男「最近友の様子がおかしい」 幼「事件だね」(240)

男「いやそこまでじゃないと思うけど」

幼「いいや事件だよ。どう考えてもここ二日ばかり彼の様子はおかしい」

男「確かにそうだけどさ。なんかあったんじゃねえのか?彼女が出来たとか」

幼「彼の性格上、もしそうなら言いふらすような気がするけど」

男「・・・確かに」

幼「はっきりいってしまえば、僕には二日前の彼がまるで別人に思えるんだよ」

男「さすがにそこまでじゃねえけど・・・」

幼「二日前に何か心当たりは?」

男「ええと・・・」

二日前

友「男ー、帰ろうぜ」

男「お前部活は?」

友「あー、あんなもんもういいんだよ、女の子みんな彼氏もちだったからな」

男「そういう目当てだったか」

友「当たり前だろ。高校生なんだからよ」

男「高校生の価値観がすさまじいな」

友「いいから行くぞ。CD屋に付き合えよ」

男「はぁ・・・。仕方ない、行くか」

友「幼は?」

幼「僕は部活に行くよ。また明日ね」

男「ああ。じゃあな」

移動中 学校→駅前

友「でな、軽音部の女連中、みんな彼氏いるでやんの。エレキ担当の子なんて彼氏DQNだぜ?」

男「その話ばっかりだな。他に話題ないのかよ」

友「ないね!」

男「男らしくていいんだかなんなんだか」

友「他の話題ね。最近の政治についてでも話すか?」

男「お前が話せないのは知ってるぞ」

友「ばれたか」

友「ああ、じゃあこういう噂話知らないか?最近この町からホームレスが消えてるって話」

男「なんだそりゃ。失踪ってことか?」

友「やっぱ知らないか。失踪の場合もあるんだけど、なんかさ、突然働き出した連中が多いらしいぜ」

男「・・・?どういうことだ?」

友「そのまんまさ。市の政策だかがうまくいったってことじゃねえの?」

男「どこからそんな話を」

友「ベースの子の親がそういう役員らしくてさ。その子がドラムだかに話してるのを聴いた」

男「ふーん。まあいいことなんじゃねえの、それ」

友「でも不気味だよな、いきなりみんな働き出すなんて」

男「いい時期になったからそろそろ働くか、てことじゃねえの。そろそろ夏だし」

友「夏場なんて汗だくになるじゃんか」

男「知らないよ、俺ホームレスじゃねえし」

友「そりゃそうだ。でも確か、幼も似たようなこといって多様な気がするんだけど」

男「幼が?一気に信憑性が増したな」

友「てめえ」

男「お前も少しは改心して、真面目に学業に励んだらどうだよ」

友「彼女が出来たらな」

男「一生無いな」

友「てめえは俺を怒らせた」

CD屋 帰り

友「今日は何も掘り出しモンなかったな」

男「CD聴かないからわかんねえ」

友「いいぞCDは。特に洋楽。だまされたと思って聴いてみろよ、マイケルとかスティービーとか」

男「遠慮するよ。英語はさっぱりわかんない」

友「俺だってわかんねえよ。ああいうのは魂で感じるものなんだぜ」

男「尚の事分からない」

友「寂しい人生だな。まあいいや、じゃあ俺こっちだから」

男「ああ。また明日な」

・・・

幼「それがあの日の放課後」

男「ああ。で次の日からあんな具合さ」

昨日 朝 教室

男「おはよう」

幼「ああ。昨日はCD屋に行ったのかい」

男「あぁ。友の探してるものはなかったみたいだけど」

幼「洋楽を取り扱っている店が少ないからね。関東に出れば違うのかもしれないけど」

男「どうなんだろうな。お、噂をすれば」

友「・・・」

男「よお、ちゃんと宿題やってきたか?」

幼「今のうちにいっておくけど、見せないからね」

男「そ、それは俺が困る」

友「・・・俺のでよければ、見るか?」

男「・・・は?」

友「宿題、俺の奴」

男「あ、ありがたいけど。お前やってきたのか?」

友「?そうだが」

幼「へえ・・・。珍しいね、キミが宿題をやってくるなんて」

友「そうだったか?」

男「何はともあれ、見せてくれ」

友「ああ。ほら」スッ

男「助かるぜ。ええと、第一問・・・」

幼(・・・全問当たってる・・・?)

男「しかしどういう風の吹き回しだ?昨日CD見つからなかったから自棄になったか?」

友「え?ああ、そうだな。やっぱり最近はAKB48とか嵐とか、人気だからな」

男「お、お前にそういう趣味があったとは。流行に乗ったのか?」

幼「洋楽は飽きたのかい?」

友「え?ああ、いや。流行に乗るのも必要かと思ってな」

同日 放課後

男「さて、帰ろうかなと。友、お前今日は駅前行くのか?」

友「ああ、すまんな。これから部活に行かないとならん」

男「部活って、軽音部か?」

友「そうだ」

男「昨日もういい、みたいなこと、いってなかったかよ。それとも略奪に目覚めたか」

友「え?ああ、そうだったかな。とりあえず時間だから行くわ」

男「ああ」

幼「・・・」

・・・

男「で、今日も相変わらずあんな感じで、一人で席に座ってる」

幼「ボーっとして、考え事しているようにも見えるけど」

男「やっぱり様子が変だよな」

幼「うん。恋わずらいにしては重症だね」

男「となると、他に原因が?」

幼「さあ、どうだろうか。僕にも見当がつかないよ」

男「話だけでも聴いてみるか・・・。おい友、」

友「・・・なに」

男「どうかしたのか。ここ数日、変だぞお前」

友「変?」

男「ああ」

友「・・・」

友「どこが変だ?」

男「え?」

友「どこら辺がおかしいと思う?」

男「どこって、お前らしくないって言うか」

友「だから、それってどういうことだ」

男「何かあったのかと思ったんだけど・・・」

友「どこだ、どこがおかしい?」

男「そ、そんな剣幕でいわれても。何怒ってんだよ」

友「あ、ああいや、・・・怒っているんじゃない」

幼(やっぱ変だ)

男「俺も幼も心配してるんだぞ」

友「幼が・・・?」

男「ああ。お前の様子がおかしいからってさ」

友「・・・」ジーッ

幼(な、なんだ。僕の顔に何か付いてるか・・・?)

友「・・・そうか。気のせいだよ」

男「気のせいって」

友「すぐに慣れる。気にすんな」


男「・・・どう思う」

幼「どうっていわれても。中二病にしては時期が遅すぎる」

男「てことは、やっぱり何かあった、のか・・・」

同日 放課後

友「じゃ、俺部活行くわ」

男「ああ。じゃあな」

幼「悩み事を抱えているなら、男に言わないのは妙な話だよ」

男「そうかな」

幼「そうさ。僕にいうことは無くとも、男に相談しないのは妙だ」

男「二人だけでゆっくり話してみたほうがいいと思うか?」

幼「名案だね。明日の昼食は二人で食べたらいい」

男「男同士の話ってやつか」

幼「じゃ、僕も部活に行くよ」

男「ああ、またな」

男(さて、じゃあ帰るか・・・ん?)

女「じゃあやっぱり?」

眼鏡「あなたのいうのは極端ですけど、それがあったのは事実です。部の活動記録にも、市の発表にもありましたし」

女「・・・わかった。ありがとう」

男(あれって、四組の女さん、だったかな。相変わらず美人だな)

女「・・・」テクテクテク・・・

男(・・・今日の晩飯なんだろ)

翌日 朝 教室

男「おはよう」

幼「ん?ああ、キミか」

男「友は、まだか」

幼「・・・」

男「昨日言ってたとおり、昼飯は二人で食うことにするわ。何か抱えてるのかもしれないし」

幼「ああ、その話か。わた・・・僕も少し考えてみたんだが、気のせいなんじゃないかな」

男「・・・え?」

幼「元々彼は無理にああいうキャラだったと考えれば不思議は無い。それに、人に悩みの一つや二つあってしかるべきさ」

男「そ、そりゃそうだけど」

幼「なに、すぐに慣れるよ。気にしないほうがいい」

男(・・・?)

友「・・・」

男「あ、友・・・。おはよう」

友「・・・ああ」

幼「・・・」

男「な、なあ。ひょっとして友と喧嘩でもしたのか」

幼「は?」

男「昨日の放課後に何かあった、とか?」

幼「ないよ。何も無い。思うにキミは細かいことを気にしすぎなんだ。彼はいつもどおりだよ」

男「お前、何か不機嫌・・・?」

幼「不機嫌?」

男「なんか、お前らしくないというか」

幼「・・・」

幼「どこが変だ?」

男「え?」

幼「キミはわた・・・僕のどこが変だと思う?」

男「いや、そういわれても。昨日まであんなに友のこと気にかけてたのに」

幼「他人のことを気にしすぎなんだよ。人は変わるものじゃないか」

男「そ、そうかもしれないけど」

幼「さ、僕は宿題を片付けるから。邪魔をしないでくれ」

男(あ、あれ。こいつが朝に宿題持ち込むのはじめて見たけど・・・)

男(友も幼も様子が変だ。二人とも何かあったとしか思えない・・・)

男(喧嘩でもしたのか?友の様子がおかしかったから、幼が声をかけて・・・)

男(いや、幼はそんなことで不機嫌になる奴じゃないし・・・)

担任「じゃあこの問題を・・・友、できるか?」

友「・・・x=3、-2」

担任「え?・・・ああ、答えは合ってるが、黒板に途中式を書いてくれるか?」

友「・・・」カキカキ

担任「おお、正解だ。どうしたんだ友、これができるなんて、悪いものでも食べたのか?」

友「・・・」

昼休み 職員室

男「失礼します」

担任「ああ、悪いな男。昼に呼び出したりして」

男「あの。俺なんかしましたか」

担任「いやそうじゃないんだが。お前、友と喧嘩したか?」

男「え?」

担任「いや、ここ数日あいつの様子がおかしいような気がしてな。もっとこう、おちゃらけだったじゃんかあいつ」

男「ええまあ」

担任「それがここ数日、話を振っても反応悪いし、不機嫌そうじゃないか」

男(先生も気が付いたか・・・)

男「いえ、俺には心当たりないですね。様子が変だって幼も言ってましたけど」

担任「うむ・・・。あいつらしくないな、とは思うんだけど、お前に心当たりが無いなら、あとは部活か家庭内の問題か」

男「そう、なんですかね」

担任「わかった、あとは俺の方で何とかするわ。悪かったな、昼飯の時間減らしちゃって」

男「いえいえ。では」

担任「ああ」

教頭「・・・」ジーッ・・・

男「ただいま」

幼「・・・何か用?」

男「いや用は無いけど・・・。やっぱり担任も友の様子がおかしいって言ってたぞ。らしくない、って」

幼「ああ、そのことか。それはもう対処済みだよ」

男「え?友の様子に?」

幼「いや。・・・それより、ご飯は食べなくていいのかい」

男「ああ、そうだったな。食べてくるわ、友は?」

幼「・・・さあ。ここにはいないよ」

放課後 教室

担任「男、少しいいか」

男「なんですか」

担任「友の件だが、家に電話しても誰も出ないんだ。あいつの家って共働きだったか?」

男「・・・確か違ったような気がしましたけど」

担任「妙だな。友本人に話を聞いても、特に何も無いの一点張りだし」

男「そう、ですか」

担任「すまんな、今日はこれから職員会議があるからアレだが、明日もう一度話を聴いてみるわ。お前も気になるだろ、あいつの様子」

男「分かりました。お願いします」

男(としかいえないよなあ・・・)

帰り道 学校→自宅

男(友も幼もなんかあったよなあ、あれは。やっぱり喧嘩だろうか)

男(・・・まあ、担任に任せるしかないか・・・。ん?)

女「・・・」

男(あれ女さん、だよな。橋の下なんかで何やってるんだろ)

女「・・・」

男(・・・まあいいか。さっさと帰ろ・・・」

女(・・・ここからもいなくなってる。どういうこと・・・?)

同じ頃 学校 教頭室

担任「ええと、どういうことですか?」

教頭「キミは彼のどこがおかしいと思うのかね」

担任「どこ、といいますか・・・」

?「どこがおかしいんですか、先生」

担任「お前は・・・」

友「俺のどこがおかしんですか」

担任「友・・・?」

友「どこがおかしいんですか・・・」

担任「!!?こ、これは・・・!?うわあああああああ!!!?」

翌日 教室

男「ギリギリセーフだ。よ、おはよう」

友「・・・」

幼「・・・」

男(・・・えーっと)

友「・・・ああ」

幼「・・・うん」

男「・・・」

担任「・・・席に着け。出席をとるぞ」

男(友の親に連絡付いたのかな・・・)

担任「・・・」

SHR後 ろうか

男「先生」

担任「・・・なんだ」

男「昨日の件、どうなりました?」

担任「昨日の件?」

男「ですから、友の様子が・・・」

担任「ああ、それな。気のせいだった」

男「は?」

担任「友にも色々あるんだろう。お前は人のことを気にしている暇があるのか?」

男「え?ええ?」

担任「教室に戻れ。授業始まるぞ」

男「・・・」

男(どうなってんだ・・・?)

女「・・・」

昼休み 屋上

男「どうなってんだ一体・・・。友も幼も担任も・・・」

女「・・・ねえ」

男「え?うわ、女さん・・・!?」

女「なに、人を化け物みたいに」

男「ご、ごめん。驚いたから」

女「ねえ、あなたのクラスの担任のことなんだけど」

男「あ、ああ、どうしたの」

女「人が変わったみたいに見えない?」

男「!・・・うん、正直、昨日までとは様子が違うって言うか」

女「そうなってしまったのは担任だけ?」

男「ええと、あとは友と幼が少し変・・・かな」

女「変?」

男「二人とも不機嫌というか、とにかく様子がおかしいというか・・・」

女「そう・・・」

男「あの、これって」

女「あんまり踏み込まないほうがいいと思う」

男「え?」

女「彼らが言うとおり、気のせいだって思っていたほうが幸せかもしれない。それが彼らの言い分だし」

男「いや、そういわれても無理でしょ。ここ数日で人が変わっちまったなんて、おかしいだろ」

女「・・・。好奇心は猫を殺す。それでも気になる?」

男「勿論」

女「そう。・・・じゃあ手伝って」

男「え?」

女「正直人手不足なの。これに気が付いた人はどんどんおかしくなるし」

男「おかしくなる・・・?」

女「人が変わる、というのか、なんというか」

男「友や幼みたいに?」

女「気が付いていないかもしれないけど、四組の生徒はほぼ大半がそうだった」

男「!?」

女「大体二ヶ月くらい前からね」

男「そんな、どういうことだ!?」

女「やっぱり知らなかった」

男「だって四組って。この前用があって教室に行ったけど、いつもどおりだったぞ」

女「そう。大体二週間くらい前から、みんなの性格が元に戻ってきた」

男「戻ってきた・・・?」

女「それまでは、あなたの担任と同じように不機嫌というか、無表情だった」

男「・・・」

女「今はだいぶ戻ってきてるけど、それでも違和感はある・・・」

男「ご、ごめん。意味が分からない。どういうこと?」

女「わかんない。わかんないけど、無表情から時間が経つごとに元の性格に近づいてきてる」

男「???」

女「すごい不気味・・・。SFみたいに」

女「とにかく放課後、図書室に来て。あそこなら人いないから。・・・じゃ」

男「あ、ちょっと・・・。・・・なんだったんだ、今の・・・」

男「・・・とりあえず教室戻らないと・・・」

教室

男「・・・」

友「・・・よう」

男「え?」

友「どこ行ってたんだよ、昼飯も食わずに」

男「あ、ああ。屋上で、その、昼寝を」

友「ああ・・・。それよりさ、次の授業の宿題、見せてくれよ」

男「見せてって、お前前の授業で問題一瞬で解いたじゃん・・・」

友「たまたまだよ・・・。なあ、いいだろ?」

男「お、俺もやってないから・・・」

友「・・・そうか。じゃあ幼だな・・・」

幼「・・・これ?」

友「・・・ああ。借りるぜ。じゃあ写そうよ、男・・・」

男「あ、ああ。でもいいのか幼。前は見せてくれなかったのに」

幼「・・・ああ、わt・・・僕そうだったかな。まあ今日はいいよ」

男(・・・なんだ、これ)

担任「・・・授業を始める。教科書の33ページから・・・」

男(・・・友も幼も、機嫌直しつつあるのか?ならそれにこしたことはないか・・・)

男(やっぱり気のせいだったのかね・・・)

女『みんなの性格が、元に戻ってきた・・・』

男(・・・いや、まさかね。やっぱりただの不機嫌だったんだろ・・・)

委員長「あれ、先生、宿題の回収を忘れてますよ」

担任「・・・。ああ、そうだったな・・・。では委員長、回収してくれ」

委員長「あい。でも珍しいですね、宿題の鬼の先生が忘れるなんて」

担任「・・・そうだろうか」

委員長「ええ。らしくないですよ」

一同「ははは・・・」

友「・・・」ジーッ

幼「・・・」ジーッ

放課後 図書室

男「・・・」

委員長「んあ、男君じゃん」

男「あれ、委員長?」

委員長「なんとまあ珍しい。図書室で男君を見るとは」

男「ええと、まあ」

委員長「まあテストも近いからね、勉強にはもってこいだよここは」

男(勉強じゃないんだけどな・・・)

委員長「あ、そうだ。あい、これ。この前足りなかったプリント。渡すの忘れてた」

男「あ、ああ。ありがとう」

委員長「んじゃね、男君。ちゃんと勉強したまえよ~」

男「・・・」

女「知り合い?」

男「うお!?びっくりした!!」

女「人を化け物みたいに」

男「わ、悪い。気が付かなかったから」

女「まあいいけど。今の一組の委員長だよね」

男「ああ。あんまり話したことは無いんだけど、な」

女「ふうん。まあいいや。それで昼の話なんだけど」

男「ああ。でもそれ、やっぱり気のせいじゃないのか?友も幼もただ不機嫌なだけで・・・」

女「・・・はじめはウチもそう思ったけど・・・。四組全体がそうだなんておかしいよ」

男「いやそうかもしれんけど、こっちのクラスは、」

?「キャアアアアアアアアア!!!!?」

男「い、今の悲鳴って・・・?」

女「まさか・・・」ダッ!!

男「あ、ちょっと!!」

学校西棟 二階廊下

女「こっちから・・・!?」

男「追いついた、ちょっと待ってって!!」

委員長「・・・」

女「あなた・・・」

男「委員長・・・?」

委員長「・・・なに」

男「今こっちから悲鳴が聞こえなかったか!?」

委員長「・・・いいえ。特に何も」

女「・・・!」

男「え、いやそんなはずは・・・」

委員長「・・・気のせいじゃない?それより、はいこれ」

男「え?」

委員長「・・・前に渡し忘れたプリント。・・・じゃ・・・」

女「・・・気のせいなら、二人も聞こえないよね」

男「このプリント・・・。さっきもらった奴と同じプリントだ」

女「え?」

男「ちょ、ちょっと一回図書室戻ろう」

女「え?う、うん」

図書室

男「・・・ほら。まったく同じプリントだよ」

女「インクのにじみ具合までまったく同じもの・・・?」

男「変だな、さっき同じものをもらったのに・・・」

女「ねえ、さっきの委員長さんの様子、おかしくはなかった?」

男「え?・・・言われていれば、口癖の『あい』が無かったような・・・」

女「『はい』とは言ってたけど・・・」

男「確かにテンションが低かったというか、無表情だったというか・・・」

女「・・・やっぱり。でも、じゃあさっきの悲鳴は・・・」

男「・・・」

男(委員長の声のように、聞こえたけど・・・)

女「何がどうなってるのか、ウチにもさっぱり・・・」

男「・・・それでなんで、俺を図書館によんだりしたんだ?」

女「・・・四組であれが始まったのが大体二ヶ月前なんだけど、最初に異変が起きたのはウチの友達だった」

男「友達?」

女「軽音部でベースをやってる子なんだけど、その子が『ホームレスが消えてる』って話をしてて・・・」

男「その話・・・。友が言ってたな、それ」

女「・・・そしたらその子、数日後には人が変わったみたいになった」

男「友と同じか・・・。そこから四組全体が・・・?」

女「二週間とかからずにね・・・。様子がおかしいって気が付いた人から次々に」

男「女さんは・・・?」

女「わからない。なんでウチだけ平気なのか・・・。それとも次にああなるのはウチなのか・・・」

男「・・・」

女「そしたら今朝、廊下であなたと先生が話してたから、もしかしてと思って」

男「・・・ビンゴだよ。担任も友も幼もおかしくなってる。人が変わったみたいに」

女「それに、委員長さんも・・・」

男「くそ、何がどうなってんだよ・・・」

女「・・・ベースの子が、『ホームレス消滅事件』は半年くらい前から始まった、って言ってた。だから、半年前に何か原因があるんじゃないかって」

男「え待って、その『ホームレス消滅事件』とこの話に何か関係があるのか?」

女「・・・わかんない。でもあの子がそれについて話した直後にああなったから・・・」

男「なるほど・・・」

女「昨日、ホームレスがいっぱいいたって言う橋の下にも行ったけど、もぬけの殻だった。ダンボール一つ無い」

男(昨日のはそういうことか・・・)

男「半年前って、何かあったか?」

女「・・・来て。ここなら地元新聞の縮小版が置いてあるから」

男「・・・随分前から調べてるみたいだな」

女「教室にいても不気味だから」

男「それもそうだ」

女「・・・これ。大体この辺が半年前の記事」

男「半年前・・・。『彗星が大接近』に『小規模な地震相次ぐ』、『一家四人蒸発』、ああ、あったなこんな事件・・・」

女「それで、ついこの前見つけたんだけど・・・」

男「一週間前の新聞か。ええと、『ホームレス大量更正、全国のモデルケースに』ね。やっぱり新聞社も気が付いてたのか」

女「・・・で、これが今日の新聞」

男「『記者行方不明』・・・。この記者って、まさか・・・」

女「・・・ホームレスの記事書いてた人」

男「・・・参ったな。どういうことだよこれ」

女「関わった人間が行方不明になってるし、友達は人が変わってしまった・・・」

男「・・・なるほど、確かに好奇心は猫を殺すねこれは」

女「・・・」

男「それで、何か分かったことは?」

女「何も・・・。彗星が地球の近くで爆発したこととか、地震の震源地がこの町に固まってることは分かったけど」

男「調べたのか?」

女「天文部や地学部に協力してもらった」

男(あの眼鏡はそういう関係者か・・・)

男「どっちかというと、こりゃSF研究会向けの話だよな・・・」

怖いが、目が離せない・・・

女「じゃあ、SF研にも話を聴いた方がいいか」

男「ど、どうだろ。確かに嬉々として話にのりそうだけど・・・」

女「じゃあ行こう。今ちょうど活動時間だし」

男「いや、まあいいけど・・・」

男(どっちかっていうと警察とか探偵とかがお似合いだぞこれ)

部室棟 二階 SF研究会 部室前

男「・・・知ってた?」

女「ううん。・・・知らなかった」

男「廃部になってたなんて。去年まで活動してたはずなのに」

女「そうなの」

男「会誌を発行してたから。ムー並みにぶっ飛んでたけど」

女「・・・」

?「・・・あの」

男「え?」

秋葉「あの、生徒会の方ですか・・・?」

男(ずいぶんと秋葉系の奴だな・・・」

女「違う、けど。もしかしてSF研の人?」

秋葉「正確には元SF研ですが・・・。ええ、今年から副部長になる予定でした」

男「廃部になってたなんて・・・」

秋葉「・・・突然決まったんですよ。部長がいきなり申請したらしくて。でもなぜか顧問もあっさり許可したものですから。・・・立ち話もなんですから、中へどうぞ」

女「いいの?」

秋葉「ええ。鍵は僕が持ってますから」

SF研 部室内

男「うわ、こりゃすごい・・・」

秋葉「わが部自慢のコレクションです。これがUMA関連、これがUFO関連の資料です」

男「アダムスキー型のUFO写真なんて久しぶりに見たよ・・・」

女「詳しいね」

男「宇宙は男のロマンだからな」

秋葉「それで、どのようなご用だったのですか」

男「実は、『ホームレス消滅事件』について調べてて」

秋葉「ホームレス消滅事件?」

女「あ、それ命名ウチだから通じないかも・・・」

男「え?ああ、そうか、」

秋葉「ひょっとして、ホームレスが突如として職に付き始めていなくなった、という話では・・・?」

男「!知ってるのか!」

秋葉「ええ・・・。その話はSF研の中でもホットなニュースでしたから。部長以下、全員で調査したものです」

男「そうだったのか・・・。なら、資料とか残ってないか?」

秋葉「・・・それが。ある日突然、部長が資料を処分してしまったのです」

男「処分・・・?」

秋葉「ちょうど廃部の話が突然持ち上がった頃でした。わざわざシュレッダーにかけてしまったので、今は何も・・・」

男「そうか・・・。じゃあ仕方ない」

女「突然資料を処分したの?」

秋葉「ええ。我々もぽかんとしてしまいましたよ。あれだけ苦心して集めた資料だったのに」

女「それで同じように突然、廃部にする流れになった・・・?」

秋葉「はい。部長が人が変わったように、『SFなんてはやらない』と。この部屋の資料は、元々部長が集めたものが大半なんです」

男「人が、変わったように・・・か」

女「・・・まさか」

男「・・・大いにありえる」

秋葉「?」

男「部長の人が変わったのって、その事件に関わってからすぐじゃなかったか?」

秋葉「ええと・・・少しお待ちを。活動記録を見れば一目瞭然です」ガサガサ

秋葉「ありました。ああ、ちょうど部長が順番だった時ですね。活動記録は順番で書くんです」

男「どれどれ・・・」

男「『記入者:部長 SF研の総力を結集して調べてきた例の事件について、私は興味深いことに気が付いた。あるホームレスのはなしによれば、ホームレスの中である日一人が突如豹変し、職に付いたのだという。
ちょうどその日の前日にある事が始まり、そのさらに前日には件の出来事が起きている。私は明日の集会でこの関連性について仲間に発表するつもりだ』・・・」

女「・・・どういうこと?」

秋葉「わからないんです。その翌日の集会で突如、廃部が宣言されたものですから」

男「肝心なことがかかれてないけど、つまり・・・部長は何かに気が付いた、ってことじゃないか・・・?」

女「何か?」

男「でもそう捉えるのが自然じゃないか?文章的にも」

女「前日に始まったある事、それに件の出来事・・・。そこが分かれば・・・」

秋葉「その文章自体が確かに考察に値しますが、我々にも意味が・・・」

男「本人に聴けば話は早い。部長は三年何組だ?」

秋葉「一応三組ですが、その、突然いなくなってしてしまったんです」

女「え?」

秋葉「一応転校扱いになっていますが、その、家族四人が一夜で消えてしまったんです。どうも夜逃げということで片付けられたようですが・・・」

男「・・・一家四人失踪事件・・・?半年前の?」

ここまでが一部かな
ちょっと休憩

qk
すいか切ってくる

ぼちぼち再開

男「どう思う」

女「・・・好奇心は猫を殺すって言ったけど・・・。ここまでとは思わなかった」

男「今のところ手がかりはこの活動記録だけか・・・」

秋葉「そういえば、部長はこの頃やたらと天文部の部長さんと何かを話し合っていましたけど・・・」

女「天文部の部長と?」

男「知り合いか」

女「うん。二組の通称博士くん」

男「博士?」

女「天文の知識なら多分理科の先生よりもあると思う。前に表彰されてたくらいだし」

男「へえ・・・。それはすげえ」

秋葉「博士さんなら今の時間、多分東棟の屋上で天体望遠鏡を構えているはずです」

男「分かった。とりあえず行ってみようか」

女「うん」

俺「F5が止まらない・・・鎮まれ!俺の右手!!」

東棟 屋上

博士「SF研の部長?ああ、友達だったよ」

男「やっぱりそうか」

博士「いや、友達というと語弊があるかもしれない。僕は彼の行動力には敬意を表するが、いたずらにUFOだの宇宙人だのを主張するのは好きじゃない」

女「主張?」

博士「彼はUFOや宇宙人は存在するといって聞かなかった。確かにその可能性はあるが、根拠があまりにも稚拙だった」

男(何の話だか・・・)

博士「・・・これを見てくれ」

女「写真・・・?」

博士「片方は当時の彼が持ってきた、隕石型のUFO写真だ。いかにも作り物だろう?」

男(アダムスキー型よりはマシだと思うが)

博士「・・・もう一枚は、つい最近僕が撮った物だ。場所はここだ」

男「この点みたいなの、星じゃないのか?」

博士「違う。何枚か撮ったから分かると思うが、信じがたいことに左右に飛び回っていた・・・」

男「・・・て、ことは?」

博士「・・・その可能性はある。だから僕はここで夕方から待っているんだ」

女「UFOを?」

博士「UFOなのかどうかを確かめるためにだ」

男「・・・」

博士「見てしまったものは仕方ない。だから僕は立証しようとしているんだ。その存在を」

男「・・・そうか」

女「じゃあSF研の部長が頻繁に会いに来てたって言うのは・・・」

博士「彼はET彗星について詳しく調べていたよ」

男「ET彗星・・・半年前に大接近した、あの?」

博士「ああ。そして突如大爆発し、隕石として降り注いだあの彗星だ。あの流星群は見事だった」

男「そういえば日本にも隕石が落ちるかもって大騒ぎになったな」

博士「実際はほとんどが大気圏で燃え尽きた。彼はそれにやたら興味を持っていてね。その詳細なデータを我が部に求めていた」

女「じゃあ、やっぱり彼はその彗星が何らかの形であの事件に関わってると、気が付いて・・・?」

男「何らかって、彗星とホームレスの消滅に何の関係があるんだよ」

女「・・・それはわからないけど・・・」

博士「だが彼は随分と興奮した様子だったよ。ついに突き止めた、とね」

男「その直後に資料を処分して、廃部か・・・。やっぱり妙だな」

?「おや、キミたち・・・」

男「え?あ・・・」

教頭「下校時間は過ぎている・・・のだが、キミもいるということは、天体観測かな」

博士「ええまあ。そんなところです」

女「・・・」

教頭「本来はダメだが、まあいいだろう。キミには期待しているからね」

博士「ありがとうございます」

教頭「ん?キミは確か、昨日担任に呼び出されていなかったか?」

男「え?ええまあ・・・」

教頭「何を聞かれたか知らないが、あまり気にしないほうがいい。勘違いということもあるからね」

男「は、はあ」

教頭「それではね。遅くならないうちに帰るんだぞ」

博士「・・・まさかUFOを待ってる、なんて言えないしな」

男「・・・だな」

女「・・・」

博士「それで、キミたちは何を探っているんだい?彼の失踪かい?」

男「そうといえばそうだけど・・・。最近妙なことが起きてるから」

博士「妙なこと?」

男「ああ、まあ話すと長いんだけど・・・」

秋葉「あ、いたいた皆さんおそろいで」

女「秋葉くん?」

黒幕接近で博士か女が変化するフラグか・・・
でもってそれを見越して仕掛けておいたメッセージを男が発見して繋ぐ展開と予想

秋葉「あのあと少し気になったんで、部室を整理してたんですよ。そしたら、これ・・・」

男「『資料:UFO』?これがどうしたんだ」

秋葉「この中になぜか、ET彗星の資料が挟まってまして・・・」

博士「どれ、少し拝借・・・。ふむ、大学の研究室がまとめたデータのようだね。ET彗星がどのように爆発したのか、詳しく書いてある」

男「これが挟まってたと・・・?」

秋葉「ええ。それともう一枚、部長の走り書きのメモが」

男「これは・・・?」

秋葉「一言、『移民者』とだけ・・・」

女「・・・」

ちょっとまって
キーボードのZが取れたわ

ならばおれはASX包囲網で保守しよう

>>96
SSで見かける予想レスは死ねばいい

男「移民者・・・。どういう意味だ?」

秋葉「そこまでは・・・。ただ何か意味はあるはずだと思いまして」

男「謎は深まるばかりだな・・・」

博士「謎?」

男「・・・話してもいいよな?」

女「うん、ただし内密な話だって事を忘れないで」

男「・・・実はな」

・・・

秋葉「・・・ま、マジですか」

博士「信じがたい話だが・・・しかし、言われてみれば・・・。二組でもそんなことがあったかもしれん」

秋葉「ええ!?」

博士「基本的に僕は他人に無頓着だから気にしていなかったが、そうか、そうかもしれないな」

秋葉「で、でも今その話されちゃったら、俺も博士先輩も人変わっちゃうかも知れないじゃないですか!!」

男「だから内密にしてろって話だ。おそらくSF研の部長も、それのせいで・・・」

博士「となると不思議なのは、キミたち二人が元の人格のままだという点だな」

男「確かに・・・。もっとも、ウチのクラスはまだ三人だけだけど」

女「四組はほぼ壊滅・・・。一週回って性格が元に、いいえ、元の性格に近づいている・・・」

博士「ふむ・・・。キミは女さん、だったな」

女「え?ええ」

博士「・・・。ともかく、そのホームレスが消えたという事件も、クラスメイトの人が変わるという話も興味深い。僕の写真といい、今この町で何かが起きているのは間違いない」

男「でも手がかりが少なすぎるぜ。あまつさえ、関わったら人が変わっちまうか、最悪失踪だし・・・」

博士「分が悪いのは間違いないな・・・。しかし幸い、今この学校にいる生徒は僕らだけだ。教頭も許可をくれたし、対策会議と行こう」

秋葉「ああ、ちゃんと顧問から許可出てたんすか」

男「顧問?」

秋葉「ええ。教頭は、元SF研の顧問です」

隠すってことは「危険だからついてくるな、俺が何とかするかで気なくても被害を広げたくない」
っていうかっこよさがあるものだから、そこをこじ開ける覚悟ってのはやっぱり不気味なんだよな

>>101
俺も物書きだから、絶対にこっちの展開はないだろうって予想だけしか書き込まないよ
作家回路ってのは、キャラを手駒として活かした場合に捨てちゃ行けない駒ってのがあるんだ
ここまでの展開からある程度回路が読めてきたから
的はずれな予想ならいくらでもできるんだぜwww

女「それで、対策って・・・?」

博士「うむ、まず考えないといけないのは、なぜ人が変わってしまうのか、という点だな。今までのキミたちの体験から、おそらくこれに気が付いた人間が対象になっている」

男「同感だ。友の異変に気が付いた幼も担任も、無表情になっちまった」

秋葉「うちの部長もです」

博士「となると、しばらくはそれに気が付いていない振りをしている必要があるな・・・」

男「でもよ、ウチのクラスの委員長は気が付いてなかったと思うけど、多分人が変わっちまってるぜ・・・?」

博士「触らぬ神に祟りなし、だ。キミらはその疑惑がある人間とは極力関わらないでいた方がいい。難しいかもしれないが」

男「・・・原因が不明なら、そうするしかないか・・・」

秋葉「お、俺は今日何も聞いてないですから」

博士「賢明だな」

男「とりあえずは・・・っと?」ゴゴゴ・・・

博士「地震か・・・?」

秋葉「最近多いですよね。ま、まさかまた大きいのが来るんじゃ・・・」

男「ええと、気象庁?だかがそれはないってさ。震源地がこの町周辺って事以外ばらばらで、断層も無いらしいから」

秋葉「よ、よかったっす・・・。この期に及んでルルイエ浮上なんて勘弁してほしいですし」

博士「それは創作だろう・・・。とにかく、この学校、いや、この町で何かが起きている。そしてそれに気が付いているのは多分僕らだけだ」

男「・・・ごくり」

博士「そして、僕は明日キミのクラスに出向こう。豹変したという二人を見ておきたい」

女「な、」

博士「危険は承知だが、好奇心には勝てないよ」

女「・・・好奇心は猫を殺すよ」

博士「そうだな。だが生憎僕は猫ほど可愛い生き物じゃないんだ」

翌日 一組

男「・・・はよ」

友「よお・・・」

幼「・・・」

男(・・・)

博士「やあ。予告どおり参上したよ」

男「ああ、お前かおはよう」

友「・・・?」

博士「僕は隣のクラスのものだが、キミが友くんか。噂はかねがね」

友「・・・ああ」

博士「で、キミが幼さんか。元気が無いように見えるね」

幼「・・・気のせいだよ」

博士「気のせいには見えないね。何をそんなに不機嫌なのか」

幼「・・・不機嫌じゃないよ、わ・・・僕は」

委員長「・・・他クラスの生徒は立ち入らないでくれる」

博士「おや、委員長さんか。なるほど、なるほど・・・」

女「・・・ねえ、大丈夫なの?」

男「俺が分かるわけないだろ」

博士「興味深いねえ。僕の知っている委員長さんじゃないようだ」

担任「・・・お前ら、何してる」

博士「ただの挨拶ですよ、先生。おはようございます」

担任「出て行け。お前のクラスはここではない」

博士「その前に・・・。前回のテストの問三についてですが」

担任「・・・」

博士「あれ、覚えてらっしゃらないですか。五月のテストのことですよ」

担任「それがどうした」

博士「あそこの解法ですが、やはり僕が間違っていましたよ。あれでは証明できませんから」

女「な、何の話?」

男「さっぱり・・・」

担任「・・・わかったのならいい。教室に戻れ」

博士「ええ、よく分かりました。それでは失礼・・・」

女「・・・」

男「・・・。ハッ、お、お前も戻った方がいいぞ」

女「え?あ、ああ、そう、そうする」

男(あいつ何考えてるんだ・・・)

昼休み 西棟 屋上

博士「・・・来たか」

男「おいおい、朝のアレどういうことだ?一体何がしたかったんだお前は」

博士「ちょっとした確認さ。失踪したSF研部長になったつもりで、一番ありえない仮説を立てることにしたんだ」

女「ありえない仮説?」

秋葉「どういうことですか?」

博士「まさかと思ったけどね。八割がた間違いない。まったく信じがたいけどね」

女(・・・まさか)

男「どういうことだよ」

博士「信じがたいけど、いいかい、あの担任はおそらく本物の担任じゃないよ。カマをかけてみたが、彼は偽者だね」

男「・・・は?」

秋葉「僕だって混乱しているんだ。そんな目で見ないでほしい」

男「なんだって?」

秋葉「五月のテスト、覚えているかい?あの時、数学の問題問三は問題文が間違っていたんだ」

女「・・・確か、全員に点数が加算された問題があったはず・・・」

男「そ、そうだったか?」

博士「そうだよ、あの時間違いを指摘したのは僕だからね。にもかかわらず、あの先生は『わかったならいい』だ。どう分かればいいのか、説明してほしいものだ」

秋葉「で、でもそれだけでそんな結論だなんて・・・」

博士「僕はアレ以来、事あるごとにそのネタであのせんせいをからかってきた。でも今日は苦い顔どころか、苦笑する浮かべずに無表情。どう考えてもおかしい」

男「そ、そりゃそうかもしれないけど」

博士「まあ一応、何らかの力で人格を歪められた、ということも考えられるけど、ね」

博士かっこよすぎるwww

男「・・・まてよ、考えてみれば、あのとき委員長が渡したプリントって、二枚ともまったく同じものだった・・・?」

女「・・・」

男「直前に会った事を忘れて、同じプリントを渡すなんて妙だとは思ったけど・・・」

博士「極めつけは、SF研の部長が残した『移民者』だ。それがUFO資料の中に、彗星の記述とともに残っていた。彼が考えていそうなことは一つだ」

男「・・・まさか、おいおいそれはさすがに・・・」

博士「他にどんな可能性がある?人間を入れ替えられる存在が他にあるかい?」

秋葉「じゃ、じゃあ『移民者』が・・・?」

男「んなアホな・・・」

女(・・・)

博士「しかし問題はここからだ。もし仮に相手がそんな『移民者』だとして、僕らはどうやってそれに立ち向かうんだ?そんなでたらめな存在から」

女「でも、諦めたら何もならないよ。このままじゃみんなの存在が乗っ取られちゃう・・・」

博士「同感だ」

秋葉「で、でも・・・。僕らにはどうすることも・・・」

博士「・・・」

男「ああもう!!そんなでたらめな相手に勝つ方法なんてあるわけねえじゃねえか!!」

博士「・・・問題はそこだよ」

女(・・・)

このあたりまでが二部かな
多分勘のいい人は色々と気が付いていることだろうけど・・・
首痛につき再び休憩

さてと・・・再開します

男「・・・じゃ、じゃあさ、友や幼は、本物のあいつらは今どこにいるんだ?」

博士「分からないな。だが連中の得体が知れない以上、急がないとまずいかもしれないね」

女「その、『移民者』の目的は何?」

秋葉「移民者だけに、住む土地を探してるんじゃないですか?」

男「でこの星にたどり着いたって?」

秋葉「可能性はありますよ」

博士「確かに。少なくとも彼はそう思ったのだろうね・・・」

男「そうか、女の言う『性格が元に戻ってきた』てのは、その人間の真似がうまくなった、とかそういう意味なのか」

秋葉「そう考えれば無理はないっすね・・・」

博士「しかし困ったな。僕らは地球防衛軍でもなんたら警備隊でもない。静かに侵略されていることに、誰も気が付いていない・・・」

男「・・・とはいえよ。このまま何もしないわけにもいかねえだろ」

女「・・・」

男「そんなわけの分からん連中に食いつぶされてたまるかよ・・・。何か、何か方法ねえのか?」

博「少なくとも大人は信じてくれないだろうし、生徒も相当数偽者、ああ、某漫画で言うところの人間モドキになっている・・・。分が悪いのは間違いない」

女「でも、まだ希望はある・・・んじゃないの」

秋葉「どう、なんでしょう。こっちにドラえもんでもいれば話は違うんですけど」

博士「うむ・・・。僕に一つ、気になることが、」

教頭「見つけたよ、ここにいたのか」

女「!」

秋葉「先生・・・?」

博士「・・・僕に何か用ですか?」

教頭「うむ、キミに話しがあるんだ。何、すぐに済むよ」

博士「・・・」

pc規制された
暫くお待ちを

博士「地震だ。最近地震が多い」

男「え?・・・揺れてる?」

秋葉「ええと、わかんないです」

教頭「・・・?」

博士「妙ですよね、どうも最近地震が多い。詳しく調べたいものです」

女(こいつ・・・)

博士「行きましょう、教頭先生」

教頭「うむ。では・・・」

男「あいつが行っちまったら、対策会議どころじゃないな・・・」

秋葉「とりあえず、続きは放課後にしましょうか」

女「・・・」

教頭室

教頭「さて、と。お茶でも飲むかね」

博士「いえ」

教頭「そうか。しかし残念というか、面倒というか。キミのようにスペックの高い人間は始末におえない」

博士「それは始末できないからですか?それとも、コピーに手間取るから?」

教頭「ほお、気が付いていたのか」

博士「そりゃ勿論。教頭先生は鼻の横にうっすらと傷跡があるんですよ。古い傷跡がね」

教頭「!?」

博士「古人曰く、間抜けは見つかったようだぜ、だ」

教頭「・・・厄介だよ、キミのような地球人は。他の連中も入れ替えなければダメかな」

博士「・・・」

教頭「その様子では、覚悟は出来ているようだな」

友「我々に姿を渡す覚悟が」

博士「・・・僕は殺されるのかな」

幼「殺す?キミらのいうところの『命』を奪うことか」

委員長「わからない。命とは何か」

博士「なるほど、基本的な概念が異なるわけだ・・・」

担任「キミという固体を傷つけるのかという質問か」

博士「その認識で間違いない」

教頭「価値観による」

友「我々はこの星に住むことに決めた」

幼「それにはキミたち地球人が邪魔だ」

博士「侵略者、ということになるね」

教頭「歴史を紡ぐのは勝者の役目」

委員長「我々はしかしキミたちよりもこの星をよりよいものにすることが出来る」

友「我々は同胞を殺しあうことなどない」

幼「我々は均一意思を持つからだ」

博士「・・・」

担任「我々はすでに、多くの同胞をこの星に招いている」

委員長「それに気が付かない程度の知的生命体など、存在する意味も無い」

博士(話が通じる相手ではない、か・・・!)

ちなみに博士は男だよな

教頭「キミは危険な存在だ。将来、キミは我々にとって脅威となる」

委員長「お前の存在がこの星のあり方を変えるだろう」

幼「その才能が開花する前に、お前は消えなければならない」

博士「・・・人の将来を決めるのは勝手だけど、随分な物言いだ」

博士(時間を延ばすのもそろそろ限界か・・・?)

友「さあ、眠るがいい。そしてお前の姿かたちは、我々が有効に使うだろう・・・」

博士「・・・!!」

放課後 空き教室

男「博士おそいなー」

秋葉「まだ教頭のところなんじゃないですか?」

女(・・・彼はもう、おそらく・・・)

博士「・・・」

男「お、来た来た」

秋葉「遅いですよー」

女(・・・!)

博士「・・・ああ、待たせた・・・」

男「!」

秋葉「どうしたんですか?具合が悪そうですよ」

博士「・・・気のせいだ」

男「よし、じゃあ解散にしよう」

秋葉「え?」

博士「・・・」

>>136
女と幼以外は男だと思って読んでる

秋葉「で、でもそれじゃあ、」

男「仕方ないだろ、博士がこんな様子じゃ」

女「そうね、無理しても仕方ないし」

秋葉「そんな悠長な、そんなことしてる間にも、」

男「ああ、確かに時間は無い。けどテストまではまだしばらくあるんだ、勉強会は延期だ」

博士「・・・勉強会?」

男「いくぞ、秋葉!」ぐい

秋葉「ちょ、引っ張らないでくださいよ!!」

女「・・・」

博士「・・・」

女「・・・」ダッ

男「・・・やられた」

女「ということは、教頭先生もやつらということに・・・」

秋葉「まったく気がつかなかったっす・・・。面目ない」

男「これでこっちは三人だ。一番の戦力がやられちまった」

秋葉「万事休すっす・・・」

女「そういえば、昼休みに博士、地震がどうとかいってた」

男「地震か・・・。でも、それがなんだっていうんだろ」

秋葉「わかんないですね・・・」

女「調べる価値はあると思う」

男「でもよ、三人でどうするんだよ・・・。たった三人だぞ」

女「それは・・・」

秋葉「地震、でも実際最近多いですよね」

最後・・・本当かねえ?カイジのテンプレを貼りたくなるくらいにな!

男「地震と連中と何の関係があるんだ?」

秋葉「それは・・・わからないっす」

女「でも博士が言ってた事だし」

男「はぁ・・・。ま、調べるだけ調べてみるか。確かどっかのHPでそういうの一覧で見れたよな」

女「どうだったかな」

秋葉「ああ、それ自分わかるっす。情報室行きましょう」

猿からの水遁だよ やる気なくなるわちくしょう

次猿きたら泣きながら寝るわい
というか今日大学あったわ畜生・・・

東棟一階 情報処理室

秋葉「ええと、これですね」

女「全部データベース化されてるんだ・・・」

男「確かにこの町を中心にして回りの山とかに多いんだな」

秋葉「震源はほぼすべてがごく浅いところで起きているようですね。震度は大きくても2程度です」

男「ごく浅い、か・・・」

女(・・・)

男「しかし、綺麗に町を避けて地震起きてるな・・・」

秋葉「まるで町をぐるりと囲うかのようですね」

男「確かに・・・。中心地から見ると、円状になってるようにも見えるな」

秋葉「だとすると、ここ・・・。南東のこの一角だけ、妙に震源がありませんね」

男「ホントだ。ここら辺て何かあったかな」

秋葉「どうでしたかね、この辺は行ったことがないですから」

男「しかしここだけホントに震源が無いな。少し妙だぜ」

秋葉「そうですね、博士先輩なら何か気が付くかもしれませんが・・・」

男「・・・考えても分からないなら、行ってみるしかないか・・・」

レベルのせいで五行以上書けないwww
一回書き込むごとに猿とかどうなってんだい・・・

女「行くって、ここに?」

男「ああ。博士いないんだし、悠長にしていられる時間もねえだろ」

女「それは、そうだけど・・・。危険じゃない?」

秋葉「女先輩はここに何があるか知ってるんですか?」

女「そ、そうじゃないけど・・・」

男「秋葉、周辺の地図印刷してくれ。俺、ちょこっと行ってくるわ」

秋葉「何言ってるんですか。ここで帰ったらSF研の名が廃ります。一緒に行きますよ」

女「う、ウチも・・・。そんな危険なところに二人だけで行かせられないから・・・」

男「お前らもバカだな・・・。よし、んじゃ行こうか」

震源ゼロ地点 夕方

男「一時間に一本しかバスが無いとか何事だよ・・・」

秋葉「ずいぶん廃れたところですね・・・」

女(・・・)

男「ええと、こっちの方か。秋葉、道案内頼む」

秋葉「こっちです、そんな遠くは無いですから」

男「これ、廃工場か?」

秋葉「みたいですね。立ち入り禁止になってますが、どうします?」

男「どうするもこうするも、博士だったら間違いなく我が物顔で入るよな」

秋葉「了解です。行きましょう」

女「あ、いや・・・。危ないんじゃないかなーって、聞いてないなあの二人・・・」

廃工場

男「なかなか雰囲気あるな・・・」

秋葉「そういうのはオカ研の仕事ですよ」

男「そうだけど・・・」

女(まずい・・・。誰にも出くわさないといいけど・・・)

男「ん・・・?今奥から何か音しなかったか?」

秋葉「ま、マジすか?」

女「ちょ、ちょっと。二人とも声を潜めて!!」

男「な、何でだよ」

女「例の移民者がいるかもしれないんだから、警戒して当然でしょ」

秋葉「う、うっかりしてたっす・・・」

男「よし、抜き足差し足で行こう・・・。ここも危険かも知れねえしな」

男「この奥から聞こえたような気がするんだけど・・・」

秋葉「あ、ホントだ。何か聞こえますね・・・」

?「これからどうなるんだ、俺たちは・・・」

?「さあ、ね。悲観しても仕方ないから、少しは泣き止んだらどうなんだ」

?「俺はこのまま彼女も出来ずに、宇宙人に殺されるんだ・・・」

?「宇宙人。まさか本当にいたとはね。僕も驚いたよ。委員長、ティッシュはあるかい?」

?「あい。泣き止め友、男だろー」

?「お、男も何もあるか!!相手は宇宙人だぞ!!」

?「ふむ、このまま僕らはキャトられるのかな」

男「この声・・・」

男「や、やっぱり。あいつらだ・・・!!」

秋葉「マジすか!?無事だったんですね!!」

幼「ん?やあ男、随分妙な場所で会うじゃないか」

友「うおおおお、心の友よ!!助けてくれぇ・・・」

委員長「両極端だよキミらは・・・」

男「これ、ガラス張りの牢獄か・・・?」

幼「どうなんだろうね、随分と動物園の動物の気分を味わったよ」

友「助けに来てくれるとは、持つべきものは友達だよなあ・・・!!」

男「昨日からずっとここに?」

幼「まあね。衣食住はしっかりしてたからわりと快適だったよ」

委員長「やかましいの一人を除いてね」

秋葉「このガラス、どうやって開けるんですか?」

幼「さあ。連中は意のままに開け閉めできるみたいだったけど。スイッチらしきものは見当たらないし」

女「・・・」

ガシュン!!

委員長「うお、開いた」

幼「はて、何で開いたんだろう」

女「それよりも今は脱出が最優先!!」

秋葉「同感です。さあ、こっちへ!!」

・・・

男「ここまで来れば・・・」

教頭「いけないな、ここまで入り込まれるとはね。地球人をバカにしすぎたか」

女「くっ・・・」

友「おいこのくそ偽教頭!!本物の教頭はどこだ!!」

男「担任や博士は!?」

教頭「まったく野蛮だな・・・。地球人というのはやはり危険だ。近い将来、宇宙にとって脅威となる・・・」

女「・・・それでも、こんなことは間違っています」

教頭「ほう?」

女「自らの侵略をそうやって正当化するなんて・・・!!」

教頭「見方の問題だろう。全宇宙から見れば、私たちは正義だ」

男「正義・・・?お前たちが・・・!?」

教頭「キミたちが誤った道に逸れる前に、道を正すことも出来る。我々ならばね」

教頭「M240惑星人よ。キミたちは自らが正しいと思うのかね?君たちのような種族が?」

友「M240惑星・・・?」

女「移民者の地球の呼び方よ」

偽教頭「我々はこの星を、いや、キミたちを正しく導くことが出来る。我々ならばだ」

委員長「勝手な言い分を・・・」

偽担任「勝手?ではキミらはどうなのだ?」

偽幼「キミたちのエゴで他の生物を殺すのは勝手ではないのかい?」

偽友「責任の押し付け合いで同種族の命すら軽くするのは、勝手じゃねえのか?」

偽委員長「あんたたちに言われたくない言葉よねー」

幼「僕らにも擬態していたのか・・・!!」

偽博士「僕らとキミたちを比べれば、どちらが優れた種族であるかは一目瞭然だ、そうだろう」

偽幼「このままではキミたちのためにも、全宇宙のためにもよくないんじゃないかな」

男「だ、だからって!なんで俺たちの未来をてめえなんかに渡さないとなんねえんだ!!」

女(・・・!!)

男「俺たちがお前らなんかに服従するわけあるか!!」

幼「悪いが、僕らの未来は僕らが作る。そこにキミ達の居場所は無いよ」

委員長「もう一人の自分て不気味・・・」

?「そういうことだ、移民者!!」

偽教頭「む!?」

博士「いいや、お前たちは侵略者だ。言葉でまで惑わそうなんて、そうはいかない!」

偽教頭「貴様どうやってあそこから抜け出した!!」

博士「僕を誰だと思ってるんだ?」

担任「ずいぶんやってくれたじゃないか・・・」

教頭「だが、それもここまでだ」

SF研部長「ほら見ろ、やっぱり宇宙人はいたじゃないか!!」

女「自らの惑星を事故で失ったからとはいえ、この星を侵略していい理由にはならない!!」

偽教頭「ぐ・・・」

偽友「かくなる上は・・・」

ビカビカッ!!

博士「ついに正体を現したな、移民者!!」

女「いいえ・・・、『バルタン星人』・・・!!」

バルタン星人「!!!!」

バルタン星人「!!!!」

バルタン星人「!!!!」

友「こ、こいつら何人いやがるんだ!?」

女「!危ない!!」

男「うお!?」

博士「させるか!!」

バルタン星人「!!!!」

女「く、やはり分が悪い・・・!!」

男「そうも言っていられるか!!地球の未来は、俺たちの手で掴み取るんだ!!」

女「!」

委員長「アツいのは結構だけど、どうするんだよこの数!!」

女「ここは私が何とかしますから、行って下さい!!」

男「んなこと出来るわけないだろ!?」

女「出来ます・・・!!そう言い切れる地球人が少しでもいてくれたんです、彼らを止める義務が私にはあります!!」

男「何を!?」

博士「キミも宇宙人なんだろ、女さんに化けているだけで」

男「!?」

女「気が付いてたんですね・・・」

博士「キミは『彗星が何らかの形で事件に関わってると、気が付いて・・・』といった。つまりキミは最初からそれを知っていた」

女「敵いませんね・・・。さすが、将来アレを生み出すだけのことはあります!!」

偽教頭「貴様は同胞のくせに・・・!!」

女「この星を侵略するのは誤りです・・・!!この星の未来はまだ決まってはいない!!」

ドドドドド!!

女「いけない、崩壊が始まった・・・!!」

男「今度は何だよ!?」

女「やつらここの地下にある母船を動かす気です!!この辺に震源、いえ、隕石が落ちなかったのはそのためです!!」

友「隕石!?」

男「そうか、ごく浅い震源地の地震って、こいつらが隕石になって降りてきたときの衝撃だったのか!!」

女「逃げてください、ここはウチが食い止めます!!」

博士「男、逃げるんだ!!」

男「んなこといったって!!」

女「この星の、いえ、宇宙の未来はあなたがたにかかっています!!それを忘れないで!!」

男「女!!」

幼「何をやってるんだ!!彼女の覚悟を無駄にする気か!?」

男「で、でもよ!!」

幼「急いで!!」

友「崩れるぞ!!」

廃工場 外

博士「あれは・・・」

部長「僕の持ってきた隕石型宇宙船と、お前が撮った写真は同じものだったのか・・・!」

教頭「う、宇宙船が空へ昇っていく・・・!!」

男「どっちだ、どっちが勝ったんだ・・・?」

博士「・・・多分どっちでもない。彼らは同じ思想の元に動く生命体だったはずだ。勝ち負けは無いはず」

男「なら、侵略を諦めたのか・・・?」

幼「分からないけど・・・。彼女は侵略に否定的だった・・・」

友「じゃ、じゃあよ。その意思が勝ったのかよ!?」

幼「違う、違うな・・・。多分、ただ去るんじゃない・・・。彼女が絶望するような未来になったとき、彼らは今度こそ侵略に現れる・・・。救いの名の下に」

男「・・・そうはいかねえよな。俺たちは、きっと今よりいい未来を作れる。作って見せるさ」

委員長「その意気だよね」

友「すげえ経験したな俺たち・・・」

部長「宇宙にはああいうやつがいっぱいいるのかな」

博士「そうかもしれない・・・。なら僕らは、もしかしたらそれに対抗しなければならないのかもしれない」

部長「対抗?」

博士「ああ。侵略者への、防衛手段が。侵略を跳ね返せる兵器が、ね・・・」

部長「兵器、か・・・」

男「次に会うときは、友好目的だといいんだけどな」

幼「出来るよ、きっと」

男「・・・宇宙人との、友好か・・・」

友「壮大な夢だな」

委員長「でも、悪くないと思うよ」

数日後 屋上

男「すげえ経験だよな、今思うと」

幼「確かに。宇宙は広いな。僕も驚いたよ」

友「お前は終始落ち着いてたろうが」

幼「まあね。相手は宇宙人だ、騒いでどうこうなる相手じゃない」

男「また会えるかな」

幼「多分ね。・・・あ」

男「あ・・・」

女「・・・?あの、あたしの顔に何か付いてる?」

男「ああいや、そうじゃないんだけど・・・」

幼「もう体の方はいいのかい」

女「うん、検査入院のはずが、随分と大げさな期間の入院になっちゃったけど」

幼「そうか、何よりだよ」

男「・・・」

男「あの不思議な体験は過ぎ去っていった。失踪していた人たちや入れ替わられていた人もみんな工場から脱出。マスコミもほとんど食いつかなかった」

男「彼女らが何者だったのか、バルタン星人とは何なのか。それは結局分からない。あの時叫んだことが、正解なのかどうかも」

男「けど変化はあった。少なくとも俺は空を見上げることが多くなったし、博士は何かの設計図をせっせと書いては丸めて捨てていた」

男「きっと次に彼ら、彼女らと会うときは、友好の証としてだと、そう信じている。未来は自分たちの手で掴み取ると、決めたから」

数年後―――
新聞記事
「日本人科学者、惑星防衛システムを発明!!侵略者への抑止力完成!!」
「日本人宇宙飛行士、明日外宇宙へ向けて発進!!循環型宇宙船、発進へ」

・・・
「惑星防衛システム拡張へ。侵略者への先制攻撃可能に」
「循環型宇宙船、宇宙人と接触か」

?「和平と攻撃・・・。結局、二面性を持つのが地球人、か・・・」

終わり

大学行く前に終われてよかった・・・のか
正直水遁なければあと1.5倍はボリュームあったんだけど・・・

七月十七日でウルトラマンは放送開始46年を迎えるんだぜ、っていう記念のSSでした

個人的にウルトラQっぽくしたかったんだけど、やはり難しいよね
ザラブ星人ってのも迷ったけど、「THE LOVE」があるからなーと
あと「ET」は円谷英二監督のイニシャルでした
んでは、大学いってくるわ

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