電「鋼鉄の咆哮・・・って何ですか?」【オリジナルストーリー】 (704)

電「第六駆逐隊、出撃です!」

特Ⅲ型駆逐艦四番艦「電」は、僚艦「暁」「雷」「響」が所属する第六駆逐隊を率いて北方海域の敵泊地制圧作戦に参加するべく、鎮守府を発った。

後続の愛宕が率いる主力戦艦隊及び、龍驤が率いる軽空母機動艦隊もすぐに到着するだろう。提督は主力艦隊の愛宕に座乗しており、第六駆逐隊には彼女たちしかいない。

そんな中、彼女ら第六駆逐隊は偵察任務を帯びて出動していたのだった。

電「久々の前線で、少し緊張するのです・・・」

雷「しっかりしなさいよ。旗艦はしっかりするものよ!」

電「そ、そうなのです!電は頑張るのです!」

暁「ちゃーんとお姉さんたちを引っ張っていってよね!」

響「ちょっと心配だけど」

電「うう、頑張る、のです・・・」

そろそろ敵の勢力海域、というところで、雷が搭載する対水上電探が異常なノイズをキャッチした。

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1387037991

雷「あれ、何かしら」

響「敵の通信かい?」

雷「ううん、これ、ただのノイズよ。かなり大きいけど・・・」

暁「あ、あれ!」

暁が指差したのは、ちょうど十二時方向だ。水平線がグニャリと曲がり、渦のようなものを形成している。その手前には、原速で航行する電がいた。

電「あっ、あっ!引き込まれるのです!」

響「電、逃げて!」

電「うう、強い、のです・・・」

僚艦が呼びかける中、先頭を航行していた電だけは渦が発する重力に逆らえずに、そのまま引き込まれてしまった。

電「はうううぅぅぅぅ・・・」

「こちら第五戦隊!ヴィルベルヴィントを肉眼で確認!」

「第一戦隊、戦線維持できず!」

「第四戦隊、旗艦を残し全艦沈没・・・!」

次々入ってくる艦隊の損害状況。指示を与える暇もなく、敵艦は東京湾に接近してくる。

「くっ、今の我々では、ヴィルベルヴィントを撃沈できない・・・」

ヴィルベルヴィント。80ノットという暴風のような速度を持つ、敵の新型戦艦だ。巡洋戦艦とは思えないほど強大な防御力を持ち、攻撃面も35.6cm三連装砲を四基搭載している。

東京湾周辺は重要作戦のために戦艦が出払っており、警備が手薄な状態になっている。到底、現状での戦線維持は困難だった。

解放軍東洋方面司令もおらず、副司令も戦没した今、横須賀基地の運命は第三水雷戦隊の司令を務める早川の手に委ねられていた。

早川「クソ、魚雷も当たらず砲撃も効かない・・・あんな化け物にどう対抗しろと!?」バン

通信士「司令!第五戦隊旗艦「天龍」より通信途絶!」

早川「天龍までもが沈められたか・・・もう、浮いている巡洋艦は、この「那珂」しか残っていない・・・」

軽巡「那珂」は、第三戦隊の旗艦であると同時に、早川司令の座乗艦でもあった。しかし、既にヴィルベルヴィントの至近弾を浴びて航行不能になっていた。

通信士「ヴィルベルヴィント、離脱していきます」

早川「相手の狙いは占領ではなく破壊か・・・横須賀基地は半壊、巡洋艦は那珂を残して全滅。駆逐艦は暁と島風を残して撃沈もしくは航行不能か・・・」

早川「・・・総員、最上甲板に集合せよ」

通信士「司令・・・」

ピピーッ、ピピーッ

その時、那珂の通信機が無線を傍受した。さっきまでヴィルベルヴィントが発するノイズの影響で使い物にならなくなっていたが、今になって復活したのだった。

通信士「通信です!読み上げます。『はわわ、ここはどこですかー・・・』だそうです」

早川「妙な無線だな。一体どこからだ?」

通信士「東京湾です」

早川「東京湾?そこには一隻もいないはずだ」

通信士「しかし・・・」

見張り員「司令!東京湾から小型艦が出現しました!恐らく、暁型と思われます!」

早川「暁型なら、後方の暁以外は・・・」

見張り員「舷側の文字をには「イナズマ」と書かれています!」

早川「電・・・なぜだ、一週間前にサウスダコタ級戦艦に撃沈されたはずの艦だぞ!」

電「はわわ、いつの間にか陸地に囲まれているのです!」

電「鎮守府近くのトーキョ湾に似てる気がするのです・・・」

ピピーッ、ピピーッ

電「あ、無線が帰って来たのです」

『貴艦ノ所属ト航行目的ヲ提示セヨ』

電「ここは大人しく従った方がいいみたい」

電は通信機器を操作し、無線を送った。

『電は横須賀鎮守府の所属で、北方海域の偵察任務に来たのです』

すぐに通信は帰って来た。

『横須賀基地ニハ貴艦ノ情報ハナイ』

電「あわわ・・・え、えっと」

電の艦橋内でオロオロするだけの電。彼女の眼前、湾の開口部に小型の艦影が集結しつつあった。電はその艦隊の中に、暁型の姿を発見した。

電「あ、あれは暁なのです!」

『よかったのです、暁ちゃん、大丈夫ですか?』

しかし、暁からは通信が帰ってこない。代わりに、川内型から通信が入った。

『直チニ停戦シ、武装解除セヨ』

電「はう!?味方なのに、どうして警戒されるのですか・・・?」

艦これと鋼鉄の咆哮でやってみたかった。
どっちもPCゲームだし・・・

今日はここでおしまいね

鋼鉄の咆哮じゃあ島風ですら鈍足艦だぞ
相手にすらならんだろ

>>7い、一週目だから・・・

電「ここは従った方がよさそうなのです・・・」

わけもわからないまま、電は無線通信で『あなた方に従います』と打った。

すると、今度はわざわざ発光信号が送られてきた。

『貴艦ノ賢明ナ判断ヲ評価スル』

電「はぅ、これからどうすればいいのでしょうか・・・」

秋月型駆逐艦が川内型を曳航し、湾の開口部から遠ざかっていく。電もそれに倣い、現在の海域から遠ざかっていった。

電の後方からは、「アカツキ」と書かれた暁型駆逐艦が後を追っている。

それから単縦陣で陸地に沿うように進んでいくと、クレーンや剥き出しのパイプなどが張り巡らされた奇妙な船が接近しているのが見えた。しかし、それは船というより水上基地のような威容をしていた。

電「水上基地のようです、けど・・・あれ、船が停泊していますね」

彼女の察する通り、基地には駆逐艦が一隻停泊していた。舷側に「イカヅチ」と書かれていた。

電「あっ、雷!無事でよかったのです」

艦長「司令、あの駆逐艦をスキズブラズニルまで連れてきてよかったのでしょうか・・・?」

早川「今はこうする他にあるまい。敵に交戦の意思は無いようだし、まずは相手の所属と航行目的を知る必要がある」

艦長「確かに、あの通信内容は俄かに信じられないものです」

早川「では、我々は内火艇で基地に上陸し、艦長と副長、私だけで暁型に接触する。内火艇降ろし方用意」


タグボートが中破した那珂をドック艦「スキズブラズニル」に曳航していく横で、早川と那珂の艦長、副長は電と名乗る駆逐艦に乗り込んでいた。

早川「しかし、誰も迎えに来ないというのはどういうことだ?」

副長「もしかして、幽霊船なのかもしれないですよ・・・」

艦長「気持ち悪いことを言うな・・・チビりそうになる」

副長「あはっ、艦長ってば怖がりさんですねー」

早川「副長、ちょっと静かにしろ」

副長「は、はぃ・・・」

ちょっと上機嫌だった副長に一言怒鳴った早川は、再び電を見上げる。すると、さっきまで誰もいなかった甲板に、小さな人影が見えた。それは内火艇が接舷する後部主砲付近まで来ると、早川たちを見下ろした。

副長「あれは・・・幽霊ですかっ!?」

早川「軍人ではないな・・・あれは、少女か?」

電「確か、那珂から内火艇が出るって通信が来て・・・」

電「やっぱり、那珂ちゃんが来るのでしょうか・・・?」

電「はうぅ、やっぱり一人だと怖いのです・・・」

那珂から発進した内火艇が電の第三主砲塔脇に接舷する。それを確認した電は、急いで後部甲板に向かった。

途中、戸惑う妖精さんたちが電に色々な質問をぶつけてくるが、彼女は「後でお話するのです!」とだけ言って走り去る。そして第三主砲前に到達すると、急いで内火艇に乗る人を確認する。男が二人、女が一人だ。

電「あれは・・・艦娘ではないみたいですね。誰でしょう・・・?」

彼女が内火艇を見下ろしていると、白い軍服を着た男が両舷灯を使って発光信号を送ってきた。

『我々ハ那珂ノ乗務員ナリ。乗艦許可ヲ願ウ』

『了解しました。では、艦橋脇までボートを移動させてください』

そう言うなり、内火艇は電の艦橋横まで移動した。

艦橋横に設置されたタラップを上った三人は、甲板の様子を見るなり驚いた。

早川「な、何だこれは・・・?」

副長「あ、可愛い!」

艦長「小さい・・・」

三人は一斉に集まってきたセーラー服の小人に囲まれていた。それぞれの身長は80cmを下回り、中には小型の犬を連れているものもある。

副長「かわいーねー」ニコニコ

艦長「やめたまえ副長、彼女らが怖がっている」

早川「それはそうと、さっきの少女は一体どこだ?」

副長「あ、ほら、あそこにいますよ!」

副長が指差したのは艦尾の方で、周りの小人より明らかに大きな人影が走ってくる。外見は背丈の低い少女だが、脇腹に魚雷が装備されていたり、背中から長い筒のようなものが見えている。

「はぁ、はぁ・・・艦を往復すると、さすがに疲れるのです」

艦長「君は?」

「はわ、えーっと、那珂ちゃんの方、で合っていますか?」

艦長「そうだが」

「私は電です。よろしくお願いいたします」ペコリ

????「司令官さんに改装してもらったのです」

http://mup.vip2ch.com/mdl.php?img=42465
????「から」

http://mup.vip2ch.com/mdl.php?img=42466 http://mup.vip2ch.com/mdl.php?img=42467
????「になったのです」

????「ヴォルケンクラッツァーもへっちゃらなのです」

http://mup.vip2ch.com/mdl.php?img=42468




こういう事だな。

我々が電と名乗る少女から聞いた話は、俄かに信じられないものだった。

彼女は「艦娘」と呼ばれる、いわば艦の化身のような存在だ。改造を行えば、その都度彼女たちの姿を変え、解体されれば普通の少女に戻り、轟沈すれば死ぬらしい。

その彼女たちは、「深海棲艦」と呼ばれる敵と戦っているらしい。駆逐艦は鉄塊のような姿をしているが、戦艦などの大型艦になれば、姿は少女のものに近づいていく。

更に、彼女ら艦娘には、ある大きな特徴がある。それは、大破したまま放置しない限り沈没することはない、ということだ。我々の世界の駆逐艦は、戦艦の砲撃を一発でも食らえば轟沈は免れない。

しかし、彼女ら艦娘は経験を経て強くなり、時に戦艦の砲撃さえ耐えることもあるらしい。防御力が低い駆逐艦において、この特性はかなり有用なものといえよう。

更に追求すると、駆逐艦の艦娘は夜戦の時に真の実力を発揮するらしい、ということも判明した。砲撃の攻撃力が跳ね上がり、魚雷を命中させやすくする、ということらしい。

これを考慮すると、彼女・・・電がいた世界では、我々の艦に対する常識があまり通用しないといっても過言ではない。そもそも、この世界に「艦娘」という存在は無いのだから、完全に理解するには時間がかかるだろう。

しかし、この常識がまだ電に通用するなら、奴らに勝てるかもしれない。沈没しない駆逐艦の存在は、我々にとって、かなり有利に働くはずだ。

もしかすると、あの鉄の暴風と呼ばれ恐れられた、「ヴィルベルヴィント」さえ撃沈できるかもしれない。

とても悲しいお話なのです。

この世界では、人と人が戦っているのです。あの、私たちの仲間が次々に沈められた第二次世界大戦のように。

でも、この戦争の規模は更に大きいのです。国という国を全て巻き込んで、人々を苦しめているのです。

相手の国は『ウィルシア帝国』と名乗る、強大な国家。そして、今の私がいる国が、この世界で二番目に強い『ナーウィシア国』。

相手の国から戦争を始めて、次々にナーウィシアの領地を占領したらしいのです。それも、あのアメリカとは比べ物にならないほど強い軍備を持って。

その強い力の根源というのが、今のところ世界に数機ある「超兵器」と呼ばれる、とても大きな戦艦や航空機みたいです。

話を聞くと、さっきまで戦っていた戦艦「ヴィルベルヴィント」は、なんと全長が500m以上、速力が80ノットもあるのです。魚雷も簡単に振り切れる快速なのです。

でも、島風ちゃんでさえ40ノットなのに、500mもある大きな戦艦が80ノットも出せるなんておかしいです。それで聞いてみたら、「超兵器については何も分からない」と返されました。

それに、この世界の軍艦に艦娘はいないみたいです。

提督、本当に元の世界に戻れるのか、心配です。第六駆逐隊や鎮守府のみんなは、今頃どうしてるのかな・・・

翌日、電は正式に『解放軍』の仲間入りを果たしました。何でも、漂流者は積極的に助けていく、という方針だそうです。私、ちょっと感激しちゃいました。

それから二週間は演習や新造艦の進水式などに参加して、全く出撃命令が出なかったのです。

ヴィルベルヴィントはとにかく、ウィルシアの主力艦隊の情報も全然回ってこない上に、基地の司令がいないからだそうです。

そして、今日は大事な式があるとのことで、スキズブラズニルの第一ドックに来たのです。

早川「さて、と。電はもうここに慣れたか?」

電「ちょっと慣れてきました。ここで出される牛乳はとても美味しいのです!」

早川「それはよかった。今日は大事な式があるということで、電をここに呼んだ」

電「その式の内容、すごく気になるのです!」

早川「そうか。では、発表しよう。君を東洋方面艦隊旗艦に任命しようと思う」

電「はわわっ!?艦隊の旗艦ですか?」

早川「そうだ。東洋方面艦隊を率いて、あのヴィルベルヴィントを沈める任務を与えたいと思う」

電「例の巡洋戦艦、ですよね」

早川「そうだ。近々、インド方面に展開中の戦艦「金剛」と「長門」が日本に回航されることになった。その時に、ヴィルベルヴィント撃滅作戦を発動するつもりだ」

電「その旗艦を、私が担うんですね」

早川「最後に確認する。そうだ」

電「艦隊の旗艦を務めたのは二ヶ月前が最後だったので、少し緊張するのです・・・」

早川「君が心配する必要はない」タン

電「早川さん・・・」

ビーッ!ビーッ!

電「はう!?」

早川「クソ、敵襲か!」

『総員戦闘配置!対水上戦闘用意!敵は駆逐艦を中心とした水雷戦隊!』

早川「水雷戦隊か・・・電、行けるか?」

電「電は大丈夫なのです!」

早川「よし、私も乗る。戦闘用意!」

電「第一水雷戦隊、出撃です!」

スキズブラズニルで整備中だった電と那珂、そして機銃の増設が行われたばかりの暁が出撃した。早川は電に乗り、艦隊の指揮を執ることになった。

電「敵艦を発見したのです!」

早川「よし、直ちに砲撃開始!」

電「なのです!」ズドーン

電の前部主砲塔が咆哮し、一発が先導していた駆逐艦の艦橋に直撃した。艦は急速に速度を落とし、停止した。

しかし、後方のフレッチャー級は臆することなく主砲を電に向ける。

電「電の本気を見るのです!」ズドーン

12.7mm砲が連続で四発発射された。そのうち二発が艦首と魚雷発射管に直撃し、フレッチャー級は炎の唸りを上げて真っ二つになり、あっという間に海中に没した。

ミス
12.7cm砲だった
12.7mmとか機銃弾ww

電「敵艦二隻を無力化しました!」

早川「まだだ、前方のが──」ガァァァン

時すでに遅し。電が喜んでいる隙に、艦橋を破壊された手前のフレッチャーが砲撃を仕掛けてきたのだ。

電「ふぁーーっ!?」バァン

早川「沈めろ!撃て!」

電「命中、させちゃいます!」ズドーン

至近距離で発射された12.7cm砲は、フレッチャーの喫水線付近を直撃した。機関が爆発したのか、急速にフレッチャーは船体を海に沈めた。幸い、電は敵の砲撃で後部マストを折られただけだった。

早川「ウィルシアの連中は、艦橋を潰されて航行不能になっても攻撃してくる。沈めるまで侮るな」

電「無力化した敵も、できれば助けたかったのです・・・」

早川「たまに脱出に成功した乗員がゴムボートを浮かべているというのはよくあるが、今回は・・・」

妖精A「電さん!舷側のタラップにゴムボートが係留されていますっ!」

早川「敵兵だ!」

電「早く回収するのです!」

多くの妖精さんが敵兵三人を取り囲んでいた。彼らは全員男で、当然だがずぶぬれだった。

電「この方たちが、敵兵なのですね」

早川「ああ、間違いない。紺色の制服に白い髑髏の徽章、ウィルシア帝国の水兵だ」

電「三人しか助けられなかったのです・・・」

早川「駆逐艦にしては多い方だ。全く回収できないこともある」

そうつぶやくように言いながら、早川は敵兵を睨みつけた。

早川「お前たちは偵察部隊のようだが」キッ

敵兵A「そ、そうさ・・・するなら好きにしろ」

早川「ヴィルベルヴィントの今後の航海予定は?」

敵兵B「し、知らないよ」

敵兵C「ヴィルベルヴィントには優秀な兵士しか乗せないって聞くし」

早川「そうか。では、君たちを営倉に拘留する」

電「えっと、電に営倉はないのです」

早川「便所に閉じ込める」

電「全部女子トイレなのです・・・」

早川「・・・もういい、もういいよ」

今日はここで終わり

基本、鋼鉄の咆哮シリーズの設定は最大限使うつもりだけど、設定に無理があったら出さないかも

ヴォルケングラッツァーとかUFOとか他の超兵器はでたり出なかったりしますか?

>>26
ゲームと同じく次々出てきたりしますぜ

数時間の尋問の後、断片的ではあるが、敵の戦力情報などが手に入った。

その中には輸送船団が使う航路などの情報もあり、これを聞いた早川は通商破壊部隊の派遣を決定する。

まだ再建中の司令部だが、通称破壊をするくらいに戦力は残っている。

それに、呉には航空母艦「赤城」を中心とした航空機動艦隊がまだ生き残っており、じきに「赤城」と「雲龍」で構成される第三航空戦隊が横須賀に回される手筈となっている。

しかし、小笠原諸島には帝国の前線基地がある。そこを叩かなければ、三航戦が奇襲を受けてしまう恐れがあった。

そこで、さっき手に入れた輸送船団の航路情報が役に立つ。船団はフィリピンから小笠原諸島に向かうもので、聞くところによれば航空機生産用のボーキサイトを運んでいるらしい。

電「そこで、私が出るのですか?」

早川「そうなるな。私や艦長、副長も正式に電の所属になったから、これからよろしく頼む」

電「はい、よろしくお願いいたします」ペコリ

早川「では、数時間後に出撃だ。準備してくれ」

電「では、準備してくるのです!」

電「第一艦隊、第一水雷戦隊、出撃です!」

艦長「抜錨!」

電の錨が揚げられ、通商破壊部隊が出撃した。

~~~~~~~~数日後~~~~~~~~~

早川「そろそろ予定海域か。護衛の駆逐艦と戦闘になるやもしれん、水上警戒を厳となせ」

電「了解したのです!」

ピピーッ、ピピーッ

電「はわわ、言った傍からレーダーが敵艦を捉えたのです!」

艦長「総員戦闘配置!対水上戦闘用意!」

早川「電、艦隊の詳細はわかるか?」

電「小型艦が七隻いるのです。多分、輸送船と護衛の駆逐艦なのです!」

早川「了解した。砲戦、雷撃戦準備!」

司令官の声が艦橋に響き渡り、警報がけたましく鳴る。主砲が眼前の駆逐艦を捉え、発射態勢に入った。

艦長「撃て!」

電「なのです!」ズドーン

先頭を走るフレッチャー級駆逐艦に砲弾が命中し、たちまち炎を噴き上げた。

副長「敵艦、火災発生した模様ですっ!」

早川「次の目標、敵輸送船!」

電「魚雷装填です!」ガシャン

前方の三連装魚雷発射管から三本の魚雷が発射され、二本が後方の駆逐艦に、一本が輸送船に直撃した。二隻は船体を二つに割り、そのまま重油をばら撒いて海中に没した。

早川「よし、残りは輸送船だけだ。敵に降伏勧告を送れ」

電「了解したのです!・・・いえ、まだなのです!大型艦の艦影を確認したのです!」

艦長「なっ・・・」

早川「後方に控えていたのか・・・艦種は?」

電「多分、アラスカ級なのです・・・」

早川「アラスカ級だと・・・!?30.6cm砲搭載巡洋艦じゃないか」

電「一隻だけですけど、とても強そうなのです・・・」

早川「我々は相手の輸送船を拿捕してでも資源が欲しい。なるべくなら、あのアラスカ級を叩き潰したいところだ」

艦長「しかし、敵は弩級戦艦レベルの主砲を持っています。交戦は危険です。ここは輸送船を破壊して撤退することを具申します」

早川「いや、アラスカ級を撃沈する」

艦長「しかし、電と深雪だけでは・・・」

早川「いや、遅かれ早かれ、奴と戦うことになるだろう。空母撃沈を狙っているはずだからな」

艦長「司令・・・」

電「私、頑張るのです」

副長「電ちゃん・・・」

電「できれば戦いたくないですけど、ここで逃げたら赤城さんが轟沈するかもしれないのです」

電「でも、それは嫌なのです。赤城さんはボーキサイトをよく盗み食いしちゃう人ですけど、部隊の旗艦としてのイロハを教えてくれた、頼もしいお姉さんなのです」

電「だから、今度は私が赤城さんを守るのです」

早川「・・・決まりだな」

艦長「相手は巡洋艦並の速力と戦艦並の攻撃力を持っています。勝算はあるのですか?」

早川「とにかく、魚雷で右舷を狙い続けるしかない。後は運のみだ」

副長「大丈夫ですっ!きっと、勝てますよ!」ビシッ

早川「ヴィルベルヴィントの前座には持って来いの相手だ。とことん痛めつけてやろう」

電「赤城さんは電が守るのです!」

電(ここに来るまでは、提督や他の艦娘の皆さんに助けてもらうばかりだったのです)

電(でも、今は赤城さんを守ろうとしているのです)

電(すごく怖いけど、頑張るのです!)

早川「敵はもう我々に気がついている頃だろう。おそらく、アウトレンジ戦法で来るはずだ」

早川「しかし、電は38ノットを誇る高速艦だ。その速力をもって一気に敵艦に肉薄し、魚雷で艦橋直下を狙う」

早川「質問はあるか?」

副長「ありませーん!」

早川「了解した。では、作戦行動に移る」

電は速度を最大戦速に上げ、アラスカ級巡洋艦に接近する。

直後、電の右舷近くに巨大な水柱が上がった。

副長「敵の砲撃ですっ!」

艦長「取り舵一杯!」

舵を取る妖精さんが小さな舵輪を回し、電の船体が急激に左に旋回する。水平線上には、アラスカ級のスラリとした艦橋と、前部に二基存在する30.5cm三連装砲が確認できる。

艦長「主砲発射用意!」

主砲塔がアラスカ級に向けて旋回し、砲弾を発射せんとする。

電「命中させちゃいます!」

電の一声で12.7cm砲が火を噴き、アラスカ級の右舷カタパルトに被弾した。しかし、カタパルトを破壊しただけで他の武装にダメージはない。

艦長「やはり、電の主砲では奴の艤装を剥がすのが精いっぱいですね」

早川「そうだな。しかし、こちらには必殺の酸素魚雷がある」

艦長「それさえ当たれば・・・!!」ガァァン!!

艦長の言葉は、そこで打ち切られた。強烈な横ゆれが艦橋を襲い、爆発音が轟く。

艦長「右舷に被弾!」

副長「ダメージコントロール!」

妖精さん「わかりました!」

妖精さんが次々と艦橋から出て行く。早川は艦橋の窓から右舷を見下ろすと、後部艦橋がある辺りから煙が出ていた。

早川「後艦橋が損傷したか・・・電、だいじょ・・・!?」

電「はわぁ・・・っ、恥ずかしいよ・・・」

早川「なっ、どうした!?」

電「はわわ、あまり見ないでほしいのです・・・」

副長「服が破けちゃったのね?あらら、ボロボロじゃなーい」

電「中破したのです・・・」

※アウトレンジ戦法・・・敵の射程範囲から攻撃を行う戦法。

※ダメージコントロール・・・自艦が損傷した際に行う、艦が沈まないようにする応急措置。

電「艦が中破すると、艦娘も中破するのです」

艦長「ほうほう、よろしい」

早川「艦長」

艦長「わ、わかっております。現在は戦闘中、余計なことに考えを巡らせることなど・・・///」

早川「説得力のない言い訳をありがとう。それより、報告はまだか?」

副長「妖精さんは謎の力で守られているために死なないそうです。それより、後部艦橋が吹っ飛びました!」

早川「各部兵装はどうだ?」

副長「二番主砲も損傷しましたが、魚雷発射管には損傷ありません!速力は28ノットにまで落ちました!」

早川「よし、進路、速度そのまま、敵艦に殴りこめ!」

副長「了解!」

電は煙を上げながらアラスカ級に肉薄し、三基ある魚雷発射管を全てアラスカ級に向けた。数百メートルまで接近されたアラスカ級は、主砲塔の旋回が間に合わない。

艦長「電、行けるか!?」

電「だ、大丈夫なのです・・・」

艦長「よし、魚雷発射!」

電「い、電の本気を見るのです!」ガシャン

電の魚雷発射管から、次々と魚雷が発射される。航跡が見えない高速の魚雷は、迷うことなくアラスカ級に突っ込んでいった。

9本発射された魚雷のうち、六本が被弾した。敵艦の脇に巨大な水柱が発生し、船体を隠していく。

アラスカ級の竜骨が破壊され、船体が真っ二つになったところで、空にキノコ雲を発生させた。

早川「一瞬、だったな」

艦長「あれでは、生存者は・・・」

電「いない、のですか・・・」

早川「電・・・よく頑張ってくれた。輸送船を連れて戻ろう」

機関を損傷した電は、深雪に曳航されてスキズブラズニルに戻った。すぐに損傷個所の修理と機関の換装が行われる予定だ。

換装室の舷側に佇んで夕日を眺める電。彼女の服はすっかり元通りになっている。

電「はぅ・・・」

早川「どうした?」

電「あのアラスカ級の乗組員、全然助けられなかったのです・・・」

早川「そうだな。しかし、それが戦争というものだ。それも、今起こっているものは少し特殊だ。人の数は余計に減るだろう」

早川「だが、それでも我々は生き残らねばならない。帝国に屈すれば、もっと多くの人々が苦しむことになるのだから」

電「それは・・・辛いです」

早川「それを断ち切るための戦争だ。決して人の命を奪うだけの戦いじゃない。・・・ボイラーを新しいものに取り換えた。おそらく、43ノットは出るはずだ」

電「あ、あの・・・ありがとう。ぜかましちゃんより速いのです」

早川「礼はいい。それより、妖精さんたちによろしくな」

副長「司令!呉海軍基地より赤城及び雲龍、到着しましたっ!」

早川「早かったな。ところで、金剛と長門は?」

副長「現在はフィリピンのシブヤン海で補給を受けているらしいですよー」

早川「そうか。到着前にヴィルベルヴィントの攻撃を受けなければいいが・・・」

艦長「司令、お話し中失礼します。数分前に敵の偵察機が赤城上空を通過したとのことです。同時に、敵の機動艦隊が呉を襲撃したとのことです」

電「呉が襲われたのですか?」

艦長「そうだ。戦闘自体は防衛艦隊が勝利を収めたが、空母を一隻逃がしてしまった。敵の通信を聞く限り、エセックス級だそうだ。そして、敵は機関を損傷していると聞く」

早川「機関損傷?呉はなぜ逃がした?」

艦長「鹵獲するつもりのようです。それの手伝いを我々に願いたいと」

早川「そうか・・・わかった」

艦長「エセックス級の現在位置は我々から100kmの地点です。すぐに間に合うかと」

早川「了解した。これより、敵エセックス級航空母艦の鹵獲に当たる。総員、出撃準備」

電を旗艦とした機動艦隊がスキズブラズニルを発った。後続の艦は那珂、赤城、そして深雪だ。赤城の戦闘機隊で、半数が喪失したらしいエセックス級の艦載機は抑えられるので、雲龍はドックで待機することとなった。

出撃から三時間後、赤城の偵察機、彩雲が煙を上げながら航行するエセックス級を発見した。護衛の駆逐艦もつかず、一隻で小笠原諸島方面に向かっている。

早川「来たか。電、今回は敵空母の鹵獲だから、沈めるようなことは基本しない。しかし、いざという時は頼むぞ」

電「は、はい」

艦長「総員戦闘配置、白兵戦用意!」

副長「敵機襲来!12時方向!」

艦長「前部主砲及び機銃座、迎撃準備!」

電「命中させちゃいます!」ガガガガガ

電が放った機銃弾が襲い来るドーントレスに穴を開ける。

電「後は深雪ちゃんに任せるのです!」

電と那珂、赤城が対空戦闘を行っている最中、深雪がエセックス級に接舷した。次々と戦闘員がエセックス級に乗り込んでいく。

しかし、敵艦載機は攻撃を止めようとしない。横から来襲したコルセアの魚雷が電の艦首に直撃し、水柱を屹立させた。

電「はわわーっ!?」

早川「しつこい連中だ・・・電、大丈夫か!?」

電「ま、まだ大丈夫なのです!」

電「なのです!」ガガガガガ

電の13mm機銃が張った弾幕がコルセアの戦隊を半分に分断した。右半分は真っすぐ進み、左半分は那珂に向かう。

艦長「電、何とか落とせないか!?」

電「む、無理なのです・・・」

副長「魚雷接近!2本!」

艦長「衝撃に備え!」

コルセアが放った魚雷の1本が電の後部主砲付近を襲った。しかし、水柱は立たなかった。

艦長「よし、不発弾!」

電「助かったのです・・・」

早川「この機を逃すな!弾幕張れ!」

電「電の本気を見るのです!」ガガガガガ

電の頭上を通過したコルセアに機銃弾を浴びせる。しかし、上空には再びドーントレスが接近していた。

副長「急降下爆撃機接近!数、8!」

早川「回避急げ!」

電「取り舵140度なのです!」

電は左に急旋回した。ドーントレスは急に消えた電を捜すが、既に電はドーントレスの下を通過したばかりだった。

電「なのです!」ガガガガガ

ドーントレスが4機連続で破壊され、電の周囲に爆発を起こす。それを機にエセックス級に接近し、それを盾にして航空機からの攻撃を防ごうとした。

早川「白旗・・・そうか、勝ったか」

エセックス級の艦橋マストに、白い旗が掲げられていた。降伏を示す白旗だ。

早川「よし、発光信号にて降伏了承の旨を伝えてくれ」

副長「了解しましたっ!」

電「・・・」

早川「どうした、電?」

電「・・・さっき落としたドーントレスさん、もう少し電が撃つのを遅らせていれば、助かったかもしれなかったのです」

早川「そう、だな」

電「これって戦争ですけど、やっぱり人が死ぬのは見たくないです」

電「私、おかしいですか?」

舵輪の前に座り込む電の肩に、早川は右手をのせた。

早川「前も言ったが、戦争では人が死ぬのが常識だ。さっきのドーントレスは死ぬべくして死んだ。それだけだ」

電「でも・・・」

早川「今はエセックス級の鹵獲を喜んだ方がいい。沈めずに済んだからな」

電「そうですね・・・」

早川(電は戦いの時にはちゃんとやってくれるが、中身はやはり一人の女の子だ)

早川(・・・帰ったら、何かしてやるか)

鹵獲されたエセックス級は『タイコンデロガ』という艦名だった。機関は半壊し、今や浮き滑走路となっている。

そのタイコンデロガは、艦名を『青鶴』と改名した上で修理が行われた。主に機関の強化と艦載機格納庫の拡張がなされ、赤城より強力な航空母艦として生まれ変わった。

早川「どうさ、電。お前が活躍してくれたおかげで、こいつは新たな人生を歩むことになった」

電「そう言われると、ちょっと嬉しいのです」テレテレ

早川「誇っていいことだ。これで航空戦力の増強は成った。後は戦艦だけだな」

電「ながもんと金剛さんが来るんですよね」

早川「ん、ながもん・・・?」

電「長門さんのことです。陸奥さんがそう呼んでいるので私も・・・」

早川「私も他の艦娘に会ってみたいものだ」

電「艦娘・・・そうだ、雷ちゃん、暁ちゃん、響さん・・・会いたいよ」グスッ

早川「・・・(やっぱり、寂しいのか。悪いことをしてしまったな)」

早川「突然だが、温泉に行かないか?」

電「おん、せん?」

早川「そうだ。温泉に入れば、少しは疲れも取れるだろう。どうだ?」

電「・・・行きたいのです」

早川「よし、決まりだ。副長たちも呼んでくるから、熱海に行こう」

というわけで、羽を伸ばすために熱海にやってきた電たち。

電「気持ちいいのです!」

副長「ねー♪」

電と副長は先に温泉に入り、艦長と早川司令代理はヴィルベルヴィント撃沈作戦の立案に当たっていた。

副長「そーいえば、鎮守府に温泉あるの?」

電「はい。赤城さんと大和さんがよく入っています」

副長「大和?」

電「うちの鎮守府最強の戦艦なのです。46cm砲でフラ戦も一撃なのです!」

副長「46cmってことは、我々が建造してる46cm砲搭載艦の艦娘なのかなぁ?」

電「あ、それ詳しく聞きたいのです」

副長「うーん、極秘事項だから何とも言えないけど、そんな戦艦が呉で建造中っていうのは聞いたよ」

電「確か、大和さんも呉で建造されたって言っていたのです」

副長「じゃ、あの戦艦は大和型なんだ!」

電「そうだと嬉しいのです!」

副長「じゃ、未来の大和竣工を祝って!」

電「なのです!」

艦長「ヴィルベルヴィントの燃料備蓄基地、ですか」

早川「ああ。この辺りを燃料を満載した輸送船団が小笠原周囲をうろついていると偵察機が報告してきた」

艦長「それを撃沈すれば、ヴィルベルヴィントの燃料供給を断てると?」

早川「そうだ。この作戦が成功すれば、大和の竣工を待つことなくヴィルベルヴィントを始末できる」

艦長「すると、大和は、あの超兵器対策に?」

早川「察しがいいな。超巨大航空戦艦『ムスペルヘイム』の撃沈に使う」

艦長「しかし、ムスペルヘイムは・・・」

早川「そうだ。現在はヨーロッパ方面にいる。そこで、ヴィルベルヴィントを撃沈した直後に電とヨーロッパに渡る」

艦長「そう、ですか」

早川「話を戻そう。まず、電を中核とした水雷戦隊で敵の防衛艦隊を撃破、そして赤城と青鶴の航空兵力で敵輸送船団を叩く。これが通商破壊作戦の概要だ。場合によっては、ヴィルベルヴィントとの連戦になるかもしれん」

艦長「連戦・・・」

早川「燃料は速力が命のヴィルベルヴィントにとって、なくてはならない存在だ。それを積んだ輸送船が撃沈されたとすれば、必ず報復に出てくる」

早川「その時に対応できなければ、我々は沈むのみ」

副長「いえーい!出ましたよー!」

艦長「副長・・・ああ、わかった。俺たちも入るとしよう」

ピピーッ、ピピーッ

艦長「通信?」

電「そうみたいなのです。読みます。『長門及ビ金剛到着セリ。直チニすきずぶらずにるマデ集合セヨ』とのことなのです」

早川「せっかく休暇を取ったというのに、戦場は待ってくれないのだな」

艦長「そのようですね。(せっかく可愛い女の子の浴衣姿が見られたと思ったのに、もう終わりなのか・・・)」

電「艦長、どうされたのです?」

艦長「い、いや!何でもない!」アセアセ


早川「おかえりなさいませ、司令」

司令「ただいま。ヴィルベルヴィントの件はご苦労さん」

電(女の人の提督さんなのです。懐かしいのです・・・)

司令「うん、この子が電ちゃんだね?話は聞いてるよ」

電「よろしくお願いいたします」ペコリ

司令「可愛いね。こんな子が異世界から飛ばされてくるなんて・・・ちょっとひどいよね」

早川「は、はぁ・・・」

司令「それじゃ、みんな揃ったところでヴィルベルヴィントの燃料輸送船を襲撃しよ。今度あいつが狙うところはココみたいだし」

早川「ここ?」

司令「そう。回航中に敵の泊地を攻撃してね、そこで色々と情報が手に入ったんだ。例えば、現在建造中の超兵器とか」

早川「そんな国家機密レベルの情報を・・・」

司令「運がよかったよ。ヴィルベルヴィントとムスペルヘイムだけでも手間取ってるのに、これ以上就役されたら死んじゃうよ」

司令「だから、ヴィルベルヴィントを早めに沈めてムスペルヘイムに集中しないと、敵がまた強くなっちゃう」

副長「じゃ、早く出撃しましょっ!」

司令「うん。早川くんの話によると作戦中にヴィルベルヴィントが出てくる可能性があるって言ってたから、長門と金剛も護衛につけるよ」

早川「ありがとうございます」

司令「君には期待してるね。だから、絶対に勝ってね!」

早川「必ずや、勝利をもたらしてみせます」

電「頑張るのです!」

司令「ふふ、やっぱり可愛いね、君は」

新たに艦隊に加わった長門と金剛、軽巡洋艦の龍田と川内、そして矢矧。それに加え基地に存在する駆逐艦以上の艦を総動員した今回の作戦は、まさにボスを倒しにかかる主人公のようだ。

まずは電、深雪、暁、那珂の水雷戦隊が護衛の水雷戦隊を叩き、赤城と青鶴の艦載機隊が輸送船を襲撃する。残りの艦はそれらの護衛をする。

ヴィルベルヴィント襲来時には直ちに水雷戦隊を解隊し、電は遊撃部隊として行動、その他の艦でヴィルベルヴィントを攻撃することになっている。

電「ということは、私が鍵なのですか?」

早川「そうだ。事実上、電が単艦でヴィルベルヴィントと対峙することになる。他の艦は援護に回るだけだ。だから、頼むぞ」

電「わ、わかったのです・・・」ドキドキ

早川「では、出撃」

電を先頭に、次々と艦が単縦陣を組んでスキズブラズニルを後にする。これから始まる、途方もない戦いに向けて。

副長「電ちゃんは、怖くないの?」

電「こ、怖いのです。でも、戦わないとみんなが死んじゃうのです。それは絶対に嫌なのです」

副長「そう・・・なんだ。あたしは、成り行きでこの軍に入って、成り行きで中佐になったけど、やっぱり怖い。戦って死ぬのが、本当に怖いの」

副長「でも、電ちゃんは覚悟ができてる。それってすごいと思う」

電「電は・・・そんなに強くないのです。第六駆逐隊のみんなに助けてもらって、天龍先生や大和さんにも迷惑かけてばかりで・・・」

副長「けど、今は違う。電ちゃんは、あたしから見たら輝いて見える。会った時より少しだけカッコよくなってるし!」

電「あっ、あのっ・・・」テレテレ

副長「うふふっ、やっぱり可愛い!」

電「うぅ・・・///」

副長「じゃー、今度暇になったら・・・」ピピーッ、ピピーッ

副長「なにー、電探に・・・輸送船団!」

艦長「本当か!?総員、対水上戦闘用意!」

艦内警報がけたましく鳴り響き、艦橋にいる人々の気を引き締める。

早川「来たな・・・この作戦でヴィルベルヴィントを沈めない限り、極東の安全は保たれない。新たな超兵器の脅威もある」

早川「気を引き締め、ヴィルベルヴィント出現の際にはできうる限りの勇気を以て戦え。私から伝えられることは以上だ」

電「・・・(とうとう、ボスとのご対面なのです。暁ちゃん、響ちゃん、雷ちゃん。私は頑張るのです!)」

電が率先して周囲の水雷戦隊に殴り込みを仕掛ける。主砲が旋回し、魚雷発射管に魚雷が装填される。

最初に砲撃を仕掛けたのは、敵のアトランタ級軽巡洋艦だ。艦橋前に3基並んだ127mm連装砲が立て続けに火を噴き、電の周囲に水柱を屹立させた。

艦長「主砲、発射開始!目標、アトランタ級!魚雷はフレッチャー級を狙え!」

電「なのです!」ズドーン

電が放った主砲弾はアトランタ級の主砲を一基破壊しただけだったが、魚雷は4隻いたフレッチャー級のうち2隻を轟沈させた。

副長「赤城及び青鶴より航空機発進!逃げる輸送船団に雷撃を加えていきます!」

早川「よし、戦いはこれからだ!」

次々と航空攻撃の前に倒れる輸送船団。それらが流した重油の中を、一隻の戦艦が疾風のような速さで駆けていった。その艦の名前はヴィルベルヴィント。ドイツ語で「旋風」という意味だ。

ヴィルベルヴィントは500mを超える巨体を持つが、速度は80ノットを超える。現在の電の約2倍だ。それに加え、超兵器が発するノイズの影響でレーダーの一部に支障をきたす。

電の対水上電探も役に立たなくなっており、現在は目視でアトランタ級に魚雷を発射しているところだ。

副長「無電方位探知で敵位置特定!近くです!」

電「目を潰されたような感じなのです・・・うぅ」

艦長「来るのが異常に早い・・・やはり、この近くに潜伏していたのか」

早川「総員、戦闘配置!電は単艦で行動を取る。その他の艦は出来うる限り砲撃で応戦せよ!」

電の後ろについていた艦はアトランタ級に攻撃を仕掛けながらその場を離れる。一方、電は速度を42ノットまで上げ、ヴィルベルヴィントに急速接近する。

そして、電の前方にヴィルベルヴィントの巨大な船体が現れた。主砲を旋回させ、電にピタリと狙いを定める。

電「はわわわ、物凄く大きいのです!」

早川「ああ、こいつの大きさには驚かされる。ムスペルヘイムはこれ以上だがな」

電「で、でも、逃げないのです!」

副長「そう、その意気!」

早川「さあ、奴を沈めるぞ!総員、対超兵器戦用意!」

ヴィルベルヴィントは12.7mm両用砲を電に向けて発射した。しかし、速度ゆえに狙いを定められず、砲弾は電の後方200m地点に落下した。

艦長「両用砲の命中率は悪いらしいですが、さすがに速いとこちらの狙いも付けられませんね」

早川「両方とも同じ条件というわけだ。なら、こっちは突っ込んで更に狙いをつけにくくするまでだ。電、出来る限り奴に近づけ」

電「電、行きます!」ガラガラガラ

電は舵輪を回し、横を通過したヴィルベルヴィントの追跡を開始する。しかし、著しい速度差のため追いつけない。

副長「あのー」

艦長「何だ?」

副長「あんなに猛烈な速度を出してるのって、やっぱり機関が強いからですよね?」

艦長「そうだろうな」

副長「なら、魚雷で機関かスクリューを破壊してしまえば、ただの浮き放題になるんじゃないでしょーか?」

早川「それだ!妖精さん、魚雷をスクリューに当てることはできるか?」

妖精さんA「できますよ~!」

早川「よし、魚雷を連続で艦尾に当てろ!奴はまたこっちに来るはずだ、待ち伏せして奴に魚雷を当てる!」

ヴィルベルヴィントは35.6cm砲を撃ちながら旋回した。砲弾は大きさの小さい電には当たらず、水柱を立てただけだった。

早川「来たぞ、魚雷発射!」

電「魚雷装填です!」ガシャン

電の放った魚雷がヴィルベルヴィントの未来位置に向かって突撃する。ヴィルベルヴィントはそれを感知して速度を落としたものの、既に遅く被雷した。

電「命中したのです!」

艦長「よし、奴の動きを鈍らせた!」

早川「戦艦、一斉射撃!」

金剛と長門が主砲を発射し、砲弾がヴィルベルヴィントの煙突に直撃した。煙突は爆発し、跡形もなく吹き飛んだ。

副長「敵艦、煙突大破!」

早川「これで相手は動けない。電、未だ!」

電「命中させちゃいます!」ガシャン

電が放った酸素魚雷がヴィルベルヴィントに吸い込まれ、大爆発を起こす。しかし、まだ敵は死んでいないと言いたげに主砲を向ける。

電「はわわ!」ドカーン

ヴィルベルヴィントが放った主砲弾のうち、二発が電に命中した。第二煙突と艦首が破壊され、自力では動けなくなった。

電「はわわ・・・恥ずかしいよぉ・・・」

早川「怯むな、魚雷、次弾発射!」

電「は、はい!」ガシャン

艦長「応急修理急げ!」

電が魚雷を発射させた直後、艦長がダメージコントロールの指示を出す。妖精さんはすぐさま第二煙突と艦首の修理に当たった。魚雷は被雷した部分に当たり、ヴィルベルヴィントの傾斜を一層進行させる。そのせいでヴィルベルヴィントは既に主砲を発射できない状態になっていた。

電「うう、何とか轟沈は免れたのです」

早川「とんでもない速度を持っているとはいえ、あれは戦艦だからな・・・」

艦長「応急修理、もう少しで完了します」

早川「了解した。やはり、敵に密着した状態で修理を行うのは正解だったようだな」

副長「ふー、ひと安心ですね」

しかし、突然の揺れが電を襲った。そして立ち上る水柱。

電「はう!?魚雷なのです!」

早川「何っ!?」

副長「長門より通信!上空に巨大航空機が出現したとの情報が!」

早川「新型超兵器・・・!?」

電「ま、また超兵器なのですか・・・?」

早川「航空超兵器・・・」

電「航空機は苦手なのです・・・」

副長「司令部から通信!敵航空機を、超巨大爆撃機『アルケオプテリクス』と確認したとのことです!」

早川「超兵器に囲まれたか・・・!」

艦長「応急修理、完了しました!」

早川「よし、まずはヴィルベルヴィントを沈めろ!」

艦長「魚雷発射用意!」

電「なのです!」ガシャン

電の魚雷は、ヴィルベルヴィントの致命傷となった。主砲を発射できず、航行もできない艦は単なる的だ。しかし、ヴィルベルヴィントの影に隠れているであろう航空超兵器は、空を飛んでいるため魚雷攻撃は効かない。

艦長「ヴィルベルヴィント撃沈!」

電「でも、航空超兵器がいるのです・・・」

早川「だが、超兵器を一隻撃破したということだけでも大きい。次は、あいつを叩かないといけないが・・・」

海中に没するヴィルベルヴィントの上空を、巨大な影が通り過ぎた。それは大きく広げた翼を翻し、旋回しては砲を叩きこんでくる。

副長「赤城及び青鶴から烈風が発艦しました!」

早川「こうなれば、アレを使うしか手は無い・・・」

艦長「アレ、とは・・・?」

早川「まだ試験段階の兵器だが、三発だけ電に搭載してある。誘導噴進砲、つまりミサイルだ」

~~~作戦開始直前~~~

早川「電、少し付き合ってくれないか?」

電「は、はい」

早川「今回の作戦は、色々と危険な任務だ。そこで、役に立つかどうかわからんが、新型兵器を搭載しておこうと思う」

電「新型兵器ですか?」

早川「誘導噴進砲という兵器だ。知っているか?」

電「噴進砲ならわかるのですが・・・」

早川「そうか。これは君たちが知っているロケットに誘導機能をつけたものだ。撃てば百発百中の兵器だ」

電「す、すごいのです!」

早川「ヴィルベルヴィントの速力より速いから、使い物にはなるだろう。もし、魚雷を全て撃ち尽くしたら、こいつを使う」

電「わ、わかったのです」


早川「というわけだ。あれは航空機だが、機体重量のせいであまり速度が出ていない。対艦ミサイルでも十分に通用するはずだ」

電「ミサイル装填です!」

電の第一煙突の後ろに設置された魚雷発射管は、先の戦闘では全く使われていなかった。それには、ミサイルが装備されていたからだ。

その魚雷発射管から、ミサイルが発射された。旋回するアルケオプテリクスに向かって、一発目が煙を上げて飛翔する。

副長「ミサイル、アルケオプテリクスに命中!」

早川「被害はどうだ!?」

副長「敵機、左翼大破!バランスを崩すも速度変わらず!」

早川「次弾発射用意!」

艦長「無理です。アルケオプテリクス、現場海域を離脱しました」

早川「・・・ッ!」ギリギリ


早川「ヴィルベルヴィントは撃沈できたが、アルケオプテリクスは撃墜できず、か・・・」

電「で、でも、頑張った、のです・・・」

早川「そうだな。ミサイルが有効だとわかった以上、奴にこれ以上の好き勝手はさせないさ」

電「次は必ず、なのです」

早川「その意気だ。次こそ奴を撃墜せねば、次はどこの艦隊が狙われるかわかったものじゃない」

早川(しかし、駆逐艦でできることには限りがある。駆逐艦が得意とする対潜攻撃も、超兵器レベルとなれば話が変わってくるからな・・・)

早川(大和の建造を急がねばならんか)

司令「ヴィルベルヴィント撃沈おめでとう。お陰で各地の解放軍の士気が爆発的に上がったよ!」

早川「は、有難うございます」

司令「そんな君たちに早速で悪いけど、ヨーロッパに行ってもらうことになったんだ」

早川「ヨーロッパ、ですか?」

司令「うん。アルケオプテリクスの母港、もとい母飛行場はインドにあるから、そこを叩きながら通ってほしいんだ」

電「フィリピンにあった超兵器の資料の情報ですか?」

司令「よくわかったね。そうだよ」

副長「あ、そーだ。超兵器の情報って他にもありましたか?」

司令「あったよ。建造中の巨大潜水艦「アームドウイング」、試験航行中の空母「アルウス」があったね。母港候補地はどれもヨーロッパだから、行ってもらいたいんだよ」

艦長「既に超兵器がそんなにも・・・」

早川「早急に手を打たねばならんな」

電「戦争が世界規模で広がっていくのです・・・」

司令「電ちゃんは戦争が嫌いだって聞いたよ。本当にごめんね。でも、僕たちは勝たないといけないんだ」

電「それはわかるのです。だから、頑張って司令官さんたちを助けるのです」

司令「ありがとうね。君の活躍がこれからの未来を左右するんだから・・・」

それから間を置かずして、電は鹵獲空母の青鶴や長門、深雪と共にイギリスまで回航されることとなった。目的は、敵超兵器の全排除。

しかし、決定の数時間後に帝国から、ある発表がなされた。主要都市爆撃作戦「シャルティーア」。解放軍が占領する都市に対し、超兵器爆撃をするという内容だった。

最初の都市は大阪、続いて香港、ハノイと、日本からインド洋沿岸を通り、最終的にイスタンブールまでを攻撃する大規模作戦だった。

これに対し、極東地域を担当する司令官が出した答えは、大阪でのアルケオプテリクス撃墜。その機会を逃せば、電が香港に着く頃には、既にそこは火の海と化しているだろう。その他の地域も然りだ。

早川「そういうわけだ。今回の作戦は、いかにして敵を素早く落とすかにかかっている」

電「自信が無いのです・・・」

副長「でも、ミサイルが有効って証明されたから大丈夫ですよねっ!」

艦長「いや、そうでもない。ミサイルはまだ試作段階で、電にまだ搭載されている二発で全部だ。撃ち尽くせば、艦砲で対抗するしかなくなる」

副長「そんな・・・」

電「うう、あんなに大きな航空機なんて落とせないのです・・・大和さんでさえ、空母艦載機の餌食になったのに・・・」

早川「なに、電の世界には大和があるのか?」

電「そうなのです。アイスやラムネをくれる優しいお姉さんなのです」

早川(アイス、ラムネ・・・そうか、大和には大型のラムネ製造機や冷蔵庫が搭載されていたな)

早川「いや、それより、大和が艦載機に負けたと?」

電「前世でアメリカ軍の航空機に沈められたのです・・・」

早川「前世?」

電「そうなのです。艦娘はみんな大日本帝国の艦船だったのです」

艦長「確かに、今までの話を聞く限り、艦娘はみな日本の艦だ」

電「だから、前世で沈められたりした人は、その艦艇を怖がったりするのです。私も、潜水艦は嫌いなのです・・・」

副長「そーいえば、司令の超兵器情報に潜水艦がありましたね」

早川「アームドウィングか・・・潜水艦らしくない名前だが、まさか空を飛ぶ潜水艦なんて言わないよな?」

電「はわわ・・・空を飛ぶ潜水艦なんて想像もしたくないのです」

艦長「しかし、大和が艦載機に沈められるとは、よほど敵の艦載機は強かったらしいな。ジェット機か?」

電「じぇっと・・・って何ですか?」

艦長「ジェット機ではないということは、レシプロ機か。司令代行、どうお考えですか」

早川「大和の装備は航空機の襲来を考慮していない。何せ、味方空母の援護の下で艦隊決戦を行うことを想定していたからな」

電「そ、それじゃあ・・・」

早川「大和を超兵器戦に投入するなら、空母による援護が必要だ。しかし、我が軍に空母はあまり余っていない。そこで、スキズブラズニルで空母の建造を行う」

艦長「そんなことができるのですか?」

早川「ああ、HLGという艦船設計システムを使って、艦船を建造できる。基本的に、ストックされている船体と武装などの部品を組み合わせるだけだ」

艦長「それでは、大和も早く建造できたのではないですか?」

早川「いや、大和型は船体を一から作らなけばならない上、その他にも課題が残っていた。なので、呉の港で建造するしかなかった」

電「それじゃあ、私の改造が早く済んだのは、HLGのお陰なのですか?」

早川「そうだ。察しがいいな。既に新型機関や艦載機の生産は終わっている。後は組み立てるだけだ。ついて来い」

早川は三人をスキズブラズニルの換装室に連れてきた。小ぢんまりとした会議室のような場所だが、ドアとは反対側の窓からは巨大なドックが一望できる。ドックには正規空母の船体が既に据えられている。

早川「まずは、これを見てくれ」

部屋の中央には、大きなコンピューターとモニターが設置されていた。これを使って艦の設計をするらしい。

電「自由に艦船を建造できるなんて、夢みたいなのです」

艦長「君たちの世界ではどのように艦を建造しているんだ?」

電「燃料やボーキサイトの量を指定して、ドックに入れるのです。そうすれば、妖精さんが勝手に艦を建造してくれるのです」

艦長「艦の種類は決められないのか?」

電「戦艦レシピを使っても那珂ちゃんが出てきたり、空母レシピを使っても那珂ちゃんが出てきたりするのです」

艦長「完全にランダムなのか。那珂・・・」

早川「エッホン」

艦長「・・・すみません」

早川「まず、砲の配置からだ。今回は敵艦との交戦も考慮し、15.5cm砲を搭載する。艦橋前に二基、そして後ろにも二基だ」

早川はマウスを動かして艦の設計図に武装をつけていく。艦橋はまだ装備されておらず、見た目のバランスが悪い。

早川「次に艦橋を装備し、機関を埋め込む。そうすれば、空母の完成だ」

副長「うわぁ、すごーい!」

艦長「科学の勝利だな」

電「一瞬でできちゃうなんて、すごいのです」

早川「これだけではない。今回新たに開発した新型機銃「20mmCIWS」を4基装備させ、補助兵装として自動迎撃装置も組み入れる」

電「CIWSって何ですか?」

早川「電探と連動する新式機銃だ。理論的にはミサイルも迎撃できる」

電「それは凄いのです!」

早川「そうだろう。・・・っと、もう換装が終わったみたいだな。見に行こう」

大型空母が換装室のドックから引き出された。大鳳並みの大きさを誇る空母は、タグボートにけん引されて整備ドックに格納された。

早川「さて、次は電の換装だ」

電「ちょっとドキドキしてきたのです」

電がタグボートにけん引され、換装室内に収容された。すると、ドックから水が抜かれていく。

早川「色々な装備を揃えてある。何を装備するか、自分で決めてみろ」

電「わ、わかったのです」

電はマウスに手を置き、電の設計図に新たな武装を加えていく。13mm機銃を取り払い、CIWSを装備し、魚雷を四連装に換装した。

艦長「かなり近代的になってきたな」

電「これで、いいのですか?」

早川「もう少し改造しよう。新型タービンを設置してみてくれ」

電は言われた通り、タービンを交換した。すると、一度は39ノットまで下がった速度が、47ノットにまで上昇した。

副長「47ノットも出るんですねー!すごーい!」

早川「急速前進も装備すれば、その1.5倍の速度が出る。この調子で各武装の開発も行うから、期待してくれ」

艦長「これは凄いシステムです。戦艦用タービンも開発できれば、大和を高速戦艦にすることも可能ですね」

電「この世界の技術は本当に凄いのです!」

アルフォンシーノ方面、第1艦隊旗艦「大和」艦内

大和「提督、例の海域に到着しました」

提督「了解。全艦、機関停止。指示があるまで待機して」

大和「はい。・・・しかし、電ちゃんがこんなところで消えたなんて・・・」

提督「最初聞いた時は轟沈したのかと思ったわ。けど、そうじゃないって聞いて、少し安心してるの」

大和「でも、消えちゃった、んですよ」

提督「消えてない。電は、この海のどこかにいるはずよ。だから、消えただなんて言わないで」

大和「・・・はい」

提督「気持ちはわかるわ。電のこと、すっごく可愛がってたもんね。電も、お母さんができたみたいに喜んでたし」

提督「電が見つかったら、みんなで温泉に行きましょ。お勘定は大本営につけてるから!」

大和「ずいぶんちゃっかりしてますね、提督」

提督「ふふ、それほどでも・・・」

暁『提督!輪形陣展開できたわ!』

響『こちら響、配置についたよ』

雷『こっちもできたわ、提督!』

赤城『赤城、配置完了です!』

愛宕『愛宕も準備できましたー!』

提督「よし、全艦配置についたわね。この先に何が待っていようと、絶対に電を取り戻してみせるわ」

アルフォンシーノ方面、第1艦隊旗艦「大和」艦内

大和「提督、例の海域に到着しました」

提督「了解。全艦、機関停止。指示があるまで待機して」

大和「はい。・・・しかし、電ちゃんがこんなところで消えたなんて・・・」

提督「最初聞いた時は轟沈したのかと思ったわ。けど、そうじゃないって聞いて、少し安心してるの」

大和「でも、消えちゃった、んですよ」

提督「消えてない。電は、この海のどこかにいるはずよ。だから、消えただなんて言わないで」

大和「・・・はい」

提督「気持ちはわかるわ。電のこと、すっごく可愛がってたもんね。電も、お母さんができたみたいに喜んでたし」

提督「電が見つかったら、みんなで温泉に行きましょ。お勘定は大本営につけてるから!」

大和「ずいぶんちゃっかりしてますね、提督」

提督「ふふ、それほどでも・・・」

72ミス
無視してね

提督「暁たちの話によれば、この辺りで電が消えたらしいけど・・・」

大和「今は凪いでいますね」

提督「そうね。それが逆に怖いけど」

提督(聞けば、電は青い光に飲み込まれたみたいね。けど、なぜ青い光が発動したのか、原因は全く不明。トリガーが何なのか全然分からない)

提督(どうすればいいの?あの光にもう一度出会うには・・・)

雷『きゃあぁっ!?』

提督「どうしたの!?」

雷『あの、青い光!電が吸い込まれたのと一緒!』

提督「どこに出たの!?」

大和「電探に異常発生!十二時方向にある青い光がノイズの原因です!」

大和の言う通り、雷のすぐ目の前に青い光が出現している。青い光は徐々に光を強めながら、雷を引き込もうとしている。

提督「あれね・・・全艦、戦闘態勢を維持しつつ光に向かって前進!」

大和「ですが・・・」

提督「あの奥に電がいるのよ!放っておけっていうの!?」

大和はそれ以上何も言わず、引き込まれた雷に続いて光に向かって進んでいく。それに残る艦艇も続く。

提督「きゃあああぁぁぁぁっ!?」

大和「・・・っ!!」


ビーッ!ビーッ!

提督「・・・ん、ここは・・・?」

大和「提督!前方をご覧ください!」

提督はわけもわからず、艦橋の窓を覗いた。すると、眼前には鉄の壁がそそり立っていた。それは大和の艦橋すら凌ぐ高さを持っており、大和の進路を阻害する形で存在していた。

提督「どこかの波止場?」

大和「いえ、違います。あれはどうも、戦闘艦艇のようです」

提督「戦闘艦艇!?あんなに巨大なものが・・・」

大和「それでは、あれは何かわかりますか?」

大和が指差したのは、壁の一部分だった。壁の奥に低い塔のような構造物が立ち、その前方には砲塔、更に構造物周囲には機銃が装備されている。

提督「あれは・・・艦橋?」

愛宕『きゃあっ!』

提督「愛宕!どうしたの!?」

愛宕『目の前の壁から撃たれましたー!』

提督「敵、ってことね・・・総員、対水上戦闘用意!あの巨大艦を叩き潰すのよ!」

大和はスピードを上げ、敵艦の横を通って艦の後方に回り込む進路を取った。その途中、自慢の46cm砲を敵艦に向ける。

提督「全艦、砲戦及び雷戦用意!撃てー!」

大和「斉射、始め!」ゴォォ

大和の主砲発射を合図に、他の艦も魚雷や主砲を撃ち始めた。敵艦の舷側はあっという間に炎に包まれた。しかし、艦が傾く様子は全く見せない。燃えているのも一部だけだ。

提督「火災を起こせたのはいいけど、かなり強固な艦ね・・・うん、あれは?」

目を凝らすと、敵艦に開いた穴から何かが見える。比較的大きな部品で、翼が存在する。どう見ても航空機だった。

提督「航空機・・・!じゃ、あれは空母なの!?」

愛宕『でも、戦艦クラスの砲を撃ってきましたわ!』

提督「常識の通用しない艦ね!第六駆逐隊、ついて来てる!?」

三人『大丈夫!』

提督「よし、後方に回り込んだら一斉射撃!敵の舵を潰して、一気にたたみかけるわ!」

提督「ぁあっ!?」ガァァン

大和「甲板に被弾!被害甚大!」

提督「何て威力なの・・・主砲、まだ撃てる!?」

大和「まだ撃てます!」

提督「よし、一斉射撃!撃て!」

大和「射撃開始!」ゴォォ

暁『攻撃するからね!』ガシャン

大和の主砲と暁の魚雷が敵艦の舷側に直撃する。主砲弾が起こした爆発は内部を貫き、反対側で爆発した。そこで、敵艦の上部甲板がひしゃげ、内部の艦載機格納庫を押しつぶした。

提督「あれは・・・やっぱり航空戦艦だったのね」

提督が見たのは、甲板の奥に見える兵装甲板だった。そこには主砲や光を帯びた奇妙な構造物が存在している。

更に驚かせたのは、敵艦が航空甲板を切り離したことだった。敵は中央部の戦艦を挟みこむように空母を横に連結していたのだ。

提督「三胴艦って言うべきシロモノ、なのかしら・・・」

艦隊は敵艦の横を通り、背後に回り込んだ。すると、戦艦の全景が見えてきた。やはり、中央の戦艦が本体で、空母は切り離しができる仕様になっているらしい。

雷『うっそ・・・何あれっ!』

響『あんな艦、ありえない・・・』

赤城『山のようにボーキサイトを食べそうですね』

提督「やめて・・・もうボーイサイトは食べないで・・・ってそうじゃないわよ。あの要塞みたいな艦、一体どうやって作ったのよ・・・」

大和「次弾、来ます!」

大和が叫んだ時には、敵艦の砲弾が大和の眼前に落下していた。巨大な水柱を上げ、大和を水浸しにする。

提督「くっ・・・どうすればいいの!?」

提督が唇を噛んで考えを巡らせていると、敵艦が傷ついた飛行甲板を切り離した。若干塗装が剥がれている本体の舷側が露わになる。

暁『魚雷発射!やあっ!!』ガシャン

響『ウラーッ!』ガシャン

雷『てーっ!』ガシャン

第六駆逐隊が一斉に魚雷を発射する。敵艦はその巨大さゆえ、27発の魚雷全てを受けた。舷側は巨大な爆発を幾つも起こし、水柱を派手に打ち上げた。しかし、敵艦の主砲は未だに大和を向いている。

提督「あれだけの魚雷を受けて、まだ沈まないなんて・・・本当に、あれって艦なの!?」

大和「でも、沈まない船なんてありません!この大和の主砲で、片をつけます!」

大和の主砲が再び火を噴き、巨大戦艦の艦橋を襲った。しかし、所々が焦げただけで、大したダメージは無いように見える。

提督「艦橋も相当ね・・・でも、何かおかしいような気がするけど、このまま敵が反撃できないまま沈められれば・・・」

ビーッ!ビーッ!対空警戒!対空警戒!

提督「航空支援!?赤城、対処して!」

赤城『だ、ダメです!艦載機が多すぎて・・・!』

提督「一体どこから、あんなに大量の・・・あ、ああ!!」

そこで、提督はやっと気づいた。敵艦は航空戦艦、艦載機を搭載しているのは確実だ。それも、大和の数倍もの大きさがある空母を二隻繋げた艦となれば、艦載機の数は空軍の飛行場と同等か、それ以上を誇るはずだ。

提督「くッ、赤城の戦闘機隊だけじゃ、あれだけの数を抑えられない・・・」

大和「ここは母艦を優先して沈めましょう!」

提督「そ、そうね!第六駆逐隊、魚雷はまだある!?」

暁『こっちはもうないっ!』

響『魚雷、残り9発あるよ』

雷『こっちも9発あるわよ!提督、撃っていい!?』

提督「全部撃って!」

雷『てーっ!』ガシャン

響『怪物戦艦だって仕留めてみせる』ガシャン

雷と響、そして艦首側に回っていた愛宕が一斉に魚雷攻撃を仕掛ける。敵艦は巨大な主砲を駆逐艦に合わせようとするも、距離が近すぎるので発射できない。

提督「よし、魚雷を撃ち終わった艦は全て対空戦闘を開始、敵艦載機の撃滅に当たって!大和と愛宕は引き続き巨大戦艦攻撃に集中する!」

大和「了解!九十一式徹甲弾、全砲門に装填!」

提督「今までに艦載機の攻撃は機銃弾以外当たってない・・・練度が低いのかしら。いや、もしかしたら、急にあたしたちが現れたから、戸惑ってるのかも・・・」

大和「確かに、私たちは向こうからしてみたら『急に現れた正体不明の敵』ですからね。けど、すぐに攻撃を仕掛けてくるなんておかしいです」

提督「そう、よね・・・いや、それより戦闘!」

大和「主砲、発射準備できました!」

提督「これで最後よ!撃て!」

大和「この一撃で撃沈します!撃てーっ!!」ゴォォォ

大和の主砲弾がヒビの入った敵艦に直撃した。数十センチもある分厚い装甲が弾け、船体が内部から爆発を起こしていく。戦艦部分は小規模な爆発を発生させながら沈み、無傷の空母部分も引きずられて海に消えた。

提督「やった・・・やったー!敵艦撃沈!」

雷『見て、艦載機隊が向こうの陸に逃げていくわよ!』

提督「各艦、ダメージコントロール。報告終了後は早めに現場海域から離脱するわよ!」

早川「もう一度言え、何があった?」

オペレーター『はい。アイスランド付近で活動中のムスペルヘイムが、何者かによって撃沈された、とのことです』

早川「まさか、解放軍の北海駐留艦隊か?」

オペレーター『いえ、現在はスカパフロー海軍基地にて補給を受けている最中です』

早川「では、一体誰が?」

オペレーター『現在、調査中です』

早川「そうか・・・わかった。我々もアルケオプテリクス撃墜後、スエズ運河に向かう。ウィルキア艦隊とは運河で落ち合うよう調整してくれ」

オペレーター『了解。シュルツ少佐には連絡しておきます』

電「誰からの通信なのですか?」

早川「解放軍総司令部からだ。そこで、君たちに朗報がある。大西洋にいたムスペルヘイムが撃沈されたようだ」

副長「艦娘がいなくても、超兵器を撃沈できたんですねっ!」

早川「そうなるな」

副長「やったーっ!これで、私たちも戦争に勝てますね!」

艦長「将来に展望が見えてきたな」

早川「・・・」

駆逐艦『電』は、紀伊水道に達していた。これから大阪湾でアルケオプテリクスを待ち伏せするところで、艦内は主に妖精さんたちの喧騒に包まれていた。

早川「では、これより、超巨大爆撃機『アルケオプテリクス』撃墜作戦を発動する。総員、戦闘配置につけ!」

全員「了解!」

電「も、もうすぐなのです・・・」ドキドキ

副長「電ちゃん、頑張ろうね!」

電「頑張るのです!」

早川「その意気だ。今回は戦力こそ少ないが、こっちにはミサイルがある」

電の頭をそっと撫でてやる早川。その手が少し震えていることを、電はしっかり感じ取っていた。

電(やっぱり、司令も緊張しているのです。超兵器は強いけど、頑張る!)

妖精さんA「司令官!アルケオプテリクスがみえました!」

早川「来たな・・・赤城、戦闘機隊発進!電、ミサイル発射用意!」

電「ミサイル装填です!」ガシャン

電(解放軍の皆さんも頑張っているのです。私も、みんなの役に立つのです!)

艦長「ミサイル発射!」

電「なのです!」シュウゥゥ

電のミサイルが、大阪市街に向かうアルケオプテリクスに飛んでいく。常軌を逸した巨体では回避できるはずもなく、アルケオプテリクスの右機首が爆発を起こした。

副長「ミサイル命中ですっ!」

艦長「よし、この調子だ!撃ちつくせ!」

電「命中させちゃいます!」シュウゥゥ

次のミサイルがアルケオプテリクスを直撃する。しかし、それは機底部に当たったが、ダメージを食らっている様子は無い。深雪と青鶴が砲撃を加えるが、空を舞う始祖鳥は涼しい顔をして電の上空を通過する。

副長「爆弾が降ってきます!」

アルケオプテリクスの底部から、特大の爆弾が次々と落とされる。そのうちの一発が電の艦橋に落下し、船体を激震させる。

電「はわわっ!?」

艦長「ダメージコントロール!」

副長「電探故障!跡形もなく吹っ飛んでますっ!」

早川「くっ!ミサイルの誘導ができない・・・!」

電の電探が故障したのは大きな痛手だった。人間は目視で始祖鳥を追えるが、ミサイルは電探から受け取ったデータを基にして敵を捉える。この時点で、ミサイルはただの対空ロケットに成り下がった。

早川「くそッ!」

艦長「仕方ない・・・ミサイルはアルケオが目の前に来た時に限って使え!」

副長「艦長!青鶴の烈風部隊が壊滅した模様です!」

早川「烈風がやられた・・・?バカな!あれは我が軍最新鋭の戦闘機だぞ!!」

艦長「わずか五分で烈風が敗れるとは・・・」

電「き、来たのです!」

アルケオプテリクスは不気味なエンジン音を轟かせ、ロケットを撃ちながら電に向かっていく。CIWSが幾つかロケットを落とすが、数が多すぎていくつかは被弾する。その度に電の船体が火を噴き、鋼鉄の悲鳴を上げる。

電「ひゃあっ!」バタッ

艦長「大丈夫か、電!?」

電「うう・・・強すぎるのです・・・」

電の呻き声をかき消すように獰猛な始祖鳥は真上を通過し、再び爆弾の雨を降らせる。一発が魚雷発射管に被弾し、大爆発を起こす。

電「ああうっ!!」

副長「艦のダメージ、60%を超えました!電ちゃん!!」

早川「これまでか・・・!」

副長「深雪、機関損傷した模様!航行不能!更に青鶴の甲板に被弾!艦載機発着不可能!」

早川「さすがに、この小規模艦隊だけでアルケオプテリクスを相手取るのは不可能だったか・・・」

早川は頭を抱え、煙が燻ぶる艦橋に座り込んだ。しかし、彼の肩に手が載せられた。とても華奢な手は、震えながらも力を持っている。

電「司令、電は諦めないのです・・・提督の下に着任してから色々あったけど、ピンチになれば誰かが助けてくれたのです。大和さん、赤城さん、暁ちゃん、響ちゃん、雷ちゃん、そして提督さん・・・」

電「みんな、優しくて強くて・・・でも、私は迷惑ばかりかけていたのです。だから、変わりたいのです。強い私に、誰かを守って助ける私に!」

ボロボロの衣服をまとう電は、諦めかけている早川に、そして自分に語りかけるように言った。すると、電の身体から光が放たれた。

早川「お、お前・・・」

電「はりゃああああぁぁっ!!」

ヒビが入った電の前部主砲が、アルケオプテリクスに放たれた。真っ白な光に包まれた砲弾は、未だ力を衰えさせない始祖鳥に直撃し、大爆発を起こした!

副長「アルケオプテリクス、左翼被弾・・・バランスを失っていますが、まだ戦うみたいです」

電「うっ・・・」

早川「もういい、休んでろ!」

電「で、でも・・・」

早川「馬鹿野郎ッ!」

早川「命があって、初めて人は何かができる。だが、今は何もできない。命の炎をどれだけ輝かせたところで、今消えたらダメだ!お前はまだ先が長いんだ、死に急ぐようなことはするな」

電「で、でも・・・っ」

早川「・・・あれを見ろ」

フラフラの電の肩を抱きかかえ、早川は艦橋の窓を覗かせた。瀬戸内海の水平線から、一隻の船が現れつつあった。

早川「とうとう来たな、大和」

船は勝ち誇った様子のアルケオプテリクスに砲門を向け、巨大な砲弾を放った。遠く離れているはずなのに、電の艦橋まで爆発音が聞こえたほどだ。

砲弾が電にトドメを刺そうとするアルケオプテリクスに直撃した。それはミサイルより遥かに巨大な爆発を起こし、赤い始祖鳥の機体を大きく傾かせた。

早川「大和が誇る46cm砲だ。あれさえあれば、アルケオプテリクスといえどもタダじゃ済まない」

大和と呼ばれた艦は、次第に艦影を大きくしながら接近しつつ、主砲を放つ。今度は尾翼に砲弾が直撃し、そこは跡形もなく吹き飛んだ。

艦長「す、凄い・・・」

大量の煙を上げるアルケオプテリクスに、駄目押しの一発が加えられた。電が放った光の主砲を受けて傷ついた底部が、ごっそりと抉り取られる。すると、アルケオプテリクスの機体を巻き込む大爆発が発生した。

元々、航空超兵器としてこの世に存在していた鉄塊が、その肉体を四散させて大阪湾に没する。

副長「ノイズ、消滅しました・・・」

艦長「か、勝った・・・」

電「勝った、のです・・・」バタッ

早川「電っ!」

眼を瞑って倒れる電を、早川は抱きとめた。まだ息をしていることから、気絶しているだけと知れた。

早川「よく頑張ったな、電・・・」

早川はそっと電の髪を撫でてやる。すぅ、すぅ、と寝息がかすかに聞こえる。


艦長「これが、大和ですか・・・」

ドック艦スキズブラズニルに停泊する巨大戦艦を目の当たりにした艦長は、大和の巨大な船体を見て驚きの一声を発した。

副長「おおきいですねぇ・・・」

早川「世界最大の主砲、46cm砲を備えた、対超兵器用決戦兵器だ」

艦長「これさえあれば、あの超兵器群にも対抗できますね」

早川「いや、それは無理だ」

艦長「えっ・・・」

早川「こいつは航空機や潜水艦に弱い。アルケオプテリクスのような巨大で鈍重な航空機なら話は別だが、元々機動性が売りの航空機に戦艦をぶつけるなど、自殺行為に等しい」

艦長「では・・・」

早川「水上超兵器か対地攻撃にしか使えない。後はミサイルを搭載して能力を強化していくしかないだろうな」

艦長「もったいない、ですね」

??『駆逐艦『電』及ビ日本艦隊・・・』

??『恐ルベキ敵ダ』

??『早急ニ『アレ』ヲ出撃サセヨ』

???「しかし、『あれ』はまだ艤装中です」

??『我ノ命令ガ聞ケヌトイウノカ?』

???「りょ、了解しました」

??『必ズ潰セ。塵モ残スナ』

???「は、必ずや!」


???「超巨大円盤攻撃機『ヴリルオーディン』、直ちに出撃せよ!目標は日本艦隊及び、艦隊旗艦『電』!」

???(何てこと、今はヴァイセンベルガー将軍のウィルキア国防艦隊が面倒なのに・・・)

???(でも、ゴーダのヴィルベルヴィントを沈めた駆逐艦も気になるわね)

ドック艦スキズブラズニルは艦を修理しつつ南下し、マラッカ海峡を抜けつつあった。ここまでは敵に出会うこともなく、順調に航海は進んでいる。

早川司令代行は定時連絡を終え、電たちを集めて話をしていた。

早川「今日は敵に関する情報が少し入った。ウィルシアの東方艦隊司令のことだ」

艦長「だ、誰かわかったのですか?」

早川「ああ。その名はロゼ、かなりの切れ者らしい」

副長「ロゼ・・・確か、ヴァイセンベルガー将軍と一度戦ったことがある人ですよね」

早川「そうだ」

電「ヴァイセンベルガー将軍って誰ですか?」

早川「これから合流する艦隊の司令を務める男だ。本名はフリードリヒ・ヴァイセンベルガー、漆露戦争で頭角を現した天才で、ウィルシア最強の航空戦隊『告死天使』の司令を務めるロゼ・S・リルガーのライバルだ」

電「とにかく、凄い人なのですか?」

早川「そうなる。現在はヨーロッパ戦線で前線に出て戦っていると聞く」

艦長「話、それてますよ」

早川「そ、そうか・・・」

早川「ロゼ・S・リルガーは数多くの空母機動艦隊を運用してきた、いわば空母のプロだ。現在はヴィルベルヴィントで戦死したゴーダ司令に代わり、東方艦隊司令を務めているらしい」

艦長「かなり厄介な相手です。獲物は必ず仕留める執念を持った狼ですよ」

早川「その通りだ。しかし、そのロゼが今は何も仕掛けてこない。超兵器を二隻も沈めた我々は確実にマークされているはずだが・・・」

電「でも、戦わないのは嬉しいことなのです」

早川「確かにそうだが、ゆくゆくは必ず戦う敵だ」

電「戦争には勝ちたいけど、やっぱり人を犠牲にするのは嫌なのです・・・」

早川「ロゼが聞いたら笑われるだろうな、その台詞は」

電「うぅ・・・」

副長「ちょっと司令代行、言いすぎじゃないですか?」

早川「そうか、悪かったな・・・だが、敵は強い。生半可な覚悟では勝てないぞ」

電「はい、なのです」ショボン

艦長「ロゼが敵となると、これからは電撃的に超兵器を投入してくるかもしれませんね」

早川「そうだな。数日前に戦線投入されたアームドウィングのことも気になる、ここは注意して航行せねばならんな」

電「うぅ、もうその名前は聞きたくないのです・・・」

早川「ああ、悪かったな。それより、ミサイル発射機が完成したぞ。まだ対艦攻撃にしか使えないが、もっと開発すれば対潜ミサイルや対空ミサイルも作れるようになるだろう」

電「早く対潜ミサイルがほしいのです!」キラキラ

早川「はは、焦るな。必ず搭載してやるから」

艦長「まるでプレゼントを貰った子供のようだな」

副長「うふふっ、電ちゃんってば可愛いんだから!」

ピピーッ、ピピーッ

副長「あれ、通信みたい」

艦長「出てみろ」

副長「はーい。えっと、『ヴァイセンベルガー将軍の命により、インド領ムンバイにて待つ。シュルツ少佐』とのことです」

艦長「シュルツか・・・久しぶりに聞く名だな」

シュルツ「予定通り、日本艦隊はマラッカ海峡を通過したようだな」

ブラウン「あの辺りは比較的警備が手薄な海域です。高速の超兵器が出現しない限り、航行に問題は無いものと思われます」

シュルツ「だといいが・・・」

筑波「心配しても仕方ないでしょう。ここは、彼らの強さを信じましょう」

ナギ「そういえば、転移艦『電』って女の子が艦長を務めていたみたいですね。楽しみだなぁー」

ブラウン「子供兵士でしょうか、気になります」

筑波「戦場に子供を送るなど、軍人の風上にも置けん」

ナギ「妖精の類かもしれませんよ?あの子以外は妖精が艦を動かしてるみたいですからね」

シュルツ「いずれにせよ、我々の常識が通用しない世界から来たことは確かだ。あまり変なことを口走って彼女に恥ずかしい思いはさせないようにな」

ナギ「はーい、かんちょ!」

シュルツ(巨大イカ事件以来、ナギの様子がおかしいな・・・)

ピピーッ、ピピ…ガガガガガガ!

ナギ「ちょ、超兵器ノイズ出現!インドから高速でやって来ます!」

シュルツ「総員戦闘配置につけ!」

ブラウン「大陸からということは・・・航空超兵器の可能性があります。対空警戒を厳としてください」

シュルツ「了解しました。対空戦闘配置!」

シュルツ少佐の座乗する戦艦『リジル』が41cm砲を大陸に向けた。僚艦の駆逐艦『バーヴル』『ダーイン』『フンディン』も攻撃態勢を整える。

ナギ「超兵器を肉眼で確認!迷彩柄の巨大UFOです!」

筑波「宇宙人でも乗っているのでしょうかね」

ブラウン「円盤兵器は性質上、航空機以上の機動性を発揮します。三式弾やミサイル兵器が有効でしょう」

シュルツ「しかし、こちらにはミサイルが無い・・・よし、主砲及び副砲、三式弾装填!日本艦隊が到着する前に、UFOを撃墜する!」

ナギ「UFO、本艦上空を通過!攻撃する気配なし!マレー半島方面に向かっています!」

ブラウン「通過した・・・?ま、まさか!」

筑波「狙いは日本艦隊、というわけですな」

シュルツ「我々は元より眼中になし、か。舐められたものだな」

ピピーッ、ピピーッ

副長「またシュルツ少佐です。『敵UFO型超兵器接近中、日本艦隊は注意されたし』とのことです!」

早川「くっ、対空戦闘用意!スキズブラズニルは後方に退避!」

電「ゆ、UFOって何ですか?」

早川「本来は未確認飛行物体のことだが、我々は敵の円盤兵器をそう呼んでいる。かなり機動性が高い航空機で、かなり苦戦させられたものだ」

副長「あのハウニヴー地獄ですね」

艦長「よせ・・・思い出したくもない」ガクガクブルブル

早川「しかし、今の我々にはミサイルがある。おまけに、超兵器となると巨大だ。大和の艦砲でも十分に対処できる」

電「よ、よかったのです・・・」

早川「ここでアレを使うことになるとは、思わなかったがな・・・」

電「アレ、ですか?」

早川「電磁防壁のことだ。試験的に搭載してよかった。対空戦闘用意!敵は接近中だ、気を抜くな!」

超巨大円盤攻撃機『ヴリルオーディン』。それが接近中の超兵器の名前だ。今まで実用化されてきた円盤兵器『ハウニヴー』を更に巨大化させた怪物機だが、存在自体を秘匿されて建造されていたものだ。

今回の作戦が初戦になるので、まだ戦果は挙げていない。故に、帝国もその実力はわからない。

主兵装は円盤の先端に装備された55口径51cm三連装砲と各種レーザー兵器で、高エネルギーのレーザーと巨大な砲弾で敵艦をことごとく焼き尽くす。

更に、重力制御装置を備え、内部の人間を強力な加速度から守る。航空機運用のプロと言われたロゼでさえ、ヴリルオーディンの能力には閉口させられた。

そのロゼは、オーストラリアのシドニーで竣工したばかりの超巨大高速空母『アルウス』に乗ってヴリルオーディンの動向を観察していた。

帝国兵士A「ヴリルオーディン、インド洋に出ます!」

ロゼ「了解。さて、その力を見せてもらうわ。ヴリルオーディン、そして復活した駆逐艦『電』。どっちが勝っても関係ないけど」

帝国兵士B「しかし、ヴリルオーディンは量産が決定した兵器、これで問題が発覚すれば・・・」

ロゼ「わかってないわね。そのための試験でしょ。それに、円盤兵器は気に食わないわ」

帝国兵士B「さ、左様ですか・・・」

ロゼ「ゴーダの仇を取るわけじゃないけど、派手に暴れてもらいましょ。これで戦果が上がれば運が良かった。撃墜されても予想通りで終わり。元々、あれはクルーガーが開発したヘンテコ兵器だし。ホント、何考えてるのか分からない男よ」

副長「ノイズ極大化!敵超兵器接近!」

早川「大和及び長門、主砲発射!戦闘機隊、直ちに発艦せよ!」

早川の指示の下、スキズブラズニルを出た艦隊は瞬時に分散して防衛網を構築する。青鶴と新型空母『翔鷹』から発艦した艦上戦闘機『烈風』が出撃し、空母の前方に大和と長門が陣取る。

艦長「ミサイル発射用意!てっ!」

電「ミサイル装填です!」シュウゥゥ

大和と長門が主砲を斉射し、電がミサイルを発射する。しかし、ヴリルオーディンは急に進路を右に逸らし、砲弾をかわした。だが、ミサイルは避け切れず、51cm砲に直撃した。

副長「ミサイル着弾!ダメージなし!」

早川「さすが円盤、硬いな」

電「ドラ焼きみたいな超兵器なのです」ぐぅぅ

艦長「どぎつい色のドラ焼きだな」

早川「冗談は後だ、敵超兵器は接近しているぞ!」

電「は、はいなのです!」

艦長「敵機よりミサイル攻撃!CIWS起動!」

電「迎撃しちゃいます!」ガガガガ

ヴリルオーディンは虫のような動きで砲撃を回避していく。ミサイルも数発外れ、残弾数は少ない。

電「ピンチなのです・・・」

早川「くそっ、全然当たらないとは!」

副長「右舷に被弾!ダメージ軽微!」

早川「いつまで持つかわからん・・・近くに味方艦隊はいないか!?」

副長「200km後方にオセアニア駐留艦隊がいます!旗艦は戦艦『常陸』です!」

艦長「天城の艦だ!ここは天城と合流し、戦力を増強して戦うべきです!」

早川「そうするしかるまい・・・全艦、180度反転!オセアニア駐留艦隊と合流する!シュルツ少佐と天城大佐に救難信号を送れ!」

副長「了解ですっ!」カチカチ

早川「電がしんがりを務める!空母を先頭にし、戦艦は後方に回って撤退を援護しろ!」

電「頑張るのです!ミサイル装填です!」シュウゥゥ

副長「天城大佐より入電!『我、救助ニ向カウ』とのことです!」

早川「よし、これでシュルツ少佐たちが来てくれれば、形勢は逆転できるが・・・」

電「ふああっ!?」ドン

副長「艦首にレーザー被弾!被害なし!」

電「レーザーって熱いのです・・・」

早川「光を収縮して放つからな。爆風ではなく、純粋に熱で攻撃する兵器だ」

電「ヤケドしちゃいそうなのです。当たったらマズいのです・・・」

電の不安げな声が艦橋内の空気を更に悪化させる。艦長は羅針盤に手をついたまま動かず、副長も額に汗を浮かべて艦の状況を見ている。妖精さんたちでさえ、普段の明るい笑顔は見られない。

しかし、早川だけは諦めた目をしていなかった。主砲弾を回避するヴリルオーディンを見据えたまま、動こうとしない。

早川「シュルツ、お前ならこの状況、どうやって切り抜ける・・・」

電「司令官さん」

早川「電か、持ち場を離れるな」

電「倒す方法がわかったかもしれないのです!」

早川「・・・!何だそれは」

電「光を撃ってくるなら、鏡を使って跳ね返せないですか?」

早川「鏡・・・そうか、その手があったか!」

早川「電磁防壁、最大出力!」

艦長「ダメです!これ以上出力を上げては、機関が・・・」

早川「一点集中だ!奴のレーザーを跳ね返す!」

艦長「跳ね返す・・・ですって?」

早川「電磁防壁は艦の周りに電磁波の壁を形成し、レーザーを乱反射させるものだ。これを利用すれば、撃たれたレーザーをそのまま跳ね返せる!」

艦長「それには複雑な計算が・・・」

早川「電磁防壁を搭載する際、コントロール用のコンピュータを入れた。これを使えば計算できる」

艦長「・・・わかりました。やってみます」

艦長は頷くと、電磁防壁を制御しているコンソールに手をかけた。素早い手の動きで次々とキーを打っていく。

電「なのです!」ズドーン

副長「敵艦に命中!武装の一部を破壊しました!」

艦長「よし、電磁防壁、準備完了!」

早川「敵のレーザーを跳ね返せ!」

ヴリルオーディンはリング状のレーザーを発射した。クルクルと回転するそれは、まっすぐ電に突っ込んでいく。

リングレーザーは確かに電に直撃した。しかし、煙突付近だけに集中展開された電磁防壁は、それを鏡のように跳ね返した。

跳ね返されたレーザーはヴリルオーディンに帰っていくと、主砲に直撃し大爆発を起こした。

副長「敵超兵器、主砲大破!動きが不安定になっています!」

艦長「よし、主砲発射!戦艦も続け!」

煙を上げるヴリルオーディンに対し、大和と長門が一斉砲撃を開始する。巨大な砲弾は下部についた半円状の飛行ユニットに直撃すると、機全体を巻き込む爆発を起こした。

副長「敵超兵器、墜落していきますっ!やりました!」

艦長「や、やった!」

電「頑張ったのです!」

ヴリルオーディンは小規模爆発を起こしながら海中に墜落すると、最後のあがきと言わんばかりに水柱を上げた。水しぶきが電にかかり、甲板を濡らしていく。

副長「やった!やった!やっぱり司令は天才ですっ!」

早川「電の助言がなければ、あの考えは浮かばなかった。礼なら電に言ってくれ」

副長「はい!電ちゃん、司令に力を貸してくれてありがとう!」

電「い、電は何もしていないのです・・・」テレテレ

シンガポール沖、戦艦『常陸』甲板

天城「ヴリルオーディンの撃沈、感謝する」

電「う゛りる・・・?」

早川「ヴリルオーディンだ。さっきの円盤超兵器のことだろう」

天城「オセアニアに潜伏していたエージェントからもたらされた超兵器の情報に、ヴリルオーディンという名前があった。円盤超兵器と書かれていることから、さっき貴官らが戦ったもののようだ」

副長「カッコいい名前・・・」ワクワク

天城「名称などどうでもいい。問題は、敵が使用したレーザー兵器だ。早川少将、どうやってあのレーザーを凌いだのですか?」

早川「電磁防壁の技術を応用して、レーザーを跳ね返してやっただけだ」

天城「さすが早川少将、貴方の柔軟な対処には毎回驚かされます」

早川「それは、彼女の助けがあったからこそだ」ポン

電「はわわ・・・」テレテレ

天城「彼女が、例の『艦娘』ですか」

早川「そうだ。色々あって、遣欧艦隊に所属している」

天城「私は解放軍オセアニア駐留艦隊司令官、天城仁志だ」ビシッ

電「横須賀鎮守府の第六駆逐隊所属、電です。よろしくお願いいたします」ペコリ

早川「天城、これからどうする?」

天城「私は新型超兵器航空母艦『アルウス』の警戒に当たらなくてはならない故、貴官らと行動を共にすることはできません。ですが、シュルツたちがサポートしてくれるでしょう。あの艦には筑波もいます」

早川「頼もしい限りだ。そちらも頑張ってくれ」

天城「は。しかし、途中までは警戒のためムンバイまで護衛を務めます」

早川「頼んだぞ」

天城「了解しました」ビシッ

早川「相変わらずの軍人気質だな」

電「提督と違って、すごく硬い人なのです・・・」ブルブル

早川「私の一つ下の後輩だ。関わるようになったのは、私が中佐に上がった時が最初だ。その時から彼はああだ」

電「色んな軍人さんがいらっしゃるんですね」

早川「そういえば、君の司令官はどういう人物だったんだ?」

電「とってもきれいな女の人なのです。でも、とっても優しい少将さんなのです」

早川「女性、か。優しいとなると、ロゼとは違った女なのだろうな」

電「ロゼさんのことはあまりわからないですけど、話を聞くと、ちょっと怖そうな人なのです」

早川「そこはどうだろうな。私もあまり彼女のことは知らん」

電「そう、ですか。・・・提督、会いたいです」

早川「電・・・」


副長「では、そろそろ出港しましょ。シュルツ少佐たちがお待ちですよっ」

早川「そうだな。では、出発!」

電「なのです!」

電を先頭に、艦隊はまた動きだした。目指すはインドのムンバイ、そしてヨーロッパだ。

数日後、遣欧艦隊は無事にインド沖に辿りついた。戦艦『リジル』を筆頭に、護衛の駆逐艦が数隻並んでいる。

電「あれが戦艦『リジル』ですか」ワクワク

艦長「元々、米国戦艦『アイオワ』を基に改造されたウィルキア艦艇の一隻で、胴体が太くなった代わりに46cm砲を搭載した高速戦艦だ」

電「金剛さんのお株が奪われた気がするのです・・・」

早川「元々は水雷戦隊だった隊の旗艦を戦艦に置き換えただけだから、僚艦は駆逐艦しかいない」

電「でも、扶桑さんがいますよ?」

早川「いや、駆逐艦しかいないが」

電「あれ、あの艦って扶桑さんじゃないのですか?」

電は一隻の大型駆逐艦を指差して言った。艦橋が高く、砲も大きい。

早川「あれはヴェルナー中尉の駆逐艦『フンディン』だ」

電「どう見ても不幸・・・じゃなかった、扶桑型戦艦なのです」

早川「・・・」

電「大人の事情、なのですか?」

早川「・・・・・・・・・・・・」

戦艦『リジル』甲板

シュルツ「ようこそ、早川少将」

早川「久しぶりだな」

シュルツ「ええ、お陰さまで。先の超兵器戦では参加できず申し訳ありませんでした」

早川「別にいい。それより、紹介しよう。彼女は電、別世界から転移してきた駆逐艦だ」

シュルツ「彼女がそうですか」

電「電です。よろしくお願いします」ペコリ

シュルツ「解放軍第零遊撃隊長、ライナルト・シュルツです。では、会議室にご案内するので、ついて来てください」


ブラウン「彼女が『艦娘』ですか」

シュルツ「ええ。話によると、大破して長時間立たない限り沈まないという特性を持つ、とか」

ブラウン「かなり気になる特性ですね。艦の特徴としては日本の特型駆逐艦と変わらないようですが・・・」

電「え、えぇっと・・・」

ナギ「こんな子が軍人なんですね。ちょっとビックリしちゃいました」ナデナデ

電「はわわ・・・」

筑波「あまり触らないでやってくれ。嫌がっているだろう」

ゴメン鋼鉄3やった事無いんだけど、早川って筑波と天城より年上なの?
それとも筑波と天城が若返ってるのだろうか?

>>123
早川は53歳って設定
天城は52歳、筑波教官は57歳だから早川より年上だよ

ナギ「では、ヴァイセンベルガー大将の指令をご説明します」

ナギ「ウィルシアはクレタ島に新型超兵器『アームドウィング』を近々配備する予定です。そこで、我々とフランス軍が母港のクレタ島を攻撃します」

ナギ「まずは我々が紅海を攻撃しスエズ運河を突破、それを合図にフランス軍がバルカン半島以東を海上封鎖します。そして、スエズ運河を脱した我々が敵を攻撃する、という手順です」

ブラウン「問題は紅海の状況です。エジプトには帝国の大規模な航空基地が存在し、紅海を防衛しています。この戦力差では、敵の航空攻撃を防ぐことはできません」

筑波「我々の空母は二隻だけですからな。せめて、もう一隻あれば助かりますがね」

早川「そこはドック艦スキズブラズニルで何とかなる。空母の船体は二隻分あるから、それを使って新型空母を建造すればいい」

ブラウン「戦闘機は足りますか?」

早川「烈風が数十機ほど残っている」

ブラウン「では、その空母の船体を使用しましょう。では、早川少将は空母の確保をお願いします。航空基地は電のミサイルやリジルの艦砲射撃で何とかなるでしょう」

電「ミサイルの使い方はまだ慣れないけど、やってみるのです」

シュルツ「ミサイルか・・・早川少将、ミサイル発射機はまだありますか?」

早川「開発したばかりの試作対空ミサイルが6基ある。そのうち2基は電に搭載するつもりだ」

シュルツ「では、その4基をリジルに装備してくれませんか?」

早川「わかった。すぐに準備しよう」

筑波「ついに我が艦にもミサイルが装備されますな」

シュルツ「ええ、最近はジェット機まで開発されて艦隊防空の重要性が増してきましたから」

スキズブラズニル・換装室

ブラウン「早川少将は『アングルドデッキ』という機構をご存じですか?」

早川「いや、知らんな」

電「ちょっと気になるのです」

ブラウン「空母の後部に装備する、艦載機着艦用の甲板です。発艦用の前部甲板に対し、9度の角度を持たせて設置します。着艦用・発艦用の甲板を分けることで、着艦に失敗した機が発艦待ちの機体と事故を起こす確率がかなり減ります」

早川「なるほど、それは凄いな」

電「着艦に失敗した航空機の話は聞いたことがないのです。やっぱり、他の海軍ではあるんですね」

早川「いや、日本でもあった。開発中の新型艦載機『震電』が加賀に着艦しようとしたところ、強風にあおられて艦橋に衝突する事故があった」

電「加賀さんにそんなことがあったのですか・・・怖いです」

早川「ちなみに震電は今でも開発中だ。じきにスキズブラズニルにも設計図が届くはずだ」

ブラウン「震電の能力があれば、現在使用されている航空機に十分対抗できます。早めに配備したいところですね」

早川「そうだな。ところで、アングルドデッキがどうした?」

ブラウン「スキズブラズニルの設計主任に設計図を渡しました。じきに開発に取り掛かってくれるでしょう。それに合わせ、青鶴や赤城、新型空母にアングルドデッキを装備させたいのですが」

早川「スエズ攻略まで工事ができるなら、頼もう」

ブラウン「了解しました。ところで、新型空母の名前ですが・・・」

早川「ああ、あれは・・・そうだな、この際、電につけてもらうか」

電「はうっ・・・私、新造艦の命名式なんて参加したことなくて・・・」

早川「この場で決めてもらえればいい。頼む」

電「は、はい。では、『暁星』でお願いします」

早川「暁に残る星、金星のことか・・・いい名前だ」

電「あ、ありがとうございます」ペコリ

早川「では、暁星の換装と新型艦二隻の建造を急がねばならないな」

ブラウン「お手伝いします」

サンパウロ「アングルドデッキ角度15度の俺って異端?」

帝国兵士A「敵艦隊の壊滅を確認!」

ロゼ「了解した。さすがに太平洋にはめぼしい獲物など残ってはいないわね」

帝国兵士A「有力な艦隊はヨーロッパに出張っていると聞きます。おそらく、向こうには新型超兵器が多数配備されるからでしょう」

ロゼ「ま、太平洋はアルウス一隻で十分だけど」

帝国兵士B「そういえば、小官は以前、『グロースシュトラール』という新型超兵器を小耳にはさんだのですが、あれは一体どういった艦なのでありますか?」

ロゼ「ゴーダが遺したレーザー戦艦よ。今はクルーガーの指揮下にあるけど」

帝国兵士A「レーザー戦艦、ですか」

ロゼ「ゴーダはちょっと未来を見すぎたのよ。『いずれレーザー艦隊を編制してやる』とか言ってたわね。リフレクト・ブラッタの開発も急いでたけど、今は偵察用の戦艦に成り下がってるわ」

帝国兵士B「偵察用の戦艦、でありますか・・・」

ロゼ「たまに通商破壊もしてるけどね。今の目標は、言われなくても分かる通り、数日前にヴリルオーディンを沈めた奴らよ」

帝国兵士A「電、と言いましたか」

ロゼ「リフレクト・ブラッタによれば、『転移艦』らしいわ」

>>129
6度の艦もあるけど、ニミッツ級準拠で書いた

帝国兵士B「聞いたことがあります。別世界から転移してくる艦のことだとか」

ロゼ「そうらしいわね。基本、我が軍じゃ沈めることにしてるけど。でも、あの電だけは他の転移艦とは明らかに違うわ」

帝国兵士A「例えば、どんなところで?」

ロゼ「元捕虜によれば、少女が艦を指揮しているんだとか。乗組員は全員妖精で、撃たれても死なないらしいわ」

帝国兵士A「全くの別世界ですね」

ロゼ「そうよ。ゴーダの奴、横須賀を潰しただけで満足して帰ってきたのよ。もう少し長くいれば、あれを沈められたかもしれないのに」

ロゼ「でも、別にいいわ。ヨーロッパでの作戦が終われば、向こうからのこのこやってくるでしょ」

帝国兵士A「それまでに電が撃沈されていなければ、の話ですけど」

ロゼ「あの艦は沈まないわよ。必ず、私の前に現れるわ」

ロゼは艦長席から立つと、眼下に広がる巨大なアルウスの甲板を見つめた。大量のドーントレスやヘルキャットなどが整然と並んでいる。

ロゼ「ヴァイセンベルガーに加えて、新たな脅威が現れたってわけね。さて、超兵器狩りの駆逐艦を前に、あの列車砲はどんな戦いを見せるのかしら」

UFO作れるのに未だにレシプロ機が配備される

副長「偵察機から連絡。『紅海方面に敵水雷戦隊が展開中。注意されたし』とのことです」

艦長「やはり敵がいたか・・・」

早川「航空機で敵戦力を減殺した後、戦艦の砲撃で殲滅する。全艦、輪形陣展開!」

整備が終了し、アングルドデッキを備えた空母三隻を囲むように、戦艦や駆逐艦が配置される。輪形陣は主に旗艦や輸送船団を守るために使用される陣形だ。今回は空母の存在が重要になるので、被害を受けにくい中央に配置される。

早川「電、第三戦速!」

電「なのです!」

陣形を整えた艦隊は、一斉に前進し始める。紅海の入口に突入し、周囲の地上砲台などを殲滅しつつスエズ運河を目指す。

ブラウン『早川少将、少し気になる建造物があるのですが、よろしいでしょうか?』

早川「建造物?」

ブラウン『はい。サウジアラビア側に4本の線路が引かれているのですが、ここは輸送列車などが通るものではありません。まして、軍事兵器を運んでいる様子もありません』

早川「何が言いたい?」

ブラウン『更に、線路付近から微弱なノイズも観測されています。敵超兵器が使用している可能性があるので、破壊してはどうでしょう?』

早川「わかった。長門をそっちに向かわせる」

輪形陣から長門とバーヴルが外れ、線路の破壊に向かった。

ブラウン「・・・」

シュルツ「博士は水雷戦隊を超兵器の護衛と考えておられるわけですね?」

ブラウン「ええ。超兵器は間違いなく陸上の兵器です。その超兵器で叩けない分を水雷戦隊が破壊する、といたっところでしょう」

筑波「ずいぶんと物騒な輩ですな」

ピピーッ、ピピーッ

ナギ「戦艦長門から緊急信号!敵超兵器出現の報告あり!」

シュルツ「まさに博士の読み通り、といったところか・・・」

艦長『シュルツ!長門の救援に向かえ!水雷戦隊はこっちで対処する!』

シュルツ「了解しました。では、お任せします」

ナギ「敵超兵器の情報です!敵は超兵器列車砲!」

ブラウン「線路を使う超兵器・・・!」

ナギ「長門、列車砲の主砲を受け航行不能!バーヴルは撃沈されたとのことです!」

電「長門が一撃なんて、物凄い攻撃力なのです・・・」ブルブル

副長「敵超兵器のノイズを検知!高速で移動中ですっ!」

早川「超兵器の襲撃ばかりだな・・・一体、帝国はどれだけ超兵器を保有しているんだ?」

電「はりゃーっ!?」ドーン

突如、電の艦首に砲弾が直撃した。小口径の砲だったためにダメージはあまりない。

副長「前方から水雷戦隊出現!二隻は中破している模様!」

早川「レーダーに頼りすぎたか・・・超兵器ノイズで使えなくなったところを狙われたんだ」

艦長「砲撃用意!目標、前方のクリーブランド級巡洋艦!」

電「命中させちゃいます!」ズドーン

電が放った砲弾はクリーブランド級に命中し、左舷に穴を開けた。そこから大量の水が流入したらしく、あっという間に横転して沈没した。

艦長「次、後方のフレッチャー級!」

空母は後方に退避し、残る駆逐艦や戦艦が水雷戦隊に攻撃を仕掛けていく。戦力差と艦載機の攻撃のお陰であまり苦労せず敵の駆逐は完了した。

早川「よし、暁星と赤城、青鶴は生存者を救出しつつ待機!残りの艦は戦艦リジルの援護に向かえ!」

副長「戦艦リジルから救難信号!敵列車砲の攻撃を受けて航行不能になったようです!」

早川「リジルまでやられるとは・・・」

電「つ、強いのです」

早川「敵は大口径の主砲を搭載しているのか。それにしては威力が桁違いのような気がするが」

副長「46cm砲でも一撃で航行不能なんてありえませんよね」

早川「それでは、それ以上の巨大砲か・・・」

早川が考察を重ねている最中、電の船体を巨大な揺れが襲った。

副長「至近弾!46cm砲なんて口径じゃありませんよっ!」

電「はうう・・・」

早川「大丈夫か、電」

電「すごい衝撃なのです・・・」

艦長「見えました!超兵器列車砲です!」

サウジアラビアの地に、その超兵器はあった。線路四本を使うほど巨大な車体には、中央に塔の如くそびえる巨大な砲門と、周囲に配置された小口径の砲が存在する。

電「あれが、超兵器列車砲なのですか?」

早川「・・・何だあの砲は。46cm砲の3倍もの長さはあるぞ・・・」

電「大和さんの3倍なんて・・・すごく大きいのです・・・」

こいつをどう思う?

電「・・・え、えーっと」

副長「>>138から連想できるのは一つしかないけど、まぁ、ね」

電「アレをぶっ刺したら本物の天国にイきそうなのでご遠慮するのです」

副長「19、イクの!いひひっ」

電「なぜ副長さんがそのネタを知ってるのか凄く知りたいです。それにしても、相変わらずのDMMクオリティですね」

早川「お喋りしてる暇はないぞ!DMMだろうがコーエーだろうが知ったことか」

副長「はーい」

電「もうやめにするのです」ズドーン

砲門を意味深げに上に向ける列車砲に対し、大和や電が砲撃を加えている。しかし、目立ったダメージは与えられない。

早川「超兵器の連戦で慣れてきたはずなのに、全く手がつけられない・・・」

電「超兵器のタイプが全然違うから、毎回苦戦するのです」

艦長「しかし、敵には弱点があるはずだ。何か探せばあるかもしれない」

副長「線路を破壊するのはどうですか?」

艦長「それでは破壊とは言えん。あれ自体を確実に無力化しないと、スエズを通過することは不可能だ」

電「そういえば、気になっていたのですけど・・・」

電「さっきから空に上がっている飛行船は何なのですか?」

電が指摘する通り、列車砲や艦隊の周囲を小型の飛行船が飛んでいた。さっきから烈風が撃墜しにかかっているが、一向に数が減らない。

早川「念のために撃墜させてはいるが、何なのかわからない」

副長「電波も出していませんし、レーダーの類ではないですよね?」

早川「いや、無電方位探知を使えば、十分にレーダーの役割を果たせ・・・そうか、そうだ!」

電「何かわかったのですか?」

早川「あれは観測気球だ。列車砲にはレーダーを搭載できない。だから、あの観測気球を使って敵位置を特定している」

艦長「確かに、巨砲の射撃時には偵察機を使用しますが、あの類だったとは・・・」

早川「まだ確証はない。運よく今は敵が砲弾の装填と砲身の冷却を行っているところらしい。あれを撃ち落としつつ、気球の出所を捜すぞ」

艦長「了解!」

電は戦列を離れ、気球の出所を探しに北へ向かった。北には敵の飛行場があり、そこで青鶴の烈風部隊が航空戦をしている最中だった。

早川「よく探せ。気球を潰さねば被害が増える一方だ」

電「あ、あれじゃないですか?」

飛行場のすぐ隣に、一軒の小屋が立っていた。そこでは、ちょうど飛行船が膨らんでいるところだった。

早川「飛行船っていうより気球だな。ガスバーナーで空気を暖めて空に上げている」

副長「古臭いですね。>>133の言う通りUFOを配備して観測しちゃえばいいのに」

早川「それもそうだな」

艦長「ここはアレの撃破が最優先です。直ちに砲撃で破壊しましょう」

電「で、でも・・・」

艦長「アレを破壊しなければ被害が増える一方だ」

電「でも、あそこでおじいさんが一人で飛行船を膨らませているのです。攻撃できないのです・・・」

艦長は双眼鏡を覗き、飛行船の方を見た。確かに、一人の老人がバーナーを使って飛行船を膨らませている。

艦長「・・・・・・・・・・・・」

早川「わかった。陸戦隊、あの老人をひっ捕らえろ」

陸戦隊の妖精さん「Yes,Sir!」

内火艇に乗り込んだ男気溢れる妖精さんは、すぐさま小屋に向かうと老人をひっ捕らえた。同時に気球と小屋は破壊し、観測気球は発進できなくなった。

早川「よくやった。次も頼むぞ」

陸戦隊の妖精さん「任せろ、兄ちゃん。俺はやる時はやる妖精さんだ」ビシッ

電「す、すごい早技なのです」

副長「あんなマッチョな妖精さんがいるなんて・・・いや、それよりあれは妖精さんなのかしら」

艦長「・・・いや、それより観測気球は発進できない。これで奴の攻撃能力も下がるだろう」

電「それだけでも大きな戦果なのです」

早川「よくやった艦長。では、あれを片づけに・・・」ガァァン

電に大きな揺れが走った。早川が艦橋から後ろを見ると、後部魚雷発射管が丸ごと消滅していることに気がついた。

早川「くっ、あの巨砲か!」

電「はわわ・・・痛いのです」

副長「後部魚雷発射管、使用不能!機関停止!」

早川「応急修理急げ!」

副長「大和より報告!航行不能とのことです!」

早川「大和までやられたか・・・電、ミサイル攻撃で奴を撃滅する。できるか?」

電「やってみるのです!」

早川「よく言った!」

艦長「対艦ミサイル発射用意。目標、超兵器列車砲!」

電「ミサイル装填です!」シュウゥゥ

増設されたミサイル発射機からミサイルが飛翔し、列車砲に向かう。対空砲座を備えていない列車砲は、ただ攻撃を受けるだけだった。後部の機関車にミサイルが直撃し、爆発する。

副長「機関車を破壊したようです!」

艦長「連続発射!残弾が無くなるまで叩きこめ!」

絶え間なく発射されるミサイルの雨を前にして、列車砲は為す術もなく被弾していく。苦し紛れに発射した巨砲も、的外れな場所に落下した。

艦長「最後の一発だ!決めてやれ!」

電「なのです!」シュウゥゥ

魚雷発射管から発射された最後のミサイルは、巨砲の根元に直撃して大爆発を起こした。列車砲は沈黙し、巨砲を海上に落下させた。

副長「超兵器列車砲、撃破!」

ナギ「超兵器列車砲、撃破!」

筑波「まさに隕石を降らせる超兵器でしたな」

シュルツ「これより、本艦はドックにて修理を行うべく当海域を離れる」

ブラウン「お待ちください、艦長」

シュルツ「どうかしましたか?」

ブラウン「列車砲の超兵器機関を回収できませんか?いくら地上兵器とはいえ、ノイズなどのパターンは他兵器のものと酷似しており、あれを調べれば何かわかるかと」

シュルツ「そうですか。では、陸戦隊に回収させましょう」

ブラウン「ありがとうございます」

筑波「これで超兵器研究がはかどりますな」

ブラウン「これで何か重要な情報を得られればいいのですが」

提督「・・・なるほど、あなたたちは、その・・・ウィルシア帝国の艦隊なわけね?」

ロゼ「そうよ。この世界では反政府組織が我々に危害を加えているのよ。当然、国民も多く犠牲になったわ」

提督「その話が本当なら、あなたたちの指導者は指導者失格ね」

ロゼ「なぜ、そう言えるの?」

提督「政府は国民の意思を反映させる鏡のようなものよ。でも、その鏡は国民の見ているものとは違うものを映している。壊れた鏡は取り換えるべきなのよ」

ロゼ「・・・何が言いたいの?」

提督「反乱されて当然の行いを政府がしているってこと。例えば、何らかの形で圧政を敷いている、とか」

大和「大日本帝国・・・」

ロゼ「圧政、ね」

フフ、とロゼは鼻で笑った。

ロゼ「それはどうでもいい話よ。あたしたち軍人は、国家の凶器。国の意向に従うのみ」

ロゼ「でも、あんたたちを助けてあげることはあたしにもできる。どうする?協力してくれるなら、あんたの仲間を探して保護することもできるわ」

提督「・・・!」

ロゼ「いい話でしょ?」

提督「そ、そうだけど・・・」

ロゼ「じゃ、あたしたちに協力して」

提督「そんな・・・」

大和「・・・」

雷『別にいいじゃない!電は私たちが探すんだから!』

暁『ヘンな連中に手を貸すくらいなら、自分たちで探すわよ!』

提督「黙って!」

一斉に悲鳴を上げ始めた通信機に向かって、提督は思い切り叫んだ。

提督「ロゼって言ったわね。私たちもレジスタンスの鎮圧に協力するわ。だから、絶対に仲間を・・・電を、探し出して」

ロゼ「交渉成立、ね」

ロゼはコーヒーをすすりながら言った。そして、大和の前方に錨を降ろす超巨大高速空母『アルウス』の船体を見つめる。

赤城『提督・・・』

愛宕『あらあら。でも、提督が決めたなら従いますわ』

響『こればかりは仕方ないよ』

ロゼ「それじゃ、あたしたちの仲間になるに当たって、一つだけ頭に入れてほしいことがあるの」

提督「何かしら」

ロゼ「超兵器のことは絶対に詮索しないこと。これが一つだけの条件」

提督「わかったわ。知りすぎはよくないもの」

ロゼ「それじゃ、司令部に連絡しておくわ。それと、ウィルシア海軍にようこそ」

提督「勘違いしないで。協力するだけよ」

ロゼ「そう。じゃ、それでいいわ」

特大のため息をついたロゼは、大和の艦橋を後にした。提督は壁のようにそびえるアルウスの船尾を、唇を噛みながら見ているだけだった。

大和「提督、電ちゃんは私たちだけで探せばよかったのでは?」

提督「こんな広い世界を六隻だけの艦隊で探すなんて、絶対に無理よ。それに、奴らは巨大な国家、情報の保有量もレジスタンスの比じゃないわ」

大和「でも、あいつらは何を考えてるかわからないです!」

提督「それでも、一縷の望みに賭けるしかないのよ」

大和「提督・・・」

提督「大きな賭けになることはわかってる。危険なんて百も承知。だけど、この戦争にはいずれ何らかの形で介入せざるを得なくなるわ」

大和「それは、まだわからないじゃないですか!」

提督「損傷したらどうするの?どこで戦闘に巻き込まれるかわかったものじゃないわよ?それ以前に、補給なしで世界一周なんてできっこないわ」

大和「それは・・・」

提督「あれは、私たちを守る約束でもあるの。わかってちょうだい」

大和「了解、しました」

ロゼ『これより、ガラパゴス諸島に向かうわ。ついて来て」

提督「了解」

提督(大陸の南端を通過し、西の海に出て数日、あの巨大艦と出会った。これから何があるのかわからないけど、この選択が正しかったと今は信じたい)

提督(電、あなたはどこにいるの?)

スエズ運河河口付近、スキズブラズニル

早川「動いている?あれが?」

ブラウン「ええ。超兵器列車砲『ドーラ・ドルヒ』から回収した超兵器機関は一部だけでしたが、まだ稼働しています」

シュルツ「それは、どんな理屈ですか!?」

ブラウン「わかりません。今の時点で言えるのは、こんな技術は存在しなかった、ということだけです」

早川「一部だけでも稼働するマシン、か・・・まるで、脳みたいだな」

ブラウン「脳、ですか」

早川「脳は一部分を失っても、他の部分が失った部分をカバーする。機能代行だ」

ブラウン「確かにその見方もあるかもしれません。色々と調査を行った後で結論を下すのが妥当かもしれませんね」

シュルツ「・・・一体、奴らは何を開発したというのだ」

ブラウン「開発した・・・のではないかもしれませんね」

早川「博士、何か言ったか?」

ブラウン「いえ、何でもありません。それより、赤城の甲板換装作業に戻りましょう」

シュルツ「そうですね」

早川(超兵器機関、か・・・)

電「ボスドロップで高性能のタービンが入ったのです!」

早川「おぉ、駆逐タービンαか。ちょうど2基あるから、ためしに装備してみるか」

電「なのです!」

早川はHLGを起動し、電の換装画面に切り替えた。古いタービンを撤去し、ドーラがドロップした新型タービンを装備する。

早川「想定最高速度、63ノット・・・」

電「ぜかましが鈍足艦に見えるのです」

早川「・・・(電、数日前より口調かなり変わったな)」

早川「それに加え、砲の長砲身化も行う。12.7cmの70口径が開発に成功したから、それを装備しておく」

電「な、70口径なんて聞いたことがないのです!」

早川「重量の関係でかなり苦労したらしい。設計班には感謝しなくてはならないな」

電「さすがスキズブラズニルの技術力なのです」

早川「全艦の近代化改修も終了したことだし、司令部に準備完了の通達をしないとな」

電「作戦が早く終われば、それだけ助けられる人の数も増えますね」

早川「そうだな。しかし、今回の作戦は消耗戦になるだろう。数多くの死者が出る。両軍共に、な」

電「・・・」

艦長「アームドウィングを撃沈できても、まだ心配のタネは残っていますし」

早川「超兵器は次々建造される。奴らには経済って言葉は無いのか」

副長「ガルトナー副司令より連絡が入りました!」

ガルトナー「遣欧艦隊の諸君、長い旅路ご苦労だった。早川少将もお疲れ様です。しかし、悪い知らせだ」

早川「どうした?」

ガルトナー「ボスボラス海峡に集結しつつあった包囲艦隊が、謎の新型爆弾により一瞬で壊滅した、との報告が入った」

早川「新型爆弾?」

ガルトナー「強力な爆発を起こす新兵器です。展開していた敵艦隊も巻き添えを食い、壊滅しました」

電「そ、そんな・・・味方も巻き添えなんて、とってもひどいのです!」

艦長「恐るべき威力だな。使用されたのは一発だけなのですか?」

ガルトナー「詳しいことはわからん。何にせよ、ノイズが検出されなかったことから、超兵器の攻撃でないことは確かだ」

艦長「超兵器だけでも厄介なのに、更に脅威が増えるとは・・・司令代行、どうお考えですか」

早川「懸案事項が増えたな。包囲艦隊も壊滅したことだし、もうアームドウィングの撃沈は見送った方がいいかもしれん」

副長「そ、それじゃ、あたしたちが頑張ってここまで来た意味はあるのですか!?」

早川「超兵器を3機撃破した。帝国にとっても、これは大きな痛手になったはずだ。かなり大きな戦果だ」

副長「でも、まだアームドウィングは・・・」

艦長「副長、今まで超兵器は撃破できないものと考えられていた。しかし、電がそれは違うと教えてくれた。解放軍の士気も爆発的に上がっている。それだけでも大きな進歩だ」

電「わ、私はあまり・・・」アセアセ

早川「確かに、全体的で見れば解放軍の士気は高いと言っていい。しかし、包囲艦隊が壊滅した穴をどう埋めるか、だな」

ガルトナー「いずれにせよ、アームドウィングの撃沈は行うことになる。包囲艦隊の分はイタリア海軍が手を貸すと言ってきた。心配はあまりしなくていいだろう」

早川「それならいいのですが・・・」

ガルトナー「ところで、シュルツ少佐はどうした?」

艦長「スキズブラズニルの換装ドックです」

ガルトナー「丁度、スキズブラズニルにリジル用の長砲身57口径46cm砲を納付したところだ。その旨、少佐に伝えてくれ」

艦長「了解しました」

ガルトナー「では、私はこれで失礼する」

副司令は簡単に礼だけして、電の艦橋から去った。すると、その直後に通信が入った。

オペレーター『緊急連絡!イタリアがウィルシアに降伏を申し出たとのことです!』

早川「何っ!?」

艦長「なぜだ!?作戦前だぞ?」

オペレーター『先ほど首都ローマの政府関連施設が制圧された模様!』

早川「これでアームドウィング捕捉は事実上不可能になったな。みんな、ご苦労だった」

オペレーター『更に報告!イタリア沖に超兵器出現!巨大双胴戦艦と確認!現在、ナポリを砲撃中!』

艦長「傷口に塩を塗るような真似を・・・」

電「ひ、ひどいのです・・・」

副長「信じられない!」

シュルツ「徹底的だな・・・」

筑波「丸腰の民間人に攻撃を加えるなど、馬鹿げておる!」

ブラウン「・・・」

シュルツ「博士、どうかしましたか?」

ブラウン「ヴィルベルヴィント、アルケオプテリクス、アルウス、ヴリルオーディン、ドーラ・ドルヒ、アームドウィング、巨大双胴戦艦・・・」

シュルツ「博士?」

ブラウン「ここ一ヶ月の間に、大量の超兵器が配備・運用されています。帝国といえども、これだけの超兵器を運用していれば、資源不足は回避できないはずです」

シュルツ「確かに、元ウィルシア領と元ソ連領だけの帝国に、それだけ資源が存在するとも思えません。何か思い当たる節でも?」

ブラウン「それだけの資源を失ってでも、超兵器を使用して何かをしようとしているのではないでしょうか?」

ナギ「その何かって何ですか?」

ブラウン「それが答えのはずです。いずれにせよ、帝国が何かをしようとしているのは事実です。これからは、超兵器破壊に全力を注いだ方がいいかもしれません」

ロゼ「フェルカーモルト作戦の第一弾が始まったみたいね」

帝国兵士A「そうみたいですが、フェルカーモルト作戦とは一体何ですか?」

ロゼ「エーヴィヒグランツ作戦の前身になる作戦のことよ。超兵器を大量運用してレジスタンス軍を消耗させる作戦。これがフェルカーモルト作戦の概要」

帝国兵士B「では、エーヴィヒグランツ作戦とは?」

ロゼ「それについては何も聞かされてないわ。クルーガーなら何か知ってるかもしれないけど」

帝国兵士A「そうですか。しかし、あの艦隊を引き入れてもよかったのでしょうか?」

ロゼ「いずれ裏切られるだろうけど、それまで使えれば問題無いわよ。裏切りの兆候が見えたら潰すだけだし」

帝国兵士C「報告します!偵察機が天城艦隊を発見!艦載機での爆撃を進言します!」

ロゼ「いえ、ここは鹵獲艦隊・・・彼紺艦隊に任せるわ」

帝国兵士C「了解しました」

ロゼ「さあ、艦娘の力、見せてもらうわよ」

天城「オーストラリアから逃げたと思えば、ガラパゴス諸島まで遠征か。ずいぶんと余裕だな」

日本軍兵士A「艦載機隊、発艦しました!」

天城「了解した。全艦、第二戦速!」

日本軍兵士B「第二戦速、ようそろ!」

戦艦『常陸』を中心とする天城艦隊は、戦艦が4隻と空母5隻、駆逐艦が15隻の大艦隊を形成している。航空攻撃、魚雷戦、砲戦の三段階で敵を攻撃する、いわゆる漸減邀撃(ようげき)作戦を得意としていた。

しかし、ロゼの艦隊はほとんどを空母で、周りを少数の戦艦と巡洋艦で固めた航空機主体の艦隊だ。アルウスは速度を上げ、天城艦隊の主力から逃げようとするだろう。

天城「その程度のことは想定済みだ。ガラパゴスを包囲せよ!」

日本軍兵士C「別動隊に告ぐ!これよりガラパゴス諸島を包囲する。諸島外部にて待機せよ!」

日本軍兵士A「天城大佐!敵艦隊の一部が前に出ました!戦艦1、空母1、駆逐艦3、重巡1!全て日本の艦です!なお、戦艦は大和型の模様!」

天城「なに・・・?大和は早川少将の遣欧艦隊に所属していたはずだ」

日本軍兵士A「なお、敵艦隊の中には我が艦隊所属の『雷』及び『響』と同名の駆逐艦が存在する模様です」

天城「ますます状況がわからん。しかし、戦わんわけにもいかんか」

提督「日本艦隊ね。長門型と金剛型が2隻ずつ、空母は大鳳型1隻と天城型3隻、駆逐艦は全部吹雪型・・・か」

暁『だ、大丈夫なんだから!あれは雷たちに似てるけど、違う艦だから・・・』

愛宕『大鳳ちゃんと、戦うのね・・・』

赤城『自分と戦うなんて、ちょっと怖い気もします』

提督(みんな、戦う前から疲弊してる。やっぱり、仲間や自分自身と戦うのは心が痛むわよね・・・)

提督『・・・全艦、第四戦速。砲雷撃戦、用意。赤城より戦闘機隊発艦せよ』

赤城『了解、しました』

大和「前方、砲撃戦、用意・・・」

提督(ダメ、あまりにも士気が低すぎる。すぐに大破してもおかしくない・・・)

見張り妖精さん「空母より艦載機多数発艦!」

提督「何やってるの!大和、三式弾での射撃を開始!赤城、震電を出して!早く!」

赤城『震電、ただいま発艦準備中、です』

大和「砲撃開始、撃て」ゴォォォ

声に張りが無い大和の指示で、一斉に主砲が発射され、三式弾が空で弾ける。しかし、被弾した敵艦載機は皆無だ。

見張り妖精さん「長門型戦艦の発砲を確認!標的は赤城!」

日本軍兵士C「大和型、対空榴弾を発射した模様!味方艦載機への損害なし!」

日本軍兵士A「天城型空母より艦載機発艦!開発中の戦闘機『震電』だと思われます!」

天城「震電まで出してくるか。帝国は何もかもが掟破りだな」

日本軍兵士A「あっ、指標『アカツキ』が大和型に衝突した模様!続いて、天城型に我が艦の砲弾が直撃した模様!航空甲板より出火を確認!戦列を離れます!」

天城「大和型に集中砲撃だ。艦載機は駆逐艦を狙え」

日本軍兵士B「了解しました」

日本軍兵士C「指標『ヒビキ』、砲撃開始!我が艦前方12km地点に着弾!」

天城「艦隊が混乱しているのか。しかし、我が艦隊は何もしていない。どういうことだ」

日本軍通信士「指標『雷』の通信を拾いました!『やっぱり戦いたくないわ!もうこんなのイヤ!』とのことです」

天城「混乱どころか、戦闘拒否までするか・・・リルガー、大変なものを拾ったな」

スエズ運河河口、スキズブラズニル

電「司令官さん、日本から通信が来ているのです」

早川「通信?はい、私だ」

司令『あっ、よかった。今はスエズ運河にいるんだって?』

早川「はい。しかし、アームドウィングの捕捉に失敗したどころか、イタリア陥落を許してしまいました」

司令『やっぱりそうなったんだね・・・でも、もう大丈夫だよ。こっちには超兵器があるからね』

早川「な、何ですって?超兵器?」

ブラウン「超兵器の開発に成功したのですか!?」

司令『違うよ。ヴィルベルヴィントをサルベージして改修しただけさ。艦名は『旋風』。かっこいいでしょ?』

早川「ところで、ヴィルベルヴィントとの違いはありますか?」

司令『もう、せっかちさんだな。とりあえず、主砲を新開発の51cm砲に換装して、ミサイル発射機を搭載したよ。電ちゃんに搭載してるものと一緒だね』

ブラウン「超兵器の運用は気をつけてください。何が起こるかわかりません」

司令『うん。気をつけるよ。じゃ、旋風は日本近海に置くから、防衛は任せておいて!』

シュルツ「超兵器の日本配備を受け、日本から数隻の艦がこちらへ回航されることになった。戦艦『加賀』、重巡『愛宕』及び『足柄』、駆逐艦『磯風』が回される。それぞれに新型機関を搭載し、高速化を図っている」

電「加賀さんって空母じゃないのですか?」

シュルツ「加賀型戦艦の1番艦で、長門型の拡大改良型だ。当然、ミサイルも装備している」

電「こっちの加賀さんは空母なのです」

ブラウン「軍縮条約で改装されたのでしょうか。空母はあくまで補助艦艇なので」

電「その通りなのです。ブラウンさんは凄いのです!」

シュルツ「私語は慎んでくれ。ひとまず、我々はシチリア島を母港にしている超兵器双胴戦艦を撃滅しなくてはならない。攻撃は遣欧艦隊を待ってからにする」

筑波「では、それまでは暇ですかな?」

シュルツ「我々に暇はない。帝国軍の手にある黒海の奪還、バルカン半島の制圧が急務だ。超兵器双胴戦艦はスエズと黒海から艦隊を捻出し、攻撃することになる」

早川「ま、要するに満を持しての超兵器戦に挑むといったところだ。遣欧艦隊も大急ぎでここに向かってるみたいだし、早めに露払いは終わらせておかないとな」

電「露払い、ですか」

ナギ「司令部より連絡です!」

ガルトナー『少佐、私だ。先ほど、スエズ運河及びボスボラス海峡付近に多数の潜水艦が配備されたとの情報が入った。放置しておけば、今後の作戦を練り直さねばならんかもしれん。直ちにこれを撃滅してほしい』

シュルツ「了解しました」

早川「潜水艦隊か、厄介だな」

ブラウン「我が軍にも対潜ミサイルの配備が進んでいるとはいえ、未だに脅威なのは変わりません。敵艦の位置を探りつつ、攻撃してください」

電「潜水艦はやっぱり苦手なのです・・・」

シュルツ「では、補給と整備を済ませた後に出撃する。各員、出港準備!」


早川「我々、高速水雷戦隊は哨戒と露払いを担当することとなった。速度は全て50ノットを超える艦を用意している。それと、我が軍は新兵器を投入する」

副長「あっ、とうとうできたんですね?」

早川「そうだ。対潜ヘリコプターの実地実験も兼ねての投入だ」

電「あきつ丸さんのオートジャイロみたいなものなのですね」

早川「あれは試作段階だから、あまり戦力にはならない。実は、電が来る前から対潜ヘリの研究開発は行われてきた。今回は実戦用のちゃんとした機体だ」

戦艦『長門』から零式水上偵察機が敵航空機の警戒のため発艦し、スエズ運河の上空を数分かけて旋回した。しかし、敵の航空機は一切認められない。

早川「よし、赤城と青鶴から対潜ヘリ『シーホーク』を発艦させろ!零式水偵は爆雷を装備して再出撃!」

アングルドデッキを装備された赤城から、対潜ヘリが発艦した。シーホークと呼ばれるそのヘリは、ソノブイと呼ばれる探知装置を投下し、敵潜の位置を探る。

そして、敵潜を見つけると爆雷を投下し攻撃する。潜水艦からは一切の反撃を受けない上、艦載機ということで損失しても被害が少ない。

電「まさに夢のような航空機なのです!電にも搭載したいのです」

早川「はは、電は艦載機格納庫が無いから無理だな。どうしても載せたいなら、船体を交換するしかない」

電「船体を交換・・・すると、私はどうなるのですか?」

早川「わからん」

電「そ、そうですよね・・・」アセアセ

早川「・・・?」

ロゼ「何あれ?本当に軍人なの?」

提督「・・・」

ロゼ「アルウスの艦載機が助けに入らなかったら、今頃海の底だったわよ!」

大和「今回は、私たちのせいだから・・・」

ロゼ「・・・ほんっとうに情けないわね。ムスペルヘイムはこんな連中に負けたの?部下が大将の失態をかぶるような恥ずかしい真似するなんて、聞いたことが無いわよ!」

提督「そ、そうよね・・・私の責任。みんなのことも考えてやれなかったから・・・」

ロゼ「そんなことじゃないわ。上から受けた命令は絶対なの。どんなに理不尽な命令を下されても、それを遂行するのが軍人なのよ。軍人が物ごとを勝手に決めて、勝手に遂行するなんてやっちゃダメなの」

ロゼ「あんたたちには、その軍人の秩序が存在してない。独断専行、命令拒否、挙句の果てに司令官まで思考停止。最低の軍隊よ」

提督「でも、仲間を撃たせるなんて・・・」

ロゼ「やっぱりわかってない。あれに艦娘が乗ってるの?違うわ。敵よ。あんたたちを沈めようとする、敵。殺さなきゃ、殺される。それが根本的にわかってないわ。あんたたちの世界って、お遊びで戦争してるの?」

提督「・・・う。違・・・」

ロゼ「聞こえないわよ!もう1回言いなさい!」

横須賀鎮守府

電「提督、バシー島方面の制圧が完了したのです」

提督「了解。明日にはオリョール海方面を制圧するわ。作戦立案は任せる」

電「て、提督・・・」モジモジ

提督「どうしたの?」

電「私たち、沈んだら深海棲艦になっちゃうのですよね?」

提督「そう言われてるけど、まだハッキリとした証拠は無いわ」

電「なぜ、戦争なんて起こるのですか・・・?」

提督「ほとんどが食料や飲料水をめぐっての争いだけど、たまに利害の対立やイデオロギーの違いとかも噛んできたりするわね。深海棲艦みたいに何を考えてるかわからない連中もいるし」

電「話し合いで解決したらいいのに・・・」シュン

提督「話し合いで解決するようなことなら、戦争なんて起こらない。戦争は自分を不幸から守るための最後の手段。もしくは、自分のワガママを通す最後の切り札になるわ」

提督「敵は倒さないといけない。自分たちが不幸の巻き添えにならないように。自分たちの利益を守るために。敵を助けるのは、自分に余裕ができてから、よ」

電「わかった・・・のです」

提督「出来る限り戦争は避けたいけど、話のわからない敵を倒すのは仕方ないわ。これだけは覚えておいて」


提督「違う!あたしたちは電を取り戻すためにこの世界に来たの!本当なら戦争なんてしたくない!あんたたちから情報を貰うためだけについて来ただけ!」

ロゼ「・・・言ってくれるわね。じゃ、この艦隊から出て行きなさい。今すぐに」

提督「言われなくても、そうするわよ!」

ロゼ「じゃ、早く消えなさい。・・・『電』と名乗る駆逐艦が、ヨーロッパのスエズ運河近くで超兵器列車砲を撃破したとの連絡が入ったわ。海図も渡しておくし補給もさせるから、後は自分たちで何とかしなさい」

提督「ロゼ・・・」

ロゼ「副長、この賊を大和まで連れて行きなさい。艦隊の整備終了次第、即座に追い出すように」

帝国兵士A「了解しました、リルガー大将」ニヤリ

提督「ありがと。って、あっちょっと!」

帝国兵士A「はいはい、二名様お帰りー」

大和「主砲は触らないでくださいっ!」

ロゼ(悪かったわね。あんたの敵、ちょっと増えちゃった。多分、倒すのは無理ね)

提督「電、もうやめて!」
電「もう遅いのです!提督達は殺しすぎたのですよ!」

こんな展開かと思った

>>180
これからは電が提督だな・・・(絶望

電「プロペラが上についてるなんて、やっぱり異様な感じがするのです」

早川「設計班は何考えてるか全くわからんからな。ま、イギリスのアレに比べればマトモな兵器ばかりだし、問題無いだろう。では、我々も潜水艦討伐に出撃する」

電「私たちも出るのですか?」

早川「当然だ。出撃準備を急げ」

電「あぅぅ・・・」


電「第一水雷戦隊、出撃です!」

電、深雪、ダーイン、フンディンの四隻は、シーホークが撃ち漏らした潜水艦の掃討に向かった。

電「フンディンは戦艦なのに、対潜戦闘ができるのですか?」

早川「何度も言うが、あれは戦艦じゃない。駆逐艦だ」

電「なぜか、この世界の人は不幸さんを駆逐艦と呼んでいるのです」

ヴェルナー『お手柔らかにお願いします、早川少将』

早川「後衛は頼んだぞ」

電艦内、仮設戦闘指揮所

電の艦橋が一部改造され、現代の護衛艦などが持つ戦闘指揮所『CIC』が設置されていた。中は薄暗く、コンピューターの過熱防止のためにクーラーがガンガン効いている。

電「うわぁ、ここは何ですか?すごく寒くて暗いのです」

早川「CIC、つまり戦闘指揮所だ。ここでミサイルやCIWSの制御を行う。主砲はまだ旧式なのでここから発射することはできんが」

ソナーの妖精さんA「かんちょー!せんすいかんをみつけたのー!」

ソナーの妖精さんB「なのー」

艦長「早いな。新型のパッシブソナーを装備したのは正解だったか」

副長「ミサイル、発射準備!」

早川「行け、電。砲雷長を務めてくれ」

電「了解したのです!」ビシッ

水雷長の妖精さん「ミサイル発射準備OKだぜー」

電「新しいシステムだけど、頑張って慣れるのです。ミサイル発射です!」

電のミサイル発射機から対潜ミサイル『ASROC』が発射された。それは潜水艦の上空でパラシュートを開き、弾頭の魚雷と共に水中に没した。

水雷長の妖精さん「アスロック、水中を進んでるぜー」

早川「よし、短魚雷の誘導装置は正常に作動している。これで潜水艦は水上艦の敵ではないな」

ソナーの妖精さんA「ちゃくだんしたのー!」

ソナーの妖精さんB「したのー」

副長「撃沈、こちらでも確認しましたっ!」

電「賢い魚雷なのです!やっぱり、この世界の技術は凄いのです!」

早川「本当はアームドウィング撃沈のための秘密兵器として製造されたものだ。威力もバッチリだぞ」

副長「あ、ナギ少尉から通信です。えーっと・・・『エーゲ海に敵艦隊出現!戦艦隊が四個艦隊!我々だけでは足止めできず』とのことです!」

早川「了解した。直ちにエーゲ海に向かえ」

お爺さん「うぅぅ、ここはどこかいのぅ・・・」

陸戦隊の妖精さん「おう、やっと気づいたか、爺さん」

お爺さん「お、お主はっ!?誰じゃったかのぅ・・・」

陸戦隊の妖精さん「忘れたのかよ・・・ったく、仕方のない爺さんだ。あんた、超兵器列車砲の観測気球を飛ばしてただろ?」

お爺さん「ほお?わしは知らんのぅ。ただ、緑の制服を着た連中が、わしに『気球を飛ばせ』と言ってきただけでのぅ」

陸戦隊の妖精さん「それが観測気球だってんだよ」

お爺さん「そうだったのかぃ・・・はぁ、年をとると色々騙されることが多いのぅ」

陸戦隊の妖精さん(ったく、わけのわかんねぇ爺さんだな)

お爺さん「そういえば、この駆逐艦はどこに向かってるのじゃ?」

陸戦隊の妖精さん「エーゲ海だ」

お爺さん「ほぉ、エーゲ海とな。そこにはアームドウィングがいるとか何とか、制服さんが何か言っておったのぅ」

陸戦隊の妖精さん「あン?んだとオラ?」

お爺さん「じゃから言っとるじゃろ?アームドウィングってのがいるってなぁ」

陸戦隊の妖精さん「チッ、爺さん、ここで大人しくしてろ!」

電「魚雷装填です!」ガシャン

電が発射した魚雷は、リシュリュー級戦艦に直撃して大爆発を起こした。リシュリュー級の船体が真っ二つに割れ、一気に海中に没していく。

電「やっぱり夜戦だと本気を出しやすいのです」

艦長「戦艦が魚雷一発で轟沈・・・」

早川「これも艦娘の力か。数回の改造も経て、かなり強くなっているようだな」

電「後はシチリアの超兵器を破壊するだけなのです!」

早川「この調子でやってくれれば、きっと勝てる。信じているぞ」

電「頑張るのです!」

早川「その意気だ」

早川(電は頑張ってくれている。戦争は嫌いなはずなのに、こんなにも頑張って解放軍を勝利に導こうとしている。ムスペルヘイムの一件を除けば、全て電の手柄だ)

早川(しかし、仮に帝国を打倒しても、電が元の世界に帰れる保証はない。彼女は頑張ってくれているのに、私たちは彼女に何もできずにいる)

早川(本当に、無力というのは罪なものだな・・・)

電「司令官さん、どうしたのですか?」

早川「いや・・・何でもない」

電は急速転舵し、右に陣取るネルソン級戦艦に向かって砲撃をしていく。70口径の砲身から放たれた12.7cm砲弾は、第1主砲と司令塔に直撃した。

副長「ネルソン級に火災発生!第1砲塔爆発!」

艦長「次、11時方向のダンケルク級。砲撃開始!」

電「命中させちゃいます!」ズドーン

炎上したネルソン級の前方を航行していたダンケルク級は、長門への砲撃を中止して電に主砲を向けようとしていた。しかし、主砲の射程範囲外である後ろに回り込んだ電に、砲を向けることは不可能だった。

ダンケルク級の艦橋下に2発の砲弾が突き刺さり、爆発を起こす。更に追い打ちをかけるように、長門の主砲弾が損傷した甲板を抉った。

副長「ダンケルク級、撃沈!」

艦長「よし、リジルの援護に向かう。第四戦速まで加速!」

電は更に増速し、西方で援護を待つ戦艦『リジル』の援護に向かった。後方から深雪とフンディンが続く。

電「えっと、生存者の救助はどうするのですか・・・?」

早川「心配ない。ダーインが残って救助活動にあたる。それより、今にも撃沈されそうなリジルを救助するのが先決だ」

電「助けを待ってる人が近くにいるのに、見捨てるなんて・・・」

電は前方のモニターに映る艦外の様子を見た。サーチライトをつける救命ボートと、それに接近するダーインの姿がわずかに見えた。

早川「あれがリジルか・・・変わり果てた姿だ」

モニターに映るリジルの姿は、以前のような姿を残してはいない。第1主砲は吹っ飛び、各所から炎がちらついている。

ナギ『あぁ、よかったです!我が艦の乗員を収容願います!』

早川「赤城と暁星の2隻に分けて乗組員を収容する。早く救命ボートに移れ」

ナギ『了解しました。ふぅ、これで一安心ですね』

ナギ少尉の間の抜けたため息が通信から漏れた。直後、CICの扉を誰かが強く開けた。

陸戦隊の妖精さん「兄ちゃん、大変だ!この海域にアームドウィングが潜んでるって話だ!」

早川「何?誰から聞いた?」

陸戦隊の妖精さん「列車砲の爺さんからだ!」

電「ほ、本当なのですか?」ブルブル

陸戦隊の妖精さん「帝国の連中から聞いたらしい」

早川「仕方ない。対潜見張りを厳とせよ!」

艦長「ここ最近、超兵器との戦いばかりだ。帝国は一体、何を企んでいる・・・?」

電「ええっ、2週目のヴィルベルヴィントってそんなに強いのですか?」

早川「あくまでWSG2の2週目の話だ。今回は本編(1週目Hardモード)と特殊任務だけだから、2週目には進まん。安心して戦うといい」

電「はぅ、よかったのです。って、特殊任務もあるのですか?」

早川「その予定だ」

電「ちょっと楽しみなのです」

副長「レーダー、通信機器等にノイズが入りました!超兵器が接近していると思われます!」

早川「おいでなすったぞ。暁星と赤城を守りつつ、アームドウィングを撃沈する!総員、対潜戦闘用意!」

早川(なるほど、超兵器双胴戦艦にイタリア占領を担わせ、アームドウィングは解放軍の撃滅に当たる、という寸法か。考えたものだな)

早川(しかし、そうはさせん。強化されたのは電だけではない。それを見せてやる!)

電「うぅぅ・・・」

早川「やっぱり、怖いのか?」

電「は、はい。夜戦では潜水艦に一度も勝ったことがないのです・・・」

副長「ノイズ極大化!超兵器接近!」

艦長「アスロック発射!」

電「なのです!」シュウゥゥ

ミサイル発射機からアスロックが発射され、水面下を進むアームドウィングに直撃した。水柱が屹立するも、相手は速度を緩めない。

副長「アームドウィングよりミサイル発射確認!数、3!」

電「命中させちゃいます!」ガガガガ

新型装備のCIWSは、敵のミサイルをことごとく撃破していく。しかし、最後の一発は間に合わなかった。第1煙突付近にミサイルが着弾し、爆発を起こす。

電「はりゃーっ!?」

早川「いてて・・・ダメージコントロール状況知らせ!」

副長「第1煙突、使用不可!跡形もなく吹っ飛んでいますっ!主機、オーバーヒート寸前です!」

電「はぅぅ、熱いのです・・・」

艦長「速度を巡航速度まで落とせ!」

アームドウィングは水中を進む超兵器で、エイのような形状をしている。速度は50ノットを出し、主にミサイルでの攻撃を行う。

その高速で敵艦を翻弄し、ミサイルと多弾頭魚雷による飽和攻撃で艦隊を一気に屠る。というのがアームドウィングの基本的な戦闘スタイルだ。

しかし、艦娘が操る艦は、ただ大破させるだけでは沈まない。大破させてから数時間経ち、更に攻撃を加えられると沈むのだ。

早川「逆に言えば、大破したとしても、すぐに修理すれば問題無い、というわけだ。電、お前には辛い戦いをさせる」

電「アームドウィングを倒してみんなが守れるなら、いいのです」

早川「悪い。本当に悪い。・・・艦長、電を出来る限りアームドウィングに近づけてくれ」

艦長「何をなさるおつもりですか?」

早川「電を囮に使う。アスロックを撃ち込みつつ、魚雷とミサイルを電に集中させる。一か八かの大きな賭けだ」

艦長「まさか、あなたが囮戦法をとるとは思いませんでした。彼女がいいと言うなら、行きましょう」

早川「機関室、まだいけるか?」

機関室の妖精さん「・・・いける」

早川「よし、アームドウィングの真上に陣取れ!」

電はアームドウィングの真上に移動し、ひたすら爆雷を投射し続ける。たとえ超兵器とはいえ、アームドウィングは潜水艦だ。防御力は犠牲にされ、水圧と高速に耐えられる程度の装甲しか持ち合わせていない。

副長「アームドウィング、離脱しようとしていますっ!」

早川「そうはさせない。アスロック発射と同時に速度を上げろ!」

電「なのです!」シュウゥゥ

電から駄目押しのアスロックが発射された。アームドウィングには、既にかなりのダメージが刻まれつつあった。

ソナーの妖精さんA「あくてぃぶそなーにかんありなのー」

ソナーの妖精さんB「なのー」

艦長「敵の攻撃か?」

ソナーの妖精さんA「てきからなにかでてきたのー。ぎょらいじゃないのー」

ソナーの妖精さんB「なのー」

電「まさか、アレ、なのですか?」

ソナーの妖精さんA「こうひょうてきなのー」

ソナーの妖精さんB「なのー」

早川「甲標的?確か、小型の潜水艦のことだったな」

電「は、はい。部隊に編入されたばかりの潜水艦さんや、重雷装巡洋艦の皆さんが使ってるのです」

早川「厄介だな・・・艦長、アスロックは甲標的を狙え。爆雷はこのままアームドウィングを叩き続ける」

艦長「了解しま・・・」ガァァン

副長「う、うそ・・・どこから!?」

艦長「どうした!?」

副長「レーザーです!高出力のレーザーが艦底に着弾した模様!」

電「はうぅ、熱いのです・・・」

早川「どこから来た!?」

副長「おそらく、甲標的からだと・・・」

早川「甲標的からレーザーだと!?」

電「甲標的がレーザーを撃つなんて、この世界はデタラメなのです・・・」

副長「機関室、更に過熱しています!」

機関室の妖精さん「・・・航行不能」

早川「クソッ!何てこった!」

副長「待ってください・・・アームドウィング、急速潜航を開始!」

早川「逃げるつもりか!?」

艦長「対潜兵装、全門発射!逃がすな!」

副長「いえ、敵艦が圧壊していきます!撃沈したようです!」

早川「倒したか・・・よし、応急修理及び生存者救出を急げ」

副長「了解しました」

早川「よく頑張ったな、電・・・」

電「はぁ、はぁ、私、皆さんのお役に立てましたか・・・?」バタッ

早川「どうした、電!電!」

スキズブラズニル、医務室

医師「風邪ですが、かなり重いようですな」

早川「そう、ですか」

医師「過労です。それに加え、艦のダメージがこの子に多大な影響を与えている」

医師「これ以上無理をさせてはいけません。本当に死にますよ」

電「はぁ、はぁ、ごめんなさい、司令官さん」

早川「謝るのはこっちの方だ。無理をさせてすまなかった。超兵器を倒せるほど強いとはいえ、やっぱり年頃の女の子だもんな」

電「ケホ、ケホ、司令官さん、私は大丈夫なのです。だから、修理が終わったら、また・・・」

早川「ダメだ。これより、艦隊旗艦を大和に移す。お前はゆっくり休まないとダメだ」

電「は、はい・・・」

電(司令官さん、すごく怖い目をしているのです・・・)


副長「電ちゃんの様子、どうでした?」

早川「かなり悪い。これじゃ、修理が終わっても出られそうにない」

副長「後でリンゴ持っていかなきゃ。司令代行も、後で何か買ってあげましょ!」

早川「そうだな。では、私は・・・」

横須賀鎮守府 医務室

提督「はい、あーん」

電「あーん」パクッ

提督「どう?ちょっと腕によりをかけて、おかゆを作ってみたの」

電「おいしい、のです」ケホケホ

提督「そう、よかった。普段から色々キツい任務ばかりでゴメンね。今日は風邪ひいてるんだから、ゆっくり休んでね」

電「では、お言葉に甘えるのです」

提督「じゃ、私はちょっと買い物してくるわ。後でね」ガラガラ

暁「電ー、いる?」

電「は、はい」

雷「電が風邪ひくなんて、珍しいこともあるわね。これ、持ってきたから食べて!」

電「わぁ、リンゴなのです」

響「雷がむいたんだよ。暁だとちょっと危なっかしいから」

暁「もう、レディーになるために包丁の修業してるんだからっ!」

電「ふふふっ・・・」


電「提督、雷、暁、響・・・今、どこにいるのですか?」シクシク

帝国兵士A「大西洋方面司令部より入電!アームドウィングが撃沈された、とのことです!なお、撃沈した艦は、またしても電の模様!」

ロゼ「潜水艦でも電の快進撃は止められなかったわけね。ま、そんなことはわかりきったことだけど」

帝国兵士A「あれを沈められる艦は、果たして存在するのでしょうか・・・」

ロゼ「多分、あるかもしれないわよ。超兵器はまだまだ残ってるわけだし。エーヴィヒグランツ作戦に使用する超兵器なら、ね」

帝国兵士B「確か、以前も同じような言葉を耳にしましたが、どのような作戦でありますか?」

ロゼ「提督たちが去った直後に、その作戦計画所が届いたわ。だから、正式に話すことができると思う」

ロゼ「エーヴィヒグランツ作戦。レジスタンスに与する連中を『大陸ごと』殲滅し、ウィルシア国民だけが生き残る世界を創る計画だ、って書いてあったわ」

帝国兵士A「大陸ごとって・・・」

ロゼ「そう。あいつは何をしてでもこの世界を支配したいらしいわ。それに、クルーガーまであいつの計画に賛同してる。リフレクトブラッタを改造して、グロースシュトラールと一緒に電を葬り去るつもりよ」

帝国兵士A「お言葉ですが、リルガー司令。私には、到底この作戦は・・・」

ロゼ「先は言わないで。わかってるから」

帝国兵士A「ならば・・・この場合、裏切り者は銃殺が妥当だと思われますが」

ロゼ「じゃ、あたしも銃殺決定ね」

帝国兵士B「し、司令・・・」

ロゼ「あんなのに地球をボロボロにされるくらいなら、少しでも抵抗した方がいいと思うわよ。あたしについて行きたい者だけ、この艦隊に残って。希望者は早めに下船すること。いいわね?」

電は医務室で、窓の外を見ていた。修理用の露天ドックには、先の戦いで大破した戦艦『リジル』が修理を受けている。その横では、電も修理されている。

どちらもボロボロで、とても戦える状態ではない。リジルは戦艦にボコボコにされ、電はアームドウィングの攻撃を全て吸収していたのだ。

「電はいますかな?」コンコン

電「はーい。誰なのですか?」

筑波「俺だ、筑波だ」ガラ

筑波大尉は扉を開け中に入ると、持っていた果物のバスケットをスライドテーブルの上に置いた。リンゴやバナナ、ブドウなど、色々な果物が入っている。

筑波「まずは、礼を述べたい。ありがとう」

電「いいのです。人が死ぬのは嫌なのです」

筑波「だが、これが戦争だということも事実だ。こうしている間にも、帝国は超兵器をどんどん建造し、解放軍を叩きに来るだろう」

電「人間同士が戦争だなんて・・・やっぱり、嫌なのです」

筑波「君は優しいな。あれも、そういう女だ」

電「あれって何ですか?」

筑波「祖国に置いてきた女房だ。八重という」

電「結婚しているのですか。何だか、憧れちゃいます」テレテレ

筑波「艦長と共にリジルに乗ることを決めた時、八重は一瞬、寂しそうな顔をしていた」

筑波「だが、出港の時は笑顔で見送ってくれたよ」

電「仲のいい夫婦なのですね」

筑波「ここ二年は会っていないが、な。だが、待っている人がいるというのは、頼もしいことだ」

電「待ってる、人・・・」

筑波「いるのだろう?元いた世界に」

電「提督が、待っているはずなのです」

筑波「・・・本題に入ろう。その提督のことだが、一つ気になる情報を掴んでな」

電「て、提督を知ってるのですかっ!?」

筑波「数時間前、天城が通信をよこしてきた。不審な艦隊と戦った、と。世界に一隻しか存在しない大和型を旗艦とした艦隊で、赤城型と思しき空母には、開発中の航空機『震電』が搭載されていたらしい」

電「震電・・・いつも、提督は赤城さんに震電を載せるのです」

筑波「それに、特型駆逐艦の『暁』、『響』、『雷』、高雄型重巡を確認したらしい」

筑波「そして、戦いの中で雷が通信で『やっぱり戦いたくないわ!もうこんなのイヤ!』と大和に送っていたそうだ」

電「い、雷、なのです・・・」

筑波「しかし、その艦隊はロゼの機動艦隊と行動を共にしている。いずれ、何らかの形で相見えることになるだろう」

電「そ、そんなぁ、帝国軍にいる、なんて・・・」

筑波「もし、戦うとなれば、お前はどうする?」

電「嫌なのです!みんなと戦うなんて・・・っ!」

筑波「そう答えるか。俺はたとえ昔の友であっても、全力で戦う方を選ぶ」

電「なぜ、なのですか?」

筑波「相手も、それ相応の覚悟を以て挑みに来る。ならば、こっちも全力で応えるまでだ。そうでないと、海軍軍人の名折れだからな」

電「軍人の・・・ですか?」

筑波「そうだ。礼儀、というやつだ」

電「提督への、礼儀・・・」

その夜、早川たちは通商破壊部隊を連れて戻ってきた。艦隊は無傷で、輸送船を一隻拿捕してきたとのことだ。

電「快挙なのです。すごいのです!」

早川「驚くのはまだ早い。あの船を捜索したところ、新型砲の設計図と試作品が見つかった。電にも搭載できる小型砲だ」

電「高角砲なのですか?」

早川「違う。AGSという、長射程を誇る誘導砲弾を発射する特殊砲だ。口径は15.5cmある」

電「巡洋艦レベルの大口径砲なのです。搭載できるのですか?」

早川「これが、かなりコンパクトに設計されている。駆逐艦でも十分運用できるものだ」

電「ものすごく強い砲なのです。さっそく搭載してもらっていいですか?」

早川「開発班に渡しておいたから、超兵器双胴戦艦攻略前には搭載できるだろう」

電「楽しみなのです!」

ブラウン「そのAGS、三連装のものをリジルに支給してはくれませんか?」

早川「ブラウン博士か。いいだろう、手配しておく」

ブラウン「ありがとうございます」

電「ブラウンさん、ちゃっかりしてるのです」

早川「今回は敵泊地の夜襲だ。戦艦はひとまず待機させ、重巡を基幹とした高速艦隊を編成して挑むことになる。目標は、ギリシャのピレウス軍港だ」

早川「そこには、スエズ運河攻略艦隊が補給のため停泊している。この艦隊の無力化とピレウス占領が目的だ」

シュルツ「我々も先ほど完成した新型重巡『オーレリア』で出撃、第二戦隊を指揮する。我々の任務は第一戦隊の補助及び護衛だ」

ブラウン「艦長、先の作戦によって敵艦隊の戦力は半減している状態です。戦艦などの存在は見当たらないので、比較的容易に接近できるでしょう」

シュルツ「今回は楽な作戦になるといいが・・・」

ブラウン「確かに、超兵器の急襲があるかもしれません。これまでの経緯を見ると、それも考慮に入れておいた方がいいかもしれませんね」

早川「超兵器・・・か」

副長「司令代行?」

早川「電は、今頃大丈夫だろうか・・・」

艦長「やはり、心配ですか」

早川「・・・当然だ。シュルツ、出港するぞ」

シュルツ「了解しました」


電「・・・あ、ブドウにタネが入ってたのです」

早川以下第一戦隊は、旗艦『高雄』を先頭に、夕方の海に出港した。

電は風邪が完全に治りきっていないため、艦隊から外されたままだった。窓から遣欧艦隊の出撃を見送った後、再びベッドに伏した。

電「やっぱり、提督もこの世界に来ているのかな・・・」

電「筑波さんの話が本当ならっ・・・」


電「沈められた、のです・・・」

響「えっ、暁、が?」

雷「ヘンダーソン飛行場を攻撃しようとしたら、いきなりアメリカ艦隊が出てきて・・・一番最初に撃沈されたわ」

電「私は戦艦に一撃与えたけど、魚雷が自爆しちゃって、沈められなかった、のです」

響「もう、何も言わないで。これは戦争、お姉ちゃんや妹が沈むなんて、当たり前じゃないか・・・」グスッ


電「日本軍の時の・・・何だか、嫌なこと思い出しちゃった」

電「確か、魚雷を撃たれて沈んだ後は、横須賀の工廠で目が覚めたんだったっけ。新しい司令官をお迎えに行くように言われて、提督に会って・・・」

電「また生き返れて、お姉ちゃんたちとまた会えて・・・とっても、嬉しかった」

プルルル、と壁掛けの固定電話がベルを鳴らした。電は起き上がり、受話器を取る。

電「はい、電です」

陸戦隊の妖精さん「い、電か!たった今連絡が入った。高雄が撃沈されたって話だぜ!」

電「た、高雄って、確か・・・」

陸戦隊の妖精さん「司令代行が乗ってた重巡だ!早く来い!出るぞ!」

電「は、はい。今行くのです!」ガチャ

電「司令官さんがっ・・・!」タタタ

看護婦「いたっ!」ガン

電「あうっ!あっ、看護婦さん、ぶつかっちゃってごめんなさいなのです!」

看護婦「どうしたの、こんな時間に?」

電「ちょっと出かけてくるのですっ!」

看護婦「ちょっと、待って!って、もう行っちゃった」


電探の妖精さん「来たわね、電ちゃん!」

ソナーの妖精さんA「おかえりなのー」

ソナーの妖精さんB「なのー」

機関室の妖精さん「・・・準備、できてるよ」

電「司令官さんを助けに行くのです!駆逐艦『電』、出撃です!!」

妖精さん全員「了解!」

ソナーの妖精さんB「なのー」

電がスキズブラズニルを出港した時には、雨が降り始めていた。夜という時間帯に加え、雨。電探を使わない限り、敵艦を発見することは難しい。

電「前が全く見えないのです・・・」

電探の妖精さん「現場海域に到着したわ。超兵器ノイズが無いってことは、超兵器の攻撃じゃないわね。前方に重巡『オーレリア』が見えるわ」

電「接舷用意なのです」

電は重巡オーレリアに接触した。オーレリアの損傷は酷く、あちこちから煙が出ていた。

電「ボロボロ、なのです・・・」

ナギ「電ちゃーん!こっちー!」

電「艦橋の上にナギ少尉がいるのです!みんな無事ですか!?」

ナギ「怪我人が多いの、収容できるかしら!?」

電「300人までなら収容できるのです!」

ナギ「よかった!ありがとう!」

シュルツ以下、258名のオーレリア乗組員が電に収容された。医務室の妖精さんだけでは手に負えないほどの怪我人が廊下にまで溢れかえっている。

電「何があったのですか?」

シュルツ「敵の奇襲を受けた。アイオワ級高速戦艦が3隻、エクセター級巡洋艦2隻、E級駆逐艦5隻の艦隊だ」

電「ところで、高雄はどうなったのですか・・・?」

ブラウン「我々は艦隊から落伍したから、何もわからないのよ。でも、最後に深雪から来た通信から、高雄が沈んだことを知ったの」

電「無茶しやがって・・・なのです」

ブラウン「何か言ったかしら?」

電「何でもないのです」

筑波「それはさておき、今すぐ救援に向かわないといけませんぞ」

シュルツ「それもそうだな。電、応援要請は出したか?」

電「出てくるときに連絡したのです。空母「暁星」と「青鶴」が来るみたいなのです」

シュルツ「よろしい。空母と合流後、本艦は第一戦隊の救護に向かう」

ナギ「12時方向に艦影!戦艦級と思われます!」

シュルツ「まだ潜んでいたか・・・総員、戦闘配置につけ!」

ブラウン「どうやら、敵は高性能の電探を装備しているようですね。敵のレーダー射撃にご注意を」

電は60ノットに増速し、戦艦に接近する。シュルツの証言通り、艦影はアイオワ級戦艦のものだった。

電「魚雷装填です!」ガシャン

夜陰に紛れ、電は先制の魚雷攻撃を浴びせた。発射した3発のうち、2発が艦尾に命中した。

ナギ「敵艦被雷!速度低下を確認しました!」

シュルツ「主砲、順次発射せよ!」

電「なのです!」ズドーン

続けて、アイオワ級の主砲に電が放った主砲弾が直撃し、小規模の爆発を起こした。夜になると、駆逐艦娘は最大限の攻撃力を発揮するという特性のおかげだ。

ナギ「艦長!背後より敵艦接近!敵艦隊は陣形を整えていないようです!」

シュルツ「陣形を整えていない・・・?なぜだ?」

ナギ「敵砲弾、来ます!」ドゴォォ

後ろから接近していたアイオワ級の攻撃で、電の艦尾がやられた。

ナギ「スクリュー損傷!速力、23ノットにまで低下します!」

シュルツ「何とか30ノットまで上げろ!」

電「足が重いのです・・・」

ブラウン「まずいですね、完全に囲まれています。ここは損傷させた戦艦の間を抜けるしか方法はないようです」

シュルツ「そうだな。面舵40度、戦闘海域より離脱し、空母との合流を図る」

電「せ、生存者はどうするのですか・・・?」

シュルツ「我々が沈められては意味が無い。まずは一旦退くべきだ」

電「そんな、今すぐ助けに行きたいのです・・・」

電の口惜しげな声だけを残して、艦は砲火の中をすり抜けて逃げた。去り際に放った主砲は、アイオワの艦橋を貫き、炎を噴きあげた。


応急修理を終え、無事に空母と合流できた電は、航空機の援護を受けながら単身で現場海域に向かうことになった。戦艦がいる海域に空母を送るなど、的を提供するようなものだ。

ブラウン「ひとまず、彗星と彩雲は出せるそうです。少ないですが、無いよりはマシかと」

シュルツ「十分だ。しかし、安全が保障できないと救助は困難だな・・・」

電「沈めた敵も助けたいのに・・・ジレンマなのです」

やはり、まだ敵艦隊は現場海域にいた。沈んだ艦の乗組員を収容しているらしく、迂闊に手を出せない状況になっていた。

シュルツ「厄介だな。このままでは、敵に攻撃できないぞ」

電「でも、助けられているなら、それでいいのです」

筑波「敵がいるのに攻撃できないとは、何と歯がゆいことでしょう」

シュルツ「・・・ナギ少尉、敵の捕虜収容施設の場所はわかるか?」

ナギ「この近くでは、シチリア島にあります」

シュルツ「シチリアか・・・やはり、捕虜を奪還するには超兵器を撃破するしかないな」

電「やっぱり、戦わないといけないのです」

ブラウン「情報部によると、現在駐留中の超兵器双胴戦艦は明後日未明に出港するとのことです。戦うならば、早めに準備を」

シュルツ「了解した。電、君は幾つもの超兵器の撃沈に貢献してきた駆逐艦だ。今回の超兵器攻撃作戦でも、第一艦隊の旗艦を務めてほしい」

電「了解したのです!」

電「第一戦隊、出撃です!」

二日後、電は最低限度の修理だけを受けて出撃した。向かうは、超兵器双胴戦艦が停泊するイタリアの都市、ナポリだ。

シュルツ『我々は航空攻撃に専念する。頼んだぞ』

電「頑張るのです!」


数時間前、電艦内

ブラウン「今回の敵は、双胴戦艦という極めて珍しい艦です」

電「艦を横につなげて、何の意味があるのですか?」

ブラウン「船体を横につなげることにより大排水量を得て、強力な兵装や重厚な装甲を搭載できます」

シュルツ「まさに最強の戦艦だな」

ブラウン「そうでもありません。甲板が広いという船体の性質上、防御力はさほど厚くはないでしょう。そこで、航空機の爆弾が有効かと思われます」

電「・・・(大和さんがやられた方法なのです。すごく姑息なのです)」

ブラウン「しかし、航空攻撃だけでは撃沈に時間がかかります。そこで、電の高速を生かして敵に肉薄、魚雷攻撃を叩きこむことで戦闘時間を短縮させましょう。時間が長引けば、それだけ味方の損害が大きくなりますから」

電「うう、やっぱり怖いのです」

ブラウン「今回は陽動とはいえ、あなたは超兵器を幾つも沈めた。自信を持ちなさい」

電「は、はい!」

イタリア時間、午前3時。超兵器双胴戦艦『ハリマ』は出港準備に追われていた。クレタ島周辺に停泊している解放軍艦隊を攻撃するためだ。

先日、壊滅させた艦隊から回収した捕虜から得られた情報により、超兵器殺しのあだ名を持つ駆逐艦『電』は、活動不可能の状態にあると判明した。

それに加え、新型戦艦である大和の撃沈も考慮した、大規模な作戦だ。

作戦としては、ハリマの80cm砲で敵の射程外から水上基地ごと敵を破壊する、という単純なものだが、案外そういった単純な作戦は意外と上手くいくものだ。

弾薬の積み込みが終わる頃、警報が鳴った。対空電探が敵の航空機を発見した、とのことだった。

『空襲!対空戦闘用意!』


電「空襲が始まったみたいなのです。ならっ!」

電は増速し、一気に双胴戦艦に向かって接近する。敵艦は電の存在に気づき、空に向けていた主砲を向け直す。

電「ミサイル装填です!」シュウゥゥ

電が放った対艦ミサイルは、双胴戦艦の対空機銃座に直撃した。相当数の機銃座が破壊され、弾幕が幾らか薄くなった。

電「魚雷装填です!」ガシャン

続いて、電は進路を変え、魚雷を発射する。巨大な船体ゆえに、魚雷の狙いはつけなくても近づけば全部当たる。しかし、9本全てが直撃したにも関わらず、全くダメージを受けていないようにも見える。

電「す、すごく硬いのです」

電に負けず、艦載機も攻撃する。しかし、激しい弾幕のせいで双胴戦艦の上空まで接近できずにいる。

電「うう、何て強い対空射撃なのです」

次々に落とされる艦載機の姿をレーダーで捉えながら、電は双胴戦艦の舷側すれすれまで接近する。近づきさえすれば、主砲は攻撃できなくなるからだ。

電「零距離ならっ!カットインなのです!」ズドーン!ガシャン

更に、艦首まで来たところでカットインを発動させ、魚雷と主砲を一斉に発射する。巨大な爆発が双胴戦艦を覆い、水しぶきの一部が電にかかる。

電「あ、あれでもそこまでダメージが通らないのですかっ・・・霧のコンゴウさんも一撃だったのに、凄すぎるのです」

すると、離脱しようとした電に激震が走った。艦尾を明るい光が照らし出す。

電「はりゃーっ!?」

双胴戦艦の主砲が電のすぐ右で爆発した。至近弾なのに、その威力は装甲を剥ぎ取るのに十分だった。

ピピーッ、ピピーッ

電「はうぅ・・・あれ、通信なのです。えと、『ワレミユキ』・・・えっ、深雪ちゃん?」

通信が届いた先の海を眺めてみると、小さな光が一瞬だけ光った。それは、深雪が放った12.7cm砲だった。

主砲弾は双胴戦艦の装甲に跳ね返されたが、深雪は直後に61cm魚雷を連続で発射した。4連装に換装された強力な酸素魚雷は、戦艦の装甲を凹ませる。

電「深雪ちゃん・・・っ!」

感動する電をよそに、深雪はその場から全力で離脱する。双胴戦艦の主砲が深雪を追うが、至近距離を高速で移動する駆逐艦に狙いを定められる大口径砲なんて存在しない。

深雪『早急ニ離脱スベシ。我ニ続ケ』カチカチ

電「了解なのです!」

深雪の発光信号を読み取った電は、後に続いて双胴戦艦から離れていく。相変わらず艦載機は落とされ続けていたが、双胴戦艦には確実に魚雷のダメージが刻まれていた。

電「こっちの深雪ちゃんは凄いのです。それに比べて、あっちは鉄クズみたいに脆いのです」

深雪『艦載機隊全滅セリ。コレヨリ敵懐ニ突撃ス』カチカチ

電「中破しているのに、ちょっと無理があるのです・・・けど、あれを倒さないと、みんなが助からないのです!」

電「ちょっと怖いけど、やってみるのです!」

深雪『貴艦ノ武運ヲ祈ル』カチカチ

電「バトルオペレーション、カット!イン!なのです」

深雪『パクリジャネ?』カチカチ

電「一体あれには誰が乗っているのですか原稿用紙40分の1以内で答えてほしいのです」

深雪艦内

艦長「超巨大双胴戦艦ハリマ、別名『東洋の魔人』か・・・」

艦長「しかし、司令代行や副長も捕まった今、奴を倒さない限り捕虜を解放することなど不可能だ」

艦長「必ず、奴を沈める!」

電艦内

電「東洋の魔人、ですかぁ・・・」

電「大和さんはアメリカからモンスター呼ばわりされていましたけど、それとは別格の強さなのです」

電「でも、魚雷で倒せない戦艦はありませんよね!」

電「全速前進なのです!」

未だに駆逐艦を狙い続けるハリマの主砲を回避しつつ、電と深雪は二手に分かれて攻撃を開始する。

電「魚雷は残り3本しかないのです。その他は主砲とCIWS、ミサイルが数発だけなのです」

電「深海棲艦と戦っていた頃は弾薬の消費なんてあまり気にならなかったのに、今は日帝時代を思い出すのです・・・」

鎮守府

深雪「いーっくしょぃ!」

那珂「あれっ、カゼ?」

深雪「最近カゼ気味みたいでさぁ、どうにかなんねーかな?」

深雪(カゼ気味っつーか、腹痛いんだよなぁ。まさか、古傷じゃねーよな?)

ハリマ艦内

帝国兵士α「駆逐艦2隻、二手に分かれました!」

ハリマ艦長「遊撃の形をとるか。各砲座、迎撃せよ!」

ハリマの80cm砲が炎の咆哮を上げ、砲弾を発射する。しかし、60ノットの速さで接近する駆逐艦を捉えることはできない。

帝国兵士α「敵艦2隻、魚雷発射!本艦にダメージなし!更に上空から爆撃機!46cm副砲に損傷!」

ハリマ艦長「指標『イナヅマ』を優先目標とせよ!奴を生かしてはおけん!」

帝国兵士β「了解。全砲門を指標『イナヅマ』に集中させよ」

ハリマ艦長(超兵器機関を狙われないだけマシだが、これ以上攻撃されては・・・)

元々、ハリマはイタリア制圧とクレタに配備されたアームドウィングの護衛、そして駆逐艦『イナヅマ』の撃滅のために派遣されたものだ。航空機の爆撃には弱いが、艦隊戦では最強だ。

しかし、現在は襲い来る爆撃機と自由勝手に行動する駆逐艦に翻弄されている。

帝国兵士α「指標『ミユキ』、魚雷発射!応急修理個所に被弾!速力低下します!」

電「何で、あんなに硬いのですか・・・」

電は既に魚雷とミサイルを撃ち尽くしていた。深雪も同じく残弾ゼロ、更に爆撃機もほとんどが落とされた。

残るは撤退か、後方に控える戦艦『大和』と『長門』による砲撃しかないが、速度の遅い戦艦が護衛もなしに敵艦に接近するのは、自殺行為に等しい。

電「八方ふさがりなのです・・・」

電が諦めかけた時、深雪から火柱が立った。敵の副砲から攻撃を受けたらしく、魚雷発射管周辺が完全に吹き飛んでいる。

電「深雪ちゃん!!」

それに追い打ちをかけるように、至近弾の衝撃が電を襲った。電は荒波に揉まれ、魚雷発射管に水が進入する。

ダメコンの妖精さん「装甲の一部が損傷しました!機関室に浸水!」

電「やっぱり、戦艦は強いのです・・・」

『そんなんじゃダメよ!』

電「えっ、通信・・・なのですか?」

『攻撃するからねっ!』

『全艦、攻撃をハリマに集中!助けに来たわよ、電!』

大和「電ちゃん!」

電『大和さん!何でここにいるのですか?』

大和「説明は後!今はハリマの撃沈に集中して!」

電『な、なのです!』

提督「超巨大双胴戦艦『ハリマ』か・・・赤城、彗星で援護急いで!暁、電と深雪の離脱を援護して!」

暁『任せておいて!ほら電、ついて来なさい!』

赤城『了解しました!第二次攻撃隊、発艦してください!』

赤城から彗星を中心とした艦載機隊が発進し、対空装備が殺がれている右舷からハリマに接近する。

提督「大和、回避行動を取りつつ、ハリマの武装を中心に攻撃して!」

大和「戦艦大和、推して参ります!主砲及び副砲、レーダー射撃準備!目標、敵双胴戦艦!全砲門、斉射始め!」ゴォォォ

大和の主砲と副砲が一斉に咆哮し、ハリマの艦首部を襲う。電と深雪が開けた穴を更に広げ、水の侵入を許す。

電探の妖精さん「敵双胴戦艦、船体の傾斜を確認!」

提督「響、雷!艦尾部分に魚雷の飽和攻撃を加えて!一気に沈めるわよ!」

響『負けないよ』ガシャン

雷『沈めてやるんだから!』ガシャン

響と雷が放った魚雷は、ハリマの艦尾部に命中した。ハリマの主砲の追随を許さない速さで2隻は後ろに抜けていく。

電「えぁっと、提督さんたちは、いつこっちに来たのですか?」

暁『ちょっと前よ。提督ったら、電がいなくなったって言ったら、大慌てで捜索艦隊を編成したんだからっ!みんな心配したのよ?』

電「ご、ごめんなさいなのです」

暁『・・・もう、手のかかる妹ねっ!』

電「今度から気をつけるのです」


赤城『きゃあっ!誘爆を防いで!』

ハリマの攻撃をまともに受けた赤城は、飛行甲板を破壊されて炎上した。さすがに戦えないので、敵の射程外まで退避した。

雷『さすがに、今回はキツいわね。でも諦めないわ!』ガシャン!ガシャン!ガシャン!

ハリマの後部主砲の追撃から逃げ切った雷は、カットインを発動させて魚雷を乱射する。直後、雷に追従していた46cm副砲が雷の艦橋直下を襲った。

雷『何よもう!雷は大丈夫なんだからっ!』

提督「雷、もういいわ!暁と一緒に退避して!」

雷『むぅ、わかったわよー!』ソソクサ

電探の妖精さん「ハリマ、傾斜角が10度を超えました!」

提督「主砲と副砲を封印したわね。じゃ、最後の仕上げにかかるわよ!全艦、全力をもって排除せよ!」

大和「第1、第2主砲、射撃開始!」ゴォォ

響『さて、やりますか』ガシャン

愛宕『主砲、撃てぇー!』ズドーン

傾斜が激しく、速度も落ちたハリマに、魚雷や砲の一斉攻撃が加えられる。弾薬庫に引火したらしく、空をも揺るがす大爆発を起こしてハリマは爆沈した。

大和「やりましたね、提督!」

提督「ええ、電は見つかったし、後は帰るだけね」

大和「そうですね。帰る道はどこにあるかわかりませんけど」

提督「・・・まずはハリマの乗員を救助して。話はそれからよ」

大和「ふふ、了解しました」

追記

一応、艦娘の設定は艦これと同じだから、駆逐艦の砲がハリマの装甲ぶち破ってるのは気にしないでくれ
夜戦で駆逐艦がタ級フラグシップ捻り潰すみたいな感じだし



文章力についてはゴメン

シチリア島近辺、スキズブラズニル

提督「うちの電が世話になったわね。本当にありがとう」

艦長「いえ、礼には及びません。彼女のお陰で解放軍は今まで戦ってこられましたので」

提督「そうみたいね。あの子、頑張り屋さんだから。あ、そういえば他の駆逐艦にぶつかったりしなかった?」

艦長「いえ、特にありませんが・・・」

提督「よ、よかったぁー・・・」

艦長「どうされたんです?」

提督「あの子、よく他の艦とぶつかっちゃうのよねぇ」

艦長「な、なるほど」

提督「でも、電の改造具合が凄いわね。誘導噴進砲だったっけ?凄い精度ね」

艦長(マイペースな人だなぁ・・・)

提督「ところで、例の捕虜収容所はどこ?」

同時刻、ヴェスヴィオ山頂上

シュルツ「こ、これは・・・」

ブラウン「ええ、あれからは超兵器反応が見られます。つまり、あれは超兵器ということです。近くの超兵器研究所からも、超兵器機関が地中、それも火山の近くから発見されているという資料が見つかっています」

シュルツとブラウンは、占領したイタリア南部の火山、ヴェスヴィオ山の中腹にいた。そこの採掘場で発見されたのは、巨大な金属製の物体だった。

ブラウン「ウィルシアの内情について詳しいことはわかりませんが、既に数年前から地中に埋まる超兵器機関の存在は知れていたのでしょう」

シュルツ「では、今回の大戦は・・・」

ブラウン「世界中の超兵器機関を全て手に入れるため、でしょうか」

シュルツ「確かに、機関を独占すれば世界の覇権を握ることはできますが、ウィルシアはそもそも敵らしい敵もない巨大国家です」

ブラウン「科学者の・・・性でしょうか」

シュルツ「何かおっしゃいますたか?」

ブラウン「いえ、何でもありません」

電「みんな・・・久しぶりなのです!」

暁「これで第6駆逐隊が全員揃ったわね!」

響「何より無事でよかった」

雷「寂しくなかった?」

赤城「やっぱり、電ちゃんがいる艦隊の方がしっくりきますね」

愛宕「ウフフ、これでみんな元通り。めでたしめでたし♪」

電「でも、まだめでたしじゃないのです・・・」

雷「何で?こうやって電が戻ってきたんだし、後は帰るだけじゃない!」

電「帰る方法がまだわからないのです。それに、超兵器からみんなを守らないといけないのです」

赤城「超兵器・・・というと、あの巨大艦のことですか?」

電「そうなのです。すごく強くて大きな兵器なのです」

響「無理に他国の戦争に介入しちゃいけないよ。けど、帰れないのも事実だね」

愛宕「困ったわねぇ。じゃ、一度提督に聞いてみましょ♪」

提督「他国の戦争?まぁ、介入しちゃいけないのは常識よね。でも、今は状況が状況。電も追われてるみたいだし、ここは解放軍と行動を共にするのが賢明だと思うわ」

赤城「了解しました。この世界のボーキサイトって美味しいのかしら」ジュルリ

響「赤城、よだれ垂れてるよ」

赤城「おっと、失礼しました」フキフキ

提督「・・・えっと、まだシチリア島周囲にはゲリラ活動を行う艦艇がまだ残ってるらしいわ。シチリアの捕虜収容所を奪還するのは陸軍がやってくれるから、私たちはそのゲリラ艦隊を撃滅する任務を遂行します」

暁「レディがやるような仕事じゃないわ!」

電「そういえば、暁って最後はレディのように華麗な散り方しましたね」

暁「・・・!」ブルブル

雷(うわぁ、前より毒舌がキツくなってる)

提督「あれ、そういえば大和はどうしたの?」

愛宕「さあ。どこでしょ?」

電「お礼も言いたいので、ちょっと探してくるのです」

提督「今回の作戦のことも伝えておいてねー」

スキズブラズニル、甲板上

大和「・・・」

電「あ、大和さーん!」

大和「あら、電ちゃん。元気してたかしら?」

電「お陰さまで、なのです」

大和「よかったわ。電ちゃんがいなくなったら、すごく寂しいから・・・」

大和はドックに入渠する2隻の大和の姿を見た。一方がこの世界の大和、もう一方が艦娘大和だ。

大和「武蔵も連れてきたら、大和型3隻が見られたかもしれなかったわね」

電「信濃さん、ですか」

大和「信濃、か。途中で空母に改装されたって聞いたけど、一度も会えなかった。武蔵も先に沈んだし。もう二度と、仲間が沈むところは見たくないの」

電「大和さん・・・」

大和「っと、野暮な話だったけど、許して。それじゃ、提督のところに戻りましょ!」

電「なのです!」

艦長「提督、急な話ですが、他の艦娘たちも改造したらどうでしょうか?」

提督「あぁ、電ちゃんがヘンな装備いっぱい持ってたけど、あれってあなたたちがやったの?」

艦長「ええ、初期の装備では超兵器と戦えませんから」

提督「私たちは倒したわよ。あの巨大戦艦に、ちょっと前に倒したヘンテコな航空戦艦」

艦長「まさか、空母が2隻連結された戦艦では?」

提督「よくわかったわね。それだったわよ」

艦長「ムスペルヘイムを撃沈したのは、あなた方だったんですか・・・」

提督「どうしたの?」

艦長「いえ、何でもありません。それより、換装作業に入りましょう」

提督「ちょっと、待ってよ!」

艦長「では、まずは戦艦大和の装備換装からです」

大和「よろしくお願いします」

提督「はぁ、もう勝手にしなさいよ・・・」ゲンナリ

艦長「本来はこの世界の大和に換装するはずだった51cm砲を装備させます。大和、いいかな?」

大和「51cmですか。妹になるはずだった超大和型の砲ですね」

艦長「技術班が頑張ってくれたおかげで、3連装にすることもできた。大抵の超兵器は葬れるはずだ」

大和「でも、重そうです。速力や重心の問題もありますし・・・」

艦長「ハリマのドロップで戦艦用の大型機関を回収した。それで速度は解決できる。それと、今ある対空兵装のほとんどを取り払い、CIWSとミサイルをつける」

大和「電ちゃんがさっき言っていた、回転式機関砲と誘導噴進砲のことですね」

艦長「ご名答。対空火器を搭載していた場所にいくつか配置するから、残弾に気をつけながら使ってほしい」

大和「了解しました。ありがとうございます」


大和 現在装備

51cm50口径3連装砲 3基
15.5cm60口径3連装砲 2基
20mmCIWS 6基
Mk41垂直発射装置 64セル
速力 61ノット

艦長「次は暁と響だ」

暁「レディに相応しい装備にしてよね!」

響「楽しみだね」

艦長「君たちは雷撃能力と速力を中心に伸ばしていこうと思う。だから、最近開発された68cm5連装魚雷を装備させよう」

響「日本軍の制式魚雷より大きいね。友鶴みたいにならないかな」

艦長「元々、対超兵器戦を考慮して設計されたものだからな。ひとまず、ある程度の軽量化は済ませてある。これを4基設置する」

暁「4基も・・・だ、大丈夫なんだから!」

艦長「何か勘違いしているようだから、ちょっと補足しよう。第2主砲は取り払って、そこに4基目の魚雷を設置する。弾薬庫も少し増やした」

暁「大丈夫って言ってるのに!」

暁&響 現在装備

12.7cm60口径連装砲 2基
68cm5連装酸素魚雷発射管 4基(対艦・対潜ミサイル発射可能)
20mmCIWS 2基
爆雷投射機 1機
速力 76ノット

艦長「雷と電は汎用駆逐艦に改造しよう。特に電は対超兵器戦の要だからな」

雷「提督、不機嫌そうだったけど、大丈夫だったかな?」

電「艦長さんに怒ってたみたいなのです。そっとしてあげるのです」

艦長「話を聞け・・・魚雷発射管を68cmの5連装にして、ミサイルの発射機を新たに1基追加する。砲は以前と同じく12.7cmだ」

雷「ねぇ電、ミサイルってどう使うの?」

電「相手にロックオンして撃つのです。そうしたら、勝手に飛んで行ってくれるのです!」

雷「へー。すっごく便利ね!すっごーい!」

艦長「もういい、もういい。説明終わり」

雷&電 現在装備
12.7cm70口径連装砲 3基
68cm5連装酸素魚雷発射管 3基(対艦・対潜ミサイル発射可能)
20mmCIWS 2基
Mk25 GMLSミサイル発射機 4基
速力 雷76ノット 電92ノット

艦長「最後は愛宕だ。主に艦隊防空と巡洋艦、駆逐艦の排除を担当してもらう」

愛宕「近代化改装ですね?楽しみねー♪」

艦長「・・・さあ、始めよう。まずは前部の第3主砲を取り払い、VLSを設置する」

愛宕「日向さんが言ってたわねー。何かしら?」

艦長「ミサイル発射機のことだ。さっき大和にも搭載した。次にカタパルトを取り払い、RAMとCIWSを増設する」

愛宕「ラムなんて食べないわよー」

艦長「子羊じゃない。ミサイル発射機だ。これは対空の小型ミサイルで、艦隊防空に使うものだ」

提督「やっぱり悪戦苦闘してるみたいね。愛宕はマイペースだから」

愛宕「あら、提督。いらしてたんですか。すごいですね、ここの設備!」

提督「改めてみると、やっぱり凄いわね」

艦長「あのー」

愛宕 現在装備

20.3cm55口径連装砲 4基
20mmCIWS 3基
SeaRAM対空ミサイル発射機 4基
Mk41垂直発射装置 64セル
61cm5連装魚雷発射管 4基
速力 70ノット

リフレクトブラッタ(秘匿コード名・GX)艦内

GX艦長「ハリマが潰された、とのことです。リルガー大将が監視していた彼紺艦隊の救援により、1時間で撃沈されたそうです」

??『奴ハ何ヲシテイル?』

GX艦長「数日前から通信が途絶えたままです」

??『ノイズキャンセラーノ故障カ?』

GX艦長「アルウスの超兵器ノイズが復活しているので、そうかと。しかし、それも考慮して偵察機を送ったのですが、通信が途絶えたままです」

??『・・・ロゼトノ接触ヲ図レ。念ノ為ニインテゲルタイラントヲ護衛ニツケル』

GX艦長「了解しました」

GX艦長(エーヴィヒグランツ作戦を前に、リルガー大将との連絡が途絶えた。一体、何があったのだ?)

大和『戦艦大和、推して参ります!』

電「第零遊撃隊、出撃です!」

新たに改造した艦娘たちを連れ、提督やシュルツはシチリアの南にはびこる敵のゲリラ艦隊を迎撃しに行った。

電は深雪と共に敵の輸送船を撃破し、ゲリラ艦隊への補給を断つ命令が下され、シチリアの北あたりに出張っている。

電「敵の輸送船は、確認されてるだけでも8隻あるのです」

艦長『その全てを撃破しなければ、ゲリラの活動時期は長くなる一方だ。何としてでも全て撃破し、捕虜収容所を発見しよう』

電「頑張るのです!」

ピピーッ、ピピーッ

電の電探に輸送船団の船影が確認された。数は4隻で、駆逐艦3隻が護衛に当たっている。

艦長『気を抜くな。酸素魚雷で狙い撃ちした後、一気に接近して砲撃を叩きこむ。いいな』

電「わかったのです」ガシャン

電は酸素魚雷を5発続けて船団に発射した。航跡をほとんど残さない高威力の魚雷は、輸送船を3隻撃沈した。魚雷の接近に気付いた駆逐艦が臨戦態勢に入る。

電「命中させちゃいます!」ズドーン

一気に80ノットまで加速した電は駆逐艦の艦橋を狙い撃ち、大破させた。駆逐艦の速度が一気に遅くなり、艦隊から落伍していく。

続いて、深雪が砲撃を開始した。船団の近くに砲弾が落下し、輸送船1隻の動きを鈍らせる。

電「早く離艦してほしいのです・・・」

敵の駆逐艦も、指をくわえて艦隊が破壊される様子を見ているわけではなかった。2隻が放射状に魚雷を発射し、電がその2本に被雷した。

電「はわわわ・・・機関が損傷したのです!応急修理してください!」

ダメコンの妖精さん「応急修理するのん!」

艦長『援護する!その間に修理を済ませろ!』ズドーン

深雪が更に駆逐艦に砲撃する。しかし、相手は急加速して砲撃を回避していく。

艦長『E級め!これでも食らえ!』

深雪から5本の魚雷が放たれ、それを3本も食った駆逐艦1隻が一瞬にして轟沈した。しかし、それに合わせて残った敵も魚雷を発射する。

艦長『増速!回避だ!』

最大戦速まで速度を上げた深雪も魚雷を回避し、砲撃を加えて駆逐艦を大破させた。

電「あっ、輸送船団が逃げていくのです!」

艦長「なっ!輸送船団のことをすっかり忘れていたな」

機関室の妖精さん『・・・応急修理完了、全力で回せる』

電「最大戦速なのです!」

機関の修理が終わった電が一足先に輸送船を沈めに行く。完全に修理が終わったわけではないので85ノットまでしか出せないが、それでも足の遅い輸送船を捉えるのは簡単だった。

電「なのです!」ズドーン

輸送船は呆気なく炎に包まれ、重油と乗組員を散らして海中に消えた。

電「機関停止!生存者を救助するのです!」

機関室の妖精さん『・・・了解』

電の機関が停止し、輸送船の沈下場所で停止する。大規模な爆発が発生していなかったせいか、大勢の生存者が確認できる。

電「ハリマはあまり生存者がいなかったみたいですけど、今は大勢いてよかったのです」

艦長『気を抜くな。この辺りにもゲリラ艦隊は待ち構えているからな』

電「気をつけるのです」

PS2版(シュルツ出るやつ)で実際に対ハリマ仕様の電ちゃん作ってみた。

http://mup.vip2ch.com/mdl.php?img=42649

http://mup.vip2ch.com/mdl.php?img=42648


SS本来の仕様とは微妙に違うけど機能的には再現出来てる筈。

>>277
こっちのミサイルは鋼鉄と違って魚雷発射管から発射するタイプのものだけど、すごく再現できてる。
いやはや脱帽ッス!

電「大丈夫ですか?」

帝国兵士1「認めたくねーけど・・・ありがとよ」

ダメコンの妖精さん「生存者の50%を回収したのん!」

電「早く回収して、輸送船を探すのです!」

戦闘指揮所

電探の妖精さん「あれ、おかしいわね」

電「どうしたのですか?」

電探の妖精さん「電探の様子がおかしいのよ。さっきからモニターが砂嵐ばっかり映すの」

艦長『こっちもだ。超兵器ノイズとは明らかに違うものだが・・・」

電探の妖精さん「故障かもしれないから全力で調査中だけど、やっぱり気になるわね」

ズドーン!

電「な、何が起こったのですか!?」

電の戦闘指揮所を、急に強い揺れが襲った。何かを考える暇もなく、正面の大型モニターに外の様子が映される。

電探の妖精さん「こ、攻撃!?」

電の魚雷発射管が火を上げていた。ダメコンの妖精さんが消火剤を撒いているが、炎は既にかなりの範囲に広がっている。

電探の妖精さん「目視で敵艦を発見!ニューオーリンズ級重巡よ!」

電「全然気づかなかったのです・・・」

艦長『敵はジャミングしていたみたいだ。そのせいで電探が使えなくなっていたらしい』

電探の妖精さん「ジャミング・・・元の世界で『霧』の艦艇と戦った時も、こんなことがあったわね」

電「とっても強かったのです。特に紫の金剛型がすごかったのです」

艦長『ジャミング装置か。我々は電子対抗手段、縮めて「ECM」と呼んでいる。現在建造中のミサイル艦に装備させるものだったが・・・』

電探の妖精さん「敵はすでに実用化してたってことね」

電「はうぅ、敵もどんどん強くなっていくのです・・・」

艦長『仕方ない、生存者の収容を一時中断し、敵の排除に向かう。戦闘が終了した後は、優先的にこちらの救助活動をしよう』

電「ちょっと申し訳ないですけど、私が沈んでしまったら誰も助けられないのです・・・ごめんなさい!」

電は内火艇を下ろすと機関を再始動させ、その場の海域から離れた。主砲が敵艦の方を向き、魚雷発射管も旋回して発射に備える。

ニューオーリンズ級の主砲弾が深雪のすぐ近くで爆発し、装甲がわずかにひしゃげる。電も隣で主砲を発射し、応戦する。

電「なのです!」ズドーン

電の主砲がニューオーリンズ級の舷側を襲い、後艦橋の一部を吹き飛ばした。ニューオーリンズ級は魚雷を発射し、電を沈めにかかる。

電「に、逃げるのです!」

機関室の妖精さん『・・・大丈夫』

電は増速し、魚雷を全て回避した。それに合わせ、魚雷を連射する。魚雷のうち1発はニューオーリンズ級に直撃し、船体を傾かせる。

艦長『後は任せろ!』

深雪は主砲をニューオーリンズ級の魚雷発射管に向け、一斉砲撃する。防御の薄い魚雷発射管はすぐさま爆発を起こし、ニューオーリンズ級はあっというまに沈んでいった。

艦長『次、後方の駆逐艦群!』

電「は、はい!」アセアセ

電「はりゃーっ!?」

突如、駆逐艦から赤いレーザーが放たれた。それは電の装甲を簡単に破り、機関室を大破させた。

電「足が痛いのです・・・」

機関室の妖精さん『・・・機関損傷、動けない』

艦長『電磁防壁の上からなのに・・・何だ、あのレーザーは!』

電「つ、強いのです・・・」

艦長『電は後方に退避!応急修理をしろ!』

電「問題・・・ないですか?」

艦長『こっちはこっちで何とかするから、早く!』

電「わ、わかったのです」

わずかに残った動力でスクリューを回し、電は後方に下がる。敵の射程圏内から離れたところで、応急修理を開始する。

ソナーの妖精さんA「すっごく強いレーザーなのー」

ソナーの妖精さんB「なのー」

電「日本軍の怪力線に似てるのです。ここでは開発に成功しているのですね」

水雷長の妖精さん「さすがに強えなー」

ダメコンの妖精さん『応急修理、終わったのん!』

機関室の妖精さん『・・・一応、行ける』

電「機関始動!深雪ちゃんを助けに行くのです!ミサイル装填です!」シュウゥゥ

電のミサイル発射機が旋回し、深雪を取り囲む駆逐艦の1隻に対艦ミサイルを放つ。ミサイルは船体に直撃すると、大爆発を起こして駆逐艦ごと消滅した。

電探の妖精さん「気をつけて!南の海域から戦艦を含む小規模艦隊が接近中よ!戦艦はソビエツキー・ソユーズ級!」

電「命中させちゃいます!」シュウゥゥ

敵の戦艦に向けてミサイルが発射された。艦橋に大きなダメージを食わせたが、撃沈には至らない。

陸戦隊の妖精さん「妙だな。そう思わねぇか?」

電探の妖精さん「そうね。ゲリラ部隊にしては、あまりに戦力が整いすぎてるもの」

陸戦隊の妖精さん「迎撃してきた超兵器列車砲や双胴戦艦も、待っていたかのように出て来やがった」

電「ど、どういうことなのですか?」

電探の妖精さん「超兵器やゲリラ部隊を使って、あたしたちを潰そうとしてるのよ。他の場所で超兵器が出た、って話も聞かないし、確定でいいわね」

陸戦隊の妖精さん「超兵器といや、太平洋にいるアルウスと味方の旋風しか聞かねぇしな」

電探の妖精さん「全く、大変よね。でも、まずは目の前の敵からよ!」

電「な、なのです!」

ロゼ「戦艦隊、砲撃開始!アルウスの武装は攻撃体勢のまま待機!」

帝国兵士A「司令!戦艦ルイジアナ撃沈されました!インテゲルタイラント、AGSで駆逐艦を攻撃しながら接近中!」

アルウス艦長「どうしますかな、司令」

ロゼ「リフレクト・ブラッタの発見が最優先よ。今はジャミングして『ヤツ』との通信を切断してるけど、いつまで持つかわからないわよ」

帝国兵士A「リフレクト・ブラッタの航跡、まだ発見できず!」

ロゼ「見えない敵ほど怖いものはないわね」

アルウス艦長「光学迷彩の類ですな」

ロゼ「航跡が見えるから意味ないけどね」

帝国兵士B「リフレクト・ブラッタの航跡を発見しました!レーザーポインタを照射、艦載機のミサイルを誘導します!」

ロゼ「やっと見つけたわね。手間かけさせちゃって」

ロゼ率いるアルウスの航空艦隊と、帝国が差し向けた超兵器2機を擁する艦隊が、太平洋のハワイ沖で戦っていた。

仲間割れの理由は、ロゼが帝国に反旗を翻したからだ。

エーヴィヒグランツ作戦の内容を知り絶望したロゼは、合流しに来たリフレクト・ブラッタの通信を一方的に切って戦いを挑んだのだ。

ロゼ「艦載機はほとんど落ちてないけど、艦隊の方は被害が大きいわね」

帝国兵士B「撃沈4、大破2です」

ロゼ「それはいいわ。とりあえず、インテゲルタイラントの方を何とかしましょ。リフレクト・ブラッタはそこまで強くないけど、あれは艦隊の脅威になるわ」

航空艦隊の戦艦がインテゲルタイラントに一斉砲撃を加える。しかし、速度が50ノットも出ている戦艦に砲を当てるのは難しい。

ロゼ「艦隊の中央部まで入られたらアウトね・・・戦艦隊、何としてでもインテゲルタイラントを沈めるのよ!アルウス、主砲発射用意!艦載機隊、水雷戦隊への攻撃を中断してインテゲルタイラントの対処に当たりなさい!」

電と同じく艦隊に属さないインテゲルタイラントは、巨大な輪形陣を形作る航空艦隊の中心部に向かって突っ込んでくる。

帝国兵士A「インテゲルタイラント、艦橋大破!速力が30ノットにまで落ちました!」

ロゼ「よし、一気に主砲を叩きこんで!」

戦艦隊が一気に砲撃を敢行する。砲弾の雨に晒されたインテゲルタイラントの船体は、耐えきれずに真っ二つに折れて沈没した。

帝国兵士A「残りはリフレクト・ブラッタのみです!ご指示を!」

電「魚雷装填です!」ガシャン

電が魚雷を戦艦に放った。速度が落ちた戦艦を魚雷で狙うのは至極簡単だ。ソヴィエツキー・ソユーズ級は水柱を屹立させ、大爆発を起こして沈んでいった。

電探の妖精さん「敵残存艦隊、撤退していくわ」

電「これで輸送船を沈められるのです」

電探の妖精さん「それは無理ね。電探の有効範囲から輸送船が消えてるもの」

電「に、逃がしちゃったのですか・・・?」

電探の妖精さん「そうみたいね」

電「はわわわ・・・」

艦長『もう仕方のないことだ。その代り艦隊の旗艦は倒したことだし、帰ろう』

電「問題、無いですか?」

艦長『みんな笑って許してくれるさ』

陸戦隊の妖精さん「そうだといいがな」

ソナーの妖精さんB「なのー」

スキズブラズニル

電「・・・ということなのです」

提督「ま、いいんじゃない?輸送船は逃がしたけど、こっちはゲリラの艦隊をけっこう潰したし」

電「お役に立てなかったのです・・・」シュン

雷「そんなに落ち込まないの!また来たら倒せばいいんだから!ね、提督!」

提督「そうよ。そんなに落ち込んでたら、せっかくの可愛い顔が台無しよ?」

電「はうぅ・・・///」テレテレ

提督「ふふ、そういうとこ、本当に可愛いわね」

愛宕「うっふふ~♪そういう提督も、ちょっと可愛いですよ!」

提督「・・・もう!とにかく、みんなドックに入って整備して!」

電「それでは、ちょっと直してくるのです」イソイソ

暁「暁も直してくるわ。ちょっと疲れたし」

大和「私も、ちょっと休憩しますね」

提督「何だか、鎮守府にいる時みたいね・・・」

艦長「・・・」

ゲリラ艦隊のほとんどを撃滅した解放軍艦隊は、艦の整備と捕虜収容所の捜索を並行して行っていた。そして、その成果もあって捕虜収容所が発見された。

早川少将と副長も無事に発見され、健康診断を終えたところで提督たち艦娘勢と大和の艦内で顔を合わせた。

早川「初めまして、遣欧艦隊の司令の早川少将だ」

提督「横須賀鎮守府勤務のしがない提督よ。ま、覚えておいてね」

副長「私は元・軽巡『那珂』の副長ですっ!」

提督「ええ、よろしく(那珂ちゃん・・・)」

早川「しかし、艦隊を組んでまで助けに来るとは思わなかった。時空の出口か何かは既に無いものと思っていたが」

提督「電が消えた海域を捜索していたら、私たちまで飲み込まれたのよ。それで仕方なく」

暁「大変だったんだからっ!」

愛宕「でも、楽しかったわよー?」ウキウキ

副長(うわっ、すっごく大きなムネ!あたしも欲しいっ・・・!)

電「・・・気になるのですか、あのバルジ」

副長「うん」

電「電も、きっとあのような素敵な女の人になりたいのです!」

副長「なれるといいね。応援してるから!」

赤城「航空母艦、赤城です。主に艦隊防空を担います」

大和「大和型戦艦1番艦、大和です!」

愛宕「愛宕でーすっ♪」

暁「暁よ。一人前のレディなんだから!」

響「響だよ。よろしく」

雷「雷よ。かみなりじゃないわ。間違えないでよね!」

早川「見知った艦ばかりで心強い」

大和「そういえば、スキズブラズニルや天城提督の艦隊にも私たちがいましたね」

早川「常に最新の装備に更新しているから、かなり艦型が違っている艦もあるが」

赤城「初めてもう一人の私を見た時は、全くの別人と思っていました。甲板がいびつだからでしょうか?」

早川「アングルドデッキか。そう言われれば、赤城だけ全くの手つかずだったな」

赤城「あ、ハブられたわけじゃなかったのですね!」

早川「それは艦長に聞いてくれ。それより、赤城は作戦行動までに改修しなければならない。後で換装ドックに来てくれ」

赤城「了解しました」

赤城「あかひ、ははいふぁふぁいいふぁいひゃ(赤城、ただいま参りました)」ボリボリ

早川「せめて食ってるものを飲み込んでから言ってくれ・・・ところで、何を食べているんだ?」

赤城「ボーキサイトです」ゴックン

早川「・・・うまいか?」

赤城「この世界のボーキサイトは格別です!もっと下さい!」ジュルリ

早川「さて、換装作業に入ろう」

赤城「」モグモグ

早川「震電が配備されている分、他の空母より制空能力は高い。しかし、その他の能力が問題だな・・・」

赤城「これでも一航戦時代は無敵艦隊と呼ばれていたんです」

早川「だが、この速度と武装では、これからの戦闘には耐えられない。とにかく、CIWSと対空ミサイルを換装した上で船体の大改修を行う。覚悟しておけ」

赤城「あ、あまり身体を弄られると・・・」ポッ

早川「何だか疲れる・・・」

赤城

127mm単装砲 6基
20mmCIWS 10基
Mk25 GMLS 8基
速力 70ノット
アングルドデッキ装備
搭載機数75機、補用22機

研究員「震電改、着艦します!」

この世界の赤城で運用される予定の新型戦闘機『震電』。転移艦の赤城が搭載していた震電を基に改良を加え、更なる戦闘力の向上を図った最強の戦闘機だ。

しかし、帝国側は既にジェットエンジンを搭載した航空機の開発に成功している。現在、急ピッチで震電と新型機に搭載するジェットエンジンの製作に取り掛かっているが、成果はまだない。

提督「震電でさえうちの国じゃトップシークレット級だったのに、ジェットエンジンなんてとんでもないわ」

早川「しかし、敵はどんどん強くなっている。このままでは制空権を奪われたまま数々の戦いをしなくてはならなくなるだろう」

提督「そうだけど・・・」

電「ミサイルじゃダメなのですか?」

早川「ミサイルだけでは無理がある。連射ができない分、飽和攻撃に弱いからな」

大和「ほうわ、こうげきっ・・・!?」ブルブル

提督「大丈夫だからっ!ほら、元気出して!」

大和「は、はい・・・」

電「空母9、戦艦6、その他諸々・・・」

大和「ひいっ!?」

早川「駆逐艦が最強の戦艦を圧倒している・・・これが艦娘か。ってそうじゃない」

提督「あ、そうそう。震電だったわね」

早川「相手もジェットエンジンの開発には苦労しているらしい。震電も同じ速度が出せる上、レシプロ機は技術も成熟しているからな」

提督「まだ開発中の技術を使って同じかそれ以下の性能だったら、当然性能のいい方を選ぶわよねぇ」

早川「そういったところだ。ブラウン博士に頼んで開発を急がせてはいるが・・・」

提督「陸軍の震電とは違って海軍向けに作られた特別仕様の機体だし、構造も複雑だから苦労してるのね」

電「どこの国も、新兵器の開発には苦労するものなのです」

早川「そういうことだ」

暁「着艦に失敗した震電を釣ってきたわ。ふぅ」

電「トンボ釣りご苦労さんなのです」

暁「乗組員だけじゃなくて機体も回収しろって言われたわ。もう、疲れちゃったわよっ」

早川「お疲れさん。疲れただろうが、故障の原因究明のためにも、機体の回収は出来る限りやってくれ。一人前のレディなら、もちろんできるな?」

暁「と、当然よ!舐めないでよね!」

早川(一人前のレディは釣りに弱い、か)

しかしこのSS設定だと艦娘たちは実際の艦艇の形をとって戦闘してるんだよな
ということは、赤城に配備されてる戦闘機もリアルスケールになる訳でその中の人も…

ガルトナー『転移艦隊の皆さん、長旅お疲れ様です。私は解放軍大佐、アルベルト・ガルトナーです』

提督「初めまして。一応、電の保護者よ」

ガルトナー『この度は超兵器撃沈の援護及び技術供与、ありがたい』

提督「電を保護してくれてたんだし、当然よ。それに、連中もあたしたちを潰したいみたいだし」

ガルトナー『そこで、頼みたいことがあります。我々と共に行動を共にしてもらえませんか?電の存在は解放軍の士気を大いに高めてくれる』

提督「そうねぇ・・・シンボルとして使われるのはアレだけど、私たちも帰り方わからないし。とにかく、ここに居させてもらうわ」

ガルトナー『そう言っていただけるとありがたい。しかし、元の世界の戻り方は我々も存じません』

提督「そこは何とか私たちでするけど、そっちも出来る限り協力してくれると助かるわ」

ガルトナー『努力しましょう』


提督「思いのほか、話のわかる人でよかったわ」

シュルツ「我々としても、あなた方には感謝していますから」

提督「そういうことなら、すごく嬉しい。あまり衝突とか起こしたくないもの」

シュルツ「そうですね・・・」

>>308
どちらかといえば、アルペジオのイ401みたいな感じかな
艦これ航空機の中の人は妖精さん

ピピーッ、ピピーッ

オペレーター『こちら解放軍イギリス本部。アイスランド近辺に新型超兵器の艦影を補足。繰り返します。アイスランド近辺に新型超兵器を補足』

シュルツ「艦種はわかるか?」

オペレーター『戦艦の模様です。艦首に巨大な掘削用ドリル、舷側に2対のドリルカッターが装備されています』

提督「こんな時代に衝角があるの?わけがわからないわ」

電「あんなので削られたらひとたまりもないのです・・・」

オペレーター『偵察機の空撮写真を解析したところ、大口径のガトリング砲に噴進砲など、比較的短距離用の武器が装備されています』

提督「戦略としては、遠距離砲撃戦を挑んだ方が楽ね。大口径でもガトリング砲だから、連射力はそこそこ高いから駆逐艦だとキツいわ」

シュルツ「しかし、超兵器はアイスランドにいます。このままイギリスに向かわれることがあれば・・・」

電「何があるのですか?」

シュルツ「解放軍の本拠地、イギリスだ。そこを落とされれば、ヨーロッパ戦線が崩壊する。アジアだけでは連中には勝てない」

提督「それじゃ・・・」

シュルツ「足の速い艦で現地に赴き、撃沈するしかありません。特にスカパフロー駐留艦隊は先日の北海海戦で多数を撃沈され、今は迎撃もおぼつかない状態です」


※衝角・・・しょうかく。帆船や装甲艦の艦首に装備された、敵艦を攻撃する角。軍艦ではないが海底二万里のノーチラス号にも装備されている。

提督「まさに最悪の展開じゃないの・・・」

電「い、電が行くのです!」

提督「でも・・・」

電「ここで負けたら、多くの人の命が消えるのです。そんなの・・・見ていられないのです」

提督「電、気持ちはよくわかるけど、あなたが沈められたら意味が無いのよ。生きてこそ価値があるの。特に、戦争はそうよ」

電「提督さん・・・」

シュルツ「しかし、ここでイギリスを落とされたら、何もできないまま我々は負けることになります。幸い、第六駆逐隊と深雪は70ノットを超える快速艦、全速力で飛ばせば間に合うはずです」

提督「・・・勝算があるだけじゃダメなの。一隻も沈めずに勝たないと、意味が無いの。私たちは全員揃って帰るのが目的だから」

電「でも、この世界のお姉ちゃんたちも沈められちゃうかもしれないのです・・・」ウルウル

シュルツ「お気持ちはわかりますが、今はイギリス防衛が先決です。解放軍が倒されれば、あなた方を守るものは何も無くなります」

提督「・・・わかったわよ。第六駆逐隊と赤城は先行してドリル戦艦にダメージを与えて。大和と愛宕は解放軍艦隊と行動を共にすること」

電「提督さん!ありがとうなのです!」

提督「その代り、沈まないで。絶対に生きて帰ってきなさいよ。シュルツ少佐、早川少将に連絡して」

電「なのです!」

シュルツ「了解しました」ビシッ

突如発令された超兵器警戒令を受け、遣欧艦隊は艦隊を二つに分けて超兵器撃沈に赴くことになった。

電を旗艦とした第2艦隊を編制し、電、暁、響、雷、深雪で構成される第6駆逐隊、赤城(艦娘)、暁星で構成される第1航空戦隊が先発艦隊になった。

早川「諜報部から更に情報が届いた。敵艦の名は『超巨大ドリル戦艦アラハバキ』、ガトリング砲などの他にミサイルやレーザーを装備しているらしい」

電「レーザーまであるのですか・・・すごく強そうなのです」

副長「でも、空母があるから少しは足止めできるよね!」

早川「いや、そうでもない。相手の機関部を破壊しない限り、あの艦首ドリルで掘ってくるだろう。アレをどうにかしない限り、勝機は無い」

雷「相手の攻撃をかわしながら魚雷を叩きこめばいいのよ!ね、司令官?」

早川「それも難しい。ガトリング砲の口径は戦艦の主砲レベルだ。直撃弾を食らえば中破は免れない」

赤城「やっぱり、艦載機が鍵でしょうか?」

艦長「確かに艦載機があれば、接近前にダメージを与えられますが・・・」

早川「二隻分の爆撃機と雷撃機だけでは無理がある、か。どちらにしろ、駆逐艦の突撃は必要事項だ」

暁「と、突撃・・・っ」ブルブル

響「大丈夫かい?」

暁「大丈夫なんだからっ!レディを舐めないでよね!」

電「第六駆逐隊、出撃です!」

お決まりの戦隊に深雪と赤城、暁星を加えた艦隊がスキズブラズニルを後にする。

響『そういえば、あの時もこうだったね』

早川「あの時とは?」

電「電がこの世界に来た時のことなのです。あの時は、敵泊地の偵察のために第六駆逐隊を編制していたのです」

早川「そうだったのか・・・また姉妹に会えてよかったな」

暁『でも、今回は偵察任務じゃないわ。超兵器を倒す、重要な仕事なんだから!』

雷『張りきりすぎて失敗しちゃったら意味ないわ。慎重に行きましょ!』

響『そういう雷が前に出過ぎて失敗することが多いんだけどね』

雷『そ、そんなことないわ!ね、電?』

電「出しゃばりすぎだということを自覚しやがれなのです」

雷『・・・ハイ』

早川(本当に彼女が電なのか怪しくなってきた)

早川「我々はこれからツーロン港に向かう。そこで補給を行った後は、各地に停泊している補給艦から燃料を受け取りながらイギリスを目指すことになる」

赤城『かなり切羽詰まっていますね』

早川「これも仕方ない。今回は時間勝負だからな」

副長「缶蹴りみたいな感じですね!」

早川「缶蹴りは鬼をぶっ飛ばすようなことはしないぞ」

雷『でも、考え方は似てるわよね!』

副長「ううっ、雷ちゃーん!」

早川「・・・とにかく、我々はアラハバキを撃沈しなくてはならない。そのためには、早く現地に向かう必要がある。総員、戦闘態勢を維持したまま第3戦速を維持せよ」

暁『何日も走りっぱなしだなんて、疲れちゃうわ』

電「こ、これもみんなを守るため、なのです・・・」

響『大丈夫だよ・・・多分』

雷『雷は大丈夫なんだからっ!!』

赤城『・・・(お腹が空きました)』グゥゥ

数日後、ツーロン港を出港した第2艦隊は、ジブラルタル海峡に差し掛かっていた。

早川「ヘラクレスの柱、か」

電「それって何なのですか?」

早川「ジブラルタル海峡の別名だ。ギリシャ神話では、ヘラクレスという英雄が元あった山を破壊して地中海と大西洋を繋げた、ということになっている」

電「ヘラクレスさんは強いのです・・・」

早川「あくまで伝説だ。ダンテの神曲では、オデッセウスという男がここを通過し、5ヶ月後に煉獄を発見している。だが、その船は竜巻を受けて沈没してしまった、と言われている」

電「え、縁起が凄く悪いのです・・・」ブルブル

早川「だが、その伝説と関係ある名前を持つムスペルヘイムとヴィルベルヴィントは既に撃沈した。心配することはない」

副長「司令代行の言う通りだよ、電ちゃん!」

電「司令官さんはいじわるなのです・・・」

早川「別にいじわるしたいがために言ったわけじゃない。そういった話もある、ということを言いたかっただけだ」

ピピーッ、ピピーッ

電探の妖精さん「司令官!敵を発見!12時方向!」

早川「何だと!?艦隊の規模は?」

電探の妖精さん「天城型戦艦3隻、大鳳型空母4隻、長良型軽巡6隻、吹雪型駆逐艦8隻よ!」

早川「高速艦隊か・・・しかし、問題無い。艦載機隊は直ちに発艦!制空権を確保せよ!駆逐艦は突撃し、天城型戦艦を優先して撃破せよ!」

赤城『日本艦隊、ですか・・・』

雷『・・・私、行くわ!もう提督に悲しい顔はさせないんだからっ!』

単縦陣から外れた雷は、単独で敵艦隊に突っ込んでいく。

早川「待て!梯形陣に変更してから・・・」

雷『やああああっ!!』

早川の制止にも関わらず、雷は敵の射程範囲に入る。天城型の41cm砲が火を噴き、雷を襲う。しかし、機動性の高い駆逐艦に当たるはずもなく、雷は更に前進を続ける。

雷『提督の悲しむ顔なんて、もう二度と見たくないんだからぁぁ!!』ズドーン

雷の放った12.7cm砲は、吹雪型の一隻に直撃して大爆発を起こした。艦橋を吹っ飛ばされた吹雪型は、速度を落として艦隊から落伍した。

赤城『雷ちゃん!』

赤城が叫んだ時には既に遅かった。吹雪型を屠った雷は、天城型から一斉砲撃を受けていた。

雷『きゃああっ!!』ドゴォォ

早川「雷っ!!」

雷『い、雷は、大丈夫、なんだからっ・・・』

早川「待て!死ぬ気か!?」

電「待ってほしいのです!」

雷『魚雷、てーっ!!』ガシャン

艦橋と艦尾をボロボロにされても、雷は戦いをやめない。急速に反転した雷は、天城型の1隻にありったけの魚雷を流し込む。

電探の妖精さん「天城型、轟沈!でも、このままじゃ雷が・・・!」

早川「駆逐隊は突撃して雷の援護!急げ!」

暁『もう、手のかかる妹なんだから!』

響『全力で行くよ』

電「絶対に助けるのです!」

電探の妖精さん「大鳳型4隻から艦載機隊発艦!紫電と流星、橘花を確認!」

赤城『橘花?知らない子ですね』

早川「ジェット機だ。速度は震電以下だから問題はないはずだ。しかし、できるなら鹵獲したいところではあるが・・・」

電「今はそれどころじゃないのです!」

早川「わかっている。まずは、雷を助けなければならんな。大鳳型を潰せ。一隻は航行不能にまで留めておけ」

電「わかったのです!」ズドーン

電が放った12.7cm砲弾は、大鳳型の高角砲座を吹き飛ばした。更に艦橋に攻撃を加え、指揮能力と煙突の機能を停止させる。

早川「油断するな!航行不能にはなっても、まだ母艦としての機能はあるはずだ。甲板を潰せ!」

赤城『お任せください!』

赤城の彗星が数機ほど大鳳に急降下爆撃を加え、大鳳のエレベーターを破壊した。

早川「よし、よくやった!」

電探の妖精さん「本艦直上に爆撃機!橘花よ!」

早川「主砲及びCIWS、射撃開始!至近弾に備えよ!」

同じく戦闘機の目をかいくぐってきた橘花の群れが電に襲いかかる。電は増速して離脱を試みた。しかし、航空機は叩き落とせても爆弾までは防げなかった。

電「ふあーっ!?」ドゴォォ

ダメコンの妖精さん「第二魚雷発射管に被弾したのん!」

響『こちら響。大鳳型1隻と吹雪型3隻を撃破したよ』

暁『こっちは天城型を倒したんだから!』

艦長『こちら深雪!長良型2隻を撃沈しました!しかし、損傷が激しく航行不能!』

暁星艦長『こちら暁星。甲板に被弾し航空機着艦不能。赤城に航空機を収容させます』

早川「雷はどうした!?」

雷『天城型1隻、大鳳型2隻、長良型3隻、吹雪型3隻・・・よっ』

早川「無理をするな!今すぐ戻れ!」

雷『何も心配しなくていいわ。だって、雷様がいるんだから・・・!』

残った天城型の砲撃を受けながらも、雷はミサイルを発射しつつ天城型に接近する。天城型もミサイルで相当なダメージを受けているらしく、後部甲板が吹き飛んでいた。

雷『てーっ!!』ガシャン

雷は最後に残った3本の魚雷を放った。天城型は轟沈し、雷の速度が急速に下がっていく。

電「雷っ!」

早川「敵艦は反転していったか・・・暁は雷を後方の解放軍艦隊まで運べ」

暁『わ、わかった・・・わよ』

本日付でトラック泊地に着任いたしました! 最初の旗艦はもちろん電です
これからも楽しみに読ませていただきますね

>>330

白状するけど俺提督はブルネイなのです
震電とか持ってませんゴメンナサイ
そして大和は書いてる途中にゲットしました

読者さんも毎回ありがとうございます。何かとご都合主義で通してるけど、最後まで書きます

数時間後、雷は無事に解放軍艦隊に合流し、スキズブラズニルで長期の入渠を強いられた。

アラハバキは目下のところアイスランドに停泊中だが、解放軍が拠点にしているヨーロッパ西部に侵攻するのは時間の問題だ。アメリカも大部分が敵の勢力圏に落ち、解放軍に対する包囲網は着々と完成しつつあった。

早川「雷は無事だったか。よかった」

電「沈められなくて、本当によかったのです・・・」

副長「でも、心配よねぇ」

早川「しかし、もう心配することはあまりないだろう。今はアラハバキの撃沈が最優先課題だ」

電「司令官さんは冷たいのです・・・」

早川「・・・っ、そうか。長い間艦橋や執務室にいると、仲間の負傷が現実のものだと思えなくなってくるんだ。艦橋は、戦場に一番近くて遠いところだ」

電「わ、私には、あまりわからないのです・・・」

早川「そうか、艦の沈没は艦娘の死でもあるんだったな」

副長「えぁっと・・・みんな、元気出していこっ!ほら、司令代理も元気出してください!」

陸戦隊の妖精さん「副長の言う通りだぜ。元気出しな」

電「は、はい、なのです」

早川「考えても仕方ない。雷や他のみんなにも、後で何かしてやらないとな」

早川「雷だけでなく、他の艦も意外と損傷しているな・・・」

早川は各艦の被害状況報告を見て、辛そうな声を上げる。

先の戦闘で大鳳型とジェット機を何機か鹵獲したのはいいが、その分艦隊の被害も相当の物だった。暁は至近弾を受け装甲に亀裂が生じ、電は肝心の魚雷発射管が使えない。

響『私は被弾してないけど、他のみんなのことが気になる。スキズブラズニルに戻ろう』

赤城『賛成です!お腹が空きました!』グゥゥ

早川「わかった。時間が惜しいが、幸いにもアラハバキはまだ行動を開始していない。戦艦を何隻か編入するくらいの余裕はあるな」

早川の判断で、艦隊は一旦引き返すことになった。スキズブラズニルを擁する戦艦隊と合流し、艦隊の修理を行う手はずだ。


大和「お疲れ様です。司令官さん」

提督「こっぴどくやられたわね。でも、大鳳ちゃんがゲットできたからよかったけど」

早川「大鳳・・・ちゃん?」

提督「うちにも大鳳はいるわよ。よく駆逐艦をかばってくれるの」

電「ガスのたまりすぎでよく爆発するのです」

提督「た、確かにそうだけど・・・」

早川(大鳳といえば・・・天城の艦隊にもいたな。あいつは元気でやっているだろうか)

鎮守府

大鳳「くしゅん!」

羽黒「風邪、ですか?」

大鳳「そうじゃないみたいだけど・・・誰か噂してるのかしら?」

妙高「まさか、また電ちゃんだったりしませんか・・・?」

大鳳「い、電さんは・・・ご、ごめんなさいっ!」

羽黒「え、えっと、あの・・・ごめんなさい!」

早川「仕方ない。シュルツ少佐のリジルを借りよう。元が高速戦艦だから、我々の艦隊にも追従できるはずだしな」

シュルツ「了解しました。しかし、ドリル戦艦の対策はどうするのでしょうか?」

早川「戦艦隊の砲撃では味方駆逐艦を巻き込んでしまう恐れがあるから避けたいのだが・・・この際、夜戦に持ち込んで駆逐艦娘の絶大な攻撃力に期待しようか」

電「カットインは調子が出ないと難しいのです・・・」

響「それに運も絡んでくるし」

ブラウン「では、新型の兵器を試してみましょう」

早川「ブラウン博士!?いつの間に現れたんだ」

ブラウン「ミサイルの誘導技術を使用し、誘導砲弾の開発に成功したところです。戦艦の砲に装備できれば、かなりの威力を発揮すると思います」

早川「なるほど、AGSか・・・」

電「AGSって、何ですか?」

早川「正式名称を先進砲システムといって、誘導砲弾を発射する新型砲だ。今回は旧式の砲に専用の新型電探を搭載し、哨戒機と組み合わせて敵へ砲弾を誘導する」

電「何だか、とっても凄そうなのです!」

早川「駆逐艦用の砲弾もあるから、一応それでも使えるはずだ」

ブラウン「それと、アラハバキの空撮写真を解析してみたのですが、面白いことがわかりました」

早川「面白いこと?」

ブラウン「はい。ドリル戦艦は艦尾に噴射ノズルを持っているようです。それで加速し、敵艦に体当たりを仕掛けるものかと」

電「はううぅ、まさにテケテケなのです」

早川「追い払う呪文でアラハバキを破壊できたらいいのにな」

ブラウン「とにかく、これで戦艦の砲撃で支援をしつつ、駆逐艦をアラハバキの周囲に展開できます」

シュルツ「これはいい。しかし、肝心の数はどうでしょうか?」

ブラウン「46cm砲弾が3000発、12.7cm砲弾が1万発あります。通常海域では使用するのは難しいかと」

シュルツ「結構です。通常戦闘時は別に通常の砲弾を用意しますので」

早川「そうと決まったところで、早めに出港しよう。第1艦隊は雷と暁星を外し、青鶴、艦娘大和、リジルの3隻を新たに加える。艦隊速度は遅くなるが、それも仕方ない」

電「ちょっと大変な航海になりそうなのです」

早川「そうだな・・・しかし、この難局を切り抜けることができなければ、我々は淘汰されるのを待つしかない」

電「せっかくみんなと会えたのに、それは嫌なのです!」

早川「よし、よく言った。では、各艦艇は出撃準備を開始せよ」

新型の誘導砲弾を搭載した部隊は、夜明けと共にスキズブラズニルを発った。雷が撃沈されかけるという事態があったものの、まだ大丈夫だ。

電「ところで、今はどのあたりにいるのですか?」

早川「我々の艦隊はポルトガル沖にいる。アラハバキの速力はまだわからんが、ヴィルベルヴィントのような怪物じみた速度を持っていないなら十分スカパフローまで到達できるだろう」

電探の妖精さん「それに、周囲にいるのは敵の偵察艦隊だけみたいだし、別に気にすることはないわよ。ソナーにも反応はないみたいだし」

早川「空母がいないだけマシか・・・」

電「く、空母より潜水艦の方が怖いのです・・・」

早川「潜水艦か・・・そういえば、こっちの電は戦艦に撃破されたんだったな」

電「そうなのですか・・・?」

早川「そうだ。サウスダコタ級の主砲に射抜かれ、一撃で轟沈・・・おっと、君に話すようなことではなかったな」

電「こっちの電が沈められてると聞いたら、やっぱり悲しいのです・・・」

早川「そうか・・・そうだよな。日本艦隊と戦った時も辛かっただろう。姉を倒すことになったんだからな」

電「やっぱり・・・戦争は辛いのです」

ロゼ「エーヴィヒグランツ作戦・・・もうヴァイセンベルガーを相手取ってる暇は無いわね」

鹵獲したリフレクト・ブラッタのデータバンクを閲覧していたロゼは、ふとつぶやいた。

帝国兵士A「超兵器戦艦『ヴォルケンクラッツァー』及び超兵器航空戦艦『リヴァイアサン』を同時運用し、波動砲と津波で世界を破壊し尽くす・・・何て酷い」

アルウス艦長「これは物凄いことになりそうですな」

ロゼ「物凄いの騒ぎじゃないわ。世界が滅ぶかもしれないわよ」

アルウス艦長「むう・・・」

ロゼ「ヴォルケンクラッツァー1隻だけでも一国の海軍全ての戦力に匹敵するほどの力があるのに、リヴァイアサンまで出てくるなんて・・・」

帝国兵士A「彼紺艦隊ならば、奴らと対等に戦えるのでは!?」

ロゼ「ダメよ。大和の主砲でもヴォルケンクラッツァーにとっては蚊に刺されたようなもの、いずれは弾薬が尽きるか主砲で一撃よ」

アルウス艦長「確か、彼紺艦隊の駆逐艦は夜戦の時に戦艦以上の力を発揮する、ということでしたが・・・」

ロゼ「それに懸けるしかないけど、魚雷は弾数が少なすぎる上に防御力が足りないわ」

帝国兵士A「それでは、どうすれば・・・」

ロゼ「でも、超兵器機関を暴走させることができれば、勝てるかもしれないわね」

帝国兵士A「しかし、それは・・・」

ロゼ「この際、構ってられないわよ」

アイルランド沖

電「もう少しでスカパフローに着くのです!」

早川「意外と早く着いたな。いいことだ」

アイルランド近辺を航行する第1艦隊は、アラハバキを警戒しつつ北上を続けていた。目指すは、スコットランドのオークニー諸島に存在する海軍施設、スカパフロー基地だ。

赤城『気づけば、こんなところまで来ましたね』

響『金剛さんが生まれたところだったよね、確か』

電「シーメンス事件でゴタゴタが起こってたのです」

暁『それ、金剛の前じゃ禁句よ!』

電「つい言っちゃったのです」

早川(最近、電の様子がおかしすぎる・・・)

電探の妖精さん「ま、まぁ別の人格みたいなものだし、放っておいて問題はないわよ」

ソナーの妖精さんB「わよー」

早川「そ、そうなのか・・・」

電探の妖精さん「でも、問題発言が多いのは認めるわ。この前なんて加賀さんを泣かせ・・・」

ピピーッ、ピピ…ガガガガガガ

電探の妖精さん「北方より巨大なノイズ!超兵器よ!」

早川「何と言うことだ・・・総員、戦闘配置!恐らくアラハバキだ。油断するな!」

副長「ノイズ極大化!超兵器接近!」

早川「あれは・・・間違いない、アラハバキだ」

早川が双眼鏡を通して見たのは、艦首に1基の巨大なドリルが装備された戦艦だった。

副長「すごいですね。本当にドリルがついてます!」

早川「駆逐艦は側面から突撃!空母は艦載機を出撃させよ!戦艦は順次主砲射撃開始だ!」

電「なのです!」

電、暁、響、深雪が速度を上げ、2隻に分かれてアラハバキに接近する。大和とリジルは空母と共に単縦陣を維持し、AGS砲弾を発射していく。

早川「何とか敵のガトリング攻撃をよけつつ、魚雷を撃ってくれ。それしか勝つ方法はない」

電「怖いけど、何とかやってみるのです!」

響『注意しなよ。ほら、来たよ』

アラハバキは電と響を狙ってきた。艦首からけたましい轟音を響かせながら、荒ぶる神が接近する。

電「に、逃げるのです!」

早川「ドリルには接触するな!一瞬で鉄クズにされるぞ!」

電「はわわ!掘られるのは嫌なのです!」アセアセ

電「ミサイル装填です!」

電はミサイルを敵艦のドリルに向け、破壊を試みる。しかし、ミサイルは呆気なくドリルに砕かれて爆発した。

電「み、ミサイルが効かないのです!!」

早川「落ちつけ!ドリルに攻撃しても無駄だ!現在のアラハバキの速度はおよそ45ノット、全力を出せば後ろに回り込めるぞ!」

電「な、なのです!」アセアセ

響『これは流石にマズいね・・・』ブルブル

ドリルに追われ、急速転舵した電と響は、アラハバキの右舷を通って後ろに着いた。アラハバキも後ろにいる駆逐艦を狙うが、巨体故に動くことができない。

副長「やったっ!ドリルから逃げられましたっ!」

早川「魚雷装填!撃てーッ!」

電「魚雷装填です!」ガシャン

響『さて、やりますか・・・!』ガシャン

2隻はアラハバキに魚雷を目いっぱい撃ち込む。巻き上がった水柱が壁を形成し、一瞬だけアラハバキの船体を隠す。

早川「よし、次弾装填急・・・なっ!?」

急に電の船体が大きく揺れた。高波に襲われたらしく、早川はバランスを崩して床に倒れた。

副長「あ・・・あ・・・司令代行、あれ!」

早川「どうした!?」

電「にに、逃げるのですっ!!」

前方い設置された電の右舷を撮影しているモニターを見ると、アラハバキの巨大な船体が急速に接近しているのが確認できた。舷側のドリルカッターが刃を光らせ、迫ってくる。

電「はわわわ!横にスライドしてくるのです!」

副長「きゃああぁぁ!!もうダメ、死んじゃう!」

早川「取り舵一杯!全速力で逃げろ!」

迫りくるアラハバキのドリルカッターを恐れて、電と響は左に転舵して離脱した。間一髪のところでアラハバキは横移動をやめ、速度を落とす。

副長「あれは一体・・・」

早川「サイドスラスターだ。艦を停止させたまま横に移動するため舷側に装備される小型のプロペラだ。しかし、湾内で使うものとはケタ違いのパワーだ・・・まさに格闘戦のプロだな」

暁『ぴゃあああ!!』

早川「どうした!?」

暁『砲弾が雨みたいに降ってくるのっ!!』

艦長『大口径ガトリングです!深雪、二発被弾し中破しました!』

早川「やはり駆逐艦で敵艦を翻弄させる作戦はダメだったか・・・」

アラハバキに数発の主砲弾が落とされるも、舷側の対空バルカン砲を数基破壊するに留まる。それに比べ、ガトリングで狙われている暁と深雪の被害は大きくなるばかりだ。

電「つ、強すぎるのです・・・」

早川「諦めるな!手はあるはずだ・・・何としてでも、奴をここで沈めなければならない」

響『ウラーッ!』ガシャン

電がアラハバキに接近している最中、響は遠距離から魚雷で攻撃する。さすがにアラハバキの船体もグラリと揺れるが、撃沈にはまだ遠い。

大和『こうなればっ・・・皆さん!Z弾を使用します!直ちに離脱してください!』

早川「Z弾も使うか・・・状況は緊迫してきたな」

電「Z弾って何なのですか?」

早川「クラスター爆弾だ。主に敵の武装を破壊するために使用される。AGSと同じく開発していたもので、AGS弾に搭載することを前提に作ってある」

電「やっぱり・・・この世界の兵器はすごいのです」

急速転舵すべく速度を落としたアラハバキから、駆逐艦隊が離れていく。大和から発射されたZ弾はアラハバキの艦橋付近で爆発し、小型爆弾の雨を降らせた。しかし、艦橋は一部が損傷しただけだ。

早川「さすがは超兵器、防御力も並じゃないな。大和、徹甲弾に切り替えて攻撃してくれ」

大和『は、はい・・・すみません』

早川「謝る暇があったら砲撃だ。対策しても効果が無いことなど幾らでもある」

大和『りょ、了解しました』

シュルツ「何て硬い艦だ・・・」

筑波「あんな物を艦首につけておきながら、機動力も抜群・・・まさに超兵器ですな」

ナギ「あんなの、強すぎですっ!航空機隊がいれば楽でしょうけど・・・」

ブラウン「いえ、赤城と青鶴の航空機隊もあまり歯が立っていない模様です。格闘戦が主な攻撃手段となると、防御力も必要になってくるからでしょう」

シュルツ「何とか奴の装甲を抜ける方法はありませんか?」

ブラウン「本来なら艦尾の噴射ノズルを狙った方が早いのでしょうが、バルカン砲とドリルがある以上は接近することさえ危険です」

早川『駆逐艦の砲でも抜けるか!?』

ブラウン「無装甲なら可能ですが、大和型の煙突のように蜂の巣装甲が施されていた場合、かなり難しいと思われます」

早川『そうか、やってみよう!電、聞いたか!?』

電『な、なのです!』

シュルツ「では、我々はアラハバキに少しでもダメージを与えましょう。大和、君も全力を尽くしてくれ」

大和『もちろんです!』

シュルツ「よろしい。砲撃を続行せよ!ミサイル発射!目標、敵艦橋!」ゴォォ

大和『垂直発射装置、射撃、始め!』シュウゥゥ

電「命中させちゃいます!」ズドーン

響『攻撃するよ』ズドーン

電と響の砲撃がアラハバキの艦尾ノズルに命中する。思いのほかダメージが大きかったらしく、爆発の規模も相当なものだった。

早川「装甲が施されていなくてよかった。これで何か張っていようものなら・・・」

電「も、もう考えたくないのです・・・」

響『それより、早く攻撃しようよ』

電「そうだったのです。あの汚いとん●りコーンをさっさと沈めてやるのです」

副長「ひどーい!あたしとんがり●ーン好きなのに!」

早川「2人とも、伏字の意味が無いぞ・・・」

響『電はいつの間にお笑いコンビを結成したんだい?』ズドーン

響の一斉射撃が更に命中し、艦尾ノズルは完全に吹き飛んだ。加速が使えなくなり、アラハバキの動きがわずかに鈍る。

早川「よし、沈めてしまえ!」

響『無駄だね・・・くっ!』ドカーン!

早川「どうした!?」

響『あ、熱い・・・』

電「司令官さん!あれを見るのです!」

早川「レーザーか・・・!」

アラハバキの艦尾から、緑色の太いレーザーが放たれて、響の艦首を吹き飛ばしていた。言うまでもなく響は航行不能に陥り、その場に停止した。

電「響が被弾したのです!」

早川「畜生!電磁防壁を装備していない艦は全て退避だ!響は後進して大和のところまで戻れ!」

響『迷惑かけてすまない・・・』

電「後は任せてほしいのです!」

響『うん・・・電、いつの間にか、すごくカッコよくなったね。それも、長門に負けないくらい』

電「そ、そんなことは・・・ない、のです」タジタジ

早川「お喋りしている時間があったら、早く行け!掘られても知らないぞ!」

響『それは勘弁してほしいな。じゃあね、電。また後で』

電「頑張るのです!」

暁が響を曳航する中、アラハバキは響に向かって更にレーザーでの攻撃を続ける。電は舷側について魚雷を発射し続け、駆逐艦隊を逃がそうとする。

早川「電磁防壁を装備している艦は電とリジルだけか・・・仕方ない、ここは電だけで抑えるぞ!」

電「ちょっと怖いけど・・・頑張ってみんなを守るのです!」

早川「魚雷発射用意!何としてでも沈めろ!」

電「なのです!」ガシャン

電はアラハバキから数百メートル離れた地点から魚雷を連続で叩き込む。超兵器といえど船であることに間違いはなく、徐々にアラハバキの船体は傾いていった。

ガァン!

ダメコンの妖精さん『レーザー、艦尾に命中したのん!舵が故障したのん!』

早川「くッ・・・応急修理急げ!」

電はその場で機関をアイドリング状態にしつつ、応急修理を行う。しかし、その最中にガトリングの攻撃が降り注ぎ、後艦橋も被弾する。

早川「修理を舵に集中させろ!それ以外は構わん!」

ダメコンの妖精さん『修理できたのん!』

早川「よし、攻撃準備できるまで逃げ続けろ!」

電「逃げるのです!」

電は最高速度の92ノットを出し、アラハバキの大口径ガトリングから逃げ続ける。魚雷はまだ準備中で使用できず、代わりに砲で対抗するしかなかった。

電探の妖精さん「主砲、アラハバキの艦橋に命中!被害なし!」

早川「魚雷の準備はまだか!?」

電「まだなのです・・・」

大和『主砲、斉射、始め!』ゴォォ

大和が支援砲撃を再開し、アラハバキにAGS徹甲弾を発射する。偵察機の誘導により目標に向かう砲弾は、高威力ながら命中率も高い。

大和『艦橋に命中!』

副長「すごいです!大和さん!」

大和『ふふ、ちょっと晴れがましいですけど、やりました!』

電探の妖精さん「これで指揮系統も・・・あれ、ドリルを見て!」

早川「どうした?」

電探の妖精さんに言われるまま早川はドリルカッターを見た。すると、動きが停止しているのが確認できた。

早川「ドリルが停止しているぞ!何があったか知らんが、これで戦える!」

副長「艦橋でドリルを制御していたんですね」

電「ひとまず助かったのです・・・」

早川「完全に沈めたわけじゃない。油断するな」

電「な、なのです!」

電「魚雷装填です!」ガシャン

アラハバキに最後の魚雷を撃ち込んだ電は、少し離れて砲撃戦を挑む。既にアラハバキは大和とリジルの砲撃により上部兵装もほとんどが壊滅し、瀕死の状態に陥っていた。

止めを刺すのは簡単だった。大和の砲弾がアラハバキの喫水線下を直撃し、ドリル戦艦は為す術もなく横転して爆発を起こした。

電「やったのです!・・・あっ、生存者を救出しないといけないのです」

早川「よし、要救助者を捜索した後はドックに帰って休もう。まだ欧州から帝国を追い出したわけじゃないからな」

電「うう、そうだったのです・・・」

電がアラハバキの生存者を助けに行こうとした時、通信が入った。司令部からの緊急通信だった。

早川「こちら遣欧艦隊の司令、早川だ。どうした?」

オペレーター『敵超兵器がカテガット海峡を抜け、イギリスに接近しています。直ちに迎撃願います』

早川「何だって?カテガット海峡ということはバルト海から来たんだろう。なぜ今まで黙っていた?」

オペレーター『超兵器ノイズのため通信が困難な状況でした』

早川「わかった・・・電、ここは別の艦に任せて、我々は次の超兵器を撃滅しに行く。わずかではあるが、整備する時間はあるだろう」

電「連続で超兵器戦なんて、自信がないのです・・・」

早川「あの時、ヴィルベルヴィントとアルケオプテリクスを相手にしたじゃないか」

電「あ、あれは・・・アルケオプテリクスが逃げたから耐えられたのです」

早川「敵の艦種は?」

オペレーター『艦砲と思しきものは連装砲が2基のみ、それ以外は全て奇妙なオブジェのような外観をしています。そのうちの1基が防衛艦隊にレーザー攻撃を仕掛けていたことから、レーザー戦艦と思われます』

早川「レーザー戦艦だと?くそっ、リジルと電だけが頼りか・・・」

大和『私も行きます!』

早川「ダメだ。君は電磁防壁を装備していない。開発も遅れていて装備は・・・」

大和『開発部に問い合わせたところ、1基だけ余っているとのことでした。お願いします!』

早川「・・・わかったよ。ただし、無茶なマネはするな。それだけは約束してくれ」

大和『はい!』

早川「では、一旦スキズブラズニルに戻る」

その場を他の艦に任せ、電とリジル、大和は航路を引き返してスキズブラズニルに戻った。すぐさま入渠し、装備を整える。

電「えっと、大和さん・・・」

大和『なあに?』

電「何で次の超兵器戦に参加しようと思ったのですか?」

大和『だって、電ちゃん1人だけで出すなんて、見てられなかったもの。今まで一人にしてごめんなさい』

電「あ、あのっ・・・」テレテレ

ブラウン『超兵器レーザー戦艦ですか・・・厄介ですね』

大和『怪力線に似たようなものですか?』

ブラウン『高エネルギーの光を発射する兵器です。不発弾はなく、秒速30万kmという速さで敵を襲うので、電磁防壁なしでこれを防ぐことはできません』

電「アラハバキとヴリルオーディンに搭載されていたものなのです」

大和『やっぱり・・・熱いのかしら?』

電「すごく熱いのです・・・」

筑波『丸焼きになるのは嫌ですなぁ』

シュルツ『しかし、これを撃破しなければ欧州は解放されない。全力を以てこれを撃滅したい』

早川「シュルツ少佐の言うことはもっともだ。さっさと沈めてしまおうじゃないか」

電「テカテカ光るだけのノロマはとっとと海の底に叩き落としてやるのです」ジャキッ

大和『あ、あははは・・・』

筑波『ハハハハ!これは頼もしいですな!』

提督『本当にのんきねぇ』

Z弾は旭日の艦隊の兵器じゃなかったっけ

えー、先週トラックに着任して一週間。軽巡6隻揃えましたけど、1-4で敵空母にボコボコにされて詰まってます

>>368
任務で赤城を手に入れればぐっと楽になりますぜ。空母開発しないといけないけど
ちなみにZ弾は言われた通り旭日の艦隊ww

戦艦は金剛型だけで十分と思うのは果たして俺だけなのだろうか・・・

スキズブラズニル 司令室

提督「思えば、とんでもない世界に巻き込まれたわよね・・・」

電「何もかもが新発見で溢れているのです!」

提督「超兵器に未来の技術、か・・・私たちの世界は全然技術が進んでないから」

電「私たち艦娘の中にもミサイルや核兵器の存在を知っている人はいますけど、レーザーを知ってる人はいなかったのです」

提督「そっか。電ちゃんたちの前世は大日本帝国の艦だったんだっけ」

電「そうなのです。沈められた時、みんなは『なぜ?』と誰かに問いかけながら、海に沈んでいったのです・・・」

提督「なぜ、か・・・」

電「その声がすごく辛くて、怖くて・・・気づいたら、鎮守府のドックにいたのです。横に手紙があって、新しい提督の秘書艦になれ、って大本営からの指令が書かれていたのです」

提督「そうだったんだ。今まで目の前の執務や戦闘で忙しかったから、みんなの過去とか全然知らなかったな・・・」

電「でも、今は楽しいのです。もちろん深海棲艦と戦わないといけないけど、海軍時代のギスギスした感じが全然なくて心地いいのです」

提督「早めにこっちの世界の・・・いえ、元の世界の戦争が終わって、みんなが平和に暮らせたらいいのに」

電「解体されて普通の生活に戻ったら・・・やっぱりみんなとは会えなくなるのですか?」

提督「全員に会うのは無理ね。学校みたいに同窓会でもすれば集まれるだろうけど、全員が集まるわけじゃないもの。って、話がだんだん逸れていったわね」

電「ちょっと心が軽くなったみたいなのです!」

提督「そう、ならよかった。レーザー戦艦なんかに負けないで!」

電「行ってくるのです!」

電「やっぱり、雑な修理のされ方をしているのです」

早川「仕方ないだろう。我々には時間がない。今にもレーザー戦艦は北海に出ようとしているからな」

シュルツ「しかし、超兵器2隻を投入してのイギリス侵攻作戦ですか。どうやら、帝国は本格的に解放軍潰しを実行したいようですね」

提督「解放軍だけを狙うにしては、ちょっと規模が大きい気もするけど・・・」

早川「いや、これまでの電の超兵器戦を見ていると、そうでもないような気もする。本格的に帝国が狙っているのは、電潰しだろう」

電「はぅぅ・・・」

提督「ちょっと!うちの電をいじめないで!」

早川「イタズラじゃない。本当のことだ。列車砲の配置といい、アームドウィングの存在にも関わらず双胴戦艦が出張ってきたことといい、ヴィルベルヴィントとアルケオプテリクスといい・・・」

シュルツ「それに、UFO型超兵器が我々を無視して遣欧艦隊に向かったことも気になります」

早川「これで状況はわかったぞ・・・超兵器の同時運用で超兵器キラーの電を撃破し、そのまま周囲の国々に対し一気に侵攻する・・・というところか」

提督「いけすかない連中ね。電、奴らを絶対に撃破してきなさい!」

電「な、なのです」

早川「とにかく、作戦は今すぐ始める。少しでも迎撃が遅れれば、それだけ敵をイギリスに近づけることになるからな。各員、奮戦を期待する」

レーザー戦艦を迎撃するため、電、大和、リジルは北海に出た。予想通り、レーザー戦艦はスカパフローを目指し進行中であった。

早川「赤城に搭載された彩雲から連絡があった。やはり狙いはスカパフローのようだ。揚陸艦ではないから、やはり敵の目的は基地機能の破壊か電の撃破だな」

電「やっぱり狙われるのです・・・」

ブラウン『強力な破壊力を持つ超兵器を持ち出してきたのです、やはり解放軍艦隊の駆逐でしょう』

大和『ちょっとすみません。レーザーの射程って、どれくらいあるんですか?』

ブラウン『そうですね・・・超兵器機関のエネルギーを使って発射されるとなると、それ相応の威力・射程になることは予想できます。アラハバキのレーザーは、あくまで格闘戦の掩護用でしたから、そこまで強くありませんでしたが』

大和『それじゃ、アウトレンジできますね!』

ブラウン『しかし、51cm艦砲とそこまで変わらない射程ですので、アウトレンジは難しいと思います。ここは接近して一気に叩くべきかと』

早川「そういうことだ。電磁防壁も最新版にしておいたし、そこまでダメージを受けることはあまりないと思うが・・・」

大和『わかりました。戦艦大和、推して参ります!』

電「イギリスを守るのです!」

早川「今日は妙に張りきってるな。よし、その調子で撃破してしまえ!」

電探の妖精さん「1時方向、距離約300kmよ」

早川「全艦、単縦陣にて突撃する!電は途中で離れ遊撃、大和とリジルは正面から砲撃戦を挑め!」

大和『了解しました!』

シュルツ『了解しました』

早川「何も恐れることはない。電は絶対に守ってやる」

電「はりゃーっ!?」ピュイーン

電の船体に青いレーザーが撃ち込まれた。しかし、電磁防壁のお陰でダメージは少ない。

早川「ダメージコントロール!状況知らせ!」

ダメコンの妖精さん『船体外殻がちょっと溶けたのん!まだいけるのん!』

早川「よし、ならば!電、奴に急接近して魚雷を叩きこめ!」

電「なのです!」ガシャン

レーザー戦艦の脇腹に10本もの魚雷が撃ち込まれ、水中が大空に屹立する。

大和『第1、第2主砲、第1副砲、斉射、始め!』ゴォォ

シュルツ『主砲全門、射撃始め!目標、敵艦艦橋!』ゴォォ

空気中で威力が落ちるとはいえ、レーザーは強力な兵器だ。アウトレンジもできないため、命中力を上げるため戦艦も接近して砲撃を敢行する。

副長「敵艦炎上!すごいです!」

大和『そ、それで直撃のつもりなの?』ピュイーン

レーザー戦艦の拡散レーザーが大和の対空機銃座を襲った。被害はあまりないが、各所から火の手が上がっている。

早川「大和は後方に下がって砲撃を続けろ!」

大和『は、はい!』

早川「さすがは超兵器機関のレーザー、といったところか・・・速攻で倒さないとマズいな」

シュルツ「ダメージコントロール!状況知らせ!」

ナギ「艦尾に着弾!ヘリポート使用不能!」

筑波「敵さんもなかなかやりおる」

ブラウン「電磁防壁である程度の攻撃は防げるとはいえ、超兵器のレーザーは強力ですね」

リジルの主砲がレーザー戦艦の艦橋に着弾した。大爆発を起こした艦橋は、跡形もなく吹き飛んだ。

ナギ「敵艦沈黙。停船しました」

シュルツ「敵艦乗員に降伏勧告を行え」

ナギ「敵艦、応答しました」ピピーッ、ピピーッ

敵艦乗員『こちら、バルト海方面巡察艦隊旗艦、グロースシュトラール・・・う、うわああアアアァァ!!』

グロースシュトラール「ギャアアアアァァァァアアァァアアァ!!!」

ナギ「な、何これっ・・・悲鳴!?」

グロースシュトラールと名乗るレーザー戦艦が紫の光に包まれ、『悲鳴』を発し始めた。レーザー発射機からは怪しげな赤い光が漏れ、禍々しい気を発している。

シュルツ「何が起きた!?」

早川『シュルツ少佐!あれは一体・・・』

ブラウン「艦内部でエネルギーが暴走している・・・?」

ナギ「超兵器再始動!電に向かっています!」

電「ううううっ・・・」

大和『や、やだっ・・・怖い・・・』

副長「司令代行っ・・・」

早川「あれは一体・・・とにかく、奴を潰せ!」

グロースシュトラールは悲鳴を上げながら、あちこちにレーザーをばら撒いている。暴走前よりレーザーの色が変わっており、威力もかなり増している。

電「怖い・・・のです・・・」

早川(ダメだ・・・あれのせいで艦隊全体の士気が下がっている。どうすればいい?)

大和『きゃあっ!!』ドゴォォン

早川「どうした!?」

大和『こ、航行不能、です・・・レーザー戦艦から白い光が放たれて・・・』

早川「レーザーではないのか?」

大和『電磁防壁が働いてません・・・』

早川「一体、あの艦に何が起こっているんだ?誰か状況を説明してくれ・・・」

グロースシュトラールの暴走は止まらず、電とリジルに攻撃を続けていた。リジルは前部の武装を完全に破壊され攻撃もままならず、電も至近弾を受けて速度が低下している。

早川「どうなっているんだ、あれは!」

電「はうぅ、恥ずかしいよぉ・・・」

副長「機関部に浸水!速度、14ノットまでしか出せません!」

ナギ『こちらリジル!浸水が激しく復原不可能、退艦命令が出されました!回収願います!』

早川「リジルが撃沈されたのか・・・くっ、残っているのは電だけか!」

大破した大和は敵の攻撃をまだ受け続けている。大破進軍しなければ轟沈しない、という艦娘の特性のお陰で何とか耐えてはいるものの、そう長くは持たないのは明白だった。

早川「もうダメだ・・・奴は強すぎる!」

電「そ、それじゃあ!イギリスのみんなはどうなるのですか!?」

早川「あんなに強力な兵器を持ち出してきたんだ、占領じゃ済まない。全て破壊されるだろうな。もちろん、電磁防壁もついていない艦がレーザーを受けたら、戦艦であろうと一撃で沈む。艦娘とは違って、我々の艦は・・・」

電「そんなっ、みんながやられるなんて、絶対に嫌なのです!」

早川「無理だ、奴には対抗できない・・・」

電「諦めないのです!」

ボロボロになった電の身体を、白い光が覆った。艦全体にも光は及び、禍々しいオーラを纏うグロースシュトラールと対峙する形になった。

早川「あの時と・・・同じ・・・」

電「命中させちゃいます!」ズドーン

電が放った砲弾は、グロースシュトラールの舷側に命中し、大爆発を起こした。続いて魚雷が発射され、水柱を乱立させる。

早川「何て攻撃力だ・・・艦娘の隠された力なのか?」

電「魚雷装填です!」ガシャン

次々に魚雷が発射され、グロースシュトラールの船体に撃ち込まれる。電もレーザーの攻撃を受けて第1主砲にダメージを受けるが、そんなことは構わず魚雷を撃ち続ける。

電「電の本気を見るのです!」ガシャン!ガシャン!ガシャン!

カットインを発動させた電は、15本の魚雷をグロースシュトラールに叩き込む。しかし、耐久力が高いのは超兵器の最大の特徴、まだ船体は傾きもしない。

電「まだ、沈まないのですかっ・・・!」

早川「かなり堅牢な作りだな。やはり戦艦の砲撃で・・・」

グロースシュトラール「ギャアアァァアアァァアアァアァアァァ!!」ドカンドカン!ゴォォ!

副長「敵艦内で激しい爆発が発生!」

早川「弾薬庫の誘爆か?」

電「エネルギーの過負荷で自壊してるみたいなのです・・・」

早川「どのみち、ここにいたらマズいぞ!全力で離脱!浸水しても構わん!とにかく逃げろ!」

機関室の妖精さん「・・・やってみる」

ドカン!ドカン!ゴォォォォォ!!!

副長「グロースシュトラール、爆発!衝撃波、来ます!」ゴォォ

電「ひゃあっ!?」

早川「いつつ・・・どうなった?」

副長「敵艦の影が消えてます・・・」

早川「あれだけの船体が、跡形もなく吹っ飛ぶとはな。恐ろしいエネルギー量だ」

電「怖いのです・・・」

早川「無理もない。迎えをよこすから、ゆっくりドックで休むといい」

電「で、でも!生存者は・・・」

早川「グロースシュトラールに生存者なんているはずがないだろう。助けるなら、リジルの乗組員だ。ブラウン博士に超兵器の解析をしてもらわないといけないしな」

電「それじゃ、早く行くのです!」

早川「そうだな。電、前進微速だ。浸水しないように気をつけろ」

電「なのです!」

電はゆっくりと前に進み始めた。中破した船体を強引に動かし、撃沈されたリジルの乗組員を回収しに行く。

スキズブラズニル 司令室

シュルツ「博士、何かわかりましたか?」

ブラウン「いえ。最終的に全て消滅してしまったので、何も・・・」

早川「そうか。しかし、超兵器が暴走するとわかった以上、容易に手は出せなくなったな」

シュルツ「そうですね。しかし、超兵器はまだ運用され続けるでしょうね」

早川「面倒なことだな」

ブラウン「これは私見になってしまうのですが・・・」

シュルツ「お聞きしましょう。今は些細な情報でも貴重です」

ブラウン「では・・・超兵器は、今まで超兵器機関のエネルギー全てをフル活用して稼働していると考えていました」

ブラウン「しかし、仮に特殊な機関にカセをつけることで、無理やり現代兵器の枠に押し込んだものとすれば・・・」

早川「暴走したあの姿が、超兵器の真の姿ってことか?」

ブラウン「わかりません。しかし、機関が強力になればなるほど、その本来の力が出やすくなるのかもしれません」

シュルツ「ということは、敵が出し惜しみしている超兵器は、全てあの姿になる可能性がある、というわけですね」

早川「しかし・・・あの状態の艦で誰かが操艦しているとは思えないな。まさか、超兵器が勝手に動き出したのか?」

ブラウン「そのまさか・・・かもしれませんね。超兵器の意識が目覚めたのかもしれません」

早川「超兵器・・・一体、何なんだ?」

ブラウン「少佐、少しよろしいでしょうか?」

シュルツ「何ですか?」

ブラウン「今まで遭遇した超兵器は、色々なバリエーションがありました。攻撃力や速力に特化したもの、空を飛行するもの、そして陸上を走るもの・・・」

ブラウン「しかし、これを個別に解析して今までの情報と照らし合わせてみた結果、面白いことが判明しました」

シュルツ「と、言いますと?」

ブラウン「設計段階では、共通する箇所が多いのです」

シュルツ「超兵器専門の設計者がいるのでしょうか?」

ブラウン「いえ、『何か』を参考に設計している節が見えます。様々な兵器に転用できる無限のポテンシャルを秘めた存在です。恐らく、超兵器機関も相当強力なもののはずです」

シュルツ「同一の何か・・・マスターシップ、といったところですか」

ブラウン「そうですね。このマスターシップについては謎も多いですが、解明してみる価値はあるかと」

シュルツ「やれやれ、これからも忙しくなりそうだ」

暁「電、大丈夫だった?」

電「絶体絶命だったのです・・・」

赤城「そうだったみたいですね。でも、戻って来られたんですから、一安心しました」

提督「そうね。沈んじゃったら悲しいもの」

大和「でも、お役に立てませんでした・・・」

電「今回の敵はすごく強かったのです」

提督「強い敵に当たることだってあるわよ。でも、大和が一撃だなんて、相当強かったのね」

艦長「強いといっても、敵艦は暴走していたと聞いたが」

電「そうなのです。艦が悲鳴を上げていて、すごく辛そうだったのです・・・」

艦長「艦が悲鳴を?」

提督「超兵器にも艦娘がいるのかしら・・・」

雷「ええっ!?そ、それじゃ、私たち・・・」

提督「2隻くらい沈めちゃったわね」

電「電はもっと海の藻屑に変えてやったのです」

提督「えぇっと、ちょっと怖いからその言い方やめて・・・」

ナギ「ヴァイセンベルガー大将、到着されました」

ヴァイセンベルガー「解放軍諸君。先の戦闘はご苦労だった」

シュルツ「大変恐縮であります」ビシッ

提督「・・・」

ヴァイセンベルガー「リジルは沈められたが、結果を見れば大したことはない。ちょうど面白い艦を持ってきたところでな、シュルツたちにはそれに乗ってもらうとしよう」

シュルツ「新型艦、ですか?」

ヴァイセンベルガー「航空戦艦『アルビオン』という、イギリスで建造されたオモチャだ。煮るなり焼くなり、好きにしたまえ」

シュルツ「ありがとうございます」

ヴァイセンベルガー「しかし、私がここに来た理由はそれだけではない」

シュルツ「と、言いますと?」

ヴァイセンベルガー「駆逐艦『電』の艦長・・・いや、艦娘はどこだ?」

電「えぁっと、電です。どうか、よろしくお願いいたします・・・」

ヴァイセンベルガー「フン、話に聞いた通りだな。もっと堂々としたまえ」

電「クソオヤジは黙っていろなのです」

ヴァイセンベルガー「解放軍の英雄はずいぶん挑戦的だな」

ヴァイセンベルガー「まぁいい。今日は両舷上陸を許可する。来たまえ」

電「りょ、了解したのです」

ヴァイセンベルガー「他の転移艦隊も来るといい」

提督「では、お伴させて頂きます」


イギリス 某喫茶店

提督「ここは?」

ヴァイセンベルガー「私の行きつけの店だ。安心しろ、勘定は持ってやる」

赤城「いいんですかっ!?店員さん!ブリティッシュパンケーキ10皿とチーズケーキ5皿お願いしますっ!」

大和「赤城さん、このブリティッシュサンド、美味しそうです!」

愛宕「うふ、久しぶりに美味しい物が食べられますね、提督♪」

ヴァイセンベルガー「・・・ハハハハ!たらふく食うがいい!」

響(あ、大将が壊れた・・・)

提督「ごめんね愛宕、ちょっと待ってね。ところで、用件というのは?」

ヴァイセンベルガー「貴様らのことについてだ。色々聞かせてほしい」

提督「私たちのことねぇ・・・」

ヴァイセンベルガー「艦娘が唯一、深海棲艦に対抗できる兵器、というわけか」

提督「お言葉ですが、兵器ではありません」

雷「そーよそーよ!」

提督「雷、ここは堪えて」

雷「はぁーい」プンスカ

ヴァイセンベルガー「兵器として機能すれば兵器だ。内容は関係ない」

提督(いけ好かないヤツ!)

提督「・・・今まで聞く機会がなかったので、この世界のことも聞かせてもらえませんか?」

ヴァイセンベルガー「いいだろう。聞いても意味は無いだろうがな」


ヴァイセンベルガー「ウィルシア帝国があるだろう。あれは、元々ウィルキア王国と名乗っていた。領土はカムチャツカ半島からナーウィシア領の朝鮮半島近くまである」

ヴァイセンベルガー「だが、国防軍の反国王派がクーデターを起こし、我々国王派の国防軍と近衛軍はヴィルク国王陛下を伴って欧州の同盟国、イギリスに逃げ込んだ、というわけだ」

提督「ということは、元はウィルキア王国が正統政府というわけですか」

ヴァイセンベルガー「そうだ。現在はイギリスに根を張る寄生虫でしかないがな」

大和「ところで、ナーウィシアというのは?」

ヴァイセンベルガー「旧日本と旧中国、旧ソ連、そして旧東南アジア諸国で構成された連邦国家だ。ソ連の軍将校がクーデターで政権を握り、南下政策を推し進めてできたものだ」

大和「日本も侵略されたんですね・・・」

ヴァイセンベルガー「弱者は征服される。その結果だ」

提督「・・・状況は大体掴めました。ロゼも反国王派の国防軍将校だったわけですね」

ヴァイセンベルガー「まだ続きがある。聞きたまえ」

ヴァイセンベルガー「この数ヶ月、密偵に帝国の現状を報告させたところ、面白いことがわかった。政府幹部や首脳は全員が国外に亡命しているらしい。今の政府を誰が動かしているのか、その情報は一切掴めなかった」

提督「それって、政府が機能していない、ということですか?」

ヴァイセンベルガー「考えればわかることだ。無駄な質問は慎みたまえ」

提督「は、はい」

響「それじゃ、軍部が直接政治の主導権を握っているのかもね」

ヴァイセンベルガー「ウィルシア軍の最高位は大将だ。その大将が独断で艦隊や師団を動かしている。そんな中で政治が上手くいくはずがないだろう」

提督「それじゃ、超兵器って一体何ですか?」

ヴァイセンベルガー「見た通り、巨大兵器群だ。正しくを超常兵器級という。連中が『確固たる力』と呼ぶ下らないデカブツだ」

提督「それ以外のことは、まだわかっていないのですか?」

ヴァイセンベルガー「私に聞くな。ブラウン博士が知ることが全てだ」

提督「そこまで深くわかっていない、ということですね」

雷「なーんだ。全然わかってないんじゃない」

ヴァイセンベルガー「言葉を慎め」

雷「ふーんだ!」

ヴァイセンベルガー「全く、子供を戦場に出すなど理解できん」

暁「こ、子供じゃないんだからっ!」

ヴァイセンベルガー「いずれにせよ、貴様らには最後まで協力してもらう。超兵器の撃沈実績があるのは貴様ら艦娘だけだからな」

提督「は、はい」

スキズブラズニル 電艦内

提督「あのオッサン!気に食わないわ!ロゼの方が可愛げがあったわよ!」

大和「提督、抑えてください。私もちょっと嫌いですけど・・・」

電「いつかフルボッコにしてやるのです」

赤城「イギリスの軽食は案外美味しいですね。気に入りました」

雷「ことばをつつしめー!」

暁「案外似てるわね。ことばをつつしめー!」

提督「まーいいわ。とにかく、超兵器を全部海の底に沈めてしまえば解決するわね!」

電「ですとろいなのです!」

響「そろそろ、みんなが疲れてきてるような気がする」

愛宕「まだまだ元気じゃない♪」

響「いつもポジティブの愛宕が少しうらやましいよ」

ガルトナー『諸君、欧州の帝国軍に新たな動きがあった。キール軍港に多数の帝国艦艇が集結しつつあるらしい』

提督「キール?」

ガルトナー『レーザー戦艦「グロースシュトラール」の母港だった場所です。欧州帝国軍の最重要拠点であり、ヴィルヘルムスハーフェンと並ぶ巨大な軍港です』

シュルツ「キールに集結しつつあるということは・・・」

ガルトナー『帝国の本格的な反攻作戦が開始される予兆と見て間違いない』

ブラウン「主力級の超兵器2隻を一度に失ったことで、むしろ正攻法に切り替えた、というところでしょうか」

早川「この戦力なら、よほど巨大な艦隊でない限りは大丈夫だろう」

提督「そうよね。こっちの大和はまだ修理中だけど、そっちの大和が出せるはずよね」

早川「ああ。それに、新型艦のアルビオンや震電もある。制空権は取らせんよ」

シュルツ「震電の開発に成功したのですか?」

早川「もう量産体制に入っている。それに鹵獲した橘花も解析して、新たなジェット機を開発しているところだ」

シュルツ「それは心強い」

提督「でも、そんな内陸に集まられてるなんて、ちょっと厄介ね。いっそのこと、空母艦隊を使ってヴィルヘルムスハーフェンを占領したらどうかしら?」

早川「それができればいいが、あそこにいるのは北海駐留艦隊だ。そう勝手を許してもらえるとは思えん」

提督「戦力が戦艦中心なら何とかなるんだけど」

シュルツ「しかし、現時点でヴィルヘルムスハーフェンを占領してもメリットはあまりないと思われますが・・・」

提督「メリットならあるわよ。ヴィルヘルムスハーフェンに空母艦隊を派遣して、そこからデンマークを超えて艦載機に攻撃させるのよ。占領はできないけど、かなりのダメージは与えられるわ。南側のほとんどは解放軍が抑えてるって聞くし」

提督「それなりの賭けになるけど、上手く行けば被害を最小限に抑えてキールを占領できるわ」

早川「なるほど、やってみる価値はあるな」

シュルツ「確かに、陸軍の長距離爆撃機『富嶽』を使えば何とかなります。一応、司令部に具申しておきましょう」

提督「ありがと。それと、できるなら航空戦艦と空母の船体を4隻くらい用意してくれ、とも言っといて」

シュルツ「航空戦艦ですか?」

提督「ええ。今の解放軍の資材なら、米帝プレイしても十分に戦線維持できるわ。出来る限り戦力は揃えておきたいし」

早川(さすが女性将官といったところか。決断力があるな)

提督「よしっ、これで戦力増強できるわね。正直言って、まだ足りないくらいだけど」

早川「まだ作るのか・・・」

提督「敵艦の数が多いなら、こっちも数で行くまでよ。絶対に超兵器を全部潰して、元の世界に帰るんだから!」

早川「・・・そういうことか」

最初は日本を守ってたのに、欧州に来て日本は占領されたって事か
本末転倒だな

>>398
元々、日本はナーウィシア領(解放軍側の国家)ってことになってる
アメリカで言う州みたいな扱い

電「航空戦艦、ですか?」

早川「ああ。4隻だけ生産することが決まった。耐久力には問題があるものの、ジェット機の高性能化も着実に進んでいる。そのうち我々前線部隊にも配備されるだろう」

電「ちょっと前に山城さんから聞いたのですが、航空戦艦の欠点って・・・」

早川「そうだ。砲撃中は艦載機を飛ばせない。万能性に優れるが、裏を返せば器用貧乏だ。空母も発注しているから、そっちの護衛に使われる程度だろう」

提督「ま、そんなところね」

電「提督、お帰りなさいなのです」

提督「航空戦艦に戦闘機を大量配備して、艦攻・艦爆中心の空母部隊の護衛をさせるのよ!それで撃ち漏らした敵艦を砲撃で仕留める、ってわけ。ミサイル艦より弾代は安上がりだし、いいと思うのよね!」

早川「弾代だけだと思うが・・・」

提督「別にいいのよ。ミサイルは弾数が少ない分、継戦能力が低いわ。でも、砲なら対空弾も使えるから汎用性高いし」

電「さすが提督なのです!」

提督「ふふん、伊達にアドミラルやってないわよ」

早川(何だろう、どこかで見たことあるような)

提督「さーて、もうそろそろ船体が届いた頃かしら。重雷装艦も用意しないとねー」

電「鎮守府にいた時の提督より肌がツヤツヤしているのです」

早川「艦の改造が楽しくて仕方ないんだろうなぁ・・・」

雷「あっ、電。ちょっと来て」

電「どうしたのですか?」


雷「提督が新造艦に夢中になってるって本当?」

電「そうみたいなのです」

雷「えーっ、やっぱりそうだったんだ・・・」

電「ところで、それがどうかしたのですか?」

雷「まだわからない?提督が私たちを見てくれなくなるのよっ!このままじゃダメだわ!」

電「提督さんはお仕事を頑張っているだけだと思うのです・・・」

大和「そうよ。だから、なるべく邪魔しないでね」

雷「でもっ・・・わかったわよ。もう!」スタスタ

大和「最近、雷ちゃんの機嫌が悪いわね。提督が構ってあげていないからかしら」

電「そうみたいなのです。最近は作戦会議や書類整理で追われているみたいで・・・」

大和「うーん、どうしたものかしら」

愛宕「パンパカパーン!それなら、愛宕が解決しまーす♪」

電「愛宕さん?」

大和「・・・・・・・・(嫌な予感がする)」

スキズブラズニル 換装室

提督「そうそう。46cm砲は3基よ。ミサイル発射機も忘れずに装備させなさい!」

愛宕「提督~。ちょっとよろしいですか?」

提督「あれ、愛宕じゃない。どうしたの?」

愛宕「今すぐ来てほしいところがあるんです♪」

提督「うーん、そうねぇ・・・わかったわ。ここは別の人に任せましょ」


スキズブラズニル 愛宕艦内

提督「・・・えっと、これは何?アイマスクつけられて椅子に座らされてるけど」

愛宕「決まってるじゃないですかー。装備当てゲームですよっ」

提督「装備当てゲーム・・・?」

愛宕「武装のレプリカを持ってきたので、それを触って何の装備か当ててくださいね♪」

提督「い、いいけど・・・」

愛宕「まずは、コレです」

提督「う、うん・・・えっと、細長い筒が二本と、ちょっと大きめの箱・・・20.3cm砲かしら?」

愛宕「うふ、正解♪」

愛宕(雷ちゃん、準備はいい?)

雷(いつでも大丈夫なんだから!)

提督「えーっと、九九式艦爆ね!」

愛宕「せいかーい♪それじゃ、これはどうですか?」ヒョイヒョイ

雷(あっ、愛宕が手招きしてる。そろそろね!)テクテク

提督「うん?武装じゃないわね。何かの毛みたいだけど・・・」

愛宕「ハイ。それじゃ、何かお答えくださいっ!」

提督「こんなこと暁や響がするはずないし、赤城も違うわね。電は髪型でわかる・・・あっ、そもそも恥ずかしがってしないわね」

雷(消去法じゃん!何でわかってくれないのー!?)

提督「えーっと、ナギ少尉?陸戦隊の妖精さん?もしかして、ドーラ・ドルヒのおじいさんかしら?」

雷(もう全然関係ない人になってるー!?)

提督「あっ、わかった!ヴァイsじゃなかった雷ちゃん!」

雷「最後まで間違えないでよー!」

提督「ふふふふ、やっぱり雷ちゃんだったのね。途中から気づいてたかもしれなかったけど、ほとんどわざとなのよ?」

雷「もう、提督のいじわる!」

提督「はいはい。悪かったわよ。ところで、当てたんだから何か景品は無いのかしら?」

愛宕「景品は雷ちゃんのチョコですよっ。うふふ♪」

雷「はい、司令官。ハッピーバレンタイン!」

提督「あら、意表を衝かれたわね」

シュルツ「それで、バレンタインチョコだった、というわけですか」

提督「ええ。私たちがいた世界じゃ、今日がバレンタインだったのよ」

シュルツ「ふふ、それはとんだ誤算でしたね」

提督「ま、おいしかったからよかったけど。あの子たちが本当に戦争をしていると思うと、やっぱり胸が痛むわねぇ・・・」

シュルツ「・・・そういえば、彼女たちは軍艦でしたね」

提督「前世じゃ、みんな辛い思いばかりしてきたんだし、せめて生まれ変わった後は楽しい思い出ばかりにしてあげたいわよ」

提督「だから、早くこの世界で戦争を終わらせて、元の世界に・・・」

シュルツ「提督?」

提督「何考えてたんだろ、私・・・元の世界には、私を待ってる子たちがいるのに、そのことを放り出して暫くこの世界にいたいって・・・そう思っちゃった」

シュルツ「お気持ち察します」

提督「そう・・・ありがと」

ピピーッ、ピピーッ

ナギ「司令部から通信です」

シュルツ「つなげ」

ガルトナー『少佐か!キールから出撃した帝国の大艦隊がカテガット海峡を通過しようとしている!何としてでも進撃を阻止してくれ!』

シュルツ「了解しました。敵戦力の方はどうでしょうか」

ガルトナー『戦艦を含む6個艦隊だ。戦艦12、空母16、巡洋艦25、その他小型艦艇が多数だ。スカパフロー、ブリマスからも戦力を抽出してこれの迎撃に当たらせる。艦隊の到着まで何とか耐えきってくれ!』

筑波「とうとう帝国が動き出しましたな・・・」

ブラウン「狙いはおそらくイギリスの占領です。絶対に逃してはいけません!」

ナギ「スカパフロー基地から入電!大型艦の改装中につき、あまり戦力が抽出できない、とのことです!」

シュルツ「マズいな・・・ブリマスからはかなり時間がかかる。先に空母を倒しておくべきか」

ブラウン「戦艦の艦砲の対地攻撃能力は航空機以上です。戦艦を第2優先目標に設定しましょう」

シュルツ「これより、我が艦隊は敵艦隊の迎撃に当たる!総員、戦闘配置を維持せよ!」

早川「よし、我々も出撃するぞ!」

電「なのです!」

電と深雪は大和や加賀などの解放軍艦艇に先行して出撃した。愛宕を旗艦とする提督の艦隊も同時に出撃し、電と並ぶ。

提督『敵はかなり多いわ!なるべく、無茶はしないでね!』

電「わかったのです。提督も頑張るのです」

暁『暁がいるんだから、絶対に負けないわよっ!』

赤城『制空戦闘はお任せください!』

響『響、出るよ』

早川「今回はかなり厳しい戦いになりそうだが、問題は無いだろう。HLG61を使って改伊勢型とキティホーク級を大量生産したからな。航空戦艦の練度にやや難点があるが・・・」

電「全然訓練できなかったからなのですか・・・」

早川「そうだ。シュルツたちの乗るアルビオン級より強化しているつもりだが、航空戦艦という艦種自体が特殊だからな」

副長「あ、その航空戦艦たちが出てきましたよ。震電を発艦させてます」

電「キティホーク・・・響ちゃんがちょっとだけ話をしていたのです。第2次大戦後の空母って言ってたのです」

早川「こっちでは最新鋭の空母だ。大鳳型とは一線を画す。後は艦載機さえ更新していけば、更に強力な戦力として使えるはずだ」

人員は湯水のように湧いてくる不思議

>>411
ヒント:戦闘に参加してない解放軍艦

既に航空戦は始まっていた。味方の震電が敵のヘルキャットを叩き落とし、その横を通過したF-8が加賀に爆弾を投下する。

電「もう戦いが始まってるのです・・・」

早川「対空射撃で敵を追い払いつつ、敵艦隊の懐に突っ込む。総員、至近弾に備えよ!」

電「できれば、あの艦隊の人たちも助けたいのです・・・」

早川「やらなければやられる。まずは敵を無力化することを考えるんだ」

電「・・・なのです」


電のミサイル発射機から対空ミサイルが発射され、急降下爆撃を仕掛けてくるF-8を撃墜した。それを皮きりに、別のF-8も電に爆弾を投下してくる」

副長「1000lb爆弾6発、来ます!」

早川「CIWS起動!回避行動を取れ!」

電「命中させちゃいます!」ガガガガ

副長「爆弾3発迎撃!残り3つ、海に落下しました!」

早川「的外れだ。新人の腕だな・・・電、さっさと母艦を潰すぞ。第4戦速!」

提督「敵もかなり本腰を入れてるみたいね。アドミラル・クズネツォフ級、グラーフ・ツェッペリン級、それに・・・あれは何かしら?」

響『凄い・・・エンタープライズ級空母だよ。生で見たのは初めてだ』

赤城『あんなに大きな子は知りませんね。どなたですか?』

響『噂でしか聞いたことないけど、原子力で動く空母のことだよ。原爆と同じように、核分裂が起こすエネルギーを使って発電するんだ』

雷『要するに、お腹に大きな爆弾を抱えてるのね?それじゃ、自爆させたらオシマイじゃない!行くわよー!』

響『あっ、原子炉は爆発しないから・・・行っちゃった』

提督「もう、しょうがない子ね。他の艦は戦列を乱さないで!雷、あなたは空母を中心に叩いて!」

雷『そうそう、もーっと雷に頼っていいのよ!』

雷は戦列を離れて電の方に向かい、提督たちの艦隊は航空戦が行われている海域を少し離れ、敵の戦艦隊に向かって進撃を続ける。

愛宕「提督。お茶でもいかかですか?」

提督「今はいいわ。帰る時にちょうだい」

赤城『提督!彩雲が敵の戦艦隊を発見しました!』

提督「ほら、敵はすぐに見つかるものよ・・・総員、戦闘配置!赤城は暁と一緒に戦列を離れて!その他の艦は、一斉に敵戦艦への攻撃を敢行する!」

暁『もう!暁だって戦えるんだからっ!』

提督「だから赤城の護衛を暁一人に任せるのよ。ほら、行ってらっしゃい!一人前のレディでしょ!」

暁『うっ・・・そ、そうなんだからっ!』

雷『電っ!一緒に行きましょ!』

電「わかったのです」

早川「頼もしい援軍が来てくれたようだな。よし、エンタープライズ級は鹵獲する方針で行く!砲撃で艦橋と艦尾を潰せ!」

雷『えーっ、また沈めないのー?』

早川「原子炉搭載艦は開発中でな、できるなら技術研究の資料として鹵獲したい。艦載機はベアキャットやヘルダイバーなどの旧式機が多いが、それも仕方ない」

電「それなら被害者もあまりいなくて安心なのです!」

早川「そうと決まれば突撃だ。後方の空母艦隊に連絡!なるべくエンタープライズは攻撃するなと伝えておけ!」

副長「了解しましたっ!」

早川「よし・・・攻撃開始!絶対に逃がすな!」

早川の指示で雷と電が二手に分かれる。雷はグラーフ・ツェッペリンとアドミラル・クズネツォフ、電は更に奥に展開するサン・パウロ級とエンタープライズ級を狙う。

雷『ふふーん。今度こそ提督にいいところ見せるんだから!』ガシャン

護衛のカウンティ級ミサイル駆逐艦を砲撃でダメージを与え、雷はその横を通り抜ける。すると、砲撃してダメージを受けたカウンティ級が反撃の魚雷を発射してきた。

雷『いったーい!もう許さないんだから!』

雷は船腹に雷撃を受け、速度が大幅に低下した。更に前方から別のカウンティ級が現れ、前部主砲に速射砲の攻撃を食らう。

電「だ、大丈夫なのですか!?」

雷『何よもー!雷は大丈夫なんだからっ!』

電「魚雷装填です!」ガシャン

電はサン・パウロ級にありったけの魚雷を叩き込む。次々に雷撃を受けたサン・パウロ級の船体が大きく傾き、艦載機の誘爆を起こして沈んでいった。

早川「さすがは68cm酸素魚雷、といったところか・・・よし、次はエンタープライズだ。艦橋と推進機を潰せ。慎重にな」

電「なのです!」ズドーン

電はエンタープライズ級の艦尾付近に接近し、主砲を撃ち込む。何発か撃ったところで敵艦の速度が弱まり、10ノットを切った。

早川「よし、推進機を潰したか・・・」ガァァン!

電「はりゃーっ!?」

副長「ひゃあっ!ミサイル発射機付近に被弾!火災発生!」

早川「直ちに消火せよ!電、行けるか!?」

電「ちょっと痛いけど・・・大丈夫なのです!」

早川「行けるな。エンタープライズ級の艦橋を破壊後、自沈阻止のため横付けする。陸戦部隊は白兵戦準備だ!急げ!」

陸戦隊の妖精さん『おうよ!いつでも行けるぜ!』

電「命中させちゃいます!」ズドーン

電が放った砲弾がエンタープライズ級の艦橋に直撃した。しかし、破壊するには至らず、火災が発生しただけだった。

早川「意外と硬いな。やはり夜戦でないと火力を発揮できんか」

電はさらに前進し、後部主砲でエンタープライズ級の艦橋を狙い撃ちする。

早川「完全に破壊するまで・・・ッ!?」ガガガガ

電「ひゃあ!」

副長「エンタープライズ級からCIWSの発砲を確認!魚雷発射管1基使用不能!」

早川「応急修理急げ!主砲、CIWSも狙え!」

電「主砲装填です!」ズドーン

火を噴き続けるCIWSに対し、主砲を発射する。艦橋の根元付近に設置されたそれは、焼かれた艦橋と共に崩れ落ちた。

早川「横付けしろ!陸戦隊、エレベーターから侵入し、敵艦を乗っ取れ!」

陸戦隊の妖精さん『行くぜ野郎共ォ!ぶっ潰してきな!』

陸戦隊の妖精さんの部下『ウオオオォォォォ!!』

副長「汗臭い妖精さんですね・・・」

陸戦隊の移送が完了したところで、電はエンタープライズ級から離れる。敵の航空機の数も少なくなってきており、比較的大きなダメージを受けることなく空母艦隊の処理に当たることができた。

早川「航空戦艦を多数配備したことが吉と出たか。さて、我々は戦艦隊の援護に向かうとしよう」

電「えっと、生存者の救助はどうするのですか?」

早川「提督の艦隊が救助に当たる。雷だけは我々と行動を共にするようだが」

雷『戦艦も仕留めちゃうんだから!』

早川「頼もしいな。では、行こうか」

ピピーッ、ピピーッ

副長「あ、通信です。えっと、『味方艦隊壊滅セリ。生存艦、加賀及ビ長門、アルビオン』

電「味方艦隊がやられちゃったのですか・・・?」

早川「そんな馬鹿な!航空戦艦も残らず撃破されたのか!?」

電探の妖精さん「・・・当然といったら、当然よね。航空戦艦の弱点は攻撃力が低いこと。それに加え、艦載機の発着時は一切の砲撃を禁じられることよ」

早川「そこを狙われたのか・・・電探妖精、敵艦の数はわかるか」

電探の妖精さん「モンタナ級戦艦5隻、ローマ級戦艦4隻、それに・・・う、嘘でしょ!?」

早川「どうした!?」

電探の妖精さん「フリードリヒ・デア・グロッセ級戦艦よ・・・ビスマルク級の発展型で、50.8cm砲を搭載した巨大戦艦よ。航空戦艦があんなのに勝てるはずないじゃない・・・」


※フリードリヒ・デア・グロッセ級・・・現実における『H44級戦艦』。1番艦の艦名がこれだったと言われる

電探の妖精さん「フリードリヒ・デア・グロッセ級を旗艦に単縦陣を形成してるわ。46cm砲装備のモンタナ級も脅威だけど、50.8cm砲を持つグロッセ級が一番の強敵ね」

早川「わかった。では、早急に奴を倒さなければならんな」

電「やっぱり、魚雷をありったけ撃つのですか?」

早川「いや、ここはアウトレンジ戦法で行く。ミサイル発射用意!目標、グロッセ級戦艦!」

電「ミサイルは人的損害が大きいので、あまり使いたくないのです・・・」

早川「そうか・・・だが、こっちの被害もかなり大きい。使わんわけにはいかないだろう」

電「・・・なのです」

早川「新開発の巡航ミサイルを食わせてやる!トマホーク、発射用意!」

電「ミサイル装填です!」シュウゥゥ

電のミサイル発射機から、通常の対艦ミサイルより大きなミサイルが発射された。それはトマホークと呼ばれる巡航ミサイルだった。

早川「まだ試験中のミサイルだが・・・どうか、命中してくれ」

電探の妖精さん「弾着、今!」

早川「どうだ!?」

電探の妖精さん「艦速、落ちてないわ。多分、迎撃されたわね」

電「敵も対空ミサイルを持っているのですか?」

電探の妖精さん「そうだったら、こっちのモニターに敵の対空ミサイルが表示されるわ。多分、CIWSね」

副長「強いと思ったのに、ちょっと残念ですね」

早川「仕方あるまい・・・ミサイルを発射しつつ敵艦に雷撃を敢行する。雷、ついて来い」

雷『わかったわ、司令官!』

電と雷は対艦ミサイルを発射しつつ敵艦隊に接近する。その中で電のトマホークがモンタナ級の1隻に着弾して大爆発を起こし、撃沈された。

雷『トマホークってすっごいわね!後で私にも搭載してよ!』

早川「わかった。試作の装甲ボックスランチャーが2基残っていたから、それに搭載しよう。GMLSを削ることになるが・・・」

雷『それで提督の役に立てるなら、もちろんいいわよ!』

早川「よし、帰ってからのお楽しみだ。雷、モンタナ級1隻を潰したら、反転して生存者の救出に当たれ。その際、暁と響に攻撃に当たらせるよう頼んでおいてくれ」

雷『この雷に任せておいて!』

電「はりゃーっ!?」

早川「ダメージコントロール!状況知らせ!」

機関室の妖精さん『・・・機関室で火災発生。全力で消火する』

ダメコンの妖精さん『3番魚雷発射管から後ろの甲板構造物が完全に吹き飛んだのん!』

副長「もうダメですっ!速力、10ノット以上は出ません!」

早川「駆逐艦でこの程度の被害はむしろ幸運だが、かなり危険な状態だな。さすがは50.8cm砲だ・・・」

電はグロッセ級の主砲弾の1発をもろに食らい、大破してしまった。逃げることすらままならず、危険な状態にある。

電「はうぅ、もう動けないのです・・・」

早川「ここで倒れたらダメだ!元の世界に帰るんだろう!諦めるな!」

雷『ダメよ電っ!絶対に沈んだからダメなんだからね!』

電「で、でもっ、どうすればいいのですか・・・?」

早川「何か手はあるはずだ。何としてでも、奴の射程範囲外に逃げなければならない」

赤城『それなら、艦載機隊で撤退を援護します!』

電「赤城さん・・・」

雷『私もいるんだから、頼っていいのよ!』

早川「しかし、曳航しようにも、今からその作業をするのは危険だ。どうすればいいものか・・・」

提督『それなら、敵艦を撃破するだけの話よ!愛宕、モンタナ級に主砲発射!』

愛宕『主砲、撃てーぃ!』ズドーン

愛宕が発射した主砲の1発が、最後尾のモンタナ級に着弾した。モンタナ級のレーダー設備の一部が吹き飛び、レーダー射撃を封じる。

早川「要救助者はどうした!?」

提督『元々、あたしたちに突撃させるつもりだったんでしょ?全部赤城に任せてあるから、大丈夫よ』

早川「肝の据わった提督だな」

電「とっても優しくてかっこいいのです」

暁『攻撃するからね!』ガシャン

響『ウラーッ!』ガシャン

暁と響が突撃し、ローマ級戦艦2隻を次々に撃破していく。しかし、モンタナ級の両用砲が暁の後部煙突に着弾し、爆発を起こした。

暁『もう許さない・・・許さないんだからっ!』

提督『暁は一旦下がって!響、もう1隻頼むわよ!』

響『任せて』ガシャン

響の雷撃が更にもう1隻のローマ級に命中し、船体を傾かせる。急激な傾斜のためローマ級は主砲を使用できず、砲塔は砲身を海面に向けて沈黙した。

響『やっぱり戦艦は硬いね』

電「やっと鯖が復活したのです!」

早川「ふぅ、一安心だな」

副長「ほらほら、メタ発言は控えてくださいねっ」

早川「前科者に言われたくはない」

副長「はぁーい」

電は8ノットの微速で進みながら戦艦隊から離れていく。しかし、戦艦はそれを許さない。

副長「司令代行!敵艦がこちらに向きました!単縦陣から単横陣に切り替えたようです!」

早川「何だと!主砲、発射できるか!?」

水雷長の妖精さん「撃ったら衝撃で沈むけどいいかー?」

早川「ダメだ」

水雷長「即答だなー」

電「うぅ、怖いのです・・・」

提督「マズいわね。奴らは電ちゃんを何としてでも沈めたいみたいよ」

愛宕「そんなの、愛宕が許しませーん!」ズドーン

愛宕が電に一番近いモンタナ級に砲撃をするが、重巡の砲弾数発程度では戦艦の装甲は貫けない。

雷『戦艦なんかには負けないんだから!』ガシャン

雷も負けじと同じモンタナ級に最後の魚雷を撃ち込むが、艦を傾け、主砲を封じることしかできなかった。

雷『あーっ!もうちょっとだったのに!』

提督「主砲が使えないなら十分よ。魚雷を使い果たしたんだったら、もう退避して!」

雷『わかったわ提督!役に立ったでしょ?』

提督「うん。すごいわ雷!」

雷『ふふん!この雷様にお任せよ!』

提督「これまでに無力化した戦艦は4隻ね。グロッセ級も残ってるし、曳航準備をするには危険かもしれないわね」

愛宕「そうですねぇ。どうしましょ?」

提督「仕方ないわね。愛宕、グロッセ急に魚雷を撃ちに行くわよ!」

愛宕「りょーかい♪」

提督「目にモノ見せてやるわ!最大戦速!」

提督『あ、グロッセ級の『級』が『急』になってたわね』

早川「お前までメタ発言するか」

提督「仕方ないじゃない。ここでお詫びします。ごめんなさい」ペコリ

電「提督も大変なのです・・・」

提督『ま、まぁいいじゃない。それより・・・きゃああっ!?』

早川「どうしたっ!?」

副長「愛宕、艦橋基部に被弾!」

電「提督さん!大丈夫なのですか!?」

提督『航行に支障なし!まだ行けるわよ!』

71ノットもの速度を発揮した愛宕はグロッセ級の数百メートル先まで接近し、片舷発射管の魚雷10発を全て発射した。帝国海軍の魚雷より更に強力な魚雷を連続で受け、グロッセ級の船体には深刻なダメージが刻まれた。

電探の妖精さん「グロッセ級の速度が落ちたわ!多分、機関室に浸水したみたいね!」

早川「これで旗艦は抑えたか・・・しかし、他の戦艦は健在だ」

赤城『それなら私が何とかします!第1次攻撃隊、補給終了後は全機発艦してください!』

赤城の怒号が電のCICに響き渡る。赤城の救助活動と攻撃隊の補給が終わったらしく、今から攻撃隊を発艦させるようだ。

早川「よし、出来る限り敵の武装を狙ってくれ!全艦が生き残ればそれでいい!」

艦娘たちが持つ魚雷とミサイルは全て撃ち尽くし、敵に反撃することさえままならなくなっていた。生き残った敵戦艦は刻々と電に接近し、主砲を向けている。

赤城の艦載機隊も攻撃を加えるが、CIWSや対空榴弾の餌食になって思うようにダメージを与えられない。

早川「やはり戦艦には戦艦か・・・くそっ、どうすればいい!?」

副長「敵艦、主砲発射!本艦を狙っています!」

早川「どうしたものか・・・」

シュルツ『主砲、撃ち方始め!目標、モンタナ級戦艦!』

早川「!?」

突然、通信機からシュルツの声が響く。すると、CICのモニターから敵戦艦の表示が1つ消えた。

電探の妖精さん「敵艦1隻撃沈!前方から残った戦艦が援護に来てるわ!」

シュルツ乗艦のアルビオンや日本戦艦の加賀、長門が敵艦隊の後ろから襲いかかってきたのだ。

筑波『やれやれ、敵さんが間抜けで助かりましたな』

ナギ『ふー、今回はダメかと思っちゃいましたよ』

シュルツ『まだ作戦行動中だ。気を抜くな。主砲、次弾装填!出来る限り敵を破壊せよ!』

加賀が発射した41cm砲弾がモンタナ級の艦橋にダメージを与え、レーダーを破壊する。長門は敵からの反撃を食らい、1番主砲が破壊された。

シュルツ『くッ、長門は後方に退避せよ!加賀、モンタナ級を何としてでも撃破せよ!』

早川「さすがエリートだな。的確な指揮を下している」

提督『・・・そうね』

戦闘は一通り終了し、艦隊は帰投した。しかし、艦隊の被害はかなり大きく、航空戦艦の4隻が全て撃沈された。

早川「防衛には成功したが・・・これは酷いな」

早川は電や後ろに続く艦隊の様子を見て言った。電は大破し、暁と長門は中破、愛宕とアルビオンは小破している。

しかし、戦利品も手に入れた。電の陸戦隊が制圧したエンタープライズ級原子力空母を鹵獲し、今は赤城と愛宕が曳航している。

電「味方にもいっぱい損害が出たのです・・・」

早川「司令部に何て言えばいいんだ・・・くそっ」

提督「・・・ごめんなさい」

早川「何でお前が謝る?」

提督「私が航空戦艦を大量生産するって指示を出したから・・・よね。空母と戦艦に分けて出してもらえば、どっちも思う存分戦えたかもしれない」

電「提督さん・・・そんなことはないのです。提督さんは本当に頑張ってくれていたのです」

提督「それでも、これは私の責任よ。だから、ちょっと自己謹慎するわ。ガルトナー司令に言っておいて」

電「提督さん・・・司令官さん、提督さんを元気づけてほしいのです!」

早川「・・・これも彼女が選んだ道だ。私に口を挟む義理は無い」

電「・・・司令官さんは冷たいのです」

ブラウン「大型艦用の原子炉を手に入れたのはラッキーです。これを搭載すれば、排煙設備を取り払った艦の設計が可能です」

早川「鹵獲できたのは僥倖だったな」

ブラウン「そうですね。しかし、まだ性能は低いので大量に搭載しないと速度が確保できないでしょう」

早川「解析と改良は技術班に任せてある。そこは何とかできるだろう。それより、エンタープライズには『例のアレ』が搭載されていたとか」

ブラウン「ええ。黒海で使用された、強力な爆弾です。原子炉の燃料棒、つまり高濃度のウランを使用した、恐るべき兵器です。エンタープライズには、これが空対地ミサイルとして十発搭載されていました」

早川「ウラニウム爆弾か・・・威力だけでなく、放射能も心配だな。ということは、ボスポラス付近は・・・」

ブラウン「調査に入った解放軍兵士の何人かが放射能に汚染されていました。海上でしたので、放射能の拡散が懸念されます」

早川「思ったより面倒なことになってきたな。ウラニウム爆弾、超兵器、謎の異世界へのゲートか・・・」

ブラウン「ウラニウム爆弾は、それこそ都市一つを壊滅させるほどの威力があります。絶対に使わせてはなりません!」

早川「わかっている。何としてでも、帝国を止めなくてはならないな・・・」

電「ウラニウム爆弾・・・ですか?」

早川「そうだ。威力は通常の爆弾とは比較にならない。それに、放射能汚染のせいで二次的な被害も出ている」

提督「そんなチート兵器があるだなんて・・・」

響「・・・」

暁「響、どうしたの?」

響「原子爆弾・・・そんなのが、この世界にも生まれてるなんて」

早川「知ってるのか?」

響「ほら、長門がたまに言ってる、『あの光』のことだよ。長門は記憶があいまいみたいだけど。それに、私は聞いたことしか知らないよ」

赤城「では、どういった兵器なのですか?」

響「終戦直前の広島と長崎に落とされた爆弾のことで、合計19万・・・いや、34万人が亡くなった。それも、たった2つの爆弾で。どれも市街地を目標にしていたんだ」

電「2発で、そんなに多くの人が死んじゃった、のですか・・・?」

響「そうだよ。その後もアメリカやソ連なんかは原爆の開発を続けていて、核実験の標的艦に選ばれたのが長門と酒匂だったんだ」

早川「別世界では、既に兵器として使われていたのか。それも、市民を目標に・・・」

大和「皆さん、お揃いでどうされたんですか?」

提督「帝国の新兵器に関してのことよ。ボスポラスで使われた大量破壊兵器が鹵獲したエンタープライズに搭載されていたから、それのことについて、ちょっと」

大和「原爆、ですか」

響「知ってたんだね」

大和「ある架空戦記で搭載されたことがあるから。でも、本当に開発されてるなら厄介かもしれないわね」

愛宕「そんなに危ないなら、捨てちゃえばいいじゃないですかー♪」

提督「そうも行かないのよねぇ。何せ、放射能の問題があるし」

早川「そうだ。それに、帝国もウラニウム爆弾を所持していることから、抑止力として我々も持っておかなければならない。使えば帝国にも撃ち込むぞ、と脅しをかけるんだ」

響「それじゃ、まるで冷戦だよ。核戦争が起こりかねない」

早川「それじゃ、どうすればいいんだ!」

響「それは・・・」

提督「潰せばいいのよ。ウラニウム爆弾もろとも、帝国を」

大和「そ、そうです!帝国を倒して、原爆の製造方法を永遠に封印するんです!」

赤城「それには賛成します!」

電「やっぱり、戦わないといけないのです・・・」

提督「・・・申し訳ない」

ガルトナー『航空戦艦の戦闘データをとってくれたことには感謝するが、この戦果はいただけませんな』

提督「その責を取り、半年の自粛を自分に課したわ。本当にごめんなさい」

ガルトナー『了解しました。ところで、例の原子力艦はどうなっていますか?』

提督「現在、解析が進んでるわ。けど、原子力艦はわざわざ艦を切断して原子炉の整備をしないといけないから、苦戦してるわ」

ガルトナー『そうですか。ボスポラスの爆弾も同じ原理を使用した兵器と聞きましたが・・・』

提督「こっちの世界にもあったわ。原子爆弾と呼ばれた大量破壊兵器で、使うことは望ましくないわね」

ガルトナー『製造技術、実物共に帝国の手にある、というわけですね』

提督「そういうこと。新型戦闘機さえ作れれば、空対地ミサイルは防げるわ。新型戦闘機の開発が急がれる状況なのは間違いないわね」

ガルトナー『その件なら既に進んでいます。第3世代戦闘機として、ファントム2を開発中です。もうすぐ、そちらに納入できるかと』

提督「期待してるわ。それじゃ、また後で」

大和の通信機器の電源が落とされると、提督はその場を後にした。その様子を、大和が静かに見守っていた。

大和「提督、本当によろしいんですか?」

提督「今までもそうしてきたように、私は自分に罰を下したのよ。これから、この艦隊は艦長さんが指揮するからよろしく」

大和「はい・・・」

スキズブラズニルでは、エンタープライズ級の原子炉を解析して、新たな原子炉を搭載した航空母艦と戦艦が建造されていた。航空戦艦喪失の穴埋めに過ぎないが、無いよりはマシだ。

空母のコードネームは『ニミッツ』、戦艦は『紀伊』と呼ばれている。空母はエンタープライズの拡大改良型、紀伊型も同じく大和型の改良型だ。

艦長「しかし、両方ともスペックがモンスターレベルですね」

副長「まさにロマンの塊ですっ!」

赤城「一航戦の誇り、こんなところで失うわけには・・・」ガクガク

響「ニミッツ級か。噂には聞いてたけど、やっぱり凄いね」

HLGで粗方完成していた二隻が、水上ドックで艤装作業を終えようとしている。ニミッツの艦載機はまだ届いていないが、紀伊の主砲は大和に搭載されている51cm砲を流用した。

ブラウン「後は量産することができれば、帝国の大艦隊にも対抗できることでしょう」

提督「キールはどうするの?」

ブラウン「キールの守りは依然として強固ですが、以前ほどの強さは無いと想定されます。カテガット海峡を通過できればいいのですが、ヴィルヘルムスハーフェンとアイスランドの北海主力艦隊のせいで、今後は防衛に手いっぱいでしょう」

提督「どうにかして倒せないの?」

ブラウン「それには数が必要です。しかし、空母の船体は残り四隻分しかない上、戦艦に至っては二隻です。補助艦艇の増産も視野に入れるべきでしょう」

提督「じゃ、艦隊防空用のミサイル駆逐艦を入れるべきね。私の艦隊も装備を最新式に改める必要がありそうだし」

響「それじゃ、魚雷とか取り外すことになるの?」

提督「その可能性もあるわね。艦隊に突っ込んで魚雷を撃つより、遠距離でミサイルを撃つ方が遥かに安全だし」

響「そっか」

ロゼ「艦長、アルウスの進路を南極海に向けて」

アルウス艦長「了解しました。しかし、そこに何をしに行くのでしょうか?」

ロゼ「あたしが最後に確認した時、ヴォルケンクラッツァーは三十パーセントできていたわ。だとすると、今はもう艤装中と見て間違いないわ。それを叩きに行くの」

帝国兵士A「そんなところにヴォルケンクラッツァーのドックが・・・」

ロゼ「そう。ちなみに、リヴァイアサンはグリーンランドで建造中よ。かなり見つかりにくい場所だから選んだのね」

アルウス艦長「では、早々に撃滅しないと世界が危ないですね」

ロゼ「そういうこと。ヴォルケンクラッツァーは艤装中だから攻撃できないから、叩くのはこれが最後のチャンスってわけ」

アルウス艦長「しかし、超兵器といってもアルウスは空母、攻撃力では劣るのでは? 彼紺艦隊を誘導して攻撃させるのはどうですか?」

ロゼ「無理よ。連中は欧州の防衛で手いっぱいだから、南極に攻撃を仕掛けに来るなんて自殺行為。お馬鹿さんでもわかることよ」

アルウス艦長「・・・」

帝国兵士B「大将!解放軍艦艇の通信を傍受!ナーウィシア領日本が陥落した模様です!」

ロゼ「残りの超兵器を出してきたわね・・・この様子だと、本格的に作戦が動き出すのも時間の問題かもしれないわ」

アルウス艦長「ならば、早めにご決断を!」

ロゼ「これより、アルウス始め告死天使はヴォルケンクラッツァー撃滅に向かう!総員、戦闘配置!」

早川「・・・何ですって!?」

司令『ごめん、日本が占領されちゃった。急に超兵器が襲ってきて、旋風が撃沈されちゃったんだ』

早川「今どこです?」

司令『那珂に司令部を移して、インドネシアのバタヴィアにいるんだ。天城大佐の艦隊と合流して、超兵器を迎え撃つつもりさ』

早川「天城か・・・しっかりやってくれるだろうか。ところで、超兵器というのは?」

司令『蝶のような機体に、四つのブースターをつけた腕みたいなものがある飛行機だよ。変則的な機動をして、極太のレーザーを撃ってくるんだ。僕たちは「鵺」って呼んでるよ』

ブラウン「レーザーですか、厄介ですね。まるでグロースシュトラールの航空機版です」

早川「確かに、空の上からレーザーを撃たれてはたまらんな。対策法はあるのだろうか?」

司令『ミサイルを使えば何とかなると思ったんだけど、さすがに硬すぎてどうにもならなかったんだ。多分、艦砲射撃で一気に砲弾を叩きこむしかないと思う』

早川「しかし、その艦砲射撃は回避される。弱点を強みでカバーしているのか」

ブラウン「敵の超兵器も段々強力になっていきますね。そんなものが暴走したら、一体どれほどの被害が両軍に出るのか、予想もつきません」

早川「それを何としてでも回避しなくてはならない。司令、我々が迎撃に向かいます」

司令『ううん、大丈夫。それより、君たちは欧州の奪還に尽力してほしいんだ』

早川「・・・ご命令なら」

司令『僕は大丈夫だから、心配しないで』

早川「早めに欧州を奪還しなければならない。超兵器の脅威は世界から消えたわけじゃないんだ」

提督「そうだけど、アイスランドやキールはどうするの?奴ら、かなり強いわよ」

艦長「そうです。我々より新しい装備を揃え、数も多い。とてもじゃないですけど、我々だけでは・・・」

早川「しかし、やらねばならない。今、シュルツの航空戦艦が哨戒任務に当たっている。そこでヴィルヘルムスハーフェンが手薄になっていれば、今日にでも攻撃を仕掛ける」

提督「急な判断ね。事を急ぐと元も子もないわよ」

早川「物量で負けているなら、こっちは作戦と艦の質で勝負をするしかない。幸い、こちらには艦娘という頼もしい仲間がいる」

提督「ちょっと!どう見ても旧日本海軍の妄想じゃない!私の大切な仲間を無理な作戦に出すなんて、絶対に反対よ!」

早川「無理な作戦じゃない。ちゃんと計画を練っている。司令部にも事前に許可を取り、イギリスやフランスの海軍も協力してくれる」

提督「信用にならないわ。私が作戦の内容を承認するまで、艦娘たちは作戦に出さない。これは横須賀鎮守府の少将としての判断よ」

早川「しかし、早めに敵の本拠地を叩く必要がある。敵が新たな超兵器を投入する前に」

艦長「超兵器・・・」

提督「ま、まぁ、そうよね。でも、時期があるでしょ」

早川「その時期を今窺っているところだ。ここでヴィルヘルムスハーフェンを落とせば、キール攻略への大きな足掛かりを手にすることになる」

提督「本当に頑固な男ね・・・わかったわよ、作戦指令書を見せて。まずはそれからよ」

シュルツ艦の偵察機が持ち帰った情報によると、ヴィルヘルムスハーフェンの北海駐留艦隊は現在留守にしている、とのことだ。司令部の諜報部によると、この艦隊は北欧に進出しているらしい。

早川「よし、連中がヴィルヘルムスハーフェンに戻るのは数日かかると見て間違いない。この隙に戦艦隊を送り、基地を艦砲射撃する。旗艦は旗艦設備が充実している電に設定、遣欧艦隊の司令部はそのままだ」

電「わかったのです!」

早川「第1戦隊に艦娘大和、加賀、長門を投入する。第6駆逐隊と深雪はそれの護衛に当たってくれ」

暁「だ、大丈夫よっ!」

響「さて、やりますか」

雷「最後まで守りきってあげるわ!」

艦長「了解しました」

早川「後方部隊としてアルビオンとニミッツ、エンタープライズ、大鳳、赤城を第1航空戦隊として投入する。万が一のために警戒線を張ってくれ」

赤城「お任せください」ボーキムシャムシャ

早川「これを逃せば、必ず敵は超兵器を投入してくるはずだ。それだけは何としてでも避けなければならない」

早川「では、全艦出撃せよ!」

護衛艦隊と戦艦隊が出撃し、その後を追うように空母機動部隊も出る。機動艦隊の偵察機「彩雲」がヴィルヘルムスハーフェンから偵察任務から戻り、敵戦力などの情報を伝える。

副長「赤城から入電。戦艦1、軽巡3、駆逐艦8です。その他、副戦力として魚雷艇らしき小型艦艇が10隻存在するとのことです。陸上には砲台が数か所存在し、飛行場も確認された、とのことです」

早川「よし、問題無い。航空兵力の一部を戦艦隊の援護に出せ。特に戦闘機を多めにな」

副長「了解しました」

問題のヴィルヘルムスハーフェンは、現在霧がかかっている状態だ。視覚による戦闘は期待できず、レーダーで敵の基地や軍艦を捉えなければ、何もできない。

早川「しかし、彩雲に新型レーダーを搭載したのは正解だったようだな」

電「やっぱりレーダーは大事なのです!」

大和「そうですね。敵を捉えられなければ、一方的に痛い目に遭わされますから」

早川「正論だ。・・・さて、そろそろだ。戦艦隊、砲撃準備。これより、我が艦隊は敵の制海権に突入する。警戒を厳にせよ」

早川の指示で戦艦隊の主砲に徹甲弾が装填される。先に湾内の防衛艦隊を撃破し、それから対地攻撃を行おうという算段だ。

大和『戦闘準備、できました!』

赤城『第1次攻撃隊、全機展開完了です!』

早川「よし、全艦突撃せよ!」

戦艦隊と護衛艦隊が増速し、ヴィルヘルムスハーフェンに向けて突撃する。そこで敵の接近に気付いた飛行場から来襲してきたと思われるジェット戦闘機が迎撃に出てくる。

電探の妖精さん「敵機種、特定不能!新型機よ!」

早川「何だと!?」

電探の妖精さん「奴ら、とんでもない速度でこの艦隊に接近してるわ!数は合計70機、とてもじゃないけど、今の艦載機だけじゃ対応できないわよ!」

事実、赤城とエンタープライズの搭載機であるファントム2や震電では速度が追い付かず、次々に撃墜されている。

早川「ファントムはミサイルを論者積みした戦闘機だぞ!?なぜ落とされる!?」

電探の妖精さん「連中、機関砲を使ってるみたいね。レーダーで敵を見つけて、撃墜してるのよ。それに、ミサイルはフレアを投射すれば当たらないし。ほら、こっちのミサイルも効かないみたいよ」

電探の妖精さんが指摘した通り、電や雷も対空ミサイルを発射して援護している。しかし、ミサイルは一発も命中していない。

電「ミサイルが当たらないのです!」

雷「わけがわかんないわよ!」

電探の妖精さん「ミサイルの性能が低いのよ!フレアを使われたらファントムが置物になっちゃうわよ!」

早川「くそっ・・・どうすればいいんだ!」

電探の妖精さん「今日のところは撤退しましょ。勇気ある撤退も作戦のうちよ」

赤城「フランカー・・・?ファントム2とは違うのですか?」

オペレーター『はい。最大観測速度マッハ2.3を誇る迎撃戦闘機です』

ブラウン「ミサイルで遠距離攻撃すれば敵を叩けると思ったのですが、やはり無理があったみたいですね」

早川「そうだな。敵戦の格闘性能は目を瞠るものがある」

赤城「では、私たちはいつまでもヴィルヘルムスハーフェンを落とせないのでしょうか?」

早川「あの戦闘機隊をどうにかしないとダメだろうな。空母を入れない選択肢もあるが、それでは海上特攻になりかねない」

赤城「いくら注意しても、覆せない力の差はあるんですね・・・」

ブラウン「対抗策としては、敵のフランカーを鹵獲して技術調査をして、これに対抗できる戦闘機を生産することですが、今からでは遅すぎます。やはり、艦隊防空能力の向上を図るべきでしょう」

早川「やはりそうなるか・・・ならば、やるしかないな」

ブラウン「しかし、その計画は提督に了承を得なければ・・・」

早川「それはこっちで何とかする。とにかく、イージスシステムの大量生産を司令部に認めてもらわなければ・・・」

赤城「イージスシステムとは何ですか?」

ブラウン「新型の防空システムです。100以上の目標を瞬時に識別、10の目標を一度に攻撃することができます」

赤城「すごいですね。技術の進歩は恐ろしいです・・・」

提督「イージスシステム?」

早川「そうだ。赤城を除く艦娘たち全員に装備させたい」

提督「でも、それって大きな設備が必要になるんでしょ?」

早川「船体の改修も必要になってくる。上部構造物や武装もかなり変化するだろうな」

提督「それって、全く新しい艦にするってこと?」

早川「そうじゃない。金剛型の近代化改修と同じだ。駆逐艦には艦隊防空能力を、大和には対空自衛能力を与える。駆逐艦はかなり形状が変化するが、愛宕と大和はあまり手を加えなくてもいい」

提督「金剛ねぇ・・・その程度だったらいいけど」

早川「では、認めてくれるか」

提督「わかったわよ。どうせ、断ってもついて来るんでしょ?」

早川「ありがとう。これでヴィルヘルムスハーフェン攻略に展望が見えてきたぞ」

提督「上手く行くといいわね」プイッ

大和「艦隊防空システム・・・素晴らしいです!」

早川「気に入ってくれたようでよかった。これからは制空権が戦争を決めるからな。戦艦も対空戦闘ができるようにしなければ、生き残ることはできない」

大和「その通りです。前世で妹共々、思いっきり痛感しましたから」

電「ハリネズミと言われたのに、坊ノ岬沖で撃墜13機・・・なのです」ボソッ

大和「ひいっ!?」

早川「・・・はは、それでは新武装の説明だ。CIWSを8基に増設し、127mm単装砲4基を舷側に追加した。接近する敵機やミサイルをすぐにでも撃墜できるだろう。大和型の防御力もあれば、撃沈されることはよほどのことがない限りあり得ない」

大和「前以上にハリネズミになっちゃいましたね。でも、これなら空母艦隊にも負ける気がしません!」

電「慢心なのです」

大和「・・・ハイ」

早川「頼むからやめろ・・・」

大和「や、大和は沈みません!」

早川「暁型には、相当な改良が加えられることになった。艦形が赤城や金剛型のように大きく変わってしまうだろう」

雷「どんと来いよ!雷は提督の役に立つんだから!」

早川「それは頼もしいな。艦体を延長し、138mほどになる。それに艦橋も大型化し、主砲は127mm単装砲を前後1基ずつ搭載することになる。それに、VLSも相当数搭載される」

響「本当に大規模な改装だね」

早川「そうでもしないと、航空火力化の時代は生き残れない。任務は、主に防空任務とミサイルでの敵艦船の撃破だ。場合によれば、艦娘の特性である夜戦火力の大幅上昇を使って、敵戦艦の掃討などもしてもらうこともある」

暁「これでやっと立派なレディらしい仕事ができるのね!」

電「航空機から、艦隊のみんなを守れるのです!」

早川「そうだ。お前たちには大きく期待しているぞ」

雷「任せて!」

暁、響、雷
Mk45 mod2 127mm単装速射砲 2基
Mk41 垂直発射装置 64セル
Mk25 GMLS 2基
Mk32 短魚雷発射管 4基
速力83ノット、全長138m


Mk45 mod2 127mm単装速射砲 2基
Mk41 垂直発射装置 64セル
Mk25 GMLS 3基
零式五連装魚雷発射管 2基
速力95ノット、全長147m

愛宕「改装ですかぁ~?」

早川「そうだ。ヘリ搭載イージス巡洋艦になる。砲火力は駆逐艦並みになるが、その分はミサイルを搭載して補うことになる。」

愛宕「やっぱりミサイルは強いのねぇ」

早川「弾数は少ないが、その分強力だからな。元の防御力もあるし、かなり堅牢な艦になるだろう」

愛宕「提督のお役に立てれば、それでいいですけどね」

早川「解放軍の役に立つ改装だ。戦いが終わった後も、提督をずっと支え続けられるはずだ」

愛宕「うふふ、愛宕、嬉しいです」

愛宕
Mk45 mod2 127mm単装速射砲 3基
Mk41 垂直発射装置 64+64セル
Mk25 GMLS 4基
零式五連装魚雷発射管 4基
対潜ヘリ2機搭載
速力78ノット

乙。
まさかのフランカー、そりゃファントムじゃあ無理だな。
大和さんもうアイオア級(最終仕様)すら軽くぶっちぎりじゃないですか。

今回はイージス愛宕作ってみた。

http://imepic.jp/20140309/845720?guid=ON http://imepic.jp/20140309/846020?guid=ON
煙突を減らして大淀の後艦橋をヘリ格納庫として、後ろのスペースをヘリポート(ちょっと狭いかも)として使用、相変わらず魚雷が甲板にのっかてるのはゲームの仕様、艦尾にもっとVLS付けた方が良かったかも。
あとヘリポート重すぎ。

電探の妖精さん「ざぁ~んこくなてんしの・・・」~♪

筑波「ずいぶんと気分が良さそうだな」

電探の妖精さん「ええ、さっきまで大和さんの艦橋でケーキパーティーしてたもので」

筑波「たまには息抜きも必要だが、艦橋でするのはいただけないな」

電探の妖精さん「次からは気をつけまー・・・あれ?」

筑波「どうした?」

電探の妖精さん「アイスランド南部の天気が妙に悪いわね。急に大雪が発生するなんて」

筑波「この時期に大雪か・・・おかしいな。一応、司令部に報告しておくか」

電探の妖精さん「そうですね。じゃ、ちょっとCICに降りてきます」


ガルトナー『急な悪天候か・・・』

電探の妖精さん「聞くところによると、旋風を撃沈した超兵器は、雷を発生させるという能力を持っていました。あまりに突発的なものですから、それも考えられるかと」

ガルトナー『心配するに越したことはない。すぐに調査に向かわせよう。もし超兵器だった場合、貴官らに処理を願い出る』

筑波「了解しました」ビシッ

>>465
ありがとうざいます。
福井晴敏さんの影響受けて赤城を除く全ての艦娘をイージス艦化してみた。これで戦えるかなぁ



さて、とりあえず特殊任務はどうしようかな・・・

早川「それで、我々の作戦行動は今のところ全て凍結か。司令部はかなり超兵器に敏感になっているな」

大和「やはり、司令部は我々を超兵器に対する切り札として見ているのは間違いないですね」

副長「どんな超兵器が来ても問題ないです!全て電ちゃんや大和が破壊してくれますっ!」ルンルン

早川「しかし、超兵器は我々の常識の範囲外にある兵器だ。氷や岩でできた超兵器が出てきてもおかしくはない」

副長「さすがにそれはないですって。氷で作るなんて、脆くなるに決まってるじゃないですかー」

響「そうとは言い切れないよ。氷山の衝突で沈んだ船はたくさんあるからね」

副長「でも、それは客船とかじゃない?」

響「確かにタイタニック事件は船体の脆さが原因で沈んだ節もあるけど、水密区画はちゃんと細かく分けられていたんだ。結局、合計1平方メートルもない穴が原因で沈んだけど」

大和「よく知ってるわね。まるで知識の倉庫ね」

響「ロシアのドックで暇を持て余していたから、することが知識を集めることしかできなかったんだ」

早川「とにかく、何が来ても対策できるようにしておかなくてはならないな。対空用の炉号弾も量産段階に入ったし、ひとまず空母や飛行場には対抗できるだろう。氷山も炉号弾で吹き飛ばせば問題ない」

響「そう上手く行くといいけどね」

ガルトナー『大変だ、少佐はいるか!?』

シュルツ「はっ、こちらです」

ガルトナー『アイスランドに向かった偵察艦隊が消息を絶った。通信途絶直前、強力なノイズが入っていたことから、超兵器の攻撃を受けたと思われる。直ちに迎撃に向かってくれ!』

シュルツ「了解しました!」


早川「超兵器か・・・恐れていたことが現実になったな」

提督「超兵器の情報は?」

ナギ「我が艦の偵察機が捉えた空撮映像があります。こちらをご覧ください」ピィン

早川「これは・・・艦、なのか?」

副長「やだ、氷でできた超兵器じゃないですか!しかも空母ですよ!」

ブラウン「こいつの超兵器機関が雪を降らせているようですね。それに、海水から氷を自動で生成している・・・」

筑波「戦争兵器の枠を超えていますな」

提督「雪を降らせて自分の行動範囲を赤道近くまで広げられるのね。本当に超兵器っていうか、化け物ね」

シュルツ「しかし、退くわけにもいかん。早急に対処しなくてはならない」

ブラウン「相手は氷でできています。火災等を起こせれば、氷の生成を遅らせることができるはずです」

早川「火災・・・炉号弾が使えるかもしれないな。大至急、戦艦に搭載させよう」

シュルツ「では、出撃準備を開始します」

早川「任せた」

電「氷山で空母を作ったのですか?」

早川「そうらしい。大口径砲を確認したとの情報もある。迂闊に接近するのは自殺行為だな。その大きさから空軍機を飛ばしてくる可能性も大いにある。気をつけてくれ」

電「でかいだけの氷はかき氷にして食ってやるのです」

早川「・・・その意気だ。とにかく、敵艦載機に気をつけるんだぞ」

解放軍の遣欧艦隊が、氷山空母撃破のために出撃した。前方に戦艦隊が展開し、その後方に駆逐艦隊、空母艦隊と並ぶ。旗艦を務める電は、遠距離からミサイルを撃ち込みつつ防空任務に当たることになっている。

早川「これが紀伊の初超兵器戦だ。スペックは艦娘大和に引けを取らない。超兵器空母も必ず撃破できるはずだ」

副長「敵艦増速!しかし、依然として20ノット以上は出ていません!」

ブラウン『氷山でできている分、鈍重で遅いのでしょう。こちらは速度で翻弄し、敵艦に火災を発生させましょう』

電「倒せるかどうか自信がないのです・・・」

早川「大丈夫だ。こっちは数で勝っている。的確な攻撃を与えれば、そう強い相手でもないだろう」

電「ちょっと、自信がついてきたのです。ありがとう、なのです」ニコッ

早川「そろそろ敵艦がミサイルの射程に入る。イルミネーターレーダー、スタンバイ!敵砲弾や航空機を撃墜しつつ、氷山空母を撃破する!」

早川「全艦、戦闘配置につけ!」

電探の妖精さん「敵機確認!フランカー、ファントム2、それにスーパーホーネットもいるわ!」

早川「航空機隊全機に告ぐ、直ちにその場を離れよ!戦艦隊、砲撃用意!撃て!」

大和『右、砲戦用意!全砲門、薙ぎ払え!』ゴォォォ

特殊爆弾「テルミット・プラス」を詰め込んだ対空砲弾「炉号弾」が戦艦隊の主砲から一気に発射される。砲弾は敵機の直前で巨大な爆発を起こし、回避が遅れた航空機を灰燼に帰していく。

電探の妖精さん「す、すごい・・・あの敵編隊が、一瞬で・・・」

赤城『第1次攻撃隊、制空権を確保してください!』

ファントム2が混乱する敵編隊に攻撃を仕掛ける。艦隊上空は乱戦が形成され、今のところ我が方が優っている。

早川「電、ミサイルで敵機を攻撃、援護せよ!」

電「なのです!」シュウゥゥ

電と暁がミサイルを発射し、雷が主砲を発射する。わずか数秒で次々と敵機が破壊されていく。

水雷長の妖精さん「すっげーなーこりゃ」

ソナーの妖精さんB「こりゃー」

早川「これがイージスシステムの力だ。航空攻撃から艦隊を守る、神の盾だ」

暁『攻撃するからねっ!』ガガガガガ

響『無駄だね』ドォン ドォン ドォン

電探の妖精さん「北西に敵艦隊出現!戦艦を含む攻撃艦隊よ!」

早川「支援艦隊か・・・航空機隊、敵艦隊を叩け!戦艦は引き続き氷山空母に攻撃を続行!」

電「はりゃーっ!?」ドカァン

早川「くッ、ダメージコントロール!」

ダメコンの妖精さん『至近弾で装甲にひびが入ったのん!』

機関室の妖精さん『・・・機関室浸水、出力低下』

早川「やはり航空攻撃を全て防ぐのは無理か・・・」

副長「味方戦闘機、次々に落とされていきます!」

早川「きついな。戦艦隊、氷山空母へのダメージは?」

大和『命中弾28!しかし、すぐに外殻の氷が回復してダメージを与えられません!』

電「すごく強そうなのです・・・」ブルブル

早川「予想以上だ。徹甲弾では破壊できそうもないな。戦艦隊、砲弾を徹甲弾から炉号弾に切り替えて攻撃せよ!」

副長「インバネス飛行場より連絡!EI作戦、準備よし!」

早川「よし、護衛艦隊、敵戦闘機を何としてでも撃ち落とせ!EI作戦を邪魔させるな!」

17機もの巨大な爆撃機は、予定通りスコットランドのインバネス飛行場から発進した。日本が極秘開発した超長距離爆撃機『富嶽』だ。

富嶽はB29の1.5倍もの大きさを誇り、2倍の爆弾積載を可能としたモンスターだ。今回は氷山空母攻撃のために、焼夷弾を満載して作戦の支援をすることになっていた。

早川「高高度超兵器爆撃作戦、通称EI作戦だ。制空権が無いまま爆撃することになるが、これも仕方ないことだ。電、何としてでも戦闘機を近づけてはならないぞ」

電「富嶽を守るのです!」シュウゥゥ

副長「富嶽、目標到達まで1時間!」

電探の妖精さん「響が敵ネルソン級戦艦を撃沈したわ!加賀、氷山空母の砲撃で小破!」

電「なのです!」ドォンドォン

電はファントムを狙うフランカーに砲撃を加えた。フランカーは二発目の砲弾を受け、機体を空中で四散させた。

早川「空母の艦載機は既に半分が撃墜されている・・・くっ、どうすればいい?」

天城『副砲、機銃、弾幕張れ!』

突如、東から艦隊が敵編隊に向けて攻撃を開始した。激しい弾幕に追い立てられ、敵機が散り散りになって逃げていく。

電探の妖精さん「艦隊接近!長門型戦艦『常陸』『陸奥』を含むオセアニア駐留艦隊よ!」

電「天城大佐なのです!」

副長「天城大佐!なぜここに!?」

天城『理由は後で話す。それより、今は敵艦隊と超兵器の破壊に集中しろ』

提督『長門型・・・えっ!?』

天城「久しいな、艦娘を従えた提督よ」

提督『ああああ!あの時戦った日本艦隊!』

愛宕『あら、お久しぶりですねー♪』

天城「解放軍についたという情報は既に聞いている。安心したまえ」

日本軍兵士A「主砲、敵戦艦に砲撃開始します!」

天城「了解した。撃て」

日本軍兵士C『撃て!』ゴォォ

戦艦常陸の46cm連装砲が火を噴いた。イギリス到着前に大改装した三番艦常陸と二番艦陸奥は、高打撃力を誇る高速戦艦に改装されていた。

天城「次弾装填・・・ッ!?」ドカァン

日本軍砲兵A『第3砲塔被弾!被害甚大!』

天城「氷山空母・・・ハボクックの主砲か。応急修理急げ。第1、第2主砲は砲撃を続行せよ」

常陸は護衛艦隊の横を通り過ぎ、氷山空母ハボクックに主砲を叩き込む。しかし、徹甲弾では効果的なダメージを与えられない。

天城「やはり我々では無理か。ハボクック攻撃を取りやめ、後方の戦艦部隊を撃破する」

富嶽……だと!?

更に天城もこちらに付いたか、敵にはまだクルーガーとか居るみたいだしまだまだ帝国有利か。

暁(延長船体)

http://imepic.jp/20140310/842770?guid=ON
http://imepic.jp/20140310/843730?guid=ON

秋月型の船体を使用、7メートル短いけどこれしか無かった。
VLSの数以外はだいたい合ってる筈。

>>476
今度は暁ちゃんですか。ありがとうございます。
武装や速力まで設定通りに再現していて、すごいと思います!


ちなみに早川少将は早川幹夫中将をモデルとしました。


ネタバレすると、建造中と言及されていたヴォルケンの外観は、PS2版WSC2の『ヴォルケンクラッツァー2』と同じです。

一時間後、既に護衛艦隊のミサイルは撃ち尽くし、稼働できるのが魚雷と主砲のみになっていた。しかし、ハボクックの艦載機はまだ存在している。

副長「富嶽、現場海域に到着!これより氷山空母に爆撃を開始します!」

早川「氷山空母ハボクック・・・天城の情報網は凄いな」

副長「司令代行!」

早川「・・・ああ、悪い。しかし、富嶽が今まで撃墜されなかったのは幸いだったな」

電探の妖精さん「そうはいかないみたいよ。フランカーが富嶽隊に向かってるわ!」

電「はぁ、はぁ・・・もう、弾が残ってないのです・・・」ハァハァ

早川「大丈夫か、電」

電「ちょっと、疲れたのです・・・」ハァハァ

早川「艦の操作は妖精さんと我々に任せて、ゆっくり休め」

電「あ、あのっ・・・ありがとう、なのです」

早川「・・・何としてでも富嶽を守れ!ミサイルが残っている艦は、全て戦闘機隊に向けろ!主砲も出来る限り迎撃を続けるんだ!」

水雷長の妖精さん「砲撃、いっくぜー」ドォンドォン

愛宕『愛宕、撃ちまーす!サルボー!』シュウゥゥ

電と愛宕の攻撃が上昇中のフランカーに加えられる。主砲は届かなかったが、愛宕のミサイル2発は、それぞれフランカー2機を落とした。

電探の妖精さん「敵機、全部主砲の射程外に逃げたわ」

早川「後は富嶽隊に全てを任せるしかないか・・・」

富嶽はハボクックの上空に到着すると、誘導焼夷弾を次々に落とした。ハボクックは超兵器だが、所詮は空母だ。さすがに重爆撃機から落とされる爆弾の雨には飛行甲板が耐えられない。

副長「やりました!富嶽1号機の爆弾で氷山空母の甲板が炎上しています!」

電探の妖精さん「まだよ!富嶽4号機と8号機がやられたわ!他の機が弾幕を張ってるみたいだけど、効果はあまりないみたいよ!」

早川「さすがに制空権がない状態で重爆撃機を使うのは無茶だったか・・・」

副長「富嶽6号機の爆弾、ハボクックに命中!艦首部の氷が溶けていきます!」

電探の妖精さん「富嶽17号機墜落!富嶽2号機、フランカー2機撃墜!」

電「みんな、頑張ってくれているのです・・・」

天城『まだ戦闘は終わっていない。気を抜くな』

早川「そうだったか。護衛艦隊、対空射撃しつつ機動艦隊に合流せよ。戦艦隊は引き続き支援艦隊の迎撃に当たれ」

大和『了解しました!全主砲、薙ぎ払え!』ゴォォ

早川「ハボクックが鈍足で助かった。もし、あいつが高速だったら・・・」

副長「司令代行!氷山空母の船体の半分が溶けました!あれを見てください!」

副長はモニターに映像を映し出した。ハボクックの艦首が完全に溶け、双胴空母の艦首が覗いている。

早川「完全に氷山でできていたわけではなく、普通の艦に氷山をくっつけただけだったのか・・・」

副長「これなら、船体に穴を開けて沈めることもできますね!」

早川「そのようだな。電はこれより、単艦でハボクックの撃沈に臨む。戦艦隊は接近して電の援護をしろ!」

50分ほどかかった電の応急修理も終了し、機関出力も歳代まで出せるようになった。魚雷発射管の状態を確認し、ハボクックに直接攻撃を仕掛けに行く。

副長「富嶽隊、半数が撃墜されました!しかし、富嶽9号機はまだ攻撃を続行、船体の氷のほとんどを溶かしました!」

早川「よし、よくやった。富嶽には礼を言わねばならんな。それと、無茶な作戦に連れ出した詫びもしなくては・・・」

電「・・・皆さん、本当にありがとうなのです」ペコリ

早川「払った犠牲は無駄にはしない。これより、ハボクックを沈めに行く!」

電「なのです!」

電は増速し、戦艦隊の間を抜けてハボクックに突撃する。その間、異常を察知した攻撃機隊が攻撃を仕掛けに来るが、ミサイルなどは既になく、機銃で攻撃しようと接近してくる。

副長「敵機接近!」

水雷長の妖精さん「任せろってー」ドォンドォン

電の後部主砲が命中し、スーパーホーネットが四散する。ハボクックもそれに気づき、緑色のレーザーを放って防御の構えを見せる。

早川「無駄だ!魚雷、撃て!」

水雷長の妖精さん「よっしゃー!」ガシャン

以前より少し門数は減ったものの、魚雷の威力は衰えていない。至近距離で発射された10発もの魚雷は、ハボクックの剥き出しになった艦首に直撃した。

副長「全弾命中!敵艦、主砲で応戦してきます!」

ハボクックの56㎝砲が電を狙い、発射された。しかし、高速で動きまわる電に砲弾は当たらない。

早川「いいぞ!戦艦隊、主砲発射!電は魚雷を再装填!」

水雷長の妖精さん「よーし、次の魚雷だぜー」ガシャン

電はハボクックの主砲を回避し、魚雷を撃ち込む。しかし、その箇所は既に氷の生成が始まっていて、効果的なダメージを与えられなかった。

早川「くそ、回復する装甲なんてふざけているにも程がある!」

副長「敵艦に傾斜は見られず!氷山の浮力に加えて双胴空母という特性もあって、かなりの復原性を持っているみたいです!」

電探の妖精さん「富嶽の支援があってもこれだなんて・・・バケモノよバケモノ!」

早川「戦艦隊、残弾数は!?」

大和『主砲の砲齢が尽きそうです!』

天城『我が艦隊の残弾数、残り僅かです』

早川「どこまで強いんだ、あいつは・・・」

提督『ねえ、ちょっと』

早川「何だ?」

提督『奴にも弾薬庫や燃料庫はあるはずよね?』

早川「もちろんだ。そうでなければ、艦載機は・・・そうか、その手があったか!」

提督『そうよ。大鳳と同じ目に遭わせてやるの。氷で覆われている以上、格納庫は密閉型に決まってる。エレベーターを破壊して、弾薬庫に攻撃を仕掛ければ・・・』

早川「爆発する、だな」

提督『ご名答。なら、やるしかないわね!さっき艦首に穴を開けたでしょ?そこから陸戦隊を侵入させて、破壊工作を行わせればいいのよ!』

早川「よし、今から準備だ。陸戦隊、出撃用意!電以外の艦は直ちに退避せよ!生き残っている富嶽で爆撃ができる機は、全て艦首に攻撃を集中させろ!」

副長「富嶽1号機、2号機、9号機、16号機に爆弾あり!今から爆撃を開始するとのことです!」

早川「いいぞ!戦艦隊、炉号弾をぶちかませ!」

大和『右、砲戦用意!撃てーッ!』ゴォォ

ハボクックに更なる攻撃が加えられる。常陸と紀伊、加賀の斉射で前部主砲塔が吹き飛び、大和の炉号弾と富嶽の爆撃で艦首の氷が全て溶けた。

副長「出ました!艦首の穴です!」

早川「よし、陸戦隊、突入!」

陸戦隊の妖精さん「ウラァァァァァ!!」

響『そ、それ・・・』

電から内火艇が降ろされ、陸戦隊が突入する。甲板を損傷し、主砲の一部を破壊されたハボクックは死に体同然だったが、超兵器は完全に沈めなければならない。

早川「頼んだぞ、陸戦隊の猛者共・・・」

咆哮と聞くとフェアリーテイルのほうが浮かんでしまう

陸戦隊の妖精さん「火龍の咆哮ぉぉぉぉぉ!!」ゴォォォォォ

ハボクックの凍りついた艦内で、火炎放射機が放つ強烈な炎が暴れ回る。迎撃に出た兵士たちは炎に怯え、逃げていく。

陸戦隊の妖精さん下っ端「姉貴、何で某ドラゴンスレイヤーの魔法なんて使ってんすか」

陸戦隊の妖精さん「>>487のセリフで『それもそうだな』って思っただけだ」

陸戦隊の妖精さん下っ端「メタ発言は寒いからやめてくだせぇよ・・・」

陸戦隊の妖精さん「・・・そうか、慎もう」コホン

ハボクックの艦内に突入した陸戦隊は、航空機格納庫の下にある士官室辺りを艦尾に向けて走っていた。

陸戦隊の妖精さん「それにしても、まるで迷路みてぇなところだな」

早川『陸戦隊の妖精!聞こえるか!?』ガーガー

陸戦隊の妖精さん「何だ?」

早川『天城の話で、ハボクックにジョナサン・クルーガー大将が乗艦していることが判明した。そいつをとっ捕まえてほしい」

陸戦隊の妖精さん「敵の幹部ってわけか。面白ぇ!野郎共、5人だけ俺に付いてこい!その他は作戦通り弾薬庫と燃料庫に行け!」

陸戦隊の妖精さんたち「オウ!」

陸戦隊の妖精さん「・・・クルーガーか、どんな奴か会ってみたいぜ」

陸戦隊の一部が分かれ、艦橋に向かう6人が航空機格納庫に上がる。しかし、扉をくぐろうとした矢先に、銃弾が襲ってくる。

陸戦隊の妖精さん「チッ、しゃら臭ぇ!」ガガガガ

陸戦隊の妖精さん下っ端「援護しやす!」バンバンバン

陸戦隊の妖精さん「どこかに艦橋への入口は・・・そうか、ここは双胴艦の左部分だ。中心部に行かないとねぇな」カチッ

陸戦隊の妖精さん下っ端「しかし、ここから先は通れやせんぜ」

陸戦隊の妖精さん「そこは気合で突っ切ればいいだけの話だ!」ポイッ ガガガガガガガ ゴガァァン

クルツのマガジンを取り換えた陸戦隊の妖精さんは、手榴弾の煙幕を利用して格納庫に出る。双胴艦の中央部分に仕切りがあり、そのどこかに内部への入口があるはずだ。

陸戦隊の妖精さん「おい早川!天城にここの構造を聞け!」

早川『そんなの知るわけがないだろう。しかし、中央部に艦橋への入口があるのは確かだ。何とかそこを探してくれ』ガーガー

陸戦隊の妖精さん「チッ、使えねぇな」

早川『お前も大概口が悪いな』ガーガー

陸戦隊の妖精さん下っ端「話してないで、敵を撒くのに集中してくだせぇ!こっちは限界ですぜ!」バンバン

陸戦隊の妖精さん「うるせぇ!だあってろ!」

陸戦隊は艦載機を盾にして徐々に艦橋に近づいていく。しかし、敵の銃撃が激しく、とてもその場を動けるような状態じゃない。

陸戦隊の妖精さん「チッ、クルツの弾が切れやがった!そっちは!?」

陸戦隊の妖精さん下っ端「デザートイーグルは切れやしたが、イングラムならまだありやす!」

陸戦隊の妖精さん「そうか。よし、このまま突っ切るぞ!」

陸戦隊の妖精さんは火炎放射機を使ってフランカーに火を放った。たちまちフランカーは炎上し、大爆発を起こした。

陸戦隊の妖精さん「へっ、何とか煙幕には使えたみたいだな。よし、このまま走れ!」

早川『今どこだ!?』

陸戦隊の妖精さん「艦橋の下だ!それと、話しかけんなっつたろ!」

早川『すまん。それより、早くしないと我々も危ない。急げ!』

陸戦隊の妖精さん「それだけのために連絡しやがったのか!話は最低限にしやがれ!」

早川『・・・ハイ』

陸戦隊の妖精さん「さてと、お仕事はこれからだ!」

陸戦隊の妖精さんたち「Sir!Yes Sir!」

双胴艦の中心部にある構造物の下までたどり着いた陸戦隊の妖精さんは、凍りつきかけているドアを蹴破った。

陸戦隊の妖精さん「手ェ挙げな!解放軍陸戦隊のお通りだ!」カチャッ

クルーガー「私の艦にずけずけと上がり込んで、ただで済むと思っているのか!」

陸戦隊の妖精さん「へっ、貴様がクルーガーみたいだな。ついて来い!」

クルーガー「断る!」

陸戦隊の妖精さん「それなら、力づくで拉致ってやるぜ!野郎共!」

陸戦隊の妖精さんたち「Fu●k You BOY!」ガガガガガ

ハボクックの艦橋が火花で満たされる。艦橋員は誰も銃を持っていないので、陸戦隊のクルツが一方的に敵をなぎ倒していく。

陸戦隊の妖精さん「野郎共、奴を捕まえろ!」

陸戦隊の妖精さんたち「ヒャッハー!」

クルーガー「くっ、やめろ!それと掛け声を統一しろ!」

陸戦隊の妖精さん「早川、クルーガーをとっ捕まえたぜ」

早川『よし、ハボクックを沈めて帰って来てくれ』ガーガー

ハボクックに乗艦していた司令、クルーガーは呆気なく捕獲された。

クルーガー「私を捕まえてどうしようというのだ」

陸戦隊の妖精さん「知らねぇよ。犬にフリスビー投げて持ってこさせる理由を、飼い主がわざわざ説明すンのか?」

クルーガー「・・・好きにしろ」

陸戦隊が弾薬庫に仕掛けた爆弾は巨大な爆発を起こし、ハボクックを内部から破壊した。その様子を、ハボクックに乗っていた捕虜たちはまじまじと眺めていた。

陸戦隊の妖精さん「目に焼き付けておけ、これが超兵器の末路だ」

クルーガー「超兵器は滅びぬ!超兵器機関がある限り、何度でも蘇るぞ!」

陸戦隊の妖精さん「ほざいてろ、負け犬が」


電「この人がクルーガー提督なのですか?」

クルーガー「そうだ」

早川「提督の話からゴーダは戦死し、ロゼは行方不明、お前は捕まった。これでウィルシア帝国の大将全員が帝国から消えたことになる。もう帝国はおしまいだ」

クルーガー「そうはいかん。たとえ大将が全て消えても、まだ・・・あのお方は帝国におられる」

シュルツ「あのお方?総帥のアレスはとっくに第三国に亡命していると聞いたが」

クルーガー「アレス?あのゴミはただの傀儡だ。世界を統べるに相応しいのは、間違いなくあのお方!お前らのような虫けらが幾ら足掻こうが、あのお方の強大な力には誰も抗えない」

提督「よく言うわ。艦は人が操ってこそ兵器になるのよ。その人の指揮がいいからって、強大な力になるとは思えないわよ」

クルーガー「何もわかっていない連中だ。人が操っている時点で、超兵器は超兵器ではない。ただの紛い物だ」

早川「どういうことだ?」

クルーガー「いずれわかる時が来る。その時があればの話だがな!」

ロゼ「動ける機は全て上げなさい!全機発艦!」

南極のドックを戦艦の射程に捉えた告死天使は、ヴォルケンクラッツァーのドックに一斉攻撃を仕掛けた。主砲がドックの足場を破壊し、F-15のミサイルが工場を破壊する。

帝国兵士A「順調ですね」

ロゼ「ここまでは、ね。けど、油断はできないわ。徹底的に破壊しないと」

アルウス艦長「そうですな。ヴォルケンクラッツァーは大陸をも破壊する究極の超兵器、何としてでも倒さねばなりません」

ロゼ「戦艦隊!副砲、高角砲、機銃、搭載してる兵器は全て出しなさい!ヴォルケンを粉みじんにしてやるのよ!」

帝国兵士C「戦艦ケンタッキーより入電!ヴォルケンクラッツァーにダメージなし!防御力が段違いだ、とのことです!」

ロゼ「さすがね。でも、ここで倒さないと世界が滅ぶわ。弾薬を全部使ってでも、あいつだけは・・・!」

戦艦の艦砲射撃で基地は既に崩壊し、残っているのはヴォルケンクラッツァーのドックだけだ。悪いことに、それは竣工寸前だった。

ロゼ「艦載機隊、ヴォルケンの艦首を狙いなさい!主砲と航行能力を封じるのよ!」

アルウス艦長「主砲、撃ち方始め!」ゴォォ

ロゼ「おっと、危ないわね。ちょっとうるさいけど、戦力は持っておくべきよね」

帝国兵士A「そうですね。しかし、もう少しです」

帝国兵士B「ヴォルケンクラッツァーより強力なエネルギー反応!」

ロゼ「うそっ!もう起動したの!?」

帝国兵士B「エネルギー、みるみる増大していきます!観測限界値を突破!」

アルウス「総員、衝撃に備えろ!全艦退避!」

ロゼ「ダメ、間に合わな・・・」ドゴォォォォ



ロゼ「・・・う・・ん、ここは?」

アルウス艦長「やっと目を覚ましましたか。ここは洋上、アルウスの救命ボートです」

ロゼ「そんな、アルウスは!?」

帝国兵士B「敵のエネルギー兵器で、一撃で撃沈されました。乗員2万5000人のうち、2万人が死亡しました。告死天使は駆逐艦グネフヌイを除き、全て海の底です」

ロゼ「一撃!?超兵器でも指折りの電磁防壁を持つアルウスが、艦隊ごと・・・そっか、あれね」

帝国兵士A「何か心当たりでも?」

ロゼ「波動砲。ウィルキア王国だった時代に開発・・・いえ、『もたらされた』兵器よ。その存在は、旧王国では政府首脳にも秘匿され、完全に軍の指揮下で解析・量産が進められてきたわ」

帝国兵士B「もたらされた・・・?」

ロゼ「そう。波動砲は超兵器機関が発生させる膨大なエネルギーを発射する禁断の兵器。別の世界からやってきた、恐ろしい大量破壊兵器よ。クルーガーが黒海で使ったウラニウム爆弾よりも強力かつ連射が利く。それに放射能汚染もないわ」

ロゼ「国防軍では大将クラスや研究チームしか存在を知らず、超兵器を使っての世界安定化計画も同じく大将クラスで極秘に議論されてきたわ。でも、親国王派のヴァイセンベルガーはそれに反対した。これを使えば、世界が更に戦乱で埋め尽くされる、ってね」

ナギ「ヴァイセンベルガー大将、到着されました」ビシッ

ヴァイセンベルガー「ご苦労。クルーガーを捕まえたのは本当か?」

早川「ええ、現在は電の営倉にて高級士官としてお迎えしております」

ヴァイセンベルガー「奴には臭い飯がお似合いだ。犬以下の扱いでいい」

早川「しかし、それでは・・・」

ヴァイセンベルガー「ダメだ。権力欲にまみれた男には、それ相応の絶望を与えろ」

早川「・・・」

ヴァイセンベルガー「今日は話があって来た。転移艦隊やシュルツたち来い。これは重要な話だ。不参加は許されない」

早川「では、只今召集いたします」ビシッ


スコットランド 某料理店

ウェイトレス「あ、ヴァイセンちゃんひさしぶり~」

ヴァイセンベルガー「ああ、久しぶりだな」

ウェイトレス「今日は大所帯だねぇ~。女の子がいっぱいいるよ~」

ヴァイセンベルガー「全員が軍の関係者だ。今日は重要な会談をするためにここを予約した」

ウェイトレス「はぁ~い。それじゃ、奥に案内するね~」

提督「知り合いですか?」

ヴァイセンベルガー「ここも馴染みの店だ。給料日前はいつもここで夕食を済ます。以前の店と比べて安いからな、赤城や大和がいくら食おうが、前より高くなることはない」

提督「そういうことね・・・」

料理店 特別宴会場

ヴァイセンベルガー「では、超兵器について隠していたことを言おう」

ブラウン「超兵器の情報を隠していたのですか!?」

ヴァイセンベルガー「今まで士気の低下を恐れて公開していなかったことだ。今思えば、判断は間違っていたな」

艦長「ところで、その超兵器の情報というのは・・・」

ヴァイセンベルガー「ウィルキア王国時代、北極海に漂流してきた、ある巨大艦のことだ。それが全ての始まりだったのだ」

早川「北極海・・・ですか」

ヴァイセンベルガー「5年前のことだ。北極海で氷に閉ざされていた巨大艦を国防軍が救助した。それを当時のクルーガーが秘密裏にドックを建造し、匿ったのだ」

シュルツ「5年前に何者かが軍の予算に関する書類を改ざんした、という噂が流れていたが、本当のことだったのか・・・」

ヴァイセンベルガー「そうだ。ドックで巨大艦を覆った後、奴は我々国防軍の大将にある計画を話した。国防軍の総力を挙げて世界を征服し、新たな秩序を形成する『世界安定化作戦』だ」

電「作戦名が陳腐過ぎてあくびが出ちゃうのです。ネーミングセンスくらい鍛えろなのです」

ヴァイセンベルガー「・・・陸軍の大将全員、海軍の大将のほぼ全員が作戦に賛成した。これを使えば、近隣諸国からの侵略の脅威を取り除き、更には自らの利権を拡大させられる」

ヴァイセンベルガー「しかし、その巨大艦が持つ力は、あまりに危険なものだった。ここにいる連中の誰もが想像を絶するものだ。世界を恐怖で抑えつけることになりかねない。恐怖政治が成功した例など、歴史には一切ない」

大和「だから、将軍は反対されたのですね」

ヴァイセンベルガー「そうだ。クーデターが起こる直前、私は親国王派の国防軍と近衛軍をできる限り集め、国王陛下を伴って亡命した。そして、現在に至る」

シュルツ「そうだったのですか・・・」

提督「ところで、その艦の艦名は何ですか?」

ヴァイセンベルガー「艦名は、ルフトシュピーゲルングだ。強力な超兵器機関を搭載し、大陸すら破壊するエネルギー兵器を使用する。これまで戦ってきた紛い物など比較にならん」

艦長「大陸すら・・・」

ナギ「ば、化け物じゃないですか!」

ヴァイセンベルガー「それを言えば、艦娘たちもそう言わざるを得ないだろう。艦娘が持つ不沈特性、そして夜戦攻撃力上昇、更に自我の獲得。まさに化け物だ」

響「私たちは化け物じゃない!超兵器と一緒にするな!」バン!

ヴァイセンベルガー「一緒だ。奴もまた、意思を持つ兵器だからだ。違うのは、船体と武装の規模のみだ。それ以外は全て艦娘と同じだ」

提督「意思を持つ・・・じゃ、ルフトシュピーゲルングにも艦娘がいるの・・・?」

ヴァイセンベルガー「超兵器機関は意思を持つ。それの目覚めが、グロースシュトラールが起こした『暴走』という形で現れる。しかし、ルフトシュピーゲルングは自らをコントロールしている。それ故、意識が目覚めていても暴走はしない。艦娘は更に進化した、自らが『人として』生きるための身体を手に入れた形態といってもいいだろう」

愛宕「私たちも、あんな風に・・・なるんですか?」ガクガク

提督(あの愛宕が、こんなに怯えて・・・)

ヴァイセンベルガー「超兵器機関を搭載しないお前らは暴走など起こりはしない。他に艦と艦娘を繋いでいるものがあるはずだ。それを破壊されたら艦娘も死ぬと思うがな」

提督「さすがに、それは思い当たらないわね。霧の艦隊みたいにコアを持ってるわけじゃないし・・・」

雷「そうよね。でも、私は提督がいればそれで十分よ!他のことなんてどうでもいいわ!今まで暴走を起こした艦娘なんていないんだし!」

提督「ふふ、やっぱり雷ちゃんは元気ね。頼もしいわ」

ブラウン「意思を持つ兵器・・・」ボソッ

シュルツ「どうされました?」

ブラウン「いえ、何でもありません」

ヴァイセンベルガー「いずれにせよ、近いうちに奴を撃破しなくてはならない時がやって来る。そのために、まずはヨーロッパを解放しなければならない」

天城「その通りです。その作戦の計画書を我々に渡すという意図も、今回の晩さん会に含まれていたのではないですか」

ヴァイセンベルガー「その通りだ。受け取れ」

提督と早川、天城、シュルツはそれぞれ作戦計画所を手渡された。1ページ目をめくり、大まかな内容を見る。

早川「キール軍港強襲作戦・・・」

ヴァイセンベルガー「天城の艦隊にはそのために来てもらった。カテガット海峡を通過する際に迎撃してくる敵艦隊を抑え、シュルツと提督の艦隊をキールに突入させるためだ」

提督「私もですか?しかし、私は謹慎中の身で・・・」

ヴァイセンベルガー「艦娘の本来の所有者はお前だ。たとえ謹慎中だろうと、使えるものは全て使う。私のやり方に口を出すな」

提督「は、はい」

>>480
暁の先っぽにドリルだと!?実に素晴ら……いやけしからんな!

今更だがヴァイセンベルガーが味方なのは頼もしいな。

無理やり作った今の電ちゃん
http://imepic.jp/20140314/001650?guid=ON http://imepic.jp/20140314/001330?guid=ON
丁度良いサイズの船体が夕張しか無かったから艦橋とか何となく駆逐艦っぽく見える用にしてみた。

>>502
電ちゃん、ずいぶん成長したね・・・(違
今回もありがとうございます。イージス艦化で艦橋設備が巨大化したという設定にしていたので、これにかなり近いです。

しかし、暁ちゃんの先っぽにドリルとは・・・ハッ!(ひらめいた

ロゼ「波動砲の力は未知数よ。時空さえ歪めかねない。抑止力程度に使うのであれば賛成だったけど、まさか大陸一つを本当に吹っ飛ばすだなんて、絶対に許せないわ」

アルウス艦長「お気持ち、察します」

ロゼ「そう、ありがと」ニコ

ロゼ「さて、まずは当海域からの離脱が先決ね。奴はグネフヌイを見逃してくれたみたいだし、さっさとアレに乗せてもらいましょ」

帝国兵士A「そうですね」


それから数時間後、アルウスの乗組員はグネフヌイに収容された。しかし、告死天使全体での生存者は、全員合わせて400人しかいなかった。

ロゼ「波動砲で艦隊のほとんどが瞬時に蒸発、アルウスは掠っただけなのに船体の半分が融解。本当にふざけた兵器ね」

帝国兵士B「小官は奴に勝てる気がしないのであります・・・」

ロゼ「大丈夫よ。多分、彼紺艦隊が殲滅してくれる。今まで何隻もの超兵器を葬ってきてるし、それなりの改造も施されてるはずよ」

アルウス艦長「ゴーダ司令が見逃したお陰でありますな」

ロゼ「あてつけはやめて。怒るわよ?」

アルウス艦長「これは失礼」コホン

早川「・・・」ハァ

電「どうしたのですか、司令官さん?」

早川「今回も、かなりの被害が出た。紀伊が中破し、金剛と長門、青鶴が撃沈された。それに、アルビオンも使い物にならない」

電「今回も予算が大変なのです」

早川「全くだ。金が湧いて出てくれれば、これほど嬉しいことはないんだが」

ヴァイセンベルガー「それならば心配することはない。これまでの活躍を認め、遣欧艦隊に割く予算を少し増やしてやる」

早川「本当ですか!?」

ヴァイセンベルガー「嘘をついて何の得がある。シュルツの艦も廃艦にするしかない様子だ、もう1隻戦艦をくれてやる」

早川「何から何まで、有難い限りです」

ヴァイセンベルガー「フン、これからも精々頑張るんだな」

電「これで少しはマシになったのです。よかったのです!」

早川「そうだな。では、その戦艦とやらを拝みに行こう」

スキズブラズニル 修理ドック

早川「これは・・・双胴戦艦!?」

シュルツ「ええ、規模は小さいですが、あのハリマに恐ろしく似ています」

ブラウン「主砲は50.8cm砲、副砲は20.3cm砲、ですか。かなりのスペックを持っているようですね」

早川「ところで、名前は何だ?」

シュルツ「ヴァイセンベルガー将軍は『周防』と呼んでいました。何でも、撃沈したハリマの構造を調べたそうです」

電「ちょっと可愛いハリマなのです!」

シュルツ「ニミッツ級よりデカい艦を可愛いというのか・・・私にはわからん」

筑波「まさに大艦巨砲主義ぢゃ!」

暁「ふえぇ、大きいよぉ・・・」

提督「大丈夫かしら、この艦隊・・・」

副長「さーあ?」

早川「さて、周防も編入されたことだし、本格的に帝国を制圧する時が来たのかもな」

ブラウン「はい。あの艦と共に新型戦闘機も確保してあります。もうヴィルヘルムスハーフェンは攻略できるかと」

早川「新型機?」

ブラウン「F/A18スーパーホーネット、F-22Cラプターが届いています。ファントムより少し遅れて開発されていたようですね。パイロットは既に確保済みとのことです」

電「ちょっと凄そうな名前なのです。響は知っているのですか?」

響「さすがに知らないよ。多分、かなり進んだハイテク機だろうね」

早川「では、それを早速空母に搭載してくれ。指令書によると、出撃は明日だ」

ブラウン「では、準備してきます」

早川「頼んだぞ」

電「そろそろ、帝国との最終決戦なのです・・・」

早川「今まで幾つもの超兵器を破壊してきたが、ルフトシュピーゲルングの強さは聞く限り侮れない。電、お前には辛い戦いをさせるだろう」

電「これでみんなを守れるなら、最後まで戦うのです!」

ラプターの仮想海軍仕様じゃね?
F-35Cが海軍仕様だし。

>>511が正解ッス。
トム爺さんなぞ知らん(笑)

ちなみにエスコンはやったことありません

早川「天城艦隊がカテガット海峡の敵を掃討し、その間に本隊がキールを強襲する、か・・・」

筑波「かなり賭けに出ましたな。ところで、艦隊の編制はどうされますかな?」

早川「そうだな、まず本隊は電だ。そして、キールでの戦いは誘引艦隊として大和、愛宕、暁、響、雷をつける。別動隊として赤城、大鳳、ニミッツ、エンタープライズだな。この艦隊でキール防衛艦隊を相手取り、電が単艦で敵基地を砲撃する」

電「電が、ですか?」

早川「そうだ。突入前に艦載機が敵基地の砲台陣地を破壊し、降伏勧告を出す。そこで相手が応じなければ、電が基地を破壊する」

提督「そんな虐殺みたいなこと、電が認めるわけないじゃない」

電「そうなのです!嫌なのです!」

早川「欧州に展開する数多くの艦隊がここから出ている。これは仇打ちの意味合いもある」

提督「仇打ちって・・・」

早川「この戦いは早めに終わらせる必要がある。本国から超兵器が送られて来ないとも限らないからな」

提督「ちょっと、聞いてるの!?」

早川「聞いている。何にせよ、この戦いは避けられない。この作戦ならば、自軍の被害が最も少ないという公算も出ているからな」

提督「そういうことじゃないわよ!」

早川「では、何だ。言ってみろ」

提督「仇打ちなんて・・・悲しいだけじゃない」

早川「そうかもな」

提督「・・・冷たいわね」

電「もういいのです、提督」

提督「電・・・わかったわよ、もうこの話はおしまい。さっさと消えなさい」

早川「わかった」キィ バタン

筑波「若いですな」

電「・・・?」

筑波「戦いが長引けば長引くほど、人の心は荒んでしまうものです。それでもなお人の命を助けたいと願い続けられるのは、若さ故の心の強さからでしょうか」

提督「私は・・・そうじゃないわ」シュン

筑波「その様子だと、昔に何かありましたな?」

提督「ええ、私が子供の頃だったわ。深海棲艦の機動艦隊が街を空襲したのよ。それで妹とママを失ったわ」

提督「それから、親父の三笠が率いる戦艦隊が助けに来たけど、無駄だった。何隻もの戦艦レ級の激しい空襲、雷撃、それに砲撃。為す術もなく次々に沈められて・・・今も鮮明に覚えてる。それが軍に入ったキッカケ」

筑波「・・・」

提督「そうよ。それ以来、私は復讐のことしか考えられなくなった。ひたすら上を目指して提督になって、連中を一刻も早く滅ぼしてやりたいと考えたわ。海軍兵学校でも首位で卒業して・・・でも、3年前に電に出会ってから、考えが大きく変わったの」

電「そ、そうなのですか?」

提督「覚えてる?最初、私は敵を助けたいって言ってる電が嫌いだった。生ぬるいって。それじゃ敵と戦えない、って思ってた。でも、ずっと一緒にいるうちに、少しずつ電の考えてることがわかってきたの」

提督「今じゃ、すっかり洗脳されちゃった。出来る限り、敵を助けていこうって。そうしたら、少しずつでも敵のことをわかっていける。そう思った」

提督「彼も今は気が立ってるのね。自分の人生を振り返ったら、ちょっと頭が冷えてきたかも」

筑波「・・・やはり、人は変われる存在ですな」

提督「そうね。何にせよ、今は目の前の作戦に集中しなきゃ。電ちゃん、しっかり頼むわね!」

電「なのです!」

電「第1艦隊、出撃です!」

電を旗艦としたキール攻略艦隊は、ヴィルヘルムスハーフェンのレーダー監視網に引っ掛からないようにしつつ進み、カテガット海峡に突入した。

早川「まさか、天城がヴィルヘルムズハーフェンの部隊も誘引するとは。かなり無茶だな」

天城『大丈夫です。北海主力艦隊の出撃後、英仏連合艦隊が追尾し、カテガット海峡で艦隊を挟み打ちにします。それで敵を効果的に殲滅できるかと』

早川「大した自信だな。北海主力艦隊の兵力を考えているのか?」

天城『二日前に発生したロンドン沖海戦で、スペイン軍が兵力の2割を撃破しました。ほとんど戦艦ですので、かなり楽になったかと』

早川「お前には恐れ入るよ」

電「カテガット海峡に入るのです。いよいよなのです」

早川「そうか。では、各艦警戒態勢!索敵を怠るな!速度上げ!」

キール攻撃艦隊が一気に速度を上げ、目標のキール軍港に向けて突き進む。

赤城『艦載機より報告です!敵艦隊発見!海峡北側に水雷戦隊、海峡通過直前に戦艦隊です!』

早川「攻撃艦隊に告ぐ。戦闘は最小限にし、キール突入を最優先にせよ!」

シュルツ『了解。主砲発射準備。目標、水雷戦隊旗艦と思われる駆逐艦。撃破後は直ちに当海域を離脱せよ』

戦艦周防の主砲が火を噴いた。目標の駆逐艦ではなく、後方の2隻を轟沈させただけだが、その威力を確かめるには十分だった。

早川「大和や紀伊で見たが、さすがに凄いな。弾の数が違う」

副長「さすが双胴戦艦ですねっ!」

大和『全主砲、薙ぎ払え!』ゴォォ

大和の主砲が咆哮し、敵駆逐艦を襲う。至近弾だが、50.8cm砲に換装された主砲の威力はけた外れだった。

電探の妖精さん「敵スラヴァ級駆逐艦、大破!」

大和『次弾装填急げ!』

早川「戦局は我が方優位か。まぁ、攻撃艦隊と防衛艦隊が一緒に行動している今はそうだろうな。しかし、キールに突入すれば、どうかわからんな」

電「できれば、戦いたくはないですね」

早川「そうだな・・・そろそろ戦艦隊の射程に入る。雷、電、ミサイル発射!目標、敵アイオワ級戦艦!」

電「なのです!」シュウゥゥ

雷『てーっ!』シュウゥゥ

二隻からミサイルが発射され、旗艦と思しき単縦陣の先頭にいるアイオワ級に狙いを定める。ミサイル2発は対空ミサイルの網をかいくぐり、見事命中した。

電探の妖精さん「敵戦艦大破!船足が遅くなっています!航行不能の模様!」

早川「よくやった。そのまま直進、戦艦隊に攻撃を加えつつ海域を離脱する!」

早川の指示の下、攻撃艦隊が更に速度を上げる。相手の戦艦隊も離脱を許すはずがなく、主砲の一斉射撃で応戦してくる。

副長「大和に至近弾!航行に異常なし!」

副長「海域離脱!キール軍港に接近します!」

電探の妖精さん「前方に敵艦隊!水雷戦隊よ!」

早川「よし、行動開始。戦艦隊、中央から突入しろ!電は島の影で待機!」

シュルツ『はっ!全艦、突撃!』ゴォォ

周防や大和が敵艦に攻撃を加え、注意を逸らす。

早川「島の影ならレーダーに捕捉されることはあるまい。しかし、空には注意しろ」


それから1時間、敵艦隊の数隻が沈み、空母も到着したところで戦況が有利になってきた。

早川「そろそろ、か。機関室、行けるか!?」

機関室の妖精さん『・・・いつでも行ける』

早川「了解。電、出撃せよ!目標、敵基地直前!」

電「なのです!」

早川「さて、この戦いでキールを無事に落とせるといいが」

早川「こちら解放軍艦隊!貴官らは包囲されている!直ちに投降せよ!」

副長「・・・ダメです、応答ありません!」

早川「黙殺か。ならば・・・砲撃開始」

電「で、でも・・・」

早川「聞こえなかったのか、砲撃開始だ」

電「な、なのです」ドォンドォン

電はキール軍港を砲撃した。クレーンがなぎ倒され、基地施設が炎上する。

早川「まだ投降しないのか。ならば、陸戦隊出撃!キールを落とせ!」

陸戦隊の妖精さん「最近は出番が多いな。合点承知だ!」

早川「砲撃を止めるな!撃て!」

電「・・・っ!」ドォン

味方航空機が上空を守る中、電は砲撃を続ける。

電探の妖精さん「順調といえば、順調・・・あっ!」ピピーッ、ピピーッ

電探の妖精さん「敵艦隊出現!東からよ!扶桑型、大和型戦艦を含む戦艦隊!」

早川「何だと!?くっ、これを待っていたのか・・・」

提督『大和型か・・・かなりマズいわね。とっとと潰さないと壊滅させられかねないわ』

早川「電、反転!敵戦艦隊を破壊しに行く!」

電「ふあーっ!?」ドゴォ

ダメコンの妖精さん『魚雷発射管が潰されたのん!』

早川「ミサイル全弾発射!引火に気をつけろ!」

電の魚雷発射管が大爆発を起こし、艦橋後方が抉り取られた。しかし、ミサイルにはまだ引火していない。

副長「暁のミサイル、敵扶桑型戦艦を直撃!炎上し、沈んでいきます!」

暁『一人前のレディは強いんだから!』

早川「よし、大和を潰せ!何としてでも沈めてやれ!」

電「なのです!」シュウゥゥ

大和の砲弾を避けつつ、電はミサイルを撃つ。しかし、CIWSによって阻まれた。

早川「やはり敵も進化しているか・・・ミサイル、連続発射!ぶちかませ!」

電「命中させちゃいます!」シュウゥゥ

VLSから二発の対艦ミサイルが放たれ、大和の舷側を貫く。しかし、敵艦はほとんどダメージを受けていない。

早川「硬いな・・・」

シュルツ『撃ち方始め!』ゴォォ

周防が支援砲撃を加え、大和の喫水近くにダメージを与えた。砲弾の威力が装甲の限界を超えたらしく、巨大な穴をあけられた大和は転覆して沈没した。

早川「よし、撃破したぞ!」

副長「敵基地から連絡!司令長官の死亡を確認、速やかに投降する、とのことです!」

早川「キール制圧完了、か。思ったより味気なかったな」

ブラウン「・・・」

ナギ「どうされたんですか、ブラウン大尉?」

ブラウン「キールの艦隊ですが、数日前の偵察時より明らかに戦力が減らされていました。それも、空母はほとんど別の場所に回航されています」

シュルツ「気になりますね」

ブラウン「はい。何か悪いことでも起こらなければいいのですが・・・」

筑波「もしかすると、カテガット海峡に超兵器が待ち伏せしているかもしれませんな」

ナギ「もー、本当に来ちゃいそうで・・・」ピピーッ、ピピーッ

ナギ「通信傍受・・・えっ!?」

シュルツ「どうした!?」

ナギ「ノルウェー近海に超兵器出現!敵は南下中、本艦隊の退路を塞ぐ意思は明白です!」

筑波「わしの予感が見事に当たりましたな。ハハハハ!」

ブラウン「笑いごとではありません!」

シュルツ「面倒なことになったな・・・全艦、戦闘準備!」

早川「まだ戦闘のダメージから回復していないというのに・・・」

電「さすがに辛いのです・・・」

赤城『偵察機、直ちに超兵器の画像を入手してください!』

副長「どうしましょう、司令代行・・・」

早川「まずは各艦の被害を見て、戦闘に参加する艦艇を選別する。参加しない艦は、最大戦速で海域を離脱させる」

電探の妖精さん「それは無理ね。断言できるわ」

早川「なぜだ?」

電探の妖精さん「大陸方面から別の超兵器が迫ってるわ!おそらく、速度から飛行型超兵器よ!」

水雷長の妖精さん「超兵器のオンパレードだなー」

電「うぅ、怖いのです・・・」ブルブル

早川「大丈夫だ、電は絶対に守る」ナデナデ

電「あ、あのっ・・・ありがとう///」

早川「さて、奴らをぶちのめしに行こう。天城艦隊は総力を以て海上超兵器を迎撃!攻撃艦隊は飛行型超兵器の攻撃に移る!」

副長「了解!」

赤城『艦載機隊、全機発艦してください!』

大和『対空戦闘用意!炉号弾装填!』

愛宕『対空ミサイル、いつでも行けまーす♪』

シュルツ『対空戦闘!撃ち方用意!』

早川「モチベーションはバッチリだ。では、お出迎えといこうか」ニヤリ

副長「司令部より通信!接近中の海上超兵器を、超巨大航空戦艦『リヴァイアサン』、及び飛行型超兵器を、超巨大攻撃機『フォーゲルシュメーラ』と確認!詳細なデータをモニターに転送します!」ピピッ

早川「リヴァイアサンにフォーゲルシュメーラか・・・どちらも異様な形状をしているな。何か特異な能力はあるか?」

副長「リヴァイアサンは津波を引き起こす超兵器で、核ミサイルを発射します。フォーゲルシュメーラは旋風を沈めた超兵器で、空中停止や巨大レーザーを発射できる、とのことです」

電「二隻とも強そうなのです!津波に捕まったら第4艦隊事件になっちゃうのです!」

提督『第4艦隊じゃ済まないかもしれないわ。とにかく、何が何でも津波を起こされる前、もしくはレーザー砲の餌食になる前に沈めなきゃ』

早川「そうだな。なぜ司令部がこんなに詳細な情報を持っているのか、それは後でガルトナー司令に聞いてみるとしよう」

早川「では、戦闘開始!ミサイル艦を後ろに下げ、アウトレンジ攻撃及び防空を担当!戦艦は隙を見つけてフォーゲルシュメーラに主砲を撃ちこめ!各自散開せよ!」

早川の指示で艦隊が大きく広がり、敵のレーザー砲で一度に全滅しないようにする。

早川「何が何でも潰せ!ここで負けたら意味が無い!」

電「ミサイル装填です!」

雷『どっからでもかかって来なさい!』

暁『突撃するんだから!』

響『Битва начало』(戦いは始まった)

愛宕『うふふふ!』

副長「フォーゲルシュメーラ接近!ミサイル射程距離に入ります!」

電探の妖精さん「ノイズ極大化!超兵器接近!」

早川「ミサイル、撃ち方始め!」

電「なのです!」シュウゥゥ

巨大なアームを組み合わせたような異形の兵器に、大和を含むイージス艦の艦隊が対空ミサイルを放つ。しかし、フォーゲルシュメーラには一切と言っていいほど効果がなかった。

大和『さすが、頑丈ですね!』

赤城『戦闘機隊、迎撃せ・・・ど、どうしたの!?』

航空機の妖精さん『かみなりさんいっぱいふってきたー!ちょくげきで2きのでんしききがこわれちゃったよー!』

ブラウン『超兵器機関が周囲の大気を帯電させて、雷を!?戦争兵器の枠を超えています!』

赤城『損傷機は直ちに帰還してください!まさか、雪だけでなく雷まで起こせるなんて・・・』

暁『か、雷なんて怖くないんだからっ!』

副長「敵機、空中に静止!後部のアームを前方に伸ばしています!」

早川「データによると、ホバー砲というらしいな・・・全艦、射線上から退避!」

大和『主砲、撃ち方始め!撃てー!』ゴォォ

シュルツ『砲撃開始!撃て!』ゴォォ

大和と周防の50.8cm砲が火を噴き、炉号弾を発射した。レーザーを発射するフォーゲルシュメーラに命中するが、やはりダメージを与えている様子は無い。

早川「炉号弾ですらダメか・・・戦艦は徹甲弾に切り替えろ!護衛艦隊は回避に専念しろ!」

ブラウン「飛行型超兵器ではありえない防御力ですね。構造に秘密があるのでしょうか・・・」

筑波「かなり強力な超兵器ですな。あの海割りレーザーと言い、超兵器機関が暴走しかねませんな」

ブラウン「ええ、それが一番の懸念です」

ナギ「敵艦、レーザーポッドを投下!既に稼働して暁に攻撃中です!」

暁『きゃあっ!熱いよぉ!』

早川『護衛艦隊、レーザーポッドを処理しろ!』

シュルツ「右回頭!右舷の方を使用し敵機を攻撃する!」

ナギ「敵機、移動開始!推定速度400ノット!電に接近中!」

フォーゲルシュメーラは電のほぼ真上に陣取り、巨大レーザーを放とうとしている。この時はレーザー発射時に姿勢が崩れるのか、一切動かない。

シュルツ「くッ、主砲、次弾装填及び冷却急げ!」

筑波「危険な状況ですな。電は損傷中、一撃を貰えば弾薬庫に引火しかねませんぞ」

ブラウン「弱点を突くことができれば、対処できるのですが・・・」

提督『大和、敵ホバー砲にできる限り砲弾を撃ち込むのよ!』

ブラウン「ホバー砲・・・そうですね、敵のホバー砲やジェット噴射口を狙えば、少しはダメージが期待できるかもしれません」

シュルツ「了解しました。主砲三連!残弾が無くなるまで叩きこめ!」ゴォォ

早川「くっ、被害知らせ!」

機関室の妖精さん『・・・タービンにダメージ、オーバーヒート寸前』

電「ぜかましの二の舞だけはイヤなのです!」

早川「お前、しれっと酷いこと言うよな」

副長「敵レーザーポッド、更に投下を確認!」

早川「排除しろ!」

電「なのです!」ドォンドォン

大和『砲撃用意!目標、敵超兵器!撃て! 電ちゃん、大丈夫!?』ゴォォ

電「大丈夫なのです!」

大和『そう、よかった・・・無理はしないでね』

電探の妖精さん「雑談は後にしなさい!上から来るわよ!」

フォーゲルシュメーラが再び電の真上に陣取り、ホバー砲の発射準備を整える。

早川「対空ミサイル発射!回避行動を取れ!」

機関室の妖精さん『・・・これ以上無理できない。爆発する』

電「お腹の辺りが熱いのです・・・」

副長「無理しなくていいよ、電ちゃん!」

早川「無理をしようがしまいが同じことだ!全速力!」

電「ううっ、電は頑張るのです!ミサイル装填です!」シュウゥゥ

電が放ったミサイルは、敵の小型砲台に命中した。小規模の爆発が発生し、フォーゲルシュメーラの移動速度が下がった。

副長「フォーゲルシュメーラの速度が低下しました!」

早川「よし、対艦ミサイルも撃ち込め!照準は手動でいい!」

電「なのです!」シュウゥゥ

雷『超兵器なんて怖くないわ!』シュウゥゥ

雷と電のVLSが一斉に開放され、次々とミサイルを発射する。機動力が落ちたフォーゲルシュメーラは標的同然となり、戦艦の主砲も次々と叩き込まれる。

副長「フォーゲルシュメーラの右後部バーニアが爆発しました!フォーゲルシュメーラ、キール港に着陸!」

早川「よし、とどめを・・・」ピピーッ、ピピーッ

副長「いえ、フォーゲルシュメーラから通信が入っています!」

早川「繋げ!」

『私ハフォーゲルシュメーラ、ウィルシア帝国所属ノ超兵器デス・・・』

電「超兵器が、話しかけてきたのです・・・」

早川「お前が、超兵器か・・・」

フォーゲルシュメーラ『ハイ、ソウデス。今カラソチラニ行キマス』ピッ

早川「お前が、フォーゲルシュメーラか」

フォーゲルシュメーラ「はい。私はウィルシア帝国海軍第6遊撃隊旗艦、フォーゲルシュメーラです。といっても、第6遊撃隊は私一人ですけど。みんな、私を『シュメーラ』と呼びます」

電「美人さんなのです!」キラキラ

早川「瞬間移動とは、最早我々の持ちうる技術の粋を逸脱しているな。それにしても、艦娘のように武装を身体につけているのか」

シュメーラ「艦娘とは?」

早川「そこにいる少女がそうだ。この駆逐艦の艦娘、電だ」

シュメーラ「艤装がありますね。ということは、私と同じ存在なのでしょうか?」

電「い、電は超兵器機関なんて積んでないのです」

シュメーラ「それじゃ、一体何者・・・あっ、そういえば、海軍で噂になってましたね。超兵器キラーの電は転移艦だって・・・ええええっ!?」

早川「驚くのも無理はあるまい。こんな少女が艦を指揮していたのだからな」

電「この世界に来てからは、ずっと司令官さんのお世話になってたのです」テレテレ

シュメーラ「うふっ、でも、よく見たら可愛いですね」ナデナデ

電「はうっ///」テレテレ

シュメーラ「・・・さて、私がここに来た理由は、わかりますよね」

早川「それは理解しかねる」

シュメーラ「そう、ですか。私は敗北しました。そこで、解放軍に投降します」

早川「投降・・・それがどういう意味を持つのか、わかっているのか」

シュメーラ「はい。解体され、研究材料にされる、ですね。超兵器はあなた方にとって、最も未知で危険な存在。それ故に研究をするでしょう」

シュメーラ「しかし、破壊されてしまっては元も子もありません。それより、生き残る道を選びたいと思います」

早川「正しい判断だ。さて、リヴァイアサンは・・・」

天城『くッ!早川少将、リヴァイアサンの攻撃により我が艦隊は壊滅、更に津波によって多くの死者を出しました。リヴァイアサンは逃走、救助をお願いします』

早川「了解した。何とか持ちこたえてくれ」

天城『そちらは・・・』

早川「超兵器の鹵獲に成功した。スカパフロー基地に戻り、修復し次第戦力に加える」

天城『朗報です。では、待っています』ピッ

シュメーラ「研究しないのですか?」

早川「超兵器のことは既に色々とわかってきている。司令部も、色々と情報を仕入れたみたいだしな」

数時間前 ロンドン市内の解放軍司令部

ヴァイセンベルガー「久しいな、ロゼ」

ロゼ「そうね。直に会うのは4年ぶりかしら」

ヴァイセンベルガー「無駄口はいい。何の用だ」

ロゼ「エーヴィヒグランツ作戦が発動したわ。ヴォルケンクラッツァーにアルウスが撃沈された」

ヴァイセンベルガー「・・・反旗を翻したのか」

ロゼ「そうよ。奴らが潰すところは、今現在解放軍が支配している地域だけ。そこには、あたしの生まれ故郷も入ってるわ。さすがに故郷を見捨てることはできない。もちろん世界も」

ヴァイセンベルガー「内輪もめは結構だ。どんどんやってくれたまえ」

ロゼ「内輪じゃないわよ。あたしは解放軍に入る」

ヴァイセンベルガー「信用すると思うのか?」

ロゼ「信用ね・・・それじゃ、今現在帝国が所有している超兵器の情報を、全部提供するわ」

ヴァイセンベルガー「・・・いいだろう。その代り、スパイ行為をしていた場合は、わかっているな」

ロゼ「銃殺、でしょ。もう飽き飽きするわ、その台詞」

ヴァイセンベルガー「・・・フン」プイ

ピピーッ、ピピ・・・ガガガガガガ

早川「どうした!?」

副長「ジャックです!通信機器が乗っ取られました!」

『・・・カ我ハ、究極超兵器ルフトシュピーゲルング、全テヲ滅ボスタメニ生マレシ者』

『コレヨリ、世界安定化作戦「エーヴィヒグランツ」ヲ開始スル。我ガ意志ニ逆ラウコトナド、不可能ト知レ!』

副長「通信、切れました。機器、正常に作動しています」

早川「何だったんだ、あれは・・・」

シュメーラ『ルフトシュピーゲルングです。この世界を支配するためにやって来た、破壊のために存在する兵器です』

早川「あれが、ルフトシュピーゲルングの声、か」

電探の妖精さん「勝手なこと言ってくれちゃって!さっさと潰してやるわよ!」

副長「とうとう、敵の最強の超兵器との決戦が近いんですね・・・」

電「また、人が一杯死んじゃうのです・・・」

早川「心配することは無い。我々はルフトシュピーゲルングを破壊し、平和な世界を取り戻す。それだけだ」

電探の妖精さん「あっ、漂流者よ!」

電「救助するのです!」

早川「よし、内火艇、降ろし方用意!」

ガルトナー『超兵器の鹵獲に成功したのか!?』

シュルツ「ええ、今は技術調査を兼ねて修理を行っています」

ガルトナー『それは嬉しい報せだ。運用は君たちに任せる』

早川「待て」

ガルトナー『・・・何でしょうか』

早川「司令部は何か重大な情報を掴んだらしいな。フォーゲルシュメーラとリヴァイアサンのデータ、どこから仕入れた?」

ガルトナー『こちらに寝返った将校からの情報です。特に、そちらの艦隊には全ての情報を開示しておけと』

早川「では、その情報とやらを全て転送してくれ」

ガルトナー『了解しました。スキズブラズニルのデータベースに転送します』

早川「頼んだ」

ガルトナー『では、私はこれで』ピッ

シュルツ「重大な情報、ですか。何か気になりなるものを感じますね」

早川「そうだな。では、早速スキズブラズニルのデータベースにアクセスしてみるか」

提督「思えば、遠くまで来ちゃったわね」

電「色々あったけど、司令官さんや他の人たちに会えて楽しかったのです」

提督「それならよかった。ここでの戦争はもうすぐ終わりそうだし、帰ったら鎮守府のみんなに話してあげないとね」

電「そういえば、みんなに行ってきますを言えなかったのです・・・」

提督「ただいまが言えたら別にいいじゃない」ナデナデ

電「はわわわ・・・」テレテレ

提督「そうねぇ、帰ったら何がしたい?」

電「ふぇ?」

提督「鎮守府に帰ったら、まず何がしたい?」

電「ま、間宮さんのアイスを食べたいのです!」

提督「そう。じゃあ、帰ったら私が奢ってあげる。置いて行っちゃったみんなにも、何かお詫びしないとね。やっぱり約束通り、経費で温泉かなぁ」

電「温泉も行きたいのです」

提督「じゃ、温泉に再決定ね。楽しみね」

副長「あれっ、温泉行くんですか?」

提督「ええ。鎮守府に帰ったら、艦娘や同期を誘って行くの」

副長「うらやましいです。あたしも行きたいなぁ」

早川「超兵器機関・・・形状は人間の脳と変わらんが、かなり巨大だな」

ブラウン「やはり、超兵器機関は人間の脳を模した構造でしたか。睨んだ通り、というわけですね」

シュメーラ「はい。しかし、これでも私たちは最大出力の半分も出せません。人間たちが超兵器機関の力を押さえこんでいるからです」

シュルツ「超兵器そのものが、超兵器を縛るカセだったというわけですか。これもブラウン博士の読み通りですね。では、何かを参考にして設計された、というのも・・・」

シュメーラ「何かを参考・・・すみません、そこは忘れているみたいで、思い出せません」

早川「そうか。ありがとう」

提督「超兵器機関の意識ねぇ・・・まるでメンタルモデルみたいね。そうじゃない、大和?」

大和「そうかもしれませんね」

シュルツ「メンタルモデルとは?」

提督「一度、私たちの世界に深海棲艦以外の艦隊が攻めてきたことがあったの。その名も『霧の艦隊』。連中、深海棲艦なんかとは比べ物にならないほど強力なの。霧の艦艇にはコアがあって、それの処理能力の高さが一定以上あると、メンタルモデルを持てるの。超兵器の意識と同じようなものよ」

ブラウン「興味深いですね。それで、霧の艦艇というからには、霧でできているのでしょうか?」

提督「いえ、違うわ。船体やメンタルモデルはナノマテリアルという謎の物質でできていて、レーザーやミサイルをボコボコ飛ばしてくるのよ。防御力もかなりあって、強制波動装甲やクラインフィールドを使って攻撃を無力化するのよ」

ブラウン「クラインフィールド・・・防御重力場のようなものでしょうか。いずれにせよ、超兵器レベルの強さであることは間違いないようですね。ますます興味深い」

シュメーラ「霧の艦艇・・・別世界にも現れていたのですね。我々もその霧と戦ったことがあります。それに『ネウロイ』と呼ばれる連中のデータもあります」

提督「そっちにも霧が・・・どうやら、この世界と私たちの世界は色々と接点があるみたいね。そのネウロイとやらが攻めて来ないといいんだけど」

早川「とりあえず、その話は後にしてくれ。今は超兵器の解析をしているところだ」

提督「はぁい」

大和「ちょっとお喋りが過ぎました・・・」

早川「ところで、ルフトシュピーゲルングはどこからやって来たんだ?」

シュメーラ「別の世界からやってきた、あなた方と同じ転移艦です。しかし、提督たちが知らないということは、更に別の世界から来たんでしょう」

提督「あぁもうややこしいわね!どれだけ別の世界があるのよ」

ブラウン「パラレルワールド、ですね。それすら捻じ曲げて繋げてしまうとは、超兵器の力はただ恐ろしいばかりです」

大和「空間を超えるなんて、ワープくらいしか思いつきません。凄いですね」

シュメーラ「しかし、同じ超兵器であることに変わりはないようです。ルーツは同じでしょう」

早川「ルーツは同じ、か。やはり、どこかの世界に最初の超兵器が存在するんだろうな」

ブラウン「マスターシップですね。可能性は大いにあります」

シュメーラ「マスターシップ・・・」

提督「ホントにややこしいわね。もう嫌になっちゃう」

大和「まぁまぁ」

大和「ルフトシュピーゲルングは時空を超えられるんですよね。それじゃ、何のためにこの世界にやって来たんですか?」

シュメーラ「旋風を沈める直前に、そのルフトシュピーゲルングと話す機会がありました。この世界に来た目的は、そのマスターシップを手に入れるためだ、と」

シュルツ「マスターシップを手に入れる・・・?」

ブラウン「この世界にマスターシップが存在するのですか!?」

シュメーラ「はい。その現物は既にルフトシュピーゲルングが所持しています。しかし、まだ起動段階ではありません」

提督「物騒なものを持ち出してきたわね。ところで、名前は?」

シュメーラ「大いなる冬を意味する、『フィンブルヴィンテル』です。かつて北極に存在した大陸を消し去り、その名の通り大いなる冬をもたらした最強の超兵器です。その結果、前文明は滅び、フィンブルヴィンテルも活動停止に陥り、そのまま長らく北極に封印されてきました」

早川「ブラウン博士、そういえば欧州大戦前に極地探検隊が北極で『何か』を発見したと聞いたことがある。表向きには封殺され、なかったことになっていたが」

ブラウン「それです。それがマスターシップ・・・いえ、フィンブルヴィンテルに違いありません」

提督「バカみたいな話だけど、本当のことなのね。それをルフトシュピーゲルングみたいな強力な超兵器が狙うとすると、とんでもない力を持ってるのかもね」

シュメーラ「はい。私たち超兵器から見ても化け物です。あれは歴史に存在してはいけない物です」

提督「ふぅん・・・ま、戦艦棲姫やエリートレ級の大群に比べたらマシでしょ。1隻だけだからリンチできるし、古代兵器っていうからには航空機もないでしょうし」

早川「そんな見方もあるか。だが、シュメーラの言うことが事実だとすると、我々にとっては死活問題だ。何としてでもルフトシュピーゲルングを退け、フィンブルヴィンテルを永遠に葬る必要がある」

ブラウン「やるしかありませんね。所在地がわかれば、起動する前に叩くこともできますが・・・」

早川「無理だな。どうせルフトシュピーゲルングが守っている。この話は後だ。まず、ウィルキアを解放せねばならん」

ガルトナー「諸君らの働きで、欧州の解放は完了した。まず、お礼を言いたい。ありがとう」

シュルツ「光栄であります」ビシッ

筑波「まずは一件落着ですな」

艦長「ああ、喜ばしい」

ガルトナー「残すは南アメリカ、ナーウィシアの一部、最後にウィルキア本土だ。南アメリカの方はアメリカが対処するらしい。我々は太平洋を進みつつ、ナーウィシアとウィルキアを解放する」

天城「とうとう、この時が来たか」

提督「ええ、さっさと連中を潰して、温泉に行くわよ!」

電「温泉なのです!温泉卵を量産するのです!」

副長「温泉卵は・・・まぁ、その、まぁね・・・」

早川「しかし、ウィルキア本土には強力な超兵器が配備されているだろうし、ルフトシュピーゲルングもいる。更に、運が悪ければ、フィンブルヴィンテルとかいう怪物も・・・」

ガルトナー「そうだ。再び前時代の悲劇が繰り返されないよう、早急にウィルキアを解放せねばならん。そのためには、諸君の尽力が必要不可欠だ」

暁「やっと出番が回ってきたのね!レディの本気を見せてあげるんだから!」

ガルトナー「その実力を以て我々の、そして世界の平安を手にできる日を勝ち取ってくれたまえ。では、解散。私はここで失礼する」

響「・・・」ビシッ

愛宕「また会いましょうね~♪」

早川「決戦の時、か・・・」

最初は戦艦1隻、鹵獲空母1隻、駆逐艦2隻の小規模な艦隊だった遣欧艦隊は、今では世界最高クラスの装備や超兵器まで保有する最強の遊撃艦隊になった。

早川「モスポール状態の艦も含めると、一国の軍隊に相当するな。下手な超兵器より脅威かもしれないな」

艦長「艦娘の強さは通常艦艇を大きく超えます。それに超兵器まで保有しているとなれば、戦後のことが心配です」

早川「戦後か。それは戦後になって考えればいい。今集中すべきは他にある」

艦長「・・・失礼しました」

早川「お前は深雪に乗るんだったな。最後尾は任せたぞ」

艦長「承知しております。では、起きをつけて」ビシッ

早川「ああ、お前もな」

艦長は簡単にお辞儀をすると、電の艦橋から出て行った。内火艇に乗り、スキズブラズニルの整備ドックに入っている深雪に向かう。

早川「深雪も、随分頑張ってくれたな・・・」

副長「艦娘の深雪ちゃんにも会ってみたいですね。どんな子なのかなぁ?」

早川「いつの間に・・・」

副長「ちょっと通りかかっただけですよ。コーラいります?」

早川「ありがとう、頂こう」

早川「遣欧艦隊、全艦出撃!大西洋上で解放軍本隊と合流後、パナマ運河を通過して太平洋に向かう!」

早川の指示で、スキズブラズニルを含む遣欧艦隊が出港した。スキズブラズニルを中心に据えた輪形陣をとり、旗艦の電はスキズブラズニルの前を航行している。

赤城『ヴァイセンベルガー提督の話だと、ナーウィシアというところに日本が編入されているんですね。どんな感じなのか、すごく楽しみです』

電「久しぶりに横須賀のカレーを食べたいのです!」

響『楽しみだね」

大和『みんな横須賀が母港なのに、私だけ呉・・・』

愛宕『私も呉ですよ~♪』

提督「そうだったっけ」

電「そういえば>>1が愛宕の母港を調べようとしても艦これの話しか出ないって嘆いていたのです」

電探の妖精さん「よくやるわよ。それじゃ、休憩してこようかしら・・・」ピピーッ、ピピーッ

電探の妖精さん「ん・・・嘘でしょ!こんな時に!」

早川「どうした?」

電探の妖精さん「敵航空機の編隊が迫ってるわ!あいつら、性懲りもなく来て!」

早川「くッ、対空戦闘用意!このまま解放軍本隊と合流を急げ!」

電探の妖精さん「そうもいかないみたいよ」ピピーッ、ピピ・・・ガガガガガガ

早川「そのノイズ、超兵器か!?」

赤城『偵察機、敵超兵器を発見!リヴァイアサンと確認しました!』

早川「何だと・・・スキズブラズニルや補給艦は退避、直ちに超兵器戦にシフトする!全艦、輪形陣のまま攻撃指示を待て!」

赤城『リヴァイアサンの他は何も見当たりません!超兵器が単騎で突撃してきます!』

早川「遂にトチ狂ったか。フォーゲルシュメーラ、ホバー砲をチャージしつつ敵機迎撃に当たれ!」

シュメーラ『了解しました』

フォーゲルシュメーラやイージス艦隊がミサイルを発射し、敵機を叩き落とす。

電探の妖精さん「無電方位探知で敵位置特定!近いわよ!」

早川「各艦、砲戦準備!ミサイル艦、対艦ミサイル発射!出来る限り短時間で決着をつける!」

電「命中させちゃいます!」シュウゥゥ

雷『この雷様に敵うと思ってるのかしら?』シュウゥゥ

遣欧艦隊から多数のミサイルが発射され、リヴァイアサンに直撃する。しかし、ダメージはかなり薄い。

副長「敵から高推力の大型ミサイルの発射を確認!核搭載型巡航ミサイルと思われます!」

早川「奴らめ、これが狙いか・・・全艦、何としてでも撃ち落とせ!撃ち漏らしたら命はないものと思え!」

響『了解、全力で潰す。対空ミサイル発射』シュウゥゥ

巡航ミサイルを響の対空ミサイルが落とした。速度は遅く、ミサイルを当てるのは容易だった。

早川「全く、ヒヤヒヤさせられるな」

大和『核なんて撃たせません!全主砲、薙ぎ払え!』ゴォォ

大和や周防が主砲を発射する。リヴァイアサンの飛行甲板に2発が直撃し、発艦準備中のスーパーホーネットを吹き飛ばした。

早川「よし、次は・・・ぐわっ!?」ドカァァン

電「はわわ!?恥ずかしいよぉ・・・」

早川「ダメージコントロール!状況知らせ!」

ダメコンの妖精さん『後部主砲がダメになったのん!でも航行に支障はないのんな!』

早川「砲弾は見えなかったぞ!何があった!?」

ブラウン『・・・!レールガンです!ご注意を!』

早川「くッ、このような兵器とは!」

電「戦艦の砲弾より痛かったのです・・・」

電探の妖精さん「レーダーにも殆ど映らなかったわ。それに、初弾で当てるなんて・・・チートじゃない!」

早川「しかし、叩き潰すしかない。戦艦隊、砲撃開始!電、トマホーク発射!奴の上部構造物を丸ごと吹き飛ばすぞ!」

電「なのです!」シュウゥゥ

電から普通の対艦ミサイルより大型のミサイルが発射された。トマホークと名付けされたそれは、テルミットプラスを装填した特殊弾頭のミサイルだ。

早川「さあ、吹き飛べ!リヴァイアサン!」

防御手段がないリヴァイアサンは、もろにトマホークの直撃を受け、大爆発を起こした。しかし、AGSの一部が吹き飛んだだけで、その他の被害は特にない。

ブラウン『防御重力場・・・やはり、敵は一筋縄ではいかないようですね』

提督『クラインフィールドそっくりね。霧の艦がこっちに攻めてきたっていう話、あながち嘘でもなさそうね』

シュメーラ『ホバー砲、充填完了です』

早川「よし、撃て!」

シュメーラ『発射ッ!』ゴァァァァァ

副長「ホバー砲命中!損害軽微!」

早川「ホバー砲でさえダメなのか!?」

ブラウン「データによれば、敵艦の装甲は61cm防御、更に電磁防壁や防御重力場で完璧にガードされています』

シュルツ「まさに海の要塞だな・・・」

大和『きゃあっ!』

提督『きゃ!大和被弾!後部主砲攻撃不能!』

筑波「このままでは艦の損害が増えるだけですぞ!」

シュルツ「どこかに穴があるはずだ・・・」

ブラウン「仕方ありません。艦橋を破壊して戦闘力を奪うしかないようですね」

早川『ダメだ!それではグロースシュトラールのように暴走するかもしれん!こんな大艦隊の近くで起こされたら・・・』

シュルツ「早川少将!このままでは我が艦隊が全滅するだけでなく、本隊にも大きな被害を出すと思われます。どうか、指示をお願いします」

早川『友軍の被害想定は・・・どうだ』

ナギ「グロースシュトラールより強力な爆発が発生した場合、ほとんどの艦の装甲が融解する恐れがあります」

早川『その程度で済むなら・・・許可しよう』

シュルツ「ありがとうございます。全艦、敵艦艦橋を狙え!」

提督『大和、頼んだわよ!』

艦長『主砲、撃ち方始め!』

ヴェルナー『加勢します!砲撃開始!』

リヴァイアサンが電にもう1発レールガンを食らわせた。艦橋前部のVLSと主砲が吹き飛び、各所から火を噴いている。

電「うぅ、もうダメなのです・・・」

早川「諦めるな!こんな状況でも、お前はいつも切り抜けてきただろ!」

機関室の妖精さん『・・・衝撃で機関が損傷、40ノット以上は出せない』

早川「全力で修理しろ!消火急げ!・・・チッ、あいつめ、露骨に電を狙ってやがる。目の敵にしてやがるな」

雷『よくも妹をやってくれたわね!食らえ!』シュウゥゥ

愛宕『許せませんっ!撃てーい!』シュウゥゥ

艦娘たちやイージス艦から多数のミサイルが発射され、リヴァイアサンの艦橋を襲う。レーダーと思しき上部構造物が吹き飛んだが、基部はまだ無事だ。

リヴァイアサンは次のレールガンを、電を庇っていた暁に撃った。暁の煙突が完全に吹き飛び、機関まで露出させている。

暁『もう許さない・・・許さないんだからっ!!』

天城『機関まで見えるとはただ事ではないぞ。早く戦線から離脱させよ』

暁『ぴゃあぁぁぁ!!も、もう!見ないでよ!』プンスカ!

輪形陣から暁が離脱し、更に艦隊は密集した。核ミサイルを撃ち込まれればひとたまりもないが、艦隊単位で集まった方が弾幕を濃くできる。

早川「このままでは被害が増える一方だ。大和、やれ!」

大和と艦娘大和が一斉に砲撃を開始し、リヴァイアサンの艦橋に致命傷を与えた。リヴァイアサンは速度を落とし、そのまま停止した。

提督『止まった・・・』

ブラウン『いえ、まだです!』

リヴァイアサン「キャアアアアァァアアァァァァアアァアアァアァァァアア!!!!!!」

筑波『超兵器、暴走を開始しました!!』

シュメーラ『リヴァイアサンが・・・苦しんで・・・っ!』

提督『何度聞いても気分のいいものじゃないわね・・・』

艦長『これが・・・暴走か・・・』

早川「更に損傷を与えれば、超兵器機関を自壊に追い込むことができるはずだ。もうひと踏ん張りだ!戦艦隊、砲撃開始!」

早川の指示で戦艦の砲撃が再開される。艦のコントロールは失われたが、武装自体はまだ生きているらしく、防御重力場は健在だ。

天城『やはり超兵器は強固だな。早急に破壊せねば・・・っ!?」ドゴォォ

早川「くっ!?」

電「はわわ!?」

電の船体に大きな衝撃が走った。モニター類の全てにノイズが入り、他艦からの通信が途絶えた。

早川「ど、どうした!?」

ダメコンの妖精さん『右舷装甲が溶けたん!やばいのん!』

副長「か、核ミサイルですかっ!?」

提督『・・・・・・・ガガ、ガガガ・・・ずま!電!・・・える!?』

副長「こちら電!大丈夫です!」

提督『・・・った。こち・・・和、武装・・・全に融解、攻撃不能!』

副長「聞こえません!もう一度お願いしますっ!」

提督『・・・こちら大和!左舷対空武装が完全に融解!主砲、副砲、一部融解により発射不能!』

早川「何だと!?」

ダメコンの妖精さん『レーダーのほとんどが溶けたのん!通信マストは一応無事なん!』

早川「提督!艦隊の状況はどうなっている!?」

提督『白い光が比叡にぶつかって、それから強烈な衝撃波が来て・・・とにかく、核ミサイルじゃないわ!』

大和『以前、グロースシュトラールが私に撃った白い光です!ほらっ!』

早川「あれか・・・一撃で大和を航行不能にしたものか。しかし、大和の被害を見れば、以前より格段に威力が増しているな。ところで、比叡はどうした?」

提督『消滅、したわ。比叡の前を航行してた金剛も、甲板上の構造物のほとんどが融解してるわ』

早川「馬鹿な!あまりに威力が違いすぎる!」

提督『それより、早く戦いを続けないと!あんなのをまた撃たれたら、それこそ解放軍と合流する前にお陀仏よ!』

シュルツ『こちら周防!損害軽微、戦闘続行可能です!』

早川「よし、撃て!電、大丈夫か!?」

電「まだ、頑張れるのです・・・!」プルプル

早川「足が震えてるじゃないか。もう休んで、後は我々に任せてくれ」

電「・・・はい、なのです」シュン

早川「大丈夫だ、あいつは絶対に仕留める」

電と金剛、艦娘大和は艦隊から離脱し、早川司令と提督は一番被害が少なかった暁に移乗した。リヴァイアサンは速度を緩めながらも航行していて、所構わずレールガンを撃っている。

提督「かなりマズい状況ね」

早川「そうだな。何としてでも、次の白い光は撃たせるわけにはいかない」

暁「それじゃ、この私が倒してくるわ!一人前のレディだもん、倒せるわよ!」

提督「ダメ。ミサイルはもうないし、魚雷を撃とうにも、相手が自壊し始めたら巻き込まれるわ」

暁「ふえぇ・・・」

早川「やはり、戦艦とフォーゲルシュメーラで遠距離攻撃しかないか」

提督「そうね。それ以外に手は無いわ」

早川「だな。全艦、ミサイルと砲撃で奴をたたきのめせ!」

『その必要は無いわ!撃て!』

謎の通信と共に、どこからかレールガンの弾丸が暁の前を通過し、リヴァイアサンに突き刺さる。更に三発が命中し、リヴァイアサンの飛行甲板が完全に吹き飛んだ。

リヴァイアサン「ギャアアァアァァァァアアアァァァァアアアアァァ!!!!」ドカンドカン!ゴォォォ!!

暁「敵艦が爆発してるわ!やった!」

『相変わらずね、提督』

提督「その声は・・・ロゼ!?」

ロゼ『そうよ。色々あって来ちゃった』

早川「ロゼ・S・リルガー・・・なぜこんなところにいる」

ロゼ『誰かに名前を聞く時は、自分から名乗りでるものよ。あんたこそ何者なの?』

早川「私は早川十三郎、解放軍東洋艦隊司令代行だ」

ロゼ『ロゼ・S・リルガー大将よ。元、だけど』

早川「元・・・とは?」

ロゼ『寝返ったのよ。連中が発動する「エーヴィヒグランツ作戦」を潰すために』

提督「エーヴィヒグランツ・・・作戦?」

ロゼ『詳しいことは後で説明するわ。とにかく、応急修理を済ませてからアメリカの東海岸まで行くわよ』

早川「・・・了解した」

提督「あのロゼが寝返るなんて、何かあったのね」

暁「またあんなのと一緒に行くなんてっ!レディとして認められないわ!」

提督「そう言わないの。電の場所を教えてくれたし、今回だって助けてくれたじゃない」

暁「提督がそういうなら・・・別にいいけどっ。恩を忘れたわけじゃないし」モジモジ

早川「ロゼと一悶着あったみたいだな。言及はしないが」

提督「まぁね。助かるわ」

スキズブラズニル 司令室

ロゼ「リヴァイアサンは大したことないわ。津波で都市を押し流したり、レールガンでピンポイント射撃するくらいだし。けど、ルフトシュピーゲルングはそうもいかないわ」

提督「というと?」

ロゼ「ルフトシュピーゲルングもレールガンを装備してるし、広域破壊兵器の波動砲まであるわ。主砲のサイズも、100cmとあまりに強力よ」

大和「ひゃ、100センチ、ですか・・・」

早川「リヴァイアサン以上だな。対策法は?」

ロゼ「事実上、対策は不可能。唯一、波動砲の充填時が大きな弱点になりえるけど、攻撃を仕掛けようとして前に出たらレールガンに撃ち抜かれるわ。ほとんど電磁防壁は無意味だし」

シュメーラ「それなら、私が攻撃を担います。ホバー砲を使えば、何とかなるはずです」

ロゼ「それも微妙ね。レールガンは限定的だけど対空射撃ができるし、レーザーも撃てるから。でも、全方向からの集団リンチなら勝ち目はありそうね。ブラウン博士、レールガンの設置状況は?」

ブラウン「作動は良好です。現在、陸奥と大和の取り付け作業中です」

シュルツ「リヴァイアサンのレールガンの砲塔バージョン、か。威力のほどはいかがですか?」

ロゼ「エメラルド級に搭載して実験したことあったけど、本当に凄い威力だったわ。大和型の司令塔をまるごと吹き飛ばすくらいだったわ」

電「これで昼戦でも戦艦をフルボッコにできるのです!」ワクワク

大和「い、電ちゃん・・・」ブルブル

提督「・・・えぇっと、今回のはもう少し強いわけ?」

ロゼ「エメラルド級の2倍くらいは保障するわ。リヴァイアサンの旧式レールガンとは比べ物にならないわよ!」ビシッ

天城「頼もしい限りだ。今度こそ我が国家を蹂躙した賊を駆逐してやる」

雷「もう戦艦には負けないわ!」フンス

ロゼ「でも、問題が一つあるわ。レールガンは砲身が焼けやすいから、そこは注意しなさい。冷却システムもあるけど、あまり過信しすぎないように」

早川「考慮しておく」

ロゼ「それと、ルフトシュピーゲルングの他にもヴォルケンクラッツァーが控えてることも忘れないで。そっちのデータベースに詳しい記録があるから、ちゃんと見ておくこと」

提督「ヴォルケンは前哨戦みたいなものね。腕鳴らしにちょうどいいかも」

筑波「油断はなりませんぞ。ルフトシュピーゲルングより強いとはいえ、波動砲を装備してますからな」

シュルツ「そうですね・・・」

ロゼ「十分に作戦を練っておくのよ。あたしもヴォルケンとルフト戦で戦艦ケルビムに乗って戦うわ」

早川「例の新型戦艦か。ドイツ製と聞くが」

ロゼ「ええ。フリードリヒ・デア・グロッセ級の改良型で、3連装砲塔型レールガンを4基搭載した最強の戦艦よ!」

シュルツ「よく司令部が認めましたね」

ロゼ「ヴァイセンベルガーが監視役も漏れなくつけてきたわ。まだ信用できないんでしょうね」

>>561
ラスボスより強かったらいかんでしょ

>>562

この程度ではフィンブルをタイマンで仕留めるのは無理だな。
恐らくレールガンの弾が足りなくなるはずだ。



>>1
超音速魚雷はまだですか?

>>562
通常兵器で一番って言いたいようです

>>563
続きを期待するのだ・・・

アメリカ ノーフォーク海軍基地

早川「まずはパナマ運河の突破が最優先になるか・・・」

提督「確か、ニカラグア以南は親帝国派だったわよね。どうするの?」

早川「アメリカ陸軍と海軍がパナマ通過の協力するらしい。双胴戦艦も通れる新閘門もあるから、スキズブラズニルも分割して曳航すれば全艦通過できるはずだ」

大和「確か、スキズブラズニルは大型船舶を何隻か繋げて桟橋やドックを作っているんですよね?」

早川「その通りだ。十年前にウィルキアで設計・建造された。元々は中継基地として、艦隊の行動範囲を広げる役割を持っていた。まさか、こんな形で使うとは思わなかったが」

雷「普通の海軍基地より使い勝手は悪いけど、やっぱり港があるって安心できるわよね!ね、提督?」

提督「そうね。あぁ、早く横須賀に帰りたくなったわ」

ロゼ「横須賀のラムネ!一度飲んでみたかったのよね!」

提督「あー、そういえばジャスコの下でラムネ売ってたわね」

響「それ、下手したらメタ発言になるんじゃないかな」

大和(私にもラムネ製造機あるんだけど・・・)

愛宕「ロゼさん、私にもラムネ製造機ありますよ。お飲みになりますか~?」

ロゼ「いいの?ありがとう!」

大和(!?)ガビーン

早川「話が途中で変わるのはこいつらの悪い癖だな・・・」

早川「さて、特殊任務に使う幅が狭まってくるので、パナマから日本までは電撃的に侵攻する。現在、横須賀を脱出した司令はオーストラリアで待機中だ。我々のハワイ出港と同時に進撃を開始するとのことらしい」

副長「思いっきりメタですよ司令代行!」

早川「・・・コホン、まずはパナマ通過だ。米軍の陸軍と海兵隊がパナマを襲撃、閘門を開放する。我々解放軍は米海軍の護衛を受けつつ、通過することになる」

天城「護衛があるとはいえ、スキズブラズニルは敵の攻撃にあまりに脆弱です。なるべく迅速に突破することが望ましいですね」

早川「その通りだ。スキズブラズニルを失わないためにも、行動は早めにな」

提督「兵は拙速を尊ぶ、ってやつね。それじゃ、さっさと通過して太平洋に逃げましょ」

響「ガドゥン湖に敵が配備されてないかな」

早川「パナマの閘門は敵に占領されているが、船舶の侵入は米海軍が許していない。その可能性は薄いだろう。注意すべきといえば、それより砲台や飛行場だな」

赤城「それなら、私たち機動艦隊が航空攻撃で叩きます!」モッチャモッチャ

早川「頼もしいが、ボーキを食いながら言うのはやめろ」

赤城「はい」ムシャムシャ

早川「もういい・・・では、米軍の到着を待って湾内に突入する。前方はイダヴァル、その次に大和が続く。全62隻の艦艇が太平洋に出た後は、スキズブラズニルを組みたてながらサンフランシスコに向かう」

ロゼ「結構少ないわね。これが解放軍の全艦艇なの?」

早川「艦艇自体はウィルキア脱出後より多くなっているはずだ。ただ、我々日本艦隊や艦娘も含まれるから、ウィルキア所属の艦艇はもっと少ない」

ロゼ「ふぅん。ま、そんなところよね」

早川「艦載機隊、出撃せよ!まずは湖内の砲台を滑走路を潰せ!」

赤城『了解しました!第1攻撃隊、全機発艦!』

赤城やニミッツから艦載機が発進し、陸の方に向かっていく。

ナギ『敵レーダー波を受信!発見された模様です!』

早川「全艦、対空戦闘用意!スキズブラズニルを庇え!」

イージス艦のイージスシステムが起動し、索敵を開始する。今のところ航空機の影は無い。

副長「米空母の艦載機が敵基地航空隊と戦闘中!同時に米海兵隊が閘門を占拠しました!」

早川「よし、全艦突撃!」

早川の指示で解放軍艦艇がパナマ運河に向かう。閘門3つが同時に開放され、小型艦、大型艦と分けて運河を通過していく。

早川「ここまでは上手く行ったな。通過が完了した艦、もしくは待機中の艦は、通過中の艦を守れ!電探妖精、敵砲台の数は?」

電探の妖精さん「合計40あるわ。そのうち、危険なものが34か所。最短航路に多く設置されてるわね」

早川「やはり黙って通してくれそうにないな。全力で撃破せよ!」

ヴァイセンベルガーの直轄艦隊旗艦イダヴァルが砲台に向けて砲撃を開始し、その他の戦艦も外側から砲弾を撃ち込む。

赤城『艦載機隊、頑張って!』

早川「やはり飛行場だな。数が多いのか」

赤城『敵の抵抗が激しく、制空権が取れません!』

早川「対空ミサイル、艦載機を援護しろ!」

電「なのです!」シュウゥゥ

早川「偵察機、太平洋側の状況はどうだ?」

偵察機の妖精さん『敵艦隊、今のところおらへんで。海も凪いでるし、泳ぎとうなってきたわ!』

早川「了解。敵機を警戒しつつ赤城に着艦せよ」

電「何もなさそうでよかったのです」

早川「そうだな。しかし、油断はできん。潜水艦が出張ってきている可能性もあるからな」

電「うぅ、潜水艦は嫌いなのです・・・」ブルブル

早川「大丈夫だ。今の電なら潜水艦など怖くない」ナデナデ

電「ミサイルがあれば大丈夫・・・なのです」

早川(ここまで嫌がるとは、やはりトラウマというのは克服しようとしても難しいものなのか)

早川「赤城、戦闘の方はどうだ?」

赤城『現在、我が方の優勢で戦闘が推移しています。敵機排除及び砲台掃討は時間の問題です!』

早川「それはよかった。こちらも数十分で全艦がガドゥン湖に入る見こみだ。抜かりなくな」

赤城『はい!帰ったら高純度のボーキサイトお願いしますね!』

早川「少しは航空機補填に回させてくれよ・・・」

電「容赦がないのが赤城流なのです。気づけばボーキが倉庫から消滅しているのです」

早川「・・・もうヤメテ」

ナギ「砲台3か所沈黙!残り21か所!」

シュルツ「よろしい。副砲、引き続き砲台の対処に当たれ」

ブラウン「ガラパゴス諸島付近に敵の基地があるという情報を聞きましたが、動きは無いようですね」

筑波「あの近くにもアメリカ軍が攻撃に向かっているという話ですからな、それが効いているんでしょう」

シュルツ「米軍には感謝せねばな・・・」

早川『シュルツ、こちら電。今ガドゥン湖の太平洋側に到達した。これより通過する。援護頼むぞ』

シュルツ「了解しました」

ナギ「この海を越えて、ハワイを通過すれば、もうウィルキアは近いですね。何だか、故郷が楽しみです」

シュルツ「まだウィルシア本国との戦いが残っている。それまで気は抜かないようにな」

ナギ「し、失礼しました」

ブラウン「ふふふ・・・」

提督『何話してるのよ。こっちまでダダ漏れよ?』クスクス

ナギ「あっあっ!?」

大和『うふふ、お茶目で可愛らしい方ですね、ナギ少尉は』

ナギ「・・・・・ケホン、これでも一ウィルキア軍人ですから!」

早川『お前たち、大概にしておけ。戦闘中だ』

提督『ハイハイ。わかったわよー』

早川「湖内にいる艦艇が40%を切ったな。よし、ラパゴス駐留艦隊が来るまで逃げられそうだ」

艦長『こちら最後尾の深雪!大西洋側より敵艦載機が飛んできます!』

早川「何だと!?どこから空母が・・・まさか、どこかに基地があったのか!チッ、対空戦闘!」

赤城『我が航空隊、劣勢です!』

副長「戦艦ジャン・バールより通信!爆弾により第1砲塔使用不能とのことですっ!更に軽巡アトランタ、ミサイルの至近弾を受け電気系統が遮断されました!」

早川「もう少し警戒しておくべきだったか・・・早急に移送作業を終わらせろ、奴らに構わず太平洋に離脱する。電、戻るぞ」

電「でも、どうするのですか?」

早川「我々が最後尾につき、敵の攻撃を出来る限り誘引する。ミサイル、発射準備のまま待機」

電「な、なのです!」

早川「さあ、奴らを蹴散らしてやれ!」

電は艦隊の列から外れ、反転して敵機が群がる最後尾に向かう。

早川「ミサイル発射!目標、F-15!」

電「命中させちゃいます!」シュウゥゥ

電探の妖精さん「F-15を潰したわ!さすがねっ!」

早川「次、J-12!CIWSで迎撃!」

電「なのです!」ガガガガ

突っ込んでくるJ-12をCIWSで撃ち落とし、電は深雪の横を通過する。

電「ふぅ、今度はぶつからなかったのです」

早川「それで喜んでたら戦いにならないぞ」

電探の妖精さん「あんたたち、余所見しない!上から爆弾が降ってくるわよ!」

電「はわわわ!」

早川「慌てるな、回避!」

電「増速するのです!」

機関室の妖精さん『・・・了解した』

電はスクリューの回転速度を上げ、増速して爆弾を回避した。F-117が投下した無誘導爆弾だった。

早川「あのF-117を黙らせてやれ!」

電「ミサイル装填です!」シュウゥゥ

ミサイルが放たれ、F-117は爆散した。瓦礫が降りしきる中、電は敵機の追撃を止めるために湖の中心付近まで引き返す。

早川「ここで艦隊が全艦離脱したら、閘門を破壊して脱出する。準備しておけ」

電「でも、それじゃパナマが使えなくなっちゃうのです・・・」

早川「移送作業の間は事実上無防備だ。それに、今は敵の勢力下だ。敵に使われるくらいなら破壊する方がいい」

電「メチャクチャなのです・・・」

副長「深雪、太平洋側へ抜けました!」

早川「よし、我々も撤退する!前部主砲、発射態勢のまま待機せよ!左回頭180度!太平洋側に向かえ!」

電は速度を上げ、ガドゥン湖を走る。閘門前まで来ると、太平洋側にポツンと浮かぶ幾つかの艦影が見てとれた。

早川「解放軍艦隊か・・・よし、主砲発射!閘門を破壊しろ!」

電「な、なのです!」ドォンドォン

電の速射砲が火を噴き、閘門を木端微塵に吹き飛ばした。水が太平洋に向かって流れ出し、電はそれに乗ってガドゥン湖を脱出した。

ガルトナー『な、何ですか今のは!』

早川「閘門を破壊して脱出した。後で始末書は書くから大丈夫だ」

ガルトナー『はぁ・・・厄介なことをしでかしてくれましたな』

早川「あの状況では、ああするしか方法がなかった。普通に閘門を通過しようとしたら、袋叩きになっておしまいだ」

提督『私たちが護衛についてもよかったのに・・・』

早川「解放軍艦隊を離脱させるために電が残ったんだ。お前たちがいたら邪魔だ」

提督『もう、素直じゃないのね』

早川「・・・次はサンフランシスコだ。気を抜くな」

早川「どうにか抜けられたな。この近辺はアメリカ軍の睨みが効いてるから敵軍も少ないから大丈夫だろう」

ロゼ『慢心ダメ、ゼッタイ』

提督『うっ・・・』

ロゼ『何でアンタが反応するわけ?』

提督『司令部と赤城と飛龍から散々言われてるのよねぇ・・・』

赤城『慢心はダメです!』

早川「そいつはご苦労さんで・・・」ピピーッ、ピピーッ

副長「通信です。えーっと・・・あっ!ハワイに敵超兵器出現との情報!大量の通常艦艇と共に、強襲揚陸艦型の超兵器がハワイを急襲、制圧した、とのことです!」

早川「ハワイに超兵器だと・・・それに、強襲揚陸艦とは。超兵器のバリエーションの多さには感動すら覚えるよ」

提督『やっぱり、強襲揚陸艦っていうからにはヘリを満載してるのかしら?』

副長「固定翼機しか見当たらなかったらしいですよ。双胴船で、後部のハッチから魚雷艇や揚陸艇を放出してくるみたいです」

ブラウン『揚陸艇・・・なるほど、ハッチが開いたところで攻撃を仕掛ければ、かなりのダメージを与えられると思います」

早川「さすがに中まで装甲を施すようなことはしないだろうからな。よし、我々でハワイを奪還してやろう」

副長「でも、通信によると解放軍艦隊並の戦力を持ってるらしいですよ!それなのに、どうやって・・・」

早川「雑魚はフォーゲルシュメーラが掃討してくれる。我々は超兵器を潰せばいい」

ガルトナー『了解しました。貴官らの超兵器強襲作戦を承認します』

早川「話が早い。では、艦隊の一部を引き連れ出撃します。解放軍本隊は後方で航空支援をお願いします。なるべく超兵器は少数で叩きたいので」

ガルトナー『しかし、敵は隠し玉を持っているかもしれません。ご注意を』

ロゼ「その辺なら大丈夫よ。あいつ、ただのデカい揚陸艦だもの」

早川「そうなのか?」

ロゼ「ただし、戦艦並の砲撃力を持ってるから注意することね。それと、超兵器の例に漏れず耐久力は馬鹿みたいに高いわ。ゴーダが作った変態兵器だから仕方ないけど」

早川「わかった。とりあえず、奴を潰すにはハッチを狙えばいいんだな」

ロゼ「早い話、そうね。ちなみにウェルドックには軍艦も入るわよ。特型駆逐艦なら数隻は格納できるかもね」

電「すごく大きな揚陸艦なのです!一度入ってみたいのです!」

早川「電、その願い、叶えてやれるかもしれんぞ」ニヤリ

電「鹵獲するのですか?」

早川「それもいいな。とにかく、倒す方法は思いついた。さて、急ぐぞ」

早川「よし、全艦出撃!」

早川の指示で、解放軍本隊から一部の艦隊がサンフランシスコを出た。艦娘7隻と空母4隻、修理ついでに主砲を46cm3連装砲に換装したリシュリューを引き連れている。

雷『そういえば、強襲揚陸艦って何?』

提督『あら、知らない?あきつ丸がそうなんだけど』

雷『よーするに、空母みたいなものかしら?』

早川「空母とは違う。ヘリや揚陸艇を備えた上陸支援用の艦のことだ。そっちの海軍に強襲揚陸艦はなかったのか?」

提督『あきつ丸っていう陸軍の艦がいるわよ。海軍って補助艦艇はそんなに充実してなかったから、揚陸作戦のために陸軍から拝借してきたわけ』

早川「あきつ丸か・・・もしかして、神州丸もいなかったか?」

提督『神州丸?』

響『・・・実装されたら最上被害者の会とか作られそうだね』

提督『へ、へぇ・・・』

早川「何かやらかしたのか、そっちの最上は・・・」

電「衝突複数、魚雷を味方多数にオウンゴール・・・なのです」

提督『あんたは他人のこと言えないでしょ!』

電「次からは気をつけますね」

早川「軽巡最上。こっちの世界じゃ、この大戦初期に空母2隻を沈めた武勲艦だ。それに、軽巡も何隻か沈めている」

提督『軽巡?重巡じゃないの?』

早川「いや、軽巡だが。そっちは違うのか?」

響『条約で大型艦の建造が制限されていたから、こっちの最上は元々重巡の砲を後で搭載するつもりで建造したんだ』

早川「そうだったのか。同じ艦艇でも、時代の流れで大きく変わってしまうものだな」

電「・・・こっちの電は、どういう風に戦没したのですか?サウスダコタにやられたって聞きましたけど・・・」

早川「電、か。今となっては懐かしい。15年前に暁型3番艦として起工され、4番艦の響と同時期に竣工した」

早川「それから数年は演習続きだったが、大戦が5年前に始まった。初戦で電は輸送艦3隻、駆逐艦1隻を沈める活躍をした」

早川「主に通商破壊をしつつ着実に戦果を伸ばしていったが、お前が来る1ヶ月前に戦艦隊と遭遇した。そして、旗艦のサウスダコタから執拗な砲撃を受けて轟沈した。当時の艦長は私だ」

電「そう、だったのですか・・・」

早川「一応、その直前に魚雷をアイオワにこれでもかと叩き込んで大破させてやった。思えば、それが奴の気を引いたんだなって思う」

提督『そういえば、第3次ソロモン海戦で電がいた水雷戦隊はサウスダコタとワシントンを見逃してたわよね』

電「あの時は暗くて、霧島さんとの区別がつかなかったのです・・・それに、ワシントンは沈めたと思ったのです・・・」

早川「ま、そんなこともあるさ。しかし、今は情報戦の時代だ。見間違いなどほぼあるまい」ナデナデ

ハワイ沖

早川「なるほど、あいつが例の超兵器強襲揚陸艦か。バカでかいな」

提督『ロゼによると、あいつの名前は『デュアルクレイター』、揚陸専門の超兵器よ』

電「戦闘機がいっぱいいるのです!」

響『ハリアーだね。VTOL機で、大規模な滑走路がなくても離着艦できる航空機だよ』

早川「対艦、対空戦闘用意。我々は出来る限り超兵器攻撃に集中する。電、ミサイル発射だ!」

電「ミサイル装填です!」シュウゥゥ

電からミサイルが連続で発射され、デュアルクレイターの艦首に着弾する。しかし、表立ったダメージは見当たらない。

早川「ま、仕方あるまい。旗艦を大和に委譲、電は遊撃に入る。雷撃距離まで接近するぞ」

副長「戦艦隊もこちらを向いています。少し危険だと思います!」

早川「いや、いずれ接近しなければならない。今回は出来る限り短期で決める」

機関室の妖精さん『・・・機関出力正常』

早川「よし、突撃!」

電は増速し、一気にデュアルクレイターに接近した。主砲を艦橋に向け、連続で発射する。

副長「敵艦、ダメージなし!」

早川「硬いな・・・」

電探の妖精さん「敵艦後部に反応!魚雷艇よ、気をつけて!」

早川「砲撃で仕留めろ!」

電「なのです!」ドォンドォン

出現する魚雷艇を一隻ずつ沈めていく。しかし、その間にデュアルクレイターから砲弾が降り注ぐ。

ダメコンの妖精さん『後部甲板に被弾したのん!まだいけるのんな!』

早川「よし、艦橋を攻撃し、指揮能力を奪え!」

大和『AGS弾、装填完了!撃ち方始め!』ゴォォ

大和が一斉射撃を開始し、デュアルクレイターの艦橋に集中的にダメージを与える。9発全て命中し、右舷の艦橋が根こそぎ吹き飛ばされた。

早川「よし、次は左舷艦橋だ!急げ!」

副長「あれ・・・敵艦、魚雷艇を放出していないのにハッチが開いたままですよ?」

早川「衝撃でハッチが故障したのか・・・よし、やってみるか!」

電「何をするのですか?」

早川「秘策だ。面白いことになるだろう」ニヤニヤ

早川「フフフフ。では、陸戦隊、一応突入準備はしておけ。状況次第では出撃もありうる」

陸戦隊の妖精さん「ヘヘっ、パイクリーク野郎以来の出番だな」ペキペキ

副長(ゴ、ゴリマッチョ隊・・・妖精さんは全員♀って言ってたけど、絶対嘘だよね・・・)

早川「機関一杯!デュアルクレイターのハッチに突っ込め!」

電「む、無茶なのです!」

早川「内部は装甲が張られていないはずだ。そこから内部の設備を砲撃で潰す。さあ、突っ込め!」

提督『ちょっと!あまり無茶なマネはさせないで!』

早川「勝算はある」

提督『ちょっと!待ちなさいってば!』

早川「突っ込めぇぇぇ!!」

電「ううっ!」ガッシャァァァン

デュアルクレイターのハッチに電が突っ込み、ウェルドックに乗り上げた。

早川「主砲、撃ち方始め。徹底的に奴の腹をぶち壊してやれ!」

電「なのです!」ドォンドォン

電が速射砲を辺りに撃ちまくり、デュアルクレイターの内部を破壊していく。

早川「よし、思った通りだ。速射砲でも十分に破壊は可能だ。魚雷、ミサイル、何でもいい。使える兵装は全て発射!ボコボコにしてやれ!」

電「魚雷装填です!」ガシャン

魚雷が次々にドック内に投下され、大きな爆発を起こす。CIWSやミサイルも連射され、壁に命中してはデュアルクレイターの内部を荒らしていく。

早川「予想以上の被害だ。よし、脱出して大和の艦砲射撃でトドメを刺してもらおう」

電「・・・無理、なのです」

早川「このまま砲を撃ち続けて沈没に巻き込まれるわけにはいかない。早くしろ!」

電「スクリューが空回りして、動けないのです・・・」

早川「なっ・・・そんな馬鹿な!ならば、攻撃中止!陸戦隊及びダメコン出撃!デュアルクレイターを占拠し、ダメージコントロールを行う!」

副長「あーあ、敵を助けちゃいますね」

早川「うるさい。とにかく、早く行け」

ダメコンの妖精さん『頑張るのん!』

陸戦隊の妖精さん「よし、野郎共!出るぞ!」

陸戦隊の妖精さんたち「ウラァァァ!!」

響『・・・他人のネタ奪うの、やめてくれないかな』

電「>>1さんは一時期MMDにハマって更新を止めていたのです!」

早川「新しい物好きはこれだから困る」

電「おまけに艦これもあまりログインしてないのです!」

早川「少将から大佐に落ちたわけだ。いや、それは先月もそうだったか」

副長「今は>>1の話をしてる場合じゃないですっ!」

早川「そうだったな。陸戦隊、状況確認」

陸戦隊の妖精さん『敵はほとんど脱出した。ダメコンも順調だ』

早川「それはよかった。では、ダメコンが終了次第、艦を海に戻す。引き続き制圧は任せたぞ」

陸戦隊の妖精さん『任せな!』

早川「相変わらず、頼もしい奴らだな。死ぬことがないからな。それ以前に半端なく強いのだが」

電「頼りになるんですけど、ちょっと怖いのです・・・」モジモジ

水雷長の妖精さん「ま、鎮守府の裏で野営してるくらいだしなー」

早川「妖精さんの中でも異質な存在というわけか。ますます生態が知りたくなってきたな」

陸戦隊の妖精さん『よし、艦橋を制圧したぞ!船内で抵抗する者はいない』

早川「さすがだ。仕事も早い。では、ダメコン部隊、配置につけ!陸戦隊、引き続き警戒を続けろ!」

ダメコンの妖精さん『わかったのん!』

陸戦隊の妖精さん『引き続き警戒する!そっちもがんばれよ!』

提督『ウェルドックはメチャクチャで艦が引き出せないとなっちゃ、もうデュアルクレイターごとハワイまで持って行って、そこで作業するしかないようね』

早川「まぁ、そうなるな。では、曳航頼む」

提督『了解したわ。大和とリシュリューにやらせるから、全力でダメコンしてなさいよ。この場で沈めたらタダじゃおかないから!』

早川「了解した。では、後で会おう」

電「うぅ、かっこ悪いのです・・・」

暁『ホント、手のかかる妹ね。私たちも協力してあげるから、じっとしててよね!』

電「あ、ありがとう・・・」

早川「悪いな、無理させたばかりに」

電「いいのです。司令官さんは頼りになるのです!」

早川「・・・そういってくれるだけで嬉しいよ。さて、2機目の超兵器を鹵獲したわけだが、こいつにもメンタルモデルはいるのだろうか?」

シュメーラ『それはありません。超兵器の意識があるということは、暴走しているということです。暴走を完全に制御できなければ、機関は崩壊します』

電「それじゃ、シュメーラさんは・・・」

シュメーラ『私は運用上の理由から人間が乗って操作することができなかったので、超兵器の暴走実験に使用されました。しかし、私は強力な機関を持ち、更に運よく暴走を制御することもできました。あれで自我を保てなければ、あの場で崩壊していたでしょう』

早川「そういうことか。では、ほかの超兵器にメンタルモデルはない、ということか」

シュメーラ『しかし、自我はあります。それをお忘れなく』

早川「頭に入れておこう」

ハワイ 真珠湾

早川「何とかハワイまでたどり着いたな。では、早速だが、電をデュアルクレイターから引きずり出してもらおう。何日かかる?」

整備士「瓦礫の撤去や注水装置の修理もありますので、3日かかるかと思います」

電「3日もここに釘付けなのです・・・」

早川「悪かったな。この後何か食べに行こう」

電「それじゃ、アイスがいいのです!」ワクワク

大和「なら、私のアイスでも・・・」

早川「・・・さすがにバニラばかりだと飽きるから、今回はゴメンな」ナデナデ

大和「うぅ・・・」シクシク

雷「大丈夫!私がいるじゃない!」

大和「雷ちゃぁん・・・」メソメソ

雷「気を取り直して、ハワイのホテルでアイスでも食べに行きましょ!」

大和「雷ちゃんのばかぁぁぁ!!!」

雷「あ、いっちゃった・・・」

響「自覚してないね、雷」

シュルツ「超兵器揚陸艦、ですか」ペロペロ

ブラウン「日本及びウィルキアの基地侵攻に役立てそうですね。制空権確保後、戦艦を後方につけて展開させるのがよろしいかと」ペロペロ

筑波「これは面白い展開になってきましたな!」ペロペロ

シュルツ「ええ、戦略の幅が大きく広がります。嬉しいことに、駆逐艦までの艦なら内部で整備できます」ペロペロ

提督「規模の小さいスキズブラズニルみたいな運用をする、ってわけね。なかなかいいアイデアかも。自衛能力もあるし」ペロペロ

シュルツ「しかし、対ルフトシュピーゲルング戦では役に立ちそうもありませんね」ペロペロ

ブラウン「やはり、後方基地ですね。複数の艦隊で戦う際には、攻撃が終了した艦隊を再び出撃させることもできますね」ペロペロ

提督「さっすが、ブラウン博士ね。見直したわ」ペロペロ

ブラウン「かなり突飛な案ですが」ペロペロ

ナギ「それにしても、このアイスおいしいですね!ほっぺたが落ちちゃいそうです!」ペロペロ

大和「うわーん!」

提督「大和?どうしたの?」

電「哀れなり大和なのです」

ナギ「偵察衛星の画像、出ます」

電のCICに設置された大型ディスプレイに、不明瞭ながらも空撮写真が映し出された。それは打ち上げられたばかりの米国製偵察衛星の画像で、北極海近くの海域を捉えていた。

早川「中央の黒いのが、そうなのか」

ロゼ「ええ、そうよ。超巨大戦艦ルフトシュピーゲルングの空撮写真」

電「お、大きいのです・・・」

大和「島、みたいですね・・・」

提督「他の超兵器もそうだけど、よく浮いていられるわね」

ロゼ「大きい分、浮力も確保されてるから。乗ってみたこともあったけど、全然揺れなかったわ。潜航中の潜水艦みたいにね」

早川「何て禍々しい艦影だ。さすが、超兵器屈指の強さを誇ると聞くだけある」

シュメーラ「超兵器は、一機だけでは戦争に勝つことはできません。まさにヒーローのジレンマのようなものです。しかし、この艦は一隻だけで一国の軍隊に相当する戦力を持っています」

シュルツ「しかし、弱点もあるはずです。どこか装甲が薄い場所が存在する、など。わかりますか?」

シュメーラ「いえ、具体的な弱点はわかりません。機関を覚醒させ、自壊に追い込むという荒業が通用しない上、波動砲の死角である後方にも主砲は装備されています」

ブラウン「確かに波動砲は強力な武器です。しかし、大陸をも破壊するというエネルギーを制御するのは事実上不可能のはずです。エネルギーの充填中に攻撃を仕掛ければ、エネルギーの逆流を起こせるかもしれません」

提督「なかなかいい案じゃない。それじゃ、戦艦を接近させて精密射撃で狙えばいいのね?」

ブラウン「ミサイルでも代用可能と思われます。上部構造物でなく、波動砲を狙うよう母艦から指示できますので」

早川「しかし、波動砲の射程も気になるな。どれだけあるんだ?」

ロゼ「とにかく長射程よ。あれだけのエネルギーの束を発射するもの、当然よ」

赤城「艦載機でのアウトレンジもできませんか?」

ロゼ「波状攻撃を行えば沈められないこともないわね。その代り、今の航空戦力じゃ無理ね。相手の弾薬が尽きるより先に、こっちが波動砲で沈められてるはずだから」

赤城「ダメですか・・・残念です」

早川「しかし、恐ろしい兵器だな。まさに水上要塞だ」

電「勝てるのでしょうか・・・?」

ロゼ「ダメージを与えられないわけじゃないわ。勝てるに決まってるじゃない」

雷「そーよ!私たちは強いんだから!」

提督「そうよね。今まで、どんな敵だって倒してきたわ。あれだって、エリートレ級のリンチに比べたら何てことないんだから!」

大和「そ、それの名前は・・・」ガクガク

提督「そうだったわね。艦載機が文字通り空を埋め尽くし、おびただしい量の魚雷と砲弾が飛んでくるよりは・・・ね」

シュメーラ「すごい敵と戦っていらしたんですね」

早川「敵は一隻だが、能力は侮れない。何としてでも、奴は我々の手で沈めなければならない。そのことは承知してくれ」

提督「沈める・・・やっぱり、鹵獲じゃダメ?」

早川「あんな兵器を存在させてはならない。何としてでも、会敵したら沈める」

赤城「それじゃ、私たちは帰れないのでしょうか・・・」シュン

提督「そうよ。こっちは元の世界に帰らないといけないんだから。すっかり忘れてたわ!」

ブラウン「そういえば、ルフトシュピーゲルングは時空を歪めるという芸当ができましたね。それなら、ヴォルケンクラッツァーを鹵獲するのはどうでしょうか?」

早川「ヴォルケンクラッツァーの鹵獲?」

ブラウン「はい。データによると、ヴォルケンクラッツァーはルフトシュピーゲルングの劣化コピー版です。だとすると、ルフトシュピーゲルングと同じく時空突破能力があるかと」

シュメーラ「はい。ヴォルケンクラッツァーでも理論上は可能です。しかし、鹵獲は上手く行くでしょうか・・・」

早川「提督の部下には優秀な陸戦隊がいる。彼女らに任せておけば大丈夫だろう」

シュメーラ「しかし、接近すること自体がかなり困難で・・・」

早川「ならば、速力をもっと高めることが重要だな。幸いにも、謎の装置の開発に成功したところでな。戦艦でも130ノット以上は保障できる」

戦艦で130!?急速前進込みの瞬間最高速だよな?

スキズブラズニル 換装ドック

大和「速力141ノット・・・司令官、感謝です!」

早川「予想以上だな。肝心の電はどうだ?」

電「151ノットなのです!」キラキラ

提督「島風涙目必至ね・・・」

電「速ぇことはいいことだ!なのです」

赤城「問題ありません。素晴らしいです!」

早川「核融合炉に謎の装置。まさに高速艦の必須装備だな」

響「新幹線以上だね。艦がここまで速くなるなんて思わなかった」

ロゼ「ま、それも超兵器技術の応用だけどね。けっこう凄いのよ、ルフトシュピーゲルングが持ってきた技術って」

早川「皮肉なものだな、超兵器のための技術が超兵器を打倒するために使用されるとは」

ロゼ「ま、しょせん世界なんてこんなものよ」

大和「やっぱり、戦争なんですね」

愛宕「戦争は辛いけど、楽しいこともあるわよ。アイス食べるかしら?」

大和「うぅ・・・」メソメソ

提督「愛宕、やめたげて・・・」

>>600
謎の装置と核融合炉ガン積みしたら普通に届く(WSG2)
急速前進込みだと瞬間200は出せるね(笑)

数日後 ハワイ沖

早川「さっき、ヴァイセンベルガー大将から通達があった。親帝国派の君塚大将率いる艦隊が、東南アジアにて待機している司令の艦隊に向かっているとのことだ」

提督「それヤバくない?」

早川「フォーゲルシュメーラの襲来以降、艦隊規模がかなり縮小されていると聞く。マズいかもな」

提督「それじゃ、早く出発しましょ!善は急げよ!」

ヴァイセンベルガー「それはできん」

提督「い、いつの間に・・・」

ヴァイセンベルガー「我々の目的は日本の解放だ。そこを落とせば、君塚艦隊も無力化できる。まずは日本に集中しろ」スタスタ

提督「はい」ムスッ

早川「・・・」

早川「これより、日本を解放すべく出撃する。全艦、原速を維持し輪形陣を形成せよ」

早川の指示で、電、イダヴァルを中心とした輪形陣が形作られ、日本に向けて進軍する。上空ではE-2偵察機が偵察任務につき、衛星を介して艦隊に情報を発信している。

響『これこそ、現代の艦隊だね』

早川「旧式艦も多いが、戦力としては十分だ。戦艦のほとんどはレールガンを装備し、駆逐艦にもミサイルがある」

赤城『航空機も新型を揃えてあります!』

電「時代の流れは凄いのです」

響『兵器技術を見れば、もう21世紀レベルには突入しているね。さすがに100ノットを超える艦艇は無いけど』

副長「何だか、横須賀を出港したことが遥か昔のように感じます」

早川「思えば、ほんの数か月前だったか・・・懐かしいな」

シュルツ『戦いが始まって5年、我々の旅路も終わりに近づきつつあります』

早川「戦局の変化をもたらしたのは、電たち艦娘だ。彼女らがいなければ、今の我々はない」

電「電は、ただ命を助けたかっただけなのです・・・」テレテレ

提督『胸を張っていいのよ、電。ほとんどの超兵器はあなたが倒したじゃない。そのおかげで、何人もの命が救われたのよ』

赤城『よかったですね、電ちゃ・・・』ピピーッ、ピピーッ

早川「警報か!?」

赤城『E-2が敵艦隊を捕捉!戦艦4、空母5、巡洋艦8、駆逐艦12、その他小型艦艇が7隻!戦艦は全て大和型戦艦と確認しました!』

早川「大艦隊だな・・・なぜ今まで捕捉できなかった!?」

ロゼ『衛星の監視網から外れたとこころから出てきたのかもね。いずれにせよ、早期発見ができたのは幸いだったわ』

早川「全艦、対艦及び対空戦闘用意!艦載機は直ちに発艦、敵空母を中心に攻撃せよ!」

赤城やニミッツから艦載機が出撃し、敵艦隊に向かう。

早川「遣欧艦隊は前進し、敵艦隊に切り込む。いつもの通り、魚雷とミサイルを敵艦隊にぶち込めばいい」

雷『はーい!雷、いっきますよー!』

暁『あー、待ってよー!』

提督『やれやれ、あんなに慌てることないのにねー』

水雷長の妖精さん「相変わらずせっかちだなー。電はそうでもなくなったけど」

電「でも、時々誰かさんとごっつんこしちゃうのです」

早川「戦闘中だ、私語は後にしろ」

提督『はーい』

早川「長魚雷、撃ち方はじめ!目標、敵大和型戦艦!」

電「魚雷装填です!」ガシャン

電は大和型の一隻に肉薄し、大量の魚雷を放った。大和型の腹部に全弾命中し、転覆して轟沈した。

早川「この時代になっても、長魚雷の威力は侮りがたい、か」

提督『ミサイル駆逐艦なのに、敵陣深くに突っ込むだなんて無茶するわね。でも、久々に大暴れできて楽しいわ!』

大和『全主砲、薙ぎ払え!』キュゥゥン

大和のレールガンが次々にミサイル護衛艦を吹き飛ばしていく。

雷『大和すっごーい!』

暁『私たちだってレールガンを積んでるんだから!』キュゥゥン

多くの砲弾が降りしきる中、暁たち駆逐艦は驚異的な速度で追撃をかわし、レールガンを放つ。

副長「敵戦艦、合計3隻撃沈!その他艦艇は半数を撃沈しました!我が方の勝利です!」

早川「よし、敵艦隊に降伏勧告を行え」

副長「・・・ダメです!応答ありません!大和に46㎝砲2発被弾!被害軽微とのことです!」

早川「早く引かないものか・・・」

大和『まだ行けます!』

早川「よし、頑張れ。電、短期決戦だ。直ちに旗艦を撃破、その他の艦艇はできる限り航行不能にしてしまえ」

電「わかった、のです・・・」

早川(まさか、我が同胞と戦うことになるとは思わなかったが、仕方のないことだろうな)

早川(しかし、君塚が帝国と通じているとは・・・)

響『・・・っ、機関損傷。動けない』

早川「くそっ、暁は響を守れ!それ以外の艦は絶対に響に近づけるな!」

暁『このレディにお任せよ!』キュゥゥン

暁のレールガンがこんごう型に直撃し、大爆発を起こす。遠距離戦が主体のミサイル艦では、防御があまりに足りない。

副長「敵残存艦隊、残り3分の1!敵艦隊の中から投降者が出てきました!」

早川「やっとか・・・しかし、完全に制圧していない以上は油断できないな」

電「できれば助けたいのです・・・」

早川「そういうこともある。特に、日本軍は忠誠心が強いからな・・・」

副長「敵艦隊、残り4分の1。全艦、投降を確認しました」

早川「ようやくだな。戦艦、空母は全て沈んだとなると、助けられたのは10分の1程度か・・・」

日本領 八丈島近海

早川「ここからなら、艦載機で横須賀を叩けるか。横須賀を落とせば、日本は降伏したも同然だ」

電「自分の基地を攻撃するなんて、やっぱり気が引けるのです」

提督『大丈夫よ。あれは私たちが知ってる横須賀鎮守府じゃないわ」

電「うぅ・・・」

副長「・・・うーん」

早川「どうした?」

副長「衛星からの通信によると、ヴォルケンクラッツアーがシュヴァンブルグから出港したみたいですけど・・・」

早川「大事じゃないか!なぜ知らせなかった!?」

副長「宗谷海峡付近で停止しました。ずっとそこで投錨しています」

早川「宗谷海峡?海のど真ん中で投錨してどうする?」

ロゼ『ははーん、さては待ち伏せするつもりね?あたしたちが射程に入った瞬間、波動砲でこの世にサヨナラバイバイさせる気よ』

大和『アウトレンジ・・・ですね』

ロゼ『なるほど』

早川「感心している場合じゃないだろう。どうするんだ?」

ロゼ『そこは横須賀を潰してから考えましょ』

早川「全戦力を横須賀に投入!君塚大将を捕縛し、横須賀を制圧せよ!」

横須賀沖に集結した解放軍艦隊が、一気に侵攻を始めた。陸戦隊を乗せたデュアルクレイターが護衛艦隊に守られながら湾内に突入し、揚陸を図る。

提督『それにしても大規模ね。横須賀がどれだけ重要な基地だったかわかるわ』

早川「全鎮守府でも特に戦力が集中しやすいところだ。それに、首都の東京も近い」

暁『せっかく帰ってきたのに、攻撃してくるなんてひどいじゃない!ぷんすか!』

シュルツ『しかし、思ったより敵の警備が手薄だな。戦艦が1隻も存在しない』

早川「確かに、占領してくれと言っているようなものだ。なぜだ・・・?」

『・・・ん!はや・・・わくん!早川くん!』

副長「通信です!場所は呉ですっ!」

早川「呉だと?誰からだ!?」

副長「味方艦隊の模様です!戦艦『相模』の存在を確認!」

早川「相模・・・司令か!?」

司令『そうだよ!僕たちも加勢しに来たよ!』

早川「司令・・・お久しぶりです。しかし、敵艦隊がそちらに向かっていたのでは?」

司令『それなら、もう沈めたよ。僕たちにもレールガンがあるからね』

早川「そうか、元日本艦隊も解放軍だったな・・・それは何よりです」

司令『それより、君たちはルフトシュピーゲルングだっけ?それを止めに行くんでしょ?』

早川「はい。早急に行動を起こさねばなりません」

司令『日本のことは僕たちに任せて、進みなよ。奴らはシュヴァンブルグにいるんだったね?』

シュルツ『衛星画像で確認しました。今のところ、出撃報告はありません』

司令『それじゃ、決まりだね。頑張って、この世界を守ってよ!』

早川「・・・お任せします。また会いましょう」

司令『任された。それじゃ、頑張ってね』

ロゼ『なるほど、敵艦隊がいないと思えば、呉に増援を出してたのね。もともと日本艦隊は艦の数が絶対的に少ないし、生産が間に合わなかったのね』

早川「我々の最大の弱点が好機を作り出すとはな・・・」

提督『そんなに少なかったの?』

電「電が見た時は、ほとんど艦が残っていなかったのです・・・」

副長「陸戦隊、揚陸を開始しました!横須賀鎮守府の抵抗はほとんどない模様。陥落は時間の問題です!」

早川「瞬く間に終わったな。最近、敵の歯ごたえがなさすぎる・・・」

電「司令官さん・・・?」

横須賀鎮守府

早川「結局、君塚大将は自刃し、司令部は陥落、か」

提督「順調なら、それでよかったじゃない。どう足掻いても、あの大将さんの結果は見えてたわ」

早川「だが・・・」

提督「気持ちはわかるけど、仕方ないことだってあるわ。その覚悟が、少なくとも大将さんにはあったのよ」

早川「覚悟か・・・」

提督「そういうこと。艦娘たちも覚悟を持って戦ってるわ。私なんかに命を預けて、ボロボロになっても戦ってくれる。私もそれに応えて彼女たちの命を命令で守るの。それと一緒よ」

早川「しかし、死んで許される罪などない」

提督「責任の取り方は人それぞれよ。生きて贖罪する人もいれば、死んで詫びる人だっている。どれが正しいかだなんてわからないものよ」

早川「そういうものなのか」

提督「そう深く考える必要もないけどね。ほら、次は最重要課題のウィルキア解放でしょ?あのウィルシア帝国とかいう奇妙な連中を早めに潰さないと」

副長「ふんふふ~ん♪」ピピーッ、ピピーツ

副長「あれ、通信かしら?はいはーい・・・えっ!?」

副長「大変です司令代行!」

早川「うるさいな、どうした?」

副長「ルフトシュピーゲルング、シュヴァンブルグを出港!北に向かっています!」

早川「何だと!?くそ、起動準備を整えたのか!?」

ロゼ『こちらロゼ!奴が出港したわよ!早く止めないと!」

早川「しかし、ヴォルケンクラッツァーが・・・」

ロゼ『くッ、そうだったわね。じゃ、どうするの?』

ガルトナー『こちら司令部!ルフトシュピーゲルングが出港したぞ!』

早川「同じような通信が幾つも・・・」

ガルトナー『早川少将、あなたと提督に新たな命令が下されました。ヴァイセンベルガー大将からの直接命令です。直ちにルフトシュピーゲルングを追跡し、これを撃沈せよ、とのことです』

早川「艦艇の選択はこっちで・・・」

ガルトナー『いえ、提督が所有する艦隊、つまり艦娘のみで挑めとのことです』

提督『ちょっと!それって玉砕覚悟じゃない!元は解放軍艦隊全艦で攻撃するつもりだったでしょ!?』

ガルトナー『しかし・・・』

提督『わかったわよ!その代り、奴を潰したら艦娘たちにとびっきりの褒章をあげなさい!』

ガルトナー『考慮します』

提督『なぁにが「こうりょしますー」よ!そこは二つ返事で返しなさいよ!』

早川「今は仕方ない。早めにルフトシュピーゲルングを何とかしなければ、場合によれば世界が崩壊しかねない」

提督『・・・っ、仕方ないわね』

電「でも、宗谷海峡は通れないのです。どうするのですか?」

早川「強行突破だ。わざわざ太平洋を回っていく余裕は無い。どこに行くかわからんが、とにかくウィルキアの領海内で沈める」

赤城『さすがに無茶ではないですか?連戦になります』

早川「倒すとは言っていない。持前の速度で突破するまでだ」

響『もう作戦とは言えないよ。あまりにずさんすぎる』

早川「それではどうする?お前たちは空を飛べるのか?」

赤城『艦載機なら空を飛べます!』

早川「お、おう」

大和『えぁっと、出撃の件は・・・』

早川「そうだった。直ちに艦娘、妖精は出撃準備を整えよ。全艦の準備が整い次第、出撃する」

北極海に向けて航行するルフトシュピーゲルングの近くに、US-2が着水した。ルフトのクレーンで回収され、艦載機格納庫に運び込まれる。

ルフトシュピーゲルング『ヨウヤク戻ッタカ・・・』

クルーガー「ええ、ただいま。これからどちらへ?」

ルフトシュピーゲルング『オ父様ノ起動準備ガ完了シタ。コレヨリ北へ向カウ』

クルーガー「是非ともお供させていただきます!」

ルフトシュピーゲルング『勝手ニシロ』

ルフトシュピーゲルングはゆっくりと加速し、50ノットの速度を出して進む。流氷を砕き、目的を達成させるために。

クルーガー「ところで、フィンブルヴィンテル復活の暁には・・・」

ルフトシュピーゲルング『我ガ世界ニ連レテ行コウ。ソレデ良イノダナ?』

クルーガー「はい!」

宗谷海峡付近

早川「この先にヴォルケンクラッツアーが待ち伏せているんだったな。用心しなくてはならんな」

提督『こうやってる間に波動砲が充填されていたりして』

早川「嫌なことを言うな・・・」

副長「12時方向、距離1万にて巨大なエネルギー反応を感知!波動砲の波長とそっくりです!」

電「提督にフラグ建築士の称号を与えるのです」

提督『ははー。ありがたき幸せにござりまする』

早川「各艦、全力回避!絶対に回避しろ!」

艦隊が右に転舵し、波動砲の射線から外れた。その直後、青いエネルギーの奔流が艦隊の脇を横切った。

大和『あ、あれが・・・波動砲・・・』

愛宕『背中にビリッときました。まるで電気風呂みたいな感覚でしたねぇ』

暁『ふえぇ、怖いよぉ・・・』シクシク

早川「ロゼはあれの攻撃を受けてアルウスを沈められたと聞いた。本当に超兵器も一撃で破壊できそうなほど強いエネルギーだな・・・」

提督『ルフトシュピーゲルングってアレより強いんでしょ?無理よ!』

早川「無理でも倒す。さもないと、世界が終る。お前たちも帰る前に滅ぼされる」

提督『あんたねぇ・・・!』

大和『やめてください!』

提督『・・・わかったわよ、うるさいわね』

副長「無電方位探知で敵位置特定!超巨大戦艦ヴォルケンクラッツアー、接近!」

早川「機関一杯!急加速!敵の横を突破する!」

機関室の妖精さん『・・・任せて』

電は速度を急激に上げ、ヴォルケンクラッツァーに接近する。瞬間最高速度は軽く180ノットを超えていた。

早川「よし、突っ切れ!」

電「なのです!!」

ヴォルケンクラッツァーの主砲が艦隊に追従しようとする。しかし、接近しすぎで狙いが定められない。

早川「よし、密集陣形が効いたようだな。全力で逃げるぞ!」

ヴォルケンクラッツァーが転舵するより先に、艦隊は主砲の射程圏外に離れた。波動砲で一網打尽にしようとするも、エネルギーの高まりを感知されて回避運動を取られてしまう。


早川「レールガンの攻撃を食らうかと思ったが、そんなことはなかったな」

提督『乗組員の練度不足と見えるわ。ちょっとひどいわね』

電「でも、戦わなくてよかったのです」

早川「さて、問題は次だな。副長、ルフトシュピーゲルングの位置を教えてくれ」

副長「ルフトシュピーゲルング、北上中。北極海に出るのかもしれません」

早川「北極・・・そんなところに、最後の超兵器が存在するのか」

数時間後、北極海

早川「やっとたどり着いたな・・・」

副長「巨大な艦影を捕捉!1隻はルフトシュピーゲルング、もう1隻は・・・な、何ですかあれっ!?」

電「不気味な建物が浮いてるのです・・・」

提督「あれは船なの?そうには全く見えないわ。目があって、変な形で・・・」

雷「こ、こっち向いたわよ!?どうするの、提督!」

ピピーッ、ピピーッ

副長「通信です。送り主は・・・ルフトシュピーゲルングです!」

早川「つなげ!」

ルフトシュピーゲルング『我ハ力ヲ求メシ者!我ガ意志ニ逆ラウコトナド、不可能ト知レ!』

早川「お前が、世界をメチャクチャにしたのか!」

ルフトシュピーゲルング『戦争ナド目的達成ノ手段ニ過ギナイ』

早川「お前の目的は何だ!?力を求める理由は何だ!?」

ルフトシュピーゲルング『アラユル並行世界ヲ制圧シ、我ガ統治スル。異論ハ許サン』

雷『あらゆるってことは、まさか私たちの世界まで・・・?』

大和『それなら、なおさら許せません!』

提督『冗談じゃないわ!』

副長「う、うそ・・・フィンブルヴィンテルに巨大なエネルギー反応!波動砲を超えています!」

早川「何だと!?」

ルフトシュピーゲルング『我ガ世界ノ統治者ニ・・・』ゴォォォォ

フィンブルヴィンテルから発射された黒い雷球がルフトシュピーゲルングに衝突し、大爆発を起こした。

提督『な、何あれ・・・侵食弾頭兵器!?』

響『いや、侵食兵器とは少し違った。全部光になって、消滅したよ。まさか、対消滅反応・・・』

赤城『ここは一旦退避して援軍を待ちましょう!この数では不利です!』

早川「今、おそらく解放軍本隊はヴォルケンクラッツァーと戦闘中だ。そんなことができると思うか?」

赤城『どうせこうなるなら、もっと準備してからの方が・・・』

提督『そんなの、嘆いても仕方ないわよ・・・総員、戦闘準備。轟沈する気で戦いなさい。私も覚悟を決める』

電「うぅ・・・」

水雷長の妖精さん「正直、すっげー怖い・・・」

電探の妖精さん「あたしも。逃げて、いいかしら?」

ソナーの妖精さんB「なの・・・」

早川「世界が・・・終わる・・・想像以上だ・・・」

電「い、電も覚悟を決めるのです・・・」

早川「電・・・」

電「あれを倒して、みんなで一緒に帰るのです!」シャラァァン

早川「お前、体から光が・・・」

電「平和も、元の世界も、諦めたくないのです!」

早川「・・・わかった。総員、戦闘配置!」

大和『電ちゃん、すごくカッコイイ!』

暁『ふ、ふーんだ!私はちゃんと戦うし!』

雷『私だって、提督のために戦うんだから!』

響『少しは勇気が出た。電を信じてみるよ』

赤城『どこに逃げても一緒なら・・・赤城、出ます!』

愛宕『うふふ、みんなが元気を出してくれてよかったわ』

提督『士気も戻ってきたところで、奴を潰しにかかるわよ!』

電「なのです!」

早川(これが、電の持つ力の正体か・・・)

フィンブルヴィンテルが雷球を撒き散らしながら南下を始めた。雷球は所構わず衝突しては、光になって消滅していく。

早川「マズいな、南下されたら、辺りの国を無差別に攻撃されかねない」

大和『なら、やるしかないわね!』

電「電の本気を見るのです!」

提督『みんな、その意気よ!頑張って!』

大和『主砲、撃ち方始め!』キュゥゥン

大和の主砲が一斉に咆哮し、フィンブルヴィンテルの船体に直撃する。しかし、ダメージはほぼ通っていない。

大和『そんな!』

響『ほら、例の防御重力場じゃないかな』

早川「どれほど硬かろうと、叩き続ければいずれ破壊できる。主砲、構わず撃て!」

各艦がレールガンを撃ちまくり、フィンブルヴィンテルを沈めようと試みる。しかし、ダメージはほとんど通らないばかりか、大量のレーザーを撃たれる。

副長「怪力線です!舷側に着弾、被害軽微!」

電「はわわ、やっぱり熱いのです・・・」

早川「撃ち続けろ!あの中央部の目玉を狙え!うまく行けば、二つに分離して転覆させられるかもしれん!」

大和『中央部ですね、わかりました!』

大和は加速し、フィンブルヴィンテルの前に陣取る。そして、ありったけのレールガンを一度に撃ちこむ。そこが弱点だったようで、装甲にヒビが入る。

提督『やった!これで・・・』ドゴォォ

離脱しようとした大和の後部艦橋が一撃で吹き飛ばされた。文字通り跡形もなくなり、第2副砲も損傷が激しく使用不能になった。

早川「な、何だ!?」

響『レールガンみたいだね。それも、威力がけた違いだよ・・・』

電「大和さんっ!」

大和『この程度で、大和は沈みません・・・!』

提督『不覚をとったけど、まだ戦えるわ!』

大和は炎上しながらも、レールガンを6発お見舞いして離脱する。

早川「前に出たら撃たれるか。各艦に通達。後方から中央部を攻撃せよ!その際、レールガンによる攻撃を警戒せよ!」

電「なのです!」キュゥゥン

レーザーを速度にものを言わせて回避した電は、敵艦の後方に回り込んでレールガンを撃ち続ける。しかし、威力の問題なのか、思うようにダメージを与えられない。

大和『ダメです!後方に攻撃してもダメージを与えられません!』

早川「やはり前方か・・・」

雷『そんな攻撃、当たんないわよ?』

雷は転覆寸前の危険な操艦をしつつ、フィンブルヴィンテルの中央部に向けて突撃する。

早川「作戦も無しに突撃するな!死にたいのか!?」

愛宕『私も援護しま~す♪』キュゥゥン

遠距離から愛宕が雷突入の援護をする。中央部のヒビが更に大きくなり、耐久力が大きく低下する。

雷『これでトドメ!ってー!』キュゥゥン

雷は中央部横の空間を通過しつつ、ヒビに向かってレールガンとミサイルを撃ちこんだ。装甲が完全に破壊され、内部構造が露出する。

早川「な、何だあれは・・・」

フィンブルヴィンテルの超兵器機関が露わになった。赤い光に包まれたそれは、さながら脳の形状をしている。

提督『あれが、超兵器機関・・・』

大和『脳という比喩は、あながち間違いじゃなったわけですね・・・』

早川「馬鹿な!本当に奴は生物なのか・・・?」

フィンブルヴィンテル『キシャァァアアァァァアアアアァァアァァッッッ!!』

副長「フィンブルヴィンテル、暴走!」

早川「早めに仕留めないと、大惨事になりかねんな・・・」

早川「電、量子魚雷の使用を許可する」

電「とうとう使う時が来たのです・・・」

提督『量子魚雷?』

早川「真空のエネルギーを使う。理論はかなり難しいが、要は小規模のビッグバンを起こす兵器と考えてもらっていい」

響『スタートレックに出てくるものを無理やり魚雷にしたものだね。確かに、それならアレを葬れるかもね』

雷『何でもいいから使っちゃえばいいのよ!』

電は更に濃い弾幕を張るフィンブルヴィンテルに接近する。上部の巨大な目玉の集合体から白い光が放たれ、電の後方で巨大な爆発を起こす。

早川「光子榴弾砲か!しかし、当たらなければどうということはない!電、奴を潰せ!」

電「こんな戦争を終わらせて、世界を助けるのです!魚雷、装填です!」ガシャン

5連装魚雷発射管から、2本の魚雷が放たれた。高速で敵艦に接近し、船体の何倍もの大規模な爆発を起こす。

副長「きゃぁぁ!」

早川「電探妖精、目標の確認を急げ。どうせ、塵になっただろうが」

電探の妖精さん「本当にそうだといいけど、あんたそれ・・・やっぱり、健在よ!攻撃が来るわ!」

光に紛れて、フィンブルヴィンテルが電に黒い雷球を放つ。上部の目玉が電をしっかりと視界にとらえていた。

早川「・・・っ!回避しろ!何があってもあれには当たるな!」

電「はわわ、逃げるのです!」

電は黒い雷球を回避し、フィンブルヴィンテルから離れていく。その間にも、レーザーの攻撃は止むことはない。

早川「量子魚雷、次発装填!出し惜しみはナシだ!」

大和『加勢します!』キュゥゥン

暁『妹ばっかり目立つなんてずるいんだから!』ガシャン

艦娘たちが攻撃を再開する。フィンブルヴィンテルの船体には、小さいながらも確実にダメージが刻まれつつあった。しかし、敵艦もレールガンを撃って応戦する。

電「はわわ!?恥ずかしいよぉ・・・」

早川「レールガンめ、やはり強いな・・・ダメージコントロール!」

ダメコンの妖精さん『前部砲塔に被弾したのん!使えなくなったのん!』

早川「最後はやはり、量子魚雷に頼るしかないな。脳の部分は浮いている。当てられるとすれば・・・電、奴から見て11時方向、距離5000の位置に陣取れ」

電「何をするのですか?」

早川「魚雷で奴の脳を吹っ飛ばしてやる」

ぷ「その綺麗な脳ミソ、ふっ飛ばしてやるのです」

電「着いたのです!」

早川「よし、魚雷発射管を奴の船体の内側にお見舞いする。そうすれば、脳に直接ダメージを与えられる」

電「それじゃ、早くやってみるのです!」

早川「そのつもりだ。・・・この戦いが終わったら、どうする?」

電「?」

早川「ルフトシュピーゲルングは消滅した。ヴォルケンクラッツァーもシュメーラやロゼたちが倒しているはずだ。おそらく、帰る手段は無い」

電「それでも・・・今はやるのです。世界を戦争から解放してあげたいのです!」

早川「よく言った。魚雷、発射用意!」

副長「ダメ!高エネルギー反応!波形パターン分析、レールガンです!」

雷『させないんだからぁぁ!!』

早川「雷!」

雷『きゃぁぁ!!』ドゴォォ

雷は船体腹部にレールガンを受け、艦橋後部がごっそり抉られた。

電「雷ちゃん・・・」

雷『ほら、早くあれを沈めて。また、一緒にアイス食べよ?』

電「・・・魚雷、装填です」ガシャン

電が放った魚雷は、真っ直ぐフィンブルヴィンテルに吸い込まれるように突っ込み、巨大な爆発を発生させた。

電探の妖精さん「敵艦、停止!」

副長「でも、エネルギーが増大していきますっ!」

早川「まさか、まだ何か仕掛けるつもりか!?」

フィンブルヴィンテル『キシャァァァアアアアァァァァァアアアアアァァアアァァァアアアア!!!!!!!!」ドゴォ!ドゴォ!ゴォォォォ!!!

提督『いえ、違うわね。エネルギーの過負荷で自壊してるわ!』

副長「エネルギー、まだ増大しておきます!」

早川「全艦、直ちに離脱せよ!」

艦隊が散り散りに逃げていく。フィンブルヴィンテルは黒い渦を発生させ、やがて、猛烈な鋼の咆哮を上げて爆発した。

電「・・・うぅ」

早川「・・・ここは、どこだ?」

陸戦隊の妖精さん「やっと目ぇ覚ましたか。あれ、見てみな」

陸戦隊の妖精さんは、早川と電にモニターを見るよう促した。

電「あ、電が吸い込まれた青い光なのです!」

早川「本当か?」

電「間違いないのです!戻れるのです!」

電探の妖精さん「ほら、副長も起きなさい!」

副長「ムニャムニャ・・・ここはどこ?ケーキの島?」

電探の妖精さん「違うわ。勝ったのよ」

副長「かったぁだなんて、そんなひわいなことば使ったらめれすぅ・・・」

電探の妖精さん「何言ってるのアンタ。とりあえず、あれのエネルギーは安定してるわ。消えずにずっと残るかもね」

電「よかったのです。みんなにお別れが言えるのです!」

提督『それもそうね。向こうに帰ってバケツを使うより、こっちに長居するのもありかも』

早川「では、行こう。ウィルキアへ」

???『待つのだー!』

早川「ん、何か聞こえなかったか?」

副長「海上から通信です!ルフトシュピーゲルング消滅地点と合致!」

早川「今すぐ向かえ!」


???「助けたことを感謝するぞ。そちには異世界の技術を与えてやってもよい!」

電「誰ですか?」

早川「知らん。クルーガーと一緒に流れてきた」

提督「ピンク髪のツインテールの幼女。結局誰なの?」

???「失礼な!われはルフトシュピーゲルングであるぞー!」

電「出オチ気味の情けない超兵器なのです」

ルフト「言うなー!」

暁「えっへん!私をお姉さんとして扱いなさい!」

ルフト「駆逐艦風情がナマイキ言うな!われは強いんだぞー!」

響「でも、戦えないよね」

ルフト「う・・・」

ウィルキア王国 シュヴァンブルグ港

シュルツ「早川少将、ご無事で何よりです。それに、艦娘全艦が生きて帰ったことも喜ばしい」

響「ちょっとボロボロにされたけどね」

ナギ「とってもすごいです!大活躍でしたね!」

副長「あたしのお蔭ね!」

ナギ「あなたには言ってません!」

副長「ちぇ」


ヴァイセンベルガー「よくやったな。ヴィルク国王陛下もお喜びだ」

提督「私たちはただ、自分の家に帰る方法を探していただけです。でも、それが叶った。全艦娘の修理が終わり次第、私たちは失礼します」

ヴァイセンベルガー「そうか、残念だな」

提督「いえ。エネルギーはまだ残るみたいなので、気が向いたら遊びに行きます」

ヴァイセンベルガー「わかった。では、私は雑務をしなければならん。さらばだ」

提督「ええ。お元気で。糞親父」

ヴァイセンベルガー「・・・何か言ったか?」

提督「いえ、何も」

数日後 北極海

ブラウン「確か、そちらの世界の大和は平和な海を航行したことがなかったと聞きました。そちらの世界でも、平和が訪れるよう祈っています」

ナギ「また遊びに来てくださいね!」

艦長「また逢えたら、その時は一緒に風呂でも・・・」

副長「ダメですよ、艦長!」

天城「武運長久を祈る」

筑波「お元気で。また会いましょう」

ロゼ「またね。元告死天使の全乗組員を代表して、さようなら。そして、ありがとう」

司令「電ちゃん、今度はいろいろ日本を案内してあげるよ。元気でね」

シュメーラ「どうか、あなた方に神のご加護があらんことを・・・」

ルフト「絶対にそっちの世界も征服してやるぞー!覚えてろー!」

ガルトナー「君たちに出会えて、本当によかった」

ヴァイセンベルガー「今度はもっと安い店でも探しておこう。赤城と大和には内緒で来てくれ」

大和「聞こえてますよ!」ガシャンコ

ヴァイセンベルガー「・・・・・・・・・・」

提督「みんな、ありがとう。色々あったけど、本当に楽しかった。じゃあね!」

雷「あれ、電は?」

提督「あれ、さっきまでいたのに・・・」

早川「・・・」

電「あ、あのぅ・・・」

早川「・・・」

電「司令官さん・・・?」

早川「・・・」

電・・・うぅ」ウルッ

早川「・・・ありがとう。お前に出会えて、本当によかった」

電「司令官さん、そのぅ・・・」

早川「どうした?」

電「あの、あのっ・・・・・・ありがとう」

早川「ああ、感謝する」ナデナデ

電「・・・っ」ダッ


早川「さようなら、電。俺はお前のことを忘れない。すまなかったな。電。おまえを、艦娘の電に会わせてやりたかった」

かつてウィルシア帝国から「彼紺艦隊」とあだ名された艦娘たちは、青い光に吸い込まれていく。

電「・・・うぅ、ここは、どこですか・・・?」

???「オノレ、忌々シイカンムスドモメ」

大和「・・・え?」

泊地棲姫「ドウヤッテココマデ来タ!?」

提督「わーっわーっ、違う違う!たまたま偶然ここに出てきただけで・・・」

泊地棲姫「出テイケ!」

雷「提督、どうするの?」

提督「・・・逃げるわよ!」

暁「ぴゃああああ!!」


横須賀鎮守府

吹雪「ふぅ、今日もいい天気ですね!こんな時は遠くの海まで・・・」

大和「おーい!吹雪ちゃーん!」

吹雪「大和さん!やっと帰ってきたんですね!みんなー!大和さんたちが帰ってきましたよー!」



あ゛ーやっと終わった

ちょっと構成がテキトーでスミマセン。最後の方は急いでたかも



というわけで、続きをお楽しみください

ひとまず乙!

さて、ここからが本番だな(ゲーム的な意味で)

倉庫群

ピシャ!ゴロゴロゴロ・・・

ビスマルク「・・・」コソコソ

ビスマルク「今度こそ、証拠を掴んでやるんだから!」

?「何の証拠を掴むのですか?」

ビスマルク「!」


ビスマルク「んぐ!んぐぐぐ!」(ちょ、何してんのよ!)

?「見られたからには仕方ないのです。処刑してやるのです」

ビスマルク「んぐっ!?ふぎふぎぃ!」(やめて!離しなさいよ!)

?「うるさいのです。とにかく・・・」

?「ナ゛ス゛は゛き゛ら゛い゛な゛の゛で゛す゛!!」

ピシャァァン!ゴロゴロゴロ・・・

次の日の朝

長良「えっほ、えっほ、1、2、1、2・・・」←ランニング中

大鳳「69、70、71・・・」←腹筋中

深雪「ふー、やっぱり乾布摩擦するとあったかいなぁ!」←乾布摩擦中

長門「同感だ」←乾布摩擦中

提督「みんな、執務室をジムと勘違いしてない?っていうか、何で外でしないの?」

長良「ランニングコースだからです!」

提督「屋内でランニングしないでよ、一応事務所だし・・・」

陸戦隊の妖精さん「大変だ提督!」

提督「もう、何よ。朝っぱらから・・・」

陸戦隊の妖精さん「弾薬庫の近くでビスマルクが大破した状態で見つかった!服と艤装が全部引っぺがされてやがる!」

提督「何ですって!?」

大鳳「この変t」

長門「それ以上言ったらどうなるかわかるな?」

大鳳「・・・」ブルブル

提督「ひ、ひどい・・・」

大口径砲の弾薬庫で、ビスマルクが倒れていた。服や艤装も全て奪われ、気を失っている。

Z1「ビスマルクさん!起きて!ビスマルクさん!」

ビスマルク「・・・うーん、ここは?」

提督「ここで倒れていたのよ。何か覚えてない?」

ビスマルク「いえ、おとといの晩御飯のことしか覚えてないわ」

提督「重症ね・・・一応、ドックに行っておいで」

Z1「行こう、ビスマルクさん」

ビスマルク「え、ええ・・・」

提督「嘘でしょ・・・今日はお客さんが来るのに・・・」

長門「客が来るのか?」

提督「ええ。結構前に話したと思うけど、あっちの世界で知り合った人たちなの」

長門「なるほど。進んだ技術を持つという軍隊か。胸が熱いな!」

提督「でも、謎の襲撃者がいるなんて・・・」

長良「怖いですけど、憲兵さんが捕まえてくれますよね!」

提督「憲兵は変態提督専門でしょ?襲撃犯くらい、私たちで捕まえられるわよ」

3時間後

早川「久しぶりだな。元気だったか?」

提督「ええ、お蔭様で。今日はそこそこの大艦隊ね」

早川「シュルツたちもいる。ところで、電はどうした?」

提督「昨日から行方不明なのよ。あの子、すっごく気が弱いから、襲撃犯に襲われたらどうしよって思って・・・」

艦長「それは気になる!では、駆逐艦寮まで探しに・・・」

長門「ダ メ だ。私の可愛い駆逐艦たちには一切近づけさせんからな」

艦長「・・・」ピキピキ

長門「・・・」ピキピキ

早川「やめろ。話がややこしくなる」

艦長「すみません」

長門「そうだ、大人しく土に還れ」

艦長「貴様ァ・・・」

長門「勝負なら受けて立つぞ?」

提督「どの世界にも困り者はいるのね・・・」

ヴェルナー「ああ、素晴らしい!」

ナギ「どうしたんですかあ?」

ヴェルナー「出番があるなんて、夢みたいだ!」

ナギ「そういえば、本編じゃ『お手柔らかにお願いします、早川少将』と『加勢します!砲撃開始!』 しか言ってませんでしたね」

ヴェルナー「それを言うなぁぁ!先輩、慰めてください・・・えぐ・・・」

シュルツ「ヤダ」

ヴェルナー「そんなぁ・・・」

筑波「ふぉふぉふぉ!しょせん、お前はモブキャラ止まりだったというわけよ!」

ヴェルナー「こ、このぉ・・・!」

電「今日は収穫が大きかったのです♪」

シュルツ「むむ、電じゃないか」

電「誰かと思えばWSG2の特殊任務でハーレムをやらかした色欲提督なのです」

シュルツ「・・・」

ヴェルナー「ところで、提督さんはいらっしゃるかい?」

電「知らないのです」

シュルツ「さっきまで通信できていたのだが、何か問題があったのだろうか?」

ブラウン「気になりますね。失礼かと思いますが、少し鎮守府内を捜索してみましょう」

ナギ「そうですね。それじゃ、電ちゃん・・・あれ?」

シュルツ「どうした?」

ナギ「電ちゃんがいなくなっちゃいました!」


電「ちっ、こんなタイミングで来るなんて、空気の読めない連中なのです」

電「でも、もう少しで完成するのです!」

筑波「んん?何じゃここは?」

電「とぉぉ↑おう↓」ベキッ

筑波「あふん」バタッ

電「また馬鹿が迷い込んできたのです。とりあえず便器にでも突っ込んでおくのです」ポイ

伊勢「やっぱり晴嵐よね!」

日向「ハリアーはいけ好かないからな。やはり水上機は最高だ」

電(なかなかの飛行甲板なのです。今度はアレを頂戴するのです)

日向「おや、電じゃないか。こんなところで何をしているんだ?」

電「ちょっとほしい物があるのです」

伊勢「あれっ、もしかして、日向が隠してるお菓子がほしいの?」

日向「そ、そのことは・・・」アセアセ

電「違うのです。その飛行甲板をよこすのです!」ベキッドカッバキッ

伊勢「きゃぁぁぁ!!」

日向「ぬおぉぉ!?」


電「もうすぐ完成するのです」

提督「ようこそ鎮守府へ。大和がお茶を持ってきてくれるから、待っててね」

シュルツ「ご丁寧にどうも」

提督「久々のお客さんだから、ちょっと奮発して高いお茶を買ってきたのよ。口に合うといいけど。はぁ、電ったら、どこに行ったのかしら・・・」

ナギ「電ちゃんなら、さっき埠頭にいましたよ?」

提督「え?そうなの?よかった」

ナギ「でも、すぐにどこかに行っちゃって。雲隠れの術みたいな早業で消えちゃったんです!」

提督「ふふふ、まさか。電がそんな芸当できるわけないじゃない」

シュルツ「では、ナギ少尉がテキトーなことを言っているとしか思えんな」

ナギ「ち、違いますよぉ!」アセアセ

大和「お茶をお持ちしました」コト

ブラウン「ありがとうございます」ズズー

利根「吾輩が利n」カーンカーン

大鳳「航空母k」カーンカーン

陸奥「長門型戦k」カーンカーン

電「武装、追加の船体、飛行甲板。これで全て揃ったのです。本当なら大和の主砲を奪いたかったけど、仕方ないのです」

日向「大型建造を繰り返して、何をする気だ」

電「電を最強の重武装巨大航空駆逐艦に改装するためなのです。というわけで、艦載機の管制をするのです」

日向「・・・断る」

電「それなら、ちょいきつめのぐるぐる巻きにされた伊勢がどうなっても知らないのです」

伊勢「日向ー!だめー!」↓溶鉱炉

日向「卑怯な・・・わかった、言う通りにしよう」

伊勢「日向っ!だめだって!」

日向「これも伊勢を守るためだ・・・」

電「潔いのはいいことなのです」

電「できたのです!これで鎮守府を制圧するのです!」

超兵器をも凌駕する巨大な艦が進水した。ハウニブーを大量に出撃させ、戦艦並みの大口径砲と超音速酸素魚雷の発射管が鎮守府に照準を合わせる。

日向「UFOとは悪趣味な・・・」

電「黙ってUFOを出しまくるのです!」ピシッ

日向「あひぃ」


提督「な、何あれ!超兵器!?」

ブラウン「確かに巨大ですが、ノイズを発していません。通常兵器のようですね」

電『直ちに降伏するのです!さもないと、鎮守府を攻撃するのです!』

提督「い、電ちゃん・・・」

ヴェルナー「現れたなイナズマン!この僕が現れたからには、もう悪さはさせないぞ!」

シュルツ「へ?」

電「くう、やっぱり現れたのです!」

ヴェルナー「この僕、ヴェルナーマンが相手だ!」ヘンシン!

提督「・・・ネーミングセンスがひどいわね」

テーレッテレー♪ ←艦これの戦闘BGM

ヴェルナーマン「この僕が相手だ!いけ!戦艦周防!」

イナズマン「そんなカス戦艦、海の底に沈めてやるのです!」

戦艦周防HP 90/90 50.8㎝砲 電HP 800000/800000 miss

電 160㎝砲 周防 HP 0/90

ヴェルナーマン「こ、この僕が・・・負ける、なんて・・・ガクッ」

イナズマン「所詮、クズはクズなのです」

提督「弱っ!!」

ヴェルナーマン「相手が、強すぎる・・・」バタッ

ナギ「あーあ、死んじゃった」

シュルツ「くっ、せめて強い艦さえあれば・・・」

???「わはははは!われを呼ぶ声を聞き、今ここにやって来た!」

イナズマン「だ、誰なのです!?」

叛逆の熾天使・蜃気楼のルフトシュピーゲルング「わが名は叛逆の熾天使・蜃気楼のルフトシュピーゲルング!このわれが来たからには、もう安心なのだー!」

提督「またヘンなのが来た・・・っていうか、名前長すぎ」

テー♪ry

イナズマン「受けて立つのです!」

ルフト「やるのだー!」

ルフトシュピーゲルング HP 300/300 80㎝砲 電 HP 800000/800000 miss

イナズマン「滅ぶがいいのです!」

電 反物質砲 ルフトシュピーゲルング HP 0/300 critical!-99999999999999

ルフト「みぎゃあああああああ!!」ドゴォォ

イナズマン「電が化け物?違うのです、悪魔なのです」

??「全く、迎えにも来ないで、何を遊んでいるんだか」

イナズマン「だ、誰なのです!?」

早川「馬鹿な真似をしている暇があったら、茶でも淹れてくれ」

イナズマン「望むところなのです!」

電 HP 800000/800000 ハウニブー99999999機 早川 HP 9999999999999999999999/9999999999999999999999

提督「ェ・・・」

早川 チョップ 電 HP 0/800000 critical!-999999999999999999999999999999999999999

電「この電が・・・うわぁぁぁぁぁ!?!?」

提督「何これ?バグったゲーム?」

電「ま、まだやるのです・・・いけ!日向!」

日向「伊勢、必ず助けてやるからな・・・」

日向 HP 77/77 36.5㎝砲 早川 HP 999999999999999999999999999/999999999999999999999999999 miss

早川「全く・・・波動砲だ」

電「はわわわわわわわ・・・・・・」ドゴォォ

日向「伊勢、すまない・・・」ドゴォォ

伊勢「日向ぁぁぁぁぁ!!!」


早川「とんだ茶番劇に付き合わされたものだな」ズズー

電「うぅ・・・」←ちょいきつめのぐるぐる巻き

伊勢「どうなのさ電?大人しいじゃん」

ビスマルク「罰が当たったのよ」プンスカ!

提督「手厳しいわね。ま、それくらいのことをしたから当然でしょうけど。赤城、今日から1週間はボーキサイトなしね」

赤城「そ、そんなぁ・・・」ウルウル

提督「だって、大型建造でほとんど資材が消えて、ボーキなんて備蓄0よ。我慢なさい」

赤城「ハイ・・・」グゥゥ


戦え!みんなのヴェルナーマン!編 完

鎮守府 どっかの埠頭

電「釣れないのです・・・」

巻雲「トンボ釣りみたいにうまくいかないですぅ・・・」

赤城「気概が足りません!もっと水面に集中して!敵が現れるのを待つんです!」

加賀「食事の話になると、やたらと燃えますね」

赤城「だって、食事抜きは嫌ですから!」ギュルルルル

利根「素直な腹じゃのう・・・」

ピクッ

電「あ、巻雲ちゃんの竿が動いたのです!」

赤城「本当ですか!?どいてください!」ドン

巻雲「へあぁ!?」

赤城「うう、大きいです・・・!」グググ

電「頑張るのです!」

利根「気合じゃ!気合!」

赤城「やぁぁぁぁ!!!!」ザバァァァ

ヲ級「ヲっ!」

加賀「・・・さすがに気分が低迷します」ガックリ

ヲ級「ヲっ!ヲっ!」

電「ヲ級が何か持ってるのです!」

利根「ふぅむ・・・宝の地図じゃな」

加賀「宝の地図が本物なら、重課金してボーキサイトの山を作れますね」

赤城「暁の水平線に、勝利を刻みましょう!」ダダダダ

電「45ノットなのです」

島風「おうっ!?」


シュルツ「ふむ、宝の地図か・・・」

提督「これが本物なら重課金してドックと母港を拡張できるじゃん!でかしたわ!」←貧乏無課金提督

ナギ「その暁には、ひとつ・・・」

提督「わかっておるわかっておる。そちにも分けてやろうではないか」

ナギ「ははー。有難き幸せにござりまする」

提督「フッフッフ。ナギ少尉、そちも悪よのぅ」ニヤニヤ

ナギ「へっへっへ。提督様こそ」ニヤニヤ

シュルツ「そのやり取りはやめてくれ・・・///」

提督「というわけで、ハワイにやって来ましたー!」

瑞鶴「真珠湾♪真珠湾♪」

翔鶴「ダメよ瑞鶴。また沈められたいの?」←風呂上りに呼ばれたので機嫌悪い

瑞鶴「そ、それはさすがに遠慮するわ」

ブラウン「ところで、今日は何を?」

シュルツ「今日はアニメの収録だ。艦これのアニメが出るというので、我々も協力することになった」

艦長「それは喜ばしいことです!はあ、色々な艦娘に触れ合える絶好の・・・」ベキッ

ヴェルナー「うるさいよ君!」←やられたので機嫌悪い

日向「お前こそうるさいぞ!どうしても黙らないなら・・・」←巻き添え食ったので機嫌悪い

瑞鶴「・・・今日はイライラしてる人が多いわね」コソコソ

シュルツ「・・・頭に血が上っているんだろう。放っておけばいい」コソコソ

青葉「では、シーン1、撮影いきまーす!」カチャン

早川「何だって!武蔵が沈められただと・・・」←出演中

電「そのほかの艦隊も被害が甚大なのです・・・」←出演中

シュルツ「では、この隙に・・・」ソソクサ

提督「待ちなさいよ。私も行くってば」ソソクサ


どっかの洞窟

提督「まさか、瑞鶴までついてくるなんて思わなかったわ」

瑞鶴「シュルツ少佐から聞いたのよ。それより、お宝があったら間宮券使い放題じゃない!?」

提督「えー、母港とドック拡張したいなー」

シュルツ「私は金が人を欲望の世界に突き落とすのだと再確認した」

提督「さてさて。お宝ちゃーん!どこにあるのー!?」

ル級「3秒るぅるぅ!」

イ球「いー!いー!」

敵艦隊出現!

提督「あーもうしゃらくさい。瑞鶴、やっちゃって」

瑞鶴「全機爆装!目標、目の前の敵艦隊!」

ドゴォ!ゴカァァン!

ル級「るぅ・・・るぅ・・・」バタッ

イ「ハミガキは、ヤダ・・・」バタッ

地底湖

シュルツ「行き止まりか」

提督「大丈夫大丈夫。瑞鶴、潜航できる?」

瑞鶴「できるわけないでしょ!冗談じゃないわ!」

提督「でも、スリガオかどこかで潜航してなかった?」

瑞鶴「それエンガノ岬!っていうか、潜航じゃなくて沈没だから!」ウルウル

提督「あら、ごめんなさい」

シュルツ「うわぁひどーい。いじめじゃない?」コソコソ

瑞鶴「そう思う?この間もさー」コソコソ

提督「二人で行ってこいっ!」ボカスカ

シュルツ「うわぁぁぁ!!」ドボーン

瑞鶴「きゃぁぁぁぁ!!」ドボーン

提督「おととい来やがれこんちくしょう!」

シュルツ「ぶくぶく(ふむ、真水のようだな。海には繋がっていないらしい)」

瑞鶴「ぶくぶく(ふーん。真水って初めてだから、ちょっと気持ち悪いわね。潜航も初めてだけど)」

シュルツ「ぶくぶく(見えてきた。あの奥に宝があるはずだ)」

瑞鶴「ぶくぶく(間宮!間宮!)」

シュルツ「・・・ぷは。おや、光源があるのか?」

瑞鶴「あ、あれっ、翔鶴姉!?」

翔鶴「このお宝は渡しませんから!」

日向「何を言う!先に見つけたのは私だ!」

ヴェルナー「いいや僕だ!」

翔鶴「私の彩雲が発見しました!」

日向「いいや、私の瑞雲だ」

ヴェルナー「僕の占星術があったからこそ見つかったんだ!」

瑞鶴「・・・何あれ?」

シュルツ「・・・馬鹿は放っておけ」

シュルツ「困ったな・・・宝箱はあそこにあるのに」

瑞鶴「どうするの?」

シュルツ「・・・瑞鶴、力ずくで3人を倒してくれ」

瑞鶴「あんたの部下はとにかく、翔鶴姉と日向先輩に勝てるわけないじゃない!」

シュルツ「そうか、日向はあれでも戦艦か・・・難しいな」

電「問題ないのです」

瑞鶴「電じゃん。何でこんなところにいるの?」

電「アニメの収録が終わったから見に来たのです。元々、あれは電たちが釣り上げたヲ級が持ってた地図の宝なのです」

瑞鶴「電がいてくれたら、少しは戦力になるかもね。じゃ、行きましょ!」

電「望むところなのです」シュッシュッ

シュルツ「やる気でよろしい。では、出撃!」

電「勝負なのです!」

翔鶴・日向・ヴェルナー「ぁあ?」

瑞鶴「翔鶴姉!そのお宝は私たちのものよ!渡してちょうだい!」

翔鶴「あなたまで私の宝を・・・こうなったら、あの手を使うしかないわ!」ガサゴソ

電「翔鶴さんがスカートの中から何かを召喚したのです!」

翔鶴「46㎝砲、装備します!」ガシャーン

瑞鶴「う、うそっ!翔鶴姉が戦艦に!?」

日向「では、私も初心に帰るとするか。魚雷発射管、装備!」ガシャーン

電「日向さんが魚雷と甲標的を装備したのです!!」

瑞鶴「こ、これって・・・」

翔鶴「行くわよ、全機発艦!砲撃開始!」ゴォォ

日向「重雷装航空戦艦の時代か?」ガシャン

瑞鶴「きゃぁぁーっ!!」←大破

電「ミサイル装tはわわわわ・・・」←大破

ヴェルナー「僕はその隙に・・・」ソソクサ

??「させません!」ドカーン

ヴェルナー「うおおおおっ!?」←大破

瑞鶴「あ、あれは・・・っ」

日向「新手か!」

赤城「超巨大重雷装潜水ミサイル航空戦艦赤城、出撃します!」

シュルツ「ファッ!?」

翔鶴「そんな・・・まさか!天城型戦艦の船体を縦横に4つ、天城型空母の船体で周囲を取り囲み、更に前後に甲標的と魚雷発射管を満載した戦艦の船体を繋げ、更に潜航能力を獲得したというの・・・!?」

日向「チートだ・・・もうおしまいだ!」ガクガクブルブル

赤城「やあっ!!」ドゴーン

翔鶴「ああああーっ!!」←大破

日向「ダメだ・・・もうおしまいだ・・・」ガタガタ

電「日向さん・・・電と瑞鶴さんに、バケツをぶっかけるのです・・・」

日向「何だと・・・」

電「奴を倒せるのは、電と瑞鶴さんだけなのです。さあ、早く・・・」

日向「・・・っ、わかった。高速修復剤だ!」ザバァ

電「食ったら力が湧いてきた・・・!!なのです」ゴゴゴゴ

瑞鶴「本当の地獄はこれからよ・・・!」ゴゴゴゴ

赤城「ま、まさか!ドックでもないのに修理バケツを使うだなんて、それがどういう意味かわかっているんですか!?」

電「誰に口を聞いているのですか?」ドゴォ

赤城「きゃあっ!」

瑞鶴「私は負けない!羊羹とアイスのためなら!」ドゴォ

赤城「きゃあああーーっ!!」

電・瑞鶴「チェックメイト(なのです)」ドゴォォォ

赤城「いやぁぁぁぁーっ!!」

赤城「」

電「やったのです!最強のラスボスを倒したのです!」

瑞鶴「とんでもない魔海造で動けなかっただけじゃない?」

電「それは言わないお約束・・・え?」

瑞鶴「あーっ!宝が無くなってる!何で!?」

提督「残念だったわね!このお宝は私のものよ!じゃ、そゆことでー」ソソクサ

電「に、逃げたのです!」

瑞鶴「全機爆装!目標・・・くっ、逃げられた!」


鎮守府

提督「さーて、お宝ちゃーん。私にお宝を一杯・・・グフフフフ♪」パカ

提督「・・・何これ?『戦艦棲姫の3分くっきんぐ』?何なのよそれー!!」


小さな冒険?編 完

カサカサ・・・

大鳳「きゃあ!」ビクッ

伊勢「まさか、さっきのって・・・ヤツ!?」

大鳳「・・・うん」ブルブル

響「さすがにヤツは苦手だよ・・・」ビクビク

天龍「フフフ、ヤツに怯えるなんて、しょせんは二流だ」チッチッチ

伊勢「じゃ、今日中に鎮守府のヤツを退治してよ!」

天龍「お安い御用だ。さて、間宮券のために働くか」

ビーッ、ビーッ

天龍「何だ?」

任務娘『鎮守府近海に超兵器出現!天龍、伊勢、第六駆逐隊は直ちに埠頭へ集合してください!』

天龍「チェッ、せっかくヤツ退治に専念できると思ったのにな」

大鳳「Gホイホイ買ってくるわね・・・」トボトボ

伊勢「いってらっしゃーい」

提督「敵艦は「パーフェクト・ブラッタ」を名乗る超兵器よ。姿が見えないから、頑張って探し出すこと。わかったわね?」

天龍「ステルス艦ってところか。お安い御用だぜ!」

暁「ブラッタ?って、どこかで聞いたような・・・」

ナギ「確か、ブラッタってゴキブリっていう意味ですよね?」

伊勢「ゴキ!?ゴキッキキキキキキキィ!!」バッタリ

雷「提督のためなら、頑張るんだからっ・・・」ガクガク

電「ゴキブリなんてラクショーなのです」シュッシュッ

提督(電ちゃん、すっかり武闘派になっちゃったわね・・・)

提督「敵はどんな手を隠し持ってるかわからないから、気を付けて行ってらっしゃい」

天龍「天龍、出撃する!遅れてくるなよ!」

響「元気だね・・・」

天龍「当然だ。ヤツを100匹倒せば、間宮券が1枚もらえるからな。鼠間宮ってやつさ」

暁「そ、その呼び方やめてぇ!」

どうでもいいがパーフェクトだけは「ブラッタ」じゃなくて「プラッタ」な

>>678
気付かんかった。マジかよ・・・

鎮守府近海

提督「しっかし、何かしらねアレ」

伊勢「どうしたの?」

提督「アレアレ。不自然な波がいっぱい立ってるでしょ?」

伊勢「ま、まさか・・・」

提督「その通り。ナギ少尉曰く「プラッタの航跡」みたいよ。ざっと見ただけでも、100隻はいるわね」

伊勢「ひゃ、100・・・ゴキキキキィ」バッタリ

??『よくわかったわね!』

天龍「誰だっ!?」

??『あたしたちはパーフェクト・プラッタ100姉妹!スペック限界も関係無いから大暴れしてやるわ!』

提督「どんなに姿を隠しても、航跡が見えるんじゃ意味無いじゃない!ポンコツねぇ」

電「頭の悪い連中なのです」

??『そっちこそ数が少ないくせに!やーいバーカバーカ!』

天龍「お子様だろうが、ヤツはヤツだ。仕留めさせてもらうぜッ!」

提督「頑張ってねー」

伊勢「うー、何でこんなに多いのよー!」

天龍「狩り応えがあるな!フフフ」ドゴォ

Pプラッタ1「きゃーっ!」ドカーン

電「アイス食べ放題なのです!」ドゴォ

Pブラッタ2「キェェェェ!」


6時間後

天龍「これで・・・120匹・・・」ドゴォ

Pプラッタ218「ぬおぉぉぉ!」ドカーン

暁「何よもー!200匹くらいいるじゃない!レディにアレ退治なんてさせないでよ!」プンスカ

ナギ「アレを100匹見たら3000匹いるって田舎のおばあちゃんが言ってました」

伊勢「3000!?ゴキキキキィ」バッタリ

提督「なかなかの天井ね。それにしても多すぎるわね」

電「90匹目なのです!」ドゴォ

Pプラッタ219「にょーん!?」ドカーン

20時間後

天龍「718匹・・・も、もうダメだ・・・」バタッ

電「738匹なので、す・・・」バタッ スヤスヤ

伊勢「ゴキキキキィ」

響「も、もうヤダよ、こんなところ・・・」ブルブル

雷「いやーっ!増援出してー!!」ガクガク

暁「レディにアレ退治させないでよー!」ウルウル

提督「さ、さすがに戦力差が大きすぎたかしら・・・」

雷「助けてー!提督ー!!」

提督「ハッ!・・・そ、そうね。なら、彼女たちを投入してやろうじゃない・・・」

提督「目覚めよ!鎮守府最狂の四天王よ!」

霧島「マイクチェックだゴラァ!」

龍田「死にたいムシケラはどこかしらぁ~?」

文月「ねえ、このムシ共ヤっちゃっていい?」

摩耶「ぶっ殺されてぇかァ!?」

暁「さ、最強の四天王が目覚めたのね・・・」

天龍「ふ、ふざけるな・・・オレが、全部・・・」ガクッ

霧島「オラオラオラァ!」ドカドカドカーン

Pプラッタ300~1000「のおおおおおっ!?」ドカーン

龍田「あはははは♪あはははは♪」キュゥゥンドゴォ

Pプラッタ1001~1500「ぎゃぁぁぁぁ!!」ドカーン

文月「ヤっちゃうよぉ~」フミィ

Pプラッタ1501~2300「ほわぁぁぁぁぁぁぁ!!」prprprprpr

摩耶「食らいやがれッッ!!」ゴゴゴゴゴゴォ

Pプラッタ2301~2999「ひえぇぇぇぇぇ!!」モット!モットオネガイシマス!

提督「す、すごい・・・あれだけのプラッタを、たった数発の攻撃で・・・!」

電「お、恐ろしいのです・・・」ガクガク

天龍「ま、負けた・・・」

Pプラッタ3000「ま、まだよ!まだ、あたしが残ってるんだから!山越え谷越え3000里、やってきました!ぱーふぇくと☆ぷらったちゃん!」

提督「その様子を想像するだけで気持ち悪いんですけど」

Pプラッタ3000『キーッ!こうなったら、あの手で挑むしかないわね!』

提督「な、何をする気!?」

Pプラッタ3000『召喚!モノホン!!!!』

提督「な、何ィ!」

龍田「あらあら。モノホンも出せるのねぇ。それに、空を覆うほど一杯・・・」

伊勢「ゴキキキキキキキィィ!!!」

提督「緊急警報!緊急警報!鎮守府の全艦娘は対空戦闘用意!直ちに戦闘機を発艦・・・いえ、艦攻と艦爆も来るのよ!何でもいいから武器を持って戦いなさい!」

陸戦隊の妖精さん「ぎゃぁぁぁぁ!!アブラムシだぁぁぁぁ!!!」

提督「あっ!ちょ、待ちなさい!」

大鳳「ヤツはいやぁぁ!!」

提督「ちょ、大鳳まで!」

暁「ぴゃあああああ!!ヤツが服に入ってくるーっ!!」

電「そこに入らないでほしいのアッー!」

提督「やめてったらぁぁ!!きゃーーーっ!!」


史上最悪の海軍休日編 完

翔鶴「もう我慢なりません!」

日向「こうなれば、もうわかっているな・・・」

ヴェルナー「望むところだ!」


鎮守府

提督「はぁ、もう提督やめようかしら」

電「くじけちゃダメなのです!頑張る提督はかっこいいのです!」

提督「そ、そうかなぁ」

早川「全く、今度は何だ?」

提督「ちぇっ、アンタはいいわよね。あの時は寿司屋でお食事だなんて」

早川「生憎、金と時間だけはあるんでな」

提督「アンタもアブラムシまみれになっちゃえばいいのよ」アッカンベー

早川「言っている意味がわからん。とにかく、今日は演習の日だ。早く準備しろ」

提督「いーーだ!」プイッ

電「司令官さんに刃向うなんて、無謀な提督なのです」

早川「何だあれ?翔鶴か?」

提督「そうみたいね。でも、何してるのかしら?」

電「海戦をおっ始めるみたいなのです」

提督「迷惑な話ね・・・仕方ないわ。説得しに行きましょ」

電「説得なら、この原稿を使うといいのです」

提督「ありがと。じゃ、説得しに行きましょ」

※任務発生! 「被害担当艦を殺れ」

提督「えー翔鶴に告ぐ。直ちに投降せよ。さもないとドック送りにしちゃうぞー」

翔鶴「てやんでえ!あたいがんなことできるかってんだ!」

提督「と、東京弁・・・?」

早川「そういえば、ブラウンも怪しげな広島弁を喋る時があるな・・・」

提督「何かイラッと来たから沈めていいかしら?」

電「最初からそうするべきだったのです。魚雷装填です!」ガシャン

翔鶴「ぁぁぁぁああああああ!!」ドカーン

提督「やった!さっすが超音速魚雷ね」

翔鶴「す、涼風の姉貴ぃ・・・」ガクッ

提督「え、瑞鶴じゃないの!?」

電「今度は南からヴェルナー艦隊が来てるのです」

ヴェルナー「先輩!先輩はどこですか!!」

提督「シュルツのこと?さあ」

ヴェルナー「このクラウスを置いていくなんて、提督のイケズぅ♡」

提督「おえぇ!さっさと沈めましょ」

※任務発生! 「乙女くんをギタギタにしろ」

電「それでこそ提督なのです。レールガン装填です!」キュゥゥン

ヴェルナー「のわぁぁぁぁ!!!」ドカーン

提督「愛しのカトリーヌ号だなんて気持ち悪い艦名らしく、弱っちいったらありゃしないわ」プリプリ

ヴェルナー「愛は・・・沈みません!」バタッ

早川「これでよかったのだろうか・・・」

電「あのセリフでタカオのことを思い出したのです。何でこの艦隊には変態が多いのか全くわからないのです」

提督「いたとしても、ほんの一部よ」

電「最後はノコノコやって来た日向さんなのです」

日向「あ、提督・・・まだ生きてたんだ」

提督「あんたこそ、よく生きてたわね。とっとと呉で沈めばよかったのに」

日向「そんな酷いことを言う提督にはお仕置きが必要だな。題して『スクープ!提督の中学時代、初めての相手は小学生!?』の刑だ」

提督「全武装、残弾が無くなるまで叩き込め!」

※任務発生! 「最後は自爆常習犯を強制終了」

電「今助けてあげるのです!これを受ければ楽になって助かるのです!」シャシャシャ ドン ドゴォオォォ ←カットイン

日向「ぬおおおおぉ!?」

提督「はぁ・・・はぁ・・・これで片づけたわ・・・っていうか、何で知ってるのよ!」

日向「提督の一つ下の学年にいたからな、噂で色々な話が入って来たんだ。男装趣味ということも知っている」

提督「ギクッ・・・完全に沈むまで叩き込め!」

電「なのです!」ドゴォ

日向「まさか、こんなところで沈むとは・・・伊勢、さよならだ・・・」ガクッ

電「よかったら見せてほしいのです」

提督「何のことかしらぁ?」~♪

電「提督・・・」

提督「何?」

電「戦争って、悲しいものなのです・・・」

提督「また一歩、大人に近づいたわね。その気持ちを忘れないようにしなさい」ナデナデ

電「なのです!」

翔鶴・日向・ヴェルナー「勝手に殺すな!」

電「チッ、生きてやがったのです」


早川「全く、人騒がせな連中だ。とりあえず懲罰房行き」

翔鶴・日向・ヴェルナー「えーーーっ!?」


喧嘩騒動!まさかの提督は・・・編 完

提督「あーーっ!!」

電「どうしたのですか?」

提督「この前拾ったル級の3分クッキング、あれの袋とじを開けてみたら、ななななーんと!世界破滅の預言書が出てきたのよ!」

シュルツ「以前、ナギ少尉が見つけたものと同じものか?」

ナギ「あー、そんなことありましたねぇ」

ブラウン「何々・・・火星から恐怖の大王が部下を引き連れてやって来て、地球を滅ぼしちゃう・・・って書いてます」

シュルツ「リベンジか?」

提督「何のことよ?」

シュルツ「以前、我々も同じ本を見つけた。それの予言通り、恐怖の大王が降って来た」

筑波「ゲソ焼きは最高ですなぁ~」

提督「げそ?」

早川「ふうむ・・・まさか、こっちにもヤツがいたとはな。早めに退治しに行く必要があるのではないか?」

ナギ「ぴきーんと天啓が走りました!恐怖の大王は、南氷洋に現れます!」

ブラウン「前と同じパターンですね」

早川「着いたが・・・」

電「空を黄色い何かが埋め尽くしてるのです!」

提督「何アレ・・・」

ナギ「あ、あひるです!あひるがいっぱい空を飛んでます!」

シュルツ「何だと!?あひるめ、邪魔するつもりか!」

副長「あっちにはすわんもいます!」

艦長「ねっしぃもいるな。まさに生体兵器のオンパレードだ」

提督「へ、兵器?」

シュルツ「どこからどう見ても動物だ。我々の科学力ではなすすべもない」

提督「でも、倒したことあるんでしょ?」

シュルツ「ま、まぁ・・・」

??「ふはははー!よく来たなおまえたち!」

電「あ、水面に誰か立ってるのです」

ルフト「われは最強の兵器を手に入れたのだー!」

提督「またあいつ?何考えてるのよ」

ルフト「ここに眠っている恐怖の大王を復活させれば、今度こそ全世界征服も夢じゃないのだ!」ビシッ

提督「あーはいはい、よかったわねー」

ルフト「その強さはリヴァイアサンの約10倍(当社比)!フフフン、こいつを手に入れて養殖したら、対日輸出でがっぽがっぽなのだ!」

電「当社比なんてアテにならないのです。第三者機関を通すのです」

ルフト「そんなことを言うお馬鹿さんには・・・のわぁぁ!!」

ヴェルナー「何やってんだか、あのお馬鹿・・・」

シュルツ「むむ!?水面からナニやらイカがわしいものが!?」

ザバァ!

提督「い、イカ・・・デカイ・・・」

電「イカなんてただのツマミなのです。未成年者にはそれがわからんのです」

副長「電ちゃんはどうなの?」

早川「襲ってくるぞ!迎撃しろ!」

電「マガモやすわんが波動砲を充填してるのです!」

提督「逃げるのよ!その後は鴨鍋にでもしてしまいなさい!」

筑波「鴨鍋はおいしいですなぁ」

シュルツ「もういいから、それ」

早川「対空砲座、撃ち方始め!」ダダダダ

あひる攻撃機「くええぇぇ!!」

電「いっぱいいるのです・・・」

キョウフノダイオウイカ「キェエエエ!!」ギュギュギュルドカーーン‼

提督「わっ!波動砲!?」

シュルツ「違う、イカスミだ!」

副長「敵のマガモがイカスミ波動砲で絶滅しました!すわんが怒ってイカに攻撃しています!」

提督「仲間割れしてるじゃん・・・」

早川「油断するな!」

ドカァン!

副長「船尾に被弾!」

電「しっかり操艦するのです!」

ヴェルナー「わかったから話しかけないでくれ!」

マガモ「くええええ!」

副長「マガモが怒り狂ってこちらに向かって来ます!」

早川「くっ、もう終わりか・・・」

??「まだあきらめちゃダメよッ!とぉぉ↑おう↓」

早川「!?」

シュメーラ「大空の巫女、フォーゲルシュメーラ参上!」

提督「巫女っていうより、鵺よね」

シュメーラ「う・・・そんなことはいいの!私は敵を倒せればいいのッ!!」グオォォォ

マガモ「くええ!?」ドカーン

副長「やりました!最後のマガモとすわんが死にました!鴨鍋♪鴨鍋♪」

ブラウン「まだです!中央にはイカが残っています!」

キョウフノダイオウイカ「キエェェェェ!」ゴォォ

提督「反物質砲!電、よけて!」

電「必要ないのです!魚雷装填です!」ガシャン

ドカーン!

早川「何だと・・・魚雷で反物質砲を迎撃だと!?」

電「これで終わりなのです!」キュゥゥン

キョウフノダイオウイカ「キエエェェェェェ!!!」ドカーン

筑波「ゲソ焼き完成!つまみに最高ですなあ~♪」


提督「結局、何だったのかしら。ル級の3分クッキングもあそこで終わってるし・・・」

電「結果的にゲソ焼きと鴨鍋を作れたからいいのです」

ナギ「いっつおーるおーばー!まったねー!」

ガルトナー「また出番無いんですかのう・・・」

ナギ「もー、しょうがないなぁ。今回でおしまいよ?」


ブラウン「月が綺麗ですね・・・」

シュルツ「あ、ああ・・・」

提督「ふふ、ライナルトったら、照れちゃって」

ナギ「あーん!ダメですー!」グイグイ

金剛「テートクもいいですけど、シレーカンもいいデスネー!」

天城「王手」

長門「ぁあっ!今度は魚雷戦ゲームで勝負だ!」

初雪「騒がしいから引きこもります・・・」コソコソ

早川・ヴェルナー・艦長「負け犬、冷えてまーす・・・えぐ」

ヴァイセンベルガー「ふははは!今度は超ミコシじゃ~!」

ルフト「やぁぁ!!波動砲発射ぁー!」

ブラウン「ほら、遠くで祭りの声が・・・(はぁと)」

ガルトナー「こら!わしの仕事をしているところで、なんとハレンチな!」

シュルツ「もうイヤ、こんな生活!」

副長「幸せそうでよかったね!」

電「これが幸せそうに見えたらメガネを買うべきなのです」

ナギ「それじゃ、今度こそ!」

みんな「まったねー!」


ロゼ「ちょっとー!みんなー!どこにいるのよー!?」


ばいおうぉー編 完

とりあえず、全部終わり。
その場の思い付きで書くから話の脈絡がなかったり、ご都合主義的なところ、挙句文章力がひどかったとか、とにかく
いっぱいあったけど、最後まで付き合ってくれた人はありがとうね


今度からちゃんと話の流れは考えてSS書くよ(多分)
次はエヴァ×まどマギのSSするよ(事前通告)



じゃ、まったねー

そう言ってくれるとうれしいよ・・・
とりあえず、もうちょっと上手く書けるようにがんばる

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2015年04月19日 (日) 00:21:14   ID: msM_d-WY

良い

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