陸奥「なんだろうこの宝石……」 (26)
長門「なんだ?それは」
陸奥「朝目が覚めたら枕にギッチリ詰まってたの」
長門「枕に……?」
陸奥「うん、羽毛の代わりに宝石がギッチリ詰まってたの、私に隠居して暮らせって事かな?」
長門「その年で隠居は似合わんだろう、しかし何か変な宝石だな…」
陸奥「本当に変よね、なんか触ってると力が湧いてくるし」
長門「色々と危ないな……そうだ、熊野に聞いて見たらどうだ?こういうの詳しそうだし」
陸奥「聞いてみたけど見たことないって……謎は深まるばかりよ」
長門「うーん……まあ、とりあえず取っておこう、早めのクリスマスプレゼントかもしれん」
陸奥「靴下の代わりに枕に詰められても困るんだけど……まあいいや」
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~~夕方~~
陸奥「今日も一日疲れたなあ…お風呂入って早く寝よう」
陸奥「しかし……なんだろう、この宝石は…触ってるととても力が湧いてくる」
キラキラ……
陸奥「そうだ、お風呂入った後で提督に聞いてみよう、多分提督の仕業だろうし」
~~~
陸奥「という訳だけど」
提督「知らん」
陸奥「そんな二秒で話片付けないで下さいよ」
提督「知らんモノは知らん!プレゼントとは言え羽毛枕にそんな宝石詰め込むか!」
陸奥「提督じゃないなら誰だって言うんですか」
提督「俺が聞きたいよそんなの、力が湧いてくる宝石ねえ……とりあえず次の戦闘でそれ持って行ったらどうだ?お守り代わりに」
陸奥「枕に詰まってた宝石がお守りとして作用するんですかねえ…安眠のお守りにしかならないですよ多分」
提督「力が湧いてくるなら気にするなそんなもん」
陸奥「まあ最近上手くいってませんし…これが心の支えにでもなってくれれば良いんですけど…」
~~どっかの海域~~
陸奥「力がみなぎってくる……今なら多分私単騎でこの海域で制覇出来そう……」
提督「キラキラも付いてないのに元気だなまったく……」
長門「あんまり張り切り過ぎるなよ」
陸奥「大丈夫よ、今の私ならハンマー投げで世界記録も出せるわ」
長門「だから力むなって!」
提督「まあ長門も居るし、全滅する事は無いだろう」
陸奥「何なのかなあこの宝石は、結局ジュエリーショップに持って行ってもなんか違うらしいし」
長門「おもちゃじゃないのか?」
陸奥「おもちゃの割にはやたらタフなのよね、全力で握り潰そうとしても無理だったわ…おかげで手の装甲がちょっと剥がれたわよ」
提督「何がお前をそこまで駆り立てたんだよ…」
陸奥「脆い宝石のおもちゃを『力がみなぎってくる』ってお守り代わりに持ち歩くのってなんか可哀想な人みたいじゃない」
提督「お、おう……しかし以前として謎だ……」
提督「特にこれと言って普段以上の活躍が出来る訳でも無いままボスまで来てしまった訳だが」
陸奥「力がみなぎってくるのは気のせいだったのかしら……」
提督「そしていつも通り砲筒もなんか様子がおかしいと」
陸奥「ば、爆発はしないわよ!?調子が悪い日は何回かあったけどこれまでしたこと無かったじゃない!」
長門「(正確には『爆発した事を覚えていない』だがな)」
提督「(これまで砲筒の様子がおかしい日はみんな敵味方巻き込んでの大爆発をしてるんだよな、無論その時は意識が無いようだが)」
陸奥「とにかく!爆発なんてしませんし、爆発する前に倒してしまえば良いだけの事!!今日の私は好調なんですから!」
提督「分かったから落ち着きなさい、ボス戦で体力使い果たすぞ」
陸奥「私を子供かなんかと思ってません!?そんな事ある訳無いじゃないですか!」
~~2分後~~
陸奥「ダメ……もう疲れた……」
長門「わんぱくな小学生か!」
提督「言わんこっちゃない…」
陸奥「はぁ…力が湧いてくるってのは気のせいだったのかなあ……」
提督「どうでもいいけどもうボス来たぞ?死ぬぞ?的だぞ?」
陸奥「どうせ死ぬならカッコ良く死にたいわ……」
提督「爆発するか?爆発」
陸奥「だから爆発なんかしないって言って
カチッ
チャラチャッチャッチャー、チャラチャッチャッチャー、チャッチャッーチャッチャッー、チャッチャッチャー(猫踏んじゃった)
陸奥「ん?」チャラチャッチャッチャーチャラチャッチャッチャー
提督「(いかん、この音は爆発30秒前のアラーム!)」ササッ
長門「みんな!陸奥から大体50m離れてくれ!爆発する!」
ワーワーキャーキャー
陸奥「え?いや、だから爆発なんかしないって言ってるじゃないですか」ズイッ
提督「うわっ、こっち来るな!死ぬ!爆死する!せめて敵陣に駆け込んで爆発してくれ!」ササッ
長門「頼む、お願いだから敵陣へ行ってくれ」
陸奥「姉さんまで悪ノリを……」
提督「悪ノリじゃねーから!!爆発に巻き込まれてその場で燃2弾4鋼11に錬成されてしまった娘だっているんだぞ!」
陸奥「私は錬金術のスイッチかなんかですか!」
提督「えーいこの分からず屋め……あっ、あれは!」
陸奥「え?」クイッ
提督「今だ逃げろー!」
ワーワー!!
陸奥「いい年こいて小学生みたいな事を!」
提督「そんな小学生が仕掛けたような罠に引っ掛かる方が悪いんだよ!!やーいやーい!お前のとーちゃんピンクパンサー!!」
陸奥「うう……せめて姉さんだけは私の近くに……
長門「」ダッ
陸奥「あっ、全力で逃げてる、どうしよう」
いつもはここで陸奥が半径50mくらいの規模の大爆発をして、長門が陸奥を治療してから爆発に巻き込まれて弱虫の息のボス達を追撃してフルボッコにするというのがこれまでの日常だった
しかし……今日だけは違った
チャラチャッチャッチャー、チャラチャッチャッチャー、チャッチャッチャー、チャッチャッチャー、チャッチャッチャー♪
ゴッゴッ、ピロン♪
陸奥「!?宝石が輝き出した……!一体何が起こって……」
カッ
その瞬間、この海域には大きな光の柱が立ったという
~~~
陸奥「………ハッ!?私は一体何を……」
雪風「気が付きましたか?」
~~~
陸奥「えーと確か私は提督に小学生のような引っ掛けされて、そしたら宝石がキラキラと光って、私が爆発して…そして敵も味方も根こそぎ殲滅してかろうじて息の残ってた雪風さんがみんなを鎮守符まで送ったと」
雪風「雪風は死にません!絶対に!ただもう二度とあんな爆発に巻き込まれたくないですね、はい」
陸奥「そんなに激しく爆発したのか?」
雪風「もうアレは死んだかと思ってしまいました、戦時中に似つかわしくないスーパーファインの鮮度で三途の川が見えましたよ」
陸奥「提督や姉さんや他のみんなは?」
雪風「長門さんや他の皆さんはお風呂に入りながらチリチリになった髪を必死こいてセットしてます、司令は処置の仕方が分からないので男性用のお風呂に沈めておきました、司令はまだ上がらないけど大丈夫でしょうか……」
陸奥「提督死ぬわよ!?提督は人間なのよ!?」
雪風「なんか気持ち良さそうにぷかぷか浮いてましたけど治らないんですか?」
陸奥「う、浮いてた!?もう出遅れだろうけど早く上げてきなさい!」
雪風「了解しました!」
~~~
提督「アレが地獄の釜か……日頃の行いを善くせねば……」ガクガクブルブル
雪風「司令…早く良くなって下さいね」
提督「いや、地獄の釜に俺をブチ込んだのは雪風だから…冷たくて…傷が妙に染み込むんだな…地獄の釜って……」
雪風「入浴剤の溶け切った昨晩の残り湯では治りづらいのですかね……」
提督「しかもアレ昨晩の残り湯かよ!せめて淹れ直すなり加熱するなりしてくれよ!何か傷に染み込むと思えば入浴剤か!」
雪風「じゃあ今度はちゃんと暖かいお湯に淹れますね、司令!」
提督「だからね?お風呂入っても人間は治らないよ?雪風……人間がお風呂入って治るのは肩こりと腰痛くらいだから……」
陸奥「というかこんな目に遇ってよく生きてたわね提督……生命力が人間以上ゴキブリ未満よ…」
提督「せめてもっと別な生物と比べる事は出来なかったのか……」
提督「いつもは50mちょっとの規模の爆発の癖に今日に限って半径1kmくらいの爆発起こされちゃあこっちもたまらんよ」
陸奥「いや、私の爆発を利用するつもりだった人にそんな事言われましても…って、半径1km!?ちょっとした核じゃないですか!」
提督「よく分からんが今日に限って爆発の威力が凄まじいモノだった、横須賀にちょっとした津波の災害が出たりしたそうだからな」
陸奥「規模凄まじいですね、ここタウイタウイなのに……」
提督「力がみなぎるだかなんだか知らんが力みなぎりすぎだろ、アスリートの筋肉のようにみなぎってんのか」
陸奥「例えがよく分からないわよ!アスリートは爆発するかのような筋肉してるけど」
提督「とりあえず俺はもう寝る、寝て過ごす、雪風、夕食の時間になったら起こして」
雪風「晩ご飯よりお風呂が先に沸きますからお風呂の時に起こしますね!」
提督「だから風呂要らないって!何がそこまで風呂に駆き立てるの!?」
~~~
~~陸奥の部屋~~
陸奥「はぁ……なんかどっと疲れた……ん?」
陸奥「あの変な宝石が無くなってる……あれ?爆発した拍子に落としたのかしら……」
陸奥「しかし……あの宝石は何だったのかしら、後で168に調べてもらおうかな…」
168「調べろって言われても」
陸奥「どうにかならない?」
168「うーん……スマホがある事だし、その宝石の名前さえ分かれば一発なんだけどね」
陸奥「片っ端から宝石の画像を検索するのは?」
168「時間が沢山掛かるわよ、この宝石は色も形もありふれたモノだし」
陸奥「インターネットに画像を挙げるのは?」
168「画像を挙げるか…挙げても回答してくれるのは知恵遅れくらいで……あっ!そうだ!」
陸奥「どうしたの?」
168「適当な流れの早い、人の多そうなネット掲示板に挙げれば良いのよ!」
陸奥「ネット掲示板なんかに挙げちゃっていいの?軍法会議に掛けられちゃったりするんじゃない?」
168「大丈夫よ、もう既に何回かやってるから」
陸奥「そ、そう……」
168「とりあえず画像を適当なうpろだに挙げて、そしてスレを建てる…と」カタカタカタカタ
『群馬の鉱山で宝石ザクザク取れたwwwお前ら鑑定してwwww』
陸奥「ぐ、群馬?」
168「群馬って付けると沢山人が集まるの、魔法の呪文よ」カタカタカタ
陸奥「そうなの……」
168「さて、後はURLを載せて……スレ立てと」ッターン!!
【忍法帳のレベルが足りません】
168「あっ、スイトン喰らったの忘れてた」
結局、スレが立ったのは2日くらい後の事だった
~~2日後~~
陸奥「で、どういう情報が出たの?」
168「うーん、どいつもこいつも枕に入ってる大量の宝石と群馬に食い付いてばっかり、ツッコミ所が多いのも考えものね」
陸奥「やっぱり手掛かりは無し……か」
168「ここはもう諦めて、しばらく経ってからまた改めてスレを……おっ?」
982:以下、提督にかわりましてBepがお送りします ID:has/:.o0
こんなスレが完走しそうなんてBep終わったな
983:以下、提督にかわりましてBepがお送りします ID:Po/ke.mo
それもしかしてジュエルじゃないか?
ジュエルは消耗品だけど威力を1.5倍にしてくれるんだよ
984:以下、提督にかわりましてBepがお送りします ID:0/huBuki
>>1000なら主人公
168「ジュエル……?」
陸奥「いや確かにジュエリーだけど」
168「威力が1.5倍か…」
陸奥「えっ?ならもしかしてあの凄い爆発って……」
168「そしてその凄い爆発の後、ジュエルが無くなってた……」
168「そう!その枕にギッチリ詰められてた宝石の正体はジュエルだったんだよー!!」
陸奥「な、なんですってー!?」
眠たいので中断
その内戻ってくるよ、多分
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