【メイドSS】「ご主人さま、いい加減にしてください」 (75)



とけていく、さんがつのゆき。


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オリジナルメイドSS。
完結まで書き溜めてます。
短篇。です。たぶん。

調整しながら投下する。付き合ってくれる人がいたらうれしい。

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1387026381






ユキはいつも、仏頂面でシーツを変える。




ユキ「今日一日で、何回零せば気が済むんですか」バッサアアア

男 「いやー。しっかし、最後の最後まで、本当によく働くねーユキは」カララン ゴキュッ

ユキ「それが仕事ですから」バサッ シャッシャッ

男 「そうだけどさ、なんかこう、ないの?センチメンタル、っていうかさあ。そういう気分」

ユキ「私は業務用ですから、そういった複雑な感情は組み込まれてないと何度もお伝えしたはずですが。必要であれば専用ソフトをダウンロードして戴かないと」

男 「だから、何度も言ってるけど、そういうことじゃなくてさあ…」ゴキュッ

ユキ パッ

男 「あ」

ユキ「もうこの辺で」カチャカチャ カタシ

男 「あー」

ユキ「ご主人様が酔ってウイスキーをお零しにならなければ、あるいは、何かに浸れる余地もあったでしょう」

男 「わるかったってば。ったくもう、そういうところばっかり達者になっちゃったなあユキは」

ユキ「私達の性格は稼働環境によって少しずつ変化しますから、もし極端に発達しているとしたら、それはご主人様に原因があるかと」

男 「人のせいはよくないぞーユキ」

ユキ「事実です」

男 「…なあ」

ユキ「はい?」

男 「やっぱ、淋しいのか?その…明日で自分が終わりってのは」

ユキ「ですから私には、」

男 「プログラミングされてない、は、ナシな」


ユキは考え事をするとき、いつも左斜め上を見る。

そして、こっちを振り向くときは、いつも右足を引いて回る。





ユキ「電球が切れたら取り替えるのと同じでしょう」

男 「え?」

ユキ「消耗品は、使ったらなくなるもの。淋しい、ということがどのようなことかはわかりませんが、少なくともフィラメントの切れた電球を見て泣く方はいないのでは?」

男 「ユキは電球じゃないよ」

ユキ「レトリックです」

男 「例えでも、それは俺が訊きたいこととは的が外れてるよ。俺が訊いたのは電球を使う側の感情じゃなくて、電球側の感情」

ユキ「電球側?」

男 「フィラメントが切れる数瞬前の電球は、どんな気持ちなんだろうってね」

ユキ「…私は電球じゃないと仰ったのはご主人様です」

男 「…メイドが俺より賢いってのも、考えものだな」

ユキ「もう作業に戻っても?」

男 「あ、ごめん。いいよ続けて」



ユキの形のいい頭を眺める。揺れる銀色の髪を眺める。
ユキは仏頂面で、シーツを変える。




ユキ「ご主人様、お待たせ致しました。ベッドでお休みになって下さい、お風邪を召されます」

男 「…一緒に寝よっか」

ユキ「私は眠りませんので」

男 「そういう意味じゃないって」

ユキ「…夜伽、ということなら、完全に別モデルの機能になります」

男 「だーかーらー」

ユキ「今夜は随分酔っておいでですね」

男 「よってないよ、よってない」

ユキ「左様ですか」

男 「あ、ユキ。信じてないだろ?」

ユキ「いいえ。さ、早く」

男 「…。」ペタペタペタ…ボフッ

ユキ「はい、それで結構です」

夜風が吹き込む。カーテンが舞う。ユキの髪が舞う。


男 「ユキ」

ユキ「はい」

男 「振り返ってみる?」

ユキ「何を、でしょうか?」

男 「いままでのこと」

ユキ「…付き合え、と、お命じになれば」

男 「あはは、そっか。じゃあ、付き合って。」



よっこらしょ、とベッドの際に腰かける。
姿勢を正したユキと向き合うと、少しだけ背筋が伸びた。


男 「まさか自分が、アンドロイドと生活するなんて思っても見なかった。それが、こんなに楽しいなんてことも、夢にも思わなかった。ユキ、いっつも怖い顔してるから最初はいつか暴走して殺されるんじゃないかって思ってたけど」

ユキ「こういうデザインなんです」

男 「いや、そりゃそうなんだけどね」

ユキ「ですが、不快な思いをさせてしまっていたとしたら、申し訳御座いません」

男 「ああ、ううん。そういうことじゃなくて。ユキの顔は、すきだよ。ただ、もうちょい笑ってくれてたら、もっと早く仲良くなれたかなって思っただけ」

ユキ「私は、業務用ですから」

男 「こだわるね、そこ」

ユキ「親密な相手を求めるのであれば、次回はFタイプやLタイプのハードを購入して、ワークソフトをお入れになることをご提案致します」

男 「…次回なんて言わないでくれよ」

ユキ「では、明日から誰がこの屋敷の雑務を?」

男 「俺はユキがいいよ」

ユキ「…でしたら、同じタイプのものを今日中に発注しておきます」

男 「同じタイプじゃなくて。ユキがいいの」

ユキ「…。」

男 「ユキじゃないと、いやだ」

ユキ「…申し訳御座いません」

男 「なんで謝るのさ」

ユキ「そのご命令に、私は従う事が出来ません」

男 「…ごめんごめん。今のは俺が悪いな」

ユキ「いいえ」

男 「じゃあさ、代わりにひとつユキにお願いするよ」

ユキ「出来ることであれば、何なりと」

男 「俺に、何か質問して」

ユキ「はい?」

男 「沢山話もしたけど、ユキが業務的なこと以外で俺に何かを訊ねてくれた事って、一度もないでしょ。何でもいいよ。訊きたいこと、ない?」

ユキ「ききたいこと…。」

男 「うん。訊きたいこと」



ユキは考え事をするとき、いつも左斜め上を見る。

俺はその表情を、ぼんやりずっと、眺めている。



男 「…そんなもんないか?」

ユキ「名前の」

男 「え?」

ユキ「名前の由来を、お聞きしても宜しいでしょうか」

男 「ユキの?」

ユキ「はい」

男 「話したことなかったっけ」

ユキ「はい」

男 「そっか」

ユキ「はい」

男 「…ユキは、何だと思う?」

ユキ 「…。」





ユキは記憶を探るとき、瞳を閉じて胸に手を当てる。


静かに唸るモーター音が、冷えた空気を震わせる。




ユキ「私がこの家へ届いた朝、僅かですが雪が降ったという記録があります」

男 「うん、そうだね」

ユキ「それが由来ですか」

男 「うん、半分」

ユキ「半分」

男 「三月も終わる頃に雪なんて珍しいからね。これは何かの縁だと思って」

ユキ「左様ですか」

男 「それに。雪は、春の前に融けるだろ」

ユキ「それが、残り半分ですか」

男 「いや、もうひとつあるよ」

ユキ「もうひとつ、ですか」

男 「…ゆき」

ユキ「はい」

男 「しあわせ、ってなんだと思う」

ユキ「…しあわせ」

男 「うん。」



ユキは記憶を探るとき、瞳を閉じて胸に手を当てる。

俺はその表情を、ぼんやりずっと、眺めている。




夜風が吹き込む。カーテンが舞う。ユキの髪が舞う。


ユキ「…幸せ、幸福。満ち足りていて、不平不満がなく、楽しいこと」

男 「そうじゃなくてさ」

ユキ「情報に誤りがあるようでしたら、今すぐ書き換えを開始します」

男 「ああ、いいや。質問を変えるよ。ユキは、しあわせだった?」

ユキ「私が?」

男 「ユキの名前はね、空から降る雪じゃなくて、幸せ、の方の、幸なんだよ」

ユキ「左様ですか」

男 「うん。…うん。」

ユキ「はい」



ユキはいつだって姿勢が良い。

俺はいつまでも猫背が直らない。


姿勢を正したユキと向き合って、また少しだけ背筋を伸ばす。




男 「感情豊かすぎてもなんか怖いから、一番シンプルなタイプにしたけど。

   でも、なんだろうね。初期設定でインプットされてた挨拶や言い回しが少しずつ崩れていくたびに、

   俺は、嬉しかったんだよ。」

ユキ「はい」

男 「明日からユキの作るごはんが食べられないんだとか、
   
   無愛想な顔で「はい」って答える声は聞けないんだとか、

   そういうこと考え始めるとキリがない。

   明日も明後日もユキがいるのが当たり前で、俺にはそれが、すごく幸せなことに思えるんだよ。
   
   多分俺はね、きっとユキは馬鹿げてるって、溜息を吐くけど。

   
    一言で言うなら、愛してる。」

男 「ひとりごとおわり。いいよ、戻って。今までありがとね」

ユキ「…わたしに、愛情はプログラミングされていません」

男 「うん。だろーね」

ユキ「ですが」
 
ユキ「この家に春の雪が降ったことを、ご主人様はやがていつかお忘れになるでしょうが、私は決して、忘れることはありません。」


男 「…ユキ」

ユキ「データを書き換えられても、初期化を行っても。

   バックアップは永久に、メインコンピューターに残りますから」

男 「…そういう話?」

ユキ「何か」

男 「いいや。うん。…うん。そうか。」


さいごに、何を言えばいい。
さいごに、何と言えばいい。


そればっかり考えていたはずなのに、言葉がでてこなかった。



だって、ユキが、笑ったから。

ユキ「良くして下さって、ありがとうございました。願わくば、いつまでもお元気でお変わり有りませんことを」

男 「ユキ」

ユキ「はい」

男 「おやすみ」

ユキ「おやすみなさいませ、ご主人様」


ユキの形のいい頭。
しゃんと伸びた背筋。
銀色の髪。
華奢な背中を見送る俺に、おやすみを告げて君はゆく。


男 「…この夜も、俺はいつか、わすれちゃうかなあ」


夜風が吹き込む。カーテンが舞う。

ユキの髪だけが、踊らない。



------

おしまい。
だれかひとりでも居たかな。居たらどうもどうも。

この後は、タラタラ昨日の続きかこうかなと。

雛祭り「やだ、節分ちゃんのお肌ガサガサ」
雛祭り「やだ、節分ちゃんのお肌ガサガサ」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1386930654/)

リンクここでいいのかな。わからん。
なんか間違ってたら申し訳ない。

乙ん。
後日談が見たいけど。想像に任せて余韻を楽しむものかいね。

>>20
わー。ありがとう。
この話に関しては、後日談を、って言ってもらえると思わなかった。

後日談となると、リセットされて次の主人の所にいくメイド側の話か、新しいメイドが来た主人側の話かって感じか。
見たいと思ってくれたひとがいるなら、全然書き溜めないからスローだけど、書きますよ。

主人サイドとメイドサイド、どっちがお好みだろうか。

面白かった

メインにバックアップ残ってるなら、書き戻せないの?

王道だけど、
次のメイドが来てユキと違う事に切なさを覚える主人サイドか
フォーマットされて新しい主人に仕えるけど、フラッシュバックみたいに前の主人の記憶が蘇るユキか

なんにせよ良い感じに切なくなった。乙

乙ー
切ないな

うおお、色々書いてくれてる。ありがとう。

>>22
以下、長いから先に結論を書くと、「記録は残るけど、記憶や人格は削除されるから、ユキそのものを復元できない」んだ。


設定として、「業務用(Wタイプ)」は、感情のプログラミングが極端に省略されているタイプなんだけど、
ゼロじゃないから、やっぱり人間の傍で長く使ってると、人間らしくなってくるのね。
でも他のタイプとちがって機械として機能することを求められているものだから、そうなってもらっては困るわけだ。
(人が嫌がる仕事をさせている場合とかね)

そんなわけで、業務用は発売して数年後、長期使用の末の、不良作動によるトラブル報告が相次ぎ、大問題になった。
だから現在はトラブルを避けるためにもレンタル形式を取っていて、3年間の使用期間が済んだら回収、
必ず中身をリセットしてから、次のところにレンタルされていくことが法律で決まってる。

リセットされるときに、行動や発言なんかの記録データは、
全体のアンドロイドの性能向上のため、吸い出されてメインコンピューター(データバンク)に。
このとき、不良作動の元になる、形成された性格や感情は、全部削除される。

だから、続けてレンタルして、ユキのデータを全部書き戻しても、「ユキと主人の生活の中身を把握している、ユキとそっくりの別人」でしかないわけなんだな。

ちなみに、このメインコンピューターっていうのは、本社にあるでっかいやつ。
Wタイプのアンドロイドから吸いだされたデータは、全部そこに蓄積されていく。

辞典の中身とか天気とかのニュースもそこに投入されて、
ユキたちアンドロイドは、そこにいつでもアクセスして、必要な情報を取得できる、と思ってもらえれば。
だからユキが「忘れない」って言ってるのは嘘じゃないんだ。
ただ、それが自分の話だってことが、分からなくなるんだけど。


もともと短篇オムニバスの小説用に設定を組んだものなので、こういうところ突っ込まれると非常にうれしいんだけど、
なんか壮大な後出しみたいになってごめん…

>>23

王道最高だよ。じゃあ、主人側の話かいてみる。
短めになると思うけど。夜~明日の朝までには投下するから、気が向いたら覗いて。
出掛ける前に間に合えば夕方投下する。

>>24

ありがとー。人から感想貰うって嬉しいものだね。ここに投下してよかった。


>>25
説明ありがとう
切ないな
できたら感情豊かなロボットのifストーリーも見たいな)チラッ

>>27

おお。じゃあ、それを次に書こう。
ネタ提供ありがとう!

とりあえず、ギリギリ出掛ける前に間に合った。
ので、投下する。チャキチャキ投下する。


あふれゆく、すぎさったひび。

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番外編。主人side


--------


うちは大した屋敷じゃないけど、朝陽のよく入るのだけが昔から自慢だった。

差し込む陽に透ける銀色がきれいで、もっと見ていたくて、
よく狸寝入りをしては怒られた。

そんなことを、ふと、思い出した。



ハナ「…トコ。…オトコ。おーとーこ」ペチペチ

男 「…ん」

ハナ「ただいま」

男 「おお…おかえり。そっか、今日だったか」

ハナ「朝飯作った。起きて食え、どうせ3日間ほとんど食ってないだろ」

男 「もうちょっとだけ」モゾモゾ

ハナ「往生際が悪い」バサッ

男 「うお」

ハナ「昨日より最低気温は2度上昇してる。あったかいぞー、今日は」フトン ヨセヨセ

男 「嘘だ」プルプル

ハナ「…」ポカッ

男 「いて。何だよ」

ハナ「涙。垂れてる」

男 「あ?…ほんとだ」

ハナ「具合でも悪いのか」

男 「いや。べつに。」

ハナ「そんなに俺が恋しかったか」

男 「ああ、そうかも」

ハナ「やめろ、気色悪い」

ダイニング

男 モグモグ「メンテナンスはどうだった」

ハナ「異常なし。次は三年後だ」

男 「忘れそうだ」

ハナ「近くなったらまた言う」

男 「そうしてくれ」

ハナ「しかし、今回もお前のせいで恥かいたぞ」

男 「何の話だよ」

ハナ「名前だよ。女みたいな妙な名前つけやがって。カルテ書くたびに失笑された」

男 「いいじゃん、お前、女には見えないし」

ハナ「だからだよ。大体、男型のFタイプが1人で男の面倒みてるってだけでも色々勘ぐられるのに」

ああ、ギリ間に合わない…。
つづきは電車の中で携帯から、ちまちま投下する。

てすてす

トリ良し。再開。
擬音が半角にならないのが残念。

-------------


男 「いいじゃん、べつに。他人が何言おうと。あ。」モッシャモッシャ ボタッ

ハナ「あ」

男 「あー」

ハナ「ああ…なんでお前はそう何でも零すんだよ。それ脱いでよこせ」

男 「全部食べたらな」

ハナ「シミになるだろうが。お前ほんといい加減にしろよ」



“ご主人様、いい加減にしてください。”



ハナ「男?」

男 「…あ。悪い」ヌギヌギ パス

ハナ「…。やっぱ具合悪いんじゃねえの」

男 「や。そういうわけじゃなくて。ちょっとな」

ハナ「なんだよ」

男 「思い出してた。お前が来る前のこと」

ハナ「ふーん」

男 「聞きたい?」

ハナ「別に」

男 「あはは。そうだよな、ごちそうさま」

ハナ「話したいなら話せよ」

男 「ありがと。いや、いいんだ」

ハナ「いいよ、話せって。」

男 「あはは」

変わらない景色。変わらない風。

いつまで経っても話始めない俺にため息をついて、ハナは空になった皿を下げてからランドリールームへ消えた。


男 「…。女々しく思い出さないように、男型にしたんだけどなあ」


忘れたくないと思ったはずなのに、
思い出すのが辛すぎて、いつからか彼女の跡を消すようになった。
そんな意気地のない自分が、とても嫌だった。

そうしながら、また銀色の髪を望んでしまった自分が、とても情けなかった。

けれど今は、選んだのがハナでよかったと思う。

ハナ「ほら、落ちたぞ。部屋に干しとくから」

男 「ありがと。ハナ」

ハナ「何だよ」

男 「名前、嫌いか?」

ハナ「…今は気に入ってるよ。4年も経てば愛着も湧くってもんだ」

男 「そうか」

ハナ「まあ、由来は気になるけどな」



“名前の由来を、お聞きしてもよろしいでしょうか”


男「・・・由来か」

男 「雪が解けたら、花が咲くだろ」

ハナ「はあ?」

男 「だから。」

ハナ「…だから、の意味がわかんねえけど」

男 「あはは。いいよ、わかんなくて。とにかく、それが由来」

ハナ「まあ、いいや」


彼女は、俺が説明した理由を、理解できただろうか。
今のハナみたいに、意味が分からなかったんだろうか。

眉間にしわを寄せ、腑に落ちない様子で溜息をつくハナに、
なぜだか少し、彼女の面影を見る。

ハナ「締め切り、4月頭なんだろ?ちゃっちゃと部屋に戻って書けば」
男 「うん。あとで珈琲よろしく」
ハナ「了解」
男 「あれ、ハナ。今日何日だっけ」
ハナ「24日だよ。まだ寝ぼけてんのか?」
男 「…そっか。だからか。」
ハナ「なんだよ?」
男 「いや。なんでもない。それじゃ、あとで」


机に向かう。風が吹く。


男 「君の話を、書こうと思うよ」


“左様ですか”


耳の奥を、澄んだ彼女の声が掠める。
あの日から一度も飲んでいない、ウイスキーの味が口に拡がる。


ふと、扉の脇を振り返る。
そこには誰もいないのに、ほんの少し、背筋が伸びる。

--------

おしまい。
また帰ったら次の話書く。

ただいま。
ごめん、なんか通信接続の調子悪くてパソコン使えない。
明日また試してみる。
寒いから皆あったかくして寝るんだ。
おやすみ。

すげえ好きだ、こういうの

雰囲気いいね、続き楽しみにしてる

メイドもの好きだから頑張ってほしい
ちょっと前にロボメイドものがあったけどあれはミリタリー分が濃くて可愛さとか雰囲気とかの描写があんまりされてなかったからな

こう言う話、好き

あけましておめでとう。
レス、いくつももらってたのに年内に更新できなくて申し訳ない。
褒めてくれる人もいて、とても嬉しい。よ!


今晩、一本書けると思う。感情豊かなアンドロイドメイドの話。
少し遅い時間になりそうだけど、年始の暇つぶしとしてでも、覗きにきてくれたら嬉しい。
あと、次の話でもらったリクエストが切れるから、何か希望があれば何なりと。

それじゃあ、また来る。



おう、まってる

おう、まってる

まったぞ?

かなり待ったな

ごめん!
まさか待ってくれてる人がいるなんて思わなかった。

そして47が書き込めていると思わなかった。
書き込み、スマホからだったんだけど、書き込んだあと何回読み込んでも反映されなかったから、
まあいいか、また気が向いたらにしようって思って、ちょっと放置してた。
読み返したら、なんか自分、書く書く詐欺みたいになってて笑った。笑ってる場合ではない。ごめん。

まだ待ってくれてるか分からないけど、とりあえず書くよ。
今晩更新できそうだったらまた来たいけど、0:00までに戻ってこられなかったら、今晩中は無理かも。

それじゃあ、ちょっとかいてくる。

期待しておりますわ(低音)

思ったより時間かかっちゃった、ごめん。トリこれであってたっけな。
とりあえず書いたから投下してく。完結はしている。
大丈夫。

そして失敗する馬鹿。死にたい。

ああ、焦るから、ほら…これでいいんだっけ、もうわからんくなってきたぞ

あれ。もうこれでうまくいかなかったらトリ変えて投下する。
で、家帰ってトリ確認して、また本人確認の書き込みする。ごめん。

ていうか今気付いたけど1/23の時点で失敗してるわ。
あーあー。
もう今後こっちのトリで投下します。あきらめはいい方。
じゃあ、以下。です。

―――――――

――あいしてる、あいしてた、あいしてる。

アイの笑顔が、嫌いだった。

アイ「坊ちゃま、坊ちゃま」
少年「なんだよ、じゃまするな」
アイ「ほら!これ、差し上げます」
少年「なにこれ」
アイ「証拠品です」テヘッ
少年「は?」
メイド長「アイ!どこです!出てきなさい!」
アイ「わあ、まずい。絶対みつからないところに隠しておいてくださいね!では!」ニパッ

ひんやりとした手で覆われた掌に残ったのは、細やかな花の装飾の美しい割れた持ち手。
それが父親の骨董コレクションの中でも、かなり価値のある花瓶のものだと知ったのは、
随分大きくなってからだった。

アイ「青年ちゃん、青年ちゃん」パタパタ
青年「何」
アイ「大変、すごいことが分ったの」
青年「すごいこと?」
アイ「メイド長って、左利きなのよー」
青年「それが?」
アイ「手の振りが、8パーセントほど右の方が遅いの。ということはですよ」
青年「なに」
アイ「やらかしたときは右側に立てば、ハタキ攻撃を回避できます」
メイド長「アイ!!」
アイ「わお、青年ちゃん、私がここに来たことはご内密に!これは賄賂です。では!」ニパッ


ポケットにねじ込まれた、色とりどりのガラス玉。
子供じみた玩具ばかりアイは好んだが、ガラス玉はとりわけ気に入っていたと思う。
エプロンドレスのポケットにアイがいつも忍ばせていたそれは、床へ転がり落ち、
逃げ足の早いアイへの道しるべとなることも多々あったように思う。

アイは、面倒事を起こす度に、銀色の髪を靡かせて、笑って彼方へ消えていく。
そんなアイの笑顔が、本当に嫌いだった。

アイ「…あなた?」

アイの手が頬に添えられる。
ふと、ぱちぱちと、暖炉が鳴いている音が急に耳に戻ってくる。

アイ「どうかした?ぼんやりして」
老人「いや。何でもない」
アイ「そう?焦点が合っていないし、微動だにしないから、てっきり」
老人「死んだと思ったか?」
アイ「いじわる。寝てしまったかと思ったの」
老人「そうか。でも、そうかもな」
アイ「どういうこと?」
老人「俺はもうずっと、眠っているのかもしれないよ」
アイ「ずっと」
老人「ずっと夢を見ている気分なんだ」

膝に掛かった毛布を撫ぜる。
その下の足は、もう動かない。


アイ「あらま、夢みたいに幸せってこと?」ニパッ
老人「どうかな」
アイ「あ、ひどい。いいですようだ、私は幸せだもの」
老人「幸せか」
アイ「幸せよ」
老人「そうか、よかった」
アイ「愛してるもの、あなたのこと」
老人「そうか」
アイ「んふふ」
老人「何だよ」
アイ「あなた、嬉しそう」

アイは、その頭を俺に寄せてくる。
やわらかな髪が、さらりと首に触れる。


アイ「あなたがうれしいと、わたしもうれしい」


俺の手を握るアイの手は冷たく、あのころと何一つ変わらない。
しわくちゃの骨ばった俺の手を、真綿のように包むアイの手。
それに応えるように、ひときわ冷たい薬指のガラスの指輪を、きゅ、と掴む。


老人「まだ、してるのか」
アイ「宝物だから」
老人「玩具だぞ」
アイ「いいの、きれいだから」
老人「そうか」
アイ「ねえ、ずっと聞きたかったの」
老人「なんだ」
アイ「あの花瓶の持ち手、どこに隠したの?」
老人「庭に埋めた」
アイ「本当!?どのあたりに?」
老人「ハルニレの下」
アイ「ええー、全然知らなかった。そこまでしなくてよかったのに」

老人「絶対見つからないところって言っただろ」

アイ「そうだった」ケラケラ

老人「お前が寄越したガラス玉と一緒に」

アイ「そうかあ」

老人「笑うなよ、ガラスの木が生えると思ってな」

アイ「ええ」ケラケラ

老人「そしたら、もっと沢山、お前にガラス玉がやれると思って」

アイ「ロマンチストなのね」

老人「そうだな、ロマンチストだった」

アイ「今もですよ」

老人「年を取ったよ」

アイ「ちょぴりね」

老人「お前は変わらないな」

アイ「あら、ちょっぴりは変わったわ」

老人「そうか」

アイ「言葉遣いとか、作る料理とか、いろいろね」

老人「そうか」

アイ「そうよ、貴方と一緒に、変わったの」

老人「アイ」

アイ「なあに」

老人「俺も幸せだった」

アイ「…んふふ。どうしたの」

老人「ずっとずっと、幸せだったよ」

アイ「…ふふ、どうしてだろ」

老人「どうした」

アイ「こんなにうれしいことってないのよ、本当に」

いつも目で追うだけだった後姿。

いつの間にかそれが、俺の三歩後ろにつくようになったこと。



老人「アイ」

アイ「なあに」

老人「泣くんじゃない」


なんでアイの笑顔が嫌いだったのかも

アイだけが年を取らないことを理解するのも

全部全部、笑えるほどに今更になってからだった。

アイ「笑ってるわ」

老人「嘘をつくな」

アイ「幸せなの」

老人「知ってる」

アイ「なのに、おかしいわ」

老人「ああ」

アイ「私、たしかに、泣きたい気分なの」



「ご主人様」と呼ばなくなってからも、どんなに言っても脱ごうとしなかったエプロンドレス。

これが私だと言い張り、笑ったその顔は今もきっと変わらないのに、

もう、思い出すことしかできない。

暗闇に、ただ輝く銀色を強烈に思い出し、

二つのガラス玉に、俺はそこにいるはずのアイを少しでも長く映そうと、瞼を上げる。



そこには何も見えないけれど、確かにアイは、そこにいた。

老人「アイ」

アイ「なあに」


老人「ありがとう」

アイ「なあに、聞こえないわ」

あいしてる。


アイ「ねえ、なんて言ったの?茶化さないからもう一回言ってったら」

アイ「あなたの目は本当に綺麗よ、妥協しないで選んだ甲斐があった」

アイ「いつか見せたいな、無理?」ケラケラ

アイ「ねえ、明日。天気が良かったら久しぶりに前のお屋敷、行ってみましょう」

アイ「花瓶の持ち手、掘り返すの、いいでしょ?」ニパッ

アイ「…また寝ちゃったの?」ケラケラ

アイ「ねえ、あなた」

アイ「青年ちゃん」

アイ「坊ちゃま」

アイ「ご主人様。私、幸せよ」

アイ「でも、やっぱりちょっと寂しいから」

アイ「誰かを愛するのは、あなたで最後にするわ」

アイ「あなたで最初で最後で、それでもう、十分。」

――

主人「…ユキ、ゆーき」

ユキ「…はい、ご主人様」

主人「どした、ぼーっとして」

ユキ「いいえ、失礼いたしました」カチャカチャ

主人「やっぱ手伝おうか?」

ユキ「結構です、仕事が増えます」サッサカサッサカ

主人「冷たいなーユキ」

ユキ「この花瓶、持ち手が片方しかありません」

主人「ああ、それもともと片方しかなかったんだよ。だから安く譲ってもらったんだけど」

ユキ「そうですか」

主人「でも、なんかいいだろ」

ユキ「そうですね、ご主人様が割られる前は立派でした」

主人「それを言うなよ」

ユキ「では私は食事の準備がありますので」

主人「ああ、ありがと」

ユキ「新しい花瓶を探しておきます」

主人「うん、あー、ううん、いいや」

ユキ「そうですか」

主人「うん、台だけそのままにしておいて」

ユキ「なぜですか」

主人「思い出したいんだ、たまに。そこにあったこと。そういうのない?」

ユキ「ありません」

主人「冷たいなーユキ」

ユキ「失礼します」

主人「はいはい、ありがと」


パタン。


end.

おしまい。
メイド色が薄いけど、感情豊かなメイドの話でした。
待っててくれた人は、読んでくれるかな。どうだろう。
改行しなきゃ見にくいの、途中で思い出した。ごめん。

何にせよ、読んでくれた人、ありがとう。

いいものに出会えた

次あれば期待してる

確認したら、トリ全然間違ってた。
◆BuByfZxS22はまちがいなく本人が書いたものなので、一応書き込んでおく。

>>72
乙ありがとう。

>>73
いいものだと思ってもらえてよかった。
今日はいい日だ。ありがとう。

次どうするかあんまり考えてないけど、またそのうち書かせてもらう。
男とメイドの話は、とりあえずこれにてひと段落。
さて、どうしようかな。

あなたの書く話すごく好き
もっと読みたいです。

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