貴音「今までが演技だったことにしておくどっきり…」(505)

貴音「これまた面妖な…」

P「そうそう、この前無尽合体キサラギやったろ?それ見たあるDさんがな、」

P「『思えば貴音ちゃんはいつでも面妖だよね~、それこそ与えられる役もさ』」

P「『だから、たまには面妖じゃない、貴音ちゃんの新しい一面を見たいと思うんだけどさ~』と…」

貴音「それがこのどっきり企画、ですか」

P「そう。どうせなら番組にでもしちゃおうってことで、そしてどうせなら765プロの皆のリアクションも欲しいってことになって…」

P「要するに貴音の演技の新しい可能性を見出したいんだよ」

P「事後報告のような形になってすまないが…頼まれてくれるか?」

貴音「…くしも」

P「え?」

貴音「私も、たいへん興味があります!」ガタッ

P「うおお!?」


立ったら書いてく。もはやキャラ崩壊が目的だから
そういうのが苦手な人は注意

貴音「思えばそうでした。演じるのはいつだって、物静かで裏の顔あり、謎多きなる役ばかり…」

貴音「苦労はありませんでした…しかし同時に、いえだからこそ、感涙に至る衝撃もなかったのです…」

P「貴音…」

貴音「…私の可能性を広げるためにも、此度の機会は丁寧に挑ませていただきましょう」

P「…わかった。早速準備に取り掛かろう」

貴音「…実行は本日でしたか…面妖な」

P「いやぁ、合わなかったし会わなかったからな!」

貴音「思い立ったが吉日とは申しますが…あなた様はいけずです…」

P「悪かったって。それに、貴音の本音的にもその方が良かったんじゃないか?」

P「…本当は、早くみんなの反応の方が見たいんだろ?」ボソ

貴音「…ふふ、あなた様はやはりいけずです。」ニコリ

P『というわけで始まりました、実況は私、765の敏腕プロデューサーと』

小鳥『765の敏腕事務員、音無小鳥がお送りします!』

小鳥『いやー、自分で言っちゃいましたね敏腕って!いいんでしょうか!』

P『いいんですよいつにもましてテンション高い小鳥さん!丁度ビンビンコンビと名乗れますし!』

小鳥『…ビ、ビンビンだなんて///』

P『…俺より年上なくせに妙にウブなところがありますよね、音無さん』

小鳥『し、仕方ないじゃないですか!』

P『さぁ、そんなかわいい音無さんはほっといて、今回の企画を説明させていただきます!』

小鳥『ちょ!か、かわいいだなんてそんな…///』

P『今回はドッキリ企画です!ターゲットは765プロ所属のアイドルたち+竜宮小町担当の秋月Pです!』

小鳥『豪華ですね~』

P『そして仕掛け人があちら!芸能界きってのミステリアスアイドル、銀色の女王、四条貴音でーす!』

貴音「…」キョロキョロ

P『はい、貴音はすでにステージであるソファーに座っていますが…』

小鳥『何やらキョロキョロしていますね。貴音ちゃん?どうしたの?』

貴音「…あ、いえ。きゃめらの位置を確認していまして…」

小鳥『結構やる気でしたww』

P『ご覧のとおり事務所内にはいくつかの隠しカメラとマイクが設置されており』

P『別室である我々からはその一部始終が確認できます』

小鳥『今はまだこちらからのコンタクトも可能ですけど、本番が始まってからは切る予定ですね』

P『さぁそして気になるドッキリの内容は~…こちら!』

小鳥『今までの四条貴音は演技だったことにする!ということでですね~』

P『えぇ、そのミステリアスな雰囲気が特徴のひとつである四条貴音が、』

P『あるいは携帯で友達と長話していたり、あるいは超イラチであったりと』

P『キャラを崩して崩して、それを見た他のメンバーたちの反応を見るというものであ~ります!』

小鳥『ちょっと想像できないですね~』

P『貴音も演技をする仕事がかなり多くなってきましたが、それでも演じるのはミステリアスキャラばかり!』

P『ここいらでドカンと、「へ~こいつこんな演技もできんだ~」ってね、思わせちゃおうってことです』

貴音「ええ、私自身まんねりというものを、感じていたのも事実です」

小鳥『それは言っちゃってもいいの?』

P『そんなイメージなんてぶっ壊しちゃえっていうことです!』

P『時間の都合上、完全アドリブなんて形になっちゃったけど大丈夫か?貴音』

小鳥『そうだったんですか!?』

貴音「大丈夫d…だ。問題ない」

小鳥『不完全なうえにちょっと古い~!』

P『そうこうしているうちにまもなく一人目のターゲットが到着しそうです!』

小鳥『若干不安が残りますね。ちなみに順番はどうなんでしょうか?』

P『五十音順です。分かりやすいでしょう?しかもご丁寧にスケジュールまで調整してあります』

小鳥『ガチですね…それじゃあ…最初は律子さんですね。』

貴音「律子嬢ですか…さて、どうしましょうか…」

P『頼むぞ貴音。それじゃあ、この辺でスタッフ一同ははけて、事務所には貴音以外いないことにしておくから』

P『しっかりな!』

貴音「あなた様…はい、精一杯演じ切ります」

小鳥『ちなみに終了はこちらの判断らしいからね~』

貴音「…さて、そろそろですね…」ゴソゴソ

―――事務所前

律子「ふぅ…まさか必要な書類を忘れちゃうなんてね」

律子「こんなミス…ふぅ、プロデューサー殿を見習わないと…」コツコツ

貴音「…!(来ました)」

律子「おはようございまーす!」ガチャ

シーン…

律子「あ、あれ?誰もいない…?」

律子「…珍しいこともあるわね…」バタン

シーン…

律子(…何だろう、落ち込んじゃうな)

…カチャ…カチャカチャ…チッ…

律子「!?…誰かいるの?」

貴音「ちっ…あーくそ!このぽんこつが!!」

律子「!!!???」

貴音「まぁた死んだよ!くそ、『え~あい』どうなってるんだよ!!」

律子「え…た、貴音…なの…?」

―――別室(部屋割りはアニマス準拠、この別室はビルの他の階の部屋ぐらいに補完してくらさい)

P・小鳥「わははははははははは!!!」

P「何あのキャラwwww」

小鳥「ちょっと想像できないwwwあれってPSPですよね?」

P「ですねwww見る限りモンハンですねwwwなんで持ってるんだろうwww」

小鳥「ケwwケルビに殺されてましたよww」

P「やっぱり操作方法とかさっぱりわからないんでしょうね」

小鳥「それでAIに文句付けちゃうあたりもかわいいですね~」

P「とりあえずクエスト受注から出発まで行けたのはほめてやりたいところですね」

―――事務所

律子「…え…あの…貴音…?」

律子(イヤホンしてるから気づいてないのかしら…?でも…それにしても…)

貴音「あーうざ、もう右人差し指のところのぼたん押したら早くなるところもうざいわ…」

律子「…ァ…あ…」ガクガクブルブル

律子(違いすぎる…それ以上にひどすぎる!アイドルの言葉づかいじゃない!)

律子(だ、ダメなのに…こ、声が…!止めなきゃいけないのに…!)

貴音「プフwwなんか下のちっちゃいぼたん押したらきっくしたしwwwださすぎww」

―――別室

P「はははwww腹いてーwww」

小鳥「序盤から来ますねーwwていうか一応若者言葉とかは知ってるんですね」

P「まぁそれはさすがにね…というか律子www止めろよww」

小鳥「あ~あまりのショックに過呼吸気味になってますよww」

―――事務所

貴音「はぁ…なんか飽きたわ。電源ぼたんは~っと…って…え…?」

律子「ぁぅ…!」

律子(き、気づいてもらえた!)

貴音「え!?あ、あの、り、律子さ…いや、律子嬢!?」ドタバタ

律子「!」

貴音「あ、あの!いつから!え、いや、あの…あぁ…い、いやーーーー!!!」

―――別室

P「取り乱したwwwすっげぇリアルwww」

小鳥「さすがはアイドルですね…でもあの銀髪であれは…」

P・小鳥「似合わない」

P「これはこれで新しい可能性かもしれませんけどねwwいや面白い」

―――事務所

貴音「はぁー、はぁー、あの、律子嬢、先ほどのは、はぁー」

律子「え!あの、大丈夫!大丈夫だから!まずは落ち着いて!」

貴音「はぁー、ハァー、ち、違うんです律子嬢、私は…私はっ…うぅ…!」グス

律子「あ、ちょっと!貴音!?」

貴音「うぅぅぅ…グス…ひっく…ちあうんえす…律子嬢ぉ~…しゃっきのはぁ…!」

―――別室

P「うっわ…これターゲット俺だったら耐えられないかも…」

小鳥「プロデューサーさん、これがテレビだって忘れてないですか?」

P「…そうでしたね、ついうっかり素でコメントしちゃいました。すいません」

小鳥「いいんですけどね。それより、そろそろ止めに入った方がいいんじゃないでしょうか?」

小鳥「律子さんがちょっとやばいかもですよww」

―――事務所

律子「あ、あの…貴音、ほんとに大丈夫だから…グス…その…ぅぅ…」

律子(そうよね…予期せぬ形で仮面がはがれるのは…とてもつらいこと…)

貴音「すいませんでした律子嬢…見捨てないでください…幻滅しないでください…」ポロポロ

律子「た…貴音ぇ…うぅ…うぁぁ…」ポロポロ

律子「大丈夫…大丈夫だから…お願いだからそんな…」

律子「見捨てないでなんて言わないでちょうだい~…!」ポロポロ

P「そうだぞ貴音。俺たちは仲間だ」

小鳥「見捨てるはずないじゃないの!」

律子「え…?プロデューサー殿に…小鳥さんまで…え?」グスッ

貴音「おや、もう終了でございますか」ズズッ

律子「え?あ、あの…」

P「そういうことだな。というわけだ律子、これな、ドッキリ」

律子「」

貴音「ふふ…混乱しているようですね」

小鳥「無理もないですねww」

―――別室

律子「…」ムス

P「なぁ律子~、そんなに怒らないでもいいじゃないか」

律子「怒りますよ!本当にビックリしたんですからね!」

P「それは分かるが…結局『大成功コール』も時間のせいでできなかったしさぁ」

律子「そ…それに関してはすいませんでした…ご迷惑おかけしました」

小鳥「それにしても貴音ちゃんの演技はすごかったですね」

律子「それですよ!人生トップ10に入る絶句がドッキリになったんですよ!?異常です!」

P「やばいwww思い出しただけでも笑えてきたwww」

律子「あの貴音からあんな言葉が出てくるとは…」

小鳥「やはり天才か…」

P「次はあ…天海だから春香だな」

小鳥「春香ちゃんかー…バラエティ慣れしてるからなー…」

律子「ばれるかもしれない、ですか?ないと思いますよ。」

P「経験者は語るってやつだな。」

律子「まぁいいです。ていうかずっとあのキャラで行くんですか?」

P「それは知らん。完全アドリブだからな」

律子「それであれですか…」

小鳥「買ってますね~貴音ちゃんのこと。」

P「お、そうこういってるうちに来たっぽいな」

律子「…」ジィ

―――事務所

春香「私マーマイ♪千早ちゃんもマーメイ♪ぼへぇーん♪」

春香「今日も一日頑張ろう…よし!」

春香「おっはようございまぁ…ああ!?」ドンガラガッシャーン

春香「…すぅ~いちちち…またこけちゃったぁ…」

―――別室

P「濃厚な30秒だったな…」

小鳥「信じられますか…?まだドッキリは始まってすらないんですよ?」

律子「あれってやっぱり素なんですかね?脳に必要な何かが欠けてるような気もするんですが」

P「…まぁ、春香だし…」

小鳥「春香ちゃんだしね…」

―――事務所

春香「うぅ…あ、あれ?誰もいないんですか…?」

春香「プロデューサーさん?私のプロデューサーさん?」

貴音「…ぷろでゅーさーなら今は不在です」

春香「あ、貴音さん!おはようございます!来てたんですね」

貴音「えぇ、そうです。加えて言うと、今ここには…私とあなたしかいません」

春香「あ…そうなんですか…えへへ、なんだか珍しいですね!貴音さんと二人っきりだなんて」

貴音「そうですね…本当に珍しい…今か今かと、私…」

春香「あの…貴音さん?なんだか様子が…ひゃぁ!!」ガバ!

春香「あれ?何で私押し倒されて…!」

貴音「はぁ…待ちわびていました…」ペロリ

春香「ひぃぃ!?」

―――別室

P「エロきたーーーーーーーーー!!!」

小鳥「うひょおおおおおお!たかはる!たかはる!これは盲点であった!!」

律子「てい!」バッ

P・小鳥「チャウシェスク!」ボゴォ

律子「あんたらテレビだってことを忘れてるんじゃないですか?」

P「ま、まさか!それは俺だけだって!」

小鳥「Pさん…///私をかばって…!」

律子「問題なく同罪です」

P「あ、おい!言ってる間に進展が!」

―――事務所

春香「あ…あの、貴音さん…?わ、私たちはその…」

貴音「ふふ…女の子どうし、とでも言いたいのでしょうが…」ハム

春香「ひゃう!み、耳を」ゾク

貴音「良いではありませんか…どうせ今は二人っきり…」

春香「ふぁ…あぁう…貴音しゃん…落ち着いてください…」ゾクゾク…

貴音「誰も見てなどおりません…ふふ、とはいえ少々積極的すぎでしょうか?」レロレロ

春香「わ…私には…大切な、プロデュ…ふむ!?」モゴッ

貴音「今あの方のことは忘れてください…ふふ…私の指はおいしいですか…?」

春香「ふっ…うぐっ…レロ…チュプ…ぷぁう…」

―――別室

P「…う!…ふぅ。なぁ、もうそろそろよくね?」

律子「ま、まさか見ているだけで!?」

小鳥「甘いですね…私はすでに3回は達してい」

律子「やかましい!!」バシ

小鳥「ヤッダーバァー」

P「あ…やべ、また…」

律子「プロデューサー殿ォ!!」

―――事務所

貴音「ふふ…ずいぶんと出来上がった顔になっていますね…」

春香「はぁ…はぁ…今日の貴音さん…おかしいです…」ポー

貴音「あなたのせいですよ…」

春香「でも…怖いぐらいおかしいですけど…でも…」

春香「…とっても…綺麗です…///」トロン

P「まったくだ。そういう役はさせないけどな」

春香「!?」

貴音「おや、おしまいですか。ふふ、残念です」

律子「まったくもう…かなりギリギリだったんじゃないですか?」

小鳥「えぇ、何とか一桁に抑えられました。あと数十秒あれば負けてましたね」

P「音無さんじゃないですよ。ほら、春香分かるか?」パネルヲミセル

春香「ヴぇ!?あ、あの…これって…その…///」

貴音「ええそうです。楽しんでいただけましたか?」

春香「え…う…うわああああああああああああああああん!!!////」

―――別室

P「ふぅー…いやぁ幸せな時間だった」

律子「私は冷や汗ものでしたけどね」

春香「あはは…地上波で…私の…あはは…」

小鳥「これは恥ずかしいですね。私も一応恥ずかしいです」

P「良かったな春香、キスまではされなかったじゃないか」

律子「それを言いますかこの無神経は」

春香「痴態…ふふ、そうです…私は同性愛者です…」

小鳥「ピヨ…一か月は戦える…」

P「まぁ番組的に見れば今の、貴音はクソレズ色狂いにトランスしたわけか」

律子「ぷふwwい、言い方に気を付けてください!」

P「さて、早くもこれが収録であると忘れそうになるほどの『どっきり』を披露してくれましたが」

P「本当に早くもって感じです。まだ二人しか終わってないですしね」

律子「やっぱり天才なのよ、あの子は」

春香「ええ、そうですね。でなければ宇宙人か何かです」

貴音『!?』キョロキョロ

P「…?貴音が何かに反応した?」

律子「何でしょう?こっちの声はすでに届いてないはずでしょう?」

春香「何でしょうね…そういえば次はだれですか?」

P「次か…い、う、え、お…となしは飛ばしてか…いや、がの我那覇だから響だな」

春香「五十音順なんですね。じゃあその次は真ちゃんで、そして千早ちゃんと続くわけか…」

小鳥「ピヨー…あ、あれ?ちょっとみなさんモニター見てください…」

P「!…これは…貴音…いったい何をするつもりなんだ…!」

―――事務所

響「ふんふんふーん♪今日は久しぶりにプロデューサーに会えるらしいからなー」

響「なんだか楽しみだぞー…ひひ!…ん?」

ドン…ドダダ…ウアア…ガチャーン!…ドガラドガラ…

響「!?…な、何か聞こえるぞ…騒いでる!誰かが!」

響「…う…こ、怖い!い、いや!自分は完ぺきさー…」

響「もしかしたらゴキブリか何かがでて騒いでるだけかもしれないぞ!いや、そうに違いないぞ!」

響「覚悟を決めるさー…よし!」

ガチャ

響「はいさーい!何を騒いで…る…」

響「た、貴音!?」

貴音「うう…うあああああ!!こ、来ないでくださいまし!!来ないで!!!!」ガタン

響「た、貴音!どうしたさ!?」

貴音「ひぃぃぃぃ!!そ、そこに…あぁ…」

貴音「!!!き、きゃあああああああああああああああ!!!ここにもぉぉぉ!!!!」ドタドタ

響「た、貴音!!落ち着くさ!自分がわからないのか!?」

貴音「あぁ…うう…あ?…ひ、響?響ですか!?」

響「貴音…そ、そうさ!響さ!」

貴音「あぁ…響…!良かった…よかったで…す…い、いやあああああああああ!!」

響「!!??ど、どうしたさ!?」

貴音「う、うしろ!響の後ろにぃ!!いやあああああああああああああ!!!」

―――別室

全員「…」ウワァ

P「これは…何なんだろうな…」

律子「この鬼気迫る感じ…本当に演技ですよね?」

春香「さっきまで淡々と、そして丁寧に事務所内の荷物の配置をでたらめにしてましたから」

小鳥「多分…幽霊が見える設定とか?」

P「かもしれませんね…にしても…」

全員(超怖い…)

―――事務所

響「貴音!落ち着いてくれ、自分の後ろには誰もいないさ!」

貴音「違います、違います…悪いのは私ではありま…ひ、ひいいいいいい!!!」

響「た、貴音!!」ガバッギュウ!

貴音「はぁう!い、いや、離してください響!!に、逃げなければ!!」

響「落ち着くさ貴音!何もいない!ここには自分と貴音しかいないさ!!」

貴音「は、離して!響!は、離しなさい!!離せぇ!!」ジタバタ


響「…ぐぅ…お、落ち着け!!!」


貴音「!!」ビク

響「落ち着け、貴音。どこに何がいるかなんてわからないけど…」

響「今ここにいるのは確かに、自分と貴音だけさ!怖がる必要なんてないさ!」

―――別室

P「ほほう、やはり響は素晴らしいな」

律子「ていうか本当に怖かったんですけど…響のような勇気は私にはないわ…」

春香「大丈夫ですよ、むしろないのがふつうでしょうから」

―――事務所

貴音「ハァ…ハァ…ハァ…」ブルブル

響「貴音…」

響(震えてるさ…本当に、貴音はゴキブリが苦手なんだろうさ…)

響「…少しは、落ち着いたか?」

貴音「ハァ…ハァ…はい、おかげさまで何とか…」

響「ん、何よりさ。」

貴音「あの…お…」

響「お?」

貴音「御見苦しいところを見せてしまいました…それと…ありがとうございます///」

響「い!?」

響(な、なんだかすごくかわいいさ!?貴音…こんな顔できるんだな…)

響「だんだん震えもおさまってきたみたいだな」

貴音「ふふ…そうですね。」

貴音「ですが…響が許すなら…」

響「?」

貴音「もう少しだけ…こうしていてもよろしいでしょうか…?」

響「…ははは、いいぞ!好きなだけ甘えるがいいさ!」

P「俺もいいかな?」

響「はは、プロデューサーも甘えん坊…だ…な?」

P「そう、僕だ」

貴音「むぅ…あなた様はやはりいけずです。もう少しぐらい…」

律子「時間が押してるっていうのよ、我慢してちょうだい」

響「ええ!?こ、これはいったいどういうことさ!?」

小鳥「響ちゃん、Pさんの持ってるパネルを見て?」

響「『ドッキリ…大成功』…。さー…。」

響「ってことは、さっきの貴音のは!?」

貴音「ふふ…いめちぇん、という名のどっきりです」

春香「かっこよかったよ響ちゃん!」

P「そうだな、あの勇気は、予期せぬイメージアップにもつながったろう」

律子「やっぱりプロデューサー殿は無神経ですね」

響「う…うぅ…よ、よかったぞ…」ヘナヘナ

響「本当に心配したぞ…でも…グス…無事で良かったぞ…うぅ」メソメソ

P「こりゃあすげぇや…洗われる…これが」

小鳥「      ひびた     か      」

貴音「ふふ…響、ありがとうございました。あなたとの友情が、物の怪の類で壊れるようなものではないと確認でき」

貴音「私も、とてもうれしいです」ギュッ

響「だがねええええええええええ!!」ギュウ

律子「ええ話っすね」

春香「ブフww律子さんwww」

―――別室

P「いやー、素晴らしかったよ。さすが響」

響「あはは、ほめても何も出ないさー///」

小鳥「響ちゃんはその笑顔で充分よ」

律子「まったくね」

春香「それにしても貴音さんはほんと…すさまじかったよね」

響「あれは本当にやばかったぞ。ずっとゴキブリかと思ってたからまだよかったけど」

P「確かにww幽霊って設定だったの聞いた時の響はかわいかったなー」

律子「『うぎゃー!!ゆ、ゆーりーだったのか!!』」

小鳥「律子さんが早くも壊れてますね…」

響「それよりもそのあと『本当に見たことあるような演技だったぞ』って茶化したときの」

響「お決まりの『とっぷしーくれっとです』は正直…」

P「俺は漏らしたな」

小鳥「さぁさぁ続いての犠牲者は…デデン!」

P「きくうぅぅぅちぃぃぃぃ…まーーーーーーーこーーーーーーーーーーとおおおおおおおうう!」

春香「酔ってません?」

律子「さっきのがよっぽど怖かったのね」

響「真かー…どんなリアクションするんだろうなー。幽霊とかは意外とダメそうだなー」

小鳥「響ちゃん、貴音ちゃんのどっきりは全部即興なのよ?」

響「いい!?そうなのか!?」

春香「そういうのも含めて、終わってからの方が楽しいかも」

P「さぁ、今回はどんな変貌を遂げるのか。期待してるぞ、貴音!」

貴音『!…(ニコリ)』フリフリ

律子「重ねて聞きますが、こっちの音声って切ってますよね?思いっきり反応してるんですけど」

―――事務所前

真「アホーゥニューウォァーゥ♪アニューファーンタスティッポォイノビュー♪」

真「はぁーいいなぁ、アラジンみたいな王子様もありかもね」

真「さてと時間は~…うわ、また北斗君からメール来てる…」

真「嫌ではないけど、一度返信すると長いんだよな~…削除!」

真「さて、今日も一日がんばろうかな!」

ガチャ

真「おはようございます!」

♪もっと!!高めて果てなく!!!

真「うわ!!うるさい!!てこれ、ボクの歌!?」

真「誰か!?誰かいるんでしょ!?ってうわ!?」ズル!ドシン!

真「いてて…って何だこれ…コピー用紙?くそ、暗くてよく見えない…バインダーが全部閉められてる…」

♪あなただけがつk(ブツン)…シーン

真「え?曲が止まった…」

貴音「真…ですか?」ユラァリ

真「(ビクッ)…貴音かい?はは、いたのなら返事してくれたって…って、ん?」ペラリ

真「な、何だよ、この床一面の紙は…それに!」

真(それも切り刻まれている…印刷されているのは…)

真「雪歩と…それに美希の…顔写真…!?」

貴音「ふふ…」

―――別室

P「ヤンデレで来たか!」

響「うぅ…この貴音はなんだか怖いぞ…」

律子「ちゃっかりメイクでクマ書いてるし…病み病みですね」

小鳥「あはは…紙…コピー用紙…大量…経費?ふふふ…」

春香「小鳥さん、今それを気にするのは無粋です!」

―――事務所

貴音「私の王子様である真に近づこうとする小汚い泥棒猫ども…」

貴音「あぁ…その写真の姿をそのままに現実にすることができれば…!!」

真「た、貴音?どうしちゃったんだよ…?なんか今日おかしいよ?」

真「あ、わかったー!これドッキリでしょ!あはは…ビックリしちゃったなぁ、はは」

貴音「真ォ!!」ガバ!

真「ひぃ!?」ドサ

―――別室

P「マウントポジションを取った!これで勝つる!」

響「あの真が自衛できない速さ…だと!?」

春香(あの体勢やばいよねー…やば、さっきの思い出しちゃった)

―――事務所

貴音「あぁ…真。なんと凛々しいのでしょう…これほどまでに近くで顔を見たのは初めてやもしれません…」

真「ううぅ…!」ゾクゾク

貴音「震えていますね…何か怖いことでもあったのですか?」

貴音「大丈夫です…これからは私が守ってあげますから…」

真「い、いや…あ…た、たか…」

貴音「あぁ!瞳から真のしずくが…あの…真…?」

真「な…何さ…うぅ…うぐぅ…」

貴音「それ(涙)…なめとってもよろしいですか…?」

真「い、い…いやああああ!!」ブワッ

P「役に入りきるよねー貴音は」パチ

真「え!?プ、プロ…」

P「せや、わいや」

律子「うわー…入口から見える範囲にとどめておいたとはいえ、やっぱり結構な量ね」ゾロゾロ

貴音「ふふ…ぎゃらんてーで賄えると聞きましたので」スッ

真「え!?…いや、何ですかこれ?」

響「プロデューサーの持ってるのを見るさー」

春香「書いてある文字を読むさー」

小鳥「そして理解するさー」

P「理解したら暴力だけは振るわないよう制御するさー」

―――別室

P「…言ったよね?」

真「…はい。すいませんでした」

律子「まぁまぁ、自分一人で済んだだけで良かったと思ってください」

P「思えるかバーカ!見ろ!片目が開かないんだぞ!」

響「でもあれは仕方ないと思っちゃうぞ。怖かったろうな~」

春香「心中お察しします」

小鳥「春香ちゃんとは似た展開ながら、実質タイプは真逆といっていいわね」

真「…」ジワッ

P「とwwwトラウマになってらwww」

春香「プロデューサーさん、そこは慰めてやってください」

小鳥「はい、続いてのターゲットは!」

P「765プロが誇る完壁で最硬な歌姫、如月千早だー!!」

春香「分かりにくいけど仕掛けてきましたねwww字が違いますよ」

響「カンペキは自分のせんばいとっこだぞ!」

真「それを言うなら先輩特攻だろー」

律子「あんたたち…それは生きづらいレベルよ」

小鳥「千早ちゃんはお堅いですからね…そこのバランス感覚も求められるかも…」

P「そんなの必要ないでしょう。だってこれ、貴音の演技の可能性を広げるって企画ですから」

真「僕らはオマケでしかないと。プロデューサーさん、僕今日メリケンサックっていうのを持ってきてまして」

P(アカン)

小鳥「口に出して言ってください。私以外わかりません」

貴音『あの…あなた様?』

P「ん?今こっち呼んだか?繋いでください」

P「おい貴音、聞こえるか?どうしたんだ?」

貴音『はい、聞こえます。あの、ひとつ相談というか、了解を得たいのですが…』

―――事務所前

千早(ふぅ…思いの外早くついてしまったわ…)

千早(…まぁ仕方ないわよね。久しぶりにプロデューサーに会えるんだもの)

千早(ふふ…楽しみだわ)カツカツ

―――別室

P「来たな…それじゃあ、かけるぞ」

―――事務所

ガチャ

千早「おはようございま…」

貴音「ふざけないでください!!」

千早「!?」

貴音「そんなこと納得っ…できるはずがないでしょう!!」

千早(四条さん…?誰かと電話しているのかしら…すごい荒れようだけど)

貴音「はぁー、はぁー…っ…落ち着けですって…?」

貴音「これが落ち着ける話ですかっ!!!!!!」

千早「…!」ビク!

―――別室

P「耳イッテーwwww何で本当に通話する必要あるんだろ」

律子「痴話喧嘩ですか…まぁ貴音がああまで興奮するシーンは見たことないですけどね」

春香「それにしてもすっごい迫力っ…!」

真「あはは、千早、貴音が怒鳴るたびにビクッてしてるよ」

響「分からなくもないぞ…貴音の大声には何かがあるんだ」

小鳥「あぁ…こういう弱さも千早ちゃんの魅力よねー」

―――事務所

貴音「ハァッハァッハァ・・・分かりました、私も少々…熱くなりすぎた気もします」

貴音「ですから…もう一度、詳しくわけをお聞かせください…」

貴音「あなた様…」

千早「!?」

―――別室

P「いや~ですからね、動くのは10万、100万なんて小さい単位ではないんですよ」

律子「何の話ですかwwww」

春香「すごいww貴音さん全然笑わないwww」

響「うお~、千早が楽譜をとうとうカバンにしまったぞ」

真「やっぱり気になっちゃうよねー」

P「A国に売るのはハインド最新型、10機で最低でも300億はむしれ」

小鳥「詳しくは知らないけどムチャクチャですよねそれwww」

―――事務所

貴音「はぁ…ですからその日は…」

貴音「っ…ですから千早は今関係ないでしょうっ!!」

千早「!!??」

千早(今…私の名前を…それにさっきのあなた様って…プロデューサーのことよね…)

千早(一体どういうことなのかしら…とても気になる…)ゴソゴソ

―――別室

P「この前乱数調整とか抜きに6Vメタモン手に入れたんだぜww」

律子「あ、千早もとうとう行動を開始したわね」

春香「対象まで4m…気づかれないと思ってるのかな」

響「千早は歌がうまいからな」

小鳥「う~ふふふ、この単純さが素晴らしいと思うんです」

真「確かに。クールとキュートという一見水と油のような二つの要素…それをこうも同居させるとは」

真「やっぱり千早はすごいなぁ…」

―――事務所

貴音「っ…やはり、納得できません…!うぅ…」ボロボロ

千早(四条さん…泣いてるわ…)

貴音「そ、そのような言い方をしてはっ…ち、違うのですっ…!」

貴音「なっ…何という下劣なっ…!私の…」

貴音「私の初めてを奪っておきながらっ…!!」ポロ…

千早「!!!!」ガタ

―――別室

P「」

律子「」

春香「これ…放送できるんですか?」

響「深夜枠なら…深夜枠ならきっと何とかしてくれるさー…」

真「まだあわてあわあわわってことだね」

―――事務所

貴音「もう…よいです。失礼します…」

貴音「最後にっ…グスッ…ありがとうございましたっ…ズズ」ピッ

貴音「はぁ…」ドサ

千早「あ、あの…」

貴音「!?あ…ち、千早!?いつの間に…あ、いえ、これは泣いているわけではなく」アセアセ

千早「あ、四条さん!落ち着いてください!」

―――別室

律子「このうろたえですよ。」

P「いつもがアレなだけにガチ感が増すんだよな」

春香「ギャップ効果ってやつですね」

響「じゃあ、いつもカンペキな自分が急に黙ったりしても、緊張感出たりするかな?」

真「響はコロコロ表情が変わるのが面白いから、テンション落ちたぐらいじゃ効果はないんじゃない?」

―――事務所

千早「落ち着きましたか…?」

貴音「ええ…おかげさまで…」

千早「あの…さっきの電話って…」

貴音「…ふぅ、隠しても仕方がないですね…」

貴音「もう、どこから聞いていたなどの確認もしません…」

貴音「とても単純なお話…私は、ぷろでゅーさーに…っ…ぷろ…うぅ…」

千早「あ、あの!無理に聞こうとは思いませんから!」

貴音「言わせて下さい!これを逃すとあなたは…知るべき真実を知ることなくっ…」

千早「四条さん…」

貴音「千早…私は、あいどるをやめます」

千早「え!!??」

―――別室

全員「え!!??」

P「ちょちょ、これドッキリで言っていいセリフじゃなくね?」

律子「アドリブでこれに持っていったんですよね?」

響「貴音ー!!自分、貴音にはアイドル続けてほしいぞー!!」

―――事務室

貴音「そんなことは百も承知です。しかし…もう耐えられないのです…!」

貴音「私はあの方に捨てられましたっ…!」

千早「そ、そんな…プロデューサーが…」

貴音「…加えて伝えておきましょう。あの方は移り気により、私を捨てました」

貴音「そして今、あの方の心の向く先は…あなたです。千早」

千早「!!」

―――別室

P「これはいかんでしょう」

律子「ドロッドロですね。さすがに引きましたよプロデューサー殿」

P「おっれっじゃっなっいっし」

―――事務所

貴音「…お分かりいただけたでしょうか。もう、私は無理なのです」

千早「…」

千早「本当に…やめてしまうんですか…?」

千早「それで残された人たちの心は、どうなるんですか!?」

貴音「…何も後生の別れなどではございません」

貴音「昼であっても、月は変わらず空にあり…765プロはただ、夜明けを迎えるだけなのですよ」

千早「それこそ…納得できません!!」

P「その通り。詭弁もいいとこだ」

貴音「おや、もうおしまいですか?」

千早「?…?…?」

春香「ちーはーやーちゃん!」

千早「!?は、春香?えっと、これは…何?」

律子「答えは」

響「変態の」

真「手の先にあり」

千早「『ドッキリ…大成功』…ですか」

貴音「あなた様は毎回、止めるたいみんぐがへたっぴです」

P「しょうがないだろう、あと6組も残ってるんだ」

千早「…ふぅーー…なんだか、とっても疲れちゃいました」

小鳥「無理もないわ。お疲れ様、千早ちゃん」

貴音「ふふ…どうでしたか?千早、私の演技は」

千早「ええ…流石でした。私本当に、辛くなってしまってっ…」

春香「ち、千早ちゃん!?」

P「おいおい、気が緩んだか」

千早「ご、ごめんなさい…私、また…大切な人がいなくなるのを…止められなかったって気がしてっ…」グス

貴音「ふふ…」スタスタ

千早「ふぁ!?」ダキッ

貴音「ご安心なさい、千早。別れは唐突なるが世の常とは言いますが」

貴音「誓いましょう。私に限って、そのようなことはいたしません、と」

千早「グスッ…それも演技だったらっ…今度こそ、許しませんから…」

貴音「ふふ…それもご安心ください」ナデナデ

―――別室

P「いや~疲れた。まだ五人目なのに疲れた。」

小鳥「完全に収録中だってことを忘れてますよね…」

春香「プロデューサー、そんな時こそこの手作りドーナツですよ、ドーナツ!」

響「そういえば自分もラフテー持ってきたぞ」

真「そこはサーターアンダギーでしょせめて」

千早「それにしても…四条さんは演技力もさることながら…特筆すべきは」

律子「ええ、体力ね。このあとでも響回見てみなさい。よくこれで持ったなと感心するわ」

律子「あんたの時よりよっぽど騒いでたわ」

千早「あれより…ですか」

小鳥「さてお次はお待ちかね~ドロロロロロロロロロロロロデデドン!」

P「うっうー!(かすれ声)高槻やよいちゃんですぅ」

千早「ふざけないでください!!」

律子「気持ちは分かるけど、収録だから。妨げないでちょうだい」

P「律子ざん、ありがとうございまずぅ(しゃがれ声)」ガルーン

律子「…」

春香「これは援護できません…」

響「あのPバカ春香でもか…」

真「確かに、殺意その他もろもろがあふれ出るもんね。もしかしてPって聖杯?」

P「ゔっゔー!(桑田)」

貴音『如月千早…聞こえますか…?』

P「ん?千早、貴音が呼んでるぞ」

千早「四条さん?どうかしたんですか?」

貴音『…先に謝っておきます。これから始まる惨劇をどうか…』

千早「え…あの、四条さん?言ってる意味がよく」

貴音『どうかお許しください!では、準備に入ります』

千早「え、ちょ、四条さん!?お、おい!おい四条!?」

春香「千早ちゃんご乱心www」

―――事務所前

やよい「ふー、なんだかプロデューサーに会うのも久しぶりな気もしますぅ」

やよい「えっと、今日やることは…うん、確認終わりー!」

やよい「それじゃあ今日も元気にー」

―――事務所

ガチャ

やよい「うっうー!おはようございますー!」

貴音「おはよう!やっよいー!!」バッ

やよい「うっうー!?だ、誰ですかー!?」バタン

貴音「えー!?忘れちゃうなんてひどいなー!わたくしだよ、四条貴音ー!」スリスリ

やよい「えー!?貴音さんですかー!?」

貴音「んー、やよいは今日もかわいいなぁ!」ナデナデ

作者天才だわ

―――別室

千早「くっ…くっ…」ペシッペシ

P「おい、俺の頭をたたくな」

律子「惨劇なんていうからどんなのが来るんだろうと思ったけど…」

小鳥「意外と良心的で平和的ですね。違和感でストレス寿命マッハですけど」

響「う~…」

真「どうしたんだい響?やよいがうらやましいのかい?」

響「ち、違う!そんなんじゃないぞ!」

春香「ん~響ちゃんもかわいいところあるね~」ナデナデ

P「ぐっおい千早、いい加減に、あいた!け、結構強い!」

―――事務所

やよい「びっくりしちゃいましたー!」

貴音「へへん、いめちぇんってやつですよぅ」ギュー

やよい「えへへ、でも~やっぱりなんかまだ抵抗あるかなーって」

貴音「あ、やっぱり?でもね、だからこそなんだよ?こうやって、早く慣れてもらおうって!」ムギュー

やよい「うむむー、ちょっと苦しいですー」

貴音「あっと、ごめんね?やよい」パッナデナデ

やよい「うぅ~、う…うぅぅぅ~」

―――別室

P「やよいが耐えがたい違和感に困惑している!かわいい!」

千早「あぁ…四条さんがうらやましねばいいのに」

律子「これは病気ですねww」

小鳥「稀代の歌姫は案の定病気だった!これは号外が飛びますね」

春香「案の定www否定できないのが悔しいです」

―――事務所

貴音「~だからね、私やっぱり間違ってたと思うの」

やよい「そうなんですか~…でも、私は前の貴音さんも好きだったかな~って」

貴音「―――っ!」

―――別室

P「やっぱりやよいは癒し…いやもはや天使だなぁ」

千早「気づくのが遅すぎる気もします」

真「千早が早すぎて、そして深すぎるだけだよ」

春香「私…二人目でも、いいよ?千早ちゃん」

律子「急にきたわね…はぁ…正常者はいないのかな」チラッ

響「カンペキってさ…正常であると同時に異常でもあるからカンペキなんだよね」

小鳥「マイノリティを恐れないで響ちゃん」

―――事務所

貴音「…ないで…」プルプル

やよい「え?貴音さん、何か言いましたぁ?」

貴音「勝手なこと言わないで!!!」ツクエバーン

やよい「きゃ…!!」

貴音「私がどんな思いで…何をされて、こうなったかなんて知らないくせに!!」

―――別室

千早「オイコラ四条!!てめ、離せよプロデューサー!」

P「保安官!保安官を呼べ!」

律子「急なイメチェンを指摘したらブチ切れ…情緒不安定を演じてるのかしら?」

小鳥「あぁ…やよいちゃんが泣いちゃいそう…」

響「うぐ…この罪悪感はやよいにしか出せないぞ…」

真「貴音のアイアンハートは…これすらも防ぎきるのか!?」

―――事務所

貴音「こう言われたわ…『あなたって宇宙人でしょ』って」

貴音「知らないわよ!!もしかしたらそうかもしれないわよ!!なんで私に聞くのよ!!」

やよい「うぅ…ぐす…」ポロ…ポロ…

貴音「結局みすてりあすなんて(笑)でもつけられてしかるべき特徴なんだわ」

貴音「…ねぇ、なんとか言ったらどうなのよ。泣いてばっかりじゃ、私の心の傷は癒えないわ」

やよい「うぅ…貴音ざぁん…えぐっ…」

貴音「…はぁ…いっそのこと、泣き虫キャラとして…再デビューでも…ぐすっ…しようかしらっ…!」ジワ

やよい「!」

貴音「うぅ…ごべんなざい…やよいっ…私…やはりどこかで無理をして…」ポロポロ

貴音「ごめんなさい…強く当たってしまって…ごめんなさい…!」ボロボロ

やよい「だ…だがねざん…!うぅ…グス…!」ゴシゴシ

やよい「…貴音さん、大丈夫です。きっと、私にはわからないような苦労をしてるんだと思いますっ!」

やよい「それでもっ…全部は無理でもっ!わ、私に、出来る限りはっ…うぅ…」

やよい「その苦しさを!分けてください!」

やよい「きっと、とっても辛いのは、一人で頑張っちゃおうとしたからです!」

やよい「苦しかったら、誰かに頼っちゃえばいいんです!」

やよい「貴音さんは…一人じゃないんですから!!」

P「その通り。やよい、強くなったな」

やよい「ふえ?ぷ、プロデューサー!」

貴音「ふぅ…やはり、やよいは何か、不思議な力がありますね…人の心を開き、元気にするような」

やよい「あ、貴音さんが戻った!!」ペカー

千早「ようやく気付いたかしら高槻さんの凄さに。ところで四条さん?大事なお話があるんだけど」ザッ

貴音「…さ、先に謝っておいたではありませんか」タラタラ

やよい「むー、千早さん!ケンカはいけませんよー!」

千早「んあ!!」ブシャ

P「鼻血が弧を描いた…」

春香「末期ですね…」

響「伊織がいなくてまだ助かったのかな」

P「というわけでやよい!これ、なーんだ?」

やよい「う~?『ドッキリ大成功』?えぇ~!誰がですか!?」

貴音「あなたですよ、やよい。いつもと違う私を見てどのようなりあくしょんを取るのかを見るのでした」

真「情緒不安定キャラっぽかったけど、意外とあってたよね」

やよい「えっと、じゃあ、貴音さんがすっごく悩んでたっていうのも、ウソなんですか?」

貴音「…」

律子「そこは答えてあげてww」

やよい「…大丈夫ですよ、貴音さん!さっきのがウソだったとしても」

やよい「それでも、やっぱりみんな、何かに悩んでるはずなんです!」

やよい「だから、苦しくなったらいつでも、私と一緒に悩みましょう!」

千早「グスッ…うぅ…」ボタボタ

P「千早、垂れてないのが便だけっていうのは人としてどうなんだ」

貴音「やよい…ふふ、やはりあなたは素晴らしいお方です」ナデナデ

やよい「えへへ///」

春香「それじゃあ、いつものいっときましょう!」

やよい「分かりました~!貴音さん、手を挙げてください!」

貴音「はい」両手を挙げる

小鳥「ホールドアッじゃなくてプチョヘンザッじゃない?」

貴音「ふふ…冗句です」スッ

真「句…?」

やよい「行きますよ~、せーの」

やよい・貴音「「はい、た~っち」」パン

全員「いぇい!」

P「ふぅ…すっきりしたな」

―――別室

P「というわけで6人目のターゲット、高槻やよいでした~!うっうー!(裏声)」

千早「いい加減にしてください!!」ガシッ

律子「千早!ストップよ!」

小鳥「貴音の演技はどうだった、やよいちゃん?」

やよい「えっと~、なんだかすごかったです…本当に辛そうで、全然演技だってわかりませんでした!」

響「…」

春香「響ちゃん…やっぱり?」ボソ

響「春香…うん、やっぱり分かるか」ボソボソ

真「どうしたの、二人とも?」

春香「ううん、これはテレビじゃあ言えないからあとで」ボソ

真「?」

小鳥「はい続いてのターゲットは~」

P「うん、雪歩だな」

律子「軽い!さっきまでの勢いはどこへ!?」

P「気づいたんだよ律子…俺たちはもういい年だ」

小鳥「達ってなんですか…私はともかく、Pは温存タイムに入った模様です」

P「間違いなく真あたりのテンションだと、明日俺は起きられなくなる」

春香「私たちの何年先輩なんですか(人生の)…調整ぐらい、もっとうまくやってくださいよ」

千早「春香、Pにそんな芸当ができると思ってるの?」

やよい「うっうー!元気は確かに大事ですけど、ちゅうとはんぱはやっぱり避けるべきです~!」

真「もうアウトってことじゃない?それ」

貴音『あなた様…あなた様…』

P「お、またか。こちら本部、貴音氏、一体どうされた?」

貴音『失敗してしまったやもしれません…やよいに繰り出した、情緒不安定きゃらくたぁ』

貴音『本当は双海姉妹に披露するつもりだったのです…』

P「oh…」

律子「まぁ、イタズラにマジ切れってのはまだやりやすくかつ、趣旨に合ってるからね…」

P「…とりあえず、まずは目の前の萩原雪歩の討伐に全力を出してくれ、こちらからは以上」ブチ

貴音『…分かりました。』

P「くぅっ…すまない…貴音っ…すまないっ…!」

小鳥「謝るべき相手は雪歩ちゃんでしょう…何ですか討伐って」

もしかして作者、ガチで間違えちゃったのか

―――事務所前

雪歩「…」カツ…カツ

―――別室

響「何だろ…雪歩、調子悪いのかな?」

真「え、普通でしょ?むしろボクらみたいに独り言しゃべりながら来る方が異常じゃない?」

P「自覚はあったんだな」

―――事務所

ガチャ

雪歩「お、おはようございまーす!」

テレビ『うひひ…そこで…ワハハ』

貴音「ぶひゃははは!あぁ、いやてれびを見ててさwwwごめんごめん、聞いてるよ?」

雪歩「ひぅ!!??」

―――別室

律子「私の時パターンきた!!」

P「ある意味一番趣旨に則ったキャラだな…面妖からのかけ離れ具合がさ…」

響「た…貴音…いったいどうしちゃったんさっ…」オロオロ

春香「響ちゃんはやっぱりかわいいね」

千早「うぅ…ちょっと違いすぎて吐き気が…」

やよい「うぅー…これは…うぅ~」

小鳥「律子さんの時とは大違いwww」

P「仕方あるめぇよ…今回はかわいさなんて演出してないだろうからさ」

真「ただ単純に…汚いって印象ですよ…雪歩が今泣きそうになってるのもうなづける」

―――事務所

貴音「今ぁ?うん、事務所ー。あははwwwだからそんなんじゃないってばーwww」

貴音「確かに雪歩はかわいいけどぉwwwでもさ、こっちじゃあたしそういうきゃらくたぁしてないんだよねwww」

貴音「急に襲っちゃうとさ、なんか泣きそうじゃん?ちょwあははwwwまぁそうwwwそゆことww」

雪歩「ひぃぃぃ…!!??」

雪歩(これ…本当に四条さん…!?やだ…こんなのやだ…!)ジワッ

雪歩(胡坐かいて座って、1.5lコーラをラッパ飲みしつつ、ポテチを一人なのにパーティー開けして)

雪歩(見てるのは…ギルガメッシュLIGHT!?あのえっちな深夜番組の…それも、誰か来たことにも気づかないほどの大音量…)

雪歩(そしてそれを見て大笑いしつつ、下品な言葉づかいで誰かと電話…)

雪歩(出てきた私の名前と…うぅ…襲うって言葉…それが意味するのはっ…!)

雪歩「し、四条さん!!!!」ポロポロ

貴音「!?」バッ

―――別室

P「あはははははwwwwこれやっぱひどいwwww」

律子「これwww第三者視点から見ると化けますねwww」

やよい「私はまだ笑えません~…」

千早「高槻さん、あなたはそれでいいの…」ギュッ

響「うぅ…自分もちょっと参っちゃうぞ…演技だって分かってても…」

春香「それだけ貴音さんに付きまとうイメージって、絶対的みたいだね」

真「いや~…このキャラは誰がやってもダメでしょ」

―――事務所

雪歩「い…今のって…!」

貴音「…あぁ、ごめん。仕事だから切るね。うん、える・ぷさい・こんぐるぅ」ピッ

貴音「はぁ~…」パタン

貴音「雪歩…見ちゃった、か~…」クルリ

雪歩「うぅ…えぐ…し、四条さん…」ポロポロ

貴音「…うん!そうだね、今更隠しても仕方ないよね」

貴音「雪歩…」ジリ

雪歩「ひっ…や、やだ…」

貴音「さっきのが…あたしの本当の姿だよ…」

貴音「てwwそんな逃げなくたってもいいじゃんか~ww」

雪歩「や、やだぁ!!」ドタドタ

―――別室

P「貫くつもりかッ!!」

律子「こっちの方がダメージきついわぁ」

やよい「…」

千早「そうよやよい…あなたにはまだ早いの…見てはダメ、聞いてはダメ…」ギュ

春香「やよいがぐったりしてるのは、多分千早ちゃんのせいだよ」

―――事務所

貴音「ね、いい加減に落ち着いてくれないかな?」

雪歩「…」ブルブル

貴音「はぁ…もうめんどくさいな~…けど」ズイ

貴音「そういうところに惹かれちゃったところもあるんだよね~」ナデナデ

雪歩「…は…すか」

貴音「ん?なんか言った?」

雪歩「本物の四条さんはどこですか…」

貴音「四条?はいは~い、私が四条貴音ですよ~?」

雪歩「違います!!!」

貴音「!!」

雪歩「私の知ってる四条さんは、凛々しくて、かっこよくて…!」

雪歩「ちょっとよくわからないところもあったけど、でもだからこそすっごく綺麗で…!!」

雪歩「ラーメンが大好きで…雑誌でその記事を見る時の子供のような瞳が可愛くってっ…!」ウルウル

雪歩「月の光がよく似合ってっ…!その笑顔はっ…っ…とっても明るくてっ…!」

雪歩「わっ…私の知ってる四条さんはぁっ…ヒグ…」

貴音「雪歩…」

雪歩「戻ってくださいっ…」

雪歩「私の大好きだった四条さんにっ…!戻ってください!!」ボロボロ


P「あぁ、俺もその方がいいと思う」

雪歩「!?ぷ、プロデュー…サ…?」

P「はは、お待たせ☆」イケメンスマイル

貴音「雪歩殿…あなたの思いは、しかと受け止めました」ニッコリ

雪歩「!!…し、四条さんも!?」

小鳥「いやー…ちょっと泣いちゃったわ」

春香「とs」

真「それ以上いけない」

響「ちょっと止めるのが早すぎるぞ!?」

律子(年を取ると涙腺が緩くなりますからね…か。真…私でも追いつけない高速理解!)

雪歩「『ドッキリ大成功』…そういうことだったんですね」

貴音「ふふ…なかなか刺激的だったのではないでしょうか」

雪歩「ちょっとやりすぎでしたよぉ…!でも…」

雪歩「良かったです…またいつもの四条さんとお話することができて…」

P「確かに…開き直ったときは、傍から見てる俺たちですら不安になったもんな」

雪歩「はい…もう、会えないんじゃないかってっ…嫌な考えに押しつぶされそうになってっ…」

雪歩「ご、ごめんなさい!私っ…また…」ウル

貴音「ご安心なさい、雪歩殿」ダキッ

貴音「先ほどのを見て、私はむしろ安心しました。」

貴音「てっきり、変わり果てた私を見た雪歩殿なら、泣き出して、そして逃げ出してしまう、と」

貴音「勝手ながら、私は雪歩殿の限界をそこまでだと思っていました」

貴音「でも、あなたは違いました。あなたは私の想像などはるかに超えて、強い人です」

貴音「きっと私が…いえ、みなまで言う必要もございません」

貴音「そう心配なさらずとも、私はどこにも行きませんよ」

雪歩「…四条さん///」ポヘェン

真「ちぇ…なんか貴音に妬いちゃうなー」ポリポリ

雪歩「大丈夫だよ真ちゃん…私は真ちゃんも大好きだから…」

やよい「なんだかあったかいですー!」

―――別室

P「ふぅ…成長したな雪歩!」

雪歩「あ…ありがとうございますぅ…」

律子「今回は穴掘りにも逃げてくれなかったし、大したものよ」

響「カッコ良かったぞ!」

雪歩「ひぃ…そ、そんなほめられる人間じゃないですぅ…」

真「あはは、いつもの雪歩に戻っちゃった」

春香「何はともあれ、これでようやく折り返しってところかな?」

小鳥「この次に双海姉妹が来て、美希ちゃん、あずささん、伊織ちゃんの順番ね」

やよい「亜美真美か~…どうなっちゃうんだろー」

千早「さっきのボヤキからして、もうキレるのはやらないのかしら…」

小鳥「次のターゲットコールですけど…」

P「え?もう分かってんじゃないの?亜美真美だよ、あのいたずら姉妹」

律子「プロデューサー殿?力を抜くにも限度ってものがあると思うんですけど」ゴゴゴゴ

P「はーーーい☆続いてのターゲットは、765プロ最年少!」

P「竜宮小町の双海亜美!そして思春期入りかけのかわいい盛り、双海真美の!」

P「双海姉妹、どぇーーーす!!」

全員「…」

やよい「情けないですぅ!」

響「これは律子にも責任あるぞ…」

貴音『もし…?今、何やら事故の気配がしたのですが…』

小鳥「なんくるないですよ…いや、あることはあるんですけども…」

貴音『…?』

関係ないけど1のIDいいな

―――事務所前

亜美「んっふっふ~、そういえば真美と一緒に入りって結構久しぶりだよね→」

真美「だね→。もう全員がAランク以上だし、仕方ないったら仕方ないかもね」

亜美「今日はミーティングらし→からね、はてさて、一体何がどうなるやら…」

真美「…」

真美(兄ちゃんには…会えるのかな…?)

真美「…///」

亜美「およ?真美少尉、何を黙っておられるのかな!?」

真美「な、なんでもないよ!ただ楽しみだなってだけ!」

亜美「んっふっふ~、何を赤くなる必要があるのかは今は~…聞かないでおいてやるよ…」

真美「…かたじけない…このご恩、常世の果てまで忘れぬ…」

―――別室

P「実は俺、亜美真美回を一番期待してるんだ」

小鳥「と、いいますと?」

P「さっき貴音は失敗したって言ってたけど…あれを言い出したのはやよいが終わってすぐ…」

P「つまり、雪歩回までは脳内にでもある程度のプランがあったってことだ」

律子「…まぁ、一つ飛ばした先のことについてコメントしてましたからね」

P「ってことは今回にやるはずだったプランもあったわけだけど、それはすでに消えてしまった」

P「タイミング的に考えても、貴音が新しい計画を練り直す時間はない…」

P「つまり今から見られるのは、貴音のガチのアドリブってことだ」

響「うぅ~、頑張れよ~貴音!」

春香「確かに…今回は何も仕込みをしていない…」

千早「服装も普通…部屋の状態も普通…」

P「そのうえ激昂はできないときた…これはひとつあるで」

―――事務所

ガチャ

亜美・真美「たのもーーー!!」

貴音「ひっ…」ビクゥ

亜美「およ?お姫ちんだけ?」

真美「む~…(兄ちゃんも…いないんだね…)」

貴音「あ…あの…」モジモジ

亜美「ね→ね→お姫ちん?みんなどこにいるか知らない?」

貴音「え…えと…その…」モゾモゾ

真美「…?お姫ちん?どったの?そんなモジモジしちゃって」

亜美「こ、これは…兄ちゃん秘蔵のピンクロー何とかってやつかなー?」

真美「ぶっ!!ちょ、ちょっと亜美!何を言ってるのさ!!」

―――別室

P「亜美ェ…どこでそんなの覚えやがったんだ…」

律子「情報源はプロデューサー殿らしいですけど?」

小鳥「それよりも貴音ちゃんのキャラ…あれは何でしょう?」

千早「極端におどおどしていますね」

響「うう…あの様子…自分は知ってるかもしれないぞ…」

春香「え…どういうこと?」

響「あのへんてこなよそよそしさ…あれは動物たちにも見られるんだ…」

響「『新しすぎる環境』って言えばいいのかな…そういうのにストレスがたまってる感じがするぞ…」

真「新しい環境…?でも、あそこは通いなれたであろう事務所だし…」

やよい「亜美真美だって、仲良しだったはずですよね~…」

雪歩「…もしかして…記憶喪失…?」

響「それかもしれないぞ!いくらなんでも慣れてない感じがするからな!」

P「…ほう…」

律子「また難しい設定で来ましたね。」

春香「あっ動きがあったみたいです」

―――事務所

亜美「えええ!?あ、亜美たちのこと忘れちゃったの→!?」

貴音「ひぃ!?あ、あの…ごめんなさい…でも…」

真美「そんなにおびえなくてもいいYO!でも…本当に分かんなくなっちゃったの?」

貴音「…はい…あの…私が誰なのかも…」

亜美「…これは~…」

真美「困りましたな…」

―――別室

真「あの姉妹が手を出せずにいる…これは相当ってことなんでしょうか?」

千早「あ、でも一応動き出しましたね」

春香「あ~…ブルーレイでも見せるのかな…」

真美『ねぇねぇお姫ちん、真美たちはね、みんなでアイドルやってるんだよ』

亜美『これがその映像だYo…ね、何か思い出した?』

貴音『あいどる…あの…それって何でしょうか?』

真美『!!』

亜美『お、お姫ちん…!本当の本当に、忘れちゃったの!?』

やよい「うぅ~…ちょっとかわいそうになってきました…」

―――事務所

亜美「いっぱいお仕事したじゃん!レッスンも、このライブだって!!」

真美「あ、亜美!落ち着いて…!」

亜美「一緒に歌って、一緒に踊って…!」

亜美「みんなで、トップアイドルを目指そうって!!それも全部、忘れちゃったの!?」

真美「亜美!お姫ちんが怖がってるよ!!」

亜美「っ…!」

貴音「うぅ…ぐすっ…ず、ずみまぜん…うふぅえ…えぐっ…」ポロポロ

亜美「こ…こんなの…あんまりだよ…」

真美「っ…!」ダッ

亜美「あ、真美!?どこ行くのさ!?」

―――給湯室

亜美「真美ったら!っ…!」

真美「お、お姫ちんといったら…これしか、な、ないっしょ→…!」トクトク

亜美「カップ麺……うん、そう、そうだよ!」

真美「きっと、おいしさにしびれてビビッと、全部思い出すに決まってるYO!!」

真美「亜美、お姫ちんを落ち着かせておいて。出来上がり次第持ってくから」

亜美「っ…うん、わかった」タタタ

―――別室

P「さっすが真美!お姉ちゃんとしての意地を見せたってところか?」

律子「胃が痛いです…貴音は、どうしてああもすんなり泣けるんでしょう?」

春香「プロ…ですからね!」

―――事務室

真美「あと30秒…そろそろ持っていこうかな…」

亜美「真美、気を付けてね!」

真美「分かってるYO!……っ…っしょっと、到着!」

貴音「これは…いったい何でしょう…?」

真美「っ…イ、インスタントラーメンだよっ…お姫ちんの大好物っしょ→!?」

亜美「うっ…うぅ…」ウルウル

貴音「らぁめん………では、いただきましょう…」

亜美・真美「…ゴクリ」

貴音「ズズ…ゾゾゾ…。…大変、美味ですね…らぁめんというものは」

真美「うん、それで…?」

亜美「何か思い出せた?」

貴音「っ…」フルフル

亜美「そ、そんなぁ…!」

真美「っ…本当に…全部忘れちゃったんだね…お姫ちん…」

貴音「そのようです…」

貴音「このらぁめんという食べ物…おいしいと同時に、どこかなつかしい感じもするのです…」

亜美「!!それじゃあ」

貴音「でもそれだけなのですっ…私は何も…何も思い出せないっ…!」ポロポロ

真美「―――っ…はぁ…」

亜美「うぅ…真美…?」ウルウル

真美「メンカタカラメヤサイダブルニンニクアブラマシマシ!」

亜美「それって…二十郎のっ…」

真美「天海春香!如月千早!菊地真!萩原雪歩!」

貴音「…」

真美「高槻やよい!水瀬伊織!三浦あずさ!星井美希!」

真美「我那覇響!秋月律子!…っ…社長に、音無小鳥に…」

真美「兄ちゃんに…四条…貴音っ…!ぐすっ…」

真美「みんなっ…みんなで、765プロ…」

貴音「…」

真美「…もう…思い出せないんだね…お姫ちん」

貴音「申し訳…ございません」

亜美「うぇぇぇえええん…」

真美「謝る必要はないよ…記憶そーしつって、結構時間がたってから治ったりするらしいし」

真美「ゆっくり思い出せばいいよっ…!」

貴音「真美…さん…」

真美「っ…!!」ブワ

亜美「うわああああん…もうやだ…早く誰か来てよぉ…!」ボロボロ


P「呼んだ?今、僕の事呼んだ?」


亜美・真美「…え?」

貴音「…あなた様は少々、空気をお読みになった方がよろしいかと」

亜美「え?何これ?」

真美「兄ちゃん?あれ、お姫ちんも…んん!?」

P「それがな…俺を見たうれしさで記憶が戻ったみたいで」

律子「でたらめ言わないでください!亜美真美、おつかれさま」

小鳥「プロデューサーさんの持ってるものを見て!」

亜美「『ドッキリ』…」

真美「『大成功』…じ、じゃあ!」

貴音「ええ、記憶なんて失ってませんよ…」

亜美真美「」ポカーン

響「貴音ってやっぱり、ちょっと怖いぞ…」

亜美「お姫ちんのバガーーーーー!!!」ガバッ

真美「真美だぢ、じんばいじだんだがらねーーーー!!!」ギュー

貴音「分かってますよ。とても感謝しています」ナデナデ

真美「やっていいタイプのドッキリと、悪いドッキリがあるんだよーーー!!」

亜美「お姫ちんがやったのはっ…その、ダメな方っ…!」

貴音「ふふ…らぁめんが出てきたときは、私も演技を貫き通せるか不安になりましたよ」ナデナデ

やよい「私じゃあ絶対思いつきませんでした~」

律子「それにしてもあのいたずら双子がねぇ…」

P「全くです。いや~いいものが見れました」

小鳥「急にテレビモードに…切っ掛けが分かりません…」

―――別室

P「はい!以上、『双海姉妹と記憶喪失の貴音』でした!」

小鳥「そんなサブタイトルみたいなのなかったじゃないですか!」

春香「その感じで行くと私のは『天海春香とクソレズ色狂いの貴音』ってことになるんですね…」

律子「wwwwだからやめなさいったら!」

真「『菊地真とクソレズヤンデレの貴音』…」

雪歩「『萩原雪歩と実はダメダメクソレズだった貴音』…」

千早「『如月千早と哀れな捨てられクソ女の貴音』…」

小鳥「あんたたちwwwwアイドルがクソって言ってはいけませんwwww」

響「『我那覇響と幽霊におびえる貴音』…あ、これはけっこういい感じだぞ」

やよい「えっと~、『高槻やよいと』…うぅ~ん…?」

貴音『そこは『心が死にかけの貴音』とでもお入れください』

律子「だからなんでこっちの会話が届いてるのよー!!」

P「さぁさぁ残すところあと4組!もう終盤ですよ!お願いします音無さん!」

小鳥「続いてのターゲットは~~~~~~…」

P「ドゥドゥジャーン!!765プロが誇る天才おにぎり眠り姫、星井美希だぁー!!」

亜美「ミキミキか→、ドッキリとか仕掛けてもドッキリしてくれなそうだよね」

真美「それだよね→」

律子「そうか…そういう難しさもあるのね…」

春香「そもそもドッキリって常識ある人をターゲットにして、その反応を楽しむのが本来だもんね」

響「何がおかしいとか、あんまり考え無さそうだからなー」

千早「そう考えるとこの後に続くあずささんも難しそうね…」

真「…付け入るスキ…考えられるのは…母性…」

律子「それ、本人の前では言わないであげてね」

P「一つ懸念があるとすればハニー呼びかな」

律子「まぁ、演技に幅を出すための練習ということにでもしておきましょう」

小鳥「その作戦会議もばっちりおさめられてるんですけどね…」

貴音『あの…あなた様…』

P「ん?またか…はーい、どうした貴音?」

貴音『はい…少々、協力してほしいことがありまして…』

P「協力…?」

―――事務所前

美希「ふんふふんふふーん♪今日は3日ぶりにハニーに会えるの♪」

美希「ドアッ!ぶち破るの!まるでないかのように!!」タタタッ

ガチャ

美希「おっはようなのハニー!」

―――事務所

シーン…

美希「…誰もいないの…?」

―――ガッ…グチャ…グッチィ…ウヒヒ…

美希「!誰かいるの?」

―――チャ…ドチャ…ルチャ…アァハハハァ…

美希「?…返事してほしいの…ねぇ、美希だよ?誰なの?」

美希「…も~…このおかしな音は社長室から聞こえるの…」

美希「社長~?入るの~…」ガチャ

―――社長室

美希「誰か…!!…え?」

美希「貴音…なの…?」

貴音「あははぁ…あなた様ぁ…」ドンッドン

美希「貴音…?何してるの…?なんだか怖いの…」

―――別室

千早「やよいはダメ、見ない方がいいわ…というかこれ本当に放送できるの!?」

律子「分からない…けど、プランを話せば了承はしてくれたんだし…」

響「…」ガクガクブルブル

小鳥「…一応、状況を説明しておくわやよいちゃん…」

やよい「うぅ…できるだけやさしくお願いします…」

亜美真美「亜美・真美たちが視聴を止められないのは何でだろう^^」

小鳥「今二人と、今回ドッキリに参加したPがいるのは社長室」

小鳥「シーンとしては、出入り口から社長室のデスクを挟んで向こう側に、貴音ちゃんとPさんがいます」

小鳥「貴音ちゃんたちがしているのは、そうね…似非殺人よ」

小鳥「仰向けに横たわるPさん、その顔のすぐ横に『食用肉』を置いて」

小鳥「馬乗りになった貴音ちゃんが、ナイフでそれをめった刺し…それも清々しいほどの笑顔で」

小鳥「あ、もちろん本物のナイフじゃないわよ?さすがに危険だから…」

小鳥「そして、ドア付近に立ってる美希ちゃんからは、貴音ちゃんが刺しているそれがなんなのかは見えない」

小鳥「だけどデスクからはみ出たPさんの手…」

小鳥「それで倒れてるのはPさんだと判断し、そして体をイメージして、貴音ちゃんが刺してるのはPさんの顔だと誤認」

小鳥「血のりまで使う完璧使用だから、完全に殺害現場ですよ、それも愛しのハニーの」

やよい「全然やさしくありません~~~~~!!!」

―――事務所

美希「え?え?何なの…?………そこにいるのは…」

美希「ハニー…なの…?」

貴音「」ピタ

美希「貴音…何をしてるの…?」

貴音「美希ですか…?」

美希「っ…質問に答えるの!!貴音は何をしてるの!?」

貴音「…」

美希「答えてってば!!」スタスタ

貴音「!!きいいいいあああああ!!!!」ブン

美希「きゃあ!?」バッ

―――別室

真「ナ、ナイフを振るった!!一切の容赦なく!!」

―――事務所

美希「た、貴音!!危ないの!!きゃあ!」

貴音「あの方にそれ以上近寄るなぁぁああ!!」ブンッブン

美希「ハ、ハニーのことなの!?貴音!ねぇ、答えて!」

貴音「離れろ離れろ離れろ離れろォ!!」ビュッシュバ

美希「っ…」

ドタタタ!バン!

―――別室

響「じ、自分もう耐えられないさぁ!!」ブワッ

律子「ちょっと!これもう止めた方がいいんじゃないですか!?」

真「!!だ、大丈夫です!貴音のあのナイフさばき、当てるつもりのそれじゃなかったですから!!」

真(それにこの勝負…ワイルドVSマッドネスの構図…すごく興味がある!)

律子「心配してるのは美希の方よ!まだ確認が取れてないとはいえ、さっき倒れてたのがプロデューサー殿だってわかったら」

律子「間違いなく、我を忘れて飛び掛かるわ!!P殿がいない今、止めるタイミングはこちら次第なのよ!」

真(いや…貴音のは狂気というよりも…もっと繊細で凶悪なのかも…?)

千早「それでなくとも、あの鬼気迫る演技は少し刺激が強すぎるわ」

亜美「うぅ…ピヨちゃん…」グス

真美「あのお姫ちん怖すぎるよぉ…」

小鳥「大丈夫、あれは演技だから…そう、あくまで演技なのよ…」

やよい「…」(アイマスクに耳栓、千早の膝の上に座ってる)

雪歩「…」グッタリ

春香「雪歩…」ナデナデ

律子「っ…!あぁ、もう!なんでP殿はこのプランにGOサインを出したのかしら!!」

―――事務所

美希「貴音…キミ、本当に貴音なの…?」

貴音「…」

美希「さっき社長室で…何をしてたの?」

貴音「…」キョロキョロ

美希「あの時あそこにいたのは…ハニーなの…!?」

貴音「!っ…あの方をそう呼ぶな!!」

美希「やっぱりなのっ…!!答えるのっ!!さっきハニーに何をしてたの!?」

貴音「っ…その呼び方を…やめろと言っているんですよ!!!」ビュッ

美希「何をしてたか答えろって言ってるの!!!」バッ

貴音「やかましいいい!!!」ビュンッビュンッビュン!!

美希「答えるのおお!!!」サッサッサ

美希「ああああ!!」ガシッ

貴音「ふぐっ…!?(く、首を…!ま、まうんとぽじしょんに…!)」ドッドドッドサァ…

美希「貴音!答えるの!ハニーに何をしてたの!」ギリギリ…

貴音「っは…っぐ…こ、答える必要はぁ…はあああぁぁぁ…」グググ…

美希(!?…そんな…ミキが上に乗ってるのに…立ち上がったの!振り落とされる!!)ドサ

貴音「ありません!!!やああ!!(ないふ?で速攻!)」ヅガッ!!

美希「やああ!!(ころがってかわすと同時にっ…顔に蹴りっ!)」ボッ

貴音「っ…(後退は悪手っ…最適解は、股に接近っ…!)」グイイ

ミシィ…!

貴音「ぬぅ…(のーだめーじとはいきませんが…それでもっ…!)」

貴音「これでこちらからの攻撃も届きまs…うぐっ!?」ギチッ

美希「捕まえたの!!(足で挟んだの…!これで落としちゃうのっ…!)」ギリギリ…

貴音「うっ…ぬ…かはっ…はっ…(想像以上の力です…さすがは美希…と言いたいところですが…)」

貴音「まだまだ…お…われ、ま…せんっ…!」グググ…

美希「っ!(ナイフを投げて、空いているもう片方の手にパスした…まずいの!)」

美希「はああああああ!!(落ち待ちじゃ甘いの!首の骨を砕いてやるの!!)」ギリギリ!!!

貴音「っ…っ…!美…希…!」グググ…

美希「これで…終わりなのっ!!」



P「その通り!!終わりだ終わり!!」

美希「っ…!?ハ、ハニーなの!?」パッ

P「そうです僕です!ほら、これ『ドッキリパネル』!だからおしまい!!」

美希「ハニー…良かったの!!ハニーが生きてたのっ!!」ダキッ

律子「あ!ドッキリパネルそっちに持ってたんですね!?」ドタドタ

P「おお、律子!遅かったから勝手に止めちゃったぞ」

貴音「まったく…もう少し遊びたかったのですが…」

美希「貴音!あ、ちょっと貴音!?どういうことか説明してもらうの!!」

P「美希、これこれ」パネルヲミセル

美希「ドッキリなのはもう分かったの!それよりもっと聞かなきゃいけないことがあるの!!」

貴音「ふふ…まぁ仕方ないでしょう…どうぞ、何でもお聞きください」

P「あ、はい…その、ハニー呼びのところは、はい、編集でなんとか…あ、無理ですか、ですよね」

―――別室

P「いつもと違うあいつを見た時、そいつのいつもを知ってるやつらはどう反応するのか」

P「そんなドッキリをしてたら、いつのまにか高度な格闘戦になっていました」

P「というわけでドッキリ大成功~!星井美希でした~!」

美希「全然成功してないの!ただ怒っただけって感じだったの!」

美希「ハ…プロデューサーがひどい目にあうだなんて…たとえウソでも嫌だったの…」

真「…それにしてもミキはやっぱりすごいね!あんな変則的な戦闘、ボクには真似できないよ!」

真(まぁそれ以上に貴音の…才能を超えたスペックも気にはなるんだけどね…)

律子「久しぶりに冷や汗かいたわ…P殿は年少組の様子を見てないから成功なんて言えるんですよ!」

小鳥「亜美ちゃん真美ちゃんのおびえようといったら、それはそれは…」

P「むぅ…俺としてもあんな激しくなるとは思わなくってな…」

響「やっぱり経験してないからこその判断だったのさ~!貴音の演技は、嫌でも巻き込まれちゃうもんなんだぞ!」

P「わ、分かったよ!でも今度は安心だ、さっきのうちにプランを聞いてきたからな。激しさは生まない」

P「というわけで音無さん、いつものアレを!」

小鳥「はい…えぇ~、続いてのターゲットは!」

P「765プロトップの胸囲を誇るお姉さんキャラ、三浦あずささんですどうぞ!」

律子「いや来ませんよ?」

美希「やっぱりあずさは胸に関しての紹介があったの」

千早「…くっ」

亜美「んっふっふ~、あずさお姉ちゃんとお姫ちん…」

真美「胸囲のトップ2の光景か→、すっごいだろうね→!」

真「あずささんか~…さっきも言ったけど難しそうだよね」

響「でも貴音は美希だってはめきったんだ、きっとなんくるないさー」

春香「その言い方はちょっとやらしいよ響ちゃん」

貴音『もし…小鳥嬢…』

P「お、きたきたww音無さん、お呼びですよ」

小鳥「はいはい、何かしら?貴音ちゃん」

貴音『先に申しあげておきます…ごめんなさい』

小鳥「え?あ、あの…何が?」

P「まぁまぁ、じきに分かりますから」

小鳥「え、ちょ?何、何が起こるって言うのー!?」ピヨー

―――事務所前

あずさ(今日はとっても珍しいことに、30分しか迷わずに来ることができたわ~)ニコニコ

あずさ(目指せノン迷子!と言いたいところだけど~、いきなりは無理よね~)

あずさ(あせらなくてもいいかしらね~、さぁ、今日も1日頑張りましょう~)

―――事務所

あずさ「おはようございま~す」ガチャ

貴音「おや、あずさ…おはようございます」ニッコリ

あずさ「おはよう貴音ちゃん、って~あら?一人だけなのかしら?」キョロキョロ

貴音「そのようですね。ふふ、珍しいこともあるものです」ペラ

―――別室

春香「あれ、意外と普通ですね。何か読んでいますけど」

やよい「うっうー!やっぱりいつもの貴音さんが落ち着きます~!」ペカー

響「えへへ~、自分もそう思うぞやよい~」

小鳥「あばばばばばばばばあばばっばばばばばばばばばっばばばあ」ビクビク

亜美「うあうあー!ピヨちゃんが壊れたー!」

真美「エマージェンシー!兄ちゃん、人口呼吸だ!」

P「え///」

律子「何で照れてるんですか!!」

千早「四条さんが読んでるあれは…え!!///」

真「あはははそういうことか、小鳥さんのコレクションだ」

美希「あふぅ…なんかさっきので疲れちゃったの…起こさないでほしいの」

P「そうか、じゃあ美希はこの差し入れのおにぎりはいらないんだな」

美希「zzz…」

P「そ、そんな馬鹿な!!!!!あの美希がおにぎりで起きないなんて!!!」

―――事務所

あずさ(貴音ちゃん…食い入るように何か読んでる…邪魔しちゃいけないかしら?)ヨッコラセフィロス

貴音「…フム…ハテ…」ブツブツ

貴音「もし…あずさ…」

あずさ「ん?何かしら~?」

貴音「この…(ペラ)この本の男性たちは、裸でいったい何をしているのでしょうか…?」

あずさ「あらあら~あらあらあら~あ~ららららら~い」

―――別室

亜美「うあうあ~!あずさお姉ちゃんまで壊れちゃったYO→!」

真美「ヘタイロイ…うぅ?なんか知らない言葉が口をついて出てきちゃったんだけど→…」

響「うわー…ぴよ子も変態だったぞー知ってたけど」

真「おい響!そんなこと言うなんてひどすぎるぞ!今更すぎて」

千早「…すごい///」

小鳥「………………………」

小鳥「………………あっ、そうか、夢だったんだ」

P「ところがどっこいっ…!現実ですっ…これが現実っ…!」

律子「ていうか番組制作サイド!止めろよ!!何してんだよ!!」

―――事務所

あずさ「…あの~貴音ちゃん?その本、どこで手に入れたのかしら?」

貴音「はぁ、これは小鳥嬢のですくにあったのです」

あずさ(小鳥さん…あなたという人は)

あずさ「う~んと………………ごめんなさいね、どう言えばいいのかしら…」

貴音「それほどまでに名状しがたい行為なのですか?この…」

貴音「男性が、その股間にそびえたつ『それ』を、つがいの同性の排泄穴にねじ込む行為というのは…」


あずさ「…………もしかして貴音ちゃん…分かってて言ってる?」

貴音「分かってて…?………はて……?」ポカーン

あずさ「…」

貴音「…あずさも、これに関しては知らないということなのですか?」

あずさ「…ごめんなさいね」

貴音「いいえ、謝る必要などございません。誰であろうと、むしろ知らないものの方が多いことが普通でしょう」

貴音「それにしても面妖な書物です…思わず目を背けたくなるような世界…」

貴音「しかし同時に湧き上がる、この得も言われぬ高揚、興奮…」

貴音「…………どうなのでしょう」

あずさ「何がかしら?」

貴音「…………気持ち、良いのでしょうか…?」

あずさ「貴音ちゃん」

貴音「この刺された男性の表情…少なからず快楽を含んだように描かれています…」

あずさ「ねぇ、貴音ちゃん」

貴音「この殿方は一つしかありませんが…私には二つの」

あずさ「貴音ちゃん!!」

貴音「っ…!」ビクッ

あずさ「その本…貴音ちゃんにはまだ早いわ」

貴音「早い…とは?」

貴音「このぱっけぇじに記された『あ~る18』とは、18歳以上を対象とした内容であるということでしょう、小鳥嬢から聞きました」

貴音「私の齢ならば、それは満たしているのではないですか?」

あずさ「それは…あくまで目安であってね、実年齢がそうだからといって、それが読むに至ったというわけではないの」

あずさ「大切なのは精神の年齢なのよ、貴音ちゃん。」

あずさ「貴音ちゃんは、どこか浮世離れしたところがあるから、これまでこういった俗な内容の世界には触れた経験はないんじゃないかしら」

貴音「…確かに、このような面妖な感情は初めてです」

あずさ「それならまだ、小鳥さんのコレクションは貴音ちゃんには早いんじゃないかと思うわ」

貴音「…というのは?」

あずさ「…異常なのよ、これは」

―――別室

P「へぇ~、あずささんもけっこう話せますね。うん、意外としっかり大人だった」

律子「あのメンバーで竜宮小町やってこれてるのはあずささんの力がとても大きいんですよ」

律子「『わがまま伊織』に、『いたずら亜美ちゃん』。あの二人が私の特訓についてこれたのは」

律子「たまに出る、あのあずささんの理にかなった説得によるところが大きいです」

亜美「『納得』は!…すべてに優先されるんだぜ…」

真美「『いたずら亜美ちゃん』だって→、イカした肩書きだよね」

小鳥「異常…ふふ…これが普通でいられますかって…」ブツブツ

春香「Pさん、そろそろ止めとかないと小鳥さんの精神がヤバイです」

P「え~?もうちょっとガマンしてくれてもいいんじゃないですかぁ?」

―――事務所

あずさ「―――だからね、今の段階で貴音ちゃんに必要なのは、義務教育を超えた性教育…とでもいうのかしら」

あずさ「とりあえず、順序を踏まえて知っていくことが大切だと思うの」

貴音「なるほど…そう聞くと、私は興味の向くまま、誤った道を歩みかけていたのが分かります」

貴音「同性愛…理解には教育が必要であると、そうおっしゃるのですね」

あずさ「まぁそういうことね~…分かってくれたかしら?」

貴音「えぇ、分かっておりました」

あずさ「あらそう~…え?」

貴音「何か?」

あずさ「…え~と…うふふ、聞き間違いかしら~今『分かってた』って~」

貴音「えぇ、そう述べました」

あずさ「…」

貴音「…分かっておりました」

P「だって、ドッキリなんですもの」

あずさ「…あら?プロデューサーさん?」

P「はいそうです!いやーあずささんカッコよかったですよ!小鳥さん泣いちゃいましたしね」

あずさ「え、え~と、あらあら~、あの~まだいまいち状況が~…」

律子「あずささん、P殿の持ってるのは何ですか?」

あずさ「…『ドッキリ大成功』…まぁ~、うふふ、全然気づきませんでした~」

P「俺びっくりしちゃいましたよ、結構な時間性教育について説いてましたよね」

あずさ「うふふ、恥ずかしいですよ~。それで、ドッキリというのは…?」

貴音「私が『純情すぎて危うい貴音』を演じました」

あずさ「あらあら~」

貴音「あずさ、あなたの確固とした考え、真感服いたしました」

あずさ「あらあら~」

律子「あずささんがおかしくなっちまった!!」

―――別室

P「というわけで以上、三浦あずささんでした~!」

P「これまでの激しさはなかったものの、違った面で新鮮さを感じられる回でしたね~」

律子「私は今のところ一番好きでしたね。ターゲットの良い面をよく見られて」

あずさ「あらあら~恥ずかしいですよ~うふふ」

春香「Pさん!小鳥さんが息してません!!」

亜美「チャンスだ兄ちゃん!人口呼吸!!」

真美「ガッとやっちゃえ!!」

P「…いいのかい?」

小鳥と亜美とP以外「ダメー!!」

亜美「うええ!?みんなDOーしちゃったんだYO!?ていうか真美!?」

律子「テレビ…そう、テレビだから!!」

小鳥「…」

P「さぁさぁそれでは…名残惜しいですが、最後のターゲット!」

P「音無さんがダウンしてるため律子!テンション高めにふってくれ!!」

律子「はい!あなたなんて嫌いです!!!」

小鳥以外「…」ポカーン

律子「…え?」

やよい「今のは私でもわかりますぅ~」

―――数分後

P「律子!頼むぞ!3、2、ゴー!」

律子「えぐっ…つ…つづいての…ぐすっ…うぅ…タハゲットは…」ボロボロ

P「」

千早「休ませて…あげましょう…」

春香「代わり…私いきますから…」

P「…あぁ…頼む」

春香「やってきました、大ラスですよ、大ラス!P、最後のターゲット、言っちゃってください!!」

P「合点承知ぃ!765プロブレイクのきっかけであったと言っても過言ではない竜宮小町!」

P「担当の秋月律子Pは語る!765プロの救世主であったと!」

P「おっぱい大きいお姉さん、三浦あずさに、元気いっぱいのクソガキ、双海亜美!」

P「この二人を率いるウルルルィーーーダァー!!」

P「非常に不本意だがこう呼ぶほかにない、ツンデレおでこちゃん!」

P「スーパーアイドル、水瀬伊織ちゃんだァー!!」

律子「いろいろひどすぎますよーーー!!」

P「あ、復活した」

亜美「あずさお姉ちゃんはまだいいとして、クソガキってなんだYO!!」

真美「HEYHEY!血ィ見ることになっちゃうかもYO!?」

やよい「伊織ちゃんって、ツンデレさんじゃないんですか?」

P「それだけどな…ツンデレという概念ができる前から伊織はいたんだ」

P「だから俺が思うのは、ツンデレというカテゴリーに伊織はいないが」

P「しかし確かに伊織はツンデレではあるということなんだ!」

春香「まったく分かりません」

真「ツンデレ∋伊織ではなく伊織∋ツンデレということか…」

響「真がなんかさっきからすごいやつになってるぞー…」

雪歩「うぅ…やっぱりわからないよ真ちゃん…」

美希「あふぅ」

貴音『もし…みなさま…大事件です…』

P「ん、貴音?どうしたんだ、大事件って?」

貴音『ひとまず…こちらに来てください』

P「…え、これって…」タラリ

―――事務所

貴音「どっきりの内容が…思いつきません…」

全員(やっぱり―――…)

貴音「方向性はすでに決まっているのですが…そこまでどうやって誘導すればよいかが…」

P「…?」

律子「ここで思いがけない大問題ですね…」

春香「これまで全部貴音さんのアドリブだったんですよね…?」

貴音「ええ…始めに大まかな型はできていましたが、内容は即興によるところがほとんどです…」

千早「体力の方は、あとどれぐらい残っているの?」

貴音「…もう、美希の時と同じことはできないでしょう、という程度です」

美希「それはでこちゃんだって同じだと思うの」

雪歩「うぅ…何も思い浮かびません~…」

真「ボクも…このドッキリの趣旨は、貴音のいつもと違う演技を見てみたいってところだよね?」

やよい「えっと~、今までやってきたのは~…」

亜美「うあうあ→、あとはもう放送できそうにないのしか思い浮かばないYO!」

真美「エロエロ女教師…エロエロ女医…エロエロ団地妻…」

あずさ「あらあら~、おませさんね~うふふ」

響「ろ、論外だぞ亜美真美!」

響「貴音!貴音はどうして、自分たちを呼んだんだ?」

貴音「それは…」

P「…」

P「難しく考えなくてもいいんじゃないか?貴音」

貴音「あなた様…?」

P「迷ってるんだろ?すでに見え始めているドッキリの内容、でもそれはお前だけの力じゃ到達しえない」

P「だったら、頼ればいいじゃないか。そのために呼んだんだろう?」

貴音「…」

響「貴音…」

響「…貴音、自分協力するぞ!貴音の要求がなんであれ、それが貴音のためになるなら!」

貴音「響…!」

春香「もちろん、私たちもですよ!」

千早「ええ」

美希「トーゼンなの」

あずさ「うふふ、何が起こるのか楽しみだわ~」

亜美「さっきはけっこ→手玉に取られちゃったからね」

真美「んっふっふ~、軽々と予想以上の仕事をしちゃうYO!」

雪歩「うぅ…わ、私も、全力は出しますぅ!」

真「こんなムードじゃ断れないでしょ!」

やよい「やる気でてきました~!」

律子「は~、疲れることが増えたって感じです」

P「でもそういう疲れってさ」

小鳥「ええ、幸せな疲れってやつですよね!」

貴音「みんな…」ホロリ

響「さ、なんでもバシバシ言ってみるさ!何が来ても、なんくるないさー!」

P「…」

貴音「…分かりました…それでは、伝えます」

貴音「水瀬伊織にしかけるどっきりは…!」

―――事務所前、――――――数十分後

伊織「ご苦労新堂、それじゃ行ってくる」

新堂「お気をつけてwwww」

伊織「…どうしてこうなっちゃったのかしら」カツカツカツ

―――別室

P「…来たな」

律子「本当に大丈夫なんでしょうか」

P「さぁ…あいつらもプロとはいえ、まだまだ子供だからな…」

律子「…頑張れ…みんな…」

―――事務所

伊織「おはよう」ガチャ

シーン…

伊織「…ちょっと、あいさつぐらい返しなさいよ」

伊織「みんな」



全員「…」

春香「…おはよう、伊織」

千早「…オハヨウ」

美希「おはようなの、でこちゃん」

伊織「…ちょっと…何なのよこの湿った空気は!?」

伊織「何かしら、このスーパーアイドル伊織ちゃんの登場に畏怖でも覚えたのかしら?」

全員「…」

伊織「…黙ってちゃ何も分かんないでしょう…!どうしたってのよみんなして!?」

真「伊織…悪いけど、静かにしてくれ」

伊織「はぁ!?突然何よ!迷惑こうむってるのは私の方なんだけど!?」

響「説明はあとでするさ…まずは落ち着いてくれると助かる」

伊織「…何なのよ…みんなして…」ブツブツ

やよい「…伊織ちゃん、ごめんね。給湯室にでも行こう」

伊織「やよいもそのテンションなのね…いいわよ!邪魔者は退散してあげるわよ!!」スタスタスタ!

全員「…」

―――別室

P「今のところは順調だな…」

律子「メインの貴音は今のところ何のアクションも起こしてないですけどね」

P「…それにしても…重いな…」

律子「はい…さすがに現役ですね…」

―――給湯室

伊織「まったくっ…!あぁ~も~なんであんなにピリピリしてるのかしら…」

やよい「…」

伊織「…いつになったら説明してくれるの?やよいは知らない?」

やよい「ごめんなさい…」

伊織「…」ギリギリ…

―――事務所

ガチャ…

全員「!!」ガタッ

貴音「おはようございます」

春香「…来たね、貴音さん」

千早「来て早々に何だけど話があるの…四条さん、こっちへ…」

貴音「…はて?」

―――給湯室

伊織「…この声は…貴音が来たみたいね」

やよい「…そうだね…」フルフル

倒産か、誰か亡くなったか、月に帰らねばパターンか

伊織「…やよい?何を震えているの?」

やよい「震えてる…?そう…かな…?」フルフル

伊織「はぁ…とりあえず、何か飲もうかし―――」


ドガシャアン!!キャア!

伊織「!?」ビクッ

フザケナイデ!!ナ、ナニヲ…トボケルノモ…!…!

伊織「な、何?喧嘩!?」

やよい「…」ギュッ・・・

伊織「ちょっと!何の騒ぎよ!」トタトタ

亜美「待っていおりん」タッ

伊織「あ、亜美?ちょっと、どいてよ」

真美「いおりんにも事情を説明してあげるよ」ズイッ

伊織「…今はそれどころじゃないでしょう?」

伊織「ていうか何よ二人とも、いつもの鬱陶しいくらいのテンションはどうしたのかしら?」

亜美「…は?そんなのできるわけないじゃん。馬鹿なの?」

伊織「な!?今なんて…!!」

真美「亜美、説明しなきゃ何のことかわからないよ。いおりん、これを見て」パサ

伊織「…写真!?これがどうしたって―――え!?」ペラ

伊織「貴音と…プロデューサー!?」

―――数十分前

貴音『水瀬伊織にしかけるどっきりはずばり…』

貴音『【水瀬伊織と窮地に陥った貴音】、です!』

全員『…はい?』

貴音『すたっふの者、きゃめらと、現像の設備はありますか?』

スタッフ『えと…はい、ありますよ』

貴音『分かりました…それではこれから、外へ向かいます』

律子『え、ちょ、ちょっと!いくらなんでも説明が雑すぎるわよ!』

春香『そうですよ!話が全然見えてきません!』

P『窮地…カメラ…外…あぁ、なるほど。はは、そりゃ窮地だな』

貴音『あなた様は分かってくれたようですね』

響『プロデューサー!説明を求めるぞ!』

P『分かった分かった、じゃあ行きながら説明するとするが…貴音、あまり遠くへ行くことはできないぞ?』

貴音『分かっております。そのあたりでもよろしいです。では向かいましょう』

P『貴音の今回のどっきりの状況はな、【禁断の恋の発覚】とでも言い換えられる』

千早『禁断の恋…それじゃあ相手役は…』

P『そう、僕だ』

美希『!!い、いやなの!ミキがハニ…』

律子『美希?一応カメラはまわってるのよ…?』

美希『う…律子…さん。分かったの…』

P『まぁそう心配するな。多分腕組んで歩く程度で済むから』

やよい『うぅ~、まだよくわかりません~』

あずさ『うふふ、やよいちゃんはあとでゆっくり説明してあげるから大丈夫よ~』

雪歩『それを…あ、だからさっきカメラの確認をしたんですか』

真『なるほど!パパラッチを装うんですね!』

貴音『…このあたりからでよろしいでしょうか…?』

P『う~ん、もうちょっと遠くてもいいかな?』

律子『それでは…もうちょっと…ん~、ん!はい、ストップです!』

小鳥『おお…程よく怪しい…』

カメラマン『それじゃあ、こっちに向かって歩いてきてください!』

P『おし、行くか』

美希『う~ら~や~ま~し~い~の~』

春香『ガマン…ガマンですよ、ガマン!』

亜美『うひょ→!いい感じにラブラブですな→』

真美『(兄ちゃん…)』ズキン

P『どれどれ…お~、これはこれはwww』

小鳥『クロ、完全にクロ』

律子『私たちが直後に集まってきてなきゃそのままぶっこまれてますってぐらい黒ですね』

美希『た、貴音!次はミキがハ…プロデューサーと…!』

P『おいおいよせよ、もう時間があまりない。貴音、さっさと構想をぶちまけろ』

貴音『はい…それでは歩きながらですいませんが、どっきりの流れを説明します…』

―――給湯室――――――現在

亜美「パパラッチだよ。これがその写真。ついさっき雑誌の編集者の人から電話がかかってきて」

真美「それを受けた社長が確認と、その他もろもろで出かけて行ったところ」

伊織「そんな…まさか…」

雪歩「うぅ…うぇ…」ヨロヨロ

伊織「雪歩…!ね、ねえ雪歩、今そっちどうなってるの!?」

伊織優遇されとるのう

雪歩「…グス…」メソメソ

伊織「ねぇちょっと、泣いてる場合じゃないでしょ!?」

亜美「いおりん、その辺にしときなよ」

伊織「亜美は黙ってなさい!ねぇ雪歩、どうなのってば!」

雪歩「…なら…じゃな…」

伊織「…聞こえなかったわ、もう一度お願い」

雪歩「気になるなら見に行けばいいじゃないですか!!」ポロポロ

伊織「っ!!」ビク

雪歩「…うぅ~…もういやですぅ…もう何も…何も信じられないですぅ~…」(表現できないけどボロ泣きしてるってことで)

真美「それはダメだよ。それを止めるためにわざわざこっちに真美たちを寄越したんだから」

伊織「…雪歩…その、悪かったわ…気持ちも考えず…ごめんなさい」ペコリ

亜美「いや…でも、いいんじゃない?もうどーだってさ」

伊織「…亜美?」

亜美「知りたいんでしょ?行けばいいじゃん、亜美たちはキョーコートッパされたってことで」

真美「…ま、どうせ真美たちも終わりだしね」

伊織「ちょ、ちょっと…」

真美「いいよ、いおりん。まぁ察しはつくと思うけど、お姫ちんは今ジンモン受けてるらしいから」

亜美「ちょっとショッキングかもしんないね。さ、行くならご自由にどうぞ?」

伊織「っ…えぇ、行くわ、自由にさせてもらうわよ…!」スタスタ

亜美・真美・雪歩・やよい「…」

亜美・真美・雪歩・やよい「…ぷは~…」

亜美・真美・雪歩・やよい((((ミッションコンプリ→ト))ですぅ))

―――事務室

伊織(何だっていうのよ…みんなして、世界の終わりだみたいな雰囲気になっちゃって)

伊織(パパラッチ?禁断の恋?所属アイドル全員Aランク以上の超新星事務所のくせに…)

伊織(そんなのをもみ消す力もないわけ!?)

伊織「…」ソロリ…ソロリ…

真「…やっぱり来たんだね」

伊織「…おかげさまで。あの双子もキョーコートッパさせてもらったわ。」

真「そうかい。事情は聴いたんだろう?」

伊織「まぁね。面倒くさいことになってるじゃない」

真「っ…そうだね…本当に…面倒くさいよっ…」ギリギリ

伊織「で?あんたはここで見張り番みたいなかたちで何をしてるのかしら」

真「決まってるじゃないか、邪魔をさせないためだよ」

伊織「邪魔ぁ?理由がどうあれ、複数人で一人を叩きのめすのは粛清とは言わない、暴力よ」

伊織「それを止めるのは、果たして間違っているかしら?」

あずさ「間違っているわ~…特に理由がどうあれってところ…」

伊織「あずさまでっ…!」

あずさ「伊織ちゃんは、貴音ちゃんのしたことの意味を完全には理解していないみたいね」

伊織「意味?はん、男一匹取られたぐらいで情けないッたらないわ。とにかく通してちょうだい」

あずさ「無理よ、通ったところで伊織ちゃんには止められないわ」

真「それに…みんなが怒っているのは何もプロデューサーへの気持ちがどうとかってわけじゃないんだよ」

伊織「…どういうことよ」

響「分かんないかな?貴音の行動はさ、みんなの心だけじゃなくって」

響「夢をぶち壊したことにもつながるんだぞ…伊織、こういう雑誌って買ったりするか?」

伊織「響…それは、女性誌?いいえ、読まないけど…」

響「それじゃあ知らないのも無理はないかな…これ、見てみなよ」

伊織「これって…な…何よこれ…?」

あずさ「気づいたかしら?早いわ~、さすが伊織ちゃんね…」

あずさ「そう、そのデータ…『特殊な恋愛関係でいざこざがあった事務所のその他所属アイドルのその後』…」

あずさ「…第三位が枕営業よ…?こんな末路っ…」

真「だけじゃない。その次のページに各データが円グラフにして記されてるんだけど…」

真「『その後が存在しない』が…52%なんだよ…」

真「半分以上がっ!事務所ごと無くなってるんだよ!」

響「分かるか伊織?いくら今を輝く事務所だからって」

響「…いや、だからこそ危ないんさー…きっと社長の必死の交渉もムダだろうさ…」

響「765プロはもう…おしまいなのさ…」

伊織「…………」

真「分かった?これが貴音の犯した罪なんだ…」

あずさ「裁いても…裁ききれないのよ…」

伊織「…………」

伊織「…………はぁ…あんたたち…」



伊織「ほんっとバカね」

真「っ…何を…!」

伊織「まずはこんな薄っぺらい情報誌なんかを鵜呑みにしてる時点でもう腹筋が限界なんだけど」

伊織「それ以上に、これしきのことで揺らぐ夢だったってことがもう衝撃だわ」

あずさ「っ…」

伊織「…まぁ、あえて分かりやすくこの雑誌をソースにして言わせてもらうと」

伊織「……はは、普通に2位で『再ブレイク』してるじゃない…しかも1位が『下降気味になりながらも続行』って…」

伊織「全然、終わってなくないかしら?しかもアイドルなんて水商売で続行なんて…大成功じゃない」

真「口だけならなんとだって言えるよ…」

伊織「まぁそうね、否定しないわ。事実半分以上が事務所ごと崩壊してるしね…でも」

伊織「私に言わせれば、だから何?ってことなのよ…半分以上消滅?」

伊織「じゃあ半分未満の続行で行きましょうよって思わない!?」

伊織「私たち765プロは、いつだって逆境からの大逆転だったわ!」

伊織「961プロに妨害されて…新人アイドルらしいミスなんて連発しちゃって」

伊織「歌えなくなった歌バカだっていたわ!大切な人を怪我させたとかでやる気失くしたバカもいた!」

千早「…」

春香「…」

伊織「それでも乗り越えて、こうして忙しすぎるほどの毎日があるってことは!」

伊織「私たちみんながひとつになって頑張ってきたから!これに尽きるでしょ!」

伊織「それをたった一回デートをパパラッチに収められただけでまぁ…」

伊織「あんたたち、ちょっと甘えてるんじゃないかしら、調子に乗ってるんじゃないかしら!!」

伊織「…そんなことでウジウジ仲間割れ起こしてるあんたらなら、これがなくとも遅かれ早かれ堕ちていたわよ!」

伊織「――――――って思うの。どう?3割ぐらいは理解できたかしら?」ニッコリ

真「…」

あずさ「…」

響「…」

伊織「…まぁいいわ。通してくれる?さっきから音が止んでるけれど、大方私の演説に痺れでもしたのね、にひひ♪」

真「…」

伊織「…通るわよ。まぁじっくり考えなさい。私は依然変わりなく、トップ目指して走り続けるわ」

―――別室

P「やっぱり伊織はすごい」

律子「これですよ、この帝王っぷり!リーダー気質ですよねー…」

P「ていうかこれドッキリ…成功するんですかね?」

律子「さぁ…貴音がどこにゴールを設定してるかにもよりますが…」

―――事務所、ソファー

伊織「ジンモンとやらは進んでいるかしら?」ヒョコ

伊織「途中から音が聞こえ…な…え…?」

春香「…」

伊織「ちょ、ちょっと…これはどういう…え…?」

伊織「た…貴音…どうしたのよ…何で…」


伊織「何で血を流して倒れてるのよぉっ!!??」

千早「…何でって…刺したから…」

美希「とーぜんの報いってやつなの」

貴音「…コヒュー…コヒュー…」

春香「…まだ息はあるよ」

伊織「ハァー…ハァー…ハァー…」

伊織(く、狂ってる…この3人はやっぱり…)

伊織「な…何やってるのよ…」

伊織「外の3人!救急車を呼びなさい!早く!」

あずさ・真・響「…」

伊織「いつまで感動してるのよ!!そんな場合じゃないでしょ!!救急車を呼びなさいってば!!」

伊織(私の携帯は、給湯室のバッグの中…!)

千早「ねぇ伊織…さっきから聞いてたけど、あなたまさか四条さんの味方なの?」

伊織「ひっ…!」

美希「ミキ的にはでこちゃんがどうだろうと、どーだっていいの」

美希「どーせもうキラキラなんてできないし」

伊織「美希…あ、あんたっ…!諦めるっていうの!?」

春香「仕方ないよね…だって一度に二人に裏切られたんだしさ?」

伊織「春香っ…まさか、あんたまで?」

千早「それより答えてよ…伊織はそこのそいつの仲間なの?」

伊織「そ…そうだって言えば…?」

千早「…」(無言で血まみれのナイフを掲げる)

伊織「っ…!」

美希「…コワイなら違うっていえばいいと思うな」

春香「そうだよ…どうせもうアイドル続けることなんてできっこないんだし」

春香「変に意地はる必要なんてないよ」

伊織(…こいつらの言うとおり、ここはおとなしくノーと言うべきよ…でなきゃ死んじゃうんだから、ノー以外は言えない)

伊織(そんなことは分かってる…分かってるけど…!)

貴音「ゴホッ…ゴホッ…」

伊織「!…貴音…?貴音!?気が付いてるの!?」

凄いな伊織、どうやったんだ?


貴音「そこにいるの…は…伊織…ですか…?」

伊織「貴音!!しゃべっちゃダメ!!意識をつなぐだけでいいから!」

貴音「ケホッ…よいの…です…私がしたこと…それは…けしてゆるされなっ…ゴホ…はぁ…」

伊織「しゃべっちゃダメだってば!!ねぇ、誰か早く救急車を!!」

貴音「ひとつ…いいたかった…あなたに…いおり…」

伊織「もう…しゃべらないで…お願いだからっ…」ポロポロ

貴音「あなたは…素晴らしい…人間…その志…きっと…現実に…」

伊織「貴音っ…たかね…たかねぇ…」ポロポロ

貴音「ありがとう…ございまし…た…」ガクッ



貴音「このような茶番におつきあいいただき」ムクリ

伊織「え」

ガチャ!ドタドタ…

P「はいドッキリ~?」

伊織以外「大・成・功~!!いえーい!!」

P「FOOOOOO!お疲れ様~みんな~!!」

亜美「やっほ→!いや~面白かったYO!」

真美「楽しいもんだね→!!」

雪歩「うぅ…わたし、うまくできた自信がないですぅ~」

やよい「私もですー!でも、楽しかったからそれでいいですー!」

響「正しい!やよいは正しいぞー!!」ナデナデ

千早「あ!ちょっと響!高槻さんに許可なく触らないでください!」

美希「久しぶりに全力出してみた気がするの!!プロデューサー、ナデナデシテー!」

P「おう!ちょうど電動マッサージ機を買ってきてたんだ!思う存分ブルスコってくれ!」

あずさ「あらあら~」

真「ふぅ…いや~頭使うのってやっぱり疲れるなぁ~!」

春香「お疲れ様、舌戦、かっこよかったよ!」

貴音「ふふ…みなさま、ありがとうございました」

P「いよ!今日の主役~!」

律子「礼を言うのはこっちよ、久々に全員で仕事して楽しかったわ」

小鳥「いや~、失うことも多かったですけどね」ピヨ


伊織「」ポカーン

貴音「ふふ、伊織も、ありがとうございました」ナデナデ

伊織「…ドッキリ…ね…はは…もう、怒鳴る気力も失せたわ…」

貴音「素晴らしい演説でしたよ。私が思っていたよりもはるかに、あなたは王の器でした…」

伊織「当然よ…ていうか、今日は私、最初からドッキリだったのかしら?」

貴音「ええ、途中までは見事に予想通りに動いてくれました」

伊織「給湯室を出たあたりね…まぁ、違和感はあったわ」

伊織「あの子たちの演技じゃなくて、そう…流れって言えばいいかしら、そんなもの」

貴音「私が同じ立場でも、そのあたりで気づいたでしょう」

伊織「ま、結局まんまと引っかかったってわけね…」

貴音「お楽しみ、いただけましたか?」

伊織「そうね…点数をつけるとしたら60点ぐらいかしら」

貴音「まぁ!満点ではありませんか」

伊織「それ言い出したら言ったもの勝ちになるじゃないの!」

『初め』から?

―――事務所

P「はい、というわけで最後のターゲット、水瀬伊織でしたー!!」

伊織「…どうも」

律子「伊織、カメラはまわってるのよ」

伊織「分かってるわようるさいわね!はーい☆みなさんこんにちは!」

伊織「竜宮小町の水瀬伊織でーす!」

P「いおりんのプロ根性マジプロフェッショナル!!ということでですね…」

P「いやー、終わった終わった、一日かけて765プロのアイドル勢全員に貴音がドッキリを仕掛けるという企画」

P「さぞ疲れたことでしょう!」

律子「本当にね…まさかPに転身してからもこんな…被害者になるとは思わなかったわ」

P「被害者ですか。それでは律子は…」

律子「いえ、結構楽しかったですよ。ドッキリに関わった双方のいつもと違った面を見られて、非常にいい経験になったと思います」

P「ほうほう、まぁいくつかはアレなのもありましたけどね…」

律子「それは仕方ないと思いますよ、仕掛け人のアドリブで進行するなんて綱渡り企画ですから」

律子「でもそういうのを含めて、今回私はとっても満足のいく企画だったと思ってます」

P「なるほど、ありがとうな律子。それじゃあ順番に行くか…春香はどうだった?」

春香「楽しかったですよ!まぁ…私は…あんな姿をさらしちゃうことになっちゃいましたけど…」

春香「うん、そういうのも含めて、今日ほど新鮮な仕事はなかったっていうか…とにかく楽しかったです!」

P「はは…春香、エロかったよ」

春香「んな…!ちょ、ちょっとそれはまだ…は、早いっていうか…///」

P「次は響!どうだった?」

響「そうだな…自分、なんでかはわからないけどよくドッキリを仕掛けられるんさ~…」

響「その度に、自分が何を求められてるのかがわかんなくなったりしたさ…」

P「…」

伊織の伏線が気になる

響「でも今日のは良かったぞ!ただビックリするんじゃなくて、引っかかって良かったって思えるドッキリだったからさ!」

響「貴音には感謝してるぞー…自分、まだまだ頑張れそうさ!」

P「それは良かった!感謝されるってのはつくづく良いもんだな…それじゃあ真はどうだった?」

真「ボクですか…そうですね…ボクのドッキリは、やっぱりやられてる最中はただ怖いってだけでしたけど」

真「あとから思うと、ボクが知らず知らずのうちにかぶっていた、王子様の仮面をはがして過ごせたっていう」

真「とっても貴重な時間だったと思います。あのあと泣きそうになってたのは、実はこういう束の間の自分が恋しかったっていうのもあるんでしょうね」

真「とても楽しかったです。今度は違ったカタチで、違った自分を表現できればなと思います。ありがとうございました」

P「ほほー良いよ、良いコメント!次は千早!どうでしたか!」

千早「…カタチはどうあれ、私としてはトラウマをえぐられた、結構苦くて苦しい時間でした」

千早「だけど、そういった経験があったからこそ、私は今まで頑張ってこれて、ここにいることができる」

千早「伊織の演説を聞いて、さらにそれが身に染みました。いつの間にか、楽しい思い出でそれを消そうとしていたのかもしれません」

千早「…いい栄養になりました。私はまだまだ走り続けます。ありがとうございました」

P「案の定重いな…まぁいいや、この雰囲気を吹き飛ばしてくれやよい!どうだった?」

やよい「うっうー!とーっても楽しかったです!」

やよい「いっつも、ちょっと不安になっちゃうぐらい強い貴音さんが、あんな風に悩んでいるって知れて、ちょっとうれしかったです!」

やよい「ドッキリだったんだからそれは演技だったのかもしれませんけどー、それでもいいんです!」

やよい「私たちはずっと仲間だっていう一番大切なこと、伝えられましたから!ありがとうございました!」ガルーン

P「ホンマええ子やで…!はは…次は雪歩だな、どうだった?」

雪歩「うぅ~…さ、最初はやっぱり…とっても怖かったですぅ…」

雪歩「こんなの四条さんじゃないって、いつもの四条さんに戻ってほしいって…今思えば弱い考えですよね…」

雪歩「結局私は、相手のありのままを受け入れる勇気なんてないのかもしれませんけど…」

雪歩「あのあと四条さんが私に言ってくれた、弱さを受け入れて、そして伝えることの方が勇気がいるってこと…」

雪歩「私は、まだまだ弱いって分かってます。だからこそ、頑張れるんだって…ちょっと自信がつきました。ありがとうございました!」

P「…そうだな、雪歩は。雪歩はそれでいい、俺たちはいつでも支えてやる。だからめいっぱい走れよ」

P「さてさてお次は亜美と真美!どうでした~…か!?」

亜美「ちょ→楽しかったYO!」

真美「それに尽きるね→!ていうか真美たちにコメント求めるなんて馬鹿げちゃってると思うYO!”荒れる”ぜぇ…?」

P「まぁまぁ、簡単なのでいいんだ」

亜美「そうだね…やっぱり今日気づいたのは、亜美たちはまだまだガキンチョなんだってことかな→」

真美「お姫ちんが記憶喪失だったら…だっけ?あれはキツかったYO」

亜美「耐えられなかったもんね→、すぐに119すれば良かったのに、そんなことも気づかないぐらいパニクっちゃって」

真美「やっぱり真美たちには、まだ765プロ全員が必要なんだって…その…ツ→カンしたよ!」

亜美「でも→、それにもう一回気づけたってことの嬉しさが、悲しさを吹き飛ばしちゃった感じが強いYO!!」

真美「まだまだサポ→トよろちくね→ん!ってなわけで→…」

亜美・真美「3・9・4・えヴぁ→!!」

P「おお…意外と普通にコメントできてた…美希はどうだった?」

美希「…あんなのミキじゃないの」

P「ま、まぁ気持ちは分からなくはない…かな」

美希「でも、楽しかったのは本当なの。あんなに怒ったのなんて久しぶりだったから」

美希「ハ…プロデューサーを出汁に使ったのはちょっといただけなかったけど、趣旨を考えればミキ的には、あれ以上ないってぐらいピッタリだったかもって思うな」

P「趣旨…?」

美希「それは多分貴音本人が言うから、ミキはもうおしまいなの。ありがとおやすみ~」ドサッ

P「こいつは…まぁいいか、あずささん、どうでしたか?」

あずさ「そうですね~、やっぱり私も楽しかったかしら」

あずさ「純粋すぎる貴音ちゃん…いつもは、なんでも御見通しって感じだから~、新鮮だったわ~」

P「…まぁ、そういう回でしたから」

あずさ「う~んと、うふふ、何を言いたかったか忘れちゃいました」

あずさ「とにかく、貴音ちゃんにはおつかれさま、そしてありがとうございました~」

P「いつものあずささんだ…落ち着くんだけどなんだか~…」

P「というわけで伊織の番だ、どうだった?」

伊織「聞くところによると私の時だけ、今までの被害者総出(律子除く)で私に仕掛けてきたらしいじゃないの」

伊織「まったく…無駄な手の込みように呆れて言葉も出なかったわ」

伊織「でもまぁ…私自身、はっきり言って予想外だったわ…あの超前向きな演説」

伊織「口をついて出てきたんだけど、今思うとちょっとくさかったわね」

伊織「でも、ま、良かったんじゃないかしら?この伊織ちゃんのエレガントでスーパーアイドルな一面を見れてね♪」

伊織「…まぁまぁ楽しかったってところだわ。次はも~っと、私が輝くようなどっきりにしなさいよね、にひひ♪」

P「それならこの照明をば伊織のおでこに…」

伊織「ふざけんじゃないわよ!!」ベシッ

P「あいてー!伊織がぶったぁ~!」

伊織「まったく台無しだわ…ほら、早く主役にインタビュー行きなさいよ」ゲシッ

P「こ、今度は蹴りやがった!!この野郎~…」

P「というわけで貴音だ!今日は一日お疲れ様だったな。コメントいけるか?」

貴音「ええ…では」

貴音「本日は、私が仕掛け人を務めさせていただきましたどっきり番組にご参加いただき、ありがとうございました」

P「ご参加っつーか…まぁいいや」

貴音「本日のてーま…『私の今までとは違う演技を見てみたい』ですが、実はそれは私の中では最優先事項ではありませんでした」

貴音「あくまで番組としての方向性であり…私が真に求めていたのは、私のというよりは」

貴音「たぁげっとである皆様の、新しい一面なのでございます」

貴音「律子嬢から始まり、伊織に至るまで…おそらく私どもしか知らない、あるいは私どもでも知らない皆様が」

貴音「そこには少なからずいたと、そう思われます」

貴音「…私としては、大変満足のいく内容になりました。これが本日私のために動いてくださった」

貴音「すたっふ様方の求めるものとして十全たりえたかは分かりませんが…おそらく、これが私の限界でしょう」

貴音「これ以上のどっきりは、仕掛け人が私である限り不可能でしょう…そう思える、内容でした」

貴音「本日はご協力いただき、ありがとうございました…」

パチパチパチ…

貴音「―――最後に、この企画を実行するに至った原初の人物…我らがぷろでゅーさーに、概評をいただきたいのですが…」

貴音「よろしいですか?」

P「…まぁ、予想はしていたからな。期待はするなよ?」

貴音「もちろんでございます。では…」

P「それじゃあ…オホン!」

P「こんにちは、みなさんご存知765プロのプロデューサーです…」

P「概評に入る前にちょっと…」

P「ん~…そうだな…突然だけど、みんなは演技についてどう思う?…って、ちょっと抽象的すぎたか」

P「演技っていうかそうだな…よく漫画とかである『あいつは○○だけど本当は××だ』ってやつの『本当は』ね」

P「『補導歴のある不良だけど、本当は子供が大好きでよく世話をしている、だから良い奴だ』とかいうの」

P「そういう、『本当の自分』って…果たしてあるのかどうか。あると思う?春香」

春香「え!?あ、あの~…は、はい。誰しも、表向きの顔と…裏って言えばいいのかな?はあると思います」

春香「よくそういう裏表ってマイナスの面でみられるんですが、誰とも接し方を変えない、どこでも自然体でいるっていうのは」

春香「…ただのわがままだと思います。礼儀を知らないだけだと思います。むしろそっちの方がよっぽどマイナスだと思います」

千早「…」

春香「…あの、ちょっとずれちゃいましたか?要するに裏表…」

春香「ちょっと語弊があるかもですけど、偽った自分に対しての本当の自分っていうのはあってしかるべきであって」

春香「むしろない人は、それは生きることを失敗していると言わざるを得ない…そんなものなんだと思います」

P「そうか、ありがとう春香。でも俺はないと思う。」

春香「!?」

俺「!?」

P「って言うのもな…今の春香の言い分を聞いてて感ぜられるこの…息苦しさというか…」

P「あぁ違う、春香を非難してるわけじゃないから。ただその…逃げてるように思えるんだよ」

P「俺が思うのは、いつどこでだって、どんな感じだって、それらは『全部本当のお前』あるいは『全部うそ』だってことなんだよ」

P「『電車でシートに座っている、目の前にはおばあさん、偶然眠たかったから席を譲らなかったけど』」

P「『俺はネトゲではある有名なギルマスで、仲間から慕われている、本当は俺はやさしいんだ』ってなるか?」

P「今春香は、社会の中でコロコロ入れ替わる自分について、それらは偽りであると表現した」

P「可変自在な自己が偽りであるとするなら、逆にそれって『本当なんてない』ってことにはならないか?」

千早「…論理が飛躍しているように思います」

P「…まぁそうだろうな。ちなみに千早はどう思うんだ?」

千早「…礼儀としての裏表は確かにあると思います」

千早「事実私も、頭を下げながら心の中で悪態をついたこともありました。」

P「…その悪態をついている心の中のが『本当のお前』って言いたいのか?」

千早「…はい、そうなります。」

P「なるほどね。まぁ分かってるとは思うけど、『本当の自分』があったとしてなお俺が『本当のお前』だとみるのは」

P「現実に頭を下げている千早だ―――ってこと。」

P「だって、今それ言うまで、千早の本性ってやつを社会は認識できなかった」

P「つまり周りの皆様方は、千早は素直に謝る扱いやすいお子様だ~という認識で完結してしまってるわけだから」

千早「あくまで社会視点というわけですね」

P「まぁな。アイドルだって、いわば人気が…社会の認識がすべてじゃないか」

P「一番そういったものに触れて来たお前らなら…いや、逆か」

P「触れてきてしまったからこそ、どこかにある『本当の自分』というものを、あると信じて壊さないようにしなきゃいけなかったってところか」

千早「っ…」

P「まぁ間違ってないよ。お前たちはお前たちのやり方で、目指すところを目指せばいい」

P「俺たちはあくまで、それを全力でサポートするだけだからな」

全員「…」

P「…だいぶ話がずれたな、そろそろ戻そうか」

P「俺が言いたかったのは、演技だって本当だってこと」

P「日常的に言葉づかいや態度を変える…演技ってのは普段から自然と行われているものなんだ」

P「シーンに関わらず振りまいた自分、それを社会が目撃した瞬間、お前ができる。」

P「今日、貴音が披露してくれた大量の『新しい貴音』、本人は分かってるとは思うけど」

P「…どの役にも共通して言えたのは…『壊れそう』とか『危うい』とか…『不安』『反社会』『葛藤』…」

P「―――『負』だよな。なぁ貴音?」

貴音「…」

P「あえて弱い…『本当の自分』を見せたかったんだ」

P「少なくとも俺は、今日の貴音の行動を、こう認識している」

貴音「…ですがそれは…」

P「言わなくてもいい、か?果たして本当に?」

貴音「…えぇ、ただでさえ…きゃめらの前…それに、皆には伝わっているはず…です」

P「…ふぅん…ま、それならいいか!小難しい話は置いといてとりあえず概評だな!」

小鳥「マジレス乙っと…」カタカタ

P「本日の貴音によるどっきり!全体を通して点数を付けるなら、問題なく100点です!!」

春香「お、おお!すごいです!」

P「トップバッター律子の涙、二番手春香の淫乱な表情も良かった!」

春香「ちょww」

P「三番手、幽霊におびえる貴音に勇敢に立ち向かった響の友情と勇気!これは称賛に値しよう!」

響「て、照れるぞ…///」

P「四番手、真が珍しくタジタジ!?とっても新鮮でそそったぞ!」

真「普通にセクハラじゃないですか!?」

P「千早ァ!誰よりも失うことの恐さを知ってる千早ならではの強さ、輝かしかったぞ!」

千早「…はぁ、あ、ありがとうございます」

P「次のやよい!その笑顔はさながら太陽のように、皆の悩みを吹き飛ばしてくれるな!」

P「変わらないものなどない、それは分かっているが、どうかその暖かさ、忘れることだけはしないでくれよ!」

やよい「うっうー!ありがとうございますぅ!」

P「雪歩!お前はすっかり強くなったな!俺は安心したぞ!もうすっかり一人前だ…」

P「だけどまだまだ世話させてくれ、俺はお前の成長が楽しみだからな!」

雪歩「は、は、はいぃ!///」

P「真美と亜美!元気盛りのいたずら盛り、そんなお前らのやさしさ、嫌いじゃないぜ!」

亜美「言ってくれるね兄ちゃん!覚悟しろYO→♪」

真美「に、兄ちゃん…嫌いじゃないってそれ…///」

亜美「ま、真美ィィィ!!!」

うどんうめえ。やっぱ夏は冷やだわ

P「美希!そのあふれんばかりの才能、お前にできないことはあるのか!?」

美希「プロデューサーと一緒なら、不可能なんてないの!だから、これからもよろしくね!」

P「任せろ!次はあずささん!普段とは違う凛々しさを感じたあの感動!僕は敬意を表する!」

あずさ「うふふ、ありがとうございます~♪」

P「そして伊織、お前のトップへかける思いには正直震えたぞ」

伊織「当然!ここまで来て終われるもんですかってのよ!」

P「その意気込みや良し!お前は俺の担当ではないけど、俺はいつでもお前を見ているからな!」

伊織「なっ…///ちょ、ちょっと何を言ってるのよ!バカっ///」

P「音無さん!あなたとの実況、楽しかったですよ!またご一緒したいですね!」

小鳥「」ピヨー…

P「そして…貴音」

P「…どの演技も素晴らしかった!間違いなく今日の番組的な目的は達成したといえよう!」

P「そしてさっき述べたお前の目的…これも、達成だったな」

貴音「…はい」

P「文句なしの100点!この中の誰が欠けても、これは達成しえなかったろう!」

P「今日、俺は765プロのパワーというものを再確認できた気がする」

全員「…」

P「…はは…いい言葉が思い浮かばないな…」

貴音「あなた様…」

P「…まぁいいさ!言葉じゃなく心で、言いたいことは伝わってるはずだ!」

P「このままいつものいくか!みんな、寄れ寄れー!」

P「…集まったな、いくぞ!せーの…」

全員「目指せ、トップアイドル~!」

                            ―――エピローグあるけどいったん終わり―――

何故かさわやか三組で弁当忘れた奴の回思い出した

説教くさいか…まったく気づかなかった。とりあえずこのまま最後まで投下しちゃう



―――数週間後、夜、月の見えるどこか

貴音「本日の月は…どこか騒がしく感じます…」

貴音「しかしこれは…決して騒乱というべきものではなく…古語でいうところの「ののしる」に値しますね…」

スタ…スタ…スタ…ピタ…

響「…何を言ってるのかわかんないぞ…」

貴音「ふふ…独り言ですので…伝わらないがむしろ正解でしょう…」

響「う~ん、やっぱり貴音の言うことは難しいさ…」

貴音「精進あるのみです」

響「変なところで熱血さ…あ、そうだ。放送は見たか?」

貴音「…あのどっきりですか…残念ながら仕事続きでして…」

響「あぁ~…それは仕方ないさ…狙い通り、演技のお仕事が急に増えたからな~…」

響「…放送前なのにオファーが殺到するって…結構すごいDさんだったんさー」

響「…視聴率。知らないよね?」

貴音「はい」

響「深夜にでっかく3時間枠を作ってもらったさ…11時から」

響「そんな遅い時間帯なのに、平均視聴率が16.8%…これは異常な数字さ…」

貴音「なんと…」

響「瞬間最高視聴率が22%で、伊織の帝王演説だったらしいさ…まぁ、あれには納得だぞ」

貴音「あれは大したものでした…」

響「仕方ないとはいえ、カットされたシーンの多さも気になるさ…」

響「大反響らしくて、未公開詰め合わせの特番を近々組むとかいう話もできてるらしいし…」

響「…それでも、あのプロデューサーの、最後のスピーチは放送されないだろうさ…」

貴音「…あれ…ですか…」

響「…自分、ずっと考えてたさ。恥ずかしいことに自分、貴音が『伝わってるからいい』って止めたあの部分…」

響「あの時はまだ、理解できてなかったさ~…」

貴音「…まぁそうでしょう…理解できる方の方が少ないと…あるいはいないと思っていましたから」

響「…プロデューサーの言った『貴音は、あえて弱い自分を見せようとした』…これの意味するところ…」

響「…あう~、でもこれ、間違ってたらめちゃくちゃ恥ずかしいぞ~…」

貴音「構いませんよ、おっしゃってください」

響「…うん…まず、さっきの言葉だけど…やっぱり自分ひとりじゃ、答えまでたどり着けなかったんさー」

響「だから家に帰って、ハム蔵たちに聞いてみたんさ~…間違いなく、それがキーワードになるって思ってたから」

響「…そしたらみんなして『こんなこともわからないなんて…』って言うんだぞ!?ひどくないか!?」

響「それで、とりあえずヒントだけでもいいから教えてくれって頼んだんだ…そしたらいぬ美がさ…」

響「…急に、仰向けになったんだ…」

貴音「…」

バカやってるプロデューサーは顔が『P』という風潮

響「自分、動物のことなら分かるんだ…あの姿勢…自分の弱点を晒すっていうのはさ…」

響「『服従』あるいは『絶大な信頼』の顕れなんさ~…」

貴音「…」

響「い、犬の行動を人間にあてはめるのは、そりゃあ失礼だって分かってるし」

響「よりにもよって『服従』だなんて…貴音に限ってこれは…って思って…てなると…」


響「し…信頼しか…残ってないんさ~…///」

貴音「…」

響「じ、自分がたどり着けたその考えはさ…とっても都合がいいんだ…だから、正解だなんて思わない、んだけど…」

響「『貴音は…765プロの皆を信頼している』から…だから、あんな無茶苦茶な演技をしたんだって…」

響「…そう思うんだ。」

貴音「…」

響「へ、返答なんていらないさ!こんな…心に関わる問題なんて、変わっちゃうものなんだし」

響「しかもこういうのって、分かるもんじゃない…もっと自分勝手な…解釈って言うべきものさ…」

貴音「…」

響「自分は正直言って、貴音のこと…ほとんど知らないさ」

響「いっつも『とっぷし~くれっと』で誤魔化されて…正直むかついたこともあったさ…」

響「だからこそ、信じたいんだ。貴音もまさしく、765プロの仲間なんだって」

貴音「…」

響「…なんだか照れくさいさー…でも」

響「照れくさいついでにこれも言っておくさ」

響「自分は、貴音のことも、765プロの皆の事も、」

響「信頼してるさ」

貴音「…」

響「相手がどう思っていても、たとえ馬鹿だってののしられても」

響「この気持ちと…あと、トップアイドルになるって夢は、絶対揺るがないぞ」

貴音「…」

響「…そ、そろそろ何か言ってほしいさ…」

貴音「…………ふふ」ナデナデ

響「うひゃあ!?た、貴音!?」

貴音「響はまこと、かわいらしいですね」ナッデェェナッデェェ

響「あうぅ…ご、誤魔化されてる気がするぞ…///」

貴音「ご安心ください。私も、ゆるぎなくあなた方を信頼しております」モシャモシャ

響「…!そ、それって…!」

貴音「ふふ…」パッ

響「おわぁ!?」トトットト

貴音「おや、少し私に体を預けすぎではありませんでしたか?」

響「…し、仕方ないさー!!///」

貴音「ふふふ…」

響「まったくもう…」

貴音「…まこと、月が綺麗です」

響「そういえばぴよ子に聞いたことがあるぞ…」

響「月が綺麗ですねは、なんかロマンチックな英語の和訳だって」

貴音「おや、そうなのですか?私いんぐりっしゅには明るくないので…」

響「なんか日本人の偉い人の仕業らしいから関係ないらしいぞ…」

響「貴音…」

貴音「なんでしょう、響?」

響「…いや、どうせ答えなんて分かってるからいいさ!」

貴音「おや、そうやって結果だけを見て挑戦を放棄していると、いつしか…」

響「あー分かった、分かったよ~!」

響「あの、な…貴音」

貴音「…はい…」

響「貴音は、765プロのみんなのこと、何だと思っているのさ?」

貴音「ふふ…そんなことでしたか…」

響「…さっさと答えるさー!ま、答えなんて分かってるけどね!」

貴音「ふふ…それはもちろん…」


貴音「とっぷし~くれっと、ですよ!」

――――――本当に終わり――――――

最後がこんなに酷評なんてもうやだ…
とりあえず読んでくれてありがとう

このSSまとめへのコメント

このSSまとめにはまだコメントがありません

名前:
コメント:


未完結のSSにコメントをする時は、まだSSの更新がある可能性を考慮してコメントしてください

ScrollBottom