秋山蓮「城戸が鏡に話しかけていた?」 (108)

優衣「そうなの。洗面所で顔を洗ってる時……」

蓮「そこまで馬鹿だったとはな……それとも寝ぼけていたんじゃないのか」

優衣「そういう雰囲気じゃなくて、きっと何かあったんだと思う。
   ねえ蓮、心配じゃないの?真司君のこと」

蓮「あいつに何があろうと、俺には関係ない」

優衣「あ、ちょっと蓮!待って!蓮!」


まだ登場していませんが真司は女の子です。
時期は気にするな!あと手塚贔屓です。
下手の横好きな文章力ですがお付き合いいただけると嬉しいです。

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優衣「蓮ったら……本当は心配なはずなのに」

真司「優衣ちゃん、どうかしたの?」

優衣「真司君……あの、さっき鏡の前で」

真司「鏡の前で?」

優衣「何か喋ってたみたいだけど……」

真司「そっ……そうだっけ?覚えてないなぁ~」

優衣「……真司君、なんで目を逸らすの?やっぱり何か話してたんでしょ?
   もしかして……お兄ちゃんと!?」

真司「いやいや、そうじゃないって!」

優衣「そうじゃない……ってことは、話してたことは否定してないよね?」

真司「そ、そんなことないからさ!勘違いか何かじゃない?
   あ!もしかして熱とかある?」ピトッ

優衣「きゃ……そういうわけじゃなくて」

真司「ほんと、平熱だ。じゃあやっぱり勘違いか何かだよ。
   ……って、もうこんな時間になってる!?遅刻だー!!」バタバタ

優衣「真司君!……行っちゃった」

沙奈子「優衣、掃除手伝って。はい、これ箒」

優衣「けど、真司君が……」

沙奈子「いいからほら、お店開けられないでしょ。あたしはこっち片付けるから」

優衣「おばさん、ちょっと……聞いてないし」シュン

沙奈子「さぼっちゃだめよ~?」

優衣「……分かったから!ちゃんと掃除するから安心して!」

沙奈子「それならいいんだけど。お願いね~」

優衣「……はあ」

優衣(真司君が帰ってきたら、もう一度聞いてみようかな……
   しつこいって思われちゃうかもしれないけど)

優衣(それに蓮も!あんなに冷たい態度を取らなくたっていいのに。
   何かあってからじゃ遅いのに……)

優衣「……早く帰ってこないかなぁ」

――OREジャーナル

真司「――ギリギリセーフ!!」

編集長「全然セーフじゃないだろうが!この馬鹿!」ポカ

真司「いてっ」

令子「編集長、さすがに女の子を叩くのはどうかと思いますけど……
   遅刻してくるあなたも悪いのよ?」

真司「すいませーん」

島田「これだからかわいいのよね、うんうん」

めぐみ「そういう問題なんですか?」

真司「へへ、俺、かわいいですか?」

令子「ま、愛嬌はあるかしらね。そんなことより記事は書けたの?」

真司「うっ」

編集長「しぃ~ん~じぃ~?」ギロリ

真司「すいません!今すぐ!書きますから!」

めぐみ「わ、ちょっと、そんなに暴れたらお茶が……!
    ああぁぁ……」

めぐみの手元にあった書類がびしょびしょに。

真司「あっすいません!俺、すぐに片付けますから!」

めぐみ「って、だめだめ!捨てちゃだめだから!」

真司「え?」

めぐみ「まだ読めるし、他の紙に書くからちょっと待ってー!」

真司「それじゃあ俺手伝いますね!」

編集長「いいからお前、自分の記事を書け。うん。
    お前がいてもな、邪魔になるだけだから」

真司「けどぉー」

編集長「いいから!ほれほれ、締め切りは今日だぞ~」

真司「それじゃあ……書きますけど……」

令子「次の記事は何だったかしら」

真司「俺の知り合いで、めちゃくちゃ占いの当たる人がいるんです。
   その人について書いてるんですけど」

令子「なになに……『百発百中の街角占い師現る!』」

真司「匿名の記事にするって約束したから、ちょっと書きづらくて。
   気付いたら名前を書いちゃってたりするんですよ~」

編集長「真司、お喋りもいいけどさっさと終わらせろ。
    それが仕上がらないと、今度こそクビな」

真司「えぇぇぇええええ!!?」

編集長「う、うるせー……」キーン

島田「新手の生物兵器か何か……?」キーン

めぐみ「手元が狂ってメモがぐちゃぐちゃに……!」キーン

令子「あ、頭が……」キーン

真司「す、すいませーん……」ヒソヒソ

――数時間後

真司「で……できたぁー!!」

編集長「うるせえっ!本当に学習しないなあ、お前は!」グリグリ

真司「いたた、痛いいたい!髪の毛がぁ~!!」ジタバタ

令子「内容の方は……ざっと見たところ及第点ね。あとは誤字脱字の確認よ、真司君」

真司「いてー……本当ですか、令子さん!やったー!」

令子「ほら、はしゃいでないでチェックしなさい?」

真司「了解でーす!」

真司「えーっと……あ、ここ名前書いちゃってるよ……」カタカタ

島田「そろそろホームページの更新、しようかなぁ」

めぐみ「ついでに私の写真も、もぉ~っとかわいくしてくれません?」

島田「あなたはこのままでいいでしょ」

めぐみ「ひっどーい!編集長、今の聞きました?」

編集長「あーうんうん、お前らは仲良いなぁ」

令子「真司君、そっちが仕上がったら一緒に取材よ」

真司「えっ、本当ですか!嬉しいなぁ、令子さんと一緒なんて久しぶりですね!」

編集長「そういえばそうだったな。最近お前、一人で取材できてるじゃないか」

真司「そりゃあ俺だって成長してますからね!」ドヤッ

編集長「おー、そうだな。よ~しよしよし」ナデナデ

真司「わっ、くすぐったいですって!へへ……」

めぐみ「次の取材って、何が題材なんですか?」

令子「『双子の不思議なつながりについて』よ。
双子が感覚を共有したとか、お互いの位置を探り当てるとか……」

令子「科学的に解明できない不思議なつながりが、本当に存在するのかどうか。
   ちょっと難しいけれど、記事にするとおもしろそうでしょう」

めぐみ「本当ですね!私も興味がわいてきちゃったなぁ」

島田「あなたはまず自分の仕事をしなさいよ。メモはどうしたの」

めぐみ「はっ!まだ写し終ってないんだった!急がないと……ぎゃー!
    メモが破れちゃったぁ!?」ビリー

編集長「そういう平和な取材ができるってのはいいことだよな。
    な、真司!……真司?」

令子「どうかしたの?」

真司「え?別に何でも……」キョトン

令子「顔色が悪くないかしら……?体調が悪いなら無理しなくていいわ。
   今日の取材は私一人で行くから、次は一緒に行きましょう」

真司「は、いや、あはは!大丈夫ですって!
   俺、風邪とか全然引きませんし!」

編集長「そりゃ、お前は馬鹿だからな」

令子「……編集長?茶化してどうするんですか。本当に具合が悪そうなのに」ギロリ

編集長「あ、あんまり本気で怒るなよ……おっかねえなぁ」

真司「大丈夫ですよ!憧れの令子さんと取材できない方が辛いですから!」

令子「馬鹿ね、無理して悪化したら次の取材も、その次の取材もできないわよ。
   今日一日で治して、明日からの取材に同行すればいいじゃない」

真司「けど俺、大丈夫ですから!」

令子「だめよ。ほら、上着を着たら帰りなさい。
   今日だけは特別に、原稿のチェックは私がしてあげるから」

真司「……でも」

令子「具合の悪いあなたがいたら、皆が心配して逆に迷惑なの。
   さ、分かったなら帰りなさい」

真司「……はい」

編集長「気を付けて帰れよ」

真司「はぁい」

――花鶏

真司「ただいまぁ……」

優衣「真司君!?仕事はいいの?」

真司「うん、今日は帰れって……」

沙奈子「とうとうクビかい?」

優衣「おばさん、なんてこと言うの!顔色が悪いみたいだし、休んだだけだよね?」

真司「そんなに顔色悪いかな?」

沙奈子「そういえば、真っ青な顔してるね。鏡で見てきたらどうだい」

真司「うん、ちょっと気になるし見てみようかな……」

洗面所へ向かう真司を見送る優衣。

優衣(そうだ、もう一度……真司君の様子を見てみよう)

こっそり後をついていく。

洗面所の鏡を覗き込む真司と、それを物陰からそっと見ている優衣。

真司「本当だ、白い……」

優衣(なんだか私、悪いことをしてるみたい……だけど、気になる)

真司「あーあ……編集長が撫でるから、髪もぐしゃぐしゃ……」

優衣(今まではお兄ちゃんや蓮のことに必死で気づかなかったけど、
そういえば真司君、あんまり自分のことは話してくれないよね)

真司「やだなぁ……もう」

真司「………、………」ボソボソ

優衣(ここからじゃ声が小さくて聞こえないけど、今……何て言ったのかな)

真司「……に…………なんて」ボソボソ

優衣(少しだけでいいから……お願い、聞かせて!)

真司「馬鹿だよね、私」

優衣「え……」

優衣(私って……真司君が!?)

真司「!……誰かいるのか?」

優衣「あ、あの……こっちにないかなーって」

真司「へ?何か探し物でもあるの?」

優衣「うん、その……」

真司「俺、一緒に探すよ。何を探せばいいかな」

優衣(今度は俺って……)

真司「優衣ちゃん?」

優衣「あ、あの、探し物は私一人で大丈夫!
   真司君は調子が悪いんだから、ベッドで休んでて」

真司「うん……?そう言ってくれるなら休もうかな。
   なんかさ、自分の顔色見てたら急に疲れてきちゃって」

優衣「なら早く休まないと」

真司「探し物、見つかるといいね」

優衣「うん、ありがとう」

真司が二階へ上っていく。

優衣「……はぁ」

優衣(絶対変に思われた……!!
   けど、今のではっきりしたよね)

優衣「……真司君、どうしちゃったの」

――真司と蓮の部屋

真司「……はぁ」

ベッドにダイブする真司。何気なく見た窓ガラスから左右の反転した顔が見つめてくる。

真司「うっかりしてたなぁ……
   優衣ちゃんにも、変に思われたかもしれないし」

真司「なんか、頭が……ぼーっとするし……」



『――こうして、兄妹は仲良く暮らしましたとさ』

「うん、よかったね!」

『ほら、もうこんな時間だ。お前も寝ないと』

「けどぉ」

『いいから、ほら』


『おやすみ』

「おい、起きろ。おい、城戸!」

真司「……ふぁ!?すいません編集長――って、蓮?」

蓮「どうしてお前が俺のベッドで寝ているんだ」

真司「あれ、間違えちゃった?ごめんごめん」

蓮「ふん……これも借金につけておく」

真司「なんでだよー!?」

蓮「それだけ騒げるならすっかり調子はいいらしいな?」

真司「へ?」

蓮「体調を崩して早めに帰って来たんだろう。全く……
体調管理くらいしたらどうだ?優衣にあまり心配をかけるな」

真司「蓮さぁ……もしかして、俺のこと心配してくれたのか?
   なあなあ、そうなんだよな!へへ、照れるなぁ」

蓮「……」

真司「もー、照れてないでなんか言えよ!」

蓮「……おめでたいやつだな、本当に」

真司「どういたしまして!」

蓮「皮肉すら分からないのか、お前は……」

真司「あ、そういえばさ、蓮、さっき」

蓮「どうした」

真司「『おやすみ』って言わなかった?」

蓮「……」ゲシ

真司「いてっ!蹴るなよ!」

蓮「すまない、足が長いんだ。誰かと違って」

真司「お前……さっきはちょっといいやつかと思ったけど、
   やっぱり嫌なやつだよな!ケチだし!」

蓮「足が短いことは否定しないのか」

真司「短くないっ!」

コンコン

優衣「真司君、起きた?調子はどうかな」

真司「優衣ちゃん!心配してくれてありがとう」

蓮「安心しろ、優衣。すっかり元気になって鬱陶しいくらいだ」

真司「ひ、ひどいだろ蓮!そこまで言うか!?」

優衣「そうだよ蓮、今のはひどいよ」

蓮「こいつにはこれくらいでいいんだ。それより夕食だろう」スタスタ

真司「……べーっだ!ほんとムカつくなぁ、あいつ」

優衣「蓮ったら……そうそう真司君。
   あなたが寝てる間に来てくれた人がいるの」

真司「え、誰?」

優衣「令子さんが、今日の取材の簡単なまとめを持って来てくれて……
   はい、これ」

真司「ありがと。そっか、令子さんが……」

優衣「それと今日仕上がった原稿も、大きなミスは見つからなかったって」

真司「マジで?よっしゃ!」

真司「えっと……ふむふむ、双子って言ってもいろいろあるんだ」

優衣「仕事もいいけど、夕ご飯が冷める前に食べよう?」

真司「ん、そうだね。よいしょ、っと」

ベッドから降りた真司が身震いする。

真司「なーんか寒くない?」

優衣「そうかな?昨日と変わらないと思うけど……むしろ昨日より暖かいよ」

真司「うーん?」

――翌日

優衣「……38.7℃……!?」

蓮「こうならないために休んだというのに、何をしているんだ、お前は……」

真司「あは、あはは……」

優衣「とりあえず、休むって連絡は私がするから真司君はゆっくりしててね……?」

真司「ごめん、優衣ちゃん……お願い」

優衣「いいよ、いつも私のこと気にしてくれてるお礼みたいなものだから。
   ……蓮、どこに行くつもり?」

蓮「……こんな馬鹿に付き合う義理はない」

真司「こっちから願い下げだっ」

蓮「ふん、せいぜいくたばらないよう気を付けることだ」

優衣「蓮!」

真司「うっ」キーン

優衣「あ、ご、ごめんね……」ヒソヒソ

真司「大丈夫、こっちこそごめん、気を遣わせて」ヒソヒソ

優衣「そんな、私こそごめん、頭に響いちゃったよね」ヒソヒソ

真司「いいよ、俺のために怒ってくれて嬉しいから」ヒソヒソ

優衣「けど、本当にごめんね、熱だってすごいし」ヒソヒソ

沙奈子「あんたたち、なーにヒソヒソと話してるんだい?」

真司「え?いや、なんていうか優衣ちゃんにつられちゃって」

優衣「ご、ごめんね……!真司君、熱があるのに喋らせちゃって」

真司「いいって、気にしないで」

沙奈子「それならいいけどね、ほら。薬と水、持って来たよ」

真司「ありがとうございます」

沙奈子「悪化させないよう、ゆっくり寝てるんだよ」

優衣「あとで様子を見に来るからね」ガチャ

真司「ほんと、迷惑かけちゃってごめん」

優衣「気にしないで。私たち……友達なんだから」パタン

真司「……令子さんとの取材、結局行けないや」

真司(昨日、今日って続けて休んで……いい加減、怒られるかもしれない。
   やだなあ……取材だって楽しみにしてたのに)

真司(……体、だるい。なんか熱いし……もう寝よう
眠ればきっとよくなるから)

真司(ただ、少し……心細いかもしれない)



「手、つないで」

『だめだ』

「けち!」

『はは、だってほら、両手がふさがってるから』


『また今度、な』

真司(うそつき)

「……城戸?」

真司(手、握ってくれてるじゃん)ギュ

「目が覚めたのか」

真司(おでこ、冷たくて気持ちいい)スリスリ

「……まだ、眠っているといい」

真司(……手、あったかい)

真司「……だ、れ」

「少しは下がったが、まだ熱がある。大人しく寝ていた方がいい」

真司「ん……」パチ

真司(……こいつは)

真司「……手塚?」

手塚「お前は……本当に、人の言うことを聞かないな」ナデナデ

真司「……!?」ガバ

ガツッ

手塚「……」

真司「……ごめん」

手塚「いや、驚かせた俺にも非はある」

真司「顎……赤くなってるけど」

手塚「お前の額もだ。……平気か?」ナデナデ

真司「な、撫でなくていいって……」

手塚「さっきはそっちから擦り寄って来ただろう」

真司「……そ、そんなことないんじゃないかなー」

手塚「……」ナデナデ

真司「も、ほんといいから……」

手塚「そうか」パッ

真司「……」ジー

手塚「……」ナデナデ

真司「いいって言ってるのに……」チラッ

手塚(その割に満更でもない顔だな)

真司「ほんと、平気だし……」モットナデナデシテー

手塚(ここまで目で訴えかけてくる奴も珍しい)

真司「俺もう子供じゃないし……」モットモットー

手塚「……そうか」ナデナデ

――ナデナデ堪能後

真司「も、もうだめ……これ以上は……だめ……」

手塚「そうか。体調はどうだ?」

真司「手塚のせいで、ひどくなった」

手塚「軽口を叩く余裕があるなら、何か食べられそうだ。
   台所を借りて用意しよう」

真司「……サンキュ」

手塚「俺のせいで具合が悪くなったらしいからな」

真司「冗談だって!」

一人、部屋に残された真司。

真司「……きもちよかった」

真司(って、何言ってるんだ俺!わー恥ずかしい!
   聞かれてたら恥ずかしくて死ねるレベルの独り言だぁぁあああ)

真司「……聞かれてないよな?」

真司(うん、誰もいない。……あれ、そういえばどうして手塚が俺の部屋に?)

真司(たまたまお店に来て、俺が風邪って聞いたから見舞いに来てくれたとか?
   ……それで、手を握ってくれて、おでこを触ってくれて?)

真司(……)ニヤー

真司(……あれー!!?おかしいだろ!
   なんでにやけてるんだよ!こんな顔見られたら……戻れ!真顔に戻れ!)ムスー

真司(だからってしかめ面してもだめだー!!)

真司(第一今のは俺のもうそ――想像!落ち着け俺!
   ……うう、熱が上がってる気がする)

コンコン

真司「は、はい!どうぞ!」

手塚「どうかしたのか、城戸。声が裏返っていたが」

真司「だだだ大丈夫だって!」

手塚「なら、これは食べられそうか」

真司「お粥……あ、ありがと。いただきます!」

手塚「味の保証はできないが、食べられないというほどではないだろう」

真司「ん……うまいよ、これ!」

手塚「それはよかった。全部食べられるか?」

真司「これだけうまかったら食べれるよ」

手塚「そう言ってくれるのはいいが、無理はするな」

真司「へーひひゃっへ」モグモグ

手塚「食べながら喋るのは行儀が悪いぞ」

真司「んぐ……分かった」

手塚「よしよし」ナデナデ

真司「にゃでにゃでしゅうにゃー!」モグモグ

手塚「行儀が悪いぞ、城戸」

真司「――ごちそうさま!」

手塚「本当に完食したのか。なら、次は薬だ」

真司「うえー……苦いやつ?」

手塚「用意したのは俺じゃない。味は自分で確かめてくれ」

真司「手塚ってけっこう……意地悪だな」

手塚「かもしれないな」ニコ

真司「むー……ま、いいや。こういうのはちゃちゃっと飲んじゃおう」ゴクッ

真司「!?」

手塚「どうかしたのか」

真司「あ、甘い……!?」

手塚「なるほど、飲みやすさを考慮した薬だったか。よかったな、城戸」

真司「……うん」

真司(思いっきり子ども扱いされてる気がする)

手塚「一度熱を測った方がいい。これを使え」

真司「えっ、けど」チラッ

手塚「お前が熱を測っている間は外に出ている。
   そんなに不安そうな顔をするな」

真司「う、うん。ごめん」

パタン

真司「……とりあえず、測ろ」ピッ

コンコン

手塚「城戸、もういいか?」

真司「いいぞー」

手塚「熱はどうだ」ガチャ

真司「37.5℃だった。もうほとんどいいんじゃないかな」

手塚「らしいな。まだ少し顔が赤いが、ずいぶんと楽そうだ」

真司「それで、今日はどうして花鶏に来たんだ?」

手塚「お前に会いに来た」

真司「……え?」

真司(こ……これは、もしかすると、もしかして……)

手塚「熱を出したと聞いて、やめておこうかと思ったが……
   店のことで忙しい二人に代わって様子を見ようと思い直してな」

真司(もしかしちゃうのかー!!)

真司(どどどどうする俺!このまま手塚と付き合っちゃったりして……
   そのまま結婚して庭のある家で暮らしちゃったりするのか!?)

手塚「神崎優衣に頼まれてな」

真司「……はい?」

手塚「お前の様子がおかしいから相談に乗ってやってくれと言われた」

真司「そ、それじゃあ夢のマイホームは……」

手塚「何の話だ?」

真司「なんでもない……」シュン

手塚「妙に落ち込んでいるが、本当に大丈夫なのか?」

真司「うん、ちょっと……俺が馬鹿だったってだけだから」

手塚「それならいいが、何か相談したいことがあるなら言ってくれ。
   俺個人としても、お前の力になれたらいいと思っているからな」

真司「そ、そうなんだ。けど、本当に何でもないからさ」

手塚「神崎優衣は、お前が鏡に話しかけていたと言っていた。
   それは本当のことか?」

真司「それは、ちょっと、独り言で……そうそう、独り言!
   だから気にするようなことじゃないっていうか」

手塚「……嘘が分かりやすいな、お前は」

真司「う、嘘じゃないってば!本当に!」

手塚「確かにお前にも、人に話したくないことはあるだろう。
   しかし、だからといって抱え込むのはやめた方がいい」

真司「え、そんな、抱え込んでないって!
   あれは悩んでるからしてるわけじゃなくて、その」

手塚「落ち着け、城戸。話したくないならそれでいい。
   本当に悩んでいる様子もない。なら無理に聞き出すのは無粋だろう」

真司「そう言ってくれるなら、うん……」

手塚「神崎優衣にはうまく言っておくから安心するといい」

真司「……ありがと、手塚」

手塚「とにかく、俺の用事はこれで終わりだ。
   悪かったな。体調を崩しているのに付き合わせて」

真司「もう帰るのか?」

手塚「そのつもりだ。
   お前がゆっくり休むためにも俺はいない方がいいだろう」

真司「そんなこと、ないけど」

手塚「……手を」

真司「ん?」

手塚「手を掴まれた時は、少し驚いた」

真司「え」

真司「それって、俺が寝ぼけて自分から手を掴んだってことか!?」

手塚「やはり覚えてはいなかったか。
   誰かいないと不安に思うなら、眠れるまで傍についているが」

真司「べ、別に!あれだ、その、うん、大丈夫!」

真司(全然ごまかせてない……!)

手塚「そうか。それは残念だ」

真司「へ?あ、おい、手塚!」

パタン

真司「な、んなんだよ……あいつ。
   思わせぶりなことばっかり言って……」

真司(嫌ってわけじゃないけど)

真司「……これはうん、熱のせいだ。今日の俺は熱でおかしいんだな」

真司が布団に潜り込む。

真司(けど、やっぱり、傍に誰もいないと寂しいかも……)



「すぐに見つけるんだから!」

「……ここ!あれ、いない……」

「じゃあ、ここは?いない……」

「……ここだぁ!」


『……お前、見つけるの遅すぎ』

真司「……」パチ

真司(夢を見てた気がする……けど、あんまり覚えてない)

蓮「ようやく起きたか」

真司「おわっ!?」

蓮「夕食の時間だ。それだけ顔色が良ければ起きられるだろう」

真司「お前、いつの間に帰って来たんだよ」

蓮「お前に話す必要があるか?」

真司「あーそうだった、お前はそういう嫌なやつだよな!手塚と違って!」

蓮「お前が俺をどう思おうと構わんが、夕食には遅れるな。
  食べ終わらないと片付けができないだろう」

真司「ほっとけよ!自分の分は自分で片付けるから!」

蓮「そう言って、何枚皿を割るつもりだ」

真司「それは……割るつもりはないんだって」

蓮「不器用なことは自覚しているらしいな」

真司「ぐぬぬ……」

優衣「ちょっと、いつまでかかってるの?二人とも早く行こう」

蓮「そうだな」

真司「あ、ちょっと待てよ!」

優衣「真司君、令子さんがまた取材の資料、持って来てくれたよ。はい」

真司「ありがと!ご飯食べたら見るよ」

優衣「うん。さ、行こう」

――夕食後

真司「今日もおいしかったなー」

蓮「どうでもいいが、あまり食べすぎるな。
変身した時、あまりにもみっともない体型だと見ていられないからな」

真司「うっさいな、蓮には関係ないだろ。
   さーて、令子さんの資料を読んでーっと」

真司「なになに、『まるで鏡写しの双子!』だって……写真もついてる!
   すげー、本当に鏡に映したみたいだ……」

蓮「少しは静かにできないのか?」

真司「あ、ごめん。えっと……『双子でも性別が違うことがあり……』」ボソボソ

蓮「黙って読めと言ったつもりだったが、お前には理解できなかったらしいな」

真司「ぐっ……もういいよ、俺先に風呂入るから!
   蓮が風呂に入ってる間に読めば文句ないだろ」

蓮「勝手にしろ」

――お風呂

真司「なんなんだよ、蓮のやつ……本当に嫌なやつだなー」ブツブツ

真司が水面を叩いて遊びながら、揺れる自分の姿を見つめる。

真司(双子か……)

真司「……資料読むの、明日にしようかな」

――真司と蓮の部屋

真司「お待たせー。蓮もさっさと入って来いよ。俺はもう寝るから」

蓮「お前は昼の間何をしていたんだ?羊でも数えていたのか?」

真司「……は?ひつじ?」

蓮「眠れなかったのかと聞いたんだ。もういい、俺は風呂に入る」

真司「なるほど!そういうことか」

蓮「……はあ」

パタン

真司「さーて、寝るか」



『今度は俺が鬼だな』

「鬼さんこちら、手の鳴る方へ!」

『あ、こら!フライングしただろ!』

「絶対捕まらないもんね!」

『そうはいくか!』


『捕まえた!』

――翌朝

真司「……んー……」ゴロゴロ

真司(今、夢を……)

真司「……顔、洗おう」

洗面所へ向かう。

真司「ふあぁ……」

真司「水、冷たい……」バシャバシャ

真司(これだから冬はつらいよなぁ)

真司「……」

鏡を覗き込めば、鏡の向こうの自分も同じように動いた。

真司「……おはよう、お兄ちゃん」

――花鶏

真司「よぉく考えたら、今日は休みでさ」

手塚「それでウェイトレスか。休みだというのに、大変だな」

真司「まあ、居候としてはこれくらいしないとな」

手塚「風邪はすっかりいいらしいが、無理はしない方がいい」

真司「大丈夫だって!それより、はい。
   こちらご注文の紅茶でございます、お客様」コト

手塚「紅茶しかないからな」

真司「それは言わないお約束だろー」

沙奈子「仕事中にお客さんといちゃつくんじゃないよー」

真司「い、いちゃついてませーん!」

沙奈子「ならさっさと次の注文持ってきな」

真司「はーい!」

優衣「ごめんね、真司君。ゆっくり話したいだろうけど……」

真司「べべべ別に!?」ガシャン

沙奈子「あーっ!何してるんだい!?」

優衣「ごめんなさい!私が話しかけちゃったから……!」

真司「いや、これは俺がちょっとね、その、動揺したっていうか!」

手塚「……相も変わらずにぎやかだな」

沙奈子「あんた、いい加減にしないと追い出すよ?」

真司「ひえー!それだけはどうか!」

沙奈子「ならさっさと片付けな」

真司「はいっ」

優衣「塵取り持ってくるね」

真司「ありがとう、優衣ちゃん……」

優衣「はい。私も手伝うから」

真司「ううん、それよりお客さんが待ってるから、そっちお願い」

優衣「それはそうだけど、指とか切っちゃうといけないし」

真司「大丈夫だって!ほら、こうやってひょいひょいっと」

優衣「う、うん……」

優衣(すっごく不安だなぁ……)

真司「……よっしゃ!こんなもんかな?」

沙奈子「念のためにちょっと離れたところも見ておくんだよ」

真司「はーい。……いてっ」チク

沙奈子「どうかしたのかい?」

真司「あー……立とうと思って手をついたら、破片が落ちてたみたいで。
   けど小さい傷だし、大丈夫です」

沙奈子「一応消毒しときなよ」

真司「そんな、大したことないですよ」

沙奈子「いいからさっさと手当てしな。ほっといたら大変なことになるよ?
    あたしの勘は当たるからね」

真司「……はい」

優衣「大丈夫?」

真司「うん。じゃあ、この破片捨てたら消毒するから」

優衣「……あの、先に消毒したほうがいいんじゃないかな」

真司「なんで?」

優衣「気付いてないの?血、けっこう出てるよ」

真司「あ……はは、鈍いなー、俺。
   けど大丈夫だって、これくらい」

沙奈子「いいから先に手当てしときな。破片はあたしが捨てとくよ」

真司「え、でも」

沙奈子「血が床に落ちるほうが困るからね」

真司「あ、すいません!じゃあ、急いで手当てしますから!」

沙奈子「あの子、自分で手当てできるんだろうね?」

優衣「どうだろう……ちょっと不器用だし」

沙奈子「怪我したのが利き手だからねぇ」

優衣「大丈夫かな……」

真司「いてて……見てたらだんだん痛くなってきた。
   うわぁ、破片が刺さって……」

真司「つっ……あれ、抜けない……?こ、これ、やばいんじゃ……」

助けを求めるように視線をさまよわせれば、鏡の中の自分と目が合う。

真司「……どうしよう、お兄ちゃん」

手塚「見せてみろ」

真司「わっ!?て、手塚!」

手塚「様子を見るよう頼まれた。……破片が刺さっているのか」

真司「あの、もしかして、今の」

手塚「お前に兄がいたとは知らなかったが、深く尋ねるつもりはない。
   話したいなら話してくれても構わない」

真司「……あんまり話したくない」

手塚「そうか。それより、破片を引き抜くぞ。痛むだろうが、いいな?」

真司「あ、うん。大丈夫……ありがとう」

手塚「礼なら手当てが終わってからでいい」

真司「そうじゃないって!もー……」

手塚「……いくぞ」グッ

真司「いっ……あ、う……いたた、痛かったぁ……」

手塚「思ったより簡単に抜けたな。さあ、傷口を洗い流すとしよう。
   冷たいが耐えてくれ」

真司「それくらいは平気だけど……つめたっ」バシャバシャ

手塚「……」ナデナデ

真司「ナデナデするなって……」モットシテー

手塚「次は消毒だ。染みるぞ」

真司「うー……ヒリヒリする」ヒリヒリ

手塚「消毒とはそういうものだ。さて、次は絆創膏か」

真司「ごめん、何から何まで」

手塚「いや……お前に対して世話を焼くのは悪い気がしない」

真司「!?」

真司(またこいつはこういうことを……!!)

手塚「どうした、いつまでそうしている?」

真司「それは、そのー……お前が手を握ってるからっていうか」

手塚「……ああ、そうだったな。握り心地が良かったからか、つい」

真司「……言っとくけど俺、女なんだからな」

手塚「それがどうかしたのか?」

真司「なっ……」

手塚「むしろ、お前が男の方が問題だと思うが」

真司「どういう意味だよ!もう、いいから離せって……」

手塚「分かった」パッ

真司「ぐぬぬ……」

手塚「そう睨むな。俺はお前と敵対するつもりはない」

真司「俺だってそうだよ……」

手塚「俺はそろそろ帰るが、これ以上怪我をしないよう気を付けてくれ」

真司「……うん」

手塚「城戸、次の休みはいつだ?」

真司「なんでそんなこと聞くんだよ」

手塚「また会いに来る」

真司「……え?な、なんで、それは、つまり、そういう」

真司(いやでもこれも何かの勘違いで、一人舞い上がってるだけだとしたら……
   恥ずかしすぎる!!)

手塚「教えてくれないのか」

真司「う、占いで調べろよ!」

真司(ってなんで感じ悪いこと言ってるんだよ俺ぇー!!)

手塚「お前の口から聞きたかったが、そう言うなら仕方ないな」

真司「!!」

真司(これはもう……信じてもいいんだよな!?)

真司「つ、次の月曜日!その日は休みだから!」

真司(言っちゃったぁぁあああ)

手塚「なら、できるだけ予定は開けておいてくれ」

真司「わ、分かった……」

真司(くそ、手塚がクールすぎていまいち反応を読めないし……
   喜んでるのか?喜んでないのか?どっちだ!?)

手塚「楽しみにしている」パタン

真司(い、今のはもしかしなくても……うわあああマジか!!
   やばい……やばいってこれ!!デートとかいつぶりだ!?)

真司(顔がにやける……手塚が帰ってよかった……!)

鏡の中の自分も同じようににやけ顔で見てくるものだから、笑いそうになる。

真司「お兄ちゃん、私、頑張るからね!」


デート本編?そんなものはありません。
真一に関して深く描写するのはなんか違うなと思って、バッサリいきました。
ここまでお付き合いいただいて、ありがとうございました。
デートは他のライダーも書き終わったら書くかも(小声)

~おまけ・ドキドキサバイバル!?~

俺、城戸真司!ジャーナリスト見習いで23歳の乙女なんだ!
ある日取材先で見つけた不思議なケースを拾ったら、あら不思議!
鏡の中に入っちゃった!?

鏡の世界――ミラーワールドにはこわ~いモンスターがいて、
ライダーと呼ばれる人たちがサバイバルゲームを楽しんでいたんだ☆

俺自身もライダーとしての契約をしちゃって、毎日がとっても大変!
ミラーワールドで出会うライダーたちは、
イケメンだけどちょっと変わっててドキドキの連続!

俺、これからどうなっちゃうの!?


すいませんふざけすぎました。

この真司、手塚が自分を庇って殺されたらどうなっちゃうんだろう・・・・・・?
本編では友情だったのがこっちの世界では恋愛感情にかわってるわけで、本気で手がつけられなくなるかもしれん。
狂気に走る真司ちゃんもちと見たいですな(ゲス笑)

>>96嫌いじゃないわ!
真司の願いが「手塚を生き返らせること」になるかも?
いやいやここは手塚の遺志を継いで戦いを止めるか?

考えるだけで楽しいですね!


それから、次に投下するのはクウガの予定です。

乙でした~。
このシリーズ、この位の長さならひとつのスレにまとめてもいいかも。

>>98それはちょっと考えてました。
しかし、分けていることで利点もあるわけなので……
どうしたもんでしょう。

自分としてはどっちでも構わないので、皆さんの意見が知りたいです。
一ヵ所に投下が読みやすいのか、タイトルごとにばらけた方がいいのか。

特に意見がないと今まで通りでいくつもりです。

13日の金曜日なのでうっかり手が滑りました。


~ライダーズ☆ホラーショー~

「いぎゃぁぁああああああああ」

スピーカーから響いたこの世のものとは思えない悲鳴に首をすくめ、
反射的に隣に座る人物の腕にしがみついたのは真司だった。
しがみつかれた巧は小さな悲鳴を漏らしたが、
しがみついたのが真司だと気付くと舌打ちして顔を背けてしまう。

二人の後ろに座っていた映司は巧の耳が赤いのに気付いて、
映画の内容そっちのけで笑ってしまう。
それをどう捉えたのか、翔太郎はぎょっとした表情で映司を見つめた。

「許して!許してぇぇえええ」

うめき声に混じって聞こえる懇願の痛々しさに目を背けたくなりながらも、
話の展開が気になるのか渡の視線はテレビに釘付けだった。


そして……
↓誰が登場しましたか?(1時間経っても安価がなかったら手塚にします←)

検索徹夜明けフィリップ

>>101了解、遅れてすいません。

「――これは何の騒ぎだい?」

真司・巧「ひっ――出たぁぁぁあああああ!?」

そう叫んで飛び出していった二人を見送り、苦笑いした映司が振り向いた。

映司「フィリップさん、電気くらいつけてから声をかけてくださいよ~」

フィリップ「ああ、すまないね。少し思考力が低下しているらしい……」

頼りない足取りで翔太郎と映司の座るソファーへ歩み寄ったフィリップは、
テレビに視線を送ったままピクリとも動かない翔太郎を見つめて首を傾げる。

フィリップ「翔太郎?」

渡「あの、今、ホラー映画を見てて……びっくりして固まっちゃったみたいですね」

苦笑いしながら渡が立ち上がり、DVDの再生を止めた。
この空気では興が乗らないと判断したらしく、一礼して部屋を出てしまう。

フィリップ「そうか、ホラー映画……早速検索を」

映司「その隈、徹夜明けじゃないんですか?少し眠ったほうがいいですよ。
   ……ああ、そうだ。検索より面白いこと、教えましょうか?」

フィリップ「――なんだって!?それはいったい何なんだ!」

映司「あのですね――」

しばらくしてようやく我に返った翔太郎は、
すぐさま再び凍り付くこととなった。

翔太郎(どっ……どうして体が重いんだよっ!?
    特に足が重くて動かないじゃねえか!!)

視線を下してもよいものだろうか、何か怖いものでも見えやしないだろうか。
恐怖心から視線を動かせずにいる翔太郎だったが、
いつまでもそうしてじっとしている翔太郎ではない。

翔太郎(俺はハードボイルド……何があっても動じない)

すでに動じている事実は都合よく無視して決心を固め、
翔太郎が視線を下すとそこには――

フィリップ「やあ、翔太郎」ニコッ

翔太郎「ふ、フィリップ!?」

膝枕を満喫しているフィリップがいた。

フィリップ「火野映司の語る娯楽というのはなかなか面白いね!
      あえて検索せずに体験から知識を得るというのも悪くないよ」

フィリップ「君の驚く顔も見られて一石二鳥だね」

翔太郎「つまり、あれか?あいつがお前に余計なこと吹き込んだんだな?
    俺がどれだけ怖い思いをしたと思ってるんだよ……!」

フィリップ「まあいいじゃないか。それより君もソファーに横になるといい。
      一人で眠るのはやや肌寒い季節だ。二人で暖をとろう」

翔太郎「一人でやってろ!――わっ!?」

フィリップ「地獄の底まで相乗りしてくれるんだろう?」

翔太郎「おい、馬鹿!抱き着くな……あ、頭を擦り付けるな!!」

フィリップ「うーん、こういう感覚は体験からしか得られないものだ。
      悪くない……むしろ好ましい」スリスリ

翔太郎「ぐ、このっ……ひゃあっ!」

フィリップ「翔太郎?」キョトン

翔太郎(うわあ恥ずかしいしにたい)

フィリップ「……鼓動が、速くなった」

翔太郎「胸に耳を押し当てるなっ」

フィリップ「……ん」ウトウト

翔太郎「おい、フィリップ?やめろよ!冗談じゃねえぞ!
    リビングのソファーでこんな……!!」

フィリップ「翔太郎……」

翔太郎「なんだよ!いいから抱きしめるのをやめ――」

チュ

フィリップ「うるさい……」

翔太郎「…………………………え?」

フィリップ「……」スヤスヤ

翔太郎「ちょ、いまの、おい」

フィリップ「……」スヤスヤ

翔太郎「……ど、どうしろっていうんだ」


はい終わり。口にしたとは書いてませんよ!
なんかもうベタベタのあまあまですいません。
書いてる自分が恥ずかしい。

そういえば気になっていたんですが、
どうして誰も真司と蓮が相部屋なのにつっこまないんですか?
あれか、真司に色気がないからか……(笑)

ちなみに原作通りに進むと手塚と二人っきりになることもありますよね。

クウガのSS完成したので投下します。

五代雄介「この仮面を被って、と」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1387023973/)

とりあえずこれまで通り新しいスレを建てました。

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