妹「えっ、違うの？」

妹友「そもそも今さっきまでしてた会話からどうやったらあんたのお姉さんを『嫁にくれ』ってなるの？」

妹「だって綺麗だかっこいいだって言ってたし」

妹友「だからっていきなり『嫁にくれ』って色々すっ飛ばしすぎ。あんたじゃあるまいし」

妹「そっか、私じゃあるまいし。って、ちょっと！」

妹友「乗り突っ込み乙」

妹「あう」

妹友「普通にあんたのお姉さんが自分の姉だったらなあ、って話なのに」

妹「あぁ……穴があったら入りたい」

妹友「あんたのシスコン度が透けて見えるようだわ」

妹「あぁ……穴がなくても入りたい」

妹友「どこに入るどこに」

―――――
　―――――

妹友「しかし、ほんとにあんたってお姉さんのこと好きだよねえ」

妹「うるさいなあ」

妹友「お姉さんの話になると一気におかしくなるし。あ、おかしいのはもともとか」

妹「そうそうおかしいのは、ってもう引っ掛からない」

妹友「引っ掛かりかけたじゃん」

妹「引っ掛けたのそっちー」

妹友「引っ掛かるのが悪い」

妹「んもう」

妹友「あ、噂をすればお姉さんだ」

妹「えっ」

ｻﾞﾜｻﾞﾜ

妹「はわー……」

妹友「うわ、お姉さん見ただけでそのデレ顔」

妹「引かないで」

妹友「元々引いてるから大丈夫」

妹「ひどいよう」

妹友「にしてもあんたのお姉さん人気ものだねえ。廊下であんなに人に囲まれてる」

妹「……」

妹友「あたしをにらむなあたしを」

妹「お姉ちゃんファンクラブとかあったら入りたいんだけど」

妹友「は？」

妹「あるの？知らない？バスケ部だから知ってるよね友ちゃん？」

妹友「い、いや、バスケ部だからって意味わからんのだけど」

妹「新聞部に入るつもりなんでしょ！」

妹友「いやそんな話ないから」

妹「裏番長！」

妹友「おい」

妹「はい」

妹友「ていうか帰ろーよ。もう放課後なんだけど」

妹「お姉ちゃんを見送るまで……」

妹友「家に帰ったら見れるでしょーが」

妹「家と学校じゃまた違うんだよ」ﾊｱﾊｱ

妹友「うわはあはあしとるきもちわるい」

妹「さすがにひどい！」

妹友「あんたがひどい！」

妹「一緒に帰りたい」

妹友「家に帰ったら一緒にいれるでしょ」

妹「家と学校じゃまた」

妹友「はいはい」

妹「ぐう」

妹友「お姉さんいなくなった。帰るよ」

妹「しかたないなあ」

妹友「あん？」

妹「喜んで一緒に帰らせていただきます」

◇

姉「ふう……」

委員長「どうかした？」

姉「ううん、ちょっと疲れたな、って思っただけ」

委員長「か、肩でももみましょうか？」

姉「え、えぇ……でもさすがに廊下では」

委員長「そ、そうよね、そうよね私ったらふふっ」

姉「とりあえず、帰る準備しましょう」

委員長「そ、そうね」

姉「やっぱり、後輩の子に好かれるのも悪くはないけど毎日毎日囲まれてちゃあ大変ね」

委員長「人気者の悩みってやつね」

姉「人気者なのかどうかは、わからないけどね」

委員長「人気者よ！人気者！」

姉「ああ、そう？」

委員長「そうよ、私、そんなあなたの隣にいられて光栄なの！」

姉「そう……？」

委員長「そ、そうです……」ｶｱｯ

姉「そっかあ、そう言われると嬉しいなあ」

委員長「そ、そう？」

姉「妹にも報告しなくっちゃ」

委員長「え？えぇ……」

姉「あの子ったら本当に面白いの、いつも誰かがこんなものくれた、こんなことを言ってくれたっていうと色んな顔しちゃって」

委員長「(ああ、また始まってしまった……)」

委員長「(こりゃ放課後補習コースかしら)」

◇
ｶﾞﾁｬｯ

姉「ただいま」

妹「あっ」

妹「おっ、おかえり、お姉ちゃん」

姉「うん」

妹「今日は遅かったね」

姉「補習があったのよ」

妹「ふーん」

姉「……」

妹「……」

姉「そういえば、宿題しなきゃいけないんだわ」

妹「私も！」

姉「えっ」

妹「えっ」

姉「……一緒にやってあげてもいいけど？」

妹「どうしても、って言うなら、いいよ」

姉「……」ﾃﾞﾚｰ

妹「……」ﾃﾞﾚｰ

姉「こほん」

妹「はっ」

姉「ノート、持ってきたら？」

妹「お姉ちゃんこそ、先に制服着替えてきたらいいのに」

姉「わ、私はこのままでいいのよ」

妹「の、ノートなくても紙があればできるし……」

姉「学校に出すものじゃないの？」

妹「うぅ……部屋までとってくる」

姉「……まあ、私もついでに部屋まで着替えに行こうかしら」

妹「ついで？」

姉「ついでよ」

姉「べ、べつに妹についていこうなんてしてないから」

妹「わ、私もお姉ちゃんとちょっとでも離れたくないとか思ってないから！」

姉「……」ﾃﾞﾚｰ

妹「……」ﾃﾞﾚｰ