>>1ミス
＞女子高生「……食べる」
→ヒモ女「……食べる」

◆
女子高生「朝なのでそんなに大したものは作れませんでしたけど」

ヒモ女「(とか言いながらほうれん草の入った卵焼きに焼き魚に味噌汁ご飯……普段朝飯を食べない人間にとってはかなり豪勢なわけだが)」

ヒモ女「……」ﾊﾟｸｯ

ヒモ女「……」ﾊﾞｸﾊﾞｸﾊﾞｸｯ

女子高生「いい食べっぷり……」

ヒモ女「美味い」

女子高生「お口に合ったなら良かった」

女子高生「ご飯とお味噌汁はお替りありますからね」

ヒモ女「お替り！」

女子高生「はーい」

女子高生「ちょっと待っててくださいね」ﾀﾀﾀｯ

ヒモ女「(……って)」

ヒモ女「(こんな呑気に朝飯を食べてる場合じゃない気が)」

女子高生「はい、お替りどうぞ」

ヒモ女「あ、どうも」

女子高生「私、そろそろ学校行かなきゃ」

女子高生「食べたらゆっくりしておいてくださいね」

女子高生「夕方までには帰ってこれますから」

ﾄﾄﾄｯ
ｶﾞﾁｬｯ､ﾊﾞﾀﾝ...

ヒモ女「……」

ヒモ女「……よし、とりあえず食べてから考えよう」ﾊﾟｸｯ

ヒモ女「うま」

食後

ヒモ女「さて」

ヒモ女「(……昨日のことを思い出そうか)」

ヒモ女「(私はたしか昨日、酒を飲んで辺りをうろついてて)」

ヒモ女「(あれ。なんで酒飲んでたんだっけ)」

ヒモ女「(酒飲む前はなにしてた)」

ヒモ女「(うーん、思い出せん)」

ヒモ女「(とりあえず一旦家に帰って――)」

ヒモ女「……」

ヒモ女「ああ、家がもうないんだった……」

◇

男『俺たち、もう別れよう』

ヒモ女『はあ！？』

男『もうお前と付き合うのは限界なんだよ！』

ヒモ女『ちょっと待ちなよ！一生私に飯作ってくれるって言ったじゃないか！』

男『それがもう限界なんだよ！このヒモが！』

ヒモ女『ひ、ヒモだって？』

男『最初は顔がいいからってなんでも我慢してた。だけどな、何一つしようとしないお前にもう我慢ならない』

ヒモ女『でもそれはあんたが』

男『だからって普通毎日ただ寝て暮らしてるだけか！？』

男『どうせお前は荷物をまとめることすらできないだろうからな、俺がまとめといてやったよ』

ヒモ女『お、おい』

男『もう出ていってくれ！』

ﾄﾞｯ
ﾊﾞﾀﾝ...

ヒモ女『おい、開けてくれよ！なんなんだよ！』ﾊﾞﾝﾊﾞﾝｯ

ヒモ女『おいっ！』

ヒモ女『(……はあ、私は一体これからどうしたらいいってんだ)』

ヒモ女『(帰る家もない、金もないし職もない)』

ヒモ女『(そういえば手持ちの金は)』

ｶﾞｻｺﾞｿ

ヒモ女『財布は入ってる……』ﾎｯ

ヒモ女『中身は――』ﾊﾟｶｯ

ヒモ女『数千円……』

ヒモ女『(一体これでどうしろってんだ！)』

ヒモ女『(……酒の匂い)』ｸﾝｸﾝ

ヒモ女『酒でも飲んで忘れるしか』ﾄﾎﾞﾄﾎﾞ

居酒屋

ヒモ女『ふいー』

主人『やー、姉ちゃん飲むね飲むねえ』

ヒモ女『ひっく、飲まなきゃやってらんねえっての！』

主人『ああ、そういうときは飲むに限るのさ。もう一杯どうだい？』

ヒモ女『財布……ひっく、財布、そこ、に』

主人『ああ、これかい？』

ヒモ女『それ全部、ひっく、使っちまう、っく』

主人『え、良いのかい？』

ヒモ女『だいたい、さあっ、私を捨てる、ひっく、なんざ』

ヒモ女『千年はやい、っての！』

ヒモ女『あんな男なんてなあ！……うっぷ』

主人『姉ちゃんとうとう産気づいたのか！？』

ヒモ女『なあにが産気づくだあ！うぷっ、吐き、っぷ』

主人『おーい、誰か袋！袋！』

主人『また来てなー』

ｶﾞﾗｶﾞﾗ

ヒモ女『……』

ヒモ女『……金がもうない』ﾌﾗﾌﾗ

ヒモ女『……あれか、もうあれなのか』

ヒモ女『……生きるか死ぬかってやつなのか』

ヒモ女『……[ﾋﾟｰｰｰ]ばいいのか私は』

ヒモ女『そうか、そうか……』

ヒモ女『(そうだ、たとえばあの歩道橋に上って落ちてしまえばきっと一発じゃないか)』

ヒモ女『(うん、そうしよう)』

ﾄﾝﾄﾝﾄﾝﾄﾝﾄ......

ヒモ女『……疲れた』ｾﾞｲｾﾞｲ

ヒモ女『(歩道橋の上まで行けない……)』ﾊｱﾊｱ

ヒモ女『(死ぬのはもうやめよう)』ｾﾞｲﾊｱ

――『あの……』

ヒモ女『は、……あ？』

女子高生『大丈夫、ですか？』

>>10ミス

主人『また来てなー』

ｶﾞﾗｶﾞﾗ

ヒモ女『……』

ヒモ女『……金がもうない』ﾌﾗﾌﾗ

ヒモ女『……あれか、もうあれなのか』

ヒモ女『……生きるか死ぬかってやつなのか』

ヒモ女『……死ねばいいのか私は』

ヒモ女『そうか、そうか……』

ヒモ女『(そうだ、たとえばあの歩道橋に上って落ちてしまえばきっと一発じゃないか)』

ヒモ女『(うん、そうしよう)』

ﾄﾝﾄﾝﾄﾝﾄﾝﾄ......

ヒモ女『……疲れた』ｾﾞｲｾﾞｲ

ヒモ女『(歩道橋の上まで行けない……)』ﾊｱﾊｱ

ヒモ女『(死ぬのはもうやめよう)』ｾﾞｲﾊｱ

――『あの……』

ヒモ女『は、……あ？』

女子高生『大丈夫、ですか？』

ヒモ女『……』ﾌｳﾌｳ

女子高生『あの、えっと』

女子高生『すごく、苦しそうだったから』

ヒモ女『……』ﾋｲﾋｲ

女子高生『私の家、近くなんです。良ければそこで休んでください』

ヒモ女『……』ﾋｲﾌｳﾋｲﾌｳ

◇

ヒモ女「(……と、私が思い出せるのはここまでだ)」

ヒモ女「(あれから一体どうやってここまできたのか)」

ヒモ女「(そうして一体どういう経緯で今私はあいつが帰ってくるまでここにいることになってるのか）」

ヒモ女「(まあいますけど)」

ヒモ女「そうだ、荷物は」

ヒモ女「(さっきの部屋に――)」ﾀﾀﾀｯ

ｶﾞﾁｬｯ

ヒモ女「置いてある……」

ヒモ女「それにしても……」

ヒモ女「あいつは一人暮らしなのか？」ｷｮﾛｷｮﾛ

ヒモ女「(この部屋はあいつの部屋ではないようだけど……それにしてはやけに綺麗だし)」

ヒモ女「謎だ……」ﾖｯｺｲｼｮ

ヒモ女「この布団きもちいい」

ヒモ女「干したてみたいだ」

ヒモ女「(ちょっと寝っ転が……)」

ヒモ女「……」

ヒモ女「……」ｽﾋﾟｨ

とりあえず一旦終わり
また書く

◆

ヒモ女「……」ｽﾋﾟｨ

ヒモ女「……」ｽﾋﾟﾋﾟｨ

ｶﾁｬｶﾁｬ......
ﾄﾄﾄﾄｯ

ｶﾁｬｯ

ヒモ女「……ふが」

ヒモ女「んはっ！？」ｶﾞﾊﾞｯ

ヒモ女「……ほ？」

女子高生「……」ｸｽｸｽｯ

ヒモ女「(しまった！寝てしまってたのか、しかもぐっすり！)」

女子高生「ただいま帰りました」

女子高生「ゆっくりできましたか？」

ヒモ女「ああ、うん……布団」

女子高生「布団？」

ヒモ女「この布団、気持ちよくて、つい」

女子高生「良かった」

女子高生「あ、そういえばお昼は？」

ヒモ女「ずっと眠ってたから忘れてた……」

ヒモ女「(まあ男といたときもあいつが仕事行ってる間は何も食べないのが普通だったからな)」