京子「世界で一番熱い夏」(118)

 

――昼休み――

京子「今日も暑いね~……」

結衣「今日はここ最近で一番気温が上がるみたいだぞ」

京子「そうなんだ……。この部室の造りのせいもあると思うんだよな~……」

結衣「勝手に占拠しておいてなに贅沢言ってんだよ……」

カンカン カンカン

結衣「……? なんだこの音」

京子「あ~なんか今日ね、この部室の外でなんかの工事するって綾乃が言ってたよ~」

結衣「へぇー。じゃあ出てった方が良いのか?」

京子「いやいや、大丈夫でしょ~。放課後までには終わる簡単な工事らしいから」

結衣「そうなのか」

ガン ガン ガン

結衣「!? なんの音だ?」

京子「機材かなにかをこの建物に建て掛けたんじゃないのー?」

結衣「……お。そろそろ時間だな。教室戻るか」

京子「えぇ~嫌だよ~。ここにいたいよ~」

結衣「なに馬鹿言ってんだよ。まぁ、5・6時間目は文化祭の出し物制作だから、行かなくてもバレないかも知れないけど……」

京子「だろ~? ここにいようよ~」

結衣「ダメだろ。……ってか、こんな所にずっといたら暑くておかしくなるぞ」

京子「……確かに、なんかさっきより温度上がってるよねこの中……」

結衣「ほら、行くぞ」スッ

京子「授業行くかはさておき、とりあえず外出るか……」スッ

結衣「 授 業 に行くぞ」

京子「暑いよ~!暑いよ~!」

結衣「騒ぐと余計に暑くなるぞ」

ガラッ

京子「早く外出るぞ~」

結衣「もうすぐそこだよ。……ってか、外も涼しくはないだろ」

京子「この中よりはマシだろ~……」

結衣「まぁ、そうだな」ガッ

結衣「あれ」

京子「?」

結衣「くっ……」ガッ ガッ

京子「え?」

結衣「……戸が開かないんだけど……」

京子「えぇ!?」

結衣「ほら」ガッ ガッ

京子「ちょっと待ってよ~! 私がやる!」

京子「せいっ……!」ガッ ガッ


結衣・京子「「……」」

――部屋の中――

結衣「……って言っても、別にこっちから出れば良いしな」

京子「そうだよね~どこからでも出られる日本家屋万歳!」

結衣「ってかこの部屋の中、ますます暑くなってるな……」

京子「早く外に出るぞ~!」

結衣「そうだな。おいしょ」スッ

ガッ ガッ

結衣「」

京子「」

結衣「いやいや、こっちもあるじゃん」スッ

ガッ ガッ

結衣「」

京子「」

結衣「どうするか……」

京子「うーむ……」

結衣「もう授業は完全に遅刻だけど……まぁ、文化祭の出し物準備だからそれは良いとして……」

京子「どうせ綾乃辺りが『歳納京子がいない!』とか言って怒ってるくらいだね~」

結衣「でもなんで開かないんだろ……?」

京子「なにかを外から立て掛けちゃって、それに戸が引っ掛かって開かないんじゃないかな?」

結衣「なるほど。……って事は、外に向かって大声で叫べば、どかしてくれるかも知れないって事か」

京子「お! 確かにそうだね! よーし!」

京子「すーーーーーーっ」

結衣「いけ京子!」


京子「すいませーん!! 誰かいませんかー!!」


シーーーーーーーーーーーーーン


結衣「もういっちょだ京子」

京子「すーーーーーーーーっ」


京子「すいませーん!!!! 誰かいませんかー!!!!」

シーーーーーーーーーーーーーン

京子「なんで誰も反応してくれないのさ~」

結衣「……」

京子「もう誰も部室の前にいないのかな~?」

結衣「……あのさ」

京子「ん~……?」

結衣「こっちの声が届いてる届いてないとか、部室の前に誰かいるとかいないとか以前に……」

京子「うん?」

結衣「……外が静か過ぎないか?」

京子「静か過ぎる?」

結衣「あぁ。……セミの声一つ聞こえないじゃん」

京子「! そう言えば……」

結衣「どういう事だろ……」

京子「うーむ……」

結衣「ここまで静かなのは明らかにおかしいだろ……」

京子「あ!」

結衣「? どうした?」

京子「そう言えば綾乃が……今日の工事は、防音材をなんかする工事だとかなんとか言ってた気がする……!」

結衣「ぼ、防音材!?」

京子「そうそう。なんかアリーナの外壁に防音材を施すとかなんとかって。んで、その置き場にここが使われるって言ってたような……」

結衣「って事はまさか……今この部室の外には、大量の防音材が置かれてるって事か……?」

京子「た、多分ね~……」

結衣「それで一番部室寄りのは、部室自体に接触しちゃってるって事か……」

結衣「ってかさ」

京子「う、うん?」

結衣「出られないし、声が届かないってのもあれなんだけどさ……」

京子「うん?」

結衣「どんどん温度上がってない……?」

京子「あ、気づいちゃった?」


京子・結衣「「……」」汗ダラダラ


結衣「多分、いま部室のこっちの側面はその防音材で埋め尽くされてるんだよね」

京子「戸が全く開かないからそうだろね~……」

結衣「防音材ってのがどんな物なのかは知らないけどさ……」

京子「う、うん……」

結衣「なんか熱も篭りそうだような」

京子「確かにー……」


京子・結衣「「……」」汗ダラダラダラダラ

京子「結衣」

結衣「なんだよ?」

京子「今日はピンクなんだ」ニヤッ

結衣「? なにがだよ?」

京子「ブラ」

結衣「な!? なんで……」

京子「汗でもう透け透けだよ~」

結衣「!!」

結衣「うわ……制服もうびしょびしょだな……」

京子「お風呂入りたいね~……」

京子「……」ゴロゴロ

結衣「……」ゴロゴロ

京子「……もうダメだ」汗ダラダラ

結衣「……こっちももうダメだ」汗ダラダラ

京子「畳の冷たい所で寝る作戦ももう終わりだね……」

結衣「あぁ。もう部屋中の畳を私達の体温で温めちゃったからな」

京子「大人しく座ってよう」スッ

結衣「うん」スッ

京子「……」

結衣「……」

結衣「あぁ……もう終わりにしよう」

京子「えぇ~? せっかく良い所まで来てたのに~」

結衣「だいたい北極になんか行った事無いんだから、北極で遭難してるイメージなんてしようがないだろー……」

京子「私は結構出来てたよ~?」

結衣「じゃあそれで涼しくなったのか?」

京子「ノー!」

結衣「じゃあダメじゃんか……」

京子「結局……」

結衣「耐えるしかないのか……」

京子「結衣ー」

結衣「なんだよ?」

京子「今何時ー?」

結衣「えぇっと……2時だね」

京子「え!? まだ五時間目始まって15分しか経ってないの~!?」

結衣「時間が過ぎるのが滅茶苦茶遅く感じるな……」

京子「なんだもう1時間くらい経ってるかと思ってた!」

結衣「さすがに1時間って感覚では無かったけど……」

京子「このままじっとひたすら耐えて凌ぎ切れるかと思ってたけど、これは無理だわ!」

結衣「無理?」

京子「よし、あと約1時間半どうやって耐え切るか、計画を立てよう!」

結衣「計画?」

カチ カチ

京子「……」

カチ カチ

結衣「……」

カチ カチ

京子・結衣「「よし!」」


京子「2時15分になったね!」

結衣「まずは第一段階だな!」

京子「……よっ」ファサッ

結衣「……よっ」ファサッ

京子「ふぅー……」

結衣「お。上のセーラー脱ぐだけでも大分違うな~……」

京子「ふふ。なんかワンピース姿の結衣って新鮮だな~」

結衣「……そんなじろじろ見るなよ」

京子「う~……暑くてダルくて体起こしてるのきついや~……」

結衣「暖まっちゃった畳で良ければ寝っ転がれば良いじゃんか」

京子「うん、もう仕方ないね~……」ゴロン

京子「……」

京子「……暖まっちゃってるのはもう良いんだけどさ」

結衣「?」

京子「敷くものなくて、頭痛いよ~!」

結衣「ちょうど座布団洗濯して外に干してる所だからな。仕方ないよ」

京子「でも痛い~痛い~!」

結衣「じゃあ、自分のセーラー畳んで敷けば良いじゃんか。どうせ今日洗わなきゃだし」

京子「おぉ。それは良い考えだね」

京子「……これでもやっぱ痛い」

結衣「……まぁ、薄いからね」

京子「……」

京子「……そうだ!」

結衣「?」

京子「結衣のも貸してよ!」

結衣「えぇ?」

京子「結衣のも今日帰ったら洗うでしょ~?」

結衣「そりゃあ洗うけどさ……」

京子「じゃあ貸ーして!」

結衣「汗がすごいぞ……」

京子「良いから! 頭の下が堅い方が苦痛だもん!」

結衣「えぇ……でも……」

京子「とりゃあ!」サッ

結衣「! おいおい……」

京子「くー……これなら快適だわ」

結衣「……そうか」

京子「でも……」クンクン

結衣「おい」

京子「ちょっと汗のにおいするねー」ニヤニヤ

結衣「……嫌なら返せよ」

京子「ううん」

結衣「え?」

京子「全然嫌じゃないよ」

結衣「……」

京子「むしろ、なんか落ち着く」顔ギューッ

結衣「そ、そうか」

結衣「暑い……」

京子「横になれるのは良いけど……暑さは変わらないんだよね……」

結衣「そりゃあそうだろ……」

カチ カチ カチ カチ

京子「お。でも第二段階の時刻が迫っておりますぞ、結衣さん」

結衣「え……。あれ、本当にやるのか」

京子「当たり前じゃないか! 計画通りやらないと、時間まで耐え切れませんぞ!」

結衣「まず計画側になんの根拠があるんだよ……」

カチ カチ カチ カチ

京子「お! 2:30! 時間だね~!」

結衣「……」

京子「そりゃあ!」ファサッ

結衣「うわ! 京子、お前なんのためらいもないな……」

京子「おぉ! やっぱワンピ脱ぐとだいぶ違うよー!」

結衣「そりゃあそうだろうけど……」

京子「さぁ、早く結衣もさ!」

結衣「えぇ……」

京子「とりゃあ~!!」

結衣「おい!」

京子「せいっ!」ファサッ

結衣「おいっ……」カァッ

京子「なに下着姿で照れてんのさ! 露出個所は、水着と変わらないよ~?」

結衣「まぁ、そうだけどさぁ……」カァッ

京子「そして、ワンピも脱ぐともう一つ利点があるのだ!」

結衣「もう一つ?」

京子「頭の下に敷けるものが増える!」

結衣「あぁ……」

京子「だから、結衣も横になれば良いじゃん! これ、ありがとね!」セーラー サッ

結衣「まぁ、セーラーとワンピを畳んで敷けば、充分寝れるな」パシッ

結衣「……」ゴロゴロ

京子「……」ゴロゴロ

結衣「これで後だいたい1時間か……」

京子「そうだねー」

結衣「寝入れればあっという間なんだろうけど、さすがにそれは無理だな……」

京子「もういよいよ温度上がってるもんねー……」

結衣「このままひたすらじっとしてるしか無いな……」

京子「そうだねー」

結衣「……ふぅ」

京子「ねぇ、結衣ー」

結衣「なに?」

京子「頭の下に敷いてるセーラーとワンピ、交換しよ?」

結衣「……えぇ?」

京子「良いじゃん良いじゃん!」

結衣「なんでわざわざ……」

京子「気分転換だよー!」

結衣「なんの気分転換になるんだよ……」

京子「おーねーがーい!」

結衣「私のだってそうだし、京子のだって汗でびっしょりだろー? なんでわざわざ人の……」

京子「……」スッ

結衣「……おい?」

京子「もーらい!」

スッ

結衣「……痛て。おい!」

京子「こっち使ってねー!」パサッ

結衣「……」

京子「おいしょ」ゴロン

京子「ふぅー……」

結衣「(思いっ切り顔つけてるよ……)こんなの交換してどうするんだよ……」

京子「まぁ、良いから良いから」ゴロゴロ

結衣「(京子のセーラーとワンピか……。まぁ他に敷くものないし……)」スッ

結衣「……」ゴロン

京子「どうだ、私のは!」

結衣「おいおい……予想以上にびしょびしょだな……」

京子「ごめん、ごめん。だから交換したのさ!」

結衣「お前……」

結衣「(でもよく考えるとすごい状況だな……)」

京子「うーん……」ゴロゴロ

結衣「(人の汗をこんなに顔にくっつけながら寝るって……)」

京子「う~ん……」ゴロゴロ

結衣「(しかも下着姿で……)」

京子「結衣~」

結衣「……なんだよ?」

京子「なんか照れるね」ニコッ

結衣「な、なにがだよ……」ドキッ

京子「だって結衣のにおいでいっぱいなんだもん」

結衣「……」

京子「そっちは~?」

結衣「……」プイッ

京子「あぁ~なんで向こう向いちゃうの~!」

京子「あぁ~……」

結衣「う~……」

京子「あかんで、あかんで結衣さん」

結衣「これはきついな……(どんどん室温上がってきてる……)」

京子「もうこの部屋の中、何度あるんだって話だねー……」

結衣「サウナみたいだなー……(もう私も思いっ切り京子のセーラーとワンピに顔つけちゃってるし……)」

京子「あぁぁぁ……」

結衣「ペットボトルのお茶、めちゃくちゃ温くなってるけどしっかり定期的に飲んどけよー……」

京子「わかってるよー……」

カチ カチ カチ

京子「……お」

カチ カチ カチ

京子「第三段階の時刻が迫っておりますよ、結衣さん」

結衣「私はパスするからなー」

京子「えぇ?」

結衣「だって恥ずかしいし、多分ほとんど涼しくならないじゃんー……」

京子「そうかな~?」

結衣「絶対そうだろ~……こんな小さいもの取ったって……」

京子「いや、結構涼しくなったよー?」

結衣「え?」パッ

結衣「ちょ、京子! なにやってんだよ!」

京子「なにってブラ取っただけじゃーん。もう時間も2時45分になってるしー」

結衣「おいおい……」プイッ

京子「ほら、結衣も!」

結衣「絶対嫌だね」

京子「結衣も取りなよ~涼しいよ~?」

結衣「絶対変わらないだろ」

京子「そんな事無いよ~私でこれだけ変わるんだから……」

結衣「……」

京子「でっかい結衣さんなら、もっと涼しくなると思うけどな~」

結衣「うるさい(……確かにその辺の汗がすごいけどさ……)」

京子「……ふぅ。それにしても……まだ室温上がってきてるよね……」

結衣「あぁ。防音材ってこんなに熱篭らせるのか……(……冬場のアリーナが暖かそうでなによりだ)」

京子「あっつい……(もう結衣のセーラーとワンピ、私の汗もすごいだろうな……)」

結衣「あっついな……(京子のセーラーとワンピ、いよいよびしょびしょになってきたな……)」

京子「……ねぇ、結衣」

結衣「ん?」

京子「思ったんだけどさ」

結衣「うん」

京子「例えば猛暑日って言ったら、気温が35度以上になってるわけじゃん?」

結衣「そうだな」

京子「多分今日って、その猛暑日じゃん?」

結衣「天気予報ではそう言ってたねー」

京子「って事は35度以上あるんだよね」

結衣「だろうな」

京子「それでこの中は、防熱剤のせいで熱篭ってるから、それと同じかそれより高いわけじゃん」

結衣「……そうなのかな?」

京子「となるとさ」

結衣「うん」

京子「今この部屋の温度は、私達の体温より高いかも知れないって事だよね」

結衣「そ、そうだな」

京子「って事はさ」スッ

結衣「……?」


京子「こうやってくっつけばさ……」ギュッ


結衣「!! ……京子!?」


京子「もしかしたら涼しかったり?」


結衣「そ、その理屈はおかしいだろ……!」

>>84
ごめん
防熱剤→防音材

京子「……」ギューッ

結衣「おい京子! 離れろって!」

京子「……涼しくない?」ギューッ

結衣「す、涼しいわけないだろ!」

京子「あれ? 私は涼しいけどな~」ギュギューッ

結衣「おい!」パッ

結衣「!! おっと」バッ

結衣「ちょっ京子お前、まだブラ着けてなかったのかよ!」カァッ

京子「あ~結衣、こんな間近で見たな~!」ギューッ

結衣「やめろって! 離れろって!」

京子「もうお互い汗でやばいね~」ヌルヌル

結衣「どこが涼しくなるんだよ!」

京子「……」ギューッ

結衣「おい京子…」

京子「……」ギューッ

結衣「離れろって……(この状態でもう10分以上……)」

カチ カチ カチ カチ

京子「……お」

結衣「……?」

京子「よっ……と」スッ

結衣「……ふぅ(やっとか……)」

京子「よっ」スーッ

結衣「……?(なにやってんだ……?)」

結衣「……」パッ

結衣「!! (なっ……)」

結衣「ちょっと京子! なにやってんだよ!!」

京子「なにって、もう3時だよー?」

結衣「3時……(あ、そう言えば……)」

京子「だから第四段階で、パンツ脱いだんじゃん!」

結衣「穿けって!」

京子「なんでさー? 最初の計画通りじゃん!」

結衣「良いから穿けって!」

京子「涼しいー!」スッ

京子「これで…」ギューッ

結衣「!!」

京子「……」ギューッ

結衣「(ど……どうしたら良いんだ……)」ドキドキ

京子「……」ギューッ

結衣「(今、後ろから抱きついてきてる京子は……)」ドキドキ

京子「結衣も脱ぎなよー。涼しいよー?」ギューッ

結衣「絶対脱がないからな」

京子「……そっか」ギューッ

結衣「……」

京子「じゃあさ、脱がなくても良いから……」

結衣「……」

京子「こっち向いてよ」

結衣「!」

結衣「え……えぇ?」ドキドキ

京子「ね」

結衣「……」ドキドキ

京子「こっち向いてって」

結衣「な……なに言ってんだよ……」ドキドキドキドキ

京子「早く」

結衣「嫌だよ」ドキドキドキドキ

京子「なんでだよー?」

結衣「嫌なもんは嫌なんだよ」ドキドキドキドキ

京子「……そっか」

結衣「……」ドキドキ

京子「じゃあ、」

結衣「……?」ドキドキ

京子「私が結衣の前に行くね」スッ

結衣「!!」

結衣「おい! 前に来てどうするんだよ!」

京子「別にー?」スッ

結衣「くっ……」目ギュッ

京子「あ! なんで目つぶっちゃうのさー?」

結衣「なんで開けて欲しいんだよ!」

京子「なんか汚ないもの扱いされてるみたいで嫌じゃん~」

結衣「べ、別に汚ないとかそういうわけじゃないけど……」

京子「じゃあ、目開けてよ~」

結衣「……っ……(どうすれば良いんだ……)」

京子「目開けてくれないなら、」

結衣「……」ドキドキ

京子「思いっ切り顔に押しつけちゃうけど良い?」

結衣「……は、はぁ?」ドキドキドキドキ

京子「良い?」

結衣「な、なにをだよ!?」

京子「それはわかんないよー」

結衣「ど、どういう事だよ……」

京子「目を開けて確認すれば良い事じゃん~」

結衣「はぁ?」

京子「じゃあ行くよー?」

結衣「なっ……ちょ……」

京子「3、2、」

結衣「ま、待てって……」

京子「1、」

結衣「おい!!」

結衣「ぷはっ……」バッ

結衣「……? (セーラーとワンピ……?)」

京子「お、結衣起きたー?」

結衣「あれ……? (夢……?)」

京子「まさかこの室温の中でガチ寝するとはねー!」

結衣「あ、ごめんごめん……(京子が下着つけてるって事は……)」

京子「でもなんかうなされてるっぽかったぞー?」

結衣「あ、暑さのせいだよきっと……(寝ちゃったのは、第三段階の前か……)」

京子「そっか、そっか。まぁ、なにはともあれ……」

結衣「……」

京子「もう3時20分だから、我々は暑さに勝ったわけだよ! さっき外で音がしたから、多分もう戸開くんじゃないかな?」

結衣「おっ……良かった……」

京子「このまま部活だけど、一回教室に戻って荷物を取ってこなきゃね」

結衣「そうだな(……ふぅ)」

京子「でも綾乃になんて言い訳しよう~……」

結衣「正直にそのまま話せば良いだろ。工事の件は知ってるんだし……」

京子「おぉ!それもそうだね」

結衣「とりあえず……制服着ちゃおう」スッ

京子「あ~ちょっと待って!」

結衣「…? なんだよ?」

京子「制服交換して着よう?」ニコッ

結衣「……はぁ?」

京子「だって、どうせ今日帰って洗うわけじゃん~?」

結衣「まぁ、そうだけど……」

京子「明日お互いに着てきて、学校で交換しよ?」

結衣「なんでだよ……(まぁ、夢の中での要望に比べれば……)」

京子「ね! お願い!」

結衣「まぁ……別に良いけどさ……(遥かにマシだな……)」

京子「やった~!」

結衣「でもなんでまた……」

京子「だって、もうどっちもお互いの汗が染みついちゃってるわけだから、もう関係ないじゃん!」

結衣「まぁ、確かにそうだけど……(人のが嫌とか言ってる場合じゃないわな……)」

京子「それに……」

結衣「それに?」

京子「下着はもう交換してあるんだしさ!」ニヤッ

結衣「」

結衣「え……えぇ!?」

京子「ごめん、寝てる間にしちゃったー!」

結衣「な、なんでだよ!?」

京子「だって揺さぶっても全然起きないんだもん~」

結衣「だからってなんで……!」

京子「ふふふ。私は結衣の全てを見てしまったのさ~!」

結衣「こら~!!」

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