男「明日から転校か……」(438)


▼夕方/男の家

男「上京して、今日から一人暮らし」

男「想像以上に寂しいもんだな……」

―― ピロリロリン♪

男「メール?女からか」

女『やっほ!引越し終わった?』

男「今、丁度、一通り、終わった所……」ピッピッ

>>1
代行ありがとうございます。

以下、本編続きます。

―― ピロリロリン♪

女『お疲れさん♪上京してみてどう?こっちの生活には慣れそう?』

男「ダメ、だ。都会は、空気、が、悪すぎる……」

―― ピロリロリン♪

女『田舎者(笑) 明日からまた同級生だね!よろしく♪』

男「こっちこそ、よろしく、な……っと」

男「……ふぅ」

ちょっとだけ支援。

▼夕方/学校/図書室

眼鏡女「…………」

眼鏡女「…………」ペラッ

眼鏡女「…………」

眼鏡女「…………」ペラッ

眼鏡女「…………」

――パタン。

眼鏡女「…………」フゥ

▼男の家

男(明日から転校か……)

男(進学の為に越して来たけど)

男(不安だなぁ……)

男(まぁでも女もいるし、どうにかなるか)

男(とにかく、頑張ろう!)

見て頂いてありがとうございます。
書き溜めあるので、サクサク進めたいと思います。


▼翌日/朝/教室

― キーンコーンカーンコーン。

ガヤガヤ… ガヤガヤ…

キョウ、テンコウセイクルンダヨネ? スゴイタノシミ!

ソロソロセンセーガクルヨー!

ヤバッ、セキモドラナイト!

-ガラッ。

担任「おう、ホームルーム始めるぞ。席着けコラ生徒どもコラ」

担任「まずはお前ら期待の転校生の紹介だ」

担任「今日からウチに転校してきた“男”だ。仲良くしてやれよクソ共」

男「ゴホン……。皆さん初めまして、S県から来ました男です」

男「今日からこのクラスの一員となります」

男「田舎者だけど、よろしくお願いします」ペコリ

パチパチパチパチパチ

ヨロシクー! ハジメマシテー! ヨロシクネー!

女「男ぉ―!やっほー!」

男「よお。久しぶりだな」

女友「えぇっ、何!?女の知り合いなの!?」

女「アイツとは幼稚園と小学校が同じの幼馴染なのよ」

女友「えっこれはまさか……」

女友「わざわざ女に会う為にここまで引っ越してきたの!?」

女友「何という純愛!ピュア魂!萌える、萌えるわ!」

女「違う違う。違うから落ち着いて」

担任「こいつは都内の大学への進学を目指しててな」

担任「その為にわざわざ越してきた奇特な野朗だ。仲良くしてやれや」

女「そゆこと」

男「そういうことです」

女友「な、なんだ私てっきり……/// でもよかった///」

女(よかった……?)

担任「こいつに質問のあるヤツいたら聞いてもいいぞー」

「狙ってる大学はどこー?」

男「とりあえず国立系。私立はほら、学費がね……」

「何の勉強するんですか?」

男「法律関係。司法書士とか行政書士目指してて」

「こっちに来てどうですかー?」

男「んー。地元に比べて空気が悪いかな」

イナカモンカヨ! クウキガマズイッテカ!? マジウケルー!

男「あはは」

担任「他に質問あるヤツいるかー?」

「男君と女ってどんな関係なんですかー?」キャーキャー
「まさか女が彼女なのか!?そうなのか!?」ワーワー
「その辺りどうなのか教えてください!」キャーッ

男「ち、違う違う!女はただの幼馴染で――!」アセアセ





眼鏡女「……」ハァ

書き溜め有りですが未だに推敲してるで、遅くてすみません……。
ただ、途中で投げ出しはないので、気長にお付き合いください。
------

ガヤガヤ… ガヤガヤ…

「男くんの好きなことは何ですか?」

男「好きなことってゆうか、趣味は読書かな」

眼鏡女「!」ピクッ

男「って言っても漫画ばっかりだけどね、あはは」

眼鏡女「……」ハァ

―― キーンコーンカーンコーン。

担任「そこまで、タイムアップだ。次の授業の準備だ」

「えー!?」
「まだ聞きたいことあるのにー」
「今日はもう授業ヤメましょうよー」

担任「断る。休み時間にでも聞いてろ」

女「先生ー!男は私の席の隣でいいですよね、丁度空いてるし!」

担任「そうだな。男、わからないことがあれば女に聞きなさい」

男「はい。わかりました」

担任「くれぐれも俺じゃなくて女に聞くように」

担任「つーか何でも女に聞け。わかったな?」

男「……はい」

担任「それじゃ女、あとは頼んだぞー」スタスタ

女「はーい」

女「改めて久しぶりー」

男「本当に久しぶりだよな。6年ぶりくらいか」

女「そんなに経つんだ。でも、お互い全然変わってないよねー」

男「んー。そうか?」

女友「ちょっと女!話なんかしてないで私のこと紹介してよ!」

男友「俺も!俺のことも頼むぜ!」

女「あーもう。うるさいのとメンドくさいのが来ちゃった」

女友「何よそれ!ウチら親友じゃなかったの!?」

男友「俺だって親友だろ!?」

女「はいはい。まずこちらは私めの親友である女友です」

女友「お、女友です。よろしくね///」ドキドキ

男「あぁ。よろしく」ニコッ

女友「はぅん///」クネクネ

女「そんで、こっちは親友(笑)の男友」

男友「ウェーイト!(笑)ってなんだ!」

女「うっさい。はよ自己紹介しなよ」

男友「おう!俺は男友と申すんだぜ。これからよろしくなんだぜ」キラキラ

男「お、おう。よろしく……」
(暑苦しい奴だな……)

男友「あっ。お前今、暑苦しい奴だって思ったろ?」

男「うぐっ!す、すまん。実は少し……」ギクッ

男友「うむ、正直でよろしい。素直な奴は好きだぜ」

男「さ……さんきゅ」

男友「お前とは仲良くなれそうだ」ニカッ

女「じゃあ今日の放課後にさ、皆で男を校舎案内してあげよっか」

女友「さんせーい」

男友「異議なーし!」

男「ありがとう。助かるよ」

女「どういたしまして」

男「男友も女友も、ありがとう」

男友「おう!任せとけ!」

女友「私は男くんの為だったら……///」

女「さて話もまとまったことだし、そろそろ次の授業の支度しますか」

男友「やべっ!忘れてた!」

女友「きょっ、教科書!ロッカーから出さなきゃ!」タッタッタ

▼放課後/校舎内

女「ここが理科室。化学も生物も授業はこの教室でやるんだよ」

男「俺らの教室からずいぶん遠いな。教室移動が面倒そうだ」

女友「うん。でもね、プールに比べればマシなんだよ……」

男友「あぁ……。プールのアレは無いよな……」

男「?」

男「何がそんなに酷いんだ?プールってどこにあったっけ?」

女「プールにはね、校庭をはさんだ向こう側にあるんだ……」

女友「つまり真夏の炎天下の中、荒野のような校庭を集団で横断……」

男友「行きも帰りも地獄。プールの涼しさなんてすぐ忘れちまうわけさ……」

男「……そ、そっか」

男「『お互い変わってない』って言ってたけど、お前はだいぶ変わったよな」

女「えー!? そんなことないでしょ」

男「なんてゆうか、垢抜けた感じがする」

女「そう?でも今の女子高生はどこもこんなもんだよね」

女友「うん。こんなもんだよ」

男「さすがにそれは嘘だろ」

女友「本当だよ」

女「そんなしょうもない嘘つくハズないでしょ」

男「いや、だってそんな格好の奴、こっちにはいないぞ?」

女「そりゃそっちにはいないよ。田舎だもん」

男「うぐっ!い、田舎なめんな!」

女「もしかして私、カワイくなった……?///」

男「むしろケバくて萎えた」

女「えぇ!?こんなの全然普通だし!」

男「萎えてしまいます」

女「丁寧にダメ出しされた!?」

男「しかし、これが普通って……うむむ」

女「ちなみに大学生はもっと化粧凄いよ」

男「マジかよ」

女「マジです」

男「萎えるわ……」

女友(男くんはケバイの苦手……ナチュラルメイクで攻めるべし。メモメモ)カキカキ

男友(化粧の濃さなんか気にならない)

男友(巨乳?貧乳?そんなのどっちでもいい)

男友(俺は女の子の生脚さえ見れればいいんだ)

男友(ひざの裏の、Hの模様こそが至高!そして正義だ!)クワッ

男「男友、どうした?」

男友「い、いや……何でもない」ゴホン

女「えっとじゃあ最後は図書室なんだけど――」

男「ちょっとタンマ。今何時だ」

女友「今は15:45だけど」

男「……まずいな」

女友「えっ、何が?」

男「放課後に転入の挨拶で校長と会う約束してたんだった……」

女「えぇ!?それはヤバイでしょ!?」

男「すっかり忘れてた……」

女友「なら、終わるまで待ってよっか?」

男「いや、長くなりそうだからいいよ」

男「それに帰りは駅前のスーパーで買い物しなくちゃいけないし」

女友「そっか……」シュン

男友「しかたないな。じゃあ今日はここまでだ」

男「ゴメン。俺の為に色々してもらってるのに」

男友「いいってことよ!俺たちもうダチだろ?」b

女「そうよ!ダチでしょ!?」b

女友「ダ、ダチだからね!///」b

男「あはは、ありがとう」

男「それじゃ、また明日な」タッタッタ

「「「また明日ー」」」
 ノシ ノシ ノシ

▼校長室前

―ガラッ。

男「それでは、失礼します」ペコッ

―ガラッ、ピシャッ。

男「……ふぅ。さて、帰るか」

▼校舎内

男 スタスタ ピタッ

男(ここって、さっきの……)

男「……図書室、か」

男(そういえば、図書室だけ見れなかったんだよな)

男「んー。少し、覗いてみるか」

―ガラッ

▼図書室

男 スタスタ

男(へぇ。けっこう広いんだな)

男(本も綺麗に揃ってる……ってか本、多っ!)

男(多過ぎて本棚入りきれてないじゃん!積み過ぎだろ!)

男(……せっかくだし、少し何か読んでこうかな)

男(――あっ)

眼鏡女「…………」ペラッ

男「…………」

眼鏡女「…………」ペラッ

男「……あのぉ」

眼鏡女「えっ!?ひゃい!」ビクッ

男「うぉ!?お、驚かしてゴメン!」アセアセ

眼鏡女「い、いえ。私の方こそ気がつかなくて、失礼しました」アセアセ

男「初めまして……じゃないよね。たしか同じクラスの――」

眼鏡女「……眼鏡女です」

男「そうだ。眼鏡女さんだ。転校生の男です、よろしく」

眼鏡女「どうも……」ペコ

眼鏡女「図書室に、何か……?」

男「いや。校内見学してただけで、特に用は無いんだけど」アセアセ

眼鏡女「そうですか」

男「……それ、何読んでるの?」

眼鏡女「これですか?」

男「うん」

眼鏡女「これはその……、小説です」

男「へぇ。誰の本?」

眼鏡女「言っても知らないと思います」

男「そんなことないよ!ほら俺、読書が趣味だし!」

男「……ほとんど漫画だけど」

眼鏡女「……」

男「でも小説も少しは読んでるから、全く知らないってことはないと思うよ?」

眼鏡女「……」

女「これはその、……乙一って作家さんのです」

男「あぁ~、乙一か。良いよね、俺も好きだよ」

眼鏡女「えっ、本当ですか!?」

男「って言っても1つしか本読んだ事ないけど」

眼鏡女「そうですか……」

男「けど、読みやすくてすごく面白かったな、アレ」

男「何て言ったっけ、ナントカ物語って短編集のヤツ」

眼鏡女「もしかして『失はれる物語』では……」

男「あっ、それかも!それ事故って動けない人の話とかあるヤツ!?」

眼鏡女「は、はいっ」ビクッ

男「そう!それだ!あー、思い出せてスッキリしたぁ」

眼鏡女「……」ドキドキ

男「短編って気軽に読めるからいいよね」

眼鏡女「そうですね」

男「事故のヤツは感動したなぁ。でも、最後の指のヤツも面白かったな」

眼鏡女「マリアの指ですね」

男「そうそう!眼鏡女さん、よく覚えてるね?すごいよ!」

眼鏡女「いえ、そんな……///」カァッ

眼鏡女「あの……この本も乙一の短編集ですよ」

男「そうなんだ?少し読んでみてもいい?」

眼鏡女「ど、どうぞ」

ペラ、ペラ、ペラ、ペラ

眼鏡女「…………」ドキドキ

男「……うん。これも面白そうだ」

眼鏡女「はい。とても面白いですよ」

男「タイトルが何てゆうか、その……とにかく独特だね」

眼鏡女「この本の最後のお話のタイトルがこれなんです」

男「ふぅん。『平面いぬ』、か」

眼鏡女「斬新なタイトルですよね」

男「どんな話?まさか人面犬みたいな?……そんな訳ないよな」

眼鏡「ふふっ」クスッ

眼鏡女「あの」

男「ん?」

眼鏡女「よかったらそれ、貸しましょうか?」

男「えっ!?でも、まだ読み途中でしょ?」

眼鏡女「私はもう、一度読んだことありますから」

男「いやでも眼鏡女さんの汚しちゃったりしたら悪いしなぁ……」

眼鏡女「ふふふっ」クスクス

男「何かおかしかった?」

眼鏡女「いえ、すみません。多少なら汚れても大丈夫ですよ」

眼鏡女「だってこの本、学校のですから」

男「へっ?」

眼鏡女「実は私、図書委員なんです」

眼鏡女「多少の汚れならクリーニングかけて綺麗にしますから、大丈夫です!」

男(……なんか妙に得意げな顔だな。でも)

男「クリーニングしてるって言っても」

男「まさかさすがにここにある本、全部クリーニングしてる訳じゃないよね?」

眼鏡女「してますよ?だって、私の仕事ですから」ニコッ

男「そうですか。あはは……」

男(おいおい嘘だろ!どう見ても数万冊はあるぞ!)

男(……でも確かに、どの本も綺麗なんだよな)

男「じゃあ、せっかくだから借りていこうかな」

眼鏡女「わかりました。では図書カードにサインをお願いします」

男「了解」

眼鏡女「貸出の期限は一週間ですから、忘れないでくださいね?」

男「わかりましたよ、っと」カキカキ

男「読み途中だったのに悪いね」

眼鏡女「大丈夫です。ストーリーは充分頭に入ってますから」

男「そんなに読み返してるなんて、よっぽど乙一が好きなんだね」

眼鏡女「はい/// それに参考になるのりますし///」

男「参考?何の?」

眼鏡女「あっ!いえ、なっ、何でもありません!///」アセアセ

男「?」

男「帰ったら早速読んでみるよ」

眼鏡女「よかったら今度、感想を聞かせてください」

男「わかった。それじゃ、またね」

眼鏡女「はい。またです」

▼夜/男の家

男「…………」

男「…………」ペラッ

男「…………」

男「…………」ペラッ

男「…………」

男「…………ふぅ」パタン

▼翌日/朝/教室

女「男、おはよー」

女友「男くん、はよー!」

男「おう。おはよ」

男友「転校二日目で早速ハーレム状態ですか。良い御身分ですね……」

男「何言ってんだよ。どこがだよ」

男友「現に女子2人から朝の挨拶されてるじゃねえか!ちくしょお!」

男友「女!俺にも笑顔で挨拶くらいしてくれよぉ!」

女「ヤダ」

男友「即答!?何で!?」

女「だって、浮気になっちゃうかもじゃん」

男友「浮気?どゆこと?」

女「私、男と婚約してるからさ」

女友「なっ、何ですって!?」

男「そんなのいつの話だよ……」

男友「マジなのかよ!いつしたんだよそんなの!」

男「幼稚園の時のおままごとでの話だよ……」

女「それでも約束は約束だし?」

女友「そんなのずるい!そしたら私なんて男くんと前世から約束してたんだから!」

男「そんな訳ないだろ……」

女「残念でしたー。前世の約束は私に上書きされましたー」

男「だからそんな約束してないから……」

男友「男、頼む!俺にその立場を譲ってくれぇ!」

男「あーもう!お前らうるさい!

眼鏡女「…………」チラッ


男「―――――。」

女「――。―――。」

男友「―!――――!」

女友 「――――!」

男「――。」ハァ


眼鏡女「……」

▼昼休み/教室

― キーンコーンカーンコーン。

男友「よっしゃ!男、昼飯食うぞ!」

男「はいはい。よいしょと」ゴソゴソ

女「男……。それコンビニのパンばっかりじゃん」

男「大丈夫!うまい棒もあるぜ?」

女「全然大丈夫じゃないわよ!栄養足りなさすぎ!」

男「まァ一人暮らしなんだし、こんなもんだろ」モグモグ

女「それにしても、もっと食べ応えのあるものとか……」

男「そういうのは高いからこれで充分」モグモグ

女友「男くん……、よかったら私のお弁当少し分けてあげる」

男「えっ!?で、でも、悪いからいいよ」

女友「ううん、いいの。食べて感想聞かせて欲しいし」

男「感想?」

女友「うん。他の人に食べてもらった方が、料理の腕上がるって言うから」

男「もしかして、そのお弁当自分でつくってるの?」

女友「えっ!? いや、あの……う、うん///」

男「凄いな、見直したわ」

女友「えへへ///」

女「……何嘘ついてるの。アンタ、玉ねぎの皮もろくに剥けないじゃん」

女友「ちょっと!何でバラすの!?」

女「卑怯なことは許さないから」

女友「卑怯って何よ!」

女&女友 ギャーギャー!!

男「……」モグモグ

男友「俺のはヤんねぇぞ」モグモグ

男「いらねぇよ」モグモグ

眼鏡女「……」ガタッ スタスタ

男「?」

男(眼鏡女さん、どこ行くんだろう……)

男友「どうした?」

男「……いや、何でもない」

▼放課後/教室

女「男、今日の放課後は空いてるでしょ?」

男「悪い。ちょっと今日も用事が……」

女友「えぇー!?今日こそ一緒に帰れると思ったのに!」

男「ごめんごめん!」アセアセ

男友「仕方ないですな。男の代わりに私めがお相手を――」

女友「男君、明日こそ一緒に帰ろうね」

男「あぁ」

男友「……」

すみません……寝落ちしてました……。
支援下さってるのに申し訳ないです。
もう大丈夫です。再開します。

※皆さん疑問があると思いますが、
 お話が終わったら回答致します。

男「それじゃ、また明日」ノシ

女「はい、またね」ノシ

女友「ばいばーい」ノシ

男友 orz グスッ

女「……はぁ。何してんの男友。早く帰るよ」

男友「よ、よろこんでー!」パアッ

▼図書室

眼鏡女「……」ペラッ

眼鏡女「ん~…………うん」

眼鏡女「……」カキカキ

―ガラッ

男「失礼しまーす」

眼鏡女「あっ、男さん!?い、いらっしゃいませ!」バッ

男「あはは。ファミレスじゃないんだから」

眼鏡女「すみません///」カァッ

男「これ、ありがとう。凄く面白かったよ」

眼鏡女「もう読み終わったんですか?」

男「面白くて最後まで読み切っちゃった」

眼鏡女「楽しんでもらえて光栄です」

男「個人的には『はじめ』が好きだな。青春って感じがして」

眼鏡女「私も一番いいなと思いました。その次が平面犬です」

男「俺も同じ。あー、でも『BLUE』と甲乙つけ難い……」

眼鏡女「私も『BLUE』好きですけど、読んでると悲しくなるので……」

眼鏡女「それがそれが面白い所でもあるんですけど……」

男「たしかに」

≪ちょっと補足です。≫

※「はじめ」…少年2人が生み出した“はじめ”という空想の女の子が、現実化する話。

※「BLUE」…動けて喋れる“王子、王女、騎士、馬、奴隷(BLUE)“の5体の人形の話。

※「平面犬」…体中を動き回る“刺青の犬”を飼っている女の子の話。

男「でも乙一の話って全体的に悲しくて寂しい感じがするよね」

眼鏡女「そっ、そうなんです!私、その感じがすごい大好きなんです!」アセアセ

男「ちょっと落ち着いて!ここ図書室!」シーッ

眼鏡女「あっ!……ゴメンナサイ///」カァ

男「あはは。本当に好きなんだね」

眼鏡女「はい///」

眼鏡女「男さんは何か好きな小説はありますか?」

男「そんなに小説は読む方じゃないけど、ホラー系が好きかな」

眼鏡女「ホラーは……苦手です……」

男「え?でも乙一もたまにそうゆうのない?」

眼鏡女「あります……。その時は、頑張って読みます……」

男「あはは。ホラーでもオススメけっこうあるよ」

男「作家なら貴志祐介とか」

眼鏡女「あっ、その人知ってます」

男「本当!?」

眼鏡女「『青の炎』を読んだことがあります」

眼鏡女「映画の方も観ました」

男「あれはいいよね。あれも悲しいけど」

眼鏡女「はい。すごく感動しました!でも――」

男「映画がイマイチだった、かな?」
眼鏡女「映画はイマイチでした」

眼鏡女「えっ!?」

男「あはは。やっぱり?」

男「正直ヒロインと主人公の悪友がイマイチだよね」

眼鏡女「わ、私も同じです!」


※「青の炎」… 高校生の男の子が計画を立てて父親を殺す話。
        嵐の二宮さん主演で映画化。

男「けっこう話合うね、俺たち」

眼鏡女「こんなに本の話したの初めてです」

男「友達には小説とか読む人いないの?」

眼鏡女「……特に親しい人がいませんので。あはは」

男「えっ!?あっ、その……ゴメン!」アセアセ

眼鏡女「大丈夫ですよ」

男「でも――」

眼鏡女「気にしないでください。私の性格のせいですから」

眼鏡女「人と話すのがどうも苦手で……」

男「そう?俺は話してて楽しいけど」

眼鏡女「楽しい?私と話すのがですか?」

男「うん」

眼鏡女「いやでも、自分でもけっこう根暗だと思ってますし……」

男「そんなことないよ。乙一を語ってる時はすごくキラキラしてるよ」

眼鏡女「そ、そんなことないです!///」

男「あははは」

男「そういや、ひとつ聞いてもいいかな?」

女「何ですか?」

男「それ。何書いてるの?」

眼鏡「えっ!?あっ、これはその……見ちゃダメです!」バッ

男「大丈夫、見ないよ!少し気になっただけで!」アセアセ

眼鏡女「ダメです!これは絶対に秘密です!」

男「わかった、わかったから!見ないから!」アセアセ

男「そんな必死に隠さなくても……」

眼鏡女「うぅー……見たら絶対笑いますもん」

男(そこまで言われたら逆に見たくなるな……)ニヤリ

男「大丈夫。取らないし、見ないよ」

眼鏡女「……本当ですか?」

男「あぁ。約束する」ニヤッ

眼鏡女「……」ジトーッ

男「本当だよ。嘘ついたり約束破ったりしたら何でもする」

眼鏡女「……わかりました。信用します」

男「……あっ!校庭に青い人形が落ちてる!『BLUE』かも!」

眼鏡女「えっ、どこですか!?」キョロキョロ

男「スキあり」バッ

眼鏡女「あっダメ!お、お願いです!見ないで!」ジタバタ

男「どれどれ。……これってもしかして、小説?」

眼鏡女「うぅ……見ないでって言ったのに……」シクシク

男「ごめん!あそこまで隠されたら逆に気になって!」アセアセ

眼鏡女「約束したのに……」シクシク

男「本当にごめん!」

眼鏡女「男さんの嘘つき……最低です……」シクシク

男「あわわ」アセアセ

男「そ、それにしてこれ、すごい良く書けてるよ!」

眼鏡女「そんなの嘘ですよ。絶対心の中で笑ってますよ……」

男「そんなことないよ!面白い!俺、これ好きだよ?」

眼鏡女「……本当ですか?」

男「本当本当!乙一が好きなだけあって、眼鏡女さんも文が綺麗だよね」

眼鏡女「いや、そんなことは……」

男「事故で寝たきりになったヒロインが光になって……」

男「真夜中の12時から1時間だけ主人公の所に現れる……」

男「触れたくても光だから触れられない……」

男「題材もファンタジーで、もの悲しくて」

男「それに文も綺麗で本当に面白いよ」

眼鏡女「……」

男「これの続きはある?」

眼鏡女「いえ、まだ考えてる所……です」

男「じゃあ続きが出来たらまた見せてよ」

眼鏡女「えっ!?」

男「本当に面白いんだ。続きが気になるくらい」

眼鏡女「いや、でも恥ずかしいですし……///」

男「それに、作ったものは誰かに見てもらった方が良いらしいよ?」

眼鏡女「うぅ~……」

男「眼鏡女さん、お願い!」

眼鏡女「……絶対に笑わないでくださいね?」

男「笑わないよ」

眼鏡女「それに絶対誰にも言わないでくださいよ!?約束ですよ!?」

男「誰にも言わない。約束する」

眼鏡女「でも男さんはさっき嘘つきました」ジトーッ

男「ゴメン!今度は本当!約束するよ!」

眼鏡女「む~……」ジトー

男「絶対約束します!お願いします!この通り!」ペコペコ

眼鏡女「わかりました。なら、続きができたら……見せます///」

男「やった!」

男「あっ。あともうひとつだけ」

眼鏡女「何ですか?」

男「敬語じゃなくていいよ。俺たちクラスメイトなんだし」

男「それに俺も使ってないし」

眼鏡女「ごめんなさい。これは昔からクセなので……」

男「えっ、いや!逆に俺の方こそ慣れ慣れしくてなんかゴメン!」アセアセ

眼鏡女「そ、そんなことないです!ごめんなさい!」アセアセ

男「まぁでもさ無理にやめろとは言わないよ」

眼鏡女「はい。お気遣いありがとうございます」ニコッ

男「///」ドキッ

眼鏡女「どうかしましたか?」

男「い、いや、何でもない///」ドキドキ

―― ガラガラッ

先生「おーい。とっくに下校時間過ぎてるぞ?」

眼鏡女「すいません。今出ます!」アセアセ

先生「あぁ眼鏡女か。いつもご苦労さんだな」

眼鏡女「ありがとうございます」ペコッ

先生「キミも早く帰るんだぞ」

男「わかりました」

先生「誰もいないからってあまりイチャイチャするなよ」

男「はぁ!?///」
眼鏡女「えっ!?///」

先生「それじゃあな」

――ガラガラッ ピシャッ

男「……///」

眼鏡女「……///」

男「じゃあ……帰ろっか///」

眼鏡女「はい。そうですね///」

▼放課後/帰り道

「やっぱりアイドルだからって映画出させちゃダメだよなー」

「そうですね。演技力が伴ってればいいですけど」

「そうなんだよ。最後のあのシーンは涙ぐらい出せなくちゃな」

「でも、主人公は合ってましたね」

「それは俺も思った!ジャニーズだからって馬鹿に出来ないな」

「彼は演技の練習もよくやってますし、舞台をやって場数も踏んでますから」

「へぇ~。そっち方面も詳しいんだね」

「いや、これはその!あのグループが好きだからとか、そんなのじゃないですから!」アセアセ

「あはは、墓穴掘ってるよ。新しい一面を発見したなぁ」ニヤリ

「うぅ……。――あっ」

「どうしたの?」

「いえ、その。私、道こっちなんです……」

「そっか。じゃあ今日はここまでだね」

「……そうですね」

名前なくなったのは演出の一環かね

「また今度、話の続きしよう」

「はい!」

「それじゃ、また明日ね」

「はい。また明日です」ペコリ

>>132
夕暮れ時、街は赤みを帯びている。
伸びた影を連れて、遠くで2人が一緒に歩いている。
そんなのをご想像下さい。
-------------

▼翌日/朝/校門

女「男、おっはよー!」

男「おぉ」

女「むー。テンション低くない?」

男「お前が朝っぱらからテンション高すぎるんだよ」

女「私は元気だけが取り得だからね」

男「昔からそんなんだよな、お前は」

女「男も昔からそんな感じだよね」

眼鏡女「……」スタスタ

男「眼鏡女さん、おはよう」

眼鏡女「えっ!?あっ、男さん!おはようございます!」ペコッ

男「あはは。眼鏡女さんもテンション高いね」

眼鏡女「?」

女「おはよ。眼鏡女さん」

眼鏡女「お、おはようございます」ペコッ

女「男、眼鏡女さんと仲良いんだ?」

男「この前たまたま図書室で会って、意外と趣味が合ってビックリ。ね?」

眼鏡女「はい!あの、そっ、そうなんです!」アセアセ

女「ふ~ん」チラッ

眼鏡女「わっ、私、先に教室行ってますね!」ピューツ

男「あはは。ほんと世話しない子だな」

女「……」

男「どうした?」

女「別になんでもないよ」

男「?」

女「ほら。早く教室行こう」

男「お、おう……」

▼教室

クラスメイト友1(以下、クラ友1)
「あー、今日の部活行きたくねぇ。ダリぃよ」

クラスメイト友2(以下、クラ友2)
「本日はOBの来訪。実に萎える……」

男友「うんうん。気持ちはわかるぜ」

クラ友1「万年帰宅部のクセに、何を知った風に……」

男友「何だと!?帰宅部なめんな!いいか、帰宅するってのはな――」

クラ友1「ハイハイ。大変そうですね」

男友「こらー!俺の話を聞けぇーい!」

クラ友1「お前は毎日が楽しそうでいいよな」

クラ友2「万年笑顔。実によろしい」

男友「『今を楽しめ』、それが俺のモットーだ!なははは!」

クラ友1「あははは……」

クラ友2「青春謳歌。尚、よろしい」

―ガラガラッ。

男友「おー。おはよッス」

男「おぉ」

クラ友1「なんだ。転校生か」

男「なんだとは何だよ」

クラ友2「すまなんだ。相棒は口が悪いのだよ」

男「いや、大丈夫だ。問題ない」

クラ友1「けっ」

女「こら!男にそんな態度取ってると怒るよ!?」

クラ友1「げっ!女か!」

女「げっ、とは何よ!」

男友「おーおー。夫婦そろって登校とは羨ましい限りですな」

クラ友2「神は不平等を愛する」

男「違ぇよ。女とは下駄箱の所で会っただけだ」

男「俺とコイツはそんなんじゃねぇよ」

女「そんな……。私たち、将来結婚を約束した仲だというのに……」シクシク

クラ友1「えっ、お前こんなのと婚約してんの?」

女「こんなの、って何よ!」

男「だから違うって。幼い頃のおままごとの話だ」

女友「そうよ、違うの。男君は私と結婚する予定なんだから」

男「もっと違う。しゃしゃり出てこない」

女友「そんなぁ~……」ガーン

クラ友2「リア充、はじけて混ざれ」

▼昼休み/教室

男友「男ー。今日の昼飯どうする?」

男「どうするって、いつも通りコンビニのパンだよ」

男友「そうじゃなくて、せっかくだから食う場所変えねぇか?」

男「別に教室でいいだろ」

女「私、男友にさんせー」

女友「私も男友にさんせー」

男友「おぉっ!?二人とも俺に賛同を!?ついに俺にも春がキタ!?」

女「だって教室じゃ男とイチャイチャできないし」

女友「男くんと青空の下でゴハン、素敵だよぉ///」

男友( ゚д゚)

男友( ゚д゚ )

男「こっち見んな」

眼鏡女「……」チラッ

男友「――――!―――!」

男「――。―――。」

眼鏡女「……」

男友「なんちうピエロっぷりだよ、俺……」

男「自業自得。いや、お前の場合は因果応報か」

男友「俺が何をしたってゆうんだ……」

女「いいから早く行くよ?」

女友「中庭行こ!中庭!」

男「はいはい。――あっ、そうだ。眼鏡女さん?」

眼鏡女「ふぁいっ!なな何でしょうか!?」ドキッ

男「よかったら眼鏡女さんも一緒にご飯食べない?」

眼鏡「わ、私ですか!?」

男友「おぉ!あの男がついにナンパを!?」

男「違うって」

男友「華が増えるのは大歓迎だ!お前らも良いだろ!?」

女「私は別に良いけど……」

女友「私もいいよ。人が多い方がごはんもおいしいもんね!」

男「よし決まり。もしかして迷惑だった?」

眼鏡女「いや、そんなことはないです!」

男「なら行こう。ほら」

眼鏡女「はい……」

女「……」ジーッ

▼中庭

男友「ひゃっほーい!昼飯タイムなんだぜ!」

女友「眼鏡女ちゃんのお弁当すごい美味しそう!」

眼鏡女「いえ、そんなことは……」

男「ホントだ。冷凍食品らしきものも一切入ってない」

男友「色とりどりでメッチャメチャうまそうやん。素敵やん」

眼鏡女「あぅ……///」

女友「お母さんが作ってくれてるの?」

眼鏡女「いえ、母は仕事で忙しいので、いつも自分で……」

男「えっ、手作り!?すごい!」

女友「負けた。女子力完全敗北や……」

男友「これは将来良い奥さんになれるな。間違いない」

眼鏡女「そ、そんなこと無いです///」

男「でも本当においしそうだ。感心したよ」

眼鏡女「よかったら、何か食べますか……?」

男「いいの!?」

眼鏡女「はい、どうぞ」

男友「うらやましかぁ!男、うらやましかぁ!」

女友「ずるいよ!私だって男くんにあげたいのに!」

男「じゃ、じゃあ卵焼き1つもらいます……」ヒョイ パクッ

眼鏡女「どう……ですか?」

男「んン~……」モグモグ ゴクン

眼鏡女「……」ドキドキ

男「うん!うまい!甘くて柔らかくて、すごい美味しいよ!」

眼鏡女「あ、ありがとうございます///」

男友「うらやましか……うらやましかぁ……」

女友「はわぁ~。私も食べてみたい……」

女「……ねぇ、もしかして二人って付き合ってるの?」

眼鏡女「えっ!?」
男「はぁ!?」

女「何か雰囲気的にそんな感じがする」

男「ないない!そんなのないから!」アセアセ

眼鏡「そ、そうですよ!そんなのないです!」アセアセ

女「ふぅん。私の勘違いか」

女友「そうだよ!だって男くんはいつか私と……///」

男友「……ふっ。また男か。神はつくづく俺のことが嫌いなようだ」

男「どうした男友。何か言ったか?」

男友「何でもないさ。ちょっと、生まれの不幸を呪っただけだ」

男「?」

男「そういや、お前の弁当もいつもウマそうだよな」

男友「や、やらんぞ!これは俺の弁当だ!」ガシガシ モグモグ

男「だからいらねぇって」

男友「ふぃー。今日も食った食った」

男「じゃあ教室戻るか」

女「……」

男「どうした?」

女「……いや、私たち女子はまだここに残るから」

まさかのバイさるです……。
ついでに少し休憩します。しばしお待ちください。
見られてる人いたら、すみません……。

女(女友……)チラッ

女友(おk。把握した)コクン

男「戻らないのか?」

女「うん。眼鏡女さんともっと話ししたいから」

男「だそうだけど、眼鏡女さんは大丈夫?」

眼鏡女「はい。大丈夫です」

女友「同じクラスなのに全然話したことなかったもんね」

眼鏡女「そうですね」

男「わかった。じゃあ遅刻だけはするなよ?」

女「わかってるわよ」

男「あと眼鏡女さんに変なことするなよ?」

女「し、しないわよ!」

男「――。――――。」スタスタ
男友「――――。」スタスタ


女「……男、行った?」

女友「うん、行った。もう大丈夫っぽいよ」

女「では、やりますか……」

女友「いひひ。腕がなるぜ……」

眼鏡女「?」


女「それでは眼鏡女さん」

女友「突然ですが、これから女子会という名の尋問を始めたいと思います」

眼鏡女「えぇっ!?」

眼鏡女「どうしたんですか、何ですかコレ」アセアセ

女「これから私たちがする質問に正直に答えてください」

眼鏡女「でも……」アセアセ

女友「眼鏡女ちゃん……」ゴゴゴゴゴ

眼鏡女「はい!?何ですか!?」

女友「あなたは……男くんが好きですか?」

眼鏡女「急にそんなこと聞かれても」アセアセ

女「話をはぐらかした。黒か……」

女友「大統領、ヤツはまだ完全に吐いてません!尋問を続けさせてください!」

女「……」

女友「お願いします!仕事をさせてください!」

女「……許可しよう」

女友「ありがとうございます!」

眼鏡女(もしかしてこれって、24……?)

女友「さぁ吐いてもらいましょうか」

女「どうなの、眼鏡女さん!?」ズイッ

女友「男くんが好きなの!?」ズイズイッ

女&女友「どうなの!?」ズズズイッ

眼鏡女「わ、私は……」



眼鏡女「私は、その、そういうのは……よくわからないです」

眼鏡女「そもそも図書室で話したのが知り合った切っ掛けで」

眼鏡女「漫画が好きって言ってたから、まさか乙一知ってると思わなくて……」

眼鏡女「お話も合うので、それから仲良くさせてもらっててですね」

女友「……」

女「……」

眼鏡女「男さんと話すのが楽しくて///」

眼鏡女「もっと話せたらいいなとか思ったりもしますけど///」

眼鏡「でも本当にそれだけで好きとかそういうのは(ry ///」

女友「……大統領。これは」

女「純情乙女ということか」

女友「えぇ。それも、とてつもなく……」

眼鏡女「好きとか何というか、その(ry ///」

眼鏡女「それに私なんかが男さんのことをそう思う資格なんか(ry ///」

女「眼鏡女さんストーップ!」

眼鏡女「はっ、はい!?」

女「眼鏡女さんの気持ちは痛いほどよくわかったわ……」

女友「ホント。色んな意味で痛いよ……」

女「眼鏡女さん。あなたは間違いなく男に恋してるわ!」ビシッ

眼鏡女「そう言われても、私には……」アセアセ

女友「いや、もうバレバレだよ」

女「そしてね……ここからか重要なの。よく聞いて」

眼鏡女「……」ゴクリ

女「十中八九……いや間違いなく、男も眼鏡女さんのことが好きよ」


眼鏡女「えぇ!?」

女友「うぇええぇぇーー!?嘘でしょ!?マジかよ!?何でよ!?」

女「女の勘。って言えればカッコイイんだけど、一応根拠があるわ」

女友「どんな根拠だってのよ!私の男君が、何で!」

女「暴れないで黙って聞きなさい」ガシッ

女友「その根拠がふざけたもんだったら、アンタわかってるでしょうね!?」ジタバタ

眼鏡女「お、女友さん!落ち着いて!」アセアセ

女「根拠はね……男の口調よ」

女友「口調!?」
眼鏡女「口調ですか?」

女「あいつは昔から、好きな女の子には言葉遣いが丁寧になるのよ」

女友「ま、まさか!?」ハッ

女「そう。丁度、眼鏡女さんに話してるような感じみたいね」

眼鏡女「えっ?」

眼鏡女「そ、そんなことないと思いますけど」

女「逆に私みたいに砕けた言い方だと、そういう対象じゃないわけ」

眼鏡女「それは女さんとの付き合いが長いからでは――」

女「ううん。アイツとは幼稚園の時からずっとこんな感じよ」

眼鏡女「……」

女「アイツの癖はもう根拠ってより証拠に近いわ」

女友「じゃ、じゃあ本当に……」

女「皆まで言わずとも、わかるでしょ?」

女友「ちくしょう……ちっくしょう……」ガクッ

女「でも、だからって私は諦めない」

女「眼鏡女さん」

眼鏡女「何でしょうか?」

女「実は私もね、男が好きなの」

眼鏡女「えっ!?」

女「幼稚園の時からずっとね。男にはそんな素振り見せたことないけど」

女「だからね、男を眼鏡女さんに簡単に渡したくない。負けたくない」

眼鏡女「…………」

女「ってことを眼鏡女さんには言わなきゃいけない気がしたんだ」ニコッ

眼鏡女「……私は――」

女友「はいはい!私も!私も男くんが好き!」

女「女友はただの悪乗りでしょ?

支援ありがとうございます。
ですが、すみません。エロ展開はありません。
彼・彼女らの青春をお楽しみください。
----------

女友「ちっ、違うよ!転校の挨拶の時の、あの爽やかさ!」

女友「私、一目惚れしちゃったんだもん///」

女「へぇ~」

女友「それで実際話してみたら素敵な人で……それで……///」

女「はいはい。ビッチ乙」

女「ゴホン。ともあれ眼鏡女さん、そういうわけだから」

眼鏡女「……はい。わかりました」

女友「別に眼鏡女さんが嫌いなわけじゃないからね?」アセアセ

女「そうよ。これはただの私からの宣戦布告だから」

女友「違う!“私たち”からの!」

女「あ~ハイハイ」

眼鏡女「宣戦布告……ですか」

女「誰が男を取っても文句は無しよ、ってこと」

女「それに男のあの童貞臭さなら、強引に行けば私にもまだチャンスあるしね」ニヤリ

女友「童貞……」ジュルリ

女「女友。気が早いわよ」

女友「これは失敬」ゴシゴシ

眼鏡女「……」

女「それだけ。以上よ」

眼鏡女「……わかりました」

女「話してスッキリしたことだし。それじゃ私達、今日からお友達ね」

眼鏡女「えっ!?私とですか!?」

女「他に誰がいるの」

眼鏡女「でも私なんか、話もつまらないですし、少しオタク地味てますし」アセアセ

女「そんなことないよ。話してて面白いし、料理も教えて欲しいし」

女友「敬語なのが気になるけどね」

眼鏡女「うぅ……。すみません、これはクセなので……」

女友「じょ、冗談だよ?」アセアセ

女「それに恋敵は見える場所に置いておくに限るしね」ニヤリ

眼鏡女「そんな。私が恋敵だなんて……」

女「あーもう!いいの!私達は今日から友達兼ライバルそして戦友なの!」

女「時には戦い、時には手を取って助け合うの!わかった!?」

眼鏡女「はい!わかりました!」

女「これからよろしくね」ニコッ

眼鏡女「私の方こそ、お手柔らかによろしくお願いします」ペコッ

女「あはは。何それ」

女友「ちょっと!私だっているんだから!忘れないでよね!」

女「あっ、ごめん。忘れてた」

女友「もう!」

女「あははは」

眼鏡女「ふふっ」クスッ

▼放課後/図書室

男「こんちはー」

眼鏡女「い、いらっしゃいませ!」

男「またファミレスみたいになってるよ」

眼鏡女「ご、ごめんなさい」

男「あはは。謝らなくていいよ。見てて面白いし」

眼鏡女「うぅ///」

男「今日は誰も人がいないね。いつも何人かはいるのに」

眼鏡女「明日から土日ですから」

男「なるほど。明日から休みだから早く帰りたがる、ってことか」

眼鏡女「はい。週末はいつもこんな感じです」

男「眼鏡女さんは土日はいつも何してるの?」

眼鏡女「私ですか?家で本を読んだり、書いたり、家事を手伝ったり……」

男「えっ、ずっと家にいるの?」

眼鏡女「そんなことないですよ!もちろん外にも出かけますよ!」

男「まさか本屋とかスーパーだとかじゃないよね」

眼鏡女「あう……///」

男「図星なんだ……」

男「ちなみに今度の日曜日って、何か用事ある?」

眼鏡女「日曜ですか。特に用事はないのですけど」

男「そしたら、その……。あのさ……」ポリポリ

眼鏡女「?」

男「よかったら、映画でも見に……行きませんか?」

眼鏡女「えっ!?私ですか!?」

男「うん」

眼鏡女「――――っ!!」キョロキョロ アセアセ

男「ダメ?」

眼鏡女「ダ、ダメじゃないです!全然余裕に大丈夫です!」アセアセ

男「よかった。なら、朝の10時に駅前待ち合わせでいい?」

眼鏡女「はい!全然大丈夫です!」

男「今日はそれだけ聞きたくて来たんだ。じゃあ、また日曜日にね」

眼鏡女「はい!あ、ありがとございました!」

男「あはは。今度はコンビニみたいになってるよ」

眼鏡女「ご、ごめんなさい」アセアセ

男「またね」

眼鏡女「はい」ペコペコ

▼図書室前/廊下

男「……」スタスタ

男(……うっわー!すっげぇ緊張したーー!)

男(イメトレした甲斐があった……たぶんキョドらなかったはず……)

男(眼鏡女さん、驚いてたな。でも断られないでよかった)

男(やばい、着て行く服が無い!明日買いに行かなくちゃ!)

男(日曜日、楽しみだな)

男「………………ヨッシャ」グッ

▼夜/眼鏡女の家

眼鏡女「……」ボーッ

眼鏡女(男さんに、映画を誘われてしまいました)

眼鏡女(もしかしてこれって……デート……ですか?///)カァッ

眼鏡女(まさか男さん本当に、でもでも!///)アセアセ

眼鏡女(それより出かける服の用意をしないとですね!)アセアセ

眼鏡女(日曜日、楽しみです)

眼鏡女「…………//////」

▼日曜/駅前

眼鏡女「……」チラッ

腕時計『9:54』

眼鏡女「……」ドキドキ

男「眼鏡女さん……?」

眼鏡女「ひゃい!?」ビクッ

眼鏡女「男さん!?おはようございます!」ペコッ

男「おはよう。ごめんね、誘った側なのに遅く来ちゃって」

眼鏡女「そんなことないです。私も今来たばかりですから」

男「今日は眼鏡かけてないんだね」

眼鏡女「3Dの映画見るならコンタクトの方が良いかなと思いまして……」

眼鏡女「……もしかして変ですか?」

男「ん~、普段は大人っぽいけど、眼鏡外すと少し幼くなるね」

眼鏡女「うぅ、恥ずかしいです///やっぱり眼鏡にしてくればよかったですね///」

男「でも眼鏡外した所初めて見たけどさ、その、そっちも良いと思うよ///」

眼鏡女「ありがとうございます///」

●映画館/上映中

『あなたはそういう根無し草のような生き方で満足なの?』

『えぇ。満足ですよ』

『僕には必要なものは全て揃ってる。胸いっぱい息を吸って、スケッチブックが1冊あればいい』

『毎日何が起こるかわからないから楽しいんだ』

男「……」

男「……」チラッ

眼鏡女「…………」ジーッ

男「……」


男「……」ボーッ

眼鏡女「……」チラッ

男「!」ドキッ

眼鏡女「!」ドキッ

男 ニコッ

眼鏡女 ニ、ニコッ

男「……」ドキドキ

眼鏡女「……」ドキドキ

『僕は人生を贈り物だと考えている』

『どんなカードが配られても、それもまた、大切にしたいと思う』

『一日を大切に』

▼昼/映画館の外

男「やっぱりタイタニックは名作だ!」

眼鏡女「船頭で支える所は本当に名シーンですよね」

男「悲しい恋の話って、どうしてこうも胸をえぐられるんだろうな」

眼鏡女「ディカプリオならロミジュリもそうですよね」

男「あれも俺の中で名作!特にラストのロミオが死ぬ所とか!」

眼鏡女「ふふ」クスッ

男「?」キョトン

眼鏡女「あっ、いや。すみません」

男「俺、何か可笑しなこと言っちゃった?」

眼鏡女「いえ、以前に帰りながら『青の炎』の映画について話した時ありましたよね」

男「うん。覚えてるけど……」

眼鏡女「その時と同じ顔してたので。すみません、笑っちゃいました」

男「えっ!?そんなに変な顔してた!?あの時も!?」

眼鏡女「そうじゃないんです。むしろ夢を語る少年のようで素敵でしたよ」

男「うっ、それはそれで恥ずかしい/// なんか夢中になっちゃうんだよね///」

眼鏡女「それだけその作品が好きだってことですよ」

男「うぅ///」

男「さて次はどうしよっか」

眼鏡女「せっかくですから、もうちょっとどこか行きましょうか」

男「よし!なら色々見て回って遊ぼう!」

男の腹<グ~ッ

男「――でもまずは何か食べよう。実はかなりお腹空いちゃってるんだ///」

眼鏡女「ふふっ。私もです」クスッ

▼水族館

「男さん!ほらペンギンさんですよ!」

「うわ、泳ぐの早っ!」

「かわいいですよね。あっちにはラッコもいます!」

「ラッコって怒ると手が岩石になるらしいから気を付けて?」

「えっ、本当ですか!?」

「嘘です」

「もう!」

「あはは」

▼ショッピングセンター/雑貨屋

「こういう所、好きそうだね」

「はい。見てるだけで楽しいです」

「こういう食器とか特に好きそう――」

―― グラッ

「男さん、お皿が!」

「うぉおお!」パシッ


「……あせった~」フゥ ドキドキ

「き、きをつけてくださいね」ドキドキ

「ご、ごめんなさい」ドキドキ

▼ゲーセン/クレーンゲームコーナー

「よし。いい感じに掴んだぞ」

「……」ドキドキ

「そのまま!そのまま!」

「……」ドキドキ

――ガコン

「や……やったぁー!」

「取れました!取れましたね男さん!」

「それじゃあハイ。カピバラさん人形あげる」

「えっ?」

「好きなんでしょ、カピバラさん?」

「いや、でもこれは男さんが頑張って取ったものですし」アセアセ

「眼鏡女さんにあげたかったから……取ったんだよ///」

「……わかりました/// では恐縮ですが///」

「うん。やっぱりぬいぐるみは女の子が持ってるに限るね」

「ありがとうございます」ペコッ

「ううん。俺があげたかっただけだから」

「すごい嬉しいです。大切にしますね」ニコッ

「どういたしまして///」カァッ

▼夕方/繁華街

男「すっかり暗くなってきちゃったね」

眼鏡女「そろそろ帰らないとですね」

男「うん。そうだね……」

眼鏡女「……」


先刻まで橙色だった夕空は徐々に群青色に染まっていて
夜の帳が垂れ始めていた。

まだ高校生の僕らにとって
共に過ごせる一日は残酷なまでに短い。

別れの時間が刻々と近づいていた。

男「……」

眼鏡女「……」

僕らは無言で帰路を歩き続けていた。

先程まで出てきた言葉も会話も、
別れが近いと妙に緊張してきて何も話せなくなってしまった。


都心は行き交う人が多く、よそ見をしていたら肩をぶつけてしまいそうで、

僕は彼女側に寄って、やり過ごそうとした。

――その時、僕と彼女の指先が軽く触れた。

男「!?」

眼鏡女「!?」

男「ご、ごめん!」

眼鏡女「あわわ!ごめんなさい!」

男「人避けたはずみで触れちゃったんだ……。ごめん、嫌だったよね」

眼鏡女「いや、あの…………嫌じゃ……///」ボソボソ

男「えっ?///」

眼鏡女「嫌じゃ、ない……です///」

男「えっと、その。……そっか///」

眼鏡女「はい///」

男「じゃあ、……つなぐ?///」

眼鏡女「え!?でも、そんな――」アセアセ


―― ギュッ。


眼鏡女「あわわ!///」

男「……照れるけど、意外と恥ずかしくはないね///」

眼鏡女「うぅ///」

男「じゃ、帰ろっか///」

眼鏡女「はい///」


―― 「恥ずかしくない」と彼は言っていたけど、
私は、引っ込み思案な私に対して彼が相当な勇気を振り絞ってくれたのがわかった。

彼の顔は耳の先まで真赤になっていて、つないだ手から彼の鼓動の高鳴りを感じた気がした。

けれどそれは私も同じなんだろうと、デパートのショウケースに映る自分の姿をを見て思う。

辺りが徐々に夕闇に包まれていく中、私達はゆっくりと帰路を歩いて行く。

照れながらもお互いを確かめ合うように手をつないで、ゆっくりと、ゆっくりと歩いて行く。

▼夜/眼鏡女の家

眼鏡女「~~~~っ!」パタパタ

眼鏡女(あわわわわわ!手を繋いでしまいました!)

眼鏡女(「嫌じゃない」だなんて上から目線にも程があります!どこのマリコですか!)

眼鏡女(……男さんって、意外と大胆なんですね///)

眼鏡女(嬉しかったです。でも、良かったのでしょうか)

眼鏡女(私達は付き合ってる訳ではないのに)

眼鏡女(それともこれは付き合ってるということになるのでしょうか)

眼鏡女(男さんはどう思ってるのでしょうか……)

眼鏡女(私はどうすればいいんでしょうか……)

▼同時刻/男の家

男「~~~~っ!」ジタバタ ジタバタ

男(うわぁーーーーー!手を繋いでしまった!)

男(グッジョブ俺!よく頑張った!感動した!)

男(……でも本当に嫌じゃなかったかな。大胆過ぎたかな)

男(これって付き合ってることになるのか?まだ告白もしてないけど)

男(――いや、ダメだ。ちゃんと告白しよう!)

男(全は急げ!明日だ!明日やるんだ!)

男(もう一度だけ勇気を振り絞れ、俺!)

男「よっし!やるぞぉ!」

壁<ドンッ!

男「す、すみません!」ビクッ

▼翌日/朝/校門

男「……」スタスタ

男友「よっ、オハヨッス!」

男「おぉ。おはよう」

男「あっ、眼鏡女さん。おはようございます」

眼鏡女「おはようございます」ペコッ

男「今日も……良い天気ですよね」

眼鏡女「そ、そうですね。風も丁度良いですしね」

男「では、僕は教室に向かうので」

眼鏡女「私も同じ教室です」

男「そうでした。これは失礼」ペコリ

眼鏡女「お気になさらず」ペコリ

男友(何でコイツらギクシャクしてんの)

男友「あっ!やべっ!宿題やって無ぇ!」

男「1時間目の国語のヤツか?」

男友「そうそれ!悪い、先行くわ!誰かに写させてもらわなきゃ!」ダダダッ

男「ホント、いつも忙しない奴だな」

眼鏡女「そうですね」

男「……」ドキドキ

眼鏡女「……」ドキドキ

男「眼鏡女さん」

眼鏡女「ひゃい!何でしょうか」

男「あのさ、今日の放課後って空いてる?」

眼鏡女「図書委員の仕事が終わりましたら大丈夫です」

男「じゃあよかったら、一緒に、かっ、帰らない?」

男(そこで、俺は――)
眼鏡女(一緒に帰って……まさか――)

眼鏡女「は、はい!だ、大丈夫です!」

男「じゃあ放課後、教室で待ってるね」

眼鏡女「わかりました。終わりましたら伺います」

▼昼休み/中庭

男「……」ドキドキ

眼鏡女「……」ドキドキ

男友「男、今日はやけに静かだな」

男「そ、そうか?いつもこんなもんだろ」

女友「眼鏡女さんもいつもより一層静かだね」

眼鏡女「そ、そうでしょうか?いつも通りですよ?」ニコッ

女「……」ジトーッ

男友「ははーん。さてはお前ら、何か隠してるな?」

男&眼鏡女
「!?」ギクッ

男友「今、ビクッとしたな?」

男「してないしてない!」アセアセ

男友「その上、妙に焦っている気がする」

男「うっ!」

男友「もしかして。まさか――」

男「ぐっ……」

男友「――お腹でも痛いのか?」

男「……はぁ?」

男友「だからちっとも食が進まないんだな。恥ずかしがらずに言えばいいのに」

女友「眼鏡女ちゃん、そうだったの?ごめんね、気づかなくて」アセアセ

眼鏡女「いや、その……」

男友「なら仕方ない。眼鏡女さんのお弁当は私めが頂こうかね。にひひひ」

女友「ダメ!」バシッ

男友「あイター!」

女友「眼鏡女ちゃんのは私が食べるんだから!」

男友「そんなのヒドイ!横暴だ!」

女友「うるさい!」

男友 ワーワー

女友 キャーキャー

男「ハァ……」

女「……」ジトーッ

眼鏡女「……」

▼放課後/教室

男「……」

男(もう放課後か……。やばいな、緊張してきた)

男友「男ー、教室掃除始めるぞー」

男「あ、あぁ。わかった」

クラ友1「ウチの学校の教室掃除ってなんで放課後なんだよ。ダリぃ」

男「お前、いつも何かにダルがってばかりだな」

クラ友1「ダルいもんはダルいんだよ」

クラ友2「机運びが面倒。萎える……」

男「まったく、お前らは……。少しは男友を見習えよ」

男友「うおおぉぉぉぉ!見よ、我が箒さばきを!塵一つ残さん!」ササササッ

男「あの男友がちゃんと掃除してんだぞ。お前らも真面目にやろうぜ」

クラ友1「はぁ……ダリぃ」

クラ友2「時折あの男が羨ましく感じるのは何故」

男「よっと」ガタガタッ

クラ友2「男氏、机運びは4人では人数不足だ」

男「わがまま言うなって」

クラ友2「もうダメだ。机を捨てよう。窓から捨てよう」

男「バ、バカ言うな!ほらあと少しだから、頑張ろうぜ!」

クラ友2「了解した」

男友「男なら、3人分の机を一気に運ぶべし!うおおぉぉ!」ガタガタガタガタッ

クラ友1「はぁ、ダリィ……」

クラ友1(ったく重てぇ机だなこれ――)

― ガッ!

クラ友1「うおぉっ!」

――ガラガラッ ガシャーン!

男友「おい、大丈夫か!?」

クラ友1「イテテテ。つまづいてコケたわ」

男(あちゃー。眼鏡女さんの机が散々なことに……)

男友「全く何してんだよ。机から色々こぼれてるぞ」

クラ友1「ったく。ダリぃな。……ん、何だコレ?」




クラ友1「これって……マジかコレ」パラパラ

クラ友1「……ぷっ。くくっ」

▼同時刻/図書室

眼鏡女「ふぅ」

眼鏡女(クリーニングは終わった。あとは本の整理だけ……)

眼鏡女(少し休憩しますか)

眼鏡女(その間に小説書き進めておきましょう)

眼鏡女(男さんも楽しみにしてくれてますし)

眼鏡女「……あれ、ノートが無い」

眼鏡女 キョロキョロ アセアセ

眼鏡女(……あっ!教室に置いたままかもしれないです!)

眼鏡女(急いで取ってこなくちゃ!)ダッ

クラ友1「あっはっはっは。面白ぇ!こいつアホだ!」ケラケラ

クラ友2「どうされたし、相棒」

男友「なんだなんだ?」

男「何やってんだお前」

クラ友1「いいからいいから!見てみろよコレ!」

男(あのノート、まさか……)

クラ友1「ほら、お手製の小説がいっぱい書いてある!ぶははは!」ケラケラ

クラ友2「覗き見イクナイ」

男友「そうだ。そうゆうの、あんまよくないぞ」

クラ友1「だって、このノートってあの眼鏡のヤツのだろ?」

クラ友1「見た目は優等生、中身は厨二ってか!」ケラケラ

男「おい――」

クラ友1「くだらねぇ!マジ馬鹿だコイツ!」ケラケラ

▼教室前の廊下

眼鏡女「はぁ、はぁ」タッタッタ

眼鏡女(うぅ……どうか誰にも見つかってませんように)

「――。――。」
「――――。」

眼鏡女(あれ、教室が騒がしいですね……)

眼鏡女(でもノート取るだけだから、さっと入ってすぐ出ましょう)

「―。―――。」
「―――。――。」

眼鏡女(あっ、男さんだ。クラ友1さんたちと何か話してる)

眼鏡女(あれ……あのノート……)

クラ友1「マジでヤベェ!読んでるこっちが恥ずかしい!」ケラケラ

眼鏡女「!?」

眼鏡女(え……嘘だ……)

眼鏡女(でもあのノート……私の……)

眼鏡女(誰にも見せないって……笑わないって……)

クラ友1「これがラノベってヤツ?アニメ化希望なの?」ケラケラ
クラ友1「どんな顔して書いてるのマジで!」ケラケラ

眼鏡(約束……したのに……)

眼鏡女「………………」

男「やめろよお前。いいかげんにし――」


―― ガラガラッ


男「!?」

男友「あっ」

クラ友2「……oh」



男「……眼鏡女さん」

眼鏡女「――――」

クラ友1「おぉ丁度いい所に来たな。お前さあ、何コレ?」

クラ友1「こんなん書いて、お前まさか厨二病とかなの?」

クラ友1「恥ずかしくないの?高校生にまでなってこんなの書いてて」

眼鏡女「―――――」


眼鏡女「…………」スタスタ

クラ友1「なんだよ?」

眼鏡女「……ぇしてください」

クラ友1「はっ?聞こえねぇよ」

眼鏡女「返してください!」バッ

クラ友1「痛っ!なんだテメェ!」


男「眼鏡女さん……あの、これは……」

眼鏡女「……」キッ

男「!?」ビクッ

眼鏡女「…………グスッ、……グスッ」ボロボロ

男「眼鏡女さん……」

眼鏡女「――――」タッタッタ

――ガラガラッ、ピシャッ!


クラ友2「……」

男友「……」

クラ友1「何なんだよアイツ。わけわかんねぇ」

男「……わけわかんねぇじゃねぇだろ」


男「お前、何で笑ってんだよ……」

クラ友「はぁ?」

男「何で笑ってんだって聞いてんだよ……」ギリッ

クラ友1「おいおい何怒ってんだよ」

男「ムカつくからだろ!」


クラ友1「だから何でお前がムカついてんだよ」

男「ひとが一生懸命やってるものを笑ってんじゃねぇよ!」

クラ友1「はぁ?あんなのタダのラクガキだろ?」

男「ラクガキ……だと……? ふざけんな!」ガシッ

クラ友1「ぐっ!」


男「何も知りもしねぇクセに馬鹿にすんじゃねぇよ!」

クラ友1「あぁ!?んなもん知るか!」ガシッ

男友「男やめろ!」

クラ友2「相棒、落ち着け!」


男「あの子は夢があって、一生懸命書いてんだよ!それをお前は!」

クラ友1「ガキ臭ぇ夢見てあんなん書いてる方が悪ぃんだろ!?」

男「ふざけんじゃねぇ!」バキッ

クラ友1「ぐぁ!……この野朗!」ガスッ

男「がっ!」

男友「二人ともヤメろ!クラ友2はクラ友1を止めろ!」ガシッ

クラ友2「承知した!」ガシッ

男「ガキ臭ぇのはお前の方だろうが!」ジタバタ

クラ友1「あぁ!テメェ殺すぞ!」ジタバタ

男「勝手に他人のもの見て馬鹿にして、お前はそんなに偉いのかよ!」

クラ友1「知るか!ウゼェんだよテメー!」

男「ひとが本気でやってるのを馬鹿にする方がウゼェんだよ!」

クラ友1「あぁ!?」


男「眼鏡女のことロクに知らねぇクセに!」

男「ガキだとか何だとか語ってんじゃねえよ!」

男「お前にはわからなくても、あの子は本気でやってんだよ!才能だってあんだよ!」

男「それを馬鹿にして、笑いものにして、あげくに泣かせやがって……」

男「眼鏡女に今すぐ土下座して謝ってこい!」

クラ友1「はぁ!?するわねぇだろ!」

男「ならお前の頭抑えつけてでもさせてやる!」

クラ友1「なめたこと言ってるとマジで殺すぞテメェ!」


クラ友2「 ス ト ォ ォ ー ー ー ー ッ プ !! 」ビリビリ


男「!?」ビクッ

クラ友1「!?」ビクッ

男友「声デカ!」


クラ友2「レフェリーストップだ、お二方」

男友「お前ら落ち着けよ!先生が来るぞ!?」

男「……」ハァ、ハァ

クラ友1「……」ハァ、ハァ


男友「まったく。何でこんなことになっちまったんだか……」ハァ

クラ友2「もちろん先に手を出した男が悪い」

男「……」

クラ友2「しかしその切っ掛けをつくったクラ友1も悪い。よってドローだ」

クラ友1「だから何で俺がキレられなきゃなんねぇんだよ」

男友「お前、本当にわかんねぇのか?」

クラ友1「知るかよ」


男「……お前たしかサッカー部だったよな」

クラ友1「あ?」

男「レギュラー取れなくても、毎日部活で死ぬほど練習してんのは何でだよ」

クラ友1「うるせえよ。それが何の関係があんだよ」

男「お前がサッカーが好きで、本気でやってるからなんだろ?」

クラ友1「……」


男「どうせレギュラー取れないクセに、プロになれる訳でもないのにって」

男「馬鹿にされて、けなされてもお前は許せるのか!?」

男「ひとが夢持って真面目にやってることは、例えどんなことでも馬鹿にすんなよ!」

クラ友1「……」

男友「まァそういうことだ」

男友「それに何よりも、女の子は泣かしちゃいかんぞ」

クラ友2「クラ友1。イエローカード1枚だ」

クラ友1「……チッ」スタスタスタ

――ガンッ! ガラガラッ

クラ友1 スタスタスタ


男友「あーあー。せっかく並べた机蹴って行っちまいやがった」

クラ友2「無問題。あんな奴だが、自分が悪いとわかればしっかり反省する」

男友「男も暴力沙汰だけは簡便だ。いかんぞ」

クラ友2「男氏は一発レッドで退場」

男「……悪い。すまなかった」


男友「明日、クラ友1にも謝っとけよ?」

男「あぁ」

男友「あと、あの子にもな」

男「……あぁ」


▼翌日/朝/眼鏡女の家

チュンチュン

眼鏡女「……」

眼鏡女(目が赤い。腫れてますね)

眼鏡女(学校行きたくない……。誰とも会いたくない……)

眼鏡女(特に……男さんとはもう……)

眼鏡女「……」ハァ

眼鏡女(でも委員会があるから、行かなくちゃ)

眼鏡女(……嫌ですけど)


▼学校/校門付近

眼鏡女「……」トボトボ
(ハァ。学校に着いてしまいます)





男「……」テクテク
(はぁ。学校に着いちまうな)


眼鏡女「……」トボトボ
(下駄箱に男さんがいたらどうしましょう……)



男「……」テクテク
(眼鏡女さんに合わす顔が無いよ……)


眼鏡女「……」トボトボ
(どうか男さんに会いませんように!!)

男「……」テクテク
(でも、まずは謝らなくちゃ!)



眼鏡女「!?」
男「あっ!」


眼鏡女「――っ!」オロオロ

男「め、眼鏡女さん……あの」

眼鏡女「――っ!」アセアセ

男「昨日のことなんだけどさ……」

眼鏡女「――っ!」ダッ

男「ちょっと待って!」

眼鏡女「!?」ビクッ


男「ごめん。少しでいいから話を聞いて欲しい」

眼鏡女「……私は何も話すことありません」

男「眼鏡女さん……」

眼鏡女「本当はもう顔も合わせたくないんです」

男「――っ」ズキッ


眼鏡女「だって、笑わないって、誰にも言わないって約束したのに……」ジワッ

眼鏡女「あんなの、ヒドイですよ。あんまりです」

眼鏡女「結局は男さんも、陰では私を馬鹿にしてたんですね……」

男「そんなことない!」

眼鏡女「――嘘つき。裏切り者!」ダッ

男「!?」ズキンッ

眼鏡女 タッタッタ

男「…………」


クラ友1 スタスタ

男 ピクッ

クラ友1「……よぉ」

男「……おぉ」

クラ友1「HR前にちょっとツラ貸せよ。いいだろ?」

男「あぁ。いいぜ」

クラ友1「こっちだ。ついて来い」クイッ スタスタ

男「……」スタスタ


▼教室/授業中

教師「えー、ここにXを代入することで――」

眼鏡女「……」

眼鏡女(男さん、授業始まっても教室に来ませんね……)

眼鏡女(どうしたんでしょうか)

眼鏡女(私……言い過ぎたでしょうか)

眼鏡女(そういえば男さん、何か言いたそうでしたし……)


眼鏡女(いや、男さんは私を裏切ったんです!)ブンブンッ

眼鏡女(そうですよ。私は裏切られたんです……)ジワッ

眼鏡女(だから……私は……)

眼鏡女「絶対許してやらないんです!」

教師「何をだ、眼鏡女?」ギロッ

眼鏡女「ひゃいっ!?な、何でもないです!」ビクッ


▼休み時間/教室

キーンコーンカーンコーン。

眼鏡女(男さん、結局戻ってきませんでしたね……)

?「おい眼鏡女」

眼鏡女「!?」ビクッ

クラ友1「……」

眼鏡女(ク、クラ友1さん!?)


クラ友1「…………」

眼鏡女「え、あの、そのっ」オロオロ

クラ友1「……昨日はすまなかった」ペコリ

眼鏡女「……え?」

クラ友1「完全に俺が悪かった。許して欲しい」

眼鏡女「いや、えっ、えっと」アセアセ

男「新しい学校ね…」

学校のパンフレットには「希望」とあった。まぁ、ありきたりなフレーズだ。

男「(今日はオナニーはできない。顔がテカってしまうからな)」

明日は転校初日。結婚初夜のようなものだ。
どんな出会いが待ち受けているのだろう。可愛い子はいるのかな…

男「うふふっ…」

楽しみで眠れそうもない。目覚ましはセットしたから大丈夫だろう、ただ、寝不足にはなりそうだ。

期待に胸を膨らませている男だったが、しかし…彼はとんでもない学校に転校してしまったのだった。

プル…

プルルン…

男「ぬ…」

男友「おっ。クラ友1がしっかりと謝ってるぞ」

クラ友2「珍しい光景。激写激写!」ピロリロリーン!

クラ友1「俺はマジで謝ってんだ。茶々入れんな」

クラ友2「それは良い。もひとつ激写!」ピロリロリーン!

男友「男に怒られて、しっかり反省したようだな」

眼鏡女「えっ?男さんが……?」


男友「そう。眼鏡女さんが教室を出た後の話なんだけどね」ゴホン

男友「『あの子には夢があって、一生懸命やってるんだ』」クワッ

男友「『ひとが本気でやってることを馬鹿にするな』」クワッ

男友「『あの子を何も知らないクセに馬鹿にするな。謝れ』」クワッ

男友「……ってね」

クラ友2「それは凄い剣幕だった。正直チビったのは誰にも内緒」


クラ友1「さらに胸倉つかまれて殴られたしな。まだ口の中が痛ぇ」

眼鏡女「男さんが……、いや、でも!」

男友「もしかして、男も一緒に笑ってたと思ってる?」

眼鏡女「……はい」

男友「それは違うよ。男はクラ友1が笑ったことにガチギレしてた」

クラ友1「笑っちまったのは、俺だけだ」


クラ友1「そもそも俺がアンタの机を倒して、ノートを覗き見しちまったのが悪いんだ」

男友「それを止められなかった俺らも悪かった」

クラ友2「失態後悔。免罪懇願」

眼鏡女「……」


男友「ちなみに男、こんなことも言ってたよ。『眼鏡女さんには才能があるんだ』って」

眼鏡女「そんなの……」

男友「信じられない?」

眼鏡女「…………」

男友「逆に聞くけど、男がそんなヤツだと思う?」

眼鏡女「え?」

男友「人の夢を陰で笑ってるような奴だと本当に思ってる?」

眼鏡女「…………」


男友「俺らの言うことが信じれないのも無理はない」

男友「だけど、一度だけアイツと話ししてやって欲しいんだ」

眼鏡女「……」

男友「頼む」

眼鏡女「……わかりました」


眼鏡女「クラ友1さん。ノートを勝手に見たことは許せません」

クラ友1「……あぁ」

眼鏡女「笑ったことも、きっと私は一生忘れないと思います」

クラ友1「俺はそれだけ酷いことをした。アンタに殴られても仕方ないくらいだ」

眼鏡女「……そうですね。わかりました」

クラ友1「?」


眼鏡女「――これで許します」


パシンッ!


クラ友1「痛っ!」

男友「うおっ!?」

クラ友「oh!」


眼鏡女「これで、お相子です」ニコッ

クラ友1「……本当にすまなかった」ペコリ

男友「俺らも、ごめんなさい」ペコリ

クラ友2「謝罪」ペコリ

眼鏡女「わかりました。受け取っておきます」


クラ友1「あー、ちなみに」ゴホン

眼鏡女「?」

クラ友1「朝、男と会ったんだけど……」

クラ友1「『眼鏡女さんに合わせる顔が無いから放課後まで図書室で時間つぶす』って言ってた」

眼鏡女「……そうですか」


眼鏡女「すみませんが、私、ちょっと行く所が出来ましたので失礼します」

男友「おう。行ってらっしゃい」

クラ友2「昼休み短し、急げよ乙女」 b ビシッ

眼鏡女「はい、ありがとうございます。それでは」クルッ タッタッタ


▼図書室

男「………………はぁ」ドヨ~ン

男(俺は最低な野朗だ……。俺は眼鏡女さんを裏切ったんだ……)

男(でも俺は…………いや、そう思われても仕方ないよな)

男「………………はぁ~」ドヨ~ン


?「ずいぶん深いため息ですね」

男「俺はそれだけの業を背負ってしまったんだ……」

眼鏡女「業……ですか?」

男「え、眼鏡女さん!?何でここに!?」ガバッ

眼鏡女「シ、シィッ!声、大き過ぎです!」

男「ゴ、ゴメン!」アタフタ


男「…………眼鏡女さん、ゴメン!」

眼鏡女「えっ!?」

男「約束破ってしまって……本当にゴメン!」

男「どんなことでもするから許して欲しい!」

眼鏡女「……」




眼鏡女「謝らなければいけないのは私の方です」

男「……へっ?」


眼鏡女「私、男さんにヒドイことを言いました。すみませんでした」ペコッ

男「そんな!悪いのは俺だから!」

眼鏡女「男友さんから聞きました。クラ友1さんと喧嘩したって」

男「えっ!?」

眼鏡女「私の為に凄い怒ってた、って」


眼鏡女「私、誤解してました。本当にすみません」

男「眼鏡女さん……」

眼鏡女「でも、嬉しかったです」

男「嬉しい?何が?」

眼鏡女「男さんが私の為に怒ってくれたことがです」

眼鏡女「私の書いた話を本当に良く思ってくれたんですね」ニコッ

男「……」

眼鏡女「どうしました?」

男「……違うんだ」

眼鏡女「違う?」

男「もちろんそれもあるけど、それだけじゃないんだよ」

眼鏡女「えっ?」


男「眼鏡女さんの夢も、眼鏡女さん自身も馬鹿にされたのが許せなかった」

男「でもそれ以上に、約束も守れなくて、眼鏡女さんを泣かせた」

男「そんな自分にどうしようもなく苛立ってたんだ」


男「眼鏡女さんの夢も、眼鏡女さんも守りたかった」

男「泣かせたくなんかない。笑ってほしい」

男「俺……」




男「眼鏡女さんが好きなんだ」


男「眼鏡女さん。突然で困ると思うけど」

眼鏡女「……はい」

男「眼鏡女さんが好きです。俺と付き合ってください」

眼鏡女「……」

男「……」ゴクリ

眼鏡女「……突然過ぎて何て言えばいいのかわかりません」

男「……うん。ゴメン」


眼鏡女「……私、すごく嬉しいです」

眼鏡女「でも…………」クルッ





眼鏡女「……私はそれに、答えられません」


眼鏡女「付き合うと言っても一体何をすればいいのか……」

眼鏡女「それに私なんかといても、きっとつまらない思いをさせますよ」

男「俺、つまらないと思ったことなんて一度も無いよ」

眼鏡女「でも……」

男「眼鏡女さんは、この前の日曜日はつまらなかった?」

眼鏡女「そ、そんなこと無いです。すごい楽しかったですよ!」アセアセ


眼鏡女「本当にすごく楽しかったです!ぬいぐるみも嬉しかったです!」

眼鏡女「で、でも、こんな急に付き合いたいなんて、心の準備が!」

眼鏡女「たしかに手は繋ぎましたし嬉しかったですけど、やっぱりまだ早いですよ!」

眼鏡女「そもそも私、今朝もヒドイこと言ってしまいましたから」

眼鏡女「私の事を好きになってもらう資格なんか(ry」

男「!?」


男「……あの、眼鏡女さん」

眼鏡女「は、はい!?」

男「……こっちを向いてみてもらっていいかな?」

眼鏡女「えっ!?い、いや、ダメです!出来ません!」

男 スタスタ

眼鏡女「ちょ、ちょっと待ってください!近寄っちゃダメです!」アセアセ

男「……」ガシッ

眼鏡女「うひゃっ!?」

男「そぉーれっ!」クルリ

眼鏡女 クルッ

眼鏡女「うぅ……//////」カァ

男「……やっぱり。顔、耳まで真っ赤だね」

眼鏡女「そっ、そんなことないです!///」


男「眼鏡女さん」

眼鏡女「な、何でしょうか!?///」

男「好きです。付き合って下さい」

眼鏡女「……うぅ///」キョロッ

男「…………」ジーッ

眼鏡女「あの……」

男「…………」ジーッ

眼鏡女「その、わ、私……」



眼鏡女「私も、男さんが好きです!///」カァ


▼放課後/教室

女友「くそぉ!やられた!こんな屈辱は初めてだ!」

女「やっぱり、この前の休みに何かあったんだね」

眼鏡女「抜け駆けみたいになってしまって、ごめんなさい」

女「ううん、謝ることじゃないよ。恨みっこ無しじゃん」

眼鏡女「ありがとうございます」

眼鏡女「でも私、あまり現実味が無いというか……」

女友「言い訳するな!この勝ち組が!」クワッ

眼鏡女「ごっ、ごめんなさい!」

女「コラ女友!ひがまない!」

女友「だっでぇ~」

眼鏡女「すみません!すみません!」ペコペコ

女友「うぅ~。男く~ん」シクシク

女「まったくもう……」


女「ねぇ、眼鏡女さん」

眼鏡女「はい!何でしょうか!?」

女「おめでとうね」ニカッ

眼鏡女「あっ、……ありがとうございます///」

女友「悔しいけどおめでどう~」

女「泣くのか祝うかどっちかにしなさいよ」

女友「だっでだっでぇ~」

女「全くそんな汚い顔して……」

眼鏡女「ふふっ」クスッ


―ガラッ

眼鏡女「あっ、男さん。男友さん」

男「お待たせ」

女「来たな。話のネタ主が」

男「眼鏡女さん、何の話?」

眼鏡女「なっ、何でもありません!」アセアセ


男友「まぁ俺は大方予想つくけどな」

女「うるさい!」

男「?」

眼鏡女「気にしないでください。ほら、帰りましょう!」

男「あ、あぁ。そうだね」


▼放課後/校庭

モブ男1「校門にいた子すっげぇカワイかったな」

モブ男2「まさに“お嬢様”って感じだよな。惚れたわ俺」


女友「私の男君の隣に他の女が私の男君の隣に他の女が」ブツブツ

女「やめなさい女友」

女友「あぁもう!この鬱憤はカラオケで晴らすしかない!男友、付き合いなさい!」

男友「悪い、パス。今日は用事があるんだ」


男「お前が女子からの誘いを断るなんて珍しいな」

女「そうね。いつもなら『イヤッフー!今日はパーティナイトだぜぃ!』とかはしゃぐのに」

男友「俺だっていつもヒマって訳じゃないんだぜ……」

女友「ふん。どうせ大した用事じゃないクセに」


女「あれ?」

眼鏡女「どうしました?」

女「あれ。校門の所、見える?すっごいカワイイ子が立ってる」

男友「え?」

眼鏡女「私には遠すぎてちょっと……」

男「俺もあまり。でも確かに誰かいるな」


お嬢様「……」

女「ホントにすごいカワイイ感じなんだって!」

男「あの制服は他校か。何してるんだろ」

女友「まさか彼氏待ち!?でもあの制服、ここらで一番のお嬢様学校のだよ!?」

男「ほぉ。そんな所の子を射止めた強者がこの学校にいるのか」


お嬢様「!?」

眼鏡女「あっ。こっち向かれましたよ?」

お嬢様「男友様―!」 ノシ

男&女&女友
「何ですとーーーー!!?」


男友「来なくて良いって言っただろ」ハァ

お嬢様「男友様に早く会いたくて来ちゃいました。ごめんなさい」ニコッ

男友「まったく」

女「……男友、まさかその子」

男友「あぁ。俺の彼女の『お嬢』だ。お穣、こっちは俺の学校の友人達」


お嬢様「男友様のご学友の方々ですね。初めまして」ニコッ

女「ぐはぁっ!オーラが違う!何よこの輝き!」

男「何故だ!まともに正面から見られん!これが後光か!」

女友「ありえないありえないありえないありえない」ブツブツ

お嬢様「愉快な方々ですね。ふふ」クスッ

男友「俺も見ていて飽きないよ」

男「あいつキャラまで変わってやがる……」

女友「男友、どうしちゃったの!?変なモノでも食べたの!?」

女「そうよ!『俺の彼女は世界一ィィィー!!』とか叫ばないの!?」

男友「あはは。お前らは本当に面白いな」

男&女&女友
「こんなの男友じゃない……」


お嬢様「いけない!男友様、そろそろお時間が!」アセアセ

男友「そうだった。悪いな皆、ここで失礼するよ」

お嬢様「それでは皆様、御機嫌よう。またお会いしましょう」ニコッ


男友「―――――。―――――。」

お嬢様「――――。―――。」クスッ

女「私、男友のことは大体知ってる気がしてたけど……」

女友「わかる。私も自信無くした。どっちが本当の男友なの?」

男「さぁな。ただわかるのは、これが事実ってことだけだ」

眼鏡女「素敵な女性でしたね」


女「女友。私わかったわ……」

女友「何が?」

女「今の時代は『敬語女性』!これがモテる秘訣よ!」クワッ

女友「!?」

女「今の子や眼鏡女さんのような、おしとやか敬語女性がこれからのブームよ!」

女友「なるほど!」

眼鏡女「わっ、私のは昔からのクセですから」アセアセ

女「そうとわかればこれから特訓よ!女友、ついて来なさい!」

女友「合点承知!」

女&女友「未来の彼氏、待ってなさぁーい!」タッタッタ…

男「……あいつらにはおしとやかとか無理だな」

眼鏡女「元気があっていいと思いますよ」


男「やれやれ。しかし、男友には驚いたな」

眼鏡女「そんなに驚きですか?」

男「そんな素振り一切なかったからな。口調まで変わってたし」

眼鏡女「そういえば、男友さんはあまり自分のこと話されないですよね」

男「今度キッチリ問い詰めなきゃいかんな」

男「最近どう?小説の続きは書けてる?」

眼鏡女「書けてはいますけど、まだ見せるほどでは……」

男「そっか、残念だな。結局、皆に知られちゃったね」

眼鏡女「そうですね……。でも大丈夫です」


眼鏡女「皆さん感想を今では逆に参考にしてますから」ニコッ

男(俺だけの秘密にしたかったんだよな~……)ボソッ

眼鏡女「どうしました?」

男「いや、何でもない///」


眼鏡女「そういえば男さん、あの話覚えてますか?」

男「あの話?」

眼鏡女「約束を破ったお詫びに何でもしてくれるって話です」

男「あ、あぁ覚えてるよ。でもあれはクラ友1が机を――」

眼鏡女「違います。そっちじゃなくて」

眼鏡女「男さんはもっと前に一度、私との約束を破ってますよ」

男「えぇ!?」

眼鏡女「男さんが2回目に図書室に来た日ですよ」

男「2回目……」

眼鏡女「私は絶対にしないでくださいって言ったのに、男さんは嘘つきました」

男「俺、嘘なんかついた?」

眼鏡女「はい。さらに約束も破りました」

男「そんなことあったっけなぁ……」

眼鏡女「ちなみに、その時もちゃんとお詫びに何でもすると言いましたよ」


男「う~ん……」

眼鏡女「まさか覚えてないんですか!?」

男「……ごめんなさい」

眼鏡女「もう!これですよ、このノートです!」

男「ノート?――あっ!」

眼鏡女「思い出しましたか?」

男「……思い出しました」


眼鏡女「男さんがこのノートを無理やり見たことが、今までの全ての発端なんですよ?」

男「重ね重ねごめんなさい」ペコッ

眼鏡女「では、何をしてもらいましょうか」

男「ちょ、ちょっと待ってよ!本気!?」


眼鏡女「本気ですよ。私は許したとは言ってません」

男「でも!」

眼鏡女「情けないですね。クラ友1さんは許してもらおうと、私にぶたれる覚悟までしたのに」

男「うっ!」ギクッ

眼鏡女「男さんの覚悟は、その程度だったんですね……」ジトー


男「わ、わかったよ!じゃあ俺もぶつなり何なり好きにしてくれ!」

眼鏡女「では男さん、目を瞑ってください」

男「お、おう」ギュッ

眼鏡女「動かないでくださいね。しくじると危険ですから」

男「わかった……」
(おいおい、何する気だよ……)


眼鏡女「…………   ///」


―― チュッ。


男「へっ?」パチッ

眼鏡女「///」クルッ


男「眼鏡女さん。今のって……?」

眼鏡女「な、何も聞かないでください///」

男「……耳、真っ赤だよ」

眼鏡女「そっ、そんなことありません///」


男「……眼鏡女」ガシッ

眼鏡女「ひゃ、ひゃい!?」

男「好きだよ」

眼鏡女「あぅ/// わっ、私も男さんのことが――」

男「ちょっと待って」

眼鏡女「えっ?」


男「――――」ボソボソ

眼鏡女「――っ!?」

男「ね?」

眼鏡女「……わ、わかりました」コホン


眼鏡女「私も――」




眼鏡女「私も好きだよ、男」


―― FIN.

伏線回収しろやボケナス
こちとら朝から見てるんだよ

以上で終了です。
ご支援下さった方、応援下さった方、
こんなつまらない話にお付き合いくださった方、
皆様ありがとうございます。

>>421さん
ありがとうございます。
ちなみに、どのあたりのでしょうか。

たまにはこういうのも、ありかと

男友について詳しく
そして出来ればお嬢様含めたハーレムルートで

なんていうかつまんなかったな

面白い

>>423さん、>>425さん
ありがとうございます。

面白かったけど書いた本人はあまり喋らない方がいい

>>426さん
男友
・本当はなかなかに良い家柄の子。堅苦しいのが嫌で今の高校に無理矢理入学。
お嬢の前の姿が本来のものだが、本当は3枚目キャラになりたい変わり者。でも学校の人達の前以外では出さない。
お嬢とは許嫁。

ハーレムルートについてはごめんなさい。
これから外出なので。

>>427
率直な意見ありがとうございます。

>>428-431
読んで下さってありがとうございます。
最後は呼び捨てにしたいと思ってました。

>>433
淡々とやってましたが、
あまり喋らないのも無視してるようで気が引けて……。

最後に。

前作:猫「今日もまた雨か……」もよかったら読んでみてください。

では。

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