安価で指定されたカプで短編プリキュア百合SSを書く (501)

まったり進行で
>>2

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1353851767

スマイル限定とかじゃないよね? あとクロスオーバーカプもありなの?
と聞きつつもフレッシュのカプを希望。

ラブ×せつな

>>2
プリキュアなら何でもいいですよ
クロスカプでも大丈夫です

【らぶせつ】

ラブ「せーつなっ、日曜に買い物行かない?」

せつな「買い物? いいけど、何を買うの?」

ラブ「冬服だよ冬服! せつな冬に着るもの一着もないでしょ? わたしも新しい冬服欲しいし、一緒に買いに行こ」

せつな「ええ、分かったわ」

ラブ「じゃあ美希たんとブッキーにも連絡しておくね」

せつな「冬服、か……」

せつな(もうそんな季節になってたのね、確かに最近少し肌寒くなってきたわ……)

せつな(季節が過ぎるのはあっという間ね。ついこの前まで夏だったのに)

せつな(ラブに出会ってからは、何だか時間の進みが早く感じるわ)

美希『ごめーん、その日予定入ってるの』

ラブ「えっ、そうなんだ……」

美希『また今度ね、別の日に埋め合わせするわ。じゃね』

ラブ「うん、じゃあね」ピッ

ラブ「ブッキーは大丈夫かな…」

prrrr prrrr

ラブ「あっ、もしもしブッキー? 日曜日冬服買いに行こうと思うんだけど、ブッキーその日空いてる?」

ラブ「うん、うん」

ラブ「……えっ、ブッキーも予定入ってるの? そっかぁ」

ラブ「うん、美希たんも予定があるから行けないって。……ううん、いいのいいの気にしないで。また今度ね」ピッ

ラブ「せつなー、美希たんもブッキーも日曜は予定があって行けないんだって」

せつな「そう…それならしょうがないわね」

ラブ「日曜はあたしとせつなの二人で買い物に行こっか」

せつな「ラブと二人……ええ、いいわよ」

ラブ「よしっ、じゃあ決定!」

せつな「結局、いつもみたいに二人で買い物に行くことになったわね」

ラブ「美希たんがいてくれれば、ファッションのアドバイスとかもらえるんだけどなぁ」

せつな「あら、私だってファッションセンスはあるわよ。美希のコーディネートだってしたことあるんだから」

ラブ「そういえばそうだっけ。じゃあ洋服選びはせつなに任せてみようかな」

せつな「任せて、精一杯がんばるわ」

日曜日

せつな「うーん……」

ラブ「あのー…せつな?」

せつな「ちょっと待ってて! 今ラブに似合う服を選ぶから」

ラブ「そう言ってもう二時間以上経ってるんだけど……」

せつな「…これに決めたわ。ラブ、試着してみて」

ラブ「う、うん……」

ラブ(ほっ、ようやく決まった…)

ラブ「どう、似合う?」

せつな「……」

ラブ「せつな?」

せつな「ダメね、もう一度選び直すわ」

ラブ「えぇ~……」

せつな「イメージしてたのと違ってたの。やっぱりラブには暖色系の方が似合うのかも…」ブツブツ

ラブ「も~、なんでもいいよぉ~。それよりせつな、自分の服は選ばないの?」

せつな「私よりまずラブの服よ!」

ラブ「そんなせつなが真剣にならなくても…」

せつな「ダメよ、ラブには可愛い服を着てもらいたいの。待ってて、すぐに選びなおすから」

ラブ「……はぁ」

・・・・・数時間後

ラブ「よ、ようやく買い終わった~……」

せつな「いい買い物ができたわ、これで冬が来てもバッチリね」

ラブ「せつな、今日はやけに服選びにこだわってたね。どうしたの?」

せつな「だって、良い服を選んでラブに喜んで欲しかったから」

ラブ「えっ、あたしに…?」

せつな「ラブにはいつも幸せをもらってるから、その恩返しがしたかったの。だからできるだけ良い洋服を選びたくて…」

ラブ「幸せって、あたしは特に何もしてないけど」

せつな「そんなことないわ。ラブが一緒にいてくれるだけで私は十分幸せなの」

せつな「だって、ラブと一緒に暮らし始めてから毎日がとても楽しいんだもの」

ラブ「せつな……」

せつな「だから、ラブには喜んでもらえるようにできるだけ頑張ったんだけど…」

ラブ「もう、せつなってば。そんなこと言ったらあたしだっていつもせつなに幸せを貰ってるよ」

ラブ「あたしもせつなと一緒だと、すっごく楽しいもん!」

せつな「ほ、本当に…?」

ラブ「うん、本当だよ。だから別に恩返しとか必要ないんだよ」

ラブ「せつなと同じで、あたしもせつなが一緒にいてくれるだけで十分なの」

せつな「ラブ……」

ラブ「でも今日はありがとうね。せつながあたしのために一生懸命服を選んでくれたのは嬉しかった」

ラブ「もう少し買い物の時間は短かったほうがよかったけど……」

せつな「あっ…ごめんなさい。つい夢中になっちゃって……」

ラブ「あははっ、まぁせつならしいけど」

せつな「……なんだか少し寒くなってきたわね。買った服今着ちゃう?」

ラブ「うーん、それもいいけど……」

ギュッ

せつな「!!」

ラブ「こうやってくっついてたらすぐ暖かくなるよ」

せつな「ラ、ラブってば…抱きつかれたら歩きづらいわ」

ラブ「えへへ。でもあったかいよ、せつな」

せつな「……私も、あたたかいわ」

せつな(こんな温もり、生まれて初めてかも……)

ラブ「ねえ、せつな」

せつな「なに、ラブ?」

ラブ「美希たんとブッキーには悪いかもしれないけど……今日はせつなと二人っきりで過ごせてよかった」

せつな「私もよ、ラブ」

ラブ「ねえせつな」

せつな「今度はなに?」

ラブ「今日はせつなの部屋で寝てもいい?」

せつな「わ、私の部屋で?」

ラブ「だって夜も寒いんだもん。いいでしょ? ねっ」

せつな「ラブってば……しょうがないんだから」

ラブ「えへへ」

せつな「…ふふっ」


おわり

初回なんで手探りな感じで書いたんですが長さはこのぐらいでいいでしょうか
次はいつ更新になるか分からないですがとりあえず安価だけ出しておきます
>>15

ほのか×なぎさ

【なぎほの】

ピピピッ ピピピッ

なぎさ「んん……」

なぎさ(もう朝か……早く起きて学校行かないと……)

なぎさ(でも眠いなぁ……あと30分だけ……)

???「なぎさ、起きて。もう時間よ」

なぎさ「分かってるわよお母さん……あとちょっと」

???「なぎさってば何言ってるの。私はお母さんじゃないでしょ」

なぎさ「はぁ……?」

ほのか「ほら、起きて。遅刻しちゃうわよ?」

なぎさ「あれ……ほのか……」

ほのか「おはよう、なぎさ」

なぎさ「お、おはよう……ってなんでここに!?」

ほのか「何でって、まだ寝ぼけてるの?」

なぎさ「だってここあたしの部屋でしょ!? なのにどうしてこんな朝からほのかが!」

ほのか「あたしの部屋じゃなくて、私たちの部屋でしょ?」

なぎさ「なっ…え…?」

ほのか「もう、しっかりしてよ。コーヒーでも飲んで目を覚ましなさい」

なぎさ「あの、ほのか……」

ほのか「さ、早くベッドから出て。なぎさ」

なぎさ(なにこれ…どうなってるの? なんであたしの部屋にほのかが……)

ほのか「はい、ご飯はもうできてるわよ」

なぎさ「……」

ほのか「どうしたのなぎさ、食べないの? せっかくなぎさのために朝からたくさん作ったのに」

なぎさ「あ、あの~…ほのか」

ほのか「なに?」

なぎさ「どうしてほのかが朝からあたしの部屋にいて、あたしを起こして、朝ごはんまで作ってるの…かな?」

ほのか「どうして何も、いつものことじゃない」

なぎさ「へ?」

ほのか「だって私たちは結婚してるんだから、奥さんの私が家事をしたりするのは当然のことでしょ?」

なぎさ「けっ…けけけ結婚!?」

ほのか「そうよ、結婚したでしょ?」

なぎさ「あっ……えと……ええ!!?」

なぎさ「いつ?! ていうかあたし達まだ中学生でしょ!! なのに結婚って…」

なぎさ「そもそもあたし達女の子同士だし!!」

ほのか「???」

なぎさ「いや、そんなわけが分からないって顔されても! あたしの方が分わかんないし!!」

ほのか「ご飯食べないの? 冷めちゃうわよ」

なぎさ「あ…た、食べるけど」モグモグ

ほのか「どう? 美味しい?」

なぎさ「う、うん…美味しい」

ほのか「よかった。作ったかいがあったわ」

なぎさ(美味しいけど……この状況はやっぱりおかしいって)

なぎさ(あたしとほのかが結婚なんてありえな~い!!)

・・・・・学校

莉奈「おはよう、なぎさ」

志穂「おっはよー!」

なぎさ「お、おはよう…」

莉奈「ほのかもおはよう」

ほのか「おはよう」

なぎさ「あ、あれ…今なんて?」

莉奈「え? おはようって挨拶しただけじゃない」

なぎさ「今ほのかのこと下の名前で…いつもは雪城さんって呼んでるのに」

莉奈「はぁ? なに言ってるのなぎさ」

志穂「そうそうそう、ほのかはもうなぎさと結婚したんだから苗字が美墨になったでしょ。それなのに雪城さんって呼ぶのはおかしいじゃん」


なぎさ「え、えぇ~……」

莉奈「それにしても二人は相変わらずラブラブね。今日も朝は一緒に登校?」

志穂「お熱いですね~」

ほのか「うふふ」

莉奈「邪魔しちゃ悪いから、わたし達はこれで退散しますか」

志穂「だね。じゃ、お二人ともごゆっくり~」

なぎさ「あっ、ちょっと莉奈! 志穂!」

なぎさ(どうなってるのよ…なんかあたしとほのかの関係が公認みたいになってるし)

ほのか「な・ぎ・さ」

なぎさ「!!」

ほのか「今日は部活だっけ? 私、終わるまで待ってるわね」

ほのか「帰りも一緒よ」

なぎさ「う、うん……」

放課後、ラクロス部

志穂「ねーねーねー、なぎさなぎさなぎさ!」

なぎさ「な、なに?」

志穂「結婚生活って楽しい?」

なぎさ「ブッ!?」

莉奈「あっ、わたしも知りたい。結婚生活ってどんな感じなの?」

なぎさ「ど、どんな感じって…あの…」

莉奈「朝はやっぱりほのかに起こしてもらってる?」

志穂「それでそれでそれで、ほのかが作った朝ごはんを一緒に食べて」

なぎさ「まぁ…確かにそうだったけど」

莉奈「キャー! やっぱりー!」

志穂「あーんとかしてもらってるの? 朝からあーんとかしてもらってるの!?」


なぎさ「し、してないって!」

莉奈「えーしてないのー?」

志穂「がっかりー」

なぎさ「なんで二人ががっかりしてるのよ……」

莉奈「それで、二人でいる時はいつも何してるの?」

志穂「チューとかしてる?」

なぎさ「チュ、チュウって……キス!? ほのかと!?」

志穂「そうに決まってるでしょ。結婚してるんだから」

莉奈「いや待って、結婚してるんだからキス以上のこともしてるわよね……」

志穂「えっ、それはまさかまさかまさか!」

莉奈「当然夜は同じベッドの中で……」

志穂「キャーキャーキャー!!」

なぎさ「ちょ、ちょっと! なに勝手に話し進めてるのよ!!」

莉奈「えっ、してないの? 夫婦でしょ?」

なぎさ「え…そ、その…」

志穂「もぉ~、今さら恥ずかしがらなくてもいいんだって。二人がラブラブなのは周知の事実なんだから」

なぎさ「う…うるさーい! 今は部活中なんだから部活に集中しなさい!!」

志穂「わ、なぎさが怒った」

莉奈「しょうがない、部活に戻ろっか志穂」

志穂「だね」

なぎさ「ったくもう……」

なぎさ(なんでこんな事になってるのよ……あたしとほのかが夫婦なんて)

なぎさ(あたしがほのかとキスやあんなことやそんなことするわけ……)

なぎさ「……うぅ」

なぎさ(と、とにかく何かが間違ってる……分かったわ、これはきっとドツクゾーンの仕業ね!)

なぎさ(きっとそうよ、そうに違いない! あいつらが何かして、それでほのかやみんながおかしくなったのよ……たぶん)

部活終了

ほのか「なーぎさっ」

なぎさ「ほのか…」

ほのか「部活終わった? 一緒に帰りましょ」

なぎさ「あ、あのねほのか……」

ほのか「なに?」

なぎさ「これはドツクゾーンの罠なのよ!」

ほのか「え?」

なぎさ「あいつらがきっと何かしたんだわ! だって今日はほのかやみんながおかしいもん!」

なぎさ「あたし達が結婚なんてしてるわけないし、あいつらが何か企んで……」

ほのか「なぎさ……今日のなぎさは変よ」

ほのか「もしかして私のこと……嫌いになっちゃった?」

なぎさ「へ…?」

ほのか「だって今日のなぎさはよそよそしいし、私達が結婚してないだなんて言い出すし……」

ほのか「私にもう愛想がついた? 別れたいの?」

なぎさ「ち、違うって、ほのかのことを嫌いになるわけないじゃん! そうじゃなくて…」

ほのか「じゃあどうしてそんなことを言うのよ!! 私はなぎさのことを愛してるのに……」

なぎさ「あ、愛!?」

ほのか「なぎさは、私のことを愛してないの…?」

なぎさ「えっ、えっと……」

ほのか「……やっぱり嫌いなのね」

なぎさ「そ、そんなことないって!」

ほのか「じゃあ一言でいいから言って、『愛してる』って」

なぎさ「それは……」

ほのか「お願いなぎさ……」ギュッ

なぎさ(し、仕方ない……ほのかを落ち着かせるためにも……)

なぎさ「ゴクリ……あ、愛してる」


ほのか「聞こえない」

なぎさ「あ…愛してる」

ほのか「もっと大きな声で、言って」

なぎさ「愛してる…」

ほのか「誰を?」

なぎさ「ほのかのことを、愛してる!!」

ほのか「私も愛してるわなぎさ!!」

ギュッ

なぎさ「きゃっ!?」

ほのか「ねえ、なぎさ……キスしましょ?」

なぎさ「ええ!?」

ほのか「いいでしょ? 愛し合ってるんだから」

なぎさ「だ、だからってこんな道端で……」

ほのか「お願い、なぎさ」

なぎさ「うぅ…わ、分かったわよ!」

ほのか「じゃあ……目を閉じて」

なぎさ「うう……」

ほのか「……ん」

チュッ

なぎさ「んん……ちゅっ……」

ほのか「ぷはぁ……ふふっ」

なぎさ(ああ…キスしちゃった)

なぎさ(ほのかとキスしちゃった……お、女同士で……)

ほのか「なぎさ」

なぎさ「は、はい!!」

ほのか「家に帰ったら……しよっか?」

なぎさ「しよかって……な、なにを?」

ほのか「もう、決まってるでしょ」

ほのか「それとも……ここでしちゃう?」

なぎさ「えっ、ほ、ほのか…あの…」

ほのか「ううふ、大丈夫よなぎさ。力を抜いて」

なぎさ「ほ、ほのか待って! こころの準備が!!」

ほのか「楽しみましょうね、なぎさ」

なぎさ「あ……あぁーん!!」

――――――――――――――――――

――――――――――――

――――――






なぎさ「はっ!?」バサッ

ほのか「あ…起きちゃった」

なぎさ「ほのか!? こ、ここは……?」

ほのか「おはようなぎさ。なぎさってば、試験勉強の途中で寝るなんてダメじゃない」

なぎさ「へ……?」

ほのか「なぎさが勉強を教えて欲しいって言うから、今日はなぎさの家で勉強しようってことになったのに…」

ほのか「こんな調子じゃ試験に間に合わないわよ?」

なぎさ「寝てたってことは……今までのは全部夢だったの?」

ほのか「夢? なにか夢でも見てたの?」

なぎさ「あ…ううん! な、なんでもない!!」

なぎさ(言えないよ……あたしが夢の中でほのかとキスしたなんて……)

ほのか「変ななぎさ。さ、勉強の続きしましょ」

なぎさ「う、うん」

なぎさ(夢でよかったけど……まだドキドキしてる。夢っていっても、あの時のキスの感覚……本物みたいだった)

なぎさ(もしあの夢が本当だったら……って、なに考えてるのよあたしってば!!)

なぎさ(うぅ……これじゃあほのかの顔を直視できないわよ)チラッ

ほのか「なに?」

なぎさ「な、何でもない!! あはは」

なぎさ「さ、勉強勉強! 試験に向けてがんばらなきゃ!」

ほのか「うふふ」


おわり

次回のカプ
>>33

GO、GO!
Lets GO 響×奏!

【ひびかな】

響の部屋

響「けほっ、けほっ……」

奏「響、大丈夫?」

響「あ゛ー……う゛ー……」

響「喉いたい……頭いたーい……」

奏「熱があるんだから当然よ。水飲む?」

響「うん……飲ませて」

奏「じゃあ身体起こすわよ」

響「うう゛ー……」

奏「はいお水。口あけて」

響「ゴクッ…ゴクッ…」

奏「それにしても珍しいわね、響が風邪ひくなんて」

響「今日サッカーの試合あったのに……」

奏「こんな状況で行けるわけないでしょ。今は身体を休めることに集中しなさい」

響「うぅ~……眠れないよぉ、奏ぇ……」

奏「子守唄でも歌う? …って、汗が凄いわね。パジャマ着替えたほうがいいじゃないかしら」

響「う゛ー……」

奏「響、もう一度起きれる? 着替えるわよ」

響「奏が着替えさせてくれるの…?」

奏「えっ……ま、まぁしょうがないわね」

奏「じゃあ脱がすけど……いい?」

響「うん……」

奏「手上げて、上着から脱がすから」

響「はーい……」

奏(な、なんかドキドキしてきた。響の服脱がしちゃってる……)

響「奏…?」

奏「あっ、えっと……汗拭きましょうか、ね」

ふきふき

響「奏ぇー……」

奏「どうしたの?」

響「ブラジャー外して……」

奏「ぶっ…ブラッ!?」

響「だって外したほうが楽なんだもん……」

奏「……ゴクリ」

響「はやくしてよー……」

奏「わ…分かったわよもう! 響ったらしょうがないんだから!」

プチ…

奏「は、外したわよ」

響「あぁ゛~……」

奏「…胸辺りも汗かいてるわね。ふ、拭く?」

響「おねがーい……」

奏「も、もう響ってばしょうがないんだからー」フキフキ

奏(響の胸……か、かわいい)

奏「はい、これでオッケーね」

響「ふぅ……」

奏「……下も脱ぐ?」

響「……?」

奏「ぬ、脱いだほうがいいわよね。汗も拭かなきゃいけないし、全部着替えたほうがいいんだから!」

響「う、うん……」

奏「はい、足上げて!」

響「か、奏…ちょっと…」

奏(パ、パンツ……響のパンツ!!)

響「奏……なんか今日すごい元気だね……」

奏「そんなことないわ!!」

奏「それにしても、見た目じゃわかんないけどやっぱり鍛えてる足って違うのね」フキフキ

響「うん……?」

奏「筋肉がついてる。私の足とは全然違うわ」

響「奏……」

奏「なに?」

響「なんか……手つきがいやらしい……」

奏「な、なに言ってるのよ! 気のせいよ!!」フキフキ

奏「ところで……パンツも履きかえる?」

響「いい…」

奏「あ…そう」

・・・・・

奏「はいっ、これで着替え完了」

響「はぁ……」

奏「どう、スッキリした?」

響「うん……」

奏「あとは何かして欲しいことある?」

響「奏……」

奏「なぁに?」

響「側にいて……」

奏「え…」

響「……お願い」

奏「な、なに言ってるのよ、当然じゃない。響を一人にさせるわけないでしょ」

響「よかった……」

奏「早く治るといいわね」

響「でもここのままずっと風邪ひいてたら……奏とずっと一緒にいられるね……」

奏「!!」

奏「ば…馬鹿なこと言わないの。風邪で弱ってる響きなんて見ていられないわ」

奏「……早く元気になっていつもの笑顔を見せてよ」

響「えへへ……」

響「奏…今日はありがと…」

奏「どういたしまして」

響「奏ぇ……」

奏「なぁに、響」

響「大好き……」

奏「私も、大好き」

奏「さ、もう寝ないとね。明日には元気になってるわ」

響「うん……おやすみ……」

奏「おやすみ、響」

響「すぅ……すぅ……」

奏「ふふっ、響の寝顔かわいい」

響「ぐぅ……」

奏「……風邪なんてひいてなくても、ずっと側にいてあげるわよ」

奏「響……ん……」

響「ん~……」

奏「ちゅ……ずっと一緒よ、響」

翌日、奏の部屋

奏「ごほっ…ごほっ…」

響「もー、わたしが元気になったのに奏が風邪ひいてどうすんの」

奏「げほっ…ごほっ…」

響「まったく、奏ってばしょうがないんだから」

奏「げふんげふん!! だ…誰のせいでこうなったと思って…」

響「はい、おかゆ作ったから食べて。これ食べれば元気出るよ」

奏「……くさい」

響「ええ!? 味はおいしいから大丈夫だよ!」

奏「い、いいから…食欲ないから…」

響「よし! じゃあ奏が早く元気になるよう応援してあげる!!」

奏「は…はぁ…?」

響「フレーフレー! かーなーでっ! 頑張れ頑張れ奏!!」

奏「……」

奏(早く…部屋から出てって欲しい…)



おわり

次回のカプ
>>47

ダークドリーム×キュアドリーム

【ダークドリーム×ドリーム】



のぞみ「ダー……ム……ダーク……ム……」

ダークドリーム「ん……?」

のぞみ「ダークドリーム…ダークリームってば!」

ダークドリーム「え?」

のぞみ「あたしの話聞いてる?」

ダークドリーム「えっ…えっと…」

のぞみ「もー、無視するなんてひっどーい」

ダークドリーム「ここは……どこ?」

のぞみ「なに言ってるの? あたしの部屋だよ」

ダークドリーム「ドリーム……のぞみの部屋?」

のぞみ「それより!!」

ダークドリーム「な、なに」ビクッ

のぞみ「今日どこに遊びに行こうか話してたでしょ。どこに行く?」

ダークドリーム「あ、遊びに行くって言われも……分かんない」

のぞみ「じゃあ、あたしが決めちゃうね! うーんとね、うーんとね……」

のぞみ「よーし、今日は遊園地に行くぞー! けってーい!」

ダークドリーム「お、おー」


・・・・・プリンセスランド

ダークドリーム「ここって……」

のぞみ「お姫様のドレスが着れるテーマパークなんだって! すごいよね~、ダークドリームも早く着替えよ!」

ダークドリーム「あっ…うん」

ダークドリーム(ここって確か、わたしがのぞみに始めて出合った場所よね……)

のぞみ「じゃーん! どう? 似合う?」

ダークドリーム「ええ、すごく似合ってる」

のぞみ「えへへ。ダークドリームもかわいいね! じゃあ着替えも済んだし、行こ」

ダークドリーム「あっ、ちょっと待って」

のぞみ「ほら早く早く~!」

のぞみ「うわぁ~! お姫様や王子様がいっぱいいるね。あっ、綿菓子売ってる!」

ダークドリーム「こんな時も食べ物? のぞみってば」

のぞみ「だって美味しそうなんだもん、ダークドリームも食べたいでしょ?」

ダークドリーム「え? わたしは……食べたことない」

のぞみ「えええ!? 綿菓子食べたことないの!?」

ダークドリーム「う、うん」

のぞみ「もったいなーい! 絶対食べたほうがいいよ、あたし買ってくる!」

ダークドリーム「べ、別にいらな…」

のぞみ「おまたせ、買ってきたよ!」

ダークドリーム「はやっ!!」

のぞみ「ほらほら、食べて食べて」

ダークドリーム「わ、分かったわよ。……このままかじればいいの?」

のぞみ「そうだよ。はい、アーン」

ダークドリーム「あ……アーン」

ぱくっ

ダークドリーム「……」モグモグ

のぞみ「おいしい?」

ダークドリーム「……おいしい」

のぞみ「でしょでしょ? 今度はダークドリームがあたしにアーンして」

ダークドリーム「わ、わたしが!?」

のぞみ「だってあたしも食べたいんだも~ん」

ダークドリーム「だからって、アーンしなくても…」

のぞみ「ダークドリームにアーンして欲しい~!」

ダークドリーム「もう…わ、分かったわよ。はい……あ、アーン」

のぞみ「アーン!」パクッ

のぞみ「う~ん! おいし!!」

ダークドリーム(のぞみの笑顔……かわいい)

のぞみ「ダークドリームも、もっと食べなよ」

ダークドリーム「え、ええ」

のぞみ「一緒に食べると、美味しいものがいつもよりもっと美味しくなるよね」

ダークドリーム「そう…なのかな」

のぞみ「そうだよ。美味しいし、楽しいもん!」

ダークドリーム「楽しい……」

のぞみ「あっ、見て! あそこになんか面白そうなのがあるよ! 行こ!」

ダークドリーム「え? ちょ、ちょっと待ってのぞみ!」

のぞみ「ダークドリーム、早く早く~!」

ダークドリーム「一人で先に行かないでよ、こんな人込みの中じゃ離れ離れになっちゃ……」

ダークドリーム「って、のぞみ! のぞみー! ……うそ、見失っちゃった」

ダークドリーム「もー、のぞみってば勝手に行っちゃって……わたしはどうすればいいのよ」

ダークドリーム「のぞみー! のぞみー!!」

ダークドリーム「うぅ……のぞみ……」

ダークドリーム(一人にしないでよ……のぞみ……)

のぞみ「わっ!!」

ダークドリーム「きゃっ!?」

のぞみ「あはは! 驚いた驚いた、成功!」

ダークドリーム「の、のぞみ…」

のぞみ「ダークドリームのびっくりした顔、かわいい~!」

ダークドリーム「も、もう……なにするのよ! のぞみのバカ!」

のぞみ「あはは、こっちまでおいで~!」

ダークドリーム「こらー! まてー!!」

のぞみ「こっちこっち!」

ダークドリーム「この……捕まえた!」ギュッ

のぞみ「わわっ!?」ドサッ

ダークドリーム「ひどいじゃないあんなことして!」

のぞみ「えへへ、ごめんごめん」

ダークドリーム「だいたい一人で勝手に……あれ? ここは」

のぞみ「うわぁ~、お花畑だね! きれ~い」

ダークドリーム「さっきまで人込みの中にいたはずなのに……」

のぞみ「細かいことはいいじゃん。それより、いい匂いがするね~」

ダークドリーム「……きれい」

のぞみ「ふふふ」

ダークドリーム「?」

のぞみ「はい、お花の冠」

ダークドリーム「あ……」

のぞみ「似合ってるよ、ダークドリーム」

ダークドリーム「のぞみ……」

のぞみ「うーん…やっぱりお花に囲まれてると気持ちいいねー」

ダークドリーム「…ええ、そうね」

のぞみ「あたし、ここで一生暮らしたいなー」

ダークドリーム「一生はむりよ」

のぞみ「えー、そんなー」

ダークドリーム「でも……わたしもできればずっと、ここにいたい」

ダークドリーム「のぞみと一緒に……」

のぞみ「あたしと一緒に?」

ダークドリーム「えっ、あ……」

のぞみ「えへへ。あたしも、ダークドリームとずっと一緒にいたいなぁ」

ダークドリーム「……」

のぞみ「……ぷっ、ぷぷぷ」

ダークドリーム「な、なに?」

のぞみ「さっきのダークドリームの驚いた顔思い出したら…なんだか笑えてきちゃって」

ダークドリーム「や、やめてよもう!」

のぞみ「だってだって~。目も口もすごく大きく開いて……あははは」

ダークドリーム「もう……怒るわよ!」ギュッ

のぞみ「わっ!!」

ダークドリーム「こうしてやる! こちょこちょこちょ!!」

のぞみ「あっ…あはははは! や、やめて~!」

ダークドリーム「だーめっ、やめてあーげないっ」

のぞみ「あはははは!! う~…こっちだって~!」

のぞみ「こちょこちょこちょ!」

ダークドリーム「あははは! こ、こら~!」

のぞみ「はぁ、はぁ…」

ダークドリーム「はぁ……お腹痛い」

のぞみ「ふ…ふふ」

ダークドリーム「今度はなに?」

のぞみ「あんなに笑うダークドリームを見たのは初めてだなーって思って」

ダークドリーム「え……」

のぞみ「だって今日一度も笑ってなかったんだもん。ひょっとして、楽しくない?」

ダークドリーム「そ、そんなことないわ! ただ……」

のぞみ「ただ?」

ダークドリーム「こうやって……誰かと二人で遊んだりするのって初めてだから、戸惑ったって言うか…」

のぞみ「戸惑わなくても、素直に楽しめばいいんだよ」

ダークドリーム「素直に…」

のぞみ「あたしは楽しいよ。だって、大好きなダークドリームと一緒にいるんだもん」

ダークドリーム「わたしのことが…大好き?」

のぞみ「うん! 大大だーいすきっ!」

ダークドリーム「うぅ…」

のぞみ「あれ? なんか顔赤くなってるよ?」

ダークドリーム「あ、赤くなってなんかない!」

のぞみ「えへへ。ダークドリームは、あたしのこと好き?」

ダークドリーム「え……」

のぞみ「ねぇ~好き? 嫌い? どっち?」

ダークドリーム「……好き。だって、わたしのこと友達って言ってくれたから」

ダークドリーム「わたしには友情とかまだよく分からないけど、のぞみと一緒にいるとなんだか心がすごく充実してる」

ダークドリーム「今も…こうやって二人でいる時も…」

ダークドリーム「ひょっとしてこれが……楽しい、ってことなのかな」

のぞみ「ダークドリーム…」ギュッ

ダークドリーム「!!」

のぞみ「あたしも同じ気持ちだよ」

ダークドリーム「のぞみ……」

のぞみ「えへへ…こうやって、二人でずっと一緒にいたいね」

ダークドリーム「うん……」

のぞみ「次はどこに遊びに行こっか」

ダークドリーム「のぞみの好きなところでいいよ」

のぞみ「うーん、じゃあねー……どこでもいっか」

ダークドリーム「ふふっ、なにそれ」

のぞみ「あっ、今度はちゃんと笑ってくれたね」

ダークドリーム「え…」

のぞみ「えへへ~、ダークドリームと一緒ならどこでも楽しいんだもん。だから、どこでもいいの」

ダークドリーム「……そうね。わたしも、のぞみと一緒ならどこでもいい」

のぞみ「うんっ…」

ダークドリーム「なんだか……眠くなってきちゃった」

のぞみ「ダークドリーム?」

ダークドリーム「このまま寝ちゃおうかな……」

のぞみ「ダメだよダークドリーム、起きて」

ダークドリーム「のぞみ……?」

のぞみ「あたしはまだ、ダークドリームと一緒に遊びたいの」

ダークドリーム「後でにしましょ……もう眠くて……」

のぞみ「だ…ダメ! 起きて!!」

ダークドリーム「のぞみ…大好きよ…」

のぞみ「ダークドリーム! ダークドリーム!!」

――――――――――――――――――

――――――――――――

――――――


ダークドリーム「うぅん……」

「ダー……ドリ……!!」

ダークドリーム(この声……のぞみ?)

「ダーク……ム……!!」

ダークドリーム(お願いだから寝かせてよ……)

ドリーム「ダークドリーム!!」

ダークドリーム「……!!」

ドリーム「しっかりして、ダークドリーム!!」

ダークドリーム(あれ……なにこれ……)

ダークドリーム(身体に力が入らない……どうして……)

ダークドリーム「……」

ダークドリーム(そうだ……わたしは……)

ダークドリーム(シャドウ様の攻撃からドリームを守って……それで……)

ドリーム「ダークドリーム!!」

ダークドリーム(全部……夢だったんだ……)

ダークドリーム「ドリーム……」

ダークドリーム(あぁ……ドリームの腕の中温かい……)

ダークドリーム(泣かないでドリーム……わたしはあなたを守れて……嬉しいんだから)

ドリーム「いやっ…いやぁっ…」

ダークドリーム「ドリーム……わたしたち、違う形で出会っていたらよかったのに」

ダークドリーム「……ダメかな、わたし偽者だし」

ドリーム「本物とか偽者とか関係ない! あなたはあなたで、あたしの友達だもん!!」

ダークドリーム(ドリーム……)

ドリーム「だめ、消えちゃだめダークドリーム!」

ダークドリーム「わたし……どうしたら笑うことができるのか分からなかったけど……」

ドリーム「あ…あぁ…!!」

ダークドリーム(のぞみ……大好きよ……)



おわり

映画ラストをちょっと改変

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>>68

みゆき×れいかでどうか

【みゆれい】

マジョリーナ「ない! ないだわさ!」

ウルフルン「あ~ん? あんだようるせえなぁ、なに騒いでんだ」

マジョリーナ「ハナレナクナ~ルがなくなってるだわさ! どこにあるか知らないだわさ!?」

ウルフルン「ハナ…なんだあそりゃ」

マジョリーナ「SとNって書いてある指輪だわさ!」

ウルフルン「指輪……ああ、あれか」

マジョリーナ「知ってるだわさ!?」

ウルフルン「あれな。あれはな……確か……」

マジョリーナ「確か!?」

ウルフルン「捨てたぜ」

マジョリーナ「何でだわさ!!!」

ウルフルン「何でって、お前らが俺にゴミ捨て係やれって言うからめんどくせえけどやったんじゃねえか! それなのになんでキレてるんだよ!!」

マジョリーナ「あれはゴミなんかじゃないだわさこのマヌケ!!」

・・・・・

みゆき「そういえば、今日は初めてのれいかちゃんと二人っきりの下校だね」

れいか「そういえばそうですね。あかねさんとなおは部活、やよいさんは風邪で今日は欠席。みゆきさんと二人っきりというのは初めてですね」

みゆき「えへへ、なんだか新鮮な感じだね~。こうやって二人で一緒に帰るのって」

れいか「ふふ、そうですね」

キャンディ「キャンディもいるクル!」

みゆき「あっ、そうだった。ごめんごめん」

キャンディ「クル?」

みゆき「どうしたのキャンディ?」

キャンディ「ゆびわがおちてるクル」

れいか「指輪……?」

キャンディ「あそこクル!」トコトコ

みゆき「あっ、キャンディ待って!」

キャンディ「これクル」

みゆき「ほんとだ、指輪だ。なんか可愛いデザインだね~」

キャンディ「クル~」

れいか「誰かの落し物でしょうか?」

みゆき「そうかも。落し物なら、交番に届けに行こう!」

れいか「ええ、そうしましょう」

みゆき「あっ、そうだ。その前に……」

れいか「?」

みゆき「ジャーン! 指にはめてみました!」

キャンディ「かわいいクル~!」

みゆき「知ってるキャンディ? 結婚指輪ってね、こうやって薬指につけるんだよ」

キャンディ「けっこんゆびわ?」

みゆき「結婚するときに、お互いの愛を誓い合うためにつける指輪だよ」

キャンディ「すてきクル!」

みゆき「わたしもいつか、こうやって本物の結婚指輪をつける日が来るのかなぁ」

れいか「あの…みゆきさん」

みゆき「なに、れいかちゃん?」

れいか「結婚指輪とは、右手ではなく一般的には左手にはめるものですよ」

みゆき「えっ…そうなの?」

れいか「はい、こうやって。左手の薬指にはめる理由は、左手の薬指から心臓には…」

キュィィイイン

みゆき「わっ……!?」

れいか「!?」

ガシィッ!!

みゆき「あ、あれ……?」

キャンディ「みゆき、れいか、どうしたクル? なんで手をつないでるクル?」

れいか「それが……」

みゆき「なんか急にれいかちゃんと手がくっついちゃった……」

れいか「どうしたんでしょうか……手が離れません」

みゆき「ほ、ほんとだ。わたしの右手、れいかちゃんの左手をはなせない…」

れいか「これはもしかして……先ほどの指輪が原因では」

みゆき「えっ」

れいか「つまりまた……マジョリーナの仕業とみて間違いないでしょう」

みゆき「えぇぇぇええええ!?」

キャンディ「クルー!?」

れいか「みゆきさん、指輪は外せませんか?」

みゆき「む、無理だよ。手が開かないからどうにも……」

れいか「私もだめです。困りましたね……」

みゆき「どうしようれいかちゃん……」

れいか「……とにかく、いつも通りならマジョリーナが現れるはずですから、それまではこのままでいるしかありません。解除方法を知っているのはマジョリーナだけでしょうし」

みゆき「マジョリーナ、いつ現れるんだろう」

れいか「いつ…でしょうかね」

・・・・・・星空家

みゆき「お母さんただいまー!」

育代「おかえりみゆ……あら?」

れいか「突然お邪魔して申し訳ございません。私は青木れいかと申します」

育代「はい、知ってますよ。いつもみゆきと仲良くしてもらってありがとうございます」

みゆき「実はね、今日れいかちゃんと一緒にうちでお泊りしたいんだけど……」

育代「あら、そうなの?」

れいか「事前に連絡もせずにいきなり伺ってしまって…ご迷惑でしょうか?」

育代「あらあら、いいのよ別に。みゆきがお友達を連れてくるなんて大歓迎だわ。どうぞ上がって」

れいか「あ、ありがとうございます」

育代「ふふっ、二人ともすごく仲良しなのね」

みゆき「え?」

育代「だってさっきからずっと手をつなぎっぱなしじゃない」

みゆき「あ、これは……えっと……」

れいか「え、ええ。とても仲良くさせてもらっています」

育代「みゆきのこと、よろしくお願いしますね」

れいか「は、はい」


・・・・・・みゆきの部屋

みゆき「ふぅ、なんとかなったね」

れいか「でも本当によろしかったんですか? みゆきさんの家にお邪魔してしまって」

みゆき「うん、全然構わないよ! むしろれいかちゃんがうちに泊まってくれてウルトラハッピーって感じ」

れいか「みゆきさん…」

みゆき「とりあえず着替えちゃおっか。部屋着はわたしのを貸してあげるね」

れいか「ありがとうございます、みゆきさん」

みゆき「よいしょっ……あっ」

れいか「手をつないだままですと……着替えづらいですね」

みゆき「ていうか脱げないよ~。着替えられない~」

キャンディ「そういうときはドレスデコルクル!」

レッツゴー!!ド・レ・ス!

パッ

みゆき「おお~! 着替えることができた! わたし達でもそのデコル使えるんだね」

れいか「ふぅ、助かりました。色々な着せ替えができるそのデコルが役に立ちましたね。ところで……」

キャンディ「クル?」

れいか「今そのデコルで着替えたことによって消えた私達の制服はどこに行ったんでしょうか」

みゆき「あっ」

キャンディ「……」

みゆき「キャンディ、まさか……」

キャンディ「だ、だいじょうぶクル! またせいふくにきがえるときにこのデコルをつかえばもどるはずクル、たぶん」

れいか「まぁ…とりあえずは良しとしましょう」

みゆき「そ、そうだね。着替えられたんだし。ところでこれからどうしよっか」

れいか「今日は一晩中この状態になってしまいますが……」

みゆき「う~ん……」

れいか「みゆきさん。なにかご迷惑をかけてしまうことがあると思いますが、許してくださいね」

みゆき「う、ううん! こっちこそ……。ほら、わたしってドジだから、ずっとわたしと一緒にいるとれいかちゃんまで巻き込んじゃいそうだし」

れいか「いいえ、そんなことはありません。みゆきさんと一緒にいられることは、私にとってはなによりも幸せなことですから」

みゆき「れ、れいかちゃん…」

れいか「あ…すみません。私ったら何を言って……」

みゆき「謝らなくてもいいよ。れいかちゃんの気持ちすごく嬉しいから。……で、でもなんだかずっとこうしてると落ち着かないね。あはは」

れいか「そ、そうですね。なんだか…気恥ずかしいというか…」

みゆき「……」

れいか「……」

みゆき「れいかちゃ」
れいか「あのっ」

みゆき「あっ、な、なに?」

れいか「い、いえ、みゆきさんからお先に」

みゆき「いや、その……これから何しよっか」

れいか「そうですね……では、宿題をしましょう」

みゆき「あっ、そうだった。宿題があったんだ~……」

れいか「分からないところがあれば私が教えますよ」

みゆき「ほんと!? わーいれいかちゃんありがとー!!」

・・・・・・

育代「二人とも、ご飯よー」

みゆき「はーい。あれ、お父さんは?」

育代「今日は残業で遅くなるそうだから、先に食べてですって」

みゆき「そうなんだ」

育代「あら……? まだ手をつないでるの?」

みゆき「えっ」

れいか「!」

育代「ご飯を食べるときぐらいは離さないの?」

れいか「こ、これはですね……」

みゆき「じ、実はね! こうやって一日中手をつないでるとその二人は一生仲良くなれるっていうおまじないがあるの!」

育代「そうなの?」

みゆき「そうそう!」

れいか「そ、そうです!」

みゆき「今それをれいかちゃんと実践してて……」

育代「へぇーそうなの、そんなおまじないがるのね。おまじないと言えば私も学生の頃よくやったわね、懐かしいわ」

みゆき(ほっ……)

れいか(なんとか誤魔化せましたね……)

育代「そういえば私の中学生の頃はね、二人でご飯を食べさせ合うと仲良くなれるっておまじないがあったのよ」

みゆき「へぇ~」

れいか(ご飯を食べさせあうような仲ならそれはもうすでに仲が良いということでは……)

育代「二人もやってみたら?」

みゆき「わ、わたし達も!?」

育代「だってみゆき右手が使えないし、それじゃあお箸持てないでしょ?」

みゆき「あ…そっか」

育代「だかられいかちゃんお願い、みゆきにご飯を食べさせてあげて」

れいか「は、はい。私でよろしければ……」

みゆき「ごめんね、れいかちゃん」

れいか「いえ、いいんですよ。こうなっては仕方ないですし」

れいか「ではみゆきさん、口を開けてください。私が箸でご飯をみゆきさんの口の中に運びます」

みゆき「う、うん」

育代「あ、れいかちゃん。食べさせるときはアーンって言うのよ」

れいか「アーン…ですか?」

育代「こういう時のお決まりごとだからね」

れいか「分かりました……ではこの不肖青木れいか、アーンをさせていただきます。みゆきさん、アーン!」

みゆき「アーン」モグモグ

れいか「どうですか…?」

みゆき「美味しいよ!」

れいか「それは良かったです。私の箸運びのせいでみゆきさんのお母さんの料理を美味しく味わえないと大変ですから。では私も……」

れいか(はっ!! みゆきさんの口に運んだこのお箸を使うということは……それはつまり私とみゆきさんは……間接口付けをするということになるのでは……)

れいか「……」

みゆき「どうしたのれいかちゃん、食べないの?」

れいか「い、いえ…いただきます」

れいか(なぜでしょう……胸が高鳴ってくる。みゆきさんが使ったお箸を……私の口にも……)パクッ

みゆき「どう、れいかちゃん?」

れいか「……美味しいです、とても。とても美味しいです!」

育代「よかったわ、お気に召してもらえて」

れいか(これはみゆきさんのお母さんが料理上手だから? それとも……。いえ、どちらにしろこんな美味しい料理は初めて。それに…とても幸せな気分になれる)

みゆき「れいかちゃん! わたしもわたしも! アーン」

れいか「アーン」

みゆき「う~ん…れいかちゃんに食べさせてもらうとなんだか幸せな気分になっちゃう」

れいか「みゆきさんもですか…?」

みゆき「え?」

れいか「あっ、いえ……」

れいか(みゆきさんも私と同じ気持ち……。こんな楽しいご飯は初めて)

みゆき「アーン」

れいか「アーン」

育代「ふふっ、なんだか見てて面白いわね」


・・・・・

育代「そろそろお風呂が沸いたから、先に入っていいわよ」

みゆき「うん。れいかちゃん、いこっか」

れいか「はい」

育代「あら、お風呂まで一緒に? 二人とも本気でおまじないに取り組んでるのね」

みゆき「あっ、そっか。このままだとれいかちゃんと一緒に……」

れいか「みゆきさんと…お風呂…」

みゆき「……」

れいか「……」

育代「二人ともどうしたの? 顔を赤くしちゃって」

みゆき「えっ!? べ、別に……」

みゆき(どうしよう……れいかちゃんと一緒にお風呂って事はお互い裸になるってことだよね……)

れいか(みゆきさんと一緒に裸の付き合いを……。わ、私ってばなんてはしたない妄想をして……!?)

育代「女の子同士なんだし、恥ずかしがることないじゃない。一緒にお風呂入るのも楽しいわよ」

みゆき「そ、そうだよね。女の子同士なんだし…変じゃないよね」

れいか「そ、そうですね……」

みゆき(でも相手がれいかちゃんだとなぜか意識して……)

れいか(緊張して……)

・・・・・・

みゆき「ねえキャンディ、ドレスデコルで着替えた服は消すことできる?」

キャンディ「できるクル!」

レッツゴー!! ド・レ・ス!

みゆき「わっ! 消えた……」

れいか「い、いきなり裸体に……」

みゆき「……」

れいか「……」

キャンディ「おふろはいらないクル?」

みゆき「は、はいるよ…もちろん」

れいか「え、ええ……」

みゆき(れいかちゃんの肌……きれい)

れいか(みゆきさんのあらわな姿…なんと愛くるしい。……一体なんなんでしょうこの感情は)

・・・・・・お風呂

れいか「しかし、こんな状態ですとやはり身体も洗いづらいですね」

みゆき「そうだね~、片手だとやっぱり不自由だね。れいかちゃんは髪が長いからわたしよりも大変でしょ?」

れいか「ええ…」

みゆき「わたしも洗うの手伝ってあげる」

れいか(みゆきさんと身体が身体が密着する……裸同士でこんなにもくっつくなんて初めて。この気持ちをなんて言葉で表したらいいのか……)

れいか「……ゴクリ」

みゆき「れいかちゃん」

れいか「は、はい!」

みゆき「終わったよ」

れいか「あ…ありがとうございます。みゆきさん」

れいか(いけない私ってば……何を考えて)

みゆき「そろそろ湯船に入ろっか」

れいか「そうですね……」

みゆき「よっ……わわっ!?」

れいき「みゆきさん!?」

どてんっ

みゆき「いたた……ご、ごめんれいかちゃん。立つとき滑っちゃって」

れいか「いえ…大丈夫ですか、みゆきさん」

みゆき「うん、大丈夫…だけど」

れいか「あ……」

れいか(この状態……まるで私がみゆきさんを押し倒しているような……)

みゆき「れ…れいかちゃん」

れいか「みゆきさん……ご、ごめんなさい。今すぐどきます」

みゆき「あっ……わ、わたしこそごめん」

れいか「……」

れいか(私ってば……またいかがわしいことを考えて。押し倒したみゆきさんをそのまま……)

みゆき「れいかちゃん…お湯、入ろっか」

れいか「は、はいっ」

ちゃぽんっ

みゆき「……」

れいか「……」

みゆき「あの…」
れいか「みゆきさ…」

みゆき「あっ…な、なに?」

れいか「み、みゆきさんからどうぞ」

みゆき「わたしは……なんでもない」

れいか「そ、そうですか…私もです」

みゆき「……」

れいか「……」

れいか(治まらない胸の鼓動。こんな事は初めて……私、おかしくなったのかしら)

みゆき(どうしよう……湯船に入ってすぐなのにもうのぼせそうだよ……)

・・・・・みゆきの部屋

みゆき「ふぅ……」

れいか「……」

みゆき「あ…もう寝よっか。キャンディも眠っちゃってるし」

れいか「そうですね…そうしましょう」

みゆき「……おんなじベッドだね。せまくない?」

れいか「平気です。みゆきさんこそ、私のせいで不自由をさせてすみません」

みゆき「ううん、全然。れいかちゃんとくっついてると温かくて気持ちいいよ」

れいか「私も……」

れいか(みゆきさんの身体……柔らかくて気持ちいい)

みゆき「すんすん……れいかちゃん、いい匂いする」

れいか「み、みゆきさん…?」

みゆき「わたし、こうやって寝るのって初めてかも」

れいか「……ふふっ、私もです」

みゆき「ねえれいかちゃん」

れいか「はい、なんですか?」

みゆき「今日は私と一緒にいて大変じゃなかった?」

れいか「いいえ、そんなことはありませんよ」

みゆき「でも、さっきもお風呂で迷惑かけちゃったし……」

れいか「迷惑なんて思ってません。みゆきさんとお風呂に入れたのは楽しかったですし、それに……」

みゆき「それに?」

れいか「あっ、いえ……とにかく、気にしないでください。みゆきさんと一緒に過ごせて、私はとても良かったです」」

みゆき「れいかちゃん……」

れいか「みゆきさん? どうしたんですか?」

みゆき「ごめん…こんな時なのにわたし、変なこと考えちゃった」

れいか「変なこと…?」

みゆき「れいかちゃんと、ずっとこのままだったらいいのに…って。そしたら、ずっとれいかちゃんと一緒にいられるってことでしょ?」

れいか「……」

みゆき「あはは……なに考えちゃってるんだろうわたし。ごめんね、変なこと言って」

れいか「いえ……もしかしたら私も、今日一日そう思っていたのかもしれません」

みゆき「え?」

れいか「みゆきさんと過ごすうちに、ずっとこのままでいいんじゃないかと。それに……今日はずっと胸の高まりが止まらないんです」

みゆき「れいかちゃん……」

れいか「みゆきさんと一緒にいると、なぜかいつもの私ではいられなくなるんです。私の胸に手をあててみてください、心臓の鼓動が伝わりますか?」

みゆき「……」

れいか「私、おかしくなってしまいました。なぜでしょう……」

みゆき「…おかしくなんか、ないよ」

れいか「え…?」

みゆき「ほら、わたしの心臓も。ずっとドキドキしてる」

れいか「あ……」

みゆき「こんな気持ち初めて。なんでなんだろうね……」

れいか「みゆきさん……」

みゆき「ねえれいかちゃん……わたしと一緒にいて楽しかった?」

れいか「はい…もちろんです。みゆきさんは私と一緒に楽しかったですか?」

みゆき「うん。友達が泊まりに来てくれたのも嬉しかったけど、それ以上に……れいかちゃんだから。れいかちゃんだから、こんなに嬉しくて楽しくてドキドキできたのかも」

れいか「……」

みゆき「もしかしたら、わたしがでまかせで言ったおまじないって、本当かもしれないね。手をつないでると一生仲良くなれるってやつ」

れいか「ふふっ、そうかもしれませんね。みゆきさんとは一生仲良くやっていけそうな気がします」

みゆき「だよね! でも……わたしはれいかちゃんともっと仲良くなりたい、かも」

れいか「それは……」

みゆき「れ…れいかちゃん」

れいか「は、はい」

みゆき「いつか…れいかちゃんが王子様役をやってくれた時から思ってたの。れいかちゃんが本物の王子様だったらどんなに素敵なんだろうって」

れいか「……」

みゆき「でも、後で気づいたんだ。王子様役のれいかちゃんが素敵なんじゃなくて、れいかちゃんそのものが素敵なんだって……」

れいか「……」

みゆき「れいかちゃん……わたし、れいかちゃんのことが……好き」

れいか「っ……」

みゆき「れいかちゃんは……わたしのこと、好き?」

れいか「…………大好きです」

みゆき「!!」

れいか「確信しました。この胸の高鳴りは……恋だという事に。初めての体験ですから、どおりで戸惑うわけです。私は……あなたのことを愛してます、星空みゆきさん」

みゆき「れいかちゃん…!」

れいか「ふふっ……とうとう言ってしまいました」

ぎゅうっ

れいか「あ…」

みゆき「わたしも大好き! だいだいだーい好き!!」

れいか「ああ…みゆきさん…」

れいか(こんな事はいけないと分かっていても……それでも、みゆきさんを強く抱きしめたい)

れいか(もっと強く、深く、愛おしく……――――)

・・・・・・翌日

ハッピー「プリキュア! ハッピー…」

ビューティ「ブリザード……!」

ハッピー&ビューティ「シャワァァァーー!!」

ドカーン!!

マジョリーナ「覚えてろだわさー!!」

サニー「やった! ハッピーとビューティの合体技で倒したで!!」

マーチ「いつの間にあんな合体技を」

ハッピー「あ……」

ピース「どうしたのハッピー?」

ハッピー「今の戦闘の衝撃で、指輪が壊れちゃったみたい」

サニー「ってことは……」

ビューティ「手が、離れるようになりました」

マーチ「やったね二人とも!」

ピース「これでようやく元通りだね~」

サニー「それにしても壊れるなんて、案外もろい指輪やな」

ハッピー「……」

サニー「ん? どうしたんやハッピー、せっかく指輪が壊れたってのにそんな暗い顔して」

ハッピー「う、ううん。なんでもないよ……」

ビューティ「大丈夫ですよみゆきさん……」ヒソヒソ

ハッピー「れいかちゃん……?」

ビューティ「指輪がなくても、私はずっとみゆきさんの手を握っていますよ」

ハッピー「……! うん!!」


おわり

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>>97

あかねとやよいちゃんでおながいします

【あかやよ】

やよい(わたしとあかねちゃんは実は恋人同士なのです)

やよい(はじめての出会いは去年。一目ぼれでした)

やよい(そこからあかねちゃんもわたしのことが好きだと分かり両思いでお付き合いスタート)

やよい(朝の登校はいつも二人で一緒。お昼休みは二人で一緒にご飯)

やよい(放課後も二人で下校してそのまま遊びに行ったり)

やよい(休日はもちろんデート。あかねちゃんと一緒ならどこでも楽しい)

やよい(この前も動物園に行ってきました。あかねちゃんったら、大きな動物を見て大はしゃぎ。かわいいなぁ)

やよい(そしてデートが終わって日も沈みかけてきた頃、わたしとあかねちゃんは公園のベンチで肩を寄せ合っていました)

あかね『やよい、寒ないか?』

やよい『うん…大丈夫。あかねちゃんが側にいるからあったかいよ』

あかね『おっ、ならもっとあっためたろか』

ギュッ

やよい『あ、あかねちゃん』

あかね『どや? あたたかいやろ?』

やよい『あたたかいし……とても幸せな気分』

あかね『うちも幸せやで。やよいとこうやって二人でいる時が一番幸せや』

やよい『嬉しい。嬉しすぎて死んじゃいそうだよ』

あかね『あはは。大げさやなぁ、やよいは。……なぁやよい、目閉じて』

やよい『……』

あかね『んっ……』

やよい『ん……ふわぁ。あかねちゃん……』

あかね『今日何回ぐらいキスしたんやろなー、うちら』

やよい『うーん…何回だろうね。数え切れないや』

あかね『うちはもっともっとしたいけどな』

やよい『ねえ、あかねちゃん』

あかね『んー?』

やよい『どうしてわたしのこと……好きになってくれたの?』

あかね『なんや突然』

やよい『だって、わたし以外にもみゆきちゃんやなおちゃん、れいかちゃんもいるのに……』

あかね『うちがやよいを選んじゃいけなかったんか?』

やよい『そうじゃなくて! …あかねちゃんの恋人になれてとても幸せだけど、わたしなんかがあかねちゃんと釣り合うのかなって…』

あかね『……』

やよい『わたしはなおちゃんみたいに運動もできないし、れいかちゃんみたいに勉強もできないし、みゆきちゃんみたいに誰かを惹きつけるような魅力もないし……』

やよい『なにもいいところがないわたしが、あかねちゃんと付き合って幸せになってもいいのかなって……思って』

あかね『アホ!』

やよい『あ、あかねちゃん』

あかね『理屈なんていらへん! うちはやよいが好きや、やよいもうちのこと好きやろ!?』

あかね『ならそれでええやないか! 他になんにもいらん!!』

よやい『……』

あかね『それにな? うちはやよいのええところめっちゃ知っとるで。やよいが自覚してないだけや』

あかね『自分に自信をなくしたらあかん。うちはやよいのことしっかり見とるから。だから不安にならなくてもええんや。うちがずっと側にいたる』

やよい『あかねちゃん……ぐずっ……』

あかね『ああもう、すぐ泣く。……でも、その泣き顔もかわええで』

やよい『ひっく……あかねちゃんのいじわる』

あかね『あはは、だってほんまかわええんやもん。めっちゃ抱きしめたくなるわ』

やよい『もう…あかねちゃんってば』

あかね『……そろそろ冷え込んできたな』

やよい『ねえ……今から、わたしの部屋にいかない?』

あかね『え?』

やよい『今日はママの帰りが遅くなるの。だから…』

あかね『じゃ、じゃあ……お邪魔しよっかな』

やよい『うん!』

やよい(そしてこの後、わたしとあかねちゃんはベッドの上で愛を重ね合いました)

やよい(わたしもあかねちゃんもお互い初めてでたどたどしかったけど、一生懸命になって……)

あかね「やよいー、なに描いてるん?」

やよい「ひゃあっ!?」

あかね「隠さなくてもええやろ。新作の漫画? ちょっと見せてくれへん?」

やよい「だ、ダメ」

あかね「ええやん、うちらの仲やろ?」

やよい「こ、今回だけはダメ!」

あかね「ちぇ、やよいのケチ。おっ、みゆき!」

みゆき「あっ! あかねちゃんおはよー!」

あかね「おはよう。なあなあみゆき、知っとる?」

みゆき「えー、なになに?」

やよい「……」

やよい(あかねちゃん、みゆきちゃんと仲良いな……。わたしもあかねちゃんともっと仲良くなりたい……)

やよい(あかねちゃんに、わたしのことを好きになってもらいたい……)

あかね「やーよーいー」

やよい「な、なに?」

あかね「うちの話聞いてたんか? せっかくおもろい話してたのに」

やよい「あ…ご、ごめん。ちょっとぼーっとしちゃって」

あかね「なんや、なんか考え事でもしてたん?」

やよい「た、大したことじゃないよ」

あかね「最近のやよいを見とると、なんかぼーっとしとること多いで」

やよい「え…」

あかね「道歩いてる時とか気つけや? ぼけっとしてうっかり車にひかれたりでもしたら大変やで」

あかね「うちみたいなしっかりした人間が側におらんと、やよいは危なっかしいからなー。なーんちゃって」

やよい「あかねちゃん……」

あかね「ん? どないしたん?」

やよい「ううん……なんでもないよ。ちょっと嬉しかっただけ」

あかね「なんや、おかしなやよい」

やよい「ふふっ」

やよい(いつか本当に、わたしの側にあかねちゃんがいてくれたらいいな……)


おわり

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>>114

美希たんとブッキー


エロ描写はありでもええんやで

【美希ブキ】

祈里「美希ちゃん、ちょっといい? これ頭につけてみて」

美希「なにこれ……猫耳のカチューシャ?」

祈里「お願い美希ちゃん」

美希「もう、はいはい分かったわよ。…これでいい?」

祈里「きゃー!! かわいいー!!」ダキッ

美希「きゃっ!? ちょ、ちょっとブッキー!」

祈里「美希ちゃんそれすごく似合ってる! ほんとかわいい!」

美希「そ、そう? まぁブッキーが喜ぶならそれでいいけど……ていうかいつまで抱きついてるのよ」

祈里「美希ちゃん、『にゃー』って言ってみて」

美希「そ、そんな恥ずかしいこと……」

祈里「お願い美希ちゃん」

美希「……に、にゃあ」

祈里「かわいいー!!」

美希「もう満足したからいいでしょ? これ以上は恥ずかしくてできないわよ…」

祈里「今度は語尾に『にゃー』ってつけてみて」

美希「いい加減にして。調子に乗らないで…」

祈里「お願い美希ちゃん」

美希「う……」

祈里「お願い」

美希「……しょ、しょうがない……にゃー」

祈里「ああもう美希ちゃん素敵!」

美希「はぁ…」

美希(まったく……ブッキーにお願いされると断れないのは悪い癖ね。このままじゃ要求がどんどんエスカレートしてとんでもないことされそう……)

祈里「じゃあ今日はずっとこのままね」

美希「えっ」

祈里「今日一日、美希ちゃんはネコさんよ」

美希「ネコさんよ、って……だめだめ! そんなの絶対やらない!」

祈里「えー、すごく似合ってるのに」

美希「似合ってないわよ、あたしのキャラじゃないわ!」

祈里「美希ちゃん、語尾に『にゃー』ってつけて」

美希「だからやらないって」

祈里「にゃー」

美希「絶対にやらない!」

祈里「にゃー」

美希「やらないって言ってるにゃー!!」

祈里「美希ちゃん最高よ! 大好き!」

美希「にゃ、にゃあ……///」

美希(はっ……! いけないいけない、こんなのあたしの完璧なイメージに合わないわ! )

美希「も、もうおしまい! 付き合ってられないわ」

祈里「え~、もっと美希ちゃんのネコ姿見たいのに」

美希「あたしで遊ばないの!」

祈里「美希ちゃん、こっちおいで。なでなでしてあげる」

美希「だーかーらー」

祈里「ほら美希ちゃん、私のお膝の上に来て」

美希「あのねブッキー…」

祈里「美希ちゃん、早く早く」

美希「……」

祈里「こっちおいで」

美希「も、もう……しょうがないにゃー」

祈里「ふふっ、ちゃんとにゃーって言ってくれるのね」

美希「だ、だってブッキーが言えって……」

祈里「はい、なでなで」

美希「……妙に手つきが手馴れてるわね」

祈里「だっていつも動物さんのことなでてるんだもの」

美希「それもそっか。ブッキーの家動物病院だしね」

美希(あ……そこいい。これやばいかも)

祈里「気持ち良い?」

美希「へっ!? あ…ま、まあまあね」

祈里「まあまあ? じゃあ……もっと気持ちよくなでてあげるね」

美希「あっ、ちょ、ちょっとブッキー」

祈里「美希ちゃんったら、顔赤くなってる。かわいい」

美希「そんなとこなでるからでしょ…」

祈里「ここもなでてあげる。こちょこちょ~」

美希「ちょっ! それくすぐって……きゃはははは!! やめてってば~!」

祈里「だーめ。やめてあーげないっ」

美希「も、もうブッキーったら……あたしを怒らせたわね! お返しよ!」ガバッ

祈里「美希ちゃ…!? あ……あはははは!」

美希「どう? まいった?」

祈里「こ、こっちだって負けないんだから」

美希「く…はははは! や、やったわねー! あたしだって」

祈里「美希ちゃんそこは……ふふ…ふ…あははは!」

・・・・・・

美希「はぁ……はぁ……疲れた」

祈里「いつもよりたくさん笑っちゃったね」

美希「まったく、あたし達ってばなにやってんだか。まるで子どもみたい」

祈里「ふふっ、そうね」

美希「だいたいブッキーが変なことさせるからよ。あたしにネコのまねしろだなんて」

祈里「だって本当にかわいんだもん。美希ちゃんのネコ耳姿」

美希「あたしのことからかって、そんなに楽しい?」

祈里「からかってなんかないわ。ただ……美希ちゃんに甘えてきて欲しかったの」

美希「?」

祈里「美希ちゃんってめったに弱みを見せたりしないでしょ? いつもしっかりしてる」

美希「それは…」

祈里「美希ちゃんがいつも完璧でいたい気持ちは分かるわ。でも……私と二人でいるときは少しは甘えて欲しいの。気張らない、素の美希ちゃんと一緒にいたいの」

美希「……」

祈里「だめ……?」

美希「だ、だめじゃないけど……それにしても、素のあたしはネコの物まねなんてしないわよ」

祈里「ふふっ」

美希「でも……甘えさせてくれるなら、えんりょなく甘えちゃおっかな」ギュッ

祈里「美希ちゃん……」

美希「ブッキー……ああもう、ずっとこのままでいたい」

祈里「私もよ。美希ちゃんとこのままずっと、二人で……あっ、そうそう美希ちゃん」

美希「なに?」

祈里「語尾に『にゃー』って、つけて?」

美希「ま、また?」

祈里「お願い美希ちゃん」

美希「もう…こんなことするのブッキーの前だけ……にゃ」

祈里「ふふ、恥ずかしがってる美希ちゃんかわいい」

美希「…やっぱりからかってるだけでしょ?」

祈里「そんなことないわよ」

美希「ブッキーってば……ふふっ」

・・・・・翌日

ラブ「美希たん、ブッキー! おはよー!」

せつな「おはよう、二人とも」

美希「おはよ」

祈里「おはよう。ラブちゃん、せつなちゃん」

ラブ「今日は朝からダンスの特訓だね! がんばろうね!」

祈里「うん!」

美希「張りきり過ぎて、ケガとかするんじゃにゃいわよ?」

ラブ「にゃ?」

せつな「今なんて」

美希「はっ……!?」

祈里「ふふふ」



おわり

次回のカプ
>>126

>>115
エロは苦手な人とかもいるけど、どうなんでしょう

月影ゆり×来海ももか

【ももゆり】

放課後、私は裏庭で衝撃的な光景を目にしてしまった。

「あの……これお願いします」

私の親友のゆりが、後輩らしき女の子から手紙を貰っていたのだ。
あれはまさかラブレター? すぐさま頭をよぎる。
女の子は手紙を渡すと恥ずかしそうにどこかへと行ってしまった。
去っていく女の子を目で追いながら、ゆりは困った表情をしている。

ももか「うそ……」

木陰からその様子を見ていた私は思わず呟いてしまった。
ゆりがラブレターを貰ったという事実は、私にとって相当ショックな出来事だった。

私とゆりの出会いは高校一年の時。その時からよく二人で一緒にいることが多い。
普段仕事で学校を休みがちなので、私には友達と呼べる人間は少ない。
そんな私にとってゆりはかけがえのない友達……いえ、それ以上。“普通の友達ではない”もっと大切な存在だった。

付かず離れずの関係ではあったが、それでよかった。
このままずっと、私たちの安定した関係は続くと思っていた。
それなのにまさか、ゆりがラブレターを渡されるとは。

私の頭の中は不安でいっぱいだった。
私たちの関係はこれからどうなるんだろう。このまま崩れてしまうんだろうか?
もしゆりがあの子の告白を了承したら、私はどうすれば……。

再び裏庭の方を覗くと、そこにはもうゆりの姿はなかった。
どこへ行ってしまったのだろう。すぐにゆりを追うべきか、それともこのまま見なかったことにするべきか。

ももか「……」

私は何もできず、木陰に隠れながら動けないままでいた。

・・・・・・

放課後、私は裏庭で一年生の女の子からラブレターを受け取った。
ラブレターと言っても私宛ではない、ももか宛だ。
自分では恥ずかしくて渡せないので代わりに私に渡してきて欲しいそうだ。

勢いのまま手紙を受け取ってしまったが、当然そんなことは断るつもりでいる。

だいたいそんなことは自分自身でやるべきだ。自分の意思は自分が伝えるもの。
誰かに頼ってしまっては意味がない。

そもそも、女性同士で付き合うことが可能だと彼女は思っているのだろうか。
一般的にはありえないことなのに、なぜそんなことが簡単にてきると思っているのだろうか。
私には理解できない。

もしそんなことが可能なら、私はとっくに……。

ゆり(……なにを考えているのかしら、私は)

手紙は鞄の中に入れ、明日彼女に返そう。
それより今日はこれからどうしよう。ももかの姿はない、いつも通り仕事に行ったのだろう。

・・・・・

ももか「えりか……私どうしよう」

えりか「もも姉、仕事は?」

ももか「これからどうしたらいいんだろう……」

えりか「もぉー、さっきからなにわけ分かんないこと言ってんの」

つぼみ「あっ、こんにちはももかさん。珍しいですね、植物園に来ているなんて」

ももか「ちょっとえりか借りてるね」

えりか「あたしはものじゃないってば」

ももか「分かってるわよ、私の大切な妹だもの。だから妹はお姉ちゃんの話に付き合うのよ」

えりか「だからなんの話? さっきからグダグダ言ってて、もも姉らしくないよ?」

ももか「そうねえ……なんて言えばいいのかしら。例えばよ? 例えば、つぼみちゃんが誰かからラブレターをもらったらえりかはどう思う?」

えりか「ええっ!! つぼみラブレターもらったの!?」

つぼみ「わ、私はなにも!?」

ももか「例えばって言ったでしょ、例えばって」

えりか「うーん……つぼみがラブレターねぇ。もし貰ったのなら驚くけどさー。相手が誰とか気になるよね。……ほんとに貰ってないの?」

つぼみ「も、もらってませんって」

えりか「そっか、そりゃそうだよね。よかったよかった」

つぼみ「そりゃそうだよねって……」

えりか「で、それがどうしたの?」

ももか「それがねぇ……」

えりか「まさか……もも姉がラブレターをもらったとか!?」

ももか「違う違う。私じゃなくて、名前は言えなんだけど友達で……」

えりか「あっ!」

つぼみ「どうしたんですか?」

えりか「もも姉まさか……好きな人がいるとか?」

ももか「えっ……!?」

つぼみ「えーっ!?」

ももか「な、なに言ってるのよえりか」

えりか「なーんか遠回しな言い方で怪しいと思ったら……やっぱりそういうことね。いるんでしょ?」

ももか「それは……」

つぼみ「いるんですか!?」

ももか「つ、つぼみちゃんそんな興奮しないで」

えりか「いるに決まってるじゃん。それでその好きな人が誰かからラブレターを貰ったんだよ。もも姉以外の誰かから」

ももか「う……」

えりか「やっぱりそうでしょ! それでそのラブレターを渡した人に好きな人を取られるんじゃないかって、不安でしょうがない。だからさっきから悩んでいるのね」

つぼみ「よ、よくそんなことまで分かりますね」

えりか「妹だから決まってるじゃん。姉のことはなんだって分かるのよ、おーっほっほっほっほ」

ももか(なんかえりかに負けた気分……こんなことなら相談しに来なきゃよかった)

えりか「で、どんな人なの!?」

ももか「な、なにが……」

えりか「好きな人よ! もも姉の好きな人!」

ももか「だから違うって、えりかが勘違いしてるだけ。別に私は好きな人なんて……」

えりか「誤魔化したって無駄よ、言うまで帰さないんだから。つぼみも気になるよね?」

つぼみ「はいっ」

ももか「つぼみちゃんまで!」

つぼみ「あのカリスマモデルのももかさんが淡い想いを寄せる殿方……どんな人なのか気になります!」

ももか「淡い想いって……」

えりか「それで、どんな人なの? 言っちゃいなよー、言っちゃえば楽になるよ? 同じ学校の人?」

ももか「はぁ……そうよ」

えりか「かっこいい?」

ももか「それは……まぁ、かっこいいけど。綺麗って言ったほうがいいかしら」

つぼみ「美形なんですか!?」

えりか「背高い?」

ももか「ええ、私より高いわよ」

つぼみ「やっぱりモデルさんが付き合う人はスタイルがいいんですね!」

えりか「頭良い?」

ももか「もちろん、トップレベルに頭がいいわよ。しかも性格はクールでだけど優しくて、運動神経も抜群!」

つぼみ「す、すごい! 完璧じゃないですか!」

ももか「そう、完璧なの!」

ももか(って……ついつい喋り過ぎちゃった)

えりか「ほうほう、もも姉が好きになるってだけあって中々の高スペックね」

ももか「も、もういいでしょ。勘弁して」

えりか「それでそれで、その人が誰かに取られそうになって不安なんだ?」

ももか「そのニヤニヤ顔が今日はイラッとくるわね……」

えりか「まぁまかせなさいって! もも姉の妹として……いや、一人の女として! ちゃんとアドバイスしてあげるからさ」

ももか「なんだか不安」

えりか「ズバリ……やられる前にやれ、当たって砕けろ! その人より先に告白しちゃえぇ~!!」

ももか「……」

えりか「どう?」

ももか「どうって、言われてもねぇ」

えりか「もぉ~、先手取らなきゃ好きな人も取られちゃうよ? それでいいの? 後悔するよ?」

ももか「……」

つぼみ「大丈夫ですよももかさん。ももかさんみたいな素敵な女性の告白を断る男性なんていません! 自信を持ってください」

ももか「そうね……」

ももか(相手が男の人ならまだよかったんでしょうけど……だけど相手は)

えりか「あっ、ゆりさん」

ももか「えっ!?」

ゆり「っ……!!」

ももか「あ……ゆ、ゆり」

つぼみ「こんにちはゆりさん」

えりか「こんちゃー!」

ゆり「ももか……来てたのね」

ももか「う、うん」

えりか「あれ? 二人ともどうしたの?」

ゆり「……」

ももか「……」

えりか「ケンカでもしてるの?」

ももか「し、してないって」

えりか「あっ、ねえねえゆりさん知ってる? もも姉好きな男の人ができたんだよ」

ゆり「え……」

ももか「あっ、ちょ……!?」

えりか「いいじゃないこういう事は隠さなくても。ゆりさんはもも姉が好きな人知ってる?」

ゆり「……知らないわ」

えりか「知らないの?」

ゆり「……どうでもいい」

ももか「っ……」

えりか「あのね、美形で背が高くて…」

ももか「もうやめてえりか!!」

えりか「も、もも姉……?」

ゆり「……今日はもう帰るわね」

つぼみ「えっ、もう帰っちゃうんですか? 来たばかりなのに」

ゆり「ええ、用事を思い出したの。さようなら」

ももか「……」

えりか「もも姉……ひょっとしてあたし調子乗りすぎちゃった? ごめん……もも姉に好きな人ができたって聞いてちょっとテンションが上がっちゃって」

ももか「っ……待って、ゆり!」

えりか「あっ、もも姉!?」

つぼみ「ももかさんも行っちゃいましたね……」

えりか「どうしたんだろう……? なんか二人とも様子がおかしかったけど」

えりか(……あれ? 同じ学校で美形で背が高くて頭良い人ってすごく覚えのあるような……)

つぼみ「ま、まさか!!」

えりか「なに、どうしたの?」

つぼみ「実はももかさんの好きな人はゆりさんと同じで。その人をめぐって三角関係が勃発しているんじゃ……!!」

えりか「な、なんですとー!?」

・・・・・・

ももか(伝えなきゃ! えりかの言うとおり、このままじゃ絶対に後悔する。だから私の想いをゆりに……!!)

ももか「待って、ゆり!」

ゆり「……」

ももか「はぁ、はぁ……あのね、ゆり。話があるの」

ゆり「私もよ」

ももか「え?」

ゆり「これを、あなたにって」

ももか「この手紙……」

ゆり「ラブレターだそうよ。あなたに渡してくれって、後輩の女の子から頼まれたの」

ももか「頼まれた……?」

ゆり「じゃあ……渡したからね」

ゆり(……何をやってるのかしら、私。こんな事をして……。ももかに好きな男性がいるのなら、こんな手紙を渡しても意味がない。そもそも彼女の想いはももかに伝わることはないのよ。そして私も……)

ももか「え……このラブレター、ゆり宛じゃないの?」

ゆり「当たり前でしょ。私がラブレターなんてもらえるわけがないわ」

ももか「……!! なんだ、そうだったのね。よかったぁ~!」

ゆり「……?」

ももか「ふふ、私も勘違いしてたのね。はぁ……安心した」

ゆり「なんの話?」

ももか「ごめん。実は私ね、ゆりがこの手紙を貰うところを見ちゃったのよ。それでてっきり、ゆりがあの子に告白されたんじゃないかと思って」

ゆり「私が? まさか……」

ももか「よかった、ゆりが告白をOKしてあの子と付き合うことになったらどうしようかと思ったわ」

ゆり「……どういうこと?」

ももか「えっ……あ! それは、その……えっと」

ゆり「ももか……?」

ももか「あのね、ゆり。先に言っておくけど……えりかの言っていたことは誤解よ。私には好きな男の人なんていないわ」

ゆり「……」

ももか「でも……好きな人はいるの」

ゆり「好きな……人」

ももか「私はね、ゆりのことが――」

えりか「もも姉ーーーー!! ゆりさーーーーーん!!」

ももか「えりか!?」

ゆり「!?」

えりか「二人ともケンカはやめて!! 男をめぐってケンカなんて馬鹿げてるよ!!」

ももか「はぁ……?」

つぼみ「そうです! こんなことで二人の仲が引き裂かれてはいけません!!」

ゆり「何を言ってるのあなた達……」

えりか「こうなったら男なんてもうどうでもいいのよ!! 愛より友情!! 男なんて捨てて二人は今まで通り仲良くするべきだよ!!」

ももか「……」

ゆり「……」

えりか「……あ、あれ? なに二人とも」

ももか「ぷっ……あはははっ」

ゆり「ふ……」

えりか「な、なによ二人とも笑っちゃって」

つぼみ「ケンカしてたんじゃないんですか……?」

ももか「ケンカ? まさか、私たちがそんなことするわけないわよね」

ゆり「ええ、そうね」

つぼみ「???」

えりか「なによ、二人ともさっきと雰囲気が違うんだけど……」

ももか「まったく、えりかは相変わらずねー」

えりか「むっ……何なの何なの! 一体何があったの!」

ももか「別に。今日はえりかをからかえて楽しかったわ」

えりか「え?」

ももか「好きな男の人ができたなんて嘘よ。えりかってば、ひっかかっちゃって」

えりか「う、嘘ー!?」

つぼみ「二人は、一人の男性を求めて三角関係だったんじゃ……?」

ゆり「一体どうしたらそんなことになるの。ありえないわ」

つぼみ「ええー!」

えりか「もう! こっちは本気だったのに!!」

ももか「ごめんごめん。後でおわびに何かおごってあげる」

ゆり「……」

ももか「あっ、ゆり。もう行っちゃうの?」

ゆり「ええ、図書館にね。宿題もあるし」

ももか「宿題……そっか。ねえ、私も一緒に行っていい? 一緒に宿題やりたいんだけど……」

ゆり「……いいわよ」

ももか「やった!」

えりか「もー……普通に仲良しじゃん。つぼみってば変なこと言うから」

つぼみ「ご、ごめんなさい」

ももか「えりか、つぼみちゃん。ありがとうね」

えりか「え?」

ももか「二人の言うとおり、私たちの関係は大切にするわ」

つぼみ「は、はぁ」

ももか「行きましょうか、ゆり」

ゆり「ええ」

・・・・・

翌日、私はラブレターの子の告白を断った。
彼女の好意は嬉しいけど、私はそれに応えるわけにはいかない。
結局、後輩の女の子を泣かせることになって私も心が痛んだが、後悔はしていない。
なぜなら、私には……。

ももか「はぁ……あの子に悪いことしちゃったかしら」

ゆり「ええ、そうね。悪いことをしちゃったわね」

ももか「もう、ゆりってばイジワル……なぐさめてくれないの?」

ゆり「なぐさめが必要なのは、あの子の方よ」

ももか「それもそうよね。……でもゆり、正直私があの子のことをふって、安心したでしょ?」

ゆり「何のことかしら」

ももか「とぼけるなんてズルいわよ。昨日の続き、ここで言ってあげる」

ゆり「……言わなくても分かるわよ。ももかの気持ちは分かるわ」

ももか「ダーメ、言わなきゃ絶対ダメなの。ゆりに私の気持ちを聞いて欲しい」

ゆり「分かったわ……なら、私にも言わせて」

ももか「ゆりにも?」

ゆり「ええ。やっぱりももかの言うとおり、こういうことはちゃんと口で伝えないとね」

ももか「ふふっ。じゃあ……同時に言おっか? せー、の」

ももか「私は、ゆりのことが――」
ゆり「私は、ももかのことが――」



おわり

次回のカプ>>150

クロスカプでエレン×せつな

いつきは本編ばりのハブられっぷりだったな

【エレせつ】
もしもフレッシュとスイートが同一世界だったら
敵幹部編

せつな(この町は相変わらず笑顔が溢れている……気に入らない。ここにいる者たち全てを不幸に貶めてやる)

イース「スイッチ・オーバー!」

イース「我が名はイース。ラビリンス総統メビウス様がしもべ! ナケワメーケ、我に仕えよ!」

ワーワーキャーキャー!!

ナケワメーケ「ナケワメェ~ケ!!」

イース「もっと泣けっ!もっとわめけっ!お前達の嘆き悲しみは負のエネルギーとなってFUKOのゲージに溜まっていく。いけ、ナケワメーケ!」

ナケワメーケ「ナケワメーケ!!」

イース「ふふ…いいぞ、その調子だ。後はプリキュアの邪魔さえ入らなければFUKOゲージが満タンに……」



ネガトーン「ネ~ガト~ンッ!!」



イース「ん? なんだ……あれは」

セイレーン「ネガトーン、やっておしまい!!」

ネガトーン「ネガトォーン!」

セイレーン「ふふ、この町に来たのは大正解だったわ。運よく音符も見つけられたし、ここならプリキュアも来ないし。暴れ放題ね!」

トリオザマイナー「「「暴れ放題~~~♪」」」

セイレーン「さぁ、このまま不幸のメロディーを流し続けるのよ! そしてこの町の人間どもを不幸のどん底に叩き落してやりなさい!」

ネガトーン「ネ~ガトォ~ン!!」

セイレーン「あーっはははは! まったくいい音楽だわ!」

ネガトーン「ネーガトーン!」

ナケワメーケ「ナケワメーケ!」

ネガトーン「ネガ?」

ナケワメーケ「ナケ?」

セイレーン「は? なにあれ……あんなネガトーン出した覚えないんだけど。あんた達がやったの?」

トリオザマイナー「「「やってませ~~~ん♪」」」

セイレーン「じゃあ、あれは一体……」

イース「貴様たち、何者だ!」

セイレーン「なっ……だ、誰よあんた!!」

イース「我が名はイース、ラビリンスが総統メビウス様のしもべ。貴様たちがあれをやったのか」

セイレーン「はぁ? ラビリンスぅ? なによそれ……。それより、あの化け物はあんたの仕業ってこと? あんた一体なんなのよ」

イース「我が名はイース、ラビリンスが総統メビウス様のしもべ!」

セイレーン「それは聞いたわよ!!」

イース「貴様たちの目的は知らないが、あんなものがいると我々の作戦の邪魔になる。消えてもらうぞ」

ナケワメーケ「ナーケワメーケ!」

セイレーン「冗談じゃないわ、いきなり何よ! 邪魔なのはあんたの方、消えるのもあんたの方よ! やれネガトーン!!」

ネガトーン「ネガトォーン!!」

「「「まちなさーい!!」」」

セイレーン「なに!?」

イース「あれは……!!」

ピーチ「そこまでよ、ラビリンス! これ以上あなた達の好きにはさせない!」

イース「プリキュア、もう来たのか!」

セイレーン「プリキュアですって!?」

ベリー「ね、ネコが」

パイン「喋った!?」

タルト「なんやあれ、まさかラビリンスの新しいメンバーかいな!?」

セイレーン「ネズミが喋った!?」

タルト「ネズミちゃう! 妖精や!」

セイレーン「くっ……! 聞いてないわよ、こんなところにもプリキュアがいるなんて!」

トリオザマイナー「「「予想外~~~♪」」」

ピーチ「なんだかよく分からないけど……と、とにかくあの二体のナケワメーケを倒さないと!」

ネガトーン「ネェ~ガトォ~ン!!」

ピーチ「あ、あれ? ナケワメーケじゃない?」

ベリー「どうでもいいわ、とにかく倒すわよ!」

イース「仕方ない……まずはプリキュアを始末するのが先だ。行け、ナケワメーケ!!」

セイレーン「ネガトーン、ついでよ! この町のプリキュアを倒してしまいなさい!!」

・・・・・占い館


サウラー「プリキュア以外の邪魔者?」

イース「そうだ。喋るネコがネガトーンとかいうナケワメーケに似た怪物を使って町で暴れいた」

ウエスター「喋るネコだと?」

サウラー「それで、どうなったんだい?」

イース「結局、やつらが足を引っ張ったせいでプリキュアには負けた……。そしてやつらもどこかへ行ってしまった」

サウラー「ふーん……それは気になるね。そいつらの目的は?」

イース「見た限りでは、私たちと同じく不幸のエネルギーを集めているらしい」

ウエスター「なにっ、では同業者ということか! もしかしたら俺たちの味方に……」

サウラー「目的は同じでも、味方とは限らないね。素性が分からない以上、プリキュアと同じく敵と見たほうがいい」

イース「……」

ウエスター「ん? おいイース、どこに行く」

イース「次の作戦を考えてくる」

ウエスター「次の作戦って…」

イース(あの町では不幸を集めにくい。ならば次は別の町を攻めるのも手だな。プリキュアのいない町へ……)

・・・・・数日後、加音町

ナケワメーケ「ナーケワメーケッ!!」

ワーワーキャーキャー!!

イース「ふふ、いいぞナケワメーケ。この町ならプリキュアもいない、不幸のエネルギーも存分に集められる!」

ナケワメーケ「ナケワメェーケ!!」

イース「もっと泣け、もっと喚け、お前達の嘆き悲しみは負のエネルギーとなってFUKOのゲージに溜まっていく。そしてFUKOのゲージが嘆き悲しみでいっぱいになった時、インフィニティはその姿をあらわすのだ」

「まちなさーい!!」

イース「!!」

メロディ「悪さはそこまでよ! ……って、あれ?」

イース「なにっ……プリキュアだと!?」

メロディ「だ、誰あなた! あなたが町を破壊してるの!? ていうかあれネガトーンじゃないし!」

リズム「セイレーンでもない、トリオザマイナーでもない……あの子は一体」

メロディ「まさかセイレーンの新しい仲間!?」

イース「我が名はイース、ラビリンスが総統メビウス様のしもべ!」

メロディ「ラ、ラビリンス…メビウス…?」

リズム「ハミィ、ラビリンスってなに?」

ハミィ「知らないニャ」

イース「貴様たちの存在は予想外だったが……プリキュアというのなら容赦はしない。いけっ、ナケワメーケ!」

ナケワメーケ「ナーケワメーケーッ!!」

メロディ「うわっ! こ、こっち来るよ!」

リズム「ネガトーンじゃないけどあれ倒せるの!?」

ハミィ「大丈夫ニャ、プリキュアならやれるニャ!」

ドカーン!

メロディ「くっ…こうなったらやってやろうじゃない!」

イース(そういえば、さっきこいつら『セイレーン』とか言ってたな。セイレーンとは一体……)

セイレーン「あーーー!! あんたはこの前の!!」

イース「!!」

セイレーン「なんか町が騒がしいと思ったら、またあんたが邪魔しに来たのね!!」

イース「貴様……あの時の」

ハミィ「ニャ? その女の子はセイレーンの知り合いかニャ?

セイレーン「知り合いですって? はんっ、こいつは人が集めた不幸を盗む泥棒よ」

イース(なるほど、こいつがセイレーンか……)

セイレーン「この前はよくもやってくれたわね! あんたのせいであのプリキュア達に負けちゃったじゃない!!」

イース「邪魔をしたのはお前たちの方だ。ナケワメーケ、やつを始末しろ!」

ナケワメーケ「ナーケワメーケ!!」

セイレーン「そうはさせないわよ! 出でよ、ネガトーン!!」

ネガトーン「ネーガトーン!!」

イース「いけっ、ナケワメーケ!」

セイレーン「やれネガトーン! そいつを倒してしまいなさい!!」


ドガーン!ガシャーン!


メロディ「なんか……勝手に戦い始めちゃった」

リズム「どうするのこれ……」

ハミィ「終わるまで待つニャ」

メロディ「終わるまでって言ってもねぇ……いいのかな、このままで」

セイレーン「くっ! しぶといわね!」

イース「ちっ……いい加減私の邪魔をするな!」

セイレーン「邪魔してんのはあんた方でしょ!! 一体なにが目的なのよ!!」

イース「我々はインフィニティを手に入れるため、人間たちの不幸のエネルギーを貯めている。その不幸のエネルギーを貴様たちに奪われるわけにはいかない!」

セイレーン「インフィ……ああもうなによそれ! 人間の不幸を集め不幸のメロディを完成させるのは私達。あんた達の好きにはやらせないわよ!」

イース「ネコの分際で!!」

セイレーン「なによ!! いやらしい服着ちゃって!!」

ハミィ「まぁまぁ二人とも、ケンカのやり過ぎはよくないニャ」

セイレーン「あんたは黙ってなさい!!」

リズム「どうしよっか、メロディ。いつ終わるんだろうあの二人の争い」

メロディ「さぁ……」

イース「はああああああ!!」

セイレーン「こんのおおおおおおお!!」



・・・・・そして月日は流れ

プリキュア編




せつな「あっ…あなたもプリキュアになったの!?」

エレン「そういうあなたも……」

せつな「……」

エレン「……」

せつな「……今一人? 他にプリキュアがいたんじゃ」

エレン「あなただって、あのキュアピーチとかいう……」

せつな「私は……彼女たちの仲間にはなれない」

エレン「え?」

せつな「確かに私はプリキュアの力を手に入れた。けど……彼女たちの仲間になるには手を汚しすぎたわ」

エレン「……」

せつな「本当は、プリキュアになる資格なんて…ない」

エレン「私だってそうよ。私のやってきたことは決して消すことはできない。このまま平気な顔してハミィたちのところに行けるわけがない……」

せつな「……似たもの同士ね、私たち」

エレン「もうどこにも居場所なんてないわ。元いた場所にも、プリキュアにも……」

せつな「あなたは、これからどうするの?」

エレン「……分からない。あなたは?」

せつな「私も……どうしたらいいのか」

ポツ…ポツ…

エレン「雨……?」

せつな「……」

エレン「このままじゃ濡れちゃうわ。どこかで雨宿りする?」

せつな「……」

エレン「ちょっと、聞いてるの」

せつな「……」

エレン「……勝手にしなさいよ」タタタッ

・・・・・

ザァァァアアア

せつな(私は今まで奪ってきてばかりだった……人の笑顔を、人の幸せを)

せつな「……」

せつな(そんな私がどうしてプリキュアに。そんな資格、私にはないはずなのに……)

せつな「……」

せつな(私は、私以外の人間を憎んでいた。みんな幸せそうで、それが憎くて、それが……羨ましくて)

せつな「……」

せつな(けど私にはもう、幸せを欲する権利なんてない。私にはそれだけの罪が……)

グイッ

せつな「!!」

エレン「ほら、行きましょう。風邪ひいちゃうわ」

せつな「あなた……どうして」

エレン「ほっとけないの、今のあなたは。……私の心がそう言っている」

せつな「心…?」

・・・・・

エレン「ここなら、雨風はしのげるわね」

せつな「……」

エレン「……いっそのこと、このままずっと雨が降り続いてほしいわ。そうすれば、二度と外に出る必要もなくなる」

せつな「雨はいずれ止むわ……その後はどうすればいいのか」

エレン「どうもこうもないわ。私たちはずっと一人ぼっちなのよ。二人とも、ずっと一人のまま……」

せつな「……あなた、ネコの姿にはならないの?」

エレン「…あの姿には戻れないわ。元の姿には戻れない、プリキュアになる資格もない。もう私には……何もないの」

せつな「私も……一度は死んでしまった身。あの時本当なら全てが終わっていた。それなのに生まれ変わってプリキュアをやれだなんて……私にはできないわ」

エレン「このまま……二人でどこか遠くに行っちゃいましょうか」

せつな「え?」

エレン「あ……その……なんでもないわ」

せつな「……」

エレン「……」

せつな「……ありがとう」

エレン「え……」

せつな「ここに連れてきてくれて。おかげで雨に濡れずにすんだわ」

エレン「そ、そんなこと今さら」

せつな「言わなきゃいけないと思って。そういえば、誰かにちゃんとお礼を言ったのって初めてだわ」

エレン「……」

せつな「私でよかったら……これから二人で一緒に」

エレン「無理よ、一緒なんて。できるわけない……」

せつな「……そうよね。もともと敵対していたんだし、無理よね……」

エレン「……」

せつな「でも……あなたの側にいると少し気持ちが楽になるの。こんなこと、ただの傷の舐めあいにしかなってないと思うけど、それでも……」

エレン「……本当は少し嬉しかったわ、あなたに似たもの同士って言われて。寂しさが紛れた気がした」

せつな「ねえ、聞かせてくれる? あなたはどうして人の不幸を集めていたの?」

エレン「私は……私の心には憎しみがあったの。ほんのささいな事で、親友のハミィを憎んで幸せそのものも憎んで。そんな心をメフィストに付け込まれて、悪のノイズに操られてしまったの……」

せつな「……」

エレン「でも、操られていたとしても……私自身がやってきたことは全て過ちには変わりない。ハミィはずっと私のことを信じてくれたのに、それなのに私の心が弱かったせいで……」

せつな「私もそうだった。他の人間の幸せが憎くて、そして……悲しかった」

エレン「悲しい……?」

せつな「今までの私はラビリンスのためだけに生きて、それが正しいと思っていた。それなのにラブたちと出会ってしまってから価値観が変わってしまった。幸せになることが正しいなんて、私のやってきたこと全てを否定すること。それが悲しかったの」

エレン「……」

せつな「けど本当は羨ましくもあったんだと思う。みんなの笑顔が、私にはとてもまぶしくて。…そしてそれを認めようとしている私自身も怖かった」

エレン「私もハミィたちが羨ましかった。あんな風にみんなで笑いあえたらって……思った」

せつな「私たちにもできるのかしら。心の底から喜べて、笑えて、幸せになることが」

エレン「ぐずっ……ひぐ……」

せつな「ど、どうしたの?」

エレン「ハミィに、みんなに謝りたい……えぐっ……もう一度……やり直したい……」

せつな「……」

エレン「ひっぐ……ぐす……」

せつな「……セイレーン」

エレン「……?」

せつな「あなたの名前よね。私は……せつな。よかったら、私の友達になってくれないかしら……?」

エレン「私が、あなたの友達に……?」

せつな「あなたの気持ち、私には痛いほど分かる。だからあなたのことはほっとけない。こんな私でも、再び命を与えられて罪を償えることができるのなら……まずはあなたのことを救わなくちゃいけない、そう思うの。きっとあなたは私自身でもあるから」

エレン「……」

せつな「……」

エレン「……エレンよ」

せつな「え?」

エレン「セイレーンじゃなくて、そう呼んで。私も罪を償いたい……もう、誰も不幸にしたくない。大好きだったものが、たった一つの憎しみで大嫌いになるなんて悲しいことだから……そんなことはもう二度と繰り返したくない」

せつな「エレン……」

エレン「あなた……せつななら信じられそう。私にも分かる、せつなは私と同じなんだって。私と同じ気持ちなんだって」

せつな「うん…」

エレン「よ、よろしくね……せつな」

せつな「よ…よろしく」

エレン「……ふふ」

せつな「うふふ…そういえば、いつの間にか雨が止んだみたいね。雨音が聞こえないわ」

エレン「ホント……。とりあえず、外に出ましょうか」



ドガーンッ!!




エレン「な、なに!?」

せつな「外からだわ。まさか……!!」

・・・・・・

ウエスター「フハハハ! どうだ参ったかプリキュア!」

バスドラ「このまま街を破壊しつくしてくれるわ!」

ピーチ「うぅ……まさかラビリンスとマイナーランドが手を組むなんて」

メロディ「つ、強い……」

サウラー「我々は確かに同じ不幸のエネルギーを奪い合ういわばライバル。しかしプリキュア達が手を組んだ以上、我々も黙ってそれを見過ごすわけにはいかない」

ファルセット「まずは邪魔のプリキュアを全員倒す」

バリトン「不幸のエネルギー争奪するのはそれからだ」

リズム「このままじゃ……私たち負けちゃう」

パイン「諦めちゃ…だめよ」

ベリー「くうぅ……」

ハミィ「プリキュアー!」

タルト「こんな時、四人目のプリキュアがいてくれはったら~!」

ピーチ「メロディ…大丈夫?」

メロディ「うん…ピーチこそ」

ピーチ「あたしも大丈夫だけど……このままだとあたし達」

ウエスター「さぁプリキュアよ!!」

バスドラ「これで終わりだー!!」

ピーチ・メロディ「「!!」」



せつな「やめろ!」

ウエスター「イース……!!」

ピーチ「せつな……」

サウラー「やはり餌につられて現れたな」

バスドラ「セイレーンだと? お前も来たのか」

ハミィ「セイレーン!」

エレン「……」

ウエスター「イース、俺はお前がプリキュアになったんなんて信じないぞ。俺たちのところに戻って来い!」

せつな「……それはできない」

ウエスター「なに!?」

バスドラ「セイレーン、今さら何をしに来た! まさか散々不幸を撒き散らしたくせに、プリキュアになって俺たちと戦おうっていうのか!!」

エレン「っ……ええ、その通りよ。過去の罪は消えはしない。そんなことは一番分かってる。それでも、私は大切な人を守りたい」

せつな「私は……私はもうイースではない! 今までの罪を償うために、私は生まれ変わる……!!」

エレン「私も、二度と大切な人を悲しませたりはしない。そして過去の自分を、弱い自分を乗り越えるために……!!」

せつな・エレン「「私たちは戦う!!」」

せつな「チェインジ・プリキュア・ビートアーーップ!」

エレン「レッツプレイ! プリキュア・モジュレーション!」

パッション「真っ赤なハートは幸せの証! 熟れたてフレッシュ、キュアパッション!」

ビート「爪弾くは魂の調べ! キュアビート!」

サウラー「プリキュアに変身したところで今さら自分の性根を変えられることはできないぞ。貴様に幸せななんてものは似合わない! いけ、ナケワメーケ!」

ナケワメーケ「ナーケワメーケー!!」

バリトン「セイレーンよ! いくら姿を変えても闇の力からは逃れられないぞ!!」

ネガトーン「ネーガトーンッ!!」

ドガーンッ!!

ビート「きゃー!!」

パッション「くぅっ……!?」

バリトン「ふはははは、 しょせんこの程度かセイレーン!! なにが弱い自分を乗り越えるだ、お前は一生惨めなままだ!!」

ウエスター「さぁイース、観念して戻って来い! また俺たちと一緒に不幸を集めよう!」

サウラー「思い出したかいイース? 君もこうやって人々の幸せを奪ってきたんだ。君は今まで幸せな人間を、憎んできただろ?」

ビート「うう……」

パッション「っ……」

ピーチ「そんなことはない…せつなはメビウスの命令に逆らえなかっただけなんだから! 本当は優しい子だもん!!」

ハミィ「そうニャ! セイレーンは惨めなんかじゃないニャ、セイレーンは優しいニャ!! 悪さをしてたのはメフィストに操られていたせいで…」

ビート「いいえ、私が操られていたのは私の心が弱かったから。私自身のせいよ……」

ハミィ「セイレーン……」

ビート「でもありがとうハミィ。今までずっと、こんな私のことを信じてくれて」

バシッ! バシーンッ!!

パッション「くっ……」

ウエスター「まだ立ち上がるというのかイース!」

パッション「私は……私はもうイースではない……!」



ピーチ「せつな……せつな必死に戦っているんだ。自分を取り戻すために」

ベリー「彼女はもう、あたしたちの敵じゃない…」

パイン「私たちと同じで、みんなを守るために戦ってる…」

ピーチ「行こう、ベリー! パイン! あたし達もパッションを助けなきゃ!!」

ベリー「オーケー、ピーチ!」

パイン「うん!」

ウエスター「いい加減観念しろ、イース!!」

ナケワメーケ「ナーケワメーケ!!」

パッション「!!」

ピーチ「でぇりゃああああ!!」

ドガッ!!

ナケワメーケ「!?」ズドンーン

ピーチ「大丈夫、パッション?」

パッション「ピ、ピーチ……」

ベリー「ほら、しっかりして。ここからが本番よ」

パイン「あなたみたいな人が四人目のプリキュアで、良かった」

ピーチ「キュアパッション、せつなは……あたし達の仲間だよ!」

パッション「みんな……!」

ウエスター「ええい…やってしまえナケワメーケ!!」

パッション「っ!?」

ビート「ビートソニック!!」

ドガーン!!

ウエスター「ああっ!? ナケワメーケがぁー!!」

パッション「ビート!」

ビート「ようやく一歩目を踏み出せたのね…パッション」

パッション「ええ……あなたのおかげでもあるわ、ビート」

ビート「そんな、私は別に……」

パッション「!! ビート、後ろ!!」

ネガトーン「ネガトォーーン!!」

ビート「はっ…!?」

メロディ「はぁぁあああああ!!」

ドガーン!!

ネガトーン「ネガッ!?」

メロディ「大丈夫、ビート!」

ビート「あなた達……」

リズム「ビート達の想い、私もたちも応援するわ」

メロディ「だってあたしたちはもう、仲間だもんね!」

ビート「メロディ…リズム…」

メロディ「戦いが終わったら、二人の歓迎会をやらないとね」

リズム「みんなで一緒に、カップケーキ食べましょ」

パッション「みんな……」

ビート「ありがとう」

ウエスター「ええい! こんなことは認めんぞー!!」

バスドラ「全員ひねり潰してくれるー!!」

ナケワメーケ「ナケワメーケ!!」

ネガトーン「ネガトーン!!」

パッション「…行きましょう、ビート」

ビート「ええ。私の心のビートは、もう止められない! みんなを絶対に守る!!」

パッション「みんなが教えてくれた、本当の喜びを…幸せを。私はここから……生まれ変わる!! 歌え、幸せのラプソディ!パッションハープ」

ビート「弾き鳴らせ、愛のたましい! ラブギターロッド!!」

ナケワメーケ「ナーーケワメーーケーー!!」

ネガトーン「ネガトーーーーーン!!」

パッション「吹き荒れろ、幸せの嵐! プリキュア・ハピネス・ハリケーン!!」

ビート「翔けめぐれ、トーンのリング! プリキュア・ハートフルビートロック!!」



――――――――――――――――――――――――――――――――――――
――――――――――――――――――――――――
――――――――――――

ウエスター「くそー! 俺は諦めないぞ、おぼえてろー!」

バリトン「くっ、俺たちも退散だ!」




パッション「はぁ……」

ビート「終わったの…?」

パッション「ええ…私たちの勝ちよ」

ビート「そう……やったのね、私たち」

ピーチ「パッション!!」

ハミィ「セイレーン!!」

パッション「ピーチ…」

ビート「ハミィ!」

メロディ「二人が戻ってきてくれて、本当によかったね」

ベリー「ええ。でもまさか、二人が一緒にいたなんて」

ビート「パッション……私たち、これからちゃんとやり直せるかしら」

パッション「できるわ…きっと。みんながいるんだもの。そしてあなたも……エレン」

ビート「……ええ。そうよね、せつな」

パッション「うふふ」

ビート「ふふっ」

ピーチ「よーし、じゃあこれからみんなで二人の歓迎会をしよう!」

メロディ「おー!!」

・・・・・その後

エレン「せつな! 学校に転校する時のスピーチ考えた!?」

せつな「え…なにそれ、そんなものが必要なの?」

エレン「そうよ! 自己紹介っていうのがあってそこで自分について学校の人たちに話さなくちゃいけないの!」

せつな「知らなかったわ、そんなことをしなくちゃいけないなんて。私も考えないと……」

エレン「そうだ、これから筆記用具やノートも買いに行きましょう! ちなみに鉛筆の種類は9Hから6Bの全17種よ、これを全部買うの」

せつな「たくさん必要なのね」

エレン「あと筆箱にノート……あっ」

せつな「どうしたの」

エレン「ねえ……よかったら、お揃いのもの買わない? 筆箱とか、同じやつ」

せつな「いいわね、そうしましょう」

エレン「あと! 買い物の途中でどこかご飯食べに行かない? 一緒に」

せつな「ええ、行きましょう」

エレン「ふふっ」

せつな「うふふ」





ピーチ「なんかすごく仲良くなってるね、あの二人」

ハミィ「仲が良いのはいいことニャ」


おわり

長くなってしまった…しかもあんまり百合っぽくない気が

>>153
一応短編なのでできるだけ短くしようと思って登場人物減らしたらいつきの出番がなくなったのです


次のカプ>>182

ハミィとエレンで

【ハミエレ】

ハミィ「セイレーン!」

エレン「もうハミィ、私のことはエレンって呼んでって言ったでしょ」

ハミィ「セイレーンはセイレーンニャ。どうして名前を変えるニャ?」

エレン「私は過去の愚かな自分を捨て去るため……生まれ変わるために名前を変えたの」

エレン「だから、私のことはエレンって呼んでちょうだい!」

ハミィ「分かったニャ! セイレーン!」

エレン「ハミィ……」

ハミィ「はっ! で、でも、今さら呼び方を変えるなんてできないニャ。セイレーンはやっぱりセイレーンニャ」

エレン「だけど、私は、過去の私は嫌だから……」

ハミィ「ハミィは過去のセイレーンも大好きニャ。セイレーンが大好きニャ!」

エレン「ハミィ!! 私も大好き!!」

エレン「ところでハミィって、やっぱり天然よね」

ハミィ「褒めてくれてありがとうニャ」

エレン「褒めてないって」

ハミィ「天然って悪いことニャ?」

エレン「別に悪いことじゃないけど……」

ハミィ「エレンは天然のハミィが嫌いニャ?」

エレン「き、嫌いじゃないわ!」

ハミィ「ハミィもセイレーンが嫌いじゃないニャ。セイレーンが好きニャ!」

エレン「私もハミィが好きよ!」

ハミィ「ハミィはもっと好きニャ!」

エレン「私はもっともーっとハミィが好きよ!!」

エレン(って、いけないわ。ハミィのペースに引っ張られちゃダメよ。私がハミィのことをリードしないと)

エレン(そう、私がハミィをリードするの。ハミィは天然だから、私がしっかりする必要があるのよね。……よしっ)

エレン「ハミィ!」

ハミィ「ニャ?」

エレン「今日から私についてきなさい!!」

ハミィ「分かったニャ。ハミィはセイレーンに一生ついていくニャ!」

エレン「い、一生!?」

ハミィ「一生ニャ!」

エレン(一生って、それはその、つまり、音吉さんの本に書いてあったことによれば……プ、プロポーズじゃない!?)

エレン(私は今、ハミィにプロポーズされてるの……!?)

エレン「ふ、ふつつか者ですが、よろしくお願いします!」

ハミィ「?」

ハミィ「それよりセイレーン、なんかお腹がすちゃったニャ」

エレン「そ、それより!? はぁ……こっちは真剣なのに」

ハミィ「ニャ?」

エレン「まぁいいわ、何か食べに行きましょうか。ハミィ、何が食べたい?」

ハミィ「カップケーキがいいニャ!」

エレン「ハミィってば、そればっかりね」

ハミィ「だって好きだからニャ。セイレーンは何が食べたいニャ?」

エレン「ハ、ハミィが食べたいものならなんでもいいわ」

ハミィ「じゃあカップケーキにするニャ!」

エレン「仕方ないわね」

ハミィ「セイレーンはカップケーキ嫌いニャ?」

エレン「ハミィが好きなものは私も好きに決まってるじゃない!」

・・・・・ラッキースプーン

ハミィ「ニャ~……おいしいニャ」

エレン「ほんと、ここのカップケーキは最高ね」

ハミィ「エレンのそのケーキ、おいしそうニャ」

エレン「え?」

ハミィ「食べてみたいニャ~」

エレン「しょ、しょうがないわね。いいわよ。けど、ハミィのも私に分けてちょうだい」

ハミィ「交換っこニャ。はい、アーンニャ」

エレン「ア…アーン!?」

エレン(そんなことされたら私もう……今すぐ婚約届を出すしかないじゃない!!)

ハミィ「セイレーン、どうしたニャ?」

エレン「あっ……えっと……ア…アーン」

ハミィ「おいしいニャ?」

エレン「おいしいわ……いつもよりすごく」

ハミィ「それはよかったニャ」

エレン(ああ……今日はなんて幸せなの。ハミィにアーンされるなんて)

ハミィ「奏はお店のお手伝いがんばってるニャ~。一緒に食べれなくて残念ニャ」

エレン(正直私は、あんまり残念じゃないけど…)

ハミィ「セイレーン」

エレン「なに? ハミィ」

ハミィ「口にクリームがついてるニャ」

エレン「えっ、ど、どこ?」

ハミィ「右の方ニャ。セイレーンも意外とおっちょこちょいニャ」

エレン「お、おっちょこちょいじゃないわ」

エレン(……はっ、これってもしかして、口についたクリームをハミィが舐め取ってくれるとかいうことになってりして……!!)

エレン「……」

ハミィ「セイレーン、拭かないのニャ?」

エレン「え? ふ、拭くけど……えっと……」

ハミィ「しょうがないニャ~」

エレン(きた!!)

ハミィ「ティッシュ貸してあげるニャ!」

エレン(こなかった……)

エレン「あ、ありがとう……持ってたのね、ティッシュ」

ハミィ「ちゃんと準備してあるニャ」

エレン「はぁ……」

ハミィ「ため息なんてついてどうしたニャ? セイレーン」

エレン「あ…ううん、なんでもないわ。ちょっと疲れてるだけだから」

ハミィ「大丈夫ニャ?」

エレン「大丈夫よ、大したことないわ」

ハミィ「ハミィは心配ニャ。セイレーン、あんまり無理したらだめニャ」

エレン「分かってるわ、心配しないで。……今こうしてハミィと一緒に過ごしていると、とても居心地が良くて疲れなんか取れちゃうわ。だから大丈夫」

ハミィ「セイレーン……わかったニャ」

エレン「え?」

ハミィ「今日はセイレーンの家に泊まるニャ!」

エレン「えええ!!」

ハミィ「ハミィが一緒にいて、セイレーンの疲れを完全に取ってあげるニャ」

エレン「ハ…ハミィ」

ハミィ「今日はずーっと一緒ニャ」

エレン(さ、最高……今日はほんと最高。幸せすぎて倒れちゃいそう)バタン

ハミィ「セイレーン!?」

・・・・・エレンの部屋

ハミィ「セイレーンの部屋はきれいニャ~」

エレン「そ、そう?」

ハミィ「そうニャ! 響の部屋よりずっときれいニャ!」

エレン「あんまり物がないだけよ。ギターとか、本ぐらいしかないし。つまらないでしょ?」

ハミィ「そんなことないニャ。セイレーンが一緒だから楽しいニャ」

エレン「ハミィ…」

ハミィ「でも、セイレーンは寂しくないニャ?」

エレン「え?」

ハミィ「ここで一人で暮らしてたら、寂しくなったりしないニャ?」

エレン「…大丈夫よ、私は平気。一人でも寂しくないわ」

ハミィ「本当ニャ?」

エレン「ええ。一人でいる時でも、心の中にはいつもハミィがいるから」

ハミィ「セイレーン!」

エレン(それに、そんなことでいちいちハミィに心配かけられないしね)

ハミィ「よーし、今日はいままで一緒にいられなかった分たっぷりセイレーンと一緒に過ごすニャ!」ギュッ

エレン「ハ、ハミ!?」

ハミィ「セイレーン、ハミィはとっても幸せニャ。こうやってセイレーンとまた一緒になれるなんて、とてもうれしいことニャ」

エレン「うん……私もよ。でも少し残念だわ」

ハミィ「ニャ?」

エレン「いままではハミィと同じ目線だったのに、私はもうネコの姿に戻れないから……それがちょっと、寂しいかな」

ハミィ「ハミィはセイレーンがどんな姿でもセイレーンの友達ニャ」

エレン「ありがとう…ハミィ」

ハミィ「それにこうやってセイレーンの大きな腕に抱かれると、なんだかとても安心するニャ」

ハミィ「セイレーンに抱きしめられて幸せニャ。だから、この姿も悪くないニャ」

エレン「……ふふっ、そうね。私も、ハミィをこうやって抱けて幸せだわ。確かに今の姿も悪くないかもね」

ハミィ「ニャ~。どんな姿でも、どんなことがあっても、ハミィとセイレーンはこれからもずーっと一緒ニャ」

エレン「ええ…ずっと一緒よ、ハミィ」

ハミィ「ニャプ~」

ハミィ「今日はもう寝るニャ」

エレン「そうね。おやすみ、ハミィ」

ハミィ「おやすみニャ、セイレーン」

エレン「……」

ハミィ「……」

エレン(これって……いわゆるハミィとの初夜っていうやつよね)

エレン(ど、どうしよう! こういう時どうすれば!! えっと、確か音吉さんの本に書いてあったことによれば……えっと……そ、そんな本なかった!!)

エレン(あわわわ……わ、私ハミィと抱き合って寝てる……。改めて考えるとこの状況…とてつもなく緊張する)

ハミィ「……zZZ」

エレン(ああ、ハミィがこんな無防備に……って、何を考えてるの私!! 寝ているハミィのほっぺにちゅーなんて!!)

エレン(そんな、いやらしすぎるわ……いやらしすぎる! まるで変態よ! プリキュアがそんなことしちゃダメ!!)

エレン「……」

エレン(でも……ちょっとぐらいなら……)

エレン「ふ…ふふ…ハミィ…」

ハミィ「……zZZ」

エレン(やっぱダメ、できない! でもこんなチャンスめったにないし……ああ、どうしよう!!)

・・・・・翌朝

エレン(結局一晩中悩んで何もできなかった。一睡もしてないし……)

ハミィ「セイレーン、おはようニャ!」

エレン「お…おはよう、ハミィ」

ハミィ「ニャ? なんかお疲れ気味ニャ?」

エレン「そ、そんなことないわ……」

ハミィ「?」

エレン(はぁ……私ってば、なにやってるのよ)

ハミィ「やっぱりセイレーンは疲れてるニャ。だったら今日もハミィはお泊りするニャ!」

エレン「ええ!?」

ハミィ「セイレーンの疲れが完全に取れるまで、ハミィはずっとここにいるニャ!」

エレン(そ、それじゃあ今日もまた悩んで眠れなくなっちゃうじゃない!!)

ハミィ「ニャ?」

エレン(……けど、それでもいっか。もっとハミィと過ごしたいもの)

エレン「ふふ……ありがとう、ハミィ」




おわり

次回カプ>>200

キュアハッピー×バッドエンドハッピー

バッドエンドハッピーは一話使い捨てでキャラがよく分からなかったので性格が違うSSを3つぐらい書いてしまいました

【ハッピー×バッドエンドハッピー】①

BEハッピー「ねえ、あなたはわたしがいなくなってくれたら嬉しいと思ってる?」

ハッピー「え?」

BEハッピー「邪魔だもんね、わたしの存在なんて。いなくなったほうがせいせいするでしょ?」

ハッピー「そ、そんなこと思ってないよ」

BEハッピー「嘘よ。あなたはわたしなんて消えればいいと思ってる。そしてわたしも、あなたのことを消したいと思ってる。その方がわたしも幸せだしね」

ハッピー「……」

BEハッピー「わたし達、仲良くなれないね」

ハッピー「わたしは……負けられない。バッドエンドを迎えるわけにいかないの!」

BEハッピー「ほらやっぱり、本音はそうなんだ。あなたはどうせわたしのことなんて好きになってくれない」

BEハッピー「わたし達は相成れない……水と油みたいなもの」

ハッピー「そこをどいて! みんなが待ってるの!」

BEハッピー「……」

ドゴッ!!

ハッピー「か…は…!?」

BEハッピー「よわっ…たった一撃でダウン?」

ハッピー「う…うう…」

BEハッピー「前の戦闘で疲れちゃった? でもわたしは手を抜くなんてしないから」

ドゴッ!! ドガッ!!

ハッピー「あっ…うう…」

BEハッピー「その弱ってる顔、すっごくそそられる……!」

ドガッ!! バキッ!!

ハッピー「ぐ…かは…」

BEハッピー「いい…すごくいい。最高その目。まるで死んでるみたい」

ハッピー「う……」

BEハッピー「まだ立つの?」

ハッピー「負けられ……ないの……みんなの…ために……」

BEハッピー「みんなのため? そのみんななら、もう負けちゃったけど?」

ハッピー「え……」

BEハッピー「ほら、見てみなさいよ。このカードにあんたの仲間が映ってるから」

キュアサニー『……』
キュアピース『……』
キュアマーチ『……』
キュアビューティ『……』

ハッピー「み、みんな!!」

BEハッピー「あはは! 無様だねー、全員あっけなくやられちゃうんだもん」

ハッピー「あ…ああ…」

BEハッピー「だからね、これ以上頑張っても無駄なんだよ。なーんの意味もない」

ハッピー「……」

BEハッピー「あんたもそろそろ諦めたらどう?」

ハッピー「い…いや…」

BEハッピー「は?」

ハッピー「まだ……諦めるわけにはいかないの……」

ハッピー「みんなを……みんなを助けなきゃ……」

BEハッピー「チッ……!!」

ドゴォッ!!

ハッピー「あがっ……!?」

BEハッピー「いい加減にしろって言ってんの!!」

ハッピー「い…ぎ…」

BEハッピー「まだ分かんないの? あんたの仲間はもうじきその命を終える。闇に包まれながらね」

BEハッピー「助かりっこないの。もう手遅れ」

ハッピー「う…うぐ…」

BEハッピー「仲間だけじゃない、あんたの家族だってそう」

BEハッピー「今頃黒い絵の具に飲み込まれて、ドロドロになってるかもしれないね」

ハッピー「!!」

BEハッピー「あんたのお母さんもお父さんもおばあちゃんも、みんなドロドロになって闇に飲み込まれちゃうの」

ハッピー「ママ……パパ……おばあちゃん……」

BEハッピー「あはは! かわいそうだねー、一人ぼっちだよ? みーんな死んじゃった」

ハッピー「……」

BEハッピー「もう諦めついた? そりゃそうだよね、これ以上の絶望はないもの」

ハッピー「……行かなきゃ」

BEハッピー「は…?」

ハッピー「行かなきゃ……みんなを助けなきゃ」

ハッピー「わたしが……わたししかいないんだから……わたしがみんなを助けなきゃ!!」

BEハッピー「……」

ハッピー「そこをどいてー!!」

BEハッピー「ほんと……バカだよね」

BEハッピー「もういいや、二度と立ち直れないようにその足の骨…へし折ってやる」

ハッピー「!!」

BEハッピー「折れちゃえ」

バキッ!!

ハッピー「いっ…やああああああああああ!!!」

BEハッピー「あはははははは!!」

ハッピー「あがっ…痛い…ぐっ…」

BEハッピー「その足じゃもう二度と立てないねー? みんなを助けることもできないよ?」

BEハッピー「どう? 今の気分は」

ハッピー「あ…ああ…」

BEハッピー「すっごく…最悪な気分でしょ。でもわたしは最高だよ」

ハッピー「い、いや…もうやめて…」

BEハッピー「どうする? もうなにもできないみたいだけど……このままあんたのこと始末しちゃう?」

ハッピー「いや…いやっ…」

BEハッピー「あはは! やっぱり怖いよね、当然だよね。死んじゃうなんて」

ハッピー「お願い……もうやめて……」

BEハッピー「ダーメ、やめてあげない。このままあんたのこと少しづつ弄ってあげる」

ハッピー「あ……うあ……」

BEハッピー「ああ…最高。その顔、その絶望に歪んだ顔」

BEハッピー「あなたの今の顔……すごくかわいい。ふふふふ」

ハッピー「やめて……お願い……」

BEハッピー「ねえ、次はどんなことをしたら絶望してくれる?」

BEハッピー「また骨を折ればいいのかな? それとも……あんたの仲間を連れてきて目の前で痛めつけてあげよっか?」

ハッピー「!!」

BEハッピー「ひょっとしたら仲間の最後を見届けることができるよ」

ハッピー「や…やめて!! それだけはやめてー!!」

BEハッピー「へー、そんなにイヤなんだ。じゃあ……決まりだね。あんたの目の前で一人一人、じっくりと、苦しませながら、命を奪ってあげちゃう」

ハッピー「やめてっ……こんなのもう……」

ハッピー「これは夢……そうだ…これは夢なんだ……」

BEハッピー「夢じゃないよ。現実逃避したってダメ」

BEハッピー「けど安心して、あなたの命は奪わないから。だってあなたはわたしの側で一生、その絶望した顔を見せなくちゃいけないんだからね」

ハッピー「い…いや…いやああああああ!」

BEハッピー「うふふ、一緒に楽しもうね。ずっと…二人で…」


おわり

【ハッピー×バッドエンドハッピー】②

BEハッピー「キュアハッピー、幸せのプリキュア……けど、どうせわたしのことは幸せにしてくれないんでしょ?」

ハッピー「……」

BEハッピー「そうだよね。あなたはわたしのことを倒さなきゃいけないんだから」

ハッピー「あなたは、どうして戦うの?」

BEハッピー「決まってるじゃない。誰かを不幸にするためだよ」

BEハッピー「戦うって、そういうことでしょ? 誰かを傷つけることなんだから、当然その誰かを確実に不幸にしている」

BEハッピー「あなただって今までそうしてきたでしょ?」

ハッピー「違うよ。わたしは……みんなを守りたいから、プリキュアになって戦ってたの」

BEハッピー「詭弁だよ、それ。あなたは今まで心のどこかで戦うことを楽しんでたはず、傷つけることを喜んでたはず」

BEハッピー「敵を倒して達成感とか感じなかった? 感じたよね? 結局あなたもわたしと同じだよね。他人の不幸を自分の幸せにして喜んでるんだ」

ハッピー「分からないよ…そんなこと言われても…」

BEハッピー「そんな答えはダメ、自分にもっと正直になろうよ」

ハッピー「……どうやったらあなたと仲良くなれるの?」

BEハッピー「は?」

ハッピー「わたしだって…できることなら戦いたくないよ。あなたとも仲良くなりたいよ」

BEハッピー「……」

ハッピー「ねえ、どうしたらいいのかな……。わたし達って、戦うことしかできないの?」

ハッピー「そんなのイヤだよ……悲しいよ」

BEハッピー「そう…わたしは全然悲しくないけどね!!」

ハッピー「!!」

BEハッピー「戦う気がないなら、あんたのことこのままやっちゃうよ!!」

ハッピー「ダメ!」ギュッ

BEハッピー「なっ…!?」

ハッピー「あなたとは戦いたくない!」

BEハッピー「なに言ってるの……バカじゃないの!! あんたとわたしが仲良くなれると思ってるわけ!? なれるわけないじゃない!!」

BEハッピー「わたしはジョーカーから生み出された悪のプリキュアなの! あんたの敵なの! どっちかが倒れなきゃいけないの!!」

BEハッピー「この手を離して!」

ハッピー「絶対にイヤ!」

BEハッピー「ふざけないでよ!! あんたどうせさっきのわたしの言葉に罪悪感があるだけでしょ!?」

BEハッピー「自分の醜い面に向き合うのは嫌だもんね! だから偽善的になってわたしのことを助けようとしてるんだ!!」

ハッピー「……」

BEハッピー「離しなさいよこの手!! 戦うか、そうでなきゃ黙ってわたしに負けなさいよ!!」

BEハッピー「離せ!! 早く離せーーー!!」

ハッピー「イヤだよ…離したくない」

BEハッピー「っ……この! このまま攻撃してやる!!」

ドガッ! ドゴッ!

ハッピー「くっ…う…」

BEハッピー「あはは! いつまで耐えられるかなー?」

バキッ! ドゴッ!」

ハッピー「あぅ……」

BEハッピー「ほらほら、さっさとギブアップしちゃえ!」

ドガッ! ズゴッ!

ハッピー「う……ぐふ……」

BEハッピー「しつこい!! いい加減くたばれ!!」

ボコッ! ドゴッ!

ハッピー「はぁ…はぁ…」

BEハッピー「この……なんで倒れないの!!」

ドゴッ!!

ハッピー「っ…かっ…」

BEハッピー「早くやられちゃえって言ってんの!!」

ハッピー「う……くっ……」

BEハッピー「ハァ…ハァ…」

BEハッピー「なんで……なんで倒れないの」

BEハッピー「反撃すらしてこない!! あんた一体なんなの!?」

ハッピー「痛いから……誰かを殴るのって、痛いから」

BEハッピー「!?」

ハッピー「あなただって、そう感じたでしょ…? それを分かって欲しかったから……」

ハッピー「殴られるのも、殴るのも……痛いんだよ」

BEハッピー「わたしは違う!! 殴るのは楽しいに決まってるでしょ!!」

ドガッ!!

ハッピー「くっ……!!」

BEハッピー「人を痛めつけるのって楽しい! 他人の不幸は最高!!」

BEハッピー「わたしはそういう存在なの! あんたとは違うの!!」

ハッピー「……」

BEハッピー「これでもまだ反撃しないつもり!? だとしたらあんたは相当なバカだね!」

ハッピー「そうだね……わたし、バカだよ」

ハッピー「あなたになにも伝えてあげることができない……本当の幸せを教えることもできない」

ハッピー「でも……わたしはあなたのことを……好きになりたいよ……」

BEハッピー「……!!」

BEハッピー「まだそんなこと言って……今そんなこと言える状況じゃないって分からないの!?」

ハッピー「分かるよ……分かるけど……」

ハッピー「それでも、わたしにはあなたと戦うことなんて……もうできない……」

ハッピー「もしかしたらあなたと一緒に笑い合えるかもしれない……そう思うと、戦えないよ」

BEハッピー「……」

ハッピー「あなたにも私の気持ちを……分かって欲しい……」

BEハッピー「……ふんっ、だったら好きにしなよ。このままトドメさしてあげるから」

ハッピー「……」

BEハッピー「バイバイ…あんたってほんと、バカだよね」

―――――――――――――――――――――――――
―――――――――――――――――
―――――――



ハッピー(あれ……わたしどうなったんだろう)

ハッピー(負けちゃったのかな…あのまま。もう死んじゃったのかな)

ハッピー(ごめんねみんな……わたし……ダメだったよ)

ハッピー(ごめんね……ごめんね……)

ハッピー「う……あれ……?」

ハッピー「生きてる……?」

BEハッピー「……」

ハッピー「!!」

ハッピー(い、生きてる…わたし…)

ハッピー「ど、どうして……」

BEハッピー「……だってつまんないんだもの。あなた……全然絶望しないから」

ハッピー「……」

BEハッピー「あーあ、こんなこと裏切りも同然よ……ピエーロ様も怒ってる」

BEハッピー「さっさとわたしにトドメをさして先に進みなよ。戦えないわたしにはどうせ…存在価値なんてないんだから」

ハッピー「そ、そんなことできないよ!」

BEハッピー「……そう言うと思った。いいよ別に、自分で自分にトドメさすから」

ハッピー「ダメ!!」

BEハッピー「なに、別にいいでしょ! あんたは手を汚すこともなくわたしは消えるんだから!!」

ハッピー「大切だから、あなたのことが大切だから!」

ハッピー「だからいなくなってほしくないの!!」

BEハッピー「な、なにそれ……なにが大切よ!? 適当なこと言って!!」

ハッピー「だってあなたに笑って欲しいんだもん」

ハッピー「あなたに本当の幸せを知って欲しいから、だから」

ハッピー「消えて欲しくないの……」

BEハッピー「……」

ハッピー「行こ…一緒に。わたしと…一緒に」

BEハッピー「違う……わたしはあなたとは違うの」

ハッピー「違ってもいいよ。わたしはあなたと一緒にいたい」

BEハッピー「やめてよ!! これ以上わたしを惑わさないで!!」

ハッピー「バッドエンドハッピー…怖がらないで。あなたの辛い気持ちは、全部受け止めるから……」

BEハッピー「……!?」

ハッピー「だからお願い……いなくならないで。一緒に幸せになろ?」

BEハッピー「……」

BEハッピー「ふ…あはははは」

ハッピー「バッドエンドハッピー?」

BEハッピー「おかしい……どうしてそんなことが言えるの」

BEハッピー「考えられない。ほんとバカだよ……」

ハッピー「幸せな気持ちは伝えることができるんだよ!」

ハッピー「わたしが幸せなら、バッドエンドハッピーも幸せになれる。バッドエンドハッピーが幸せなら、わたしも幸せになれる!」

ハッピー「幸せって…きっとそういうことだよ」

BEハッピー「……」

ハッピー「だから…あなたにも本当の幸せを見つけて欲しい。ここから抜け出して、私と一緒に行こ?」

ハッピー「一緒にウルトラハッピーになろうよ!」

BEハッピー「ウルトラハッピー……わたしが……?」

BEハッピー「あはは……そんなのも悪くないかもね」

ハッピー「じゃあ…!」

BEハッピー「でもね、やっぱり違うんだよ。わたしとあなたじゃ」

BEハッピー「根本的に、何もかもが違うの……」

ハッピー「え……?」

BEハッピー「悲しみ、孤独、憎しみ……そんな醜い心からわたしは生まれた」

BEハッピー「そんなわたしがあなたについて行っても、きっと上手くいかない。どこかで綻びが出る」

BEハッピー「わたしにはウルトラハッピーなんて、似合わないよ」

ハッピー「そんなこと…」

BEハッピー「でも、分かった。あなたの言いたいことは……なんとなくだけどね」

BEハッピー「だからもういいの、これで。このまま……」

ハッピー「!!」

BEハッピー「このまま消えちゃっても……いいの」

ハッピー「な、なんで身体が消えていってるの!?」

BEハッピー「言ったでしょ? 根本的に違うって」

BEハッピー「不幸と幸福は相成れないの……もともと醜い心から生まれたわたしが本当の幸せなんて感じちゃったら、それはもうわたし自身じゃなくなる」

ハッピー「そんな……」

BEハッピー「……なんでそんな悲しい顔してるのよ。やめてよ」

BEハッピー「今のわたしがそんな顔見たって……全然嬉しくないよ」

ハッピー「消えないで! バッドエンドハッピー!!」

BEハッピー「バイバイ、キュアハッピー。あんたって最後までバカだったわ」

BEハッピー「でも……それでいいのかもね」

ハッピー「バッドエンドハッピー!!」

――――――――――――――――――――――――――――

―――――――――――――――――

――――――――



ハッピー「う……うう……」

ハッピー(わたし達……分かり合えたんだよね……)

ハッピー(最後は心が通じ合ったんだよね……)

ハッピー「でも……また会いたいよ……」

ハッピー「一緒に笑いたかったよ……バッドエンドハッピー……」


おわり

【ハッピー×BEハッピー】③

BEハッピー「スマイルプリキュアってさ、ほんと使い物にならないやつらばっかだよね」

BEハッピー「わたしの元になったキュアハッピーなんてさ、頭お花畑な上にリーダーシップのかけらもないし」

BEサニー「キュアサニーなんてノリがさぶいし」

BEピース「キュアピースは泣き虫のザコキャラ」

BEマーチ「ただの食いしん坊なキュアマーチ」

BEビューティ「天然というよりもおバカと言ったほうがいいキュアビューティもね」

BEハッピー「でもさー、五人の中で一番使えないやつって言えばもちろんあいつだよね。せーの」

「「「「キュアハッピー」」」」

BEハッピー「キュアピー……え?」

BEサニー「ハッピーってなーんもええところないもんな」

BEピース「ピースだって一応絵っていう特技があるけど、ハッピーはなにもできないもんね。長所がまったくない」

BEマーチ「おまけにいい年して絵本が大好きなんて……」

BEビューティ「ウルトラハッピー……だっけ。とても14歳の発言するような言葉ではないわね。あらゆることにおいて幼稚すぎるわ」

BEハッピー「……」

BEサニー「なぁ、そう思うやろ?」

BEハッピー「え!? ああ、うん……そうだね」

BEハッピー(なぜか分からないけどこいつらにあいつをバカにされるとムカツク。まるであいつを元にしたわたしまでバカにされてるみたいじゃない……)

BEサニー「ほんま使えんわ~、キュアハッピー」

BEピース「あんなのがプリキュアになれるんだったら誰でもなれるっつーの」

BEハッピー「あは…あはは…」

・・・・・

みゆき「今日も良い天気だウルトラハッピー!」

みゆき「あっ! こんなところにきれいなお花が咲いてる。素敵だな~、こんなきれいな花を発見できるなんてウルトラハッピー!」

BEハッピー「なにがウルトラハッピーなの。アホみたいに笑って」

みゆき「!!」

BEハッピー「こんなところでなにをしてるかと思えば、のん気に花なんか見てるの?」

みゆき「あなたは……バッドエンドハッピー! どうしてここに!?」

BEハッピー「決まってるでしょ? わたしの目的はただ一つ……」

みゆき「まさか、また戦う気!?」

BEハッピー「あんたを怒りに来たの!!」

みゆき「……へ?」

BEハッピー「なんであんたってこうもダメダメなの!! 勉強できない運動できないなんにもできない!!」

BEハッピー「おまけにウルトラハッピーとかわけ分かんないこと言ってるし!! あームカツク!!」

みゆき「え? え??」

BEハッピー「あんた自分がどれだけバカにされてるのか分かってんの!? 役立たずのクズって言われてんだよ!!」

みゆき「だ、誰がそんなことを?」

BEハッピー「みんなだよ! みんな!!」

みゆき「みんなって……誰?」

BEハッピー「悔しくないの!? そんな好き勝手言われて!!」

みゆき「それは……たしかに、あんまり良い気分じゃないけど。でもどうしてあなたが怒ってるの? バカにされてるのはわたしなのに」

BEハッピー「はぁ!? そんなことどうでもいいでしょ!!」

BEハッピー「とにかくムカツクの!! あんたが!!」

みゆき「ええー……」

BEハッピー「とにかく、今すぐなんか特技を身に着けてよ!」

みゆき「と、特技って?」

BEハッピー「なんでもいいの、人にバカにされないものだったら!」

みゆき「そんなこと言われても……うーん。あっ、絵本クイズとかどう? 絵本のことについての問題だったら、なんだって分かるよ」

BEハッピー「そんな役に立たないクズみたいな特技はいらない」

みゆき「クズ!?」

BEハッピー「あーもう恥ずかしい。こんなやつを元にわたしが生まれただなんて……」

みゆき「な、なんだかよく分からないけどごめんね」

BEハッピー「謝るぐらいなら何か他の特技を考えてよ!」

みゆき「うーん…うーん…」

BEハッピー「チッ……ならいい、わたしが決める。勉強だよ勉強! 勉強で一番になって!」

みゆき「ええっ、勉強!?」

BEハッピー「頭がよければバカにされないもん。とにかく勉強しまくって次のテストで一位になってよ、分かった?」

みゆき「む、無理だよ~。一位なんて取ったことないし」

BEハッピー「死に物狂いで勉強するの! ほら、今すぐ勉強! さっさと勉強!」

みゆき「今日遊びに行く予定だったのに……」

BEハッピー「いいから早く、図書館に行くよ! わたしがみっちりしごいてやる」

みゆき「ひい~!!」

・・・・・図書館

みゆき「うーん……分かんない」

BEハッピー「はあ!? これ中一の問題でしょ」

みゆき「だって分かんないものは分かんないし……」

BEハッピー「なんでそんなにバカなの。ほんとありえない」グリグリ

みゆき「痛い痛いあたまグリグリしないで!」

BEハッピー「見せてよ。こんな問題、わたしだったら簡単に……」

BEハッピー「簡単に……」

BEハッピー「……」

みゆき「分かんないの?」

BEハッピー「うるさい! 今考えてんだからちょっと黙っててよ!」

BEハッピー「……」

BEハッピー(分かんない……)

みゆき「あっ、ねえねえ。珍しい絵本見つけたよー」

BEハッピー「絵本なんて読んでないで勉強してよ」

みゆき「でも、分かんないし」

BEハッピー「分かんなければ分かるまで考えればいいでしょ!」

みゆき「あなたは分かった?」

BEハッピー「わたしのことはどうでもいいからさっさと勉強して!!」

こまち「こほんっ…」

みゆき・BEハッピー「!!」

こまち「あなた達、ここは図書館なんだから静かにしましょうね」

BEハッピー「うるさい、なにあんた! こっちは取り込み中なんだからあんたが黙っててよ!」

みゆき「わわっ! す、すみませんでした! 今すぐ出ていきまーす!」

BEハッピー「ちょ、ちょっと! 勉強は!?」

・・・・・

みゆき「はぁ……」

BEハッピー「なんで図書館から出て行くの」

みゆき「だって、あれ以上騒いだら他の人の迷惑になるでしょ?」

BEハッピー「はぁ? 他人なんてどうでもいいでしょ」

みゆき「よくないよ」

BEハッピー「どうでもいいの! とにかく今一番重要なのは、あんたに何か特技を身につけさせることなんだから」

みゆき「どうしてそこまで……」

BEハッピー「勉強がダメだなら……そうだ、運動だ」

みゆき「へ?」

BEハッピー「運動だよ運動、スポーツで一番になって!」

みゆき「ス、スポーツ? 無理だよ~……わたしそんなにスポーツ得意じゃないし」

BEハッピー「鍛えればいいでしょ。ほら、今すぐ走って」

みゆき「ええっ!?」

BEハッピー「走り始めてまだ十分しかたってないのになんでもうバテてんの!」

みゆき「ぜえ……ぜえ……」

BEハッピー「ほら気合入れて! あとニ十キロ残ってるんだから!」

みゆき「む…無理…もう無理…休ませて…」

BEハッピー「なに甘っちょろいこと言ってんの。黙って走る」

みゆき「ズルイよ~…自分は自転車乗って」

BEハッピー「わたしはあんたのトレーナーだからいいの」

みゆき「うぇ~ん……もう無理だよぉ~」

BEハッピー(やだ…この子の泣き顔かわいい。って、そんなこと言ってる場合じゃない)

BEハッピー「ほら走れ走れ! スピード落としたら自転車でひき殺すよ!」

みゆき「ひぃ~!!」

BEハッピー「……ん?」



響「はっ、はっ…」

BEハッピー「ねえ、あの前で走ってる子」

みゆき「え?」

BEハッピー「あの子のこと追い越したら走りこみは終わりでいいよ」

みゆき「本当!? …って、無理だよ~。響ちゃんには勝てないよ」

BEハッピー「いいから追い越してよ! ひき殺すよ!」

みゆき「ひぃ!!」ダダダダッ

BEハッピー「あははは! そうそう、もっと速く走りなさーい!」

響「ん?」

みゆき「うぇーん!!」ダダダダダッ

響「うわっ、はやっ!?」

BEハッピー「やった! あいつのこと抜かしたわよ!」

みゆき「うぇーん! 気合だ気合だ気合だーーー!!」ダダダダダッ

BEハッピー「ちょ、ちょっとどこまで行くの! 止まりなさいってばこらー!!」

・・・・・・

みゆき「はぁ……はぁ……」

みゆき「もう動けない……」

BEハッピー「なにやってんの、まだ次の特訓があるんだから」

みゆき「無理……ほんと無理……」

BEハッピー「ちっ……はぁ。ほんとダメな子」ゴクゴク

みゆき「あ…飲み物」

BEハッピー「は?」

みゆき「わたしも飲みたいなー」

BEハッピー「あっそ」ゴクゴク

みゆき「それちょっとくれない…?」

BEハッピー「うーん……やだ」

みゆき「ええっ!?」

BEハッピー「だってこれ、わたしのだし」

みゆき「ちょっとだけ、ちょっとでいいから! もう喉カラカラだよ~」

BEハッピー「イヤなものはイヤ」

みゆき「お願いします! なんでもするから!」

BEハッピー「ふーん……そんなに欲しいの?」

みゆき「うん!」

BEハッピー「確かにあんなに走った後だしね~、そりゃ冷たいもの飲みたいよね~」

みゆき「うんうん!」

BEハッピー「う~ん、どうしよっかなかー。あげちゃおうかなー、どうしようかなー。うーん……よしっ、決めた。この飲み物あげちゃう!」

みゆき「ほんと!? ありがとー!」

BEハッピー「はいどうぞ……上にあーげた!」

みゆき「!?」

BEハッピー「きゃはははは! ウケる、騙されてやんのー!」

みゆき「……」

BEハッピー「そんな欲しかったら自分で買ってくればいいでしょバーカ。 誰があんたなんかにあげるもんか」

BEハッピー「あっさり騙されるなんて、ほんとあんたってお人好しだよね。そんなんだからみんなにバカにされるんだよ」

みゆき「……」

BEハッピー「なにさっきから黙って。言いたいことがあるなら言いなよ!」

みゆき「う……」ドサッ

BEハッピー「!?」

BEハッピー「ちょ、ちょっと! なに倒れてんの!」

みゆき「み…水…」

BEハッピー「はぁ? …あ、分かった。そうやって疲れた振りしてわたしから水をもらおうとしてるんだ。誰がそんな罠にひっかかるもんか」

みゆき「……」

BEハッピー「さっさと起きなよ。あんたの演技なんてとっくに見抜いてるんだから」

みゆき「……」

BEハッピー「いつまでやってんの。いい加減にしないと頭踏んづけるよ!」

みゆき「……」

BEハッピー「聞いてんの!?」

みゆき「……」

BEハッピー「この! ほんとに踏んづけちゃうんだから」グリグリ

みゆき「……」

BEハッピー「ほらほら、悔しかったら起きなよ」

みゆき「……」

BEハッピー「ほら! ほら!」グリグリ

みゆき「……」

BEハッピー「……」

みゆき「……」

BEハッピー「ちょっと大丈夫!?」

みゆき「……」

BEハッピー「水! 水飲んでいいから起きて!」

みゆき「うう……」ゴクッ

BEハッピー「生きてる? ねえってば!」

みゆき「ぷはぁ……生き返った~」

BEハッピー「ほっ……。このバカ! そこまで限界ならなんで水飲まないの!」

みゆき「ええっ!? だ、だってくれないから…」

BEハッピー「もっと必死に頼んでたらあげてたし」

みゆき「そんな~」

BEハッピー「まったく、ほんとバカなんだから」

みゆき「わたしバカじゃないもん」

BEハッピー「バカよ。バカバカバーカ」

みゆき「ひどーい! おんなじ顔なのにいじめるー!」

BEハッピー「顔が似てるからムカツクの! いつもバカみたいにヘラヘラして!」

みゆき「うう……はっぷっぷー」

BEハッピー「それやめてよ、恥ずかしい」

みゆき「はっぷっぷー」

BEハッピー「やめてってば」

みゆき「はっぷっぷー」

BEハッピー「やめてって言ってるでしょ!!」

みゆき「なんでこれぐらいで怒るの」

BEハッピー「バカにされるの!! あんたがバカなことするとわたしまでバカにされたようになるの!!」

みゆき「そんなこと言われても…」

BEハッピー「とにかく、あんたはわたしがバカにされないような立派な女の子になるの! 分かった!?」

みゆき「はっぷっぷー……」

BEハッピー「だからそれやめる!」

みゆき「……でもありがとう」

BEハッピー「は?」

みゆき「なんだかんで今日はわたしの苦手な勉強やスポーツを克服できるように付き合ってくれてるし、そう考えるとバッドエンドハッピーって優しいんだね」

BEハッピー「は、はぁ!? なに言ってんの意味分かんない!」

みゆき「だって、こんなダメダメなわたしに対しても一生懸命になってくれてるし」

BEハッピー「だ…だれがあんたのためにやってるって言ったの!? わたし自身のためって言ったでしょ!」

BEハッピー「勘違いしないでよ!」

みゆき「えへへ」

BEハッピー(な、なんなのこいつの頭……どうなってんの。なんでそんな考え方ができるのよ)

BEハッピー「つ…次の特訓行くよ! 早く立って……きゃっ!?」ドサッ

みゆき「だ、大丈夫!?」

BEハッピー「いたた……転んじゃった。もー! これも全部あんたのせいなんだからね!!」

みゆき「わたしなにもしてないよ」

BEハッピー「あんたが悪い! あんたが悪いの!」

みゆき「あれ? ヒザすりむいちゃってる」

BEハッピー「え?」

みゆき「大丈夫? 痛くない?」

BEハッピー「だ、大丈夫だよこれぐらい」

みゆき「バンソウコ持ってるからはってあげる」

BEハッピー「い…いらないそんなの」

みゆき「一応はらないと。はい、痛いの痛いのとんでけー」

BEハッピー「なにそれ…バカみたい。あんたってほんとさ…」

みゆき「みゆきだよ」

BEハッピー「え?」

みゆき「わたしの名前。あんたじゃなくてみゆきって呼んで、バッドエンドハッピー」

BEハッピー「な、なんでそんな名前呼ばなくちゃいけないの」

みゆき「だってわたし達、もう友達だし」

BEハッピー「友達? ……笑わせないでよ、誰があんたなんかと」

みゆき「友達じゃないの?」

BEハッピー「当たり前でしょ!」

みゆき「そっか……」

BEハッピー(う……そんな落ち込まなくても)

BEハッピー「ああもうウザい! 次の特訓いくよ!!」

みゆき「次の特訓って?」

BEハッピー「いでよアカンベェ!!」

アカンベェ「アカンベェ!!」

みゆき「ええ!?」

BEハッピー「わたしが作った特製の超強いアカンベェだよ。次の特訓はプリキュアの能力を高める訓練」

BEハッピー「こいつを倒してプリキュアとして強くなるの。そして最強のプリキュアになれば、きっと周りもバカにしなくなるはず!」

みゆき「そんなー!!」

アカンベェ「アカンベェー!」

BEハッピー「ほら、さっさと変身!」

みゆき「うう……こうなったら!」

みゆき「プリキュア、スマイルチャージ!!」

ゴーゴー!!レッツゴー!!

ハッピー「きらきら輝く未来の光! キュアハッピー!」

BEハッピー「さぁアカンベェ、やっちゃって!」

アカンベェ「……」

BEハッピー「どうしたの、命令どおりに動いてよ」

アカンベェ「……」

BEハッピー「こらどうしたの!! 動けー!!」

アカンベェ「アカンベェー!!」

BEハッピー「!?」

ハッピー「ど、どうしたの?」

BEハッピー「やば……制御きかなくなってる」

ハッピー「ええー!?」

アカンベェ「アカンベェー! アカンベェー!!」

ハッピー「ど、どどどうするの!?」

BEハッピー「とになくなんとかしてよ!」

ハッピー「な、なんとかしてって…」

アカンベェ「アカンベェー!!」

BEハッピー「!?」

BEハッピー(わたしの方にアカンベェの攻撃が……!?)

ハッピー「危ない!!」

ドガッ!!

ハッピー「きゃあっ!?」ドサッ

BEハッピー「なっ……どうして! なんでわたしのことかばったの!?」

ハッピー「だって……」

BEハッピー「バカじゃないの!? 敵のわたしをかばって自分がケガしちゃってるじゃない!!」

ハッピー「敵じゃないよ」

BEハッピー「は…?」

ハッピー「だってわたし、今日一日でバッドエンドハッピーのこと好きになっちゃったから。だから敵じゃないよ」

BEハッピー「す、好き…!?」

ハッピー「今日一日、バッドエンドハッピーと一緒にいてすごく疲れたけど、すごく楽しかったもん」

ハッピー「だからバッドエンドハッピーはもう大好きな友達だよ!」

BEハッピー「だ、だだ誰があんたのことなんて!」

アカンベェ「アカンベェー!!」

BEハッピー「!!」

ハッピー「また来る!!」

BEハッピー「……仕方ない、同時攻撃で倒すよ!」

ハッピー「え? 同時にって…」

BEハッピー「いいからはやく!」

ハッピー「う、うん!」

ハッピー「プリキュア! ハッピーシャワー!!」

BEハッピー「バッドエンドシャワー!!」

アカンベェ「アカンベェー…!?」

ドカーン!!

ハッピー「やった…倒した!」

BEハッピー「やった! やったねみゆきー!!」

ハッピー「やったー!」

BEハッピー「バンザーイ! バンザーイ!」

ハッピー「バンザーイ! ていうか今名前で呼んでくれたね」

BEハッピー「え? ……はっ!?」

ハッピー「えへへ、もう一回呼んで~」

BEハッピー「な…よ、呼んでなんかない!!」

みゆき「ほら、変身解いたからもう一回」

BEハッピー「うるさい! しつこい!」

みゆき「ねぇ~、もう一回呼んでよ~」

BEハッピー「だからうるさいって言ってんでしょ!!」

みゆき「あっ、またケガしてる」

BEハッピー「え…」

みゆき「ほら、さっきの戦いで。大丈夫? 痛くない?」

BEハッピー「痛くないっての!!」

みゆき「痛いの痛いのとんでけ~」

BEハッピー「やめてよこのバカ!!」

みゆき「えへへ」

・・・・・


BEハッピー「というわけで、キュアハッピーっていうのは勉強できない運動神経ゼロのダメダメな子だけど、わたしが一緒にいるおかげでなんとか一人前になったってわけ」

BEハッピー「あの子一人じゃどうしようもないからこれからも一緒にいてあげるけど、ほんとダメダメすぎるよね」

BEハッピー「確かに優しかったり思いやりがあったり泣き顔が可愛かったり笑顔も可愛かったり多少はいいところもあるけど、それを差し引いてもやっぱりダメダメ」

BEハッピー「わたしみたいな子が側にいないとね」

BEハッピー「まぁこれからは、二人で一人のプリキュアっていうの? そういう感じでやっていこうと思うんだよね」

BEハッピー「つまりはわたしがいることでキュアハッピーもまともになって…」

BEピース「……」

BEマーチ「……」

BEビューティ「これは……」

BEサニー「完全に懐柔されてるやん」


おわり

次回カプ>>251

奏×アコ

【奏×アコ】

アコ「な、なんでまたこんな格好しなくちゃいけいないの……」

奏「いやーん! かわいい~!!」

アコ「奏…まさかわたしを奏の部屋に呼んだのって、ハロウィンで着たこの衣装をまた着せるため…?」

奏「か~わ~い~い~!!」

アコ「ちょっと! もういい加減にしてよ!」

奏「ああん、脱いじゃダメよ。せっかく着たのに」

アコ「もう…こんなくだらないことで呼ばないでよ」

奏「くだらなくなんかない! だってかわいいんだもの!」

アコ「意味分かんない……」

奏「ああっ! だから脱いじゃダメ~!」

アコ「こんな格好いつまでもしてらんない」

奏「似合うじゃない、ぴったりよ。さすがに本物のお姫様は着こなしが違うわ」

アコ「おだてたって無駄よ」

奏「もうちょっとだけ着てて! かわいいから! お願い!」

アコ「……はぁ。なんでそんなに必死なの」

奏「だって素敵じゃないこんなにかわいいドレスが似合うなんて。それに私子どものころ憧れてたの、将来は素敵なドレスを着たお姫様になれたらいいなぁって」

アコ「だったら自分で着ればいいでしょ」

奏「私が着るよりアコの方が似合うわ。ほんと、今のアコは夢で見たお姫様そのままよ」

アコ「そ…そんなジロジロ見ないでよ。私はお人形じゃないんだからね」

奏「分かってる分かってる。だからもう少しだけそのままでいて」

アコ「このまま何をしろっていうのよ……」

奏「もちろん!」

アコ「もちろん?」

奏「かわいいポーズよ!!」

アコ「……」

・・・・・

アコ「……もう気がすんだ?」

奏「バッチリ! ありがとう、アコ」

アコ「じゃあもう脱いでもいいのね」

奏「……」

アコ「なに?」

奏「アコってかわいい下着着てるのね」

アコ「な、なに見てるのよ!」

奏「いつも大人びてる態度なのに、やっぱりまだ小学生なのね~。かわいい~」

アコ「バカにしてる?」

奏「してないわよ。その下着も似合ってる」

アコ「そんなこと言われても嬉しくないんだけど……」

奏「そうだ!!」

アコ「な、なに?」

奏「せっかくだから私が小学生の時に着てた服を着てみない?」

アコ「はぁ!?」

奏「ちょっと待ってて、すぐに引っ張り出してくるから!」

アコ「ちょ、ちょっと奏!!」

奏「これ! これ着てみて!」

アコ「ちょっと……」

奏「いやーん似合うー! 次はこれよ!」

アコ「あのね……」

奏「これも似合うわ! かわいい! 次はこれ!」

アコ「だから……」

奏「かわいい~!! やっぱりフェアリードロップのブランドは信頼できるわね!」

アコ「もういい加減にしてー!」

奏「ア、アコ?」

アコ「わたしはお人形じゃないって言ってるでしょ! 散々好き勝手着せ替えして!」

奏「ごめん、ちょっと楽しくなっちゃって」

アコ「わたしは全然楽しくない!」

奏「怒らないで、あとでケーキご馳走してあげるから」

アコ「もう……」

奏「それに私はアコのことをお人形だなんて思ってないわよ。妹みたいだと思ってるから。妹がいてくれたら、女の子同士こうやって服の着せ替えっことかできて楽しいんだろうなぁ」

アコ「妹……私は奏みたいなのが姉っていうのは勘弁してほしいわ。奏太にも少しは同情しちゃうわね」

奏「ひ、ひどい! 私はアコのこと大好きなのに……」

アコ「……そ、そんな落ち込まなくてもいいでしょ」

奏「しくしく……」

アコ「な、泣かなくてもいいじゃない! 言い過ぎたわよ……」

奏「じゃあお詫びに着て欲しい服があるんだけど!!」

アコ(しまった……!?)

・・・・・

アコ「はぁ……」

奏「お疲れさま。はい、これご褒美のカップケーキよ。音吉さんと一緒に食べてね」

アコ「今日は最悪な一日だった……」

奏「あっ、そうだ!」

アコ「まだ何かあるの!?」

奏「このリボン、プレゼントしてあげる」

アコ「……え?」

奏「今日それが一番似合っていたから。だからアコにあげちゃう」

アコ「い、いいわよ」

奏「いいから着けてみてって。……ほら、似合う似合う!」ナデナデ

アコ「ちょ…やめ…撫でないでよ。子ども扱いしないで!」

奏「またいつでも遊びに来てね!」

アコ「もう来ない!」

・・・・・

音吉「おや? アコ、そのリボン似合っておるな」

アコ「そ、そう?」

音吉「しかしそんなリボン持っていたかのう」

アコ「奏にもらったの……ていうか押し付けられたようなものだけど」

音吉「そうかそうか、奏ちゃんが。いいものを貰ったのう」

アコ「でも奏ったら、めちゃくちゃなのよ。わたしに自分が着ていた服を何着も着させたりして」

音吉「はっはっは! 奏ちゃんはまるでアコのお姉さんじゃな」

アコ「お、おじいちゃんまでそんなこと言って」

音吉「なにがじゃ?」

アコ「……なんでもない」

音吉「それにしても、奏ちゃんはアコのことを可愛がっておるんじゃのう。仲がいいのは良いことじゃ」

アコ(可愛がるっていうより遊んでるようにしか見えなかったけど……)

アコの部屋

アコ「……」

アコ(鏡で改めてみて見ると……このリボン私にはちょっと派手じゃない? 本当に似合ってるのかしら)

アコ「……」

アコ(まぁ……奏があれだけかわいいって連呼してたし、そこそこ似合うのかもしれないけど)

アコ「……」

アコ(そういえばあの時着た服とこのリボン組み合わせたら似合うかも。ファッションのことはよく分かんないけど……そっちの方がかわいくなるかも)

ドドリー「案外気に入ってるドド?」

アコ「!?」ビクッ

ドドリー「気に入ってるのなら明日奏のところに行ってそう言えばいいドド」

アコ「き、気に入ってなんかないわよ! 勘違いしないで!」

ドドリー「そんなこと言って、鏡を見てるときのアコの顔はにやけていたドド」

アコ「ドドリー!!」

翌日

奏「あら?」

アコ「……」モジモジ

奏「また来てくれたのねアコ!」

アコ「か、勘違いしないで。たまたま近くに寄っただけ」

奏「どうぞ、上がっていいわよ」

アコ「別に服とかどうでもいいけど、ケーキもらえるんだったらまぁ……」

奏「あっ、そうだったわ。今新作のカップケーキ作ってるところだったんだ」

アコ「カップケーキ?」

奏「そうよ。今色々と新しいのを開発中なのよね」

アコ「へー…どういうの?」

奏「あっ、見てみる?」

奏「これが私が作ったケーキよ」

アコ「結構な数作ったのね…」

奏「よかったら味見してみて」

アコ「え、いいの…?」

奏「もちろん。誰かに食べてもらって感想を聞いたほうが参考になるし」

アコ「じゃあ…一つ」パクッ

奏「どう?」

アコ「うーん……ちょっと甘すぎ。クリームも多いし、なんだか味がくどい」

奏「そ、そう? 意外と辛口ね……でも参考になったわ。ちょっと気合を入れて作り直してみる!」

アコ「え? ちょっと……」

奏「待ってて、次は美味しいって言わせるから。アコのために、とっておきのケーキを作ってあげる!」

アコ「はぁ……」

アコ(ケーキ作りのことになると夢中になるのね……顔が真剣)

奏「……」

アコ(……でも、普段ヘラヘラしてるだけかと思ったらこういう顔もできるんだ。こんな奏だったら、お姉さんでもいいんだけど)

・・・・・数日後

奏太「なーアコ、最近姉ちゃんと一緒になにやってるんだ?」

アコ「別になにも」

奏太「なにもってことはないだろ。姉ちゃんの部屋に行ったりしてるじゃん。二人でなにやってるんだよー」

アコ「秘密。おしえない」

奏太「なんでだよ」

アコ「男の子には関係ないの」

奏太「なんだよそれー、教えてくれよー!」

アコ「ダメなものはダメよ」

奏の部屋

奏「いいわねー、こういうの。女の子同士の秘密のお茶会みたいで」

アコ「なにそれ」

奏「だって素敵じゃない? かわいいものに囲まれて、スイーツを食べながらお喋りをする。すごく女の子してるって感じ!」

アコ「はぁ……ま、いいけど」

奏「でもアコがお城にいたときの方が今より豪華だったでしょ? 服だってもっとすごい服だろうし、部屋もこんな狭いところじゃないし美味しい物だってたくさんあるのよね?」

アコ「そうだけど……でもどっちが楽しいとかそんなの比べられないわ。今は今で楽しいし」

奏「ふふっ」

アコ「なに?」

奏「アコってば、ようやく素直になってくれたのね。私と一緒にいて楽しいって言ってくれるなんて…嬉しい」

アコ「ちょ…ちょっとだけよ。楽しいって言ってもちょっとだけ!」

奏「もうアコってば、いい加減素直になりなさいよ」ギュッ

アコ「な……」

奏「あーあ、アコが本当の妹だったらよかったのに」

アコ「……」

奏「アコ?」

アコ「……」

奏「あっ、顔赤くなってる。……照れてる?」

アコ「て、照れてなんかない!」

奏「またまた~、かわいいんだから」

アコ「もうはなれなさいってば!」

奏「抱かれて嬉しいしいくせに。お姉ちゃんに甘えてもいいんだよ?」

アコ「嬉しくなーい!」

奏「あっ、そういえばこの前言ったケーキ、明日完成しそうなの。完成したらアコに一番最初に食べてもらうね」ナデナデ

アコ「もう……」

アコの部屋

アコ(奏の身体……なんかいいにおいがした。抱きつかれたときちょっと良かったかも)

アコ「……」キョロキョロ

アコ(わたしの部屋も、奏の部屋みたいに色々と飾ってみようかな。なんか物寂しいし。奏みたいになれたらいいな…)

ドドリー「最近のアコ、なんだか楽しそうドド」

アコ「そう? 別に普通だけど」

ドドリー「明日も奏のところに行くドド?」

アコ「分かんない。行けたら行く」

ドドリー「そんなこと言って、どうせ行くドド」

アコ「もう、ドドリーってばうるさいよ」

アコ(ま、行ってあげないこともないけど……奏と二人ってのも悪くないし)

・・・・・翌日

アコ「あ……」




奏「もう響ってば、おいしいだけじゃ分かんないでしょ」

響「だっておいしいものはおいしいってしか言いようがないじゃん」

奏「それだけじゃなくて……あっ、ほら口の周りにクリームついてるよ?」

響「え?」

奏「拭いてあげるからこっち向いて」

響「んー」

奏「もう、じっとしてて。……ふふっ」




アコ「……」

ドドリー「アコ、奏のところに行かないドド?」

アコ「……帰る」

ドドリー「アコ?」

アコ「……」

アコの部屋

アコ「……」

アコ(別に知ってたけど……あの二人が仲いいことなんて)

アコ(いつも一緒にいるし、わたしよりも付き合いが長いんだし)

アコ(当然……響といる時はいつも楽しそう)

アコ(ケーキを食べさせてる時だって、喋っている時だって、わたしよりも響との方がずっと楽しそう)

アコ(……別にいいけどね、どうでも。わたしには関係ないしどうでもいい……)

アコ「……」

アコ(あのケーキ……まさか)

ドドリー「アコ、どうしたドド?」

アコ「なんでもない……ちょっと疲れてるから寝るね」

アコ(……どうしちゃったんだろう、わたし)

ピンポーン

アコ「?」

ドドリー「誰か来たドド」

奏「こんにちはー、奏でーす」

ガチャッ

アコ「……」

奏「あっ、アコ。いたんだよかった。今一人なの?」

アコ「……何しに来たの」

奏「この前作ったカップケーキ、完成したからアコに食べてもらおうと思って」

アコ「……響の次にわたしなのね」ボソッ

奏「え?」

アコ「今お腹すいてないから、帰って」

奏「あっ、じゃあケーキだけでも置いてって」

アコ「帰って!!」

バタンッ

奏「ア、アコ…?」

奏(アコ……どうしたのかしら。なんだか機嫌悪そうだったけど、何かあった?)

奏(心配だけど、あの様子じゃ顔も見せてくれなさそうだし……どうしよう)

ドドリー「奏」

奏「わっ! ドドリー……びっくりした。どうしたの?」

ドドリー「裏口から入るドド」

奏「え…いいの?」

ドドリー「アコは本当は奏に会いたいドド」

奏「ど、どういうこと……?」

ドドリー「アコはちょっと素直じゃないだけドド。自分の気持ちを上手く伝えることができなくて迷ってるドド」

奏「……」

ドドリー「だから、奏のほうからアコに近づいてあげて欲しいドド」

奏「うーん、事情は分からないけど。でも……アコのその気持ちはなんとなく分かるわ。アコに嫌われてるわけじゃないなら安心した。よし、私に任せて!」

ドドリー「任せるドド」

アコ「はぁ……バカみたい、なにやってんだろ」

アコ「なんでわたし怒ってるんだろう……奏に悪いことしちゃったかな」

アコ「はぁ……」

アコ(今から追いかけて謝ろうかな……でもどうやって謝れば)

アコ(だいたい奏がわたしよりも先に響にケーキを食べさせるから)

アコ(わたしのためのケーキとか言ったのに……あれだけかわいいとか妹にしたいとか言ってくせに、なによ)

アコ(どうせ響が一番なんでしょ……)

アコ「……」

アコ(なにこれ……嫉妬してるの? わたしが、響に?)

アコ(ないない…そんなわけ…)

アコ「……はぁ」

奏「ため息ばっかりついてたら幸せが逃げちゃうよ?」

アコ「!?」

奏「えへへ、入ってきちゃった」

アコ「な、なんで!!」

奏「裏口から。開いていたから」

アコ「だからって入っていいわけじゃないでしょ、勝手に入ったら不法侵入よ! 早く出てってよ!」

奏「一緒にカップケーキ食べよ? せっかくアコのために作ったんだし……食べて欲しいな」

アコ「っ……」

奏「ほら、またいつもみたいに一緒に食べましょ」

アコ「……ウソ」

奏「え?」

アコ「わたしなんかより、響に食べさせたら? それ。その方があんただって響だって喜ぶでしょ」

奏「……」

アコ「早く出て行ってよ……」

奏「……こら! 自分のことをなんかなんて言わないの!」

アコ「……」

奏「私はアコに食べてもらいたいって言ってるでしょ? アコのために作ったケーキなんだから」

アコ「だからそれがウソ……」

奏「なんでウソだって決め付けるの?」

アコ「だって……響と一緒にいる奏を見たんだもん」

奏「え…?」

アコ「さっき見たんだもん……」

奏「……」

アコ「……」

奏「ぷっ…あははっ」

アコ「な、なによ」

奏「まさか、アコのために作ったケーキを響に先に食べさせたと思ったの?」

アコ「う……」

奏「あれはお店に売ってるケーキよ。響がお腹をすかせて食べに来ただけ。アコのために作ったケーキなんだから、アコ以外に食べさせるわけないでしょ」

アコ「そ、そうじゃなくて!」

奏「じゃあなぁに?」

アコ「なにって……それは……」

奏「アコって、一人でいるとき寂しくない?」

アコ「え……?」

奏「私だったら寂しいな。誰かに側にいて欲しいと思う……。でも、じっとしてても誰かが自分の寂しさに気づいてくれるとは限らないの。気持ちを伝えてくれなきゃ分からないときもある」

アコ「……」

奏「だから、アコにはもっと素直になってほしいな。もっと私に甘えてきてもいいんだよ? 私たち、お互いに気をつかい合うような仲でもないでしょ?」

アコ「奏……」

奏「ほら、遠慮なんてしないでお姉ちゃんになんでも言ってみて」

アコ「……」

奏「アコ?」

アコ「じゃあ言うけど……あんまり子ども扱いしないで。はっきり言ってちょっとむかつくから」

奏「あはは…ごめんね」

アコ「それと……今日はもうちょっと一緒にいて」

奏「うん、もちろん」

アコ「ならいいけど……」

奏「ちょっとどころか今日は一日一緒にいてあげる!」ギュッ

アコ「きゃっ!?」

奏「よしよし、もう寂しくないわよ~」ナデナデ

アコ「もう! また子ども扱いしてるー!」

奏「うふふっ」

アコ「むぅ……ふふ」

・・・・・数日後

奏「カップケーキ作ったから、みんなで食べましょ」

響「ねーねー、アコ」

アコ「なに?」

響「なんでずっと奏の側にいるの。それにそのリボン……似合ってるけど、どうしたの?」

アコ「別にいいでしょ」

響「いや、いいけど……」

奏「ほらアコ、口にクリームついてるよ? 拭いてあげる」

アコ「ふふん」

響「なんでそんな勝ち誇った顔を……なんか悔しい」

エレン「はいハミィ、あーん」

ハミィ「あーんニャ」

響「あっ、奏あたしも! あーん」

アコ「だーめ、わたしが先なの」

奏「もう二人とも、喧嘩しないの。はい、あーん」


おわり

まったりし過ぎたら三週間近く間が空いてしまいました、すみません
次回のカプ>>292

咲舞!!

【咲×舞】

……舞の部屋

舞「うーん……」

チョッピ「舞、舞。早く学校に行かないチョピ?」

舞「あっ、うん。今行くわ。これで……いいかしら」

チョッピ「舞が鏡の前でおめかししてるなんてめずらしいチョピ」

舞「え……お、おめかしってわけじゃないけど……」

舞「って、いけない。早く学校に行かないと」

可南子「ふわぁ~……あら舞、おはよ」

舞「お母さんおはよう。いってきまーす!」タタッ

可南子「……あの子、なんか最近色気づいた?」

・・・・・

「おはよう、美翔さん」

舞「おはよう」

舞(ギリギリ間に合ったけど……咲はまだ来てないみたいね)

舞「……」

舞(髪……大丈夫かしら。崩れてないかな)

キーンコーンカーンコーン

ガラッ

咲「セーフ! はぁ、先生が来る前で助かった」

「ギリギリだよ、咲」

咲「まぁまぁ。間に合ったんだからいいじゃん。おはよ、舞」

舞「おはよう、咲」

咲「いやー、ダッシュしてきたから疲れちゃった。えーっと、教科書教科書……」

舞「……」

咲「うん? どうしたの、舞」

舞「う、ううん……なんでもない。もうちょっと早く起きなきゃダメよ咲」

咲「あはは、一応目覚ましはかけたんだけどね。落ちて止まっちゃってて……」

ガラッ

篠原「ん…? なんだ日向、間に合ってたのか」

咲「げっ、先生」

篠原「その様子だと、私が時間通りに来てたら遅れていたようだな」

咲「ま、まさかー。普通に間に合ってますって。あはは」

舞「……」

・・・・・

キーンコーンカーンコーン

咲「はぁ…ようやく休み時間だよ。あっ、ねえ舞」

舞「な、なに?」

咲「今度の休みに二人で出かけない? あたし、行きたいところがあるんだけど」

舞「ええ、いいわよ」

咲「よかった」

舞「……」

咲「あっ、舞」

舞「!!」

咲「近くに美味しいアイスクリーム屋さんができたんだって。今日帰りに一緒に行かない?」

舞「う、うん」

咲「じゃあ放課後ね」

舞「……」

・・・・・放課後

舞「はぁ……」

チョッピ「舞元気ないチョピ。どうしたチョピ?」

舞「うん……ねえチョッピ、私髪型ちょっと変えたの気がついた?」

チョッピ「気づいたチョピ。前髪がいつもより微妙に違うチョピ」

舞「微妙……。もっと大胆に変えたほうがいいかしら」

チョッピ「どうして変えるチョピ?」

舞「え? えっと……それは……」

咲「舞、おまたせ。行こっか!」

舞「あ…う、うん」

……アイス屋

咲「ついたついた、ここここ! すっごく美味しいらしいよ」

舞「いつの間にこんなお店ができたんだろう、気づかなかったわ」

咲「しかもね、舞」

舞「?」

咲「なんとお友達割引っていうのがあるんだって! 仲のいい友達二人とお店に来たら割引にされるんだよ」

舞「友達…」

咲「さっ、早く入ろ」

舞「あ……待って咲」

咲「おいしい! チョーおいしいね!」

舞「……」

咲「あれ、美味しくない?」

舞「う…ううん。美味しいわよ」

咲「なんか今日の舞元気ないね、どうしたの?」

舞「元気じゃないわけじゃないけど……」

咲「まさか、風邪!? ごめん、体調悪いのに無理して付き合わせちゃって」

舞「だ、大丈夫! ほんと、大丈夫だから」

咲「そう……?」

舞「う、うん」

咲「そういえば舞、髪型ちょっと変えた?」

舞「え……」

咲「ほら、前髪がちょっと」

舞「き、気づいてた…?」

咲「うん」

舞「あ…ど、どうかしら。……似合ってる?」

咲「うん、似合ってるよ。かわいい!」

舞「そ、そっか……ならよかった」

咲「でもどうして急に髪型変えたの?」

舞「そ、それは……気分転換っていうか」

咲「分かった!! ひょっとして……好きな人でもできた?」

舞「!?」

咲「だよねー。なんか最近の舞っておしゃれになってるし、身だしなみに気を使ってるでしょ? ぶっちゃけ恋とかしてるの!?」

舞「え……それは……その……」

咲「やっぱり! してるんだ!」

舞「……」モジモジ

咲「それで」

舞「え…?」

咲「相手はどんな人? どんな人を好きになったの?」

舞「っ……」

咲「教えて教えて、ねえいいでしょ? どんな人?」

舞「えっと……なんて言えばいいのか」

咲「あたしの知ってる人? 同じ学校?」

舞「……う、うん」

咲「うそー!? まさか同じクラスとか!!」

舞「……うん」

咲「マジ!? じゃ、じゃあ相手は一体……!?」

舞「も、もういいでしょ。これ以上は……」

咲「でも意外だったなー。まさか舞に好きな人がいて、しかもそれが同じクラスにいるだなんて」

舞「……」

咲「よーし! だったらあたし、舞の恋を応援するよ!」

舞「えっ」

咲「ラブレターは出した? 告白はいつする? デートは!?」

舞「ちょ、ちょっと咲落ち着いて」

咲「あ、ごめんごめん。あたしの方が興奮しちゃった」

舞「私のことは……大丈夫だから」

咲「……?」

舞「……」

咲「舞、ひょっとして今悩んでるの?」

舞「え……」

咲「だから元気ないんでしょ?」

舞「……」

咲「好きな人に告白する勇気がないとか?」

舞「……」

咲「……舞」ギュッ

舞「さ、咲…!?」

咲「大丈夫、舞ならできるよ。勇気を出して」

舞「っ……」

咲「舞はかわいいし頭もいいし、なにより優しいし。嫌われるわけがないよ。告白してもきっとうまくいくって」

舞「……本当に?」

咲「うん、あたしが保証するよ!」

舞「……」

咲「もしその人が舞のことを振るようだったら、あたしが許さないんだから! こんな素敵な子他にはいないのに。あたしが男だったら絶対舞に惚れてる!」

舞「咲……」

咲「舞は自分にもっと自信を持って。舞ならきっとできる」

舞「……」

咲「ね?」

舞「本当に……私にできるかしら」

咲「できるって。告白したらむしろ向こうの方がお願いするぐらいだよ、きっと!」

舞「本当に……?」

咲「うん!」

舞「……」

咲「舞? どうしたの?」

舞「私……」

咲「?」

舞「……咲のことが、好きなの」

咲「えっ、あたし?」

舞「……」

咲「なーんだ、あたしか。そっか」

舞「……」

咲「あたしかー……」

舞「……」

咲「ええっ!? あたし!?」

舞「っ……ご、ごめんなさい」タタタッ

咲「あっ…ま、待って舞!!」

舞「……」タタタッ

咲「……行っちゃった」

咲「……」

咲(うそ……マジであたしなの?)

咲(でも好きっていうのにも色々あるし、友達としてって意味で……)

咲(……どう考えても話の前後的にそういう意味じゃないよね)

咲(舞……本気で言ってるのかな……)

咲「……」

咲(どうしよう。あたし、どうすればいいんだろう……)

咲(と、とにかく舞を追いかけよう!)

舞「う……うう……」

舞(私……なんであんなことしちゃったんだろう。絶対咲に嫌われた……)

舞「ひっぐ……ぐず……」

舞(これじゃあもう咲にも顔を合わせられない……)

咲「舞ー!!」

舞「!?」

咲「はぁ、はぁ。ようやく追いついた」

舞「さ……咲……」

咲「びっくりしちゃったよ、いきなり逃げるんだもん。その前に衝撃的な告白もあってびっくりしちゃたけど……」

舞「……」

咲「えっと……」

舞「……気持ち悪いでしょ」

咲「え?」

舞「……私」

咲「き、気持ち悪くなんかないよ! 全然!」

舞「でも……」

咲「その……ええっと……」

舞「……」

咲「あたしの…どこらへんが好きなの?」

舞「……」

咲「……」

咲(何聞いちゃってんだろう、あたし……)

舞「……咲の笑顔」

咲「!!」

舞「頭の中から、ずっと咲の笑顔が離れないの……。気がついてたら咲のことばかり考えていた」

咲「……」

舞「しばらくしたら私……咲のことが好きなんだって分かったの」

咲「……」

舞「……叶うわけないのにね、こんな想い。私……馬鹿だよね」

咲「あ…ま、舞」

舞「叶うわけないでしょ……ね?」

咲「……」

舞「帰るね……私」

・・・・・翌日

舞「おかあさん……今日ちょっと学校休みたいの」

可南子「どうしたの? 風邪?」

舞「体調が悪くて」

可南子「珍しいわね。舞が体調崩すなんて」

舞「……」

可南子「分かったわ。学校の方には私が電話しておくから、部屋で休んでて」

舞「うん……」

可南子「なにか欲しいものあったら言うのよ」

舞「分かった……」

……舞の部屋

舞「……」

チョッピ「舞、大丈夫チョピ?」

舞「大丈夫よ……チョッピ」

チョッピ「昨日チョッぴがお昼寝から起きた時から舞の様子がおかしいチョピ。なにかあったチョピ?」

舞「ううん、なにもないの。心配してくれてありがとう」

チョッピ「チョピ……」

舞「……」

舞(いっそのこと、昨日の出来事を全部忘れられたらいいのに……)

舞(何もかも忘れて、目が覚めた頃には全部元通りに……)


――――――――――――――――――――
――――――――――
―――――

「まい……舞……」

舞「う……うーん……」

「舞……大丈夫?」

舞「誰……お母さん?」

咲「舞……」

舞「!?」

咲「大丈夫? うなされてたよ」

舞「さ、咲……どうして!」

咲「今日学校休んだでしょ? 渡さなきゃいけないプリントがあって、それを渡しに来たの。それにフラッピもチョッピに会いたがってたし……それに……」

舞「……」

咲「舞のこと……心配で」

舞「……」

咲「……」

舞「……チョッピは?」

咲「あっ、チョっピたちなら外に散歩しにいったよ」

舞「そっか……」

咲「う、うん」

舞「……」

咲「……」

舞「……あのね、咲。昨日のことなんだけど」

咲「っ……」

舞「ごめんね。実は……あれ、咲のことからかっただけなの」

咲「……え?」

舞「咲がついつい話を盛り上げちゃうから、私も調子に乗っちゃて。それでふざけてあんなこと言っちゃって……」

咲「……」

舞「本当、変な冗談言っちゃったね。ごめんね」

咲「舞……」

舞「プリントありがとう。体調も良くなったみたい。明日には学校も…」

咲「……嘘」

舞「え?」

咲「嘘でしょ…それ。なんで嘘つくの」

舞「っ……」

咲「冗談なわけないよ……だったらなんで、あの時泣いてたの」

舞「……」

咲「昨日あんなこと言われて、驚いたけど……だけどあたしは真剣に考えてたんだよ」

咲「舞にどうやって答えればいいんだろうって。あたしが舞の気持ちに気づいてあげられなくて、今まで舞のこと傷つけちゃったかなって……悩んだんだよ」

舞「……ごめんなさい」

咲「……舞、その」

舞「いいの、分かってるから。無理だもんね……女の子同士で付き合うのなんて」

咲「……」

舞「でも……咲とは友達のままでいたい。こんなことで、顔を合わせられなくなるなんてこと嫌なの。だから……厚かましいかもしれないけど、咲とは今までどおり友達のままで」

咲「ッ……!!」

チュッ

舞「え……」

咲「う……嬉しかったから。舞の気持ちを知って、悩んだけど……それでも嬉しいって気づいたから」

咲「あたしも……舞と同じ気持ちなんだって、気づいたから……」

舞「……」

咲「……」

咲(あああああ!! なにやってんのあたし!? いきなりほっぺにキスだなんて!!)

咲「あっ、えっと! いやーでもよかった、舞の体調良くなったみたいで。よかったよかった!」

咲(なにがいいのよ、全然誤魔化しきれてないし!!)

舞「……ありがとう」

咲「!!」

舞「分かってる……今のはそういう意味でしたんじゃないって。こういう形で……私のことを許してくれたんだよね」

咲「えっ、いや、そうじゃなくて」

舞「いいの、もう。これからは咲のことは友達として……」

咲「そうじゃなくて……つ……付き合ってください!!」

舞(え?)

咲「だってあたし、昨日から舞のこと……)

舞(え? え?)

咲「もう友達だなんて思えないんだもん……」

舞「……!?」

咲「舞のことが好きなの!!」

舞「さ、咲……」

咲「この好きは……舞が昨日言ってた意味と同じだからね」

舞「……」

咲「舞……」

舞「や、やだ咲ったら……変な冗談を」

咲「舞?」

舞(もしこの想いが叶うなら、どれだけ嬉しいか……そうずっと思ってたのに。それなのに……今は怖い)

咲「どうして、舞。どうしてそんなこと言うの」

舞「だって……咲は分かってないのよ」

舞(こんなに都合よく、私の願いが叶うんなんて……ありえない)

咲「なにが分かってないって言うの!?」

舞「咲……」

咲「あたしのこと……信用できない?」

舞「無理よ……付き合うなんて」

咲「無理じゃないよ、今までずっと二人で一緒だったじゃない! これからもずっと舞と一緒にいたいの!」

咲「友達としてじゃなくて、恋人として!」

舞「咲……」

咲「だって今まで友達として一緒にいて楽しかったら、恋人になればもっと楽しくなるはずじゃん?」

咲「あはは。ダメかな、こんな考え方……」

舞「……」

咲「……友達の時以上に、あたしは舞と幸せになりたいの。舞のことが大好き。あたしは、舞のこと受け入れるから」

咲「だから、舞にもあたしのことを受け入れて欲しいな……」

舞「……」

咲「あはは……ダメ?」

舞「……なんで咲って」

咲「え?」

舞「こんな時でも笑っていられるの…」

咲「ま、舞……」

舞「でも……そういう咲が大好き。ずっと、咲のことを大好きって言いたかった」

咲「……!!」

舞「私と……付き合ってください」

咲「う……うん!!」

舞「咲……」

咲「舞!!」

舞「夢みたい……こんなこと。嬉しい……」

咲「……舞」

舞「さ、咲?」

咲「その……恋人になった証として。えっと……さっきはほっぺただったけど」

咲「口に……キスする?」

舞「え……ええ!?」

咲「だ、だって付き合ったらやっぱりそうするでしょ!」

舞「そ、そうだけど……」

咲「……」

舞「……う、うん。しよっか」

咲「じゃ、じゃあ……目つぶって」

舞「……」

咲「い、いくよ……」

フラッピ「ただいまラピー!」

咲「だああああああ!! なんでこんな時に帰ってくるのよ!?」

フラッピ「なにを怒ってるラピ」

咲「空気読みなさいよねもう!!」

フラッピ「?」

舞「ふ……ふふ」

チョッピ「舞、なんだか元気そうチョピ。もう良くなったチョピ?」

舞「ええ。心配かけてごめんね…チョッピ」

咲「もうちょっと散歩に行ってなさいよ!」

フラッピ「もう疲れたラピ! それよりおやつラピ!」

・・・・・・翌日

咲「ねえ舞、せっかくだからお揃いのアクセサリーでも買わない?」

舞「あっ、いいかも」

咲「そういえば……」

舞「?」

咲「今日、男の子からラブレターもらってたでしょ? あれって……」

舞「ちゃんと断るから大丈夫よ」

咲「そ、そっか。よかった」

舞「ふふっ」

咲「なに?」

舞「ううん。咲は本当に私のこと好きでいてくれてるんだなって思って、嬉しくなって」

咲「も、もうなによ舞ってば。今さら……」

舞「ねえ咲……この前の続き」

咲「!!」

舞「今してくれる……?」

咲「こ、ここ……教室だけど」

舞「誰もいないじゃない」

咲「……しょうがないなぁ。じゃあ目つぶって」

舞「うんっ」


おわり

次はなるべく早めに投下します

>>330

乙でした!

クロスカプ
ムーンライト×ピース

フラッピ「咲ぃ~、フラッピたちにもアイスを食べさせてほしいラピ」

チョッピ「舞お願いチョピ~」

咲「はいはい」

舞「そう言うと思ってたわ」

咲舞「フ~ッ」

フラッピチョッピ「わ~い!いただきますラピ(チョピ)」

【ムーンライト×ピース】

今、わたしはゆりさんとふたりで横浜の街を歩いている。
辺りに人の気配はなく、街は閑散としていた。

ゆり「……」

やよい(うわ~……やっぱりゆりさんってかっこいいなぁ。立ち姿だけでも絵になる)

ゆり「なに? 私の顔になにかついている?」

やよい「い、いえ!」

再び現れたフュージョンを追ってわたしたちスマイルプリキュアは横浜へやってきたけど、わたしだけ途中でみんなとはぐれてしまっていた。
みんなを探しているうちにゆりさんと合流できたけど、ゆりさんも他のメンバーと別々になったみたい。
というわけで今はふたりで一緒に行動しているけど……。

ゆり「……」

やよい「……」

やよい(うう~……ふたりっきりだと緊張して会話が続かない……)

そもそもゆりさんとわたしは真逆の人間同士。
ゆりさんはかっこいいけど、わたしは全然かっこよくない。
ゆりさんは頭がいいけどわたしは良くない。
ゆりさんはモデルみたいにスタイルがいいけどわたしは……。

いつもクールで大人なゆりさん。でもたまにどこか寂しそうな雰囲気も醸し出している。
わたしにとっては遠い別世界の存在だ。
それでもとにかく、一緒に行動する以上足を引っ張らないようにしないと。

ゆり「……空が曇っている、雨雲ではないわね。禍々しいものを感じるわ……フュージョンの仕業かしら」

やよい「なんか、空気も澱んでますよね……みんな大丈夫かな」

ゆり「心配ね、早く合流しましょう」

やよい「でも、どうやってみんなを見つければ?」

ゆり「いずれフュージョンが現れるわ。その時に確実に戦闘が始まる。騒ぎの方向に駆けつければ、きっとみんなと合流できるはずよ」

やよい「おお! ……でも、それって敵が現れるまで待たなきゃいけないんですよね?」

ゆり「それまでは地道に探すしかないわね」

やよい「もしみゆきちゃん達のところじゃなくてわたしたちのところにフュージョンが現れたら……?」

ゆり「その時は私たちだけで戦えばいいだけよ」

大丈夫かな、わたしとゆりさんのコンビで。
ゆりさんなら一人でも戦えると思うけど、私がいるとかえって足でまといになるだけなんじゃ……。

ゆり「不安かしら?」

やよい「え……」

ゆり「いつもの仲間がいないと不安になる気持ちは分かるわ。私もそうよ」

やよい「ゆ、ゆりさんもですか……?」

ゆり「ええ。けど、今は離ればなれになっていてもきっとみんなとまた会える。気持ちは一つなはずだから」

やよい「気持ちが……一つ」

ゆり「やよいちゃんだって他のみんなのことは信じているでしょ?」

やよい「は、はい」

ゆり「なら不安になることはないわ。大丈夫よ」

やよい(やっぱりゆりさんは頼りになるなぁ……。一緒にいると緊張するけど安心しちゃう。なんだか変な感じ)

ゆり「それに……」

やよい「?」

ゆり「もしやよいちゃんが危険な目にあっても、私が守ってあげるわ」

やよい「!!」

意外な一言だった。ゆりさんだったら『自分の身は自分で守りなさい』ってぐらい言うと思っていたのに。
わたしを守ってくれる、確かにそう言った。
なんか複雑な気分。嬉しいような、同じプリキュアとしてちょっと情けないような。

でも……今の言葉でなんだかドキドキしてきちゃった。
ゆりさんがいつも以上にすごくかっこよく見える。

ゆりさんのキリッとした横顔を眺めつつ先へ進んでいると、辺りの濃霧が濃くなっていることに気づいた。
人影の姿もない。まるで暗い世界にわたしとゆりさんの二人だけが取り残されているみたい。
少し怖くなってゆりさんに身を寄せると、ゆりさんがわたしの肩に手を回してくれた。
ゆりさんは周りを警戒しながらも、私に対して無言で大丈夫だと伝えているということが分かる。今、『守ってあげる』という言葉を実感できた。

やよい「ゆ、ゆりさん」

ゆり「気をつけて……様子がおかしいわ」

やよい「フュージョン、本当に出てくるんでしょうか……?」

ゆり「分からないわ。まだ気配はしないけど」

やよい「……」

ゆり「……少しお話でもしましょうか」

やよい「え?」

ゆり「気が紛れるかもしれないでしょ?」

やよい「す、すみません……」

やよい(わたしに気をつかってくれてるのかな……なんか申し訳ないなぁ)

ゆり「そういえば前から聞きたいことがあったんだけれど」

やよい「なんですか?」

ゆり「どうして変身するときジャンケンをするの?」

やよい「えっ……そ、それはですね……」

ゆり「?」

やよい「かわいいし、楽しいかなって思って……」

ゆり「……」

やよい(ど、どうしよう。こんなふざけた理由じゃ怒られるかもしれない!?)

ゆり「まったく、あなたらしいわね」

呆れてるような少し笑っているような、そんな風に見えた。
たぶんわたしの方は緊張と恥ずかしさで顔が赤くなっていると思う。

やよい「ゆ、ゆりさんはかっこいいですよね。変身するときシャキーンってしてて。まるでヒーローみたい」

ゆり「ヒーロー……あまり私には似合わない言葉ね」

やよい「そんなことないですよ。いつもビシッて決まってるし、憧れちゃうなぁ」

ゆり「ヒーローとか好きなの?」

やよい「はい! 特に今は太陽マンとかすごく好きです!」

ゆり「太陽マン……?」

やよい「日曜日の朝にやってる特撮ヒーローです。ジャスティスヒーロー、太陽マン!」

ゆり「……」

やよい「とうっ! ソーラーフラーッシュ!」

ゆり「……」

やよい「あ……す、すみません。好きなものの話題になると話が止まらなくなっちゃって……」

ゆり「いいのよ。よっぽど好きなのね、そのなんとかマンっていうの」

やよい「太陽マンです!」

ゆり「そ、そう」

やよい「ゆりさんは普段テレビとか見ないんですか?」

ゆり「テレビは……見ないわね。普段は本を読んだりお花の手入れをしたりしてるぐらいかしら」

やよい「お花好きなんですね」

ゆり「ええ。花を見ていると心が癒されるわ」

やよい「あっ、それ分かります。綺麗なお花って見ているだけで幸せな気分になれますよね」

ゆり「あなたにも分かる?」

やよい「はい」

ゆり「よかったら……こんど私の住んでいる町にある植物園に来てみない? 綺麗で珍しい花がたくさんあるの」

やよい「わぁ、行きます行きます!」

ゆり「……よかったわ」

やよい「え?」

ゆり「やよいちゃん、私のことを少し私のことを避けているみたいだったから。嫌われているのかと思ってて」

やよい「そ、そんな! 嫌ってなんかません。……ゆりさんといると、緊張しちゃって」

ゆり「緊張?」

やよい「だ、だって、ゆりさんってわたしとは別次元の人間っていうか……凄すぎてわたしじゃ到底足元にも及ばないっていうか」

ゆり「私だってあなたと変わらない普通の人間よ。そんなに持ち上げられても困るわ」

やよい「ご、ごめんなさい」

わたしが頭を下げながら謝ると、ゆりさんの右手がそっとわたしの頬をなでた。
その優しい手つきに一瞬ドキッとして、思わずゆりさんの顔を見上げてしまう。
ゆりさんの顔は優しい表情をしている。そしてわたしのことを落ち着かせるように言葉を発した。

ゆり「私には分かるわ。あなたは本当は強い子よ」

やよい「ゆりさん……」

正直なところ、今までゆりさんに対しては憧れの気持ちはあるものの怖くて厳しい人だっていうイメージがあった。
けど今日はこうやって喋ったり撫でられたりするとそんなイメージはもうない。
この人はとても優しい人だ。

ゆり「私はね……本当はあなたが思っているような強い人間じゃないの」

やよい「え?」

ゆり「一人ぼっちじゃなにもできないわ。迷ったり、不安になったりすることはしょっちゅうある」

やよい「ゆりさんが……ですか?」

ゆり「だから今こうしてあなたが隣にいてくれていることは、私にとってとても安心することなの。やよいちゃんが私の支えになってくれているのよ」

やよい「わ、わたしなんてそんな……大したこともできないですし」

ゆり「そんなことないわ、何ができるかなんて問題じゃない。信頼するかどうかが大切なの」

やよい「信頼……」

ゆり「私はやよいちゃんのことを信頼しているわ。やよいちゃんは私のことを信頼してくれるかしら?」

やよい「は、はい! 信頼してます!」

ゆり「その言葉が聞けるなら十分よ」

ふと気づいた、わたしは今ゆりさんとすごく仲良くなったんじゃないかと。
今まで自分から一番離れたところにいると思っていた人が、こうやってわたしと同じ目線で話をしてくれる。
こんなことが起こるなんて夢にも思わなかった。初めは不安だったけど、今は胸がドキドキとわくわくでいっぱいになって笑みがこぼれてしまう。
ゆりさんのことがもっと知りたい、ゆりさんともっと仲良くなりたい。

そんなことを思っている時、事態が変わろうとしていた。
ゆりさんが何かに気づいたように辺りを見渡し、警戒態勢に入った。

やよい「ど、どうしたんですか?」

ゆり「しっ……なにか来るわ。気をつけて」

ゆりさんの言ったことは本当だった。
突如空から何かが私たちの目の前に落ちてきた。
最初はお餅のようにやわらかそうで丸い銀色の物体だったが、徐々に姿を変え3メートルを超えるような人型に変わっていく。
それは紛れもなく、フュージョンだ。本当に来てしまった。

ゆり「変身よ!」

やよい「は、はい!」

ゆり「プリキュア! オープンマイハート!」

やよい「プリキュア! スマイルチャージ!」

お互い変身アイテムを取り出し、声高々に叫んだ。

ムーンライト「月光に冴える一輪の花、キュアムーンライト!」

ピース「ピカピカぴかりん じゃんけんポン♪ キュアピース!」

わたし達がプリキュアに変身するやいなや、フュージョンがその巨体で突進をしかけてきた。
ムーンライトはさすが、軽々と回避。わたしはギリギリ回避。
顔と地面がぶつかるように倒れてしまい、痛さで涙目になってしまった。ムーンライトが見ているのに恥ずかしい。そして悔しい。

ピース「もうっ……こっちだって負けないんだから。プリキュア! ピースサン――」

ムーンライト「待ちなさい!」

とっさに私の反対方向にいるムーンライトから静止の声が来た。

ムーンライト「忘れたの? 以前フュージョンは私達の技を吸収したのよ」

ピース「あ……」

ムーンライト「うかつには手を出さないで、様子をみるのよ」

ムーンライトに言われ必殺技を止めようと手を下ろすと、何もしてこないと分かったのか、フュージョンが身体をドロドロにし何本もの触手をくりだしてくる。
一本、二本、触手をなんとか避けていくが数が多すぎる。結局捕まってしまった。

ピース「きゃあっ!?」

身動きが取れない。わたしの身体は触手によって高々と持ち上げられてしまった。
これからどうなるのだろうか。壁や地面に叩きつけられる? なら何とかしてでも受身の体制を取らないと。
しかしフュージョンの次の行動は、私の予想していたものを大きく違っていた。
なんとフュージョンは、その大きな身体でわたしを取り込もうとしていたのだ。

ピース「ええっ!? ちょ、ちょっと待ってぇ~!!」

情けない声を上げながら、触手を解こうと必死に抵抗するが意味はない。
もはや取り込まれる寸前だった。

ムーンライト「させないわ!!」

ムーンライトが叫ぶと同時にタクトの一閃が触手を切り裂く。

わたしを縛っていた触手は力がなくなり、やがて消滅してしまった。
そして落下するわたしをムーンライトはすかさず助けてくれる。
お姫様抱っこの状態になっているわたしは、助けてくれたムーンライトに対して感謝とその勇ましい姿に尊敬の気持ちでいっぱいだった。

ムーンライト「大丈夫?」

ピース「は、はいっ。ありがとうございます」

ムーンライト「心配しないで、落ち着くのよ」

わたしたちは着地し、再びフュージョンと向き合う形になった。
ムーンライトがわたしの一歩前に出てわたしを庇うように目の前に手を出す。
いきなりのことだったので少し驚いてしまった。

ムーンライト「もし危ないと思ったら……あなただけでも逃げなさい」

ピース「えっ……」

ムーンライト「フュージョンは危険な相手だわ。一筋縄じゃいかない。さっきみたいに今度は技だけじゃなくプリキュア自身も取り込もうとしている……取り込まれてしまったらおしまいよ」

フュージョンの危険性よりも、わたしはムーンライトの「逃げろ」という言葉の方がショックだった。
わたしのことはやっぱり期待してないんだろうか。
さっきわたしのことを「守ってあげる」って言ったのも、わたしがまだまだ未熟者だからだろうか。
これがもし他のプリキュアだったら、そんなことは言われないはずだ。
わたしが……弱いから。ムーンライトの足を引っ張っている。

そう思うとだんだんと気が弱くなり、泣き出しそうになってきてしまう。

ピース「わ、わたし……」

……ただし、泣いてしまうのは昔のわたしだったらの話。
今のわたしは昔とは違う。プリキュアになって、色々な経験をしてきた。
その過程で、ちょっぴり、ほんのちょっぴりだけど心も強くなった。
だからわたしは、泣いたりも逃げたりもしない。

ピース「わたしは、ムーンライトと一緒に戦います!」

本当のところはちょっと泣き出しそうだった。それは悔しかったからだ。
ムーンライトに認めてもらえていないと思うと、それがとてつもなく悔しかった。
わたしはムーンライトの横に並びたいんだ。

わたしと違ってかっこよくて、強くて、勇ましくて、なによりも美しい。
そんなわたしとは真逆の人と少しの間お喋りをしただけで仲良くなれた。
憧れの存在に近づけた。
こんなわたしでもムーンライトの傍にいられるのなら、絶対に逃げたくない。一緒に戦いたい。
ムーンライトにも、わたしの気持ちを分かってほしい。

ムーンライト「……ごめんなさい。私はピースに失礼なことをしてしまったみたいね」

そう言うとムーンライトは手を下げた。

ムーンライト「あなたも、私と同じプリキュアだものね。力を合わせなければこの状況は乗り切れない。一緒に戦いましょう、ピース」

ピース「は、はい!」

ムーンライトが私に向かってほほ笑みをかけてくれる。
それは信頼している人に対してする顔だとすぐに分かった。
わたしは一歩前に身を乗り出し、再びわたし達は同直線上、同じ位置に並んだ。

今、わたしはムーンライトと対等な存在だ。ムーンライトの今のパートナーはわたしだ。
気持ちが一つになった気がする。いつも五人で戦っていたそれとは微妙に違う感触だった。
尊敬と、信頼と、なにか温かい気持ちが一つになった感じ。こんな気持ちは生まれて初めてだ。

心の底から、不思議な力が湧き出てくるようだった。

フュージョンが攻撃の態勢に入る。わたし達も身を構えた。
これから迫ってくるであろうフュージョン、それに対してわたしも一つ対抗策を思いついていた。

ピース「ムーンライト、フュージョンを近くの海まで誘導してください」

ムーンライト「分かったわ」

聞き返しもせず、ムーンライトはすぐさま私の言ったとおりに囮として動いてくれた。
わたしの考えていることを予想したんだろうか。そうじゃなくてもわたしのことを信頼してくれていることは確かだ。

ムーンライトは俊敏な動きで攻撃を回避しながらフュージョンを水辺までおびき寄せる。
逃げながらにもかかわらず、全ての攻撃を避けるムーンライトはまるで後ろにも目がついているのかと思うくらいだ。

猛撃するフュージョン。なんかとかムーンライトを捕まえようと飛びかかった。
ムーンライトもそれに対応し大きくジャンプし逃げる。フュージョンがさらに追いかける。
二人の人影が宙を舞う。そこはちょうど水面の上だった。

ムーンライト「ここね!」

空中を動きならが、今まで逃げていたムーンライトが今度は攻めに回る。
隙をついてフュージョンの脳天にみごとなかかと落としを決めてみせた。
真上からの衝撃を食らいもの凄い勢いで落下するフュージョン。水面とぶつかり高い水しぶきが上がる。
ムーンライトは蹴りの反動を使い陸地側へ着地した。

ムーンライト「今よ!」

ここでムーンライトを追いかけていたわたしの出番が来た。
水中にいるフュージョン、ムーンライトが作ったこのチャンスを逃すわけにはいかない。
フュージョンは今にも上がってくる。

ピース「プリキュア! ピースサンダー!!」

天に掲げた手から電撃が海に向かって放たれた。
すでに上半身が上がっているフュージョンはわたしの攻撃を吸収しようとしていた。
しかし、わたしが放った電撃はフュージョンに対してではない。

フュージョンの周りの水面に対してだ。

ピース「いっけーーー!!」

力の限り電撃を放つ。
電撃は水を伝わりフュージョンは感電していた。
攻撃を吸収できるはずのフュージョンだが、水から流れる四方八方の電撃は防ぎようがない。
さらに水は電気を通しやすくする。フュージョンは全身ずぶ濡れだ。

ピース(み、水タイプは電気に弱いはずだもんね!)

ゲームのシステムを参考に思いついたこの作戦。
効果は抜群のようだ。

激しい電撃の流れに耐え切れず、フュージョンは水中から上がるととうとう逃げ出してしまった。
凄まじいスピードでどんどんとわたし達から離れていく。撃退することができた。

ピース「や、やった」

ムーンライト「このままヤツを追うわよ。今の騒ぎで他のプリキュアの子も気づいたはず」

ピース「はいっ!」

ムーンライトとの短いやり取り。けどそこには確かな信頼感があると感じていた。
今、わたしとムーンライトは並んでいる。
あのムーンライトとわたしが、気持ちを一つにしているのだ。


ムーンライト「それにしても、絶妙なタイミングだったわね」

ピース「え?」

ムーンライト「もしフュージョンがあのまま水中に潜ってしまったら、電撃は水の中で拡散してしまうもの。そうしたら威力は激減してしまうわ。上半身を乗り出していた状態に電撃を放ったから、電撃も水面を通って感電させることができたのよ」

ピース「そ、そうだったんですか……」

……知らなかった。てっきり水の中にさえいれば電気は通るのかと思っていた。
自分で作戦を立てておきながら、恥ずかしい。

ムーンライト「でも、本当によくやったわね」

ピース「え、えへへ」

ムーンライト「……やっぱり、強いわ。あなたは」

ピース「そ、そんな! ムーンライトに比べたらまだまだ……」

ムーンライト「戦闘能力のことを言ってるんじゃないわ。心が強いってことよ」

ピース「こ、心ですか?」

ムーンライト「ええ。私はピースのことを頼もしいと思えるわ」

ピース「えへへ……な、なんだか照れちゃいます」

ムーンライト「さ、また気を引き締めてフュージョンを追いかけるわよ」

ピース「はい! 早く戦いを終わらせて、ゆりさんとふたりで植物園に行きたいです」

ムーンライト「私と……ふたり?」

ピース「え? あ……ふ、ふたりっきりじゃダメですか?」

ムーンライト「……フ。いいわよ、いらっしゃい」

ピース「は、はい!」

ピース(なんだか少し大胆なことを言っちゃった気がするけど、これぐらいいいよね。だって今のわたしはムーンライトのパートナーなんだもん)

今日という日は、たぶん一生忘れられないと思う。それほど衝撃的な出来事が起きた日。
今こうやってムーンライトと一緒にいること、それが自然に楽しいと思える。嬉しすぎて目が少し滲んできた。泣かないって決めたはずなのに。
そうだ、帰ったらこの感動を漫画にしてみよう。
そんなことを考えながらわたしは再び気持ちを戦いに集中させ、ムーンライトと一緒にフュージョンを追いかけるのであった。

おわり

次回
>>357

響×アコ

【響×アコ】

アコ「メイジャーランドにはね、王家に仕える専属の演奏者がいるの。もちろん一流のね。定期的に開かれるコンサートではその人たちが演奏するのよ」

響「へー、すごいね。一流かぁ……あたしもなれるかな」

アコ「え?」

響「ん?」

アコ「それってどっちの意味で言ってるの?」

響「どっちって?」

アコ「……分かってないならいいわよ」

響「???」

アコ(一流になりたいのかそれとも専属の演奏者になりたいのか……まぁ前者の方の意味で言ったんだろうけど。でも響だったらメイジャーランドに迎え入れてもいいかな)

響「ねえ、どっちってなに?」

アコ「なんでもない」

響「もー、そんなこと言われても気になるって」

アコ「なんでもないったらなんでもないの」

響「むぅ……でも、メイジャーランドかぁ。いつかアコも王女様になっちゃうんだね」

アコ「まだ先の話でしょ」

響「そんなこと言ってると、あっという間だよ?」

アコ「そうかな。よく分かんない」

響「……アコはさぁ、いつかメイジャーランドに帰っちゃうの?」

アコ「……どうだろう、それも分かんない」

響「まぁ、アコが大人になってる頃にはあたしも加音町にいるかどうかも分かんないし……みんなバラバラになってるのかな」

アコ「……」

響「エレンはずっとハミィと一緒にいたりして」

アコ「あはは、そうかも」

響「奏はどうしてるかなぁ」

アコ「奏も響とずっと一緒だったりしてね」

響「あたしが? 奏か~」

アコ「……」

アコ(わたしは……大人になったら誰かと一緒にいるのかな。奏太? うーん……)

アコ「……」

アコ(でも、できたら一緒にいたいのは……)

響「なに?」

アコ「……別に。響、手キレイね」

響「え? そう? 普通じゃないかなぁ」

アコ「キレイよ、ピアノを弾くのにふさわしい手」

響「お褒めに預かり光栄です、姫さま」

アコ「なによそれ」

響「アコにそう言われると嬉しくって。音楽の国のお姫様に褒められるなんてさ、ほんと光栄だよ?」

アコ「……やっぱ褒めるのやーめた」

響「ええっ、なんで!?」

アコ「響ってば調子乗りそうなんだもん」

響「アコのいじわる」

アコ「ふふ、響はお子様だもん」

響「ああっ! アコがそれ言う!? あたしよりもずっと年下なのに」

アコ「だってほんとのことでしょ」

響「あのねぇ……あんまりお姉さんをバカにしてると後悔するよ?」

アコ「あら、どうなるのかしら?」

響「こうやって……捕まえて!」

アコ「よっと」ヒョイッ

響「わっ!?」

アコ「遅いわね、響」

響「ほほー、意外と運動神経いいね……けど! あたしが本気を出したらこうだ!」ガバッ

アコ「!!」

響「ほーら、捕まえた」

アコ「ず、ずるいわよ。本気出すなんて」

響「別にずるくもなんともないじゃん。そんでもって……こちょこちょこちょ!」

アコ「ちょっ……やめっ……くふふふふ」

響「どうだ、参った?」

アコ「ま……まいってない。ふははははっ」

響「ならこれならどうだ!」

アコ「あっ……だ、ダメそこっ……!!」

響「ん? ……あ」

アコ「ど、どこ触ってんの……」

響「いやー、ごめんごめん。アコもそういうの恥ずかしがる年頃か」

アコ「いつまでも子供扱いしないでよ。まったく、デリカシーがないんだから」

響「いいじゃん別に、女同士なら」

アコ「……」

響「どうしたの?」

アコ「ううん、なんでも……」

アコ(普通なの? こういうの……女の子同士で。響も奏としたりするのかな……)

響「もうアコってばさっきから何回か黙ったりしてるけど、言いたいことあるならハッキリ言ってもいいんだよ?」

アコ「……」

響「いつものアコはそうじゃん」

アコ「……響は」

響「ん?」

アコ「好きな人とかいる?」

響「……へ!?」

アコ「……」

響「えっ、あー……うーん。それってひょっとして、恋の悩みってやつ? いやぁーそうきたかー。そうかそうか、アコも恋をしちゃう年頃かー」

アコ「っ……そうじゃなくて、ただちょっと興味本位で聞いただけ。おこちゃまの響でも好きな人とかいるのかなって……思っただけよ」

響「おこちゃまって……お姉さん、でしょ?」

アコ「なら、わたしより人生経験豊富だから恋ぐらいしてるわよね? 当然」

響「う……そ、それは」

アコ「……いないの? 好きな人」

響「あたしは! ピアノとスポーツが恋人みたいなものだから!」

アコ「……」

響「あっ!その呆れた目禁止! いいじゃない別に恋ぐらいしてなくったって!」

アコ「やれやれね」

アコ(ま、少し安心したけど……)

響「そういうアコには好きな人いるの?」

アコ「……いないけど」

響「そっか。でもいつかアコにも好きな人ができるよ」

アコ「どうかな」

響「奏が王子先輩にするように、アコも誰かにキャーキャー言うようになったりして」

アコ「それはないから」

響「あははっ。じゃ、あたしそろそろ帰ろうかな。時間だし」

アコ「あ……うん」

響「また明日ね、アコ」

アコ「……うん、ばいばい」

響「バイバーイ」

アコ「……」

・・・・・

アコ(いつの日だったかな……ハロウィンの時か。響の優しい手に初めて触れた。あの手のぬくもり、今でも覚えてる。……さっきあの手でくすぐられたのも正直悪くなかったけどね)

アコ(あの日からかな、だんだん響のことが気になり始めたの。同じ目線で、わたしに接してくれた……)

アコ(初めてできた仲間。プリキュアとしての仲間。同じ目的のために一緒に頑張った……ああいう経験は確かに初めて)

アコ(戦いも終わったし、これからみんなともバラバラになっちゃうのかな。だけど、響には奏がいる。エレンにもハミィがいる。わたしなんかよりも心を通い合わせている。わたしは……)

アコ「……」

アコ(……奏がずるい。ちょっと早く生まれただけで、響と一緒にいられるなんて。わたしだって……)

アコ(なんてこと考えてると、自分が嫌になってくる。何考えてるんだろうわたし、バカみたい。ありえないことなのに)

アコ「……はぁ」

アコ(なんなんだろう、この気持ち。仲間としてみんなと一緒にいたい気持ちもあるけど、響のこと独り占めしたい気持ちもある……)

アコ(わけ分かんない……辛いよ……)

響「アコ」

アコ「!?」

響「どうして辛そうな顔してるの?」

アコ「響……なんで……」

響「ん? アコの様子が気になるから、追いかけてきちゃった」

アコ「……」

響「何か悩みでもあるの? だったら遠慮なく言ってよ。あたしはアコのためだったら何でもするよ?」

アコ「……うう」

響「アコ?」

アコ「なんでもないんだから……ひっぐ……なんでもないの」

響「……」ギュッ

アコ「……」

響「そっか、なんでもないならよかった。だけど少しこうやっていさせて」

アコ「……」

響「あたしはアコの味方だよ。絶対に離れないから」

アコ「っ……」

アコ(なんでそんなこと言えるの……ずるいよ響)

響「……」

アコ「ひっぐ……ぐずっ……」

・・・・・翌日

響「アコ」

アコ「……なに?」

響「ちょっとおいで」

アコ「どうしたの?」

響「いいからいいから」

アコ「?」

響「今日はね、アコに元気になってもらおうと思って……あたしがアコのためにピアノの演奏を聴かせてあげる!」

アコ「……」

響「……あれ? 嬉しくなかった?」

アコ「別に……元気がないわけじゃないし。昨日泣いたのはちょっとした気の迷いで、大したことじゃ……」

響「いいからそこ座って、ほら」

アコ「あ……」

響「あたしアコのこと大好きだからさ、アコには元気でいてもらいたいの」

アコ「……それどっちの意味で言ってるの?」

響「どっちって?」

アコ「……はぁ。まぁいいわ……じゃあ聴かせてちょうだい」

響「任せてちょうだい!」

アコ(まったく響ってば……その気にさせるようなことばかり言って。毎回毎回勘違いしちゃうじゃない)

アコ(優しくするにしても、もう少しやり方っていうのを考えなさいよ)

アコ「……」

アコ(……けど、今はこれでいいか。ちょっぴり物足りないけど、今の響はわたしの専属のピアニスト……今は響と二人っきだもんね)

響「アコ」

アコ「え?」

響「ずっと一緒にいようね」

アコ「……へ!?」


おわり

遅れてすみません

>>386

ウルフルン×アカオーニ

ひびわお
シリアスだけど最後はハッピーエンドで

>>387
当然ですけど次はこっちでいきます

【響×和音】

和音「響、今日の先発任せたよ!」

響「オッケー任せて……って、あれ?」

和音「どうしたの?」

響「まずった……グローブ忘れたかも」

和音「ええっ!?」

響「おっかしーなぁ……ちゃんとバッグに入れたはずなんだけどなぁ。あーん失敗した!!」

和音「大丈夫、響! あたし予備のグローブ持ってるからそれ貸してあげる」

響「ほんと!? ありがと~和音」

和音「響が困ってるならあたしは何だってしてあげるよ。ちょっと待ってて、今持ってくるから」

響「いやぁ~、悪いね和音」



奏「響~!!」

響「あっ、奏。どうしたの?」

奏「どうしたのじゃないでしょ。響がグローブ忘れたから届けに来てあげたんじゃない」

響「えっ、マジ? 助かった~! ……でもなんで奏が?」

奏「ハミィから連絡があったの。今日はどうせ応援に来るつもりだったしね。これないと困るでしょ?」

響「そっか、ありがとう奏」

奏「まったく響ってば、こんな大切なもの忘れるなんて」

響「よーしっ、マイグローブも手に入れたしやる気出てきた!」

奏「頑張ってね」

響「うん!」

和音「響、お待た……あれ?」

響「ああ、和音。グローブは奏が持ってきたからもう大丈夫だよ」

和音「そっか、よかった」

響「試合がんばろうね!」

和音「……うんっ!」

・・・・・・

響「やったー! 大勝大勝!」

和音「お疲れ響、さすがだね」

響「野球の助っ人なんて久しぶりだからどうなるかと思ったけど、なんとかなってよかった」

和音「それにしても、やっぱり響とスポーツするのは楽しいな」

響「うん?」

和音「だって最近、なかなか助っ人に来なかったから」

響「あー、ピアノの練習始めてるからね。時間がなくって。けど気晴らしに身体動かすのって最高だね」

奏「響ー!」

響「あ、奏。どうしたの?」

奏「手、怪我してない?」

響「え? ああ……さっきボールが当たっちゃって。でもこれぐらい大したことないよ」

奏「ダメでしょ、ピアニストは手が命なんだから。何かあったらどうするの」

響「分かってる分かってるって」

和音「響……大丈夫?」

響「平気だよこれぐらい、和音が心配することじゃないって」

奏「あとでちゃんと手入れしておくのよ?」

響「もー、奏はうるさいなー」

和音「……」

響「あっ、そうだ。ねえ和音、これからラッキースプーンに行くんだけど一緒に行かない?」

和音「え?」

奏「新作のカップケーキがあるの。西島さんもよかったらどう?」

和音「あたしは……この後トレーニングするか遠慮しとく。ごめんね」

響「えへぇ~、これからまだトレーニングするんだ。すごいね、和音」

和音「そんなことないよ。じゃあ…また明日ね、響」

響「うんっ、また明日」

・・・・・

和音「はぁ……はぁ……」

和音(どれぐらい走ったんだろう……もう外が真っ暗。ここどこだっけ)

和音「……はぁ」

和音「このままずっと走り続けることができたらいいのに。走ってる時は変なこと考えなくてもすむし……」

和音「……」

和音(なんか最近、響が遠い存在に感じちゃうな……どうしてだろう)

和音(前まではそんなことなかったのに……)

和音「はぁ……もう疲れて走れないや」

和音「……」

和音(響の隣には、もうずっと南野さんがいる。当然だよね、幼馴染なんだし)

和音(あたしは……もうあまりチャンスはないのかな。響と一緒にいられる時間……)

和音(もっと響と一緒にいたいな……)

和音「……なんちゃって」

和音「帰ろ……歩いてどれだけかかるか分からないけど」

和音「……」

和音「……はぁ、やっぱ走ろ。無理してでも……」

・・・・・数日後

和音「おはよう!」

「おはよう、西島さん!」
「おはよう」

和音「……」

和音(ダメだなぁ……まだ響のこと考えてる。頭から全然離れない)

和音(どうしちゃったのかな……あたし)

和音(……最近、響の指笛鳴らないなぁ)

「西島さん、今度のバスケの助っ人頼める?」

和音「え? ああ……うん」

「よかった、西島さんが来てくれたら百人力だよ」

和音「……あっ、そうだ。ねえ、響は来るの?」

「北条さん? その日はピアノの練習とかで来れないんだって」

和音「そうなんだ……そっか、分かった」

和音(まぁそうだよね……ピアノの練習で忙しいとか言ってたし。昨日みたいに一緒にスポーツできるのって当分ないのかな)

和音(そのせいか、最近響と話す時間もめっきり減っちゃった気がするし……)

和音(しょうがないことだけど……つまんないなぁ)

和音「……」

和音(でも、響は今の方が幸せなのかな。そりゃお父さんもお母さんも有名な音楽家だし、響もそうなりたいよね)

和音(響が幸せなら……あたしはそれでいいかな。他になにも……)

和音「……!」




響「それでさー」

奏「まったく、響ってば」




和音「……」

和音(幸せなんだよね……今の方が)

和音(きっと……)

・・・・・

ダムッダムッ

和音「はぁ、はぁ」

「西島さん! パスパス!!」

ピピーッ!

和音「はぁ……はぁ……」

「あー……負けちゃった」

和音「ご、ごめん……」

「ううん、気にしないで。しょうがないよ。でも西島さん今日は調子悪かったけど、大丈夫?」

和音「あはは……大丈夫だよ、大丈夫」

和音(おかしいな……今日は全然身体が思うように動かない。体調は悪くないはずなのに)

和音(どうしちゃったんだろう……)

・・・・・

和音「はぁ……」

「西島さん、さようならー」

和音「う、うん。さよなら!」

和音(結局今日は一本もシュートが入らなかった……今までこんなことは一度もなかったのに)

和音(下手になっちゃったのかなぁ……あたし)

~♪

和音「……?」

和音(ピアノの音……調辺の館からだ。誰が弾いてるんだろう)





響「……」

和音「!!」

和音(あ…響!)

和音(こんなところで一人で練習して……)

和音「……」

和音(そっか……響がんばってるんだよね。なのにあたしってば、最近響が一緒に助っ人やってくれないからって……)

和音(響は響でがんばってるんだもん、あたしも応援しなきゃ。そうだ、何か差し入れできるものがあったら……)






奏「響、お疲れ」

響「あっ、奏!」

奏「差し入れ、カップケーキ持ってきたわよ」

響「ほんと!? さっすが奏!」

和音「っ……」

和音(また……)

和音「……」

和音(いたんだ……南野さん……)

和音(そっか……じゃあ、あたしはいいよね)

和音「……」

和音(……帰ろ)

・・・・・数日後

キーンコーンカーンコーン

「北条さん、部活の助っ人頼みたいんだけど……」

響「え? あーごめん、今日もピアノの練習なの」

「そっか、それじゃあしょうがないね」

響「和音に頼んだら?」

「それが西島さんね……最近調子悪いみたいで、他の部活の試合とかでも全然活躍できてないみたいなの」

響「えっ、和音が!?」

「どうしちゃったんだろうね。スランプってやつかな」

響「あの和音が……ねえ。信じられない」

「まぁいいや、今度暇なときに助っ人お願いね」

響「う、うん」

響(和音……何かあったのかな)

響「……あ、ねえ。和音今どこにいるか知ってる?」

……体育館

ダムダムッ

和音「はぁ、はぁ」

シュッ

和音「……はぁ、やっぱり入らない。スランプってやつかな、これ」

和音「もう一本……」

響「和音ー!」

和音「!!」

響「バスケの練習してるって聞いたからここに来たんだ。最近調子悪いんだって?」

和音「響……う、うん。あはは、なんでかなー、別に怪我してるわけじゃないんだけど」

響「そうなの? なんか心配しちゃった、あの和音が試合で全然活躍できないって聞いちゃってさ。本当に怪我とかないの?」

和音「平気平気! ほら、バッチリでしょ?」

響「ならいいんだけど」

和音「でも嬉しいよ、響があたしのこと心配してくれるなんて。ありがと」

響「だけど、じゃあなんで調子悪くなったんだろう」

和音「んー、なんでだろ。わかんない」

響「あはは、和音ってば」

和音「けど響が来てくれてなんだかやる気が湧いてきちゃった。今ならシュートもちゃんと入るかも」

シュッ

和音「……あっ」

響「あれ、ちゃんと入ったじゃん。いつもの和音のシュートだね!」

和音「本当だ……入った」

響「和音?」

和音「やっぱり響のおかげだよ! 響が来てくれたから入ったんだよ!」

響「えー、あたし何もしてないけど。……まぁ、入ったならいっか。あはは!」

和音「えへへ!」

響「元気そうでよかった。この前の野球の時以来、全然顔合わせてなかったから。何かあったのかと思って」

和音「っ……何もないよ、別に。あたしはいつも通り!」

響「うんっ、いつもの和音だね! じゃああたし、そろそろ行かなきゃ」

和音「あ……ピアノの練習?」

響「今日もあるの。じゃあね和音、練習頑張って」

和音「うん……じゃあね」

和音「……」

シュッ

和音「あ……あれ」

和音「また入らなくなっちゃった……」

和音「……」

・・・・・

和音(あの後、結局また一本も入らないで終わってしまった……)

和音(ほんとどうしちゃったんだろう、あたし。ずっとこのままだったら嫌だな……)

和音「……響」

和音(会いたいよ……響といれば絶対元気出るのに……)

和音(どうしてあたしは響と一緒じゃないんだろう)

和音(中学入って最初の頃は、いつもあたしと一緒にいたのに)

和音(……けど響は、あたしといるより南野さんと一緒にいる方が楽しいのかな)

和音(あたしとスポーツするより、ピアノ弾いてる方が幸せなのかな……)

和音「……ああもう! らしくないってば、こんな落ち込むなんて」

和音「響がいないからって……」

和音(こんなに響のことを考えるなんて……あたし、おかしくなっちゃったかな)

和音(響のことを考えると、胸が苦しくなって……あたし、響がいないとダメダメだよ……)



響「和音!」

和音「!!」

響「練習終わったの?」

和音「ひ、響、どうして」

響「あたしもピアノの練習終わったからさ、少し走ろうと思って。運動すれば頭もスッキリするしね」

和音「そうなんだ……」

響「それに最近ちょっと運動不足かなーって思って。和音が練習してるの見たら、あたしも身体動かしたくなちゃった」

和音(あんなに会いたかった響が、今ここに……)

響「和音も一緒に走る?」

和音「!!」

響「久しぶりにさ」

和音「う…うん! 走る走る!!」

響「よしっ、じゃあ行こう」

和音(やっぱりあたし……響と一緒にいるのがいい)

和音(響と一緒にいると、走るだけでもこんなに楽しい!)

和音(響……あたし、響のこと……)

響「ん? どうしたの和音、なんか嬉しそうにしちゃって」

和音(もう我慢できない……!)

和音「響、あたし……響のこと好き!」

響「あはは、急になに。あたしも和音のこと好きだよ」

和音「はぁ……はぁ……そ、そういのじゃないみたい」

和音(今ならいいよね……南野さんもいない、ピアノもない)

和音(あたしと、響だけの世界。今ならあたし……)

響「?」

和音「あたし、なんか違うの……今までみたいな好きじゃなくて」

和音「よく分からないんだけど、上手く言えないんだけど……と、とにかく好き!!」

響「え、あ……え?」

和音「響!」ガシッ

響「うわっ!?」

ドサッ

響「いてて……」

和音「響……」

響「わ、和音? どうしちゃったの一体……!?」

和音「……っ――――!」

響「んぐっ……!?」

響(こ、これって……キス!?)

和音「はぁ……はぁ……」

響「わ、和音……さん……?」

和音「あ……うわわ」

響「へ?」

和音「うわああ~~~っ!!」

響「!?」

和音「ご、ごめん……ごめえええん!!」ダダダッ

響「わ、和音!!」

響「……行っちゃった」

響「……」

響(うそ……キスされたのあたし?)

響(口と口で、今……)

響「……」

響(そんでもって放置されてって……)

響(ど、どどどどどうすれば)

・・・・・翌日

和音「……」

和音(昨日……なんであんなことしちゃったんだろう)

和音(あの時は走ってて、つい興奮しちゃって、自分を止められなくて)

和音「うう……」

和音(だからってチューしちゃうのはないよね……やっぱり)

和音(あーどうしよう、絶対引かれる! 響に嫌われちゃうよ……)

「あっ、西島さんおはよー」

和音「!!」

「ねえねえ知ってる? 北条さん今日休みなんだって」

和音「……え」

「風邪なんだって。めずらしいよね」

和音「……」

和音(響……)

……響の部屋

奏「どうしたの? 響が風邪ひくなんて」

響「……」

奏「響?」

響「……」

奏「……ねえ、なにかあったの? ひょっとして風邪じゃない?」

響「……なんでもない」

奏「やっぱり何かあったんでしょ。どうしたの?」

響「なんでもないってば……」

奏「ちょっと、私には話してくれたって……」

ピンポーン

奏「あら……誰かしら。私が代わりに出るわね」

響「……」

ガチャッ

和音「……」

奏「あ、西島さん」

和音「っ……あの、響は」

奏「西島さんもお見舞いに来たの? 響なら部屋で寝てるわよ」

和音「……」

奏「西島さん?」

和音「あ、あたしやっぱり帰……」

響「……和音」

和音「!!」

奏「響、起きたらダメじゃない」

響「……」

和音「……」

奏「響?」

響「ごめん、奏……ちょっと和音とふたりっきりにさせて」

奏「えっ、なんで……」

響「お願い」

奏「……」

響「……」

奏「……分かったわよ」

響「……」

和音「……」

響「昨日は……」

和音「!!」

響「びっくりしちゃった……いきなりだったから」

和音「う……ううう」

響「和音!?」

和音「ひっぐ……ごめん響……ごめんなさい……グズッ」

響「な、泣かないでってば」

和音「だってあたし……響にひどいことして……」

響「……」ギュッ

和音「!?」

響「大丈夫だよ和音、あたしは大丈夫だから」

響「ただ今日はちょっと心の整理がつかなくて……学校行けなかっただけなの」

響「和音にどういう顔して会えばいいんだろうと思ったら……こわくて」

響「それでも、和音がお見舞いに来てくれたのは本当に嬉しい」

和音「響……」

響「……だけど、昨日のことはもうなしにしようね」

和音「……!!」

響「昨日のこと、あたしは忘れるからさ……和音も忘れて」

響「あたし達、あんなことしちゃダメなんだよ……」

和音「……」

響「だから今日からまら普通に友達同士で……」

和音「っ……」

ドンッ

響「!?」ドサッ

響「和音……!」

和音「あたしだって、ここに来るのこわかったよ……だけど、響が心配だったから!」

響「……」

和音「……でも先に南野さんが来てたのを知って、悔しかった」

和音「響の隣にはいつも南野さんがいる! あたしじゃなくて、南野さんが……」

和音「あたしそれがずっと嫌だったの!! あたしだって響のこと好きなのに、なんで南野さんばっかり!!」

響「わ、和音……」

和音「もうこの気持ち……抑えようと思っても抑えられないよ。あたしってバカだからさ、頭で考える前に身体が動いちゃう……」

響「ダ、ダメ和音……!!」

和音「響……大好き」

・・・・・

奏(遅いなぁ……)

ガチャッ

奏「!!」

和音「……」

奏「西島さん……」

和音「……あはは、お邪魔してごめんね。じゃああたしもう帰るから、バイバイ南野さん」

奏「う、うん。バイバイ」

奏「……」

奏「響ー、西島さんと二人で何話してたの?」

奏「ねえ響ってば」

響「……」

奏「響?」

響「は、はいっ」

奏「どうしたのよ一体、ボーッとしちゃって。本当に熱でも出たの?」

響「ち、違うってば。なにもないって」

奏「?」

響「……」

・・・・・数分前

和音「響……大好き」

響(キ、キスされる!? また……!!)

響「……?」

和音「っ……~~~!!」

和音「こんなんじゃダメだ!!」

響「!?」ビクッ

和音「響! あたしとチューしたこと……後悔してる?」

響「え? それは、その……」

和音「あたし、響と付き合いたい!」

和音「あたし響が好き! 世界で一番好き!! 響がいないと生きていけない!!」

和音「響、あたしと付き合ってください!!」

響「え……あ……」

和音「もしかして南野さんともう付き合ってるとか!?」

響「ち、違う。奏とはそんな関係じゃ……」

和音「じゃああたしと付き合ってください!」

響「っ……」

和音「だけど、もし嫌なら……はっきり言って。そうしたらあたしも諦めがつくからさ」

和音「……だからお願い、『いいえ』って言ってくれるだけでいいの。そうすればあたしもう響に何もしないから……」

響「……」

和音「……響?」

響「えっ、あ……ど、どうしよう。いざそうはっきり言われちゃうと……」

和音「?」

響「『いいえ』って……簡単に言えないっていうか」

和音「えっ」

響「だって、付き合ってくださいなんて面と向かって……」

和音「つ、つまりそれって……!!」

響「いや、で、でも!! もうちょっと待って……今日答えるのは無理っぽい」

和音「……」

響「いやー……あはは。あたしって、意外と押しに弱いのかな……」

響「和音がそんな風に思ってたなんて……で、でもさ、あたし達女の子同士だよね」

和音「やった! 響と付き合えるんだね!!」

響「えっ」

和音「あっ、じゃあもうチューしてもいい? しちゃってもいい?」ズイッ

響「ちょ、ちょっと和音!?」

和音「あたし、響のこと独占したいの! 南野さんにも、ピアノにも響を渡したくない!」

響「ピアノって……」

和音「本当はもう親友じゃいられないんじゃないかって思ったけど……よかった、グスッ……嬉しい」

響「和音……」

和音「じゃあ、誓いのチューを」

響「チュ、チューはまだ! 明日ちゃんと返事してから!」

和音「分かった響! 明日返事待ってるよ、それまでは絶対手を出さない、我慢する!」

響「あっ、ちょっ、和音!?」

和音「じゃあ、ばいばーい!」

響「あ、あのー……あたしまだ言いたいことあるんだけど。……行っちゃった。」

……翌日

響「あー……うー……」

響(昨日のモヤモヤがまだ取れない……)

響(和音ってば、あんな積極的になるなんて……)

和音「響!」

響「!!」

和音「えへへ、来ちゃった」

響「和音……」

和音「南野さん、いないんだね」キョロキョロ

響「奏は、スイーツ部に行ってる。それに今日は和音が来るって分かってるんだから一緒にはいられないよ…」

和音「えへへ……。響、返事聞かせて」

響「……その前にさ、聞きたいことあるんだけど」

和音「?」

響「和音は、悩んだりしないの? だってあたし達付き合うかもしれないんだよ? 女同士で……」

和音「んー……本当のところは、ずっと悩んでたんだ」

和音「響に告白する前から、悩んで悩んで……苦しかった。でも、自分の気持ちに素直になって言いたいことを全部言ったら」

和音「なんか吹っ切れちゃって、悩み事も全部なくなっちゃった」

響「……」

和音「あたしはもうなにがあっても心の準備はもうできてるから、次は響の番だよ!」

響「……」

和音「響?」

響「ずるいよ和音。あたしのこと押し倒したのは和音なのに……自分だけ勝手にすっきりして、あたしをこんなに悩ませるなんて」

和音「……やっぱり付き合うのはイヤ?」

響「そ、そうじゃなくて! ちょっと、まだ心の準備が……」

和音「んー……じゃあ」ギュッ

響「!?」

和音「チューしたら、心も落ち着くかな?」

響「っ~~~……もう和音ってば、昨日からそればっかり!」

和音「だって、響ともっとイチャイチャしたいんだもん。今までできなかったこととかしてみたい!」

響「はぁ……あたしが和音に弄ばれる日が来るなんて」

和音「イヤ?」

響「……イヤじゃないよ」

和音「えへへ」

響「ぷっ……あはは」

和音「じゃ、とりあえず気晴らしに走る? 返事はその後でもいいから」」

響「うんっ」


おわり

次回
>>435

乙!!

なぎさ×ひかり

安価ミスってました、すみません
>>436でいきます

【なぎさ×ひかり】


「九条さん、ちょっといいかしら?」

ひかり「はい? えっと……あなたは」

「隣のクラスの……ほら、体育の時間一緒だったでしょ?」

ひかり(ああ……そういえば)

「実はね、九条さんに頼みごとがあるんだけど聞いてもらえない?」

ひかり「え?」

「この手紙を……美墨先輩に渡してほしいの」

ひかり「なぎささんにですか?」

「そう。あなた確か美墨先輩と仲が良かったわよね?」

ひかり「はい、そうですけど…」

「お願い九条さん! 九条さんにしか頼める人がいないの!」

ひかり「分かりました。じゃあこの手紙、なぎささんに渡しておきますね」

「ありがとう九条さん!」

ひかり(この手紙……何の手紙だろう)

・・・・・・

アカネ「いらっしゃーい。あれ、今日はほのかいないの?」

なぎさ「部活で残るらしくて。たこ焼きひとつ」

アカネ「あいよ」

ひかり「なぎささん」

なぎさ「ああ、ひかり。お疲れさま」

ひかり「実はなぎささんに渡したいものがあるんです」

なぎさ「渡したいもの? あたしに?」

ひかり「この手紙なんですけど。隣のクラスの女子に頼まれて」

なぎさ「……あ~、そっか。なるほどね」

ひかり「なんの手紙なんですか?」

なぎさ「いや、何の手紙っていうか……いわゆるその……」

アカネ「ラブレターってやつ?」

なぎさ「ちょっ、アカネさん!」

ひかり「ラブレター?」

アカネ「まったくなぎさはモテモテで羨ましいですねー。このこの」

なぎさ「からかわないでくださいよ! ……女の子からラブレター貰ってもねぇ」

ひかり「ラブレターって、好きな人に想いを伝えるために書く手紙ですよね。そんな手紙をもらえるなんて、素敵ですね」

なぎさ「いや、素敵っていうかさ……確かに気持ちは嬉しいよ? でもね……」

ひかり「でも?」

なぎさ「女の子からじゃあね……」

ひかり「女の子からじゃダメなんですか?」

なぎさ「いや、そりゃあまぁ……ああもう、この話はおしまい!」

ひかり「読まなくてもいいんですか?」

なぎさ「いいのいいの、読む必要なし。受け取れないよ、この手紙は」

ひかり「はあ」

なぎさ「アカネさーん、たこ焼きまだー?」

ひかり「……」

・・・・・翌日

「あっ、九条さん!」

ひかり「あ……」

「昨日の手紙、美墨先輩に渡してくれた?」

ひかり「は、はい。一応……」

「それで、美墨先輩はなんだって?」

ひかり「それが……受け取れないそうで」

「えっ……?」

ひかり「ごめんなさい、ちゃんと渡しておいたんですけど……」

「そ、そっか……分かった」

ひかり「……」

「……ねえ、本当に渡してくれたの?」

ひかり「え?」

「まさか、あの手紙渡してないなんてことはないでしょうね?」

ひかり「いえ、確かに渡しました」

「九条さんってさ、よく美墨先輩と一緒にいるけど……なんであんなに仲がいいわけ?」

ひかり「それは、えっと……」

「もしかして九条さんってさぁ美墨先輩と……」

ひかり「え?」

「……いいえ、なんでもないわ。ご、ごめんなさい変なこと言って……じゃあ」

ひかり「あ……」

ひかり「……」

ひかり(彼女……どうしてあんなに)

……ひかりの家

ひかり「……」

アカネ「ひかり、どうしたの? なんか神妙な顔しちゃってさ。悩み事?」

ひかり「アカネさん……昨日のことを考えてて」

アカネ「昨日のこと?」

ひかり「ラブレターの……」

アカネ「ああ、あれね。あれがどうかした?」

ひかり「今日そのラブレターの子に昨日のことを話したんです。そしたらその子、ひどく落ち込んじゃって……」

アカネ「ふーん」

ひかり「やっぱりあの手紙、なぎささんは読んであげるべきだったんじゃないでしょうか」

アカネ「うーん、そうだねぇ……読んであげても結果は変わらなかったと思うよ。相手が女の子じゃねぇ」

ひかり「どうしてですか?」

アカネ「うん? いやぁ……ひかりには分かんない?」

ひかり「?」

アカネ「そもそもさ、ラブレターっていうのはお付き合いをお願いするために渡す手紙でしょ?」

アカネ「普通はさ、付き合うっていったら男と女がするわけじゃない? それが恋ってやつよ」

ひかり「恋……」

アカネ「でもたまにっていうか、思春期特有っていうか……女の子が女の子に恋する時があんのよ。まぁ一種の発作みたいなもんなんだけどね」

アカネ「けどやっぱさ、それは普通じゃないわけで。だからなぎさも断ったわけ。あの子の場合は頻繁に同性の子からラブレターもらうみたいだし、そこらへんもう慣れたっていうかウンザリしてるんじゃない?」

アカネ「それに女の子同士の恋って錯覚みたいなものがほとんどだし、付き合ってもどうせ長続きはしないだろうねー。お互い不幸になるだけじゃない」

ひかり「……」

アカネ「あはは、ひかりにはちょっとそういう話は早かった?」

アカネ「まぁ、好きすぎちゃって憧れが恋だと錯覚しちゃうってことなのよ。要するに勘違いの恋ってやつ? その子もたぶん、しばらくしたら夢から覚めるわよ」

ひかり「夢……」

ひかり(好きなのは……錯覚……)

……ひかりの部屋

ひかり「……」

ポルン「ひかり、どうしたポポ?」

ひかり「ねえポルン……なぎささんのことは好き?」

ポルン「なぎさはすきポポ」

ひかり「わたしも好き。けどあの子の場合はわたしの好きとは違うみたい」

ポルン「ポポ?」

ひかり(恋って……どういうことなんだろう)

ひかり(わたしのなぎささんに対する気持ちとはどう違うのかな……)

・・・・・翌日

なぎさ「じゃあ10分休憩ね。終わったらまた全体練習はじめるから」

「「「はーい!!」」」

なぎさ「はぁ、一息つこっと。……ん?」

なぎさ(あれは……)

なぎさ「ひかり! おーい!」

ひかり「なぎささん」

なぎさ「なに? 練習見てたの?」

ひかり「はい。なぎささんかっこよかったですね」

なぎさ「あはは、なんか照れちゃうな。これからタコカフェのお手伝い?」

ひかり「はい。でも……もう少しなぎささんの練習見ててもいいですか?」

なぎさ「ん? 別にいいけど、面白くもなんともないよ?」

ひかり「いえ、いいんです。なぎささんのことをもって見ていたいから」

なぎさ「へ? どうしたのよひかりってば、あはは。あっ、じゃあ時間だしそろそろ戻るね」

ひかり「はい」

なぎさ「パスパース! もっと早く上がってー!!」



ひかり「……」

「こんな所で何をしてるの?」

ひかり「!!」

「……」

ひかり「あなたは……」

「やっぱりあなた、美墨先輩に目をつけてるんじゃないの」

ひかり「え?」

「美墨先輩に近づこうとする私を邪魔するために、ラブレターも渡さなかったんでしょ!?」

ひかり「そ、そんなことは……」

「ずるいわよ……そんなの」

ひかり「……あの、人のことを好きになるのは素晴らしいことだと思います」

ひかり「でも、女の子同士じゃやっぱり普通じゃない……らしいんです」

「……何が言いたいわけ?」

ひかり「その好きだっていう気持ちは、恋とは違うもので……勘違いの恋はお互い不幸になるだけだってアカネさんが……」

「ッ……!! バカにしないでよ!!」

ひかり「!?」

「勘違いの恋ですって? 違うわ! 私は真剣なの、真剣に美墨先輩のことが好きなの!!」

ひかり「あ……えっと……」

「それなのに私がどれだけ本気かも知らないで……よくもそんなこと言えるわね!!」

ひかり「あの……ご、ごめんなさい」

「あなたは一体美墨先輩の何なのよ!? いっつも美墨先輩にひっついて、なんであなたなんかが先輩の隣にいられるわけ!?」

ひかり「それは……」

ひかり(なぎささんとはプリキュアで、一緒に戦ったりする仲間で……)

「ずるいわ……なんであなたばっかり……」

ひかり「……」

「いいいわよ……だったら直接告白するから」

ひかり「え?」

「私はあなたにも雪城先輩にも負けない! 私が美墨先輩の一番になるんだから!!」タタタッ

ひかり「あ……」

ひかり「……」

・・・・・翌日

ひかり(昨日の彼女……あれからどうしたんだろう)

ひかり(わたし……ひどいことを言っちゃったのかも。今度もう一度謝りにいこう)

ひかり(……あんなに怒るなんて、よっぽどなぎささんのことが好きってことなのかな)

ひかり(人のことをあれだけ好きになれるなんて……)

ひかり「……」

『あなたは一体美墨先輩の何なのよ!?』

ひかり(わたしは……なぎささんの何なんだろう。わたしにとってなぎささんって一体……)

ひかり「……あっ」




「……」

ひかり(あの子……あんなところにいた。せっかく出会えたんだし、昨日のことを謝らなきゃ……)

ひかり「……!!」




なぎさ「……」

「……」




ひかり(あれは……なぎささん!? なぎささんもいる!)

ひかり(ふたりで……何を話しているんだろう)

ひかり「あ……」




「ひっぐ……ぐずっ」タタタッ

ひかり(あの子……泣きながら走って行っちゃった……)

ガサッ

なぎさ「!!」

ひかり「あ……」

なぎさ「ひ、ひかり……!! なんでここに!?」

ひかり「なぎささん……その、たまたま通りかかって……」

なぎさ「……もしかして今の見てた」

ひかり「……は、はい」

なぎさ「あはは……ご覧の通りよ。あの子に告白されちゃったの」

ひかり「告白……」

なぎさ「それで、振っちゃった。例のラブレターの子でしょ? ひかりのこともちゃんと話しておいたわよ。誤解だって、伝えておいたから」

ひかり「……あの子、泣いてましたね」

なぎさ「え? まぁ……しょうがないって。あたしだってあの子の告白にOKするわけにはいかないしさ」

ひかり「……」

ポツ……ポツ……

なぎさ「ん?」

……ザアアアアアアア

なぎさ「うわっ!! いきなり雨!?」

・・・・・

なぎさ「ここで雨宿りしよ!」

ひかり「は、はい!」

なぎさ「はぁ~全く……最悪。急に雨が降るなんて」

ひかり「すごく降ってますね」

なぎさ「しばらくしたらおさまるかなー……あっ、ひかり。タオル使う?」

ひかり「え?」

なぎさ「ほら。風邪ひくよ」

ひかり「あ、ありがとうございます」

なぎさ「……」ゴシゴシ

ひかり「……」

なぎさ「……あたしさ、今までにも女子に告白されたこと何回もあるのよね」

ひかり「え?」

なぎさ「その度に断ってさ、それで泣いちゃう女の子もいてさ。なんだか申し訳ないなぁってのは思うんだけど」

なぎさ「しょうがないんだよね……どうしても」

ひかり「……」

ひかり(なぎささん、辛そうな顔……。そっか、なぎささんも辛いんだ)

ひかり(人の好意を断らなきゃいけないなんて、なぎささん本人もきっとすごく悲しいはず……)

なぎさ「……」

ひかり(……わたしにとってなぎささんは、いつも傍で支えてくれる人。わたしに笑顔と勇気をくれる)

ひかり(今までなぎささんと一緒にいたからこそ、わたしは今のわたしでいられる……)

ひかり(なぎささんはわたしにとって掛け替えのない大切な人……わたしはなぎささんの力になってあげたい)

ひかり「な……なぎささん!」

なぎさ「?」

ひかり「あ……えっと」

ひかり「わたし、なぎささんのためなら何だってします! だから……なんでも言ってください!」

なぎさ「ええ? ちょっと……ひかり、いきなりどうしたの?」

ひかり「わたし……なぎささんに元気になって欲しいんです。いつもお世話になってるから……今度はわたしが、なぎささんを笑顔にできたらなって」

なぎさ「……ぷっ、あははは」

ひかり「……?」

なぎさ「ありがと、ひかり。その気持ちだけで嬉しいよ」

ひかり「なぎささん……」

なぎさ「けどそんなこと考えなくてもいいって。あたしはひかりと一緒にいられるだけで充分幸せだよ」

ひかり「――……っ」ドキッ

ひかり(あ、あれ……?)

なぎさ「ひかりはあたしの大切な友達だもん。それにむしろいつもお世話になってるのはあたしの方だって、あはは」

ひかり(なぎささん……笑ってくれた)

ひかり(そうだ……わたし、なぎささんのこの笑顔が)

ひかり(とても好きなんだ……)

なぎさ「おっ、雨止んだみたい」

ひかり(いつも真っ直ぐな瞳でわたしのことを見てくれて、わたしのことを受け止めてくれる……)

ひかり(そんななぎささんが笑ってくれると……わたしも嬉しくなる……)

ひかり「……」

ひかり(……だけど)

なぎさ「うーん、でもまだ曇ってるなぁ。もしかしたらまた降ってくるかも。今のうちに早く帰ろっか、ひかり」

ひかり(さっきあの気持ち……なんだったんだろう)

なぎさ「ひかり?」

ひかり(あの、胸の高鳴りは……)

なぎさ「おーい、ひかりってば」

ひかり「は、はい!」

なぎさ「早く帰ろ。雨止んでるしさ」

ひかり「あ……はい」

なぎさ「……ひかりは優しいよね」

ひかり「え?」

なぎさ「あたしのためだけじゃなくてさ、ラブレターの子のことも想って悲しんでたでしょ?」

なぎさ「あたしひかりのそういう優しいとことろ、大好きだよ」

ひかり「!!」

なぎさ「さ、じゃああたしはもう帰るね。ばいばいひかり、また明日」

ひかり「は……はい……」

ひかり「……」

ひかり(分からない……なんがか急に変な気持ちに)

ひかり(心臓の鼓動が、どんどん大きくなっていく……顔が熱い)

ひかり(なんで……なんだろう)

ひかり「……」

ひかり(もしかしてこれが……この気持ちが……)

ひかり(……だけど)

『好きすぎちゃって憧れが恋だと錯覚しちゃうってことなのよ。要するに勘違いの恋ってやつ? その子もたぶん、しばらくしたら夢から覚めるわよ』

ひかり「っ……」

アカネさんの言葉を思い出したら、自分の気持ちを素直に受け止めるのが怖くなってそこから一歩も動けなくなった。
……今ならあの子気持ちが痛いほど分かる。
結局答えも出せないなまま、わたしは再び降り始めた雨の中ずぶ濡れになりながら立ちすくんでいた。


おわり

次回>>469

L・O・V・E!
マナ×りつ

【マナ×六花】

……六花の部屋

マナ「ふぅ、ちょっと休憩しよっと。六花まだ続けるの?」

六花「もうちょっと。あと五ページ終わったら」

マナ「この調子なら順調に宿題も終わるねー」

六花「そうね」

マナ「……」

六花「……」カキカキ

マナ「……」

六花「……」カキカキ

マナ「……」ツンツンッ

六花「……」

マナ「にへへ」

六花「もう、ほっぺツンツンしないで。集中できないじゃない」

マナ「だってヒマなんだもん」

六花「ヒマだったら次の問題でも解いたら?」

マナ「だって休憩中だもーん」

六花「あのねぇ……」

マナ「六花も一緒に休憩しようよ」

六花「私はキリのいいところまで終わらせたいの」

マナ「えー」

六花「えー、じゃない」

マナ「あっ、この本おもしろそう。読んでもいい?」

六花「はぁ……いいわよ、好きにして」

六花(本読んで大人しくなってくれるならそれでいいけど……)

マナ「9月10日、今日はマナと……」

六花「だあああああああああ!!!」

マナ「!?」ビクッ

六花「それ日記帳!!」

マナ「え? あ……ほんとだ」

マナ(今六花から聞いたこともないような声が……)

マナ「ごめんごめん、気づかないで読むところだったよ」

六花「もう、勝手に触っちゃダメ!」

マナ「ごめんなさーい」

六花「全く……」

マナ「六花って日記つけてたんだー……そうだ! 今度交換日記しようよ」

六花「え?」

マナ「あたしと六花で、面白そうでしょ?」

六花「いいけど……」

マナ「やった! じゃあ早速ノート買いに行こう! かわいいやつ」

六花「しょうがないわね……って、私は今宿題中だっての!」

マナ「じゃあ、宿題が終わるまで待ってる!」

六花「だったらマナも休憩時間終わらせたほうがいいんじゃないの…」

マナ「もうちょっと」

六花「はぁ……」

マナ「……」

六花「……」カキカキ

マナ「……」

六花「……」カキカキ

マナ「……」

六花「……あの」

マナ「なに?」

六花「なんで私のことじっと見てるの」

マナ「勉強してる時の六花っていいよねー」

六花「い、いや意味わかんないから。あんまりこっち見ないでよ……恥ずかしいじゃない」

マナ「だって他にすることないし」

六花「……だったら、勉強再開!」

マナ「はーい。じゃあこの問題教えて」

六花「え? これはこの方程式の応用で……」

マナ「……」ジーッ

六花「……聞いてる?」

マナ「見てる」

六花「聞いて」

六花「もう、遊びに来たんじゃないでしょ」

マナ「六花様ー、遊んでー」

六花「ダーメ。勉強」

マナ「六花しゃまー」

六花「……じゃあ、宿題終わらせたら遊んであげる」

マナ「はい! 終わらせます!」

六花「やれやれ……」

六花(これでしばらくは大人しくなるかしら……)

マナ「……」

六花「……」

マナ「終わった!!」

六花「早っ!?」

六花「私よりページ前の方じゃなかったっけ!?」

マナ「六花と早く遊びたいと思ったら、集中できた!」

六花「ありえない……」

マナ「六花は?」

六花「あとちょっとだから待ってて」

マナ「はーい」

六花「はぁ、マナったら……その超人的な能力を私にも分けてほしいぐらいだわ」

マナ「六花がいるから、あたしは頑張れるんだよ」

六花「え?」

マナ「えへへ、いつも支えてくれてありがとうね」

六花「もう……そんなこと言って」

マナ「言わないと不安になっちゃうでしょ?」グイッ

六花「う……マ、マナ……」

マナ「いいじゃん、今はふたりっきりなんだし」

六花「……そう思ってるのなら、普段の行動のしっかりしてよね」

マナ(あれ?)

六花「さ、勉強勉強」

マナ(いつもだったら顔真っ赤にしてたじたじになるのに……)

マナ「……六花って最近ちょっと変わった?」

六花「え? なによそれ」

マナ「なんか、なんとなーく」

六花「また変なこと言って」

マナ「……」

六花「……」

マナ「ねえ、六花。あたしがこの世界から消えちゃったらどう思う?」

六花「はあ!? もー……冗談だったらあとで聞くから今は勉強させてよ」

マナ「冗談じゃないよ」

六花「……?」

マナ「……」

六花「今度はなぁに?」

マナ「あたしはね、六花のこと大好きだよ。六花は?」

六花「好きよ」

マナ「愛してる?」

六花「愛してるわよ」

マナ「むー……なんか愛が軽い」

六花「ええ……?」

マナ「なんかあたしの質問軽く流されてる気がする」

六花「愛してるって言われて嬉しくないの?」

マナ「超嬉しい!!」

六花「分かったら大人しくしましょうね」

マナ「はーい……」

六花「……」

マナ「……」

六花「……」

マナ「……」

六花「……よしっ、できた。終わったよ、マナ」

マナ「……」

六花「マナ?」

マナ「すぅー……すぅー……」

六花「はぁ……寝ちゃってるし」

マナ「むにゃむにゃ……六花ぁ……愛してる……」

六花「……ふふ、まったくマナったら。不安になってるのはどっちよ」

・・・・・

マナ「……はっ!」

六花「起きた?」

マナ「あ、あれ? 寝てた?」

六花「30分ぐらいね」

マナ「あ……」

六花「なに?」

マナ「ひょっとして、膝枕してくれてたの……?」

六花「ベッドに運ぶには重いからねー」

マナ「ええ? そんなに重くないよー」

六花「ふふっ」

マナ「宿題おわった?」

六花「終わったわよ」

マナ「じゃあ遊ぼ」

六花「ノート買いに行くんじゃないの?」

マナ「六花とちょっと遊んでから」

六花「しょうがないわね」

六花「なにして遊ぶの?」

マナ「うーん……とりあえずこのまま膝枕」

六花「それって遊び?」

マナ「あのね、あたし夢見てた」

六花「なんの夢?」

マナ「六花と離ればなれになる夢。どうしてかは思い出せないんだけど……あたし、六花とお別れしちゃうことになったの」

六花「……」

マナ「それでね、気づいたんだ。あたしってね、自分が思ってる以上に六花を必要としてたんだなぁって」

六花「……」

マナ「あたしの中で……六花は誰よりも一番なのかもしれない」

六花「マナらしくないわね。他の人と比べるなんて」

マナ「……」

六花「いつもだったら誰にでも愛を振りまくのに。ありすにも、まこぴーにも、亜久里ちゃんにも、……レジーナにも」

六花「みんながみんな、マナにとって一番じゃないの?」

マナ「六花は……こんなあたしのこと、嫌い?」

六花「……嫌いなわけないじゃない、大好きよ」

マナ「えへ……えへへ」

六花「今は……ふたりっきりだもんね」

マナ「うんっ! このことはふたりだけの秘密だよ」

六花「ふふっ」

マナ「六花ぁ~」ギュッ

六花「あっ、こら。急に抱きつかないの」

マナ「いいじゃんいいじゃん、ふたりっきりなんだし。もうちょっと遊ぼうよ」

六花「もう……」

マナ「そうだ、後でさっきの日記読ませてくれる?」

六花「ダーメ」

マナ「えー、なんで? 六花のこともっと知りたい」

六花「もう充分知ってるんじゃないの?」

マナ「まだまだ、足りなーい。六花のことは隅から隅まで勉強したいな」

六花「なによそれ……ふふっ」

マナ「えへへ」

六花「そういえば、結局ノートは買いに行かないの?」

マナ「うーん……今日はいいや」

六花「じゃあ、この後は?」

マナ「なにしてほしい?」

六花「マナってば……」

マナ「六花……ん」

六花「あ……そんないきなり」

マナ「ふたりっきりなんだし、誰も見てないんだからいいじゃない」

六花「恥ずかしいじゃない……」

マナ「えへへ、こっからまた勉強の時間だよ」ギュッ

六花「もう……甘えんぼさんなんだから」

マナ「あたしが甘えちゃうのは六花だけだよ」

六花「はいはい……ふふっ」

マナ「それじゃあ続きいってみよー」

六花「あっ、こらぁ!」






シャル(わたしたちがいることを完全に忘れてるシャル……)

ラケル「はわわわ……」


おわり

次回>>488

乙でした!

こまち×やよい 海賊ハリケーンとミラクルピースの書き手コンビ
やりたい放題ぶっ飛ばす感じで

近いうちに投下します(二ヶ月以内とも言ってない)

近いうちに投下します(二ヶ月以内とも言ってない)

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