぴかぴかりん♪ じゃん・けん・ポン!(パー) キュアピース!!」

マーチ「勇気リンリン、直球勝負! キュアマーチ!!」

ビューティ「しんしんと降り積もる、清き心。キュアビューティ!!」

ノーブル「さらさら流れる気高きせせらぎ! キュアノーブル!!」

ビリーズ「あ。よく考えたら、腹いせすんの、別にキュアサニーじゃなくても、コイツらでいいじゃん」

ビリーズ「よっしゃ! そうと決まれば、行けぇ、アキラメーナ! 全員ペチャンコにしちまえ!」

アキラメーナ(ロードローラー型)「アキラメーナァッ!」ドドドドドッ!


ノーブル「みんな、危ない! 離れて!」

ハッピー「わわっ!?」バッ


ドドドドドドッ! ベキャベキャベキャ!


ピース「あわわ……、ゴミ箱がぺっちゃんこになっちゃった……!」

マーチ「あんなのに巻き込まれたらひとたまりもないよ!」

ビューティ「ですが、動きは遅いですね。気をつけていれば大丈夫です!」


ビリーズ「んー……、キュアビューティの言う通りだよなぁ。パワーはすげえけど、遅えんだよ……。オレが疲れてるからかぁ……? あれじゃ捕まえらんねーぞ……」

ビリーズ「ん? 待てよ……」


みゆき(回想)『そんなこと、絶対にさせないっ!』

れいか(回想)『そんな理由で……! あかねさんの大事な試合を邪魔させはしませんっ!』


ビリーズ「……いいこと閃いた! オレ天才かも!?」


ビリーズ「アキラメーナ! そのまま進んで、その建物をぶっ潰せ!」

アキラメーナ(ロードローラー型)「アキラメーナァッ!」ドドドドドッ!


ノーブル「えっ!? 私達を無視して会場に突っ込んでく!?」

マーチ「なんで!? あたし達をやっつけて腹いせするんじゃなかったの!?」

ビリーズ「そのつもりだったんだけどよ、コイツじゃお前ら捕まえられそうにねえからよぉ」

ビリーズ「代わりにその建物をぶっ壊してスッキリすることにしたんだよ! ついでに、その中にいる人間の心も大量ゲットだ! まさに一石二鳥ってわけよ! だっはっは!」

ハッピー「……! そんなことさせないっ!」バッ

ビリーズ「(ニヤッ) ――ってのは半分ウソなんだよなー。そこ狙えば、止めるためにお前らが勝手に突っ込んでくるだろ? そこをやっちまおうってのがホントの作戦よ! アキラメーナ!」

アキラメーナ(ロードローラー型)「アキラメーナァッ!」バシュッ バシュッ

ハッピー「えっ!? タイヤが飛んできて……!」


ドカッ! ドカァッ!


ハッピー「わぁぁぁっ!?」

ピース「ハッピー!」

ビリーズ「だぁーっはっは、大成功! やっぱオレ天才! これで一石何鳥だぁ!? ま、いっか、いくつでも! そーれ、突っ込め、アキラメーナ!」

アキラメーナ(ロードローラー型)「アキラメーナァッ!」ドドドドドッ!

ノーブル「いけない、このままじゃ会場が……! 何とかして止めないと……!」

マーチ「とにかくアキラメーナの前へ! みんなで止めよう!」

ハッピー「う、うんっ、わかった!」


バババババッ

ガシィッ


全員「たぁぁぁぁぁっ!!」グググググッ

ビリーズ「あぁん? なんだぁ? 真っ正面から押し返そうってのか? ムダムダ! さっきのパワー見ただろ!? 止められるかよ!」

アキラメーナ(ロードローラー型)「アキラメーナァッ!」グググググッ

全員「くぅぅぅぅぅっ!」


ズル… ズル…


ノーブル「ダ、ダメだよ……、少しずつだけど、押し負けてる……!」

ピース「どうしよう……、このままじゃ……!」

マーチ「……こんな時に、サニーがいれば……!」

ビューティ「ですが、今はサニーはいません……っ! 私達だけでどうにかしないと……!」

ビリーズ「だからムリだって! お前ら 5人だけじゃどうにもなんねーよ! 早く諦めちまえ!」

ハッピー「……あきらめる……!?」

〜 七色ヶ丘市 中学女子バレーボール大会 試合会場 コート 〜

バァァァンッ!


審判「(ピッ!) 黒田中、25ポイント! 1セット先取!」


黒田中キャプテン・山形「はぁっ、はぁっ、手間取らせて……! 地力はこっちの方が上なんだ……!」


2年バレー部員 なみ「そんな……! せっかくいい調子だったのに……!」

バレー部 キャプテン・ゆか「大丈夫だよ! まだ 1セット取られただけ! これからこれから!」

黒田中キャプテン・山形「もう、強がるのやめたら!? 結局私のアタック、2回に 1回くらいしか止められてないじゃない! 諦めなよ!」

審判「君! 挑発的な言葉は慎みなさい!」

黒田中キャプテン・山形「……ふん!」


あかね「……あきらめる……やて……!?」

ハッピー「……あかねちゃんは、さっきの大ピンチの時でもあきらめなかった……!」

あかね(……みんな、今頃うち抜きで戦っとる……。もしかしたらピンチかもしれへんけど……、絶対にあきらめたりせんはずや……!)


ハッピー「それなのに……!」

あかね(そやのに……!)


ハッピー「わたし達が先にあきらめるわけにはいかないよ! 絶対にあきらめないからっ!!」

あかね「うちが先にあきらめるわけにはいかへんのや! 絶対にあきらめへんで!!」


ピース・マーチ・ビューティ・ノーブル「!!」

七中バレー部「!!」

〜 七色ヶ丘市 中学女子バレーボール大会 試合会場前 〜

ピース「……みんな、わたしにアイデアがあるの。ちょっと痛いかもしれないけど……大丈夫かな?」

マーチ「え? ピース、何するつもり?」

ノーブル「……あ、わかった。確かに痛そうかも……」

ビューティ「ですが、それしかなさそうですね……。思いっきりやってください!」

ピース「うんっ! ゴメンね、みんな! ちょっとガマンしてね!」

ピース「プリキュア! ピース・サンダーァァッ!!」


ピシャァン!


アキラメーナ(ロードローラー型)「アガガガガガッ!?」バリバリバリッ

5人「くぅぅぅぅっ!」

ビリーズ「なっ、なんだぁ!? いつもみたいに撃たないで、カミナリを自分たちに落とし続けてやがる!?」


アキラメーナ(ロードローラー型)「アガッ!? アガガァッ!?」プスン プスン…

ビリーズ「ゲッ!? 今のカミナリで故障したのか!? 動かなくなっちまった!」

マーチ「な、なるほど……。ピースのアイデアって、こういうことだったんだ……!」

ノーブル「ちょ、ちょっと体が、シビれてるけど……! せーの、で行くよ、みんな!」

4人「はいっ! ……せーのっ!」グアッ

アキラメーナ(ロードローラー型)「ア、アガガッ!?」グラッ

ビリーズ「あ! アキラメーナが動けないうちに……!」

アキラメーナ(ロードローラー型)「ア、アガァァァァッ!?」ドスゥゥゥゥン

ビリーズ「ひっくり返しちまいやがったぁ!? ヤッベ、あれじゃもう動けねぇ!」


ハッピー「今だよ、みんなっ!」

ハッピー「プリキュア! ハッピー・シャワーァァッ!!」

ピース「プリキュア! (ピシャァン!) ひゃぁっ! ピース・サンダーァァッ!!」

マーチ「プリキュア! マーチ・シュートォォッ!!」

ビューティ「プリキュア! ビューティ・ブリザァァードッ!!」

ノーブル「プリキュア! ノーブル・ストリィィームッ!!」


ドドドドドォォォォォォォォンッ!!


アキラメーナ(ロードローラー型)「アガァァァァァ……」シュワァァァァ…


ビリーズ「……やられちまったぁ……! くっそぉ……! オレのこのイライラはどこにぶつけりゃいいんだよぉっ!」シュバッ

なお「……はぁ……、何とか勝ったけど……、さすがに 1人足りないとしんどいね……!」

れいか「ええ、まだ体がしびれてるわ……。あかねさんがいないだけで、こんなに大変だなんて……」

はるか「私達も、みんなで力を合わせることのありがたみがよくわかったね……」


みゆき「……あ! そうだ、あかねちゃん! 試合は!? 試合はどうなったのかな!?」

なお「そうだ! 早く行こう! 急がないと終わっちゃうかも!」

やよい「あ、ま、待ってぇ、みんなぁ……! ピースサンダー 2回使ったから、まだしびれて動けないの……!」

はるか「大丈夫、おぶってあげるよ。さ、急ごう!」

れいか「はいっ!」

〜 七色ヶ丘市 中学女子バレーボール大会 試合会場 観客席 〜

タタタタタタッ


やよい「し、試合はどうなったのかな!?」

はるか「! これは……! みんな、スコアボード見て!」


スコアボード『七色ヶ丘中 1 24 - 25 1 黒田中』


なお「"デュース" ……、ですか!?」

はるか「そうみたい……! しかも、両方とも 1セットずつ取ってる……。これが最後の 1セットだよ……!」

れいか「"デュース" ……。お互いがマッチポイントである 24点になった時、どちらかが先に 2ポイント差をつけるまで試合を続けるルールですね……!」

みゆき「え、えっと、っていうことは、つまり……!?」

はるか「次、相手に点を取られちゃったら……、あかねちゃん達の負けってことだよ……!」

みゆき「!! そ、そんな……!」

〜 七色ヶ丘市 中学女子バレーボール大会 試合会場 コート 〜

黒田中キャプテン・山形「はぁっ、はぁっ、なんてしつこいの……!? これでデュース何回目……!? あと 1点なのに……、そのあと 1点が取れない……っ!」

あかね「はぁっ、はぁっ、絶対……、絶対、あきらめへんで……! 絶対勝つんや……!」

黒田中キャプテン・山形(……くっ、なんて気迫……! どうしてウチがリードしてるのに、追い詰められてるような気分になるの……!?)


黒田中キャプテン・山形「……やだ……! 絶対……、絶対負けたくない……! 私だって、これが最後の試合なんだ……! 負けたくないよ……っ!」

黒田中バレー部員・小森「……! キャプテン……!」

あかね(……あかん、頭がぼーっとしてきよった……。もう何回跳んだかわからんわ……)


バレー部 キャプテン・ゆか「はぁっ……! はぁっ……!」

2年バレー部員 なみ「はぁっ……! はぁっ……!」


あかね(みんな、肩で息しとる……。そろそろ限界や……。早くなんとかせんと……)

あかね(せやけど……、うちかてあと何回跳べるか……)

あかね(あきらめたない……、絶対あきらめたないけど……、このままじゃ……!)

〜 七色ヶ丘市 中学女子バレーボール大会 試合会場 観客席 〜

みゆき「……っ! あかねちゃんっ……!」ダッ


タタタタタッ


れいか「あ、みゆきさん! まだ体がしびれているのに、階段を駆け下りては――」


ガッ


みゆき「! あっ……!?」


ゴロゴロゴロ ドタァッ


みゆき「……う……くっ……!」


観客A「お、おい! 女の子が階段で転げ落ちたぞ!」

観客B「大丈夫か、キミ!?」

みゆき「……だっ、大丈夫です! スミマセン、通してくださいっ!」


ダダダダダッ

ガッ


観客C「ちょ、ちょっとあなた!? ここ 2階よ!? そんなに柵から身を乗り出したら危ない――」

みゆき「……すぅっ」


みゆき「あかねちゃぁぁぁぁぁぁぁんっ!! ガンバれぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!」

〜 七色ヶ丘市 中学女子バレーボール大会 試合会場 コート 〜

あかね(……! みゆき……!!?)

あかね(……やってくれたんや……。うち抜きでも、みんなでガンバって……、こうして、応援に戻ってきてくれたんや……!!)


あかね(……何やろ……。めっちゃ力が湧いてくる。体中が燃え出しそうや……!!)


あかね「……ゆか。次にアタックする時、うちにトス上げてや」

バレー部 キャプテン・ゆか「え……!? でも、あかねももう……、限界じゃ……!? それに、相手のキャプテンはまだ警戒してるし……」

あかね「大丈夫や。うちが絶対何とかしたる。せやから、思いっきり高い、最高のトスを頼むで」


バレー部 キャプテン・ゆか「…………」

あかね「…………」


バレー部 キャプテン・ゆか「……わかった、任せる。頼んだよ、エースアタッカー!」

あかね「うんっ!」

黒田中バレー部員・小森「はっ!」ボスッ

黒田中キャプテン・山形「レシーブからそのままトスをちょうだい! 私が決める!」

黒田中 選手C「はいっ、キャプテンっ!」ポスッ


黒田中キャプテン・山形(私の……、3年間……! 全部込めて……!)

黒田中キャプテン・山形「アタァァァックっ!!」バシィィッ!!


2年バレー部員 なみ(……! 来た……!)

2年バレー部員 なみ(わたしは……、レギュラーになれなかった 3年生のセンパイ達を差し置いてコートに立ってる……。センパイ達の最後の試合をふいにしてまで……!)

2年バレー部員 なみ(だから……、だから……!)

2年バレー部員 なみ(絶対に、取るんだぁぁっ!!)


2年バレー部員 なみ「たぁぁぁぁっ!!」バシィッ!

黒田中キャプテン・山形「…………!」

黒田中キャプテン・山形(止め……られた……? 私の……全力の、アタックが……)

バレー部 キャプテン・ゆか「なみぃっ! ナイスレシーブ!」


バレー部 キャプテン・ゆか「行くよ、あかね! お望みどおり……、わたしの 3年間で最高のトス! 受け取ってぇっ!!」ポスッ

あかね「よっしゃぁっ!」

あかね(……体中に力がみなぎる。うちのためにガンバってくれたみんなの……、みゆきの応援のおかげや)

あかね(今のうちなら、今までのいつよりも高く……、ずっとずっと高く……)


あかね(高く、跳べるっ!!)バッ


黒田中キャプテン・山形「日野のアタックが来るよ! 全員でブロックっ!!」バッ

黒田中 選手D・E「はいっ!」バッ


黒田中キャプテン・山形(あなたのアタックは私に通じないことはわかってるはず! これで、終わりだよ!)

フワァッ…


黒田中キャプテン・山形(……? おかしい……。なんで、日野は落ちてこないの……? いつまで浮いてるの……?)

黒田中キャプテン・山形(まるで、日野だけ時間が止まってるみたいに……浮き続けてる……!)


スゥッ…


黒田中キャプテン・山形(ま、まずい……! このままじゃ、ブロックが先に落ちる……!)

黒田中キャプテン・山形(どうして……!? 背は私の方が全然高いのに……!)


黒田中キャプテン・山形(どうして、日野が私を見下ろしてるの……!?)


あかね「いっ……けぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!」バシィィィィッ!!


ビュンッ!

黒田中キャプテン・山形(ブロックが……抜かれた……)

黒田中キャプテン・山形(今逆転されたら……流れが変わる……。きっともう、取り返せない……)


黒田中キャプテン・山形(……終わった……)

黒田中バレー部員・小森「わぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」バッ


バシィッ! ゴロゴロゴロッ


あかね「…………え?」


あかね(ダイビングレシーブ……? 止められたん? 今の、アタックが……?)


黒田中バレー部員・小森「キャプテン、あきらめないでください! キャプテンの 3年間はまだ終わってません! わたしが……終わらせませんっ!!」

黒田中キャプテン・山形「……こ、小森……!!」

黒田中キャプテン・山形(小森のレシーブしたボールが、まっすぐネットへ……!)


黒田中キャプテン・山形「……速攻ぉーーっ!!」

黒田中 選手E「は、はいっ!」ポスッ


バレー部 キャプテン・ゆか「……! 短いトスからアタック来るよ! みんな、レシーブの準備して!」


黒田中キャプテン・山形「だぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」バシィッ!!


バァァァァァン!!

あかね(…………)


あかね(…………どう、なったんや……?)

あかね(……今のアタック……、止めたんか……?)チラッ


2年バレー部員 なみ「…………」


あかね(……なみ……? なんでぼけーっとしとるん? 球、浮いとんのかな?)

あかね(球……、球はどこや……? ないなぁ、どこにも……)


あかね(あ、そや。スコアボード見たらええやん。それなら、どうなったかすぐわかるわ)

あかね(えっと……スコアは……)


スコアボード『七色ヶ丘中 1 24 - 26 2 黒田中』

ピピーーーーッ!


審判「試合終了! 2セット先取で、黒田中の勝ち!」


黒田中キャプテン・山形「はぁっ……はぁっ……はぁっ……」

黒田中キャプテン・山形(……勝った……の……?)

はるか「…………」

れいか「…………」

なお「…………」

やよい「…………」

みゆき「…………」


あかね「…………」

あかね(…………)

あかね(……ああ……、少しづつ……実感、わいてきたわ……)

あかね(……そっか……。……そっかぁ……)


あかね(……負けたんやな、うちら)

審判「両チーム、整列!」


あかね「……整列やて。行こか……、キャプテン」

バレー部 キャプテン・ゆか「……うん、そうだね。行こうか」


2年バレー部員 なみ「……っく……ひっく……!」

あかね「……ん? なんや、なみ、泣いとんの? 悔しいのはわかるけど、ほら、整列せな――」

2年バレー部員 なみ「……ごめ……ごめん……なさい……、センパイ……! 最後の……アタック……レシーブ、できませんでした……!」

バレー部 キャプテン・ゆか「ああ、そのこと? いいよ、気にしなくって」

2年バレー部員 なみ「気にしますよ!」


2年バレー部員 なみ「だって、センパイ達にとって、これが、最後の試合だったのに……! もっと……、センパイたちといっしょに……バレーやりたかったのに……!」

2年バレー部員 なみ「わたしの……わたしのせいで……、全部ダメにしちゃって……!」

あかね「…………」

あかね「……なみ。あんた、あの黒田のキャプテンのごっついアタック、何回レシーブしたか憶えとる?」

2年バレー部員 なみ「……え……?」

あかね「うちはなぁ、憶えとらんわ。ただ、わかってるのは、憶えてられんほどたくさん、なみにはレシーブしてもろた、ってこと」

あかね「せやから、最後の一回取れへんかったくらいで、なみのせいにはならへんて。そんなこと言うたら、なみがレシーブしとらんかったら、もーっとあっちゅー間に負けとったんやで?」

バレー部 キャプテン・ゆか「そうそう。むしろ、なみのおかげでここまでやれたんだよ? だから胸張って」

2年バレー部員 なみ「……キャプテン……、日野センパイ……!」


バレー部 キャプテン・ゆか「他のみんなもそうだよ」

バレー部 キャプテン・ゆか「きょうこも、まおも、ちひろも……、そして、あかねと、わたしも」

バレー部 キャプテン・ゆか「みんなが全部の力を出し尽くしたから、このスコアになったんだよ。とってもいい試合が、できたんだよ」

バレー部 キャプテン・ゆか「だから、悔しいことなんてないよ。堂々と並んで……終わろう。ね?」


2年バレー部員 なみ「っ……! (ゴシゴシ) ……はいっ!」

ザッ


黒田中キャプテン・山形「……日野さん」

あかね「ん? 何?」

黒田中キャプテン・山形「最後のアタック打たれた時、私、負けたと思った。あんなすごいアタック決められたら、もう逆転できないと思ってたから」

あかね「……せやなぁ。自分で言うのもなんやけど、あれを止められるとは思っとらんかったわ」


あかね「あの、うちのアタック止めた子、途中ずいぶん責めとったみたいやけど、後で目いっぱいホメたってや。勝てたのは、あの子のおかげやで」

黒田中キャプテン・山形「……うん。そうする」

あかね「……でも……」

黒田中キャプテン・山形「……え?」

あかね「ほんま、ええ試合やったな」

黒田中キャプテン・山形「……うん。いい、試合だった」

あかね「全国大会、うちらの代わりにガンバってや! 応援しとんで!」

黒田中キャプテン・山形「うん」

審判「両チーム、礼!」


七中バレー部・黒田中バレー部「ありがとうございました!!」

〜 七色ヶ丘市 中学女子バレーボール大会 試合会場 観客席 〜

大悟「…………」

正子「…………」

げんき(あかね弟)「…………」


大悟「……なあ、母さん」

正子「何、父ちゃん?」

大悟「わいら、あかねに何してやれるんやろな」

正子「……何言うかと思たら……」


正子「とびっきりのお好み焼き、焼いたったらええよ。父ちゃんは、お好み焼き屋なんやから」

大悟「……せやな」

〜 七色ヶ丘市 中学女子バレーボール大会 試合会場 観客席 〜

あかね「――っちゅーわけで、みんな……すまん! せっかく応援したり、うち抜きで戦ってもろたりしたのに……負けてもーたわ!」

れいか「いえ、気にしないでください。それよりも……、残念……でしたね」

はるか「でも、すごくいい勝負だったよ。全然勝てた内容だったと思う」

あかね「ですよね!? いやー、うちの最後のアタック決まってれば、まだどうにかなったんちゃうかな、思ったんやけど……、うまくいかへんもんですなぁ」


あかね「あ、そや。最後のアタック、っちゅーたら……みゆき」

みゆき「え、何?」

あかね「……みゆきの最後の応援、めっちゃ効いたで。あれ聞いたとたん、体中に力が湧いてきたんや。あんなすごいアタック打てたの、みゆきのおかげや。ほんま、おおきにな」

みゆき「……うん。力になれたんならよかったよ」

あかね「……さてと。ほんなら、みんな、後でウチの店に来ぃへん? 実は、バレー部みんなで残念会しよ、思とんのや」

れいか「いいのですか? 私達が行ってしまったら、邪魔になってしまうのでは……」

あかね「何言ーとんねん! そんなことあるかい! みんなかて応援してくれたんやし、パーッとやろうやないの!」


みゆき「…………」ニコッ

あかね「……ん? なんや、みゆき。うちの方見てニコニコして。顔になんかついとる?」

みゆき「……あかねちゃん、スゴいなぁ、って思って」

あかね「お、せやろ? 今日のプレーはうちの中でも最高やったわ! それがわかるなんて、みゆきも結構バレー見る目あるなぁ」

みゆき「あ、ううん、そうじゃなくって……」

あかね「え、ちゃうの? したら何?」


みゆき「負けちゃったのに、そんなに明るくしていられるのがスゴいなぁ、って思って……」

あかね「…………!!」

なお「…………」


みゆき「わたしだったら、悔しくって、きっと泣いちゃうな……」

みゆき「いつも元気で明るくて……、わたし、あかねちゃんのそんなところ……、とってもスゴいと思う!」

あかね「…………そか」

あかね「……あ。しもた」

れいか「? どうかしましたか、あかねさん?」

あかね「そういや、控え室に忘れもんしてきてもーたの思い出したわ! ちょっと取ってくる! ウチの店にはみんなで先に行っててや!」

みゆき「え? そしたら、わたし達も探すの手伝うよ?」

あかね「ああ、ええてええて。一人で十分やから。したら、ほな、また後で!」ダッ


なお「…………あかね! ちょっと待って」

あかね「……何? なお」

なお「……バッグ、預かるよ。探し物するなら、身軽な方がいいでしょ?」

あかね「……あ、ああ、せやな。ほんなら頼むわ」

あかね「……なお」

なお「ん?」

あかね「……おおきに」

なお「……うん。行ってらっしゃい」


タタタタタッ…


ヒョコッ


ウルルン「なんだ、水くせえヤツウル。探し物ならおれの鼻で探してやんのによぉ」

なお「……あかねが一人でいい、って言うんだから、大丈夫だよ。それよりウルルン、カバンから顔出してしゃべると大騒ぎになっちゃうから、しばらく引っ込んででね」

ウルルン「ちぇっ、しょうがねえウル。寝てるから、あかねんちに着いたら起こしてくれウル」


なお「……じゃあ、行こうか、みんな。あかねの言う通り、先にあかねのお店に行ってよう」

はるか「うん、そうだね」


スタスタスタ


みゆき「…………」

みゆき「……やっぱりわたし、あかねちゃん手伝ってくる!」ダッ

なお「みゆきちゃん!? いや、ここはあかね一人に任せた方が――」

みゆき「だって、あんなすごい試合した後なんだもん、きっと疲れてるよ! だから、ちょっと行ってくる!」

なお「あ、待って、みゆきちゃ――」


タタタタタッ


やよい「……行っちゃったね」

なお「……しょうがない。あたし達だけでも先に行こうか」

れいか「ええ」


なお(……あかね、ゴメンね。一人にしてあげられなかった。……でも、まあ、いいよね。みゆきちゃんなら)

〜 七色ヶ丘市 中学女子バレーボール大会 試合会場 通路 〜

みゆき(あかねちゃんを手伝う、って言ったものの……、控え室ってどっちだろー……? わかんなくなっちゃったよ……)


「……っく……ぅっ……」


みゆき(……あれ? こんなところに誰かいるのかな? 観客の人達もみんな帰っちゃったと思ったけど……)

みゆき「あのー、誰かいるんですかぁ?」

あかね「!! 誰……!?」

みゆき「あ、なんだ、あかねちゃんだったんだぁ。あのね、わたし、あかねちゃんの探し……物を……手伝いに……」


あかね「…………」

みゆき「……あかね、ちゃん……?」


みゆき「…………泣いてるの……?」

あかね「……みゆ……き……。……みゆきぃっ……!」ダッ


ガバッ


みゆき「……あかねちゃん? ど、どうしたの、急に抱きついて……」

みゆき「それに、どうして、泣いてるの……? さっきまで、あんなに元気にしてたのに……」

みゆき「相手のチームの人ともさわやかに話してたりして……、悔しくなんて、なさそうだったのに……」


あかね「……結果は、ええんや。負けてもーたのは……しゃーない……」

あかね「チームのみんなが……全部出し切った……結果や……。悔しくは……ないんや……」


みゆき「じゃあ……どうして……」

あかね「……終わって……もーたんや……」

みゆき「……えっ……?」


あかね「……うちの中学生活 3年間……、毎日毎日練習してきたバレーボール……」

あかね「それが、終わってもーた……。……もう、二度と戻って来いへん……」

あかね「……うちの 3年間が……、終わってもーたんや……っ!」


みゆき「……あかね……ちゃ……」

みゆき(ナレーション)「"おつかれさま"、"がんばったね"、"よくやったね" ……。色んな言葉が頭の中に浮かびましたが、どれも口にすることはできませんでした」

みゆき(ナレーション)「いっしょに 3年間ガンバったわけじゃないわたしが言うのは、違う気がしたから……」

みゆき(ナレーション)「わたしの胸で泣いてるあかねちゃんに、わたしがしてあげられたこと。それは……」


みゆき(ナレーション)「わたしも、あかねちゃんといっしょに泣いてあげることだけでした……」

あかね「……なんで、みゆきまで……泣いとんねん……」

みゆき「……だっ……ひっく……、だって……だって……!」

あかね「……わからんて……それじゃ……」


あかね「……せやけど……」


あかね「……ありがとう、みゆき……」

みゆき「……うんっ……」

みゆき(ナレーション)「わたしとあかねちゃんは、それからしばらく二人で泣いていました。あかねちゃんの悲しさを、二人で分け合うみたいに……」


みゆき(ナレーション)「ただずっと、泣き続けました……」





つづく

次回予告

みゆき「なおちゃんが迷子の子を見つけてきたの。みんなでお世話しようとするんだけど、まだ小さいのにとっても意地っ張りでみんな大慌て!」

みゆき「でもその子、お母さんと何かあったみたいなの。家出してきちゃったのかなぁ……」

みゆき「お母さんと離れ離れなんて寂しいよ……。何とかしなきゃ! ガンバろうね、なおちゃん!」


みゆき「次回、『スマイルプリキュア レインボー!』 "守れ、親子のきずな! なおの迷子案内奮闘記!"」


みゆき「みんな笑顔でウルトラハッピー!」

今回はここまでです!
お読みいただいた方、ありがとうございました。

よかったら次回もまたよろしくお願いします!


第1話 〜 第11話 『スマイルプリキュア!』第2期を SS で作るスレ - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1360385907/)

第12話 >>6 から
第13話 >>117 から
第14話 >>223 から
第15話 >>332 から
第16話 >>433 から
第17話 >>520 から


あ、前回までにいただいていたレスへのお返事はまた後でさせていただきます。
これからすぐ出ないといけないもので。。

それでは、また後ほど!

戻ったので、前回までのお返事タイムにさせていただきます!



> 乙くださったみなさま

ありがとうございます!
いつも、乙の一つ一つからパワーをいただいています。
そう、ミラクルライトのように……。



> ボーズさん

> そう言えばポップの台詞本編では「キャンディ」と言ってたのですがレインボー先生の台詞「お主」と・・・意図的に書いたのですか?

うっ、、本編で言ってませんでしたっけ。。
人称に関しては気を遣っているつもりですが、ガチミスの可能性が。。
確証が持てないので、今度からポップ -> キャンディの二人称は "キャンディ" にしておきます。
やっぱり定期的に原作見直さないとダメですなぁ。。


> あかねや、ゆかでも無くなみちゃん美味しい所、持って行った。

確かに、センパイのために泣くのは主人公ポジションですね。
実は今回の話は『S☆S』のソフトボール最終戦を意識しているところがありまして、
それでいうと、なみは咲ポジションのキャラクタなんですね。逆に主人公側が見送られる方、という話になってます。
おいしい役どころだったのは多分そのせいです。

> 513さん

> どんどんシリアスになってくなぁ

ホントはもっと原作よろしくチャランポラン(って言い方は悪いかもしれませんが) なのもやりたいんですが、
作品の性格上毎度シリアスになってしまうのが若干悩みの種ではあります。。
しばらくはガチシリアスな展開が続きそうなので、ギャグ好きな方には申し訳ないですが、
もうしばらくお付き合いください。



> 514さん

> 裁縫に関して

コメディとして誰かにババ引いてもらうためこういう人選になりましたが、
確かにそこまでヒドくはなかったですねえ。
ちょっと表現過剰だったかもですね。ゴメンよ、みゆきちゃん、あかねちゃん。。


> 『ドキドキ!』に関して

そーですね。コレをアップしている最中は内容のチェックも行っているため、
集中するために始まりだけ見てテレビは消してあります。録画しておいて、後で見てます。
ただ、開幕でぶっ飛んだことされると、消してしまうだけに後が気になってしょうがなくなることもあります。
16話の ベール「コント。"ジコチュー"」はツラかった。。

> 編集者さん

> "レインボーパレット" について

だ、大丈夫です。こちらはちゃんと利用します。
("ミラクルジュエル" は結局なんなのかよくわかりませんでしたね。。ただのタマゴかと思いきや、Rキャンディがパワー源として使ってたっぽい?)
自分は展開知ってるんで特に何とも思わなかったんですが、確かに放置させすぎだったかもしれないですね。
基本的に、"ああ、そんなのあったね" ってくらいに思ってもらっていれば大丈夫です。


> 本作は誰を中心に物語を進めているのですか?

"プリキュアに変身する女の子達" です。特に原作の 5人ですね。
みゆきちゃんが主人公ということで進めてはいますが、実際には "一人ひとりが主人公" という形になると思います。
他のキャラクターをクローズアップすることもありますが、基本的にはプリキュアがメインになります。


> "前回と今回の話を逆にしたほうが良い" というご意見について

ごゆっくり考えてもらえれば、と思いますので、いつでも大丈夫です!
考えまとまった時にでもお書きください。
ただ、自分としては最初からこの順番でいくつもりだった、ということだけ付け加えておきます

> 516さん

> キャンディがピカチュウになっただと?

ですよねーw
これは書きながら自分でも思ってました。"キャンディが放電したら電気ネズミじゃないか" と。
まあ、声がないからいいか! と開き直りましたが。


> 517さん

> 残ったなお or れいか回がアニメでもやった芸人の話になる?

FUJIWARA回は一応あかねちゃん回なので、なおちゃん・れいかさんが絡むということはありません。
と、いうか、FUJIWARAさんの再利用というアイデア自体が頭にありませんでした。。
キュアゴリラ、、どこかで再登場できるかもしれない。。
しかし、実在の人物を登場させて大丈夫なのだろうか。。別にダメってことはないでしょうが、気分的に。。

以上で、お返事タイム終了です!
よろしければ、また今後ともよろしくお願いします!


第1話 〜 第11話 『スマイルプリキュア!』第2期を SS で作るスレ - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1360385907/)

第12話 >>6 から
第13話 >>117 から
第14話 >>223 から
第15話 >>332 から
第16話 >>433 から
第17話 >>520 から

先週までのレスへのお返事タイム >>639 から

乙でした 「泣いて終わり」っていうのはスマイルでは珍しい終わり方? 運動会の時もなおが泣きながら「笑ってる」絵で終わりだったし。
個人的には今回みたいな話の終え方でもいいと思うんだけど(いつもよりレスが少ないから、他の人がどう思ってるか判断できない…)


「どうして勉強するの?」の話ではれいかの頭のよさを際立たせるため(?)、4人の学力をかなり低めに設定
生徒会の選挙の時は全校生徒が、ウルフルン達の考えてみれば絶対にありえない公約をあっさり信じて熱狂する
「ババ引いてもらう」って言うと「れいかの回」のイメージが……書く側からすると、周りの能力を下げないと優秀なれいかを描写しづらいのかな?
>>1は「れいかの回」についてどう思ってる?

ゴルフ休みかと思いきやプリキュアだけやるんだ。。


まあ、どちらにしてもこちらは通常営業!

『スマイルプリキュア レインボー!』

このあとすぐ!

〜 緑川家 庭 〜

パンッ パンッ


なお「――よしっ、洗濯終わり、っと!」


サン サン


なお「……それにしてもいい天気。今日は休みだし、サッカー部の練習も無いし。みんな誘って遊びにでも行こうかな」


とも子(なお母)「なお! なおーっ! いるー!?」

なお「ん? なーに、お母ちゃん!? 庭にいるよー!」


トタトタトタ


とも子「ああ、いたいた。そっか、洗濯しててくれたんだっけね。ありがとね」

なお「それはいいけど、どうしたの、お母ちゃん?」

とも子「町内会の回覧板、持って行ってくれない? 自分で行ければいいんだけど、ゆいの世話で手が離せなくってねぇ……」

なお「ああ、なんだ、そんなこと? いいよ、行ってくる!」

とも子「悪いねぇ、せっかくのお休みなのに……」

なお「気にしないで! パパッと行ってくるから!」


ゆい「おぎゃーぁっ! おぎゃーぁっ!」

なお「あ、ほら。ゆいが呼んでるよ、お母ちゃん」

とも子「あらあらほんと! それじゃ、よろしくね、なお!」

なお「うん! 行ってきます!」

〜 七色ヶ丘市 公園前 〜

スタスタスタ


なお「えーっと……、高瀬さんの家はこの先右だったっけ……」

なお「……ん?」


キコ キコ キコ

少女「…………」


なお(ブランコに乗ってるあの子、周りにお母さんも同じくらいの子もいない……。一人なのかな)

なお(……ちょっと、気になるなぁ)


マジョリン「どうしたマジョ、なお? 行かないマジョ?」ヒョコッ

なお「あ、こら、マジョリン! ポーチから顔出しちゃダメだってば! しゃべるぬいぐるみなんて見つかったら、大騒ぎになっちゃうよ!」

マジョリン「あたしはぬいぐるみじゃないマジョ! 妖精マジョ!」プンスカ

なお「知ってるけど、他の人はそう思わないでしょ! ほら、中入って!」グギュギュ

マジョリン「む、むぎゅぎゅ……」

なお「ゴメンね、マジョリン。キュウクツだろうけど、少しガマンしてね」


なお「さ、急いで済ませちゃおっと!」


タタタタタタッ…

〜 帰り 七色ヶ丘市 公園前 〜

マジョリン「なおー、まだ家に着かないマジョー……? この中狭いマジョー……」

なお「もうちょっとだから。……って、狭いのイヤならデコルになったらいいじゃない」

マジョリン「デコルは疲れるからイヤなんだマジョ……」

なお「じゃあ、悪いけどガマンして。すぐ着くから!」

マジョリン「しょうがないマジョ……。早くするマジョ」

なお「はいはい。……あれ?」ピタッ


キコ キコ キコ

少女「…………」


なお(あのブランコの子、まだいる……。ずっとああしてたってこと?)

なお(……何か、あったのかな)


マジョリン「なおーっ、どうして止まるマジョ? 早く帰――」

なお「ゴメン、マジョリン、帰るの少し遅れそう! ガマンして!」

マジョリン「えぇーっ!? そ、そんなマジョ……」

〜 帰り 七色ヶ丘市 公園内 ブランコ 〜


キコ キコ キコ

少女「…………」


タタタタタッ


なお「こんにちは。さっきから一人で遊んでるよね。どうかしたのかな? 良かったらお話聞かせてくれない?」

少女「…………」




スマイルプリキュア レインボー!

第18話「守れ、親子のきずな! なおの迷子案内奮闘記!」



〜 デスペアランド 王宮 玉座の間 〜

デスペア国王「どうしたのだ、シアンナよ。いつもの伝書ではなく、わざわざ謁見を申し出るとは」

シアンナ「はい。今日は、ぜひとも陛下のお耳に入れたいことがございまして、参上いたしました」

デスペア国王「それはなんだ? 申してみよ」

シアンナ「はい」


シアンナ「ご報告したいことというのは、他でもありません。私達は、ついに発見することができたのです」

シアンナ「陛下がかねてよりご所望されていた伝説の秘宝…… "夢の絵の具" を!」

大臣「なんと!?」

デスペア国王「……まことか?」

シアンナ「このシアンナ、嘘は申しません」

デスペア国王「して、"夢の絵の具" は今どこに? ここにあるわけではないのか?」

シアンナ「……残念ながら、今は手元にありません。ですが、所在は判明しております。プリキュアに力を貸している妖精が所持しておりました」

大臣「その妖精というのは、特定の者なので?」

シアンナ「ええ。キュアハッピーのパートナーで、白く小さい妖精よ。"キャンディ" と呼ばれていたわ」

大臣「ほう……」

デスペア国王「その者が "夢の絵の具" を持っているのだな」

シアンナ「正確には、"夢の絵の具" が入った入れ物を持っておりました。プリキュアによると、"レインボーパレット" というものだそうです」

デスペア国王「"レインボーパレット" ……、知らんな。大臣、わかるか?」

大臣「……申し訳ありません、国王陛下。私も存じませぬ」

デスペア国王「そうか。しかし、"夢の絵の具" の入れ物ともなれば、ただの物ではあるまい。私も知らぬ、ピクチャーランドの秘宝の一つなのだろう」


デスペア国王「では、シアンナよ。急ぎリアルランドに戻り、その "レインボーパレット" を奪取せよ。一刻も早く私の下まで持ってくるのだ」

シアンナ「仰せのままに」シュバッ

大臣「……それにしても、ようやく、といったところですな」

デスペア国王「……ああ、ようやくだ。ようやく、追い求めていた "夢の絵の具" のありかをつかんだ……!」


デスペア国王「絶大な力を持つ、と言われる伝説の秘宝、"夢の絵の具" ……。それされあれば……」

デスペア国王「それさえあれば……、ついに我が願いがかなう……! 私の、願いが……!」


デスペア国王「……ふ、ふふっ、ふふふふっ……! はぁーっはっはっはっはっ!!」

〜 七色ヶ丘市 公園前 〜

スタスタスタ


あかね「いやー、ほんまええ天気やなぁ! 太陽サンサンで気持ちええわ!」

みゆき「うんっ! なんだかウキウキしてくるね! 今日はどこ行こっか?」

あかね「うーん、せやなぁ……。……ん? あれって……」


スタスタスタ


オニニン「今日はどこに行くオニ、やよい?」

やよい「うーん、どうしよっか? 写生するならキレイなところがいいよね」


あかね「おぉーい! やよいーっ!」

やよい「あれ? みゆきちゃん、あかねちゃん! どうしたの、二人で?」

みゆき「あかねちゃんとどこかに遊びに行こうって約束してたんだ。やよいちゃんは?」

やよい「わたしは写生に行くところだったの。漫画うまくなりたいから、ちょっとでも練習しないとね!」

スタスタスタ


はるか「あれ? みゆきちゃん、あかねちゃん、やよいちゃん!」

れいか「皆さんおそろいですね。どうしたのですか?」

みゆき「あ、はるかさん、れいかちゃん!」

あかね「うちはみゆきと遊び行こーとしてたら、そこでやよいとバッタリですわ!」

やよい「二人はどうしていっしょに? どこか行くの?」

れいか「はい。今日ははるかお姉さんと一緒に、勉強で使う参考書を買いに行くところだったんです」

あかね「うぇ……、休みの日まで勉強? れいか、さすがやなぁ……」

はるか「そういうあかねちゃんやみんなは勉強しなくて大丈夫? れいかちゃんから聞いてるよー、もうすぐテストがあるんじゃないの?」

みゆき・あかね・やよい「(ギクッ)」


あかね「……だ、大丈夫ですわ! うちらかてテスト近くなったらちゃんと勉強しますて! な、なぁ、みゆき、やよい?」

みゆき「も、もちろんだよ! こ、今度こそいい点取るぞー」

やよい「ガ、ガンバろうね、二人とも!」


はるか「……みんな目泳ぎすぎ。これ、ホントにギリギリまでやらないパターンだよね、きっと」

みゆき「そ、そんなことないですよー。あはは……はは……」

あかね「そ、そーいえば、これでなおがいたら全員集合やな!」

はるか「あ、ごまかした」

れいか「ですが、本当にそうですね。案外、近くにいたりするかも……」


みゆき「……あれ? あそこにいるの、なおちゃんじゃない?」

あかね「え!? ほんまにおるん?」

みゆき「うん。ほら、公園の中のあそこ。ブランコの前」

やよい「ホントだ! ……あれ? でも、知らない女の子といっしょだね。何してるのかなぁ?」

はるか「何だか気になるね。せっかくだし、行ってみよっか! れいかちゃん、参考書は後でもいいよね?」

れいか「はい! 私も皆さんと一緒の方が楽しいですし、また改めて行きましょう」

はるか「ん、そうこなくっちゃ! よし! じゃあ、みんなでなおちゃんのところ行ってみよっか!」

4人「はい!」

〜 七色ヶ丘市 公園内 ブランコ 〜

なお「ね。どのくらい一人でいたのかな? 他に誰かいっしょじゃないの?」

少女「……きいてどうするの? カンケーないでしょ」

なお「あ……、いや、まあ、それはそうだけど……。なんだか寂しそうに見えたからさ」

少女「……さみしくなんてないもん」

なお「ホントに? もし何かあるんならおねえちゃんが相談に乗るよ?」

少女「うるさいなぁ……、ほっといてよ……」

なお「…………」


なお(困ったなぁ……、全然話聞いてくれない。どうしよう……)

タタタタタタッ


みゆき「おーーい、なおちゃーん!」

なお「あれ? みゆきちゃん、みんな! どうしたの、みんなそろって」

あかね「ちょーどそこの公園前のところでみんなバッタリ会ったんや」

れいか「なおこそ、どうしたの? その子は?」

なお「ああ、この子ね、さっきからずっと一人でブランコこいでるんだ。……もしかしたら、迷子なんじゃないかと思って。それで、話を聞こうと思ってるんだけど――」

少女「わたし、まいごじゃないもん」

なお「――こんなカンジで、なんにも教えてくれなくて、困ってたんだ」

はるか「なるほどね。そういうこと」

あかね「ふっふっふ……。そういうことなら、うちに任しとき!」

なお「な、何、あかね。自信マンマンだね」

あかね「そら、そうや! 話すにしても、とりあえずこの子にゴキゲンになってもらわんと始まらんやろ? "笑い" の本場、大阪人のウデ、見せたるで!」

やよい「おぉーっ!」パチパチパチ

あかね「……っちゅーわけやから、みゆき、漫才やんで。協力してや」

みゆき「ええ!? あかねちゃん一人でやるんじゃないの!? それに、漫才なんて、急に言われても……」

あかね「去年の町内お笑いコンテストで練習したのがあるやろ! あれでええから! ほな、行くで!」

みゆき「え、あ、ちょっと待っ――」


あかね「どもー! あかねでーす!」

みゆき「み、みゆきでーす!」

あかね「二人合わせて、"あかね アンド みゆき" でーす!」

みゆき「そのまんまだよ!」

あかね(おっ、みゆき、何だかんだ言ってええツッコミするやん! これでツカミはバッチリ――)


少女「…………」シーーーン…


あかね(……ニコリともせえへん。……強敵やな)


みゆき「(小声) どうしよう、あかねちゃん……。ホントにやるの?」

あかね「(小声) ここでやめたってしゃーないやろ! 最後までやんで!」

みゆき「ね、ねぇ、あかねちゃん。わたし、好きな人ができちゃったー!」

あかね「ほんまに!? うちの知ってる人? 誰? 誰なん!?」

みゆき「すごーく強くて優しくてぇ、みーんなに慕われてる人なのー!」

あかね「あ、わかったで。絵本大好きなみゆきのことやから、ピーターパンとかやろ!?」

みゆき「ふふーん、違うんだよねぇ」

あかね「なんと! ……そっかぁ、ついにみゆきも、現実の男の子に恋したんやな!? で、誰なん!? 白状しいや!」

みゆき「うぅーん……、恥ずかしいけど教えてあげる。わたしの好きな人はぁ……」


みゆき「桃から産まれた、桃太郎さーん!」

あかね「結局絵本のキャラなんかーいっ!」


みゆき・あかね「どーも、ありがとうございましたー!」


みゆき「(小声) 結構憶えてるもんだね! バッチリできたよ、あかねちゃん!」

あかね「(小声) カンペキやったで! ナイス、みゆき! さぁ、これであの子もドッカンドッカン――」


少女「…………」シーーーン…


あかね「(小声) ――きとらーん……」

みゆき「(小声) うわぁ、面白くなさそー……。ちょっとショック……」


はるか「……ぷっ、みゆきちゃん、どれだけ絵本好きなの? ふっ、くくくくっ……!」


あかね「……全然関係ないのにウケてる人おるし」

少女「……つまんなーい。テレビの方がおもしろいよ」

あかね(おっ、これはチャンスや! 興味あるとこからガンガン行くで!)


あかね「何? テレビ好きなん? うちもお笑い番組とかよー見るで! なんかマネしてみよか? 好きな芸能人とか言ってみ?」

少女「……FUJIWARA」

あかね「おおーっ、奇遇やな! うちも FUJIWARA 大好きやで! よぉーし、ここはいっちょ、FUJIWARA のマネしたろ! ええか、よく見とき!?」

あかね「プリキュア! スマイルチャージ!!」

あかね「とぅるるるるーん! かちーん! かちーん! かちーん! かちーん! ぼわぁーーん! ぽんっ、ぽんっ」


あかね「ナチュラルパワーは野性の力! キュアゴリラ!!」ビシッ


あかね(……自分でやっといてなんやけど、乙女にはちとキツいネタやな、コレ……)

あかね(せやけど、出来は満点やで! どや!?)


少女「似てなーい。なんかちがーう」


あかね「……! ダ、ダメ出し、やて……? うちの……渾身のモノマネが……そんな……」フラッ

れいか「あ、あかねさんっ! だ、大丈夫ですか!? 倒れるほどショックだったなんて……!」

あかね「れ、れいか……。うちはもう……ダメや……。後は……頼んだで……。あの子を……、どっかんどっかん……言わしたって……や……。……がくっ」

れいか「! ……あかねさん……? あかねさん! しっかりしてください、あかねさぁぁーーんっ!」

なお「……何してんの、あかね」


れいか「……わかりました。安心してください、あかねさん。あなたの意思は……私が継ぎます!」

なお「いや、れいかも本気にしなくていいから」


はるか「くっ、ふふふっ……! ゴリラ……! ゴリラって……! ふふふふっ……!」

なお「は、はるかさん? 好きなんですか、こういうの……?」

ザッ


れいか「それでは、青木れいか、参ります」


れいか(……とは言ったものの……。人を笑わせる、というのはどうしたらいいのかしら……。中々思いつかない……。日々修練に励んでいらっしゃる芸人の方々のような面白いことができるとは思えないし……)

れいか(……そうだわ、簡単な言葉遊びなら、私にもできるかも……! いわゆる、"駄洒落" というものであれば……!)

れいか(何か……、何か良い題材はないかしら……?)キョロキョロ


野良猫「なぁーお。ふわぁー……」クテッ

れいか(! ネコがあくびをして……! そうだわ、これならっ!)


れいか「……ネコが……」

少女「? ネコ?」


れいか「ネコが、寝込んだっ!」キリッ


シーーーーーン…


全員「(ポカーン)」

れいか「(キリッ)」

少女「……さむーい」

れいか「えっ!? も、もう夏が近づいて暑くなりだしたというのに……! だ、大丈夫ですか!? もしや、風邪でも――」

なお「れいか落ち着いて! "寒い" っていうのは、"ギャグが面白くない" っていう意味だよ! 病気とかじゃないから!」

れいか「……! で、では……」

みゆき「……うん……。れいかちゃんのギャグ、面白く、なかった……。……ゴメンね」

れいか「!!」ガーン


れいか「……笑いの "道" とは……、これほどまでに遠く……険しいものだったのね……」ガクッ

やよい「ああ……、あかねちゃんに続いてれいかちゃんまで……!」


はるか「れいかちゃん……! そんな、そんな真顔でしょうもない……ダジャレを……! ふふふふふっ……!」

なお「……はるかさん、何言っても大笑いしますね……」

はるか「……あぁー、面白かった。みんな、お笑い上手だね! お腹よじれるかと思ったよ」

みゆき「そ、そうだったかな……」

やよい「はるかさんが面白がりすぎてるだけのような気が……」

なお「でも、肝心のあの子が……」


少女「…………」


はるか「そうだね。あれだけやってもムリなら、よっぽどのことをしないと……」

はるか「……よし! ここは私がやってみるよ! 絶対あの子を笑顔にしてみせる!」

みゆき「おおっ、はるかさん、頼もしい!」

やよい「……でも、あかねちゃんの漫才もモノマネも、れいかちゃんのギャグ(?) もウケなかったし……、どうしたら……」

はるか「大丈夫、任せて! 取って置きのヤツをやってあげる!」

なお「と、とっておき……!?」


はるか「真打登場! 藍沢 はるか、一席語らせていただきます!」

はるか「演目:まんじゅうこわい」

はるか『ひぃぃっ、はぁっ、はぁっ』

はるか『おう、おめえ、遅えじゃねぇか、もうみんな集まってるぜ、……ってなんでえ、真っ青な顔しやがって。どしたい?』

はるか『いやな、ここん来る途中でよ、そ、その、ヘビを見ちまってよ』

はるか『ヘビぃ? なんだ、おめえ、ヘビなんか怖えのかい?』

はるか『怖えもんは怖えんだよ! あのニョロニョロっつうのがどうもダメなんだ、おれぁ』

はるか『ったく、なっさけねえなあ、大の男ともあろうもんが』

はるか『うるせえや! おめえだって、こないだカエル見て "うひゃっ" っておどれえてたじゃねえか!』

はるか『あ、バカ、言うんじゃねえよ、そんなこと!』


全員「…………」ポカーン


みゆき「……え? 何が始まったの?」

なお「さあ……」

はるか『ああ、もう知られちまったからにはしょうがねえ。どうせだったらお前らのニガテなもんも聞いてやらぁ。それ、言ってけ』

はるか『バカ、おめえ、なんでそんなこと言わにゃなんねんだ』

はるか『じゃ、この席おごるっつう話は無しだな』

はるか『あっ、このやろ、しこたま飲んでから言うんじゃねえよ! ……ったく、しょうがねえやつだ。んじゃあ、おれのニガテなもんは――』


少女「……つまんなーい」


はるか「――えっ!? つ、つまんないって、まだ始まったばっかりなんだけど……。も、もうちょっと聞いてたら面白くなるから! ね?」

少女「もういいよ。タイクツなんだもん」

はるか「……!!」ガーン


れいか「……はるかお姉さん、この子に落語はまだ早いのでは……」

はるか「え……。だって、私はこの子くらいの年から落語聴いてたよ……?」

れいか「それは……、おじい様の影響があったからかと……」


あかね「あ、落語やったんか、今の。何かと思ったわ」

やよい「わたしも……。急に男の人っぽいしゃべり方するから、ビックリしちゃった……」

れいか「ほら、皆さんもああ言ってます……。やはり、落語はあまり馴染まれない方が多いのではないでしょうか」

はるか「そんなぁ……、面白いのに……」

みゆき「ねえねえ、れいかちゃん、今のってどういうお話なの?」

れいか「"まんじゅうこわい" という、有名な落語の演目です」


れいか「簡単に説明すると、男性の方々が自分の怖いもの、虫や動物などを言い合っていくんですが、その中で一人だけ、"何も怖くない" という方がいるんですね」

れいか「"生意気だからこらしめてやろう" と思った一人がその方に "怖いものは何か" と聞くと、その方は "まんじゅうがこわい" と言うんです」

れいか「そこで、他の方々はその方を驚かすためにたくさんのおまんじゅうを買ってきて、その方がいる部屋におまんじゅうを入れるんです。その方はおまんじゅうを見て悲鳴を上げました」

れいか「大成功! と思って部屋をこっそりのぞいて見ると、その方は "怖い、怖い" と言いながら、おまんじゅうをおいしそうに食べていました」

れいか「ここで他の方々はようやく "その方がおまんじゅうを買って来させるために怖いなんてウソをついた" ということに気付くんですね」

れいか「怒った他の方々が "じゃあ本当に怖いものはなんだ" と聞くと、その方は "おいしいお茶が怖い" と、図々しくもさらに食後のお茶を出させようとする」

れいか「――と、いうところでおしまい、というお話です」


はるか「あぁー、オチまで全部言っちゃった……」

れいか「……あ! すみません、聞かれたもので、つい……」

はるか「……でも、もういいよ。どーせ、私の落語なんて面白くないもん……。やったってしょーがないよね……」イジイジ

れいか「そ、そんなことありませんよ! 元気を出してください!」


あかね「あらら、いじけてもーた」

みゆき「はるかさん、落語好きだったんだね。ちょっと意外……」

やよい「じゃあ、次はわたしがやってみる!」

あかね「お、なんやなんや、やよい、珍しく自信マンマンやん!」

やよい「うんっ! ちっちゃい子が喜びそうなものなら任せて!」


サラサラサラーッ


みゆき「やよいちゃん、スケッチブックに何か描いてる……。何かな?」ヒョイッ


みゆき「……あ! これって確か!」

やよい「どうかな、みゆきちゃん?」

みゆき「うんっ、これならきっと喜んでくれるよ! さっすがやよいちゃん!」


あかね「?? なんやなんや?」

やよい「ねえねえ、これ見てみて!」

少女「? なに?」

やよい「じゃーーんっ! "天空に冴える月光"! "魔法少女マジカル・ムーン" だよ!」

少女「……!」


あかね「え、それ今描いたん!? めっちゃうまいやん! さっすが漫画家志望やな!」

なお「なるほど! 小さい子に大人気のアニメのキャラなら喜んでくれそうだね! さすがやよいちゃん!」

やよい「えへへ……! こういうのでよければ何でも描くよ! 描いてほしいものがあったら言ってみて!」


少女「…………」マジマジ


あかね「(小声) お、ジーッと見とるで! 興味シンシンやん。いけるんちゃうか!?」

なお「(小声) うん! これならひょっとしたら……」

少女「……おねえちゃん、まだアニメなんか見てるの?」

やよい「…………え?」

少女「もう友だちもみんな見てないよ? おねえちゃん、わたしよりずっと年上なのに、なんでアニメ見てるの?」

やよい「…………」

全員「…………」


あかね「(小声) ……あちゃー……、言うたらあかんこと言うてもた……」

なお「(小声) こ、これは……、や、やよいちゃん……」


やよい「……す……」

なお「す?」


やよい「……好きなものは好きなんだもんっ! いいでしょ、別にぃ!」プンスカ

あかね「わぁっ、やよいが怒った! みゆき、そっち押さえるんや!」

みゆき「う、うんっ! お、落ち着いて、やよいちゃん! どーどー!」

少女「……ねえ、もういい? ほっといてよ……」

なお「あ、ちょ、ちょっと待って! まだ聞きたいことが――」

少女「しゃべることなんてないもん。……バイバイ」スタスタ

なお「あ……!」


なお(ど、どうしよう、行っちゃう……! もし迷子だったら一人にしておくわけにもいかないし……。どうしたら……!)


ヒョコッ


マジョリン「ぷはっ! ……はぁー、もういい加減疲れたマジョ……。なおー、まだ家に着かないマジョ?」

なお「マ、マジョリン!? ダメだってば、しゃべったら! あともう少しだからガマンして!」

マジョリン「もう少しもう少し、って、さっきからそればっかりマジョ! いつになったら着くマジョ!?」プンスカ

なお「ああ、もう、こんな時に!」


少女「……!」


トテトテトテ


なお「……あれ? あの子、こっちに戻ってくる……?」

少女「……かわいい」

なお「え?」

少女「このぬいぐるみ、かわいい……。おねえちゃんの?」

マジョリン「あたしはぬいぐるみじゃないマジョ! あたしは――むぎゅっ」

なお「あ、そ、そうなんだ! このぬいぐるみ、おねえちゃんのなんだ! 気に入ったの?」

少女「うん。もっとよく見せて」


なお(まさかマジョリンを気に入るなんて……。でも、これチャンスかも)

なお(……そうだ! いいこと閃いた!)


なお「ご、ゴメンね! ちょっとだけ待ってね! すぐに戻ってくるから!」タタタッ

少女「あ、う、うん」

マジョリン「ぷはっ! なお、何するマジョ! 急に口ふさいだら苦しいマジョ!」

なお「ゴメン、マジョリン! でも、ゴメンついでに一つ頼みたいことがあるんだ! 聞いてくれないかな?」

マジョリン「な、なんだマジョ、改まって……」


なお「(ゴニョゴニョ)」


マジョリン「……ええー、あたしにそれやれって言うマジョ? 面倒だマジョ……」

なお「お願いだよ、マジョリン。マジョリンの力がどうしても必要なんだ」

マジョリン「……なお。なんでなおはそんなにあの子のことを気にするマジョ? メイワクそうだから放っといたらいいマジョ」

なお「……あの子が、一人で寂しそうだったから」

なお「友達も、お母さんも近くにいなくて、一人で楽しくなさそうにブランコこいで……。あんなところ見たら、放っておけないよ」

なお「一人でいることの怖さは、寂しさは……あたしもよく知ってるから……」


なお「もしあの子が一人でツラい思いをしてるなら、何とかしてあげたい」

なお「だから、マジョリン。お願い。力を貸して」


マジョリン「…………」

なお「…………」

マジョリン「……しょうがないマジョ。なおの言う通りにしてあげるマジョ」

なお「……! マジョリン!」

マジョリン「でも、今日のなおのおやつもらうマジョ! いいマジョ?」

なお「うん、いいよ! ありがとう、マジョリン!」

マジョリン「ひひひマジョ……」

やよい「はぁ……、はぁ……」

みゆき「やよいちゃん、大丈夫? 落ち着いた?」

やよい「う、うん。ついカッとなっちゃって……。あの子にどなっちゃったこと謝らなきゃ……」


あかね「……あれ? でもあの子、なんかなおと楽しそーにしてんで? なんかあったんかな?」

みゆき「あ、ホントだ! なおちゃん、何かしたのかな!? 行ってみようよ!」

やよい「うんっ!」


れいか「あ、なおがあの子と楽しそうにしていますよ! ほ、ほら、はるかお姉さんも落ち込んでないで、行きましょう!」

はるか「……え? ……ああ、うん……」

マジョリン「あたしはメルヘンランドの妖精、マジョリンだマジョー!」

少女「わぁ……! おねえちゃん、すごい! じょうずー!」


タタタタタタッ


みゆき「ねえ、何してるの? なんだかずいぶん楽しそうだね!」

少女「あのね、このおねえちゃんが "ふくわじゅつ" やってくれてるの! すごいじょうずなんだよ!」

あかね「え? 今しゃべってるのマジョリンやろ? それ腹話術じゃ――」

なお「あかね! しーっ」


れいか「(小声) どうやら、マジョリンさんがしゃべっているのをなおの腹話術ということにして、あの子の気を引いているようですね」

あかね「(小声) あ、なーるほど。そーゆーことかいな」

マジョリン「おまえの名前はなんていうマジョ? 教えてくれたら友達になってあげるマジョ!」

少女「…………ゆう」

なお「え?」

少女・ゆう「ゆう。"さがみはら ゆう"」

なお「ゆうちゃん……。ゆうちゃんかぁ……!」

マジョリン「教えてくれてありがとうマジョ! これで、ゆうとマジョリンは友達マジョ!」

少女・ゆう「うん!」


あかね「名前、わかったやん。一歩前進やな」

れいか「ええ」


みゆき「……あ、そうだ! これならわたしも……!」

はるか「そうだね。私もできるかも……!」

みゆき「ねえねえ、ゆうちゃん! 実は、腹話術が得意なのはなおちゃんだけじゃないんだよ!」

はるか「そ! 私達もできるんだ! ほら、見て!」


ピョコッ ピョコッ


キャンディ「こんにちはクル! キャンディは、キャンディっていうクル! ゆうとお友達になりたいクルぅ!」

ペロー「ぼくはペローだペロ! おじょうさん、いっしょにおしゃべりするペロ!」


少女・ゆう「わぁ! こっちもかわいい!」

ペロー「えへへ、かわいいなんて……、てれるペロ」


ワイワイ


やよい「……ゆうちゃん、楽しそう。よかった……!」

れいか「そうですね。やはり笑顔が一番です」

ヒョコッ


ウルルン「おい、あかね! おれ達も腹話術やるウル!」

あかね「何ゆーとんのや。あんたのそのぶっとい声がうちのどっから出るっちゅーねん。腹話術にならんやろ」

ウルルン「ペローだって男だウル! なんでペローはよくておれはダメなんだウル!」

あかね「ペローは声がかわええからええんや」


オニニン「でも、楽しそうオニ……。おれ様も混ざりたいオニ。"やぁ、ぼくオニニン! いっしょに遊ぶオニ!(裏声)" ……やよい、どうだオニ? これなら腹話術になるオニ」

やよい「うん。ちょっとムリかな」

オニニン「そんなオニ……」ショボン


ポップ「まあ、拙者達はプリキュアに皆の衆とは声が合わないから、仕方ないでござる。黙って見守るでござるよ」

れいか「そうですね。ここはなお達に任せましょう」

なお「(小声) それじゃ、マジョリン。いいカンジになってきたから、あのこと、聞いてみて」

マジョリン「(小声) わかったマジョ」


マジョリン「ゆう、教えてほしいマジョ。ゆうはどうして公園に一人でいたマジョ? お母さんや友達はいっしょじゃないマジョ?」

少女・ゆう「……!」

マジョリン「……ゆう? 大丈夫マジョ? なんだか、急に元気がなくなっちゃったマジョ」

少女・ゆう「…………」


少女・ゆう「……おかあさんと、ケンカしたの」

全員「えっ!?」

少女・ゆう「……朝ごはん、たべてるときにね、カップ、わっちゃったの」


少女・ゆう「すごくだいじなものだったんだって。おとうさんと、けっこんしたときに買った、って……」

少女・ゆう「わたしね、あやまったんだよ? おかあさんに、ごめんなさいって、あやまったの」

少女・ゆう「……でも、おかあさん……、おかあさんは……、すごくおこって……!」

少女・ゆう「"ゆうなんてうちの子じゃない!" っていったの……!」


少女・ゆう「…………だから、うち出てきたの。もうおかあさんのかおなんて見たくないもん」


れいか「では、ゆうさんは本当に迷子だったのではなく……」

なお「家出、だったんだ……」


みゆき「……こういう時、何て言ってあげたらいいんだろう」

あかね「あかん、全然わからんわ……」


全員「…………」


マジョリン「ゆう、あの……」

なお「(小声) ……マジョリン、もういいよ。ありがとう。後はあたしがなんとかしてみる」

マジョリン「なお……」

なお「ねえ、ゆうちゃん。お母さん、ホントの気持ちでそんなこと言ったのかな?」

家出少女・ゆう「言ったよ! すごいおこってたもん!」

なお「でも、ゆうちゃん。ゆうちゃんは怒った時、そんな風につい言い過ぎちゃうことってない?」

なお「もしかしたら、お母さんもそうだったかもしれないよ。お母さんもホントは、ゆうちゃんのこと――」

家出少女・ゆう「そんなことない! ぜったいない! おかあさんはわたしのことがキライになったんだ! だから、だからわたしも、おかあさんのこと……」

なお「ゆうちゃん……」

〜 七色ヶ丘市 公園前 〜

松原巡査「……ふう、見つからないな。一体どこに……。早く見つけないと……」


松原巡査「……ん? 公園の中にいる小さい子……、もしかして……!」

〜 七色ヶ丘市 公園内 〜


タタタタタッ


松原巡査「ごめん、君達、話してるところ悪いけど、ちょっといいかな?」

なお「え? ……あ、松原さん!」

松原巡査「ああ、君は確か、緑川さんのところのなおちゃん! 久しぶり」

みゆき「なおちゃん、お巡りさんと知り合いなの?」

なお「うん。うちは小さい兄弟が多いでしょ? だから誰かが迷子になった時、よくこの松原さんのお世話になってたんだ」


マジョリン「……!」

マジョリン(この人は、確か……)


松原巡査(回想)『おばぁーーちゃぁーーんっ!』

松原巡査(回想)『マジョリーナっと。ステキな名前ですね』


マジョリン(あたしが、マジョリーナだった時に相手をしてくれた……)

なお「ところで松原さん、何か用ですか?」

松原巡査「ああ、小さい女の子の迷子を探してほしい、って通報があってね。町中探してたんだよ」

松原巡査「その最中に偶然公園の前を通りがかったら小さい女の子がいるから、もしかして、と思ったんだ」


松原巡査「君、もしかして、相模原 ゆうちゃん、じゃないかな?」

家出少女・ゆう「……そう、ですけど……」

松原巡査「ああ、やっぱり! ……そうか、よかった。お母さんが心配してるよ」

家出少女・ゆう「!!」

松原巡査「さ、お巡りさんと一緒に交番まで行こう。すぐそこだから――」

家出少女・ゆう「やだっ! わたし、ぜったいいかないもん! うちになんて、かえらないもんっ!」ダッ


タタタタタッ…


松原巡査「えっ!? ゆ、ゆうちゃん、どこに行くの!? ゆうちゃん!」

なお「ゆうちゃん……! ……松原さん、あたし、追いかけます!」ダッ

松原巡査「ま、待って! 僕も行くよ!」ダッ


みゆき「た、大変なことになっちゃった……! わたし達も手伝おう!」

あかね「せ、せやな! みんなで追っかけるんや!」

やよい・れいか・はるか「う、うんっ!」

〜 ギャラリー・D 〜

ガチャッ


シアンナ「今戻ったわ」

セルリア「……おかえり……。……報告は……どうだった……?」

シアンナ「さすがに念願の "夢の絵の具" のこととあって、陛下も随分と気を良くされていたわ。"一刻も早く持ってくるように" とのことよ」

セルリア「……そう……。……なら……」

シアンナ「ええ。すぐにでもプリキュアを倒し、"夢の絵の具" を収めた "レインボーパレット" を奪う必要があるわね」

シアンナ「……すでに、私達の "期限" も近いわ。それまでに、何としてでも目的を達成しなければ……!」

セルリア「…………」

セルリア「……シアンナ……、……今回は……私に……行かせて……」

シアンナ「あなたが? 今回は私が行こうかと思っていたのだけど」

セルリア「……私が……行きたい……。……わざわざ……シアンナが……行くことも……ない……」

シアンナ「……そう。そこまでやる気があるなら止める理由はないわね。わかったわ。今回は任せることにする」

セルリア「……じゃあ……行ってくる……」

シアンナ「ちょっと待って。行くならこれを持っていきなさい」ヒュッ


パシッ


セルリア「……投げて……よこした……これ……。……心の……絵の具……? ……使っても……いいの……?」

シアンナ「確かに数は多くないけれど、温存しても仕方が無いわ」


シアンナ「それに、あなたなら有効に使いこなせると見込んでの事よ。それを使えば、プリキュア達も倒せるはず。頼むわね」

セルリア「…………! ……うん……!」シュバッ

〜 七色ヶ丘市 道路 〜

シュバッ


セルリア「…………」


セルリア(……シアンナ……、……私に……絵の具を……預けて……くれた……。……大切な……絵の具を……)


セルリア(…………プリキュア……、……今日は……必ず……私が……倒す……!)

〜 七色ヶ丘市 公園内 〜

タタタタタッ


あかね「どや!? ゆうちゃんおったか!?」

はるか「ダメ! こっちにはいなかったよ!」

やよい「どこ行っちゃったのかな、ゆうちゃん……!」

れいか「見失ってしまった、ということは、公園の茂みの中に隠れてしまったのかもしれません……」


松原巡査「……それにしても、ゆうちゃん、どうして急にいなくなったりしたんだ……。帰りたがってなかったようだったけど……」

なお「松原さん……、ゆうちゃん、実はお母さんとケンカしてたんです」

松原巡査「えっ……!?」

なお「お母さんの大切にしていたカップを壊してしまって、"もううちの子じゃない" って言われちゃったみたいで……」

なお「松原さんが来た時、ちょうどあたし達がゆうちゃんを説得していたところだったんです」

松原巡査「……そう、だったんだ……。間の悪いところに来ちゃったみたいだね……」

松原巡査「……でも、それならなおさらゆうちゃんを見つけないと。ゆうちゃんに伝えなきゃいけないな」

なお「伝える……? 何をですか?」

松原巡査「うん、それは――」


みゆき「お巡りさん! わたし達、茂みの方を探してみます!」

松原巡査「あ、うん、わかったよ! 協力してくれてありがとう! 僕はあっちの方を探してみるよ!」

松原巡査「それじゃ、なおちゃん。僕、行くよ」

なお「わかりました! あたしもガンバって探します!」

松原巡査「ありがとう! それじゃあ!」


タタタタタッ…


なお「…………」

なお(入り口から随分離れちゃったけど……、これだけ探しても見つからないなんて、どこに行っちゃったんだろう……。まさか、本当に茂みの中にいるのかな……?)


なお(……違う。もしかしたら……!)

〜 七色ヶ丘市 公園内 ブランコ 〜


キコ キコ キコ


家出少女・ゆう「…………」

なお「……やっぱりここにいた」

家出少女・ゆう「! おねえちゃん……」

なお「ゆうちゃんが走っていった公園の奥の方をいくら探してもいなかったから、どこにいるんだろう、って思ってたけど……、ここまで戻ってたんだね」

なお「もしかしたら、って思ったけど、あたしの予想通りだったみたい」

家出少女・ゆう「…………」


家出少女・ゆう「……どうして?」

なお「え?」

家出少女・ゆう「おねえちゃんは、どうしてわたしがここにいるっておもったの?」

なお「うん……。間違ってるかもしれないんだけど……」


なお「もしかしてこのブランコって、ゆうちゃんとお母さんの思い出の場所なんじゃない?」

家出少女・ゆう「……!!」

なお「最初、ずっとここにいたよね。あたし、それが気になってて。それで、ここにゆうちゃんの大切な何かがあるのかもしれないな、って思ったんだ」

なお「……実はね、あたし、お父ちゃん、お母ちゃんの他に、弟と妹が 6人いるんだ」

なお「それだけいたら、もう家族とケンカなんてしょっちゅう! おもちゃを取った、とか、おやつを食べた、とかでね」

なお「"もう顔なんて見たくない!" っていう時もいっぱいあるよ。……今の、ゆうちゃんみたいに」

家出少女・ゆう「…………」

なお「……でも、しばらくしたらすぐに仲直りできるの。どうしてだと思う?」

家出少女・ゆう「……わかんない……」


なお「……一緒に過ごした、思い出がたくさんあるからだよ」

なお「その時は怒っちゃってても、思い出があるから、その人にもいいところがたくさんあるってわかってる。だから、ケンカしてても仲直りできるんだ。ゆうちゃんには、ないのかな、お母さんとのそんな思い出」

なお「ゆうちゃんは "お母さんにもう会いたくない" って言ってたけど、ゆうちゃんがキライになっちゃうほど、お母さんはずっとイヤな人だった?」

なお「……いい思い出もあるんじゃないかな。例えば、ここのブランコとかで」

家出少女・ゆう「…………」

家出少女・ゆう「…………ブランコ、のれるようになったの」


家出少女・ゆう「わたし、ようちえんのころ、一人だけブランコがこわくてのれなかったの」

家出少女・ゆう「おかあさんにそのこと言ったらね、"おかあさんといっしょにのれるようになろう!" って言ってくれて……」

家出少女・ゆう「わたしがブランコにのってるとき、ずっとおかあさんがいてくれて……。少しずつこわくなくなって……」

家出少女・ゆう「……それでわたし、ブランコ、のれるようになったの」


なお「……そっか。……それが、ゆうちゃんとお母さんの思い出なんだね」

なお「だから、ゆうちゃんはここにいたのかな。お母さんとの、楽しい思い出を思い出したかったから」

家出少女・ゆう「…………」

なお「……ゆうちゃん。ホントは、お母さんのこと、キライじゃないんじゃないかな」

なお「だって、ホントにキライだったら、離れてたって寂しくならないよ」

なお「一人で寂しい顔してたのは……、ホントはお母さんのことが好きだから、なんじゃないかな」

家出少女・ゆう「…………」


なお「もしそうなら、ゆうちゃん、おうちに帰ろう? きっとお母さんも待ってるよ」

家出少女・ゆう「……でも……、おかあさん、まだおこってるよ……。だって…… "もううちの子じゃない" って……」


スタスタスタ


松原巡査「そんなことはないよ、ゆうちゃん」

なお「松原さん!」

松原巡査「やっと見つけたよ。こんなところにいたんだね」

松原巡査「ゆうちゃん。お母さん、君のこと、とても心配していたよ」

家出少女・ゆう「え……、おかあさんが……?」

松原巡査「お母さんが交番に飛び込んできた時、とても慌ててた。"あの子になにかあったらどうしよう"、"早く見つけてください" って」

松原巡査「お母さんはゆうちゃんにひどいことを言ってしまったようだけど、本気じゃなかったと思うよ。だって、あんなに一生懸命にゆうちゃんのことを心配してたんだから」

家出少女・ゆう「…………」


なお「ほら、お母さんはもう怒ってないって。あとはゆうちゃんの気持ちだけだよ」

なお「……ゆうちゃんは、どうしたい?」


家出少女・ゆう「…………」

家出少女・ゆう「……わたしは……」


ザッ


セルリア「もう何も気にしなくていい」


なお「!? デ、デスペアランド!?」

セルリア「……だって……お前達は……ここから……一歩も未来へ……進むことは……ないんだから……」

サッ


セルリア「…… "勇気の藍色・フェルメール" ……! ……闇の絵の具と……混ざり合え……!」


ビャァァッ バチバチバチッ

バチィッ!


セルリア「……できた……。これが……闇の絵の具・"恐怖の藍" ……!」

セルリア「……闇の絵の具よ……闇の絵筆よ……。キャンバスに……絶望を描き出せ……」


シュババババッ


セルリア「……現れよ……アキラメーナ……」


ズズズズズズ…


アキラメーナ(カーブミラー型)「アキラメーナァッ!」


松原巡査「な、なんだあれは……!」

家出少女・ゆう「……かがみの……オバケ……?」


なお「これって……、あたし達がアキラメーナの中に閉じ込められた時と同じ……! っていうことは……!」

なお「ゆうちゃん! 松原さん! 早く逃げてっ!」


セルリア「もう遅い」ニヤァッ


アキラメーナ(カーブミラー型)「アキラメーナァッ!」


バァァァァァァッ!


松原巡査「こ、これは……、鏡から、黒い光が……!?」

なお「くっ、鏡に吸い込まれる!?」

家出少女・ゆう「わっ、わぁぁぁぁぁっ!?」


スゥゥゥゥ…


セルリア「…………終わらない……恐怖の中で……苦しめ……」

〜 "恐怖" のデスペア空間 〜

なお「……う……。ここは……」

マジョリン「前に吸い込まれた時と同じマジョ。きっと、また "デスペア空間" ってところマジョ」

なお「……じゃあ、あの時みたいに、ここでもまた何か幻が出てくるの……?」


ザッ


源次(なお父)「おっ、なおじゃねぇか。何やってんでぇ、こんなとこで」

なお「え……!? お、お父ちゃん!?」

とも子「あらホント、なおじゃない」

なお「お、お母ちゃんまで……! ……ううん、ち、違う……、みんないる……。けいた、はる、ひな、ゆうた、こうた、ゆいまで……」

源次「ま、いいか。さ、行くぞ」

とも子「そうねえ、行きましょうか」

なおの弟妹達「はーい!」


スタスタスタ…


なお「ちょ、ちょっと待って! どこに行くの、みんな!」

源次「どこって……。おめえのいねえところだよ」

なお「……え……?」

とも子「今日から私達となお、別々に暮らすことになったから。一人になっちゃうけど、頑張ってね」

源次「んじゃあな! 元気でやれよ!」

なお「……そんな……、何それ……! 待って……待ってよ、みんな!」


スタスタスタ…


なお「……待ってよぉ……」ガクッ

なお「……待ってよ……みんな……」

マジョリン「ど、どうしたマジョ、なお!? 一人で何言ってるマジョ!? そこにはなんにもないマジョ!」


セルリアの声『……ここは……中にいる……人間が……一番……怖いものを……見せる場所……』

セルリアの声『……キュアマーチの……怖いものは…… "孤独" ……。……その……幻を……見てる……』

セルリアの声『……キュアマーチは……もう……孤独の恐怖から……逃げられない……!』


マジョリン「そ、そんな……! なお! しっかりするマジョ! 目を覚ますマジョ!」

なお「…………」

セルリアの声『……無駄……。……もうキュアマーチは……答えない……。……何も……』

〜 七色ヶ丘市 公園内 ブランコ前 〜

タタタタタッ


あかね「やっぱりおったで! デスペアランドや!」

れいか「ゆうさんも心配ですが……、このまま暴れさせてはおけませんっ!」

はるか「……あれ、ところで、なおちゃんは?」

やよい「まだゆうちゃんを探してるんじゃあ……」

みゆき「ゆうちゃんはなおちゃんに任せて、わたし達は変身しよう!」

全員「うんっ!」

妖精達「デコル・チェーンジ!」

パチンッ!

レディ!

5人「プリキュア! スマイルチャージ!!」

ゴー! ゴーゴー! レッツゴー!!


ハッピー「キラキラ輝く、未来の光! キュアハッピー!!」

サニー「太陽サンサン、熱血パワー! キュアサニー!!」

ピース「ぴかぴかぴかりん♪ じゃん・けん・ポン!(チョキ) キュアピース!!」

ビューティ「しんしんと降り積もる、清き心。キュアビューティ!!」

キュアノーブル「さらさら流れる気高きせせらぎ! キュアノーブル!!」

セルリア「……来たな……プリキュア……、……キュアハッピー……!」ギロッ

ハッピー「えっ? な、なんかこっち見てる……!?」


セルリア「……やれ……アキラメーナ……! ……キュアハッピーを……倒して…… "レインボーパレット" を……、奪え……!」

アキラメーナ(カーブミラー型)「アキラメーナァッ!」


ピカァッ!


ハッピー「わっ、まぶし……!」

ビューティ「太陽の光を鏡で反射して、ハッピーに当てているのでしょうか……?」

ハッピー「あ、で、でも大丈夫そうだよ! ちょっとまぶしい……だ……け……」

ハッピー「…………」チリチリ

ピース「……? ど、どうしたの、ハッピー?」


ハッピー「……あっつい! あっつ、あっつい、あっつぅーいっ!」

ノーブル「そっか! ハッピー、その光から逃げて! 太陽の光を集めてるからすっごく熱いはずだよ!」

ハッピー「はい! すっごく熱いです! でも……!」ダッ


アキラメーナ(カーブミラー型)「アキラメーナァッ!」クルッ


ハッピー「鏡がずっとこっちに向いてて逃げられませーん! あっつーい!」

サニー「あかん、このままやとハッピーがこんがり焼けてまう! そうはさせへんで!」ダッ

サニー「サニー・パァーンチッ!」ドガァッ

アキラメーナ(カーブミラー型)「アガッ……!?」グラッ


スゥッ


ハッピー「あ、ひ、光がそれた……。助かったぁ……!」メラメラ

ピース「!? ハ、ハッピー! 髪! 髪燃えてるよ!?」

ハッピー「え……?」メラメラ


ハッピー「わぁぁぁっ、ホントだ! まだあっつーい!」

ノーブル「じっとして、ハッピー! ノーブル……水鉄砲!」ピューッ


バシャシャシャッ ジュウッ…


ハッピー「あ、水かけてもらったから火が消えたぁ……。ありがとうございます、ノーブル……」

ノーブル「どういたしまして!」

ビューティ「それにしても、完全にハッピーに狙いを絞ってきていますね……!」

ノーブル「ハッピーの……、ううん、キャンディちゃんの持ってる "レインボーパレット" を狙ってるんだよ、きっと」

サニー「なんぼハッピー狙ってきたって関係あらへん! その前にやっつけてまえばええんや!」


セルリア「……できるか……、……お前達に……。……鏡の……中を見ろ……」


ハッピー「え? 鏡、って……、アキラメーナの鏡の中?」


なお「――――」

家出少女・ゆう「――――」

松原巡査「――――」


ハッピー「! な、なおちゃん! ゆうちゃん! お巡りさん! 鏡の中に映ってる……!?」

セルリア「……あいつらは……デスペア空間に……閉じ込めた……」

ピース「デ、デスペア空間……ってもしかして、あの時と同じ……!?」

ビューティ「……待ってください。皆さんがアキラメーナに捕らわれているということは……」

ノーブル「アキラメーナをやっつけちゃったら、中の人は……、なおちゃん達は、どうなるの……?」

セルリア「……アキラメーナと……一緒に……消える……」

全員「!!?」


セルリア「……アキラメーナ……倒せるなら……倒してみろ……。……みんな……消えてもいいなら……!」

ハッピー「そ、そんな……! そんなこと……できないよ……!」

セルリア「……くくく……! ……なら……、……お前達は……何も……できない……! ……大人しく……諦めて……倒されろ……!」


サニー「くっ、手も足も出えへん……! どないしたらええんや……!」

ビューティ「……なお……!」

〜 "恐怖" のデスペア空間 〜

マジョリン「なお! なおーっ! しっかりするマジョ!」

なお「…………」

マジョリン「……ダメマジョ……。何も聞こえてないマジョ……。どうすれば……」


フラフラ


松原巡査「な、なおちゃん……! よ、よかった……見つかった……! 僕が、来たから……もう、大丈夫だよ……!」

マジョリン「!? あ、あんた……! どうしてここで動けるマジョ!?」

松原巡査「……君は……? ぬいぐるみが……しゃべってる……?」

マジョリン「あ、あたしは……なおの友達マジョ! そ、そんなことより、どうして……!? ここにいる人間は怖くてしょうがなくなるはずなのに……!」

松原巡査「……よくわからないけど……、さっきから体の震えが止まらないのは……そういうことだったんだ……」

松原巡査「……でもね……」


松原巡査「……僕にとって、一番怖いのは……、みんなを守れないことなんだよ……!」

松原巡査「だって僕は……警察官なんだから……!」

マジョリン「!!」


松原巡査「……だから、なおちゃんを……ゆうちゃんを……守ら……なきゃ……」ガクッ

マジョリン「……気を失っちゃったマジョ。……こんなになるまで、なお達のことを……!」

マジョリン「……なお。今の言葉、聞こえたマジョ? マツバラは……、"一番怖いことは、みんなを守れないこと" って言ったマジョ」

なお「…………」

マジョリン「こんなところでボーっとしてていいマジョ!? なおが何もしなかったら……、ゆうはどうなるマジョ!?」

なお「……ゆう……ちゃん……?」


マジョリン「なおがこんなになるんじゃ……、ゆうはもっと怖い思いをしてるはずマジョ……」

マジョリン「ツラい思いをしてるゆうを放っておけないんじゃなかったマジョ!? 助けたいんじゃなかったマジョ!?」

なお「……たす……ける……」


マジョリン「それなら、震えてる場合じゃないマジョ! 立つマジョ!」

マジョリン「勇気を出して、ゆうを助けるマジョ! なおーっ!!」

なお「……!!」

なお「…………そうだ……。……あたし……、こんなところで……震えてる場合じゃ……ない……!」


なお「ゆうちゃんも……ゆうちゃんのお母さんも……、お互いのことが大好きなのに……! 会えないなんて、そんなこと……あっていいわけない……!」


なお「あたしが……、あたしが何とかしなきゃ、いけないんだ……! 絶対、ゆうちゃんとお母さんを……会わせてあげるんだ……!」


なお「今こそ、勇気を……勇気を出さなきゃ……いけないんだぁっ……!!」グググッ


マジョリン「なお……! 立てたマジョ……!」

なお「……ありがとう、マジョリン。マジョリンのおかげで、目が覚めたよ……。でも、もうちょっとだけ、力を貸して……!」

マジョリン「もちろんだマジョ! それでこそ、なおだマジョ! 行くマジョ!」

なお「うんっ……!」

マジョリン「デコル・チェーンジ!」

パチンッ!

レディ!

なお「プリキュア……! スマイルチャージ……っ!!」

ゴー!

ゴーゴー! レッツゴー、マーチ!!


マーチ「勇気リンリン……、直球勝負……! キュア……マーチ!!」


ガシッ


マーチ「松原さん担いで……と……。急がなきゃ……! ゆうちゃんのところへ……!」ダッ

ゆうの母「じゃあね、ゆうちゃん。もう、あなたなんてうちの子じゃないの。さよなら」


スタスタスタ…


家出少女・ゆう「ま、まって……。おかあさん、まってよぉ……!」

家出少女・ゆう「もう、おかあさんにメイワクかけないから……、いい子になるから……!」

家出少女・ゆう「だから、おいてかないで……! おいてかないでよぉ……!」

家出少女・ゆう「ひっ……ひっく……、……うわぁぁぁん……!」


ズザァァァァッ!


マーチ「見つけた……! ゆうちゃん……!」

家出少女・ゆう「……ひっく……、……だ、だれ……?」

マーチ「ゆうちゃんを……助けに来たんだよ……!」

マーチ「ねぇ、ゆうちゃん……、聞きたいことがあるの。ゆうちゃんの素直な気持ち、聞かせて」

マーチ「お母さんに、会いたい?」


家出少女・ゆう「…………」

家出少女・ゆう「……うん……! あいたい……!」

家出少女・ゆう「おかあさんにあいたいっ! おかあさんにあって、たくさんおはなししたい!」


マーチ「……わかった!」ニコッ

バァァァァッ!


マジョリン「! マーチ、体が光ってるマジョ! これって……、ピースと同じ……!?」


マーチ「……うん。今ならわかるよ。今、あたしの胸にあるこの気持ち」


マーチ「これが……、これがあたしの……!!」


バァァァァァァァッ!!

〜 七色ヶ丘市 公園内 ブランコ前 〜

セルリア「……アキラメーナ……プリキュアに……トドメを……!」

アキラメーナ(カーブミラー型)「アキラメ……アガ……?」


ハッピー「……っ! ……あ、あれ? 何もしてこない……」

サニー「ハッピー! 鏡、見てみ!」

ハッピー「えっ、鏡?」

ビューティ「……! あ、あれは……!」


バァァァァァァァッ!!


セルリア「……!? ……鏡から……緑の……光が……!?」

アキラメーナ(カーブミラー型)「アガ……アガガッ……! アガァァァッ!?」


バリィィィィィィン!!

バッ


ノーブル「鏡が割れて……、マーチが飛び出した!」

ピース「ゆうちゃん! お巡りさんもいっしょだぁ!」


スタッ


マーチ「ゴメン、みんな! お待たせ!」

ビューティ「マーチ、その体の緑の光……、それは……!」

マーチ「うん。あたしにも出せたみたい。…… "夢の絵の具" の力!」


セルリア「…… "夢の絵の具" の……力……!? ……あれが……!」

セルリア「……でも……、……まだ……終わってない……! ……アキラメーナ……、……戦え……!」

アキラメーナ(カーブミラー型)「アッ……、アキラメーナァッ!」

ハッピー「マ、マーチ! 危な――」

マーチ「(キッ)」シュバッ

セルリア「……!? ……き……消えた……!?」

アキラメーナ(カーブミラー型)「ア、アガッ!? アガァッ??」キョロキョロ


バッ


セルリア「……! ……アキラメーナ……! ……後ろ……!」

アキラメーナ(カーブミラー型)「アガッ!?」

マーチ「……ゆうちゃんのお母さんが待ってるから。一発で……決めるっ!!」


ギュルルルルッ!


セルリア「……キュアマーチが……回って……風が……集まっていく……!?」


マーチ「プリキュアッ! マーチ・シュートォッ・インパクトォォッ!!」


ズドォォォォォォォォンッ!!


アキラメーナ(カーブミラー型)「アガァァァァァッ……!?」シュワァァァァ…


セルリア「……そんな……。……風をまとった蹴り……一発で……アキラメーナが……消えた……!?」


セルリア「…………せっかく…… "心の絵の具" ……、使わせて……もらったのに……。……シアンナに……任せて……もらったのに……っ!」

セルリア「(ギリッ) ……プリキュア……! ……許さない……絶対……!」シュバッ

松原巡査「……う、ううん……。……あ、あれ、ここは……」

なお「あ、松原さん。目、覚めたんですね」

松原巡査「なおちゃん……。……あ、そ、そうだ!」

松原巡査「なおちゃん、ゆうちゃん、大丈夫かい!? 僕達、鏡のオバケに襲われて、変なところに入れられて、それで……」

松原巡査「……それで、どうしたんだったかな……。思い出せない……」

家出少女・ゆう「わたしも……。なんだかすごくこわかったような気がするけど……」


はるか「二人とも、公園の中を走り回ってるうちに、暑くて倒れちゃったんですよ」

れいか「それで、私達が今まで介抱していたんです」

松原巡査「ええっ? ……じゃあ、今までのは全部、夢……?」

みゆき「そ、そうですよ! 鏡のオバケなんているわけないじゃないですか!」

松原巡査「う、うん……。それは、そうだね……。なんだ、夢か……」


全員「(ホッ)」

マジョリン「(小声) ごまかすのも大変だマジョ……」

なお「それより、ゆうちゃん。お母さんの夢、見てなかった? 寝てる時に言ってたよ。"おかあさんにあいたい" って」

家出少女・ゆう「……!」

なお「ゆうちゃん、ホントはお母さんに会いたいんだよね? それなら行こうよ! お母さんもきっと、ゆうちゃんのこと待ってるよ!」


家出少女・ゆう「……うんっ!」

〜 七色ヶ丘市 交番 〜

松原巡査「お待たせしました、相模原さん。ゆうちゃん、見つかりました」


ガタッ


ゆうの母「……ゆうちゃん……っ!」

家出少女・ゆう「……あ、あの……おかあさん……。わたし――」


ガバッ


家出少女・ゆう「……! おかあさん……!?」

ゆうの母「ゴメンね……、ゴメンね……ゆうちゃん……! "うちの子じゃない" なんて、ひどいこと言って……! そんなこと、全然思ってないからね……! 無事で……無事でよかった……!」

家出少女・ゆう「……お、おかあ……さ……!」


家出少女・ゆう「……うっ……うわぁぁぁぁん! おかぁさぁぁぁんっ!」

ゆうの母「ゆうちゃん……! ゆうちゃん……っ!」


松原巡査「……良かった。本当に」

あかね「……ええシーンやないか。なんや、うちまでもらい泣きしそうや……、ぐすっ……」

れいか「なおのおかげね。なおが一生懸命頑張ったから、二人とも仲直りできたんじゃないかしら」

なお「……そうだといいね。そうだったら……、こんなに嬉しいことないよ……!」


パァッ…


やよい「! な、なおちゃん! 体、わたしの時みたいに光ってるよ!?」

なお「……え? わっ、ほ、ホントだ!」

はるか「っていうことは、なおちゃんからも……!?」

みゆき「と、とりあえず交番の外に出よう!」

〜 七色ヶ丘市 交番近くの道路 〜

みゆき「キャンディ! "レインボーパレット" 、お願い!」

キャンディ「わかったクルぅ!」


パカッ


なお「わっ、どんどん、光が強く……!」


ポンッ


はるか「出た! 光の玉!」


ヒューーーーン ポチョンッ


やよい「わたしの時みたいに、光の玉が "レインボーパレット" に吸い込まれたね!」

みゆき「っていうことは、これが……!」

キャンディ「なおの "夢の絵の具" クル!」


キラキラキラ


なお「緑色の "夢の絵の具" ……。これが、あたしの……」

あかね「……ん? ちょお待って。"夢の絵の具" って、うちらプリキュアの "未来に向かう強い気持ち" がいっぱいになった時に出るんやったよな?」

あかね「ってことは、なお、もしかして……、夢、見つけたんか?」

みゆき「あ、そういうことになるのかな? やよいちゃんの時は "漫画家" っていう夢があったもんね」

れいか「どう、なお? なおの "道" は見つかった?」

なお「……うん。多分これが、あたしの夢、なんだと思う」

なお「あたし、一人で寂しそうにしてるゆうちゃんのこと、放っておけなかった」


なお「ゆうちゃんとお母さんがお互いに大好きなのに離れ離れになってるって知った時、絶対に会わせてあげたい、って思った。自分がどんなに怖くても、勇気を出して」


なお「それで、ゆうちゃんとお母さんが会えた時、あたし、本当に嬉しかった……!」


なお「その気持ちに気づいた時、あたし、思ったんだ。"ゆうちゃん達みたいに町の人たちを笑顔にするために、その笑顔を守るためにガンバりたい" って」


なお「ゆうちゃん達のために一生懸命ガンバってた、松原さんみたいに」


みゆき「お巡りさんみたいに、ってことは、なおちゃん……、もしかして……!」

なお「うん」


なお「……あたし、警察官になりたいな、って、思ったんだ」

あかね「……なおが警察官……、っちゅーことは、婦警さんかいな!」

なお「そういうことになるの、かな。もちろん、今すぐどうこうってわけじゃないけど……、もし目指すんだったらそういうのがいいかな、って」

やよい「なおちゃんの婦警さん……! うんっ、すごくいいよ! なおちゃんなら、きっとカッコイイ婦警さんになれるよ!」

はるか「そうだね。面倒見が良くて、勇気があって……。ピッタリなんじゃないかな!」


なお「……でも、改めて言うと、なんだかテレくさいね……」

れいか「恥ずかしがることなんてないわ。とってもステキな夢だと思うわよ、なお」

なお「れいか……、ありがとう」

タタタタタッ


家出少女・ゆう「おねえちゃーん!」

なお「あ、ゆうちゃん。どうしたの?」

ゆうの母「すみません。ゆうが、"どうしてもおねえちゃんにお礼が言いたい!" って聞かなくて……」


家出少女・ゆう「おねえちゃん……。おねえちゃんのおかげで、おかあさんとなかなおりできたよ。……ありがとうっ!」ニコッ

なお「……うん! 良かったね、ゆうちゃん! おかあさんと、ずぅーっと、仲良くね!」ニコッ

家出少女・ゆう「うんっ!」

あかね「……なんや、こうして見とると、もう夢かなっとるような気がすんなぁ」

やよい「うん、そうだね。もうリッパな婦警さんに見えるよ」

れいか「ええ、本当に」


みゆき(よかったね、なおちゃん。やりたい事が見つかって)

みゆき(ガンバって、カッコイイ婦警さんになってね! わたし達みんな、応援してるから!)





つづく

次回予告

みゆき「美術の宿題で何を描くか悩むわたし達は、れいかちゃんのおうちの人達に連れられて山に写生に行くことになったの!」

みゆき「でも、れいかちゃんはそこで何が描きたいかわからなくって、悩んじゃってるみたい……」

みゆき「ガンバって、れいかちゃん! れいかちゃんならきっと見つけられるよ! れいかちゃんだけのステキな絵!」


みゆき「次回、『スマイルプリキュア レインボー!』 "探そう! れいかの描く道!"」


みゆき「みんな笑顔でウルトラハッピー!」

今回はここまでです!
お読みいただいた方、ありがとうございました。


それにしても、急に暑くなって来ましたね。。
これ書いてる今もあっついあっつい、、汗ダラダラ。。

みなさまも、熱中症などはもちろんのこと、
冷房での冷えすぎにも注意して、健やかにお過ごしください。


よかったら次回もまたよろしくお願いします!

お返事タイムです!


> ボーズさん

> 自分も確証が無く・・・もし間違えていたら失礼をお許しください

ああ、いえ、そんな!
原作の設定の反映についてはできるだけ気を付けていきたいと思いますので、
他にも何かお気づきのことがあったら教えてください!

自分だと結構気づかないことも多くって。。

> 645さん

> 「泣いて終わり」っていうのはスマイルでは珍しい終わり方?

そうですねー。。正直、この回は実験的な回でした。

おっしゃる通り終わり方もハッピーエンドではないですし、作り方も普段と違いますし。。
(いつもは、"日常ドラマをバトルで解決" という一定のフォーマットに従って書いてます。
 今回はドラマとバトルがあんまり関係ないんですね)
さらに、"夢の絵の具" を探す、という本筋とも関係ない、という。

書く予定は最初っからあったんですが、いざ書いたら大分浮いた回になりました。。

まあ、一応後につながる回ではあるので、"たまにはこんな回も" とでも思ってくだされば幸いです。


> >>1は「れいかの回」についてどう思ってる?

そうですね。。
れいかさんのハイスペックぶりを描写しようと思ったら、
おっしゃる通り、やっぱり周りを下げて、相対的に高くなるよう描写するのが一番手っ取り早いかと思います。
絶対的に能力を表現するにも限界がありますしね。

ただ、確かに他の 4人は学力が低めですが、れいかさんにない取り柄をみんなが持っていて、
逆にその欠点が愛嬌に繋がっている、という形になっていると思っています。
(実際、おバカなところは『スマイル』の大きな魅力でもあると思います ;^ ^)

れいかさんを上げつつ、他も下げない。
とてもキャラクターのバランスが取れているなあ、と感心してしまいます。
本作『レインボー!』でも、そのあたりのさじ加減は気をつけていきたいと思います。

……『レインボー!』16話で必要以上に他のキャラのダメ描写をしてしまったのはお許しください。。
ヘタにやるとこうなるぞ! ってことで、いい教訓になりました。
今後に生かしていきます。。

以上です!

それでは、今後ともよろしくお願いします!


第1話 〜 第11話 『スマイルプリキュア!』第2期を SS で作るスレ - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1360385907/)

第12話 >>6 から
第13話 >>117 から
第14話 >>223 から
第15話 >>332 から
第16話 >>433 から
第17話 >>520 から
第18話 >>647 から

こんばんは。少し時間が空いてしまいましたが、考えがまとまったので、返答の返事を書かせて頂きます。


※そうですか、良く解りました。読んでいて常に気になっていたんです。『誰が主人公なのかな?』と。でも、本作の進行の中心人物(=AKB式にいえば)メインセンターは、ミユキという解釈でいいんですよね?その割には現時点で彼女個人が活躍するエピソードが少ないように感じるのですが(自分の記憶が正しければ1話と7話ぐらいしかなかったような)?15話と16話を変えると言いましたが、具体的には『 15話 ミユキ  16話 キャンディ  17話 ヤヨイ  18話 アカネ  19話 ナオ  ・・・  』という順番で進行していったら自分的にはスッキリするのではないかなと思いました。15話は敵が新アイテムを使ってパワーアップするという重要な回でもあるのでここはヤヨイではなくミユキが自分の夢を見つけるエピソードにした方が(間違っていたらゴメンなさい)本作のテーマである『(将来の)夢』について書きやすかったのではないでしょうか?※


 それと、16話を読んで感じたのですが、「やっぱり、キャンディは他の妖精とは別格だし、本作の重要ポジションであるキャラ設定なのでデコルチェンジはしない方が良かった」ような気がします。今回の展開の流れをみていて私個人が感じたことは、この『スマイルプリキュア』という作品は『ハトプリ』や『(現在放映中)ドキプリ』のようなパートナー妖精設定はちょっと無理があるのではないでしょうか?本編同様「ポップとペローは、メルヘンランドにいて、三幹部妖精達は、敵から(命を)狙われているキャンディの護衛をするため人間界へやって来る」という設定にしたほうが、自分はスッキリするのではないかなと思いました。以前、「プリキュアと妖精達をワチャワチャさせたいから今の設定にした」とおっしゃていましたが、それなら本編24話のように「プリキュア達がハルカを連れてメルヘンランドへ行く」エピソードを作れば(上手く言えませんが)あなたの欲望が果たされるのではないでしょうか?後、キャンディが『夢の絵の具』を使って敵を撃退するシーンがありますが、あそこは妖精のままでも良いと思いますが、本編の最終決戦段階に登場したロイヤルキャンディに変身してから倒した方が敵がキャンディの存在に興味を持つようになるきっかけにもなりますし、もっとインパクトのある描写が出来たのではないのでしょうか?


 最後に、今後のネタ作りの参考(になるかもしれない)のアドバイスを二つ。一つは「スマプリのアンチスレを読む」・・・色んな書き込みの中には信憑性が疑わしいものもチラホラありますが、的を得ている人は的を得ていますし、皆悪いと思う箇所は同じなので、ここに書かれている意見全てが間違っているというわけではありませんので、時間がある時に参考程度に目を通してみてはどうでしょうか?もう一つは、色んなスマプリ2期(二次)小説家さん達の作品を読んでみることをおススメします。

 それでは、返事が遅くなりましたが、今日はこの辺で失礼させて頂きます。明日も楽しみにしています。

>>742
本編でもみゆきが主役の話数はこんなものじゃなかったけ(19話までは)?「初回、キャンディとイレカワール、母の日」の3つで。
レインボー!では"藍"と"紫"が増えた分、どうしてもこの後みゆきに回せる話数は少なくなっちゃうと思うけど。
あと必殺技「レインボーヒーリング(敵が青っ鼻になった)」が初登場した回は"みゆき"じゃなくて"れいか"(とキャンディ)の回だったりする。
だから、新アイテム登場回が別にみゆきの話である必要はないでしょ。
っていうか「将来の夢」って点で見れば、アニメの中で一番やりたいことが固まってそうなのが"やよい"だったから、一番最初に持ってきて正解だと思う。
逆に一番問題児なのが"れいか"? アニメの中で「自分のやりたいことを見つけたい+将来の事より友達を選んで留学蹴った」だし。

早く絵の具7色そろえないと、レインボーパレット(アニメで言うとプリンセスキャンドル・ラブハートアロー的な位置づけ)の次の箱系の玩具
例 クローバーボックス・ハートキャッチミラージュ・ヒーリングチェスト・ロイヤルクロック
が出せないっていうのもキツイよね。

『スマイルプリキュア レインボー!』

このあとすぐ!

〜 山道バス内 〜

ブロロロロ…


みゆき「今日は楽しいピクニックー♪」

あかね「動物さんらに囲まれてー♪」

やよい「楽しくワイワイ遊んじゃおー♪」

みゆき・あかね・やよい「おーっ!」


はるか「みんな、はしゃぐのはいいけど、今日は絵の宿題を描くんでしょ? そっちも忘れないようにね」

みゆき・あかね・やよい「はーい!」


なお「それにしても、よかったんですか? せっかくの家族旅行にあたし達まで一緒に連れて行ってもらって」

誠一郎(れいか父)「もちろんだよ。みんな一緒の方が楽しいからね。僕達も、もちろん、れいかも。なぁ、れいか?」

れいか「ええ……」

なお「……? どうしたの、れいか。具合でも悪い? ちょっと元気なさそうだけど」

れいか「あ……、大丈夫よ、なお。どこも悪かったりしないわ」

なお「そう、ならいいけど……。何かあったら言ってね」

れいか「ええ、ありがとう」


はるか「…………」

はるか(……れいかちゃん、まだちょっと元気ないなぁ。この旅行で元気になってくれるといいけど……)

※作者注
 れいか父の名前は設定上にも存在しない(っぽい) ため、
 "誠一郎" というのは本作『レインボー!』のみの捏造設定です。念のため。

れいか「…………」ペラッ


れいか(……何も描かれていない、真っ白なスケッチブック……)


れいか(見つかるかしら……。私の描きたいものが何か……)




スマイルプリキュア レインボー!

第19話「探そう! れいかの描く道!」



〜 数日前 青木家 れいか自室 〜

はるか(回想)『――つまり、ここの化学反応式は CuO+H2→Cu+H2O となって――』

れいか(回想)『…………』

はるか(回想)『――? れいかちゃん? 聞いてる? れいかちゃん?』

れいか(回想)『……あ! は、はい、少しぼうっとしてしまっていました……。……すみません……、せっかく家庭教師に来てもらっているのに……』

はるか(回想)『それはいいけど……。珍しいね、れいかちゃんが勉強に集中しないなんて。……もしかして、悩み事でもあった?』

れいか(回想)『…………』

はるか(回想)『ああ、やっぱりあるんだ。ね、もしよかったら話してみてよ。私でよければ相談に乗るよ?』

れいか(回想)『…………』


ピョン


ポップ(回想)『れいか殿、あの話、はるか殿に相談してみたらどうでござるか?』

れいか(回想)『ポップさん……。……そうですね』


れいか(回想)『はるかお姉さん、これを見てください……』ペラッ

はるか(回想)『これって、スケッチブック? でも、何も描いてないね。……これが悩みのタネなの?』

れいか(回想)『はい……』

れいか(回想)『このスケッチブックは、一昨日の美術の授業に出された宿題のために使うものなんです』

はるか(回想)『宿題?』

れいか(回想)『はい。題材は特に無く、"自分の好きなものを自由に描く" という宿題です』

はるか(回想)『そうなんだ。……でも、それで何で悩んでるの? 言われた通りに好きなものを描けばいいんじゃない?』

れいか(回想)『……それが、わからないんです……』

はるか(回想)『え……?』

れいか(回想)『私の好きなもの……、心から望むもの、それが、何なのか……』

れいか(回想)『……私は今まで、なおやみゆきさん達、メルヘンランドの皆さんと過ごして、大切なことを学んできました』

れいか(回想)『自分の "道" がわからずとも、多くを学ぶことで見えてくるものがあること。過ごしてきた日々、培ってきたものは、何一つ無駄にはならないこと』


れいか(回想)『ですが、未だに見えないのです。私が具体的にどうしたいのか』

れいか(回想)『……なおや、やよいさんのような、私だけの、向かうべき未来が……』

はるか(回想)『……あ。もしかして、"夢の絵の具" の話?』

れいか(回想)『そう言うと少し誤りがあるかもしれませんが……』

れいか(回想)『なおややよいさんが "夢の絵の具" を出した時、二人はとても強い気持ちを持っていました。未来に向かう、強い気持ちを』

れいか(回想)『……不安なんです。今まで、自分の "道" を見出せていなかった私に、あれほど強い気持ちが芽生えるのかどうかが……』

れいか(回想)『そう考えた時、この "好きなものを描く" というだけの美術の宿題がとても難しく感じてしまいました』

れいか(回想)『この白いスケッチブックが、何も思い描けていない私の心そのものに思えて……』


ポップ(回想)『れいか殿……』

はるか(回想)『……なるほど、ね』

はるか(回想)『……よし、じゃあ今日の勉強はここまでにしようか』

はるか(回想)『そんなに深刻に悩んでるようじゃ成果も出ないよ。今日やろうとしたところはまた今度、元気になってからやろう! ね?』

れいか(回想)『……はい、すみませんでした。わざわざ来ていただいたのに……』

はるか(回想)『いいっていいって! 気にしないで』


はるか(回想)『それより、早く見つけられるといいね。れいかちゃんの描きたいもの。れいかちゃんの好きなもの』

れいか(回想)『……はい……』

〜 数日前 青木家 廊下 〜

スタスタスタ


ペロー(回想)『れいかさん、心配ペロ……。随分悩んでるみたいだったペロ』

はるか(回想)『そうだね、ペロー君。……何か、力になってあげられればいいんだけど……』


曾太郎(れいか祖父)(回想)『……む? そこにおるのは、はるかか?』

はるか(回想)『あ、おじい様! こんにちは』

曾太郎(回想)『うむ。今日もれいかの家庭教師か? 度々苦労をかけるな』

はるか(回想)『いえ、そんな。好きでやってることですから』


はるか(回想)(……あ、そうだ。おじい様になら……)


はるか(回想)『あの、おじい様、ちょっとよろしいでしょうか? 折り入ってご相談したいことがあるんですが』

曾太郎(回想)『ん? どうした、改まって』

はるか(回想)『はい、実は――』

〜 数日前 青木家 食堂 〜

曾太郎(回想)『れいか。少しよいか』

れいか(回想)『あ、はい、おじい様。なんでしょうか』

曾太郎(回想)『今度の休み、家族全員でどこかへ出かけるのもよいかと考えている。お前はどう思う?』

れいか(回想)『え……、家族旅行、ということですか?』

曾太郎(回想)『まあ、そのようなものだ』

静子(れいか母)(回想)『素敵じゃありませんか。珍しいですね。お義父様がそういったことをおっしゃるなんて』

曾太郎(回想)『梅雨に入りここのところ雨続きだったが、次の休みは晴れるそうだ。良き日和に羽を伸ばすのも良いかと思ってな』

れいか(回想)『そうですか。……そういうことでしたら、私も行きたいです』

曾太郎(回想)『うむ、そうか。誠一郎、淳之介、おまえ達はどうだ?』

淳之介(れいか兄)(回想)『僕はもちろん賛成です。とても楽しみですよ。ねえ、父さん?』

誠一郎(回想)『ああ、そうだな。よし、それじゃあ、僕がとっておきの場所に案内しよう! いいですか、お父さん?』

曾太郎(回想)『うむ。では、行き先はお前に任せよう、誠一郎』


れいか(回想)『あの、お父様、とっておきの場所、というのはいったい……』

誠一郎(回想)『ここから少し離れた山だよ。すごく自然が豊かでね。動物と触れあれる牧場もあるからきっと楽しめるぞ! キレイなところだから、絵を描くには絶好の場所さ!』

れいか(回想)『!』

静子(回想)『ふふっ、もう、あなたったら。何かというと絵の話ばかりなんだから』

誠一郎(回想)『そりゃあ、画家としては当然さ。素晴らしい題材は常に探していないとね』


れいか(回想)(絵を描くには絶好の場所……)

れいか(回想)(……もしかしたら、そこなら、私の描きたいものも見つかるかも……)

れいか(回想)『あの、おじい様』

曾太郎(回想)『なんだ?』

れいか(回想)『その旅行、私の友達も誘ってよろしいでしょうか? お父様が "絵を描くにはいいところ" とおっしゃいましたが、ちょうど私達のクラスで美術の宿題が出ていまして』

曾太郎(回想)『友人達と共に絵を描きたい、と』

れいか(回想)『はい。……ダメでしょうか?』

曾太郎(回想)『反対する理由もない。お前の好きなようにするがよい』

れいか(回想)『……! ありがとうございます!』

曾太郎(回想)『礼を言われるほどのことでもない。はるかも同行する予定であったからな。数人増えようと同じことだ』

静子(回想)『まあ……。それでは、かなりの大人数になりますね。お弁当、腕のふるい甲斐がありますわ。れいか、手伝ってくれる?』

れいか(回想)『はい、もちろんです、お母様』

〜 現在 山道バス内 〜

ブロロロロ…


みゆき「んっふっふー、まだかなまだかなー?」ワクワク

はるか「誠一郎おじ様、後どのくらいで着きますか?」

誠一郎「もうちょっとかかるかな。結構奥まったところだからね。もうしばらくの辛抱だよ」

〜 山道バス内 後部座席 〜

セルリア「…………」


セルリア(……プリキュア達を……見つけたと……思ったら……、車に乗り出して……。……どこへ……行く気……?)


セルリア(……どこでも……構う……ものか……。……逃がさない……、……今度こそは……!)

〜 数日前 ギャラリー・D 〜

シアンナ(回想)『……そう。今度はキュアマーチの力が目覚めて失敗に終わった、と』

セルリア(回想)『……ごめん……なさい……』

シアンナ(回想)『謝ることはないわ。彼女達の底力が予想を上回っていたというだけのこと。それよりも、失敗を活かして成功につなげることを考えましょう』

セルリア(回想)『……うん……』


セルリア(回想)『……お願い……シアンナ……。……もう一度……私に行かせて……。……次こそは……必ず……!』

シアンナ(回想)『……この前もそうだったけど、随分とやる気ね。何かあったの?』

セルリア(回想)『……わからない……、……私にも……。……でも……やりたいの……!』

シアンナ(回想)『……? よくわからないけれど、その気迫は買うわ。"心の絵の具" を一つ預けるから、行ってらっしゃい』

セルリア(回想)『……うん……!』

〜 現在 山道バス内 〜

セルリア「…………」


セルリア(……シアンナ……、……このごろ……元気ない……。……この間も……ぼーっと……空を……見てた……)

セルリア(…………あいつらの……せいだ……! ……プリキュアさえ……倒せば……、…… "夢の絵の具" さえ……手に入れば……、……もう……あんな顔しなくて……すむ……!)

セルリア(……プリキュア……、……今度こそ……倒してみせる……!)


サッ


セルリア「…… "決断の藍色・ブライトブルー" ……! ……闇の絵の具と――」


フラッ


セルリア「…………!?」

セルリア(……何……!? ……目の……前が……揺れる……!? ……気分が……悪い……。……集中……できない……! ……なんで……!?)

みゆき「まっだかなー? まっだかなー?」ワクワク

なお「もう、みゆきちゃんったら、はしゃぎすぎだよ。ほら、これあげるから落ち着いて」スッ

みゆき「わぁ、バナナだぁ! いいの、なおちゃん!?」

なお「うん! バナナはおやつに入らないのはピクニックの常識だからね! いっぱい持ってきてあるんだ。ほらっ!」ズラッ

あかね「……うわぁ、リュックの中バナナだらけや。どんだけ食べるつもりやねん……」

みゆき「もぐもぐ……、おいしーい!」

やよい「ふふっ、みゆきちゃん、おサルさんみたい! ほら、これから行く公園のパンフレットのおサルさんもバナナ食べてるよ!」

みゆき「あ、ひどーい、やよいちゃん! わたし、おサルさんじゃないもん! はっぷっぷー!」


全員「あははははっ!」


セルリア「…………(ギリッ)」

セルリア(……プリキュアが……目の前に……いるのに……手出しできない……! ……私……どうしたの……!?)

みゆき「まっだかなー? まっだかなー?」ワクワク

なお「もう、みゆきちゃんったら、はしゃぎすぎだよ。ほら、これあげるから落ち着いて」スッ

みゆき「わぁ、バナナだぁ! いいの、なおちゃん!?」

なお「うん! バナナはおやつに入らないのはピクニックの常識だからね! いっぱい持ってきてあるんだ。ほらっ!」ズラッ

あかね「……うわぁ、リュックの中バナナだらけや。どんだけ食べるつもりやねん……」

みゆき「もぐもぐ……、おいしーい!」

やよい「ふふっ、みゆきちゃん、おサルさんみたい! ほら、これから行く公園のパンフレットのおサルさんもバナナ食べてるよ!」

みゆき「あ、ひどーい、やよいちゃん! わたし、おサルさんじゃないもん! はっぷっぷー!」


全員「あははははっ!」


セルリア「…………(ギリッ)」

セルリア(……プリキュアが……目の前に……いるのに……手出しできない……! ……私……どうしたの……!?)

〜 数十分後 山道バス内 〜

バスアナウンス『終点ー、青空高原ー。皆様ー、お忘れ物の無いようにお降りくださいー』


あかね「おっ、着いたで! よっしゃ、一番乗りや!」サッ

なお「あ! ズルいよ、あかね! あたしが先に降りる!」ダッ

やよい「また始まっちゃった……。二人とも、ホントに負けずギライだなぁ……」


ドヤドヤドヤ…


セルリア「…………」


セルリア(……結局……、……何も……できなかった……)

セルリア(……それどころか……まだ……体調がおかしい……、……立てない……。……これは……プリキュアの……新しい……力……!?)


バスの運転手「あらー、お姉ちゃん、顔真っ青。こりゃ車酔いだね。大変だろう、少し休んでいきなよ」


セルリア(…………車……酔い……? ……何……それ……)

〜 青空高原 バス停 〜

誠一郎「さあ、着いたよ、みんな! ここが、僕のオススメ絵描きスポット、"青空高原" だ!」


6人「……わぁ……!」


みゆき「……緑がたくさん……! すごくキレイな景色……!」

あかね「すぅー、はぁー。空気もオイシイわー!」

はるか「へぇー、ホントにいいところ……! ここならきっといい絵が描けるよ! ね、れいかちゃん!」

れいか「……そうだと、いいですね」


れいか(きれいな山々。青い空。確かに素敵なところだけれど……、描く気に……なれない……。どうして、私の心は動かないの……?)

れいか(……私は……、どうすれば……)


ポップ「(小声) れいか殿、大丈夫でござるか? 顔色が優れないでござる。やはり、まだあの悩みが……」

れいか「(小声) すみません、心配ばかりかけて……。……ですが、これは私の問題。私が何とかしなければならないんです」

ポップ「(小声) ……すまんでござる。拙者、れいか殿のパートナーだというのに、何も力になれず……!」

れいか「(小声) 気にしないでください、ポップさん。そのお気持ちだけで十分です」

やよい「あ、あっち! あれがれいかちゃんのお父さんが言ってた牧場ですか!?」

誠一郎「ああ! あれが、この青空高原の目玉、"どうぶつふれあい公園" だよ。そこらの動物園よりたくさんの動物がいてね。人気のスポットなんだ」

なお「へぇー……! おじさん! あたし、動物が見たいです! 行きましょうよ!」

誠一郎「そうしようか。時間はいっぱいあるからね。絵を描く以外にもたっぷり楽しむといいよ」

みゆき「やったぁー! 動物さん楽しみぃー! 早く行ってみよ!」グイッ

あかね「あ、ちょっ、みゆき! 引っ張らんといてや!」


はるか「みんな元気だね! 私達も行こ、れいかちゃん!」

れいか「あ、は、はい」

〜 青空高原 どうぶつふれあい公園 ヤギふれあいコーナー 〜

ヤギA「メェェェー」

ヤギB「メェェェー」


みゆき「うわぁー、ヤギだぁ! ヤギさんいっぱいいるよ!」

なお「あ、こっち来るよ!」


パカパカ


ヤギA「メェェェー」


はるか「カワイイね。れいかちゃん、撫でてみなよ。きっと喜ぶよ」

れいか「あ、はい、では……」スッ

ヤギA「(ペロッ)」

れいか「きゃっ……!?」ビクッ

あかね「お、れいか手なめられたん? おいしそーなにおいするんかなぁ?」

はるか「きっと気に入られたんだよ、れいかちゃん」

れいか「そ、そうなのでしょうか……」


ヤギA「(ペロペロ)」


れいか「ちょっとくすぐったいけれど……、あったかいです」

〜 青空高原 どうぶつふれあい公園 ウサギふれあいコーナー 〜

あかね・なお「はぁー……!」


ウサギ「(ピョコピョコ)」


あかね・なお「……かわいいー……!」


あかね「……たまらんわー……! こんなにおるんやったら、どのコか持って帰りたいなぁー……」


はるか「ほら、れいかちゃんも行ってきなよ。はい、キャベツ。あげれば食べてくれるんだって」

れいか「え、ええ……。では」スッ


ウサギ「(シャクシャク)」


あかね「……キャベツ食べとるー……、カワイすぎやろー……! なぁ、れいかもそう思わへん?」

れいか「……ええ、そうですね。とても可愛らしいです」


はるか「…………」

スタスタスタ


静子「はるかちゃん、れいかの様子はどう?」

はるか「あ、静子おば様。ええ、少し元気出てきたみたいです。カワイイ動物とふれあって和んでるみたいですよ」

静子「そう。……でも」


れいか「…………」


静子「まだ少し顔が暗いわね」

はるか「うーん……、そうですね……」

静子「……じゃあ、ここは一つ、荒療治をしてみようかしら」

はるか「荒療治、ですか?」

静子「ええ。うふふ」

スタスタスタ


静子「れいか、どう? 楽しんでいるかしら」

れいか「あ、お母様。……はい、動物さん達もみんな可愛らしくて、楽しいです」

静子「それは良かったわ。……でも、その割には少し元気がないわね?」

れいか「え……! そ、そんなことはありませんよ?」

静子「……ふふ」


静子「ねえ、れいか。少し付き合ってもらえないかしら。れいかと一緒に行きたいところがあるの」

れいか「行きたいところ、ですか? ……はい、わかりました」

〜 青空高原 どうぶつふれあい公園 乗馬体験コーナー 〜

パカラッ パカラッ パカラッ


静子「はっ!」

馬「ヒヒーン!」

れいか「きゃぁぁっ! お、お母様!? "乗馬をしたい" というから一緒に馬に乗りましたが……、は、激しすぎませんか!?」

静子「大丈夫よ! こう見えて、昔、若い頃は乗馬をたしなんでいたんだから! しっかりつかまっていなさい!」

れいか「は、はいっ……!」ギュッ

静子「まだまだ行くわよ! それっ!」


パカラッ パカラッ パカラッ

なお「うわぁ、すごいね! 静子おばさん、カンペキに馬乗りこなしてるよ!」

はるか「静子おば様は乗馬もとてもお上手なんだ。昔、賞を取ったこともあるって言ってたよ」

みゆき「すごぉーい……、かっこいいー……! まるで白馬の王子様みたーい……!」

あかね「"王子様" ちゃうやろ、って。……せやけど」


れいか「……っ!」


あかね「一緒に乗っとるれいかはタイヘンそうやなぁ……。まるでジェットコースターみたいや」

やよい「でも楽しそうーっ! わたしも後で乗せてもらおうかなぁ……!?」

みゆき「え? やよいちゃん、ジェットコースターとか好きなの?」

やよい「うんっ! 大好きだよ!」

あかね「やよいはほんま、ヘンなところで怖いもん知らずやなぁ……」

パカッ パカッ


静子「よし、どうどう。……どう、れいか? 乗馬は楽しいでしょう?」

れいか「はぁっ、はぁっ、はぁっ……。す、すみません……、しがみつくのに夢中で……、それどころでは……、ありませんでした……。……はぁ……」

静子「ふふっ、疲れちゃったかしら。でも、夢中になれたのなら良かったわ」

静子「とてもドキドキしているんじゃないかしら? ……悩み事も忘れるくらいに」

れいか「……! お母様、どうしてそれを……?」

静子「わかるわよ、数日前かられいか、ずっと元気なかったことくらい。母親ですもの。れいかのことだから、また何か悩みを抱えているのでは、と思っていたの」

れいか「…………」


静子「……私はね、昔、何か嫌な事や落ち込んだ事があった時は、こうやって馬を走らせたのよ」

静子「そうすれば、私は夢中になることができた。色々な事を忘れて、また新しい気持ちになることができた」

静子「れいかはどう? ほんの少しでも悩みを忘れられて、少し楽になったのではないかしら」

れいか「……言われてみると、そのような気がします」

静子「れいか、もしどうしても心が楽にならない時は、一度心をカラにしてみなさい」

れいか「……心を……カラに?」

静子「ええ。悩み事も、嫌な事も全部考えない。そのまましばらくすれば、少しづつ不安も消えていくわ」

静子「……よく考えることはあなたのとてもいいところだけれど、たまには考えることを休んでもいいのよ。考えすぎると、心が疲れてしまうもの」

静子「だから、私はれいかと馬に乗りたかったの。乗馬に夢中になることで、れいかの疲れた心を少しでも楽にしてあげたくて」

静子「だって、私はれいかの優しい笑顔が大好きなんですもの」ニコッ

れいか「……お母様……」


馬「ブルルっ」


静子「あら。ふふ、この子もれいかのことを励まそうとしてくれてるのかしら。よく頑張ってくれたものね」

れいか「……お母様……、お馬さんも……、……ありがとうございます!」

静子「ええ。悩み事、解決できるといいわね。私はいつでも、れいかのことを見守っているわ」

れいか「はいっ……!」

〜 青空高原 どうぶつふれあい公園 〜

はるか「れいかちゃん、どうだった、乗馬は?」

れいか「はい。とてもドキドキしましたけれど……、楽しかったです」

はるか「……! そっかぁ……! よかった!」


やよい「いいなぁ、れいかちゃん……、乗馬楽しそう……。わたしも乗せてもらおうっと!」

なお「あ、待って、やよいちゃん! あんまり遊んでばっかりだとすぐ日が暮れちゃうよ? そろそろ絵を描かないと」

やよい「あ、そうだった……」

あかね「ほんなら、みんなで絵、描きに行こか! うちはさっきのウサちゃん描くんや!」

みゆき「あ、じゃあわたしはアヒルさんにする! "みにくいアヒルの子" みたいな絵にしたいなぁ!」

なお「よぉっし、それじゃあみんな、行こっか!」

みゆき・あかね・やよい「おーっ!」

はるか「あ……、そういえば、れいかちゃん。描きたいものって……見つかった?」

れいか「……いえ、残念ながら、まだ……」

はるか「そっか……」


れいか「でも、だからといって、こうしていても何も始まりません。私、描きたいものを探してきます!」

はるか「れいかちゃん……! うん、そうしよう! 私も手伝うよ!」

れいか「ありがとうございます、はるかお姉さん!」


はるか(れいかちゃん、前向きになってきた……! きっと、静子おば様のおかげだね。ありがとうございます、おば様)

はるか「あれっ、あそこにいるのは……」


誠一郎「むっ、あのサル、ポーズが実に勇ましいぞ。これはいい」サラサラサラッ

誠一郎「おっ、あっちのウサギ、眠っている姿がとても愛らしいな!」サラサラサラッ

誠一郎「なんと! 白鳥が二羽寄り添っている! これは決定的な瞬間だ!」サラサラサラッ


れいか「お父様!」

はるか「誠一郎おじ様!」


誠一郎「ん? ああ、れいかにはるかちゃんじゃないか。どうだい、二人とも。この公園はいいところだろう? 楽しんでいるかい?」

れいか「はい!」

誠一郎「おお、いい返事だね、れいか。楽しんでもらえているなら良かった」


はるか「ところで、おじ様、横に積まれているこのスケッチブックの山、もしかして……」

誠一郎「ああ、それは全部僕が描いた絵だよ。つい夢中になってしまってね。気がついたらそんな量になっていたんだ」


ペラッ ペラッ


はるか「うわぁ……、本当に全部のページに絵が描いてある。しかも、すごく上手……! やっぱり、プロの画家は違うなぁ……」

誠一郎「ははは、はるかちゃん、おだてても何も出ないよ」

れいか「…………」

れいか「……お父様。お聞きしたいことがあるのですが、よろしいでしょうか?」

誠一郎「ん? なんだいれいか、改まって。言ってごらん?」


れいか「お父様は、どうしてこんなにたくさんの絵を描けるのでしょうか?」

誠一郎「え……? どういう意味だい? 僕はただ、描きたいものを描きたいだけ描いているだけだけれども」

れいか「……実は、私は何を描いていいのかがわからないのです」

れいか「何か、決められたものを描くのであればいいのですが……、"何でもいい" となると、かえって何を描いていいのかわからなくなってしまって……」

誠一郎「……ふうむ」


誠一郎「……れいかはきっと、考えすぎているんだな」

れいか「考えすぎ、ですか……?」

誠一郎「僕はね、れいか。何を描こうか、考えてから描いているわけではないんだよ。ただ、僕の心が "いいな" と感じたものを描き写しているだけなんだ」

誠一郎「れいかももう少し、自分の心に素直になってみるといい」

れいか「心に……素直に……」

誠一郎「そうさ。嬉しい、楽しい、悲しい、なんでもいい。何かを見て、心に感じたことがあるなら、それを素直にただ描けばいい」

誠一郎「そうすれば、きっと描くことができるよ。れいかだけの、素敵な絵がね」


はるか「もう少し探してみようか、れいかちゃん。こんなにいいところなんだもん、きっとれいかちゃんの心に響くものが見つかるよ!」

れいか「……はい! お父様、ありがとうございました!」ペコッ

誠一郎「ああ、気をつけて行っておいで」


タタタタタタッ…


誠一郎「……頑張れ、れいか」

〜 青空高原 どうぶつふれあい公園 展望台 〜

サラサラサラッ


曾太郎「……ふむ、このようなところか」


スタスタスタ


れいか「おじい様、このようなところにいらっしゃったのですね」

曾太郎「はるかにれいかか。二人で回っておるのか?」

はるか「はい。ところで、おじい様は何をされているのですか?」

曾太郎「なに、皆が絵を描くというのでな。たまには書ではなく絵もよいかと思い、描いておった」

はるか「へえ、おじい様が絵を、ですか。どれどれ…………うわっ……!」

れいか「こ、これは……! 山々を描いた、素晴らしい水墨画ですね……!」

曾太郎「あまりおだてるものではない。所詮、素人の手習い程度のものだ」

はるか「い、いやぁ……、これは、そういうレベルじゃあ……。まるでプロ並み……」

れいか「……やはりおじい様はすごい方ですね……」


曾太郎「時にれいかよ。お前はどのような絵を描いたのだ。見せてみよ」

れいか「え……、あの、実は……、まだ何も描けていないのです……。何を描いてよいのかわからず……。今も探している最中なのですが……」

曾太郎「……そうか」

曾太郎「れいかよ。お前は "道" に迷っておるな。自分の進むべき "道" がわからぬから、自分のことがわからぬから、自由に絵を描くことができない。違うか?」

れいか「……! はい、その通りです……」


曾太郎「れいか。お前に何を描けばよいか、わしから言うことはできん。それは、お前自身が見つけねばならんものだ」

曾太郎「他の者に言われるのではなく、お前自身が悩み、考え、見つけなければならん」


れいか「…………」

はるか「…………」

曾太郎「だが、もし何かを見つけることができたなら、その "道" を往くことを決して迷ってはならん」

曾太郎「その "道" が例え誤っていようとも、往ってみなければわからないこともあろう」

曾太郎「その "道" を進むことに不安があろうと、障害があろうと、自らの強い意思を持って、ただひたすらに突き進め」


曾太郎「……わしから伝えられることはここまでだ。後はお前次第だぞ、れいかよ」


れいか「……はい。ありがとうございました、おじい様!」

はるか「…………」


はるか(…… "ただひたすらに突き進め" 、か……)

曾太郎「ああ、それと、れいかよ」

れいか「なんでしょうか、おじい様?」

曾太郎「はるかに礼を言っておくがいい。お前をとても気遣っておったぞ」

れいか「! ……はるかお姉さんが、わたしを……?」

曾太郎「そもそも、この旅行のきっかけは、はるかがわしに相談をしてきたからだ。"れいかの元気がないようだから励ましたい" 、とな」

れいか「……そう、だったのですね」

〜 青空高原 どうぶつふれあい公園 ベンチ 〜

れいか「……はるかお姉さん、ありがとうございました。私、気付きませんでした。そこまで気遣っていただいていたなんて……」

はるか「いやぁ……、お礼言われるほどのことじゃないよ。れいかちゃん、とっても悩んでたから、少しでも力になれれば、って思っただけなんだ」

れいか「そのお気持ちが……、私にはとてもうれしいです……!」


はるか「……でもね、れいかちゃん。おじい様はああ言ってたけど、れいかちゃんのことを気遣っていたのは私だけじゃないんだよ」

れいか「えっ……?」

はるか「私はただ、"れいかちゃんを元気付けたい" って言っただけなんだ。旅行のことを考えてくれたのは、おじい様なんだよ」

れいか「そう、なんですか?」

はるか「他にも、ここに来るって提案してくれたのは誠一郎おじ様なんでしょ? 静子おば様や淳くんも賛成してくれたって」

れいか「はい、その通りです」

はるか「みんながれいかちゃんに元気になってほしいって思って、それぞれ、色々考えてくれたんだよ」

はるか「だから、お礼を言うなら私だけじゃなく、おうちのみんなにだね!」

れいか「……はい!」

はるか「それに、れいかちゃんは "自分が何をしたいかわからない" って言ってたけど、その悩みだって、すぐ解決するよ!」

はるか「だって、れいかちゃんの周りにはとってもステキな "先生" がいっぱいいるんだから!」

れいか「"先生"、ですか?」

はるか「そ! れいかちゃんのおうちのみんなのことだよ」


はるか「れいかちゃんのおうちの人達は、みんなれいかちゃんより年上だよね」

はるか「"先生" って、"先を生きる" って書くでしょ? だから、おじい様も、誠一郎おじ様も、静子おば様も、淳くんも、みんなれいかちゃんの "先生" なんだよ。……あ、一応、私も年上だから、先生ってことになるのかな?」

はるか「その "先生" 達は勉強だけじゃない、きっと色んなことを教えてくれるはずだよ。みんな、れいかちゃんより多く生きてるんだから」

はるか「……だから、れいかちゃん自身で "道" を見つけられなくっても、あんまり気にしないで」

はるか「れいかちゃんの周りには、たくさんの優しい "先生"達がいるよ。れいかちゃんが困ってたら、きっと優しく手を取って、"こっちだよ" って導いてくれる」

はるか「そうやって、周りの人たちに "道" を教えてもらえば、きっとそのうちれいかちゃんの "道" も見つかるよ」

はるか「誰かと同じだっていい。れいかちゃんが進みたいって思ったんなら、それがれいかちゃんだけの "道" だよ」


はるか「もしその時、私の力が必要だっていうなら、いくらでも協力するよ! その気持ちはきっと、れいかちゃんのおうちの人達も一緒だと思う」

はるか「それに、なおちゃん達だっているじゃない! みんなだって、れいかちゃんのことを応援してくれるよ!」

はるか「だってみんな、れいかちゃんのことが大好きなんだから!」


はるか「だから、一人じゃなくて、みんなで探していこう? れいかちゃんの "道"。行きたい未来を!」


れいか「……はるか、お姉さん……!」

れいか「……私、恥ずかしいです。皆さんにそこまで想われていることに気付かないで、自分で何とかすることばかり考えていました……」

れいか「でも、はるかお姉さんが "みんなで探していこう" と言ってくださった時……、とても安心できました」

れいか「……そうなんですね……。一人でなくてもいいんですね。一人では無理でも、皆さんが手伝ってくれれば……、私、できるような気がします! 自分の "道" を見つけることが!」

れいか「素敵なことを教えてくださって、本当に……ありがとうございます! はるかお姉さん!」ニコッ


はるか「……やっと、笑ってくれたね。その笑顔が見たかったんだ。やっぱり、れいかちゃんは笑顔が一番だよ!」


はるか「さ、その元気があれば、描きたいものだってすぐ見つかるよ! 一緒に探そう!」

れいか「はいっ! はるかお姉さん!」

〜 青空高原 どうぶつふれあい公園 ベンチ近くの物陰 〜

みゆき・あかね・やよい・なお「…………」


あかね「……なんか、出づらくなってもーたな」

みゆき「うん。れいかちゃん、なんだか元気なかったみたいだから、元気付けようと思ってソフトクリーム買ってきたけど……、いらなかったみたい」

やよい「今二人のところにいったらおジャマになっちゃいそう……」


淳之介「そんなことはないよ。行ってあげてほしい」

なお「わっ!? じゅ、淳兄ちゃん! いつからそこに?」

淳之介「みんなが何かコソコソしてるのが見えたから、気になって来てみたんだ」


淳之介「それより、早く行った方がいいよ。せっかくのソフトクリームが溶けてしまうからね」

淳之介「れいかを想うみんなの優しい気持ちはきっと伝わる。だから、ね」


みゆき「……はいっ!」

〜 青空高原 どうぶつふれあい公園 ベンチ 〜

タタタタタタッ


みゆき「れいかちゃーん!」

れいか「みゆきさん、皆さんも。どうしてここに?」

みゆき「あ、あのね。れいかちゃん、来る時からなんだか元気なさそうだったから……、ソフトクリーム買ってきたの! 一緒に食べよう?」

あかね「元気ない時はオイシイもんが一番やで! ほんまやったらうちのお好み焼きごちそうするんやけど、今日はこれでカンベンしてや」

やよい「元気になったら絵を描きに行こうよ! みんなで描けばきっと楽しいよ!」

なお「……これで元気になってくれたらうれしいな。れいかが元気ないと、さみしいからさ」

れいか「……皆さん……!」


はるか「(小声) ……ね、言ったとおりでしょ? "みんな応援してくれる" って」

れいか「……はいっ……! 皆さん、ありがとうございますっ!」

ズワァァァァァッ…


淳之介「!? うっ……、急に……力が……抜け……」バタッ


れいか「お、お兄様! だ、大丈夫ですか!?」

はるか「え? あれ、淳くん? なんであんな物陰にいるの?」

なお「はるかさん! そんなこと言ってる場合じゃないですよ! これって……、キャンディ!?」


ピョコッ


キャンディ「クル! イヤなカンジがするクル……。デスペアランドクル!」

あかね「なんでこんなところにまでおんねん!」

みゆき「よくわからないけど、このままじゃここにいる人達が……! みんな、行こう!」


5人「うんっ!」

〜 青空高原 どうぶつふれあい公園 中央広場 〜

アキラメーナ(売店型)「アキラメーナァッ!」


セルリア「…………う……、……まだ少し……気分悪い……。……けど……動ける……!」


ザッ


れいか「お待ちなさい! 皆さんの安らぎを奪う狼藉、許しません!」

あかね「せや! せっかくのピクニックやったのに……、何してくれてんねん!」


セルリア「……来たな……、プリキュアァ……!」

セルリア「……もう……これ以上……お前達に……邪魔は……させない……!」

セルリア「…… "夢の絵の具" …………渡せ!!」ギョロッ


6人「(ビクッ)」


なお「な、なに……? いつもと気合が違う……!?」

やよい「……コワい……!」

はるか「みんな、気をしっかり持って! いつも通りやれば大丈夫だよ!」

みゆき「は、はいっ!」

妖精達「デコル・チェーンジ!」

パチンッ!

レディ!

6人「プリキュア! スマイルチャージ!!」

ゴー! ゴーゴー! レッツゴー!!


ハッピー「キラキラ輝く、未来の光! キュアハッピー!!」

サニー「太陽サンサン、熱血パワー! キュアサニー!!」

ピース「ぴかぴかぴかりん♪ じゃん・けん・ポン!(パー) キュアピース!!」

マーチ「勇気リンリン、直球勝負! キュアマーチ!!」

ビューティ「しんしんと降り積もる、清き心。キュアビューティ!!」

ノーブル「さらさら流れる気高きせせらぎ! キュアノーブル!!」


6人「6つの光が導く未来!」

6人「輝け! スマイルプリキュア!!」

セルリア「……やれ……、アキラメーナ……!」

アキラメーナ(売店型)「アキラメーナァッ!」バタンッ


サニー「ん? なんや? お店のドアのところが開いて……」


バァァァァァァッ!


ビューティ「! 中から黒い光が! しまった……、これは……!」


セルリア「……そう……、……このアキラメーナは……心の絵の具…… "決断の藍色・ブライトブルー" と……闇の絵の具を混ぜて作った…… "迷いの藍" で……できている……」

セルリア「……二度と……出られない……迷宮を……さまよい続けろ……!」


ビューティ「お店の中に……吸い込まれる……っ!」

6人「わぁぁぁぁぁー…」

〜 "迷い" のデスペア空間 入り口 〜

マーチ「……またここかぁ。みんな、大丈夫!? おかしなところない?」

ハッピー「うん、とりあえず何ともないみたい……だけど……」

サニー「うん。うちらより、目の前がおかしいな」


看板『ラビリンスへようこそ!』


サニー「なんやねん、あの看板……。これまでと随分雰囲気ちゃうなぁ」

ピース「ラビ……って、何かな?」

ハッピー「わかんない……」

ノーブル「ラビリンス……、"迷宮" って意味だね。ほら、看板の下、目の前に通路が 3つあるでしょ。この空間自体が迷路になってるんじゃないかな」

ビューティ「では、うまく正しい道を辿っていけば、出口につけるのでしょうか」

ノーブル「……多分」

マーチ「よし! じゃあここはあたしの出番だね!」ズイッ

サニー「おっ、なんやマーチ。ええアイデアでもあるん?」

マーチ「どの道が正解かわからないけど、あたしがひとっ走りして先を見てくるよ! みんなで行くより、その方が早く済むと思うんだ。どうかな?」

ハッピー「おおっ、なるほどー! マーチ頭いい!」

マーチ「ふふん、まぁね!」

マジョリン(デコル)「マーチにしては珍しく頭を使ったマジョ」

マーチ「"珍しく" は余計だよ! ……それじゃ、行ってくるね!」

ノーブル「あ、待ってマーチ! 何があるかわからないから、あまり一人で奥に行くのは――」

マーチ「大丈夫ですって! 危なそうだったらすぐ戻ってきますから! じゃあ、行ってきます!」ダッ


ビュンッ…


ピース「速っ……、もう見えなくなっちゃった……」

サニー「せやけど、マーチの言う通りこれやったらラクチンやな! うちらは待ってよーやないの」

ビューティ「……大丈夫かしら、マーチ……」

ビュンッ! ズザァァァッ!


マーチ「はぁっ、はぁっ、はぁっ!」

ハッピー「えっ、マーチ!? もう戻ってきちゃったの!?」

サニー「っていうか、その顔どしたん? 真っ青になっとんで? 何かあったん?」

マーチ「……に……にげ……」

ピース「にげ?」


マーチ「逃げよう、みんな! 今の道、ハズレだったんだ! 先に行ったら――」


ゴロゴロ…


ノーブル「……ねえ、みんな。何か聞こえない?」

ビューティ「……そういえば」


ゴロゴロゴロ…


サニー「あ、うち何となくわかってもーた……。これ、もしかして映画とかでよくあるパターンちゃう?」

ピース「……ま、まさかぁ。いくら狭い道だからって、道いっぱいの大きな岩が転がってきたりなんか――」

マーチ「まさにそれだよ! ほら、あれ見て!」


大岩『(ゴロゴロゴロゴロ!)』


5人「ホントに来てるーっ!」

ハッピー「ど、どど、どうしよう!? ど、どこかに隠れられないかな!?」

サニー「入り口やから他の道しか行くとこないで!? そ、そっちの方に行ったらええんちゃう!?」

ピース「で、でも、他のところにもワナがあるかも!?」

マーチ「じゃ、じゃあどうしたら……、そうだ! サニー! サニーのパワーで岩壊せないかな!?」

サニー「あんなでっかい岩壊せるかい! ムチャ言わんといてや!」


ビューティ「……では、これしかありませんね!」


ザッ


ビューティ「プリキュア! ビューティ・ブリザァァードッ!!」ゴォォォォォッ!


バキバキバキバキ!


ビューティ「通路の入り口に氷の壁を作りました! これで、止まってくれればいいんですが……!」


大岩『(ゴロゴロゴロゴロ!)』

6人「(ドキドキ)」


ドスゥゥゥゥゥンッ!


6人「(ビクッ!)」


シーーーーーーーン…


マーチ「……止まった?」

ビューティ「……みたいです」

ハッピー「あ、あせったぁ……! さっすがビューティ、助かったぁ……」

ノーブル「……でも、これでわかったね。3つある道のうち、どれかがアタリでそれ以外がハズレ。ハズレの方にはワナがあるみたいだね」

マーチ「今あたしが行ってきた右の通路はハズレだったから……、あと 2つ」

ビューティ「左か、真ん中か……」


サニー「なぁ、ウルルン。あんたの鼻でなんかわからへん?」

ウルルン(デコル)「くんくん。……ダメだウル。この中、闇の絵の具のニオイしかしねえウル」

ハッピー「キャンディも何かわからない?」

キャンディ(デコル)「ハッピー、ゴメンクル……。ウルルンと同じでまわりぜーんぶからイヤなカンジしかしないクル……」

ハッピー「そっかぁ……」


サニー「……せやけど、このままこうしてたって始まらへん! とにかく行ってみようやないの! 左や!」


スタスタスタ…


ハッピー「あ、待ってよサニー! 危ないよ!?」

ノーブル「でも、結局それしかないかもね。注意して進もう、みんな」

スタスタスタ


ピース「ど、どう、サニー。何か見える?」

サニー「んー……、今のところは何も……、おっ!?」

マーチ「何? 何かあったの?」

サニー「ドアや! こんなところにドアがあんで! これアタリちゃう!?」

ビューティ「本当ですね! ……ですが……」

ノーブル「なんでドア? アヤしすぎる……」

サニー「だいじょーぶやって! きっと出口や! 開けてみんで! ほれっ!」ガチャッ

ハッピー「わっ、サニー、気をつけて――」


ハッピー「……あれ? 何これ」

サニー「ドアの向こうに……、またドア? もっかい開けてみんで」ガチャッ


ピース「……またドアがある」

サニー「な、なんやねん、コレ……、どうなっとんのや……。……えぇーい! こうなったら出口着くまで開けたんでぇ!」

ガチャッ ガチャッ ガチャッ ガチャッ ガチャッ ガチャッ ガチャッ ガチャッ ガチャッ ガチャッ


サニー「おりゃあぁぁぁぁぁっ!」


ガチャッ ガチャッ ガチャッ ガチャッ ガチャッ ガチャッ ガチャッ ガチャッ ガチャッ ガチャッ


サニー「はぁっ、はぁっ、ど、どんだけあんねん。ええかげんにせえよ……」ガチャッ


紙『ハズレ』


サニー「…………」


ハッピー「……行き止まり、だね」

マーチ「……みたいだね」


サニー「……お……」プルプル

サニー「おちょくっとんのかぁーい!?」プンスカ

ピース「わぁっ、サニー落ち着いて!」


ノーブル「……戻ろっか」

ビューティ「……そうですね」

〜 "迷い" のデスペア空間 入り口 〜

ビューティ「と、いうことは、この真ん中の道が正解なのでしょうか」

ノーブル「そうだと思うけど……、念のため注意しながら進もう」


スタスタスタ


6人「(ドキドキ)」


スタスタスタ


ハッピー「……あれ? ねえ、みんな! この先、ちょっと広そうじゃない!?」

サニー「ほんまや! 今度こそ出口やで!」

ピース「行ってみよう!」


タタタタタタッ…


ビューティ「あ、皆さん! 軽はずみな行動は――」

マーチ「って、もういないよ、ビューティ」

ノーブル「しょうがない、私達も追いかけよう」

タタタタタタッ


ハッピー・サニー・ピース「…………」


ノーブル「あ、いたいた! もう、みんなダメだよ! 勝手に先行ったりしたら危ないよ!?」

マーチ「あれ? でも、みんなどうしたの、うなだれて」


ハッピー・サニー・ピース「…………」スッ


ビューティ「皆さん、指をさして……、その先に何か……?」


看板『ラビリンスへようこそ!』


マーチ・ビューティ・ノーブル「…………」


マーチ「さっきの看板と……」

ビューティ「また 3つの道……」

ノーブル「戻ってきた……、わけじゃないよね。ビューティが作った氷の壁が無いし」

ビューティ「ではまた、3つの道から 1つを選んで進まなければならないのでしょうか……」

マーチ「そうみたい……」

ノーブル「……根気よく進もう、みんな」


5人「はぁーい……」

ズズズズズ…! ドスン! ドスン! ドスン!

ハッピー「うひゃぁぁぁぁっ!? み、道が崩れるぅっ!?」

ビューティ「皆さん急いでください!」



ガサガサガサガサガサ

マーチ「……!! アリ……、クモ……、ムカデ……!! いっぱい……いっぱい……、うわぁぁぁぁっ、いやぁぁぁぁっ!!」ビュンッ

ピース「わぁぁぁっ、待ってマーチ! 置いてかないでぇっ!」


ゴゴゴゴゴゴ…

ノーブル「つ、吊り天井!?」

サニー「ふぬぬっ……! こ、ここはうちが押さえとく……! みんな、先に行ってや……!」

ハッピー「サニィーっ!」

スタスタスタスタ


看板『ラビリンスへようこそ!』


6人「…………」ボロッ


ハッピー「……もう、何回目かな、ここ来るの……」

サニー「わからん……。数えてへん……」

ピース「あれからいっぱいワナにかかって、ひどい目にあって……」

マーチ「それでもまだ出口に着かない……」

ノーブル「……うなだれててもしょうがないよ、みんな。頑張って進もう」

ビューティ「…………」


ピタッ


ノーブル「……? ビューティ、どうしたの? 止まってないで行こうよ」

ビューティ「…………ちょっと、思ったことがあるんです……」

ノーブル「思ったこと……? 何?」

ビューティ「…………」


ビューティ「出口って、本当にあるんでしょうか……」

5人「……!」

ハッピー「……わたしも、ちょっと思ってた、それ……」ピタッ

サニー「……うちもや……。もしかしたら、って……」ピタッ

ピース「考えないように、考えないようにしてたけど……」ピタッ

マーチ「……何度も何度も、同じ道を回ってると、だんだんそう思えてきて……」ピタッ


ビューティ「……出口なんて、最初から……なかったのかもしれません……」


ノーブル「……! ど、どうしたの、みんな! 出口はあるかもしれないよ! 諦めないで探そうよ!」

5人「…………」

ノーブル「みんな……、どうしちゃったの……!?」

ペロー(デコル)「そういえば、前にデスペアランドの人が言ってたペロ! "この空間は少しずつ気力を奪っていく" って!」

ノーブル「じゃあ、みんなずっとここにいたから元気が無くなっちゃったの……!?」

ペロー(デコル)「多分そうペロ……。……ノーブルは、大丈夫ペロ……?」

ノーブル「……!」


ノーブル(……言われてみれば、気持ちがどんどん沈んでく……。気を抜いたら……くじけそう……っ!)ブルッ


ペロー(デコル)「……ノーブル……!」

ノーブル「……でも……」

ノーブル(……でも、ここで私まで諦めたら……、みんなが……!)


5人「…………」


ノーブル「っ……!」グッ


スタ スタ スタ


ペロー(デコル)「ノーブル……、歩けるペロ……?」

ノーブル「……うん、なんとかね。私達だけでも……、出口を探そう……。きっと、きっとあるはずだから……」

ノーブル「……左から、行ってみよう……」


スタ スタ スタ


ノーブル「はぁっ……、はぁっ……」ヨロヨロ


ガコッ!


ペロー(デコル)「ノーブル! 横! 壁が飛んで来るペロ!」

ノーブル「えっ!?」


ドガッ!


ノーブル「……ぅぁっ……!」ズル…

ペロー(デコル)「ノーブルっ! だ、大丈夫ペロ!?」

ノーブル「……う、うん……。このくらい……平気だよ……!」グググッ


ノーブル「……ひ、左は、ハズレって……、わかったね……。じゃあ、次は……真ん中を……」


ズルッ ズルッ ズルッ


ペロー(デコル)「……! ノーブル、足引きずってるペロ……!」

ノーブル「さっきのワナで……捻っちゃったみたい……」

ノーブル「……でも、行かなきゃ……。私だけでも……、頑張らなきゃ……!」


ペロー(デコル)「……ノーブル……っ!」

ペロー(デコル)「……どうしてペロ? どうしてそんなになってまでガンバるペロ?」

ノーブル「……ペロー君……?」

ペロー(デコル)「……ぼくはもうイヤですペロ……! これ以上、大好きなノーブルが……はるかさんが傷つくところを見たくないペロ……!」

ノーブル「…………」


ノーブル「……約束、したから」

ペロー(デコル)「ペロ……?」

ノーブル「れいかちゃんと、約束、したから。一緒に、"道" を探してあげるって」


ビューティ「…………」ピクッ


ノーブル「れいかちゃんだけじゃない……。なおちゃん、みゆきちゃん、あかねちゃん、やよいちゃん……」

ノーブル「みんなが "道" に迷って、先に進めないなら……、私が、先に行って……、手を引いてあげなきゃ……!」


ノーブル「だって私は……、みんなより先に生きてる…… "先生" なんだから……!!」


ビューティ「…………!!」

ビューティ(……私は……、あきらめてしまっていた……)


ビューティ("道" を見失って……、未来が見えなくなって……、あきらめてしまった……)


ビューティ(おじい様……、お父様……、お母様……、お兄様……、……はるかお姉さんに、あんなに励ましてもらったのに……)


ビューティ(……でも、ノーブルはあきらめてない……。自分も、とても不安で、つらいはずなのに……。歯を食いしばって、頑張ってる……。……私達のために……!)


ビューティ(…………)

ビューティ(……私も……なりたい)


ビューティ(ノーブルの……、はるかお姉さんのように……。決してあきらめずに、誰かのために、まっすぐ、力強く前へ進んでいける)


ビューティ(そういう人に……私はなりたい!!)

バァァァァッ!


ビューティ「!!」


ノーブル「えっ……!? ビューティ……、光ってる……!」


ビューティ「これは……! もしかして、私……!」


ノーブル「…… "夢の絵の具" の光……。っていうことは……!」

ノーブル「見つけられたんだ、れいかちゃん……! 自分だけの……未来に向かう大切な気持ち……!」


スクッ


ビューティ「……立てる。力があふれてくる……!」

バァァァァッ!


ビューティ「!!」


ノーブル「えっ……!? ビューティ……、光ってる……!」


ビューティ「これは……! もしかして、私……!」


ノーブル「…… "夢の絵の具" の光……。っていうことは……!」

ノーブル「見つけられたんだ、れいかちゃん……! 自分だけの……未来に向かう大切な気持ち……!」


スクッ


ビューティ「……立てる。力があふれてくる……!」

ポップ(デコル)「やったでござるな……、ビューティ殿……! ずっと悩んでいた答え……、ついに見つけたでござる……!」

ビューティ「ポップさん……、声が苦しそう……。そういえば、この力は妖精の皆さんの力を多く使ってしまうと……! 大丈夫ですか……!?」

ポップ(デコル)「大丈夫でござる!」


ポップ(デコル)「……拙者は、ずっとくやしかったでござる。パートナーであるビューティ殿が悩んでいるのに、何もできないことが、くやしかったでござる……!」

ポップ(デコル)「そのつらさに比べれば、これしきのこと……! 拙者は男、見事、ビューティ殿の力になりきってみせるでござる!」

ポップ(デコル)「だからビューティ殿! 拙者のことは気にせず、精一杯やってくだされ! せっかく見つけた未来への気持ちを見失わないように!」


ビューティ「ポップさん……。……ありがとうございます!」


ザッ


ビューティ「……今こそ。今こそ、私の先を生きる人達、私の大切な "先生" 達から教えていただいたことを……活かす時!!」キッ


パキパキパキパキッ


ノーブル「ビューティの手から氷が広がって……。あれは……、氷の弓と矢……?」

静子(回想)『れいか、もしどうしても心が楽にならない時は、一度心をカラにしてみなさい』

ビューティ「……心をカラにして……」


誠一郎(回想)『れいかももう少し、自分の心に素直になってみるといい』

ビューティ「……新しくなった心で、素直にものを見て……」


曾太郎(回想)『その "道" を進むことに不安があろうと、障害があろうと、自らの強い意思を持って、ただひたすらに突き進め』

ビューティ「……決して迷わず、ためらわず、強い意志を持って……ただまっすぐに進む!」


キリキリキリキリッ


はるか(回想)『だから、一人じゃなくて、みんなで探していこう? れいかちゃんの "道"。行きたい未来を!』

ビューティ「私が見つけた、私だけの "道標" に向かって!!」


ピタッ


ペロー(デコル)「ペ、ペロっ!? ノ、ノーブル! ビューティ、弓矢をノーブルの方に向けてるペロ!」

ノーブル「大丈夫だよ、ペロー君」


ノーブル「思いっきりやって。れいかちゃん」ニコッ

ビューティ「はいっ!!」

ビューティ「プリキュアッ! ビューティ・ブリザード・アローォォッ!!」


ビシュゥッ!!


ペロー(デコル)「……! 矢が、ノーブルをかすめて、真ん中の道に入っていったペロ……!」


ビューティ「……この "道" が正しいのかどうか、今の私にはわかりません……」

ビューティ「ですが、私の中にあるこの強い気持ち。この気持ちだけは誤りでない、と、私は信じます」


ビシィッ!


ポップ(デコル)「おおっ……! 道の奥の暗闇にヒビが入ったでござる!」


ビシッ! ビシビシィッ!


ノーブル「ヒビが……迷宮全体に広がっていく……!」


ビューティ「この迷宮は、私の心の迷い」

ビューティ「今ここで、砕いてみせます!!」


バリィィィィィィン!!

〜 青空高原 どうぶつふれあい公園 中央広場 〜

アキラメーナ(売店型)「アガッ……!?」ビクッ

セルリア「……? ……どうした……アキラメーナ……?」


バァァァァァァッ!!


セルリア「……!? アキラメーナから……光が……漏れている……!?」

アキラメーナ(売店型)「アッ……アガァァァァァ……」シュワァァァァ…

セルリア「アキラメーナが……浄化された……!? ……消えていく……!」


スタッ


ビューティ「…………」

セルリア「……キュア……ビューティ……! ……あの迷宮から……どうやって……!?」

ノーブル「……外に出た。みんな、しっかりして、外に出られたよ!」

ハッピー「……え……? あ……! ホントだ! いつの間にか外に出てる!?」

サニー「ほんまや……! しかも、ビューティ光っとる……!」

ピース「っていうことは……、ビューティがやってくれたんだぁ!」

マーチ「ビューティ……! やったね!」


セルリア「……他の……プリキュアまで……」


セルリア(……また……また……負けたの……? ……二度も……大切な…… "心の絵の具" を……任せてもらったのに……)

セルリア(…………っ!!(ギリッ ギリギリギリッ!))


セルリア(…………帰れない……。……このままじゃ……帰れない……っ!! …… "夢の絵の具" を……シアンナに……届けるまで……!!)

セルリア「プリキュアァァァァッ!!」

6人「!!?」


ザワザワザワザワッ


ハッピー「な、何あれ……!? 髪が、動いてる……!?」

ビューティ「なんという形相……! いつもとは明らかに違う気迫を感じます……!」

マーチ「もしかして……、自分で戦う気なの……!?」


ノーブル「……でも、それならそれで丁度いいかもしれない」

ノーブル「もしここで彼女と決着をつけられれば、襲ってくる人数が減ってその分戦いが楽になる」

ノーブル「勝負、望むところっ!」ビシッ


セルリア「……!」

セルリア(……そうだ……。……もし……ここで……私が負けたら……、……仕事……できるのが……シアンナが……一人になる……)

セルリア(……シアンナが……一人に……)

セルリア(…………)


スゥゥゥッ…


サニー「あ、髪の毛、落ち着いてくで」

ピース「な、何もしてこないのかな……?」


セルリア「…………」シュバッ


ハッピー「……帰っちゃった」

マーチ「襲ってくるかと思ったのに……。何だったんだろう……」

〜 夕方 青空高原 バス停 〜

誠一郎「さぁ、それじゃあ皆、バスに乗るよ! 皆いるね!? 忘れ物はないかな!?」

6人「はぁーい!」


はるか「……そういえば、結局れいかちゃんの絵、描けなかったね……。途中でデスペアランドに襲われたから、時間なくなっちゃって……」

れいか「いいんです。私の描きたいものはもう、見つかりましたから。それは、ここでなくても描けるものですし」

はるか「えっ、そうなの!? 描きたいもの、見つかったんだ! ……で、何を描くの? 教えてよ!」

れいか「はい。それは――」

〜 数日後 ふしぎ図書館 〜

ペタペタペタ


れいか「……できました。完成です。はるかお姉さん、モデル、ありがとうございました」

はるか「んんーっ、絵のモデルするのも、動けないから結構疲れるね。……どれどれ、どんな絵になったのかな?」


5人「……わぁ……!」


みゆき「れいかちゃんのおじいさん!」

あかね「れいかの母ちゃん!」

やよい「れいかちゃんのお父さん!」

なお「淳兄ちゃん!」

はるか「それに、私、か」


れいか「はい。題名は "私の先生達" です」

れいか「いつも私を見守り、色んなことを教えてくれる、先を生きる人達……、私の大切な "先生" 達」


れいか「その姿はとても頼もしくて、優しくて……。だから、絵に描きたいと思ったんです」


れいか「……そして、"私もいつかそのようになりたい" と、強く思いました」


れいか「私のような、自分の "道" を見つけられない人の手を、優しく、強く、引いて上げられる。そんな人に」


パァッ…


みゆき「あっ、れいかちゃんの体が光った!」

あかね「青い光……! これは、出るで! キャンディ、"レインボーパレット" や!」

キャンディ「わかったクル!」


パカッ


ポンッ


やよい「出たよ! れいかちゃんの光の玉!」


ヒューーーーン ポチョンッ


なお「やよいちゃんの黄色、あたしの緑に続いて……、れいかの青……!」

はるか「これが、れいかちゃんの "夢の絵の具" ……!」

みゆき「……じゃあ、れいかちゃんは、"先生になりたい" ってことになるのかな?」

なお「学校の先生? ……それ、いいんじゃないかな!?」

あかね「せやな! れいかが先生やったら、優しーく勉強教えてくれそうや!」

やよい「れいかちゃん、教えるのとっても上手だもんね!」

れいか「……まだハッキリと決めたわけではありませんが……、それもいいかもしれない、と思っています」


れいか「ですが、私は人の前に立つにはまだ未熟な身……。しばらくは、私の大切な "先生" 達から、色々と学ばせていただきたいと思います」

れいか「そういうわけですので、これからも色んなことを教えてください! はるかお姉さん!」

はるか「うん! 大丈夫、任せて! 一緒にれいかちゃんだけの "道"、作っていこうね!」

れいか「はいっ! よろしくお願いしますっ!」ニコッ





つづく

次回予告

みゆき「あかねちゃんのボーイフレンド・ブライアンから手紙が届いたんだけど、ブライアン、なんだか元気がないんだって」

みゆき「そこで、ブライアン会うために "本の扉" でイギリスに行く事になったあかねちゃんとわたし達!」

みゆき「うまくブライアンを元気にしてあげられるかな……? ガンバろうね、あかねちゃん!」


みゆき「次回、『スマイルプリキュア レインボー!』 "あかねとブライアン! ロンドンの休日!"」


みゆき「みんな笑顔でウルトラハッピー!」

今回はここまでです!
お読みいただいた方、ありがとうございました。


ところで、『レインボー!』の内容と全然関係ないですが、
TOKYO MX で再放送していた『Splash☆Star』が、ついこの間終了しました。
"花鳥風月" の名乗りのシーンでまた泣いちゃった。。2回目なのに。。

いやー、プリキュアって本当にいいもんですね!


それでは、よかったら次回もまたよろしくお願いします!


第1話 〜 第11話 『スマイルプリキュア!』第2期を SS で作るスレ - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1360385907/)

第12話 >>6 から
第13話 >>117 から
第14話 >>223 から
第15話 >>332 から
第16話 >>433 から
第17話 >>520 から
第18話 >>647 から
第19話 >>746 から

それでは、お返事タイムとさせていただきます!


>> ボーズさん

……この作品に絵がつく? 全く想像していませんでした。。
そこまで評価していただいたことで胸がいっぱいです。。本当にありがとうございます。

自分は "コミケ" というものに行ったことがなく、
正直、いわゆる "薄い本"売り場、というくらいの認識しかなかったのですが、
こういった作品も出せるものなのですね。

夏であれば休みも取れると思うので、ガタケット、行ってみたいと思います!

『レインボー!』の発行も、できるのであれば前向きに検討したいですが、
できれば完結してからにしたいので、やるにしても冬以降になるかもしれないです。



>> 740さん

> 戦闘は足技が中心、かなり食べる、虫が苦手、よく着ている服が緑色、警察を目指している
> 里中千枝を思い出した

ホントだ。。全然気付きませんでした。。
P4 やったのに、、メガテニストなのに。。不覚。。



>> 741さん

> なおの将来の目標を警察にした決め手みたいのはある?

まず、"サッカー選手はないな" という考えはありました。
自分が思うなおちゃんの特性が "勇気" と "母性" だったからで、
それを活かすのにスポーツ選手はちょっと違うな、と思ったからです。

警察官(婦警) にしたのは、上記二つの特性のイメージにピッタリ合ったからですね。
"母性" を活かすため保育士とも悩んだんですが、そちらだと "勇気" がイマイチ発揮しづらい。。

と、いうことで警察官、というかお巡りさんになりました。
なおちゃん自身の動機としては 18話で描いたとおりです。


あと、何より、目に浮かぶんですよね、なおちゃんの婦警姿。
カッコイイだろうなぁ。。

>> 編集者さん

> 話の進行について

お返事しようかと思ったんですが、743さんがほとんど言いたいことを言ってくださいました。
まさにその通りで、"アニメの中で一番やりたいことが固まってそうなのが"やよい"だったから"、やよいちゃんをトップバッターに持ってきました。
あと、あえて順番を崩すことで、"プリキュアの女の子達みんなが主人公であり、みゆきちゃんだけが特別ではない" という演出に、したつもりです。。

みゆきちゃんに関しては、、まあ、おいおい。。
今のところ、そのうち主人公補正をかけるつもりではいます。


> 妖精合体システムについて

これは、、正直、自分でも一長一短だと思います。
書いてて、"あー、やっちまった。。" と思う箇所と、"やってよかった!" と思う箇所がありますね。

どこがどうなのか、という話までしてしまうと作品全体にまで波及しそうな気がするので、
ひとまず、このシステムが正しかったかどうかはおいていただき、完結後に判断していただきたいと思います。
それまでに自分がこのシステムを設定した理由がちゃんと描ければいいなぁ、と思います。


> ロイヤルキャンディについて

ロイヤルキャンディは封印します。強すぎるんですもの。。
本気出したらデスペア三幹部なんて瞬殺されてしまう。。

あと、敵がキャンディに興味を持たないようにしているのは意図的なものです。後でちょっとした演出に使おうと思って。
その辺りについては、まあ、おいおい。。


> アンチスレや他作品について

読みたいですが、、読みたくない気持ちもあります。。
自分だけかもしれませんが、作品ってすごくデリケートで、その時のテンションで全然内容変わるんですね。
あまり他作品に触れると、内容が変わってしまうのでは、という不安があります。
なので、極力自分の中で温めたものを出していく所存です。

これらの閲覧は余裕があったら、ということで。。あしからず。



>> 743さん

上記でも書きましたが、フォローありがとうございました!


> 早く絵の具7色そろえないと――

この辺については、まあ、おいおい。。
もうちょっとで展開が進められると思うので、もう少しお待ちください。

お返事タイムは以上です!
レスいただいた方々、ありがとうございました!

それでは、またよろしくお願いいたします。


第1話 〜 第11話 『スマイルプリキュア!』第2期を SS で作るスレ - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1360385907/)

第12話 >>6 から
第13話 >>117 から
第14話 >>223 から
第15話 >>332 から
第16話 >>433 から
第17話 >>520 から
第18話 >>647 から
第19話 >>746 から

乙でした

れいか(回想)『自分の "道" がわからずとも、〜」「今まで、自分の "道" を見出せていなかった私に」
自分の"道"が分かってないんじゃなくて、やりたいことを見つけるのが「れいかの道」なんじゃなかった?

「どうして勉強するの?」では
「学校の勉強も大切ですが、それだけじゃない!」「もっといろんなことを見たい聞きたい知りたいと!」「そしていつか、自分のやりたいことを見つけたい」
「やりたいことを見つけるために、私はこれからも色々な事を学び続けます。それが私の「道」です!」みたいなことを言って、
留学の話の時は
ジョーカー「道を見失いましたか!」れいか「いいえ! 見つけたのです!」
「(夢に対して)遠回りだとしても、(友達と一緒に過ごすのが)嘘偽りのない私の思い、私の「道」です!」的なことを言った。
合わせると
「友達と一緒に過ごしていく中で色々なことを学んで、やりたいことを見つけるのが「れいかの道」」だって思ってたから、
「〜が私の道です!」って本編で言ったのに、「道が分からない」的な発言をしたのが「?」って感じたけど、>>1は↑の話の発言を違う風にとらえてたのかな?

『スマイルプリキュア レインボー!』

このあとすぐ!

〜 お好み焼き屋 "あかね" 〜

ガラッ


あかね「ただいまー」

正子(あかね母)「おかえり、あかね」ニコニコ

あかね「な、なんやの、母ちゃん。うちの顔見てニコニコして……。なんかついとる?」

正子「ちゃうちゃう。あかね宛にお手紙が来てるんよ。ほれ、ブライアン君からやで」スッ

あかね「!! ほんま!? ちょ、ちょっと貸してや!」

正子「ええでええで。持ってき」

あかね「おおきに!」ダッ

大悟(あかね父)「あ! こら、あかね! 店、手伝わんかい!」

あかね「後でちゃんとやるわー!」

〜 日野家 あかね自室 〜

あかね「〜〜〜〜〜〜♪ 今日は何書いとんのやろなー」チョキチョキ


パサッ


あかね「……ああー、やっぱいつもの通り英語やな。英語ニガテやけど……、ま、しゃーない、いっちょガンバって読んだるか! えーっと、辞書辞書っと」ガサゴソ

〜 1時間後 〜

あかね「…………」ドヨーン…

ウルルン「……ふぁぁーっ、よく寝たウル。……ん? どうしたウル、あかね、頭抱えて」

あかね「……何でもあらへん……。それより、夕飯にはまだやで。ヒマやったら寝とき」

ウルルン「ん、そうかウル? じゃあもう一眠りすっかウル! …………ぐーっ……」


あかね(……あ、あかん、何やコレ……。普段と違て長いわ、知らん文法ばっかりやら……。もう 1時間もねばっとるのに内容全然わからん……。どないしよ……)


あかね(……あ、せや! 別にうちがわからんでも、英語得意なはるかさんがおるやん! 手紙読んでもろたらええんや!)

あかね(明日は休みやし、そうと決まればふしぎ図書館に来てもらうよう、早速連絡や!)

あかね(……せやけど、何やろな、この手紙。なーんかいつもと様子ちゃうような……)


あかね(ブライアン、なんかあったんかなぁ? 気になるなぁ……)




スマイルプリキュア レインボー!

第20話「あかねとブライアン! ロンドンの休日!」



〜 ふしぎ図書館 〜

あかね「――っちゅーわけなんで、はるかさん、お願いします! この手紙、読んだってもらえませんか!?」

はるか「うん、わかった。大丈夫、任せて! ……でも、ところでこの差出人のブライアンって人、どんな人? 住所からしてイギリスの人っていうのはわかるけど……」

れいか「以前、私達のクラスに短期留学に来た同じ年の男の子です」

やよい「(小声) そうなんですけど……、うふふ、実はですね……、あかねちゃんのボーイフレンドなんですよ!」ヒソヒソ

はるか「えっ!? あかねちゃん、イギリスの子と付き合ってるの!?」

あかね「あっ、いや、別に付き合うとるとか、そんなんやなくてですね、その……、な、仲のええ友達、っちゅーか――」

はるか「あかねちゃんの年で外国のボーイフレンドだなんて……! あかねちゃん、やるぅっ! ね、ね、どうやって仲良くなったの!? 教えてよ!」キラキラ

あかね「――聞いてへん……」

なお「あんなに目キラキラさせて……。やっぱりはるかさんも女の子ですねー……」

あかね「そ、それよりはるかさん! 手紙、読んでもらえませんか!?」

はるか「……あ、そうだった。ゴメンゴメン、つい興奮しちゃって……。でも、いいの? ボーイフレンドからの手紙、私が読んじゃっても」

あかね「ええですええです。うちじゃよう読めへんし……、お願いしますわ」

はるか「ん、わかった。それじゃ、読むよ」


はるか「…………」ペラッ

あかね「…………」ドキドキ


はるか「……大体わかったよ。訳すね」

はるか「"親愛なるアカネへ"」


はるか「"ボクは今、とても悩んでいます。最近、学校の成績が中々良くならないからです"」

はるか「"頑張ってはいるのですが、中々うまくいきません。どうしたらいいか、自分でもわからないのです"」

はるか「"そんな時、日本で見せてもらった皆さんや、アカネの笑顔を思い出しました。太陽みたいにまぶしい笑顔を"」

はるか「"どうしたら、アカネのようにいつも元気でいられるのでしょうか? アカネなら何かわかるかもしれない、と思い、こうして手紙を書きました"」

はるか「"アカネの元気の秘密、教えてください。お願いします"」


はるか「"ブライアンより"」


5人「…………」


なお「そっか。ブライアン、成績の事で悩んでたんだ。前に来た時は日本文化を学んでるところしか見てなかったけど、勉強熱心なんだね」

やよい「よく考えたら、"外国に留学" だなんて、行こうとしたれいかちゃんや、実際に行ったはるかさんみたいな人じゃないとできない、すごい事なんだよね……」

みゆき「優等生だったんだね、ブライアン」

れいか「ですが、なぜあかねさんを頼りにしたのでしょう? 確かにあかねさんの元気さは見習いたいほどだとは思いますが……、彼の周りにも頼りにできる人はいるのではないでしょうか」

はるか「……周りの人には相談できなかったんじゃないかな」

れいか「え? と、言いますと……?」


はるか「"留学" っていうのは、結構タイヘンな事なんだよ。お金だってかかるし、色々周りとの都合だってつけなきゃいけない」

はるか「それに、そんな風にムリをして行くからには、帰ったらちゃんとした結果を出さないといけない。周りからの期待も大きいはず」

はるか「だからこそ、自分がうまく成果を出せていない事を、周りの人になかなか相談できないんじゃないかな。周りの人をガッカリさせたくないから」

はるか「私はこのブライアン君のことよく知らないけど、多分とっても真面目な子なんだろうね。きっとあかねちゃんにだって迷惑かけたくないと思ってるはずだよ」

みゆき「それでも、あかねちゃんに手紙を送ってきた、っていうことは……」

はるか「……相当悩んでるんじゃないかと思う」

あかね「……せやったんか……」


あかね「せっかく頼ってくれたんや。何とか、何とかでけへんかなぁ……! うちにできる事があるならしてあげたいわ……!」

みゆき「あかねちゃん……」

れいか「ブライアンさんは、あかねさんに "どうしたら元気になれるか教えてほしい" とのことでしたから、やはりそのことについて手紙を返すのがいいのではないでしょうか?」

あかね「……ちゅーても、うち英語の手紙なんて書けへんし……。日本語で書いても伝わるかどうかわからんし……」

なお「うーん……難しいね。どうしたらいいかな……」

みゆき「せめて会いに行ければ気持ちも伝えやすいと思うんだけどなぁ……」

あかね「せやけど、ブライアンがおるの、イギリスやで? ひとっとび、っちゅーわけにも……」

ポップ「……何とかなるかもしれないでござるよ、皆の衆」

れいか「ポップさん? 何か名案があるのでしょうか?」

ポップ「うむ。"本の扉" を使うでござる! あれなら世界中どこでもひとっとびでござるよ!」

あかね「あ……!」

4人「それだっ!」


はるか「え? "本の扉" ってここに来るためだけのものじゃないの?」

なお「前はここから世界中の本棚のどこにでも自由に行けたんです」

やよい「それで世界一周旅行とかもしたことあったんですよ!」

はるか「そうだったの!? スゴイね……」

れいか「……でもポップさん。"本の扉" はロイヤルクイーン様のお力がなくなってしまったために、使えなくなってしまったのではなかったでしょうか……」

みゆき「そういえば、前にそんな事言ってたね。どうするの、ポップ?」

ポップ「心配ご無用でござる! ここには小さくとも立派な、次期ロイヤルクイーンがいるでござるよ! そうでござろう、キャンディ?」

キャンディ「ええーっ!? キャンディがやるクル!?」

やよい「そっかぁ! キャンディのロイヤルクイーン様としての力があれば……!」

なお「"本の扉" がまた使えるようになるってことだね!」


キャンディ「でも、キャンディはまだお母さんみたいなすごい力は使えないクル……。できるかどうかわからないクル……」

ポップ「なぁに、心配いらないでござる。キャンディ一人ではムリでも、拙者達、妖精全員の力を合わせれば何とかなるでござるよ」

ウルルン「妖精全員ってことは……、おれ達もやるウル!?」

ポップ「もちろんでござる。ウルルン、お主のパートナーのあかね殿が困ってるのでござるよ? 助けたいとは思わないでござるか?」

ウルルン「ん……、そりゃ、まぁ……」


あかね「……キャンディ、ウルルン、みんな。お願いや、もしできるんならやってみてくれへんか」

あかね「うち、どうしてもブライアンに会いたいんや! 元気ないなら、会って何か言うてあげたい。元気付けてあげたい」

あかね「せやから、頼むわ! この通りやで!」ペコリ

キャンディ「あかね……」

キャンディ「……わかったクル! キャンディ、やってみるクル! あかねのためにガンバるクルぅ!」

ウルルン「……ったく、しょうがねえウル。あかねにはいつもオコノミヤキ食わしてもらってるし……、いっちょやってやるウル!」

ペロー「もちろんですペロ! あかねさんのためならガンバるペロ!」

オニニン「その代わり……」

マジョリン「帰ってきたらあたし達にもオコノミヤキ作るマジョ!」


あかね「キャンディ……、ウルルン……、みんな……! おおきに!」

〜 ふしぎ図書館 本棚前 〜

キャンディ「それじゃ、やってみるクル!」

みゆき「キャンディ! ガンバって!」


あかね「あ! ゴメン、キャンディ! ちょっと待ってくれへん!? 持っていきたいもんがあんねん!」

キャンディ「クル? キャンディはだいじょうぶクル。でもあかね、何を持っていくクル?」

あかね「ちょっとな! それ、取りに行かなあかんから、一旦店に戻るわ! ウルルン頼んだで!」

ウルルン「オオカミ使いの荒いヤツウル! ほら、行くウル!」


パァッ…!


はるか「あ、じゃあ私も一旦家戻ろ。ペロー君、お願い」

ペロー「わかったペロ!」


パァッ…!


みゆき「……? どうしたんだろ、二人とも」

やよい「さぁ……」

〜 30分後 〜

パァッ…!


あかね「お待たせ!」

なお「うわっ、あかね、何その荷物!? 背中にホットプレート、両手にクーラーボックス!?」

れいか「もしかして……、イギリスでお好み焼きを焼くつもりですか?」

あかね「そや! とびっきりのお好み焼き焼いて、ブライアンに元気になってもらおか、思てな!」

みゆき「うんっ、あかねちゃんならきっとできるよ! よぉっし! じゃあ、キャンディ、お願いね!」

キャンディ「わかったクルぅ! みんな、行くクル!」


妖精達「ふぬぅぅぅぅぅぅっ……!」


パァァァッ!


はるか「……! 本棚がいつもより強く光ってる!」

れいか「はるかお姉さん。行きたいところを強く思い描いて、あの光の中に飛び込んでください。そうすればそこまであっという間にいくことができます」

はるか「わかった、やってみるよ!」


あかね「よぉっし、ほんじゃ行くでぇっ! 行き先はイギリス、ロンドンや!」

5人「おぉーっ!」

〜 イギリス ロンドンの本屋の前 〜

パァァァッ!


6人「…………」


みゆき「金髪の人達……!」

れいか「れんが造りの建物……!」

はるか「初めて来たけど間違いないよ。ここは……!」


あかね「イギリスやぁーっ! おおきにな、キャンディ、ウルルン!」ギュッ

キャンディ「クルぅ! うまくいってよかったクルぅ!」

ウルルン「おい、あかね! 苦しいから抱きつくなウル!」

ザワザワザワ…

通行人の女性『(英語) ね、ねぇ、あの子達、今本棚から出てこなかった?』

通行人の男性『(英語) 何言ってるんだよ。見間違いだろう? そんなことあるわけないじゃないか』

はるか「!」ギョッ


なお「……ね、ねぇ、なんだかみんなこっち見てない?」

やよい「あ、あの、はるかさん? あの人達なんて言ってるんですか……?」

はるか「……本棚から出てくるところ、見られちゃったみたい……!」


5人「えっ!?」


通行人達「(ジーーーーッ…)」

6人「…………」ダラダラ

あかね「……に……」

あかね「逃げるんやぁーっ!」ダダダダダッ

みゆき・やよい・なお・れいか「お、おーっ!」ダダダダダッ


はるか『(英語) あ、今の手品ですー! 手品! すごかったでしょ!? 怪しい者じゃありませんからーっ! さよならーっ!』ダダダダダッ


通行人達「(ポカーン…)」


通行人の女性『(英語) ……なんだったのかしら?』

通行人の男性『(英語) さあ……?』

〜 イギリス ウェストミンスター橋付近 〜

あかね「はぁっ、はぁっ、こ、ここまで来ればだいじょーぶやろ……!」

なお「ま、まさかあんなに人がいるなんて……!」

れいか「こ、これからも、"本の扉" はうかつには使えませんね……! ヘタをしたら大騒ぎになってしまいます……!」


あかね「ところで、ここどこやろか? 夢中で走ってきたせいで道わからんくなってもーたわ……」

はるか「そんなことないよ、あかねちゃん。スゴい目印があそこにあるじゃない。見てごらん」

あかね「へ? 目印??」

みゆき「あーっ、あれ! わたし知ってる! 『ピーター・パン』に出てくる時計塔だぁーっ!!」キラキラ

れいか「"ビッグ・ベン" ですね。確かにとても有名な、イギリスのシンボルです」

みゆき「かっ、感激ーっ……! ホンモノ見られるなんてー……!」ウルウル

あかね「嬉しそやなぁ、みゆき。『ピーター・パン』大好きやもんな」

はるか「えーっと、"ビッグ・ベン" があそこにあるから……、今はこの辺か……」ペラッ

やよい「あ、はるかさん、それ地図ですか?」

はるか「うん。さっき家に帰った時に持ってきといたんだ」

あかね「へぇーっ、さっすがはるかさんやなぁ! 用意ええで!」

なお「……っていうか、あかね。地図も無しにブライアンの家探すつもりだったの? 全く、無鉄砲だなぁ……」

あかね「なおに言われたくないわ! ……とは、言えへんな……。その通りや……、すんません……」

やよい「さっすがあかねちゃん。ブライアンのこととなるとつい周りが見えなくなっちゃうんだよねー」ニヤニヤ

あかね「……からかわんどいてや、もう……」

れいか「はるかお姉さん。気になっていたのですが……、ブライアンさんのお宅はここから近いのでしょうか……?」

はるか「……歩いていくと大分かかりそう。ほら、地図見て。ここから、(ペラッ) ここまで」

なお「うわっ、こんなに……!? こんなに歩いてたら日が暮れちゃうよ……」

やよい「そんなぁ……、せっかく来たのに……。ブライアン、この辺にいてくれないかなぁ? そうしたらラクなのに」

あかね「さすがにそううまくはいかへんやろ。歩いてくしかないんかなぁ……」


みゆき「……あれ? ねえ、あかねちゃん。あそこの川の近くで立ってる人、あれってもしかしてブライアンじゃない?」

あかね「せやからみゆきぃー……、そううまくここにブライアンが――」


ブライアン「…………」ボーッ


あかね「おった! ほんまや、ブライアンや! なんでこんなとこにおんねん!」

はるか「あの男の子がそうなの? 大ラッキーじゃない! 行こ、あかねちゃん!」

あかね「はいっ!」

〜 イギリス テムズ川ほとり 〜

ブライアン「……ハァ……」


あかね「――イアーン……」


ブライアン(……アカネ? アカネの声? ……そんなはずない。きっと気のせい)


タタタタタタッ


あかね「ブライアーンっ!!」

ブライアン「!? ア、アカネ!? みなさん!? どうして……!?」

あかね「ブライアン、手紙くれたやろ? これ」ペラッ

ブライアン「それ……、ぼくの手紙……!」

あかね「手紙でブライアン、元気無いってゆーから、飛んできたんや! うちが笑顔にしたろ、思てな!」ニカッ

ブライアン「アカネ……!」

ギュッ


あかね「!!? ブ、ブブブ、ブライアン!? な、何すんねん、いきなり抱きついて!!?(///)」

みゆき・やよい・なお・れいか「おおおぉぉーっ!!」

はるか「あかねちゃん、落ち着いて。"ハグ" だよ、"ハグ"。海外だと、親しい友達には抱きしめて挨拶するんだよ」

あかね「そ、そんなことゆーたかて……!(///)」


ブライアン「……アカネ……、thank you……!」

あかね「……ブライアン?」

ブライアン「ぼく、元気ない時、ここ来ます……。今も、ぼく、元気なくて、川、見てました……」

ブライアン「だから、アカネ、来てくれてうれしい……! thank you……!」

あかね「……ええて。うちら、友達やろ? フレンドや。元気ないならいつだって来るで」

ブライアン「……はい……!」


みゆき・やよい・なお・れいか「…………」ニコニコ

みゆき(……よかったね、ブライアン!)

あかね「……さ、このまんま立ち話もなんや。どっか落ち着けるとこ行かへん?」

ブライアン「……? タチバナ……?」

あかね「あ……、ええーっと……、何てゆーたらええんやろ……」


はるか『(英語) あかねちゃん、どこか落ち着いたところでゆっくり話がしたいって。この辺りにそういうところあるかな?』

ブライアン『(英語) おお、そうでしたか。……ところで、あなたは?』

はるか『(英語) ああ、ゴメン、あいさつがまだだったね。私は藍沢 はるか。あかねちゃん達の友達だよ』

ブライアン『(英語) アカネの友達ですか? では、ぼくとも友達ですね』

はるか『(英語) そう言ってくれるとうれしいよ。よろしくね、ブライアン君』


ブライアン『(英語) では、"セントジェームズ公園" はどうでしょう? ウェストミンスター橋を渡ったところにある広い公園です。そこならゆっくりできると思います』

はるか『(英語) ああ、地図で言うと……(ペラッ) ここか。オッケー! あかねちゃん達にも伝えるね』


はるか「あかねちゃん。ブライアン君、橋を渡った向こうにある大きい公園で話そう、って言ってるよ。そこに行こう」

あかね「あ、ほんまですか? わかりました」

やよい「それにしても、はるかさんさすがです! ブライアンともコミュニケーションばっちり!」

はるか「うん。やっぱり他の国の言葉がわかると便利だよ。色んな国の人の気持ちがよくわかるからね」


あかね「…………」

あかね(……"他の国の人の気持ち" か……)

〜 イギリス セントジェームズ公園 〜

みゆき「うわぁー……! おっきい公園!」

やよい「あっ! 見て見て、あそこ! リス! リスがいるよ!」

なお「えっ、どこどこ!? あ、いたっ! カワイイぃーっ!」


れいか「緑がたくさんあって……、とても落ち着くところですね」

あかね「後ろでみんなめっちゃ騒いどるけどな、はは」


あかね「せやけど、確かにここならじっくり話せそうや。……ブライアンの悩み事について」

あかね「"どうしたらうちらみたいにいつも笑顔でいられるか" やったっけ? えーっと……、オールウェイズ、スマイル?」

ブライアン「……yes……」

ブライアン「……とても、悩んでる。勉強、うまくいかない」

ブライアン「みんな、ぼく、応援する。でも、ダメ。よくならない……」


れいか「……はるかお姉さんの言っていたとおり、勉強がうまくいかず、周りの期待に応えられないことで悩んでいるようですね」

あかね「そか……。うまくいかへん時、どないしたら笑顔になれるか、ってことやな」

あかね「ブライアン、周りに何でも話せる友達、おらへん? ユア、フレンド?」

ブライアン「……? My Friend... なに?」

あかね「ああ……、イマイチ伝わっとらんなぁ……。えぇーっと――」


はるか『(英語) ブライアン君の周りに何でも話せる友達はいるか、って聞いてるよ』

あかね「あ……」

ブライアン『(英語) ああ、そういうことですか』

はるか「うまく伝わってなかったみたいだったから、とりあえず伝えておいたよ」

あかね「……おおきに、はるかさん」


ブライアン「……アカネ、sorry...。日本語、難しい。よくわからないこと、多い……」

あかね「……気にせんといて! うちも英語、よくわからんし……、英語の方がラクなら、英語でしゃべってもろてええで! はるかさんもおるし」

はるか『(英語) 英語の方が楽なら、私を通して英語でしゃべってもらっていい、って。日本語、難しいもんね。私でよければ力になるよ』

ブライアン『(英語) 助かります……』


ブライアン『(英語) 友達はいます。でも、何でも話せるような人は……』

はるか「何でも話せるような人はいない、って」

あかね「そうなんか……。大好きな友達がおったらいつでも励ましてもらえるんやないか、と思ったんやけどなぁ……」

あかね「ほんなら、家族はどや? ユア、ファミリー」

はるか『(英語) ご家族には相談できないの?』

ブライアン『(英語) ダメなんです……。パパもママも、ぼくがいい成績でいることを期待してくれてるので、"なかなか成績が上がらない" とは言いづらくって……』

はるか『(英語) ……留学までさせてくれてるんだもんね。ガッカリさせられないから、ツラくても内緒にして、頑張るしかないよね。……わかるよ、その気持ち。私もアメリカに留学してたから』

ブライアン『(英語) はい……』


ブライアン『(英語) だから、アカネに聞きたかったんです。日本でとてもよくしてくれた、いつも元気で明るいアカネに、どうしたら元気になれるか』

ブライアン『(英語) 元気になれれば、せめて勉強を頑張れると思って』


はるか「……やっぱり、ご家族の期待を裏切りたくないから相談はできないって」

はるか「だからせめて、自分一人で頑張るために、どうしたら元気になれるか、明るいあかねちゃんに聞きたかったんだって」

あかね「……そうですか」

はるか「あかねちゃん、何かない? 元気になる方法。言ってくれれば、私からブライアン君に伝えるよ」

あかね「…………」

はるか「……? あかねちゃん? 聞いてる?」

あかね(……何やろ、この気持ち……、もやもやする……。ガンバってくれとるはるかさんには悪いけども、正直ブライアンと話しとる気がせえへん……)

あかね(人に頼んで話聞いてもろて、それで、ほんまにうちが相談に乗っとることになっとるんやろか……。ブライアンのほんまの気持ち、わかってあげられてへんのやないか?)

あかね(そんなうちが、ブライアンを元気になんてできるんやろか……)

あかね(……せやけど、ブライアンはうちを頼ってくれとる。他の誰にも言えないことを、うちに頼んでくれとる。うちが何とかせな)

あかね(……うちの "元気になる方法"。うちが自分で、ちゃんとブライアンに伝えなあかん)

あかね(言葉で伝えられへんのやったら、やっぱり……)


あかね(これしか、あらへんな)

シュルッ ドサッ


れいか「あかねさん? どうしたんですか、背負ったホットプレートを下ろして……」

なお「……あ。あかね、まさかここでお好み焼き焼く気!?」

あかね「……今うちがブライアンにしてあげられること。考えたんやけど、これしかなかったわ」


あかね「はるかさん、ブライアンに伝えてください。"今から、うちの元気になる方法を教えたる" って」

はるか「え? あ、う、うん。わかった」

ジュージュー…


あかね「…………」


ブライアン「Oh... オコノミヤキ……?」

はるか『(英語) あかねちゃん、"今から元気になる方法を教える" って言ってた』

ブライアン『(英語) 元気になる方法……、お好み焼きを焼くことと関係があるんでしょうか……?』

はるか『(英語) ……私にもわからない』


はるか『(英語) けど、あかねちゃんはブライアン君に何かを伝えようとしてるんだと思う。言葉じゃなく、お好み焼きを焼くことで』

はるか『(英語) ブライアン君。あかねちゃんの気持ち、しっかり受け止めてあげてくれるかな』

ブライアン『(英語) ……はい、もちろんです!』

あかね「……よっしゃ、できたで! ほい、ブライアン、食べてや」

ブライアン「アカネのオコノミヤキ……久しぶり……! イタダキマス!」


ブライアン「(モグモグ)」

あかね「…………」


ブライアン「……delicious! おいしいです! アカネのオコノミヤキ、おいしい!」ニコッ

あかね「せやろ!? "ブライアンを元気付けたい" って気持ち、ぎゅーぎゅーに込めたからな!」ニカッ

あかね「ブライアン。これが、うちの "元気になる方法" や」

ブライアン「……What?」

あかね「ブライアン、今、うちのお好み焼き食べて、笑うてくれたやろ? そんなブライアンの笑顔を見て、うちも笑顔になった」

あかね「せやから、うちはお好み焼きを焼くんや。食べた人に元気になってもろて、うちも元気になるために」


あかね「ブライアンも今元気がないなら、こんな風に誰かを元気にしてあげられること、してみたらええんやないかな。誰かを元気にしたら、その分きっと、自分にうれしさが返ってくんで!」

あかね「それがわからんのやったら、探してみたらええ。きっとそれが、ブライアンも元気にしてくれるはずやで!」ニコッ


ブライアン「…………」

はるか「あかねちゃん……」

はるか『(英語) ……ブライアン君。今、あかねちゃんはね――』

ブライアン『(英語) ……何となく、わかりました』


ブライアン『(英語) オコノミヤキ焼いてるアカネ、とても楽しそう。それは多分、食べた人が喜んでくれるからじゃないでしょうか』

ブライアン『(英語) 人を元気にしてあげることで、自分も元気になる。それがアカネにとっての "元気になる方法" なんだと思います』

ブライアン『(英語) ……そんな風に、ぼくにも人を元気にしてあげられる事があれば、自分も元気になれるんじゃないか』

ブライアン『(英語) 今のアカネを見てると、そんな風に思えてきます!』

はるか「……!」

はるか(すごい……、あかねちゃんの言ってること、ちゃんと伝わってる……。話したわけじゃないのに……!)


ブライアン「アカネ、thank you。アカネの advice、ちょっと、わかりました」

あかね「……! ほんま!? ならよかったわ! 一生懸命焼いたかいがあるっちゅーもんやで!」

スタスタスタ


通行人の婦人『(英語) あら、何かしら? いい香りがするわ。こちらで何かやってらっしゃるのかしら?』

通行人の青年『(英語) とてもいいにおいがするなぁ。そういえばそろそろお昼時だ。お腹が空いてきたよ』


ゾロゾロゾロ


みゆき「わっ、わっ、どんどん人が集まってくるよ!?」

やよい「もしかして、あかねちゃんのお好み焼きのにおいにつられてるのかな?」

なお「多分そうだよ! みんなあかねの方見てる!」

あかね「……何や、みんな、お腹空いとるんかなぁ」

あかね「ほんなら、お好み焼きパーティや! じゃんじゃん焼きますよって、どんどん食べてください! ほい、どうぞ!」

通行人の青年『(英語) おっ、いいのかい? じゃあ……(モグモグ) ……、おお、これはうまい!』

通行人の婦人『(英語) あら、本当? じゃあ、私にも一つもらえるかしら?』

あかね「あ、そっちのお人もほしいんですか? まいどー!」

通行人の婦人『(英語) (モグモグ) ……あらやだ、本当! おいしいわ、これ! こんなもの、今まで食べた事ないわ! これは何かしら?』

ブライアン『(英語) 日本の料理で、"お好み焼き" っていいます。彼女は、それを作るのがとても上手なんですよ!』

通行人の青年『(英語) へぇ、日本の……。日本はご飯がおいしい、って聞いたけど、本当なんだな! とてもおいしいよ!』


ワイワイワイ


あかね「…………」

あかね(……ブライアンはげますだけのつもりが、なんや大事になってもーたなぁ……)


あかね(せやけど、みんな喜んでくれとる。おいしいもん食べたら楽しいのは、どこの国もおんなじなんやな……)

ピピピーッ!


あかね「!? な、なんや、ホイッスルの音?」

イギリス警官『(英語) コラーっ! そこで何をしているんだ! 公園内で勝手に料理をするんじゃない!』

なお「わっ、お巡りさんだ!」

はるか「あ、あかねちゃん、あの人は――」

あかね「言わんでもわかりますって……! 怒ってるんちゃいますの?」

はるか「うん……。このままだと、捕まっちゃうかも……!」

れいか「そ、それは大変ですね……! はるかお姉さん、何とかなりませんか……!?」

はるか「や、やってみる! お巡りさんを説得してみるよ!」

はるか『(英語) ま、まぁ、お巡りさん、そう言わずに。お好み焼き、お一つどうですか? おいしいですよ?』


ホワワン


イギリス警官『(英語) むっ……! た、確かにいいにおい……』

はるか『(英語) ほんのちょっとだけでいいんです、許してもらえませんか? 公園、汚したりしませんから。ほら、公園のみなさんも喜んでるみたいですし……』

イギリス警官『(英語) ……しかし、そういうわけにはいかん! ルールはルール、ここで勝手に料理をしてはいかんのだ! まだ続けるようなら逮捕するぞ!』

はるか『(英語) ……ですよねー』


はるか「……ゴメン、みんな。ダメだった」

あかね「っちゅーことは……」

はるか「逃げてぇーっ! 捕まっちゃうよー!」

みゆき「ひぇーっ!」


ダダダダダダッ…


イギリス警官『(英語) あ、こら! 待ちなさーい!』


あかね「あわわっ、あかん! 早よ逃げな!」


ガシッ


あかね「ブライアン……、うちの手取って……」

ブライアン「アカネ! こっち!」

あかね「……! うんっ!」


タタタタタタッ…

〜 イギリス セントジェームズ公園 別の場所 〜

あかね「はぁっ、はぁっ、も、もう大丈夫やろか……」

ブライアン「はぁっ、はぁっ、アカネ、だいじょうぶ?」

あかね「うん、うちは大丈夫やで。おおきにな、ブライアン」

ブライアン「you're welcome!」ニコッ


あかね「……それにしても、ブライアン、すっかり元気になったな。ええ笑顔やで! ……あ、えーっと……グッド、スマイル!」

ブライアン「……アカネのおかげ。アカネ、手紙、見てくれた。アカネ、助け、来てくれた。だから、アカネのおかげ!」

あかね「そか。よかったわ!」ニコッ


あかね「……せやけどな、うちも実は、ブライアンにお礼言いたいんや」

ブライアン「お礼……? ぼくに?」

あかね「せや」

あかね「さっき、うちが焼いたお好み焼き、ここの人達みんな、おいしそうに食べてくれたやろ?」

あかね「住んでる場所も違う。言葉もわからん。そんな人達が、うちのお好み焼き食べて、喜んでくれたんや。……嬉しかったわ」


あかね「……うち、今まで外国の人のことなんて考えたことなかった。"どうせ言葉もわからんし" 思て、自分とは全然違う世界のことやと思とった」

あかね「せやけど、そんな人達のこと、うちのお好み焼きで元気にしてあげることができたんや」

あかね「うちのお好み焼きは日本の人だけやなく、世界中の人達も元気にしてあげられるパワーがあるかもしれへん。そのことに初めて気付けたんや!」

あかね「それも、全部ブライアンのおかげや。ブライアンと仲良うなってなかったら……、ブライアンを心配してイギリスに来てなかったら……、こんなステキな体験、一生でけへんかったかもしれへん」


あかね「せやから、うちからブライアンへ Thank you なんや!」ニコッ

ブライアン「アカネ……」

ブライアン「……日本語、むずかしくて、アカネの言葉、ちょっとわからない……」

ブライアン「でも、アカネ元気になる、ぼく元気になる! とてもうれしい!」

あかね「うちも一緒やで! ブライアンが元気やと、うちも元気になれるんや! 二人とも元気でウルトラハッピーや! ……って、これみゆきの口ぐせやったな。うつってもーたわ」

ブライアン「Oh... Ultra Happy? It's wonderful!」

あかね「せやせや! ウルトラハッピーでワンダフルや!」


あかね・ブライアン「あはははははっ!」

ホワワン


あかね「お、このにおい……。逃げる時に持ってきたホットプレートの中にまだお好み焼き残っとったわ。食べる?」

ブライアン「yes! イタダキマス!」

あかね「オーケーオーケー、ちょっと待ってな。今よそうから」

ビリーズ「おお、いいにおいしてんじゃねーか。ねーちゃん、それ、オレにもくんね?」

あかね「ああ、またイギリスの人かいな。よそいますからちょっと待っ――」


あかね「……ん?」
ビリーズ「……あん?」


あかね・ビリーズ「あぁぁぁぁぁーっ!!?」

ビリーズ「キュ、キュアサニー!? なんでこんなところにいんだよ!?」

あかね「こ、こっちのセリフや! あ、あ、あんたこそなんでこんなとこおんねん!? ここイギリスやで!?」

ビリーズ「いやぁ、それが色々あってよぉ。あれは、2、3日前のことでよ――」

あかね「あ、その話長くなる? 別にそこまでガッツリ聞きたないんやけど」

ビリーズ「冷てえな! いいから聞けよ!」

あかね「話したいんかい」


ビリーズ「……そうだ。あれは、2、3日前のことだった……」

あかね「……始まってもーた」

ウルルン「(小声) おい、あかね。今のうちにやっつけた方がいいんじゃねえかウル?」

あかね「(小声) ……まあ、それもあんまりやし。ちょっと様子見とこうや」

ビリーズ「シアンナ達にアジトを追い出されて数週間……。オレは、その間ずっと野宿を続けてた」

あかね「え? そうなん? じゃあ、もうずっと帰ってへんの? なんで?」

ビリーズ「お前らに負けまくったせいでアジトに入れてもらえねえんだよ!」


ビリーズ「けどよぉ、ここんとこ暑くなってきたろ? もう茂みの中で寝たりすんのはツラいわけよ、これが」

ビリーズ「しょうがねえから涼みに海辺に行ったらよ、丁度よく小っこい寝床があったんだよな」

あかね「寝床? なんのこっちゃ?」

ウルルン「小舟かなんかじゃねえウル?」

ビリーズ「そこが案外具合良くてよぉ、しばらくそこで寝てたんだ」

ビリーズ「けど、そんなある日のことだった。目が覚めたら、なぜかその寝床に浮いて海の上にいたんだよな。辺り一面なーんにもねえ。海ばっか」

ビリーズ「どうしたもんか、と途方に暮れたんだけどよ、なーんかだんだん考えんのメンドくさくなってきて……。"ま、いっか" と思ってまた寝た」

ビリーズ「んで、気付いたらどこかもわからんここにいた、っつーわけだ」


ウルルン「寝てる間に小舟が海に出ちまって、そのまま流されてここまできた、ってことウル?」

あかね「……んなアホな。ほんまかいな……」


ビリーズ「オレがこんなところにいんのも、野宿ばっかりなのも……、全部お前らのせいだ、プリキュア! ここで会ったからには今日こそケチョンケチョンにしてやらぁ!」

ウルルン「完全に逆恨みじゃねえかウル……。しょーもねえヤツだウル」

ビリーズ「闇の絵の具よ! 闇の絵筆よ! キャンバスに絶望を描き出せ!」


シュババババッ


ビリーズ「実体を持ってキャンバスから現れよ、アキラメーナ!」


ズズズズズズ…


アキラメーナ(ホットプレート型)「アキラメーナァッ!」


ブライアン「!? ホットプレート……モンスター……!?」

あかね「しもた! このままやと……! ブライアン! 早よここから離れ――」

ビリーズ「もう遅えぜ! アキラメーナ! 心吸っちまえ!」


ズワァァァァァッ…


ブライアン「……! うっ……」バタッ

あかね「ブライアンっ!」


通行人の老人『(英語) な、なんじゃ、力が……』バタッ

通行人の女性『(英語) あぁっ……』バタッ

あかね「他の人まで……!」


あかね「このままやとあかん、止めな! ウルルン、行くで!」

ウルルン「おうウル!」

ウルルン「デコル・チェーンジ!」

パチンッ!

レディ!

あかね「プリキュア! スマイルチャージ!!」

ゴー!

ゴーゴー! レッツゴー、サニー!!


サニー「太陽サンサン、熱血パワー! キュアサニー!!」

ビリーズ「はっ、一人で何ができんだよ! アキラメーナ、やっちまえ!」

アキラメーナ(ホットプレート型)「アキラメーナァッ!」カチチチッ

サニー「ん、何や……? あのアキラメーナ、自分のダイアル捻って……」


ブワァァァァッ…!


サニー「うわっ、熱っ! そか、ホットプレートやから、鉄板熱くなっとんのか……!」

ビリーズ「よぉーし、動きが止まったぜ! 今だ!」

アキラメーナ(ホットプレート型)「アキラメーナァッ!」ブンッ!

ウルルン(デコル)「サニー! パンチが来るウル! 避けるウル!」

サニー「んなこと言われたかて、熱くて動かれへん……!」


ドカァッ!


サニー「うぁっ!?」

ビリーズ「ただのアキラメーナでも、強くなってんの忘れたかぁ!? お前一人じゃ勝てねーよ!」

サニー「くっ、このぉっ!」

サニー「プリキュア! サニー・ファイヤーァァッ!!」

アキラメーナ(ホットプレート型)「アガッ!」シュゥゥゥゥッ…

サニー「!? サニー・ファイヤー、鉄板に吸い込まれてもーた!? 全然効いてへんのかいな……!?」

ビリーズ「余計熱くしただけみてえだなぁ!? その熱、自分で食らえ!」

アキラメーナ(ホットプレート型)「アキラメーナァッ!」ブワァァァァッ…!

サニー「うっ、熱っ……!」

ビリーズ「そーれ、パンチだ、アキラメーナ!」

アキラメーナ(ホットプレート型)「アキラメーナァッ!」ブンッ!


ドカァッ!


サニー「うあぁぁぁっ!?」ドサァッ

ウルルン(デコル)「サニーっ! 大丈夫ウル!?」

サニー「うっ……く……! 今のは効いたわ……!」

ビリーズ「だからムリだって! お前一人じゃどうにもなんねえっつーの! さっさと諦めてやられちまえよ!」

サニー「……あきらめる? そんなわけにいくかいな……!」ググッ

ビリーズ「あぁ? まだ立てんのかよ」

サニー「何度だって立つわ……! うちの後ろにはブライアンが……、イギリスの人達がおんねんで……! うちがガンバらなあかんやろが!」

ビリーズ「ったく、よくやるぜ。ここ、お前らの住んでるとこじゃねえんだろ? 全然知らないヤツらのためになんでボロボロになってんだよ。意味わかんねーぜ」

サニー「…………」

サニー「……せやな。うち、ここの人達のこと、なんも知らん」

サニー「言葉もわからんし、ルールもわからん。どんな音楽やファッションが流行っとんのか、なんもわからん」

サニー「……せやけど、せやけどな、そんなうちでも、たった一コだけわかっとることあんねん」


サニー「……それは笑顔や……!」

サニー「うちが焼いたお好み焼きを食べて、喜んでくれた時のみんなの笑顔……。それは、うちらと何も変わらん……、ピカピカまぶしい笑顔やった……!」


サニー「どこで産まれても、どこで暮らしてても……、笑顔だけはみんないっしょ……。今日初めて、うちはそのことを知ったんや……!」


サニー「それ知ったら……、みんな笑顔にしてあげたくなった……。誰もかれも、みんなまとめて元気にしてあげたくなったんや……!」


サニー「せやから! どこの人やろがなんやろが、誰かの元気を奪うようなことは絶対に許さへん! うちが絶対に守ったる! どんなにツラくたって関係あるかい!」


サニー「うちはなりたいんや……! 世界中、どこにいたって、ポカポカ暖めてみんなを元気にしてくれる――」


サニー「あの太陽みたいに! うちはなるんや!!」

バァァァァッ!


サニー「えっ!?」

ウルルン(デコル)「サニー! 体が光りだしてるウル!?」

サニー「ほんまや……。橙色の……光……」

ビリーズ「げっ!? こ、この光……、まさか……キュアピースとかと同じ……!」


サニー「……この光って確か、"未来に向かう大切な気持ち" なんやな」

ウルルン(デコル)「ああ、そうらしいウル」

サニー「そか……。そかぁ……! 今、うちの胸の中にあるこの気持ち……」


サニー「これが……そうなんやな……!」

ビリーズ「くっ……、やべぇ……! このままじゃ、またあの時みてえに負けちまう……!」


ビリーズ「……アキラメーナ、フルパワーだ! キュアサニーをやっちまえ!」

アキラメーナ(ホットプレート型)「アキラメーナァッ!」ブワァァァァッ…!

サニー「…………」


ザッ ザッ ザッ


ビリーズ「……!? 平気で歩いてきやがる……! 熱くねえのかよ!?」

サニー「こんなもん、熱いうちに入らん。今のうちの気持ちの方がこんなもんよりずっとずっと熱いんや!」

ビリーズ「なっ、なんだそりゃあ……!?」


バッ


サニー「だぁぁぁぁぁぁっ!!」


ドガァァァッ!!


アキラメーナ(ホットプレート型)「アガァァァッ!?」ズドォォォン!

ビリーズ「オレのアキラメーナが……! パンチ一発で吹っ飛ばされた……!」

サニー「さぁ、ガンガン行くでぇっ!」

ビリーズ「……クソっ……、……調子に乗ってんじゃねぇ!」

ビリーズ「アキラメーナァっ! 立ちやがれ! まだやれんだろーが! 反撃だ!」

アキラメーナ(ホットプレート型)「ア……ガァァッ!」


ドスッ ドスッ ドスッ


ウルルン(デコル)「突っ込んでくるウル!」

サニー「……大丈夫や。今のうちならもう負けへん。あれくらいちょちょいのちょいで――」


バババババッ


ハッピー「間に合った! 大丈夫、サニー!?」

サニー「ハッピー! みんな!」

ノーブル「プリキュア! ノーブル・ストリィィームッ!!」


バシャァァァッ!


ノーブル「ビューティ!」

ビューティ「はいっ! プリキュア! ビューティ・ブリザァァードッ!!」


バキバキバキバキッ!


ビリーズ「げっ!? 鉄板にぶっかけた水を凍らせた!? あれじゃ、もう熱攻撃できねえじゃねえか!」


ノーブル「やっぱり! ホットプレートの形してたから!」

ビューティ「鉄板から熱による攻撃をするのでは、と思っていました! 正解のようですね!」


サニー「おお、ちょっと見ただけでわかったんか! さっすが秀才コンビやで!」

ハッピー「それにしてもサニー……、その光、もしかして……!」

サニー「ああ、これ? うちも見つけられたみたいや。うちだけの、"未来に向かう大切な気持ち" 」

ピース「じゃあ、もしかしてお助けいらなかったかなぁ? 今のサニー、きっとすっごく強いもんね!」

ウルルン(デコル)「そうウル。サニー一人でも十分……」


コツンッ


ウルルン(デコル)「あいてっ!? な、何するウル、サニー! 小突くことねえウル!」

サニー「あんたが余計なこと言おうとしたからや」


サニー「……"必要ない" なんて、そんなことあらへんで。みんながおってくれば、うちはもっともっと元気になれるんや」

サニー「来てくれてありがとな!」ニコッ

ハッピー「うんっ! それじゃ、サニー! 決めちゃおう!」

サニー「よっしゃ! みんなで行くで!」

ハッピー「プリキュア! ハッピー・シャワーァァッ!!」

ピース「プリキュア! (ピシャァン!) ひゃぁっ! ピース・サンダーァァッ!!」

マーチ「プリキュア! マーチ・シュートォォッ!!」

ビューティ「プリキュア! ビューティ・ブリザァァードッ!!」

ノーブル「プリキュア! ノーブル・ストリィィームッ!!」


ドドドドドォォォォォォォォンッ!!


アキラメーナ(ホットプレート型)「アガァァッ!?」

ビリーズ「くっ、モロにもらっちまった……! けど、オレのアキラメーナも強くなってる! まだ終わんねーぞ!」

バッ


サニー「ほんなら、ダメ押しや!」

ビリーズ「キュアサニー!? いつの間にアキラメーナの目の前に……!?」


ハッピー「行っけぇーっ、サニーっ!」


サニー「プリキュアッ! サニー・ファイアー・バァーニングッ!!」


ズドォォォォォォォォンッ!!


アキラメーナ(ホットプレート型)「アガァァァァァ……」シュワァァァァ…


ピース「やったぁ! アキラメーナ、やっつけたよ!」

ビューティ「やりましたね、サニー!」

サニー「ビューティとノーブルが鉄板使えなくしてくれたからうちの火も効いたんや。みんなが来てくれたから、うちのパワーももっと強くなったんや」

サニー「みんなのおかげやで! おおきにな!」

ビリーズ「……はぁ……」

ビリーズ「……あーあ、また負けちまった……。なんで勝てねーんだろーな……」


ビリーズ(しっかし、こうも負け続きだと、なんつーか……、やる気なくなってくんなぁ……)

ビリーズ(ここなら仕事しなくてもガミガミ言うヤツ誰もいねーし。"期限" までボーッとしてんのもアリだな……。そうすっか……?)


ビリーズ(……けど……)


サニー「どや! うちの活躍、バッチリ見とった?」

ハッピー「うん、すごかったよ、サニー!」

サニー「せやろせやろ。もっとホメたってや!」

マーチ「あんまり調子に乗らないの」


ワイワイワイ


ビリーズ(…………)

ビリーズ(……あいつら、楽しそーだな……)


サニー(回想)『みんながおってくれば、うちはもっともっと元気になれるんや』


ビリーズ(……"みんながいれば"、か)

ビリーズ(……シアンナはガミガミうっせーよなぁ。口を開けば "馬鹿" だの、"仕事しろ" だの、よ)

ビリーズ(……セルリアは、アイツオレのことキライなんだよなぁ。オレん時だけ態度めっちゃくちゃ悪いし)

ビリーズ(けど、やっぱひとりっつーのもつまんねーよなぁ。あんなヤツらでもいるだけマシかぁ……?)


ビリーズ(…………あいつら、今頃どうしてっかな)


ビリーズ(……帰るか)シュバッ

ビリーズ(……シアンナはガミガミうっせーよなぁ。口を開けば "馬鹿" だの、"仕事しろ" だの、よ)

ビリーズ(……セルリアは、アイツオレのことキライなんだよなぁ。オレん時だけ態度めっちゃくちゃ悪いし)

ビリーズ(けど、やっぱひとりっつーのもつまんねーよなぁ。あんなヤツらでもいるだけマシかぁ……?)


ビリーズ(…………あいつら、今頃どうしてっかな)


ビリーズ(……帰るか)シュバッ

ウルルン「……はぁー、ヘバっちまったウル……」ポテッ

あかね「ウルルン……? ……あ、せやった! パワーアップしとる時、あんたら妖精の力いっぱい使うんやったっけ? だいじょぶか……?」

ウルルン「へっ、おれを誰だと思ってるウル……。こんくらい、へっちゃらウル……!」

あかね「……へらず口言えるんやったら、大丈夫やな! そうこなくっちゃ張り合いもないわ!」

ウルルン「そういうこった……。こんくらいだったらいつでもやってやるウル……。……パートナーなんだからよ」

あかね「ウルルン……」


あかね「……おおきにな」ニコッ

ウルルン「おう」ニコッ

ブライアン「……うぅっ……」


みゆき「あっ、ブライアン目覚ますよ! ほらほら、王子様! お姫様を起こしてあげてよ!」

あかね「……なんでうちが王子様? っちゅーことは、ブライアンがお姫様かいな。逆やろ」


やよい「ふふふ……! あとは二人に任せて、わたし達はどこか行ってよっか」

あかね「やよい……、その言い方、おばちゃんっぽいで」


はるか「……二人だったら、もう私の手伝いはいらないよね。あかねちゃん、ガンバ!」グッ

あかね「そんな、"ガンバ" 言われましても……。何をガンバれば……」


タタタタタッ…


あかね「あぁ、みんな行ってしもた……」


あかね(……気きかせとるつもりなんやろか。……しゃーないなぁ……)

ブライアン「……う……」

あかね「お、ブライアン。起きた?」

ブライアン「アカネ……? ぼく、寝てた……? どうして……」

あかね「お巡りさんから逃げた後、バターンって倒れてもーたんや。ずっと悩んどったみたいやから、疲れとったんやないの?」

ブライアン「疲れ……。そうかも……」


あかね(……ほっ、伝わったんかな? ちょい苦しかったけど、信じてくれたみたいや)

あかね「……ところでブライアン。もう悩み事、だいじょぶか? まだツラかったりせえへん?」

ブライアン「……もうダイジョーブ。アカネ、大切なこと、教えてくれた。だからダイジョーブ」


ブライアン「アカネ、ぼく、決めました」

あかね「ん? 決めたって……何を?」

ブライアン「ぼく、誰か、元気にできること、探します。誰か、元気なら、ぼく、元気。アカネ、教えてくれた」

ブライアン「だから、ぼく、探すこと、がんばります。アカネのオコノミヤキみたいなこと、探します!」

あかね「……そか! それ、ブライアンにとっての夢ってことやな! えっと……、ブライアンズ、ドリーム!」

ブライアン「Oh..., My dream...! That's right! ぼく、夢、探します!」


あかね「……せやったら、ブライアン。一つ、約束せえへん?」

ブライアン「ヤクソク……? なんですか……?」

あかね「実はな、うちもさっき、夢見つけたんや。マイ、ドリーム」

あかね「でっかい夢やからいつになるか、そもそもかなうかどうかもわからへんけども……、うち、精一杯挑戦してみたいんや」

あかね「ほんでな、その……約束の話なんやけども……」


あかね「うちとブライアン、二人とも夢がかなったら、またここで会わへんか?」

ブライアン「……! ここで、ぼくとアカネ、会う……?」

あかね「せや! 胸張ってまた会える日を目指して、二人でガンバるんや! それぞれの大切な未来に向かって!」


ブライアン「……OK。ぼくとアカネ、きっと、またここで会う。楽しみにしてます!」

あかね「よっしゃ! ほんなら、約束の握手や! ほれ」スッ

ブライアン「hand shake? OK!」


ギュッ


あかね「約束やで。……シーユー、アゲンや!」

ブライアン「はい! また、会いましょう!」

パァッ…


ブライアン「……? アカネ、どうかした? 光ってる……?」

あかね「うぇっ!? あっ、ほ、ほんまや……!」


あかね(もしかしてこれ、"夢の絵の具" 出るんか……!? 早くキャンディのとこ行かな……!)


あかね「あーっ! ゴメン、ブライアン! うち、急用思い出したわ! すぐに帰らな!」

あかね「そのかわり、今度は、うちから手紙出すわ。待っててや!」

ブライアン「……yes! 手紙、待ってます!」


あかね「ほな、またなーっ!」ダッ

ブライアン「Bye,アカネ! オオキニーっ!」

タタタタタタッ


あかね(はぁー、焦ったわ……。何もこんな時に光らんでもええのに……)


あかね(……せやけど、今めっちゃええ気分や。胸が熱くて……体が熱くて……走りたくてたまらん)


あかね(夢があるって……、行きたい未来があるって……ええもんやな!)

〜 イギリス テムズ川のほとり 〜

やよい「ねぇねぇ! あかねちゃん、ブライアンと二人っきりで、どうしてるのかなぁ! 告白とか、してるのかなぁ!?」キラキラ

はるか「……いや、ブライアン君も元気になったし、二人ともいい雰囲気だったし……。もしかすると、その先まで行ってるかもしれないよ……!」

みゆき「そ、その先って……まさか……!」

はるか「…………キスとか……!!」


みゆき・やよい・はるか「きゃぁーーっ!!」グネグネ


なお「みんな盛り上がりすぎだよ。はるかさんまで……」ソワソワ

れいか「ふふっ、そういうなおだってそわそわしてるわよ? 気になってるんでしょう? あかねさんのこと」

なお「あ、あたしは別に……! ……気になってます、スミマセン……」

タタタタタタッ


あかね「おぉーい、みんなぁーっ!」


みゆき「あっ、来た! あかねちゃんだっ!」

やよい「あかねちゃんっ! ブライアンとはどうなったの!? 教えて教えてっ!」

あかね「それどころちゃうねん! キャンディ、"レインボーパレット" 出してや! さっきっから体光りっぱなしやねん!」

なお「え……、あ! ホントだ! あかね、体がオレンジ色に光ってる!」

みゆき「あ、ああ、じゃあそっちが先だね! キャンディ、お願い!」

キャンディ「わかったクルぅ!」パカッ


ポンッ


みゆき「出たっ、あかねちゃんの光の玉!」


ヒューーーーン ポチョンッ


キラキラキラ


れいか「これが、あかねさんの "夢の絵の具" ……!」

はるか「橙色の絵の具……、これで 4色目だね!」

みゆき「あかねちゃんの "夢の絵の具" が出た、ってことは……。あかねちゃん、夢決まったの?」

やよい「……はっ! わたし、わかっちゃった!」

やよい「ブライアンと話してて夢が決まった、っていうことはつまり……!」


やよい「あかねちゃんの夢って、"ブライアンのお嫁さん" でしょ!? そうでしょ!?」キラキラ

あかね「……へ……!? な、何やそれ……、話飛びすぎや! 残念ですけど違いますー」

みゆき「えっ、違うの……?」

なお「……ゴメン、あたしもてっきりそうかと……」

あかね「ちゃうわ! なっ、なんやねん、みんなして!」

れいか「でしたら、あかねさんの夢って一体なんなのでしょうか……?」

あかね「…………」


あかね「……言ってもええけど、笑わんで、聞いてくれるか?」

みゆき「えっ……? も、もちろんだよ! あかねちゃんの夢を笑ったりなんて、絶対しないよ!」

あかね「そか。……ほんなら言うわ」

あかね「……うち、"世界一のお好み焼き屋" になりたいんや」

5人「……せ、世界一!?」

はるか「またずいぶん大きく出たね……。何でそう思ったの?」


あかね「……さっき、公園でお好み焼き食べてもらってた時、イギリスの人達、みんな笑顔になってくれてた」

あかね「それ見た時、思ったんや。"うちのお好み焼きを世界中に広めたい" "うちのお好み焼きで世界中の人達を元気にしたい"、って」

みゆき「そっか……、だから "世界一" なんだね」

あかね「言ってるうちでも呆れるくらい、途方もないでっかい夢や。でっかすぎて、できるかどうかなんて全然わからへん」

あかね「せやけど、うちの胸の中には "みんなを元気にしたい" っていうあっつい気持ちがあるんや。だから、できるところまでやってみたい!」

あかね「バカバカしいかもしれへんけど……それが、うちが見つけた夢なんや!」


5人「…………」


はるか「……バカバカしいなんて、そんなことないよ」

れいか「ええ。とても大きくて、素敵な夢だと思います」

なお「……なんでかな。あかねが言ってるのを聞いてると、何とかしちゃいそうな気がするよ」

やよい「きっと、あかねちゃんの情熱がすごいからだよ」

みゆき「……あかねちゃんならなれるよ、"世界一のお好み焼き屋"! だからガンバってみてよ! わたし達も応援するから!」

やよい・なお・れいか・はるか「うん!」


あかね「みんな……!」

あかね「……そしたら、はるかさん。一つ、お願いがあるんですけど、いいですか?」

はるか「え……? 何、改まって。どうしたの?」

あかね「はい……」


あかね「……うちに、英語を教えてほしいんです」


みゆき・やよい・なお・れいか「えっ!?」

なお「英語のニガテなあかねが自分から……」


あかね「今日、ブライアンといて思ったんです。"英語、ちゃんとできるようにならなあかん" って」

あかね「うちは今まで、ブライアンの気持ち、あんまりわかってあげようとせんかった……。"どうせ自分には英語なんてでけへんし" ってあきらめて、ガンバろうともせんかった……」

あかね「そのせいで、勉強できんで悩んどることも、はるかさんがおらんかったらわからんかった……。ブライアンの悩みを解決するにも、話がでけへんからなかなかうまくいかへんかった……」

あかね「はるかさんに通訳してもろてる時、うち、自分一人でブライアンの力になってあげられないことが……ちょっと悔しかったんです……。友達やのに、気持ちわかってあげられんことがなんか……その……、申し訳なくて……」

はるか「……そうだったんだ」


あかね「けど、やっぱそれじゃあかんと思うんです」

あかね「ブライアンだけやなくって、もっと多くの、世界中の人に元気になってもらお、思たら、言葉話せるようにならんとあかんと思うんです」

あかね「ちゃんと相手の気持ち、わかってあげられるように。ちゃんとうちの気持ち、伝えられるように」


あかね「せやから、お願いです、はるかさん! うちに、英語を教えてくださいっ!」ペコッ

はるか「…………」

はるか「……すごいね、あかねちゃん」

はるか「自分のニガテなことにも一生懸命ぶつかっていける。それって、すごいことだと思うよ」

あかね「やりたいことのためなら、全部全力でやっていきたいですから!」


はるか「…………」

はるか(……やりたいことのために全力で、か……)


はるか「わかった。あかねちゃんのこと、私も精一杯応援させてもらうよ!」

あかね「! それじゃ……!」

はるか「うん! 私が英語の家庭教師になるよ! 少しづつ頑張っていこう!」

あかね「はるかさん……! おおきに!」

あかね「うぅーっ、よっしゃぁ! うちの夢、熱くなってもーて止まらへん! お好み焼き、めっちゃ焼きとーてたまらんわ!」

あかね「みんな、これからウチの店でお好み焼き食べていかへんか!? 今日付き合ってくれたお礼もかねて、っちゅーことで!」

やよい「えっ、いいの!? 行く行くーっ!」

なお「けど、あかね、いいの? あたしとはるかさん、結構食べるよー?」

あかね「心配無用や! "もうギブアーップ!" っていうくらい作ったるさかい!」

はるか「へえ……! そう言うならお呼ばれしちゃおうかな!」


みゆき「よぉーっし! それじゃ、あかねちゃんちでお好み焼きパーティーだーっ! いっぱい食べようっ!」

やよい・なお・れいか・はるか「おーっ!」

あかね(……ブライアン、イギリスの人達、……ほんで、みんな。ほんま、おおきにな。みんなのおかげでうちの行きたい未来、見つけられたわ)


あかね(うちはどこまでもでっかくなったんで! 世界中の人達を元気にできるくらい、でっかく!)


あかね(あの、サンサンと光っとる、太陽みたいに!)





つづく

次回予告

みゆき「"夢の絵の具" ももう4つめ! みんな、自分だけの "未来に向かう気持ち" が見つけられて、とってもうれしそう!」

みゆき「でも、わたしはまだわからないの……。これから何になりたいのか……、何をしていきたいのか……。どうしたら見つかるのかな」

みゆき「……そうだ! 町の人たちに聞いてみよう! そうすれば、わたしだけの夢を見つけられるかも! よぉーっし、ガンバるぞーっ!」


みゆき「次回、『スマイルプリキュア レインボー!』 "どこにあるの? みゆきの夢!"」


みゆき「みんな笑顔でウルトラハッピー!」

今回はここまでです!
お読みいただいた方、ありがとうございました。

よかったら次回もまたよろしくお願いします!


第1話 〜 第11話 『スマイルプリキュア!』第2期を SS で作るスレ - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1360385907/)

第12話 >>6 から
第13話 >>117 から
第14話 >>223 から
第15話 >>332 から
第16話 >>433 から
第17話 >>520 から
第18話 >>647 から
第19話 >>746 から
第20話 >>838 から


次回ですが、このスレはもういっぱいなので、
第21話からは Part3 にする予定です。
新スレ立てたらこちらの方にもリンクを張っておきます。

今後ともよろしくお願いします!

それでは、Part2 最後のお返事タイムです!



> ボーズさん

> お疲れ様です前号に続き今号ギャグが入ってウケました。これから暑くなります、体調に気をつけてください。

いつもありがとうございます。
19話はちょっとコメディ色も強くしようと思って書いてみたので、
楽しんでもらえたならよかったです!

体調は、、夏ニガテなんですが、ガンバります。。



> 835 さん

> >>1がれいかを先生にした理由は…分かったぞ! のぞみと同じ職場に行かせて
> ドリーム×ダークドリーム
> をやるつもりだな!

その発想はありませんでしたw
ダークドリームとれいかさん、ファンの間ではおなじみの声優さんネタですね。

そのネタ自体は好きなんですが、でもやらないですw
『5』とは別もの、ということで進めます。

"先生" という夢がのぞみとかぶってしまったのは、、書き始める前の設定段階で『5』未見だったからなのです。。
『レインボー!』書きながら『5』見てて、青くなった覚えがあります。。

とりあえず『レインボー!』ではこういうことでいきますので、その辺りは笑ってご容赦いただければ、と思います。

> 836さん

……こちらのレス、非常に痛いところを突かれました。。

自分の中で、"やりたいことが見つからない" = "道がわからない" というイメージが固着してしまっていたようで、
836さんのご意見にはハッとさせられました。

「友達と一緒に過ごしていく中で色々なことを学んで、やりたいことを見つけるのが「れいかの道」」という解釈、すばらしいと思います。
その通りだと思います。。
自分のイメージに誤りがあったせいで、キャラクターに不自然なセリフを言わせてしまいました。。

ぶっちゃけ、自分のミスです! スミマセンでした!


『スマイル』終わって大分経ったことで原作の印象が薄くなり、
"自分なりのイメージ" が強くなってしまっているのかもしれません。。

BD4巻も届いて話が全て揃ったので、
もう一度 1から見直してイメージを修正し直します。。


ご指摘、ありがとうございました!

お返事タイムは以上になります。
また来週、お会いしましょう!


あと、こちらのスレはしばらく残しておきますので、
ご意見していただくなり、埋めていただくなり、お好きにしていただければ、と思います。

よろしくお願いしますー。

こんばんは。今、ある方のツイッターを拝見したところ今だ誤解が解けていないのでもう一度言っておきます。『自分は作者さんに自分の推しているカップリングを本作でやって欲しいなんて一言も言っていません。あれは「もし、あの三妖精がバッドエンド王国時代の姿に戻るエピソードを書くのならこのような展開はどうでしょう?」と、具体的な一例として提案しただけです。』もう一度自分の書き込みをよく読んでみてください。

Part3 立てました!

念のため、こちらにもリンク貼っておきます。


・『スマイルプリキュア レインボー!』 Part3
 『スマイルプリキュア レインボー!』 Part 3 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1373151336/)

第21話アップ完了したので、
第20話までのレスに対するお返事タイムとさせていただきます!



> 乙くださったみなさま

ホントに毎度ありがとうございます!
言うことなくなってきましたが、"ありがとうございます" 以外に言葉がありません!

よければ、これからもよろしくお願いします!



> ボーズさん

> 1、899と900のシナリオがWってましたが?

ギャッ、ホントだ。。

プリキュアソング歌いながらアップしてたのがいけなかったのか。。
それとも、急な暑さで頭が沸いてたのか。。

気をつけます。。

> 932さん

> 三人も将来スポーツ系(バレー、サッカー、弓道)になれそうなのに、一人もならなかった…

夢がプロスポーツ選手だと、そこに根付く想いに関するドラマが描きづらいかな、
と思ってこんなカンジになりました。

とりあえず、『レインボー!』ではこの展開でやっていこうと思いますので、
よろしくお願いします。



> 933さん

> れいかも英語ができるのに、どうしてはるか姉さんに……>>1はあかれいじゃないカップリングが好きとみた

そんなことないですよ? あかれいコンビは結構好きです。
普段絡まない分、キュンキュンしますね。"初たこ焼き" のシーンとか。

ただ、れいかさんは "英語教科の成績が良いだけで、語学が堪能なわけではない" というイメージがありましたので、
ここははるかに譲りました。
自分の認識が誤っていたらスミマセン。。

> "編集者"さん 関連について

自分としてはいただく意見はどれも貴重、ということでご意見ありがたくいただいていましたが、
これほど他の方々から不満を抱かれていたとは。。

"編集者" さんには申し訳ありませんが、
できればも少しソフトな表現でご意見いただけると幸いです。。



> "編集者"さん

あと、>>926 のレスのような、
スレと直接関係無かったり、他の読者さんを挑発するような内容の書き込みはご遠慮ください。

本シリーズはみなさんに楽しんでいただくためにあるものなので、
ご意見いただく際もその辺りを考慮していただけるとありがたいです。


この空気を Part3 に持ち越したくなかったので、
あえて Part2 にてご意見させていただきました。

楽しんでいただいているところ申し訳ありませんが、
ご了承いただければと思います。


よろしくお願いいたします。

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