あかり「ダブちな」(247)



          り..........
  あかり....
        
あかりちゃ.....

     あかりちゃん…!



――― だれ? 聞いたことある声…

誰かが呼んでる…なんで泣いてるの?

どこ、ここ… 何も見えないよぉ

眠い…

うぅ…頭がフラフラする…

体が揺れる…

・・・・・・り

おい…      …きろ
あかり…
起きろーあかりー

ユッサユッサ...


あかり「はっ」

結衣「あ、起きた」

あかり「あれ…寝ちゃってた・・・」ウトウト....

あかり「う~ん…暑い」

ジリジリ.....

結衣「そりゃこんなとこで寝てたら暑いわ」

京子「もう、せっかくプール来たのに、遊ばないともったいないぞー!」

あかり「ふわぁ~…」

あかり「えへへ、うっかり。夏休みだもんね遊ばないと!」



あかり「あれ? ちなつちゃんは?」

はよ


京子「私のちなつちゃんなら何か急いでトイレ行ったよ」

結衣「お前のじゃないけどな」

京子「あかりも起きた事だし、再びプールへゴー、ひゃぁぁほぉぉい!!」 バッシャン

結衣「おい飛び込み禁止!」

あかり「じゃ、じゃああかりも!」 パッシャン

結衣「あかりも…まったく」ポチャ...

結衣「よっと、思ったより深いなここ…」

京子「結衣…わぷ、ここ、わぷ、深すぎ」バチャ...バチャ

結衣「私は立ったまま顔出るけど、あかりは団子しか出てない…」

あかり団子「…」 プカプカ

\アッカリーン/

京子「も、もうダメ上がる、わっ…ゆ、結衣おんぶしてぇ~…」

結衣「しょうがないな京子は…ほら肩掴んで」

京子「えへへ…もう~しょうがないな結衣は…//」

結衣「やっぱ離せ」 バッ

京子「あぁ~! わぷ…溺れるぅ…結衣様~」バチャバチャ

結衣「お前足届くだろ、あかりは大丈夫?」

あかり「あ、足届かないから…結衣ちゃんおんぶして欲しいなぁ…なんて」 テレ...

結衣「ほら、おいで」

あかり「わぁい! 結衣ちゃんの背中~♪」
 

京子「もうあかりだけずるいぞ、私も結衣の背中すべすべちゅっちゅぱしたい!」チュー

結衣「あかりは、そんな事しとらんわ」

あかり「でもすべすべだよ…結衣ちゃんの背中…///」ギュウ

結衣「う、うん…ありがとう?」

結衣「ほら着いたよ。昇って」


あかり「はーい、よいせっ」バシャ

京子「ねぇ結衣~ちょっとだけ触らせてよ~」

結衣「やだよ、ほらあがるぞ」

京子「じゃあ私の背中触らせてあげるから!ね!ほらぁ」チラッ

結衣「うっ…い、いい、遠慮しとくよ…」

京子「ほらぁ結衣…スク水のU字から覗くせ・な・か」チラチラ

結衣「……」

結衣「ん……」さわ...さわ....

京子「ひゃぁん♪」ビクンッ

あかり(触るんだ…)

うわあ……また自意識過剰な書き手(笑)かよ

京子「そういえば、ちなつちゃんまだ戻って来てないね」

結衣「迷ってるのかな、そんなに敷地広くないけど」

あかり「じゃああかりが探してくる!」

結衣「あ、私も…」

京子「え? 結衣…背中触らせてくれるんじゃないの…?」

京子「嘘だったの…私の体だけいじって満足?一回きりの関係で…」

結衣「変な言い方すんなっ!」

結衣「はぁ…仕方ない。」

結衣「ごめんね、あかりだけで行って来てくれる?」

あかり「うん、すぐ戻ってくるからね」タッタッタ.....


結衣「ほ、ほら…いいよ触って」ドキドキ

京子「いただきます」 ペタッ

ペチ....ペチ....ペチペチ

結衣「叩くなよ…」

-----
どこ行っちゃったんだろ…

取り合えずトイレを見る。個室を見ても、ここには居ないことがわかった。
続いてコインロッカー、ここも着替えてる人の中にちなつちゃんは居ない。

ちょっと心配になってきたよ・・・・・・

プールのある屋外に出て、あたりを見渡す・・・
すると、隅の方にある小さな子供用プールにピンク髪の女の子が、ちょこんと体育座りして
うずくまってるのが見えた。


あかり「ちなつちゃん! 探したよぉ~」


ちなつ「―――!」ビクッ!

ちなつ「なっ…!」


ちなつ「あ、あかりちゃん! な、なんでっ…あかりちゃんが…」アセアセ

あかり「…?」

あかり「ちなつちゃんが遅いから探しに来たんだけど…」

ちなつ「あああ…うんっそ、か…」

ちなつ「そうだねごめん…ちょっと疲れちゃって…」

ちなつ「休んでただけ…うん」

あかり「大丈夫…? 顔色悪いけど…心配だよ。一旦戻って着替えよ?」

ちなつ「うん…そうだね…先輩達の所いこっか…」

あかり(どうしちゃったんだろ…ちなつちゃん…本当に具合悪そうだし…)

あかり「結衣ちゃん京子ちゃんー!」

京子(いいねいいよ…)サワサワ...

結衣(ほ、ほらあかり達戻ってきたからそろそろ…)

京子(もう~お楽しみは取っておくタイプ?)

あかり「ちなつちゃんいたよ~」

結衣「お、お帰り。ちなつちゃんも」

ちなつ「はい…すみません遅くなっちゃって…」

京子「どったのちなちゅ元気ないじゃん」

ちなつ「いえ、なんでもないですよ~ほら、いつもの可愛いチーナですよ?」

京子「うん…ちなつちゃんの可愛い背中も触りたい!」ガバッ!

ちなつ「や、やめて下さいなんですか背中ってぇ~」

結衣「まぁよかったよ。ちなつちゃんも戻ってきた事だし、そろそろ帰ろっか」

あかり「そうだね、あかりお腹減っちゃったよぉ」

~帰り道~

京子「いや~疲れたぁぁぁああぁ~ああん」

京子「結衣んち行ってちょっと休ませて」

結衣「別に、いいけど」

結衣「あかり達は、来る?」

あかり「うん! あかりも結衣ちゃんち行きたいな」

ちなつ「わ、私…今日は帰ります…」

京子「珍しいね、ちなつちゃんが結衣の誘い断るなんて」

ちなつ「いえ、本当は結衣先輩の家、すっっっごく行きたいんです!」

ちなつ「でも少し具合悪いので自分の家帰って…寝る事にします」

ちなつ「だから結衣先輩…今度2人きりで、私だけ誘ってくださいね?」

結衣「そ、そっか…ちゃんと寝て体調治すんだよ?」

ちなつ「はいっ、じゃあこの辺で失礼しますっ」

結衣「じゃあまた」

京子「またね~ちなちゅ」チュッチュ

あかり「……」

~結衣家~

京子「あーまた負けたー」 ぐて~

結衣「弱いな京子、13連勝なんだが」ドヤァ

京子「くそ~…じゃあ次はぷよぷーで勝負だ!」

京子「私が勝ったらそのプリンちょうだい!」

結衣「なんでそうなる…pん」

結衣「…あかり?」

あかり「……」

京子「おーい」

あかり「あっ…な、なに?」

結衣「何か考え事?」

あかり「う…うん」

あかり「今日のちなつちゃん少し変わってなかった?」

結衣「そうか?」

京子「水着は可愛かったけど、可愛いだけじゃ不満?」

あかり「何か元気ないっていうか…」

結衣「暑い中遊んだし疲れちゃったんだろうね、夏バテとかあるし」

あかり「そ、そっかぁ…ちょっとだけ心配だったんだ…」

京子「ほんっとにあかりはいい娘だな~」ぎゅうぅ

あかり「ひゃあ! 京子ちゃんいきなり抱きつかないで…」

京子「やっぱ、くっついてると暑いから離すね」 ホイ


あかり「それも何か寂しいよぉ…」

結衣「あかりも体調管理しっかりしときなよ。京子は丈夫だからいいけど」


京子「うなぎ!!」

結衣「はぁ」

京子「うなぎ食いたい!」

結衣「そっか、買って来い」

京子「冷蔵庫にないの?」

結衣「ねーよ、あってもやらん」

ぐぅ~

あかり「あっ…//」

あかり「そういえば、お腹減ってた…」

結衣「余ってるチャーハンでよかったら食べる?」

あかり「うん、ありがと結衣ちゃん」

京子「私にも何かクレー!」

結衣「はいはい、ちょっと待ってて」

~3分後~

結衣「はい、あかりにはチャーハン」

あかり「わぁい♪」

結衣「ほら、京子はお茶漬け」

京子「いやっほーお茶漬け!いただきー」

がつがつ...

結衣「……」

スレタイからダブルチーズバーガー連想したのに…

あかり「ふぅ…おいしかったよ結衣ちゃん~」

京子「そろそろ帰るかー」

あかり「じゃああかりも帰るよ」

結衣「わかった、気を付けて帰ってね」

京子「じゃまたー」

あかり「じゃあね~」

~赤座家~

あかり「はぁ…疲れちゃったよ」

ベッドがひんやりしていて気持ちいい。夏夜の風は涼しく穏やかな時間が流れている。しかし、
こんなに心地良いのに気がかりな事があった。ちなつちゃんの事
いつも一緒に居るから分かる、僅かな様子の変化も気になってしまう。

心配だから、明日ちなつちゃんの家に行こう・・・

~翌日~

あかり(やっぱりインターホン押す時って緊張するよね)

あかり(周りに誰もいない…よしっ)

ピンポーン...........


あかり(あれ?)

ピンポーン...

あかり「誰も…いないのかな」


「あかりちゃん?」

あかり「ひゃあ! ち、ちなつちゃん…後ろから声かけるからびっくりするよぉ」

ちなつ「あはは、ごめんごめん」

ちなつ「で、どうしたの?」

あかり「その…ちなつちゃんが昨日具合悪そうだったから…それで」

ちなつ「そんな事で来てくれたの?」

あかり「うん…迷惑だった?」

ちなつ「そんなこと、ないけど…ないない全然」

あかり「よかった…」

ちなつ「麦茶飲んでく?」

あかり「うん! おじゃましまーす」

あかり「あっ…」 ドキ

ちなつ「なに?」

あかり「ううん、なんでも…ないよ」


そういえば…数日前にこの玄関でちなつちゃんと…あんな事しちゃったんだ。
キスの練習…なんて
ああ…思い出しただけで何か恥ずかしくなってきちゃった…
ちなつちゃんは何とも思ってないみたいで、それが余計に恥ずかしい。
そこまで嫌だった訳じゃないし…でもいきなり

ちなつ「あかりちゃん」

あかり「いきなりキス…」

あかり「あっ…! な、なにかな、ちなつちゃん!?」

ちなつ「はい、麦茶」 トン

あかり「あ、ありがとう…」カァァ

ちなつ「…」 ジー

あかり「んっ…」ゴクゴク....

ちなつ「…」 ジー

あかり「…な、なに?」

ちなつ「ねぇ…あかりちゃん」

あかり「う、うん」

ちなつ「……」

ちなつ「やっぱりなんでもない」

あかり「なになに? もう気になるよぉ」

ちなつ「あかりちゃんを見てただけだから気にしなくていいよ」

あかり「そう…」

あかり(何か気まずい…//)モジモジ...

――――
―――


あかり「じゃあそろそろ帰るね」

ちなつ「うん、またねあかりちゃん」

あかり「ちなつちゃんが元気そうで良かったよ~またねー」







ちなつ「はぁ……」

ちなつ「結局、言えなかった…なにしてんだろ私」

~翌朝~

あかり「ふわぁ…」

あかり「あれ…時計、時間まだ…5時…」ウトウト...

あかり「のど渇いちゃった…」

あかり「むぅ…」フラフラ

あかね「あら、あかり早起きね」

あかり「あ、お姉ちゃん…おはよー」

あかね「おはよう、あかり♪」

あかり「外の自販機まで、飲み物買いに行ってくるね~」フラフラ

あかね「…いってらっしゃい」

ダッ!

あかね(ちょっとだけ…あかりの寝てたお布団を)サスサス

あかね(甘い香り…枕も…)スンスン


ピッ...ガシャコン

あかり(ふぅ…プカリも買ったし、帰って二度寝しよっと)

それにしても、涼しくて気持ちいいなー。朝は人もいないし大好き
ちょっとお散歩して帰ろうかな…独りでお散歩もいいけど
ちなつちゃんと一緒に……ってなんで急にちなつちゃんの事想い出してるんだろ…
一緒にお散歩しよう誘ったら…こんな時間だし起きてないよね。
京子ちゃんなら…夏休みだし夜更かしして、こんな時間まで起きてるかな?

そんな事を考えていたら、自宅前に着いていた。
そして、あまりの眠さに耐えかね
なぜか異様に温かい布団に転げ込んで、ウトウトと寝てしまった。



起きて…よ…
         …りちゃん
 

 あかりちゃん……じゃ嫌だよ…


まだあかりちゃんに…謝って…ない


―――まただ。同じ感じ ベッドに寝転がってる感じ

声は…ちなつちゃん

どうしたの…?


「ねぇ…あかりちゃん」

え…!?

か、顔が近いよ…息がっ、ちょっと、ちょっとぉ.....

読んでるよ支援

----------

あかり「はっ…!」

あかり「はぁ…はぁ…」

あかり「夢…」

あかり「…//』

変な夢見ちゃった…なんでなんで、恥ずかしい…
ちなつちゃんの夢、頭が真っ白になるってこういう事なの?
なんで…うう、ああー!!

興奮して再び眠りに着く事は出来そうに無い
もう恥ずかしくてたまらず、枕に顔を伏せ足をバタバタさせた。

最近、何か考えればちなつちゃんの事ばっかり。
あの時…キ、キスをして以来、見る目が変わっちゃった…気がする。
だけどあれは友達同士のキスで、『練習』だったんだ。

そう考えると、なぜかぎゅっと胸が締め付けられた。

夢にだって出てくる程、考えちゃってるんだ…ちなつちゃんの事を
ふと、前に京子ちゃんが言ってたっけ
『誰かに想われてると、夢にその人が出て来るんだよ』と


「ちがうよ…」 と部屋の天井にぽつりと呟いた。


何が違うんだろう……


その後、三度寝をする事が出来た。残念?なことに夢の続きを見ることは無かった。

それから数日経ち夏休み中盤

夏休みって、なんでこんなにも時間の流れが速いんだろ
だらだら過ごしていても、宿題をしていても、何をしていても感じる。
でも、今以上に時間の経過が速く感じられる時なんてなかった。

今、つまり…ちなつちゃんと一緒に居る時

今日はなぜか京子ちゃんの提案で和室に集まることになった。
当然、4人集まる訳でちなつちゃんとも会える事になる。

結衣「で、何で呼ばれたんだ私達」

京子「いや~、暇だからねーひまひまだよ。ここ涼しいし」

結衣「いつもの様にだらだらするだけじゃん」

京子「そうだよ、こうやっていつもの様にちなつちゃんを眺めてちなちゅ分を補給するだけ」ジー

ちなつ「ちょっと、こっちばっかり見ないでくださいよ」

京子「薄着でかわええなお嬢さん、もう一枚いこ?」グヘヘ

ちなつ「いっ、いやー! 服捲らないでくださいよ!」

ちなつ「ほら、あかりちゃんの方が薄着だしこっちにしてください」

あかり「えぇー!あかりを盾にしないでよぉ」ドキドキ

あかり(ちなつちゃんの手が腕に…)

京子「もうあかりでいいか、ほな…いこか」ガバッ

あかり「妥協しないでよー!」

京子「ここか? ここ、ここ?」モミ...

あかり「ひゃあっ、くすぐったいよー!」

ちなつ「じゃあ私も」 サワサワ

あかり「んっ…ちなつちゃ…までぇ…」

結衣「あっ…いいなぁ」ボソッ

京子「結衣も触る?」

結衣「そ、そんなわけ…あかりが可哀そうだろ」

京子「もみもみ」サワサワ

あかり「や、やぁ…あはは、やめぇてよ京子ちゃん」バタバタ

京子「結衣も触る?」

京子「あかりのこ↑こ↓(ふともも)空いてますよ?」

京子「結衣も触るんだろ?」

結衣「……」ゴクリ...

結衣「ごめん、ごめん…」モミモミ

あかちなでもあかハーでもそれ以外でも期待

いいゾ~これ

~数分後~

あかり「もう、みんなひどいよぉ…特に結衣ちゃんは…その…//」

結衣「あはは、ごめん。あかりが可愛いからつい」

ちなつ「じゃあっ! 私の体も弄んで良いんですよ!? どうぞ結衣先輩!」

結衣「じゃあ触っちゃおうかなー」

京子「おお、結衣もついに目覚めちゃったか。おはよう」

結衣「冗談だから」

ちなつ「なーんだ、でも…いつでも準備してますからね?」

京子「でも良かったじゃん、あかりは空気キャラの他にいじられセクシーキャラまで付いて」

京子「めでたしめでたし」

あかり「やだよーそんなのぉ!」

京子「今日はこのくらいかな~、いい汗かいたー」

京子「やっぱ部活っていい! 青春の汗!」

結衣「私達運動部です、みたいに言ってるな」

ちなつ「そろそろ暗いですし、帰りましょうか」

あかり「そうだねー帰って夏休みの宿題やろっかな~」

結衣「私も…早く片付けないとなー課題」

京子「宿題なんて出てるんだ、大変だねぇ」

結衣「見せないからね」

京子「む…」

京子「ちゃんと自分で全部やるからいいも~んだ」ぷんぷん

結衣「完全に泣きついて来るフラグだよそれ」

巧妙なホモスレ

結衣「部屋の戸締りは~、よし」

京子「あー結衣んち泊まりにいこっかな」

結衣「それなら買い物行ってからな」

京子「そゆことであかり達とはここで」

あかり「うん、またねぇ」

ちなつ「結衣先輩、さよならー」

京子「私は?」

ちなつ「はいはい、京子先輩もまたー」

支援

~帰り道~

あかり「眠くなってきちゃったよ」

ちなつ「あかりちゃんは寝るの早いからねぇ」

あかり「うん」

ちなつ「……」

あかり「……」

ちなつ「……」

あか・ちな『あっ…』

あかり「な、なに?」

ちなつ「えと…少しだけそこの公園寄っていかない?」

あかり「いいけど・・・」

あかり(わぁ…ちなつちゃんから誘ってくれた…)

ちなつ「あそこのベンチ座ろっか」

あかり「そだね」


ちなつ「ねぇ…あかりちゃん」

あかり「な、なにかな?」

ちなつ「変な事、聞いてもいい?」

あかり「う…うん」ドキドキ


ちなつ「とってもマジメな話」

あかり(えっ…)

ちなつ「笑ったりしない?」

あかり「し、しないよ!」ドキドキ

あかり(あわわ、なに、なになになに! いきなり…これってもしかして)

あかり(もしかして…告白されちゃったり…そ、そんな訳ないか。ないよね)

あかり(ないよ、ない絶対ないよちなつちゃんからなんて…)

あかり(それに告白ってなに? なんでこんな事考えちゃってるの!?)


ちなつ「あかりちゃん?」


ちなつ「はい!」ピシッ

ちなつ「もし…もしもの話」


ちなつ「大切な人、凄く大好きな人。家族や友達恋人」

ちなつ「その人が死んでしまいそうになってて、助けられるのは自分だけ…」

あかり「…!」


ちなつ「でも"助けると"その人ともう逢えなくなる」
    
ちなつ「"助けなければ"ずっと一緒に居られるかも知れないって時」


ちなつ「あかりちゃんなら、どうする?」


…びっくりした。
淡い期待を裏切られた事と、質問内容の両方に
なんでこんな事を聞いたのか、まだこの時はそんな事を考える余裕なんてなかった。
ちなつちゃんの真剣な眼差しに、ただ驚いていただけだった。

支援

あかり「えっ?え?」

ちなつ「ああ、ごめん…いきなり変な質問しちゃったね」

ちなつ「そ、そう! 昨日テレビでこんな心理テストやってたから聞いてみただけっ」

ちなつ「あかりちゃんならどんな答え方するかなーって」

あかり「な、なんだ脅かさないでよぉ」ホ...

あかり「でも、どっちも嫌だなあ…」

あかり「あかりなら助ける方かな…」

ちなつ「その人と逢えなくなっても良いって事?」

あかり「嫌だけど…ね」

ちなつ「そっか、あかりちゃんは良い子、とても」

ちなつ「私とは違うよ…」ボソッ

あかり「え?」

ちなつ「ねぇ…もしあかりちゃんが助ける側で、私が死んじゃうとしたら」

ちなつ「もう逢えないとしても助けてくれる?」

あかり「そ、それは…」

あかり「無理だよ…そんな、ちなつちゃんともう話したり一緒に居たり出来ないなんて…」

あかり「ずっと一緒にいたい…」

ちなつ「……」


あかり「だって、あかりはちなつちゃんの事――――

あかり(な、なに言おうとしてるの!? ちょっと待ってまって!!)


ちなつ「私の事…なに?」


あかり「す、好きだから…」カァァ

あかり(言っちゃった…。もう、止まらないよ…)


あかり「あかっ…私はちなつちゃんの事、好きだから! 恋してるって意味で! 」

シーン............


ちなつ「い、いきなりなに!?」

あかり「あ、あっ! ち、違うのっ何言ってんだろあああああ~!」バタバタ

あかり「なんでこんな事言っちゃったのもうっ」カァァ

ちなつ「なにそれ…は、はずかし…」

ちなつ「あ、あかりちゃん、今のは本当?」

あかり「い、今? いまって何が、わかんないもうやだよぉ」アセアセ

ちなつ「私の事、特別な意味で"好き"って事は本当?」

あかり「ち、違うの! あっ、好きだよ、もういいよ…好き」

あかり「こういうのわかんないけど…多分友達としての好きじゃなくて…」

あかり「はぁ…」

あかり(やっちゃったよ…どうしよう…)

ちなつ「私もあかりちゃんの事、好きだよ」

あかり「やっぱり引いちゃうよね…こんな事急に言われると…」

あかり「なんて?今ちなつちゃん…」

ちなつ「私もあかりちゃんの事"そういう意味で"で好きって言ったのよ」

あかり「は?」

ちなつ「あかりちゃんが『は?』って反応するの初めて見たかも」

あかり「え? ええー!? ほ、本当に?」

あかり「好きって…ほ、ほっほほ、本当?」

ちなつ「落ち着いてよ」

あかり「ごめんごめん…だって」

ちなつ「本当だから…大好きだよ」

どうなるのこれ

ちなちゅっちゅ!ちなちゅっちゅ!

最近はSFあかちなが流行ってるのか

あかり「こ、これって…」

あかり「りょ、両想い…って事だよね…//」

ちなつ「う、うん…」

あかり「……」モジモジ

あかり「いつから何かわからないよね…好きなったのなんて」

あかり「こ、恋人になっちゃう…の?」



ちなつ「……むりだよ」ボソッ

ちなつ「私は…あかりちゃんとは恋人にはなれない…」

ちなつ「もちろん、あかりちゃんの事は好き…だけど」

ちなつ「私には資格がないから…」

あかり「な、なんで…もしかして結衣ちゃんの事―――

ちなつ「違うっ! 私はあかりちゃんが好き…でも付き合う事なんて出来ないの…」

あかり「そんな…」

あかり「じゃ、じゃあよくわかんないけど…」

あかり「練習…っていうのはどうかな?」

ちなつ「練習?」

あかり「ちなつちゃんが…あかりに、キ、キスの練習したみたいに…」

あかり「今度はちなつちゃんが」

ちなちな

ちなつ「いいの? あかりちゃんは怒ったり、しない?」

あかり「なんで怒るの? 私はちなつちゃんと、お付き合いしたいよ」

ちなつ「……」

ちなつ「わ、わかった…」

ちなつ「3日ね。3日間だけ…恋人になってあげる」

あかり「わ、わぁぁ! ちなつちゃんと恋人!」パァァ

あかり「嬉しいけど恥ずかしいけど嬉しいよ…」

あかり「あはは、なにいってんだろ」テレテレ

ちなつ「わ、私だって嬉しい! 大好きなあかり…ちゃんと…」


          ・ ・ ・ ・   
ちなつ「本当に、3日だけ。良いんだこれで…」

――― わがままだって言われてもいい…
お願いだからもう少しだけ、あかりちゃんと一緒に居させてよ…。

出来ればずっと一緒に居たいのにね…

~赤座家~

あかり「ふふ♪ ふひひっ…えへへ…」ニヤニヤ

あかね「どうしたのあかり、変な笑い方しちゃって」

あかり「な、なんだもないよぉ…ふふ」

あかね「そお? 機嫌もいいみたいね」

あかり「わ、私もう寝るね! おやすみなさいっ♪」

あかね「おやすみなさい…」

あかね(あかり、異常に上機嫌だったわ…これは一体)

ちなちゅっちゅ!ちなちゅっちゅ!

あかり「ふぅ…」

時計の短い針は、いつも寝る時間より3時間分も歩みを進め、ちょうど真っ直ぐに立っていた。
幸せな気分に包まれて布団に飛び込む。天気予報によると今日は夜間でも気温は25℃を軽く越え
定義としては、そういう日を熱帯夜と呼ぶらしい。
風もなく蒸し暑いはずの部屋も、今は関係なく快適で何もかも心地良い。
そのくらい満ち足りていた。

はぁ、勢いで好きなんて言っちゃったけど…良かった。引かれちゃうかと思ってた。
本当はちなつちゃんの事をどういう風に見てたか、"どっちの好き"か、なんてわからなかったけど
伝えちゃった今は…たぶん。
これからもっと好きになっていくのかなって、考えるとちょっと恥ずかしい…
ちなつちゃんも、同じように好きになってくれるかな・・・
そしたら3日だけじゃなくてずっとこのまま、なんて事もある、よね。
ふわぁ…なんだかねむ...く....



あかりっ…

          起きろよぉ…

  やだよ…あかりが…    なんて


ぐすっ…早く帰ろうよあかりぃ…


ちなつちゃんも待っ……のに



――― 京子ちゃん…?

な、なんで泣いてるの京子ちゃん

ここどこ…目がぼやけて… 白い…



真っ白なカーテンに…天井

白い部屋… それに京子ちゃんの泣いてる顔

ん……

----------
チュンチュン...チチ...

あかり「んん…朝…」

・6時58分

あっ、目覚まし鳴る前に起きた…ちょっと嬉しいかも。
今日はちなつちゃんと遊びに行くんだから、ちゃんと起きないとね…
ちなつちゃんと初めて…恋人になって遊びに――――
って恋人になっちゃったんだ。今思い出したけど
これって…デ、デートだよね?
……ふふ
だめだめ…か、顔がにやけちゃう…
起きなきゃ、起きなきゃ…Zzz...

~待ち合わせの駅前~

ちなつ「それで、寝ちゃったの?」

あかり「ご、ごめん!本当にごめんねちなつちゃん…」

ちなつ「わ、私も今来たから大丈夫だから、ね?」

あかり「ありがとう…でも服も選んで来れなかったよぉ…」

ちなつ「なんだっていいじゃない。あかりちゃん充分可愛いし…」

あかり「えっ?」

ちなつ「だから、あかりちゃんなら何着ても可愛いって言ったの…//」

あかり「や、やめてよちなつちゃん…何か恥ずかしいよ…」テレテレ

ちなつ「あかりちゃんは、私に言ってくれないの?可愛いって」

あかり「ち、ちなっ…あっかかかわ…可愛いよ?」

ちなつ「もう冗談だよあかりちゃん♪」クスクス

あかり「それで、どこ行くの?」

ちなつ「特に決めてないけど」

あかり「京子ちゃんみたいだよそれ」クスッ

ちなつ「京子先輩の方が突拍子もなく遊びに誘うから私の方がマシでしょー!」

あかり「あはは、ごめんごめん」

ちなつ「とりあえず…どうしよっか?」

ちなつ「電車に乗って隣街のエオンモール行ってみよっか」

あかり「わぁ~! あそこ家族としか行った事ないよ。あかり行きたい!」

ちなつ「じゃあ切符買わないと…」

ちなつ「中学生2人きりで…ちょっと駆け落ちみたい…//」

あかり「ち、ちなつちゃん…//」

ピッピロリロピロピロピロ~ロロ~♪

<<2番線、ドアが閉まります。ご注意ください>>


あかり「混んでるね~」

ちなつ「お盆休みだからね」

あかり「そうなんだ。お盆っていつからだっけ?」

ちなつ「15日近くがお盆だって覚えてるけど…そ、そんな事より座る所取らないと」

あかり「この向かい合った席空いてるよ」

ちなつ「ボックス席空いてるなんてラッキー」

トスッ...

あかり「ふぅ…何とか座れたね」

あかり「って何で隣座ってるの! ちなつちゃん…」

ちなつ「…だめ?」

あかり「そっち…あ、空いてるよ?」アセアセ

ちなつ「だって、混んでるし…こうした方が、あかりちゃんとくっついて居られるから…」

あかり(ち、ちなつちゃん…か、可愛すぎるよぉ…)ドキドキ

ちなつ「あかりちゃんも嬉しいでしょ? 私とくっついていられて」

あかり「何かうなづくのが悔しいよ…」

<<ご乗車ありがとうございます。お降りの際....>>

あかり(でも…終点までこうしていたい…かな)

あかり(あかりの人生の終点まで一緒に居て・…なんてね)

ちなつ「あかりちゃん? 降りるよ」

あかり「は、はい!」

ちなつ「ほらはやくっ」

~ショッピングモール~

あかり「おっきいね~久々に来たよ!」

ちなつ「私初めてだからあかりちゃんがエスコートしてくれる?」

あかり「ええー、あかりもあんまり覚えてないよここ」

ちなつ「ふふっ、じゃあ適当にぶらぶらしよっか?」

あかり「うん♪」

ちなつ「じゃあそこのスポーツショップ行こっ」

あかり「ホントに適当なんだ」


ちなつ「みてみてサッカー日本代表のユニフォーム(と似てるやつ」

あかり「ち、ちなつちゃんが着てるの見てみたいなぁ~」キラキラ

あかり「見たい!」

ちなつ「え~、私はあかりちゃんに着せようと思ったのに」

あかり「じゃあ・・・ジャンケンで負けた方が着ようよ!」

―――――
―――


ちなつ「あかりちゃん、着たー?」

あかり「わ、ちょっと待ってよー」

あかり(結局負けちゃったよぉ…)

ちなつ「もう…遅いから手伝ってあげる♪」

ガチャ

あかり「ちょ、まだ着てないんだから入って来ないでぇ!」

ちなつ「まぁまぁ、手伝ってあげるから、ねっ?」

あかり「な、なんで脱がせてるの!? 下は関係ないよね!」

支援

はえ~、すっごい大きい

あかり「はぁ…はぁ…」

ちなつ「やっと着れたね、遅いよあかりちゃん」

あかり「あ…あはは…」

ちなつ「可愛いよあかりちゃん、今日二度目の可愛い」

あかり「あ、ありがとう…」

あかり「でも、ぶかぶかだねこれ」

ちなつ「ぶかぶかの方が何か可愛い…裸に大きいワイシャツなんて良いかも…」ジュルッ

あかり「それは着ないよ…」

ちなつ「あっ・・・あかりちゃん、これ買わない?」


あかり「ミサンガ・・・?」

ちなつ「うん、この赤と桃色の紐で編んだやつ。お揃いにしない?」

あかり(発想が可愛すぎるよ…抱きしめてもいいかな…)

あかり「うん…安いし。良い…と思う」テレテレ

ちなつ「じゃあ買っちゃおう♪」


あかり「着けてあげるね…右手と左手どっちにつければいいんだろ?」

ちなつ「さぁ? 適当じゃないこんなの」

あかり「右手にしよっと。…っとはいできたー」

ちなつ「ちゃんとお願い事した?」

あかり「なにそれ?」

ちなつ「着ける時にお願い事をしてつけるんだって」

あかり「ええっ! も、もう一回着けなおして大丈夫かな!?」


ちなつ「心配しなくていいんじゃない? 私が一人願い事すれば済むでしょ」

あかり「うん?」

ちなつ「手、出して」

あかり「み、左手にお願い」 スッ

ちなつ「ん…」ぐいっ


ちなつ「あかりちゃんと…ずっと一緒にいられます様に…っと」


ちなつ「こ、これで良い…でしょ…//」

あかり「う…うん!」パァァァ

ちなつ「叶えばいいなぁ…」

その後、意味もなく家電を見たり食事をしたりした。
食べさせ合いをせがまれた時は困惑したが押しに負け、恥ずかしながら提案を呑むことに…
そんな楽しい時間はすぐに過ぎていった。

ちなつ「やっぱりデートの〆はプリクラを撮る事だと思うんだけど」

あかり「やっぱり定番なのかな」

ちなつ「最後に撮るもんかどうかは知らないけどね」

あかり「撮ったやつ京子ちゃんが見たらなんて言うかな」

ちなつ「まだ秘密にしてるんだから言っちゃダメだからね絶対!」

あかり「わ、わかってるよ」

あかり「でも、いつかはちゃんと報告したいなぁ…」

ちなつ「先輩方はあかりちゃんの両親じゃないんだから…」

ちなつ「そうじゃなくて早く撮るの!」

~筐体内~

<コースを選んでね♪>

ピッ....

あかり「……んん」

ちなつ「どうしたの?」

あかり「あの…」

あかり「フレンドコースとカップルコースってどっち選べばいいのかなぁって…//」モジモジ

ちなつ「そ、それは…」

ちなつ「こっちでしょ…」

あかり「こ、ここに"Love"って書いていい…?」

ちなつ「あかりちゃんってば、ありきたりだね」

ちなつ「まぁ、書くけど」 

カキカキ

< 5 4 3 2 1....>

カシャッ

あかり「わぁ、ちなつちゃんとハートに囲まれてる写真…えへへ」

あかり「あ…あれ?」

ちなつ「私の髪の毛で顔半分隠れてる…」

あかり「ああー! 確認押しちゃったよぉ~!」

ちなつ「これがあかりちゃんの運命ね」

あかり「そんなぁー!」
→65res

~帰り道~

あかり「もう暗くなっちゃってるよ。さっきまで明るかったのにねー」

ちなつ「楽しかったよ…あかりちゃんといたから」

あかり「きゅ、急にそんな事言われると…照れちゃうよ」デレ

ちなつ「ホントに。 あかりちゃんは・・・楽しかった?」

あかり「楽しかったよ」

ちなつ「なんで?」

あかり「な、なんでって?」

ちなつ「そのままの意味!」

あかり「ち、ちなつちゃんと一緒だったから…?」

ちなつ「よろしい! じゃ、帰ろっか」ニヤニヤ

あかり「ふふっ」

ちなちゅっちゅ!ちなちゅっちゅ!

ちなつ「ここでお別れだね…」

あかり「うん。 ちなつちゃん、ちょっと横向いてくれる?」

ちなつ「え? こ、こう?」

あかり「それでいいよ」

チュッ


ちなつ「…ってええええ! 急にキスしないでよ!」

あかり「あはは、ほっぺだけど…」

あかり「こうでもしないと結衣ちゃんにちなつちゃんが取られちゃうかなって…」

ちなつ「…っ!」

ちなつ「も、もう…あかりちゃんのくせに…」ドキドキ

あかり「えへへ…じゃあ帰るから! また明日会おうねっ!」

ちなつ「く…屈辱…」

~次の日:結衣家の前~

あかり「お泊り楽しみだね~」ワクワク

ちなつ「いい? ごく自然に接する事、京子先輩にバレたら大変なことになるんだから」

あかり「大丈夫だよ、結衣ちゃんも京子ちゃんも喜んでくれると思うなぁ」

ちなつ「そういう事じゃなくって、もしこんな事が」

京子「どんな事?」

ちなつ「だから私とあかりちゃんが―――――

京子「うん」

ちなつ「っていやああああああああ!!!!」

ちなつ「どっから出てきたんですか!」

京子「さっき来たけど、あかり達が全然結衣の部屋入ろうとしないからさぁ」

ちなつ「と、とにかく入りましょう!」

あかり「あはは…」

あかり「おじゃましまーす」

結衣「いらっしゃい、外暑くなかった?」

ちなつ「京子先輩がいきなり後ろから出てきたんで暑さなんて忘れちゃいましたよ、もう」

京子「ごめんちゅなちゅ、アイスあげるから」

結衣「あっこら、また勝手に冷凍庫あけて…」

京子「ほら、結衣ちゃんあーん」

結衣「あーん」 パクッ

結衣「おいしい…//」


結衣「じゃねーよ」

鬱なんか……

京子「で、なにすんのー?」

結衣「んー…」

そよそよ...

あかり「エアコン効いてて気持ち良い~、眠っちゃいそう…」

ちなつ「それで、何しましょうか…」


京子「そよ風を味わおう」

結衣「なにそれ」

結衣「とにかく起きてゲームでもやるか…いつもと同じだけど」

結衣「4人だし梨鉄やる…?」

京子「やるー!」

ちなつ「なんですかそれ?」

あかり「すごろくみたいなゲームで簡単だよー」

ちなつ「なら、それやりましょうか」

~数時間後~

京子「あかりのくせに…くそぉ…新潟の水田全部買い…」プルプル

あかり「やったぁ! 初めて京子ちゃんに勝てるかも」

京子「ピッー! ご飯タイム!」

結衣「はぁ」

京子「お腹減りましたのでご飯を作ろう」

あかり「もう夕方だからね」

ちなつ「だいたいは結衣先輩が作るんじゃないんですか?」

結衣「面倒だから京子もちゃんと手伝えよ」

京子「じゃあ作るよ…作ってやるー」

あかり「じゃあ、あかりはちなつちゃんと買い物行って来るよ!」

ちなつ「わ、私も?」

結衣「悪いね、じゃあお願いするよ。野菜とシチューの元ね、牛乳はあるから」

あかり「うんわかった! いこっちなつちゃん」

ちなつ「わ、ちょっと待ってよっ」

バタンッ.....



結衣「なぁ、京子」

京子「うん…あかり達のこと?」


結衣「隠してるつもりなんだろうけど…。すぐ分かっちゃうんだよな…雰囲気で」

結衣「やっぱり綾乃が見た事は事実だったのか…」

京子「あのあかりが路上でちなつちゃんに…自分からキスする様なイケナイ子だったなんて…」

結衣「付き合ったりしちゃったの…かな」

京子「結衣、それを今から確かめに行こう…」

結衣「そうだね…悪いけどつけさせて貰う。気になってしょうがないからな」

京子「とかいって…凄く顔がにやにやしてるけど」

結衣「し、してねぇよ」

京子「でもさぁ何か、寂しいもんだなー…」

結衣「わかる、今日一度もちなつちゃんに引っ付かれなかった…失ってから分かるものってあるんだなって」

京子「フカイイー(裏声」

結衣「あかりも私達から巣立って行くんだね…親ってこんな気持ちなんだ」

----------

結衣「居たっ……手繋いでるぞおい京子! ちなつちゃんが私とじゃなくてあかりと!!」バシバシ

京子「あちゃー、お揃いのミサンガして手繋いじゃって…」

結衣「こうしてみるとあかり達…可愛いよなぁ」にんまり

京子「うん、可愛い。あのあかりがテレテレしながらちなつちゃんの手握ってるよ」にんまり

結衣「お、スーパーに入った、行くぞ京子」

ウィーン....

京子「うわああぁ!」

京子「むっ、胸が苦しい…」ドキ

結衣「どうした?」

京子「あ、あれ見て…買い物カゴを二人で持ってる…くぅ」

結衣「可愛すぎだろ…」

ちなちゅっちゅ!ちなちゅっちゅ!

京子「そんなこんなで2人より先に家まで帰ってきました」

結衣「この胸の高鳴りはなんだろうな」

京子「娘が結婚報告しに来るみたいで楽しいじゃん」

結衣「楽しいのか…?」

京子「結衣がお父さん役だなー、私はお母さん」

結衣「えー、逆だろ」

京子「そうかなー? 結衣は厳格な父親になりそうだよなー。父の日に娘からプレゼントを貰ってさぁ」

京子「『一応…貰っておいてやる』とか言って内心凄く喜んでる父親になりそう」

結衣「イメージが古いぞ」

ガチャッ ゴソゴソ

京子「帰ってきた!」

結衣「普通に接するんだぞ…普通に」 コソコソ

京子「まかせておけって」

あかり「ただいまー! 買って来たよー」

ちなつ「すみません遅くなってしまって」

結衣「ありがとう、その辺に置いといて」

京子「……」

結衣「じゃあ料理は私達がするから、あかり達は遊んでていいよ」

あかり「わぁい!」

京子「……」

結衣「にんじんとじゃがいも剥いて」

京子「ウンワカッタ」

ショリショリ....
結衣「片言になってるぞ…」


京子「ねぇ結衣…私に良い考えがあるんだけど」

支援

ちなちゅっちゅ!ちなちゅっちゅ!

ちなちゅっちゅ!ちなちゅっちゅ!

~食後~

京子「うっ、気持ち悪…」

結衣「2皿分も食べるからだぞまったく…」

京子「結衣ー、胃薬ちょうだい…」

結衣「あー、今切らしちゃってるんだよ。薬局行って買ってきてやろうか?」

京子「じゃあ私もいくー…」

結衣「という事で私達外行ってくるから、あかり達はお風呂でも入っててよ」

結衣「別に寝ててもいいからね」

あかり「うん、大丈夫京子ちゃん?」

京子「ああ、大丈夫だいじょうび、だから……しっかりやるんだぞあかり」

あかり「えっ…?」

結衣「ほら、行くぞ」

バッタン...

ちなつ「行っちゃったね…」

あかり「う、うん…!(裏声」

あかり「もしかして京子ちゃん達が気を遣ってくれたりしたのかな…」

あかり「急いで出て行っちゃったし…」

ちなつ「そんな訳ないでしょ、あの京子先輩が」

あかり「で、でもぉ…そこにお布団1枚敷いて、枕2個準備してあるんだけど…//」

ちなつ「いつの間に!」

あかり「やっぱり結衣ちゃんと京子ちゃんには隠せないんだね」

ちなつ「…む」


ちなつ「じゃあその気遣いにこたえて、入っちゃおっか…お風呂」

支援

あかり「一緒に入るの!?」アセアセ

ちなつ「当たり前じゃない、あかりちゃんと洗いっこしたり~…うひひ」

あかり「へ、変なことしないよね?」

ちなつ「いいからいいから♪ 早くしないと帰ってきちゃうよ?」

あかり「うん…」


ちなつ「ここが結衣先輩の脱衣所…」ゴクッ

あかり「綺麗にしてあるねー、結衣ちゃんは凄いよね自分で全部掃除してるんだから」

ちなつ「洗濯機もある…」 ゴソゴソ....

ちなつ「これは結衣先輩の下着…」 ピラッ

あかり「あっ…黒」

あかり「って、だめだよ~勝手に漁ったらー!」

結衣ちゃんの下着は白

であるはず

ちなつ「自分達の服はこのカゴに入れればいいのね」

あかり「さっそく服脱いでお風呂行こう」

ちなつ「そうね」

あかり「……」

ちなつ「……」

あかり「えっ? 脱がないの?」

ちなつ「あ、あかりちゃんから…いいよ?」

ちなつ「早くしないと結衣ちゃん達帰ってきちゃうでしょ?」

あかり「じゃあ…あんまり見ないでね」

シュルシュル....

ちなつ「…」ゴクリッ

ちなつ「私も脱いじゃうか…」

ガララ....

あかり「わぁ、お風呂の綺麗にしてあるね」

ちなつ「そ、そうね…」

ちなつ「あかりちゃんの裸…」ジーッ

あかり「あんまり見ないでってば~!」

ちなつ「ちっ、口に出てたか」

ちなつ「あかりちゃんの背中流してあげるからここ座って」

あかり「えへへ、じゃあお願いしますっ」

ちなつ「~♪」 ゴシゴシ

あかり「いいかも…」

ゴシゴシ.....

ちなつ「ほらこっち向いて、前も洗うから」

あかり「前はいいよぉ! 自分で洗うって!」

ちなつ「遠慮しないの、ほら! ほれほれ、ここもよ」 ワシャワシャ...

あかり「ひゃあっ! きょ、京子ちゃんみたいだよちなつちゃん!」バタバタ

支援

支援

----------

ちなつ「くぅ~、いい湯だった♪」

あかり「そうだね…」

あかり「そういえば2人共まだ帰ってきてないんだ…」

ちなつ「歯も磨いちゃったし…先に寝てる?」

あかり「そうだね~、帰って来るまで寝てよっと」

ちなつ「一緒の布団で寝るんだよ?あかりちゃん」

あかり「あぁ…そ、そうだった…//」

ちなつ「まあ布団入って結衣先輩達帰って来るの待つだけだから」

ゴソゴソ...

あかり「ちょっと狭いね」

ちなつ「もっと大きい布団が良かった?」

あかり「ううん…こっちの方が好き…」

ちなつ「……」

あかり「ふわぁ…」

ちなつ「……」


ちなつ「ねぇあかりちゃん、キス…しよっか?」


あかり「……うん、いいよ」

ちなつ「前みたいに驚かないんだ」

あかり「これは練習…じゃないよね?」

ちなつ「もう…あたりまえでしょ…」

支援

あかり「して…ちなつちゃん」

ちなつ「でも、電気点けたままだし…」

あかり「いいよ、あかりからするから」

チュッ...


ちなつ「んっ…はぁ…」

あかり「ぷはぁっ…」

ちなつ「また、あかりちゃんからされちゃった…」

あかり「あはは、二勝一敗だね」クス

ちなつ「もう一回すれば引き分けよ!」

あかり「うん、今度はちなつちゃんから…して」

ちなつ「言われなくてもするんだからっ」


あかり「んぐ…」チュパ...

あかり「んーっ!もご…」

あかり(…ちなつちゃんのし、舌入ってきちゃったぁ…)

ちなつ「ぁ…んん」 チュー...



ちなつ「ふぁ…ど、どお?」

あかり「激しくするから…はぁ、苦しかったよ」


あかり「も…もう一回…」

ちなつ「もうあかりちゃんってば…」

―――――
―――

ふむ

支援

よい!良いではないか

悪い予感しかしないんだがw

ちなちゅっちゅ!ちなちゅっちゅ!

ガチャ

京子「戻ったよーってホントに寝てるし」

あかり「う~ん…」スースー

ちなつ「……」

結衣「電気点けっぱなしで…何か幸せそうに寝てるな」

京子「うん、しかも抱き合って。」

結衣「あかりは、本当に好きなんだな…この娘の事」

京子「そだね……。でも、仕方ないよ」

結衣「仕方ない…か」


京子「それよりも、私達も一緒に寝ちゃう?」テレテレ

結衣「…ゲーム進めてからね」

京子「もう、照れちゃってこのこのばかぁ」バシバシ

結衣「はいはい、起きちゃうから静かにな」



あかり…早く起きろよ…

いつまでも寝てないでさ、ちなつちゃんも心配してるんだからな…


ねぇ…結衣ぃ、あかり…グスッ このまま死んじゃうなんて事ないよね 大丈夫だよね…


あかり、京子も…私も心配してるんだ…早く

起きろよ…あかりあかりぃ…


――― また、ここ…? 夢なのかな…

白い部屋・・・見る限り病室みたいなところ…

死んじゃうって…あかりが? なんで

それで結衣ちゃんも京子ちゃんも泣いてるの…?

それじゃ、起きなきゃ…

あかりなら大丈夫だよ…今起き…る…

ん・・・・・・

支援

----------

あかり「ん…むにゃ…」

京子「あ、起きた」

結衣「あかりここ、よだれ垂れてるぞ」

あかり「ど、どこ…」ジュル...

結衣「ほら、拭くからこっち向いて」

あかり「あ~、ありがと結衣ちゃ…」ウトウト

あかり「ちなつちゃん…起きてる…?」

ちなつ「…んぅ」スースー

結衣「ちなつちゃんはこのまま寝かしておこうか」

京子「それにしても…可愛い寝顔だよなぁ」

京子「もうぐっすり眠ってるし、キスしてもバレないかな?」

あかり「えっ…」ドキ

京子「しちゃうかー、ちなつちゃんにキス」

京子「んー…」

あかり「―――!」

あかり「だ、だめだよ! 京子ちゃん!!」ガシッ


京子「…んふふふ」ニヤ

京子「冗談なのにぃ、あかりがこんなに必死に止めるなんて珍しい」

あかり「そ、それは…寝てる間になんてイケナイと思って・・・」

ちなちゅっちゅ!ちなちゅっちゅ!ちなちゅっちゅ!ちなちゅっちゅ!ちなちゅっちゅ!ちなちゅっちゅ!

結衣「ねぇ、あかり…。ちなつちゃんと何かあったのか?」

あかり「な、何かって!?」

結衣「大体予想は付いてるんだ…私達にはちゃんと教えてよ…」

あかり「…(やっぱり、結衣ちゃんと京子ちゃんには隠せないんだね)」


あかり「あの…ね」

あかり「…好き。なんだ。ちなつちゃんの事大好き」

あかり「ちなつちゃんも、好きって言ってくれたんだ…あかりのこと」

京子「つまり、そういう関係になったんだろ?」

あかり「うん…いつか京子ちゃん達には言おうと思ったけど…バレちゃった」


結衣「そっか、ごめんな意地悪な事聞いて…」 ギュッ

あかり「んん…別に話そうと思ってた事だから気にしないでよ…」

結衣「ううん…私、あかりが遠くに行っちゃう気がして怖かった」

結衣「ずっと昔から一緒に居たから尚更、離れたくなかった…子供だな私」

あかり「離れないよ…結衣ちゃんも、京子ちゃんともずっと…」

結衣「でも、ちなつちゃんの事は特別だろ?」

あかり「…」

結衣「あかり」

支援

支援

あかり「特別だよ…」

結衣「じゃあ、どんな事があってもちなつちゃんを好きでいる?」

あかり「え?」

結衣「何があっても、"吉川ちなつ"を今みたいに好きでいるか?」

あかり「ど、どうしたの結―――


結衣「いいから答えろよ!」


あかり「―――!」 ビクッ!

京子「ちょ、ちょっと結衣…ちなつちゃんも起きちゃうって…」

結衣「ごめん…でも答えてくれないか? それを聞かないといけないんだ」


あかり「…あかりは、絶対にちなつちゃんの事好きでいるよ・・・ずっと」


あかり「どんな事があっても、一緒に居たい」


結衣「…わかった。ごめん、私ちょっと散歩してくる」

タッタッタッ....パタンッ..


あかり「何か悪いことしちゃった…のかな」

京子「違うよ。あかりが悪いんじゃない」

京子「結衣のとこ行って来るわ」

あかり「あっ、あかりも行くよ」

京子「いや、心配しなくてもいいよ。あかりはここで寝てて」

京子「一緒に居たいって言っただろー。ね?」

支援


結衣「くそっ…なにやってんだ私は…」

結衣「ホント馬鹿だ…バカだバカだバカだバカ…」

京子「結衣」

結衣「京子…。来てくれたんだ…」


京子「仕方なかったんだよ。私達じゃ何も出来ない」

結衣「何で、あかりとちなつちゃんが手繋いで楽しそうにしてたり…」

結衣「買い物したり一緒に寝てたりしたのを見て喜んでたんだ私は…」

結衣「バカだ…なに楽しんでんだよ私は…くそ!!」

京子「それは…やっぱり嬉しいよ。あかりとちなつちゃんが仲良くしてるの見たらさぁ…」

京子「でも、仕方ないよ結衣…。私達はあかりと"向こうのちなつちゃん"を助ける為に来たんだよ?」

結衣「そうだけど…」

結衣「京子は可哀そうだと思わないのかよ! あかりは…あかりはなぁ好きなんだぞ…」

結衣「"あのちなつちゃん"の事が…本当に大好きなんだ…それを」ジワ...

支援

支援

ちなちゅっちゅ!ちなちゅっちゅ!

ちなちゅっちゅ!ちなちゅっちゅ!

支援

結衣「だけど、ちなつちゃんは待ってるんだ…ずっとずっと、あかりの事を」

結衣「もっと早く気付いていれば…好きになる前に止められたのに」

結衣「なんで誰かが傷付かなきゃいけないんだよ…あかりもちなつちゃんの悲しむ顔なんて見たくないのに…」

京子「…当たり前だろそんなの」

京子「私だって、やだよ…やだよぉ…」グスッ

結衣「なんであんなこと聞いちゃったんだろ…。『ちなつちゃんの事が本当に好きか』なんて」

結衣「そのちなつちゃんと別れて貰わないとダメだっていうのに…」

結衣「最低だ…私」

京子「でも別れさせる以外にないよ…」

京子「あかりが過ごしたちなつちゃんとの数日間が無かった事になってしまうけど」

京子「あかりとちなつちゃんの為に…やらなきゃいけないんだよね」

結衣「そうだね…やらないと、ダメなんだ」

結衣「…終わらせよう、全部」


結衣「ごめん…あかり」

~翌日~

あかり「な、なんで今日のお祭り行けないの?」

京子「いやぁ~、今日用事出来ちゃって…。コムケもあって執筆活動に忙しいからさぁ、結衣もダメみたいで」

結衣「う、うん…ごめん。あかりとちなつちゃんだけで行って来なよ」

ちなつ「そ、そんなぁ…せっかくのお祭りなのに」

あかり「あっ…あの京子ちゃん…」

京子「どったのあかりちん」

あかり「もしかして、気を遣わせちゃったかな?」ボソッ

京子「…わかってるんならするべき事をしないとダメだぞっ」

支援

ちなつ「どうしたのあかりちゃん…京子先輩とコソコソ話して」


あかり「ち、ちなつちゃん! しょうがないから2人だけでも行こうよ夏祭り」

ちなつ「あかりちゃんがそう言うなら…しかたないか…」モジモジ


あかり「じゃあ、着替えてから夕方6時に神社に行くから!」

ちなつ「うん…わかった」

京子「2人共楽しんで来るんだぞー」

結衣「…またな」



結衣「京子、また後で6時に…」

京子「うん」

ちなつちゃんと…またデートだよ しかもお祭りデート…
昨日の結衣ちゃんの言葉のよく意味はわからないけど
ちなつちゃんの事を大切にしろって事かな?
結衣ちゃんも京子ちゃんも・・・あかり達の事ちゃんと見てくれてたんだ
だから、もっとちなつちゃんの事…大事にしなきゃ。大好きな人なんだから…

ちなつ「なに? ニヤニヤしちゃって」

あかり「えへへ…好きだよちなつちゃんの事」

ちなつ「い、いきなり…私だって好きなんだからっ」

ちなつ「ってバカップルにしか見えないじゃない。こんなやりとりしてたら」

~夕方~

お姉ちゃんに浴衣を着付けて貰い、待ち合わせ場所に向かう。
すっかり日が暮れて、道際の提燈達が屋台を照らす。辺りは焼きそばやたこ焼きの香りで満ちていた。
これで気分が高揚しない人なんている訳が無い。それに加えて、好きな人と一緒に
この雰囲気を味わうならば間違いないだろう。
その好きな人が来るのを、犬がエサを目の前に「待て」を命じられているかの様に今か今かと待った。
数分もしないうちに、それは「よし」に代わった。

ちなつ「だーれだ」ピタ

あかり「ひゃぁ…! びっくりするよちなつちゃん…」

ちなつ「あはは、せーかい」

ちなつ「いこっか、あかりちゃん♪」

あかり「たくさんお店出てるね~」

定番のカキ氷屋台の前に足を止める。赤、黄、青などのシロップがビンに詰められ
それを電球の光が照らし、更に映えさせていた。
結局、それを一つだけ買って二人で食べることに。祭りの時以外見ることのない
先端が広がったストローを2本貰い、適当なベンチに腰掛ける。

あかり「はい、あーん」

パクッ

ちなつ「んー、つべたっ」

あかり「別にストロー1本でも困らなかったね」

あかり「そだね~。他の所も見てまわろうよ。お腹減っちゃって」

ちなつ「それじゃ、他のとこ行こうよ。私もお腹減ったし」

あかり「ちなつちゃんが食べたい物決めてもいいよ?」

あかり「あっ…」

ちなつ「ん?どうしたの?」

あかり「あの薄ピンクのわたあめ…似てるね」

ちなつ「も、もしかして私の髪!?」

あかり「た、食べないよぉ」

----------

ちなつ「ふぅ、結構食べちゃったね」

あかり「全部食べさせあいで恥ずかしかったよ…」

ちなつ「あかりちゃんから食べさせてなかったっけ?」

あかり「まあ…うん。そうだね」クス


ちなつ「最後の花火まで時間あるから、他にしたい事ない?」

あかり「したい事?」

ちなつ「その…こうやってデートしてる訳だし、なんかしたい事ないかなって」

あかり「う~ん…大体お祭りらしい遊びはやったけど」

あかり「こうやってちなつちゃんの側に座って居たいなぁ…」

ちなつ「そっか…私もそれかも」

あかり「あと、出来るなら…いつものしたいな」

ちなつ「いつものって?」

あかり「それは、いつもしてる…あれだよ…」

ちなつ「ふーん…」

あかり「ねぇ? ちなつちゃんは…?」

ちなつ「したいに決まってるじゃない、そんなの」

あかり「じゃあここで良いよ…キス、して」

ちなつ「あかりちゃんってば相当なキス魔になっちゃたねー」


ちなつ「私のテクで失神させちゃうんだからっ」

そう言うといきなり首の後ろを掴まれ強引にキスされてしまった。
雛がエサを啄ばむ様に何回も唇を突かれ、誰もいない林の中に水音が小さく響く
音も激しさを増し、今度は舌が入って来るのがわかった。
それが歯に当たったり自分の舌に触れたりする度に、快感で体がビクッと震え
押し返そうと神経を集中させた。そんなせめぎ合いをしているうちに
首に置いてある手は離され開放される。その時に、どちらのものか分からない唾液が地面に滴った。

あかり「んぁ…ちな…」

ちなつ「はぁ…ど、どうよ?」

あかり「頭がぼーっとしちゃって…何も」

ちなつ「さっき食べたりんご飴の味かなーこれは」

あかり「あはは…」

ちなつ「あかりちゃん、満足した?」

あかり「うん、もうお腹いっぱいだよ」

ちなつ「それは良かったわ」

瞬間、空が明るくなった。その後に聞こえてきた破裂音
花火の打ち上げが始まったようだ。

あかり「いつの間にかそんな時間だったんだ」

ちなつ「そうだね…」


あかり「そういえば、もうちなつちゃんと恋人になって3日経っちゃったんだ…」

あかり「恋人の練習のはずだったけど…本当の恋人になっちゃったね」

あかり「3日間だけって約束も、もう関係ないんだよね…?」

ちなつ「……」

あかり「ちなつちゃん……?」

ちなつ「3日だけって約束だったもんね…」


ちなつ「私は…今日であかりちゃんと…」

ちなつ「別れないと…いけないんだ」

あかり「えっ…? な、なんで!?」

あかり「うそだよね? ねぇ冗談…だよね?」

あかり「もしかして…何か不満だったのかな、あかりじゃ…」

ちなつ「違うよ…私だって別れたくない…」

ちなつ「だって…」


ちなつ「ごめん! ちょっとトイレ行って来るから待ってて!」

あかり「あっ…」

~神社裏~

ちなつ「やだ…あかりちゃんとずっと居たいよ…別れたくなんかない」ジワッ

ちなつ「なんでこうなるのよ…なんで」

ちなつ「やだぁ…あかりちゃん…」ポロポロ


結衣「ちなつちゃん」

ちなつ「―――――!」

ちなつ「ゆ、ゆ結衣先輩! な、京子先輩も…」

京子「やあ」

ちなつ「だって、先輩方今日は来れないって…!」

結衣「うん…。そうなんだけど」

結衣「さっき…ちなつちゃん何で泣いてたの?」

ちなつ「そ、それは…」

結衣「変な事聞くけど…もしかしてちなつちゃんさぁ」


結衣「"こっち"に来たんだろ?あかりを助ける為に」


ちなつ「……」

京子「私達は一昨日くらいに来たんだけど…ちなつちゃん?」

ちなつ「私だけじゃ無かったんですね…やっぱり…」

ちなつ「先輩達と同じです…私もあかりちゃんの為に…」

結衣「……」

結衣「ねぇ、どこから…来てたの? ちなつちゃんは」

ちなつ「たしか…皆でプールに行った時…から」

京子「そんなに前!?」

京子「ほぼ最初からじゃん……」

結衣「……答えてくれる?何であかりに…伝えなかったの?」


「ここは今病院で寝てる現実のあかりが見てる、夢みたいな所だって事を」

ちなつ「私、怖いんです…。あかりちゃんがこのまま死んじゃうんじゃないかって…」

ちなつ「それで…もう逢えなくなるなんて嫌で…」

ちなつ「わがまま言っちゃった…私があかりちゃんと一緒に居たいってわがままで」

ちなつ「結衣先輩、助けて下さい…。あかりちゃんと別れたくない…」ポロポロ

結衣「ちなつちゃん…私達には出来ない…」

ちなつ「なんでっ…! 私じゃ・・・無理なのに…」

結衣「ちなつちゃんがあかりに伝えなきゃ…別れるって」

結衣「あかりも…ちなつちゃんに言われた方が良いよ…」

結衣「好きなんだろ…? あかりの事…」

結衣「私たちが言っちゃダメなんだ、ちなつちゃんじゃなきゃ…好きな人と最後を迎えなきゃ」

結衣「可哀想だろ…あかりが」

ちなつ「私が…あかりちゃんに…別れるって」

結衣「うん…ちゃんとお別れして、助けてやって…現実のあかりも、ちなつちゃんも」

ちなつ「……」

京子「ちなつちゃんが、やってくれるなら…」

ちなつ「私が…言う。言います…ちゃんと」

ちなつ「伝えて、助けます…!」

京子「ちなつちゃん…ごめんね。こんな事…」

鬱でしょ。

>>172
IDがワックス

たまげたなぁ...
おう、投下ぁくしろよ

サルさん怖いなぁ支援

ちなつ「もう…京子先輩が何言ってるんですか。私吹っ切れましたから…!」

ちなつ「現実で…やり直せば…良いんです」

ちなつ「その私は…私じゃないかも知れませんけど…」



ちなつ「私、いってきます…! あかりちゃんのとこに」

結衣「うん…また逢おうね…」

京子「ばいばい、ちなつちゃん…またね」


ちなつ「また…向こうで逢ったら、私はあかりちゃん一途ですからね京子先輩っ」

----------

あかり「あっ…ち、ちなつちゃん…おかえり」

ちなつ「ごめん…お待たせ」

あかり「……うん」

ちなつ「はい…麦茶貰ってきたよ。紙コップ入りが無料だったから」


あかり「あ、ありがとう…」

あかり「んっ……」ゴクゴク...



あかり「それで…ちなつちゃん…」

あかり「その…さっきのお話―――――


ちなつ「あかりちゃん、お別れ…しよ。ちゃんと」


あかり「……な、なんで」

ちなつ「でも、私はあかりちゃんの事が大好き…だから」

ちなつ「その"なんで"に答えるから、聞いて…」

あかり「…うん」

ちなつ「最初に…私はあかりちゃんが嫌いで別れるんじゃないって事」

ちなつ「逆に…好きだから。これだけは覚えておいて」

あかり「…わかってるよ」

ちなつ「それで、ここから何だけど…すっごく変な話で…」

ちなつ「笑わないで…聞いて貰える?」


あかり「…いいよ」

ちなつ「あのね…。あかりちゃん…は今事故に逢って寝てるの」

あかり「うん? えっ?」

ちなつ「あはは、そうなるよね…」

あかり「だって…あかりは今こうやってちなつちゃんとお話してるし…」

ちなつ「うん…。そうなんだけど…」

ちなつ「ここがその『事故に逢ったあかりちゃんの見てる夢』みたいな世界だったら?」

ちなつ「あかりちゃんが『事故に逢っていないと勘違いして、それが無かった事として日常が進んでいく世界』…だったら」

うわああああああ

悲しいなあ...

あかり「な、何かの冗談…だよね?」

ちなつ「本当…だよ」

ちなつ「少し前に…先輩達と一緒に市民プール行ったの覚えてる?」

あかり「そういえば…うん」

ちなつ「そこで、深めのプールがあったのは…覚えてる?」

あかり「うん…足が届かなかったから結衣ちゃんにおんぶして貰った…」

ちなつ「そこでね…あかりちゃんが足をつって溺れちゃったんだ…」

ちなつ「私のせいで…」


あかり「……なにがあったの?」

ちなつ「そばに居たのに何も出来なかった、助けられなかった。あかりちゃんの事を…」

ちなつ「結衣先輩たちも呼んだけど気付いて貰えなくて…」

ちなつ「その後、すぐに監視員の人が来て助けて貰ったんだけど」

ちなつ「あかりちゃんは…病院で見てもらってるけど、寝たままで…」

あかり「本当…なの…それ」

ちなつ「…うん。本当、全部」

ちなつ「何か、思い当たる事ない?今あかりちゃんはベッドに寝ているはず…」

ちなつ「私からは…向こうの事は分からないから」

あかり「思い当たる事って…?」

ちなつ「例えば…水場が怖いとか…変な夢みたり」

あかり「夢…って」


あかり「病院みたいな所で、あかりが寝ている夢…」

ちなつ「な、何かあるの?」

あかり「うん、夢をみたんだ何回も…。あかりが病院のベッドに寝てて、皆が泣いてる…夢」

あかり「あかりが死んじゃう、とか言ってて京子ちゃんが泣いてたり…結衣ちゃんも」

あかり「凄くハッキリした夢で…怖かった」


ちなつ「やっぱり…そうなんだ」

あかり「本当の事なの…? ちなつちゃんが話してくれたのは…」

ちなつ「信じられないよね…こんな事」

あかり「うん…。でもなんで、ちなつちゃんはそんな事を知ってるの?」

あかり「もし、本当だとしたら…」

ちなつ「私はね…」

ちなつ「あかりちゃんにこの事を伝えて、起きて貰う為にここに来たの」

ちなつ「今、病院で寝てるはずのあかりちゃんに」


あかり「え、えーと…今あかりは本当は寝てて、それを起こす為にちなつちゃんが…」

あかり「ここって…あかりの夢? なんだよね?」

ちなつ「うん。多分…。感覚はあるんだけどね…」

あかり「その夢? の中にちなつちゃんが入って来てくれた…ってことで良いの?」

ちなつ「そういう事だね」

あかり「じゃ、じゃあどうやって来たの…? あかりの夢の中なのに」

ちなつ「それは、私にも良くわからないの…」

あかり「わ、わからないって…」

ちなつ「こっちに『来た』って言ったけど、実際には創られたって言った方が正しいかも…』

あかり「つくられた?」

ちなつ「私の意志に…」


ちなつ「本当の…現実に居る"吉川ちなつ"に創られた、あかりちゃんを助けたいって意志」

ちなつ「私ね…本当は私じゃないみたいなんだ…」


あかり「何言ってるの…? ち、ちなつちゃんがちなつちゃんじゃないって…」

ちなつ「私には向こうの事が…。現実の事が一切分からない…」

ちなつ「ただあかりちゃんを助けたいって想い、意思で…」

ちなつ「ここに生まれた…。私は、あかりちゃんの夢の中だけでしか生きられない存在なんだ」

つまり…ここは『本当』じゃなくてあかりの見てる…夢?
そして、このちなつちゃんは夢に入ってきた…。病院で寝てるあかりを助けようとして

あかり「本当…なんだ」

ちなつ「……だから、あかりちゃんには起きて貰わないと…困るよ」

あかり「でも…だとしても、起きるってどうやれば……」

ちなつ「あかりちゃん、凄く鮮明な夢を見たって言ったよね? 病院で寝てるって夢」

ちなつ「多分…たぶんだけど、それが現実…なんだと思う」

ちなつ「あかりちゃんはそれを夢だって勘違いして…今居るここが現実なんだってまた勘違いしてるから起きられなかった…」

あかり「じゃあ、次に夢を見た時に起きられるの…?」

ちなつ「そうなるね…かもだけど」

しえしえ

あかり「なんだぁ…死んじゃうのかと思った。もし本当の話だったら…」

ちなつ「……」

あかり「今度夢見た時に、意識すれば良いんだね? そこが本当なんだって」

ちなつ「うん…」

あかり「そっか…良かったよぉ」

あかり「死んじゃったら…向こうでちなつちゃんと逢えないもんね」

あかり「早く戻ったら…。またこうやってデートしたいから…ちなつちゃんと」

ちなつ「……」


あかり「出来るよね?」

ちなつ「え…?」

あかり「だから、ちなつちゃんと一緒に戻って…こうやってお祭り行ったり…」

あかり「ね…?」





ちなつ「………いよ」


あかり「…?」


ちなつ「もう出来ないよ…。私とは」

二人は幸せなキスをして終了

あかり「な、なんで…! そんな」

ちなつ「言ったじゃない、私はここでしか生きられないって…」

ちなつ「あかりちゃんにとって私も…。ただの夢でしかないんだよ…?」

あかり「それじゃあ…向こうの、あかりが起きて出会うちなつちゃんは…?」


ちなつ「『私』じゃないんだ…。それは数日前のプールに行った時までの私… あかりちゃんと付き合う前の私。」

ちなつ「お祭りではしゃいだり、買い物行ったり、結衣先輩の家で一緒にお風呂入ったり…キスしたり」

ちなつ「あかりちゃんの色んな表情を知らない私…。この数日間が消えちゃった…私だよ」



あかり「う…そ…だよね。もうちなつちゃんと…会えないなんて…」

ちなつ「本当だよ…。ただ、数日間の出来事をあかりちゃんだけが覚えていて…」

ちなつ「現実、"本当の私"は知らないんだ」

ちなつ「今までの事…。」

あかり「そんなのダメだよ…! あかりはちなつちゃんと…一緒じゃなきゃ、嫌だよ!」


ちなつ「…起きなきゃもっとダメよ!」

ちなつ「京子先輩も、結衣先輩もあかりちゃんのお姉ちゃんやもっと色んな人が待ってるのに」

ちなつ「待ってるの…わ、私も! "私じゃないちなつ"もあかりちゃんの事待ってるの!」

ちなつ「だから…お願い。約束通り…今日で恋人の練習を終わりにしようよ…」

あかり「……」


あかり「ううん…… やだよ。ちなつちゃんは…本当にそれで良いの!?」

あかり「もし…これが本当の話で、ここが夢で…。その夢を見ているあかりが起きちゃったら…」


あかり「ちなつちゃんが…貴女が消えちゃうんでしょ!?」


ちなつ「……そうかもね」

あかり「ダメだよ…! あかりは、ちなつちゃんが……」

ちなつ「私は吉川ちなつじゃない」

ちなつ「…でもね、そんな私を好きでいてくれる人がいて、私もただの夢なのに…」

ちなつ「こんな私を…偽者の吉川ちなつを、あかりちゃんは好きでいてくれた…」

あかり「ち…なつちゃん?」

ちなつちゃんは頬を伝う涙も拭わず、笑顔のまま泣いていた。

救いはあるのでしょうか…

「長門有希ちゃんの消失」4巻を思い出した


ちなつ「こんな世界にあかりちゃんを救う為だけに生まれてきた私にも…意味をくれた」

ちなつ「本当に好きな人と恋人になって、幸せな気持ちを知る事ができた」

ちなつ「あかりちゃんが教えてくれたんだよ? 私に…」

ちなつ「本当なら、役目を果たして、それを知る事もなく消えていた私に」

あかり「……」

ちなつ「ありがとう、こんな気持ちを教えてくれて…」

ちなつ「わがままも言っちゃったし…もう良いんだ私は」

あかり「嫌だよ…。ちなつちゃんが居なくなっちゃうなんて…」

ちなつ「私は、私だよ。"向こう"にいる私も」

ちなつ「だから…好きでいてくれるかな…? あかりちゃんは私の事」

ちなつ「ちゃんと、私の事見てくれるかな…」


あかり「…好きだよ。絶対にそれだけは…」

ちなつ「"本当の吉川ちなつ"…結衣先輩に一途な私でも?」


あかり「好きだよ! 私は、ちなつちゃんの事が好き!」

あかり「絶対に、今のちなつちゃんと別れても…。約束だよ」

ちなつ「……そっか。その言葉が一番聞きたかった」

ちなつ「あかりちゃん…そろそろ、みんなの所に帰らないとね」

あかり「か、帰るって…あかりが眠らなきゃ…ダメなんでしょ?」

あかり「あ…あれ…?」

顔が熱くなって頭がフラフラする。瞼も重くてすぐにでも眠りそうな位
体の力が抜けるのがわかる。昔、ジュースと間違ってお酒を飲んだ時と同じだるさ。
なんで…こんなに都合良く眠気が…。


ちなつ「ごめんね…あかりちゃん。こんな物使いたくなかったけど…」


あかり「ち…ちなちゃ…何だか、眠くなっちゃったよ…」

あかり「まだ…戻りたくないのに…やだ」

あかり「あ…、ち…なちゃ…」

あかり「してよぉ…ちなつちゃん…最後に…」


ちなつ「あかりちゃん…大好きだよ」

冷たく柔らかい物が優しく、自分の口に触れた。
眠気を押さえ込み、何とか行為に気を向ける。それはいつもよりしょっぱくて…
塩水を舐めてるみたい…。でも一番好きな味と感触だった。
少しするとその感覚は、ふわりと消えて行った――――



「向こうの私も…好きになるから。あかりちゃんの事…」


「"私"が好きになったんだから…。また、いろんな所、行こうね…」



んん…


ここ… 本当にまたこの夢

って夢じゃないんだ……ここは

日差しが眩しい…


戻って来れたのかな…とりあえず起きる事にしよう。帰ってきちゃったんだから



「あかりが起きた時の為にプリン買ってきたけど、食べちゃダメだからな」

「食べる訳ないじゃん…。とっといてあげるよ」


ふふっ…京子ちゃんと結衣ちゃん、ずっと待っててくれたんだね。

ごめんね…今起きるよ―――――

支援

あかり「んっ…ふわぁ…」ムク...

結衣「あっ! あかり!」

京子「え、なになに……ってあっあ、あか…」


あかり「京子ちゃん…結衣ちゃん…」


京子「あっ…あっあ! あかりぃーー!!!」

京子ちゃんに思い切り抱きつかれ、それを結衣ちゃんが止める。
抱きつかれた時の感覚がちゃんとある…。ここが"あのちなつちゃん"が言っていた
本当の世界なんだ…。
その後、看病してくれていたお姉ちゃんが顔をくしゃくしゃにして同じ様に抱きついてきた。

そこに"ちなつちゃん"の姿は無かった。

その後、知っていたがプールでの事と、今までの事を一通り聞いた。
現在の時刻は17時らしい…。その日の夕方だ、つまり事故の起こった日の…。
あの夢みたいな世界では10日くらい経っていたはずなのに
現実では、たった3時間しか経って居なかった。
その3時間ずっと寝たまま、あの夢を見ていた様だ。

話を聞いてる途中に、病院の先生や看護師の人達が集まってきて検査が始まった。
それを終えると、先生から退院は良くて明後日という事が伝えられた


今日は一晩病院に泊まる事になったが、気持ちは落ち着くはずもなく
お姉ちゃんに付き添われ、ふらふらと販売機コーナーや売店を覗く
適当に散策してた訳ではなく、ちなつちゃんを探していた。

その娘に会わなければいけない。そして、こうして元気になった姿を見せなければ
落ち着きは取り戻せそうに無い。だが、フロアを一通り回っても見当たらないので
飲み物を買って一度自分の個室に戻る事にした。


その帰る途中、廊下の隅にある休憩室のイスに

ピンク髪の女の子が、ちょこんと座ってうずくまってるのが見えた。

それは…もちろんその娘

「ちなつちゃん!」と呼びかけるとその女の子はこちらを振り向いて
京子ちゃんやお姉ちゃんと同様にギュッと強く抱きしめてきた。
抱き合いながら何度も何度も謝ってくれるこの娘に、こちらも心配を掛けた事を謝る。

ちなつ「でも…よかった。あかりちゃんがこのまま寝たっきりにならなくて…」

ちなつ「起きて…本当によかった…」

あかり「うん…心配かけちゃったね…みんなにも」

ちなつ「よかった…」


くったりとちなつちゃんの力が抜け、抱き合っていた姿勢も崩れぺたんとその場に腰を下ろした。
それから、二人自室に戻り消灯の時刻までみんなと時間を埋めていたが
寝たきりで居たので、そのしわ寄せの空腹がやってきた。
先生に食事する事の了解を貰い。個室の冷蔵庫に何か入ってないか探してみると
そこには、フタに「あかり」と書いたプリンが置いてあった。

はよ

内容濃すぎてやばい

しえん

変なこと言わずに黙ってみてろや

支援

支援

~一週間後~

夏休みって、なんでこんなにも時間の流れが速いんだろ。退院の後はあわただしかったけど
プールでの出来事から一週間しか経って居ないはずなのに、今までと変わらない日常が流れている。
 心に引っ掛かる物があるのは変わらないが、もとの平穏な日々が帰ってきたんだ。

 今日は結衣ちゃんの家に四人で泊まる事になった。前に泊まった事があるけどそれは自分だけの経験
それに、"あの時"とは状況が違っていた。

ちなつ「ゆ、結衣先輩の家にお泊まり…な、なに持って行けばいいかな!?」

あかり「う~ん…。結衣ちゃんちに何でもあるから…し、下着とかかな?」

ちなつ「結衣先輩から借りたりできたらなぁ…」

あかり「それは、どうかと思うけど…」

 この娘と恋人で無くなっているという事。正しく言えば『最初から付き合った事など無い』
このちなつちゃんとは、そんな関係にはなっておらず。今までの日常通りちなつちゃんは
結衣ちゃんに一途だった…気がする。
 これは仕方が無い事だと自分に何度も何度も言い聞かせて、どうにか今を保っているのが精一杯。

 だって、この娘は"あのちなつちゃん"とは違うんだ…。夢の中の話なんだ…。
だから、このちなつちゃんと恋人の関係になるなんて、まるで浮気の様な感じがして罪悪感がある…
でも、約束してしまったんだ。ちなつちゃんを好きでいると。
もちろん、今でも好き…。それは、このちなつちゃんに対してなのか
夢の様な世界で逢った"あのちなつちゃんに"なのか分からなかった。

ちなつ「あかりちゃん…?」

あかり「……えっ。な、なにかな?」

ちなつ「入らないの? 結衣先輩の家」

あかり「あ…ああ、ごめんごめん」

ピンポーン....

あかり「結衣ちゃーん、来たよー」


結衣「ああ、入って入って。早くしないと京子が一人でスイカ食べちゃうから」

あかり「わぁいスイカ大好き!」

ちなつ「もう半分食べられてますね」

京子「やぁ、あかりにちなつちゃん。まあ適当に座ってよ」

結衣「今胃薬ないんだから、腹壊しても知らないぞ。」

京子「え~、その時は買ってきてくれるよね?」ウルウル

結衣「上目遣いはやめろ…何か恥ずかしいから」

ちなつ「スイカの真ん中の部分だけ、売ってたりとかしないかなぁ」

結衣「私も好きだから分かるかも」

ちなつ「やっぱり好きですよね…じゃ、じゃあ私のあげますから!」ヒョイ

ちなつ「できれば…スプーンごと食べてくださいね…」

結衣「あ、ありがとう…せっかくだから食べるね」 パクッ


あかり「ああっ……」

ちなつ「結衣先輩が私のスプーンまで口に運んで…//」

あかり「あ、あかりのスイカの真ん中もあげるよ! ちなつちゃんに!」

ちなつ「えっ? いきなりどうしたの?」

あかり「ほ、ほら…あーんして!」

ちなつ「変なあかりちゃん…食べるけどね」 パクッ

あかり「…えへへ」


京子「わ、私は…」

やっぱり結衣ちゃんに一途なちなつちゃんを見ると胸が苦しくなる
最近はずっとこんな複雑な気持ちで過ごしていた。

~帰り道~

ちなつ「ねぇ、あかりちゃん。そこの公園寄って行かない?」

あかり「突然だね。いいよ」

あの公園だ。最初に告白して、恋人同士になった思い出の場所
変な期待も持たず、着いて行く事にした。
飲み物を買い、自販機横のベンチに腰掛ける。

ちなつ「ふぅ…」

あかり「ん~まだ暑いね夕方なのに」

ちなつ「あかりちゃん」

あかり「うん?」

ちなつ「渡したい物があるんだけど…」

ちなつ「その、退院祝いに…何も渡して無かったなぁって思って」

ちなつ「はい…これ」

あかり「紙袋…?」

ちなつ「たまたまお店で売ってたから…買って行こうかなって…たまたまだからね」

あかり「なんか向日葵ちゃんが櫻子ちゃんにプレゼント渡すときみたい…」

ちなつ「なっ…!」

あかり「わぁーなんだろ、開けていい?」

ちなつ「…もう。いいけど」

ベリッ...ビリリ

あかり「これ…ミサンガ…」

ちなつ「ど、どお? 安かったから…買ってみたんだけど…」

あかり「赤と桃色で編んだミサンガ…」

ちなつ「二本あったから私も買って付けて見たんだけど、ほら」

確かに、手首に見覚えのあるミサンガが揺れていた。
少し違うけど、色合いは一緒の

あかり「ふふっ、あはは」クスクス

ちなつ「な、なんで笑うのよ!?」


何故か、可笑しくなって笑ってしまった。
ねぇ…ちなつちゃんはちなつちゃんなんだ。恋人の練習って言って数日間過ごしたちなつちゃん
今、ここにいるちなつちゃんも同じ。

あかりの大好きな…ちなつちゃん。変な事は考えなくて良かったんだ。
別に、お別れをした訳じゃない…。もし良いって言ってくれたならもう一回恋人になって
あの夢の中の日々を沿うように、やり直したっていいんだ。
今度は練習じゃなくて…本番で

あかり「ごめん…嬉しくて」

ちなつ「ほ、本当に…?」

あかり「本当だよ…!」

あかり「これ、自分じゃはめられないから付けて欲しいなぁ」

ちなつ「じゃあ手出してよ」

ちなつ「ミサンガって着ける時にお願い事をしてつけるんだって」

あかり「知ってるよ」

ちなつ「何に、しよっかなぁ…って私があかりちゃんの腕に着ける時にお願いしても良いのかな」

あかり「いいよ~たぶん」


ちなつ「じゃあね…『あかりちゃんがどこにも行きませんように』っと」クイッ

ちなつ「もう、あんな事にならないように…。私が見ててあげるから離れないように!」

あかり「ち、ちなつちゃん…。ありがと…」

最初からになってしまったけど。恋人として過ごした3日とちょっとは消えてしまったけど。
また、好きになって貰えばいいんだ。それだけの事。"どっちのちなつちゃん"が好きかじゃなくて
ちなつちゃんが好きなんだから――――

あかり「あかりはどこにも行かないよ…ちなつちゃんの側にいるから」

ちなつ「な、何言ってんの急に…ちょっと恥ずかしいんだけど…」

あかり「だから、これからも一緒に居てくれるよね?」

ちなつ「当たり前でしょ…? ほら、帰ろ。暗くなってきちゃったし」

あかり「うん!」

―――――――――
――――――
―――

猿こっちみんな

それから数ヶ月が経った

夏休みが終わり、季節は秋になった。
時間が掛かってしまったけど、結局ちなつちゃんと付き合う事になれた。
ちなつちゃんが好きでいてくれる安心感に、ちょっとした不安が
もし、これが夢だったらどうしようか、という些細な不安が浮かんできた。


あかり「ち、ちなつちゃん…。和室じゃダメだよ…結衣ちゃん達が来ちゃったら…」

ちなつ「いいんじゃない? 私達が恋人同士だってバレたらバレたで」

あかり「動けないよぉ…ど、どいてー」

ちなつ「って言ってるけど抵抗してないよねあかりちゃん?」

あかり「えへへ…。本当は…キスして欲しかったから…」

ちなつ「もう…あかりちゃんは欲しがりなんだからぁ…」

覆いかぶさるようにちなつちゃんが倒れてくる。
手は押さえられ、指が絡まり右も左の手も押さえられてしまった。
見つかったら言い逃れなんてできない…

ちなつ「じゃあ…いくよあかりちゃん♪」

あっかりんは天使

----------

あかり「はぁ…い、いつまでやってるの…これぇ…」

ちなつ「さすがにやりすぎたかも…疲れたぁ」

あかり「えへへ…。レモン味の飴食べてた…?」

ちなつ「は、恥ずかしいからそういうのなし…」

あかり「とっても幸せだよ…あかりは、ちなつちゃんとこんな事できて」

ちなつ「それは…私も…かな」

あかり「幸せ…。夢みたいだよ、ホントに」

ちなつ「じゃあ、これが夢だったらどうする?」

あかり「う~ん……」





あかり「すぐ起きて、夢から醒めたら」

あかり「ちなつちゃんの恋人になる…かな」

"また"…こうやって 何度でも、ね? あの娘との約束だからっ

さる回避

以上です。

ここまで読んでくれて、ありがとうございました。

おつ!

8時間もおつかれさま!
ゆっくり休んでくれ

おつおつ

感動した。途中から泣きそうだった・・・素晴らしいものをありがとう。

乙!

すげぇわお前

マジで乙

乙!

よくやった
乙乙

乙乙

超乙、今月のSFだわ・・・

夕方まで残しておいてくださいオナシャス!

ちんちんおっきした!

朝まで続いてたとは…おっつりーん!

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