杏子「殺し屋ランキング?」QB「うん」 (172)

ノーモア★ヒーローズのパロディネタ


~展望台~


QB「見滝原殺し屋協会が公認するトップ10までのランキングだよ」

杏子「此処にはそんな物騒なもんがあんのかよ……」

QB「まぁね。でもキミは魔法少女だ、別に恐ることはないんじゃないかい」

杏子「そりゃあそうだけどさぁ。……ってかなんでそんなことをアタシに?」

QB「キミには是非とも殺し屋ランキングに載ってもらいたいんだ」

杏子「はぁ?」


SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1387114233

QB「もちろん、タダじゃないよ」

QB「一度ランキングに載ってしまえば順位に相応した見返りがもらえるんだ」

QB「お金だろうがグリーフシードだろうがなんだろうがね」

QB「だから生活の基盤を持たないキミにこうして美味い話を持ってきたわけだよ」

杏子「なるほどねぇ……これは乗ってみるのも悪くなさそうだ」

QB「話が早くて助かるよ。じゃあ早速だけれどキミにはランク10位の相手と戦ってもらうよ」

杏子「えっ!? めんどくさそうな手続きとかはいらないのか!?」

QB「そんなものは必要ないさ。ランカーを倒せばその時点でランキング戦に参加したことになるからね」

杏子「そ、そうなのか」

QB「ただ挑戦料というものがあってね、上のランカーに挑むには多額の参加費が必要なんだ」

QB「そうでもしないと四六時中挑戦者と相手にしないといけないからね」

QB「だけど初回の場合は挑戦料無料だ」

QB「というのは現在、新規登録者キャンペーンが実施されているからね」

杏子「ってことはそれ以降は……」

QB「自腹だね。なお参加費は挑戦するランカーによって様々だ」

QB「比較的安いところもあれば高いところもある。まぁどちらにせよお金が必要なわけだけど」

杏子「マジかよ……じゃあバイトでも何でもして稼ぐしかねぇのか」

QB「いちおランカーになった時点でそれなりの報酬は定期的に配給されるけどね」

QB「ところでキミは何位で見切りをつけるつもりだい?」

杏子「そんなの決まってんだろ! ナンバーワン取るまで戦い続けてやるまでだ!」

QB「それでこそ杏子だよ。じゃあ10位がいるところを教えるね」

~ホストクラブ~


キャーキャーワーワー
ドンペリドンペリドンペリ!

カランカラン

杏子「おい……本当にこんなところにいんのかよ」

ホスト1「いらっしゃいませー……って子供かぁ」

ホスト1「コラコラ。いくら思春期だからってこんなところをほっつき回っちゃいけないよ」

ホスト1「ここは子供が来るとこじゃないからね。さぁ帰った帰った」シッシ

杏子「おい!いきなり子供扱いすんなよな!!」プンスカ

杏子「そんなことよりここに殺し屋ランキング10位がいるって聞いたんだけど……」

ホスト一同「「「!!」」」

ホスト2「おい……まさかこんな子供が?」

ホスト3「いや……見た目で決めるのはよくねぇ……」

ホスト4「でもこの子……今、確かに言ったよな」

ホスト1「……君は挑戦者なんだね?」

杏子「そうだ! そんなことより10位はどこのどいつだ!お前か!お前か!」ビシッ ビシッ

ホスト1「ショウさんを……“ビューティフル・ショー”を呼んできてくれ」

ホスト1「今日は急遽店じまいだね。女の子達には悪いがそう伝えておいてくれ」

ホスト一同「「「イエッサー!!」」」

そして数分後――。


ガチャ


ホスト1「外で待たせてすまなかったね。今準備が整ったところだよ」

杏子「おー!ようやくか」

ホスト1「さぁ、1名様ごあんなぁああい」ガチャリ

ピッカーン

扉が開かれた刹那、眩かしい程の光が漏れる。

杏子「うわっ!ま、眩しい!!」

そして光の先に見える人影。
 
『ある人は訊ねる! 見滝原で一番のクズは誰かッ!!』

『ある人は云う! ソイツは持ち得る美貌で数多の嬢を惹き寄せ、同じ数だけ捨ててきた!』

『彼女達の愛情を私利私欲がために利用する極悪外道とはまさにこの野郎ッ!!!』


――RANKING 10『Beautiful・Shaw』――


ブーブーブー

ナレーションが言い終わると共に湧き上がるブーイングの嵐。

ショウ「ご声援ありがとう。諸君」

ショウ「初めまして、チェリーガール。俺が殺し屋ランキング第10位だ」

杏子「初戦の相手はチャラ男か。まぁ殺し屋つーんだからそれなりに腕は立つんだろうな」

ショウ「言っておくが逃げ出すなら今のうちだぜ?」

ショウ「最近手応えのねぇ輩ばっかりでなぁ……退屈で仕方なかったんだよ」バキゴキ

ショウ「あまりに暇だったからそんじょそこらの糞男や糞女をボッコボコにしてんだが……」

ショウ「そいつら抵抗するどころか情けなく喚いて命を乞うってきたもんだ」

ショウ「ところで聞いたっしょ? 新規登録者キャンペーンやってんの」

ショウ「あれさぁ、あまりに俺が強すぎるもんだから噂に流れちまってな」

ショウ「どいつもこいつもビビってよぉ、ランキング戦に挑もうって奴がめっきり減っちまったからなんだよ」

ショウ「そんな中で挑戦者が現れたつーから俺舞い上がちゃったわけよ」

ショウ「ところが見てみりゃあどういうこったい……。ただのガキんちょじゃねぇか!!!」ドン

ショウ「いいか!? 一度挑戦されたからにはガキだろうが誰であろうと受けるのがルールなんだよ!!」

ショウ「俺は今モーレツに苛立っている。ガキとはいえうっかりヤっちまう可能性がある」

ショウ「尤も端っからタダでは殺さねぇよ……おい!そこ三下ぁ」

ホスト1「はい」

ショウ「適当な空瓶を数本持ってこい」

ホスト1「……わかりました」

ショウ「たっぷりと溜まりに溜まっている鬱憤を晴らさせてもらうとしようじゃん」

杏子「ッ……」

ホスト1「お待たせしました」スゥ

ショウ「おう、ご苦労」

そう言い、ホストが持つトレイの上に置かれた数本の空瓶の一つを手に取れば
それをホストの頭部目掛けて思いっきり叩きつける。

バリーン

ショウ「ヒュ~。いい音だ」

ガラスが飛び散り、彼の額から血が滴り落ちる。

ホスト1「……」ポタポタ

ショウ「どうだい?これを見て少しは身の程を弁えたかなぁ?」チラ

杏子「ッチ……初っ端から胸糞悪ぃもん見せてくれるじゃねぇか」

杏子「だけどこれで心置きなく戦える理由ができたよ」

杏子「それにアンタ、自分のことを極悪人として売り文句にしてるようだけど」

杏子「アンタは自分が思っている以上にどうしようもねぇクズ野郎だよ」

ショウ「」ピキッ

ショウ「よし死ね」


空瓶を両手に持ち、杏子へと突っ込んでいく。
そして距離を詰めれば、先ず右手に持っている瓶を彼女目掛けて振り下ろす。

しかし振り下ろされた空瓶は命中することなく右手もろとも外野へと弾き飛ばされていった。


ショウ「ひぃあああああああああああああああああああ」ガクガク

ショウ「腕がぁッ!!俺の右腕がぁあああああああああああ」

ショウ「痛ぇよぉおおおおおおおお!!ちくしょおおおお」ブワッ


痛みのあまり空いた手に持っていた瓶を落とし、その場で倒れこみもがき苦しむ。
嗚咽を漏らしながらあるはずだった箇所を左手で押さえる。


杏子「これでちったぁ頭冷やせってんの」

ホスト1「!!」

ホスト1「あの姿は……!!」

ホスト2「間違いねぇ……こりゃあやべぇのが来やがったぞ」

ショウ「て、てめぇは……!! いいいいいったい何者なんだぁあああああ」

杏子「なんでもねぇ、しがない魔法少女さ」

ショウ「魔法少女!!?」

ショウ「ふ……ふ、ふざっけやがってぇええええ」タッ


涙ながらに再び立ち上がれば、懐から取り出したナイフを向け、杏子目掛けて足を走らせる。
しかしナイフの刃が届く前に進ませていた両足が自分の元から斬り離される。


ショウ「あああああああああああああああああ」ドサー


無様に前側へと倒れこむショウ。
そして両足や右腕から滲み出る多量の血液が足場を赤へと染めていく。


ショウ「ま……まだだ。まだ終わちゃいねぇよ!!」

ショウ「おい、テメェら!! 全員でコイツを殺せェ!!」ビシィ

ショウ「お、おい聞いてんのか!? テメェら!?」

ホスト「「「……」」」

ショウ「いったい誰のおかげでこのシマ守ってやってると思ってんだぁ!?」

ホスト1「ショウさん……もう僕達耐えられませんよ」

ショウ「ぁあん!? そりゃあどういうことだ?」

ホスト1「赤毛のお嬢さん、ショウさんに……」

ホスト1「いや、ビューティフルショーに止めを……!」

杏子「やめとくよ」

ホスト1「えっ!?」

杏子「初戦ということもあって、どういう奴かと期待してたんだが」

杏子「幻滅だわ。弱い犬ほどよく吠えるとは正にこのことだねぇ」

杏子「流石に殺すのもバカらしくなってきたよ」ハァー

杏子「まぁ……もしアンタらがソイツをほったらかしにすれば出血多量で勝手に死んじゃうけどね」

ホスト「「「……」」」

杏子「さて、これでランキング10位を倒したってことでいいか、キュゥべえ」

QB「そうだね、ボクが確認したよ。これで晴れてキミもランキング入りだ」ヒョコ

杏子「この調子なら一位までそう遠くはなさそうだな」

QB「軽率に見ないほうがいいよ。まだこの上には9名の殺し屋が控えているからね」

QB「何れも悪名を轟かせている百戦錬磨の猛者ばかりだ。これからが本番だよ」

杏子「へぇ……そいつぁ楽しみだ。……でもその前に挑戦料を稼がねぇとな」



【殺し屋ランキング】
10位 クリムゾン・キラーアンコ ←NEW
9位 ナイトメア・シープリンセス 
8位 ――――
7位 ――――
6位 ――――
5位 ――――
4位 ――――
3位 ――――
2位 ――――
1位 ――――

翌日

~公園~


まどか「みんな、これ見てよ!!」つ(携帯画面)

さやか「うはー久しぶりにランキング更新されてんじゃん!」

マミ「いったい何ヶ月ぶりかしらね」

まどか「こういうのって何だか応援したくなっちゃうよね!!」ソワソワ

マミ「そうね、それに既に街中ではこの話題で持ちきりよね」

さやか「いや~、クリムゾン・キラーアンコ! 是非とも気になるところだよ!」

ほむら「あら杏子。どうしたのかしら? 浮かない顔して」

杏子「い、いや何でもねぇよ……」

杏子(クリムゾン・キラーアンコって……)

杏子(いつの間にこんな異名が付けられたのかよ、アタシ……)

杏子(てか……アタシがキュゥべえに誘われたつうことはコイツらもランキングに入ってる口なのかな)

杏子「ところでさ、そのランキングってアンタら知ってんの?」

まどか「殺し屋ランキングでしょ?」

ほむら「愚問ね。知らないほうがおかしいくらいの知名度よ」ファサ

さやか「そうそう!密かにみんな応援しちゃってたりしてるんだよ」

マミ「噂ではランカーの中には私達のような魔法少女もいるらしいわ」

杏子「じゃあ……やっぱりアンタらm――」

ほむら「ストップよ」

ほむら「言っておくけれども、ランカーは誰も他の人に素性を明かしたがらないの」

ほむら「きっと名が知れ渡るがゆえにあの手この手で殺しにかかる輩に目を付けられてしまうからでしょうね」

ほむら「もし、自分の正体を知る者がいれば当然、野放しにはしたくないでしょう?」

ほむら「妙な詮索は命取りになるわ……気をつけなさい」

ほむら「それにお互いの身のためよ……」ボソリ

杏子「ああ……気をつけるとするよ」

杏子(次の相手は9位……てかナイトメア・シープリンセスって何だよ)

杏子(それにアイツらの誰かが本当にランカーならいずれはぶつかる羽目になるよな……)

まどか「でも、これで当分は話題が尽きそうにないね!」

さやか「まさに期待の超新星ですな!」

マミ「秘匿とはいっても一度は会ってみたいものね」

まどか「マミさん!そんなこと言ってたらクリムゾンに命狙われちゃいますよ!」

マミ「うふふふ、それは是非ともお願いしたいところね」

さやか「ぬぬっ! これはもしや! マミさん恋を患っちゃったパターンですかな!?」

まどか「でも、クリムゾンっていう響きだからきっとワイルドな人なのかなぁ……」

キャッキャッキャ




杏子(なんか複雑な気持ちだな……)

ほむら「……」ギリギリギリ

ほむら(巴マミはいいとしてもまどかまで惹きつけるなんて!)ギリギリ

ほむら(くっ! もっと名を上げる必要があるわね)

一週間後



~学校廊下~


杏子「はぁ……はぁ……。な、何とか挑戦料を納金できた」

杏子「第一、高すぎんだろ!! 軽く数万いってんじゃねぇかよ」

杏子「それにあれから随分間が空いちまったが……大丈夫か!?」

QB「やぁ、無事だったんだね」ヌッ

QB「ボクはてっきり正体をバラしてしまって誰かに付け狙われていたのかと思ってたよ」

杏子「生憎、どこぞの誰かさんがご親切に忠告してくれたおかげでそんなことはなかったけどな」

杏子「ただ、金を集めんのに色々と苦労してたんだよ!」

QB「まぁ何はともあれ……キミは今こうしてランキング戦に挑めたわけだ」

QB「さて、この先の教室にランキング9位が待ち構えているよ」

QB「勝てば9位にランクアップ」

QB「負ければ更なる地獄が待っている」

QB「体調管理は大丈夫? 変身は済ませたかい? 覚悟はいいかい?」

QB「準備ができたら中へ入るといい」

QB「魔法を味方にして、さぁ狂い咲く園へ」


杏子「何だよそのテンプレ口調……」

~教室~


ガラッ


杏子「おっ邪魔しまーす」

仁美「お待ちしておりましたわ」

杏子「アンタが……第9位か」

仁美「そのとおりですわ、クリムゾン・キラーアンコ様」

杏子「既に覚悟はできてるって腹だな」

仁美「ええ、それはもう待ちわびていましたの」

仁美「いったい、いつになったら挑戦状が届くのかと心待ちにしておりました」

杏子(テメェが高い料金に設定するからだろうが……!)

杏子「じゃあ……やることは分かってるよなぁ」シャキン

仁美「お待ちなさいッ!」

杏子「ん?」

仁美「戦う前に何か大事なことを忘れていましたわ」パンッ


仁美の手合図に伴い、何処からともなく姿を表す数人の黒尽くめの男たち。
彼らは周りに並べられた机や椅子を丁寧に退かしていく。


仁美「戦いの場は綺麗にしたほうがよろしいでしょう?」

杏子「わざわざご苦労なこったぁ」

杏子「じゃあ改めてナイトメア・シープリンセス!」

杏子「アンタに挑戦状を申し付けるぜ!」チャキン

仁美「お待ちなさいッ!」

杏子「ん?」

仁美「戦う前に何か大事なことを忘れていましたわ」パンッ


仁美の手合図に伴い、再び何処からともなく姿を表す数人の黒尽くめの男たち。
彼らは録音再生機器を設置すれば、スイッチを押し――。


『ある人は訊ねる! 見滝原で一番のお嬢は誰かッ!!』

『ある人は云う! その方を怒らせてしまったが最後、住民票もろともその存在を揉み消される!!』

『見滝原市の裏を牛耳る悪夢たる存在とはまさにこの人!!』


――RANKING 9『Nightmare Sea Princess』――


仁美「これは社交辞令ですわ」

仁美「ではよしなに……」ペコリ

杏子「あ、あぁ……此方こそ」

杏子(10位がアレだったからなぁ……どうも調子がつかねぇな)ポリポリ

一先ず目処を。
誰得な組み合わせだから需要ないかもしれないけどボチボチ投下していきます。

杏子「じゃあ……こっちからいかせてもらうぜ!!」

仁美「どうぞお手柔らかに」

矛先を仁美へと向ければ勢い良く突っ切る杏子。
一方の仁美は距離を置こうとゆっくり後ろへと退く。
しかし教室内ということもあり二者間の距離はそう遠くないものであったため、アッと言う間に仁美を壁際まで追い詰める。


杏子「終わりだよ!」


矛先を突き出した。
しかし当たったのは仁美ではなく壁。
突如、視界から仁美の姿が消えたのだ。


杏子「っ!?」

仁美「遅いですわ」


仁美は消えたのではなかった。姿勢を低め、杏子の視界から逃れたのだ。
そして仁美は死角を突き、杏子の腹部へと右拳を振るう。

杏子「うぐっ!」


腹部から伝ってくる凄まじい衝撃は体内の何かを逆流させる。
空いた手で口元を押さえ、よろめく杏子。


仁美「あら、耐えなさりますわね」

仁美「殆どの方はワンパンで沈むのですが……」

杏子「へっ! そんじょそこらの馬の骨と一緒にすんなってんだよ」

杏子(ど、どうなってやがんだ……コイツの力は!)

杏子(まさか……コイツも魔法少女か何かか!?)

仁美「言っておきますが……私は何の変哲もない人間ですわ」

杏子「なん……だと」

仁美「聞くところによれば、このランキングには奇っ怪な妖術を扱う方がいらっしゃるそうですわ」

杏子「……」

仁美「挙句、時間を止めるような方までいらっしゃるのだとか」

杏子(もしかしなくてもアイツのことか……)

仁美「見たところ……あなたからもそんな類いの匂いがします」

仁美「でもそんな方々に遅れを取る私ではありませんわ」

仁美「日々の努力を怠らず研究に研究を重ね、ついに完成した“シーウィード・マーシャル・アーツ”」

仁美「この大海に漂う海藻の如くしなやか動きで相手の死角を突くこの武術」

仁美「それを以てして貴女を仕留めさせてもらいますわ!!」シュバ

杏子「ッ!!」


今度は仁美の方から杏子へと接近し間合いを詰める。
そして再び腹部へと右拳を繰り出す。


杏子「二度も同じ手にかかるかってんだ!!」ガキン


杏子は槍の柄で仁美の拳を受け止める。


仁美「やりますわね。でもここからが真骨頂ですのよ!」キマシタワー


槍で受け止められた拳をそのままに今度は左拳で杏子の鳩尾へとパンチを繰り出す。


杏子「ぐはッ!!」


そして反撃の隙を与えまいと仁美は両拳を引き戻せば
右、左、右、左と交互に拳を突き出し、腹部目掛けて延々と腹パンラッシュを繰り出す。

仁美「そいそいそいそいそいそい!!」

杏子「ッ……あぐッ……くっ……!」

杏子(な、なんて速度の腹パンを繰り出してんだコイツは……!)

杏子(それも的確に一箇所を重点的に……ッ!!)

仁美「そいそいそいそいそいそいそいそいそいそい!!」

杏子(まさに腹パンの極みか……)

杏子(……)

仁美「そいそいそいそいそいそいそいそいそいそいそいそいそい!!」

杏子(……)

仁美「そいそいそいそ、いそ、い……そ……い……」ゼェゼェ

杏子(!)

仁美「そ……いそ、いそ、い……そ……い……」ゼェゼェ

杏子(まさかもうバテ始めたのか……!?)

仁美「はぁ……はぁ……」ピタッ

仁美(このシーウィード・マーシャル・アーツ……それこそ柔軟な動きが取り柄の武術)

仁美(ただ、これを十全活かすには事前に一日3食詰めで海藻を摂取しなければなりません……)

仁美(こんなことなら昨日……まどかさん達と外食すべきではありませんでしたわ……)

仁美(ふ、不覚deathわ……)ガクッ

杏子「か、勝手に倒れたぞ……?」


仁美「はぁ……ぜぇ……わ、私の欠点は体力が無いこと」

仁美「つまり短期戦において本領を発揮できるタイプですの」

仁美「貴女のタフさには驚かされましたわ」

仁美「クリムゾン……貴女の勝ちです」

仁美「さぁ、私に止めを……」

杏子「ありがたくそうさせてもらうけどさ……少し聞いていい?」

仁美「なんでしょう?」

杏子「アンタ、いったい何のためにこんな物騒なもんに参加してんだ?」

杏子「どうもそれなりの生活を送ってそうなアンタが見返り目当てに戦っているように見えねぇんだよな」

仁美「……」

仁美「はい、私がこのランキングに参加したのは地位や名声や富のためではありません」

仁美「ランキング戦に参加すると決めたのは……ある方との約束があったからですの」

杏子「約束?」

仁美「今はそれ以上はお答えできません」

仁美「そして、その答えは何れ貴女にも関わってくることですの」

杏子「えっ!?」

仁美「でも貴女はただ上へと目指せばいいのですわ」

仁美「そうすれば自ずと答えも見つかってきますから」

杏子「……」

――――――
――――
――

QB「おめでとう!」

QB「クリムゾン・キラーアンコ。キミをランキング第9位に認定するよ」

杏子「その名で呼ばれるのは慣れねぇな……」

QB「仕方ないよ。これも全てはキミのためだ」

杏子「……ってかそれテメェが名付けたのか?」

QB「そうだよ。なかなかいい名前だと思わないかい?」

杏子「全然だな」

QB「そうかい」



【殺し屋ランキング】

10位 ――――
9位 クリムゾン・キラーアンコ ←NEW
8位 マスクド・オクタヴィア
7位 ――――
6位 ――――
5位 ――――
4位 ――――
3位 ――――
2位 ――――
1位 ――――

翌日


~公園~


まどか「今日は大変だったね」

さやか「うん、どういうわけか教室の机や椅子が退かされていたり」

さやか「何故か教室の壁に風穴が開けられていたり」

さやか「そして何よりそこに仁美が倒れていたっていうから大騒ぎだったもんね」

マミ「全校集会で呼び出された時は驚いたわね」

まどか「いったい教室で何があったんだろう……」

さやか「まどかぁ。察しなよ」

まどか「えっ……あ、うん」



杏子(後片付けしておくべきだったか……)

ほむら「ところで……またランキングが更新されたみたいよ」つ(携帯画面)

まどか「あっ!ホントだ!!」

マミ「あらあら……うふふふ」

まどか「マミさんの本命ですもんね!」

マミ「えぇ、最近反応がないからどうなったのかと心配していたのだけれど、見事に上り詰めたわね」

ほむら「」チラッ

杏子「」ビクッ

まどか「ところで杏子ちゃんはクリムゾンのことどう思っているのかな?」

杏子「えっ!? ……あっ、えっと、うーん」

杏子「ま、まっ……期待の超新星っていうから密かに応援ぐらいはしてやってる……かな」


杏子(なに自分のこと棚に上げてんだろう……アタシ)

マミ「それってきっとクリムゾンって響きが貴女のイメージに近いから親近感が沸いてるのよね!?」

杏子「えっ?」

まどか「そう言われてみれば……!」

マミ「佐倉さん! 是非、私と一緒にクリムゾン・キラーアンコ様非公式ファンクラブを設立しましょ!!!」ガシッ

杏子「はいぃ!?」

マミ「会長は勿論私よ! 貴女は副会長にお任せするわね!!!」

マミ「これから巻き起こるであろうクリムゾンブームに先駆けて私達が先頭に立つのよ!!」

マミ「いいわよね!!!? ねぇ!!?」ギロッ

杏子「あ……う、うん。マ、マミがそこまでいうなら仕方ねぇな……」ビクビク

まどか「マミさん! 私も是非ともそのファンクラブの会員に!!」

マミ「鹿目さんまで!! もぅ、マミちゃん感激しちゃうわ!!!」

杏子(マミの奴……テンション上がりすぎだろ)

ほむら「」ギリギリギリ

ほむら「ところでさっきから美樹さやかが青魚のように青ざめているのだけれど……どうしたのかしら?」

さやか「ひ、ひゃぃ!?」ビクッ

さやか「あ、いやぁ……もうランキング9位なのかぁって思ってさ!」

さやか「だって第9位となるとあのナイトメアを倒したってことだよね!」

さやか「あ、あはははは。こりゃぁクリムゾンの抜け目ないなぁーなんて!」

さやか「あっ! そういえば今日塾があるんだった!」

さやか「みんなごめんね! あ、あたし……も、もうこの辺にするね!」

さやか「スタコラサッサ~!」タッ


まどか「さやかちゃん、習い事なんてしてたっけ?」

ほむら「……」

杏子「なに焦ってんだ? さやかの奴」

翌日


~裏路地~


杏子「いや~まさか今回の挑戦料が無料だなんてな」

杏子「おかげで余計な体力を使わなくて済んだぜ」

QB「ランキング第8位の意向さ」

杏子「世の中には太っ腹な奴もいるもんだねぇ」

杏子(そういえば此処は……アタシとさやかが初めて会った場所だったな)

杏子(あの頃は殺伐としてたけど……今となっちゃあまるでそれが嘘だったかのような関係だもんなぁ)

杏子(お互いに強情張ってたからなぁあの時は……)


QB「まぁキミはこれから8位に挑もうというわけだね」

QB「当然のことだけどキミが一昨日戦ったナイトメア・シープリンセスよりも強い」

QB「まさかキミが彼女に押されるとは思ってもみなかったけれど果たして大丈夫かい?」

杏子「余計なお世話だっつうの! あの時はちょっと油断しちまっただけだ」

杏子「おかげであの戦いで色々と学んだよ」

QB「それならいいけどね」

QB「さて、この先にランキング8位が待ち構えている」

QB「勝てば8位にランクアップ」

QB「負ければ更なる地獄が待っている」

QB「風呂は入ったかい? 腹拵えは済ませたかい? ロッキー咥えたかい?」

QB「準備ができたら奥へ進むといい」

QB「キミのことだから80%は勝つだろうけど油断はしないことだ」

QB「懐かしの場で今一度相見る友と矛先を交える覚悟はできてるね」

QB「どちらにせよ、キミは前へと進まなければならない」

QB「魔法を味方にして、さぁ狂い咲く園へ」



杏子「おい、待て! それっていったいどういうこt――」

杏子「アイツ……突然いなくなりやがって」チッ

数分後


杏子「さて……あれからある程度歩いたんだが、全然人の気配がしないんだけど」

杏子「まさか、ビビって逃げたんじゃねぇのか」ハァー


杏子が嘆息を漏らした時だった。


ヒュン ザクッ

杏子「おわっ!」ヒョイ

杏子「き、急に剣が降ってきたぞ!?」

杏子「しかもこれはどこかで見たような……」


???「よく来たなッ!! クリムゾン・キラーアンコ!!」

杏子「あん?」チラッ

???「ああー! 待ってッ!!」

???「ダメダメダメダメ!!! まだこっち見ちゃだめぇえええええ!!」

杏子「て、テメェは……!」

???「タンマ!ちとタンマだってッ!!」

???(ナレーションはまだなのぉ……)

QB『やぁ、遅くなってごめんよ。今始めるから』

???『もー、早くしなさいよー!!』


『ある人は訊ねる! 見滝原で一番の美少女でお茶目で強くてかっこいい正義の味方なさやかちゃんは誰かッ!!』

『ある人は云う! 彼女は正義を重んじて一切の悪を滅する!!』

『見滝原市の平和を守る神出鬼没な謎の蒼き剣士とはまさにこのさやかちゃんッ!!』


――RANKING 8『Masked・Oktavia』――



さやか「ハーッハハッハハハ! 正義のヒーロー華麗に参上っと!」


杏子「さやかじゃねぇか」

さやか「なっ!? な、何を言っているのかな?」

さやか「あた……私は断じてさやかちゃんではないッ」

さやか「私は正義のマスクド・オクタヴィアなのだぁー!!」HAHAHAHA

杏子(どこからどう見ても、ただのお面被ってるだけのさやかなんだけど……)

杏子「まさかアンタがランキング戦に参加していたとはな……」

さやか「だ か ら ! あたしはさやかちゃんじゃありませんよーって言ってるじゃん!!!」

杏子「いや、たとえ天地がひっくり返ってもさやかじゃん!」

さやか「ちーがーいーまーすぅ!!」

杏子「嘘だッ!!」

さやか「嘘じゃありませーん!!」

杏子「よぉーし! いい度胸だ!!」

杏子「アンタが本当にさやかじゃねぇってんならこっちにも手がある」ニヤリ

さやか「な、なによぉ……」

杏子「……っと思ったが、どうやらアタシの勘違いだったみたいだ」

さやか「や、やっとわかってくれたかねッ」

さやか「ささっ、さっそくキミの望んでいたランキング戦を始めるしようじゃないの!!」

杏子「そうだな。ま、所詮さやかじゃこのランキング戦は早すぎたんだよ」

さやか「」ピクッ

杏子「そういえばアンタは知らないだろうけどさ、此処で一度アイツと戦ったことがあるんだよね」

杏子「それでいざ矛を交えたら、いったいどうしたものか」

杏子「威勢だけで何も考えずに無闇に剣を振り回すだけの馬鹿だったわけ」

さやか「……」

杏子「ところでイワシの漢字って知ってる? 魚偏に弱いをくっつけた感じのやつさ」

杏子「それって、まさにアイツにピッタリの漢字じゃないかなぁってアタシは思うんだよね」

杏子「それに色々とつめも考えも甘ったるすぎるんだよねぇ」

さやか「」

杏子「あぁ、どうでもいい話だったね。じゃあやろうかマスクド・オクタヴィア」

さやか「」

杏子「ん?」

さやか「」グスッ

杏子「お、おい……」

さやか「うぅ……あんたさ。あたしのことそんな風に思ってたんだ……」ヒグッ

杏子「えっ……あ、あ」

さやか「うわぁああああああああああああああああん!!!杏子の馬鹿ぁああああああああ」ビエーン

杏子「あ、いや……それは冗談だって、ア、アタシはアンタがさやかだって認めてほしかったから……」

さやか「だからっていくらなんでも言い過ぎよぉおおおおおおおお」ウワーン

杏子「わ、悪かったよ……ホントごめん!」

さやか「バカバカバカ! もひとつおまけにバカ! かわいく言ってあんぽんたん!!」ポカポカポカ

杏子「イタタタタタタタッ!ほ、本当に悪かったって!! ……って髪の毛引っ張んな!!」



QB(……)

本日はここで目処を。
ここまでご覧いただきありがとうございました。

数十分後



さやか「」カキカキ

杏子「……」

さやか「」カキカキ

杏子「……」

さやか「」カキカキ

杏子「……」

さやか「」カキカキ

杏子(き、気まずい……)

杏子(あれから何とか落ち着いてくれた様子ではいるけど……)

さやか「」カキカキ

杏子(すねっているのか、さっきから片隅で地面に落書きしてるんだよなぁ……)

杏子(もうこりゃあ……ランキング戦どころの話じゃねぇよ

杏子「え……っと、さ……さやか?」

さやか「」カキカキ

杏子「さ、さっきのことは本当に反省してるからさ!」

杏子「だ、だから! その……そろそろ機嫌直してくれないかなぁ……なんて」

さやか「」ピタッ

さやか「……」

さやか「……本当に反省してる?」

杏子「あ、あぁ! そりゃあ勿論だって!」

さやか「じゃあさ……その誠意をあたしに示してよ」

杏子「はぇっ?」

さやか「口だけなら幾らでも言えるでしょ?」

さやか「つまりあんたが本当に反省してるっていうなら何かしら形にして示しなさいってこと」

杏子「か、形にして示すっていっても一体どうすれば……」

さやか「」ニヤリ

更に数分後



杏子「……」

杏子(あれから誠意を示そうとアタシはさやかの言いなりだ)

さやか「むふふふふ」グリグリ

杏子(そして今、こうして四つん這いになってさやかに踏まれている)

さやか「ほれほれほれほれ」グリグリ

杏子「……」

さやか「ぐふふふふふ」グリグリ

杏子(……ってかこれでいいのかアタシ)

さやか「んん? ここがえんのんか? えぇ?」グリグリ

杏子(確かに罪滅ぼしのつもりでこんなことしているけれど……)

さやか「何か言ったらどうなのぉ? あぁん?」グリグリ

杏子(やることが違ってる気がするのは気のせい?)

さやか「あれれ? もしかして感じちゃってますぅ?」

杏子「」ピキッ

さやか「こんなことで感じるなんてあんたもマゾだねぇ」グリグリ

杏子(ち、ちくしょう……人が下手に出ればいい気になりやがって!)ギリギリ

杏子(だがここはぐっと抑えるべきか……!)

杏子(いや! この怒り晴らさでおくべきかぁぁあああ!)

さやか「顔赤いよぉ? もしかして興奮しちゃってんの!?」グリグリ

杏子「」

さやか「だったら、そんな変態さんにはもっとお仕置きが必要だね」キラッ☆

杏子「キ……」

さやか「ん?」

杏子「キシャァアアアッ!!」

ガシッ


四つん這いになっていた杏子は突如として起き上がり
さやかの腰周りを両腕で抱え込む。

さやか「いっ!?」

そして上体を後方に反らせれば、さやかを地面へと投げつける。


杏子「そぉいッ!!」ブンッ

さやか「あぶっ」

――――――
――――
――


杏子(つ、ついやっちまった……)アワワ

さやか「」

杏子(地面を穿つくらいの勢いでやってしまったからなぁ)

杏子(でも魔法少女だし、こ、これくらい大丈夫だよな……?)

QB「驚いたよ。まさかキミがフロント・スープレックスをかますなんてね」ヌッ

杏子「テメェ……見ていたのかよ」

QB「これは公式なランキング戦だからね」

QB「ところでキミはそれをいつ体得したんだい?」

杏子「あ……なんか道中でパンツと一緒に手紙が落ちててさ」

杏子「それ読んでたらどういうわけか勝手にできたんだよ」

QB「そ、そうかい」

QB「まぁ、とにかくおめでとう!」

QB「クリムゾン・キラーアンコ。キミをランキング第8位に認定するよ」

杏子「これで8位か。てかまだまだ上がいるのかよ……」

QB「第1位の道のりは険しいものさ」

QB「でもおかげでキミ自身も着実に強くなってきているんじゃないかな」

杏子「そうか? 全然実感しないんだけど……」

QB「まぁその内分かってくるよ」



【殺し屋ランキング】

10位 ――――
9位 ――――
8位 クリムゾン・キラーアンコ ←NEW
7位 ディスペア・ヴァイオリニスト
6位 ――――
5位 ――――
4位 ――――
3位 ――――
2位 ――――
1位 ――――

二日後


~病院屋上~


杏子「さて、今回の戦いの場はここか……」

杏子「高い所はやっぱ冷えるなぁ」ガチガチ

♪~ ♪~

杏子「んっ? 何処からかバイオリンの音が聞こえてくるな」

???「やぁ、久しぶりの挑戦者だね」

杏子「アンタが第7位か……」


『ある人は訊ねる。 見滝原で一番の悲運なバイオリニストは誰か』

『ある人は云う。 彼は一縷の夢を追い続けてきた。しかしある日を境にその夢は絶たれてしまった』

『彼が奏でるは絶望の音色。希望の光を失いダークサイドへと堕ちた奏者とはまさにこの少年』


――RANKING 7『Despair・Violinist』――

恭介「僕はね、憧れていたバイオリニストの夢を絶たれたんだ」

恭介「なんせ、事故で腕が使えなくなってしまったからね」

恭介「以来、何もかもが嫌になって……そして気がついたら僕は戦っていた」

杏子「で、そんな物騒な異名までついてしまったってわけか」

恭介「まぁね。だけどそんな自暴自棄なある日どういうわけか腕が治ったんだ」

恭介「おかげで僕はこうしてバイオリンを弾けるようになった」

恭介「正気に戻った時に初めて自分の過ちに気がついたんだ」

恭介「腕が治ったとはいえ……僕にはもうこの先を生きる資格なんてはない」クルッ

杏子「お、おい! アンタまさか……!」

恭介「じゃあね」ヒュン


恭介が屋上から飛び降りようとした時だった。

杏子「はぁ…はぁ……」ガシッ

恭介「……!」

杏子「ば、バカ野郎……! 出会っていきなり死ぬ奴がいるかってんだ」

杏子「死ぬことだけが罪滅ぼしなんかじゃねぇよ」

杏子「それにアンタが死んだら……アイツの思いを踏み躙ることになるんだぞ!?」

恭介「は、離してくれ! それでも僕は今モーレツに死にたいんだ!」

杏子「馬鹿言うな!! 素直にはい、そうですかで離せたら苦労しねぇよ!」

恭介「嫌だぁああ!!死なせろおおおおおおおおおお」ジタバタ

杏子「お、おい! 暴れんな!!」

恭介「あああああああああああああああああああああ」ジタバタ

杏子「くそ!罪悪感に追いやられすぎて正気を失ってやがる」

恭介「HA☆NA☆SE!!!」シュルリ

杏子「し……しまった!!」

恭介「YAHOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOO!!」ヒュー

――――――
――――
――

QB「おめでとう!」

QB「クリムゾン・キラーアンコ。キミをランキング第7位に認定するよ」

恭介「」

杏子「……」

QB「気に病むことはないさ。バイオリンがクッションとなってくれたおかげで彼は助かったんだから」

杏子「そ、それで無事だったのかよ」

杏子(何だか変な茶番に付き合わされたみてぇだ……)



【殺し屋ランキング】

10位 ――――
9位 ――――
8位 ――――
7位 クリムゾン・キラーアンコ ←NEW
6位 サニー・サイド・アップ・ティーチャー
5位 ――――
4位 ――――
3位 ――――
2位 ――――
1位 ――――

~とあるBAR~


『ある人は訊ねる! 見滝原で一番のアラサーなティーチャーは誰かッ!!』

『ある人は云う! ところで目玉焼きとは固焼きですか? それとも半熟ですか?』

『はい! 中沢君!』

『ある人は応える! え、えーと……どっちでもいいんじゃないかと』

『その通り! どっちでもよろしい。たかが卵の焼き加減ごときで女の魅力が決まると思ったら大間違いですッ!!』

『あと、此度は晴れて結婚することになりましたので当分は新婚旅行で見滝原を離れることになります』

『というわけでこの時期に挑戦しようと思ったそこのあなたに!! この第6位の座を託します』


――RANKING 6『Sunny・Side・Up・Teacher』――


杏子「……」

QB「不戦勝だね」

翌日

~公園~


まどか「さやかちゃん病院で入院中だってね……」

ほむら「それはご冥福をお祈りするわ」

杏子「おい」

杏子(で、でも無事でホントによかった……)

マミ「それにしても凄い進展よね、クリムゾン様」

まどか「もうランキング第6位ですもんね」

マミ「そうなのよ! それに巷では既に話題沸騰中! おかげでファンクラブの会員数はうなぎ登り!」

マミ「今まさにクリムゾン・キラーアンコは台風の目となっているのよ!!」マミッ

まどか「ウェッヒィー! これで一儲けしましょうや!」

マミ「ええ、グッズ商法とかで一儲けしたいところではあるのだけれど、やっぱり正体が分からない以上は無理ね」

マミ「今はそれよりもクリムゾン様の今後の活躍に期待するわ!」

まどか「ウェヒヒヒ、でもいつか会えるといいですね」



ほむら「」ギリギリ

ほむら(いったいどこまでまどかを魅了させれば気が済むの……!)チラッ

杏子(こ、コイツ……いったいどこまで根に持ってやがるんだ)ビクッ

翌日

~公園~


まどか「さやかちゃん病院で入院中だってね……」

ほむら「それはご冥福をお祈りするわ」

杏子「おい」

杏子(で、でも無事でホントによかった……)

マミ「それにしても凄い進展よね、クリムゾン様」

まどか「もうランキング第6位ですもんね」

マミ「そうなのよ! それに巷では既に話題沸騰中! おかげでファンクラブの会員数はうなぎ登り!」

マミ「今まさにクリムゾン・キラーアンコは台風の目となっているのよ!!」マミッ

まどか「ウェッヒィー! これで一儲けしましょうや!」

マミ「ええ、グッズ商法とかで一儲けしたいところではあるのだけれど、やっぱり正体が分からない以上は無理ね」

マミ「今はそれよりもクリムゾン様の今後の活躍に期待するわ!」

まどか「ウェヒヒヒ、でもいつか会えるといいですね」



ほむら「」ギリギリ

ほむら(いったいどこまでまどかを魅了させれば気が済むの……!)チラッ

杏子(こ、コイツ……いったいどこまで根に持ってやがるんだ)ビクッ

>>122連投してしまったorz



~教会前~


杏子「おい……此処って」

QB「そうだよ。キミの思い入れのある場所さ」

杏子「いったい……どういうことだおい!」

QB「実はね本来キミが戦うはずだった第5位が予定日すっぽかして第4位に挑戦しにいったんだ」

QB「でも結果は……」チラッ


中沢「」チーン


QB「ご覧のとおりさ」

杏子「……」

QB「このとおり第5位は戦えない身体になってしまったからね」

QB「というわけでここでキミをランキング第5位に認定するよ」

杏子「そんなんでランクインしていいのかよ……」

QB「でもその代わりキミはさっそく第4位と戦わなくてはならない」

QB「さて、この先にランキング4位が待ち構えている」

QB「勝てば4位にランクアップ」

QB「負ければ更なる地獄が待っている」

QB「身支度は済ませたかい? ソウルジェムは万全かい?」

QB「準備ができたら先へ進むといい」

QB「この先に待ち受ける者がたとえ誰であろうとキミは驚いてはいけない」

QB「どんなことがあろうとキミはただ前へと目指すしかない」

QB「闘争本能に駆られるままにね」

QB「魔法を味方にして、さぁ狂い咲く園へ」


杏子「どうも一々引っかかるんだよな……テメェの言い回しは」

~教会~


???「待っていた」

杏子「なっ!?」ガクッ

???「何を驚く必要があるというのか……」

杏子「まさか、そんな……わけ……」

???「これも一夜の巡り合わせというものだ」

???「私が此処に立っているのは信仰のためでも誰からのためでもない」


『ある人は訊ねる。見滝原で一番の心清らかな神父は誰か』

『ある人は云う。 彼は良心を以てしてより多くの人を救おうとした。
しかし彼の志に人々は耳を貸さそうとしなかった』

『そして悲惨な最期を迎えた彼。しかし赤き幻影は此処に有り』


――RANKING 4『Crimson・Father』――


杏子父「私は私の残滓として此処へと立つ」

杏子「なっ……親父……?」

杏子「なぜ、こんなところに……いや、なんで生きているんだ……」

父「質問には答えない」

父「それに……もうお前から父と呼ばれる筋合いなどありはしないのだよ」

父「私情はいらない。私がやるべきはランキング第4位としてお前の挑戦を受け立つのみ」

杏子「……」

父「さぁ……血塗のタイマンを始めるとしようじゃないか」

――――――

――――

――

ダァイラントー
スマァーシュッブラザァーズ


父「ステージは終点。ストック2。アイテムは無し」

父「私が使うのは勿論……」カチッ

キャァプテンファルコン

杏子「やっぱりそうくるか……ッ」

杏子(あの頃はよく親父とモモでこうしてスマブラをしていた)

杏子(あの時はよくモモが一位取ってて、親父がビリだったのがお決まりだった)

杏子(親父と最後にスマブラをしたのはちょうど雨の日)

杏子(その時は親父とアタシ、どちらが強いか白黒決めようという魂胆でタイマンだった)

杏子(ただその時は停電でゲームが中断されたんだよなぁ)

杏子(あの時、親父が使っていたのはファルコン……)

杏子(目の前にいるのがたとえ本当の親父でないにしても……この勝負は絶対に負けられねぇ!)

杏子「親父がそうくるならアタシは……」カチッ

ガノォンドロォフ

杏子(ホッピングおじさん……アンタだけが頼りなんだ)

父「よし、始めるぞぉ」


3…2…1…GO

数十分後


杏子「ぐわぁー!! 父さん卑怯だってぇええ!!」

父「ハッハハハハ。これも実力のうちだ」

杏子「ていうか強くなりすぎじゃん! あの時はやられてばっかりだったのにぃ」

父「黄泉で母さんとモモに鍛えてもらったからな!」

父「さぁ、まだ残機が一つ残っているじゃあないか」

杏子「わかってるって! すぐにでも逆転してやるからね!」


更に数十分後


父「な、なん……と!」ガクッ

杏子「はっはー! どうだ、魔人拳の威力は!」

父「くっ……あの時、便乗してファルコンパンチをすべきではなかった」

父「これもネタプレイの賜物か……」

杏子「さぁ……これで終わりだよ」

父「まだだ! まだ終わってはいない!」

杏子「ん?」

父「奥義! ロッソ・ファンタズマ!!」シュババ

父2「これで……」

父3「もう一度リベンジだ」

杏子「えぇー」

父「これで3対1だ」

杏子「くっ……なんて卑怯な!」

父「「「ハッハハハ、覚悟しなさい」」」」


数分後


父2「」

父3「」

父「し、しまった……やはり全員でスネークを使うべきではなかった」

杏子(適当に動き回ってたらなんか勝手に勝てた……)

父「手榴弾にC4やマインを最大限に活かしたつもりだったんだが……裏目にきたか」

父「!」シュウウウウ

父「こ、これは……!」

父「そうか……もう時間がきたのか」

杏子「お、親父の身体が消えていく……」

父「私からお前に言えることは何も無い」

父「ただランカーとして良い勝負(スマブラ)ができたことに満足している」

父「私は所詮只の亡霊……それ以上でもそれ以下でもない」

父「では、さようなら」フッ



杏子「……」

杏子「不思議な気持ちだ……。言いたいことはあったはずなのに」

杏子「まるで夢を見ていたかのような……」

QB「このランキングは奇々怪々な面子が集っているからね」

QB「複雑な心境だろうけど、これで晴れてキミは第4位だ」

QB「改めておめでとう!」

QB「クリムゾン・キラーアンコ。キミをランキング第4位に認定するよ」

杏子「てか、ここまでで戦いっていう戦いをしてねぇ気がするんだけど」

QB「それは寧ろ運がいいと思ったほうがいい。ここからは生半可な戦いでは済まされなくなるからね」

QB「いよいよキミが相手にするのはトップ3のランカー達だ」

QB「まぁ……ここまできたら相手が誰なのか薄々と察しているんじゃないかな」

杏子「……」



【殺し屋ランキング】

10位 ――――
9位 ――――
8位 ――――
7位 ――――
6位 ――――
5位 ――――
4位 クリムゾン・キラーアンコ ←NEW
3位 デビル・ホマンドー
2位 ――――
1位 ――――

本日はここまで。
なんか脱線しているので次から路線を戻さねば……
いちお次回で完結させようと思います

ここまでご覧いただきありがとうございました

~校庭~


『ある人は訊ねる。見滝原で一番のクレイz……ミステリアスでコマンドーな少女は誰か』

『ある人h――』BANG!

ブシュー

ほむら「茶番もここまでよ」フゥー



――RANKING 3『Devil・Hommando』――



杏子「やっとご対面だな」

杏子(てか頭にパンツを被ってるのってマスク代わりなのか?)

ほむら「ええ、本当に長い道のりだったわ」

ほむら「事あるごとにカチッっとしてはBANG、カチッっとしてはBANGの繰り返し」

ほむら「おかげでスムーズにここまで上り詰めた」

杏子「そりゃあお互い様だ」

杏子「アタシもこうしてトントン拍子で駆け上がってきたわけだし」

杏子(まぁ……本格的に戦ったといえば第9位の時ぐらいしかなかったけど)

杏子「でも、アンタのおかげでこうして無事でいられたこともあるしな」

杏子「あの時の忠告感謝するよ」

ほむら「お礼を言われる筋合いなんてないわ」

ほむら「わかっているでしょう? 今、あなたと私は互いに敵同士」

ほむら「この場におけるその発言はまるで相手の油断を誘っているようにみえるわ」

杏子「なっ!? そんなわけn――」

BANG

杏子「……ッ!」

ほむら「これ以上の問答は無用」チャキ

杏子「随分と手厳しいなぁ……」

ほむら「当たり前でしょう」

杏子「へっ、じゃあとっととおっぱじめっか」ジャキン

ほむら「……」シュン

杏子「消えた……!」


そして突如として眼前に姿を現したほむら。アッと言う間に杏子との距離を詰めたところで彼女は拳銃を杏子の額へと突きつけ、躊躇無く引き金を引く。


ほむら「……」カチャ

BANG

杏子「おわっ!!」


杏子はマトリックス避けの如く身体を思いっきり反らせ、銃弾の軌道から逃れる。放たれた銃弾は額をかすめ、そのまま一直線上の虚空の彼方へと消えていった。


杏子「あっぶねぇ……」

杏子(そういやぁアイツの能力は時間停止だったな)

杏子(種はわかっちゃあいるがなぁ……)

杏子「確実に攻撃を当てるつもりで近づいたんだろうけど……」

杏子「接近戦はアタシの十八番なんだよッ!」


直ぐさま反撃の一手を与えんと杏子は矛先をほむら目掛けて突き出す。それに対してほむらは咄嗟に盾を前へと構えれば、それを防ぐ。


杏子「見たところアンタの時間停止はそれなりの予備動作が必要みたいだねぇ」グググ

ほむら「……ッ」ギギギギ

杏子(よし、このまま力で押し切ってやるッ!)

ほむら「……」ガチャ


盾で攻撃を防ぎつつもほむらは手にしている拳銃を杏子へと向ければ引き金を引こうとする。


杏子「させねぇよッ!!」


槍に込めていた力を一度抜き、刹那に前方へと蹴りを繰り出す。盾を掻い潜り放たれた蹴りはほむらの腹部へと命中。その衝撃で手に持っていた拳銃は離され、後方へと吹き飛ばされる。


ほむら「くっ……!」ズザザー

ほむら(彼女に一度手札を見せてしまったのが痛手ね……)

ほむら(気をつけるとするならばあの槍。あれは多節棍に変形させることで変則的な攻撃を可能としている)

ほむら(あれに絡まれてしまったら時間停止も意味を成さなくなってしまう……)

杏子「追撃はまだ終わってねぇよ」タッタタタタタタ

ほむら「ッ!」カチッ


盾を傾け時を止める。そして盾から取り出したのは二丁のサブマシンガン。全ての動きが停止している中でほむらはそれらの銃口を杏子へと定めれば、幾度と無く放たれる銃弾を宙に散らばせる。

そして撃ち切ったところで再び盾を傾ければ、時が動き出す。


杏子「なっ!!?」


気がついたときには既に遅し。正面の銃弾は咄嗟の判断で槍で弾き返すも全部を防ぎきれるわけもなく数多の銃弾が杏子の四肢を射貫いていく。


杏子「ぐあああああああああああああッ!!」

杏子「あ……ぐっ……」ガクッ

ほむら「勝負ありね」クルッ

杏子「ま……まだだ!」ヨロ

杏子「まだ終わちゃあ……いねぇ……よ」

ほむら「その程度に収めておきなさい。何もそこまでして高みを目指すこともないでしょう?」

ほむら「ある人が言っていたわ、強さの果てに何を望むって」

ほむら「私は……何れ来たるべく災いを打ち倒し、そして彼女の救済を望む」

ほむら「では貴女はどうなの? クリムゾン・キラーアンコ」

杏子「アタシは何も無いよ」

杏子「ただ上へと目指すだけさ……!」


よろめく身体を槍で支えつつ、ほむらを囲むように縛鎖を顕現させ張り巡らせる。


ほむら「!!」

杏子「アンタも詰めが甘いね。一思いに止めをさせばよかったもの……」

杏子「これでチェックメイトだ!」


四肢を束縛せんと囲んだ鎖が一斉にほむらへと迫る。


ほむら「まだここまでの気力を……!」シュバシュバ

杏子「くっ……そ! ちょこまかと避けやがって」

ほむら「確かに詰めが甘かったわ。だったら今度こそ仕留めてあげる」ガチャ


幾多の鎖を避けていく最中で新たに拳銃を取り出し発砲。狙うはソウルジェム――。


杏子「ちょ、 マジで殺しにかかる気かッ!!」バッ


辛うじて銃弾を避ける。しかし傷のせいで受身を取ることもできずその場へと転がる形で収まる。

ほむら「だって詰めが甘いっていうならヤるしかないじゃない」シュバシュバ

ほむら「それにそろそろこの鎖止めてくれてもいいんじゃないの?」シュバシュバ

杏子「アンタを捕らえるまでやめるつもりはねぇよ」

ほむら「……だったら此方もそれ相応の対応をさせていただくわ」

カチッ

ほむら「私だけの時間だわ」ファサ

ほむら「悪く思わないで頂戴。挑発した貴女が悪いのよ? 」

ほむら「これも定め……」カチャリ

ほむら「さようなら。クリムゾン」


杏子のソウルジェムへと銃口を定め、引き金に添える指に力を込めようとした時だった。ふと視線が下半身へと流れれば――。


ほむら「ほむッ!?」

ほむら「な……なんで! あ、貴女がま、まどパンを穿いているの……!」

ほむら(間違いない! 杏子が穿いているくまさん印のパンツは類いなきまどかのもの!)

ほむら(数多のループを重ね、まどパンを収集してきた私が言うんだから断じて間違いないないわ!)

ほむら(待って……落ち着くのよ、私)

ほむら(まどパンを穿いているとはいえ相手はクリムゾン……)

ほむら(しかし、まどパンを穿いている彼女を殺すことは即ちまどかを殺すのと同義……)

ほむら(できるはずもない……そんなこと)スゥ


拳銃を構えていた腕を押さえ引き戻せば、止めていた時間を動かす。


杏子「おわっ!! い、いつの間に目の前に!」

ほむら「いいわ。真のまどパン所持者の名をかけて貴女を全力で倒す!」

杏子「ま、まどパン? そんなパンなんてアタシ知らないけど……」

ほむら「ここからはデビル・ホマンドーとしてではなく暁美ほむらとしてお相手するわ」パサッ


被っていたパンツを脱ぎ、盾へとしまう。


ほむら「立ちなさい、クリムゾン……いや、佐倉杏子!」

杏子「えっ?」

杏子(なんだアイツ、妙に熱が入ってるんだけど……)

杏子「ふん、言われなくてそのつもりだよ」ヌッ

杏子(魔力で多少なりとも傷を癒すことができた)

杏子(ただ、アイツの時間停止をどうにかしない限りは……)

杏子(だったら……!)

杏子「これでどうだッ!」


地面から突き出る数多の槍。そして同時に幾多の鎖を張り巡らせていく。それらは一斉にほむらへと襲いかかる。


ほむら「無駄よ!」


盾から取り出したのは閃光手榴弾。ピンを抜き、それを投げれば周囲は眩かしい光が襲いかかる。そしてその隙に取り出したロケットランチャーを手にすればロケット弾を射出する。


ヒューン ドゴォオオン


土煙が立ち上る。


ほむら「流石の彼女でもこれは避けきれなかったようね」

杏子「それはどうかな?」ヌッ

ほむら「!! い、いつの間に背後に!」

杏子「」バシッ


ほむらの腰周りへ両腕を囲う。

ほむら「まさかこの技は……!」


そして上体を後方に反らせれば、地面へと投げつける。


杏子「そぉぉい!」ブンッ

ほむら「ほむぶっ!!」ガンッ

ほむら(意識が遠のく……。私の負け……だわ)

ほむら「杏子……貴女の勝ちよ。もう私から言うことは何も無いわ」

ほむら「最後に……これを」コソコソ つ(パンツ)

ほむら「これは貴女が持つべき……だわ」ガクッ

ほむら「」チーン

杏子「……ほむら」

杏子(パンツくれたけど……これはいったいどういうことだ?)

杏子(確かに今穿いているのは裏路地で拾ったやつなんだけどさ……)

QB「おめでとう!」

QB「クリムゾン・キラーアンコ。キミをランキング第3位に認定するよ」

QB「さて、いよいよあと二人だ。気を抜かず頑張ってくれ」



【殺し屋ランキング】

10位 ――――
9位 ――――
8位 ――――
7位 ――――
6位 ――――
5位 ――――
4位 ――――
3位 クリムゾン・キラーアンコ ←NEW
2位 デア・フライシュッツ
1位 ――――

翌日


~コンサートホール~


サールティーロイヤーリ~♪  


――RANKING 2『Der・Freischutz』――


杏子「やっぱりアンタか……」

マミ「えっ……佐倉さん?」キョトン

杏子「どうせアンタも初めから知っていた質なんだろ?」

マミ「えっ? えっ……もしかしてクリムゾン様って……」

杏子「ああ、もう白々しい!! そうだよ、アタシだよ!」

杏子「アンタもほむらもさやかもみーんなで知った口聞きやがってよぉ!」

杏子「もういい加減にしろってんだ!」

マミ「えっ、いや。私全く知らなかったけれど……」

杏子「はぁ?」

マミ「えっ?」

杏子「だから! 結局アイツ等もランキングに参加していたんだよ!」

マミ「嘘ッ!!?」マミーン

マミ「今までずっと私だけだと思っていたけど……」

マミ「魔法少女っていうからてっきり私は呉さん達かと思っていたわ……」

杏子「はぁー。じゃあアンタは本当に何も知らなかったってことかよ」

マミ「だって! 鹿目さんがマミさんがランキングに載ったらそれはとってもかっこいいなぁって言ってたから……」

マミ「だから、私張り切ってここまで上り詰めたのよ!」

杏子(まどかェ……)

マミ「正体をバラしちゃいけないのは決まりだけど、いつか貴女達だけには伝えたかったわ」

マミ「それにクリムゾン様がまさか貴女だなんて……」

杏子「そ、そんなにしょげるもんなのか……?」

マミ「いえ、そんなんじゃなくて! その……私、恋しちゃったの///」

杏子「はぇ?」

マミ「だから……そのクリムゾン様に///」

マミ「でもそのクリムゾン様が佐倉さんだってことは私は……///」

杏子「ま、マジかよ……」

マミ「///」

杏子(こりゃあ……まいったな。しかもアタシだって分かってても満更じゃねぇって様子だし……)

マミ「///」モジモジ

杏子(こ、この様子じゃあ碌に戦えねぇぞ、おい)

杏子(仕方ねぇ……こればかりは気が引けるんだが、やるしかねぇ!)

杏子「おい! まさかアンタ……アタシにそんな感情を抱いていたのかよ」

マミ「えっ……いや、これはその……///」

杏子「うわぁ……マジで引くわ。しかも女同士とか無いわー」

マミ「っ……」

杏子「まさかアンタがそんな人間だなんてな。失望したよ」

マミ「……」

杏子(さやかの二の舞を狙ってやる!! 恐らくコイツのことだ……)

杏子「昔はあれだけ憧れた先輩だったのにさぁ……今となってはこんなにも廃れてしまったんだねぇ」

マミ「」

杏子(こ、これでどうだ!)

マミ「ぐすっ……ひぐっ……」

マミ「うぅ……そうよね……気持ち悪いわよね……」

マミ「だったら……」

マミ「みんな死ぬしかないじゃない!!」ブワッ

マミ「貴女も私も!」


周囲へ顕現した数多のマスケット銃が一斉に杏子へと向けられる。


杏子(キタキタキタキタキタキタァアアア!!)

杏子(こうでもしねぇと戦ってくれねぇからな……)

杏子(でもこれは流石にやばいって……)

マミ「パロットラ・マギカ・エドゥ・インフィニータ(無限の魔弾)!」


次々と降り注ぐ無数の光弾。ホール一帯を見境なく破壊していく最中で杏子は光弾の着弾点を先読みし躱していく。


杏子「ちっ……! こりゃあ洒落にならねぇよ」

マミ「逃がさないッ!!」ヌッ

杏子「げぇっ! い、いつの間に!」

マミ「レガーレ!!」シュルリ

杏子「拘束しようってんのか、そうはさせねぇよ!」


杏子の正面へと出現した鎖はマミが放った数十のリボンを妨げる。


マミ「なかなかやるわね……。佐倉さん」

マミ「でも、その余裕も直ぐに打ち壊してあげるわ!」バババババババババ


自身の周囲360度にマスケット銃を展開すれば、一発ずつ放つ形で連射していく。それに対して杏子は槍を振るい、頻りなく迫る光弾を防ぎつつもマミへと疾走する。


杏子「やれるもんならやってみろよ!」ガキンガキンガキン

杏子「それに前までのアタシとは一味違うんだ! 見せてやるよ!」シュババババ

マミ「そ、それは……ロッソ・ファンタズマ!!」

マミ「まさか再び幻惑魔法が使えるなんて……驚いたわ」

杏子「驚いてるようだが、アタシの戦い方をよく知っているのは」

杏子2「何を隠そうマミ……アンタだ」

杏子3「だから煽ててもその手には乗らねぇぜ!」

杏子4「読まれる前に一気に方を付けてやる!!」

沢山の分身体と共に跳躍すれば、矛先を前へと突き出し一斉にマミ目掛けて突っ込んでいく。


マミ「確かに私は貴女のその戦い方を見てきたわ」

マミ「だから当然、貴女の弱点も理解しているつもりでいるわ」

マミ「でも身動きの取れない宙へと逃げたのが災いね」スゥ

杏子「「「「!!」」」」

マミ「一気に決めさせてもらうわよ」

マミ「ティロ・フィナーレ!!」


砲台から放たれた砲弾が命中する。広範囲にわたる爆発が分身体を飲み込む。


杏子「「「「あばぁああああああああ」」」」フッ

マミ「……」

マミ(手応えが感じられない……まさか!)

杏子「そのまさかだよ」ヌッ

マミ「ひっ!」


マミの眼前へと姿を現した杏子は鎖を顕現させ、彼女の全身へと絡みつける。

マミ「くっ……!」

杏子「どうだい? 逆に拘束される気持ちは」

杏子「アンタのリボンの用途を真似てみたんだよ」

杏子「尤もこうした戦い方はアタシには誂え向きじゃないけどね」

杏子「アンタを惑わすには今までと違った戦い方が必要だったのさ」

杏子「勝負ありだ。第2位の座はいただいていくよ」クルッ


背を向けた瞬間だった。捕らえたはずのマミはリボンが解けるようにしてその五体が崩れていく。


杏子「!?」


「いえ、勝負はまだ付いていないわ!!」


杏子「なん……だと!」

杏子(まさか、ここまで読まれていたのか!?)

杏子(じゃあ……アイツは一体どこに)

マミ「ここよ」ヌッ


背後へと忍び寄ったマミは杏子へと銃口を向ければ、射貫く。


杏子「ぐあああああああ!」バタリ

マミ「後輩に遅れを取る私ではなくてよ」ドヤッ

杏子「残念、それは残像だ」ヌッ

マミ「えっ!?」


背後へと姿を現した杏子はマミへと矛先を向ければ 突き刺す。


マミ「あぐっ……」バタリ

杏子「ふん、いつまでも先輩面してんなよ」ドヤァ

マミ「残念、それはリボンよ」ヌッ

杏子「なにッ!?」

マミ「今度こそ」バン

フッ

杏子「残像だ」

ザク

マミ「リボンよ」バン

杏子「残像」ザク

マミ「リボン」バン

杏子「ry」

マミ「ry」

数時間後


マミ「はぁ……はぁ……」

杏子「ぜぇ……ぜぇ……」

杏子(どうしよう……幻術に魔力を使いすぎちまった)

マミ(どうしよう……リボン生成に魔力を使いすぎたわ)

杏子(だがこの勝負は諦めるわけにはいかねぇ!)

マミ(これは最早ランキング戦で収まるものではないわ)

マミ(お互いの宿命を賭けた一夜の賭場なのよ!)

杏子(だったら……)

マミ(やることは一つよ)

杏子「オラァアアアアアア」ブゥン

マミ「ハァアアアアアアア」ブゥン


武器を無くした両者が向けたもの。それは拳だった。そして互いの拳が互いの頬をめり込ませていく。


杏子「ぐっ……!」ヨロッ

マミ「ッ……!」ヨロリ


その後は言葉なきの闘争が繰り広げられた。語るのは拳のみ。お互いにその拳を相手へと振るい、殴られを繰り返す。

杏子「」バタリ

マミ「」バタリ



QB「まさか相討ちとは。……いや、僅かにマミが先に地面についたね(バスト的な意味で)」

QB「おめでとう」

QB「クリムゾン・キラーアンコ。キミをランキング第2位に認定するよ」

杏子「はぁ……か、勝ってたのか……」

マミ「確かに伝わったわよ……貴女の拳」

マミ「もう私から教えることは何も無いわ……先へ目指しなさい」

マミ「頂上はもう目の前……よ」

マミ「大丈夫……貴女ならできる……わ」ガクッ

杏子「……」ヨロッ

QB「キミも意識が朦朧としてきているね」

QB「だったら簡潔に要件を伝えておくよ」

QB「これからキミは第1位と戦うわけだけれど決戦の日は一週間後だ」

QB「挑戦料はいただかないよ。もはやキミが彼女と戦うのは必然だからね」

QB「まぁ、それまでゆっくりと休むといい」

一週間後


ヒュウウウウウウウ


杏子「ここまでの道のりは長いような短いような、そして険しいものだったな……」

QB「そうだね、だがこれでいよいよ最後だ」



QB「さて、いよいよランキング第1位がお目見えだよ」

QB「勝てば1位にランクアップ」

4

QB「負ければ更なる地獄が待っている」

2

QB「準備ができたら足を進ませるといい」

1

QB「魔法を味方にして、さぁ狂い咲く園へ」




それは災厄。

この世の全てを戯曲に変えるまで世界を回り続ける愚者。


――RANKING 1『Walpurgis・Night』――

回想
決戦日前日


~公園~

杏子「ワルプルギスの夜だと……」

まどか「うん、それが杏子ちゃんが戦う相手」

杏子「アタシはてっきりアンタが最後の相手かと思っていたんだけどさ」

杏子「でもそいつは魔女だろ? なんでランキング何かに……」

まどか「実はね、このランキング戦を催したのは私なんだ」

杏子「えっ!?」

まどか「ほむらちゃんから色々と聞いたの」

――――――
――――
――

ほむら「ぬぅうううううう!! どうしてもワルプルギスの夜に勝てないいいいいいい」

ほむら「まどかを救いたい一心で何度も同じ時間を繰り返しているのにいつもアイツだけ倒せない……」

ほむら「もうやだ。今日はまどパンを被ってとっとと寝るとするわ」ガバッ

まどか「……」コソッ

――
――――
――――――

まどか「だから、みんながランキング戦を通してお互いに競い合って強くなってくれたらそれはとっても嬉しいなって」

まどか「だから仁美ちゃんやマミさんに頼んでランキング戦を盛り上げようとしたの」

まどか「そのおかげで杏子ちゃんもさやかちゃんもほむらちゃんもみんな参加してくれたわけだしね」

杏子「じゃあアイツらも初めからワルプルギスの夜を倒すために戦ってきたのか?」

まどか「このことを知っているのは私とQBだけだよ」

杏子「……じゃあ、なんでわざわざこんな回りくどいことすんだ?」

まどか「それは……秘密だよ」ティヒヒヒ

まどか「ごめんね、今まで隠してて」

まどか「でもね、どうしてもワルプルギスの夜を倒して欲しいの」

杏子「……」

まどか「それに今の杏子ちゃんならあのワルプルギスの夜を倒せる……そんな気がするの」

まどか「だから……みんなの分まで頑張って」

回想終了


ワルプルギス「アッハハハハハハハハハハハ」

杏子「もしかして……アタシはとんでもねぇ面倒事を擦り付けられたか?」

QB「間違いではないね。ボクはまどかが契約してくれるっていうから協力を惜しまなかったんだけれど」

QB「どうやら騙されていたみたいだ」

QB「割に合わないよ。まったく……」

杏子「へっ……でももうやるしかねぇよな」チャキン

杏子「ワルプルギスの夜!! アンタを倒して第1位をこの手に掴んでやるぜ!!」


ワルプルギス「アーハハハハハハハ」

















ところで杏子ちゃん杏子ちゃん! この話どうやって収拾をつける気なの?

実は何も考えてないんだよな……。

って……待てよ、アタシがこの話をまとめるの? マジで?

うん、なんたって今回の主役は杏子ちゃんだしね!

私は所詮、影で物語を動かす元凶&脇役だからね。

締めるのは主役の役割でしょ?

えぇー。

それにこれは愛(藍)と勇気(悠木)が勝つストーリーなんだから。

……

じゃあ、こうするか。



――アタシ達の戦いはこれからだ! To be continued――


~病院~


さやか「あたしらの扱いがひどい件について」

ほむら「それは貴女に限ったことでしょ?」

ほむら「私は場を盛り上げるぐらいには活躍できたわ」

さやか「でも結局、スープレで止めさされたくせに」

ほむら「それは貴女もでしょう」ファサ 

マミ「みんなで入院すれば、もう何にも怖くない!」

仁美「ですわ」

中沢「」コヒューコヒュー

恭介「」



終 わ れ

これにて完結。
最後は投げやりです、はい。

殺し屋してないツッコミは無しで。
また気が向いたら今度はかずマギやおりマギも兼ねたノーモア2的なものもやってみようかしら。

ここまでご覧いただきありがとうございました。

スマブラで負けただけで入院するほどの精神的ダメージを受けた豆腐メンタルの中沢のランキング名は何なんだ

>>168
ある人は問う「どっちがいいか?」
彼は答える「どっちでもいい」と
遠距離型か近距離型か、はたまた中距離か?!
どっちつかずの男
Which man

まで想像した

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